以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
以下説明する実施形態においては、タッチパネルを備える電子機器の一例として、携帯電話端末、スマートフォン、またはタブレットPCなどを想定して説明する。しかしながら、本発明による電子機器は、前述のものに限定されるものではなく、例えば、PDA、ノートパソコン、携帯音楽プレイヤー、ゲーム機など、タッチパネルを有する任意の電子機器などに適用できる。また、本発明は、前述のような携帯型の電子機器に限定されるものでもなく、例えばデスクトップPC、銀行のATM、駅の券売機など、タッチパネルを有する任意の機器にも適用することができる。また、タッチパネルを備えた電子機器は、自動車のステアリング、カーナビゲーション、およびダッシュボードに内装されたコントロールパネルなど、その他、自動車に限らない乗り物にも採用することができる。さらに、タッチパネルは、乗り物に限らず、家電製品など、多種多様な電子機器にも採用することができる。さらに、本発明は、タッチセンサを備えた電子機器に適用するのが好適であるが、後述するように、タッチセンサを有する機器に限定されるものでもない。本発明は、タッチセンサのように接触された位置を検出する機能を備えないパネルのような部材を備える電子機器としても実施することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る電子機器1の概略構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、電子機器1は、コントローラ10と、タッチパネル20と、表示部30と、押圧検出部40と、触感呈示部50と、記憶部60と、を備えている。
コントローラ10は、電子機器1を構成する各機能部をはじめとして、電子機器1の全体を制御および管理する。コントローラ10において行われる処理のうち、本実施の形態特有のものについては、後述する。また、コントローラ10は、各種のタイミングに基づく時間を計測することができるタイマを内蔵するものとして説明する。なお、このようなタイマは、コントローラ10の外部に設けて、タイマが計測する時間をコントローラ10に通知するようにしてもよい。
タッチパネル20は、通常、表示部30の前面に重畳させて配設することにより構成し、ユーザの指やスタイラスなど(以下、「接触物」と総称する)による接触を検出する。このタッチパネル20は、接触物による接触を検出することにより、当該接触が検出された位置に対応する信号をコントローラ10に出力する。このタッチパネル20は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式などの方式のものを用いて構成する。なお、タッチパネル20が接触物による接触を検出する上で、接触物がタッチパネル20に物理的に触れることは必須ではない。例えば、タッチパネル20が光学式である場合は、タッチパネル20は当該タッチパネル20上の赤外線が接触物で遮られた位置を検出するため、接触物がタッチパネル20に触れることは不要である。また、本発明においては、位置の検出は必須ではないため、タッチパネル20は、接触物の位置を検出しない単なるパネルのような部材とすることもできる。
表示部30は、各アプリケーションに対応する表示を行う他、オブジェクト等により構成されるユーザインタフェースを所定の表示領域に描画して表示する。さらに、表示部30は、各アプリケーションに応じて、入力結果など各種情報などの表示も行う。表示部30は、例えば、液晶表示パネル(LCD)、または無機ELもしくは有機EL表示パネル等を用いて構成することができる。
押圧検出部40は、タッチパネル20に対してユーザが操作を行う際にかかる押圧を検出するもので、例えば歪みゲージセンサを用いて構成する。すなわち、押圧検出部40は、タッチパネル20に対する押圧を検出する。押圧検出部40の具体的な構成は後述する。
触感呈示部50は、タッチパネル20を振動させるもので、例えば、圧電素子または超音波振動子、リニアアクチュエータなどを用いて構成する。この触感呈示部50は、所定の振動パターンによる振動を発生させることにより、タッチパネル20に接触している接触物に対して触感を呈示する。本実施の形態において、触感呈示部50は、コントローラ10から供給される駆動信号に基づいて振動を発生する。
記憶部60は、例えばNAND型フラッシュメモリ等によって構成し、電子機器1において実行する各種のアプリケーションを記憶するのみならず、各種の情報を記憶することができる。特に、本実施の形態において、記憶部60は、押圧検出部40が検出する押圧を任意のタイミングで記憶することができ、さらに、当該押圧の履歴なども記憶することができる。また、本実施の形態において、記憶部60は、例えばコントローラ10に内蔵されるタイマが計測した各種の時間情報も記憶することができる。
次に、上述したタッチパネル20および表示部30と、押圧検出部40および触感呈示部50との構成上の関係について説明する。
図2は、図1に示した電子機器1のタッチパネル20、表示部30、押圧検出部40、および触感呈示部50の実装構造の一例を示す図である。図2(A)は要部断面図であり、図2(B)は要部平面図である。
図2(A)に示すように、各種の表示を行う表示部30は、筐体90内に収納保持する。表示部30上には、弾性部材からなるインシュレータ94を介して、タッチパネル20を保持する。なお、本実施の形態に係る電子機器1は、表示部30およびタッチパネル20を平面視で矩形状とする。図2においては、タッチパネル20は、正方形状として示してあるが、タッチパネル20を実装する電子機器1の仕様に応じて、長方形等とすることもできる。また、この電子機器1は、タッチパネル20を、図2(B)に仮想線で示す表示部30の表示領域Aから外れた4隅に配設したインシュレータ94を介して、表示部30に保持する。
また、筐体90には、表示部30の表示領域から外れたタッチパネル20の表面領域を覆うようにアッパカバー92を設け、このアッパカバー92とタッチパネル20との間に、弾性部材からなるインシュレータ96を配設する。
なお、タッチパネル20は、例えば、表面すなわちユーザによる操作が行われる面が透明フィルムで構成され、裏面がガラスで構成され、操作面が押圧されると、押圧に応じて表面の透明フィルムが微少量撓む(歪む)構造のものを用いる。
さらに、本実施の形態に係る電子機器1は、タッチパネル20の表面の透明フィルム上で、アッパカバー92で覆われる各辺の近傍に、タッチパネル20に加わる押圧を検出するための歪みゲージセンサをそれぞれ接着等により設ける。また、タッチパネル20の裏面のガラス面上で、対向する2つの辺の近傍には、タッチパネル20を振動させるための圧電素子または超音波振動子、リニアアクチュエータなどを、それぞれ接着等により設ける。すなわち、図2に示す電子機器1は、図1に示した押圧検出部40を4つの歪みゲージセンサを用いて構成し、触感呈示部50を2つの振動子を用いて構成している。押圧検出部40は、例えば、4つの歪みゲージセンサの出力の平均値などから押圧を検出する。触感呈示部50は、例えば、2つの振動子を同相で駆動する。なお、図2(B)は、図2(A)に示した筐体90、アッパカバー92、およびインシュレータ96の図示を省略している。
次に、本実施の形態に係る電子機器1の動作について説明する。
例えば1つの機械式のキーまたはボタン、あるいはタッチパネル等に対する入力操作を、入力が検出されている時間の長短に応じて、異なる入力として区別することができる。例えば、入力が検出されている間にカウントされる時間の閾値を設定し、入力が検出されたままの状態が時間の閾値まで維持されない時、当該入力を「短押し」の操作に係る入力と特定することができる。また、前記時間の閾値を設定した状態で、入力が検出されたままの状態が時間の閾値を超えて維持される時、当該入力を「長押し」の操作に係る入力と特定することができる。
本実施形態においては、タッチパネルに対する入力操作を、さらに他の異なる入力として区別する。さらに、本実施形態においては、そのようにして区別したさらに他の異なる入力を、上述した「短押し/長押し」の操作に係る入力と、適宜組み合わせることができる。このように入力の区別を組み合わせることで、本実施形態に係る電子機器1は、多様な操作を検出することができる。
図3は、本実施形態に係る電子機器1の動作を説明するフローチャートである。
図3に示す動作が開始する時点で、コントローラ10は、押圧検出部40が検出するタッチパネル20に対する押圧を監視する。図3に示す動作が開始すると、コントローラ10は、押圧検出部40がタッチパネル20に対する押圧を検出しているか否か判定する(ステップS11)。ステップS11においてタッチパネル20に対する押圧を検出したら、コントローラ10は、内蔵のタイマにより時間Tのカウントを開始する(ステップS12)。
ステップS12において時間Tのカウントを開始したら、コントローラ10は、押圧検出部40が検出する押圧Pが所定の閾値P1を超えたか否か判定する(ステップS13)。閾値P1の値は、ユーザのタッチパネル20に対する通常の入力操作に係る押圧に基づいて設定するのが好適である。このように閾値P1の値を設定することにより、ユーザがタッチパネル20にごく軽く触れただけで入力として認識してしまうことを防ぐことができる。これにより、電子機器1は、ユーザの意図しない入力に基づいて処理の実行を開始してしまう事態を回避することができる。このような閾値P1の値は、予めデフォルト値として(記憶部60に記憶させて)電子機器1に与えておくことができる。また、閾値P1の値は、各ユーザの好みに応じて後から変更できるようにするのが好適である。また、閾値P1の値は、ユーザの普段の入力操作の履歴に基づいて、制御部10が算出すなわち学習した値としてもよい。
ステップS13において押圧Pが所定の閾値P1を超えていない時、コントローラ10は、タイマの時間Tが所定の閾値T1を超えているか否か判定する(ステップS14)。ステップS14において時間Tが所定の閾値T1を超えていない時、コントローラ10は、ステップS13に戻って、押圧Pが所定の閾値P1を超えたか否か判定する。
時間の閾値T1は、ユーザのタッチパネル20に対する入力操作が後述の「早押し」の入力に係る操作であるか否かを判定する時間として規定する。この閾値T1は、例えば、タッチパネル20に対する押圧が検出されてから、ユーザが即座に入力操作を遂行する意図があるか、または、ユーザが僅かに間をおいて入力操作を遂行する意図があるか、を区別するような時間の閾値とすることができる。すなわち、ユーザがタッチパネル20を押圧する操作を開始してから当該押圧を即座に強めて即座に解除するような操作にかかる時間は閾値T1を超えないように、当該閾値T1を設定することができる。また、ユーザがタッチパネル20を押圧する操作を開始して僅かに間をおいてから当該押圧を強めて解除するような操作にかかる時間は閾値T1を超えるように、当該閾値T1を設定することができる。したがって、一例として、この閾値T1は、押圧検出部40に押圧が検出されてから、例えば0.5秒後のような時間を規定する閾値とすることができる。
このような閾値T1の値は、予めデフォルト値として(記憶部60に記憶させて)電子機器1に与えておくことができる。また、閾値T1の値は、各ユーザの好みに応じて後から変更できるようにするのが好適である。また、閾値T1の値は、ユーザの普段の入力操作の履歴に基づいて、制御部10が算出すなわち学習した値に基づいて設定してもよい。
ステップS13において押圧Pが所定の閾値P1を超えた時、コントローラ10は、タイマがカウントを開始してから押圧Pが所定の閾値P1を超えるまでの時間Tmに応じた触感を呈示するように制御する(ステップS15)。
ステップS15においては、コントローラ10は、上述の時間Tmに対応して記憶部60に記憶された振動パターンを読み出し、当該振動パターンにより触感呈示部50が触感を呈示するように制御する。この処理を行うために、記憶部60には、各種の時間Tmに対応させて所定の振動パターンを記憶しておく。例えば、時間Tmが長くなるにつれて強い振動にしたり、逆に時間Tmが長くなるにつれて弱い振動にしてもよい。また、時間Tmが長くなるにつれて長い振動にしたり、逆に時間Tmが長くなるにつれて短い振動にしてもよい。また、時間Tmが長くなるにつれて振動の回数を増大したり、逆に時間Tmが長くなるにつれて振動の回数を低減してもよい。また、時間Tmが長くなるにつれてことなる種類の振動としてもよい。さらに、最も簡単な例としては、時間Tmの長短によらず同じ振動としてもよい。
ステップS15に処理が進む場合、時間Tが閾値T1を超える前に、押圧Pが閾値P1を超えたことになる。このように、本実施形態において、押圧の検出開始から所定の時間内に所定の押圧が検出される入力に係る操作を、以下、便宜的に「早押し」と記す。
ステップS15において触感を呈示したら、コントローラ10は、既に検出している押圧Pが閾値P1以下になったか否かを判定する(ステップS16)。ステップS16において押圧Pが閾値P1以下になっていない時、コントローラ10は、タイマの時間Tが所定の閾値T2を超えているか否か判定する(ステップS17)。ステップS17において時間Tが閾値T2を超えていない時、コントローラ10は、ステップS16に戻って、押圧Pが閾値P1以下になった否か判定する。
時間の閾値T2は、ユーザのタッチパネル20に対する「早押し」の入力操作が、いわゆる「短押し」の入力に係る操作であるか、「長押し」の入力に係る操作であるかを判定する時間として規定する。この閾値T2は、一例として、押圧Pが閾値P1を超えた後において、先に説明した「短押し/長押し」の操作を区別するような時間の閾値とすることができる。すなわち、押圧Pが閾値P1を超えた後でユーザがタッチパネル20を押圧する操作を即座に弱めて押圧Pが閾値P1以下になるような操作にかかる時間は閾値T2を超えないように、当該閾値T2を設定することができる。また、押圧Pが閾値P1を超えた後でユーザがタッチパネル20を押圧する操作を即座に弱めずに少しの間押圧Pが閾値P1を超えた状態を維持するような操作にかかる時間は閾値T2を超えるように、当該閾値T2を設定することができる。したがって、一例として、この閾値T2は、押圧検出部40が検出する押圧が閾値P1を超えた時間から、例えば0.5秒後のような時間を規定する閾値とすることができる。
このような閾値T2の値は、予めデフォルト値として(記憶部60に記憶させて)電子機器1に与えておくことができる。また、閾値T2の値は、各ユーザの好みに応じて後から変更できるようにするのが好適である。また、閾値T2の値は、ユーザの普段の入力操作の履歴に基づいて、制御部10が算出すなわち学習した値に基づいて設定してもよい。
閾値T2は、押圧検出部40が押圧を検出した時点からコントローラ10のタイマがカウントを開始する時間の閾値としてもよいし、閾値T1の時点からカウントを開始する時間の閾値としてもよい。また、閾値T2は、押圧検出部40が検出する押圧が閾値P1を超えた時点からカウントを開始する時間の閾値としてもよいし、上述した時間Tmの長さに基づいて可変の閾値としてもよい。
ステップS16において押圧Pが所定の閾値P1以下になった時、コントローラ10は、所定の第1の処理を実行して(ステップS18)、本実施形態に係る動作を終了する。このようにして本実施形態に係る動作が終了した後は、再び図3に示す動作を開始してもよい。
ステップS18に処理が進む場合、押圧Pが閾値P1を超えてから、時間Tが閾値T2を超える前に、押圧Pが閾値P1以下になったことになる。このように、本実施形態において、押圧の検出開始から所定の時間内に所定の押圧が検出され、当該検出していた押圧が所定の時間内に所定の閾値以下になる入力に係る操作を、以下、便宜的に「早短押し」と記す。本実施形態において、電子機器1は、「早短押し」の操作に係る入力を検出することにより、当該入力に対応する第1の処理を実行する。
図4は、上述した早短押しの操作に係る入力が検出された際に、押圧検出部40が検出する押圧Pの時間変化の例を表すグラフである。
図4に示すように、押圧検出部40が押圧を検出した時点から、コントローラ10に内蔵のタイマが時間Tの計測を開始する。図4に示す例では、時間Tが閾値T1を超える前に、押圧Pが閾値P1を超えている。このため、コントローラ10は、当該入力を「早押し」と認識する。図4に示す例では、押圧Pが閾値P1を超えた時点において、押圧Pの検出開始から経過した時間はTmである。このため、コントローラ10は、押圧Pが閾値P1を超えた時に、触感呈示部50が時間Tmに対応する振動パターンによる触感を呈示するように制御する。また、図4に示す例では、時間Tが閾値T2を超える前に、押圧Pが閾値P1以下になっている。このため、コントローラ10は、当該入力を「早短押し」と認識する。電子機器1は、時間Tが閾値T2を超える前で押圧Pが閾値P1以下になった時に、所定の第1の処理の実行を開始する。
一方、ステップS17において時間Tが閾値T2を超えた時、コントローラ10は、触感呈示部50が所定の触感を呈示するように制御する(ステップS19)。ステップS19において呈示する触感とは、押圧Pが閾値P1を超えた状態のまま時間T2が経過したことをユーザに知らせるものである。このような触感を呈示するための振動パターンも、記憶部60に記憶しておくのが好適である。ステップS19では、コントローラ10が、記憶部60に記憶された所定の振動パターンを読み出し、当該振動パターンにより触感呈示部50が触感を呈示するように制御する。
ステップS19において触感を呈示したら、コントローラ10は、所定の第2の処理を実行して(ステップS20)、本実施形態に係る動作を終了する。このようにして本実施形態に係る動作が終了した後は、再び図3に示す動作を開始してもよい。
ステップS20に処理が進む場合、押圧Pが閾値P1を超えてから、押圧Pが閾値P1を超えた状態のまま時間Tが閾値T2を超えたことになる。このように、本実施形態において、押圧の検出開始から所定の時間内に所定の押圧が検出され、当該検出していた押圧が所定の時間内に所定の閾値以下にならない入力に係る操作を、以下、便宜的に「早長押し」と記す。本実施形態において、電子機器1は、「早長押し」の操作に係る入力を検出することにより、当該入力に対応する第2の処理を実行する。
図5は、上述した早長押しの操作に係る入力が検出された際に、押圧検出部40が検出する押圧Pの時間変化の例を表すグラフである。
図5に示す例では、時間Tが閾値T1を超える前に、押圧Pが閾値P1を超えている。このため、コントローラ10は、当該入力を「早押し」と認識する。図5に示す例では、押圧Pが閾値P1を超えた時点において、押圧Pの検出開始から経過した時間はTmである。このため、コントローラ10は、押圧Pが閾値P1を超えた時に、触感呈示部50が時間Tmに対応する振動パターンによる触感を呈示するように制御する。また、図5に示す例では、押圧Pが閾値P1以下にならないまま、時間Tが閾値T2を超えている。このため、コントローラ10は、当該入力を「早長押し」と認識する。電子機器1は、押圧Pが閾値P1以下にならないまま時間Tが閾値T2を超えた時に、所定の触感を呈示して、所定の第2の処理の実行を開始する。
一方、ステップS13で押圧Pが閾値P1を超えずに、ステップS14で時間Tが閾値T1を超えた時、すなわち、押圧Pが閾値P1を超えないまま時間Tが閾値T1を超えた時、コントローラ10は、ステップS21の処理を行う。
ステップS21において、コントローラ10は、押圧の閾値P1を、所定の閾値P2に変更する。ここで、押圧の所定の閾値P2は、閾値P1よりも高い(大きな)値とすることができる。このように、閾値P2を閾値P1よりも高くすることで、時間Tが閾値T1になるまでは押圧Pが閾値P1を超えないまま維持されて、時間Tが閾値T1を超えてから押圧Pが閾値P1よりも高い閾値P2を超えるような入力を検出できる。これにより、電子機器1は、当初はユーザが弱い押圧を維持しつつ、その後ユーザが当該押圧を強めるような操作に係る入力を検出することができる。以下の説明においては、押圧の閾値P2は閾値P1よりも高い(大きな)値として説明する。
押圧の閾値P2を閾値P1よりも高い(大きな)値とする場合、閾値P2の値は、ユーザのタッチパネル20に対する通常の入力操作に係る押圧よりも大きな押圧に基づいて設定するのが好適である。このような閾値P2の値は、予めデフォルト値として(記憶部60に記憶させて)電子機器1に与えておくことができる。また、閾値P2の値は、各ユーザの好みに応じて後から変更できるようにするのが好適である。また、閾値P2の値は、ユーザの普段の入力操作の履歴に基づいて、制御部10が算出すなわち学習した値に基づいて設定してもよい。さらに、閾値P2の値は、押圧検出部押圧40が押圧Pを検出してから閾値P1を超えるまでの後述の時間Tnに基づいて設定する可変の値としてもよい。
また、閾値P2は、閾値P1よりも低い(小さな)値とすることができる。このように、閾値P2を閾値P1よりも低くすることで、時間Tが閾値T1になるまでは押圧Pが閾値P1を超えないまま維持されて、時間Tが閾値T1を超えてから押圧Pが閾値P1よりも低い閾値P2を超えるような入力を検出できる。これにより、電子機器1は、入力と認識されないような弱い押圧をユーザが維持している状態で、所定時間経過後に、当該弱い押圧が入力と認識されるような操作を検出することができる。さらに、最も簡単な例としては、閾値P2は、閾値P1と同じ値としてもよい。
ステップS21において閾値P1を閾値P2に変更したら、コントローラ10は、押圧検出部40が検出する押圧Pが閾値P2を超えたか否か判定する(ステップS22)。
ステップS22において押圧Pが閾値P2を超えていない時、コントローラ10は、押圧検出部40が検出する押圧Pがゼロまたはゼロに近い値になったか否か判定する(ステップS23)。すなわち、ステップS23においては、コントローラ10は、閾値P2を超えていない押圧がリリースされたか否かを判定する。ここで、リリースとは、ユーザがタッチパネル20を押圧している際に、当該押圧を解除すること、すなわちユーザがタッチパネル20を押圧している指などの力を弱めてタッチパネル20から指などを離そうとする操作に基づくものである。
ステップS23において押圧Pがゼロまたはゼロに近い値になった時、コントローラ10は、ユーザが電子機器1に対する操作を中断したと判断して、本実施形態に係る動作を終了する。このようにして本実施形態に係る動作が終了した後は、再び図3に示す動作を開始してもよい。一方、ステップS23において押圧Pがゼロまたはゼロに近い値になっていない時、コントローラ10は、ステップS22に戻って、押圧Pが所定の閾値P2を超えたか否か判定する。
ステップS22において押圧Pが所定の閾値P2を超えた時、コントローラ10は、タイマがカウントを開始してから押圧Pが所定の閾値P2を超えるまでの時間Tnに応じた触感を呈示するように制御する(ステップS24)。
ステップS24においては、コントローラ10は、上述の時間Tnに対応して記憶部60に記憶された振動パターンを読み出し、当該振動パターンにより触感呈示部50が触感を呈示するように制御する。この処理を行うために、記憶部60には、各種の時間Tnに対応させて所定の振動パターンを記憶しておく。例えば、時間Tnが長くなるにつれて強い振動にしたり、逆に時間Tnが長くなるにつれて弱い振動にしてもよい。また、時間Tnが長くなるにつれて長い振動にしたり、逆に時間Tnが長くなるにつれて短い振動にしてもよい。また、時間Tnが長くなるにつれて振動の回数を増大したり、逆に時間Tnが長くなるにつれて振動の回数を低減してもよい。また、時間Tnが長くなるにつれてことなる種類の振動としてもよい。さらに、最も簡単な例としては、時間Tnの長短によらず同じ振動としてもよい。また、ステップS24において呈示する触感は、上述したステップS15と同様のものとすることもできるし、互いに異なるものとして設定することもできる。
ステップS24に処理が進む場合、時間Tが閾値T1を超える前は押圧Pが閾値P1を超えておらず、時間Tが閾値T1を超えてから押圧Pが閾値P2を超えたことになる。このように、本実施形態において、押圧の検出開始から所定の時間内には所定の押圧が検出されず、所定の時間後に所定の押圧が検出される入力に係る操作を、以下、便宜的に「遅押し」と記す。
ステップS24において触感を呈示したら、コントローラ10は、既に検出している押圧Pが閾値P2以下になったか否かを判定する(ステップS25)。ステップS25において押圧Pが閾値P2以下になっていない時、コントローラ10は、タイマの時間Tが所定の閾値T3を超えているか否か判定する(ステップS26)。ステップS26において時間Tが閾値T3を超えていない時、コントローラ10は、ステップS25に戻って、押圧Pが閾値P2以下になった否か判定する。
時間の閾値T3は、ユーザのタッチパネル20に対する「遅押し」の入力操作が、いわゆる「短押し」の入力に係る操作であるか、「長押し」の入力に係る操作であるかを判定する時間として規定する。この閾値T3は、一例として、押圧Pが閾値P2を超えた後において、先に説明した「短押し/長押し」の操作を区別するような時間の閾値とすることができる。すなわち、押圧Pが閾値P2を超えた後でユーザがタッチパネル20を押圧する操作を即座に弱めて押圧Pが閾値P2以下になるような操作にかかる時間は閾値T3を超えないように、当該閾値T3を設定することができる。また、押圧Pが閾値P2を超えた後でユーザがタッチパネル20を押圧する操作を即座に弱めずに少しの間押圧Pが閾値P2を超えた状態を維持するような操作にかかる時間は閾値T3を超えるように、当該閾値T3を設定することができる。したがって、一例として、この閾値T3は、押圧検出部40が検出する押圧が閾値P2を超えた時間から、例えば0.5秒後のような時間を規定する閾値とすることができる。
このような閾値T3の値は、予めデフォルト値として(記憶部60に記憶させて)電子機器1に与えておくことができる。また、閾値T3の値は、各ユーザの好みに応じて後から変更できるようにするのが好適である。また、閾値T3の値は、ユーザの普段の入力操作の履歴に基づいて、制御部10が算出すなわち学習した値に基づいて設定してもよい。
閾値T3は、押圧検出部40が押圧を検出した時点からコントローラ10のタイマがカウントを開始する時間の閾値としてもよいし、閾値T1または閾値T2の時点からカウントを開始する時間の閾値としてもよい。また、閾値T3は、押圧検出部40が検出する押圧が閾値P2を超えた時点からカウントを開始する時間の閾値としてもよいし、上述した時間Tnの長さに基づいて可変の閾値としてもよい。
ステップS25において押圧Pが閾値P2以下になった時、コントローラ10は、所定の第3の処理を実行して(ステップS27)、本実施形態に係る動作を終了する。このようにして本実施形態に係る動作が終了した後は、再び図3に示す動作を開始してもよい。
ステップS27に処理が進む場合、押圧Pが閾値P2を超えてから、時間Tが閾値T3を超える前に、押圧Pが閾値P2以下になったことになる。このように、本実施形態において、押圧の検出開始から所定の時間内に所定の押圧が検出されず、所定の時間後に所定の押圧が検出され、当該検出していた押圧が所定の時間内に所定の閾値以下になる入力に係る操作を、以下、便宜的に「遅短押し」と記す。本実施形態において、電子機器1は、「遅短押し」の操作に係る入力を検出することにより、当該入力に対応する第3の処理を実行する。
図6は、上述した遅短押しの操作に係る入力が検出された際に、押圧検出部40が検出する押圧Pの時間変化の例を表すグラフである。
図6に示すように、押圧検出部40が押圧を検出した時点から、コントローラ10に内蔵のタイマが時間Tの計測を開始する。図6に示す例では、時間Tが閾値T1を超える前は押圧Pが閾値P1を超えずに、時間Tが閾値T1に達した時点で押圧の閾値P1が閾値P2に変化している。図6においては、時間Tが閾値T1に達した時に押圧の閾値P1が閾値P2に変化した様子を、実線により示している。また、図6に示す例では、時間Tが閾値T1を超える前は押圧Pが閾値P1を超えずに、時間Tが閾値T1を超えた後で押圧Pが閾値P2を超えている。このため、コントローラ10は、当該入力を「遅押し」と認識する。図6に示す例では、押圧Pが閾値P2を超えた時点において、押圧Pの検出開始から経過した時間はTnである。このため、コントローラ10は、押圧Pが閾値P2を超えた時に、触感呈示部50が時間Tnに対応する振動パターンによる触感を呈示するように制御する。また、図6に示す例では、時間Tが閾値T3を超える前に、押圧Pが閾値P2以下になっている。このため、コントローラ10は、当該入力を「遅短押し」と認識する。電子機器1は、時間Tが閾値T3を超える前で押圧Pが閾値P2以下になった時に、所定の第3の処理の実行を開始する。
一方、ステップS26において時間Tが閾値T3を超えた時、コントローラ10は、触感呈示部50が所定の触感を呈示するように制御する(ステップS28)。ステップS28において呈示する触感とは、押圧Pが閾値P2を超えた状態のまま時間T3が経過したことをユーザに知らせるものである。このような触感を呈示するための振動パターンも、記憶部60に記憶しておくのが好適である。ステップS28では、コントローラ10が、記憶部60に記憶された所定の振動パターンを読み出し、当該振動パターンにより触感呈示部50が触感を呈示するように制御する。ステップS28において呈示する触感は、上述したステップS19と同様のものとすることもできるし、互いに異なるものとして設定することもできる。
ステップS28において触感を呈示したら、コントローラ10は、所定の第4の処理を実行して(ステップS29)、本実施形態に係る動作を終了する。このようにして本実施形態に係る動作が終了した後は、再び図3に示す動作を開始してもよい。
ステップS29に処理が進む場合、押圧Pが閾値P2を超えてから、押圧Pが閾値P2を超えた状態のまま時間Tが閾値T3を超えたことになる。このように、本実施形態において、押圧の検出開始から所定の時間内に所定の押圧が検出されず、所定の時間後に所定の押圧が検出され、当該検出していた押圧が所定の時間内に所定の閾値以下にならない入力に係る操作を、以下、便宜的に「遅長押し」と記す。本実施形態において、電子機器1は、「遅長押し」の操作に係る入力を検出することにより、当該入力に対応する第4の処理を実行する。
図7は、上述した遅長押しの操作に係る入力が検出された際に、押圧検出部40が検出する押圧Pの時間変化の例を表すグラフである。
図7に示す例では、時間Tが閾値T1を超える前は押圧Pが閾値P1を超えずに、時間Tが閾値T1に達した時点で押圧の閾値P1が閾値P2に変化している。図7においては、時間Tが閾値T1に達した時に押圧の閾値P1が閾値P2に変化した様子を、実線により示している。また、図7に示す例では、時間Tが閾値T1を超える前は押圧Pが閾値P1を超えずに、時間Tが閾値T1を超えた後で押圧Pが閾値P2を超えている。このため、コントローラ10は、当該入力を「遅押し」と認識する。図7に示す例では、押圧Pが閾値P2を超えた時点において、押圧Pの検出開始から経過した時間はTnである。このため、コントローラ10は、押圧Pが閾値P2を超えた時に、触感呈示部50が時間Tnに対応する振動パターンによる触感を呈示するように制御する。また、図7に示す例では、押圧Pが閾値P2以下にならないまま、時間Tが閾値T3を超えている。このため、コントローラ10は、当該入力を「遅長押し」と認識する。電子機器1は、時間Tが閾値T3を超えた時に、所定の第4の処理の実行を開始する。
このように、本実施形態では、極めて簡単な操作により、「早短押し」、「早長押し」、「遅短押し」、「遅長押し」の異なる入力を区別して認識し、それぞれ第1、第2、第3、第4の異なる処理を区別して実行することができる。
上述した図3の説明においては、ステップS22において押圧Pが閾値P2を超えていない時、ステップS23において押圧Pがゼロまたはゼロに近い値になったか否か判定した。しかしながら、このステップS23の処理を、他の処理に変更してもよい。例えば、ステップS23において、コントローラ10は、タイマの時間Tが所定の閾値T4を超えているか否か判定するようにもできる。ここで、閾値T4は、閾値T3と同じ時間の長さになる閾値としてもよいし、例えば閾値T3よりも長い時間になる閾値のような、他の長さの時間に相当する閾値を別に設定してもよい。
図8は、閾値T4の設定について説明する図である。
図8に示すように、本実施形態に係る電子機器1は、タッチパネル20に対する押圧が検出されてから、時間Tが閾値T1を超えても押圧Pが閾値P2を超えない時、当該入力に係る操作は「早押し」ではないものと認識した。しかしながら、タッチパネル20に対する押圧が検出されてから、ある程度の時間が経過しても押圧Pが閾値P2を超えない時、既にユーザは押圧していないにもかかわらず、何らかの事情により、押圧検出部40が押圧を誤検出していることも考えられる。したがって、本実施形態の変形例として、タッチパネル20に対する押圧が検出されてから、ある程度の時間が経過しても押圧Pが閾値P2を超えない時、当該入力は入力エラーと扱うようにしてもよい。図8に示すように、閾値T4は、通常ユーザがタッチパネル20に対する押圧を維持すると想定される時間よりも長い時間になるように設定するのが好適である。
このような動作を実現するために、ステップS23においてタイマの時間Tが閾値T4を超えていない時は、コントローラ10は、ステップS22に戻って押圧Pが閾値P2を超えたか否か判定する。一方、ステップS23においてタイマの時間Tが閾値T4を超えた時、コントローラ10は、当該操作に係る入力を無効にして(入力エラー)、本実施形態に係る動作を終了する。このようにして本実施形態に係る動作が終了した後は、再び図3に示す動作を開始してもよい。ステップS23において操作を無効にする時、コントローラ10は、表示部30上に例えば「もう一度操作をやり直して下さい」のような、ユーザに操作のやり直しを求める表示を行うように制御してもよい。
以上説明したように、本実施形態において、コントローラ10は、タッチパネル20に対する押圧を検出してから当該押圧が所定の基準を満たすまでの時間(Tm)に基づいて、異なる処理を実行する。ここで、コントローラ10は、タッチパネル20に対する押圧を検出してから当該押圧が前記所定の基準を満たすまでの時間(Tm)が所定の時間(T1)を超えた(遅押し)か否(早押し)かに基づいて、異なる処理を実行してもよい。
また、本実施形態において、コントローラ10は、タッチパネル20に対する押圧を検出してから当該押圧が所定の基準を満たすまでの時間(Tm,Tn)、および当該押圧が所定の基準を満たしてからの時間に基づいて、異なる処理を実行する。ここで、コントローラ10は、タッチパネル20に対する押圧を検出してから当該押圧が前記所定の基準を満たすまでの時間(Tm,Tn)が所定の時間(T1)を超えた(遅押し)か否(早押し)かに基づいて、異なる処理を実行してもよい。また、コントローラ10は、前記押圧が前記所定の基準を満たしたままの時間が所定の時間(T2またはT3)を超えた(長押し)か否(短押し)かに基づいて、異なる処理を実行してもよい。
また、本実施形態において、コントローラ10は、タッチパネル20に対する押圧を検出してから当該押圧が所定の基準を満たすまでの時間(Tm,Tn)、および当該押圧が所定の基準を満たしてから当該押圧のリリースまでの時間に基づいて、異なる処理を実行する。ここで、コントローラ10は、タッチパネル20に対する押圧を検出してから当該押圧が前記所定の基準を満たすまでの時間(Tm,Tn)が所定の時間(T1)を超えた(遅押し)か否(早押し)かに基づいて、異なる処理を実行してもよい。また、コントローラ10は、前記押圧が前記所定の基準を満たしてから当該押圧のリリースまで時間が所定の時間(T2またはT3)を超えた(長押し)か否(短押し)かに基づいて、異なる処理を実行してもよい。
上述したように、コントローラ10は、タッチパネル20に対する押圧を検出してから当該押圧が前記所定の基準を満たすまでの時間(Tm,Tn)が所定の時間(T1)を超えたら(遅押し)、当該所定の基準を変更してもよい。
また、上述したように、コントローラ10は、前記異なる処理を、種々の触感を呈示する処理を含めて実行してもよい。
次に、本実施形態に係る電子機器1の具体的な適用例について説明する。
(例1)
本実施形態に係る電子機器1は、例えば、図9に示すように、ATMのようなテンキー等を用いて暗証番号またはパスワード等を入力するための装置に適用することができる。従来、図9に示すような装置を用いてユーザに暗証番号の入力を求める場面では、任意の4桁の番号などを予め決め設定し、ユーザの入力した番号と合致すれば、取引手続が可能になったり、セキュリティロックが解除されたりする仕組みになっている。このような従来の暗証番号は、他人に知られてしまうと、本人でなくとも簡単に暗証番号によるロックを解除することができてしまう。暗証番号の桁数を増やせば、セキュリティレベルを向上させることは可能であるが、番号を覚えるのが困難になる、入力の際の手間が増す、等の課題が生じる。
しかしながら、本実施形態に係る電子機器1を適用することにより、このような暗証番号の桁を増やすことなく、セキュリティレベルを向上させることができる。例えば、図9に示す装置に電子機器1を適用すれば、4桁の暗証番号を、「1234」という番号の順序のみならず、「1の早長押し」、「2の早短押し」、「3の遅長押し」、「4の遅短押し」の順のように、押圧の態様も含めて設定することができる。このように、番号の順序のみならず、押圧の態様まで指定することで、セキュリティを向上することができる。また、「長押し/短押し」および/または「早押し/遅押し」に係る時間もユーザが設定することにより、さらにセキュリティを向上させることができる。本実施形態に係る電子機器1によれば、仮に暗証番号が他人に知られてしまったとしても、暗証番号を入力する際の押圧の態様を完全に知られることがなければ、暗証番号によるロックを破られる危険性は少ない。
また、従来の暗証番号は、入力しているところを他人に覗き見されると、当該他人は直ちに暗証番号によるロックを破ることができてしまう。しかしながら、本実施形態に係る電子機器1は、ユーザがタッチパネル20に対して行う入力操作を、当該操作にかかる時間のみならず、当該操作の押圧の強弱も含めて設定できる。ユーザがタッチパネルに対する操作の押圧の強弱を調整したとしても、タッチパネルはほとんど物理的に変形しないため、操作の押圧の強弱は外から他人が覗き見ても判別しにくい。このため、電子機器1によれば、仮に入力しているところを他人に覗き見されても、それだけで暗証番号によるロックを破られる危険性は少ない。
また、上述した変形例のように、ステップS23においてタイマの時間Tが閾値T4を超えた時は入力エラーとすれば、タッチパネルに対して押圧を与え続ければ自動的に「遅押し」または「長押し」と認識されてしまうことも防止することができる。
(例2)
上述の例1においては、暗証番号などを、0〜9の数字のみならず、これらの数字の表示に対する押圧を、早長押し、早短押し、遅長押し、遅短押し、と区別する例について述べた。本実施形態に係る電子機器1では、押圧の態様を、早長押し、早短押し、遅長押し、遅短押し、と4通りに区別するため、これらの押圧の区別そのものをパスワードとして、暗証番号のように番号と組み合わせないようにもできる。すなわち、電子機器1は、(1)早長押し、(2)早短押し、(3)遅長押し、(4)遅短押し、のような入力操作を、ユーザに所定の回数求めるような構成とすることもできる。例えば、電子機器1は、ユーザにパスワードの入力を求める際、「所定の押圧態様で画面を4回押して下さい」のような表示を画面に表示し、画面上の任意の位置を、予め決められた押圧の態様でユーザに4回の押圧を求めることができる。
このようにすれば、例えば4回の押圧を求める場合には、256通りの押圧の態様のパターンを設定できるため、簡易なパスワードとして使用することができる。この場合、画面上に暗証番号の数字を表示する必要もなく、他人から覗き見されたとしても、当該パスワードを知られてしまうリスクを低くすることができる。
(例3)
その他、本実施形態に係る電子機器1は、例えばコンピュータを用いたゲームなどに適用することにより、ゲームの臨場感およびリアリティの度合いを高めることが期待できる。本実施形態に係る電子機器1は、ネットワークを利用して複数人で対戦するタイプのカードゲーム等を模したコンピュータゲーム(ビデオゲーム)に適用することができる。このような複数のユーザが通信により対戦することができるゲームで遊ぶ際は、ゲームにおけるキャラクタの動作が多様である方がユーザの興味を惹くことが期待できる。また、このようなゲームでは、キャラクタの多様な動作により、ユーザ同士が駆け引きを行う等することができれば、相手の動きを予想したり等の楽しみを与えることができる。
図10は、カードゲームのようなゲームを模したコンピュータゲーム(ビデオゲーム)に電子機器1を適用した例を示す図である。図10においては、2人のプレイヤー(ユーザAおよびユーザB)が、それぞれの電子機器1を用いてゲームを行う場合について説明する。図10(A)はユーザAが用いる電子機器1の表示部30に表示された画面を表し、図10(B)はユーザBが用いる電子機器1の表示部30に表示された画面を表す。図10に示す例においては、例えばゲームを行う際にユーザが画面を押圧するタイミングおよびスピードと、画面上に表示されるキャラクタの動作のタイミングおよびスピードとを連動させることができる。
具体的には、例えばユーザがあるカードを選択して捨てる時、ユーザが自分の端末で早押しをすれば、相手ユーザの画面内のキャラクタも素早くカードを捨てるような動作の表示とすることができる。また、例えばユーザがあるカードを選択して捨てる時、ユーザが自分の端末で遅押しをすれば、相手ユーザの画面内のキャラクタもゆっくりとカードを捨てるような動作の表示とすることができる。図10(A)は、ユーザAが、自分の電子機器1の表示部30に表示された「3」のカードに対して、タッチパネル20上で「遅押し」を行う操作により、当該カードを選択してゆっくり捨てようとする様子を示している。図10(B)は、ユーザAが「遅押し」を行う操作に基づいて、ユーザBの電子機器1の表示部30に表示されたカードのうちユーザAが選択したカードが、ゆっくり動いて捨てられようとしている様子を示している。
他にも、例えば、ユーザAがいずれかのカードの表示に対して「早短押し」すると、ユーザBの画面上でキャラクタが当該カードを通常の動作(例えばアニメーション表示)で捨てるようにしてもよい。また、ユーザAがいずれかのカードの表示に対して「早長押し」すると、ユーザBの画面上ではキャラクタが当該カードを通常の動作で捨てるとともに、両ユーザの端末で一時的に大きな振動が発生しつつ効果音の音量が一時的に大きくなるようにしてもよい。
一方、ユーザAがいずれかのカードの表示に対して「遅短押し」すると、ユーザBの画面上ではキャラクタが当該カードをゆっくりと迷うような動作で捨てるようにしてもよい。また、ユーザAがいずれかのカードの表示に対して「遅長押し」すると、ユーザBの画面上ではキャラクタが当該カードをゆっくり迷うような動作で捨てるとともに、両ユーザの端末で一時的に大きな振動が発生しつつ効果音の音量が一時的に大きくなるようにしてもよい。
また、ユーザAがいずれかのカードの表示に対して弱い押圧をしばらく維持すると、ユーザBの画面上ではキャラクタが考え込むような動作で当該カードを捨てるそぶりを見せつつも実際には捨てないという動作を行うようにしてもよい。なお、この場合、図3で説明したステップS23において、コントローラ10は、タイマの時間Tが所定の閾値T4を超えているか否か判定し、時間Tが所定の閾値T4を超える時に、カードを捨てるそぶりを見せつつ捨てないという動作をキャラクタに行わせる。
本実施形態に係る電子機器1によれば、このような動作を画面上のキャラクタに実行させることにより、ゲームの臨場感を高め、ユーザ同士が駆け引きを楽しむことができる。このため、本実施形態に係る電子機器1をコンピュータゲームに適用すれば、プレイヤーの興味を一層惹くことができる。
本発明を諸図面および実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形および修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形および修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の機能部およびステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上述した本発明の各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施することもできる。
上述した実施形態では、時間の閾値T1,T2,T3について、それぞれ押圧検出部40が押圧を検出した時点からタイマが計測を開始する例を含めて説明した。しかしながら、これらの時間の閾値について、押圧検出部40が押圧を検出した時点からタイマが計測を開始するのではなく、ゼロよりも少し大きな押圧の閾値を設定し、押圧が当該閾値を超えた時点からタイマが計測を開始するようにしてもよい。このようにすれば、ユーザは、入力操作を連続して行う際でもタッチパネル20から毎度指などを離す必要はなく、タッチパネル20に指を触れたまま押圧の強弱を調整することにより、入力操作を連続して行うことができる。
また、本発明は、タッチセンサを備えた電子機器に適用するのが好適であるが、押圧検出部40に対する押圧に応じて、所定の処理を行うものであるため、タッチセンサを備えた機器に限定されるものではない。例えば、本発明は、押圧検出部を備えるが、タッチセンサを備えない電子機器にも適用することができる。この場合、例えば、通常の操作部を構成するキーまたはボタン等に対してユーザが操作を行う際の押圧を検出することができるように、当該キーまたはボタン等に対する押圧を検出する押圧検出部を備えるようにするのが好適である。あるいは、特にキーまたはボタン等が押圧を検出することが必須ではない場合には、例えばユーザが電子機器の筐体を直接押圧する際の押圧を検出する押圧検出部を備えるような態様も考えることができる。
また、押圧検出部40は、タッチパネル20における接触検出方式に応じて構成することができる。例えば、抵抗膜方式の場合には、接触面積による抵抗変化に基づく出力信号の変化から押圧が検出できれば、歪みゲージセンサを用いることなく構成することができる。あるいは、静電容量方式の場合には、静電容量の変化に基づく出力信号の変化から押圧が検出できる場合も、歪みゲージセンサを用いることなく、押圧検出部40を構成することができる。
また、触感呈示部50は、任意の個数の圧電振動子を用いて構成したり、タッチパネル20の全面に透明圧電素子を設けて構成したり、偏心モータを駆動信号の1周期で1回転させるようにして構成してもよい。さらに、押圧検出部40および触感呈示部50は、圧電素子を用いて構成する場合は、圧電素子を共用して押圧検出部兼振動部を構成することもできる。圧電素子は、圧力が加わると電力を発生し、電力が加えられると変形するためである。この場合、触感呈示部50は、押圧検出部40も兼ねる圧電素子の出力に基づいて押圧を検出するとともに、例えば押圧が閾値を超えた際などに、当該圧電素子を駆動することにより振動を発生するようにもできる。
上述した実施の形態においては、タッチパネル20を表示部30の上面に重ねて配置した構成を想定して説明した。本発明による電子機器は、このような構成にすることは必須ではなく、タッチパネル20と表示部30とを離間した構成にすることもできる。しかしながら、タッチパネル20を表示部30の上面に重ねて配置した構成とする方が、表示される画像と発生する振動との対応関係を、ユーザに容易に認識させることができる。
また、本実施の形態の説明における表示部30およびタッチパネル20は、表示部と接触検出部との両機能を共通の基板に持たせる等により、一体化した装置によって構成されるようにしてもよい。このように表示部と接触検出部との両機能を一体化した装置の構成の一例としては、液晶パネルが有するマトリクス状配列の画素電極群に、フォトダイオード等の複数の光電変換素子を規則的に混在させたものを挙げることができる。この装置は、液晶パネル構造によって画像を表示する一方で、パネル表面の所望位置に接触するペンの先端で液晶表示用のバックライトの光を反射し、この反射光を周辺の光電変換素子が受光することによって、接触の位置を検出することができる。
また、本発明は、押圧および時間の閾値が設定されるが、この押圧および時間の閾値は、例えば、アプリケーションを起動した際に、記憶部に記憶している基準値に基づき設定されてもよい。または、この押圧および時間の閾値は、アプリケーションが起動している際に、ユーザが押圧または時間の閾値を設定するために表示されたオブジェクトに対して操作を行うことなどにより設定されてもよい。このように、本発明は、押圧および時間の閾値の設定については、本実施の形態の説明で記載した態様に限定されない。
また、本発明は、電子機器の発明としてのみならず、電子機器の制御方法の発明として実施することもできる。