JP6120720B2 - 周波数分析方法、及びこの周波数分析方法を用いた回転機器の診断方法 - Google Patents

周波数分析方法、及びこの周波数分析方法を用いた回転機器の診断方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、多関節ロボットに設けられた減速機などに代表される回転機器に発生する振動を解析するための周波数分析方法、及びこの周波数分析方法を用いた回転機器の診断方法に関する。
近年、多関節ロボットを用いた溶接作業が幅広く採用されるようになっている。このような多関節ロボットは、各軸に電動モータと減速機を有している。
多関節ロボットに用いられる減速機としては、例えばハーモニックドライブ(登録商標)といわれる歯車機構が採用されており、このハーモニックドライブ(登録商標)が出力回転に微小な振動(脈動)を含むことは、周知となっている。
このような減速機の微小な振動を解析することは、当該減速機の劣化や故障を知る上で重要である。例えば、故障時において、減速機の出力側乃至は入力側に現れる微小な振動のうち、特定の周波数成分の振幅が大きくなるなどの情報が予め得られていれば、減速機の微小な振動を解析することで、減速機の故障診断を行うことが可能となる。
減速機に発生する振動などを解析する技術は、既に開発されており、例えば、特許文献1、2に開示されたものがある。
特許文献1は、入力した信号を、高速フーリエ変換してスペクトルデータを演算するFFT演算部と、特定のスペクトルを選択するスペクトル選択部と、前記スペクトル選択部で選択した前記特定のスペクトルを、前記FFT演算部により演算された前記スペクトルデータから逐次探索するスペクトル探索部と、前記スペクトル探索部で探索される前記スペクトルの探索範囲を、前記特定のスペクトルの周波数に基づいて演算する探索範囲演算部とを備え、前記探索範囲演算部は、前記特定のスペクトルの周波数が変動したときに、前記探索範囲を、前記特定のスペクトルの変動した周波数に基づいて演算し、変動した前記特定のスペクトルに追従させる信号処理装置を開示する。この信号処理装置は、回転機器において、回転機器の状態量から回転速度に依存した周波数のスペクトルをFFTにて抽出する際に、回転速度が変わることで変動する周波数のスペクトルを正しく追従するために、スペクトルの探索周波数範囲を回転速度に応じて変更するものとなっている。
特許文献2は、回転軸回りの振動を検出する振動センサと、前記回転軸の回転角をサンプリング信号に変換するサンプリング信号発生手段と、前記振動センサの信号をサンプリング信号発生手段のサンプリング信号毎にサンプリングして回転軸回転角度空間の信号に変換する変換手段とを備え、前記変換手段の出力する回転軸回転角度空間の信号に基づいて、回転機器の異常を診断する回転機器の異常診断装置を開示する。
特開2008−196876号公報 特開平7−311082号公報
しかしながら、特許文献1に開示された信号処理装置では、FFTによるスペクトル抽出の技術を用いているため、回転速度が一定でない動作時(加減速時)の信号から周波数成分の抽出を行った場合には、得られた周波数成分は回転速度に依存するものとなってしまい、正確な周波数成分の抽出が行えないといった不都合が発生する。
従って、特許文献1の信号処理装置は、多関節ロボット等の操業中のデータから正確な周波数成分を抽出することが困難である。
一方で、特許文献2の異常診断装置は、振動センサの信号のサンプリングタイミングを回転速度(位置)に応じて指定することで、センサ信号を回転位置空間の信号に変換し、その信号に基づいて異常診断を行うことで、回転速度が変化している場合でも、適切に異常検出を行うことができるものとなっている。とはいえ、特許文献2には、抽出の仕方に関しての具体的な記載はなく、実際の周波数分析に用いることが困難であると思えると共に、操業中の多関節ロボット等において、振動センサの信号のサンプリングタイミングを変更することが現実的でないことは周知である。
また、特許文献2は、振動センサから得られる信号の解析に限定した技術を開示しており、その他の信号(例えば、回転機器のトルク信号など)を基に周波数分析を行う技術の記載はない。例えば、トルク信号から、異常に起因した回転速度に依存している信号成分を抽出したい場合には、信号のサンプリングタイミングを変えるなどの手法のみでは対応できない。なぜならば、トルク信号には異常に関する信号成分以外に、加減速等の動作するために必要なトルクが支配的に含まれているためである。それ故、トルク信号から異常に関する特徴量を抽出するためには、動作のためのトルク成分を除去する必要がある。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、多関節ロボットに備えられた減速機のような回転機器の回転に関する情報量(速度、振動、トルク)から、回転速度に依存せずに、正確な周波数スペクトルを抽出する方法、及びこの周波数分析方法を用いた回転機器の診断方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るは、以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明に係る周波数分析方法は、回転機器の入力軸又は出力軸から得られる振動計測値を、前記回転機器の回転位置と対応付けられるように取得し、取得した振動計測値を、前記回転機器の入力軸又は出力軸の回転位置を変数とする基底関数でフィッティングし、前記フィッティングの結果を基にすることで、前記回転機器の回転速度の影響を受けることなく、前記回転機器の入力軸又は出力軸の回転数の整数倍周波数成分の信号強度を抽出することを特徴とする。
また、本発明に係る周波数分析方法は、回転機器の入力軸又は出力軸から得られる回転トルク値を、前記回転機器の回転位置と対応付けられるように実測し、前記回転機器を表現する動力学モデルから得られた回転トルク値と、実測で得られた前記回転トルク値との差を求め、求められた回転トルク差を、前記回転機器の入力軸又は出力軸の回転位置を変数とする基底関数でフィッティングし、前記フィッティングの結果を基にすることで、前記回転機器の回転速度の影響を受けることなく、前記回転機器の入力軸又は出力軸の回転数の整数倍周波数成分の信号強度を抽出することを特徴とする。
好ましくは、前記基底関数へのフィッティングを行うに際しては、逐次計算の手法を用いるとよい。
た、本発明に係る回転機器の診断方法は、上記した周波数分析方法を用いることで、回転機器の入力軸又は出力軸から得られる回転に関する情報量の周波数成分の信号強度を抽出し、得られた周波数成分に基づいて、前記回転機器の故障状態及び/又は劣化状態を推定することを特徴とする。
本発明に係る周波数分析方法及びこの周波数分析方法を用いた回転機器の診断方法を用いることで、多関節ロボットに備えられた減速機のような回転機器の回転に関する情報量(速度、振動、トルク)から、回転速度に依存せずに、精確な周波数スペクトルを抽出できる。加えて、抽出された情報を基に回転機器の診断方法を行うことができる。
本発明の第1実施形態による周波数分析方法及び診断方法が適用される回転機器の構成を示す概略図である。 (a)は回転機器の入力軸における回転速度の変化を示す図であり、(b)は、回転機器の入力軸に含まれる振動成分を示した図である。 (a)は回転機器の入力軸における回転速度の変化を示す図であり、(b)は、回転機器の入力軸に含まれる振動成分を示した図である。 (a)は従来法(FFT)により、回転機器の入力軸に含まれる振動成分を周波数分析した結果であり、(b)は本発明の手法により、回転機器の入力軸に含まれる振動成分を周波数分析した結果である。 回転に関する情報量を基底関数でフィッティングするに際し、逐次計算を用いることを説明するための図である。 従来法によるトルク信号の周波数分析の欠点を説明するための図である。 回転機器の入力軸に含まれる回転に関する情報量(計測値)を示したものである。 図7で示されるデータに対して、本発明の手法(第1実施形態)により周波数分析した結果である。 本発明の手法(第2実施形態)により周波数分析した結果である。 本発明の各実施形態による周波数分析方法を用いることで得られた周波数スペクトルに基づいて、回転機器の故障状態及び/又は劣化状態を推定すること示す図である。
以下、本発明の実施の形態に係る周波数分析方法、及びこの周波数分析方法を用いた回転機器の診断方法を、図面に基づき詳しく説明する。
なお、以下の説明では、周波数分析を行う対象である回転機器として、多関節ロボットに設けられた減速機を例示する。その上で、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[第1実施形態]
まず、本実施の形態に係る多関節ロボットの概要について説明する。例えば、多関節ロボットは、垂直多関節型であって6関節を備え、先端軸に溶接トーチが設けられ、溶接トーチから送りだされる溶接ワイヤによりアーク溶接が行われる。この多関節ロボットは、溶接開始点と溶接終了点とを結ぶ溶接線方向に移動しつつ、溶接ワイヤを予め定められた振幅および周波数で傾動する動作(ウィービング動作)を行うように教示されている。
図1に、この多関節ロボットの1つの関節軸1のモデルを示す。
図1に示すように、1つの関節軸1は、モータ2(電動モータ)と、そのモータ2により回動されるアーム3と、モータ2とアーム3とを接続する減速機4とを含んで構成されるモデルにより表される。
1つの関節軸1がこのようにモデル化される多関節ロボットは、以下に示すコントローラ5(制御装置)で制御される。
このコントローラ5は、多関節ロボットに設けられた溶接トーチを、予め教示したプログラムに従って、溶接線に倣ってウィービング動作して移動するように、多関節ロボットを制御する。教示プログラムは、コントローラ5に接続された教示ペンダントを使用して作成する場合や、上位コンピュータを利用したオフライン教示システムを使用して作成する場合がある。いずれの場合であっても、教示プログラムは、実際の動作の前に予め作成される。
上記した多関節ロボットを用いてアーク溶接により複数の母材の溶接を行う際には、溶接電極を溶接方向に進ませつつ、溶接線の左右方向に正弦波ウィービング動作をさせながら溶接するウィービング溶接が採用される。このウィービング溶接は、従来から、溶接トーチ自体を左右に揺動させるか、または溶接トーチ自体を中心として左右に傾動させることにより行っている。このようなウィービング溶接を多関節ロボットに行わせる場合、高い軌跡精度が要求される。このようなウィービング溶接を行わせる多関節ロボットにおいては、ロボットの動力伝達系における減速機4の特性を知ることは、非常に重要である。
ところで、多関節ロボットでは、例えば、ハーモニックドライブ(登録商標)といわれる歯車機構が、前述した減速機4として採用されている。このハーモニックドライブ(登録商標)は、出力回転に微小な振動(脈動)を含むものとなっていることは周知である。このような減速機4の微小な振動を解析することは、当該減速機4の劣化や故障を知る上で重要である。例えば、故障時において、減速機4の出力側に現れる微小な振動のうち、特定の周波数成分の振幅が大きくなる等の情報が予め得られていれば、減速機4の微小な振動を解析することで、減速機4の故障診断を行うことができるようになる。
なお、減速機4の出力側に現れる微小な振動は、結果的に減速機4の入力側にも発現するようになるため、減速機4の入力側の微小な振動を解析することによっても、減速機4の故障診断を行うことが可能である。
そこで、本実施形態では、以下の方法により、減速機4の入力側(すなわち、電動モータ2の回転)に現れる微小な振動をピックアップし、得られた振動の周波数を分析することとしている。
まず、モータ2に対しては、コントローラ5から回転角度や回転速度に関する指令値が入力されるようになっている。モータ2には計測用センサ6(エンコーダや回転トルク計など)が取り付けられていて、モータ2の回転軸、すなわち減速機4の入力軸の回転速度(回転速度値)や回転トルク(回転トルク値)が計測されるようになっている。
図2には、モータ2の回転速度と振動の計測値が示されている。図2(b)に示される振動は、入力軸の回転に重畳され存在するものである。
図2から明らかなように、モータ2の回転速度が速くなると、入力軸の回転に重畳されている振動は周波数が高いものとなる。すなわち、モータ2の回転速度(減速機4の入力側の回転速度)と、入力軸の回転に重畳されている振動の周波数との間には、密接な関係があり、モータ2の回転速度の変化は、入力軸の回転に重畳されている振動の周波数に反映される。
図3(b)は、モータ2の回転速度を山形に変化させたとき(図3(a)のように、線形的に回転速度を上げ、その後、線形的に回転速度を下げる)の振動の計測値(振動計測値)を示したものである。その際、振動の周波数は、一旦、高周波となり、その後、低周波へと戻る。つまり、モータ2の回転速度が減速機4の入力側の振動の周波数に大きな影響を与えていることがわかる。
さて、減速機4の入力側の微小な振動を解析することによって、減速機4の故障診断を行うことを考えた際、モータ2の回転速度が減速機4の入力側の振動の周波数に大きな影響を与えている事実は、重大な問題となる。減速機4の故障診断に用いる「特定の周波数成分」が、モータ2の回転速度の影響を受けてしまうことになり、正確な減速機4の故障診断を実施できないからである。
そこで、本願発明者らは、計測用センサ6で取得した振動を、モータ2の回転速度に依存しない手法により周波数分析する手法を開発するに至った。
以下、本願発明の周波数分析方法について述べることとする。
まず、計測用センサ6で取得した回転速度(振動成分を含む)を計測値として、コントローラ5(外付けされたパソコンなどでもよい)へ入力する。コントローラ5では、入力された減速機4の振動成分の計測値yの波形を、モータ2の回転位置xに基づいた基底(sin(x),cos(x))へ射影する。言い換えれば、回転位置xに基づいた基底を、振動成分の波形へフィッティングする。その後、射影された各基底の係数a,bを見ることで、所望の周波数成分(減速機4の故障診断に用いる「特定の周波数成分」)のスペクトル強度を抽出することができる。なお、基底への射影を行うことは、以下の最適化問題を解くことに同値である。
なお、定数Nの値は、1,2,3・・・の整数が採用される。例えば、モータ2の入力軸の1回転で1回ピークが出るような周波数成分をピックアップする際には、N=1とし、モータ2の入力軸の1回転で回ピークが出るような周波数成分をピックアップする際には、N=2とするとよい。
以下、本発明に係る周波数分析方法の具体的な例を示す。
まず、図3(a)のように、モータ2の回転速度を山形に変化させたとき(線形的に回転速度を上げ、その後、線形的に回転速度を下げる)に、図3(b)の振動の計測波形が得られたとする。
図3(b)の波形から特定の周波数成分(故障診断に有益な周波数成分)を抽出したい場合に、単純にFFT処理にてスペクトル抽出を行うと、図4(a)のように、多くの波形ピークが発現し、特定とする周波数成分のみを抽出することができない。これは、モータ2の回転速度が計測時間tと共に変化することで、本来検出したい特定の周波数成分がモータ2の回転速度の変化に依存して様々な周波数として出現してしまうためであり、FFT変換など、計測時間tに基づいた基底(sin(t),cos(t))へ射影する手法では、抽出された周波数成分はモータ2の回転速度の変化の影響を受けたものとなり、正確な周波数分析が不可能である。
一方で、図4(b)に示す「本法」の如く、本実施形態による周波数分析方法は、計測した波形を、モータ2の回転位置xに基づいた基底(sin(x),cos(x))へ射影するため、モータ2の回転速度の変化の影響を受けない正確な周波数成分が可能となり、多関節ロボットがどのように動いたとしても(溶接作業中の多関節ロボットから得られた計測波形であっても)減速機4の故障診断に用いる「特定の周波数成分」を抽出することが可能となる。
なお、基底(sin(x),cos(x))への射影は、式(1)の最適化問題を解くことに同値であり、斯かる最適化問題は逐次的に解くことが出来る。その手法として、逐次最小二乗法(RLS法)を採用することができる。
逐次最小二乗法(RLS法)は、図5ならびに式(2)で示される最適化問題を解く手法である。
逐次最小二乗法は、既に確立された技術(計算手法)であり、以下の計算式により、推定値θを逐次的に求めることができる。
ところで、推定パラメータが時間変化する場合(劣化による変化等)には、過去のデータ(時間変化する前のデータ)に引きずられ、現時点における正しい値(精確な周波数成分)が出てこない。
この点を解決する手法が、忘却係数付き逐次最小二乗法である。この手法は、使用データに対して重みを付け、その重みが、現在のデータほど大きく、過去のデータほど小さくなる手法である。この手法を用いることにより、推定パラメータが時間変化する対象に対しても適切な推定値が得られる。
以上に述べた逐次最小二乗法などを用いることで、回転機器の入力軸又は出力軸から得られる回転に関する情報量(速度、振動、トルク)を取得し、取得した回転に関する情報量を、回転機器の入力軸又は出力軸の回転位置を変数とする基底関数でフィッティングし、フィッティングした結果を基に、回転機器の入力軸又は出力軸の回転速度に依存することなく、回転機器の入力軸又は出力軸の回転に関する周波数スペクトルを抽出することが可能となる。この場合、回転に関する情報量の取得に関し、サンプリング周期は任意である。
[第2実施形態]
次に、本実施形態に係る周波数分析方法の第2実施形態について述べることとする。
まず、前述した第1実施形態の周波数分析方法は、計測値(モータ2の回転速度)を基に周波数分析を行う方法であった。しかしながら、この分析方法をそのままモータ2の発生トルクに採用すると、正確な周波数解析を行うことができないことを本発明者らは知見している。
図6に示す如く、その原因としては、回転トルクには、加減速時等の動作に必要なトルク成分が含まれており、このトルク成分は多関節ロボットの動作に依存して変化する。そのため、計測された回転トルクに対する周波数分析を行った場合、多関節ロボットの動作に必要なトルク成分が外乱となり、正確な周波数解析を行うことができないのである。
そこで、この問題を解決すべく第2実施形態では、図6(c)に示すように、動作に応じてモータ2より出力されるトルクを、モデル(モータ2により回動されるアーム3と、モータ2とアーム3とを接続する減速機4とを含んで構成されるモデル)から推定し、計測されたトルクから推定されたトルクを差し引く。これによって、図6(d)に示すように、回転速度または回転位置に依存するトルク変動のみを抽出し、この信号(変動トルク波形)を、第1実施形態で説明した周波数分析方法に適用して、スペクトル抽出を行うようにしている。
以下に、トルクから回転位置に依存した周波数成分を抽出する際に解くべき最適化問題を示す。なお、この最適化問題も第1実施形態で示した方法により逐次的に解くことができる。
以下、第2実施形態に係る周波数分析方法の具体的な例を示す。
まず、図7(a)のように、モータ2の回転速度が変化する場合を考える。この際のトルク変化は、図7(b)のようになる。
図7(b)のトルク波形に対し、第1実施形態の分析方法を用いて回転速度に依存した周波数のスペクトル抽出を行った場合、図8のように、適切なスペクトル抽出を行うことができない。これは、計測トルク波形に、回転速度に依存した周波数成分以外に、多関節ロボットの動作に必要なトルク変動が含まれているためである。
そこで、第2実施形態では、動作に応じてモータ2より出力されるトルクを数値モデルにより推定し、推定されたトルクを計測されるトルクより差し引くことで、回転速度または回転位置に依存するトルク変動のみを抽出し、この信号(変動トルク波形)を、第1実施形態の方法に適用して、スペクトル抽出を行う。
図9は、上記の方法でスペクトル抽出を行った結果である。
図9(a)は、モータ2の回転速度の時系列変化を示したものであり、図9(b)は、そのときに観測されるトルクの時系列変化を示したものである。
図9(c)は、モデルより推定されたトルク変動の時系列変化であり、図9(d)は、計測されるトルクから推定されたトルクを差し引いた結果(図9(b)から図9(c)を差し引いたもの)であり、トルクの中に重畳されている振動成分のみが抽出されていることがわかる。
図9(e)は、外乱となる駆動トルクを取り除いた図9(d)の波形からスペクトル抽出を行った結果であり、回転速度に依存せずに、正確に周波数成分を抽出していることがわかる。
[第3実施形態]
次に、本実施形態に係る故障診断方法を、本発明の第3実施形態として述べることとする。
第3実施形態では、第2実施形態(第1実施形態でもよい)の周波数分析方法を用いることで、回転機器の入力軸又は出力軸から得られる回転に関する情報量の周波数分析を行い、得られた周波数スペクトルに基づいて、回転機器の故障状態及び/又は劣化状態を推定する。
回転機器の故障診断においては、回転機器の振動やトルク波形の脈動など、回転機器の回転に関する情報量(速度、振動、トルク)が機器の故障(劣化度合い)の有益な情報となる。とはいえ、発現する振動(脈動)の周波数は、回転機器の回転速度が変化すると、それに連動して変化することとなる。そこで、本提案手法による所望のスペクトル抽出が効果的な故障診断指標となる。
以下に、回転機器の故障診断について、説明する。
図10(a)は、モータ2の回転速度の時系列変化を示したものであり、図10(b)は、そのときに観測されるトルクの時系列変化を示したものから推定されたトルクを差し引いた結果であり、トルクの中に重畳されている振動成分のみが抽出されていることがわかる。図10(b)の波形を、回転位置に基づいた基底(sin(x),cos(x))へ射影する。その後、射影された各基底の係数を見ることで、所望の周波数成分(減速機4の故障診断に用いる「特定の周波数成分」)のスペクトル強度を抽出することができる。
図10(c),図10(d)は、第2実施形態の分析方法用いて、周波数分析を行った結果である。
例えば、図10(c)には、モータ2の回転数の2倍に当たる周波数のスペクトルの時系列変化が示されている。この図から明らかなように、減速機4に異常が発生した後、モータ2の回転数の2倍にあたる周波数のスペクトルの振幅が増加していることがわかる。
同様に、図10(d)には、モータ2の回転数の4倍に当たる周波数のスペクトルの時系列変化が示されている。この図から明らかなように、減速機4に異常が発生した後、モータ2回転数の4倍にあたる周波数のスペクトルの振幅も大きく増加していることがわかる。
上記のことから明らかなように、減速機4が異常状態になると、特定の周波数成分の強度(振幅)が大きくなっていることが分かる。このため、このスペクトル強度を指針として故障診断を行うことができる。なお、このような時間的に変化していく傾向を捕らえることができるのは、スペクトル抽出を逐次的に行うことができるからである。逆に、従来からよく用いられている手法、すなわちFFT変換など、計測時間に基づいた基底(sin(t),cos(t))へ射影する手法では、抽出された周波数成分は、時間(例えば、減速機4の回転速度など)に依存するものとなり、正確な周波数分析が不可能であって逐次的ではない断片的な値しか求めることができない。
以上述べたように、回転機器の入力軸又は出力軸から得られる回転に関する情報量を取得し、取得した回転に関する情報量を、回転機器の入力軸又は出力軸の回転位置を変数とする基底関数でフィッティングし、フィッティングした結果を基に、回転機器の入力軸又は出力軸の回転速度に依存しない周波数スペクトルを抽出することを特徴とする周波数分析方法を用いることで、多関節ロボットに備えられた減速機4のような回転機器の回転に関する情報量(速度、振動、トルク)から、回転速度に依存せずに、精確な周波数スペクトルを抽出できる。加えて、抽出された情報を基に回転機器の診断方法を行うことができるようになる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 関節軸
2 モータ
3 アーム
4 減速機
5 コントローラ
6 計測用センサ

Claims (4)

  1. 回転機器の入力軸又は出力軸から得られる振動計測値を、前記回転機器の回転位置と対応付けられるように取得し、
    取得した振動計測値を、前記回転機器の入力軸又は出力軸の回転位置を変数とする基底関数でフィッティングし、
    前記フィッティングの結果を基にすることで、前記回転機器の回転速度の影響を受けることなく、前記回転機器の入力軸又は出力軸の回転数の整数倍周波数成分の信号強度を抽出することを特徴とする周波数分析方法。
  2. 回転機器の入力軸又は出力軸から得られる回転トルク値を、前記回転機器の回転位置と対応付けられるように実測し、
    前記回転機器を表現する動力学モデルから得られた回転トルク値と、実測で得られた前記回転トルク値との差を求め、
    求められた回転トルク差を、前記回転機器の入力軸又は出力軸の回転位置を変数とする基底関数でフィッティングし、
    前記フィッティングの結果を基にすることで、前記回転機器の回転速度の影響を受けることなく、前記回転機器の入力軸又は出力軸の回転数の整数倍周波数成分の信号強度を抽出することを特徴とする周波数分析方法。
  3. 前記基底関数へのフィッティングを行うに際しては、逐次計算の手法を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の周波数分析方法。
  4. 請求項に記載された周波数分析方法を用いることで、回転機器の入力軸又は出力軸から得られる回転に関する情報量の周波数成分の信号強度を抽出し、
    得られた周波数成分に基づいて、前記回転機器の故障状態及び/又は劣化状態を推定することを特徴とする回転機器の診断方法。
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