JP6119809B2 - モータ制御装置、電動パワーステアリング装置及び車両 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載された従来例にあっては、レゾルバ等の位置センサによってロータ回転位置θを検出し、指令電圧Vd1、Vq1及びロータ回転位置θに基づき、三相電圧指令値であるU相指令電圧Vuu*1、V相指令電圧Vvu*1、及び、W相指令電圧Vwu*1を算出する。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、モータ電気角を検出するモータ電気角検出部に故障が生じた場合でも電動モータを継続して的確に駆動制御することが可能なモータ制御装置、電動パワーステアリング装置及び車両を提供することを目的としている。
さらに、本発明の第3の態様に係る車両は、上記第2の態様に係る電動パワーステアリング装置を備える。
また、上記効果を有するモータ制御装置を含んで電動パワーステアリング装置を構成するので、モータ電気角検出部に異常が発生した場合でも多相電動モータをモータ電気角推定値により駆動制御することができ電動パワーステアリング装置の操舵補助機能の継続が可能となる。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(構成)
本発明の実施形態に係る車両1は、図1に示すように、左右の転舵輪となる前輪2FR及び2FLと後輪2RR及び2RLを備えている。前輪2FR及び2FLは、電動パワーステアリング装置3によって転舵される。
電動パワーステアリング装置3は、ステアリングホイール11を有し、このステアリングホイール11に運転者から作用される操舵力がステアリングシャフト12に伝達される。このステアリングシャフト12は、入力軸12aと出力軸12bとを有する。入力軸12aの一端はステアリングホイール11に連結され、他端はトルクセンサ13を介して出力軸12bの一端に連結されている。
トルクセンサ13は、ステアリングホイール11に付与されて入力軸12aに伝達された操舵トルクを検出する。このトルクセンサ13は、図2に示すように、操舵トルクを、入力軸12a及び出力軸12b間に介挿した図示しないトーションバー13aの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を入力軸12a側に配置した入力側回転角センサ13bと出力軸12b側に配置した出力側回転角センサ13cとの角度差に変換して検出するように構成されている。
また、3相電動モータ22は、図3に示すように、内周面に内方に突出形成されてスロットSLを形成する磁極となるティースTeを有するステータ22Sと、このステータ22Sの内周側にティースTeと対向して回転自在に配置された永久磁石PMを表面に配置した8極の表面磁石型のロータ22Rとを有するSPMモータの構成を有する。ここで、ステータ22SのティースTeの数を相数×2n(nは2以上の整数)で例えばn=2に設定して8極、12スロットの構成としている。
このように第1の3相モータ巻線L1の各相コイル部U1a,U1b、V1a,V1b及びW1a,W1bと、第2の3相モータ巻線L2の各相コイル部U2a,U2b、V2a,V2b及びW2a,W2bと、が互いに異なる12本のティースTe1〜Te12に巻装されている。すなわち、12本のティースTe1〜Te12に、順次第1系統となる相コイルU1a,U1b、V1a,V1b及びW1a,W1bを反時計方向に順に同一の巻回方向で巻装し、次いで、第2系統となる相コイルU2a,U2b、V2a,V2b及びW2a,W2bを反時計方向に順に同一の巻回方向で巻装している。さらに、第1系統となる相コイルU1a,U1b、V1a,V1b及びW1a,W1bを反時計方向に順に同一の巻回方向で巻装し、最後に、第2系統となる相コイルU2a,U2b、V2a,V2b及びW2a,W2bを反時計方向に順に同一の巻回方向で巻装している。このため、第1の3相モータ巻線L1及び第2の3相モータ巻線L2の同相のコイル部がロータ22Rの各磁極の永久磁石PMで形成される同一の磁束に同時に鎖交することがないように巻装されている。したがって、第1の3相モータ巻線L1の各コイル部と第2の3相モータ巻線L2の各コイル部とで互いの磁気的な干渉を最小限に抑制する磁気回路を構成している。
モータ制御装置25には、トルクセンサ13で検出された操舵トルクT及び車速センサ26で検出された車速Vsが入力されるとともに、モータ電気角検出回路23から出力されるモータ電気角θmが入力される。
モータ制御装置25の具体的構成は、図5に示すように構成されている。すなわち、モータ制御装置25は、モータ電流指令値を演算する制御演算装置31と、この制御演算装置31から出力されるモータ電流指令値が個別に入力される第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bと、これら第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bの出力側と3相電動モータ22の第1及び第2の3相モータ巻線L1及びL2との間に介挿された第1及び第2のモータ電流遮断回路33A及び33Bとを備えている。
また、制御演算装置31には、図5に示すように、第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bと第1及び第2のモータ電流遮断回路33A及び33Bとの間に設けられた電圧検出回路40A及び40Bで検出したモータ相電圧V1m(V1mu、V1mv、V1mw)及びV2m(V2mu、V2mv、V2mw)が入力されている。
以下、モータ相電圧V1m及びV2mを区別する必要が無い場合に、その検出値を「モータ電圧検出値Vm(Vmu、Vmv、Vmw)」と記載する場合がある。
また、制御演算装置31では、算出した操舵補助電流指令値I1*及びI2*とモータ電気角θmとに基づいてd−q座標系の目標d軸電流指令値Id*及び目標q軸電流指令値Iq*を算出する。また、制御演算装置31は、算出したd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*をdq相−3相変換してU相電流指令値Iu*、V相電流指令値Iv*及びW相電流指令値Iw*を算出する。そして、制御演算装置31は、算出したU相電流指令値Iu*、V相電流指令値Iv*及びW相電流指令値Iw*と電流検出回路34A及び34Bで検出した電流検出値の相毎の加算値との電流偏差ΔIu、ΔIv及びΔIwを算出する。なおさらに、制御演算装置31は、算出した電流偏差ΔIu、ΔIb及びΔIwについて例えばPI制御演算又はPID制御演算を行って第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bに対する3相の電圧指令値V1*及びV2*を算出し、算出した3相の電圧指令値V1*及びV2*を第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bに出力する。
そして、制御演算装置31は、入力されるモータ電流検出値I1mu〜I1mw及びI2mu〜I2mwと自身が算出した各相電流指令値Iu*、Iv*及びIw*とを比較して後述する第1及び第2のインバータ回路42A及び42Bを構成するスイッチング素子としての電界効果トランジスタ(FET)Q1〜Q6のオープン故障及びショート故障を検出する異常検出部31aを備えている。
第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bのそれぞれは、制御演算装置31から出力される3相の電圧指令値V1*及びV2*が入力されてゲート信号を形成するとともに、異常時電流制御部41aを有するゲート駆動回路41A及び41Bと、これらゲート駆動回路41A及び41Bから出力されるゲート信号が入力される第1及び第2のインバータ回路42A及び42Bとを備えている。
また、ゲート駆動回路41Aは、制御演算装置31から入力される異常検出信号SAaが論理値"0"(正常)であるときには、第1のモータ電流遮断回路33Aに対してハイレベルの3つのゲート信号を出力するとともに、第1の電源遮断回路44Aに対してハイレベルの2つのゲート信号を出力する。さらに、ゲート駆動回路41Aは、異常検出信号SAaが論理値"1"(異常)であるときには、異常時電流制御部41aで、第1のモータ電流遮断回路33Aに対してローレベルの3つのゲート信号を同時に出力し、モータ電流を遮断するとともに、第1の電源遮断回路44Aに対してローレベルの2つのゲート信号を同時に出力し、バッテリー電力を遮断する。
これら第1及び第2のインバータ回路42A及び42Bは、6個のスイッチング素子としての電界効果トランジスタ(FET)Q1〜Q6を有し、2つの電界効果トランジスタを直列に接続した3つのスイッチングアームSAu、SAv及びSAwを並列に接続した構成を有する。そして、各電界効果トランジスタQ1〜Q6のゲートにゲート駆動回路41A及び41Bから出力されるゲート信号が入力されることにより、各スイッチングアームSAu、SAv及びSAwの電界効果トランジスタ間からU相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwが第1及び第2のモータ電流遮断回路33A及び33Bを介して3相電動モータ22の第1及び第2の3相モータ巻線L1及びL2に出力される。
また、第1のモータ電流遮断回路33Aは、3つの電流遮断用の電界効果トランジスタQA1、QA2及びQA3を有する。電界効果トランジスタQA1のソースが第1のインバータ回路42AのスイッチングアームSAuのトランジスタQ1及びQ2の接続点に接続され、ドレインが第1の異常検出回路35Aを介して第1の3相モータ巻線L1のU相コイルL1uに接続されている。また、電界効果トランジスタQA2のソースが第1のインバータ回路42AのスイッチングアームSAvのトランジスタQ3及びQ4の接続点に接続され、ドレインが第1の異常検出回路35Aを介して第1の3相モータ巻線L1のV相コイルL1vに接続されている。さらに、電界効果トランジスタQA3のソースが第1のインバータ回路42AのスイッチングアームSAwのトランジスタQ5及びQ6の接続点に接続され、ドレインが第1の異常検出回路35Aを介して第1の3相モータ巻線L1のW相コイルL1wに接続されている。
また、第1及び第2の電源遮断回路44A及び44Bのそれぞれは、2つの電界効果トランジスタ(FET)QC1,QC2及びQD1,QD2がドレイン同士を接続して寄生ダイオードが逆向きとなる直列回路構成を有する。そして、電界効果トランジスタQC1及びQD1のソースが互いに接続されてノイズフィルタ43の出力側に接続され、電界効果トランジスタQC2及びQD2のソースが第1及び第2のインバータ回路42A及び42Bの各電界効果トランジスタQ1,Q2及びQ3のソースに接続されている。
次に、本実施形態に係るモータ電気角検出回路23の具体的な構成を説明する。
本実施形態のモータ電気角検出回路23は、図8に示すように、メインモータ電気角検出回路23bと、サブモータ電気角検出回路23cと、電気角選択部23dと、RAM50と、ROM51とを備えている。
メインモータ電気角検出回路23bは、角度演算部60と、レゾルバ異常診断部61とを備えている。
角度演算部60は、レゾルバ23aから出力される3相電動モータ22の回転角に応じたsin信号及びcos信号に基づいて第1のモータ電気角θm1を演算する。そして、演算した第1のモータ電気角θm1を電気角選択部23dに出力する。
また、サブモータ電気角検出回路23cには、図5では図示省略しているが、出力側回転角センサ13cから出力される出力軸回転角検出値θosと、操舵トルクTと、IGNスイッチ28から出力されるイグニッションのON/OFFを示すイグニッション信号IGNとが入力されている。加えて、角度演算部60からの第1のモータ電気角θm1と、レゾルバ異常診断部61からの異常検出信号SArとが入力されている。
相対オフセット量推定部62は、モータ電気角θmの原点θmd(以下、「モータ電気角原点θmd」と記載する場合がある)と出力軸回転角検出値θosの基準値θosrとの相対オフセット量θoffを推定する。そして、推定した相対オフセット量θoffをモータ電気角推定部63に出力する。
モータ電気角推定部63は、出力側回転角センサ13cの検出した出力軸回転角検出値θosと、ROM51に予め記憶された減速ギア21の減速比RGrと、3相電動モータ22のロータ22Rの極対数Pと、相対オフセット量推定部62で推定した相対オフセット量θoffとに基づきモータ電気角推定値θmeを算出する。そして、算出したモータ電気角推定値θmeを第2のモータ電気角θm2として電気角選択部23dに出力する。
θme=θos×RGr×P+θoff ・・・(1)
即ち、出力軸回転角検出値θosに対して減速比RGr及び極対数Pを乗算し、この乗算結果に対して相対オフセット量θoffを加算することでモータ電気角推定値θmeを算出する。
電気角選択部23dは、メインモータ電気角検出回路23bのレゾルバ異常診断部61から出力される異常検出信号SArが異常なしを表す論理値"0"であるときに、メインモータ電気角検出回路23bから出力される第1のモータ電気角θm1を選択してモータ電気角θmとして前述した制御演算装置31に出力する。一方、異常検出信号SArが異常ありを表す論理値"1"であるときに、サブモータ電気角検出回路23cから出力される第2のモータ電気角θm2を選択してモータ電気角θmとして制御演算装置31に出力する。
次に、本実施形態に係る相対オフセット量推定部62の具体的な構成について説明する。
本実施形態の相対オフセット量推定部62は、図9に示すように、第1相対オフセット量推定部70と、第2相対オフセット量推定部71と、相対オフセット量選択部72とを備えている。
第1相対オフセット量推定部70は、レゾルバ23a及び角度演算部60が正常時に、出力側回転角センサ13cで検出される出力軸回転角検出値θosと、メインモータ電気角検出回路23bで検出されるモータ電気角検出値θm1とに基づき第1の相対オフセット量θoff1を推定する。そして、推定した第1の相対オフセット量θoff1をRAM50に記憶する。
なお、基準値θosrは、システム起動時(IGNスイッチ28がOFFからONになった時)の出力軸回転角検出値に極対数Pと減速比RGrとを乗算したものである。
また、モータ電気角θmを出力軸回転角検出値θos・極対数P・減速比RGrで補うためには、モータ電気角原点θmd(0度)と出力軸回転角検出値の基準値θosrとを一致させる必要がある。例えば、図10中に示すように、基準値θosrとモータ電気角原点θmdとが一致していない場合、同図中の一点鎖線に示すように、同図中の実線に示すモータ電気角θmに対して出力軸回転角θos・極対数P・減速比RGr(基準値θosrからの変位量)に角度誤差が生じる。そのため、実際のモータ電気角θmに対して大きなずれが生じることになる。
第2相対オフセット量推定部71は、イグニッションスイッチがOFF状態となるシステム停止後からIGNスイッチ28が再びON状態となるシステム再起動時のレゾルバ異常診断部61による初期診断にて異常検出信号SArが異常ありを示す値であったときに、第2の相対オフセット量θoff2を推定する。そして、推定した第2の相対オフセット量θoff2をRAM50に記憶する。
従って、システム再起動時に異常と診断された場合は、モータ電気角原点θmdを推定すると共に、推定したモータ電気角原点θmdに基づき第2の相対オフセット量θoff2を推定する必要がある。
本実施形態の第2相対オフセット量推定部71は、まず、システム再起動時にトルクセンサ13で検出される現在の操舵トルクTをトルクオフセット量ToffとしてRAM50に記憶する。
本実施形態の制御演算装置31は、サブモータ電気角検出回路23cからの電流出力指令Ioiの入力に応じて、仮定角度X度に対応するステップ波状のモータ駆動電流を3相電動モータ22に入力するように構成されている。
第2相対オフセット量推定部71は、ステップ波状のモータ駆動電流の3相電動モータ22への入力に応じてトルクセンサ13で検出される操舵トルクTを取得する。
ここで、システム起動時は、IGNスイッチ28をONにする際にドライバがステアリングホイール11に力をかけている場合や、その他の負荷、重量等の影響によって、操舵トルクTがオフセットする可能性がある。本実施形態では、このオフセット量をトルクオフセット量Toffとして予め記憶しておき、実際の操舵トルクTから差し引いている。
続いて、第2相対オフセット量推定部71は、トルクオフセット量Toffを減算後の操舵トルクTcからなるトルク波形の対称性を判定する。本実施形態では、振幅が正負で同等か否かを判定する。振幅が正負で同等であると判定した場合、そのときのモータ電気角θmは仮定したX度と推定することができる。
一方、減算後の操舵トルクTcからなるトルク波形の振幅が正負で同等ではない(トルク指令通りの出力ではない)と判定した場合は、そのときのモータ電気角θmは仮定したX度では無いと判定する。
例えば、図11(a)に示すトルク指令に対して、図11(c)に示すような、振幅が正負で異なるトルク波形が得られた場合、そのときのモータ電気角θmは仮定したX度ではないと判定することができる。
相対オフセット量選択部72は、システム起動中に異常検出信号SArが異常ありを示す値となった場合に、第1の相対オフセット量θoff1を選択し、システム再起動後の初期診断で異常検出信号SArが異常ありを示す値となった場合に、第2の相対オフセット量θoff2を選択する。そして、第1の相対オフセット量θoff1及び第2の相対オフセット量θoff2のうち選択した方をRAM50から読み出し、相対オフセット量θoffとしてモータ電気角推定部63に出力する。
次に、上記本実施形態の動作を説明する。
IGNスイッチ28がオフ状態であって車両1が停止していると共に、操舵補助制御処理も停止している作動停止状態であるときには、モータ制御装置25の制御演算装置31及びモータ電気角検出回路23が非作動状態となっている。
このため、制御演算装置31及びモータ電気角検出回路23で実行される各種処理は停止されている。この状態では、3相電動モータ22は作動を停止しており、ステアリング機構への操舵補助力の出力を停止している。
この作動停止状態からIGNスイッチ28をオン状態とすると、制御演算装置31及びモータ電気角検出回路23が作動状態となり、モータ電気角θmの検出処理、操舵補助制御処理等の各種処理を開始する。このとき、レゾルバ23a及び角度演算部60が正常であるものとする。
制御演算装置31では、このモータ電気角θmに基づいてd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*を算出する。そして、d軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*に基づき第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bに対する3相の電圧指令値V1*及びV2*を算出し、算出した3相の電圧指令値V1*及びV2*を第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bに出力する。これにより、第1及び第2のモータ駆動回路32A及び32Bによって第1及び第2のインバータ回路42A及び42Bが駆動制御され3相電動モータ22が駆動制御(転流制御)される。
そして、本実施形態の相対オフセット量推定部62は、レゾルバ23a及び角度演算部60が正常時に、RAM50に記憶された第1の相対オフセット量θoff1を相対オフセット量θoffとしてモータ電気角推定部63に出力する。
その後、システム起動中にレゾルバ23a及び角度演算部60の少なくとも一方に故障が発生して、異常検出信号SArが異常ありを表す値になると、電気角選択部23dは、サブモータ電気角検出回路23cから入力される第2のモータ電気角θm2をモータ電気角θmとして制御演算装置31に出力する。
引き続き、IGNスイッチ28が一旦OFF状態となってシステムが停止し、その後、再びIGNスイッチ28がON状態となってシステムが再起動したとする。
この場合、システム再起動後のレゾルバ異常診断部61による初期診断によって異常検出信号SArが異常ありを表す値となり、相対オフセット量推定部62において、第2の相対オフセット量θoff2の推定処理が実施される。
続いて、ステップ波状のモータ駆動電流の入力に応じてトルクセンサ13が検出した操舵トルクTを取得し、この操舵トルクTからトルクオフセット量Toffを減算し、減算後の操舵トルクTcのトルク波形の対称性を判定する。ここでは、非対称であったと判定したとする。この場合、第2相対オフセット量推定部71は、非対称のトルク波形の形状からずれ方向を判定し、ずれが小さくなる方向に仮定角度Xを更新する。
相対オフセット量推定部62は、推定したモータ電気角原点θmdと、システム再起動時に取得した出力軸回転角検出値の基準値θosrとから第2の相対オフセット量θoff2を算出する。そして、算出した第2の相対オフセット量θoff2を、RAM50に記憶する。
これにより、モータ電気角推定部63は、出力側回転角センサ13cで検出される出力軸回転角検出値θosと、第2の相対オフセット量θoff2と、減速比RGr(例えば、20.5)と、磁極対(例えば、4)とからモータ電気角推定値θmeを算出する。そして、算出したモータ電気角推定値θmeを第2のモータ電気角θm2として電気角選択部23dに出力する。
電気角選択部23dは、異常検出信号SArが異常ありを表す値であることから、サブモータ電気角検出回路23cから入力される第2のモータ電気角θm2をモータ電気角θmとして制御演算装置31に出力する。
ここで、相対オフセット量推定部62がオフセット量推定部に対応し、モータ電気角推定部63がモータ電気角推定部に対応し、制御演算装置31及びモータ電気角検出回路23がモータ駆動制御部に対応する。
また、トルクセンサ13がトルク検出部に対応し、出力側回転角センサ13cがステアリング舵角検出部に対応し、3相電動モータ22が多相電動モータに対応し、レゾルバ23a及び角度演算部60がモータ電気角検出部に対応する。
また、第1及び第2のインバータ回路42A及び42Bがモータ駆動回路に対応し、制御演算装置31が制御演算装置に対応し、レゾルバ異常診断部61が、異常診断部に対応し、RAM50がメモリに対応する。
(1)本実施形態に係るモータ制御装置25は、相対オフセット量推定部62が、ステアリングの舵角(出力軸回転角検出値θos)を検出する出力側回転角センサ13cで検出される出力軸回転角検出値の基準値θosrと操舵補助力を発生する3相電動モータ22のモータ電気角原点θmdとの相対オフセット量θoffを推定する。モータ電気角推定部63が、出力軸回転角検出値θosと相対オフセット量θoffとに基づきモータ電気角θmを推定する。制御演算装置31及びモータ電気角検出回路23が、レゾルバ23a及び角度演算部60が正常時はこれらで検出した第1のモータ電気角θm1に基づき3相電動モータ22を駆動制御する。一方、レゾルバ23a及び角度演算部60が異常時はモータ電気角推定部63で推定した第2のモータ電気角θm2に基づき3相電動モータ22を駆動制御する。
これにより、レゾルバ23a及び角度演算部60の少なくとも一方が異常時でも3相電動モータ22の駆動を継続して行うことが可能となる。
これにより、レゾルバ23a及び角度演算部60の少なくとも一方が異常時でも3相電動モータ22の駆動を継続して行うことが可能となる。
これにより、システム起動中にレゾルバ23a及び角度演算部60の少なくとも一方に異常が生じても、RAM50に記憶された第1の相対オフセット量θoff1から正確なモータ電気角を推定することが可能となる。
これにより、システム起動中にレゾルバ23a及び角度演算部60の少なくとも一方が異常時でも3相電動モータ22の駆動を継続して行うことが可能となる。
これにより、レゾルバ23a及び角度演算部60の少なくとも一方が異常と診断されてから一旦システムが停止した後にシステムが再起動した場合や、システム停止中に異常が発生した場合などでもシステム再起動後に3相電動モータ22を正常に駆動することが可能となる。
この構成であれば、ドライバがIGNスイッチ28をON状態にするときにステアリングホイール11を操作したり、ステアリングホイール11に腕をのせたりした場合など操舵トルクTにオフセットが生じた場合でもそのオフセット量を検出値から減算することが可能となる。これにより、操舵トルクにオフセットが生じている場合でも、正確にモータ電気角原点θmdを推定することが可能となる。
この構成であれば、上記(1)〜(5)に記載のモータ制御装置25と同等の作用及び効果が得られると共に、レゾルバ23a及び角度演算部60の故障時も操舵補助制御を継続することが可能となるので電動パワーステアリング装置3の信頼性を向上することが可能となる。
この構成であれば、上記(1)〜(5)に記載のモータ制御装置25と同等の作用及び効果が得られると共に、レゾルバ23aの故障時も操舵補助制御を継続することが可能となるので車両1の信頼性を向上することが可能となる。
(1)上記実施形態においては、トルクセンサ13を構成する出力側回転角センサ13cで検出した出力軸回転角検出値θosに基づきモータ電気角を推定する構成としたが、この構成に限らない。例えば、入力側回転角センサ13bで検出した入力軸回転角θisに基づきモータ電気角を推定するなど、ステアリングホイール11の操作に伴って回転する軸の回転角を検出するセンサであれば他のセンサで検出した回転角に基づきモータ電気角を推定してもよい。
(2)上記実施形態においては、制御演算装置31の操舵補助制御処理で、操舵補助電流指令値に基づいてd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*を算出し、これらをdq相−3相変換してU相電流指令値Iu*、V相電流指令値Iv*及びW相電流指令値Iw*を算出し、これらと電流検出値の相毎の加算値との電流偏差ΔIu、ΔIv及びΔIwを算出する場合について説明した。しかしながら、本発明は上記構成に限定されるものではなく、電流検出値の相毎の加算値をdq軸変換し、これらとd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*との偏差ΔId及びΔIqを算出し、偏差ΔId及びΔIqをdq相−3相変換するようにしてもよい。
(3)上記実施形態においては、本発明をコラムアシスト式の電動パワーステアリング装置に適用した例を説明したが、この構成に限らず、例えば、ラックアシスト式又はピニオンアシスト式の電動パワーステアリング装置に適用する構成としてもよい。
Claims (7)
- ステアリングの舵角を検出するステアリング舵角検出部で検出される前記舵角の基準値と操舵補助力を発生する多相電動モータのモータ電気角の原点との相対オフセット量を推定するオフセット量推定部と、
前記ステアリング舵角検出部で検出した舵角と前記オフセット量推定部で推定した前記相対オフセット量とに基づき前記モータ電気角を推定するモータ電気角推定部と、
前記モータ電気角を検出するモータ電気角検出部が正常時は該モータ電気角検出部で検出したモータ電気角に基づき前記多相電動モータを駆動制御し、前記モータ電気角検出部が異常時は前記モータ電気角推定部で推定したモータ電気角推定値に基づき前記多相電動モータを駆動制御するモータ駆動制御部と、を備えるモータ制御装置。 - ステアリング機構に伝達されるトルクを検出するトルク検出部と、
ステアリングの舵角を検出するステアリング舵角検出部と、
操舵補助力を発生する多相電動モータと、
前記多相電動モータのモータ電気角を検出するモータ電気角検出部と、
前記多相電動モータに駆動電流を供給するモータ駆動回路と、
前記トルク検出部で検出したトルクと前記モータ電気角検出部で検出したモータ電気角とに基づき前記モータ駆動回路を駆動制御する制御演算装置と、
前記モータ電気角検出部の異常を診断する異常診断部と、
前記舵角の基準値と前記モータ電気角の原点との相対オフセット量を推定するオフセット量推定部と、
前記ステアリング舵角検出部で検出した舵角と前記オフセット量推定部で推定した前記相対オフセット量とに基づき前記モータ電気角を推定するモータ電気角推定部と、を備え、
前記制御演算装置は、前記異常診断部で前記モータ電気角検出部が異常と診断されると、前記トルク検出部で検出したトルクと前記モータ電気角推定部で推定したモータ電気角推定値とに基づき前記モータ駆動回路を駆動制御するモータ制御装置。 - 前記オフセット量推定部は、前記モータ電気角検出部が正常時に、前記ステアリング舵角検出部で検出される舵角と前記モータ電気角検出部で検出されるモータ電気角とに基づき第1の相対オフセット量を推定すると共に、推定した前記第1の相対オフセット量をメモリに記憶し、
前記モータ電気角推定部は、システム起動中に前記モータ電気角検出部が異常と診断されると、前記ステアリング舵角検出部で検出した舵角と前記メモリに記憶された前記第1の相対オフセット量とに基づき前記モータ電気角を推定する請求項1又は2に記載のモータ制御装置。 - 前記オフセット量推定部は、システム起動時の初期診断で前記モータ電気角検出部が異常と診断されると、正負に振動するモータ駆動電流を前記多相電動モータに流たときにステアリング機構に伝達されるトルクを検出するトルク検出部で検出されるトルクの振幅に基づき前記モータ電気角の原点を推定し、推定した前記原点に基づき第2の相対オフセット量を推定し、
前記モータ電気角推定部は、前記初期診断で前記モータ電気角検出部が異常と診断されると、前記ステアリング舵角検出部で検出した舵角と前記第2の相対オフセット量とに基づき前記モータ電気角を推定する請求項1から3のいずれか1項に記載のモータ制御装置。 - 前記オフセット量推定部は、前記第2の相対オフセット量の推定前に前記トルク検出部で検出されるトルク値をトルクオフセット量としてメモリに記憶し、前記モータ駆動電流を流したときに前記トルク検出部で検出されるトルク値から前記トルクオフセット量を減算し、減算後のトルクの振幅に基づき前記モータ電気角の原点を推定する請求項4に記載のモータ制御装置。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載のモータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置。
- 請求項6に記載の電動パワーステアリング装置を備えた車両。
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