JP6119684B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、自動変速機の制御装置、詳しくは、アイドルストップ制御が行われる車両に搭載される自動変速機の制御装置、さらには、クリアランス調整用ピストンと押圧用ピストンとを備える摩擦要素を有する自動変速機の制御装置に関する。
従来、自動車等の車両に搭載される自動変速機では、前進1速等の発進段は、1つの摩擦要素の締結と1つのワンウェイクラッチの係合とにより達成されていた。しかし、ワンウェイクラッチは、重い上、発進段以外の変速段では引き摺り抵抗となるため、特許文献1に開示されるように、ワンウェイクラッチを廃止し、発進段を2つの摩擦要素の締結により達成することが知られている。特許文献1には、発進段で締結される2つの摩擦要素のうちの一方の摩擦要素として、制御性向上のため、クリアランス調整用ピストン(Bピストン)と押圧用ピストン(Aピストン)とを備える複動式摩擦要素を用いることが開示されている。
上記複動式摩擦要素では、Bピストンが変速機ケースにストローク可能に設けられ、AピストンがBピストンに相対移動可能に設けられている。Bピストンの油圧室(B室)に油圧を供給してBピストンをストロークさせるとAピストンが摩擦板に接して摩擦板のクリアランスがゼロとなる(このときのB室の油圧を第1油圧とする)。この状態からAピストンの油圧室(A室)に油圧を供給するとAピストンが摩擦板を押圧して当該複動式摩擦要素が締結状態となる(このときのA室の油圧を第2油圧とする)。この状態からA室の油圧(すなわち第2油圧)を排出するとAピストンが摩擦板の押圧を止めて当該複動式摩擦要素が解放状態となる。このように、Aピストンを摩擦板のクリアランスがゼロの位置(ゼロクリアランス位置)に待機させておくことにより、当該複動式摩擦要素を応答性よく締結することができ、締結ショックを抑制することができる。
しかし、所定の停止条件成立時にエンジンを自動停止させ、エンジン自動停止状態で所定の再始動条件成立時にエンジンを再始動させるアイドルストップ制御が行われる車両(アイドルストップ車両)において、上記複動式摩擦要素が発進段で締結される場合、次のような問題が生じる。
アイドルストップ制御によるエンジン自動停止中は、エンジン再始動時に車両が迅速に発進できるように、予め発進段で締結される摩擦要素の油圧室に電動オイルポンプで油圧を供給しておくことが好ましい。例えば、Dレンジの発進段(前進1速)で締結される2つの摩擦要素が、単一ピストン・単一油圧室を有する摩擦要素と、上記のような複動式の摩擦要素とである場合、Dレンジでのエンジン自動停止中は、前者の摩擦要素の油圧室に当該摩擦要素を締結状態とする油圧を供給し、後者の複動式摩擦要素のB室に上記第1油圧を供給し、A室の油圧を排出しておくことが考えられる。こうしておけば、前者の摩擦要素が締結状態となり、後者の複動式摩擦要素のAピストンがゼロクリアランス位置で待機状態となるので、あとはA室に上記第2油圧を供給するだけで、複動式摩擦要素が応答性よく締結され、ひいては発進段が応答性よく達成されて、エンジン再始動時に車両が迅速に発進できる。
ところが、摩擦要素は変速機ケース内に収容され、作動油を溜めるオイルパンより高い位置にあるので、エンジン自動停止時にA室から油圧を排出したときに、A室に負圧が発生してAピストンがゼロクリアランス位置よりも反摩擦板側にずれ、そのため、エンジン再始動時にA室に第2油圧を供給したときに、複動式摩擦要素の締結応答性の低下及び締結ショックの発生が懸念されるのである。
本発明は、アイドルストップ車両に搭載される自動変速機における上記問題に対処するもので、エンジン自動停止中に押圧用ピストンのゼロクリアランス位置がリセットされるのを抑制し、エンジン再始動時に摩擦要素が確実に応答性よく締結され、締結ショックが抑制される自動変速機の制御装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、所定の停止条件成立時にエンジンを自動停止させ、エンジン自動停止状態で所定の再始動条件成立時にエンジンを再始動させるアイドルストップ手段を有する車両に搭載される自動変速機の制御装置であって、上記自動変速機の発進段で締結される摩擦要素と、上記摩擦要素を締結するための油圧の制御を行う油圧制御手段とを有し、上記摩擦要素は、摩擦板と、摩擦板を押圧する押圧用ピストンと、押圧用ピストンを相対移動可能に支持するクリアランス調整用ピストンとを備え、上記クリアランス調整用ピストンに第1油圧が供給されたときに上記クリアランス調整用ピストンがストロークすることにより上記押圧用ピストンが摩擦板に接して摩擦板のクリアランスがゼロとなり、この状態から上記押圧用ピストンに第2油圧が供給されたときに上記押圧用ピストンが上記摩擦板を押圧することにより締結状態となるように構成され、上記油圧制御手段は、上記アイドルストップ手段によるエンジン自動停止中は、上記クリアランス調整用ピストンに上記第1油圧を供給し、上記押圧用ピストンに上記第2油圧よりも低いが押圧用ピストンの油圧室に負圧を生じさせない第3油圧を供給することを特徴とする。
本発明によれば、自動変速機の発進段で締結される摩擦要素のクリアランス調整用ピストンに第1油圧を供給し、押圧用ピストンに第2油圧を供給すれば、上記摩擦要素が締結状態となる自動変速機において、エンジン自動停止中は、上記クリアランス調整用ピストンに第1油圧を供給し、上記押圧用ピストンに第2油圧よりも低い第3油圧を供給するので、エンジン再始動時に上記押圧用ピストンに第2油圧を供給するだけで、上記摩擦要素が応答性よく締結され、締結ショックが抑制される。
しかも、その場合に、上記押圧用ピストンから油圧を排出するのではなく、上記押圧用ピストンに比較的低圧であるが押圧用ピストンの油圧室に負圧を生じさせない第3油圧を供給するので、上記押圧用ピストンに負圧が発生することが防止され、押圧用ピストンのゼロクリアランス位置が保持される。そのため、エンジン自動停止中に押圧用ピストンが動いてゼロクリアランス位置がリセットされる問題が抑制されて、エンジン再始動時に上記摩擦要素が確実に応答性よく締結され、締結ショックが抑制される。
本発明においては、上記油圧制御手段は、上記アイドルストップ手段によるエンジン再始動時は、上記押圧用ピストンに供給していた第3油圧を排出することが好ましい。
この構成によれば、エンジン再始動時にエンジンの出力トルクが動力伝達経路に入力されることによるショックの発生が低減される。すなわち、上述したように、本発明では、エンジン自動停止中に押圧用ピストンのゼロクリアランス位置がリセットされないように、エンジン自動停止中も押圧用ピストンに第3油圧という比較的低圧の油圧を供給する。この第3油圧は、上記摩擦要素の締結時に供給される第2油圧よりも低い油圧ではあるが、押圧用ピストンから油圧を排出する場合に比べると上記摩擦要素を締結気味とするものである。そのため、エンジン再始動時に押圧用ピストンに第3油圧が供給されていると、エンジンの出力トルクが動力伝達経路に入力されてショックが発生する可能性がある。そこで、この構成は、エンジン再始動時には、それまで供給していた第3油圧を排出して上記摩擦要素を確実に解放状態とし、言い換えると、動力伝達経路を確実に遮断状態とし、、これにより、上記ショックの発生を低減するものである。
本発明においては、上記油圧制御手段は、エンジン回転数が所定回転数に達するまで上記第3油圧の排出を維持することが好ましい。
この構成によれば、エンジン再始動からエンジン回転数が所定回転数に達するまでの期間中は、確実に上記ショックの発生が回避される。
本発明においては、上記摩擦要素は、変速機ケースに設けられたブレーキ要素であることが好ましい。
この構成によれば、上記摩擦要素は、制御性に優れる複動式摩擦要素であり、かつ、遠心油圧の影響を受けないブレーキ要素であるから、上記摩擦要素の締結応答性がより一層向上する。
本発明においては、上記ブレーキ要素は、前進1速及び後退速で締結されるローリバースブレーキであることが好ましい。
この構成によれば、ローリバースブレーキの締結応答性が向上するので、前進1速等の発進段でのワンウェイクラッチの廃止が可能となると共に、エンジン再始動後にDレンジで発進するときの前進1速及びRレンジで発進するときの後退速が確実に応答性よく達成されて、車両が迅速に発進できる。
本発明においては、上記アイドルストップ手段によるエンジン自動停止中に上記自動変速機の摩擦要素に供給される油圧を生成する電動オイルポンプが備えられ、上記電動オイルポンプは、アイドルストップの際、上記エンジンが自動停止される前から駆動されることが好ましい。
この構成によれば、エンジン自動停止中の電動オイルポンプによる上記摩擦要素への油圧の供給がエンジン自動停止の開始時点から確実に行われる。
本発明は、エンジン再始動時に摩擦要素が確実に応答性よく締結され、締結ショックが抑制される自動変速機の制御装置を提供するので、アイドルストップ車両に搭載される自動変速機に好ましく適用可能である。
(1)構成
図1は、本実施形態に係る自動変速機1の骨子図である。この自動変速機1は、所定の停止条件成立時にエンジン(図示せず)を自動停止させ、エンジン自動停止状態で所定の再始動条件成立時にエンジンを再始動させるアイドルストップ制御が行われる車両(アイドルストップ車両)に搭載されている。
図1は、本実施形態に係る自動変速機1の骨子図である。この自動変速機1は、所定の停止条件成立時にエンジン(図示せず)を自動停止させ、エンジン自動停止状態で所定の再始動条件成立時にエンジンを再始動させるアイドルストップ制御が行われる車両(アイドルストップ車両)に搭載されている。
上記停止条件としては、例えば、基本的条件として、車速が略ゼロの状態でブレーキペダルが踏み込まれていること等が挙げられ、さらに付加的条件として、バッテリの残容量が所定量以上あることや、エアコンの設定温度と車室内の温度との差が所定値以下であること等が挙げられる。上記再始動条件としては、例えば、Dレンジ(前進走行レンジ)においては、ブレーキペダルの踏み込みがなくなったこと等が挙げられ、Nレンジ(ニュートラルレンジ)やPレンジ(パーキングレンジ)等の非走行レンジにおいては、N→Dセレクト操作やP→Dセレクト操作が行われたこと等が挙げられる。
自動変速機1は、エンジンの出力トルクが図外のトルクコンバータを介して入力される入力軸2を有する。入力軸2上に、エンジン側(図の右側)から、第1、第2、第3プラネタリギヤセット(以下「プラネタリギヤセット」を単に「ギヤセット」という)10,20,30が配置されている。これらのギヤセット10,20,30で形成される動力伝達経路を切り換えるための摩擦要素として、ロークラッチ40、ハイクラッチ50、ローリバースブレーキ(LRブレーキ)(本発明の「摩擦要素」に相当する)60、2速・6速ブレーキ(26ブレーキ)70、及び後退速・3速・5速ブレーキ(R35ブレーキ)80が備えられている。これらの摩擦要素40,50,60,70,80は油圧式である。ロークラッチ40及びハイクラッチ50は、上記入力軸2からの動力をギヤセット10,20,30へ選択的に伝達する。LRブレーキ60、26ブレーキ70、及びR35ブレーキ80は、ギヤセット10,20,30の所定の回転要素を変速機ケース3に固定する。
ギヤセット10,20,30は、いずれも、サンギヤ11,21,31と、サンギヤ11,21,31と噛み合うピニオン12,22,32と、ピニオン12,22,32を支持するキャリヤ13,23,33と、ピニオン12,22,32と噛み合うリングギヤ14,24,34とで構成される。
第1ギヤセット10のサンギヤ11と第2ギヤセット20のサンギヤ21とが結合されてロークラッチ40の出力部材41に連結されている。第2ギヤセット20のキャリヤ23がハイクラッチ50の出力部材51に連結されている。第3ギヤセット30のサンギヤ31が入力軸2に連結されている。第1ギヤセット10のキャリヤ13に出力ギヤ4が連結されている。出力ギヤ4は、自動変速機1の出力トルクを図外の駆動輪側へ出力する。
第1ギヤセット10のリングギヤ14と第2ギヤセット20のキャリヤ23とが結合され、これらと変速機ケース3との間にLRブレーキ60が介設されている。第2ギヤセット20のリングギヤ24と第3ギヤセット30のキャリヤ33とが結合され、これらと変速機ケース3との間に26ブレーキ70が介設されている。第3ギヤセット30のリングギヤ34と変速機ケース3との間にR35ブレーキ80が介設されている。
以上の構成により、この自動変速機1は、5つの摩擦要素40,50,60,70,80の締結状態の組み合わせにより、図2に示すように、Dレンジでの前進1〜6速と、Rレンジ(後退走行レンジ)での後退速とが達成される。図2から明らかなように、本実施形態では、前進1速(前進発進段)でロークラッチ40とLRブレーキ60とが締結され、後退速(後退発進段)でLRブレーキ60とR35ブレーキ80とが締結される。すなわち、LRブレーキ60は、Dレンジの発進段及びRレンジの発進段の双方で締結される。
図3〜図5に示すように、上記LRブレーキ60は、制御性向上のため、クリアランス調整機能を備えた複動式の摩擦要素である。LRブレーキ60は、クリアランス調整用ピストン(Bピストン)62と押圧用ピストン(Aピストン)63とを有する。Bピストン62は、組付性向上のため、第1ピストン部材62aと第2ピストン部材62bとに分割され、組付後に、皿バネ60a、スナップリング60b、及び環状固定プレート60cにより一体化されている。
Bピストン62は、変速機ケース3に形成されたシリンダ3a内に軸方向にストローク可能に嵌合されている。Bピストン62と変速機ケース3との間にBピストン62の油圧室(B室)64が形成されている。B室64には、変速機ケース3に形成されたB室ライン118(図6参照)を介して油圧(B室圧)が供給される。
Aピストン63は、Bピストン62の内側に軸方向に相対移動可能に嵌合されている。Aピストン63とBピストン62との間にAピストン63の油圧室(A室)65が形成されている。A室65には、変速機ケース3に形成されたA室ライン119(図6参照)及び第2ピストン部材62bに形成された連通孔62cを介して油圧(A室圧)が供給される。
B室64に所定の第1油圧(例えば数100kPa)を供給し、A室65に所定の第2油圧(例えば数100kPa)を供給すると、図3(図中の着色部分は油圧が供給されていることを示す。図4において同じ)に示すように、Bピストン62が第1油圧によりリターンスプリング66の付勢力に抗してストッパ67に当接するまで図の左側にストロークすると共に、Aピストン63も図の左側にストロークしかつ第2油圧により押圧力が付与されて、変速機ケース3と被制動部材(すなわち第1ギヤセット10のリングギヤ14と第2ギヤセット20のキャリヤ23とが結合した部材)とに交互に係合された複数の摩擦板68を押圧する。これにより、LRブレーキ60が締結状態となる。
この状態からA室65の油圧(A室圧)を排出すると、図4に示すように、Aピストン63が摩擦板68に接したままAピストン63の押圧力が解除される。これにより、LRブレーキ60が解放状態となる。このとき、摩擦板68のクリアランスはゼロであり、Aピストン63はゼロクリアランス位置で待機する。
さらにこの状態からB室64の油圧(B室圧)を排出すると、図5に示すように、Bピストン62がリターンスプリング66の付勢力により図の右側にストロークする。このとき、Aピストン63に装着されたシール部材の摩擦力等により、Aピストン63はBピストン62との位置関係を保持したまま、Bピストン62と共に図の右側にストロークする。
次回、LRブレーキ60を締結するときは、まずB室64に油圧を供給する。これにより、Aピストン63及びBピストン62が上記位置関係を保持したまま、図の左側にストロークする(図4参照)。このとき、Aピストン63が摩擦板68に接して摩擦板68のクリアランスがゼロとなる。すなわち、Aピストン63はゼロクリアランス位置で待機状態となる。この状態からA室65に油圧を供給すると、Aピストン63が油圧の供給と略同時に摩擦板68を押圧してLRブレーキ60が応答性よく締結される(図3参照)。
要すれば、LRブレーキ60の締結時は、B室64→A室65の順に油圧が供給され、解放時は、A室65→B室64の順に油圧が排出される。
図6は、この自動変速機1に備えられた油圧回路100の要部を示す図である。すなわち、この自動変速機1は、上記摩擦要素40,50,60,70,80に油圧を選択的に供給して図2に示す各変速段を達成するための油圧回路100を備えている。上述したように、本実施形態に係る車両は、アイドルストップ車両であるから、エンジンに駆動されて油圧を生成する機械式オイルポンプ102の他に、アイドルストップ制御によるエンジン自動停止中にモータ101aに駆動されて油圧を生成する電動オイルポンプ101を備えている。
油圧回路100には、上記機械式オイルポンプ102及び電動オイルポンプ101の双方から油圧が導入可能である。油圧回路100には、導入された油圧を前進1速で締結されるロークラッチ40(より詳しくはその油圧室(図示せず))及びLRブレーキ60(より詳しくは上記B室64及びA室65)に供給するためのバルブとして、ポンプ切換バルブ103、マニュアルバルブ104、第1リニアソレノイドバルブ(第1LSV)105、第2リニアソレノイドバルブ(第2LSV)106、ローリバースシフトバルブ(LRシフトバルブ)107、及びオンオフソレノイドバルブ(オンオフSV)108が備えられている。
ポンプ切換バルブ103は、2つのポンプ101,102のいずれの油圧を2つの摩擦要素40,60に供給するかを切り換える。マニュアルバルブ104は、運転者のレンジ選択操作に連動する。第1LSV105は、ロークラッチ40の油圧室に供給される油圧(ロークラッチ圧)を制御する。第2LSV106は、LRブレーキ60のA室65に供給される油圧(A室圧)を制御する。LRシフトバルブ107及びオンオフSV108は、LRブレーキ60のB室64及びA室65に対する油圧の給排の順序を、上述したように、LRブレーキ60を締結するときは、B室64→A室65の順に油圧が供給され、解放するときは、A室65→B室64の順に油圧が排出されるように規制する。
ポンプ切換バルブ103は、軸方向の両端にスプール103aの位置を切り換えるためのポートa,bを有する。電動オイルポンプ101の駆動時は、電動オイルポンプ101の油圧が図の左側のポートaに導入され、図示のように、スプール103aが右側にシフトする。機械式オイルポンプ102の駆動時は、機械式オイルポンプ102の油圧が図の右側のポートbに導入され、スプール103aが左側にシフトする。
ポンプ切換バルブ103は、さらに、ロークラッチ40用の入力ポートc,d及び出力ポートeと、LRブレーキ60用の入力ポートf,g及び出力ポートhとを有する。スプール103aが右側にシフトしているときは、図示のように、ロークラッチ40用のポートcとポートeとが連通し、LRブレーキ60用のポートfとポートhとが連通する。スプール103aが左側にシフトしているときは、ロークラッチ40用のポートdとポートeとが連通し、LRブレーキ60用のポートgとポートhとが連通する。
ロークラッチ40用の入力ポートc及びLRブレーキ60用の入力ポートfに電動オイルポンプ101から導かれた油路111,112がそれぞれ接続されている。ロークラッチ40用の入力ポートd及びLRブレーキ60用の入力ポートgに機械式オイルポンプ102から導かれた油路113,114がそれぞれ接続されている。ただし、油路113は、マニュアルバルブ104を介して機械式オイルポンプ102から導かれている。マニュアルバルブ104は、Dレンジ及びRレンジが選択されているときは、機械式オイルポンプ102と油路113とを連通させ、Nレンジ及びPレンジが選択されているときは、油路113をドレンさせる。
ロークラッチ40用の出力ポートeにロークラッチ40の油圧室から導かれたロークラッチライン115が第1LSV105を介して接続されている。LRブレーキ60用の出力ポートhにLRシフトバルブ107から導かれたLRブレーキライン116が接続されている。LRシフトバルブ107にLRブレーキ60のB室64から導かれたB室ライン118が接続されている。B室ライン118にLRブレーキ60のA室65から導かれたA室ライン119が第2LSV106を介して接続されている。
第1LSV105及び第2LSV106は、いずれも、入力ポートiと出力ポートjとドレンポートkとを有し、開時に入力ポートiと出力ポートjとを連通させ、閉時に出力ポートjとドレンポートkとを連通させる。
機械式オイルポンプ102から導かれた油路117がオンオフSV108を介してLRシフトバルブ107の軸方向の一端に接続されている。オンオフSV108は、開時に機械式オイルポンプ102の油圧をLRシフトバルブ107の一端に導入して、LRシフトバルブ107のスプール(図示せず)を右側にシフトさせ、B室ライン118及びA室ライン119をドレンさせる。一方、閉時に上記スプールを左側にシフトさせ、LRブレーキライン116とB室ライン118及びA室ライン119とを連通させる。
上述したように、LRブレーキ60は、使用頻度及び使用時間が比較的少ない前進1速及び後退速のみで締結される。そのため、オンオフSV108は、B室ライン118及びA室ライン119をドレンさせる開状態の時間が、LRブレーキライン116とB室ライン118及びA室ライン119とを連通させる閉状態の時間よりも長くなる。そこで、本実施形態では、非通電時(OFF時)は開状態となるノーマルオープンタイプのオンオフSV108を採用している。これにより、オンオフSV108の電力消費量が少なくて済み、ひいては燃費性能が向上する。
図7は、この自動変速機1を備えたアイドルストップ車両の制御システム図である。制御装置200は、CPU、ROM、RAM等から構成されるマイクロプロセッサであり、本発明の「アイドルストップ手段」及び「油圧制御手段」に相当する。
制御装置200に、運転者により選択された自動変速機1のレンジを検出するレンジセンサ201からの信号、当該車両の車速を検出する車速センサ202からの信号、運転者のアクセルペダルの操作量を検出するアクセル操作量センサ203からの信号、運転者のブレーキペダルの踏み込みを検出するブレーキスイッチ204からの信号、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサ205からの信号、及び電動オイルポンプ101の回転数を検出する電動オイルポンプ回転数センサ206からの信号が入力される。
制御装置200は、これらの信号に基き、アイドルストップ制御を行うために、エンジンの燃料供給装置211、点火装置212、及び始動装置213に制御信号を出力する。また、アイドルストップ制御中における自動変速機1のロークラッチ40及びLRブレーキ60の油圧制御を行うために、電動オイルポンプ用モータ101aに制御信号を出力すると共に、自動変速機1の油圧回路100の第1LSV105、第2LSV106、及びオンオフSV108に制御信号を出力する。
図8は、制御装置200が行う制御動作の一例を示すタイムチャートである。このタイムチャートは、当該車両の停車前から発進後までの各種信号や状態量の変化を示している。制御装置200は、車両の停車中、アイドルストップ制御と、ロークラッチ40及びLRブレーキ60の油圧制御とを行う。図8の例は、アイドルストップ制御中、自動変速機1のレンジがDレンジに保持される場合である。
図8において、時刻t1は、アイドルストップ状態フラグが0から1に変化する時刻、時刻t2は、1から2に変化する時刻、時刻t3は、2から3に変化する時刻、時刻t4は、エンジン再始動後エンジン回転数が所定の基準回転数N1に達する時刻、時刻t5は、車両が発進する時刻である。
時刻t1までは、車両はDレンジで前進走行している。自動変速機1の変速段は、前進1速が達成されている。すなわち、ロークラッチ40の油圧室にロークラッチ40を締結状態とする油圧(締結油圧)が供給され、LRブレーキ60のB室64に上述の第1油圧が供給され、A室65に上述の第2油圧が供給されて、ロークラッチ40及びLRブレーキ60の双方が締結されている。
機械式オイルポンプ(OP)102がエンジンに駆動されて油圧を生成し、電動オイルポンプ(OP)101がモータ101aのOFFにより油圧を生成していないので、ポンプ切換バルブ103のスプール103aが図6の左側(図8において「機械式OP側」と記す)にシフトし、機械式ポンプ102で生成された油圧が油路113,114とロークラッチライン115及びLRブレーキライン116とを介してロークラッチ40及びLRブレーキ60に供給されている。
オンオフSV108はON(通電)とされている。これにより、ノーマルオープンタイプのオンオフSV108は閉状態となり、図6においてLRシフトバルブ107のスプールが左側にシフトし、LRブレーキライン116とB室ライン118及びA室ライン119とが連通している。なお、オンオフSV108はLRブレーキ60が締結される前進1速及び後退速以外の変速段ではOFF(非通電)とされる。
このような状態で、アクセル操作量の減少に伴い、車速、エンジン回転数、及びタービン回転数(トルクコンバータの出力回転数。自動変速機1の入力軸2の回転数に同じ)が低下し、ブレーキペダルが踏み込まれて、例えば交差点の信号待ち等で車両が停車すると(車速及びタービン回転数=0)、アイドルストップ状態フラグが0から1に変化する(時刻t1)。この時点で、アイドルストップ制御の停止条件のうち、車速が略ゼロの状態でブレーキペダルが踏み込まれていること、という基本的条件が成立する。
基本的条件が成立すると、制御装置200は、モータ101aをONとして電動オイルポンプ101の駆動を開始する。これにより、電動オイルポンプ101がモータ101aに駆動されて油圧を生成する。生成した油圧がポンプ切換バルブ103に導かれ、スプール103aが図6の右側(図8において「電動OP側」と記す)にシフトし、電動オイルポンプ101で生成された油圧が油路111,112とロークラッチライン115及びLRブレーキライン116とを介してロークラッチ40及びLRブレーキ60に供給される。この時点で、ロークラッチ40及びLRブレーキ60には、それまで機械式オイルポンプ102の油圧が供給されていたのが電動オイルポンプ101の油圧が供給されるようになる。
次いで、制御装置200は、アイドルストップ制御の停止条件のうち、バッテリの残容量が所定量以上あることや、エアコンの設定温度と車室内の温度との差が所定値以下であること、という付加的条件が成立するか否か、言い換えると、エンジンを停止しても差し支えがないか否かを判定する。その結果、付加的条件が成立すると、アイドルストップ状態フラグが1から2に変化する(時刻t2)。これをもって、制御装置200は、エンジンを自動停止させる。エンジン停止に伴い、機械式オイルポンプ102が油圧の生成を停止するが、上述したように、この時点ではすでにロークラッチ40及びLRブレーキ60には電動オイルポンプ101の油圧が供給されているので問題はない。
制御装置200は、エンジン自動停止と共に、第2LSV106を制御して、LRブレーキ60のA室圧を第2油圧から第3油圧に低下させる。第3油圧は第2油圧よりも低い油圧(例えば数10kPa)である。そのため、Aピストン63が摩擦板68の押圧を止めて、LRブレーキ60が解放状態となる。これにより、前進1速が達成されなくなり、自動変速機1の動力伝達経路が遮断される。図8において、符号「α」は、自動変速機1の動力伝達経路が遮断されている期間(前進1速の非達成期間)を示す。A室圧を低圧状態とすることにより、電動オイルポンプ101の電力消費量が少なくて済み、ひいては燃費性能が向上する。
要すれば、制御装置200は、エンジン自動停止中は、ロークラッチ40の油圧室に締結油圧を供給し、LRブレーキ60のB室64に第1油圧を供給し、LRブレーキ60のA室65に第2油圧よりも低いがA室65に負圧を生じさせない第3油圧を供給する。第3油圧は、LRブレーキ60を解放状態とする油圧であるが、解放状態のLRブレーキ60におけるAピストン63のゼロクリアランス位置を保持できる油圧である。このような第3油圧の値は、予め実験的に求められる(例えば0kPa以上の値)。
これに対し、図8に鎖線(符号X)で示すように、エンジン自動停止時にLRブレーキ60のA室65から油圧を排出すると、A室65に負圧が発生して、Aピストン63がゼロクリアランス位置よりも反摩擦板側にずれるという不具合が生じる。より詳しくは、図6から明らかなように、A室65から排出された作動油はA室ライン119を経由して第2LSV106のドレンポートkからオイルパン(図示せず)に排出される。オイルパンはエンジンのシリンダブロックや変速機ケース3の下面に設けられている。また、第2LSV106は、エアを噛み込まないように、オイルパンに溜まった作動油に浸かっている。そのため、第2LSV106のドレンポートkは、変速機ケース3内に収容されているLRブレーキ60のA室65よりも低い位置にある。その結果、A室65から油圧を排出するに伴い、A室65の内部が負圧になるのである。
次いで、制御装置200は、アイドルストップ制御の再始動条件のうち、ブレーキペダルの踏み込みがなくなったこと、というDレンジにおける再始動条件が成立するか否か、言い換えると、運転者が発進の意思を示したか否かを判定する。その結果、再始動条件が成立すると、アイドルストップ状態フラグが2から3に変化する(時刻t3)。これをもって、制御装置200は、エンジンを再始動させる。
エンジン再始動に伴い、機械式オイルポンプ102がエンジンに駆動されて油圧の生成を再開する。制御装置200は、機械式オイルポンプ102の油圧が十分上昇した時点で(図示しない油圧スイッチ又は時間により判定可能)、モータ101aをOFFとして電動オイルポンプ101の駆動を停止する。これにより、再び、ポンプ切換バルブ103のスプール103aが機械式OP側にシフトし、機械式オイルポンプ102の油圧がロークラッチ40及びLRブレーキ60に供給されるようになる。
制御装置200は、エンジン再始動と共に、第2LSV106を制御して、図8に符号アで示すように、LRブレーキ60のA室圧(第3油圧)を排出する。これは、エンジンの出力トルクが動力伝達経路に入力されることによるショックの発生を低減するためである。制御装置200は、エンジン回転数が所定の基準回転数N1に達するまで(時刻t4まで)上記第3油圧の排出を維持する。このような基準回転数N1の値は、上記ショック低減の観点から予め実験的に求められる。制御装置200は、時刻t4に、LRブレーキ60のA室圧を第2油圧に向けて増圧する。これにより、Aピストン63が油圧の供給と略同時に摩擦板68を押圧して、LRブレーキ60が応答性よく締結状態となる。そのため、前進1速が達成されて、符号αで示すように、遮断されていた自動変速機1の動力伝達経路が時刻t4に再び形成される。
この時点ではすでにブレーキペダルが踏み込まれていないので、動力伝達経路の再形成により、時刻t4以降は、車速が徐々に増加する。そして、時刻t5に、運転者がアクセルペダルを踏み込んで、車両が発進する。また、タービン回転数は、動力伝達経路が再形成される時刻t4以前は、エンジン回転数に連動して増加し、上記時刻t4以降は、車速に連動して増加する。
なお、上記ショック低減のためにA室圧を排出する時間(エンジン再始動からエンジン回転数が基準回転数N1に達するまでの時間)はごく短いから、Aピストン63の戻りを最小に抑え、ショック低減と制御性の両方を向上させている。
図9は、制御装置200が行う図8の制御動作をフローチャートで表したものである。ただし、主たる特徴的な処理だけを抜粋して示している。
制御装置200は、ステップS1で、アイドルストップ状態フラグが0から1に変化したか否かを判定し、YESのときは(図8の時刻t1)、ステップS2で、電動オイルポンプ101の駆動を開始する。
次いで、制御装置200は、ステップS3で、アイドルストップ状態フラグが1から2に変化したか否かを判定し、YESのときは(図8の時刻t2)、ステップS4で、エンジンを自動停止させ、その後、エンジン回転数が所定の閾値以下になった時点で、LRブレーキ60のA室圧を第2油圧から第3油圧に低下させる。
次いで、制御装置200は、ステップS5で、アイドルストップ状態フラグが2から3に変化したか否かを判定し、YESのときは(図8の時刻t3)、ステップS6で、エンジンを再始動させ、かつ、LRブレーキ60のA室圧を排出する(図8の符号ア)。
次いで、制御装置200は、ステップS7で、エンジン回転数が所定の基準回転数N1以上となったか否かを判定し、YESのときは(図8の時刻t4)、ステップS8で、LRブレーキ60のA室圧を第2油圧に向けて増圧する。
(2)作用
以上、図面を参照して詳しく説明したように、本実施形態に係る自動変速機1の制御装置は、所定の停止条件成立時にエンジンを自動停止させ、エンジン自動停止状態で所定の再始動条件成立時にエンジンを再始動させるアイドルストップ制御を行う制御装置200を有する車両(アイドルストップ車両)に搭載される。自動変速機1は、前進1速(前進発進段)で締結されるロークラッチ40及びLRブレーキ60を有し、上記制御装置200は、上記ロークラッチ40及びLRブレーキ60を締結するための油圧の制御を行う(図6、図7)。
以上、図面を参照して詳しく説明したように、本実施形態に係る自動変速機1の制御装置は、所定の停止条件成立時にエンジンを自動停止させ、エンジン自動停止状態で所定の再始動条件成立時にエンジンを再始動させるアイドルストップ制御を行う制御装置200を有する車両(アイドルストップ車両)に搭載される。自動変速機1は、前進1速(前進発進段)で締結されるロークラッチ40及びLRブレーキ60を有し、上記制御装置200は、上記ロークラッチ40及びLRブレーキ60を締結するための油圧の制御を行う(図6、図7)。
上記LRブレーキ60は、摩擦板68と、摩擦板68を押圧する押圧用ピストン63と、押圧用ピストン63を相対移動可能に支持するクリアランス調整用ピストン62とを備え、次のように構成されている(図3〜図5)。上記クリアランス調整用ピストン62に第1油圧が供給されたときに上記クリアランス調整用ピストン62がストロークする。これにより上記押圧用ピストン63が摩擦板68に接して摩擦板68のクリアランスがゼロとなる。この状態から上記押圧用ピストン63に第2油圧が供給されたときに上記押圧用ピストン63が上記摩擦板68を押圧する。これにより当該LRブレーキ60が締結状態となる。
上記制御装置200は、上記アイドルストップ制御によるエンジン自動停止中は、上記ロークラッチ40に当該ロークラッチ40を締結状態とする締結油圧を供給し、上記クリアランス調整用ピストン62に上記第1油圧を供給し、上記押圧用ピストン63に上記第2油圧よりも低いが押圧用ピストン63の油圧室65に負圧を生じさせない第3油圧を供給する(図8)。
この構成によれば、ロークラッチ40に締結油圧を供給し、LRブレーキ60のクリアランス調整用ピストン62に第1油圧を供給し、LRブレーキ60の押圧用ピストン63に第2油圧を供給すれば、ロークラッチ40及びLRブレーキ60が共に締結状態となって前進1速が達成される自動変速機1において、エンジン自動停止中は、上記ロークラッチ40に締結油圧を供給し、上記クリアランス調整用ピストン62に第1油圧を供給し、上記押圧用ピストン63に第2油圧よりも低い第3油圧を供給するので、エンジン再始動時に上記押圧用ピストン63に第2油圧を供給するだけで、上記LRブレーキ60が応答性よく締結され、ひいては前進1速が応答性よく達成されて、締結ショックが抑制される。
しかも、その場合に、上記押圧用ピストン63から油圧を排出するのではなく、上記押圧用ピストン63に比較的低圧であるが押圧用ピストン63の油圧室65に負圧を生じさせない第3油圧を供給するので、上記押圧用ピストン63に負圧が発生することが防止され、押圧用ピストン63のゼロクリアランス位置が保持される。そのため、エンジン自動停止中に押圧用ピストン63が動いてゼロクリアランス位置がリセットされる問題が抑制されて、エンジン再始動時にLRブレーキ60が確実に応答性よく締結され、ひいては前進1速が確実に応答性よく達成されて、締結ショックが抑制される。
本実施形態においては、上記制御装置200は、上記アイドルストップ制御によるエンジン再始動時は、上記押圧用ピストン63に供給していた第3油圧を排出する(図8の符号ア)。
この構成によれば、エンジン再始動時にエンジンの出力トルクが動力伝達経路に入力されることによるショックの発生が低減される。すなわち、上述したように、本実施形態では、エンジン自動停止中に押圧用ピストン63のゼロクリアランス位置がリセットされないように、エンジン自動停止中も押圧用ピストン63に第3油圧という比較的低圧の油圧を供給する。この第3油圧は、LRブレーキ60の締結時に供給される第2油圧よりも低い油圧ではあるが、押圧用ピストン63から油圧を排出する場合(図8の符号X)に比べるとLRブレーキ60を締結気味とするものである。そのため、エンジン再始動時に押圧用ピストン63に第3油圧が供給されていると、エンジンの出力トルクが動力伝達経路に入力されてショックが発生する可能性がある。そこで、この構成は、エンジン再始動時には、それまで供給していた第3油圧を排出してLRブレーキ60を確実に解放状態とし、言い換えると、動力伝達経路を確実に遮断状態とし、これにより、上記ショックの発生を低減するものである。
本実施形態においては、上記制御装置200は、エンジン回転数が所定の基準回転数N1に達するまで(図8の時刻t4まで)上記第3油圧の排出を維持する。
この構成によれば、エンジン再始動からエンジン回転数が上記基準回転数N1に達するまでの期間中は、確実に上記ショックの発生が回避される。
本実施形態においては、上記LRブレーキ60は、変速機ケース3に設けられたブレーキ要素である。
この構成によれば、LRブレーキ60は、制御性に優れる複動式摩擦要素であり、かつ、遠心油圧の影響を受けないブレーキ要素であるから、LRブレーキ60の締結応答性がより一層向上する。
本実施形態においては、上記LRブレーキ60は、前進1速(前進発進段)及び後退速(後退発進段)で締結される(図2)。
この構成によれば、LRブレーキ60の締結応答性が向上するので、前進1速でのワンウェイクラッチの廃止が可能となると共に、エンジン再始動後にDレンジで発進するときの前進1速が確実に応答性よく達成されて、車両が迅速に発進できる。
本実施形態においては、上記アイドルストップ制御によるエンジン自動停止中に上記ロークラッチ40及びLRブレーキ60に供給される油圧を生成する電動オイルポンプ101が備えられ、上記電動オイルポンプ101は、アイドルストップの際、上記エンジンが自動停止される前から駆動される(図8)。
この構成によれば、エンジン自動停止中の電動オイルポンプ101による上記ロークラッチ40及びLRブレーキ60への油圧の供給がエンジン自動停止の開始時点(図8の時刻t2)から確実に行われる。
(3)変形例
次に、図10を参照して、上記実施形態の変形例を説明する。上記実施形態では、アイドルストップ制御中、自動変速機1のレンジがDレンジに保持され、ブレーキペダルの踏み込みがなくなったことによりエンジンが再始動されるもの(Dレンジ再始動)であったが、この変形例では、アイドルストップ制御中、自動変速機1のレンジがDレンジからNレンジに切り換えられ、次にN→Dセレクト操作が行われたことによりエンジンが再始動されるもの(N→Dセレクト再始動)である。
次に、図10を参照して、上記実施形態の変形例を説明する。上記実施形態では、アイドルストップ制御中、自動変速機1のレンジがDレンジに保持され、ブレーキペダルの踏み込みがなくなったことによりエンジンが再始動されるもの(Dレンジ再始動)であったが、この変形例では、アイドルストップ制御中、自動変速機1のレンジがDレンジからNレンジに切り換えられ、次にN→Dセレクト操作が行われたことによりエンジンが再始動されるもの(N→Dセレクト再始動)である。
この場合も、制御装置200は、基本的に上記実施形態と同じ制御動作を行う。図10において、時刻t1’〜t5’は、それぞれ図8のt1〜t5と同じである。上記実施形態と異なるのは、アイドルストップ制御中に、自動変速機1のレンジがDレンジからNレンジに切り換えられる点である(時刻t2’とt3’との間)。この場合、Nレンジでアイドルストップが進行し、次にN→Dセレクト操作が行われることで、Nレンジにおける再始動条件が成立し、アイドルストップ状態フラグが2から3に変化する(時刻t3’)。
この変形例では、発進時(時刻t5’)までブレーキペダルが踏み込まれている。そのため、時刻t4’に動力伝達経路が再形成されても、車速は立ち上らない。また、タービン回転数は、動力伝達経路が再形成される時刻t4’以前は、エンジン回転数に連動して増加し、上記時刻t4’以降は、いったん0になる。そして、運転者がブレーキペダルの踏み込みを止め、アクセルペダルを踏み込んだ車両の発進と同時に車速及びタービン回転数が上昇する(時刻t5’)。
この変形例でも図9のフローチャートはそのまま適用される。もっとも、アイドルストップ制御中にレンジがNレンジに切り換えられることにより、図6において、マニュアルバルブ104が油路113をドレンさせるが、アイドルストップ制御中は電動オイルポンプ101の油圧がポンプ切換バルブ103に供給されているので問題はなく、ロークラッチ40には支障なく締結油圧が供給され続ける。
なお、以上の実施形態は、エンジン再始動後にDレンジで発進する場合であったが、LRブレーキ60は前進1速(前進発進段)だけでなく後退速(後退発進段)でも締結されるので、本発明を、エンジン始動後にRレンジで発進する場合に適用することも可能である。これにより、エンジン再始動後にRレンジで発進するときの後退速が確実に応答性よく達成され、締結ショックが抑制される。
また、Pレンジは、自動変速機1の出力ギヤ4が機械的にロックされる以外は、油圧回路100がNレンジと同じ状況なので、図10において、Nレンジに代えてPレンジとしてもよい。すなわち、本発明は、上記Dレンジ再始動及びN→Dセレクト再始動の他、N→Rセレクト再始動、P→Dセレクト再始動、P→Rセレクト再始動等にも適用可能である。
1 自動変速機
3 変速機ケース
40 ロークラッチ
60 ローリバースブレーキ(摩擦要素)
62 クリアランス調整用ピストン(Bピストン)
63 押圧用ピストン(Aピストン)
64 B室(クリアランス調整用ピストンの油圧室)
65 A室(押圧用ピストンの油圧室)
68 摩擦板
101 電動オイルポンプ
102 機械式オイルポンプ
200 制御装置(アイドルストップ手段、油圧制御手段)
3 変速機ケース
40 ロークラッチ
60 ローリバースブレーキ(摩擦要素)
62 クリアランス調整用ピストン(Bピストン)
63 押圧用ピストン(Aピストン)
64 B室(クリアランス調整用ピストンの油圧室)
65 A室(押圧用ピストンの油圧室)
68 摩擦板
101 電動オイルポンプ
102 機械式オイルポンプ
200 制御装置(アイドルストップ手段、油圧制御手段)
Claims (6)
- 所定の停止条件成立時にエンジンを自動停止させ、エンジン自動停止状態で所定の再始動条件成立時にエンジンを再始動させるアイドルストップ手段を有する車両に搭載される自動変速機の制御装置であって、
上記自動変速機の発進段で締結される摩擦要素と、
上記摩擦要素を締結するための油圧の制御を行う油圧制御手段とを有し、
上記摩擦要素は、
摩擦板と、摩擦板を押圧する押圧用ピストンと、押圧用ピストンを相対移動可能に支持するクリアランス調整用ピストンとを備え、
上記クリアランス調整用ピストンに第1油圧が供給されたときに上記クリアランス調整用ピストンがストロークすることにより上記押圧用ピストンが摩擦板に接して摩擦板のクリアランスがゼロとなり、この状態から上記押圧用ピストンに第2油圧が供給されたときに上記押圧用ピストンが上記摩擦板を押圧することにより締結状態となるように構成され、
上記油圧制御手段は、上記アイドルストップ手段によるエンジン自動停止中は、上記クリアランス調整用ピストンに上記第1油圧を供給し、上記押圧用ピストンに上記第2油圧よりも低いが押圧用ピストンの油圧室に負圧を生じさせない第3油圧を供給することを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項1に記載の自動変速機の制御装置において、
上記油圧制御手段は、上記アイドルストップ手段によるエンジン再始動時は、上記押圧用ピストンに供給していた第3油圧を排出することを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項2に記載の自動変速機の制御装置において、
上記油圧制御手段は、エンジン回転数が所定回転数に達するまで上記第3油圧の排出を維持することを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の自動変速機の制御装置において、
上記摩擦要素は、変速機ケースに設けられたブレーキ要素であることを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項4に記載の自動変速機の制御装置において、
上記ブレーキ要素は、前進1速及び後退速で締結されるローリバースブレーキであることを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の自動変速機の制御装置において、
上記アイドルストップ手段によるエンジン自動停止中に上記自動変速機の摩擦要素に供給される油圧を生成する電動オイルポンプが備えられ、
上記電動オイルポンプは、アイドルストップの際、上記エンジンが自動停止される前から駆動されることを特徴とする自動変速機の制御装置。
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