添付の図面を参照して、例示的な洗濯機が以下に説明される。洗濯機は、以下の説明によって、明確に理解可能である。「上」、「下」、「左」や「右」といった方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とする。したがって、これらの用語は、限定的に解釈さ
れるべきものではない。洗濯機能に付随した様々な機能は、後述の実施形態の原理を何ら限定しない。
<洗濯機の構造>
図1は、洗濯機100の概略的な斜視図である。図2は、図1の洗濯機100の上筐体620および蓋体700の斜視図である。更に、図3は、洗濯機100の模式的な構造図である。図1乃至図3を参照して、洗濯機100が説明される。なお、本実施形態に係る洗濯機100は、衣類を洗浄する洗濯機能だけでなく、乾燥機能を有する。他の実施形態において、洗濯機100は乾燥機能を有さない態様でもよい。
洗濯機100は、筐体600と、蓋体700と、操作パネル800と、を備える。
筐体600には、洗濯機100の洗浄および乾燥動作のためのさまざまな部材が収容されている。筐体600は、略直方体形状からなる。筐体600は、下筐体610と、上筐体620と、を含む。上筐体620は、下筐体610の上方に配置される。下筐体610内には、洗濯槽500(図2、図3)が収容される。洗濯槽500は、上方が開口された円筒体であり、衣類を洗浄する洗浄動作を行う。洗浄動作は、既知の様々な洗濯機の洗濯槽が行う動作であってもよい。本実施形態の原理は、洗濯槽500によって実行される特定の洗浄動作に限定されない。
蓋体700は、上筐体620に取り付けられる。蓋体700は、上筐体620上で上下に回動する。図2に示される如く、使用者は、蓋体700を上方に回動することができる。上筐体620には、衣類投入口621が形成される。使用者が、蓋体700を上方に回動すると、洗濯槽500は、衣類投入口621を通じて露出する。使用者は、衣類を、衣類投入口621を通じて、洗濯槽500へ投入することができる。
また、洗濯機100は、洗濯槽カバー622を備える。洗濯槽カバー622は、洗濯槽500の上方を覆うように、上筐体620に対して回動可能に配置される。図1では、洗濯槽カバー622が閉状態とされ、洗濯槽500が封止されている。この状態では、洗濯機100において乾燥動作が実行可能とされる。一方、使用者が衣類投入口621を介して洗濯槽500に衣類を投入する際には、洗濯槽カバー622の後端側に配置された不図示の支点部を支点として、洗濯槽カバー622の前端側が上方に回動する。この結果、洗濯槽500が衣類投入口621に連通する。
操作パネル800は、上筐体620のうち衣類投入口621の後方に配置される。使用者は、操作パネル800を操作し、洗濯槽500の様々な動作を設定することができる。
<給水構造>
図3を参照して、洗濯機100は、給水口200と、給水ユニット300と、洗剤ケース400と、を備える。使用者は、水を、給水口200から洗濯機100に供給することができる。水は、給水ユニット300及び洗剤ケース400を順次通過し、洗濯槽500へ至る。
洗剤ケース400は、水と洗剤とから洗剤液を生成する。洗剤ケース400は、取っ手部440(図1、図2)を備える。洗剤ケース400の取っ手部440は、衣類投入口621に臨む。したがって、使用者は、蓋体700を上方に回動し、洗剤ケース400にアクセスすることができる。
洗剤ケース400は、更に、第1室410と、第2室420と、第3室430と、を含む。使用者は、第1室410に粉洗剤を収容することができる。使用者は、第2室420
に液体洗剤を収容することができる。使用者は、第3室430に柔軟剤や衣類の繊維に作用する他の仕上剤を収容することができる。尚、第3室430は、必ずしも必要とされない。本実施形態の原理は、第3室430によっては何ら限定されない。なお、洗剤ケース400の構造については、後記で更に詳述する。
給水ユニット300は、給水弁310と、流路構造部320と、を含む。給水ユニット300は、洗剤液を洗濯槽500に流下させる機能を備える。給水弁310は、水の経路を、第1室410及び第2室420へ向かう第1経路FPと第3室430へ向かう第2経路SPとの間で切り替える。本実施形態では、給水口200から給水される上水道の水圧が変化した場合であっても、給水弁310は、毎分5リットルから15リットルの範囲で第1経路FPまたは第2経路SPに水を供給する。尚、第2経路SPは、必ずしも必要とされない。本実施形態の原理は、第2経路SPによっては何ら限定されない。
流路構造部320は、洗剤ケース400の第1室410及び第2室420へ水を供給するための流路を規定する。給水弁310が、第1経路FPを開くと、水は、流路構造部320を通じて、第1室410及び第2室420へ供給される。この結果、第1室410内の粉洗剤及び第2室420内の液体洗剤は、水と混合される。粉洗剤及び液体洗剤は、水とともに、洗濯槽500へ供給される。洗濯槽500は、粉洗剤及び液体洗剤の水溶液中で衣類を攪拌し、衣類を洗浄することができる。
一方、給水弁310が、第2経路SPを開くと、水は、第3室430へ供給される。第3室430内の仕上剤は、水と混合される。仕上剤は、水とともに、洗濯槽500へ供給される。洗濯槽500は、仕上剤の水溶液中で衣類を濯ぎ、衣類に所望の特性(例えば、柔軟性)を与えることができる。
<給水ユニットの構造>
図4は、本実施形態に係る洗濯機100の給水ユニット300の斜視図である。図5は、給水ユニット300から後記の蓋部340が取り外された状態の斜視図である。図6は、給水ユニット300のハウジング250の分解斜視図である。図7は、給水ユニット300の上面図である。図8Aは、給水ユニット300に装着される洗剤ケース400の分解斜視図、図8Bは、同斜視図である。図9Aは、給水ユニット300の上面図、図9Bおよび図9Cは、同断面図である。なお、図9Bの断面図は、図9Aを断面X−Xで切断した図に相当し、図9Cの断面図は、図9Aを断面Y−Yで切断した図に相当する。図10は、図9Cで示される給水ユニットの断面斜視図である。図11Aは、給水ユニット300を構成する保持箱350の上面図、図11Bは、同正面図である。図12Aは、図5の給水ユニット300から洗剤ケース400が取り外された状態の上面図、図12Bは、同正面図であり、図12Cは、同断面図である。なお、図12Cの断面図は、図12Aを断面X−Xで切断した図に相当する。図13は、給水ユニット300の断面斜視図である。以下、図4乃至図13を参照して、給水ユニット300が説明される。なお、図1および図2では、給水ユニット300の全体は現れていないが、給水ユニット300は、図2の操作パネル800の下方において上筐体620に収容されている。
給水ユニット300は、ハウジング250を備える。ハウジング250は、給水ユニット300の本体部分であって、図4に示すように略直方体形状からなる。更に、給水ユニット300は、それぞれハウジング250の後端部に装着された第1導水筒311と、第2導水筒312と、第3導水筒313と、風呂水ポンプ314と、ハウジング250の下方部分に装着された排水経路550(図5)とを備える。本実施形態において、排出部は、排水経路550によって例示される。
第1導水筒311は、図3を参照して説明された第1経路FPの上流端であってもよい
。第2導水筒312は、図2を参照して説明された第2経路SPの上流端であってもよい。第3導水筒313は、給水ユニット300内において、第1導水筒311および第2導水筒312とは異なる経路に水を導通させる。図3を参照して説明された給水弁310は、第1導水筒311及び第2導水筒312に取り付けられる。給水弁310が、第1導水筒311を開いている間、第2導水筒312は閉じられる。給水弁310が、第2導水筒312を開いている間、第1導水筒311は閉じられる。洗濯槽500において洗剤を用いた洗浄動作が実行される場合、第1導水筒311が開かれる。また、洗濯槽500において、すすぎ動作が実行される場合、第2導水筒312が開かれる。なお、すすぎ動作が実行される場合、第1導水筒311および第2導水筒312が交互に開かれてもよい。
風呂水ポンプ314は、第1経路FPに連通されている。風呂水ポンプ314は、不図示の風呂水給水口に連結され、風呂水を洗剤ケース400に給水する。
排水経路550は、ハウジング250の後記の第1流水部353および第2流水部352から水または洗剤液を受け取り、洗濯槽500に向かって排出する。図13を参照して、排水経路550は、蛇腹部550Aと、排水口550Bと、逆止弁550Cとを備える。蛇腹部550Aは、排水経路550の上流側部分に配置される。排水口550Bは、排水経路550の下流側部分に配置され、水または洗剤液が下方に向かって排出される。なお、排水口550Bは、洗濯槽カバー622(図1)の後方に配置され、洗濯槽500に直接連通している。逆止弁550Cは、排水口550Bにおいて開閉可能に配置された弁である。洗濯槽500において乾燥動作が実行されると、洗濯槽500内の圧力によって逆止弁550Cが閉じられる。一方、給水ユニット300から洗濯槽500に向かって水が給水される際には、水の圧力によって逆止弁550Cが開放される。なお、逆止弁550Cの周辺では、水の流れの経路において部分的に断面積が縮小されている。そして、逆止弁550Cの上流側には、洗剤液を攪拌する攪拌空間550Sが形成されている。
<ハウジングの詳細構造>
図6を参照して、ハウジング250は、収容箱330と、蓋部340とを備える。収容箱330は、ハウジング250の下方部分に配置される。蓋部340は、ハウジング250の上方に配置される。
<収容箱の構造>
図3を参照して説明された洗剤ケース400は、収容箱330内に収容される。使用者は、洗剤ケース400を収容箱330から引き出すことができる。
収容箱330は、保持箱350と、流路箱360とを備える。また、収容箱330は、保持箱350と流路箱360とに共有される共有壁361を含む。共有壁361は、後方から前方に向かって先下がりの傾斜面からなる。共有壁361は、流路箱360へ流入した水を支持する。なお、図6に示すように、共有壁361の後端部の右側は、給水弁310などを配置するために部分的に切り欠かれている。
<流路箱の構造>
流路箱360は、上記の共有壁361を含み、収容箱330の上方部分を画定する。図3を参照して説明された流路構造部320は、収容箱330と一体的に形成される。図6および図7を参照して、流路箱360は、周壁部362と、第1内壁363と、第2内壁364と、第3内壁365と、第4内壁366と、突出部367とを備える。
周壁部362は、図7に示すように、共有壁361の外周縁の内側において、前記外周縁に沿って延設される壁部である。周壁部362は所定の高さをもって、共有壁361から上方に突設されている。周壁部362は、上面視で略矩形形状となるように無端状に延
設され、周壁部362の内側には複数の水路が形成されている。
第1内壁363から第4内壁366の内壁は、周壁部362の内側の領域に延設されている壁部である。第1内壁363は、周壁部362の内側の領域のうち、左端部に配置される。第1内壁363は、後方から前方に向かって延設された後、前端側が後方かつ右方に向かって屈曲されている。第2内壁364は、第1内壁363の右側において、第1内壁363に沿って配置される。第2内壁364は、上面視で略台形形状となるように無端状に延設されている。第2内壁364の左側および前側の壁部は、第1内壁363と平行に延設されている。
第3内壁365は、共有壁361の略中央部に配置された壁部である。第3内壁365は、上面視で略矩形形状となるように無端状に延設されている。第3内壁365の内側には、後記の第3内部流路383が形成されている。なお、第3内壁365の左側の壁部は、第1内壁363の右端縁および第2内壁364の右側の壁部に連結されている。第4内壁366は、第2内壁364および第3内壁365の後側で、左方から右方に向かって延設されるとともに、その右端部が前方に屈曲され、周壁部362の前側の壁部と交差するまで延設されている。
突出部367は、第4内壁366の角部に隣接して配置されている。突出部367は、共有壁361の一部が下方に没することで形成された突出部である(図6参照)。突出部367の内部には、上下方向に延設された空間部が形成されている。
更に、流路箱360は、第1孔部371と、第2孔部372と、第3孔部373と、第4孔部374と、第5孔部375と、吹き出し口376とを備える。
第1孔部371および第2孔部372は、第1内壁363と第2内壁364との間において、共有壁361を上下方向に貫通して形成された孔部である。第3孔部373は、第1内壁363と第2内壁364との間において、第3内壁365を左右方向に貫通して形成された孔部である(図5参照)。第4孔部374は、第3内壁365の内側の後端部において、共有壁361を上下方向に貫通して形成された孔部である。第5孔部375は、第3内壁365の内側の前端部において、共有壁361を上下方向に貫通して形成された孔部である。なお、第4孔部374および第5孔部375は、それぞれ3つずつ形成されている。吹き出し口376は、突出部367の下端部において、前側に向かって開口された孔部である。吹き出し口376は、左右に一対配置されている(図12C参照)。吹き出し口376の高さ方向の位置は、後記の第1流水部353および第2流水部352を流れる洗剤液の水面よりも上方に配置されている。なお、図13に示す断面斜視図は、一対の吹き出し口376のうち右側の吹き出し口376を通る鉛直面で、給水ユニット300を切断した断面図に相当する。
更に、流路箱360は、第1内部流路381と、第2内部流路382と、第3内部流路383と、第4内部流路384と、を備える。第1内部流路381から第3内部流路383は、本実施形態の流路構造部320を構成する。
第1内部流路381は、流路箱360の左側に形成された水路である。第1内部流路381は、洗剤ケース400に水を注水する。第1内部流路381は、第1内壁363および第2内壁364によって画定され、水を後方から前方に導いたのち、右方かつ後方に向かって導く(図7の矢印D71、D72参照)。前述の第1孔部371および第2孔部372は、第1内部流路381内の水を洗剤ケース400の第1室410に注水する。
第2内部流路382は、流路箱360の後側に形成された水路である。第2内部流路3
82は、第1内部流路381から分岐され、洗剤ケース400を迂回して後記の排水経路550に水を注水する。第2内部流路382は、第2内壁364および第3内壁365と、第4内壁366とによって画定され、水を右方に向かって導く(図7の矢印D74参照)。また、第2内部流路382の下流側は、突出部367の内部空間を下方に向かって延びている。
第3内部流路383は、第2内壁364の内側に形成された水路である。第3内部流路383は、洗剤ケース400に水を注水する。なお、第3内部流路383は、上記の第3孔部373を介して、第1内部流路381に連通しており、水は第1内部流路381から第3内部流路383に進入する(図7の矢印D73参照)。前述の第4孔部374および第5孔部375は、第3内部流路383内の水を洗剤ケース400の第2室420に注水する。第4内部流路384は、第4内壁366と周壁部362との間に形成された水路である。
<保持箱の構造>
図6を参照して、保持箱350は、収容箱330の下方部分を画定する。流路箱360と保持箱350との間には、洗剤ケース400が装着されるケース挿入部331が形成される(図12B参照)。洗剤ケース400は後方に向かってケース挿入部331に装着される。このため、ケース挿入部331(保持箱350)の前面部分は開口されている。また、流路箱360が保持箱350に装着されるために、保持箱350の上方部分も開口されている。保持箱350には、流路箱360または洗剤ケース400から、洗剤液または水が流入する。そして、本実施形態では、保持箱350の下方部分が、流水部として機能する。本実施形態では、装着部は、ケース挿入部331によって例示される。
図6および図11A、図11Bを参照して、保持箱350は、右壁350Aと、左壁350Bと、後壁350Cと、第1底部350Dと、前縁部350Eと、中間壁部350Fと、第2底部350Gと、左支持部350Hと、を備える。
右壁350Aおよび左壁350Bは、それぞれ、保持箱350の右側および左側の側壁である。後壁350Cは、保持箱350の後側の壁部であって、右壁350Aおよび左壁350Bの後端部を接続する。第1底部350Dは、保持箱350の前側に形成された底部である。前縁部350Eは、保持箱350の前側の開口部を形成する端縁である。第2底部350Gは、保持箱350の後側に形成された底部である。第2底部350Gは、保持箱350の底部が段差を有するように、第1底部350Dよりも下方に配置される。なお、前述の排水経路550の逆止弁550Cは、第2底部350Gよりも下方に配置されている(図13参照)。
中間壁部350Fは、第1底部350Dと第2底部350Gとを上下方向に連結する側壁である。左支持部350Hは、第1底部350Dの一部であって、左壁350Bの下端部に連結される。左支持部350Hは、第1底部350Dの右側端部とともに洗剤ケース400を支持する。
更に、保持箱350は、仕切り板351と、第1流水部353と、第2流水部352と、保持箱排出口354と、ピン355と、を備える。本実施形態において、流水部は、第1流水部353および第2流水部352によって例示される。また、本実施形態において、排出口は、保持箱排出口354によって例示される。
仕切り板351は、第1底部350Dおよび第2底部350Gから上方に向かって突設された板状部材である。仕切り板351は、第1流水部353と第2流水部352とを仕切る機能を備える。仕切り板351は、第1仕切部351Aと、第2仕切部351Bと、
第3仕切部351Cと、第4仕切部351Dと、を備える。第1仕切部351Aは、第1底部350Dの左端部において前縁部350Eに沿って配置されている。第2仕切部351Bは、第1仕切部351Aの右端部から後方に向かって延びている。第3仕切部351Cは、第2仕切部351Bの後端部から右方に向かって延びている。第4仕切部351Dは、第3仕切部351Cの右端部から前方に向かって延びている。なお、第4仕切部351Dの前端部は、中間壁部350Fに接している(図11A、図11B)。
第2流水部352は、保持箱350の底部のうち前側(洗剤ケース400の装着方向の後端側)に形成された空間部である。第2流水部352には、洗剤ケース400の第2室420から洗剤液が流入する。第1流水部353は、保持箱350の底部のうち後側(洗剤ケース400の装着方向の先端側)に形成された空間部である。第1流水部353には、洗剤ケース400の第1室410および第2室420から洗剤液が流入する。第1流水部353および第2流水部352に流入した水は、第2底部350Gの右側部分に向かって移動するように(図11Aの矢印D111、D112)、第2底部350Gには勾配が設けられている。
図11Bを参照して、保持箱排出口354は、中間壁部350Fの右端部に開口された円形状の開口部である。保持箱排出口354は、前述の排水経路550の蛇腹部550Aに接続されている。保持箱排出口354から、第1流水部353および第2流水部352の水(洗剤液)が排水経路550に向かって排出される。なお、図11Aに示すように、仕切り板351の第4仕切部351Dの前端部は、保持箱排出口354に対向するように中間壁部350Fに接続されている。このため、第1流水部353および第2流水部352は、排水経路550において合流する。特に、本実施形態では、図11Bに示すように、排水経路550側から保持箱排出口354を見た場合、第1流水部353側の保持箱排出口354の断面積と第2流水部352側の断面積が略同一となるように第4仕切部351Dが配置されている。特に、本実施形態では、保持箱排出口354が第4仕切部351Dによって半円形状に均等に分割されている。なお、保持箱排出口354が均等に分割されるとは、必ずしも分割された領域の断面積が一致する態様に限定されるものではない。第1流水部353および第2流水部352から安定して洗剤液が排出されるように、分割された領域の断面積がそれぞれ確保されればよい。
また、前述の突出部367の下端部は、第4仕切部351Dの上端縁よりも所定の間隔をおいて上方に配置されている(図12C)。そして、突出部367に開口された一対の吹き出し口376は、それぞれ第4仕切部351Dに対して左方および右方に位置している。
ピン355は、第1流水部353の下流側において、第2底部350Gから突出する複数の突起である。ピン355は、第4仕切部351Dの右方において、前後および左右方向に隣接して複数配置されている。これら複数のピン355は、第1流水部353から排水経路550に向かう洗剤液の流れを部分的に規制する。
<蓋部の構造>
図6を参照して、蓋部340は、流路箱360の共有壁361に対向する。周壁部362、第1内壁363から第4内壁366は、蓋部340と共有壁361との間で立設され、前述の第1内部流路381から第4内部流路384を形成している。図3を参照して説明された流路構造部320は、蓋部340と、流路箱360と、第1導水筒361と、第2導水筒362と、を含む。設計者は、蓋体に様々な形状を付与し、流路箱内の流動抵抗を調整してもよい。蓋体の設計技術が以下に説明される。
蓋部340は、前後および左右方向に延びる板状部材である。蓋部340は、第1蓋部
流路341と、第2蓋部流路342とを備える。第1蓋部流路341および第2蓋部流路342は、蓋部340の後端部が部分的に上方に没することで形成される。第1蓋部流路341および第2蓋部流路342は、上面視で略L字型からなる水の流路を形成している。蓋部340の下面は、周壁部362、第1内壁363から第4内壁366の上縁に、超音波技術によって溶着されてもよい。
<洗剤ケースの構造>
図8Aおよび図8Bを参照して、洗剤ケース400は、前述の取っ手部440と、第1区画壁411と、第2区画壁421と、第3区画壁431と、を備える。使用者は、取っ手部440を握持し、ケース挿入部331(図12B)から洗剤ケース400を引き出すことができる。第1区画壁411は、上方に開口した第1室410を区画する。第1区画壁411の上方部分には、投入開口部412が形成されている。使用者は、収容箱330から洗剤ケース400を引き出し、投入開口部412から第1室410に粉洗剤を供給することができる。第2区画壁421は、上方に開口した第2室420を区画する。第3区画壁431は、上方に開口した第3室430を区画する。
洗剤ケース400は、更に、第1サイホン蓋422と、第2サイホン蓋432と、を含む。第1サイホン蓋422は、第2室420からの水の排出に利用される。第2サイホン蓋431は、第3室430からの水の排出に利用される。
第1サイホン蓋422は、第1蓋板423と、第1外筒424と、第1投入口425とを含む。第1蓋板423は、第2室420の上方を覆う。第1外筒424は、第1蓋板423の後側から下方に突出する円筒部である。第1投入口425は、第1蓋板423の前側に開口された開口部である。
第2区画壁421は、第1底板426と、第1内筒427と、を含む。第1底板426は、第1サイホン蓋422の第1蓋板423に対向する。第1内筒427は、第1底板426から上方に突出する。図8Bに示すように、第1サイホン蓋422が第2室420を部分的に閉じると、第1内筒427は第1外筒424に挿入され、サイホン構造を形成する。第2室420内の液体は、サイホン原理に従って、第1内筒427と第1外筒424との間の空隙に流入する。その後、液体は、第1内筒427内を流下し、洗剤ケース400から排出される。
第2サイホン蓋432は、第2蓋板433と、第2外筒434と、第2投入口435とを含む。第2蓋板433は、第3室430の上方を覆う。第2外筒434は、第2蓋板433の後側から下方に突出する円筒部である。第2投入口435は、第2蓋板433の前側に開口された開口部である。
第3区画壁431は、第2底板436と、第2内筒437と、を含む。第2底板436は、第2サイホン蓋432の第2蓋板433に対向する。第2内筒437は、第2底板436から上方に突出する円筒部である(図13参照)。図8Bに示すように、第2サイホン蓋432が第3室430を部分的に閉じると、第2内筒437は第2外筒434に挿入され、サイホン構造を形成する。第3室430内の液体は、サイホン原理に従って、第2内筒437と第2外筒434との間の空隙に流入する。その後、液体は、第2内筒437内を流下し、洗剤ケース400から排出される。
図8Bを参照して、使用者は、ケース挿入部331(図12B)から洗剤ケース400を引き出し、第1投入口425から、第2区画壁421によって区画された第2室420に液体洗剤を供給することができる。また、使用者は、ケース挿入部331から洗剤ケース400を引き出し、第2投入口435から、第3区画壁431によって区画された第3
室430に仕上剤を供給することができる。
<水の流れについて>
以下、図3乃至図13を参照して、洗濯機100における水の流れが更に説明される。
洗濯槽500において、洗剤を含む洗剤液によって衣類の洗浄動作が実行される。この際、第1導水筒311が開かれ、第1経路FPに水が流入する。詳しくは、第1導水筒311から流入した水は、流路箱360の後端部に形成された第1内部入水口381A(図6、図7)から上方に向かって、第1蓋部流路341の第1蓋部入水口341A(図6)に進入する。水は第1蓋部流路341内を流れた後、第1蓋部流出口341B(図6)から下方に向かって、第1内部流路381の第1内部導水口381B(図7)に流入する。その後、水は、第1内部流路381を前方に向かって流れる(図7の矢印D71)。この際、一部の水が、第1孔部371および第2孔部372から下方に落下し(図9Bの矢印D91、D92)、洗剤ケース400の第1室410に進入する。そして、第1室410内に収容された粉洗剤が溶解され、第1室410内に洗剤液が生成される。
一方、図7を参照して、第1内部流路381において、第1孔部371および第2孔部372を通り過ぎた水は、第1内部流路381を更に右方に向かって進み(図7の矢印D72)、第3孔部373から第3内部流路383に進入する。その後、水は第4孔部374および第5孔部375から下方に落下し(図10の矢印D101、D102)、第2室420に進入する。なお、第5孔部375から落下した水は、第1投入口425を通過しながら、第2室420に流入する。そして、第2室420内に収容された液体洗剤が溶解され、第2室420内に洗剤液が生成される。
また、本実施形態では、給水弁310(図2)から供給される水の流量が、下限の毎分5リットルの場合であっても、各孔部から洗剤ケース400に流入する水の流速が毎秒0.3メートルとなるように、流路箱360の各孔部の形状および位置が設定されている。また、粉洗剤を安定して溶解するために、第1孔部371および第2孔部372から落下する水の落下点を中心として半径30mmの範囲に粉洗剤が収容されるように、第1室410が配置されている。
第1室410が洗剤液で充満されると、洗剤液は第1区画壁411の後端縁から後方に溢れ出す(図8Bの矢印D81、図9Bの矢印D93)。なお、第1区画壁411の後端縁と保持箱350の後壁350C(図6)との間には予め隙間が形成されている。第1区画壁411から溢れ出した洗剤液は、保持箱350の仕切り板351よりも後方の第1流水部353(図11A)に進入した後、仕切り板351に沿って保持箱排出口354に向かって流れる(図11Aの矢印D111)。
また、第2室420内に洗浄液が貯留され始めると、第1外筒424および第1内筒427のサイホン効果によって、洗浄液は第1内筒427から下方に落下する(図10の矢印D103)。この際、洗剤液は、保持箱350の仕切り板351よりも前方の第2流水部352(図11A)に進入した後、仕切り板351に沿って保持箱排出口354に向かって流れる(図11Aの矢印D112)。
また、第1内筒427から洗浄液が落下する間、第4孔部374および第5孔部375から水が更に第2室420に進入すると、第2室420が洗剤液で充満される。この結果、洗浄液の一部は、第2区画壁421の後端縁から後方に溢れ出す(図8Bの矢印D82、図10の矢印D104)。なお、第2区画壁421の後端縁と保持箱350の後壁350C(図6)との間にも予め隙間が形成されている(図10参照)。第2区画壁421から溢れ出した洗剤液は、保持箱350の第1流水部353(図11A)に進入した後、第
1区画壁411から溢れた粉洗剤の洗剤液とともに、仕切り板351に沿って保持箱排出口354に向かって流れる(図11Aの矢印D111)。
図11A、図13を参照して、第2流水部352から保持箱排出口354に至った洗剤液は、排水経路550に流入する。一方、第1流水部353から保持箱排出口354に至る洗剤液は、保持箱排出口354の直前で複数のピン355の間を通過する。この際、洗剤液の攪拌が促進されながら、洗剤液が排水経路550に流入する。特に、第1流水部353を流れる洗剤液には粉洗剤が含まれている。このため、ピン355によって、粉洗剤の溶解が更に促進される。また、ピン355が洗剤液の流れを一時的に妨げるため、第1室410および第2室420から第1流水部353に多くの洗剤液が流入した場合であっても、これらの洗剤液が充分に攪拌されないまま洗濯槽500に供給されることが抑止される。
排水経路550に流入した洗剤液は、断面積が部分的に縮小された逆止弁550Cの周辺において一時的に滞留するため、攪拌空間550Sにおいて洗剤液の滞留部が形成される。
図7に戻って、本実施形態では、第1内部導水口381Bから第1内部流路381に流入した水の一部は、第2内部流路382を通過しながら(図7の矢印D74)、洗剤ケース400を迂回して、突出部367の内部を落下する(図13の矢印D131)。そして、これらの水は、突出部367の下端部に開口された一対の吹き出し口376から下方かつ前方に向かって噴出される。この際、本実施形態では、水は、攪拌空間550Sにおいて滞留した洗剤液に向かって噴出される(図13の矢印D132)。したがって、洗濯槽500に流入する前に、排水経路550において洗剤液が強く攪拌され泡立つ。また、ノズル状の吹き出し口376から噴出される水の水圧で、攪拌空間550Sに滞留する洗剤液を洗濯槽500側に押し込むため、攪拌空間550Sに滞留する洗剤液および泡が保持箱350側に逆流することが抑止される。また、保持箱350よりも下流側の排水経路550において洗剤液が泡立つため、保持箱350の内部が多くの泡で充満することが防止される。
また、本実施形態では、上記のように分流された水によって洗剤液が攪拌されるため、洗剤液を生成、攪拌するために専用の駆動部(モーター)を備える必要がない。また、洗剤ケース400内に多量の水が流入され洗剤ケース400内で洗剤が攪拌される場合と比較して、給水ユニット300からの水漏れが防止される。この結果、給水ユニット300がコンパクトになるとともに、上記のような水漏れが抑止される。
なお、吹き出し口376から噴出される水の流速は、主に突出部367の内部空間に貯留される水の量で決定される。したがって、給水弁310から給水される水道水の流量が変動した場合であっても、攪拌空間550Sの洗剤液に対して安定した攪拌力が与えられる。また、線状に噴出される水の力で洗剤液が攪拌されるため、攪拌機能に多量の水を消費することがない。
また、一対の吹き出し口376は、仕切り板351の第4仕切部351Dに対して第1流水部353側に向かって水を噴出する吹き出し口と、第2流水部352側に向かって水を噴出する吹き出し口とからなる(図13の矢印D132)。このため、第1流水部353および第2流水部352から排水経路550に流入する洗剤液が、それぞれ安定して攪拌される。
また、本実施形態では、上記のように、第1経路FPから流路構造部320に流入する水の一部が、第1内部流路381から第2内部流路382に分流される。なお、本実施形
態では、一例として、給水弁310から供給される水の流量が、上限の毎分15リットルの場合、第1内部流路381から第2内部流路382側に流れる水の流量は、毎分7リットルである。一方、第1内部流路381を引き続き流れる水の量は、毎分4リットルである。その他、風呂水ポンプ314に流れる呼び水が毎分2リットル、洗濯機100内の不図示の熱交換器に流れる水が毎分2リットルである。したがって、第1内部流路381の下流側に流れる水の流量は、第2内部流路382に流入する水の流量よりも小さい。このため、洗濯槽500に水を給水する時間が短縮されるために、給水ユニット300から洗濯槽500に流入させる水の流量が大きく設定された場合であっても、洗剤ケース400の周辺から給水ユニット300の外側、特に、ハウジング250の前面部から水が漏れることが抑止される。
更に、本実施形態では、上記のように、仕切り板351が流路箱360内の流水部を2つに仕切っている(第1流水部353、第2流水部352)。このため、第1流水部353および第2流水部352における洗剤液の水面が上昇し、洗剤液の逆止弁550Cに対する高さh(図13)が高く設定される。なお、逆止弁550Cにおける水路の断面積をs、重力加速度をgとした場合、逆止弁550Cを通過する洗剤液の流速v(m/sec)は、v=(2×g×h)0.5で決定される。また、逆止弁550Cを通過する洗剤液の流量Q(m3/sec)は、Q=s×vで決定される。なお、本実施形態では、Q=毎分6リットルとなるように、給水ユニット300の各部材の形状、性能および配置などが設定されている。
このように、仕切り板351によって、洗剤液の水面の高さが確保される。このため、第1流水部353および第2流水部352から排水経路550に向かって安定した流れが形成され、洗剤液の逆流が防止される。また、このように保持箱350の流水部の内部で水面が高められるとともに、吹き出し口376から噴出される水によって洗剤液が流されるため、逆止弁550Cに対して保持箱350の第2底部350Gをより高い位置に配置する必要がない。したがって、給水ユニット300が上下方向においてコンパクトに設定される。
更に、前述のように、第1流水部353および第2流水部352は排水経路550で合流するため、両者の水面の高さが異なる場合であっても、一方の流水部から他方の流水部に洗剤液が逆流することが抑止される。また、仕切り板351が保持箱排出口354を略半分に仕切っているため、第1流水部353および第2流水部352のうち水面の高さが低い方の流水部からも安定して排水経路550に洗剤液を流入させることができる。
特に、本実施形態では、前述のように、第1室410および第2室420の後側から溢れた洗剤液が第1流水部353に流入し、第2室420の第1内筒427から第2流水部352に洗剤液が流入する。なお、本実施形態では、給水弁310から供給される水の流量が、上限の毎分15リットルの場合、第1室410および第2室420には毎分2リットルずつ水が流入する。このため、洗剤ケース400から後方の第1流水部353に流入する洗剤液の流量よりも、洗剤ケース400から前方の第2流水部352に流入する洗剤液の流量の方が少ない。また、第1内筒427および第1外筒424はサイホン構造からなるため、第2流水部352への洗剤液の流量の上限がほぼ固定されている。したがって、ケース挿入部331の開口部側(前側)から洗剤液が漏れ出すことが特に抑止される。
洗濯槽500において、仕上剤を含む水によって衣類のすすぎ動作が実行される際には、第2導水筒312が開かれ、第2経路SPに水が流入する。詳しくは、第2導水筒312から流入した水は、流路箱360の後端部に形成された第2内部入水口384A(図6、図7)から上方に向かって、第2蓋部流路342の第2蓋部入水口342A(図6)に進入する。水は第2蓋部流路342内を流れた後、第2蓋部流出口342B(図6)から
下方に向かって、第4内部流路384の第2内部導水口384B(図7)に流入する。その後、水は、第4内部流路384を前方に向かって流れ、第4内部流路384に形成された不図示の孔部から下方に落下する。そして、洗剤ケース400の第3室430に進入した水は、仕上剤を含み、サイホン効果によって第2内筒437から落下する。その後、落下した水は、保持箱排出口354を介して排水経路550に流入し、洗濯槽500に供給される。
なお、第1孔部371および第2孔部372からの水の落下点から半径30mmの範囲に洗剤が収納されているので、給水弁310から供給される水の流量が下限の毎分5リットルの場合でも、洗剤が安定して溶解される。この結果、洗剤ケース400における洗剤残りが抑止される。また、同様に、供給される水の流量が下限の毎分5リットルの場合、第1孔部371、第2孔部372、第4孔部374および第5孔部375から流れる水の流速は毎秒0.3メートルに設定されている。この結果、供給される水の流量が上限の毎分15リットルの場合でも、第1孔部371、第2孔部372、第4孔部374および第5孔部375から流れる水の流速が毎秒0.9メートルに制限される。したがって、これらの孔部から落下する水の勢いで、洗剤ケース400内において泡が大量に発生することが抑止される。このため、ケース挿入部331から泡水が溢れ出すことが防止される。
<第2室の水の流れについて>
図14は、図4の蓋部340を下方から見た斜視図である。図15は、図4の給水ユニット300の断面図である。図16Aは、図4の洗剤ケース400洗剤ケース400を装着方向に押し込んだ第1の取り付け状態の断面図である。図16Bは、図4の洗剤ケース400を引き出した第2の取り付け状態の断面図である。図7、図10、図14、図15、図16Aおよび図16Bを参照して、液体洗剤を収容する第2室420に流れる水について説明する。
第1内部流路381から第3孔部373を通って第3内部流路383(注水流路)に流れる水は、第3孔部373の出口を略コの字型に囲うように蓋部340に一体に形成された注水仕切り板801によって一旦堰き止められる。注水仕切り板801の下方は、流路箱360との間で開口しており、注水排出部802を構成している。注水排出部802の開口面積は、第3孔部373の開口面積より大きく設定される。注水排出部802は、注水仕切り板801に沿って、ほぼ同じ隙間をあけるように形成される。
このような構成により、注水仕切り板801の内側で水位は上昇し、注水排出部802から排水される水の流速とバランスがとれる高さで安定する。すなわち、第3孔部373を流れる水の出口方向(D151)の流速が、注水仕切り板801によって、高さ(圧力)に置き換えられる。注水排出部802を流れる水は、第3孔部373の出口方向(D151)の影響は受けず、全周に向かって均一に流れる。
このとき、注水排出部802の断面積に、注水排出部802での流速を積算したものが、注水排出部802を流れる流量となり、この流量は、第3孔部373を流れる流量と同一である。さらに、注水排出部802を流れた水は、第4孔部374および第5孔部375の2つの注水口から流れる水の流量と同一である。本実施の形態では、給水弁310から供給される水の流量が、上限の毎分15リットルの場合、毎分2リットルが第3孔部373を流れる。第3孔部373の断面積に対し、注水排出部802の断面積を大きく設定されているため、第3孔部373での流速にくらべ、注水排出部802を流れる流速は、断面積の比に反比例して遅くなる。
第4孔部374(注水口)および第5孔部375(注水口)は、洗剤ケース400の装着方向である前後に沿って、2箇所に分けて2つの注水口として配置されている。図7に
示されるように、第4孔部374および第5孔部375はそれぞれ小さな3つの同じ口径の開口を有し、これらの開口面積の合計は、第3孔部373の開口面積より大きく設定されている。このため、第3孔部373での流速にくらべ、第4孔部374および第5孔部375を流れる流速は、断面積の比に反比例して遅くなる。第3内部流路383の水位は、第4孔部374および第5孔部375を流れる流速にバランスがとれる高さで安定する。第4孔部374および第5孔部375を流れる流速は、両方の孔部で同一であり、孔部の位置による偏りがない。このようにして、孔数を減らして流量を増やさなくても、第4孔部374および第5孔部375から注水する水の流れを均一にできる。これにより、第2室420の液体洗剤に水を強く当てることなく均一に攪拌でき、洗剤のあわ立ちを抑えて、洗剤ケース400からの水漏れを防止することができる。
図16Aは、洗剤ケース400を装着方向に押し込んだ装着状態を示す。この状態を洗剤ケース400の第1の取り付け状態とする。第1の取り付け状態は、洗濯機が、洗浄動作、すすぎ動作などの運転中であることを意図した取り付け状態である。図16Bは、洗剤ケース400を引き出した(装着方向とは逆方向に引いた)状態を示す。この状態を洗剤ケース400の第2の取り付け状態とする。第2の取り付け状態は、使用者が、洗剤ケースに洗剤、仕上げ剤を投入する動作を意図した取り付け状態である。
第1の取り付け状態では、第4孔部374を流れる水(図10のD102)と、第5孔部375を流れる水(図10のD101)とが、第2室420に供給される。第4孔部374と第5孔部375から流れる水の間には、第1外筒424などからなるサイホン構造が設けられている。このため、第2室420の前方と後方には、流量、流速にあまり偏りのない水の流れができ、第2室420の内部の洗剤は効率よく攪拌される。これにより、洗濯液中の洗剤濃度を高めることができ、洗浄性能を高くすることができる。また、洗浄動作後に、第2室420の内部に残存する液体洗剤をほとんどなくすことができ、すすぎ動作時に洗剤が洗濯槽に供給されることを防止できる。
もし、洗剤ケース400を引き出した第2の取り付け状態のまま、洗濯機が運転される場合には、第4孔部374を流れる水は、第2室420には供給されずに第2流水部352に直接供給される。そして、第5孔部375を流れる水だけが第2室420に供給され、注水口の数が少なくなり注水量が減少する。さらに、第1外筒424と第2内筒427で構成されるサイホンを通って第2流水部352に流れる流量は、第5孔部375を流れる流量より大きく設定されている。このため、第2の取り付け状態のまま洗濯機が運転される場合でも、第2室420に供給される水の量より、サイホンから排出される流量のほうが大きくなり、洗剤ケース400からの水漏れを防止できる。
<風呂水ポンプ呼び水の流れについて>
図17は、図4の給水ユニット300の断面斜視図で風呂水ポンプ314の近傍を示す。図18は、図4の給水ユニット300の断面斜視図で呼び水口851の近傍を示す。図6、図17および図18を参照して、風呂水ポンプ314の呼び水の流れを説明する。
風呂水ポンプ314は、図示しないインペラと呼ぶ羽根車を内蔵している。風呂水を効率よく汲み上げるためには、インペラの回転で負圧状態を作りやすいように、インペラを水没させる。インペラを確実に水没させるため、洗濯機を動作するたびに、風呂水ポンプ314の内部に、呼び水と呼ぶ水を供給する。給水ユニット300の一部に一体に構成した呼び水口851は、風呂水ポンプ314にパッキングなどで水密して接続している。第1内部流路381と呼び水口851との間には、呼び水流路852を設けており、第1内部流路381と呼び水流路852との間を連通する呼び水絞り部853を通って、呼び水が供給される。呼び水流路852の一部には、給水ユニット300の内側に開口する捨て水部854を構成している。捨て水部854から排出した水は、第1流水部353に排水
している。
これにより、第1内部流路381を流れる水の一部は、呼び水絞り部853、呼び水流路852、呼び水口851を通って、風呂水ポンプ314に供給される。呼び水流路852を流れる水の一部は、捨て水部854から第1流水部353に排水される。使用者が風呂水を汲み上げて洗浄、すすぎをする場合は、図示しない風呂水ホースの一方の端を風呂水中に水没させて、他方の端を風呂水ポンプ314の吸水口855に接続して、洗濯機を運転する。
使用者が風呂水を洗浄、すすぎに利用しない場合には、使用者は風呂水ホースを風呂水ポンプ314の吸水口855に接続しない。この場合でも、洗濯機を運転すると、風呂水ポンプ314には、呼び水が供給される。捨て水部854は、吸水口855よりも低い位置に開口している。捨て水部854を流れる水の流速は、風呂水ポンプ314内部の最高水位(吸水口855より低い)と、捨て水部854の高さの差によって決定される。この流速に捨て水部854の開口面積を積算すると、捨て水部854から排水できる流量が計算できる。本実施の形態では、呼び水絞り部853を通して供給される最大の流量は毎分2リットル流れるように設定している。捨て水部854から排水できる流量は、毎分2リットル以上になるように、捨て水部854の開口高さ、開口面積を設定している。
この構成によれば、呼び水流路852を流れる水を、呼び水口851を経由して風呂水ポンプ314に給水する流路と、捨て水部854から第1流水部353に排出する流路に分けることができる。このため、水道水圧が低く、流量が少ない場合でも風呂水ポンプ314の動作に必要な呼び水を確保することができるとともに、水道水圧が高く、流量が多い場合には、風呂水ポンプ314ではなく、捨て水部854から第1流水部353に余分な水を排出することができるので、風呂水ホースの有無にかかわらず、風呂水ポンプ314の吸水口855からの水溢れが抑止される。捨て水部854は、吸水口855より低く、また呼び水絞り部853に給水される流量より排出流量が大きくなるように捨て水部854の開口面積を設定しているので、風呂水ポンプ314の吸水口855からの水漏れをさらに抑止できる。
また、呼び水絞り部853の開口面積は、捨て水部854の開口面積より小さく設定している。呼び水絞り部853の開口面積が小さいので、第1内部流路381に、洗剤ケース400内の洗剤を攪拌して洗濯槽に排出するために必要な流量を確保して洗濯性能を高めるとともに、呼び水流路852内の圧力を第1内部流路381より低くすることができ、風呂水ポンプ314の吸水口855からの水溢れがさらに抑止される。同様に捨て水部854を流れる水の圧力を低くできるので、第1流水部353を流れる水の圧力も低くすることができる。このため、給水ユニット300から洗濯機本体への水溢れが抑止される。
呼び水口851の下方は凹んでいて、呼び水口凹部856を構成している。これにより、水道水圧が低く流量が低い場合でも、呼び水口凹部856を流れる流量を確実に風呂水ポンプ314に給水できるので、呼び水不足による風呂水ポンプ314の動作不良が防止される。
風呂水ポンプ314は、さらに、給水ユニット300の吐出口857にパッキングなどで水密に接続される。吐出口857は、流路箱360に接続している。洗濯機が運転されると、給水弁310が水道水を第1内部流路381に流し始める。呼び水が風呂水ポンプ314に十分供給されると、風呂水ポンプ314が動作し、羽根車で風呂水ポンプ314の内部を負圧にして風呂水ポンプ314に接続した風呂水ホース内部の空気を風呂水ポンプ314に吸い込み、風呂水を風呂水ホースに吸い込む。風呂水ホース内部の空気が無く
なると、風呂水を風呂水ポンプ314に吸い込んで、吐出口857から流路箱360をとおして、第1室410、および第2室420に風呂水を供給する。
以上、本発明の実施形態に係る洗濯機100について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
(1)上記の実施形態では、規制部材としてピン355を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。ピン355の代わりに水の流れの流路中にメッシュ部材が配置されてもよい。メッシュの開口部を洗剤液が通過することで、洗剤液の攪拌が促進される。また、メッシュ部材は、水の流れに沿って複数配置されてもよい。
(2)また、上記の実施形態では、第1内部流路381から第1室410および第2室420に水が流入する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。第1内部流路381から第1室410または第2室420の何れかに水が流入することで洗剤液が形成され、第2内部流路382の吹き出し口376から前記洗剤液に水が噴出される態様でもよい。