JP6116845B2 - ゴム部材 - Google Patents
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Description
その場合、シール性は向上するが、シール部のゴム表面は相手部材への貼り付きやタック感(ベタベタ感)が発生し、取り回し性や組み付け性が低下する不具合があった。また、蓋(パッキン)の開放時に貼り付きによる破壊が生じる不具合もあった。また、タック性に起因してゴミ等が付着し易いので、ゴミなどの挟み込みによるシール性の低下が懸念される。
このような問題に対しては、コーティング材料として、柔軟なバインダーを用いることで、コーティング膜自体の相手部材への追従性を改善することができる。
しかし、柔軟なバインダーを用いると、潤滑性能が低下するため、対策として、硬いフィラーなどを添加し、潤滑性を付与させることが行われている。例えば、ゴム成分と溶剤とからなるゴムコーティング組成物に、平均粒子径が0.5μmから20μmの無機系化合物又は有機系化合物の紛体を添加してなるコーティング組成物(例えば、特許文献1参照。)を、防水用パッキンのコーティング組成物として使用することが考えられる。
[1]ゴム基材とコーティング膜とを備えるゴム部材であって、前記コーティング膜は、(A)直鎖状ジオルガノポリシロキサン100質量部と、(B)硬度(JISK6253)がA30以上A85以下、平均粒子径が0.1μm以上10μm以下のゴム粒子5質量部以上80質量部以下とを含むコーティング組成物から形成され、前記コーティング膜は、バインダー膜と、前記バインダー膜中に含有される前記(B)成分とを有し、前記バインダー膜は、前記(A)成分が縮合反応または付加反応によって高重合化されて形成される膜であり、前記バインダー膜の硬度は前記(B)成分の硬度よりも低いことを特徴とするゴム部材。
[2]前述した本発明のゴム部材であって、前記(A)成分は、分子鎖末端が水酸基であり、25℃における動粘度が30mm2/s以上100,000mm2/s以下のジオルガノポリシロキサンであり、前記コーティング組成物は、さらに(C−1)成分として、縮合触媒を含み、前記バインダー膜は、前記(C−1)成分によって、前記(A)成分が縮合反応により高重合化されて形成される膜であることを特徴とするゴム部材。
[3]前述した本発明のゴム部材であって、前記(C−1)成分の縮合触媒は、1分子中にアミノキシ基を2つ以上有するケイ素化合物であることを特徴とするゴム部材。
[4]前述した本発明のゴム部材であって、前記(A)成分は、分子鎖末端がビニル基であり、25℃における動粘度が30mm2/s以上100,000mm2/s以下のジオルガノポリシロキサンであり、前記コーティング組成物は、さらに(C−2)成分として、架橋剤としてポリオルガノハイドロジェンシロキサンおよび硬化触媒として白金化合物をそれぞれ含み、前記バインダー膜は、前記(C−2)成分によって、前記(A)成分が付加反応により高重合化されて形成される膜であることを特徴とするゴム部材。
[5]前述した本発明のゴム部材であって、前記コーティング組成物は、さらに(D)成分として、密着向上剤を含み、前記密着向上剤は、アルコキシ基を有するケイ素化合物であることを特徴とするゴム部材。
[6]前述した本発明のゴム部材であって、前記バインダー膜の硬度がA20以上A50以下であることを特徴とするゴム部材。
本発明のコーティング組成物は、
(A)直鎖状ジオルガノポリシロキサン100質量部と、
(B)硬度(JISK6253)がA30以上A85以下、平均粒子径が0.1μm以上10μm以下のゴム粒子5質量部以上80質量部以下とを、
含むことを特徴とする。
直鎖状ジオルガノポリシロキサンは、縮合反応型として、分子鎖末端が水酸基であり、25℃における動粘度が30mm2/s以上100,000mm2/s以下のジオルガノポリシロキサン、付加反応型として、分子鎖末端がビニル基であり、25℃における動粘度が30mm2/s以上100,000mm2/s以下のジオルガノポリシロキサンがそれぞれ好ましく使用される。縮合反応型のジオルガノポリシロキサンは後述する(C−1)成分の縮合触媒により、縮合反応して高重合化される。従って、この縮合反応を行うために、ジオルガノポリシロキサン分子鎖の末端には水酸基を有する。また、付加反応型のジオルガノポリシロキサンは後述する(C−2)成分の架橋剤および硬化触媒により付加反応して高重合化される。
ジオルガノポリシロキサンの有機基としては、メチル基,エチル基,プロピル基などのアルキル基;ビニル基,アリル基,プロペニル基などのアルケニル基;あるいはフェニル基などの一価炭化水素基が挙げられる。これらの中でもメチル基がコストや耐熱性などの点から工業的に製造されており、入手の点で好ましいが、耐熱性が必要な場合などにはメチル基とフェニル基を共存させてもよい。
前記した縮合反応型や付加反応型のジオルガノポリシロキサンは、25℃における動粘度が下限値未満であると、形成されるコーティング膜が硬くなり過ぎて、使用時に膜にひびが入るなどのシール性が悪化する不具合を生じるおそれがある。一方、25℃における動粘度が上限値を超えると、組成物の粘度が高くなりすぎて塗布し難くなる、塗布後の塗膜表面に皺が生じる、粘着性が高くなりすぎてゴミ付着防止性に劣るなどの不具合を生じるおそれがある。
このうち、25℃における動粘度80mm2/s以上80,000mm2/s以下の範囲内が好ましく、700mm2/s以上10,000mm2/s以下の範囲内が、コーティング組成物の取扱い性が容易であることから特に好ましい。
ゴム粒子は、硬度(JISK6253)がA30以上A85以下、平均粒子径が0.1μm以上10μm以下の弾性を有するゴム粒子が使用される。従来のようなメチルシルセスキオサン粒子やシリカ粒子などの硬度が高い、硬い粒子を使用する場合には、膜表面にこの硬い粒子による突起部が形成され、この突起部によりシール性が低下してしまう問題がある。一方、硬度(JISK6253)が上記範囲内の弾性を有するゴム粒子は、膜中に存在するだけでなく、膜表面近傍にも存在して、膜表面からシール面に向けて突出する弾性を有するゴム粒子による突起部が形成されるが、この突起部はシール時には変形するため、高いシール性が得られる。硬度(JISK6253)が下限値未満では、軟らかすぎて、コーティング組成物中に溶剤が含まれる場合には、この溶剤によって膨潤してしまうおそれがある。一方、硬度(JISK6253)が上限値を超えると、従来の硬い粒子と同様に、シール性が悪化するおそれがある。このうち、ゴム粒子の硬度(JISK6253)はA30以上A85以下が好ましく、A30以上A75以下が特に好ましい。
平均粒子径を上記範囲内としたのは、下限値未満では、膜表面からの突出量が小さいため、粘着性が高くなりすぎる不具合を生じるおそれがあり、上限値を超えると、膜表面からの突出量が大きくなりすぎ、相手部材とコーティング膜を密着させた場合でも十分に変形し切れないゴム粒子と膜面の間に微細な隙間が残ることで、シール性が悪化する不具合を生じるおそれがあるためである。このうち、ゴム粒子の平均粒子径は0.1μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上5μm以下が特に好ましい。
なお、(B)成分のゴム粒子は、上記(A)成分と同じシロキサン結合を有するシリコーンゴム製のものが、(A)成分への均一な分散性が得られやすいことから好適である。
また、(B)成分のゴム粒子は、そのゴム部材の用途に合わせて、異なる粒子径の粒子や異なる硬度の粒子を複数種類混合して使用してもよい。
このうち、(A)成分100質量部に対して(B)成分5質量部以上80質量部以下が好ましく、(A)成分100質量部に対して(B)成分15質量部以上60質量部以下が特に好ましい。
本発明で使用できる縮合触媒として、スズ触媒やチタン触媒を用いることができるが、1分子中にアミノキシ基を2つ以上有するケイ素化合物を使用することが好適である。アミノキシ基含有ケイ素化合物としては、以下の式(1)や式(2)で示される有機ケイ素化合物が例示される。
縮合触媒の添加量は、上記(A)成分100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下の割合で配合されることが好適である。縮合触媒が少なすぎると硬化不足などの不具合を生じるおそれがあり、縮合触媒が多すぎても性能に影響はないが、それ以上の効果の向上は見込めないため、経済的に好ましくない。
ここでは硬化触媒の存在下で、(A)成分のビニル基とポリオルガノハイドロジェンシロキサンが付加反応(ヒドロシリル化反応)により架橋を起こし高重合化する。白金触媒としては、塩化白金酸、アルコールと塩化白金酸から得られる錯体、白金オレフィン錯体、白金ケトン錯体、白金ビニルシロキサン錯体のような白金化合物が使用できる。白金触媒の添加量は(A)成分に対して、白金原子に換算して、通常0.1〜2,000ppmとなる量であり、好ましくは0.5〜200ppmになる量である。0.1ppm未満では、触媒濃度が低いため、硬化が不十分となる。また1,000ppmを越えて配合しても、それ以上の効果はなく、コーティング組成物が必要以上に貴金属を含み、一般に高価であるために、経済的に好ましくない。
ポリオルガノハイドロジェンシロキサンとしては、以下の式(3)で示される有機ケイ素化合物が例示される。
但し、上記式中のMおよびNはそれぞれ正の整数であり、M+N=10の関係を満たす。
式(3)中のMとNの割合は1:1が好ましい。
上記(A)成分と架橋剤との配合は、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンとビニル基含有ジオルガノポリシロキサンとを≡SiH基と−CH=CH2基とのモル比が1.2〜5となるように反応させることが好適である。架橋剤が少なすぎると硬化不足などによる粘着の不具合を生じるおそれがあり、架橋剤が多すぎると塗膜が硬くなりシール性の低下などの不具合を生じるおそれがある。硬化触媒は、白金原子換算で0.1ppm以上1000ppm以下の範囲内で添加することが好適である。硬化触媒が少なすぎると硬化遅延などの不具合を生じるおそれがあり、硬化触媒が多すぎると硬化速度が速く取り扱いなどの不具合を生じるおそれがある。
X3−nMenSi−R−Y …(4)
上記式中、Meはメチル基であり、Rは単価水素鎖であり、Xは加水分解基であり、Yは有機官能基であり、nは0,1の整数である。Xの加水分解基としては、CH3−O−,C2H5−O−,CH3O−C2H4−O−,CH(CH3)2−O−などが例示される。またYの有機官能基としては、アミノ基(−NH2)、ビニル基(−CH=CH2)、メタクリル基(−OCOC(CH3)=CH2),イソシアネート基(−N=C=O),メルカプト基(−SH),ウレイド基(−NHCONH2),ポリサルファイド(Sx),エポキシなどが例示される。
本発明のコーティング組成物は、希釈溶剤を使用しなくても十分にその性能を発揮し得るが、必要に応じて少量の有機溶剤に希釈して使用することも可能である。使用される溶剤としては、トルエンやキシレン等が挙げられる。
コーティング膜12はゴム製基材11上に本発明のコーティング組成物を塗布、乾燥することにより形成される。また、この反応の際に、コーティング組成物中の(B)成分の弾性を有するゴム粒子は、膜中に存在するだけでなく、膜表面近傍にも存在して、コーティング膜12表面にこの弾性を有するゴム粒子121による複数の突起部122が形成される。コーティング膜12は乾燥後の膜厚が3μm以上50μm以下となるように形成する。コーティング組成物の塗布方法は、スプレー法、ディップ法、スピン法など既知の方法を採用することができる。コーティング膜12の乾燥は、縮合反応の場合には、自然乾燥でもよいし、加熱により行ってもよい。また付加反応の場合には加熱により行う。加熱により乾燥を行う場合には、120〜170℃で5〜30分間保持することが好ましい。この乾燥により、縮合反応の場合には、コーティング組成物の(A)成分のジオルガノポリシロキサン(分子鎖末端が水酸基)、および(C−1)成分の縮合触媒が縮合反応することで、コーティング膜12が形成される。また付加反応の場合には、コーティング組成物の(A)成分のジオルガノポリシロキサン(分子鎖末端がビニル基)、および(C−2)成分の架橋剤であるポリオルガノハイドロジェンシロキサンが硬化触媒である白金化合物存在下で付加反応することで、コーティング膜12が形成される。
(A)成分と(C−1)成分、あるいは(A)成分と(C−2)成分とで構成されるバインダー膜の硬度(JISK6253)は、コーティング組成物の(B)成分として配合した弾性を有するゴム粒子の硬度よりも低い、A20以上A50以下の範囲内であると、ゴム部材に高いシール性を付与できるため好ましい。
後述するように、本実施形態のコーティング組成物を用いて形成されるコーティング膜12は、シール時には、シール表面より突出したゴム粒子が変形するだけでなく、バインダー膜が大きく変形して、バインダー膜内に突出したゴム粒子が埋め込まれることで、コーティング膜12のシール面が一様になるため、結果として、高いシール性を発揮することができる。したがって、ゴム粒子の硬度よりもバインダー膜の硬度が高い場合には、コーティング膜12のシール表面より突出したゴム粒子がバインダー膜内に埋め込まれず、突出したゴム粒子の逃げ場がなくなるため、ゴム粒子の端部とシールバインダーの境界部位に隙間が生じやすく、漏れを生じやすくなる。
なお、表面粗さRzJISは十点平均粗さであり、断面曲線から基準長さだけを抜き取った部分において、最高から5番目までの山頂の標高の平均値と、最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差と値をマイクロメートルで表したものである。
膜厚が上記範囲内であれば、ゴム製基材へのコーティング性能に優れたものとなる。膜厚が下限値未満では、薄すぎるため耐久性に劣り、コーティング膜が剥離して十分なコーティング性能が得られないおそれがある。膜厚が上限値を超えると、膜が硬くなりシールモレなどの不具合を生じる可能性がある。また、厚すぎると、ゴム部材の用途が限られてしまうおそれがある。このうち、膜厚が3μm以上50μm以下がより好ましく、膜厚が5μm以上15μm以下が特に好ましい。
また、膜硬度が上記範囲内であれば良好なゴミ付着防止性を有するため好ましい。膜硬度が下限値未満ではゴミ付着防止性に劣るおそれがあり、膜硬度が上限値を超えると、ゴム部材の耐久性に劣ったものになり、コーティング膜に割れが発生しシール性が著しく低下するおそれがある。このうち、硬度(JISK6253)がA20以上A50以下がより好ましく、A20以上A40以下が特に好ましい。
表面粗さRzJISが上記範囲内であれば、相手部材との密着性が良好に保たれるため、高いシール性を有する。表面粗さRzJISが下限値未満では、シール性は向上するが、相手部材への貼り付きやタック感が発生し、ゴム部材の取り回し性や組み付け性が低下するおそれがある。表面粗さRzJISが上限値を超えると、相手部材との密着性が低下し、シール性に劣るおそれがある。このうち、表面粗さRzJISが1μm以上30μm以下がより好ましく、表面粗さRzJISが5μm以上15μm以下が特に好ましい。
また、面粗さSz(ISO25178)が10μm以上30μm以下であることが好ましい。
また、ゴミは主にコーティング膜12の最表層に位置する部分に付着するが、膜表面に複数の突起部122が存在することにより、最表層に位置する表面積が減少し、結果としてゴミの付着面積が減少するため、コーティング膜表面が平滑なものに比べて適度なゴミ付着防止性を有する。
表面が柔らかい粘着性のシールは、シール性は高いが、ゴミを巻き込みやすく、また、シール面と固着して、離間時に破壊されやすい。一方、表面の硬いシールは、ゴミは表面に張り付かないものの、シール面の追従性が悪く、高いシール性を発揮することが難しい。
本実施形態のコーティング膜を有するゴム部材は、表面が柔らかい粘着性のシール、および、表面の硬いシールの双方の優れた機能を高い次元で発揮することができる。
特に、高水圧下で使用される、水中カメラ、電子機器用防水パックなどの機具、機器の高シール性防水パッキンに適する。
〔実施例1〜6および比較例1〜4〕
表1に示す組成のコーティング組成物を調製し、この組成物をゴム製基材上に塗布、乾燥して、コーティング膜を形成した。なお、ゴム製基材としては、JIS K6253 タイプAデュロメータゴム硬度A40のシリコーンゴム製のシール用ゴムであって、縦横寸法は任意、厚さ2mmの試験片を製作して用いた。なお、後述するシール試験用として、図3に示すゴム製基材を用いた。シール試験用ゴム製基材の寸法は、図3のAで示す外径が30mm、Bで示す外周高さが2.012mm、Cで示す中心部高さが1mmである。また、コーティング組成物のゴム基材への塗布方法は、溶剤で希釈後、スプレー法により、ゴム基材に塗布膜を形成し、恒温室内にて、十分に加温乾燥させることにより行った。
得られたゴム部材について以下に示すように、コーティング膜の膜厚を測定した。なお、試験片は測定に使用する試験機に合わせて適宜切断することにより寸法を加工した。実施例1のコーティング膜表面写真を図2に示す。
以下に示すシール試験によりコーティング膜を有するゴム部材を評価した。また、参考例として、コーティング膜を設けないゴム製基材のみからなるゴム部材についても同様に評価した。
コーティング膜の膜厚は、レーザー顕微鏡LEXT OLS400(オリンパス株式会社製)像から計測した。
このシール試験では、表面側が平坦な下定盤と、この下定盤と略同一形状であって、中央部に連通孔が設けられ、裏面側が平坦な上定盤と、この上定盤の連通孔に接続され、圧力を付加する圧力手段と、圧力手段による圧力を測定する圧力測定手段を備えたシール試験装置を使用した。
先ず、下定盤にゴム部材を載置し、その上に上定盤を載せ、下定盤と上定盤とがリング状ゴムに隙間なく密着するように調整した。
次に、圧力手段により、下定盤、ゴム部材および上定盤で形成された空間を−60kPaにまで減圧した。この状態で1分間放置した後の上記空間の圧力を圧力測定手段により測定し、この圧力差を求めた。
用いた成分は以下の通りである。
(A−1)成分:ジオルガノシロキサン(分子鎖末端水酸基、25℃における動粘度3000mm2/s)
(A−2)成分:ジオルガノシロキサン(分子鎖末端ビニル基、25℃における動粘度3000mm2/s)
(B)成分:シリコーンゴム製粒子(平均粒子径3μm、硬度(JISK6253)A70)
(C−1)成分:縮合触媒(上記式(2)で示される有機ケイ素化合物)
(C−2)成分:架橋剤:ポリオルガノハイドロジェンシロキサン、硬化触媒(白金ビニルシロキサン錯体)
(D)成分:密着向上剤(上記式(5)で示されるシランカップリング剤)
その他成分:球状メチルシルセスキオサン粒子(平均粒子径4μm、硬度(JISK6253)A70)
なお、(B)成分、(C)成分、(D)成分及びその他成分の配合は、(A)成分に対する割合である。
表1から明らかなように、実施例1〜6では、シール性に優れることが確認された。また、図2に示すように、膜表面にはゴム粒子による複数の突起部が形成されていることが確認された。このように、膜表面に弾性ゴム粒子による複数の突起部が存在することによって、シール時にはこの複数の突起部が変形するとともに、適度な硬度の膜が互いに作用し合い、結果として、高いシール性が実現されたものと推察される。
一方、比較例1では、膜表面に高硬度の球状粒子による突起部が形成されることから、シール性に劣る結果となった。比較例2では、膜表面が平滑に形成されていることからシール性は高いが、ゴミ付着防止性が得られておらず、膜表面張り付きによる質感の低下も確認された。また、(B)成分の割合が80質量部を超える場合(比較例3,4)には、シール性に劣る結果となった。なおコーティング膜を設けない参考例では、シール性は高いが、表面張り付きによる質感の低下が確認された。
また、各実施例、各比較例および参考例について、試験者がシール面を指で触ったときの感覚による官能試験評価を行った。
その結果、実施例1〜6、比較例1,3,4はタック感なしの評価、比較例2および参考例がタック感ありの評価が得られた。比較例2と参考例は、シール面がベタベタで、ゴミの付着が避けられないことは明らかであった。
11 ゴム製基材
12 コーティング膜
121 ゴム粒子
122 突起部
Claims (6)
- ゴム基材とコーティング膜とを備えるゴム部材であって、
前記コーティング膜は、
(A)直鎖状ジオルガノポリシロキサン100質量部と、
(B)硬度(JISK6253)がA30以上A85以下、平均粒子径が0.1μm以上10μm以下のゴム粒子5質量部以上80質量部以下とを含むコーティング組成物から形成され、
前記コーティング膜は、バインダー膜と、前記バインダー膜中に含有される前記(B)成分とを有し、
前記バインダー膜は、前記(A)成分が縮合反応または付加反応によって高重合化されて形成される膜であり、
前記バインダー膜の硬度は前記(B)成分の硬度よりも低い
ことを特徴とするゴム部材。 - 請求項1に記載のゴム部材であって、
前記(A)成分は、分子鎖末端が水酸基であり、25℃における動粘度が30mm2/s以上100,000mm2/s以下のジオルガノポリシロキサンであり、
前記コーティング組成物は、
さらに(C−1)成分として、縮合触媒を含み、
前記バインダー膜は、前記(C−1)成分によって、前記(A)成分が縮合反応により高重合化されて形成される膜である
ことを特徴とするゴム部材。 - 請求項2に記載のゴム部材であって、
前記(C−1)成分の縮合触媒は、1分子中にアミノキシ基を2つ以上有するケイ素化合物であることを特徴とするゴム部材。 - 請求項1に記載のゴム部材であって、
前記(A)成分は、分子鎖末端がビニル基であり、25℃における動粘度が30mm2/s以上100,000mm2/s以下のジオルガノポリシロキサンであり、
前記コーティング組成物は、
さらに(C−2)成分として、架橋剤としてポリオルガノハイドロジェンシロキサンおよび硬化触媒として白金化合物をそれぞれ含み、
前記バインダー膜は、前記(C−2)成分によって、前記(A)成分が付加反応により高重合化されて形成される膜である
ことを特徴とするゴム部材。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のゴム部材であって、
前記コーティング組成物は、
さらに(D)成分として、密着向上剤を含み、
前記密着向上剤は、アルコキシ基を有するケイ素化合物であることを特徴とするゴム部材。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のゴム部材であって、
前記バインダー膜の硬度がA20以上A50以下であることを特徴とするゴム部材。
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