JP6116740B1 - 平編組線およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】接続端子部の大型化や平編組線への過負荷等を抑制することのできる平編組線およびその製造方法を提供する。【解決手段】素線11を編組して形成された扁平状の平編組部10と、平編組部10の端縁に連続して配された接続端子部20と、を備える平編組線1において、接続端子部20は、素線11が接合されて板状に形成されたものであり、その板状表面に素線11が露出するように構成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、素線を編組して形成された平編組線およびその製造方法に関する。
例えば、可撓性を有する電気用導体の一つとして、平編組線が知られている。平編組線は、軟銅線を素線とし、その素線を複数本束ねたものを網状にし、それを平らに成形することで扁平状に形成されたものであり、主として、バスダクト用可撓導体、電解層用リード線、パンタグラフリード線、バッテリーアース線、マグネットスイッチリード線、その他可撓性を必要とする口出線、アース線等の用途に用いられる。
このような平編組線は、配線箇所への接続作業を容易化すべく、その両端縁に接続端子部が形成されて用いられることが一般的である。接続端子部としては、例えば、銅管等の金属管の管内に平編組線の端縁近傍を挿入した状態で、その金属管を圧縮して平板状に成形し、さらにその平板状の部分に貫通孔を穿設して形成されたものが知られている(例えば特許文献1(特に第6図)参照)。
実公平07−020867号公報
しかしながら、金属管を用いて接続端子部を形成する従来の平編組線では、その金属管の管厚分だけ接続端子部が厚くなってしまい、その接続端子部の大型化を招き得るので、平編組線の配線箇所の省スペース化等への対応が困難になってしまうおそれがある。また、金属管を用いて接続端子部を形成したのでは、平編組線の端縁近傍を管内に挿入した状態での金属管の圧縮が必要になるため、その圧縮時における平編組線への負荷(特に平板状の側縁近傍部分に対する負荷)が過大になってしまうおそれもある。
そこで、本発明は、接続端子部の大型化や平編組線への過負荷等を抑制することのできる平編組線およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、
素線を編組して形成された扁平状の平編組部と、
前記平編組部の端縁に連続して配された接続端子部と、を備え、
前記接続端子部は、前記素線が接合されて板状に形成されたものであり、その板状表面に前記素線が露出するように構成されている
平編組線が提供される。
本発明によれば、接続端子部の形成にあたり金属管等の圧縮を要さないので、接続端子部の大型化や平編組部への過負荷等を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る平編組線の具体的な構成例を示す説明図であり、(a)はその要部構成例を模式的に示す斜視図、(b)は(a)中のA矢視図である。 本発明の一実施形態に係る導体製造方法の手順の一例を示すフロー図である。 本発明の一実施形態に係る導体製造方法において用いられる形成治具の構成例を示す側断面図である。
<本発明の一実施形態>
以下、図面に基づき本発明の一実施形態に係る平編組線およびその製造方法について説明する。
(1)平編組線の構成
先ず、本発明の一実施形態に係る平編組線について具体的に説明する。
(全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る平編組線の具体的な構成例を示す説明図である。
本実施形態で説明する平編組線1は、可撓性を有する電気用導体の一つであり、例えば電気機器の接続部、アース線、その他の導電用途に用いられるもので、目的用途に対応する所望の電気用導体(以下、単に「所望導体」ともいう。)として構成されたものである。つまり、平編組線1は、その両端が目的用途に応じた配線箇所に接続されて、それぞれの接続箇所の間を導通させる導体部として機能するようになっている。
そのために、平編組線1は、長尺状の平編組部10と、その両端縁に形成された接続端子部20と、を備えて構成されている。
(平編組部)
平編組部10は、素線11を編組して扁平筒状に形成されたものである。つまり、平編組部10は、複数本の素線11を組み合わせて編み込むことにより構成されている。
平編組部10を構成する複数本の素線11としては、例えば軟銅線を用いることが考えられる。さらに具体的には、日本電線工業会の規格JCS1236に準拠したものを用いることが考えられる。なお、各素線11に対する表面処理については、詳細を後述する。
また、各素線11の編組についても、日本電線工業会の規格JCS1236に準拠して行うことが考えられる。つまり、編組は、規格JCS1236で規定された素線径(mm)、素線数(本)、構成持数(素線11の一つの群の中の本数)×打数(素線11の纏まりである群の数)等に準拠しつつ、素線11を複数本束ねたものを網状にし、それを平らに成形することで扁平筒状に形成することによって行う。ただし、必ずしも厳密な意味での規格通りである必要はない。例えば、平編組規格サイズが300SQまでであっても、これに限られることはなく、300SQを超えるサイズに対応するように形成しても構わない。
なお、平編組部10は、その長手方向が要求仕様に対応した長さに切断されて用いられる。そして、その切断された両端縁のそれぞれには、接続端子部20が配されることになる。
(接続端子部)
接続端子部20は、平編組線1を配線箇所に接続するための端子として機能するものであり、平編組部10の長手方向の両端縁のそれぞれに連続して配されている。
ところで、従来の平編組線における接続端子部は、例えば、金属管を圧縮して平板状に成形することによって形成されたものが一般的である(例えば特許文献1参照)。また、その他にも、例えば、平編組線の端縁近傍を銅板等の金属板で挟み込んで固定することで形成されたものものある(同特許文献1参照)。しかしながら、これらの構成では、金属管や金属板等を要するため、その分だけ接続端子部が厚くなってしまい、その接続端子部の大型化を招き得る。また、金属管や金属板等によって平編組線の端縁近傍が圧縮されるため、その圧縮時における平編組線への負荷(特に平板状の側縁近傍部分に対する負荷)が過大になってしまうおそれもある。
そこで、本実施形態で説明する接続端子部20は、従来のような金属管や金属板等を要することなく、平編組部10を構成する各素線11が互いに接合され板状に成形されて構成されている。このような構成の接続端子部20では、金属管や金属板等を要さないことから、その板状表面に素線11が露出した状態で、その接続端子部20が構成されることになる。
各素線11の接合は、例えば、溶接(アーク溶接やガス溶接等)、溶着(超音波溶着、振動溶着、熱溶着等)、はんだ付け、拡散接合等といった接合手法のいずれかを用いて行うことが考えられるが、以下に述べる理由により、拡散接合によって行うことが好ましい。つまり、本実施形態で例に挙げる接続端子部20は、各素線11が拡散接合されて構成されているものとする。
拡散接合は、日本工業規格(JIS Z 3001)で「母材を密着させ、母材の融点以下の温度条件で、塑性変形をできるだけ生じない程度に加圧して、接合面間に生じる原子の拡散を利用して接合する方法」と定義されている。つまり、拡散接合では、素線11を構成する銅材または銅合金材の融点以下の固相温度範囲で加熱しつつ、各素線11を板状に成形するように加圧して、各素線11の形成材料の軟化および変形により各素線11が互いに密着する状態とし、各素線11の接合面同士を固相拡散現象により接合することになる。
このような拡散接合によって接続端子部20を構成すれば、素線11の形成材料の融点以下の固相温度範囲で加熱されるので、例えば溶接による場合とは異なり、素線11が融点以上の温度に加熱されることによる悪影響を排除することができる。また、拡散接合によって接続端子部20を構成すれば、例えば溶着による場合とは異なり、各素線11の断面積減少を抑制し得るので、サイズ変化による電気的特性の劣化等を招いてしまうこともない。さらには、拡散接合によって接続端子部20を構成すれば、例えば溶着やはんだ付け等による場合とは異なり、各素線11の編組サイズが大きくなっても(すなわち接合すべき素線11の本数が増えても)、各素線11の接合を確実に行うことが可能である。
なお、接続端子部20には、配線箇所との接続固定のために、ネジ等の締結具が挿入される貫通孔21が設けられている。貫通孔21の形成数は、特に限定されることはなく、平編組線1の編組サイズや接続端子部20を平面視したときのサイズ等に応じて適宜設定されたものであればよい。
また、接続端子部20には、平編組部10と連続する側と対向する側の端縁に、その端縁を揃えるように形成された切削面22が設けられている。
(表面処理)
接続端子部20における貫通孔21および切削面22は、いずれも、接続端子部20を構成した後に、その接続端子部20に対して穿設加工や切削加工等を行うことで形成される。そのため、穿設加工や切削加工等を行ったままでは素線11を構成する銅材または銅合金材が露出してしまうことから、少なくともその加工箇所については、露出部分の酸化等を抑制するための表面処理を行うことが好ましい。
本実施形態で説明する平編組線1には、以下のような表面処理が施されている。
表面処理は、平編組線1を構成する平編組部10および接続端子部20の全体に対して、電気めっき処理を行うことによって施されている。電気めっき処理は、接続端子部20を構成し、さらにその接続端子部20に貫通孔21および切削面22を形成した後に、平編組部10および接続端子部20のそれぞれに対して同時に行われる。したがって、平編組部10および接続端子部20は、一度の電気めっき処理により形成された同質の金属膜によって被覆されることになる。
なお、電気めっき処理の具体的な内容については、その詳細を後述する。
(2)平編組線の製造方法
次に、電気用導体の一例である平編組線1の製造方法(すなわち導体製造方法)について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る導体製造方法の手順の一例を示すフロー図である。
図例のように、本実施形態で説明する平編組線1は、編組工程(ステップ101、以下ステップを「S」と略す。)、切断工程(S102)および端子部形成工程(S103)を経た後に、後工程としてのめっき処理工程(S104)を経ることで製造される。
(S101:編組工程)
編組工程(S101)は、複数本の素線11を組み合わせて編組することによって、扁平筒状の平編組部10を形成する工程である。
素線11としては、例えば軟銅線を用いる。つまり、本実施形態では、後工程としてのめっき処理工程(S104)を経ることから、従来において多用していたスズめっき軟銅線等ではなく、めっき処理等の表面処理がされていない軟銅線を用いることができる。ただし、表面処理がされたものを排除することはなく、スズめっき軟銅線等を素線11として用いても構わない。
平編組部10の形成は、ボビンから繰り出される素線11を複数本集合して素線束とし、その素線束を複数本束ねたものを網状にする編組機を用いて行う。編組機は、公知技術を利用して構成されたもの(すなわち、一般的な平編組線を製造する場合に用いられるもの)であればよく、ここではその詳細な構成についての説明を省略する。
このような編組機を用いることで、要求仕様を満たす素線径(mm)、素線数(本)、構成持数×打数等で、かつ、扁平状に成型された平編組部10が形成されることになる。
(S102:切断工程)
切断工程(S102)は、編組された平編組部10について、その長手方向を要求仕様に対応した長さに切断する工程である。なお、切断長(すなわち、要求仕様に「対応した」長さ)は、後述する接続端子部20の形成代を含んでいるものとする。切断自体は、公知技術を利用して行えばよい。
(S103:端子部形成工程)
端子部形成工程(S103)は、平編組部10を構成する各素線11を板状に接合して、その板状表面に素線11が露出するように構成された接続端子部20を、平編組部10の端縁に連続して配されるように形成する工程である。
各素線11の接合は、例えば拡散接合によって行う。具体的には、切断工程(S102)での切断端から所定長さ領域について、素線11を構成する銅材または銅合金材の融点(例えば1100〜1250℃)以下の固相温度範囲で加熱しつつ、各素線11を板状に成形するように加圧して、各素線11の形成材料の軟化および変形により各素線11が互いに密着する状態とし、各素線11の接合面同士を固相拡散現象により接合する。
拡散接合による接続端子部20の形成は、例えば、所定の形成治具を用いて行うことが考えられる。
図3は、本発明の一実施形態に係る導体製造方法において用いられる形成治具の構成例を示す側断面図である。
図例のように、端子部形成工程(S103)で用いられる形成治具30は、接続端子部20の形成幅に対応する幅の溝部を有する凹状部31と、その凹状部31の溝部に嵌合する板状部32と、を有している。凹状部31および板状部32は、いずれも、拡散接合時の加熱温度に耐え得る耐熱材料(例えば石英ガラスやカーボン等)によって形成されている。
このような形成治具30を用いる場合には、先ず、切断工程(S102)での切断端から所定長さ領域における各素線11を、凹状部31の溝部内に配置する。そして、各素線11を加熱した状態で、凹状部31の溝部内における各素線11に対して板状部32による加圧を行う(図3中の矢印参照)。このような形成治具30を用いて各素線11に対する加圧を行えば、側方に力が逃げてしまうのを抑制することができ、各素線11の接合および成形(板状化)を好適に行い得るようになる。
このように、端子部形成工程(S103)では、各素線11を拡散接合によって板状に接合することで接続端子部20を形成する。したがって、例えば溶接による場合とは異なり、素線11の形成材料の融点以下の固相温度範囲で加熱されるので、素線11が融点以上の温度に加熱されることによる悪影響を排除することができる。また、例えば溶着による場合とは異なり、各素線11の断面積減少を抑制し得るので、サイズ変化による電気的特性の劣化等を招いてしまうこともない。さらには、例えば溶着やはんだ付け等による場合とは異なり、各素線11の編組サイズが大きくなっても(すなわち接合すべき素線11の本数が増えても)、各素線11の接合を確実に行うことが可能である。
なお、端子部形成工程(S103)においては、拡散接合による各素線11の接合後に、貫通孔21および切削面22の形成を行う。これらの形成は、公知技術を利用した穿設加工や切削加工等によって行えばよい。
(S104:めっき処理工程)
以上のような編組工程(S101)、切断工程(S102)および端子部形成工程(S103)を経ると、平編組線1および接続端子部20を備えた平編組線1が構成される。
ただし、表面処理がされていない軟銅線を素線11として用いた場合には、端子部形成工程(S103)の完了時点で、素線11を構成する銅材または銅合金材が露出したままの状態である。また、素線11に予め表面処理がされているか否かにかかわらず、貫通孔21および切削面22の形成箇所については、素線11を構成する銅材または銅合金材が露出したままの状態となる。さらには、例えば素線11に予めスズめっき処理等の表面処理がされている場合であっても、端子部形成工程(S103)での加熱処理の手法によっては、その端子部形成工程(S103)の完了時点で、素線11の表面に変色が生じてしまう可能性がある。
したがって、端子部形成工程(S103)の後には、素線11を構成する銅材または銅合金材の露出箇所や加熱処理による変色箇所等に対して、酸化防止のために、または外観が損なわれてしまうのを是正するために、何らかの表面処理を行うことが好ましい。
このような状況の下での表面処理としては、スズめっき軟銅線(すなわち、めっき処理済みのもの)を用いて平編組部を構成した上で、露出箇所や変色箇所等が生じる接続端子部についてのみ、改めてスズめっき処理等の表面処理を行うというものが一般的である。接続端子部についてのみを被処理箇所とするのは、例えばスズめっき処理では被処理箇所を溶融させためっき液に浸漬させるため、平編組部を被処理箇所とすると素線同士が固着して可撓性が阻害されてしまうことが懸念されるからである。つまり、従来においては、複数本の素線が編組されてなる平編組部に対して、その編組後にめっき処理等の表面処理を行うという発想自体が、いわゆる当業者にとっては必ずしも一般的なものではなかった。
しかしながら、各素線に表面処理が施されているにもかかわらず、改めて表面処理を行うことは、処理効率(生産効率)という観点においては必ずしも良好であるとはいえない。また、例えば拡散接合を行った場合には、加熱処理による変色の影響が平編組部を構成する各素線にも及んでしまうことが考えられる。
これらの点につき、本願発明者は鋭意検討を行い、従来の一般的な発想に捉われることなく、表面処理の種類によっては、編組後の平編組部を被処理箇所としても、可撓性が損なわれてしまうのを抑制できるという知見を得るに至った。
本実施形態で説明するめっき処理工程(S104)は、上述した本願発明者の知見に基づいて行われるものである。さらに詳しくは、めっき処理工程(S104)では、端子部形成工程(S103)が完了した後に、その端子部形成工程(S103)を経て得られた平編組線1に対する電気めっき処理を行う。
電気めっき処理は、水溶液中で通電による電子の還元力により、被処理箇所に金属膜を形成する表面処理の一種である。このような電気めっき処理の一例としては、電気ニッケルめっき処理(電解ニッケルめっき処理)が知られている。
以下、本実施形態では、電気めっき処理として電気ニッケルめっき処理を行う場合を例に挙げる。具体的には、めっき処理工程(S104)において、銅材または銅合金材からなる平編組線1の全体とニッケル板とをニッケルイオンを含む水溶液中に浸し、平編組線1を陰極とし、ニッケル板を陽極として、これらの間に直流電流を流す。すると、陽極側では酸化反応が起こり、ニッケルは電子を放出してニッケルイオンとなる。一方、陰極側では還元反応が起こり、溶液中のニッケルイオンが電子を受け取り金属ニッケルとなる。還元反応は陰極である平編組線1(さらに詳しくは、当該平編組線1における各素線11)の周りで起こるから、生じた金属ニッケルが各素線11のそれぞれの表面を覆い、ニッケルめっき膜となる。つまり、ニッケルめっき膜は、各素線11の表面だけに形成される。これにより、平編組線1を構成する平編組部10(さらに詳しくは、当該平編組部10における各素線11)および接続端子部20は、電気ニッケルめっき処理によって形成された金属膜であるニッケルめっき膜に被覆されることになる。しかも、ニッケルめっき膜は、各素線11の表面だけに形成されることから、各素線11の間に介在して互いを固着させるといったことが抑制される。
このような電気ニッケルめっき処理を行えば、端子部形成工程(S103)の完了時点で、素線11を構成する銅材または銅合金材の露出箇所があっても、ニッケルめっき膜によって被覆されるので、その露出箇所の酸化等を防止することができる。さらには、端子部形成工程(S103)での加熱処理による変色箇所があっても、ニッケルめっき膜によって被覆されれば、その変色箇所が視認できなくなるので、外観が損なわれてしまうのを是正することができる。
しかも、平編組線1に対する表面処理を電気ニッケルめっき処理によって行えば、陰極である平編組線1の周り、特に平編組線1において平編組部10を構成する各素線11のそれぞれの周りで、還元反応が起こる。そのため、各素線11のそれぞれの周りにニッケルめっき膜が形成されることになり、例えばスズめっき処理のように被処理箇所を溶融させためっき液に浸漬させる場合とは異なり、めっき処理の後に各素線11同士が固着してしまうのを抑制することができる。つまり、電気ニッケルめっき処理によれば、平編組部10を含む平編組線1の全体を被処理箇所としても、その平編組線1の可撓性が阻害されてしまうのを抑制できるのである。
以上のような電気ニッケルめっき処理を行うめっき処理工程(S104)を経ることで、可撓性が阻害されることなく、その全体がニッケルめっき膜によって被覆された平編組線1が製造される。
(3)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態においては、平編組線1を構成する接続端子部20について、複数本の素線11が互いに接合され板状に成形され、その板状表面に素線11が露出するように構成されているので、従来のような金属管や金属板等を要することなく構成されることになる。つまり、接続端子部20の構成にあたり、金属管や金属板等を要することがなく、その金属管や金属板等による各素線11の圧縮も要することがない。したがって、金属管や金属板等を要する場合とは異なり、接続端子部20が大型化してしまうのを抑制することができ、また各素線11への負荷(特に平板状の側縁近傍部分に対する負荷)が過大になってしまうのを抑制することもできる。
(b)本実施形態においては、拡散接合によって各素線11が接合されて接続端子部20が構成されている。したがって、素線11が融点以上の温度に加熱されることによる悪影響を排除することができる。また、各素線11の断面積減少を抑制し得るので、サイズ変化による平編組線1の電気的特性の劣化等を招いてしまうこともない。さらには、各素線11の編組サイズが大きくなっても(すなわち接合すべき素線11の本数が増えても)、各素線11の接合を確実に行うことが可能である。
(c)本実施形態においては、平編組線1を構成する平編組部10および接続端子部20の全体が、電気めっき処理により形成された金属膜によって被覆されている。つまり、平編組部10および接続端子部20は、これらの構成後に行う一度の電気めっき処理により形成された同質の金属膜によって被覆されている。したがって、拡散接合によって各素線11を接合した後に貫通孔21や切削面22等を形成しても、また拡散接合の際の加熱処理によって変色等が生じた場合であっても、最終的に平編組線1の全体が金属膜によって被覆されるので、形成材料の露出箇所が酸化等してしまうことがなく、また外観が損なわれてしまうのを是正することができる。しかも、電気めっき処理によって金属膜を形成するので、そのめっき処理の後に各素線11同士が固着してしまうのを抑制して、平編組線1の可撓性が阻害されてしまうのを抑制することができる。このことは、平編組線1を構成する各素線11について予めの表面処理が不要であることを意味するので、平編組線1の製造にあたっての処理効率(生産効率)という観点においても非常に良好なものとなる。
(d)本実施形態で例に挙げた平編組線1は、特に可撓性が必要とされる配線箇所に用いられる電気用導体である。そのため、各素線11を編組して平編組部10を構成した後に電気めっき処理を行っても、その平編組部10の可撓性が阻害されてしまうのを抑制できれば、平編組線1の生産効率向上を図りつつ、その平編組線1の信頼性向上を図る上で、非常に有用なものとなる。
<変形例等>
以上に、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更することが可能である。
例えば、上述した実施形態では、ある一つの平編組部10の両端縁のそれぞれに接続端子部20が形成されて平編組線1が構成されている場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。つまり、本発明は、平編組部10のいずれか一端縁のみに接続端子部20を形成する場合にも適用可能である。
また、複数の平編組部10を重ね合わせて多重構造とし、各平編組部10の端縁近傍領域を纏めて一つに接合して接続端子部20とすることも考えられる。その場合に、多重構造を構成する平編組部10の数が多ければ、平編組線1のサイズの大型化にも容易に対応し得るようになる。
さらには、平編組線1の中央付近に接続端子部20を形成する場合、すなわち当該中央付近において平編組部10、接続端子部20、平編組部10の順に各部が並んで配置される場合にも、本発明は適用可能である。
以上に挙げたいずれの場合においても、接続端子部20は、平編組部10の少なくとも一つの端縁に接してに配置されることになる。つまり、本発明は、平編組部10と、その端縁に連続して配された接続端子部20と、を備えて構成された平編組線1であれば、他の構成の如何を問わず、適用することが可能である。
また、上述した実施形態では、主として、拡散接合によって接続端子部20を形成する場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはなく、例えば、溶接(アーク溶接やガス溶接等)、溶着(超音波溶着、振動溶着、熱溶着等)、はんだ付け等といった他の接合手法を用いてもよいことは、既に述べた通りである。
また、上述した実施形態では、平編組線1の全体に対して行う電気めっき処理として、主として、電気ニッケルめっき処理を行う場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。つまり、本発明は、各素線11の周りで還元反応が起こり、各素線11の表面だけに金属膜が形成される電気めっき処理であれば、他の金属膜を形成する電気めっき処理(電解めっき処理)を適用してもよい。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様によれば、
素線を編組して形成された扁平状の平編組部と、
前記平編組部の端縁に連続して配された接続端子部と、を備え、
前記接続端子部は、前記素線が接合されて板状に形成されたものであり、その板状表面に前記素線が露出するように構成されている
平編組線が提供される。
[付記2]
好ましくは、
前記接続端子部は、前記素線が拡散接合されてなるものである
付記1に記載の平編組線が提供される。
[付記3]
好ましくは、
前記平編組部および前記接続端子部が、電気めっき処理により形成された金属膜によって被覆されている
付記1または2に記載の平編組線が提供される。
[付記4]
本発明の他の一態様によれば、
素線を編組して扁平状の平編組部を形成する工程と、
前記平編組部を構成する前記素線を板状に接合して、その板状表面に前記素線が露出するように構成された接続端子部を、前記平編組部の端縁に連続して配されるように形成する工程と、
を備える平編組線の製造方法が提供される。
[付記5]
好ましくは、
前記接続端子部を形成する工程では、前記素線を拡散接合によって接合する
付記4に記載の平編組線の製造方法が提供される。
[付記6]
好ましくは、
前記平編組部および前記接続端子部を形成した後に、電気めっき処理を行って前記平編組部および前記接続端子部を前記電気めっき処理による金属膜で被覆する工程
を備える付記4または5に記載の平編組線の製造方法が提供される。
[付記7]
本発明のさらに他の一態様によれば、
複数本の素線を組み合わせて所望導体を構成する工程と、
前記所望導体の構成後に前記所望導体に対する電気めっき処理を行って、前記所望導体における前記素線を被覆する金属膜を形成する工程と、
を備える導体製造方法が提供される。
[付記8]
好ましくは、
前記所望導体が平編組線である
付記7に記載の導体製造方法が提供される。
[付記9]
好ましくは、
前記電気めっき処理を行う工程に先立って、前記所望導体の端縁近傍に接続端子部を形成する工程を備え、
前記電気めっき処理を行う工程では、前記接続端子部に対しても前記電気めっき処理を行う
付記7または8に記載の導体製造方法が提供される。
[付記10]
好ましくは、
前記接続端子部を形成する工程では、前記接続端子部の表面に前記素線が露出するように前記素線を接合して前記接続端子部を形成する
付記9に記載の導体製造方法が提供される。
[付記11]
本発明のさらに他の一態様によれば、
複数本の素線の組み合わせにより所望導体として構成された導体部と、
前記所望導体に対する電気めっき処理により形成され、前記所望導体における前記素線を被覆する金属膜と、
を備える導体が提供される。
[付記12]
好ましくは、
前記所望導体が平編組線である
付記11に記載の導体が提供される。
[付記13]
好ましくは、
前記所望導体の端縁近傍に形成された接続端子部を備えるとともに、
前記接続端子部は、前記金属膜によって被覆されている
付記11または12に記載の導体が提供される。
[付記14]
好ましくは、
前記接続端子部は、前記素線が接合されて板状に形成されたものであり、その板状表面に前記素線が露出するように構成されている
付記13に記載の導体が提供される。
1…平編組線、10…平編組部、11…素線、20…接続端子部、21…貫通孔、22…切削面

Claims (4)

  1. 素線を編組して形成された扁平状の平編組部と、
    前記平編組部の端縁に連続して配された接続端子部と、を備え、
    前記接続端子部は、前記素線が接合されて板状に形成されたものであり、その板状表面に前記素線が露出するように構成されている
    平編組線。
  2. 前記接続端子部は、前記素線が拡散接合されてなるものである
    請求項1に記載の平編組線。
  3. 前記平編組部および前記接続端子部が、電気めっき処理により形成された金属膜によって被覆されている
    請求項1または2に記載の平編組線。
  4. 素線を編組して扁平状の平編組部を形成する工程と、
    前記平編組部を構成する前記素線を板状に接合して、その板状表面に前記素線が露出するように構成された接続端子部を、前記平編組部の端縁に連続して配されるように形成する工程と、
    を備える平編組線の製造方法。
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