JP6112784B2 - 燃料電池膜モジュールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は燃料電池膜モジュールの製造方法に係り、より詳しくは、高分子燃料電池で空気を加湿する膜加湿器に用いられる膜モジュールを製造する燃料電池膜モジュールの製造方法に関する。
通常、高分子燃料電池を作動させるためには水が必要であり、このために、供給される空気を加湿する加湿器が使用される。
このような加湿器には、バブラー(Bubbler)式、インジェクション(Injection)式、及び吸着剤式など様々なタイプがあるが、燃料電池自動車の場合、パッケージに制限があるため、体積の小さい膜加湿器が使用されている。膜加湿器には、パッケージの側面だけでなく、動力の使用量が少ないという大きな利点がある。
図1は、一般的な燃料電池膜加湿器を示す斜視図である。図1に示すように、燃料電池膜加湿器の主要構成部品は、膜モジュール10、ハウジング11、及びマニフォールド12などがある。
膜モジュール10は膜が密集している部分であって、複数束の中空糸膜が膜モジュールの中に密集した形状を有する。
このような膜モジュール10の製造は次のような工程で行われる。
図2は、従来の燃料電池膜モジュールの製造方法を示す概略図であり、(a)〜(d)は工程の順序を示す。図2に示すように、先ずケース13を製作し(a)、ケース13の一側にポッティングキャップ14を被せた後(b)、ケース13の中に複数束の中空糸膜15を挿入する(c)。
その後、中空糸膜15をケース13に固定させるために、両末端部に高分子物質16を注入して固定させる(d)。
この工程をポッティング(Potting)工程という。ポッティング工程に用いられる高分子物質としては、主にウレタン系の物質が挙げられる。
ポッティング法は次の通りである。ポッティング法は重力を用いた方法であって、レジン注入口を通して高分子物質を注入し、重力により、高分子物質が、密集している膜の間に浸透して膜束を固定させる。
ポッティングした後、高分子物質を乾燥させ、最後にカッティングデバイスを用いてポッティングされた部分を切り出すことにより、所望する膜モジュール10が得られる。最終的に膜モジュール10の両側にハウジング11を取り付けると、所望する燃料電池用膜加湿器が得られる。
図3は、従来の燃料電池膜モジュールを製造する時、中空糸膜が均一に分散されず、片側に偏る現象を示す断面図である。
図3に示すように、従来の加湿器は、1つの大きいモジュールであって、その中に複数束の中空糸膜が収納される。しかしながら、1つの大きいモジュールに複数束の中空糸膜が収納されることにより、モジュールを製造する時、例えば中空糸膜が均一に分布されず片側に偏るなど、中空糸膜が不均一に分布されて製作される場合が多かった。
図4は、従来の燃料電池膜加湿器の内部構造を示す断面図である。図4に示すように、膜加湿器は、ハウジング11を備えており、ハウジング11には乾燥空気を導入する第1流入口17及び乾燥空気を排出する第1流出口18が形成され、ハウジング11の内部に膜モジュール10が配置される。そして、膜モジュール10の内部に複数束の中空糸膜15が収納されている。
このように構成された中空糸膜を用いた膜加湿器において、湿潤空気が第2流入口19から各中空糸膜15の外側に供給される。湿潤空気中の水分は中空糸膜15の毛細管作用により分離され、分離された水分は中空糸膜15の毛細管壁を透過して中空糸膜15の内側に移動する。水分が分離された湿潤空気はそのまま中空糸膜15の外部を移動して第2流出口20から流出される。
一方、乾燥空気が第1流入口17から供給され、中空糸膜15の内部を移動する。この時、湿潤空気から分離された水分が中空糸膜15の内側に移動し、この水分により乾燥空気が加湿され、加湿された乾燥空気は第1流出口18から流出されて燃料電池スタックに供給される。
このように、従来の膜加湿器は、湿潤空気が第2流入口19からハウジングの中に入って中空糸膜15に水分を供給し、第2流出口20から流出される。
しかし従来の膜加湿器は、膜モジュール10が中空糸膜15が密集している形状のため、第2流入口19から流入した湿潤空気が膜モジュール10の内部に浸入し難いという問題がある。また、湿潤空気が拡散する速度が遅いため、内部への浸入がさらに困難である。そのため、膜モジュール10の外側部に流入された湿潤空気は、ハウジング11内から膜モジュール10の内部に浸入することができず、周辺部を流れて第2流出口20から流出される。
湿潤空気は中心部に拡散する速度が遅いため、膜モジュール10の内部は十分な水分の供給を受け難くなり、加湿効率に大きな影響を及ぼし、膜加湿器の全体的な効率が低下する。
また、従来の膜加湿器は、第1流入口17から流入される乾燥空気が膜モジュール10の中央部に多く流れるため、全体的な膜加湿器の効率が更に低下する。
図5は、従来の燃料電池膜加湿器で乾燥空気の流れに対するシミュレーション試験結果を示すイメージである。図5に示すように、乾燥空気の大部分が膜モジュールの中央部にのみ流れる。
すなわち、第1流入口17から流入された乾燥空気は、主に膜モジュール10の中央部(淡色で表示された部分)を流れ、第2流入口19から流入された湿潤空気は、主に膜モジュール10の周辺部を流れるため、膜加湿器の効率に問題が発生する。
膜加湿器において、価格的に最も大きい比重を占めるのは高分子物質からなる中空糸膜である。しかし、従来の膜加湿器は、加湿効率が良くないために、必要以上に多くの中空糸膜を使用している。
したがって、膜加湿器の製造原価が高くなり、また、膜加湿器の大きさも性能に比して大きすぎるという問題があり、燃料電池車両のパッケージにおいても大きな困難がある。
特開2009−224211号公報
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、モジュール全体の中空糸膜を用いて、均一な加湿を行うことができる燃料電池膜モジュールの製造方法を提供することにその目的がある。
かかる目的を達成するために本発明で提供する燃料電池膜モジュールの製造方法は、ケースを製作する段階と、ケースの一側にポッティングキャップを被せる段階と、ケースの内部に複数束の中空糸膜を挿入する段階と、中空糸膜が入っているケースの他側に更に1個のポッティングキャップを被せる段階と、複数束の中空糸膜を固定させるためにケース内の両末端部に高分子物質を注入し、高分子物質を乾燥させる段階と、高分子物質を乾燥させた後、カッティングデバイスを用いてポッティングされた部分を切り出す段階と、を有し、
前記ポッティングキャップは、内面に突出形成され、異った直径を有し互いに間隔を保持する複数個の区画壁が同心円状に配置された形状を有するものを用い、モジュール内の、ポッティングキャップの同心円の中心側に配置される中空糸膜の数に比べて、ポッティングキャップの外周側に行くほど多くの数の中空糸膜が配置され、
前記ポッティングキャップに形成される前記区画壁は、外周側に配置される区画壁から中心側に配置される区画壁に行くほど間隔が狭くなり、
前記ポッティングキャップに形成される前記区画壁は、外周側に配置される区画壁から中心側に配置される区画壁に行くほど間隔が狭くなることを特徴とする。

また本発明は、ポッティングキャップに形成される区画壁の、最外周に配置される区画壁とポッティングキャップの周縁部との間隔が、その内側に配置される区画壁間の間隔よりも広く形成されることを特徴とする。
また本発明は、ポッティングキャップに形成される区画壁は、外周側に配置される区画壁から中心側に配置される区画壁に行くほど間隔が狭くなことを特徴とする。
また本発明は、ポッティングキャップに形成される区画壁の間隔が、区画壁の幅を変更して間隔を変更することを特徴とする。
本発明による燃料電池膜モジュールの製造方法は次のような長所がある。
第1に、モジュールの中央部には中空糸膜を少なく配置し、モジュールの周辺部には中空糸膜を多く配置した形態を適用することにより、乾燥空気が中空糸膜束の中央部にのみ流れる問題を解決し、これによって全中空糸膜により均一な加湿性能が維持される。
第2に、1つのモジュール内に中空糸膜束が分けられて収納されることにより、片側に偏るなどの不均一な分布の問題を解決し、周辺部の中空糸膜の断線問題を解決することができる。
第3に、膜加湿器の性能を向上させて中空糸膜数の使用量を減らすため、従来の膜加湿器に比して低コスト化し、膜加湿器のサイズも減らすなど、パッケージの側面にも有効である。
第4に、膜加湿器にかかる圧力降下量を低減し、これによって空気ブロワーの負荷を下げることができる。
一般的な燃料電池膜加湿器を示す斜視図である。 従来の燃料電池膜モジュールの製造方法を示す概略図であり、(a)〜(d)は工程の順序を示す。 従来の燃料電池膜モジュールを製造する時、中空糸膜が均一に分散されず、片側に偏る現象を示す断面図である。 従来の燃料電池膜加湿器の内部構造を示す断面図である。 従来の燃料電池膜加湿器で乾燥空気の流れに対するシミュレーション試験結果を示すイメージである。 本発明の燃料電池膜モジュールの製造方法を示す概略図である。 本発明の燃料電池膜モジュールの製造方法に用いられるポッティングキャップの一例を示す概略図である。 本発明の燃料電池膜モジュールの製造方法に用いられるポッティングキャップの他の例を示す概略図である。 本発明の燃料電池膜モジュールの製造方法に用いられるポッティングキャップの多様な形状を示す概略図である。 本発明の燃料電池膜モジュールの製造方法により製造された膜モジュールにおける中空糸膜の分布形態を示す断面図である。 本発明の燃料電池膜モジュールの製造方法により製造された膜モジュールの湿潤空気及び乾燥空気の分配性を示す図である。
本発明は、ポッティングキャップの設計変更により、モジュールの中心部の中空糸膜の分布を少なくし、外周部に行くほど中空糸膜を多く分布させる燃料電池膜モジュールの製造方法を提供する。ポッティングキャップを変更することにより、燃料電池膜モジュールの中空糸膜の分布を全体的に調節することができる。
本発明の燃料電池膜モジュールの場合、空気ブロワーから流入された乾燥空気は、より多くの中空糸膜が挿入された外周部により多く流通される。したがって、乾燥空気が中空糸膜束の中心部にのみ流れた従来の燃料電池膜モジュールの問題を解決でき、これによって全中空糸膜により均一な加湿性能が維持される。
以下に、添付した図面を参照して本発明を詳細に説明する。
図6は、本発明の燃料電池膜モジュールの製造方法を示す概略図であり、(a)〜(d)は工程の順序を示す。
図6に示すように、本発明の燃料電池膜モジュールの製造工程は、先ず、円筒形のケース13を製作し(a)、ケース13の一側に所定の区画壁21を有する円形のポッティングキャップ14を被せる(b)。
次に、ケース13の内部に所望する束数の中空糸膜15を挿入する(c)。
中空糸膜15を挿入した後、ケース13の他側にも所定の区画壁21を有する円形のポッティングキャップ14を被せる。次に、ケース13の内部に入っている複数束の中空糸膜15を固定させるためにケース内の両末端部に高分子物質16を注入し(d)、これを乾燥させる。
この時、高分子物質16の注入は、ポッティングキャップ14やケース13の一側に設けられた注入口(図示せず)から注入してもよく、既存の注入方法と同じ方法を用いることができる。
高分子物質16が完全に固化した後、カッティングデバイスを用いてポッティングされた部分、高分子物質16が満たされている部分を切り出すことで、基本的な製造過程を終了する。
本発明は、ケース13の内外周部に配置される中空糸膜15の分布を制御するために、内面に所定の形状からなる区画壁21を有するポッティングキャップ14を使用する。
図7は、本発明の燃料電池膜モジュールの製造方法に用いられるポッティングキャップの一例を示す概略図である。図7に示すように、ポッティングキャップ14に形成された区画壁21は、異なる直径を有する複数個の同心円形状の区画壁21で形成され、それぞれの異なる直径を有する区画壁21がポッティングキャップ14の内側面から一定の高さに突出形成されると共に、区画壁21間に所定の間隔を維持しながら配置される形状を有する。
これによって、ケース13の内部に挿入された中空糸膜15は、区画壁21間の間隔内に配置され、区画壁21の間隔に対応してモジュール内に配置される中空糸膜15の数が異なるように配備され、例えば膜モジュール10の中心部に少なく、膜モジュール10の外周部分に多く配置される。また、区画壁21が位置している空間により、膜モジュール10内で、膜モジュール10の軸線方向に沿って並んでいる中空糸膜15相互の間に空隙が生じる。これによって膜加湿器にかかる圧力降下量を低減し、これによって空気ブロワーの負荷を下げることができる。
ポッティングキャップ14に形成される区画壁21間の間隔は、最外周側に配置される区画壁21aから中心側に配置される区画壁21b,21cに行くほど互いの間隔が順次に小さくなる(L>L>L)。
例えば、ポッティングキャップ14に形成される区画壁21間の間隔を異なるように形成する場合、最外周に配置される区画壁21aとポッティングキャップの周縁部との間の間隔(L)を、中心側に配置される区画壁21b,21c間の間隔(L、L)よりも広く形成することにより、膜モジュール10の中心部には中空糸膜15を少なく配置させ、外周側に行くほど中空糸膜15を多く配置させることができる。
これによって、乾燥空気は中空糸膜15が多く配置されている外周側に多く流通され、膜モジュール10の中心部に比べて水分が多く凝縮される外周側の中空糸膜側で乾燥空気の加湿が行われ、これによって中空糸膜全体に、より均一な加湿性能を確保することができる。
一方、ポッティングキャップ14の区画壁21間の間隔を設定する方法の一例として、本発明では各区画壁21の幅、すなわち厚さに差を設ける方法を提供する。すなわち、ポッティングキャップ14に形成される区画壁21の幅を変更して区画壁21間の間隔を異なるようにする方法を提供する。
図8は、本発明の燃料電池膜モジュールの製造方法に用いられるポッティングキャップの他の例を示す概略図である。
例えば、図8に示すように、中心側に配置される区画壁21b,21cの幅に比べて最外周に配置される区画壁21aの幅を小さくすることによって、最外周の区画壁21aとポッティングキャップ14の周縁部との間の間隔を、内側(中心側)に配置される区画壁21b,21c間の間隔(L、L)よりも広く形成でき、これによって外周側に行くほど中空糸膜15を多く配置させ、膜モジュール10の中心部には中空糸膜15を少なく配置させることができる。
図9は、本発明の燃料電池膜モジュールの製造方法に用いられるポッティングキャップの多様な形状を示す概略図である。
図9に示すように、このようなポッティングキャップ14の場合、多様な形状の区画壁21を有することができるが、例えば多数の円形区画壁と放射状に延びる直線形区画壁の組合せによる多様な形状の区画壁を例示することができる。
従来の膜加湿器は1つの大きいモジュールであって、その中に複数束の中空糸膜15が収納されるが、1つの大きいモジュールに複数束の中空糸膜15が収納されることにより、モジュールの製造時、中空糸膜が均一に分布されずに片側に偏るなど、中空糸膜が不均一に分布して製作される場合が多かった。
図10は、本発明の燃料電池膜モジュールの製造方法により製造された膜モジュールにおける中空糸膜の分布形態を示す断面図である。図10に示すように、本発明の方法を適用することによって、中空糸膜15が分けられて収納され、従来の問題であった片側に偏るなどの不均一な分布問題を解決することができる。
図11は、本発明の燃料電池膜モジュールの製造方法により製造された膜モジュールの湿潤空気及び乾燥空気の分配性を示す図である。図11に示すように、本発明の方法を適用して湿潤空気及び乾燥空気の分配性が改善されることにより、中空糸膜の活用度を向上させることができる。
さらに、本発明の方法を適用して湿潤空気の分配性が改善され、従来の分配の不均一による周辺部の中空糸膜の断線問題を解決することができる。
また、本発明の方法を適用した加湿器の性能が向上され、従来の膜加湿器に比して中空糸膜数の使用量を低減することができる。
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
10 膜モジュール
11 ハウジング
12 マニフォールド
13 ケース
14 ポッティングキャップ
15 中空糸膜
16 高分子物質
17 第1流入口
18 第1流出口
19 第2流入口
20 第2流出口
21 区画壁

Claims (2)

  1. 燃料電池膜モジュールの製造方法であって、
    ケースを製作する段階と、前記ケースの一側にポッティングキャップを被せる段階と、
    前記ケースの内部に複数束の中空糸膜を挿入する段階と、前記中空糸膜が入っている前記ケースの他側に更に1個のポッティングキャップを被せる段階と、複数束の前記中空糸膜を固定させるために前記ケース内の両末端部に高分子物質を注入し、前記高分子物質を乾燥させる段階と、前記高分子物質を乾燥させた後、カッティングデバイスを用いてポッティングされた部分を切り出す段階と、を有し、
    前記ポッティングキャップは、内面に突出形成され、異った直径を有し互いに間隔を保持する複数個の区画壁が同心円状に配置された形状を有するものを用い、モジュール内の、前記ポッティングキャップの同心円の中心側に配置される前記中空糸膜の数に比べて、前記ポッティングキャップの外周側に行くほど多くの数の前記中空糸膜が配置され、
    前記ポッティングキャップに形成される前記区画壁は、最外周に配置される区画壁とポッティングキャップの周縁部との間隔が、その内側に配置される区画壁間の間隔よりも広く形成され、外周側に配置される区画壁から中心側に配置される区画壁に行くほど間隔が狭くなることを特徴とする燃料電池膜モジュールの製造方法。
  2. 前記ポッティングキャップに形成される前記区画壁の間隔は、前記区画壁の幅を変更して間隔を変更することを特徴とする請求項に記載の燃料電池膜モジュールの製造方法。
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