JP6112702B2 - 抗酸化剤 - Google Patents

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本発明は、安全で害が少ないと考えられる一方で優れた抗酸化作用を有する抗酸化剤、および、当該抗酸化剤を含む生活習慣病予防剤に関するものである。
一般的に、生物には酸素が不可欠であり、体内に取り込んだ酸素を栄養源化合物と反応させて二酸化炭素と水などに分解し、エネルギーを得る。
しかし、過剰な酸素は生体内で活性酸素に変化することがある。活性酸素は、生体内に侵入してきた病原菌などを排除する作用も有するが、生体自体の害になり得る。例えば、動脈硬化症、糖尿病、高脂血症、がんなどの生活習慣病の他、肝臓機能の低下、白髪、シミ、シワなども活性酸素が原因の一つであるといわれている。
本来、ヒトは、活性酸素を酸素と過酸化水素へ不均化する酸化還元酵素であるスーパーオキシドディスムターゼなど、活性酸素に対する防御機能を有している。しかし、かかる防御機能は加齢により衰えざるを得ない。その上、食品添加物、農薬、殺虫剤といった有害化合物や、喫煙、飲酒、ストレス、栄養不足といった生活習慣、紫外線、電磁波、放射線など、活性酸素を増やす因子は年々増加している。そこで、活性酸素を消去する抗酸化性物質が探索されている。
抗酸化性物質としては、いわゆる合成化合物も開発されている。しかし、活性酸素は上述したとおり生活習慣病の原因の一つであるので、抗酸化性物質としては、症状が顕在化する前に、予防的、また、恒常的に投与できるものが好ましい。この点において、抗酸化作用を有する合成化合物は副作用の問題が大きいので、予防的な投与や恒常的な投与に適さないといえる。よって、食品としても使用可能な天然物から抗酸化物質が探索されている。
例えば、βカロチン、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどに抗酸化作用があると言われている。また、これらを含む柑橘類から抗酸化物質が見出されている。
例えば特許文献1には、柑橘類の果皮から水溶性の抗酸化物質を抽出する方法が開示されている。特許文献2には、柑橘類の果汁、果皮、果汁の搾汁粕から、抗酸化作用を有するフラボノイドであるエリオシトリンを抽出する方法が記載されている。特許文献3には、柑橘類の果実に含まれているフラボノイドであり、抗酸化作用を有するネオヘスペリジンを有効成分として含む美白剤や色素沈着症改善剤が開示されている。
特開平5−98255号公報 特開2000−217560号公報 特開2006−273736号公報
上述したように、これまでにも抗酸化作用を示す天然成分の探索は行われている。しかし、安全で効果の高い抗酸化物質は常に求められている。
そこで本発明が解決すべき課題は、安全であり毎日の使用も可能であって、優れた抗酸化作用を示す薬剤を提供することにある。また、本発明は、同じく安全であり毎日の使用も可能であって、生活習慣病を有効に予防できる薬剤を提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく種々検討を重ねた。その結果、従来、抗酸化作用を有するフラボノイドなどを含むことから柑橘類の果実などから抗酸化物質の探索が進められてきたが、フラボノイドを含まないか或いはほとんど含まないユズ種子のオイルが優れた抗酸化作用を有することを実験的に明らかにして、本発明を完成した。
本発明に係る抗酸化剤は、ユズ種子オイルを含むことを特徴とする。
上記ユズ種子オイルとしては、ユズ種子を圧搾して得られたもの、また、当該ユズ種子圧搾オイルをさらに蒸留したものが好ましい。かかるユズ種子オイルの優れた抗酸化作用は、実験により確認されている。
本発明に係る生活習慣病予防剤は、本発明に係る抗酸化剤を含むことを特徴とする。
本発明に係る抗酸化剤は、ユズ種子に含まれるオイルを主要な有効成分とするものであることから安全性に優れ、毎日の使用も可能である。その上、極めて優れた抗酸化作用を示す。従って、本発明に係る抗酸化剤は、近年問題となっている生活習慣病など、活性酸素などの過酸化物質を原因とする疾患や症状に対する優れた抑制剤として、産業上極めて有用である。
図1は、本発明に係るユズ種子オイルとユズ果汁のスーパーオキシドディスムターゼ様効果を示すグラフである。 図2は、本発明に係るユズ種子圧搾オイルと、当該ユズ種子圧搾オイルを蒸留したもの、およびユズ果汁との間で、スーパーオキシドディスムターゼ様効果を比較するためのグラフである。 図3は、本発明に係るユズ種子オイルを投与したマウスの血清内における過酸化脂質量を示すグラフである。図3(1)は通常食群マウスの結果を示し、図3(2)は高脂肪食群マウスの結果を示す。
本発明の抗酸化剤は、優れた抗酸化作用を示し、生体内の脂質過酸化物を低減し、過酸化物を原因とする疾患や症状を効果的に抑制することができる。なお、本発明において「抑制」とは、過酸化物を原因とする疾患や症状を軽減する全ての態様を含む概念であり、例えば、治療のみならず予防も含まれる概念である。
本発明に係る抗酸化剤は、ユズ種子オイルを含むことを特徴とする。
ユズ(Citrus junos)はミカン科ミカン属に分類される植物であり、柑橘類の中では比較的寒さに強いため、日本各地で栽培されている。その果実は、ビタミンC、クエン酸、酒石酸などを含み、酸味が強くそのままでは食材に向かないが、独特で良好な香りにより、主に調味料として香味や酸味を加えるために用いられる。具体的には、果汁は焼き魚などへの香味付けのために用いられ、また、果皮は細切りして汁物などに加えられる。その他、果皮を砂糖漬けにすることもある。
上記のとおり、ユズの果実はその果汁や果皮が利用され、種子の有効利用はされてきておらず、種子はかえって廃棄されていた。本発明では、この種子を利用する。
ユズ種子オイルとは、ユズの種子に含まれる疎水性成分をいう。当該オイルの有効成分がグリセライドであるか、脂肪酸エステルであるか、或いは炭化水素類などであるかは不明であるが、本発明では複数の有効成分が複合的に作用して抗酸化作用を発揮していると考えられる。
本発明に係るユズ種子オイルとしては、ユズ種子の圧搾オイルが好ましい。ユズ種子オイルはユズ種子から有機溶媒により抽出することも考えられるが、疎水性の高い有機溶媒は有害性が高く、残留の懸念がある。また、エタノールなど有害性の比較的低い有機溶媒を用いることも考えられるが、親水性の高い有機溶媒では疎水性のオイル成分を十分に抽出できない可能性があり得る。
本発明に係るユズ種子オイルは、ユズ種子圧搾オイルをさらに蒸留やクロマトグラフィなどで処理したものであってもよい。蒸留の圧力や温度は、例えば、5Pa以上、0.1MPa以下の減圧下、10℃以上、200℃以下の範囲で適宜決定すればよい。
ユズ種子圧搾オイルには様々な有効成分が含まれており、それぞれが単独で、或いは他の成分と協働的に抗酸化作用を発揮している可能性がある。よって、ユズ種子圧搾オイルからさらに分離したものを用いることによって、より優れた抗酸化作用が発揮される可能性がある。例えば、ユズ種子の圧搾オイルを減圧蒸留して得られるものは、過酸化物質を安定な物質に分解する酸化還元酵素であるスーパーオキシドディスムターゼに類似する活性を有することがin vitro実験により直接確認されている。また、圧搾オイル自体は、生体内の過酸化物質を非常に有効に低減できることがin vivo実験により直接確認されている。
以下、本発明に係る抗酸化剤の製法につき説明する。
原料であるユズ種子は、洗浄した後、水分の混入をできる限り抑えるために乾燥することが好ましい。但し、有効成分の分解などを避けるため、加熱温度は必要以上に上げるべきではない。よって、常温で風乾するか、60℃以下で乾燥すべきである。また、ユズ種子の水分含量は、10%以下にすることが好ましい。
ユズ種子からオイルを圧搾する方法としては、特に制限はされないが、上記のとおり温度を過剰に上げるべきではないため、スクリュープレスやフィルタープレスなどを用いたコールドプレス法、遠心分離、デカンテーションなどを用いることが好ましい。なお、本発明においては、ユズ種子を粉砕する際に与えられる圧力により染み出るオイルも圧搾オイルに含まれるものとする。
スクリュープレスは、一組以上の雄螺子と雌螺子をフレーム内で回転させることにより加圧力を発生させる形式のプレス機械である。スクリュープレスを用いれば、乾燥されたユズ種子を特別に処理することなく直接圧搾できる利点がある。スクリュープレス機は様々なものが販売されていることから、ユズ種子の大きさや実施規模に応じたものを選択して用いることができる。
フィルタープレスとは、ポンプで濾板と濾布を重ねたものの中に原液を圧入して強制的に濾過を行う装置である。よって、先ずはユズ種子を粉砕し、固形分からオイル分を圧搾する必要がある。
また、ユズ種子を粉砕することにより固形分からオイル分を圧搾した場合、当該オイル分は遠心分離機やデカンテーションなどにより分離することができる。粉砕手段は特に制限されないが、例えば、ボールミル、ハンマーミル、ローラーミル、ロッドミル、サンプルミル、スタンプミル、エヒスインテグレーター、冷却装置付きブレンダーなどを用いることができる。
得られたユズ種子圧搾オイルは、上述したように、さらなる活性向上のためや所望の作用効果向上のため、さらに精製してもよい。精製手段としては、蒸留やクロマトグラフィを挙げることができる。
本発明に係る抗酸化剤は、非常に優れた抗酸化作用を示す。その一方で、食用にも利用されているユズの成分を有効成分としているために、安全性が非常に高く、恒常的な使用も可能であると考えられる。よって、例えば血中の過酸化脂質濃度の低下などのために、一日当たり複数回の使用も、また、長期にわたる使用も可能であり、さらに、例えば生活習慣病などの発症前に恒常的に使用することにより発症を予防することも可能であり得る。
本発明に係る抗酸化剤の使用量は、予防的使用であるか治療的使用であるか、患者の重篤度、その他の状態、年齢、性別などに応じて適宜調整すべきであり、特に制限されない。例えば、本発明に係る抗酸化剤は、有効成分であるユズ種子オイルの摂取量が1日当たり1mL以上、50mL以下程度となるように、1日当たり1回以上、5回以下程度投与することができる。
本発明に係る抗酸化剤の剤形は特に制限されないが、例えば、錠剤、カプセル剤、液剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、エアゾール剤などの内服剤;塗布剤、軟膏剤、ローション剤などの外用剤;エアゾール剤などの吸入剤;注射剤;坐剤などとすることができる。本発明に係る抗酸化剤は、剤形に応じて様々な添加成分を配合してもよい。例えば、基材、賦形剤、着色剤、滑沢剤、矯味剤、乳化剤、増粘剤、湿潤剤、安定剤、保存剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、界面活性剤、抗酸化剤、佐薬、緩衝剤、pH調整剤、甘味料、香料などを添加することができる。また、これら添加剤の配合量は、本発明の作用効果を妨げない様な量で有る限り、必要に応じて適宜設定することができる。さらに、他の薬効成分を添加してもよい。
また、本発明に係る抗酸化剤は、有効成分であるユズ種子オイルそのものであってもよいし、また、ユズ種子オイルを含む食品であってもよいものとする。
本発明の抗酸化剤は、酸化性疾患の抑制、即ち予防や治療に適用することができる。本発明にかかる抗酸化剤の治療対象である疾患や症状は、スーパーオキサイドアニオンや過酸化脂質などの過酸化物が関与するものである限り特に制限されないが、例えば、動脈硬化症、糖尿病、高脂血症、がん、肝臓機能の低下、白髪、シミ、シワなどを挙げることができる。また、本発明の抗酸化剤は安全性が高いので、上記疾患や症状の予防剤として、或いは上記疾患や症状の予防効果を有する健康食品または健康飲料として、恒常的に継続して使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1 ユズ種子オイルの製造
先ず、ユズ果実から種子を分離した。具体的には、十分に熟したユズ果実の表面を水で洗浄した後、下部に切れ込みを入れ、キャタピラ式果実搾汁機(井河鉄工所社製,製品名「果汁搾汁機」)を用いて圧搾することにより、種子を含む果汁を得た。次いで、100メッシュの振動篩を用い、種子を果汁から分離した。得られた種子を、50℃以下の温度で、水分含量が10%以下になるまで乾燥した。
上記乾燥ユズ種子をスクリュープレス(Reinartz社製,製品名「Screwpress type AP 10/06」)で搾油し、ユズ種子の圧搾オイルを得た。以下、ここで得られたオイルを「未処理ユズ種子圧搾オイル」という。
次いで、得られた未処理ユズ種子圧搾オイルの一部を減圧蒸留した。以下、得られたオイルを「蒸留ユズ種子圧搾オイル」という。
実施例2 抗酸化試験
(1) in vitro試験
上記実施例1で得られたユズ種子オイル1容量に対して、1容量のエタノールを加えた。この状態ではユズ種子オイルはエタノールに完全には溶解しなかったので、ピペッティングにより十分に混和した。得られたユズ種子オイル/エタノール混和物を、生理食塩水で5〜56倍に段階的希釈した。また、対照として、上記実施例1で副次的に得られたユズ果汁も同様に希釈した。
上記混和物のin vitroでの抗酸化力を、スーパーオキシドアニオンを酸素と過酸化水素へ不均化する酸化還元酵素であるスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の活性を指標として評価した。SOD様活性は、SOD assay Kit−WST(同人化学研究所社製)を用いて測定した。具体的には、96wellプレートの各ウェルに上記混和物または希釈液を20μLと、高水溶性のホルマザンを生成するテトラゾリウム塩WST−1 working solutionとを200μL加え、ピペッティングで十分に混和した。さらに、各ウェルにEnzyme working solutionを20μL加え、37℃で20分間インキュベートした。その後、プレートリーダーで450nmの吸光度を測定した。上記混和物の添加量は、反応系への最大添加量である10v/v%に設定してある。反応系には上記混和物の溶媒として用いたエタノールが最大で5%持ち込まれるが、本測定法のエタノールの影響濃度は25%以上であるため、測定に影響はない。図1に、ユズ種子オイル希釈液またはユズ果汁希釈液のSOD様活性の測定結果を示した。図2には、蒸留ユズ種子圧搾オイルによるSOD様活性が最も高かった50%ユズ種子オイル/エタノール混和物の結果を棒グラフで示した。
(2) in vivo試験
実験動物として、雌性のICRマウスを日本SLCより購入し、任意に5匹ずつ6群に分けた。実験開始時には8週齢であった。体内の脂質過酸化を促すために、通常食の代わりに高脂肪食を与えた高脂肪食群を設定した。通常食としては日本クレア社製のマウス・ラット・ハムスター用一般試料CE−2を用いた。高脂肪食としては日本クレア社製のD15001(CE−2+コレステロール2%・コール酸1%・ヤシ油5%)を用いた。餌は供餌器から自由摂取させた。
上記実施例1で得られた未処理ユズ種子圧搾オイルまたは蒸留ユズ種子圧搾オイルを0.2mL、対照マウスには同量の水を、実験開始から2週間、ゾンデを用いて1日1回マウスへ経胃的に投与した。その後、マウスをエーテル麻酔し、腋下静脈から全血を採取した。全血から血清を分離した後、測定まで−80℃で保存し、一週間以内に解析を行った。採取した血清を用いて、過酸化脂質のマーカーであるmalondialdehyde(MDA)と4−hydroxyalkenals(HAE)を比色法で定量し評価した。測定には、ALDetectTM Lipid Peroxidation Assay Kit(ENZO LIFE SCIENCES INTERNATIONAL, INC.製)を用いた。
生体内において活性酸素が生じると、活性酸素により脂質ラジカルが生成し、この脂質ラジカルは、速やかに酸素と反応して代表的な過酸化物質である脂質ペルオキシルラジカルとなる。この脂質ペルオキシラジカルがさらに他の脂質と反応し、脂質ヒドロペルオキシドと別の脂質ラジカルを生成するという連鎖的脂質過酸化反応が進行し、過酸化脂質が蓄積していく。かかる過酸化脂質が細胞膜の機能を直接的に低下させるなどして、細胞障害を引き起こす。或いは、膜構成成分に作用して細胞障害を引き起こす場合もある。脂質の中でも酸化され易い多価不飽和脂肪酸の過酸化物は分解され、MDAやHAEを生成するので、MDAやHAEの測定は、脂質過酸化の誘導因子として使われる。本アッセイでは、MDAおよびMDAとHAEの両方を測定できるようにデザイした系を用いた。具体的には、200μLの血清に対し650μLのN−methyl−2−phenylindoleのアセトン溶液(reagent R1)を添加し完全に混和した。当該混和物に対し、150μLのConc. Methansulfonic acid Storage(Reagent R2)を添加し、混和後、45℃で60分間インキュベートした。インキュベート後、15000gで10分間遠心分離し、上澄の586nmの吸光度を測定した。通常食の結果を図3(1)に、高脂肪食群の結果を図3(2)に示す。
(3) 実験結果の考察
図1のとおり、蒸留ユズ種子圧搾オイルで顕著な抗酸化作用(SOD様活性)が認められた。また、50%ユズ種子オイル/エタノール混和物のSOD様活性は、ユズ果汁が16.4±5.56(±S.E.)%、未処理ユズ種子圧搾オイルが8.6±3.42%であったのに対し、蒸留ユズ種子圧搾オイルでは54.9±4.76%であった(図2)。各群間のt検定を行ったところ、p値は果汁vs未処理オイルで0.4363、果汁vs蒸留オイルで0.0244、未処理オイルvs蒸留オイルで0.0005と、蒸留ユズ種子圧搾オイルは、ユズ果汁と未処理ユズ種子圧搾オイルに対して有意に優れたSOD様活性を有しているとの結果が得られた。
図3は、マウス血清中における脂質の過酸化量を示す。図3(1)に示されている通常食群の結果によれば、対照マウス(水投与マウス)の36.8±16.76(±S.D.)μMに対し、未処理ユズ種子圧搾オイル投与マウスでは21.5±11.79μM、蒸留ユズ種子圧搾オイル投与マウスでは22.8±7.03μMであった。t検定の結果、対照マウスに対するp値は、未処理オイルマウスでp=0.065、蒸留オイルマウスでp=0.061と、どちらも同程度の抗過酸化能を示し、in vitro試験での実験結果とは異なっていた。この傾向は、図3(2)の高脂肪食群において顕著であり、対照マウス(水投与マウス)の34.2±11.82μMに対し、未処理オイルマウスでは24.1±6.28μM、蒸留オイルマウスでは32.2±16.83μMであった。t検定の結果、対照マウスに対するp値は、未処理オイルマウスでp=0.0641、蒸留オイルマウスでp=0.413と、未処理ユズ種子圧搾オイルには抗過酸化能が認められたが、蒸留ユズ種子圧搾オイルには有意差は認められなかった。
in vitro試験でのSOD様活性は、ユズ種子オイル中に存在する成分が、直接スーパーオキサイドを消去あるいは分解する機能を反映している。in vitro試験では、蒸留ユズ種子圧搾オイルにSOD様活性が認められた。通常食群マウスに対する蒸留ユズ種子圧搾オイルの結果は、in vitro試験の結果を反映していると考えられる。他方、in vitro試験では殆どSOD様活性を有しなかった未処理ユズ種子圧搾オイルにも、生体内で脂質過酸化の阻害傾向が認められた。高脂肪食を与え過酸化負荷された群でも抑制傾向が認められた。これらの結果から、蒸留ユズ種子圧搾オイルが有している抗脂質過酸化能は、蒸留ユズ種子圧搾オイルに含有する成分が直接スーパーオキサイドを消去する作用であるのに対して、未処理ユズ種子圧搾オイルの効果は、その含有成分が、生体内の抗過酸化機構に作用した結果発揮された機能であると考えられる。未処理ユズ種子圧搾オイルの含有成分が関与する抗過酸化機構としては、生体内SOD様活性の上昇や、生体内での活性酸素発生系の阻害効果が挙げられる。つまり、蒸留ユズ種子圧搾オイルと未処理ユズ種子圧搾オイルの作用機序は異なるが、どちらにも生体内における抗酸化作用が期待できる。よって、例えば、未処理ユズ種子圧搾オイルは経口製剤の有効成分や食品材料として用い、蒸留ユズ種子圧搾オイルは外用剤として利用することが考えられる。

Claims (3)

  1. ユズ種子圧搾オイルを含むことを特徴とする抗酸化健康飲食品。
  2. 請求項1に記載の抗酸化健康飲食品を含むことを特徴とする生活習慣病予防剤。
  3. 前記生活習慣病が、動脈硬化症、糖尿病、高脂血症、がん又は肝臓機能低下である請求項2に記載の生活習慣病予防剤。
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