JP6112593B2 - オレフィン重合用触媒成分 - Google Patents

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Description

本発明は、オレフィン、特にプロピレンの重合に用いられ、チタン原子を担持する二ハロゲン化マグネシウム系担体と、エステルおよびカルバメート官能基を含有する電子供与体化合物とからなる触媒成分に関するものである。本発明は更に、前記成分から得た触媒、並びにオレフィン、特にプロピレンを重合する工程における触媒の用途にも関する。
オレフィン類の立体特異的重合(stereospecific polymerization)に用いられる触媒成分は当該分野で既知のものである。プロピレン重合において最も幅広く普及されている触媒族はチーグラー・ナッタタイプであり、チタン化合物を担持する二ハロゲン化マグネシウムと、アルキルアルミニウム化合物と組み合わせて用いる内部電子供与体化合物とからなる固体触媒成分を含む。従来には、重合体により高い結晶性が求められる場合、外部供与体(例:アルコキシシラン)と共に用いてイソタクチシチーを高める必要があった。好ましい内部供与体の例としてはフタル酸のエステルからなるものが挙げられ、最も多く用いられるのはフタル酸ジイソブチルである。内部供与体のフタル酸塩を外部供与体のアルキルアルコキシシランと組み合わせて用いる。その結果、触媒系は活性、イソタクチシチー、キシレン不溶性の側面からいい成果を出すことになる。
本触媒系の使用に関する課題としては、フタル酸塩の使用が健康上の問題を誘発するという事実が最近明らかになったこと、更に同じ分類に属する一部の化合物が強い毒性を持つということである。
そのため、研究者等は、プロピレン重合用の触媒成分の調製に用いられる内部供与体の代替物質を見つけるようと研究に心血を注いでいる。
テスト用の触媒一部は、アミド基とエステル基とを同時に有する供与体構造を持っている。国際公開特許第2006/110234号は、カルバメート基一つと遊離エステル官能基一つとを含むアミノ酸誘導体を開示している。上記の構造により生成した触媒は、バルクプロピレン重合において活性と立体特異性が非常に低い(表2)。
出願人は、特定の構造内にカルバメートとエステル官能基を含有するタイプの供与体が、活性と立体特異性とのバランスがよくとれている触媒を生成するという事実を明かしている。
従って、本発明は、マグネシウムと、チタンと、下記式(I)の電子供与体からなるオレフィン重合用触媒成分を開示する。
ここにおいてRは、必要によってハロゲン、P、S、N、Oから選ばれるヘテロ原子を含有するC−C15炭化水素基から選ばれ、R基は同一または相違であって、水素、或いは互いに融合して1つ以上の環を形成するR基であり、Aは二価架橋基である。
Aは、1〜10個の原子に当該する架橋結合2つの間隔ほどの鎖長を有する二価架橋基であるのが好ましい。架橋基として作用する環状構造において、「鎖長(chain length)」とは、式(I)の酸素原子を架橋する原子の最短配列を指す。好ましい一般的実施形態において、架橋基は−(ZR −の式で表され、ここにおいてZは独立的にC、Si、Ge、O、N、S、Pから選ばれ、R基は互いに同一または相違であって、水素、或いは必要によってP、S、N、O、Siから選ばれるヘテロ原子を含有すると共に互いに融合して一つ以上の環を形成することができるC−C20炭化水素ラジカルであり、mはZの原子価を満足できる数であり、nは1〜10の整数である。式−(ZR −で表される架橋基において、原子O、S、Nは式(I)の酸素と直接結合しないこと、つまり架橋基の末端原子ではない方が好ましい。ZはCまたはSiから選ばれるのが好ましい。より好ましい実施形態において、Zは炭素である。
特定の実施形態において、上記の二価架橋基は、必要によってC−C15炭化水素基および/またはハロゲン、P、S、N、O、Siから選ばれるヘテロ原子で置換され、原子1〜6個分、特に原子1〜4個分の架橋鎖長を有する、脂肪族二価ラジカル、脂環式二価ラジカル、芳香族二価ラジカルからなる群から選ばれるのが好ましい。
好ましい特定の実施形態において、架橋基は炭素原子1〜6個分の架橋鎖長を有する脂肪族または脂環式の架橋基である。この中でも特に好ましい架橋基は、式−(CR −で表される架橋基であって、ここにおいてRは独立的に水素、或いは必要によってハロゲン、P、S、N、O、Siから選ばれるヘテロ原子で置換されると共に互いに融合して1つ以上の環を形成できるC−C20炭化水素ラジカルであり、pは炭素の可能原子価を満足できる数であり、sは1〜6の数、好ましくは1〜4の数である。架橋基の例としては、メチリデン、エタン−1,2−ジイル、ブタン−2,3−ジイル、ペンタン−2,4−ジイル、2,2−ジイソブチルプロパン−1,3−ジイル、シクロヘキサン−1,2−ジイル、シクロペンタン−1,2−ジイルが挙げられる。架橋基ペンタン−2,4−ジイルが最も好ましい。
他の好ましい架橋基の例としては、炭素環原子を介して式(I)の酸素二つを連結することができる環状芳香族基系架橋基が挙げられる。この中で特に好ましい架橋基はフェニル基であり、必要によってハロゲンまたはC−C20アルキルラジカルで置換され、位置1、2、位置1、3、または位置1、4にある酸素原子と、必要によって位置1、2、位置2、3、または位置1、8の酸素原子を置換架橋するナフタレン基を架橋する。これらのうちでは、下記式(II)の構造を有するものが特に好ましい。
ここにおいて、RおよびRは上記の定義と同じ意味を有し、Rは独立的に水素、ハロゲン、或いは必要によってハロゲン、P、S、N、O、Siから選ばれるヘテロ原子で置換されるC−C15炭化水素基から選ばれ、ただしRのうち少なくとも一つは水素ではない。
式(II)で表される構造として、R基のうち少なくとも二つが水素でないことが好ましい。また、式(II)の芳香族環が位置3,5および/または6で置換されると更に好ましい。この場合、R基はC−Cアルキル基から選ばれるのが好ましい。尚、位置3および/または6で1級アルキル基、特にメチルで置換されるのが、また、位置4および/または5で4級アルキル基、特にtert−ブチルで置換されるのが特に好ましい。
芳香族架橋基の特定の例としては、1,2−フェニレン基、3−メチル−1,2−フェニレン基、4−クロロ−1,2−フェニレン基、4−(tert−ブチル)−1,2−フェニレン基、3,6−ジメチル−1,2−フェニレン基、3,5−ジメチル−1,2−フェニレン基、5−(tert−ブチル)−3−メチル−1,2−フェニレン基、3,5−ジイソプロピル−1,2−フェニレン基、ナフタレン−1,8−ジイル基、ナフタレン−1,2−ジイル基、ナフタレン−2,3−ジイル基が挙げられる。
式(I)および(II)において、R基はC−C15アルキル基、C−C14アリール基、C−C15シクロアルキル基、C−C15アリールアルキル基、アルキルアリール基から独立的に選ばれるのが好ましい。同一の選択肢がR基にも適用されるが、R基は水素であっても良い。より好ましいのは、式(I)および(II)においてR基がアリール基またはアルキルアリール基、特にフェニル基であることで、フェニル基はハロゲンおよび/またはC−Cアルキル基で置換されるのが好ましい。
式(I)および(II)において、R基は水素またはC−C10アルキル基から独立的に選ばれるのが好ましく、水素またはC−Cアルキル基、特にエチルから選ばれるのがより好ましい。
固体触媒成分内の電子供与体化合物の最終含有量は1〜25重量%の範囲が好ましく、3〜20重量%の範囲がより好ましい。
式(I)および(II)で表される構造の例としては、下記の物質が挙げられるが、必ずこれらに限定されるわけではない。
1−((ジエチルカルバモイル)オキシ)プロパン−2−イル 4−ブチルベンゾエート、1−((ジエチルカルバモイル)オキシ)プロパン−2−イル 4−クロロベンゾエート、1−((ジエチルカルバモイル)オキシ)プロパン−2−イル 4−エチルベンゾエート、1−((ジエチルカルバモイル)オキシ)プロパン−2−イル 4−メチルベンゾエート、1−((ジエチルカルバモイル)オキシ)プロパン−2−イル 4−プロピルベンゾエート、1−((ジエチルカルバモイル)オキシ)プロパン−2−イル ベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)エチル 4−ブチルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)エチル 4−クロロベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)エチル 4−エチルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)エチル 4−メチルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)エチル 4−プロピルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)エチル ベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)プロピル 4−ブチルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)プロピル 4−クロロベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)プロピル 4−エチルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)プロピル 4−メチルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)プロピル 4−プロピルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)プロピル ベンゾエート、3−((ジエチルカルバモイル)オキシ)ブタン−2−イル 4−ブチルベンゾエート、3−((ジエチルカルバモイル)オキシ)ブタン−2−イル 4−クロロベンゾエート、3−((ジエチルカルバモイル)オキシ)ブタン−2−イル 4−エチルベンゾエート、3−((ジエチルカルバモイル)オキシ)ブタン−2−イル 4−メチルベンゾエート、3−((ジエチルカルバモイル)オキシ)ブタン−2−イル 4−プロピルベンゾエート、3−((ジエチルカルバモイル)オキシ)ブタン−2−イル ベンゾエート、4−(カルバモイルオキシ)ペンタン−2−イル 4−ブチルベンゾエート、4−(カルバモイルオキシ)ペンタン−2−イル 4−クロロベンゾエート、4−(カルバモイルオキシ)ペンタン−2−イル 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4−メチルベンゾエート、4−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル 4−プロピルベンゾエート、4−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル ベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル 4−ブチルベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル 4−クロロベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル 4−エチルベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル 4−メチルベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル ベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル 4−ブチルベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル 4−クロロベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル 4−エチルベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル 4−メチルベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル 4−プロピルベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル ベンゾエート、4−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−6−メチルフェニル 3−クロロベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル 3−クロロベンゾエート、4−(tert−ブチル)−2−((ジイソプロピルカルバモイル)オキシ)−6−メチルフェニル 4−ブチルベンゾエート、4−(tert−ブチル)−2−((ジイソプロピルカルバモイル)オキシ)−6−メチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、4−(tert−ブチル)−2−((ジイソプロピルカルバモイル)オキシ)−6−メチルフェニル ベンゾエート、4−(tert−ブチル)−2−((ジメチルカルバモイル)オキシ)−6−メチルフェニル 4−ブチルベンゾエート、4−(tert−ブチル)−2−((ジメチルカルバモイル)オキシ)−6−メチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、4−(tert−ブチル)−2−((ジメチルカルバモイル)オキシ)−6−メチルフェニル ベンゾエート、4−(tert−ブチル)−2−((ジフェニルカルバモイル)オキシ)−6−メチルフェニル 4−ブチルベンゾエート、4−(tert−ブチル)−2−((ジフェニル
カルバモイル)オキシ)−6−メチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、4−(tert−ブチル)−2−((ジフェニルカルバモイル)オキシ)−6−メチルフェニル ベンゾエート、4−(tert−ブチル)−2−(カルバモイルオキシ)−6−メチルフェニル 4−ブチルベンゾエート、4−(tert−ブチル)−2−(カルバモイルオキシ)−6−メチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、4−(tert−ブチル)−2−(カルバモイルオキシ)−6−メチルフェニル ベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジイソプロピルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル 4−ブチルベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジイソプロピルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジイソプロピルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル ベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジメチルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル 4−ブチルベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジメチルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジメチルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル ベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジフェニルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル 4−ブチルベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジフェニルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジフェニルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル ベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−(カルバモイルオキシ)−3−メチルフェニル 4−ブチルベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−(カルバモイルオキシ)−3−メチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−(カルバモイルオキシ)−3−メチルフェニル ベンゾエート、4−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル 4−ブチルベンゾエート、4−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル 4−プロピルベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル 4−ブチルベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル 4−プロピルベンゾエート、1−((ジエチルカルバモイル)オキシ)ナフタレン−2−イル 4−プロピルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−3,4,6−トリイソプロピルフェニル 4−プロピルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−3,5,6−トリイソプロピルフェニル 4−プロピルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−3,5−ジイソプロピルフェニル 4−プロピルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−3,6−ジメチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−3−イソプロピル−6−メチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−4,6−ジイソプロピルフェニル 4−プロピルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−4−イソプロピル−3,6−ジメチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−4−メチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−5−イソプロピル−3,6−ジメチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−5−メチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−6−イソプロピル−3−メチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−6−メチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、3,6−di−tert−ブチル−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル 4−プロピルベンゾエート、3−((ジエチルカルバモイル)オキシ)ナフタレン−2−イル 4−プロピルベンゾエート、3−(tert−ブチル)−6−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−2,5−ジメチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、4−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−3,6−ジメチルフェニル 4−プロピルベンゾエート、8−((ジエチルカルバモイル)オキシ)ナフタレン−1−イル 4−プロピルベンゾエート4−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル 3−クロロベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル 3−クロロベンゾエート、4−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−6−メチルフェニルベンゾエート、5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニルベンゾエート
式(I)および(II)の範疇に属する化合物は、一般的に、超過量の出発ジオルHO−A−OHと適合な塩化アシルを反応させた後、水性洗浄、蒸留或いはクロマトグラフィで未反応ジオルを取り除いて得ることができる。続いて、モノエステル−モノアルコールを適切な塩化カルバモイルと反応させる。これらのステップは塩基の存在下で行われ、順序を入れ替えても良い。
未置換または置換カテコールを出発ジオルとして用いて式(II)による供与体を生成する場合、対応するモノフェノール−モノカルバメート誘導体は、出発化合物を炭酸ジフェニルおよび適切な2級アミンと反応させて得ることができる。こうやって得た中間物質を適合な塩化アシルと反応させる。このような反応の場合、カテコール環における置換の種類によって、カテコールの使用可能なヒドロキシル基二つのうち一方にカルバミン基(carbarmic group)を形成して位置異性体を生成することができる。相違する異性体2種の存在とそれぞれの比率は明らかになったが、式(II)で定義できるそれぞれの異性体に特定な構造を割り当てることは、今でも不可能である。故に、下記の実施例では、位置異性体の混合物としてカテコール系の電子供与体を調製した。
本発明の固体触媒成分において、固体触媒成分のチタン原子は触媒成分の総重量に対して2.5重量%を超えるのが好ましく、3.0重量%を超えるのがより好ましい。
上述した通り、本発明の触媒成分は、上記の電子供与体の他にも、チタン、マグネシウム、ハロゲンを含む。より具体的では、触媒成分は、少なくともチタン−ハロゲン結合を有するチタン化合物と、ハロゲン化マグネシウムに担持された上記の電子供与体化合物とからなる。ハロゲン化マグネシウムは、様々な特許文献にてチーグラー・ナッタ触媒の担体として幅広く知られている活性型のMgClであることが好ましき。USP4,298,718やUSP4,495,338は、チーグラー・ナッタ触媒におけるこれらの化合物の使用を説明している最初の特許である。これらの文献によると、オレフィン重合用触媒成分で担体または共担体として用いられる活性型の二ハロゲン化マグネシウムは、非活性化ハロゲン化物のスペクトルにおいて最も強く表われる回折線の強度が減り、より強い回折線に対して低い角度に向かって変位する最大強度を持つハロで取り替えられるX線スペクトルを有する。
本発明の触媒成分で用いられる好ましいチタン化合物はTiClおよびTiClである。更に式Ti(OR)m−yで表され、ここにおいてmはチタンの原子価、yは1〜m−1の数、Xはハロゲン、Rは1〜10個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルである、チタンハロアルコラートも用いることができる。
固体触媒成分の調製は、様々な方法で行うことができる。そのうちの一つは、マグネシウムアルコラートまたはマグネシウムクロロアルコラート(特にUSP4,220,554に従って調製したクロロアルコラート)、超過量のTiClを電子供与体化合物の存在下で約80〜120℃の温度で反応させる方法である。
好ましい方法によると、式Ti(OR)m−y(mはチタンの原子価、yは1〜mの数である)で表されるチタン化合物、好ましくはTiClを、式MgCl・pROH(pは0.1〜6、好ましくは2〜3.5の数、Rは1〜18個の炭素原子を有する炭化水素ラジカル)で表される付加物(adduct)から由来した塩化マグネシウムと反応させ、固体触媒成分を調製する。該付加物は、付加物と混和されない不活性炭化水素の存在下でアルコールと塩化マグネシウムとを混合し、付加物の溶融温度(100〜130℃)にて攪拌条件下で操作することにより、球形に調製することができる。続いて、該乳液を急冷して付加物を球形粒子の形に凝固させる。前記手順により調製した球形付加物の例は、USP4,399,054およびUSP4,469,648を参照すること。得た付加物をチタン化合物と直接反応させるか、或いは事前に熱制御脱アルコール化(80〜130℃)を行ってアルコールのモル数が一般的に3未満、好ましくは0.1〜2.5となる付加物を得ても良い。付加物(脱アルコール化付加物または本来の付加物)を、低温のTiCl(一般的に0℃)内に懸濁させ、チタン化合物と直接反応させても良い。混合物を80〜130℃まで加熱し、該温度で0.5〜2時間維持する。TiClを用いた処理を1回以上行っても良い。電子供与体化合物を、TiClを用いた処理中に添加するのが好ましい。球形触媒成分の調製に関しては、例えば欧州特許出願のEP−A−395083、EP−A−553805、EP−A−553806、EPA601525およびWO98/44009に記載されている。
前記方法により得た個体触媒成分において、表面積(BET法)は一般的に20〜500m/g、好ましくは50〜400m/gであり、総気孔率(BET法)は0.2cm/gを超え、好ましくは0.2〜0.6cm/gである。半径が最大10.000Åである気孔の気孔率(Hg法)は、一般的に0.3〜1.5cm/g、好ましくは0.45〜1cm/gである。
前記固体触媒成分の平均粒径は5〜120μm、より好ましくは10〜100μmである。
これらの調製方法において、所望の電子供与体化合物を直接添加しても良いが、例えば周知の化学反応により所望の電子供与体化合物への転換が可能な前駆体を用いて、現場から直接取得しても良い。
調製方法が何であるかに係らず、式(I)で表される電子供与体化合物の最終含有量は、チタン原子に対するモル比が0.01〜2、好ましくは0.05〜1.5となる量でなければならない。
本発明による固体触媒成分は、既知の方法により有機アルミニウム化合物と反応させ、オレフィン重合用触媒に転換することができる。
具体的には、本発明の目的は、CH=CHRのオレフィン(Rは水素または1〜12個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル)の重合を行う触媒を提供することであり、該触媒は、
(i)上記の前記固体触媒成分と、
(ii)アルキルアルミニウム化合物との接触、必要によって、
(iii)外部電子供与体化合物を更に接触させて得た生成物からなる。
アルキルアルミニウム化合物(ii)は、例えばトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム化合物から選ばれるのが好ましい。更に、ハロゲン化アルキルアルミニウム、水素化アルキルアルミニウム、またはアルキルアルミニウムセスキクロリド、例えばAlEtClやAlEtClなどを用いても良く、これらを上述したトリアルキルアルミニウムと混合して用いても良い。
適合な外部電子供与体化合物には、シリコン化合物、エーテル、エステル、アミン、複素環化合物、特に2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、およびケトンが含まれる。
その他の好ましい外部供与体化合物としては、式(R(RSi(ORで表されるシリコン化合物が挙げられるが、ここにおいてaおよびbは0〜2の整数、cは1〜4の整数、(a+b+c)の総計は4である。R、RおよびRは炭素原子1〜18個を有して必要によってヘテロ原子を含有するラジカルである。aが1、bが1、cが2、RおよびRのうち少なくとも一方が3〜10個の炭素原子を有し必要によってヘテロ原子を含有する分枝状アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、RはC−C10アルキル基、特にメチルであるシリコン化合物が特に好ましい。前記好ましいシリコン化合物の例としては、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン(C供与体)、ジフェニルジメトキシシラン、メチル−t−ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン(D供与体)、ジイソプロピルジメトキシシラン、(2−エチルピペリジニル)t−ブチルジメトキシシラン、(2−エチルピペリジニル)テキシルジメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)(2−エチルピペリジニル)ジメトキシシラン、メチル(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)ジメトキシシラン、N,N−ジエチルアミノトリエトキシシランが挙げられる。更に、aが0、cが3、Rが必要によってヘテロ原子を含有する分枝状アルキル基またはシクロアルキル基であり、Rがメチルであるシリコン化合物も好ましい。前記好ましいシリコン化合物の例としては、シクロヘキシルトリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、テキシルトリメトキシシランが挙げられる。
電子供与体化合物(iii)の使用量は、有機アルミニウム化合物と前記電子供与体化合物(iii)とのモル比が0.1〜500、好ましくは1〜300、より好ましくは3〜100となる量でなければならない。
従って、本発明の更なる目的は、CH=CHRのオレフィン(Rは1〜12個の炭素原子を有する水素またはヒドロカルビルラジカル)の(共)重合工程を提供することであり、該工程は、
(i)本発明に記載の前記固体触媒成分と、
(ii)アルキルアルミニウム化合物と反応をさせ、必要によって、
(iii)外部電子供与体化合物(外部供与体)を更に反応させて得た生成物からなる触媒の存在下で行われる。
重合工程は従来の技術、例えば希釈剤として不活性炭化水素溶媒を用いるスラリー重合、または反応媒質として液状単量体(例:プロピレン)を用いるバルク重合により行うことができる。更に、1つ以上の流動床または機械攪拌床反応器を用いて気相で重合工程を行うことも可能である。
重合は一般的に20〜120℃、好ましくは40〜80℃の温度で行われる。気相重合を行う場合、稼動圧力は一般的に0.5〜5MPa、好ましくは1〜4MPaである。バルク重合の場合、稼動圧力は一般的に1〜8MPa、好ましくは1.5〜5MPaである。
下記の実施例は本発明をより詳しく説明するためのものであり、発明の範疇を限定するためのものではない。
特性分析
X.I.の判定
重合体2.5gとo−キシレン250mlを、冷却器と還流凝縮器とを装備した丸底フラスコに載置して窒素下に置いた。その結果として得た混合物を135℃まで加熱し、約60分間攪拌し続けた。最終溶液を連続攪拌しながら25℃まで冷却し、不溶性重合体をろ過した。ろ過物を140℃にて窒素流内で蒸発させ、一定の重量に達するようにした。該キシレン可溶性留分(fraction)の含有量を、本来の2.5gに対する百分率で表し、控除法によりX.I.%を得た。
供与体の判定
電子供与体の含有量をガスクロマトグラフィにより判定した。固体成分を酸性水に溶解させ、溶液を酢酸エチルで抽出し、内部標準(internal standard)を添加し、有機相サンプルをガスクロマトグラフィで分析して出発触媒化合物における供与体含有量を判定した。
溶融流動指数(MFR)
重合体の溶融流動指数MILをISO1133により判定した(230℃、2.16kg)
4−((ジエチルカルバモイル)オキシ)ペンタン−2−イル 4−プロピルベンゾエートの合成(実施例1)
第1ステップ:4−ヒドロキシペンタン−2−イル 4−プロピルベンゾエートの合成
1000mLの反応容器に2,4−ペンタンジオル(25g、237.8mmol)、トリエチルアミン(31.6g、1.3eq)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.29g、0.01eq)、THF(600mL)を充填した。混合物を−5℃まで冷却し、4−プロピルベンゾイルクロリド(43.5g、0.995eq)を徐々に添加した。混合物を大気温度で6時間攪拌した。結果物の懸濁液をろ過し、白色の沈殿物をTHF(総100mL)で2回洗浄した。結果として得た有機相をロータリー蒸留器で濃縮し、淡い黄色のオイルの形で粗生成物を得た。クロマトグラフィ(SiO)(シクロヘキサン/酢酸エチル:10/1〜2/1)で結果物を精製した。収率:42.8g(71.9%)、淡い黄色のオイル、Syn/Anti=1/1、GC/MS:m/z=250。
第2ステップ:4−((ジエチルカルバモイル)オキシ)ペンタン−2−イル 4−プロピルベンゾエートの合成
1000mLの反応容器に4−ヒドロキシペンタン−2−イル 4−プロピルベンゾエート(42.8g、169.4mmol)、ピリジン(400mL)を充填した。塩化ジエチルカルバモイル(34.8g,1.5eq)を徐々に添加し、還流下で46時間攪拌した。ピリジンを濃縮させ、その結果として得たオイルを酢酸エチル(100mL)で希釈した。取得した溶液を飽和NHCl水溶液と飽和NaCl水溶液で洗浄した。有機相をMgSOで乾燥・ろ過した後、ロータリー蒸発器で濃縮してオイルの形で粗生成物を得た。クロマトグラフィ(SiO)(シクロヘキサン/酢酸エチル:8/1)で結果物を精製した。収率:44.8g(75.7%)、淡い黄色のオイル、Syn/Anti=1/1、GC/MS:m/z=349。
4−((ジエチルカルバモイル)オキシ)ペンタン−2−イル ベンゾエートの合成(実施例2)
第1ステップ:4−ヒドロキシペンタン−2−イル ジエチルカルバメートの合成
250mLの反応容器に4−((ジエチルカルバモイル)オキシ)ペンタン−2−イル 4−プロピルベンゾエート(12.5g、35.4mmol)とトルエン(125mL)を充填した。ナトリウムメトキシド(5.8g、3eq)を大気温度で徐々に添加した。混合物を60℃で12時間攪拌した。結果として得た懸濁液をろ過し、白色の沈殿物をトルエン(総60mL)で2回洗浄した。有機相をMgSOで乾燥・ろ過した後、ロータリー蒸発器で濃縮してオイルの形で粗生成物を得た。クロマトグラフィ(SiO)(シクロヘキサン/酢酸エチル:6/1)で結果物を精製した。収率:5.8g(79.8%)、淡い黄色のオイル、Syn/Anti=1/1、GC/MS:m/z=203。
第2ステップ:4−((ジエチルカルバモイル)オキシ)ペンタン−2−イル ベンゾエートの合成
250mLの反応容器に塩化ベンゾイル(2.5g、21.3mmol)、ピリジン(5mL、3eq)、THF(100mL)、4−ヒドロキシペンタン−2−イル ジエチルカルバメート(4.3g、21.3mmol)を充填した。混合物を60℃で2時間攪拌した。続いて混合物を希釈HClおよび酢酸エチルで急冷し、有機層が中性pHになるまで水で洗浄した。有機相を乾燥・ろ過した後、ロータリー蒸発器で濃縮して純粋生成物を得た。収率:6g(84%)、淡い黄色のオイル、Syn/Anti=1/1、GC/MS:m/z=307。
4−((ジエチルカルバモイル)オキシ)ペンタン−2−イル 4−エチルベンゾエートの合成(実施例3)
4−((ジエチルカルバモイル)オキシ)ペンタン−2−イル 4−エチルベンゾエートの合成法は実施例2の第2ステップと同一であるが、ただし、塩化ベンゾイルの代わりに4−エチルベンゾイルクロリドを用いた。
4−((ジエチルカルバモイル)オキシ)ペンタン−2−イル 4−ブチルベンゾエートの合成(実施例4)
4−((ジエチルカルバモイル)オキシ)ペンタン−2−イル 4−ブチルベンゾエートの合成法は実施例2の第2ステップと同一であるが、ただし、塩化ベンゾイルの代わりに4−ブチルベンゾイルクロリドを用いた。
4−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル 3−クロロベンゾエートおよび5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル 3−クロロベンゾエートの混合物の合成(実施例5)
第1ステップ:4−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシフェニル ジエチルカルバメートおよび5−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシフェニル ジエチルカルバメートの混合物の合成
丸底フラスコに、4−t−ブチルカテコール(300mmol)50g、THF(300ml)、並びに炭化ジフェニル(306mmol)65.5gを窒素下で室温にて充填する。続いてジエチルアミン(315mmol)33mLを徐々に点滴して添加し、GC分析結果から見て出発カテコールに完全転換を果したことが確実になるまで混合物を室温で攪拌する。混合物を酸性水で希釈し、ジエチルエーテルで抽出した後、有機層が中性pHになるまで水で洗浄する。溶媒をロータリー蒸発器で取り除いて取得したオイルをi−ヘキサン(500mL)に溶解し、GC分析結果から見てフェノールが存在していないことが確実になるまで水で洗浄する。溶媒を蒸留させ、次のステップで精製無しに用いられることになる4−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシフェニル ジエチルカルバメートおよび5−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシフェニル ジエチルカルバメートの混合物を得る。
第2ステップ:4−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル 3−クロロベンゾエートおよび5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル 3−クロロベンゾエートの混合物の合成
丸底フラスコに、前のステップで調製した4−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシフェニル ジエチルカルバメートおよび5−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシフェニル ジエチルカルバメートの混合物(17.5mmol)4.65gを、THF(20mL)およびEt3N(19.3mmol)2.7mLと共に窒素下で室温にて充填する。続いて、3−クロロベンゾイルクロリド(17.9mmol)2.3mLを注意深く点滴して添加する。1.5時間後、酸性水を添加して混合物をジエチルエーテルで抽出する。有機層が中性pHになるまで水で洗浄し、Na2SO4で乾燥する、溶媒を蒸留させ、GC純度99%の残基7g(収率99%)を得る。
4−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル 4−クロロベンゾエートおよび5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)フェニル 4−クロロベンゾエートの混合物の合成(実施例6)
合成法は実施例5と同一であるが、ただし、第2ステップにおいて3−クロロベンゾイルクロリドの代わりに4−クロロベンゾイルクロリドを用いた。
4−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−6−メチルフェニル 3−クロロベンゾエートおよび5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル 3−クロロベンゾエートの混合物の合成(実施例7)
合成法は実施例5と同一であるが、ただし、第1ステップにおいて4−t−ブチルカテコールの代わりに5−(tert−ブチル)−3−メチルカテコールを用いた。
4−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−6−メチルフェニル 4−クロロベンゾエートおよび5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル 4−クロロベンゾエートの混合物の合成(実施例8)
合成法は実施例7と同一であるが、ただし、第2ステップにおいて3−クロロベンゾイルクロリドの代わりに4−クロロベンゾイルクロリドを用いた。
4−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−6−メチルフェニル ベンゾエートおよび5−(tert−ブチル)−2−((ジエチルカルバモイル)オキシ)−3−メチルフェニル ベンゾエートの混合物の合成(実施例9)
合成法は実施例7と同一であるが、ただし、3−クロロベンゾイルクロリドの代わりに塩化ベンゾイルを用いた。
比較例1で用いられるN−Z−L−プロリンメチルエステルは、シグマ−アルドリッチ社で市販されている。
球形付加物の一般的調製手順
微細球状(microspheroidal)MgCl・2.8COH付加物の初期量を、WO98/44009の実施例2に記載された方法に従って、より大規模に調製する。
固体触媒成分の一般的調製手順
機械攪拌器、冷却器および温度計を装備した500mLの丸底フラスコに、250mLのTiClを室温にて窒素雰囲気下で導入した。0℃まで冷却した後、攪拌中に、内部供与体と、上述の方法によって調製した球形付加物10.0gとを順番にフラスコに添加した。Mg/供与体のモル比が6になるように内部供与体の導入量を設定した。温度を100℃まで上昇させ、そのまま2時間維持した。以降、攪拌を中止して固体生成物を沈殿させ、上清液を100℃にて吸い上げた。上清液を取り除き、未使用のTiClを、再び初期の液体レベルになるまで添加した。混合物を120℃で加熱し、該温度を1時間維持した。攪拌を再度中止し、固体を沈殿させ上清液を吸い上げた。
60℃になるまで温度を徐々に下げながら、固体を無水ヘキサンで6回(6×100mL)洗浄し、室温で1回(100mL)洗浄した。得た固体を真空下で乾燥し、分析を行った。
プロピレン重合の一般的手順
攪拌器、圧力計、温度計、触媒供給系、単量体供給ライン、恒温ジャケット(jacket)を装備した4リットルの鋼製オートクレーブを、窒素流を以って70℃にて1時間パージした。続いて、30℃にて、プロピレン流の下で、無水ヘキサン75mL、AlEt 0.76g、表1に記載の外部電子供与体(用いる場合)、固体触媒成分0.006÷0.010gを順番に充填した。オートクレーブを閉じ、水素を約2.0NL添加した。更に、攪拌しながら液状プロピレン1.2kgを供給した。温度を約5分にかけて70℃まで引き上げ、当該温度で2時間重合を行った。重合の最後に未反応プロピレンを取り除き、重合体を回収して70℃にて3時間真空下で乾燥した。重合体を計量し、o−キシレンで分留してキシレン不溶性(X.I.)留分の量を判定した。
実施例1〜9および比較例1
表1に記載の供与体を用いて一般的方法で触媒成分を調製した。結果として得た個体触媒成分の組成を分析し、上述の手順に従ってプロピレンを重合してテストを行った。結果を表1にまとめた。
ED:外部供与体
D:ジシクロペンチルジメトキシシラン
nd:判定不可

Claims (7)

  1. オレフィン重合用固体触媒成分であって、
    マグネシウムと、チタンと、下記式(I)の電子供与体とからなり、
    ここにおいてRは、必要によってハロゲン、P、S、N、Oから選ばれるヘテロ原子を含有するC−C15炭化水素基から選ばれ、R基は同一または相違であって、水素、或いは互いに融合して1つ以上の環を形成するR基であり、Aは二価架橋基であり、
    前記二価架橋基は、メチリデン、エタン−1,2−ジイル、ブタン−2,3−ジイル、ペンタン−2,4−ジイル、2,2−ジイソブチルプロパン−1,3−ジイル、シクロヘキサン−1,2−ジイル、シクロペンタン−1,2−ジイル、1,2−フェニレン、3−メチル−1,2−フェニレン、4−クロロ−1,2−フェニレン、4−(tert−ブチル)−1,2−フェニレン、3,6−ジメチル−1,2−フェニレン、3,5−ジメチル−1,2−フェニレン、5−(tert−ブチル)−3−メチル−1,2−フェニレン、3,5−ジイソプロピル−1,2−フェニレン、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−1,2−ジイル及びナフタレン−2,3−ジイルからなる群から選択されることを特徴とする、触媒成分。
  2. 基はアリール基またはアルキルアリール基から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の触媒成分。
  3. 基はフェニル基から選ばれることを特徴とする、請求項に記載の触媒成分。
  4. 基は水素またはC−C10アルキル基から独立的に選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の触媒成分。
  5. 前記電子供与体は下記式(II)により表される供与体から選ばれ、
    ここにおいて、RおよびRは請求項1の定義と同じ意味を有し、Rは独立的に水素、ハロゲン、或いは必要によってハロゲン、P、S、N、O、Siから選ばれるヘテロ原子で置換されるC−C15炭化水素基から選ばれ、ただしRのうち少なくとも一つは水素ではないことを特徴とする、請求項1に記載の触媒成分。
  6. オレフィン重合用触媒であって、
    (i)請求項1〜のうちいずれか一項に記載の前記固体触媒成分と、
    (ii)アルキルアルミニウム化合物との反応、必要によって、
    (iii)外部電子供与体化合物を添加した反応の生成物からなることを特徴とする、触媒。
  7. オレフィンCH=CHRの(共)重合工程であって、
    Rは水素、或いは炭素原子1〜12個を有するヒドロカルビルラジカルであり、
    (i)請求項1〜のうちいずれか一項に記載の前記固体触媒成分と、
    (ii)アルキルアルミニウム化合物と反応させ、必要によって、
    (iii)外部電子供与体化合物を更に反応させて得た生成物からなる触媒の存在下で行われることを特徴とする、工程。
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