JP6112152B2 - 二次電池 - Google Patents
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Description
本発明は、正極及び負極と、これらの間に配置される電解質層と、を有し、該電解質層は、正極側に配置される正極側電解質層、及び、該正極側電解質層と負極との間に配置される負極側電解質層を備え、正極及び正極側電解質層は接しており、負極及び負極側電解質層は接しており、電解質層は、互いに接している正極側電解質層及び負極側電解質層の二層構造であり、正極側電解質層は、テトラフルオロエチレン(TFE)を含有したフッ素系共重合体を有するバインダーと、電解質と、からなり、負極側電解質層は、ブタジエンゴム系バインダーと、電解質と、からなる、二次電池である。
図2に示したように、正極側電解質層4は、テトラフルオロエチレン(TFE)を含有したフッ素系共重合体を含むバインダー4aと、固体電解質6と、を含有する固体電解質層である。これに対し、図3に示したように、負極側電解質層5は、バインダーとして機能するブタジエンゴム5aと、固体電解質6とを含有する固体電解質層である。すなわち、正極側電解質層4及び負極側電解質層5は、それぞれ、PVdF電解質層及びBR電解質層であり、全固体電池10では、PVdF電解質層である正極側電解質層4と負極2との間に、BR電解質層である負極側電解質層5が配置されている。
図4に示したように、全固体電池90は、正極1及び負極2と、これらの間に配置された固体電解質層91と、を有し、固体電解質層91は、バインダーとして機能する、テトラフルオロエチレン(TFE)を含有したフッ素系共重合体と、固体電解質とを含有している。PVdF電解質層である固体電解質層91と負極2とが直接接触している全固体電池90を作動させると、負極電位において、固体電解質層91と負極2との接触界面で、固体電解質層91に含有されているテトラフルオロエチレン(TFE)とリチウムとが反応する。この反応を図5に示す。
・固体電解質の合成
Li2S(日本化学工業製)及びP2S5(アルドリッチ社製)を出発原料として、0.7656gのLi2S、及び、1.2344gのP2S5を秤量し、さらに、0.016gのデンカブラック(電気化学工業株式会社製、「デンカブラック」は電気化学工業株式会社の登録商標。)を添加した。次に、これらをメノウ乳鉢に入れて5分間に亘って混合した後、4gのヘプタンを入れ、遊星型ボールミル(45cc、ZrO2ポット、直径5mmのZrO2ボール53g)を用いて毎分500回転で20時間に亘ってメカニカルミリングした。その後、110℃で1時間に亘って加熱してヘプタンを除去することにより、固体電解質を得た。
12.03mgの正極活物質(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(日亜化学工業製))、0.51mgの導電材(気相成長炭素繊維(昭和電工製))、及び、合成した上記固体電解質5.03mgをそれぞれ秤量し、これらを溶媒(ヘプタン)に入れて混合することにより、正極用組成物を得た。この正極用組成物を、正極集電体(アルミニウム箔)へ塗工し乾燥することにより、正極集電体の表面に正極を作製した。
9.06mgの負極活物質(グラファイト(三菱化学製))、及び、合成した上記固体電解質8.24mgをそれぞれ秤量し、これらを溶媒(ヘプタン)に入れて混合することにより、負極用組成物を得た。この負極用組成物を、負極集電体(銅箔)へ塗工し乾燥することにより、負極集電体の表面に負極を作製した。
合成した上記固体電解質を18mg秤量し、この固体電解質と、テトラフルオロエチレン(TFE)を含有したフッ素系共重合体(フッ化ビニリデン単量体単位、テトラフルオロエチレン単量体単位、及び、ヘキサフルオロプロピレン単量体単位を、フッ化ビニリデン単量体単位:テトラフルオロエチレン単量体単位:ヘキサフルオロプロピレン単量体単位=55mol%:25mol%:20mol%の割合で含有する、TFEを有するフッ素系共重合体)を5wt%含有する酪酸ブチル溶液3.6mgと、酪酸ブチル30.3mgとを混合することにより、PVdF電解質組成物を得た。このPVdF電解質組成物をアルミニウム箔に塗工し、さらに乾燥させた後、アルミニウム箔を剥離させることにより、PVdF電解質層を作製した。
合成した上記固体電解質を18mg秤量し、この固体電解質と、5wt%のBRを含むヘプタン溶液3.6mgと、ヘプタン30.3mgとを混合することにより、BR電解質組成物を得た。このBR電解質組成物をアルミニウム箔に塗工し、さらに乾燥させた後、アルミニウム箔を剥離させることにより、BR電解質層を作製した。なお、BR電解質層は、作製した上記PVdF電解質層と同じ厚さになるように、作製した。
正極集電体の表面に作製した正極と、負極集電体の表面に作製した負極との間に、BR電解質層が配置されるように、これらを積層し、その後プレスすることにより、電極体Aを作製した。電極体Aを図7に示す。なお、正極集電体や負極集電体の記載を省略した図1や図4に合わせるべく、図7においても正極集電体や負極集電体の記載を省略した。
また、正極集電体の表面に作製した正極と、負極集電体の表面に作製した負極との間に、PVdF電解質層が配置されるように、これらを積層し、その後プレスすることにより、全固体電池90と同様の形態である電極体Bを作製した。
また、正極集電体の表面に作製した正極と、負極集電体の表面に作製した負極との間に、PVdF電解質層及びBR電解質層を、正極とPVdF電解質層とを接触させ且つBR電解質層と負極とを接触させるように、これらを積層し、その後プレスすることにより、全固体電池10と同様の形態である電極体Cを作製した。
粒子圧縮装置(MCTシリーズ、株式会社島津製作所製)を用いて、BR電解質層及びPVdF電解質層の曲げ強度を測定した。曲げ強度測定試験の概要を図8A、図8B、及び、図8Cに示す。図8Aは、粒子圧縮装置の試験台に設けられた直径8mmの孔に直径13mmの電解質層(BR電解質層やPVdF電解質層)を配置する様子を説明する斜視図である。図8Bは、試験台の上に配置した試料をプレッサーで押し込む前の様子を説明する、図8AのA−A’断面図である。図8Cは、試験台の上に配置した試料をプレッサーで押し込んでいるときの様子を説明する、図8AのA−A’断面図である。曲げ強度測定試験では、プレッサーで試料を押し込み、試料に亀裂が入ったことを目視で確認できた位置までの変位を測定した。結果を図9に示す。図9の「BR」は、重ねられた2枚のBR電解質層をプレッサーで押し込む曲げ強度試験の結果であることを意味し、「PVdF」は、重ねられた2枚のPVdF電解質層をプレッサーで押し込む曲げ強度試験の結果であることを意味し、「本発明」は、重ねられた1枚のBR電解質層及び1枚のPVdF電解質層(合計2枚の電解質層)をプレッサーで押し込む曲げ強度試験の結果であることを意味している。
インピーダンス測定装置(1470E CellTest System、株式会社東陽テクニカ製)を用いて、BR電解質層及びPVdF電解質層のイオン伝導度を測定した。結果を図10に示す。図10の「BR」は、BR電解質層について実施したイオン伝導度の測定結果であることを意味し、「PVdF」は、PVdF電解質層について実施したイオン伝導度の測定結果であることを意味する。
図10に示したように、BR電解質層よりもPVdF電解質層の方が、イオン伝導度が高かった。
作製した電極体A、電極体B、及び、電極体Cについて、充放電装置(TOSCAT−3200、東洋システム株式会社製)を用いて容量測定を行った。なお、電極体A、電極体B、及び、電極体Cは、電解質の構成以外は共通であり、容量測定の試験条件も同一にした。また、電極体AにおけるBR電解質層の厚さ(図7の紙面上下方向の厚さ)は、電極体BにおけるPVdF電解質層の厚さ(図4の紙面上下方向の厚さ)と同一であり、且つ、電極体CにおけるBR電解質層及びPVdF電解質層の合計厚さ(図1の紙面上下方向の厚さ)と同一であった。容量測定試験の結果を図11に示す。
2…負極
3…電解質層
4…正極側電解質層
4a…バインダー
5…負極側電解質層
5a…ブタジエンゴム(ブタジエンゴム系バインダー)
6…固体電解質(電解質)
10…全固体電池(二次電池)
Claims (1)
- 正極及び負極と、これらの間に配置される電解質層と、を有し、
前記電解質層は、前記正極側に配置される正極側電解質層、及び、該正極側電解質層と前記負極との間に配置される負極側電解質層を備え、
前記正極及び前記正極側電解質層は接しており、
前記負極及び前記負極側電解質層は接しており、
前記電解質層は、互いに接している前記正極側電解質層及び前記負極側電解質層の二層構造であり、
前記正極側電解質層は、テトラフルオロエチレンを含有したフッ素系共重合体を有するバインダーと、電解質と、からなり、
前記負極側電解質層は、ブタジエンゴム系バインダーと、電解質と、からなり、
前記正極側電解質層に含有される前記電解質、及び、前記負極側電解質層に含有される前記電解質が、固体電解質である、二次電池。
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