JP6110340B2 - 生体情報測定装置および生体情報測定方法 - Google Patents

生体情報測定装置および生体情報測定方法 Download PDF

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本発明は、生体情報測定装置および生体情報測定方法に関し、特に光を被検体に照射して当該被検体からの散乱光を受光し、その受光信号の周波数スペクトルを分析することにより、血流量等の生体情報を測定する生体情報測定装置および生体情報測定方法に関する。
従来、生体に光を照射して散乱光を受光し、その周波数スペクトルを分析することにより、血流量等の生体情報を測定する技術が医療分野等で活用されている(例えば、非特許文献1を参照。)。
図6に示すように、従来の生体情報測定装置100では、光源101から人体の体表面等の被検体102に光L1が照射され、当該被検体102からの散乱光L2を受光素子103により受光してアナログ電気信号S1に変換する。
この受光素子103から出力されるアナログ電気信号S1は、増幅回路104により所定レベルに増幅された後、中間増幅アナログ信号S2として後段のアナログデジタル変換回路106および交流増幅回路105へ出力される。
中間増幅アナログ信号S2は、アナログデジタル変換回路106によってデジタル信号データ列D1に変換された後、信号処理回路108へ出力される。また中間増幅アナログ信号S2は、その交流成分が交流増幅回路105によって増幅された後、中間増幅アナログ信号S3としてアナログデジタル変換回路107によりデジタル信号データ列D2に変換され、当該デジタル信号データ列D2が信号処理回路108へ出力される。
信号処理回路108では、デジタル信号データ列D1およびD2に基づいて血流量等の生体情報データを生成する。通信回路109は信号処理回路108により生成された生体情報を外部機器へ送信する。
図7には、交流増幅回路105から出力される中間増幅アナログ信号S3をアナログデジタル変換回路107で所定のサンプリング周期でサンプリングしたときのデータ列を示す。受光素子103により受光した散乱光L2には、皮膚や皮下組織等の静止組織により散乱された光と、血流等の移動組織により散乱されドップラー現象により周波数の変化した光とが含まれている。これら双方の光が干渉することによって、散乱光L2は強度変調されるため、その強度(電圧[V])の変動した波形が得られる。
このデータ列の周波数スペクトルを信号処理回路108により解析すると、図8に示すようなパワースペクトル密度分布が得られる。ここで、横軸の周波数Fは血流等の移動組織(例えば赤血球)の速度に対応し、縦軸のパワーP[V2]は移動組織の量に対応する。すなわち、周波数Fが高いと移動組織の移動が速くなるが移動組織の量が少なくなり、周波数Fが低いと移動組織の移動が遅くなるが移動組織の量が多くなることが分かる。
したがって、このパワースペクトル密度分布により、血流の流速と量、さらには速度と量の積和により定義される血流量等の生体情報を得ることができる。また、血流量の「ゆらぎ」には、心拍や、バソモーションと呼ばれる血管の収縮運動の影響が反映されるため、血流量を一定時間測定し、そのゆらぎを解析することによって、心拍数や血管の収縮状態といった生体情報を測定することも可能である。なお血流量の測定原理については非特許文献2に記載されている。
M. D. Stern: "In vivo evaluation of microcirculation by coherent light scattering" Nature, vol. 254, pp. 56-58 (1975) R. Bonner and R. Nossal: "Model for laser Doppler measurments of blood flow in tissue," Applied Optics, vol. 20, no. 12, pp. 2097-2107, June (1981)
しかしながら、従来の生体情報測定装置100では、光源101、増幅回路104および交流増幅回路105や信号処理回路108等による消費電力が大きく、AC電源や大容量の電池を必要とするので小型化が困難であった。このため、従来の生体情報測定装置100を身に付けて日常生活を営みながら血流量等を測定することはできないという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、携帯性に優れ、日常生活を営みながら生体情報を測定可能な生体情報測定装置および生体情報測定方法を提案することを目的とする。
本発明は、被検体(102)へ光(L1)を照射する光源(101)と、前記被検体(102)からの前記光(L1)の散乱光(L2)を受光して電気信号(S1)を生成する受光素子(103)と、前記電気信号(S1)を増幅することにより増幅電気信号(S3)を生成する増幅手段(104、105)と、前記増幅電気信号(S3)をサンプリングしてデジタル信号データ列(D2)に変換するアナログデジタル変換手段(107)と、前記デジタル信号データ列(D2)の周波数スペクトルを解析して前記被検体(102)の生体情報データを生成する演算手段(108)と、電源を制御して前記光源(101)および前記増幅手段(104、105)に供給する電力を増加させることにより前記光源(101)および前記増幅手段(104、105)を動作停止状態から起動状態に設定してから所定の電力増加時間が経過した後、前記電源を制御して前記光源(101)および前記増幅手段(104、105)に供給する電力を減少させることにより前記光源(101)および前記増幅手段(104、105)を前記起動状態から前記動作停止状態に設定するまでの前記起動状態および前記動作停止状態を間欠的に繰り返し行う制御手段(10)とを備え、前記アナログデジタル変換手段(107)は、前記光源(101)および前記増幅手段(104、105)を前記起動状態に設定したまま前記増幅電気信号(S3)をサンプリングしてデジタル信号データ列(D2)に変換し、前記演算手段(108)は、前記光源(101)および前記増幅手段(104、105)を前記動作停止状態に設定してから前記デジタル信号データ列(D2)の周波数スペクトルを解析して前記被検体(102)の生体情報データを測定することを特徴とする。
本発明の生体情報測定装置において、前記光源(101)と前記増幅手段(104、105)に供給する電力が増加されている電力増加時間Ton 、前記アナログデジタル変換手段(106、107)により前記増幅電気信号(S2)をサンプリングするときのサンプリング間隔Tsampling にサンプリング回数Nを乗算することにより求められる前記デジタル信号データ列(D2)の測定時間Tmeasure 、前記起動状態および前記動作停止状態を間欠的に行う際の間欠測定間隔Tinterval としたとき、次の(式1)を満たすことを特徴とする。
2ms ≦Tmeasure < Ton ≦(Tinterval/2)………………………………(式1)
本発明の生体情報測定装置において、前記サンプリング間隔Tsampling 、前記サンプリング回数Nは、次の(式2)および(式3)を満たすことを特徴とする。
Tsampling ≦0.05ms ……………………………………………………………(式2)
N ≧64………………………………………………………………………………(式3)
本発明の生体情報測定装置において、間欠測定間隔Tintervalは、次の(式4)を満たすことを特徴とする。
Tinterval ≦0.2s ……………………………………………………………(式4)
本発明の生体情報測定装置において、前記増幅手段(104、105)は、前記電気信号(S1)の低周波成分をハイパスフィルタによりカットして高周波成分だけを増幅する交流増幅手段(105)を更に備え、前記制御手段(10)により前記交流増幅手段(105)に供給する電力を増加させた後、前記交流増幅手段(105)の出力DC電圧レベルの変動が収束するまで、前記ハイパスフィルタの特性によって定まる所定の待機時間Twait だけ待機してから、前記アナログデジタル変換手段(107)により前記増幅電気信号(S3)をサンプリングして前記デジタル信号データ列に変換することを特徴とする。
本発明の生体情報測定装置において、前記交流増幅手段(105)の低周波側カットオフ周波数fcutoff は、次の(式5)を満たすように設定され、前記待機時間Twait は次の(式6)を満たすように設定されることを特徴とする。
100Hz ≦fcutoff ≦1KHz………………………………………………………(式5)
(0.37/fcutoff) ≦Twait ≦(1.4/fcutoff) ……………………(式6)
本発明の生体情報測定装置において、前記生体情報データを外部機器へ送信する通信手段(109)を更に備え、前記光源(101)および前記増幅手段(104、105)を前記起動状態に設定したまま前記アナログデジタル変換手段(107)により前記増幅電気信号(S3)をサンプリングしてデジタル信号データ列(D2)に変換し、前記光源(101)および前記増幅手段(104、105)の前記動作停止状態に設定してから前記演算手段(108)により前記デジタル信号データ列(D2)の周波数スペクトルを解析して前記被検体(102)の生体情報データを測定するまでの処理が間欠的に複数回(M回)繰り返し行われたことにより得られる複数回分の生体情報データからなる生体情報データ列を前記通信手段(109)により前記外部機器へ送信することを特徴とする。
本発明は、被検体(102)へ光(L1)を照射する光源(101)と、前記被検体(102)からの前記光(L1)の散乱光(L2)を受光して電気信号(S1)を生成する受光素子(103)と、前記電気信号(S1)を増幅することにより増幅電気信号(S2、S3)を生成する増幅手段(104、105)と、前記増幅電気信号(S3)を複数回サンプリングしてデジタル信号データ列(D2)に変換するアナログデジタル変換手段(107)と、前記デジタル信号データ列(D2)の周波数スペクトルを解析して前記被検体(102)の生体情報データを生成する演算手段(108)と、電源を制御して前記光源(101)および前記増幅手段(104、105)に供給する電力を増加させることにより前記光源(101)および前記増幅手段(104、105)を動作停止状態から起動状態に設定してから所定の電力増加時間が経過した後、前記電源を制御して前記光源(101)および前記増幅手段(104、105)に供給する電力を減少させることにより前記光源(101)および前記増幅手段(104、105)を前記起動状態から前記動作停止状態に設定するまでの前記起動状態および前記動作停止状態を間欠的に繰り返し行う制御手段(10)とを備えた生体情報測定装置(1)の生体情報測定方法において、前記光源(101)および前記増幅手段(104、105)を前記起動状態に設定したまま前記アナログデジタル変換手段(107)により前記増幅電気信号(S3)をサンプリングして前記デジタル信号データ列(D2)に変換するアナログデジタル変換ステップと、前記光源(101)および前記増幅手段(104、105)を前記動作停止状態に設定してから前記演算手段(108)により前記デジタル信号データ列(D2)の周波数スペクトルを解析して前記被検体の生体情報データを測定する生体情報データ測定ステップとを有することを特徴とする。
本発明によれば、光源(101)および増幅手段(104、105)に供給する電力を増加させた起動状態に設定したまま、アナログデジタル変換手段(107)により増幅電気信号(S3)をサンプリングしてデジタル信号データ列(D2)に変換し、光源(101)および増幅手段(104、105)に供給する電力を減少させ動作停止状態に設定してから、演算手段(108)により生体情報データを生成させるまでの処理を間欠的に繰り返し行うことにより、光源(101)および増幅手段(104、105)に供給する電力をサンプリングのタイミングでのみ増加させ、それ以外のタイミングでは電力を減少した状態で消費電力を低減しながら生体情報データを間欠的に測定することができるため、携帯性に優れ、日常生活を営みながら生体情報を測定可能な生体情報測定装置を実現することができる。
本発明によれば、(式1)を満たすことにより、生体情報データの測定精度の劣化を抑制しながらサンプリング測定時間Tmeasureを極力短縮し得るので、当該生体情報データを測定する際の間欠動作による高い消費電力削減効果についても得ることができる。
本発明によれば、(式2)および(式3)を満たすことにより、生体情報データの測定精度の劣化を抑制しながらサンプリング測定時間Tmeasureを極力短縮することができる。
本発明によれば、(式4)を満たすことにより、生体情報がもつゆらぎを考慮した生体情報データの測定を行うことができる。
本発明によれば、交流増幅手段(105)の出力DC電圧レベル(PLV)の変動が収束するまで待機時間Twait だけ待機してから、アナログデジタル変換手段(107)により増幅電気信号S3に対するサンプリングを開始するので、微小な高周波成分を高い電力効率で増幅しながら、生体情報データを高精度に測定することができる。
本発明によれば、複数回分の生体情報データからなる生体情報データ列を構成してから、通信手段(109)により外部機器へ送信するので、生体情報データを低消費電力で効率的に外部機器へ送信することができる。
本発明の実施の形態における生体情報測定装置の構成を示すブロック図である。 生体情報測定送信処理手順を示すフローチャートである。 間欠測定間隔と消費電力との関係の説明に供するタイミングチャートである。 血流量の測定結果の周波数分解能依存性を示すグラフである。 交流増幅回路の低周波側カットオフ周波数と血流スペクトル効率および電力効率との関係を示すグラフである。 従来の生体情報測定装置の構成を示すブロック図である。 従来の生体情報測定装置を用いて測定される強度変調された散乱光の波形を示すグラフである。 従来の生体情報測定装置を用いて解析したパワースペクトル密度分布を示すグラフである。
<生体情報測定装置の構成>
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態における図1の生体情報測定装置1においては、図6に示された従来の生体情報測定装置100と同一の構成要素には同一の符号を用いている。
図1に示すように、生体情報測定装置1は、被検体102へ光L1を照射する光源101と、被検体102からの散乱光L2を受光してアナログ電気信号S1を生成する受光素子103と、アナログ電気信号S1を増幅することにより中間増幅アナログ信号S2を生成して出力する増幅回路104と、中間増幅アナログ信号S2の交流成分を更に増幅して中間増幅アナログ信号S3を生成する交流増幅回路105と、中間増幅アナログ信号S2をデジタル信号データ列D1に変換するアナログデジタル変換回路106と、中間増幅アナログ信号S3をデジタル信号データ列D2に変換するアナログデジタル変換回路107と、デジタル信号データ列D2の周波数スペクトルを解析したときの解析結果と、デジタル信号データ列D1の直流電圧値とに基づいて血流量等の生体情報データを解析する信号処理回路108と、当該生体情報データを外部機器へ送信する通信回路109と、電源(図示せず)から光源101、増幅回路104、交流増幅回路105に供給される電力を制御するとともに、アナログデジタル変換回路106、107、信号処理回路108および通信回路109に対する動作およびクロックの供給を制御する制御回路10とによって構成されている。
光源101としては、例えば生体透過性の高い波長600[nm]〜1400[nm]程度の光を発生させる半導体レーザーダイオード等を用いることができる。この場合の光出力としては、1[mW]程度の出力電力があればよい。
受光素子103としては、光源101の光の波長に対して高い受光感度を持つ素子を用いればよく、例えばSi−PINフォトダイオードやInGaAsフォトダイオード等を用いることができる。
ここで、散乱光L2には、被検体102中の静止組織により散乱された光と、移動組織により散乱されてドップラー現象により周波数が変化した光とが含まれており、これらが干渉することによって強度変調が生じている。
受光素子103により検出できる散乱光L2の光強度はμW(マイクロワット)以下と微小であり、強度変調された周波数成分はさらに微小であることから、血流量等の生体情報を高精度に解析するためには、受光素子103が出力するアナログ電気信号S1を増幅することが必要となる。
増幅回路104は、例えば電圧増幅器と帰還抵抗を組み合わせたトランスインピーダンスアンプ回路等が用いられる。ここで増幅回路104の電圧増幅器としては、Enable/Disable制御端子が設けられているスリープ機能を備えたオペアンプが用いられる。
受光素子103により生成されるアナログ電気信号S1は、μA(マイクロアンペア)以下の微小な電流であるため、後段のアナログデジタル変換回路106、107において十分な精度でサンプリングを行うためには、当該増幅回路104において大きな抵抗値の帰還抵抗を用いて高い増幅率を得ることが必要である。
ここで、増幅回路104に入力されるアナログ電気信号S1の信号レベルは、被検体102の特性等により変化するため、様々な信号レベルのアナログ電気信号S1に対応するに当たって、増幅回路104が可変利得機能を備えるようにしてもよい。
交流増幅回路105としては、例えばハイパスフィルタと電圧増幅器を組み合わせて構成することができる。ここで交流増幅回路105の電圧増幅器としては、Enable/Disable制御端子が設けられているスリープ機能を備えたオペアンプが用いられる。
交流増幅回路105の構成としては、ハイパスフィルタと電圧増幅器の組み合わせだけではなく、例えばローパスフィルタと差動電圧増幅器を組み合わせて構成してもよい。この場合、増幅回路104から出力される中間増幅アナログ信号S2と、当該中間増幅アナログ信号S2の高周波成分をローパスフィルタでカットした低周波成分の信号との差分が交流成分となるので、それを増幅すればよい。この交流増幅回路105においても、様々な信号レベルの中間増幅アナログ信号S2に対応するため、可変利得機能を備えた電圧増幅器を用いるようにしてもよい。
ドップラー現象により強度変調された周波数成分は、中間増幅アナログ信号S2の交流成分となるが、通常、交流成分の振幅は中間増幅アナログ信号S2の直流値に対して非常に小さい。そのため、中間増幅アナログ信号S2の交流成分を十分増幅するために増幅回路104の利得を大きくしようとすると、増幅された直流成分により増幅回路104の出力が飽和する場合がある。
そこで、増幅回路104の利得は出力が飽和しない程度に抑制し、後段の交流増幅回路105を併用して中間増幅アナログ信号S2の交流成分のみを更に増幅させることにより、生体情報の測定精度を向上させることが可能となる。なお、増幅回路104を飽和させない範囲で十分な大きさの交流成分が得られる場合においては、交流増幅回路105を省略することも可能である。
本実施の形態では、1つの増幅回路104および1つの交流増幅回路105により増幅手段を構成しているが、更に多段の増幅回路および交流増幅回路を組み合わせることにより増幅手段を構成するようにしてもよい。また、増幅を行わなくても十分な大きさの直流信号が得られる場合には、増幅回路104を省略し、交流増幅回路105のみを用いるようにしてもよい。
信号処理回路108は、例えばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)等でなり、アナログデジタル変換回路106、107から供給されるデジタル信号データ列D1およびD2をデータ蓄積用の内部メモリに一時的に蓄積し、そのデジタル信号データ列D1、D2に基づいて生体情報データを測定・解析するものである。通信回路109は、有線または無線の通信インタフェースであり、外部機器に対して信号処理回路108からの生体情報データを送信するものである。
制御回路10は、マイクロプロセッサからなり、電源から光源101、増幅回路104および交流増幅回路105に供給される電力を制御するものである。また制御回路10は、アナログデジタル変換回路106、107、信号処理回路108および通信回路109の動作を停止させたり、クロックの供給を停止することにより、アナログデジタル変換回路106、107、信号処理回路108および通信回路109の消費電力を低減させる制御についても行う。
因みに、この実施の形態では、光源101、受光素子103、増幅回路104、交流増幅回路105、アナログデジタル変換回路106、107、信号処理回路108、通信回路109および制御回路10を別個の回路ブロックとして記載しているが、実際にはこれらの回路は全て1チップのマイクロコンピュータ等を用いて実現することも可能である。
<生体情報測定装置の生体情報測定送信処理手順>
次に、図2および図3を用いて生体情報測定装置1により生体情報データを測定し外部機器へ送信するまでの生体情報測定送信処理手順について説明する。
生体情報測定装置1では、生体情報データの測定を開始するための命令がオペレータにより入力されるまで待機する(ステップSP1)。
生体情報測定装置1の制御回路10は、生体情報の測定を開始するための命令が入力されたことを認識すると、電源を制御して光源101、増幅回路104および交流増幅回路105に供給される電力を増加させる(ステップSP2)。この場合、制御回路10は、増幅回路104および交流増幅回路105に対して電圧増幅器のEnable/Disable制御端子にイネーブル信号を出力することにより、スリープ状態(動作停止状態)から動作状態(起動状態)へ遷移させる。
これにより光源101から被検体102へ光L1が照射され、その散乱光L2が受光素子103で受光されてアナログ電気信号S1に変換された後、当該アナログ電気信号S1が増幅回路104および交流増幅回路105において増幅可能な状態となる。
このとき、電力の増加により光源101や増幅回路104の出力が急激に変化するため、交流増幅回路105の出力DC電圧レベルPLVは一時的に大きく変動する(図3)。
そこで制御回路10は、アナログデジタル変換回路107が中間増幅アナログ信号S3のサンプリングを開始する前に、増幅回路104および交流増幅回路105に対する電力の増加後、交流増幅回路105の出力DC電圧レベルPLVの変動がほぼ一定に収束するまでの間待機するための待機時間Twaitを設け、この待機時間Twaitだけアナログデジタル変換回路105によるサンプリングを開始することなく待機させる(ステップSP3)。これによりDC電圧レベルPLVの変動に起因した生体情報データの測定誤差を予め回避することができる。
待機時間Twaitだけ待機した後、制御回路10はアナログデジタル変換回路107により中間増幅アナログ信号S3のサンプリングを開始させ(ステップSP4)、予め設定されたサンプリング回数「N」だけサンプリングが終了するまでサンプリングを繰り返す(ステップSP5)。
ここで、中間増幅アナログ信号S3は交流成分のみを含んでおり、直流成分を含んでいないため、アナログデジタル変換回路107によるデジタル信号データ列D2の生成と並行して、中間増幅アナログ信号S2をアナログデジタル変換回路106によりサンプリングして生成したデジタル信号データ列D1に対し、信号処理回路108のローパスフィルタを介して直流成分(直流電圧値VDC)を取得する。
アナログデジタル変換回路107による中間増幅アナログ信号S3のサンプリングが終了すると、制御回路10は電源を制御して光源101、増幅回路104および交流増幅回路105へ供給する電力を低下させる(ステップSP6)。これにより、光源101は光L1を被検体102へ照射しない動作停止状態となり、増幅回路104および交流増幅回路105は増幅機能を停止したスリープ状態(動作停止状態)となる。
次に、信号処理回路108は、デジタル信号データ列D2の周波数スペクトルを算出する。例えば信号処理回路108は、内部メモリに蓄積したデジタル信号データ列D2に対してFFT(Fast Fourier Transform)解析を行うことにより、周波数スペクトルを算出することができる(ステップSP7)。
このようにして得られた周波数スペクトルは、例えば図8に示したように、周波数Fが血液(赤血球)の速度、パワーPが血液量に相当する値であるため、この周波数スペクトル自体を生体情報として活用することができる。
また信号処理回路108は、この周波数スペクトルの周波数F、パワーP、および内部のローパスフィルタを介して取得したデジタル信号データ列D1の直流成分(直流電圧値VDC)を用い、次の(式7)、(式8)で演算することにより(非特許文献1を参照)、血液量および血流量等の生体情報を得ることができる(ステップSP7)。
血液量 ∝ (ΣP/VDC 2)…………………………………………………………(式7)
血流量 ∝ (Σ(P×F)/VDC 2)………………………………………………(式8)
制御回路10は、信号処理回路108による血液量および血流量等の解析が終了すると、信号処理回路108の解析動作を一旦停止させる。これにより信号処理回路108の消費電力を低減させることができる。このとき制御回路10は、信号処理回路108に対するクロックを停止し、当該信号処理回路108をスリープ状態にすることにより、更に消費電力を低減させるようにしても良い。
生体情報の解析が終わった後、信号処理回路108の解析動作を一旦停止させたままの状態で調整時間Tpが経過した後、再び生体情報を測定するタイミングになると、制御回路10はこれまでのステップSP2乃至SP7を繰り返し、光源101、増幅回路104および交流増幅回路105に対する電力の増加、アナログデジタル変換回路106、107によるサンプリング、当該電力の低下、および生体情報データの測定までを繰り返し行う。
ここで、生体情報データを測定するタイミングというのは、ステップSP2において増幅回路104および交流増幅回路105に対する電力を増加してから、アナログデジタル変換回路106、107によるサンプリング、当該電力の低下、生体情報データの測定後の間欠測定間隔Tinterval毎に訪れるものである。この調整時間Tpは、間欠測定間隔Tintervalから、増幅回路104および交流増幅回路105に対する電力を増加してから、アナログデジタル変換回路106、107によるサンプリング、当該電力の低下、生体情報データを測定するまでの合計時間を差し引いた残り時間である。
ここで、図3に示されるように、間欠測定間隔Tintervalは、増幅回路104および交流増幅回路105に対して電力を増加している電力増加時間であるON時間Ton、信号処理回路108による周波数スペクトルの算出および生体情報データの解析に要する解析時間Tcalc、および調整時間Tpを用いて、Tinterval=Ton+Tcalc+Tp として表される。
このON時間Tonは、増幅回路104および交流増幅回路105に対して電力を増加した後、交流増幅回路105のDC電圧レベルPLVがほぼ一定に収束するまでの待機時間Twaitと、アナログデジタル変換回路106、107による測定時間Tmeasureと、アナログデジタル変換回路106、107によるサンプリングの終了後、光源101、増幅回路104および交流増幅回路105に対する電力を低下し動作停止状態になるまでの時間との合計時間である。
このON時間Tonの期間では、光源101、増幅回路104および交流増幅回路105の電力が増大されているが、通信回路109では未だ通信が行われないため、制御回路10により通信回路109の動作が停止されたままの状態であり、その分、消費電力が低減されている。
制御回路10は、この間欠測定間隔Tinterval毎に生体情報データの測定を繰り返し行い、 生体情報データを測定した回数が所定の複数(M)回(M:1以上の整数)になったか否かを判定し、複数(M)回測定するまでステップSP1乃至ステップSP7の処理を繰り返す(ステップSP8:NO)。
これに対して制御回路10は、生体情報データを複数(M)回測定すると(ステップSP8:YES)、通信回路109をスリープ状態から動作状態に遷移させ、その複数(M)回分の生体情報データを通信回路109により外部機器(図示せず)へ一括送信する(ステップSP9)。
このように制御回路10は、一定個数(M個)の生体情報データが蓄積されてから、これら複数(M)個の生体情報データを一括して外部機器へ送信するので、生体情報データを測定する毎に送信する場合に比して、通信回路109の消費電力を大幅に削減することができる。
ところで、従来の生体情報測定装置100(図6)では、光源101、増幅回路104および交流増幅回路105が常時起動状態すなわち動作可能状態となっているため、消費電力が多大であった。
これに対して、本発明の生体情報測定装置1では、アナログデジタル変換回路106、107によるサンプリング時にのみ光源101、増幅回路104および交流増幅回路105の電力を増加させて動作状態とし、それ以外のタイミングでは電力を低下させることによって消費電力を大幅に削減することができる。
また生体情報測定装置1の制御回路10は、信号処理回路108および通信回路109に対しても必要なときのみ動作させるように制御することにより、消費電力を大幅に削減することができる。
さらに生体情報測定装置1では、サンプリング、生体情報データの解析およびM個の生体情報データの通信を並行して行うことなくシーケンシャルに行う。これにより、生体情報データの解析や通信の際に発生するノイズがサンプリング中に入り込むことを防止できるので、結果的に生体情報データの測定精度を向上させることができるという効果や、消費電流のピークを低減させ、電池に対する負荷を低減するという効果も得ることができる。
以上のような動作および効果を実現するためには、サンプリングや生体情報データの解析に必要とされる時間を極力短縮し、できるだけ長い時間、光源101、増幅回路104および交流増幅回路105の電力を低下した状態にすることが重要である。以下、そのための具体的条件について説明する。
<具体的条件>
このような構成の生体情報測定装置1において、サンプリングや生体情報データの解析に必要とされる時間を極力短縮し、できるだけ長い時間、光源101、増幅回路104および交流増幅回路105の電力を低下した状態にするための具体的条件を幾つかの項目に分けて説明する。
<間欠測定間隔>
上述した生体情報測定装置1の制御回路10がステップSP1乃至ステップSP7の処理を繰り返す際の間欠測定間隔Tintervalについては、0.2秒以下とすることが望ましく、次の(式9)により表される。
Tinterval ≦0.2s ……………………………………………………………(式9)
これは、血流量等の生体情報が持つ「ゆらぎ」を測定できるようにするためである。「ゆらぎ」の原因としては、心拍の影響が大きく、運動時等において1分間(60[s])当たりの心拍数が150[bpm]であった場合、心拍間隔(R−R間隔)は0.4[s](60[S]/150[bpm])となる。したがって、心拍間隔はナイキスト定理(標本化定理)を考慮すると、0.2[s]以下の間欠測定間隔Tintervalが必要になる。
また、一層激しい運動を行った場合、1分間当たりの心拍数は最大220[bpm]程度に達する場合もあるため、このような場合、心拍間隔(R−R間隔)は0.27[s] (60[S]/220[bpm])となる。したがって、心拍間隔はナイキスト定理を考慮して、間欠測定間隔Tintervalを0.13秒以下とすることが望ましい。
なお、心拍数が150[bpm]よりも低い場合や、心拍に依存した「ゆらぎ」を測定する必要が無い場合については間欠測定間隔Tintervalを長くしてもよく、間欠測定間隔Tintervalを可変できるようにしてもよい。
ここで、光源101、増幅回路104および交流増幅回路105に供給される電力が増加されているON時間Ton、言い換えると、ステップSP1〜ステップSP6までの実行時間がステップSP1〜ステップSP7を繰り返す間欠測定間隔Tintervalと仮に同等であるとした場合、制御回路10が生体情報データを測定するために間欠動作を実行しても十分な消費電力削減効果を得ることはできない。
本発明の生体情報測定装置1では、次の(式10)のように、ON時間Tonを間欠測定間隔Tintervalの約1/2以下となるようにすることにより、間欠動作による十分な消費電力削減効果を得ることができる。なお1/2に限定されるものではなく、より効果的には例えば1/3以下となるようにしてもよい。
Ton ≦Tinterval/2……………………………………………………………(式10)
<サンプリングパラメータ>
次に、アナログデジタル変換回路106、107におけるサンプリングパラメータについて説明する。ここで、サンプリング間隔Tsampling、サンプリング回数Nとすると、デジタル信号データ列D2の測定時間Tmeasureは、次の(式11)により表される。
Tmeasure=Tsampling×N………………………………………………………(式11)
なお、信号処理回路108において周波数スペクトルを算出する代表的な解析手法であるFFT(高速フーリエ変換)を用いる場合、高速で計算でき、かつアルゴリズムも単純になるので、前提としてサンプリング回数Nは2の累乗であることが必要である。
サンプリング間隔Tsamplingは、周波数スペクトルの解析範囲と関係しており、解析可能な周波数の上限fmaxは、次の(式12)により表される。
fmax=1/(2Tsampling) ………………………………………………………(式12)
この(式12)により、サンプリング間隔Tsamplingを短くした方が解析可能な周波数の上限fmaxは向上することが分かる。生体等の被検体102に光L1を照射した際に得られる散乱光L2の周波数スペクトルは、主に、数10[kHz]以下に分布しているため、血流量等の生体情報を測定するためには、サンプリング間隔Tsamplingは(式12)にしたがって0.05[ms]以下とすることが望ましい。
この測定時間Tmeasureは、周波数分解能fresolutionと関係しており、次の(式13)により表される。
fresolution=1/Tmeasure=1/(Tsampling×N)………………………(式13)
したがって、周波数分解能fresolutionを細かくするためには、サンプリング回数Nを大きくして測定時間Tmeasureを長くする必要がある。
しかしながら、従来の生体情報測定装置100では、例えば周波数分解能fresolutionを10[Hz]程度としていた。そのため(式13)によりサンプリング測定時間Tmeasureを0.1[s]程度とする必要があり、サンプリング間隔Tsamplingが0.05[ms]であるとすると、サンプリング回数Nは(式13)により「2000」となるが、2の累乗であることが必要なため「2048」となる。
ところで、上述したように、激しい運動等を行ったときの心拍数が最大220[bpm]程度に達する場合に合わせて間欠測定間隔Tintervalを0.13[s]とした場合、周波数分解能fresolutionが10[Hz]程度であれば測定時間Tmeasureが0.1[s]程度必要になる。
この場合、間欠測定間隔Tintervalの0.13[s]のうち測定時間Tmeasureの0.1[s]が大部分を占めることになるため、殆ど常時サンプリングを行うことが必要になる。すなわち、この場合には、光源101や増幅回路104、交流増幅回路105の電力を低減している余裕は無いことになる。
信号処理回路108においてFFTに必要な解析時間TFFTは、次の(式14)により表される。
TFFT=Nlog2N×A………………………………………………………………(式14)
ここで、Aは制御回路10を構成するマイクロプロセッサの計算能力に依存した比例係数であり、例えばクロック周波数16[MHz]の32[bit]マイクロプロセッサを用いた場合には、比例係数Aは4[μs]であった。
サンプリング回数Nが「2048」の場合には、信号処理回路108の解析時間TFFTは(式14)により90[ms]となる。測定時間Tmeasureが0.1[s]であるため、当該測定時間Tmeasureと解析時間TFFTとの合計時間が0.19[s]となり、間欠測定間隔Tintervalの0.13[s]を上回ってしまう。
このように、従来の生体情報測定装置100における信号処理回路108の周波数分解能fresolutionが10[Hz]程度の場合、測定時間Tmeasureと解析時間TFFTとの合計時間が0.19sであり、間欠測定間隔Tintervalの0.13[s]を上回ってしまうので、アナログデジタル変換回路107によるサンプリングおよび信号処理回路108によるFFT解析を順次行うことは不可能となる。
したがって、従来の生体情報測定装置100では、サンプリングとFFT解析とを並行して実施しなければならない。このため、従来の生体情報測定装置100では、サンプリングを実施するマイクロプロセッサとFFT解析を実施するマイクロプロセッサとがそれぞれ必要となり、回路規模や消費電力が増大してしまうという問題が残っていた。
以上のように、従来の生体情報測定装置100において用いられていた各種のサンプリングパラメータを用いると、本願発明において提案しているように、光源101、増幅回路104および交流増幅回路105に供給される電力を制御して間欠的に動作させるとともに、サンプリングとFFT解析とを並行して行わずに順次行うようにすることは困難であった。
そこで、本出願人は、周波数分解能fresolutionと血流量の測定精度との関係について詳細な調査を行った。その結果を図4に示す。図4では、横軸に周波数分解能fresolutionが示され、縦軸に血流量測定値(相対値)が示されている。ここで、相対値とあるのは、血流量測定値が「1.0」であったときを基準として、その基準に対する相対値が示されているからである。
図4では、周波数分解能fresolutionを700[Hz]程度まで大きくしても、血流量の測定値の変化が小さい。したがって、周波数分解能fresolutionを700[Hz]として、(式13)により測定時間Tmeasureを計算すると、1.4[ms]となるため、それに余裕を持たせて測定時間Tmeasureを2[ms]程度まで短くすることは十分可能であることを見出した。すなわち測定時間Tmeasureは、次の(式15)が成立する。
2[ms] ≦ Tmeasure…………………………………………………………(式15)
ところで、ON時間Tonは、待機時間Twaitと測定時間Tmeasureとの合計よりも大きいため、次の(式16)が成立する。
Tmeasure<Ton………………………………………………………………(式16)
したがって、上述した(式10)、(式15)および(式16)により、ON時間Tonと、測定時間Tmeasureと、間欠測定間隔Tintervalとの間では、次の(式17)が成立する。
2[ms] ≦ Tmeasure<Ton ≦ (Tinterval/2)……………………………(式17)
例えば、測定時間Tmeasureを2[ms]程度まで短くしサンプリング間隔Tsamplingを0.05[ms]とすると、(式13)により、サンプリング回数Nは「40」となるが、2の累乗であることが必要なため「64」以上とすればよい。
したがって、この場合、サンプリング間隔Tsampling 、サンプリング回数Nについては、次の(式18)および(式19)を満たすことになる。
Tsampling ≦0.05ms …………………………………………………………(式18)
N ≧64……………………………………………………………………………(式19)
サンプリング回数Nが「64」のFFT解析に必要な解析時間TFFTは、上述のマイクロプロセッサの例に基づくと、(式14)により1.5[ms]である。また、サンプリング回数Nが「64」のときの測定時間Tmeasureは、(式13)により3.2[ms]となる。
したがって、測定時間Tmeasureの3.2[ms]と、解析時間TFFTの1.5[ms]との合計時間は4.7[ms]となり、間欠測定間隔Tintervalの0.13[s]よりも十分に短くすることができる。
これにより生体情報測定装置1では、アナログデジタル変換回路107によるサンプリングおよび信号処理回路108によるFFT解析を同一の制御回路10(マイクロプロセッサ)で順次シーケンシャルに行うことが可能となり、その分、従来の生体情報測定装置100と比して回路規模や消費電力を大幅に削減することができる。
さらに、サンプリングおよびFFT解析を同時に行わないことによって、制御回路10がFFT解析動作を行う際に生じるノイズがサンプリング時に影響を及ぼさないようになり、結果的に生体情報データの測定精度を向上させることもできる。
ところで、サンプリング回数Nの上限については、測定時間Tmeasureと解析時間TFFTとの合計時間が間欠測定間隔Tintervalよりも短くなるように、(式13)および(式14)に基づいて、次の(式20)を満たす範囲で設定することが必要である。
N×Tsampling +Nlog2N×A<Tinterval…………………………………(式20)
例えば、サンプリング間隔Tsamplingとして0.05[ms]、制御回路10を安価かつ汎用的なマイクロプロセッサで容易に実現可能な比例係数Aの値として4[μs]を(式17)に代入すると、サンプリング回数Nの上限は「1024」となることが分かる。
<待機時間>
次に、ステップSP3において実行される待機時間Twaitについて説明する。上述したように、ステップSP2において光源101、増幅回路104および交流増幅回路105に対して電源からの電力を増加させると、光源101、増幅回路104の出力が急激に変化するため、交流増幅回路105の出力DC電圧レベルPLVは一時的に大きく変動する。
この交流増幅回路105の出力DC電圧レベルPLVが収束するまでに必要な時間は、交流増幅回路105において低周波成分をカットするためのハイパスフィルタの低周波側カットオフ周波数fcutoffの特性によって定まる。したがって、出力DC電圧レベルPLVの変化が99%収束するまでに必要な収束時間T99%は次の(式21)により表される。
99% = ln99/(2π・fcutoff)………………………………………………(式21)
ハイパスフィルタの低周波側カットオフ周波数fcutoffと収束時間T99%は反比例の関係にあるため、低周波側カットオフ周波数fcutoffを高くするほど収束時間T99%を短くすることができる。しかしながら、ハイパスフィルタから低周波成分を取得できなくなるため、信号処理回路108において解析可能な周波数スペクトル範囲が狭くなり、血流量等の生体情報データの算出精度が低下することが懸念される。
従来の生体情報測定装置100では、解析可能な周波数スペクトルを極力広くするため、低周波側カットオフ周波数fcutoffは10[Hz]程度に設定されていた。この場合、DC電圧レベルPLVの変化が99%収束するまでに必要な収束時間T99%は、(式21)により73[ms]と算出される。
待機時間Twaitと収束時間T99%とはほぼ同じ値と考えられるので、待機時間Twaitを73[ms]として考えると、間欠測定間隔Tintervalの0.13[s]のうち半分以上が待機時間Twaitになってしまう。これでは、(式17)が成立することはなく、生体情報データの間欠測定動作により消費電力を十分に削減することは困難である。
そこで本出願人は、低周波側カットオフ周波数fcutoffと、血流スペクトル効率および電力効率との関係について詳細に調査した。その調査結果を図5に示す。図5の横軸には低周波側カットオフ周波数fcutoffが示されており、縦軸には血流スペクトル効率および電力効率がそれぞれ示されている。
ここで、血流スペクトル効率とは、図8に示されたような血流のパワースペクトル密度分布において低周波側がカットされることによる有効スペクトル成分の減少割合である。電力効率とは、待機時間Twaitが「0」の場合を基準「1」として、出力DC電圧レベルPLVが99%収束するまで待機した場合の電力増加率の逆数である。
すなわち、低周波側カットオフ周波数fcutoffが低ければ、直流成分が殆どカットされないため収束時間T99%は長くなり、電力の増加率は大きくなる。一方、低周波側カットオフ周波数fcutoffが高ければ、直流成分が多くカットされるため収束時間T99%は短くなり、電力の増加率は小さくなる。
この調査の結果、図5から分かるように、低周波側カットオフ周波数fcutoffを次の(式22)によって表されるように、100[Hz]以上、1000[HZ]以下とすることにより、血流スペクトル効率と電力効率との積を最大化できることを見出した。
100Hz ≦ fcutoff ≦1000Hz……………………………………………(式22)
したがって、低周波側カットオフ周波数fcutoffを100[Hz]以上、1000[HZ]以下の範囲で設定したうえ、待機時間Twaitについては、交流増幅回路105の出力DC電圧レベルPLVが99%収束する収束時間T99%を基準として、その収束時間T99%の例えば0.5倍〜2.0倍程度の範囲で設定することが望ましい。但し、この乗算値についてはこれに限るものではなく、任意の値が用いられる。
したがって、待機時間Twaitは、(式21)を用いて次の(式23)により表され、この(式23)を展開すると(式24)によって表される。
0.5×T99% ≦ Twait ≦ 2.0×T99%……………………………………(式23)
(0.37/fcutoff) ≦ Twait ≦ (1.4/fcutoff) ……………………(式24)
この(式24)に対して、低周波側カットオフ周波数fcutoffの下限値として1000[Hz]、上限値として100[Hz]を代入すると、待機時間Twaitの具体的な数値範囲は、次の(式25)となる。
0.4[ms] ≦ Twait ≦ 14[ms] ……………………(式25)
このように生体情報測定装置1では、交流増幅回路105の低周波側カットオフ周波数fcutoffおよび待機時間Twaitを定めることにより、血流量等の生体情報データの測定精度の劣化を抑制しながら待機時間Twaitを極力短縮し得、かくして光源101、増幅回路104および交流増幅回路105の消費電力を効率的に削減することができる。
<他の実施の形態>
なお上述した実施の形態においては、間欠測定間隔TintervalがON時間Ton、解析時間Tcalcおよび調整時間Tpにより構成されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限るものではなく、間欠測定間隔間隔Tintervalが十分に短く調整時間Tpが不要であり、ON時間Tonと解析時間Tcalcだけで構成されるようにしてもよい。
1、100…生体情報測定装置、10…制御回路(制御手段)、101…光源、102…被検体、103…受光素子、104…増幅回路(増幅手段)、105…交流増幅回路(増幅手段)、106、107…アナログデジタル変換回路、108…信号処理回路(演算手段)、109…通信回路。

Claims (8)

  1. 被検体へ光を照射する光源と、
    前記被検体からの前記光の散乱光を受光して電気信号を生成する受光素子と、
    前記電気信号を増幅することにより増幅電気信号を生成する増幅手段と、
    前記増幅電気信号をサンプリングしてデジタル信号データ列に変換するアナログデジタル変換手段と、
    前記デジタル信号データ列の周波数スペクトルを解析して前記被検体の生体情報データを測定する演算手段と、
    電源を制御して前記光源および前記増幅手段に供給する電力を増加させることにより前記光源および前記増幅手段を動作停止状態から起動状態に設定してから所定の電力増加時間が経過した後、前記電源を制御して前記光源および前記増幅手段に供給する電力を減少させることにより前記光源および前記増幅手段を前記起動状態から前記動作停止状態に設定するまでの前記起動状態および前記動作停止状態を間欠的に繰り返し行う制御手段と
    を備え、
    前記アナログデジタル変換手段は、前記光源および前記増幅手段を前記起動状態に設定したまま前記増幅電気信号をサンプリングしてデジタル信号データ列に変換し、前記演算手段は、前記光源および前記増幅手段を前記動作停止状態に設定してから前記デジタル信号データ列の周波数スペクトルを解析して前記被検体の生体情報データを測定する
    ことを特徴とする生体情報測定装置。
  2. 請求項1記載の生体情報測定装置において、
    前記光源と前記増幅手段に供給する電力が増加されている電力増加時間Ton 、前記アナログデジタル変換手段により前記増幅電気信号をサンプリングするときのサンプリング間隔Tsampling にサンプリング回数Nを乗算することにより求められる前記デジタル信号データ列の測定時間Tmeasure 、前記起動状態および前記動作停止状態を間欠的に行う際の間欠測定時間Tinterval としたとき、次の(式1)を満たす
    2ms ≦Tmeasure < Ton ≦(Tinterval/2)………………………………(式1)
    ことを特徴とする生体情報測定装置。
  3. 請求項2記載の生体情報測定装置において、
    前記サンプリング間隔Tsampling および前記サンプリング回数Nは、次の(式2)および(式3)を満たす
    Tsampling ≦0.05ms ……………………………………………………………(式2)
    N ≧64………………………………………………………………………………(式3)
    ことを特徴とする生体情報測定装置。
  4. 請求項2または3記載の生体情報測定装置において、
    前記間欠測定時間Tintervalは、次の(式4)を満たす
    Tinterval ≦0.2s ……………………………………………………………(式4)
    ことを特徴とする生体情報測定装置。
  5. 請求項1乃至4記載の生体情報測定装置において、
    前記増幅手段は、前記電気信号の低周波成分をハイパスフィルタによりカットして高周波成分だけを増幅する交流増幅手段を更に備え、
    前記制御手段により前記交流増幅手段に供給する電力を増加させたとき、前記交流増幅手段の出力DC電圧レベルの変動が収束するまで、前記ハイパスフィルタの特性によって定まる所定の待機時間Twait だけ待機してから、前記アナログデジタル変換手段により前記増幅電気信号をサンプリングして前記デジタル信号データ列に変換する
    ことを特徴とする生体情報測定装置。
  6. 請求項5に記載の生体情報測定装置において、
    前記交流増幅手段の低周波側カットオフ周波数fcutoff は、次の(式5)を満たすように設定され、前記待機時間Twait は次の(式6)を満たすように設定される
    100Hz ≦fcutoff ≦1KHz………………………………………………………(式5)
    (0.37/fcutoff) ≦Twait ≦(1.4/fcutoff) ……………………(式6)
    ことを特徴とする生体情報測定装置。
  7. 請求項1乃至6記載の生体情報測定装置において、
    前記生体情報データを外部機器へ送信する通信手段を更に備え、
    前記光源および前記増幅手段を前記起動状態に設定したまま前記アナログデジタル変換手段により前記増幅電気信号をサンプリングしてデジタル信号データ列に変換し、前記光源および前記増幅手段の前記動作停止状態に設定してから前記演算手段により前記デジタル信号データ列の周波数スペクトルを解析して前記被検体の生体情報データを測定するまでの処理が間欠的に複数回繰り返し行われたことにより得られる複数回分の生体情報データからなる生体情報データ列を前記通信手段により前記外部機器へ送信する
    ことを特徴とする生体情報測定装置。
  8. 被検体へ光を照射する光源と、
    前記被検体からの前記光の散乱光を受光して電気信号を生成する受光素子と、
    前記電気信号を増幅することにより増幅電気信号を生成する増幅手段と、
    前記増幅電気信号をサンプリングしてデジタル信号データ列に変換するアナログデジタル変換手段と、
    前記デジタル信号データ列の周波数スペクトルを解析して前記被検体の生体情報データを測定する演算手段と、
    電源を制御して前記光源および前記増幅手段に供給する電力を増加させることにより前記光源および前記増幅手段を動作停止状態から起動状態に設定してから所定の電力増加時間が経過した後、前記電源を制御して前記光源および前記増幅手段に供給する電力を減少させることにより前記光源および前記増幅手段を前記起動状態から前記動作停止状態に設定するまでの前記起動状態および前記動作停止状態を間欠的に繰り返し行う制御手段と
    を備えた生体情報測定装置の生体情報測定方法において、
    前記光源および前記増幅手段を前記起動状態に設定したまま前記アナログデジタル変換手段により前記増幅電気信号をサンプリングしてデジタル信号データ列に変換するアナログデジタル変換ステップと、
    前記光源および前記増幅手段を前記動作停止状態に設定してから前記演算手段により前記デジタル信号データ列の周波数スペクトルを解析して前記被検体の生体情報データを測定する生体情報データ測定ステップと
    を有することを特徴とする生体情報測定方法。
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