JP6109872B2 - 眼鏡用レンズ、眼鏡、及び眼鏡用レンズの製造方法 - Google Patents

眼鏡用レンズ、眼鏡、及び眼鏡用レンズの製造方法 Download PDF

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本発明は、左眼用及び右眼用の一対のレンズを有する眼鏡用レンズ、眼鏡、及び眼鏡用レンズの製造方法に関するものである。
特許文献1に、度数を含む処方が左右眼で異なる眼鏡を構成する左右の眼鏡レンズを設計して製造する際に、光学性能を許容範囲に確保しつつ、同時に見栄えを良好なものにする眼鏡レンズ製造方法が開示されている。この方法では、度数を含む処方の違いが左右眼で所定以上である場合において、これら左右の眼鏡レンズの第一屈折面及び第二屈折面の曲面の曲率を設計する際に、左右の眼鏡レンズが度数を含む処方条件をそれぞれ満たすようにし、かつ、各レンズの光学性能が許容範囲内に収まるようにした上で、左右の眼鏡レンズの第一屈折面の曲率の差が所定の範囲内に収まるように、左右の眼鏡レンズのうちの少なくとも一方の第一屈折面及び第二屈折面の曲率を選定する等の両眼視バランス設計を行う。
特開2002−202482号公報
眼鏡用のレンズはユーザー(着用者)の状態及び/又は仕様に合わせて様々な観点から選択、設計及び/又は製造される。近年、プラスチックレンズでも屈折率が1.6〜1.7の高屈折率のものが市販されており、さらに高屈折率のプラスチックレンズも開発されつつある。また、収差を改善するために非球面が導入されることも行われており、屈折力(度数)の大きなプラスチックレンズでも厚(周辺厚)がそれほど厚くなく、収差が良好に補正され、着用しやすく見やすい眼鏡が登場している。しかしながら、眼鏡においては、さらに見やすいものは常に要望されている。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本発明の一態様は、左眼用及び右眼用の一対のレンズを有する眼鏡用レンズ(レンズシステム)であって、一方のレンズの屈折力が一対のレンズの他方のレンズの屈折力に対してプラス側であり、その一方のレンズの物体側の平均面屈折力が他方のレンズの物体側の平均面屈折力よりも小さい。
眼鏡用レンズは左眼用と右眼用との一対で使用される。しかしながら、従来、これらのレンズは個々で調整され、左眼の視力を矯正(補正)するのに適したレンズ、右眼の視力を矯正するのに適したレンズというように設計あるいは選択される。これに対し、本発明においては、眼鏡用レンズの設計及び/又は製造において、見栄えだけではなく、左眼用のレンズと右眼用のレンズとを視力矯正という観点から協調設計する。
例えば、レンズ単位で非点収差などのレンズ性能を満足させる設計を行うと、チェルニングの楕円に従った設計となる。したがって、左右のレンズでその屈折力(度数)が異なるときには、チェルニングの楕円にしたがって屈折力がプラス側のレンズの方が、マイナス側のレンズより、物体側の平均面屈折力(ベースカーブ)が大きくなる。物体側の平均面屈折力が異なると倍率が異なり、左眼の視力矯正及び右眼の視力矯正にそれぞれ適したレンズを個々に(独立して)選択すると、矯正視力では左右の像の大きさが異なる結果になっていた。
したがって、本発明の上記の態様においては、眼鏡処方の左右の屈折力が異なるときに左右一対のレンズの物体側の平均面屈折力を、それらのレンズの倍率差を小さくするように協調設計し、チェルニングの楕円とは反対の傾向を得ている。すなわち、一方のレンズの屈折力が他方のレンズの屈折力に対してプラス側であるときに、屈折力がプラス側にある一方のレンズの物体側の平均面屈折力を他方のレンズの物体側の平均面屈折力よりも小さくし、左右の矯正視力における物体像の大きさの差を縮め、左右の像が融合し易いレンズを提供している。
[適用例2]この眼鏡用レンズにおいて、典型的には、一方のレンズの屈折力は一方のレンズの1つの主経線に沿った主経線屈折力であり、一方のレンズの物体側の平均面屈折力は一方のレンズの1つの主経線に沿った方向の平均面屈折力であり、他方のレンズの屈折力は他方のレンズの1つの主経線に沿った主経線屈折力であり、他方のレンズの物体側の平均面屈折力は他方のレンズの1つの主経線に沿った方向の平均面屈折力である。左右のレンズの一方又は他方、あるいは両方のレンズが乱視を矯正する仕様であれば、乱視矯正用のレンズは2つの異なる主経線屈折力を含む。眼鏡用レンズにおいて、主経線屈折力がプラス側である方の主経線に沿った方向の平均面屈折力を小さくすることにより、乱視矯正の眼鏡用レンズにおいても左右の矯正視力における物体像の大きさの差を縮め、左右の像が融合し易いレンズを提供できる。
[適用例3]一対のレンズの倍率差ができる限り小さくなるように設計すると、レンズの眼球側が平面又は凸になる可能性がある。眼鏡用のレンズは、装着などを考慮する物体側に凸のメニスカスレンズであることが好ましい。したがって、一方のレンズ及び他方のレンズが物体側に凸のメニスカスレンズになる範囲で、屈折力がプラス側のレンズの物体側の平均面屈折力が他方のレンズの物体側の平均面屈折力よりも小さくなるようにすることが望ましい。
[適用例4]本発明の一態様は、左眼用及び右眼用の一対のレンズを有する眼鏡用レンズ(レンズシステム)であって、一対のレンズは、それぞれ、度数の異なる遠用部分及び近用部分を含むもので多焦点である。この眼鏡用レンズの一対のレンズにおいては、一方のレンズの遠用部分の度数が一対のレンズの他方のレンズの遠用部分の度数に対してプラス側であり、その一方のレンズの遠用部分の物体側の平均面屈折力が他方のレンズの遠用部分の物体側の平均面屈折力よりも小さい。
眼鏡用レンズは左眼用と右眼用との一対で使用される。しかしながら、従来、レンズは個々で調整され、左眼の視力を矯正(補正)するのに適したレンズ、右眼の視力を矯正するのに適したレンズ、さらには、遠用(遠方視)を矯正するのに適した遠用部、近用(近方視)を矯正するのに適した近用部というように設計あるいは選択される。これに対し、本発明においては、眼鏡用レンズの設計及び/又は製造において、見栄えだけではなく、左眼用のレンズと右眼用のレンズとを視力矯正の点で協調設計する。
例えば、レンズ単位で非点収差などのレンズ性能を満足させる設計を行うと、チェルニングの楕円に従った設計となる。したがって、左右のレンズでその度数(屈折力)が異なるときには、チェルニングの楕円にしたがって度数がプラス側のレンズの方が、マイナス側のレンズより、平均面屈折力(平均曲率、ベースカーブ)が大きくなる。平均面屈折力が異なると倍率が異なり、左眼の視力矯正及び右眼の視力矯正にそれぞれ適したレンズを個々に(独立して)選択すると、矯正視力では左右の像の大きさが異なる結果になっていた。
したがって、本発明の上記の態様においては、左右のレンズの遠方視に係る仕様を協調設計し、チェルニングの楕円とは反対の傾向、すなわち、一方のレンズの遠用部分の度数が他方のレンズの遠用部分の度数に対してプラス側であるときに、遠用部分の度数がプラス側にある一方のレンズの遠用部分の物体側の平均面屈折力を他方のレンズの遠用部分の物体側の平均面屈折力よりも小さくし、左右の遠方視の矯正視力における物体像の大きさの差を縮め、左右の像が融合し易いレンズを提供している。
[適用例5]この眼鏡用レンズにおいては、左右のレンズの近方視に係る仕様も協調設計することが望ましい。一形態は、一方のレンズの近用部分の度数が他方のレンズの近用部分の度数に対してプラス側であるときに、近用部分の度数がプラス側にある一方のレンズの近用部分の物体側の平均面屈折力を他方のレンズの近用部分の物体側の平均面屈折力よりも小さい眼鏡用レンズである。左右の近方視の矯正視力における物体像の大きさの差を縮め、左右の像がさらに融合し易いレンズを提供できる。
[適用例6]左右のレンズの近方視に係る仕様を協調設計した他の形態の1つは、少なくとも一方のレンズが、遠用部分と近用部分とで平均面屈折力が異なる物体側の面を含む場合には、平均面屈折力が異なる物体側の面が、近用部分の度数が遠用部分の度数に対してプラス側であれば、近用部分の物体側の平均面屈折力を遠用部分の物体側の平均面屈折力よりも小さく、近用部分の度数が遠用部分の度数に対してマイナス側であれば、近用部分の物体側の平均面屈折力を遠用部分の物体側の平均面屈折力よりも大きい眼鏡用レンズである。それぞれのレンズの遠方視の矯正視力の倍率と近用視の矯正視力の倍率との差を縮小することにより、結果として、左右の近方視の矯正視力における物体像の大きさの差を縮め、左右の像がさらに融合し易いレンズを提供できる。
[適用例7]本発明の他の態様の1つは、遠方視とともに、あるいは、遠方視とは独立して、左右のレンズの近方視に係る仕様を協調設計したものである。すなわち、左眼用及び右眼用の一対のレンズを有し、一対のレンズは、それぞれ、度数の異なる遠用部分及び近用部分を含む多焦点である眼鏡用レンズにおいて、一対のレンズの一方のレンズの近用部分の度数が一対のレンズの他方のレンズの近用部分の度数に対してプラス側であり、一方のレンズの近用部分の物体側の平均面屈折力が他方のレンズの近用部分の物体側の平均面屈折力よりも小さいものである。これにより、左右の近方視に大きな倍率差が生ずるのを抑制できる。
[適用例8]本発明の他の態様は、上記眼鏡用レンズと、眼鏡用レンズを装着した眼鏡フレームとを有する眼鏡である。これにより、左右の像が融合しやすい(融像しやすい)眼鏡を得ることができる。
[適用例9]本発明のさらに他の態様は、眼鏡用レンズの製造方法であり、以下の工程を含む。
(a)眼鏡処方に基づいて一対のレンズの物体側の平均面屈折力をそれぞれ求めること。
(b)眼鏡処方の左右の屈折力が異なるときに、一対のレンズの少なくとも一方のレンズの物体側の平均面屈折力を、当該一対のレンズの倍率差が、眼鏡処方に基づく一対のレンズの倍率差よりも小さくなるように変更すること。
この眼鏡用レンズの製造方法は、左右一対のレンズを視力矯正の観点から協調設計し、左右の矯正視力における倍率差を縮め、左右の像が融合しやすい(融像しやすい)眼鏡を提供できる。
[適用例10]上記眼鏡用レンズの製造方法であって、倍率差が小さくなるように変更すること(工程b)は、一対のレンズの屈折力がプラス側のレンズの物体側の平均面屈折力を、眼鏡処方に基づき求めたプラス側のレンズの物体側の平均面屈折力よりも小さくすること、及び/又は、一対のレンズの屈折力がマイナス側のレンズの物体側の平均面屈折力を、眼鏡処方に基づき求めたマイナス側のレンズの物体側の平均面屈折力よりも大きくすることを含む。
[適用例11]上記眼鏡用レンズの製造方法であって、倍率差が小さくなるように変更すること(工程b)は、一対のレンズの屈折力がプラス側のレンズの物体側の平均面屈折力を、プラス側のレンズが物体側に凸のメニスカスレンズの範囲で、眼鏡処方に基づき求めたプラス側のレンズの物体側の平均面屈折力よりも小さくすることと、一対のレンズの屈折力がマイナス側のレンズの物体側の平均面屈折力を、眼鏡処方に基づき求めたマイナス側のレンズの物体側の平均面屈折力よりも大きくすることとを含んでいてもよい。屈折力がプラス側のレンズの物体側の平均面屈折力を小さくすると、物体側に凸のメニスカスレンズが得られにくいケースがある。一方、マイナス側のレンズの物体側の平均面屈折力を大きくすると、必要以上にレンズの物体側の面の曲率が大きくなり見栄えが低下する。したがって、屈折力がプラス側のレンズの物体側の平均面屈折力を物体側に凸のメニスカスレンズが維持できる範囲でできる限り小さくして左右のレンズの倍率差を縮小することが望ましい。さらに、左右のレンズの倍率差を縮小するときに、屈折力がマイナス側のレンズの物体側の平均面屈折力を大きくすることが望ましい。
[適用例12]上記眼鏡用レンズの製造方法であって、典型的には、一方のレンズの屈折力は一方のレンズの1つの主経線に沿った主経線屈折力であり、一方のレンズの物体側の平均面屈折力は一方のレンズの1つの主経線に沿った方向の平均面屈折力であり、他方のレンズの屈折力は他方のレンズの1つの主経線に沿った主経線屈折力であり、他方のレンズの物体側の平均面屈折力は他方のレンズの1つの主経線に沿った方向の平均面屈折力である。
[適用例13]本発明のさらに他の態様は、左眼用及び右眼用の一対のレンズが、それぞれ、度数の異なる遠用部分及び近用部分を含む多焦点である眼鏡用レンズの製造方法であり、以下の工程を含む。
(a)眼鏡処方に基づき前記一対のレンズの前記遠用部分の物体側の平均面屈折力をそれぞれ求めることと。
(b)一対のレンズの遠用部分の倍率の差が所定の値よりも大きいときに、一対のレンズの遠用部分の度数がプラス側のレンズの遠用部分の物体側の平均面屈折力を、眼鏡処方に基づき求めたプラス側のレンズの遠用部分の物体側の平均面屈折力よりも小さくすること、又は、一対のレンズの遠用部分の度数がマイナス側のレンズの遠用部分の物体側の平均面屈折力を、眼鏡処方に基づき求めたマイナス側のレンズの遠用部分の物体側の平均面屈折力よりも大きくすること。
この眼鏡用レンズの製造方法は、左右一対のレンズの遠用部分を視力矯正の観点から協調設計することにより左右の遠方視の矯正視力における倍率差を縮め、左右の像が融合しやすい(融像しやすい)眼鏡を提供できる。
[適用例14]上記眼鏡用レンズの製造方法であって、この製造方法においては、さらに、眼鏡処方の左右の近方視を矯正する度数が異なるときに近用部分を協調設計することを含むことが望ましい。すなわち、この製造方法は、以下の工程を含むことが望ましい。
(c)眼鏡処方に基づき一対のレンズの近用部分の物体側の平均面屈折力をそれぞれ求めること。
(d)眼鏡処方の左右の近方視を矯正する度数が異なるときに一対のレンズの近用部分を協調設計すること。
左右一対のレンズの近用部分を視力矯正の点から協調設計することにより左右の近用視の矯正視力における倍率差を縮め、左右の像がさらに融合しやすい(融像しやすい)眼鏡を提供できる。
[適用例15]上記眼鏡用レンズの製造方法であって、近用部分を協調設計することは、一対のレンズの近用部分の倍率の差が所定の値よりも大きいときは、近用部分の度数がプラス側のレンズの近用部分の物体側の平均面屈折力を、眼鏡処方に基づき求めたプラス側のレンズの近用部分の物体側の平均面屈折力よりも小さく選択すること、又は、一対のレンズの近用部分の度数がマイナス側のレンズの近用部分の物体側の平均面屈折力を、眼鏡処方に基づき求めたマイナス側のレンズの近用部分の物体側の平均面屈折力よりも大きく選択することを含む。
[適用例16]上記眼鏡用レンズの製造方法であって、近用部分を協調設計することは、少なくとも一方の一対のレンズの物体側の面の遠用部分の平均面屈折力と近用部分の平均面屈折力とが異なるように設定することを含んでもよい。この異なるように設定することは、近用部分の度数が遠用部分の度数に対してプラス側であれば、近用部分の平均面屈折力を遠用部分の平均面屈折力よりも小さくすることと、近用部分の度数が遠用部分の度数に対してマイナス側であれば、近用部分の平均面屈折力を遠用部分の平均面屈折力よりも大きくすることとを含む。
[適用例17]本発明のさらに他の態様は、眼鏡用レンズを設計する装置であり、眼鏡処方に基づいて一対のレンズの物体側の平均面屈折力をそれぞれ求めるユニットと、眼鏡処方の左右の屈折力が異なるときに、一対のレンズの少なくとも一方のレンズの物体側の平均面屈折力を、一対のレンズの倍率差が、眼鏡処方に基づく一対のレンズの倍率差よりも小さくなるように変更するユニットとを含む。この装置は、さらに、倍率差が小さくなるように設計された一対のレンズを通して見た様子をシミュレーションするユニットを有していてもよい。
[適用例18]本発明のさらに他の態様は、多焦点である眼鏡用レンズを設計する装置であり、一対のレンズの遠用部分の物体側の平均面屈折力をそれぞれ求めるユニットと、眼鏡処方の左右の遠方視の度数が異なるときに、一対のレンズの遠用部分を視力矯正の点から協調設計するユニットとを有する。この協調設計するユニットは、一対のレンズの遠用部分の倍率の差が所定の値よりも大きいときに、一対のレンズの遠用部分の度数がプラス側のレンズの遠用部分の物体側の平均面屈折力を、眼鏡処方に基づき求めたプラス側のレンズの遠用部分の物体側の平均面屈折力よりも小さく選択する、又は、一対のレンズの遠用部分の度数がマイナス側のレンズの遠用部分の物体側の平均面屈折力を、眼鏡処方に基づき求めたマイナス側のレンズの遠用部分の物体側の平均面屈折力よりも大きく選択するユニットとを含んでもいてもよい。
[適用例19]上記装置であって、この装置は、さらに、協調設計された一対のレンズを通して見た様子をシミュレーションするユニットを有し、ユーザーに対して左右の遠方視の矯正視力における倍率差が縮まることを示せることが好ましい。
第1の実施形態に係る眼鏡の一例を示す斜視図。 図2(A)は、第1の実施形態に係る眼鏡用レンズの一方のレンズを模式的に示す平面図、図2(B)はその断面図。 第1の実施形態に係る眼鏡用レンズの製造方法の一例を説明するためのフローチャート。 比較例1(図4(A))、実施例1a(図4(B))、及び実施例1b(図4(C))のレンズの各数値を纏めて示す図。 比較例2(図5(A))及び実施例2(図5(B))のレンズの各数値を纏めて示す図。 第1の実施形態に係る眼鏡用レンズの設計装置の一例の概略構成を示す図。 図7(A)は、第2の実施形態に係る眼鏡用多焦点レンズの一方のレンズを模式的に示す平面図、図7(B)はその断面図。 第2の実施形態に係る眼鏡用多焦点レンズの製造方法の一例を説明するためのフローチャート。 遠用度数がプラスの場合の実施例3(図9(A))及び比較例3(図9(B))であって、それぞれのレンズの各数値を纏めて示す図。 遠用度数がマイナスの場合の実施例4(図10(A))及び比較例4(図10(B))であって、それぞれのレンズの各数値を纏めて示す図。 近用度数が左右で異なる場合の実施例5(図11(A)、図11(B))、及び比較例5(図11(C))であって、それぞれのレンズの各数値を纏めて示す図。 第2の実施形態に係る眼鏡用多焦点レンズの設計装置の一例の概略構成を示す図。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る眼鏡の一例を斜視図にて示している。図2(A)は、本実施形態に係る眼鏡用レンズの一方のレンズを平面図にて模式的に示している。図2(B)は、本実施形態に係る眼鏡用レンズの一方のレンズを断面図にて模式的に示している。なお、本実施形態では、ユーザー側(着用者側、眼球側)から見て、左側を左、右側を右として説明する。また、図2(A)及び(B)においては、左眼用のレンズ10Lを一方のレンズとして示しているが、一方のレンズは右眼用のレンズ10Rであってもよく、以下において一方のレンズ及び他方のレンズという言葉は特別に記載しない限り左眼用のレンズ10L及び右目用のレンズ10Rの間で互換(置換)して使えることを示すものである。
本実施形態に係る眼鏡1は、左眼用及び右眼用の左右一対のレンズ10L及び10Rを含む眼鏡用レンズ(一対のレンズ、レンズシステム、レンズペア)10と、レンズ10L及び10Rをそれぞれ装着した眼鏡フレーム20とを有する。左右一対のレンズ10L及び10Rは、それぞれ、物体側に凸のメニスカスレンズであり、物体側の面(凸面)19Aと、眼球側の面(凹面)19Bとを含む。左右一対のレンズ10L及び10Rは基本的な構成が共通するので、以下において特に記載しない限り左眼用のレンズ10Lを用いてレンズ10L及び10Rに共通の構成を説明する。
レンズ10Lは単焦点眼鏡レンズであり、遠視や近視を補正(矯正)するために用いられる。レンズ10Lの屈折力(度数)は、物体側の面19Aの平均面屈折力と眼球側の面19Bの平均面屈折力との和であって、ディオプタ(以下Dで示す)という単位で示される。面屈折力は、その面の曲率ρ(曲率半径Rの逆数すなわち1/R)とレンズ基材の屈折率nとにより以下の式で定義され、特に、物体側の面の面屈折力はベースカーブと呼ばれている。
面屈折力=(n−1)×ρ ・・・(1)
単焦点眼鏡レンズには、遠視あるいは近視を補正するとともに乱視を補正する機能を含むレンズも含まれる。乱視を補正するための手段としては、2つの屈折面19A及び19Bのうち、どちらか一方を円柱面又はトロイダル面形状にしたものが知られている。したがって、乱視矯正用のレンズ10Lは、2つの第1の主経線11及び第2の主経線12を含む。
なお、以下において、特に記載しない限り、乱視を補正する機能を持たない、すなわち第1の主経線11が1つのレンズ10Lを説明する。したがって、レンズ10Lにおいて、物体側の平均面屈折力(ベースカーブ)Db1は、レンズ10Lの物体側の面19Aの第1の主経線11に沿った平均面屈折力である。
この眼鏡用レンズ10は、左眼用のレンズ10Lの屈折力(以下、度数ということがある)が、右眼用のレンズ10Rの屈折力に対してプラス側の仕様で製造されている。より詳しくは、両眼の度数がプラス度数である場合には、左眼用のレンズ10Lの度数が右眼用のレンズ10Rの度数よりも数値が大きく、両眼の度数がマイナス度数である場合には、左眼用のレンズ10Lの度数が右眼用のレンズ10Rの度数よりも数値(絶対値)が小さい。さらに、この眼鏡用レンズ10においては、左眼用のレンズ10Lの物体側の平均面屈折力(ベースカーブ)Db1lが、右眼用のレンズ10RのベースカーブDb1rよりも小さくなっている。
従来、眼鏡レンズの設計においては、非点収差を除去する数学的解として公知のチェルニングの楕円が用いられている。チェルニングの楕円に基づくと、左眼用のレンズ10Lの度数(屈折力)が、右眼用のレンズ10Rの度数に対してプラス側の場合は、左眼用のレンズ10Lのベースカーブは、右眼用のレンズ10Rのベースカーブよりも大きくなる。
一方、眼鏡レンズの倍率Mは以下の式で表される。
M=Ms×Mp・・・(2)
ここで、Msはシェープ・ファクター、Mpはパワー・ファクターと呼ばれる。レンズ基材の屈折率をn、レンズの物体側の面のベースカーブをD、レンズの眼球側の面の頂点(内側頂点)から眼球までの距離をL、内側頂点の屈折力(内側頂点屈折力)をP(度数Sに相当)、レンズ中心の厚みをtとすると、Mp及びMsは、以下のように表される。
Ms=1/(1−D×t/n) ・・・(3)
Mp=1/(1−L×P) ・・・(4)
なお、式(3)及び(4)の計算にあたっては、ベースカーブD及び内側頂点屈折力Pについてはディオプトリ(D)を、また、厚みt及び距離Lについてはメートル(m)を用いる。
したがって、式(2)は、以下のようになる。
M={1/(1−D×t/n)}×{1/(1−L×P)}・・・(5)
この式(5)から分かるように、倍率Mは近似的にはベースカーブDと屈折力P(度数S)との積に反比例する。したがって、左右のレンズで度数が異なる場合、度数Sがプラス側のレンズの倍率Mは小さくなる。さらに、チェルニングの楕円に基づいてベースカーブDを選択すると、度数Sがプラス側になると大きなベースカーブDが選択されるので、左右のレンズの倍率Mの差はさらに広がることが分かる。
眼鏡レンズを選択する際に、左右の眼の状態を確認し、左右の眼の視力をそれぞれ適切に矯正するように左右それぞれのレンズの仕様が決定される。このため、眼鏡を装着することによりユーザーの左右それぞれの眼の視力は良好に補正される。その一方で、左右の視力に差がある場合、視力が矯正(補正)されてクリアーな像が得られる反面、得られた像の大きさが異なるので左右の像が融合しにくく、像が二重に見えたり、見る方向を変えると像の大きさが変わって距離感が変わり、かえって不快感の要因になったりしていることが判明した。
この眼鏡用レンズ10においては、左右のレンズ10L及び10Rを左右の視力を矯正する仕様にそれぞれ合うように設計及び製造するとともに、左右のレンズ10L及び10Rを視力矯正という点から協調設計し、左右のレンズ10L及び10Rの倍率差が生じない、又は倍率差を縮小するようにしている。そのため、この眼鏡用レンズ10においては、左右のレンズ10L及び10RのベースカーブDb1l及びDb1rがチェルニングの楕円の傾向とは異なり、具体的にはチェルニングの楕円の傾向とは逆になるように選択されている。したがって、左右の度数Sによる左右の倍率Mの差を、左右のベースカーブDの選択を変えることで無くす、あるいは縮小できる。
すなわち、一方のレンズの度数が他方のレンズの度数に対してプラス側である場合、その度数がプラス側である一方のレンズのベースカーブDb1を他方のレンズのベースカーブDb1に対し相対的に小さくすることにより、一方のレンズの倍率Mと他方のレンズの倍率Mとの差を縮小又は無くすことができる。また、度数がプラス側の一方のレンズの物体側の面(凸面)をより浅いカーブの面(曲率がより小さい面)とし、度数がマイナス側の他方のレンズの物体側の面(凸面)をより深いカーブの面(曲率がより大きい面)とすることにより、一対のレンズの倍率Mの差を無くす、あるいは縮小できる。
乱視矯正用の眼鏡用レンズでは、第1の主経線11に沿った度数(第1の主経線屈折力)と、第2の主経線12に沿った度数(第2の主経線屈折力)とが異なる。したがって、一対のレンズ10L及び10Rの両方が乱視矯正用の眼鏡レンズであれば、一方のレンズ10Lの第1の主経線11に沿った度数、第2の主経線12に沿った度数、他方のレンズ10Rの第1の主経線11に沿った度数、第2の主経線12に沿った度数のそれぞれに対しプラス側の度数の主経線に沿ったベースカーブが相対的に小さくなるように、一方のレンズ10Lの第1の主経線11に沿ったベースカーブDb1l、第2の主経線12に沿ったベースカーブDb2l、他方のレンズ10Rの第1の主経線11に沿ったベースカーブDb1r、第2の主経線12に沿ったベースカーブDb2rを選択する。このようにすることにより、乱視矯正用の一対のレンズ10L及び10Rを用いて、乱視が補正された視力で倍率差の小さな像が得られる。
一方、ベースカーブDb1及び/又はDb2をチェルニングの楕円とは異なる、あるいは逆に選択することは、左右のレンズ10L及び10Rの光学的性能の向上にはつながらない可能性がある。しかしながら、チェルニングの楕円は眼鏡レンズのベースカーブが球面であることを前提にしたものであり、眼鏡レンズの収差性能は非球面を導入することで大幅に改善できる。また、左右のレンズ10L及び10Rのコバ厚(周辺厚)が厚くなりすぎるような場合は、レンズ基材の屈折率を高くすることによりコバ厚を低減できる。このように、チェルニングの楕円は眼鏡レンズの設計において重要な指針ではあるが、現在では、収差改善などのために幾つかの仕様(方法)が提供されつつある。したがって、レンズ単体の光学的な性能の向上に加えて、左右のレンズの眼鏡レンズとしての光学的性能(視力矯正)の観点から協調設計することにより、眼鏡レンズとしての性能をよりいっそう高めることが可能である。
図3は、本実施形態に係る眼鏡用レンズ10の製造方法の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS51において、眼鏡処方に含まれる右眼及び左眼の視力を補正する度数から、左右のレンズ10L及び10Rのベースカーブ(物体側の平均面屈折力)Db1l及びDb1rを決める。ステップS52において、眼鏡処方に含まれる右眼の視力を補正(矯正)する度数と左眼の視力を補正する度数とが異なるときに、左右一対のレンズ10L及び10Rの倍率を計算する。
ステップS53において、度数がプラス側のレンズのベースカーブDb1が変更可能か否かを確認する。眼鏡用レンズ10は顔面に着用するので物体側に凸のメニスカスレンズであることが好ましい。したがって、度数がプラス側のレンズのベースカーブDb1を、倍率調整のために小さくし、所定の度数を得ようとすると、眼球側の面19Bが眼球側に凸になる可能性がある。ステップS53においては、度数がプラス側のレンズのベースカーブDb1が変更できるか否か、また、変更可能な場合はどの程度までベースカーブDb1を小さくできるかを確認する。
ステップS54において、度数がプラス側のレンズのベースカーブを変更する。本実施形態では左眼用のレンズ10LのベースカーブDb1lを眼鏡処方に基づき求められたベースカーブよりも小さくする。ステップS55において、左右のレンズ10L及び10Rの倍率差を確認し、倍率差が十分に小さく、又は倍率比が「1」に十分に近ければ、左右一対のレンズ10L及び10Rのベースカーブ調整を終了する。
一方、倍率差をさらに縮める必要があれば、ステップS56において、度数がマイナス側のレンズのベースカーブを変更する。本実施形態では右眼用のレンズ10RのベースカーブDb1rを眼鏡処方に基づき求められたベースカーブよりも大きくする。一対のレンズ10L及び10RのベースカーブDb1l及びDb1rが決まると、ステップS57において、決まったベースカーブDb1l及びDb1rと眼鏡処方とにより、眼球側の面19Bの形状を決める。これにより左右のレンズ10L及び10Rの両面19A及び19Bの形状が決まるので、モールドなどの方法により左右のレンズ10L及び10Rを製造する。
一対のレンズ10L及び10Rの倍率差を縮小する際に、一対のレンズ10L及び10Rの両方のベースカーブDb1l及びDb1rを変更してもよく、一方のレンズのベースカーブDb1l又はDb1rのみを変更してもよい。一方のレンズのベースカーブDb1l又はDb1rのみを変更する場合、上述したように、度数がプラス側のレンズにおいては物体側に凸のメニスカスレンズの範囲から外れることは好ましくない。したがって、度数がプラス側のレンズのベースカーブのみを小さくすると、一対のレンズ10L及び10Rの倍率差を縮小できたとしても十分ではないことがある。その場合は、上記のように度数がマイナス側のレンズのベースカーブを大きくすることで倍率差をさらに縮小できる。
一方、度数がマイナス側のレンズのベースカーブのみを大きくすることにより一対のレンズ10L及び10Rの倍率差を縮小できる。しかしながら、チェルニングの楕円からのベースカーブの乖離が大きくなり、また、ベースカーブが大きすぎるとレンズの見た目(見栄え)にも影響する。したがって、一対のレンズ10L及び10Rの倍率差を縮小する際に、度数がプラス側のレンズのベースカーブを眼鏡処方に基づき求められたベースカーブよりも小さくするとともに、度数がマイナス側のレンズのベースカーブを眼鏡処方に基づき求められたベースカーブよりも大きくすることにより、双方のレンズ10L及び10Rのベースカーブのチェルニングの楕円からの乖離が小さくなる。このため、倍率以外についても光学的性能の良好なレンズ10L及び10Rであって、見栄えも良好なレンズ10L及び10Rを製造し、提供できる。
以下、上述のようにして製造したレンズ10L及び10Rのいくつかの例を挙げる。また、これらのレンズ10L及び10Rを、従来の方法で製造したレンズと比較する。
(実施例1及び比較例1)
図4(A)は、従来の方法により製造した例(比較例1)を示し、図4(B)は、度数(屈折力)がマイナス側の左眼用のレンズ10LのベースカーブDb1lを大きくして倍率比を1にした例(実施例1a)を示し、図4(C)は、度数(屈折力)がプラス側の右眼用のレンズ10RのベースカーブDb1rを小さくして倍率比を1にした例(実施例1b)を示す。
実施例1a、1b及び比較例1の眼鏡用レンズの眼鏡仕様は以下の通りである。右眼の度数S(屈折力P):+6.00(D)距離(レンズの眼球側の面の頂点(内側頂点)から右眼球まで)Lr:0.012(m)左眼の度数S(屈折力P):+5.75(D)距離(レンズの眼球側の面の頂点(内側頂点)から左眼球まで)Ll:0.012(m)また、レンズ基材の屈折率nは1.60とした。
比較例1では、チェルニングの楕円に基づく設計でレンズを製造している。
図4(A)に示すように、比較例1では左右のレンズの倍率差(この場合は倍率比)が0.9943であるのに対し、図4(B)の実施例1a及び図4(C)の実施例1bでは、左右のレンズの倍率比を1.0000にまで縮めることができた。具体的には、図4(A)に示す比較例1の眼鏡用レンズにおいては、度数(屈折力)がプラス側の右眼用のレンズのベースカーブDb1r(Dbr=7.5)が左眼用のレンズのベースカーブDb1l(Db1l=7.25)よりも大きい。すなわち、度数がマイナス側のレンズの凸面(ベースカーブ)は浅いカーブであり、度数がプラス側のレンズの凸面(ベースカーブ)は深いカーブとなっている。
これに対し、図4(B)に示す実施例1aの眼鏡用レンズにおいては、度数(屈折力)がプラス側の右眼用のレンズのベースカーブDb1r(Db1r=7.5)が左眼用のレンズのベースカーブDb1l(Db1l=8.614)よりも小さい。すなわち、度数がマイナス側のレンズの凸面(ベースカーブ)は深いカーブであり、度数がプラス側のレンズの凸面(ベースカーブ)は浅いカーブとなっている。
また、図4(C)に示す実施例1bの眼鏡用レンズにおいては、度数(屈折力)がプラス側の右眼用のレンズのベースカーブDb1r(Db1r=6.192)が左眼用のレンズのベースカーブDb1l(Db1l=7.250)よりもそれぞれ小さい。しかしながら、右眼用のレンズにおいては、度数が6DでベースカーブDb1rが6.192Dなので眼球側の面19Bはほとんど平面となる。実施例1aは、マイナス側のレンズ10LのベースカーブDb1lを調整することにより左右のレンズ10L及び10Rの倍率差をなくしている。一方、実施例1bは、プラス側のレンズ10RのベースカーブDb1rを調整することにより左右のレンズ10L及び10Rの倍率差をなくしている。
このように、左右のレンズ10L及び10Rのいずれか一方のベースカーブを調整することにより倍率差をなくす、又は縮めることは可能である。しかしながら、度数がプラス側のレンズが、物体側が凸のメニスカスレンズでなくなったり、度数がマイナス側のレンズのベースカーブが大きすぎて見栄えが悪くなったりする可能性がある。したがって、左右のレンズ10L及び10Rの双方のベースカーブを調整することにより倍率差を無くす、又は縮めることは好ましい実施形態の1つである。
左右のレンズ10L及び10Rの倍率差を小さくすることにより、このレンズ10L及び10Rを含む眼鏡1を着用したユーザーの矯正された視力により得られる左右の像の大きさの差が小さくなる。この場合は、左右の像の大きさが等しくなる。したがって、眼鏡を通してみた左右の像が融合しやすい(融像しやすい)眼鏡用レンズを提供できる。
(実施例2及び比較例2)
図5(A)は、左眼用のレンズ10L及び右眼用のレンズ10Rの異なる従来例(比較例2)であり、図5(B)は、同じ眼鏡処方のレンズ10L及び10Rを倍率差が縮まるように設計した例(実施例2)を示している。
実施例2及び比較例2の眼鏡仕様は以下の通りである。右眼の矯正度数Sr(屈折力P):+4.00(D)距離(レンズの眼球側の面の頂点(内側頂点)から右眼球まで)Lr:0.012(m)左眼の矯正度数Sl(屈折力P):+3.00(D)距離(レンズの眼球側の面の頂点(内側頂点)から左眼球まで)Ll:0.012(m)また、レンズ基材には、屈折率nが1.50のものを用いた。
図5(A)の比較例2では、左右のレンズの倍率比が0.9839であるのに対し、図5(B)の実施例2では、左右のレンズの倍率比を0.9864にまで縮めることができた。具体的には、図5(A)に示す比較例2の眼鏡用レンズにおいては、左右のベースカーブDb1l及びDb1rは同一(Db1l=Db1r=5.50)である。一方、図5(B)に示す実施例2の眼鏡用レンズにおいては、度数がマイナス側の左眼用のレンズ10LのベースカーブDb1r(Db1r=6.500)を調整し、右眼用のレンズ10RのベースカーブDb1rよりも大きくしている。したがって、度数がプラス側のレンズの凸面(ベースカーブ)は浅いカーブであり、度数がマイナス側のレンズの凸面(ベースカーブ)は深いカーブとなっている。
図6に、眼鏡用レンズの設計装置70の一例を、概略構成で示している。この設計装置70は、第1ないし第3のユニット(機能)71〜73を含む。第1のユニット71は、眼鏡処方に基づき、一対のレンズのそれぞれのベースカーブをそれぞれ求める。
第2のユニット72は、眼鏡処方の左右の視力を矯正する度数が異なるときに、一対のレンズ10L及び10RのベースカーブDb1l及びDb1rを変えて倍率差が小さくなるように協調設計する。左右のレンズ10L及び10RのベースカーブDb1l及びDb1rはいずれか一方を変えても、両方を変えてもよい。さらに、眼鏡処方が乱視矯正を含む場合は、一対のレンズ10L及び10Rは第1及び第2の主経線に沿った度数と、ベースカーブDb1及びDb2とを含む。したがって、第2のユニット72においては、一対のレンズ10L及び10Rの第1及び第2の主経線に沿ったベースカーブDb1l、Db2l、Db1r及びDb2rのいずれか、又は全てを変えることにより、左右のレンズ10L及び10Rの第1及び第2の主経線に沿った倍率差を縮める。
第3のユニット73は、倍率差がなくなる、あるいは縮めるように設計された一対のレンズ10L及び10Rを、装着者(ユーザー)が通して見た様子をシミュレーションするユニットである。このユニット73の一例は画像表示装置であり、ヘッドマウントディスプレイなどを用いて左右の倍率差が縮小された矯正視力を仮想的に体験することができる。この設計装置70を用いることにより、ユーザーは、眼鏡の販売店において左右のレンズ10L及び10Rが協調設計された眼鏡1を装着した様子を体験できる。すなわち、本実施形態の眼鏡用レンズ10(レンズ10L及び10R)においては、左右の像が融像しやすく、しかも、像の歪みや揺れをより低減することができる。したがって、この眼鏡用レンズ10を装着することにより、いっそう快適な視野が得られることを体験できる。
(第2の実施形態)
図7(A)は、本実施形態に係る眼鏡用多焦点レンズの一方のレンズを平面図にて模式的に示している。図7(B)は、本実施形態に係る眼鏡用多焦点レンズの一方のレンズを断面図にて模式的に示している。なお、図7(A)及び(B)においては、左眼用のレンズ10Lを一方のレンズとして示しているが、一方のレンズは右眼用のレンズ10Rであってもよく、以下において一方のレンズ及び他方のレンズという言葉は特別に記載しない限り左眼用のレンズ10L及び右目用のレンズ10Rの間で互換(置換)して使えることを示すものである。また本実施形態の説明において、前述の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態に係る眼鏡1は、第1の実施形態の眼鏡レンズに換えて、左眼用及び右眼用の左右一対のレンズ10L及び10Rを含む眼鏡用レンズとしての眼鏡用多焦点レンズ(累進多焦点レンズ(レンズシステム、レンズペア))10と、レンズ10L及び10Rをそれぞれ装着した眼鏡フレーム20とを有している。左右一対の累進多焦点レンズ(累進屈折力レンズ)としてのレンズ10L及び10Rは、それぞれ、基本的な形状は物体側に凸のメニスカスレンズであり、加入度によっては一部が凸レンズ又はそれに近い形状になることがある。したがって、左右一対のレンズ10L及び10Rは、それぞれ、物体側の面(凸面)19Aと、眼球側の面(凹面)19Bとを含む。左右一対のレンズ10L及び10Rは基本的な構成が共通するので、以下において特に記載しない限り左眼用のレンズ10Lを用いてレンズ10L及び10Rに共通の構成を説明する。
レンズ10Lは、度数(屈折力)の異なる遠用部分13及び近用部分14と、これらを繋ぐ累進部分15とを含んでいる。より詳しくは、レンズ10Lは、上方に遠距離の物を見るための視野部分である遠用部分13を含み、下方に遠用部分13と異なる度数(屈折力)の近距離の物をみるための視野部分である近用部分14を含む。さらに、レンズ10Lは、これら遠用部分13と近用部分14とを連続的に屈折力が変化するように連結する累進部分15を含む。
これら遠用部分13、近用部分14、及び累進部分15の度数(屈折力)は、物体側の面19Aの平均面屈折力と眼球側の面19Bの平均面屈折力との和であって、ディオプタ(以下Dで示す)という単位で示される。面屈折力は、その面の曲率ρ(曲率半径Rの逆数すなわち1/R)とレンズ基材の屈折率nとにより式(1)で定義され、特に、物体側の面の面屈折力はベースカーブと呼ばれている。
なお、以下において、特に記載しない限り遠用部分13及び近用部分14の平均面屈折力は主注視線16の近傍における面屈折力を示すものとする。すなわち、遠用部分13の物体側の平均面屈折力(ベースカーブ)Dbfは、遠用部分13の物体側の面19Aの主注視線16の近傍の平均面屈折力であり、近用部分14の物体側の面19Aの平均面屈折力(ベースカーブ)Dbnは、近用部分14の物体側の主注視線16の近傍の平均面屈折力である。
この眼鏡用多焦点レンズ10は、左眼用のレンズ10Lの遠用部分13の度数(以下、遠用度数という)が、右眼用のレンズ10Rの遠用度数に対してプラス側の仕様で製造されている。より詳しくは、両眼の遠用度数がプラス度数である場合には、左眼用のレンズ10Lの遠用度数が右眼用のレンズ10Rの遠用度数よりも数値が大きく、両眼の遠用度数がマイナス度数である場合には、左眼用のレンズ10Lの遠用度数が右眼用のレンズ10Rの遠用度数よりも数値(絶対値)が小さい。さらに、この眼鏡用多焦点レンズ10においては、左眼用のレンズ10Lの遠用部分13の物体側のベースカーブDbflが、右眼用のレンズ10Rの遠用部分13の物体側のベースカーブDbfrよりも小さくなっている。
従来、眼鏡レンズの設計においては、非点収差を除去する数学的解として公知のチェルニングの楕円が用いられている。チェルニングの楕円に基づくと、左眼用のレンズ10Lの遠用部分13の遠用度数が、右眼用のレンズ10Rの遠用度数に対してプラス側の場合は、左眼用のレンズ10Lの遠用部分13のベースカーブは、右眼用のレンズ10Rの遠用部分13のベースカーブよりも大きくなる。
近年、眼鏡レンズを選択する際に、左右の眼の状態を確認し、左右の眼の視力をそれぞれ適切に矯正するように左右それぞれのレンズの仕様が決定される。さらに、多焦点レンズにおいては、さらに、遠方視と、近方視とに分けて仕様が決定される。このため、多焦点レンズを装着することによりユーザーの左右それぞれの眼の視力は良好に補正される。その一方で、左右の視力に差がある場合、さらには、左右の遠方視の視力や近方視の視力に限って差がある場合、視力が矯正(補正)されてクリアーな像が得られる反面、得られた像の大きさが異なるので左右の像が融合しにくく、像が二重に見えたり、見る方向を変えると像の大きさが変わって距離感が変わり、かえって不快感の要因になったりしていることが判明した。
そこで、この眼鏡用多焦点レンズ10においては、左右のレンズ10L及び10Rを左右の視力を矯正する仕様(眼鏡仕様、眼鏡処方)にそれぞれ合うように設計及び製造するとともに、左右のレンズ10L及び10Rを視力矯正という点から協調設計し、左右のレンズ10L及び10Rの倍率差が生じない、又は倍率差を縮小するようにしている。そのため、この眼鏡用多焦点レンズ10においては、左右のレンズ10L及び10Rの遠用部分13のベースカーブDbfl及びDbfrがチェルニングの楕円の傾向とは異なり、具体的にはチェルニングの楕円の傾向とは逆になるように選択されており、左右の度数Sによる左右の倍率Mの差を、左右のベースカーブDの選択を変えることで無くす、あるいは縮小するようにしている。すなわち、一対のレンズ10L及び10Rの遠用部分13の倍率Mを近づけるためには、一方のレンズの遠用度数が他方のレンズの遠用度数に対してプラス側である場合、その遠用度数がプラス側である一方のレンズのベースカーブDbfを他方のレンズのベースカーブDbfに対し相対的に小さくすることにより、一方のレンズの遠用部分13の倍率Mと他方のレンズの遠用部分13の倍率Mとの差を縮小又は無くすことができる。また、遠用度数がよりプラス側の一方のレンズの物体側の面(凸面)をより浅いカーブの面(曲率がより小さい面)とし、遠用度数がよりマイナス側の他方のレンズの物体側の面(凸面)をより深いカーブの面(曲率がより大きい面)とすることにより、一対のレンズの倍率Mの差を無くす、あるいは縮小できる。
眼鏡用多焦点レンズ10では、同様にして、一対のレンズ10L及び10Rの近用部分14を、遠用部分13に付随して、あるいは遠用部分13とは独立して協調設計し、一対のレンズ10L及び10Rの近用部分14の倍率差を無くす、あるいは縮小できる。近用部分14を矯正視力の点から協調設計する1つの仕様(方法)は、遠用部分13に対して近用部分14を独立して設計するものである。すなわち、一方のレンズの近用部分14の度数(以下、近用度数という)が他方のレンズの近用度数に対してプラス側である場合、その一方のレンズ、例えば左眼用のレンズの近用部分14のベースカーブ(物体側の平均面屈折力)Dbnlを、他方のレンズ(右眼用のレンズ)の近用部分14のベースカーブDbnrよりも小さくすることにより、左右のレンズの近用部分14における倍率差を縮めることができる。
左右のレンズ10L及び10Rの近用部分14を協調設計する他の仕様(方法)の1つは、左右のレンズ10L及び10Rの遠用部分13における倍率差が縮小されていることを前提に設計するものである。すなわち、それぞれのレンズ10L及び10Rにおいて、遠用部分13の倍率と近用部分14の倍率との差が小さくなるように近用部分14を設計することにより、左右のレンズ10L及び10Rの遠用部分13の倍率差が小さく制御されているので、結果として左右のレンズ10L及び10Rの近用部分14の倍率差を小さくできる。
この場合、遠用部分13と近用部分14とは度数が異なることが前提であり、遠用部分13と近用部分14との倍率差を小さくするようにすると、遠用部分13のベースカーブと近用部分14のベースカーブとは殆どのケースで一致しない。少なくとも一方のレンズ10L又は10Rの物体側の面19Aは遠用部分13のベースカーブDbfと近用部分14のベースカーブDbnとは異なる。
このベースカーブが異なる物体側の面(レンズの物体側の面)19Aにおいて、近用度数が遠用度数に対してプラス側であれば、近用部分14のベースカーブDbnを遠用部分13のベースカーブDbfよりも小さくすることで、近用部分14と遠用部分13との倍率差を縮小できる。一方、近用度数が遠用度数に対してマイナス側であれば、近用部分14のベースカーブDbnを遠用部分13のベースカーブDbfよりも大きくすることで、近用部分14と遠用部分13との倍率差を縮小できる。したがって、結果として左右のレンズ10L及び10Rの近用部分14の倍率差を縮小できる。
このようにベースカーブDbf及び/又はDbnをチェルニングの楕円とは異なる、あるいは逆に選択することは、左右のレンズ10L及び10Rの光学的性能の向上にはつながらない可能性がある。しかしながら、チェルニングの楕円は眼鏡レンズのベースカーブが球面であることを前提にしたものであり、眼鏡レンズの収差性能は非球面を導入することで大幅に改善できる。また、左右のレンズ10L及び10Rのコバ厚(周辺厚)が厚くなりすぎるような場合は、レンズ基材の屈折率を高くすることによりコバ厚を低減できる。
図8は、本実施形態に係る眼鏡用多焦点レンズ10の製造方法の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS71において、眼鏡処方に含まれる右眼の遠方視を矯正する度数から、右眼用のレンズ10Rの遠用部分13のベースカーブ(遠用部分13の物体側の平均面屈折力)Dbfrを決める。同様に、ステップS72において、眼鏡処方に含まれる右眼の遠方視を矯正する度数から、左眼用のレンズ10Lの遠用部分13のベースカーブ(遠用部分13の物体側の平均面屈折力)Dbflを決める。
ステップS73において、眼鏡処方に含まれる右眼の遠方視を矯正する度数と左眼の遠方視を矯正する度数とが異なるときに、一対のレンズ10L及び10Rの遠用部分13を協調設計する。具体的には、ステップS71及びS72により求められた左右のベースカーブDbfl及びDbfrから一対のレンズ10L及び10Rの遠用部分13の倍率差を求め、この倍率差が所定の値よりも大きいときに、左右のベースカーブDbfl又は/及びDbfrを変更する。
さらに具体的には、ステップS73において、一対のレンズのうちのレンズ10Lの遠用部分13の度数がレンズ10Rの遠用部分13の度数に対してプラス側であれば、プラス側のレンズ10LのベースカーブDbflを眼鏡処方に基づき求められたベースカーブよりも小さくし、及び/又は、マイナス側のレンズ10RのベースカーブDbfrを眼鏡処方により求められたベースカーブよりも大きくする。このように、左側のレンズ10LのベースカーブDbfl及び右側のレンズ10RのベースカーブDbfrのいずれか一方又は両方を変更することにより、レンズ10L及び10Rの遠用部分13の倍率差を近づける。
左側のレンズ10LのベースカーブDbfl及び右側のレンズ10RのベースカーブDbfrのどちらか、又は両方を変更するか否かは、いくつかの条件により決定される。最も重要な条件の1つは、遠用部分13のベースカーブを変えても眼球側の屈折面19Bが凸面にならないこと、できれば凹面であることである。
また、多くのケースでは、レンズ10LのベースカーブDbfl及びレンズ10RのベースカーブDbfrは、レンズメーカーにおいてラインアップされているレンズのベースカーブの中から、それぞれの遠方視の度数に適したものが選択される。したがって、個々のレンズの設計の段階でも、傾向は変わらないとしてもチェルニングの楕円が完全に当てはまるようにベースカーブが選択されることは少ない。したがって、チェルニングの楕円からのずれが少なくなるようにレンズ10LのベースカーブDbfl及び/又はレンズ10RのベースカーブDbfrを変更することは有用である。
ステップS74において、それぞれのレンズ10L及び10Rの中心厚をそれぞれ仮決定し、ステップS75において、レンズ10L及び10Rのそれぞれについて、加入度Addから内面19Bの累進形状(累進屈折面の形状)を決める。この段階で、ステップS76においてコバ厚をチェックし、ステップS77において中心厚の補正が必要であれば、ステップS78で中心厚を補正する。
次に、ステップS79において、眼鏡処方の左右の近方視を矯正する度数が異なるときは、さらに、左右のレンズ10L及び10Rの近用部分14を協調設計する。ここでは、左右のレンズ10L及び10Rの遠用部分13の倍率差が同じ又は縮まっているとして、ステップS79a及びS79bにおいて遠用部分13と近用部分14との倍率差を調整する。ステップS79において、左右のレンズ10L及び10Rの遠用部分13とは独立し、左右のレンズ10L及び10Rの近用部分14を視力矯正の観点から協調設計してもよいことは上述した通りである。
ここでは、まず、ステップS79aにおいて、右眼用のレンズ10Rの近用部分14のベースカーブ(近用部分14の物体側の平均面屈折力)Dbnrを加入度Addから決定する。この際、当該レンズ10Rの近用部分14と遠用部分13との間の倍率が近づくように、近用部分14の凸面19Aのカーブを選択する。加入度Addがプラス、すなわち、近用部分14の度数が遠用部分13の度数に対してプラス側であれば、近用部分14のベースカーブDbnrを遠用部分13のベースカーブDbfrよりも小さく選択する。一方、加入度Addがマイナス、すなわち、近用部分14の度数が遠用部分13の度数に対してマイナス側であれば、近用部分14のベースカーブDbnrを遠用部分13のベースカーブDbfrよりも大きく選択する。
同様に、ステップS79bにおいて、左眼用のレンズ10Lにおいても、近用部分14と遠用部分13との間の倍率が近づくように、近用部分14のベースカーブ(近用部分14の平均面屈折力)Dbnlを加入度Addから決定する。
ステップS80において、それぞれのレンズ10L及び10Rの遠用部分13のベースカーブDbfl及びDbfrと近用部分14のベースカーブDbnl及びDbnrとに基づき、それぞれのレンズ10L及び10Rの凸面19Aの形状を決める。それぞれのレンズ10L及び10Rにおいては、遠用部分13の度数と近用部分14の度数とが異なる。このため、加入度Addがかなり小さな場合を除き、遠用部分13と近用部分14との倍率差を縮小するために遠用部分13のベースカーブDbfと近用部分14のベースカーブDbnとは異なる。したがって、この段階で得られるレンズ10L及び10Rの凸面19Aの形状はベースカーブが遠用部分13と近用部分14とで異なる非球面となる。
このため、ステップS75においてベースカーブが球面を前提として決定した内面累進形状を、ステップS80において決定されたベースカーブが異なる非球面に適合するように変える必要が生ずる。まず、ステップS81において、それぞれのレンズ10L及び10Rの凸面(非球面)19Aの近似曲率マップを作成する。次に、ステップS82において、それぞれのレンズ10L及び10Rの内面(累進屈折面)19Bの近似曲率マップを作成する。
近似曲率マップは、レンズの面上の所定の点におけるz座標を滑らかな面が再現できる程度のピッチ(格子点)で示したものである。ある機能を備えた面を設計したときにその面上の多数の点におけるz座標を数値化し、その間を補間できるようにすることにより、その機能を備えた曲面全体を近似的に数値化して扱うことができる。したがって、本願出願人の特許第3852116号公報などにおいては、幾つかの機能を備えた面を合成して1つの面に集約する際に使用することが記載されている。z座標は、レンズを物体側又は眼球側から見たときの平面をxy座標として、このxy平面に対し垂直なレンズの厚みを示す方向を示す座標である。z座標は、例えば、眼球側を正として定義できる。
本実施形態においては、ステップS81においては、それぞれのレンズ10L及び10Rの物体側の非球面19Aの近似曲率マップを作成することにより、左右のレンズ、遠用部分及び近用部分の倍率差を縮小するための面形状(曲率)が数値化する。一方、ステップS82においては、ベースカーブが球面のときの累進屈折面19Bの面形状(曲率)が数値化する。そして、ステップS83において、凸面(非球面)19Aの近似曲率マップと内面(累進屈折面)19Bの近似曲率マップとの和を計算し、これを、ステップS84において、内面19Bの形状に戻すことにより、非球面19Aに対して、内面の各領域において所定の度数を備えた新たな内側累進屈折面19Bを生成する。
したがって、本実施形態においては、2つの面の近似曲率マップを用い、それぞれの面の機能を合成するのではなく、一方の面の機能を他方の面に対して補正し、他方の面、本実施形態では物体側の非球面に対して内側が累進面として所定の機能を発揮する面を生成している。これにより、累進面を備えた累進多焦点レンズであって、左右、遠方及び近方の倍率差が少ない眼鏡レンズを製造し、提供できる。内側累進面19Bには、近似曲率マップを用いた合成により、乱視矯正用の屈折面の性能を付加することも可能である。
ステップS85において再びコバ厚をチェックし、ステップS86において中心厚の補正が必要であれば、ステップS75に戻る。ステップS86において中心厚の補正が不要であれば、レンズ10L及び10Rの設計を終了する。
以下、上述のようにして製造したレンズ10L及び10Rのいくつかの例を挙げる。また、これらのレンズ10L及び10Rを、従来の方法で製造したレンズと比較する。
(実施例3及び比較例3)
図9(A)は、左眼用のレンズ10Lの遠用部分13及び右眼用のレンズ10Rの遠用部分13の度数(遠用度数)がプラスの眼鏡用多焦点レンズの遠用部分13を上記の方法により協調設計し、レンズ10L及び10Rを製造した例(実施例3)を示している。図9(B)は、従来の方法により製造した例(比較例3)を示している。
実施例3及び比較例3の累進多焦点レンズの眼鏡仕様は以下の通りである。右眼の遠方視を矯正する度数Sr(屈折力P):+3.00(D)加入度Addr:2.00(D)距離(レンズの眼球側の面の頂点(内側頂点)から眼球まで)Lr:0.012(m)左眼の遠方視を矯正する度数Sl(屈折力P):+4.00(D)加入度Addl:2.00(D)距離Ll:0.012(m)また、レンズ基材には、屈折率nが1.662のものを用いた。
比較例3では、チェルニングの楕円に基づく設計でレンズを製造した。
図9(A)及び(B)に示すように、図9(B)の比較例3では、左右のレンズの遠用部分13の倍率差(この場合は倍率比)が1.019であるのに対し、図9(A)の実施例3では、左右のレンズの遠用部分13の倍率比を1.010にまで縮めることができた。具体的には、図9(B)に示す比較例3の眼鏡用レンズにおいては、遠用度数がプラス側の左眼用のレンズのベースカーブDbfl(Dbfl=7.0)が右眼用のレンズのベースカーブDbfr(Dbfr=6.0)よりも大きい。すなわち、遠用度数がマイナス側のレンズの凸面(ベースカーブ)は浅いカーブであり、遠用度数がプラス側のレンズの凸面(ベースカーブ)は深いカーブとなっている。
これに対し、図9(A)に示す実施例3の眼鏡用レンズにおいては、遠用度数がプラス側の左眼用のレンズのベースカーブDbfl(Dbfl=6.0)が右眼用のレンズのベースカーブDbfr(Dbfr=7.0)よりも小さい。すなわち、遠用度数がマイナス側のレンズの凸面(ベースカーブ)は深いカーブであり、遠用度数がプラス側のレンズの凸面(ベースカーブ)は浅いカーブとなっている。
遠用部分の倍率差を小さくすることにより、このレンズ10L及び10Rを含む眼鏡1を着用したユーザーの遠方視の矯正視力により得られる左右の像の大きさの差が小さくなる。したがって、遠方視の左右の像が融合しやすい(融像しやすい)眼鏡用レンズを提供できる。
(実施例4及び比較例4)
図10(A)は、左眼用のレンズ10Lの遠用部分13及び右眼用のレンズ10Rの遠用部分13の度数(遠用度数)がマイナスの眼鏡用多焦点レンズの遠用部分13を上記の方法により協調設計し、レンズ10L及び10Rを製造した例(実施例4)を示している。図10(B)は、従来の方法により製造した例(比較例4)を示している。
実施例4及び比較例4の累進多焦点レンズの眼鏡仕様は以下の通りである。右眼の遠方視を矯正する度数Sr(屈折力P):−4.00(D)加入度Addr:2.00(D)距離Lr:0.012(m)左眼の遠方視を矯正する度数Sl(屈折力P):−4.25(D)加入度Addl:2.00(D)距離Ll:0.012(m)また、レンズ基材には、屈折率nが1.498のものを用いた。
図10(A)及び(B)に示すように、図10(B)の比較例4では、左右のレンズの遠用部分13の倍率比が0.997であるのに対し、図10(A)の実施例4では、左右のレンズの遠用部分13の倍率比を0.998にまで縮めることができた。具体的には、図10(B)に示す比較例4の眼鏡用レンズにおいては、遠用度数がプラス側の右眼用のレンズのベースカーブDbfr(Dbfr=2.5)が左眼用のレンズのベースカーブDbfl(Dbfl=2.5)と同じである。
これに対し、図10(A)に示す実施例4の眼鏡用レンズにおいては、遠用度数がプラス側の右眼用のレンズのベースカーブDbfr(Dbfr=2.5)が左眼用のレンズのベースカーブDbfl(Dbfl=4.0)よりも小さい。すなわち、遠用度数がマイナス側のレンズの凸面(ベースカーブ)は深いカーブであり、遠用度数がプラス側のレンズの凸面(ベースカーブ)は浅いカーブとなっている。
(実施例5及び比較例5)
図11(A)は、左眼用のレンズ10Lの遠用部分13及び右眼用のレンズ10Rの遠用部分13の度数(遠用度数)が同じで、加入度が異なり、その結果、近用部分14の度数(近用度数)が互いに異なる眼鏡用多焦点レンズについて、左眼用のレンズ10Lの近用部分14及び右眼用のレンズ10Rの近用部分14を協調設計し、左眼用のレンズ10L及び右眼用のレンズ10Rを製造した例(実施例5)を示している。図11(B)は、左眼用のレンズ10Lの近用部分14及び右眼用のレンズ10Rの近用部分14をベースカーブが一致する程度まで協調設計した例を示している。図11(C)は、従来の方法により製造した例(比較例5)を示している。
実施例5及び比較例5の累進多焦点レンズの眼鏡仕様は以下の通りである。右眼の遠方視を矯正する度数Sr(屈折力P):+2.00(D)加入度Addr:2.00(D)距離Lr:0.012(m)左眼の遠方視を矯正する度数Sl(屈折力P):+2.00(D)加入度Addl:3.00(D)距離Ll:0.012(m)また、レンズ基材には、屈折率nが1.60のものを用いた。
図11(C)の比較例5では、左右のレンズの近用部分14の倍率比が1.015であるのに対し、図11(A)の実施例5では、左右のレンズの近用部分14の倍率比を1.011にまで縮めることができた。また、図11(B)の実施例5においては、左右のレンズの近用部分14の倍率比を1.013にまで縮めることができた。
具体的には、図11(C)に示す比較例5の眼鏡用レンズにおいては、近用度数(5D)がプラス側の左眼用のレンズの近用部分14のベースカーブDbnl(Dbnl=6)が、近用度数(4D)がマイナス側の右眼用のレンズの近用部分14のベースカーブDbfr(Dbfr=5)よりも大きい。さらに、比較例5においては、球面レンズで設計しているので、左眼用のレンズ10Lの遠用部分13のベースカーブDbfl及び近用部分14のベースカーブDbnlが同じになり、右眼用のレンズ10Rの遠用部分13のベースカーブDbfr及び近用部分14のベースカーブDbnrが同じになる。したがって、遠用部分13の度数が左右で同じであるにも関わらず、実際には左右で遠用部分13においても倍率差が発生している。
これに対し、図11(A)に示す実施例5の眼鏡用レンズにおいては、近用度数がプラス側の左眼用のレンズの近用部分14のベースカーブDbnl(Dbnl=6)が、近用度数がマイナス側の右眼用の近用部分14のレンズのベースカーブDbnr(Dbfr=5)よりも小さい。すなわち、近用度数がマイナス側のレンズの凸面(ベースカーブ)は深いカーブであり、近用度数がプラス側のレンズの凸面(ベースカーブ)は浅いカーブとなっている。そして、左右の近用部分14を遠用部分13とは独立に協調設計しているため、左右の遠用部分13は度数が同じであることからベースカーブも同じになり、倍率差は発生していない。
このように、実施例5の左右のレンズ10L及び10Rは、左右それぞれの近用部分14が、近方視を矯正視力の倍率が一致又は近づくように協調設計されている。このため、近方を見たときの左右の像が融合しやすい(融像しやすい)眼鏡用レンズを提供できる。さらに、これら左右のレンズ10L及び10Rにおいては、左右の近用部分14を遠用部分13とは独立して協調設計することにより、左右のレンズ10L及び10Rの近用部分14及び遠用部分13のベースカーブが独立して選択されている。このため、右眼用のレンズ10Rの物体側の面19Aは遠用部分13と近用部分14とでベースカーブが異なる非球面となり、左眼用のレンズ10Lの物体側の面19Aは遠用部分13と近用部分14とのベースカーブが同じ球面となっている。また、左右の遠用部分13の倍率差は解消されている。
この実施例5においては、左眼用のレンズ10Lの遠用部分13の倍率及び近用部分14の倍率との差がさらに縮小されるように近用部分14のベースカーブを選択することも可能である。また、右眼用のレンズ10Rにおいても、その遠用部分13の倍率及び近用部分14の倍率との差がさらに縮小されるように近用部分14のベースカーブを選択することも可能である。そのような左右のレンズ10L及び10Rを備えた眼鏡1であれば、左右の遠方視及び近方視の像の倍率が近づき、眼鏡1を介して遠方及び近方を見たときに左右の像の融合が速やかに行われる。したがって、左右及び遠方近方での像の揺れが少なく、遠方及び近方において、さらに鮮明で違和感が発生することのすくない画像(矯正視力)を得ることができる。
図12に、本実施形態に係る眼鏡用多焦点レンズの設計装置70の一例の概略構成を示している。この設計装置70は、第1ないし第4のユニット(機能)71〜74を含む。第1のユニット71は、眼鏡処方に基づき、一対のレンズのそれぞれのベースカーブをそれぞれ求める。
第2のユニット72は、眼鏡処方の左右の遠方視を矯正する度数が異なるときに、一対のレンズ10L及び10Rの遠用部分13を視力矯正の点から、具体的には倍率差が小さくなるように協調設計する。第3のユニット73は、眼鏡処方の左右の近方視を矯正する度数が異なるときに一対のレンズ10L及び10Rの近用部分14を視力矯正の点から、具体的には倍率差が小さくなるように協調設計する。遠用部分13の協調設計の方法及び近用部分14の協調設計の方法については上述した幾つかの例のいずれか又は複数を使用できる。例えば、第2のユニット72は、左右の遠用部分13の倍率差が所定の値よりも大きいときに、一対のレンズ10L及び10Rの遠用部分13の度数がプラス側のレンズのベースカーブDbfを眼鏡処方に基づき求めたベースカーブよりも小さくする、又は、一対のレンズ10L及び10Rの遠用部分13の度数がマイナス側のレンズのベースカーブDbfを眼鏡処方に基づき求めたベースカーブよりも大きくする機能を含む。
第4のユニット74は、遠用部分13及び/又は近用部分14が左右のレンズ10L及び10Rにおいて協調設計された一対のレンズ10L及び10Rを、装着者(ユーザー)が通して見た様子をシミュレーションするユニットである。このユニット74の一例は画像表示装置であり、ヘッドマウントディスプレイなどを用いて左右の倍率差が縮小された矯正視力を仮想的に体験することができる。この設計装置70を用いることにより、ユーザーは、眼鏡の販売店において左右のレンズ10L及び10Rが協調設計された眼鏡1を装着した様子を体験できる。すなわち、本実施形態の眼鏡用多焦点レンズ10(レンズ10L及び10R)においては、左右の像が融像しやすく、しかも、像の歪みや揺れをより低減することができる。したがって、この眼鏡用多焦点レンズ10を装着することにより、いっそう快適な視野が得られることを体験できる。
なお、本実施形態では、眼鏡用累進多焦点(累進屈折力)レンズを例にとって説明したが、本発明は、累進多焦点レンズに限定されるものではない。本発明は、二重焦点(バイフォーカル)レンズや、さらに中間度数を付けた三重焦点(トライフォーカル)レンズなどにも適用可能である。
1…眼鏡 10…眼鏡用レンズ(眼鏡用多焦点レンズ) 10L,10R…レンズ 11…第1の主経線 12…第2の主経線 13…遠用部分 14…近用部分 15…累進部分 16…主注視線 19A,19B…面 20…眼鏡フレーム 70…設計装置 71〜74…第1〜第4のユニット。

Claims (5)

  1. 左眼用及び右眼用の一対のレンズを有し、前記一対のレンズは、それぞれ、度数の異なる遠用部分及び近用部分を含む多焦点である眼鏡用レンズであって、以下の(1を満たすことを特徴とする眼鏡用レンズ。
    (1)前記一対のレンズの一方のレンズの前記遠用部分の度数が前記一対のレンズの他方のレンズの前記遠用部分の度数に対してプラス側であり、前記一方のレンズの前記遠用部分の物体側のベースカーブが前記他方のレンズの前記遠用部分の物体側のベースカーブよりも小さい。
  2. 左眼用及び右眼用の一対のレンズを有し、前記一対のレンズは、それぞれ、度数の異なる遠用部分及び近用部分を含む多焦点である眼鏡用レンズであって、
    以下の(2)を満たし、
    少なくとも前記一対のレンズの一方のレンズは、前記遠用部分と前記近用部分とでベースカーブが異なる物体側の面を含み、
    前記ベースカーブが異なる物体側の面は、
    前記近用部分の度数が前記遠用部分の度数に対してプラス側であれば、前記近用部分の物体側のベースカーブが前記遠用部分の物体側のベースカーブよりも小さく、
    前記近用部分の度数が前記遠用部分の度数に対してマイナス側であれば、前記近用部分の物体側のベースカーブが前記遠用部分の物体側のベースカーブよりも大きいことを特徴とする眼鏡用レンズ
    (2)前記一対のレンズの一方のレンズの前記近用部分の度数が前記一対のレンズの他方のレンズの前記近用部分の度数に対してプラス側であり、前記一方のレンズの前記近用部分の物体側のベースカーブが前記他方のレンズの前記近用部分の物体側のベースカーブよりも小さい。
  3. 請求項1又は2に記載の眼鏡用レンズと、
    前記眼鏡用レンズを装着した眼鏡フレームとを有する眼鏡。
  4. 左眼用及び右眼用の一対のレンズが、それぞれ、度数の異なる遠用部分及び近用部分を含む多焦点である眼鏡用レンズの製造方法であって、以下の(1を行うことを特徴とする眼鏡用レンズの製造方法。
    (1)前記一対のレンズの前記遠用部分の倍率の差が所定の値よりも大きいときに、前記一対のレンズの遠用部分の度数がプラス側のレンズの前記遠用部分の物体側のベースカーブを、眼鏡処方に基づき得られた前記プラス側のレンズの前記遠用部分の物体側のベースカーブよりも小さくする、又は、前記一対のレンズの前記遠用部分の度数がマイナス側のレンズの前記遠用部分の物体側のベースカーブを、前記眼鏡処方に基づき得られた前記マイナス側のレンズの前記遠用部分の物体側のベースカーブよりも大きくする。
  5. 左眼用及び右眼用の一対のレンズが、それぞれ、度数の異なる遠用部分及び近用部分を含む多焦点である眼鏡用レンズの製造方法であって、
    以下の(2)を行い、
    少なくとも前記一対のレンズの一方のレンズの物体側の面の前記遠用部分のベースカーブと前記近用部分のベースカーブとが異なるように設定する際、
    前記近用部分の度数が前記遠用部分の度数に対してプラス側であれば、前記近用部分のベースカーブを前記遠用部分のベースカーブよりも小さくし、
    前記近用部分の度数が前記遠用部分の度数に対してマイナス側であれば、前記近用部分のベースカーブを前記遠用部分のベースカーブよりも大きくすることを特徴とする眼鏡用レンズの製造方法。
    (2)前記一対のレンズの前記近用部分の倍率の差が所定の値よりも大きいときに、前記一対のレンズの近用部分の度数がプラス側のレンズの前記近用部分の物体側のベースカーブを、眼鏡処方に基づき得られた前記プラス側のレンズの前記近用部分の物体側のベースカーブよりも小さくする、又は、前記一対のレンズの前記近用部分の度数がマイナス側のレンズの前記近用部分の物体側のベースカーブを、前記眼鏡処方に基づき得られた前記マイナス側のレンズの前記近用部分の物体側のベースカーブよりも大きくする。
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