JP6108202B2 - 分級装置、トナー製造方法及び粉砕分級装置 - Google Patents
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Description
図7は、従来の分級装置100の一例を示す説明図であり、図7(a)は、分級装置100の鉛直方向に平行な断面についての断面説明図であり、図7(b)は、図7(a)中のA−A’断面で示す水平方向に平行な断面についての説明図である。
図2は、本発明を適用した分級装置を備えた粉砕分級装置1を示す概略説明図である。
図2に示す粉砕分級装置1は、原料供給機10と、粉砕機40と、第一分級機50と、第二分級機60と、集塵機70と、ブロワー80と、を備えている。
また、二つの分級機(第一分級機50、第二分級機60)のうち、第一分級機50は、原料を粉砕して発生する粗大粒子を分級するものであり、第二分級機60は、原料を粉砕して発生する微細粒子を分級するものである。
分級機は一台でも良いが、本実施形態のように、粉砕粒子の内で粗大粒子と微細粒子とをそれぞれ分級し、トナー等の粉体状の製品としての粒径分布を狭くして、製品の特性を向上させることができる。粉体状の製品がトナーの場合、トナーの粒径分布を狭くすると帯電量分布も狭くなり、高精細な画像を得ることができる。
このような粉砕機40の粉砕室に原料が供給されると、粉砕機ロータ43の回転で発生した上向きの旋回気流に乗って粉砕室を上に向かって流過する間に粉砕が行われる。
粉砕分級装置1で用いる粉砕機40は、機械式粉砕機に限らず、気流でトナー原料を衝撃板等に衝突させて粉砕する方式であっても良い。
機械式粉砕機としては例えば(株)アーステクニカ社製のクリプトロン、日清エンジニアリング(株)社製のスーパーロータ・ブレードミル、ターボ工業社製のターボミル等があるがこの限りではない。
第二分級機60では、所望の粒径よりも小さい微粉砕粒子は、第二微粒子排出管63から排出され、微粉砕粒子が除かれた粉砕粒子が下部にある製品粉体排出管61から排出されて、最終の分級処理がされた製品用粒子となる。
図1は、第一分級機50の説明図であり、図1(a)は、第一分級機50の鉛直方向に平行な断面についての断面説明図であり、図1(b)は、図1(a)中のA−A’断面で示す水平方向に平行な断面についての説明図である。
また、図3は、図1(a)中のB−B’断面で示す水平方向に平行な断面についての説明図である。
円筒ケーシング57上端部には、空気及び粉体(粉砕粒子)からなる混相気体を分散室5内に供給する粉体材料供給管59が配置されている。粉体材料供給管59から流入する空気によって形成される空気の流れを一次空気流と呼ぶ。
図3に示すように、粉体材料供給管59の分散室5内側の端部は、分散室5における円筒ケーシング57の内周面に沿うように配置された供給口であり、このように配置された粉体材料供給管59から高圧の混相気体を供給することで、図3中の矢印Cで示すように、内周面に沿うように旋回する一次空気流が形成される。
また、吸引コーン56の下方には微粒子排出管55と連結した吸引口56aが形成されており、微粒子排出管55は第二分級機60を介して集塵機70に接続されている。このため、ブロワー80を作動することで、集塵機70に負圧が作用すると、微粒子排出管55を介して、吸引口56aに分級室6内の空気を吸引する負圧が発生する。
第一分級機50の分級室6では、整流器53の外周からスリットを通過して均等に流入した二次空気流の速い旋回により、粉体材料が効率良く粗粉と微粉とに遠心分級され、分級精度を向上させることができる。
また、サイクロン式分級機である第一分級機50は、サイクロン式で分級機能を持たせるために、整流器53と上昇ガイドコーン54と微粒子排出管55とを設けている。
この第一分級機50では、上昇ガイドコーン54が不図示の昇降機構によって上下方向に移動可能で、分級点を任意に変更可能な構成となっている。従来の風力分級では、粒子の重量、風力に対する空気抵抗等で分級点が異なってくるため、所望の分級点にするために、風量を調節することで、旋回流に乗って中心部に向かう粉体と、遠心力によって外周部に向かう粉体とを分級している。
図4は、整流器53におけるルーバー板部12の拡大説明図である。
図1(b)及び図4に示すように、内壁面側のルーバー板部12の端面であるルーバー板部内周端面12eにおける旋回気流が流れる方向(図中矢印D方向)の下流側の端部をルーバー板部内周下流側端部12aとする。また、ルーバー板部内周端面12eにおける旋回気流が流れる方向の上流側の端部をルーバー板部内周上流側端部12bとする。そして、円筒ケーシング2内の円柱状の空間の中心軸15からルーバー板部内周下流側端部12aまでの距離をR1、中心軸15からルーバー板部内周上流側端部12bまでの距離をR2としたときに、R1<R2の関係を満たすように、ルーバー板部12を設置している。
整流器53としては、同じケーシングを用い、ルーバー板部12のみが取り替えられ、また、清掃時間の短縮等のメンテナンス性の向上につながる点で、ルーバー板部12が脱着可能であることが好ましい。
この角度αが、5[°]未満であると、ルーバー板部内周端面12eによって形成される整流器53の内壁面に沿う円周上で、旋回気流の速度がばらついてしまうことがある。
一方、角度αが、7[°]〜11[°]であると、整流器53のスリット12sを通過し流入した二次空気流が、整流器53の内壁面に沿う間に、円周上の旋回気流の速度が安定する点で有利である。
この角度βが、7[°]未満であると、整流器53の内壁面に沿って旋回している気流と、流入した二次空気流とが衝突してしまい、気流の速度が低下してしまうことがある。
一方、角度βが、7.5[°]〜8.5[°]であると、整流器53のスリット12sを通過し流入した二次空気流が、整流器53の内壁面に沿う間に、円周上の旋回気流の速度が安定する点で有利である。
この角度γが、2[°]未満であると、整流器53の内壁面に沿って旋回している気流と、流入した二次空気流が衝突してしまい、気流の速度が低下してしまうことがある。
一方、角度γが、3[°]〜4[°]であると、整流器53のスリット12sを通過し流入した二次空気流が、整流器53の内壁面に沿う間に、円周上の速度が安定する点で有利である。
ルーバー板部12の水平断面は、ルーバー板部内周下流側端部12a、ルーバー板部内周上流側端部12b、ルーバー板部外周下流側端部12c及びルーバー板部外周上流側端部12dの四つの頂点を持つ四角形となる。
この四角形の四つの角のうち、ルーバー板部内周下流側端部12aにおける角E1は鋭角であり、ルーバー板部内周上流側端部12bにおける角E2は鈍角である。また、ルーバー板部外周下流側端部12cにおける角E3は鈍角であり、ルーバー板部外周上流側端部12dにおける角E4は鋭角である。
隣り合うルーバー板部12同士の間に形成される隙間の距離(スリット12sの幅)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
この数値解析において、整流器53の内壁面の1[mm]内側の円周上における気流の速度、すなわち、半径がR1−1[mm]となる円周上における気流の速度を抽出すると、従来の整流器53では平均速度が17.5[m/s]で最大速度と最小速度の差が約17[m/s]であったのに対し、R1<R2、かつR3<R4を満たす条件では、平均速度が22[m/s]で最大速度と最小速度の差が約4[m/s]になることが分かった。ここで、隙間を通過した後の速度は、気流速度を指す。
よって、整流器53の内壁面の1[mm]内側の円周上における気流の速度、すなわち、半径がR1−1[mm]となる円周上における気流の速度の最大速度と最小速度の差が、5[m/s]以下となる、R1<R2、かつ、R3<R4の条件を満たした整流器53を備える第一分級機50であれば、従来よりも分級効率を向上させることができる。
図6に示すように、本実施形態の整流器53は、複数のルーバー板部12を脱着可能に構成している。整流器53は第一分級機50の円筒ケーシング2から取り外し可能であり、図6は、取り外した状態の整流器53を示す。図6に示すように、ルーバー板部12は整流器53の円環状の基体53bに対して固定ネジ14によって固定されており、固定ネジ14を緩めることによって基体53bからルーバー板部12を取り外すことが可能となっている。
本発明を適用可能なトナーの製造方法は、少なくとも分級工程を含み、溶融混練工程、粉砕工程、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
分級工程には、上述した本実施形態の第一分級機50等を用いて行われ、粉砕工程は、粉砕機40等を用いて行われる。
溶融混練工程は、トナー材料を混合して得た混合物を、溶融混練機に仕込んで溶融混練する工程である。溶融混練機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一軸または二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機などが挙げられる。溶融混練機の具体例としては、例えば、神戸製鋼所製のKTK型二軸押出機、東芝機械株式会社製のTEM型押出機、浅田鉄工株式会社製のKCK混練機、池貝鉄工所製のPCM型二軸押出機、Buss社製のコニーダー、などが挙げられるが、これらに限るものではない。この溶融混練は、結着樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、結着樹脂の軟化点を参考にして行われ、軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばスチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、などの単独重合体、または、共重合体などが挙げられる。
着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、などが挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
黒色用のものとしては、例えばファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
スチレン系共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などが挙げられる。
離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素等のワックス類が挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
上述のポリアルカン酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなどが挙げられる。
上述のポリアルカノールエステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどが挙げられる。
上述のポリアルカン酸アミドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジベヘニルアミドなどが挙げられる。
上述のポリアルキルアミドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミドなどが挙げられる。
上述のジアルキルケトンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジステアリルケトンなどが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが好ましい。
上述のポリオレフィンワッックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
上述の長鎖炭化水素としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックスなどが挙げられる。
帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色または白色に近い材料が好ましい。例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩(フッ素変性四級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体またはその化合物、タングステンの単体またはその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
上述の帯電制御剤は、上述のマスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解または分散させてもよく、トナーの各成分と共に前記有機溶剤に直接、溶解乃至分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子製造後にトナー表面に固定させてもよい。
含有量が、0.1[質量部]未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10[質量部]を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸などが挙げられる。
次に、本発明の分級方法を適用可能なトナー製造方法における粉砕工程について説明する。
粉砕工程は、少なくとも1つの粉砕機と、場合によっては少なくとも1つの粗粉分級工程を用いて微粉砕を行う工程である。粉砕工程で用いられる粉砕機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、気流式粉砕機、流動層式粉砕機、機械式粉砕機などが挙げられる。
気流式粉砕機としては、例えば、日本ニューマチック工業株式会社製の超音速ジェット粉砕機、日清エンジニアリング株式会社製のスーパージェットミル、ホソカワミクロン株式会社製のミクロンジェットなどが挙げられる。
流動層式粉砕機としては、例えば、ホソカワミクロン株式会社製のカウンタージェット粉砕機、栗本鐵工所社製のクロスジェットミルなどが挙げられる。
機械式粉砕機としては、例えば、株式会社アーステクニカ社製のクリプトロン、日清エンジニアリング株式会社製のスーパーローター、ターボ工業株式会社製のターボミルなどが挙げられる。
本発明のトナーは、上述した本発明のトナー製造方法により製造されるものである。
トナーは、粒径4.0[μm]以下の微粉含有率は、15[個数%]以下であることが好ましく、10[個数%]以下がより好ましい。また、粒径12.7[μm]以上の粗粉含有率は、5.0[質量%]以下であることが好ましく、0[質量%]〜2.0[質量%]がより好ましい。
トナーの体積平均粒径は、5.0[μm]〜12.0[μm]が好ましく、5.0[μm]〜8.0[μm]がより好ましい。
ここで、粒度分布及び体積平均粒径は、例えば、粒度測定器粒度測定器(コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザーII、または、コールターマルチサイザーIII、ベックマンコールター社製)を用いて測定することができる。
以下、本発明に係るトナーの具体的な実験例について説明するが、本発明はこの実験例に限定されるものではない。
本実験例においては、スチレン−アクリル共重合体樹脂を85[重量部]と、カーボンブラック10[重量部]、ワックスを5[重量部]の混合物を溶融混練、冷却した。これをハンマーミルで粗粉砕した粉体材料を、図2に示す態様の粉砕分級装置を用いてトナー製造を行った。
図4に示す距離R1、R2、R3、R4をR1=189[mm]、R2=190[mm]、R3=218.4[mm]、R4=342.4[mm]とした整流器53を設置した。さらにルーバー板部12は26枚とし、粉体材料を分級した。得られた粉体材料は、体積平均粒径6.8[μm](コールターカウンターによる測定)、12.7[μm]以上の粗粉含有率(質量[%])が0.8[%]であり、時間あたりの粉体材料の処理量、すなわちフィード量は90[kg/h]であった。
図6に示す距離R1、R2、R3、R4を、R1=189[mm]、R2=190[mm]、R3=218.4[mm]、R4=217.4[mm]、α=7.9[°]、β=7.8[°]、γ=3.1[°]とした整流器53を設置した以外は、実施例と同様の条件および装置を用い、実施例と同様に粉体材料を分級した。得られた粉体材料は、体積平均粒径6.8[μm](コールターカウンタによる測定)、12.7[μm]以上の粗粉含有率(質量[%])が1.2[%]であり、時間あたりの粉体材料の処理量、すなわちフィード量は90[kg/h]であった。
実施例に対して、R1=189[mm]、R2=188[mm]、R3=218.4[mm]、R4=219.4[mm]とした整流器53を設置した以外は、実施例と同様の条件および装置を用い、実施例と同様に粉体材料を分級した。得られた粉体材料は、体積平均粒径6.8[μm](コールターカウンターによる測定)、12.7[μm]以上の粗粉含有率(質量[%])が1.2[%]であり、時間あたりの粉体材料の処理量、すなわちフィード量は90[kg/h]であった。
実施例に対して、R1=189[mm]、R2=189[mm]、R3=218.4[mm]、R4=218.4[mm]とした整流器53を設置した以外は、実施例と同様の条件および装置を用い、実施例と同様に粉体材料を分級した。得られた粉体材料は、体積平均粒径6.8[μm](コールターカウンターによる測定)、12.7[μm]以上の粗粉含有率(質量[%])が1.7[%]であり、時間あたりの粉体材料の処理量、すなわちフィード量は90[kg/h]であった。
図6に示すような整流器53を設置し、さらにルーバー板部12は40枚とし、粉体材料を分級した。得られた粉体材料は、体積平均粒径6.8[μm](コールターカウンターによる測定)、12.7[μm]以上の粗粉含有率(質量[%])が1.9[%]であり、時間あたりの粉体材料の処理量、すなわちフィード量は90[kg/h]であった。
(態様A)
円筒ケーシング57等の円柱状の空間を形成する円筒ケーシングと、円筒ケーシング内に粉砕粒子等の被分級粉体を一次気流と混合して導入する粉体材料供給管59等の粉体導入口と、円筒ケーシングの内壁面側と外壁面側とを連通するスリット12s等のスリットを円周方向に複数形成するようにルーバー板部12等のルーバー板部を環状に複数配置し、スリットから二次気流を取り入れ円筒ケーシング内に旋回気流を発生させる整流器53等の整流器とを備え、該旋回気流によって被分級粉体を分級する第一分級機50等の分級装置において、ルーバー板部の内周側端面における旋回気流が流れる方向の下流側の端部をルーバー板部内周下流側端部とし、ルーバー板部の内周側端面における該旋回気流が流れる方向の上流側の端部をルーバー板部内周上流側端部とし、中心軸15等の円柱状の空間の中心軸からルーバー板部内周下流側端部までの距離をR1、該中心軸から該ルーバー板部内周上流側端部までの距離をR2としたときに、R1<R2の関係を満たし、円柱状の空間の中心軸近傍で下向きに開口し、負圧が作用する吸引口56a等の吸引開口部を備える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、ルーバー板部内周下流側端部とルーバー板部内周上流側端部とが同心円上には配置されておらず、ルーバー板部内周上流側端部がR1を半径とする円形よりも外側にある。これにより、気流が乱されることを抑制し、旋回気流の速度の変化を抑制できる。旋回気流の速度差を抑制できることにより、粉体の分級を精度良く行うことができる。また、吸引開口部に作用する負圧によって上方に吸引される吸引力の方よりも自重によって働く重力の方が大きい粗粒子は吸引開口部から吸引されることはない。このため、吸引開口部から吸引される微粒子に粗粒子が混入することを防止でき、さらに粉体の分級を精度良く行うことができる。
(態様B)
(態様A)において、ルーバー板部の外周側端面における旋回気流が流れる方向に対して下流側の端部をルーバー板部外周下流側端部とし、ルーバー板部の外周側端面における旋回気流が流れる方向に対して上流側の端部をルーバー板部外周上流側端部とし、円柱状の空間の中心軸からルーバー板部外周下流側端部までの距離をR3、中心軸からルーバー板部外周上流側端部までの距離をR4としたときに、R3<R4の関係を満たす。
これによれば、上記実施形態について説明したように、円筒ケーシングの外壁面側を流れる二次空気流を効率良くスリット内に導くことができ、分級効率の向上を図ることができる。
(態様C)
(態様A)または(態様B)において、円柱状の空間の中心軸の軸方向は、鉛直方向であり、複枚のルーバー板部は、円柱状の空間の中心軸を中心とする同心円上に等間隔に設けられている。
これによれば、上記実施形態について説明したように、周方向における速度ムラのない旋回気流を発生させることができる。
(態様D)
態様A乃至Cの何れかの態様において、ルーバー板部は、整流器から脱着可能である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、メンテナンス性の向上を図ることができる。
(態様E)
態様A乃至Dの何れかの態様において、吸引開口部の下方に、中央側が上方となる上昇ガイドコーン54等の円錐状部材を備える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、旋回気流が円錐状部材の表面にそって上昇気流となり、微粒子は上昇気流に乗って上昇し、粗粒子は自重によって円錐状部材の表面に沿って落下する。これにより、分級効率の向上を図ることができる。
(態様F)
態様Eにおいて、円錐状部材を上下に変位させる不図示の昇降機構等の円錐状部材変位機構を備える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、容易に分級点の調整を行うことができる。
(態様G)
態様A乃至Fの何れかの態様において、吸引開口部に接続された微粒子排出管55等の粒子排出管を備え、粒子排出管は、吸引開口部が形成された下方ほど断面積が大きくなる吸引コーン56等の円錐状部を有する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、吸引開口部における吸引性の向上を図ることが出来る。
(態様H)
態様A乃至Gの何れかの態様において、第二分級機60等のように、被分級粉体に含まれる所望の粒径よりも小さい微細粒子を吸引開口部で吸引し、分級することを特徴とする。
これによれば、上記実施形態について説明したように、被分級粉体に含まれる所望の粒径よりも大きい粗大粒子だけでなく、微細粒子も除去することができ、粒径分布が狭い粉体を得ることができる。
(態様I)
所望の粒径を含まない範囲のトナー材料と所望の粒径の範囲を含むトナー材料とを分級する分級工程を含むトナー製造方法において、態様A乃至Hの何れかの態様の分級装置を用いる。
これによれば、上記実施形態について説明したように、トナーの粒径分布を狭くすることができ、画像形成に用いた際に、帯電量分布が狭くなり、高精細な画像を得ることができる。
(態様J)
原料物を粉砕して原料粉体を得る粉砕機40等の粉砕手段と、原料粉体中に含まれる粒子の粒径に応じて分級する第一分級機50及び第二分級機60等の分級手段とを有する粉砕分級装置1等の粉砕分級装置において、分級手段は、原料粉体中に含まれる所望の粒径よりも大きな粗大粒子を除去する第一分級機50等の第一分級手段と、原料粉体中に含まれる所望の粒径よりも小さな微細粒子を除去する第二分級機60等の第二分級手段とを備え、第一分級手段と第二分級手段との少なくとも一方に、態様A乃至Hの何れかの態様の分級装置を用いる。
これによれば、上記実施形態について説明したように、粉砕によって得た粒径にばらつきのある粉砕粒子から所望の粒径分布の粉体を精度良く得ることができる。
2 円筒ケーシング
3 センターコア板
3b 供給溝
4 分級板
4b 粗粉排出口
5 分散室
6 分級室
7 微粉排出口
8 下部ホッパー
10 原料供給機
11 下部開口部
12 ルーバー板部
12b ルーバー板部内周上流側端部
12a ルーバー板部内周下流側端部
12e ルーバー板部内周端面
12d ルーバー板部外周上流側端部
12c ルーバー板部外周下流側端部
12f ルーバー板部外周端面
12s スリット
14 固定ネジ
15 中心軸
16 スリット入口
19 スリット出口
20 供給孔
21 供給配管
30 冷風流入口
40 粉砕機
41 粉砕機入口
42 粉砕機出口
43 粉砕機ロータ
44 粉砕機ライナー
50 第一分級機
51 粗粉搬送路
52 粗粉子排出管
53 整流器
53a 二次空気流供給流路
53b 基体
54 上昇ガイドコーン
55 微粒子排出管
56 吸引コーン
56a 吸引口
57 円筒ケーシング
59 粉体材料供給管
60 第二分級機
61 製品粉体排出管
63 第二微粒子排出管
70 集塵機
71 微粉砕粒子収納容器
80 ブロワー
100 分級装置
110 微粉排出管
Claims (10)
- 円柱状の空間を形成する円筒ケーシングと、
前記円筒ケーシング内に被分級粉体を一次気流と混合して導入する粉体導入口と、
前記円筒ケーシングの内壁面側と外壁面側とを連通するスリットを円周方向に複数形成するようにルーバー板部を基体の表面上に環状に複数配置し、前記スリットから二次気流を取り入れ前記円筒ケーシング内に旋回気流を発生させる整流器とを備え、
前記旋回気流によって前記被分級粉体を分級する分級装置において、
前記基体の表面から立ち上がる四つの面を前記ルーバー板部に設けて前記ルーバー板部の平面形状をそれら四つの面のそれぞれの一辺を繋げた四角形にし、
前記四つの面のうち、前記平面形状で互いに対辺を形成する二つの面のそれぞれを隣りのルーバー板部との間にスリットを形成する面にするように複数のルーバー板部を環状に配置し、
前記スリットを形成する面ではない残りの二つの面のうち、前記円筒ケーシングの内周側に存在する面を前記ルーバー板部の内周側端面とし、
前記残りの二つの面のうち、前記円筒ケーシングの外周側に存在する面を前記ルーバー板部の外周側端面とし、
前記円柱状の空間の中心軸から、前記内周側端面における前記旋回気流の流れる方向の下流側の端部であるルーバー板部内周下流側端部までの距離R1と、前記内周側端面における前記ルーバー板部内周下流側端部から前記方向の上流側に向けて真っ直ぐに延びている面の上流側の端である上流端から、前記中心軸までの距離R2とについて、R1<R2という関係を満たし、
前記ルーバー板部内周下流側端部及び前記中心軸を結ぶ直線と、前記上流端及び前記中心軸を結ぶ直線とが成す角の角度αについて、5[°]〜15[°]の範囲であるという条件を満たし、
前記ルーバー板部内周下流側端部、及び前記外周側端面における前記旋回気流の流れる方向に対して下流側の端部であるルーバー板部外周下流側端部を結ぶ直線と、前記ルーバー板部内周下流側端部及び前記中心軸を結ぶ直線に対して垂直に交わり、前記ルーバー板部内周下流側端部を通る直線とがなす角の角度βについて、7[°]〜10[°]の範囲であるという条件を満たし、
前記上流端、及び前記ルーバー板部の外周側端面における前記旋回気流の流れる方向に対して上流側の端部であるルーバー板部外周上流側端部を結ぶ直線と、前記ルーバー板部内周下流側端部及び中心軸を結ぶ直線に対して垂直に交わり、前記上流端を通る直線とがなす角の角度γについて、2[°]〜5[°]の範囲であるという条件を満たし、
且つ、前記円柱状の空間の中心軸近傍で下向きに開口し、負圧が作用する吸引開口部を備えることを特徴とする分級装置。 - 請求項1の分級装置において、
上記円柱状の空間の中心軸から上記ルーバー板部外周下流側端部までの距離R3と、前記中心軸から上記ルーバー板部外周上流側端部までの距離R4とについて、R3<R4という関係を満たすことを特徴とする分級装置。 - 請求項1または2の分級装置において、
上記円柱状の空間の中心軸の軸方向は、鉛直方向であり、
複枚の上記ルーバー板部は、該円柱状の空間の中心軸を中心とする同心円上に等間隔に設けられていることを特徴とする分級装置。 - 請求項1乃至3の何れかに記載の分級装置において、
上記ルーバー板部は、上記整流器から脱着可能であることを特徴とする分級装置。 - 請求項1乃至4の何れかに記載の分級装置において、
上記吸引開口部の下方に、中央側が上方となる円錐状部材を備えることを特徴とする分級装置。 - 請求項5の分級装置において、
上記円錐状部材を上下に変位させる円錐状部材変位機構を備えることを特徴とする分級装置。 - 請求項1乃至6の何れかに記載の分級装置において、
上記吸引開口部に接続された粒子排出管を備え、該粒子排出管は、該吸引開口部が形成された下方ほど断面積が大きくなる円錐状部を有することを特徴とする分級装置。 - 請求項1乃至7の何れかに記載の分級装置において、
上記被分級粉体に含まれる所望の粒径よりも小さい微細粒子を上記吸引開口部で吸引し、分級することを特徴とする分級装置。 - 所望の粒径を含まない範囲のトナー材料と所望の粒径の範囲を含むトナー材料とを分級する分級工程を含むトナー製造方法において、
上記分級工程に、請求項1乃至8の何れかに記載の分級装置を用いることを特徴とするトナー製造方法。 - 原料物を粉砕して原料粉体を得る粉砕手段と、
該原料粉体中に含まれる粒子の粒径に応じて分級する分級手段とを有する粉砕分級装置において、
上記分級手段は、該原料粉体中に含まれる所望の粒径よりも大きな粗大粒子を除去する第一分級手段と、該原料粉体中に含まれる所望の粒径よりも小さな微細粒子を除去する第二分級手段とを備え、
該第一分級手段と該第二分級手段との少なくとも一方に、請求項1乃至8の何れかに記載の分級装置を用いることを特徴とする粉砕分級装置。
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