JP6108202B2 - 分級装置、トナー製造方法及び粉砕分級装置 - Google Patents

分級装置、トナー製造方法及び粉砕分級装置 Download PDF

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本発明は、粉体を粒子の大きさによって選り分ける分級装置、並びに、この分級装置を用いたトナー製造方法及び粉砕分級装置に関するものである。
電子写真方式の画像形成装置に用いられるトナーの製造方法としては、粒子径にばらつきのあるトナーの材料の粉体を粒子径に応じて分級する分級工程を備えるものがある。この分級工程に使用する分級装置としては、特許文献1〜4のように、粉体と気体とが混相された混相気体に対して旋回気流を作用させることによって粉体を粒子の粒径に応じて分級する分級装置が知られている。
以下、旋回気流を用いた分級装置の一例について図7を用いて説明する。
図7は、従来の分級装置100の一例を示す説明図であり、図7(a)は、分級装置100の鉛直方向に平行な断面についての断面説明図であり、図7(b)は、図7(a)中のA−A’断面で示す水平方向に平行な断面についての説明図である。
分級装置100は、円筒ケーシング57内の上部に分散室5、下部に下部ホッパー8が形成され、分散室5と下部ホッパー8との間に分級室6が形成されている。分散室5を形成する部分の円筒ケーシング57の外周面から一次空気流及び原料粉体とを供給するする粉体材料供給管59が接続されている。分散室5の下方には、中央が高い円錐状(笠状)のセンターコア板3が取り付けられており、このセンターコア板3の下縁外周と円筒ケーシング57の内壁との間に環状の供給溝3bが形成されている。図7に示す分級装置100では、センターコア板3は円筒ケーシング57に固定されており、センターコア板3の下縁外周の最外周部と円筒ケーシング57の内壁との間が、粉体が通過可能な供給溝3bとなる。
センターコア板3の下方には、中央部が高い円錐状(笠状)の分級板4が具備されており、この分級板4の下縁外周と円筒ケーシング57の内壁との間に環状の粗粉排出口4bが形成されている。また、分級板4の中央部には微粉排出口7が形成されており、この微粉排出口7には、空気を微粉排出管110に吸引する負圧が作用している。このようなセンターコア板3と分級板4との間の空間が分級室6となる。
円筒ケーシング57の分級室6を形成する部分の下部には、二次空気流が流入するための二次空気流入口が具備された整流器53が配置されている。整流器53は、図7(b)に示すように、複数枚のルーバー板部12を環状に配置した構成であり、二次空気流入口は、隣り合うルーバー板部12同士の間のスリットによって構成されている。このスリットより導入される二次空気流の方向は、分級室6において旋回しながら下降する粉体材料の旋回方向に噴出する方向であり、この二次空気流によって粉体材料を分散させ、かつ、旋回速度を加速させるようになっている。また、複数枚のルーバー板部12は、中心軸15を中心とする同心円上に等間隔に設けられている。このようにルーバー板部12を配置することにより、周方向における速度ムラのない旋回気流を発生させることができる。
このような分級室6では、スリットから流入する二次空気流が形成する半自由渦状の気流の中で、粗粒子及び微粒子各々に作用する遠心力が異なることを利用して分級を行う。粒径が小さく軽い粒子は旋回気流によって作用する遠心力が小さいため微粉排出口7に働く負圧によって吸引され微粉排出管110から外部に排出される。一方、粒径が大きく重い粒子は、旋回気流によって作用する遠心力が大きいため、微粉排出口7に働く負圧では微粉排出口7まで到達できず、分級板4の上面に当たって、その笠状の表面に沿って外側に滑り落ちる。そして、分級板4と円筒ケーシング57との間の隙間である粗粉排出口4bから下部ホッパー8に到達し、下部開口部11から外部に排出される。
上述のように、旋回気流を発生させる従来の分級装置では、分級室を形成するケーシングの内壁面近傍の周方向における位置によって旋回気流の速度差が生じることがあった。周方向の位置によって旋回気流の速度差が生じると、周方向の位置によって粒子に作用する遠心力の大きさが異なり、分級精度が低下してしまうため、改善の余地があった。また、図7を用いて説明した構成では、旋回気流で分級された微粒子を吸引する微粉排出口7が上向きに開口している。この構成では、微粒子として微粉排出管110から外部に排出すべき粒子よりも大きな粗粒子が、旋回気流で分級仕切れず微粉排出口7まで到達すると、自重で微粉排出口7内に落下し、粗粒子が微粒子に混入するおそれがある。このように粗粒子が微粒子に混入することも分級精度の低下につながる。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、分級室を形成するケーシングの内壁面近傍の周方向における位置によって旋回気流の速度差が生じることを抑制し、粉体の分級を精度良く行うことができる分級装置、並びに、この分級装置を用いたトナー製造方法及び粉砕分級装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、円柱状の空間を形成する円筒ケーシング(57)と、前記円筒ケーシング(57)内に被分級粉体を一次気流と混合して導入する粉体導入口と、前記円筒ケーシング(57)の内壁面側と外壁面側とを連通するスリット(12s)を円周方向に複数形成するようにルーバー板部(12)基体(53b)の表面上に環状に複数配置し、前記スリット(12s)から二次気流を取り入れ前記円筒ケーシング(57)内に旋回気流を発生させる整流器(53)とを備え、前記旋回気流によって前記被分級粉体を分級する分級装置において、前記基体(53b)の表面から立ち上がる四つの面を前記ルーバー板部(12)に設けて前記ルーバー板部(12)の平面形状をそれら四つの面のそれぞれの一辺を繋げた四角形にし、前記四つの面のうち、前記平面形状で互いに対辺を形成する二つの面のそれぞれを隣りのルーバー板部(12)との間にスリット(12s)を形成する面にするように複数のルーバー板部(12)を環状に配置し、前記スリット(12s)を形成する面ではない残りの二つの面のうち、前記円筒ケーシングの内周側に存在する面を前記ルーバー板部の内周側端面(12e)とし、前記残りの二つの面のうち、前記円筒ケーシングの外周側に存在する面を前記ルーバー板部の外周側端面(12f)とし、前記円柱状の空間の中心軸(15)から、前記内周側端面(12e)における前記旋回気流の流れる方向の下流側の端部であるルーバー板部内周下流側端部(12a)までの距離R1と、前記内周側端面(12e)における前記ルーバー板部内周下流側端部(12a)から前記方向の上流側に向けて真っ直ぐに延びている面の上流側の端である上流端(12b)から、前記中心軸(15)までの距離R2とについて、R1<R2という関係を満たし、前記ルーバー板部内周下流側端部(12a)及び前記中心軸(15)を結ぶ直線と、前記上流端(12b)及び前記中心軸(15)を結ぶ直線とが成す角の角度αについて、5[°]〜15[°]の範囲であるという条件を満たし、前記ルーバー板部内周下流側端部(12a)、及び前記外周側端面(12f)における前記旋回気流の流れる方向に対して下流側の端部であるルーバー板部外周下流側端部(12c)を結ぶ直線と、前記ルーバー板部内周下流側端部(12a)及び前記中心軸(15)を結ぶ直線に対して垂直に交わり、前記ルーバー板部内周下流側端部(12a)を通る直線とがなす角の角度βについて、7[°]〜10[°]の範囲であるという条件を満たし、前記上流端(12b)、及び前記ルーバー板部(12)の外周側端面(12f)における前記旋回気流の流れる方向に対して上流側の端部であるルーバー板部外周上流側端部(12d)を結ぶ直線と、前記ルーバー板部内周下流側端部(12a)及び中心軸(15)を結ぶ直線に対して垂直に交わり、前記上流端(12b)を通る直線とがなす角の角度γについて、2[°]〜5[°]の範囲であるという条件を満たし、且つ、前記円柱状の空間の中心軸近傍で下向きに開口し、負圧が作用する吸引開口部を備えることを特徴とするものである。
整流器のルーバー板部は、隣り合う他のルーバー板部との間にスリットを形成するが、ルーバー板部自体に厚みがある。この厚みによって、ルーバー板部には、スリットを形成する面とは別に、円筒ケーシングの内周側と外周側とにそれぞれ端面がある。円筒ケーシングの内周側におけるスリットの出口は、そのスリットの上流側に配置されたルーバー板部のルーバー板部内周下流側端部と、当該スリットの下流側に配置されたルーバー板部のルーバー板内周上流側端部とによって形成される。
このような整流器を用いて旋回気流を発生させる構成について、コンピュータ上でのシミュレーションを行ったところ、ルーバー板部内周下流側端部がルーバー板部内周上流側端部よりも内側となるように配置することで、分級室を形成するケーシングの内壁面近傍の周方向における位置による旋回気流の速度差が抑制できることを確認した。すなわち、円柱状の空間の中心軸からルーバー板部内周下流側端部までの距離をR1、中心軸からルーバー板部内周上流側端部までの距離をR2としたときに、R1<R2の関係を満たすことにより、旋回気流の速度差が抑制できた。これは、旋回気流の最外周部は、ルーバー板部内周下流側端部に沿うようR1を半径とする円形状に形成され、この円形よりも内側に、ルーバー板部内周上流側端部があると、そこで気流が乱されることで、旋回気流の速度が変化するものと考えられる。一方、R1<R2の関係を満たし、ルーバー板部内周上流側端部が上述のR1を半径とする円形よりも外側にあることにより、気流が乱されることを抑制し、旋回気流の速度の変化を抑制できるものと考えられる。旋回気流の速度差を抑制することで、この速度差に起因する分級制度の低下を抑制し、粉体の分級を精度良く行うことができる。
本発明においては、旋回気流の分級によって、円柱状の空間の中心軸近傍に到達した微粒子を吸引する吸引開口部を備えている。この吸引開口部が下向きに開口しているため、吸引開口部から吸引すべき粒子よりも大きな粗粒子が、旋回気流で分級し切れず円柱状の空間の中心軸近傍に到達しても、自重で吸引開口部に進入することがない。また、吸引開口部に作用する負圧によって上方に吸引される吸引力の方よりも自重によって働く重力の方が大きい粗粒子は吸引開口部から吸引されることはない。このため、吸引開口部から吸引される微粒子に粗粒子が混入することを防止でき、さらに粉体の分級を精度良く行うことができる。
本発明によれば、分級室を形成するケーシングの内壁面近傍の周方向における位置によって旋回気流の速度差が生じることを抑制し、粉体の分級を精度良く行うことができるという優れた効果がある。
分級装置の説明図、(a)は、鉛直方向に平行な断面についての断面説明図、(b)は、(a)中のA−A’断面で示す水平方向に平行な断面についての説明図。 粉砕分級装置1の概略説明図。 図1(a)中のB−B’断面で示す水平方向に平行な断面についての説明図。 整流器におけるルーバー板部の拡大説明図。 図4に拡大図を示すルーバー板部の各端部の角度の説明図。 整流器の斜視説明図。 従来の分級装置の説明図、(a)は、鉛直方向に平行な断面についての断面説明図、(b)は、(a)中のA−A’断面で示す水平方向に平行な断面についての説明図。
以下、本発明を適用した分級装置の実施形態について説明する。
図2は、本発明を適用した分級装置を備えた粉砕分級装置1を示す概略説明図である。
図2に示す粉砕分級装置1は、原料供給機10と、粉砕機40と、第一分級機50と、第二分級機60と、集塵機70と、ブロワー80と、を備えている。
原料供給機10は、原料を供給する装置であり、粉砕機40は、供給された原料を回転体で機械的に粉砕する装置である。第一分級機50及び第二分級機60は、粉砕された粒子を分級する装置である。集塵機70は、第二分級機60で分級された後、第二分級機60から排出される所望粒径よりも小さな小径粒子からなる粉体である微細粒子を回収する装置である。
粉砕分級装置1では、原料と粉砕粒子とを同一の一つのブロワー80で吸引・搬送させている。
また、二つの分級機(第一分級機50、第二分級機60)のうち、第一分級機50は、原料を粉砕して発生する粗大粒子を分級するものであり、第二分級機60は、原料を粉砕して発生する微細粒子を分級するものである。
分級機は一台でも良いが、本実施形態のように、粉砕粒子の内で粗大粒子と微細粒子とをそれぞれ分級し、トナー等の粉体状の製品としての粒径分布を狭くして、製品の特性を向上させることができる。粉体状の製品がトナーの場合、トナーの粒径分布を狭くすると帯電量分布も狭くなり、高精細な画像を得ることができる。
図2に示す粉砕分級装置1では、原料供給機10より供給された原料は、供給孔20より粉砕機40の粉砕機入口41より流入させる。原料としては、本実施形態では、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂と、カーボンブラック及びカラー用の着色剤等を含有させたトナー原料を用いている。トナー原料としては、この他に、低分子量のポリエチレン、ポリプロピレン等の可塑剤、電荷を制御する荷電制御剤等を含有させることがある。これらに関しては、後述する。本実施形態で供給孔20に流入される原料は、溶融混練されて粗砕されたトナー原料である。
粉砕機40は、高速回転する粉砕機ロータ43と、粉砕機ロータ43を覆う粉砕機ライナー44とを備える機械式粉砕機である。粉砕機ロータ43と粉砕機ライナー44との対向間隙が粉砕を行う粉砕室を形成し、粉砕機ロータ43と粉砕機ライナー44との粉砕室を形成する表面にはそれぞれ凹凸が形成されている。この凹凸形状は粉砕機ロータ43が高速回転すると、粉砕室内に上向きの旋回気流を発生させる形状となっている。
このような粉砕機40の粉砕室に原料が供給されると、粉砕機ロータ43の回転で発生した上向きの旋回気流に乗って粉砕室を上に向かって流過する間に粉砕が行われる。
被粉砕物である原料は、高速回転する粉砕機ロータ43により運動エネルギーが与えられ、粉砕機ライナー44の凹凸部で生じる渦流に乗って、粉砕機ライナー44の内周面に沿って旋回上昇する。この旋回上昇する間に、原料同士が衝突したり、原料が粉砕機ロータ43や粉砕機ライナー44の凹凸部と衝突したり、粉砕機ロータ43と粉砕機ライナー44の凸部間で磨砕されたりして粉砕が行われる。この粉砕によって原料が粉砕粒子となり、粉砕機出口42から流出する。
粉砕分級装置1で用いる粉砕機40は、機械式粉砕機に限らず、気流でトナー原料を衝撃板等に衝突させて粉砕する方式であっても良い。
機械式粉砕機としては例えば(株)アーステクニカ社製のクリプトロン、日清エンジニアリング(株)社製のスーパーロータ・ブレードミル、ターボ工業社製のターボミル等があるがこの限りではない。
粉砕機40で粉砕された粒子は、粉砕機出口42より排出されて、サイクロン式分級機である第一分級機50に送られる。図2に示す粉砕分級装置1では、第一分級機50で分級された粗大粒子は、粗粉子排出管52から排出される。粗粉子排出管52は、粗粉搬送路51を介して供給孔20を備えた供給配管21に接続されており、粗粉子排出管52から排出された粗大粒子は、供給孔20から供給されるトナー原料と共に粉砕機40に戻される。このように、粉砕分級装置1は、第一分級機50で分級された粗大粒子をトナー原料として粉砕機40で再びで粉砕される閉回路を構成する。これによって、トナー原料の無駄を無くし、コストを低減することができる。
粉砕分級装置1では、第一分級機50と粉砕機40に、粉砕時の発熱を防止させるため冷風流入口30より、−20[℃]〜0[℃]の範囲にある冷風が、粉砕機入口41に流入される。この冷風によって、第一分級機50と粉砕機40の温度の上昇を抑えることができ、粉砕の生産性を向上させることができる。また、トナー原料となる粒子の温度を下げることで、微細な粉砕粒子への粉砕を行うことができる。
第一分級機50は粗粉子排出管52から粗大粒子を排出し、残りの粒子は微粒子排出管55によって連結された、微粉砕捕集サイクロン分級機である第二分級機60に搬送される。第一分級機50では、製品となる粒子を含む粉砕粒子は、サイクロン方式の遠心分離によって粗大粒子と分離されて、上部にある微粒子排出管55から排出される。これにより、粉砕粒子が第一分級機50から第二分級機60に流入する。
第二分級機60では、所望の粒径よりも小さい微粉砕粒子は、第二微粒子排出管63から排出され、微粉砕粒子が除かれた粉砕粒子が下部にある製品粉体排出管61から排出されて、最終の分級処理がされた製品用粒子となる。
第二分級機60で製品用粒子から分級された微粉砕粒子は、空気とともに第二微粒子排出管63から排出される。第二微粒子排出管63から排出される微粉砕粒子は、バグフィルターである集塵機70を介してブロワー80で吸引される。集塵機70では、空気とともに搬送されてきた微粉砕粒子を空気から分離し、微粉砕粒子収納容器71に収納する。微粉砕粒子が分離された空気はブロワー80に吸引され、外気に排出される。微粉砕粒子収納容器71に収納された微粉砕粒子は、破棄されるか、または、再び、トナー原料として再利用される。
図2に示す粉砕分級装置1では、粉砕工程及び分級工程が、粉砕機40、第一分級機50及び第二分級機60で同一のブロワー80で吸引される構成となっている。このような構成により、二つの分級機(第一分級機50及び第二分級機60)を用いることで負担となる静圧を小さくすることができる。本実施形態の粉砕分級装置1では、ブロワー80は、静圧−25[kPa]〜−40[kPa]で、一連の工程を動作させることができる。
次に、第一分級機50について説明する。
図1は、第一分級機50の説明図であり、図1(a)は、第一分級機50の鉛直方向に平行な断面についての断面説明図であり、図1(b)は、図1(a)中のA−A’断面で示す水平方向に平行な断面についての説明図である。
また、図3は、図1(a)中のB−B’断面で示す水平方向に平行な断面についての説明図である。
図1に示すように、第一分級機50は、円筒ケーシング57と、粉体材料供給管59と、整流器53と、上昇ガイドコーン54と、吸引コーン56とを有し、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。円筒ケーシング57の内部は、分散室5、分級室6及び下部ホッパー8とから構成される。
円筒ケーシング57の形状としては、円筒形状である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。円筒ケーシング57の構造、大きさ、材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
円筒ケーシング57上端部には、空気及び粉体(粉砕粒子)からなる混相気体を分散室5内に供給する粉体材料供給管59が配置されている。粉体材料供給管59から流入する空気によって形成される空気の流れを一次空気流と呼ぶ。
図3に示すように、粉体材料供給管59の分散室5内側の端部は、分散室5における円筒ケーシング57の内周面に沿うように配置された供給口であり、このように配置された粉体材料供給管59から高圧の混相気体を供給することで、図3中の矢印Cで示すように、内周面に沿うように旋回する一次空気流が形成される。
粉体材料供給管59の下方には、分散室5と分級室6との境となる、吸引コーン56が取り付けられている。吸引コーン56は中央側が高い円錐状(笠状)であり、微粒子排出管55を介して、円筒ケーシング57に固定されており、吸引コーン56の最外周部と円筒ケーシング57の内壁との間は、粉体が通過可能な隙間となっており、この隙間を通過した粉体が分級室6へと供給される。
吸引コーン56の下方には、吸引コーン56との間の空間で分級室6を形成する中央部が高い円錐状(笠状)の上昇ガイドコーン54が配置されている。上昇ガイドコーン54の最外周部と円筒ケーシング57の内壁との間には、分級によって粒径の小さい粒子と分けられた粗大粒子が通過する環状の隙間が形成されている。
また、吸引コーン56の下方には微粒子排出管55と連結した吸引口56aが形成されており、微粒子排出管55は第二分級機60を介して集塵機70に接続されている。このため、ブロワー80を作動することで、集塵機70に負圧が作用すると、微粒子排出管55を介して、吸引口56aに分級室6内の空気を吸引する負圧が発生する。
分級室6と下部ホッパー8との境目を形成する円筒ケーシング57の一部は、図1(b)に示すように、複数枚のルーバー板部12を環状に設けた整流器53となっている。環状に設けたルーバー板部12のうち隣り合うルーバー板部12の間に形成されるスリットが、二次空気流が流入するための二次空気流入口となる。環状に設けたルーバー板部12の外側に形成される二次空気流供給流路53aに不図示の空気供給手段から空気流が供給されることによって、ルーバー板部12によって形成されるスリットを通過した二次空気流が分級室6内に導入される。このスリットより導入される二次空気流の方向は、分級室6において旋回しながら下降する粉体材料の旋回方向に噴出する方向であり、この二次空気流によって粉体材料を分散させ、かつ、旋回速度を加速させるようになっている。
第一分級機50の分級室6では、整流器53の外周からスリットを通過して均等に流入した二次空気流の速い旋回により、粉体材料が効率良く粗粉と微粉とに遠心分級され、分級精度を向上させることができる。
分散室5内に供給された粉体は、一次空気流によって旋回しながら落下し、吸引コーン56の位置まで到達すると、吸引コーン56の上面に沿って吸引コーン56の外周側に搬送される。そして、吸引コーン56の最外周部と円筒ケーシング57の内壁との隙間を通過した粉体が、分級室6に受け渡される。分級室6に受け渡された粉体は、二次空気流による旋回気流が作用する。このとき、粒径が小さく軽い微粒子は旋回気流によって作用する遠心力が小さいため、旋回気流とともに円筒ケーシング57の中心軸方向に搬送され、吸引口56aに働く負圧によって吸引される。吸引コーン56は、下方の断面積が広い円錐形状であり、吸引性を向上させる形状となっている。
一方、粒径が大きく重い粒子は、旋回気流によって作用する遠心力が大きいため、旋回気流の中心部に向かう流れや吸引口56aに働く負圧では吸引口56aに到達できない。そして、上昇ガイドコーン54の上面に当たって、その笠状の表面に沿って外側に滑り落ち、上昇ガイドコーン54の最外周部と円筒ケーシング57の内壁との隙間から下部ホッパー8に到達する。その後、下部ホッパー8の下方に接続された粗粉子排出管52から外部に排出される。
第一分級機50は、円筒ケーシング57内に旋回気流を発生させる構成として、整流器53と、上昇ガイドコーン54と、吸引口56aを備えた吸引コーン56と、微粒子排出管55とを備える。また、上昇ガイドコーン54は中心部が上方にある円錐形状であるため、整流器53から流入した二次空気流が上昇ガイドコーン54に沿って旋回しながら上昇し、上昇気流が発生する。この上昇気流によって、所望の粒径以下の微粒子が上昇ガイドコーン54の中心部近傍まで到達し、対向する吸引口56aから吸引され、微粒子排出管55を通って第二分級機60に排出される。一方、所望の粒径よりも大きい粗粒子は、粗粉子排出管52より排出される。
従来の分級機では、例えば、ジグザグ式の分級機等では、トナー等の僅かな重量で分級するために、大きい静圧、風量または回転等による遠心力を必要とするために、システム全体を稼働させるために更に大きな静圧、風量または回転を必要としていた。一方、本実施形態の粉砕分級装置1では、分級手段として構造の簡単なサイクロン式の分級機を用いている。
また、サイクロン式分級機である第一分級機50は、サイクロン式で分級機能を持たせるために、整流器53と上昇ガイドコーン54と微粒子排出管55とを設けている。
上昇ガイドコーン54は、粉砕粒子が流入した際、この粉砕粒子の内の粒径の小さい粒子を上昇させる部材である。その微粒子を排出して次の工程に連絡する微粒子排出管55への排出性を向上させる事が可能な吸引コーン56及び整流器53を装着している。
この第一分級機50では、上昇ガイドコーン54が不図示の昇降機構によって上下方向に移動可能で、分級点を任意に変更可能な構成となっている。従来の風力分級では、粒子の重量、風力に対する空気抵抗等で分級点が異なってくるため、所望の分級点にするために、風量を調節することで、旋回流に乗って中心部に向かう粉体と、遠心力によって外周部に向かう粉体とを分級している。
本実施形態の第一分級機50では、昇降機構によって上昇ガイドコーン54を上下方向に移動させることで、分級点の調整を行っている。具体的には、上昇ガイドコーン54の位置を上方に移動させることで、上昇ガイドコーン54と吸引口56aとの距離が狭まり、より大きな粒子が吸引口56aから吸引され易くなるため、分級点が粒径の大きい側にシフトする。また、上昇ガイドコーン54の位置を下方に移動させることで、上昇ガイドコーン54と吸引口56aとの距離が広がり、粒子が吸引口56aから吸引され難くなるため、分級点が粒径の小さい側にシフトする。
第一分級機50における分級原理は、次の通りである。即ち、分級室6内において、分散室5から粉体と共に流入する一次空気流、外周側から流入する二次空気流、及び、吸引口56aから外部に排出される空気流によって、粉体材料を旋回状に半自由流動させる。このとき、粉体材料中の粒子の大きさ(質量)によって粒子に働く遠心力が異なることを利用するものである。
気流を用いて粉体を粒子の粒径に応じて分級するサイクロン式の分級装置としては、特許文献4〜5等に記載の装置が知られている。
特許文献5には、粉粒体を含有する気体に旋回運動を与え、粉粒体を捕集するサイクロン装置において、予めサイクロン内の旋回流と同じ方向の水平な旋回運動を与えるため、渦巻き状の気体導入管を設けた装置が提案されている。このようなサイクロン装置では、サイクロン内の旋回流が乱されることなく、流入時の遠心力を有効に活用して高い捕集率を得る効果がある。しかしながら、曲管を設けることにより、分級装置の径が大きくなり、設置スペースを取ることになる問題がある。
特許文献6には、上蓋中央部に垂設された気流排出管の先端開口部より下方の分級機内に、円筒部と同一軸心上の中央部に前記気流排出管の先端開口面積より小さい開口部を有する仕切り板を設置した構成が記載されている。さらに、粉粒体含有気流を仕切り板により円筒部の中心部へ流速を高めて集合させるようにした装置が提案されている。このようなサイクロン型気流応用分離装置では、流速を高めた結果、粒状固形分に同伴される軽量異物類の浮遊分離機能が促進される。そして、近接された気流排出管開口内への上昇流で直ちに排出されることで粒状固形分からの軽量異物類の分級効率を高める効果がある。しかしながら、流速が円筒部の円周上でばらついたまま高めても、場所によって粗粒子と微粒子との排出される方向が異なってしまうため、分級効率は良くならない問題がある。
特許文献4には、原料と粉砕粒子とを同一のブロワーで吸引・搬送し、上昇気流を発生させるための二次空気流入孔と粒子上昇ガイドコーン、粒子排気管で構成されたサイクロン式分級機で粉砕粒子を捕集した後、微粉を上部に吸引排出される粉砕分級装置が提案されている。このような粉砕分級装置では、サイクロン式分級機と粉砕機とを同一のブロワーで分級工程の静圧負担を軽減させ、微粉砕した後に粗粉混入量を軽減する効果がある。しかしながら、二次空気流入孔に設置されるルーバー板部を特に限定していないため、ルーバー板部の形状によっては旋回気流が乱れてしまい、所望の分級点で分級する効果が低下してしまう場合があり、改善の余地があった。
次に、本実施形態の第一分級機50の特徴部について説明する。
図4は、整流器53におけるルーバー板部12の拡大説明図である。
図1(b)及び図4に示すように、内壁面側のルーバー板部12の端面であるルーバー板部内周端面12eにおける旋回気流が流れる方向(図中矢印D方向)の下流側の端部をルーバー板部内周下流側端部12aとする。また、ルーバー板部内周端面12eにおける旋回気流が流れる方向の上流側の端部をルーバー板部内周上流側端部12bとする。そして、円筒ケーシング2内の円柱状の空間の中心軸15からルーバー板部内周下流側端部12aまでの距離をR1、中心軸15からルーバー板部内周上流側端部12bまでの距離をR2としたときに、R1<R2の関係を満たすように、ルーバー板部12を設置している。
また、本実施形態の第一分級機50は、図1(b)に示すように、外壁面側のルーバー板部12の端面であるルーバー板部外周端面12fにおける旋回気流が流れる方向(図中矢印D方向)に対して下流側の端部をルーバー板部外周下流側端部12cとする。また、ルーバー板部外周端面12fにおける旋回気流が流れる方向に対して上流側の端部をルーバー板部外周上流側端部12dとする。そして、円筒ケーシング2内の円柱状の空間の中心軸15からルーバー板部外周下流側端部12cまでの距離をR3、中心軸15からルーバー板部外周上流側端部12dまでの距離をR4としたときに、R3<R4の関係を満たすように、ルーバー板部12を設置している。
R1<R2、かつ、R3<R4のような関係が成立するよう整流器53におけるルーバー板部12を配置することによって、センターコア板3と円筒ケーシング2内壁との間を通り分級室6内に流入した粉体材料は、整流器53の全周から均一に流入する二次空気によって効率よく分散され、本体材料の凝集が防止できる効果がある。
整流器53では、R1<R2としたことで、ルーバー板部内周下流側端部12aとルーバー板部内周上流側端部12bとが同心円上には配置されない。また、R3<R4としたことで、ルーバー板部外周下流側端部12cとルーバー板部外周上流側端部12dとが同心円上には配置されない。このような配置により、ルーバー板部12とスリット12sとで二次空気流が整流され、分級室6内に流入した二次空気流が、旋回気流と衝突することがないため、整流器53の内壁面に沿う円周上で速度のばらつきが小さくなり、効率良く粗粉と微粉とに遠心分級することができる。
ルーバー板部12の配置としては、流入する二次空気流が、円周上で均一に流入できるという点で、円筒ケーシング2の重力方向の中心軸15を中心とする同心円上に等間隔に設けられていることが好ましい。
整流器53としては、同じケーシングを用い、ルーバー板部12のみが取り替えられ、また、清掃時間の短縮等のメンテナンス性の向上につながる点で、ルーバー板部12が脱着可能であることが好ましい。
図4に示すように、ルーバー板部内周下流側端部12a及び中心軸15を結ぶ直線と、ルーバー板部内周上流側端部12b及び中心軸15を結ぶ直線とが成す角の角度をαとする。角度αは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。この角度αとしては、5[°]以上であることが好ましく、5[°]〜15[°]であることがより好ましく、7[°]〜11[°]であることが特に好ましい。
この角度αが、5[°]未満であると、ルーバー板部内周端面12eによって形成される整流器53の内壁面に沿う円周上で、旋回気流の速度がばらついてしまうことがある。
一方、角度αが、7[°]〜11[°]であると、整流器53のスリット12sを通過し流入した二次空気流が、整流器53の内壁面に沿う間に、円周上の旋回気流の速度が安定する点で有利である。
また、図4に示すように、ルーバー板部内周下流側端部12a及びルーバー板部外周下流側端部12cを結ぶ直線と、ルーバー板部内周下流側端部12a及び中心軸15を結ぶ直線に対して垂直に交わり、ルーバー板部内周下流側端部12aを通る直線(中心軸15を中心とした半径R1の仮想円のルーバー板部内周下流側端部12aにおける接線)とがなす角の角度をβとする。この角度βとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。角度βの値は、7[°]以上であることが好ましく、7[°]〜10[°]であることがより好ましく、7.5[°]〜8.5[°]であることが特に好ましい。
この角度βが、7[°]未満であると、整流器53の内壁面に沿って旋回している気流と、流入した二次空気流とが衝突してしまい、気流の速度が低下してしまうことがある。
一方、角度βが、7.5[°]〜8.5[°]であると、整流器53のスリット12sを通過し流入した二次空気流が、整流器53の内壁面に沿う間に、円周上の旋回気流の速度が安定する点で有利である。
また、図4に示すように、ルーバー板部内周上流側端部12b及びルーバー板部外周上流側端部12dを結ぶ直線と、ルーバー板部内周下流側端部12a及び中心軸15を結ぶ直線に対して垂直に交わり、ルーバー板部内周上流側端部12bを通る直線(半径R1の仮想円のルーバー板部内周下流側端部12aにおける接線に平行で、ルーバー板部内周上流側端部12bを通る直線)とがなす角の角度をγとする。この角度γとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。角度γの値は、2[°]以上であることが好ましく、2[°]〜5[°]であることがより好ましく、3[°]〜4[°]であることが特に好ましい。
この角度γが、2[°]未満であると、整流器53の内壁面に沿って旋回している気流と、流入した二次空気流が衝突してしまい、気流の速度が低下してしまうことがある。
一方、角度γが、3[°]〜4[°]であると、整流器53のスリット12sを通過し流入した二次空気流が、整流器53の内壁面に沿う間に、円周上の速度が安定する点で有利である。
図5は、図4に拡大図を示すルーバー板部12の各端部の角度の説明図である。
ルーバー板部12の水平断面は、ルーバー板部内周下流側端部12a、ルーバー板部内周上流側端部12b、ルーバー板部外周下流側端部12c及びルーバー板部外周上流側端部12dの四つの頂点を持つ四角形となる。
この四角形の四つの角のうち、ルーバー板部内周下流側端部12aにおける角E1は鋭角であり、ルーバー板部内周上流側端部12bにおける角E2は鈍角である。また、ルーバー板部外周下流側端部12cにおける角E3は鈍角であり、ルーバー板部外周上流側端部12dにおける角E4は鋭角である。
図5に示すように、スリット12sのスリット入口16は、隣り合う二つのルーバー板部12の一方のルーバー板部外周下流側端部12cと、他方のルーバー板部外周上流側端部12dによって形成される。また、スリット12sのスリット出口19は、隣り合う二つのルーバー板部12の一方のルーバー板部内周下流側端部12aと、他方のルーバー板部内周上流側端部12bとによって形成される。
整流器53に配置するルーバー板部12の枚数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、20枚〜40枚が好ましく、25枚〜30枚がより好ましい。
隣り合うルーバー板部12同士の間に形成される隙間の距離(スリット12sの幅)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明者らは、R1<R2、かつ、R3<R4の条件を満たす本実施形態の整流器53と、図7(b)に示す従来の整流器53とについて、コンピュータ上でのシミュレーションにて数値解析を行った。
この数値解析において、整流器53の内壁面の1[mm]内側の円周上における気流の速度、すなわち、半径がR1−1[mm]となる円周上における気流の速度を抽出すると、従来の整流器53では平均速度が17.5[m/s]で最大速度と最小速度の差が約17[m/s]であったのに対し、R1<R2、かつR3<R4を満たす条件では、平均速度が22[m/s]で最大速度と最小速度の差が約4[m/s]になることが分かった。ここで、隙間を通過した後の速度は、気流速度を指す。
本発明者らは、過去の実機を用いた実験結果、及び、シミュレーション上での数値解析結果から、上述した第一分級機50のように、整流器53を利用して分級室6で粉体材料を粗粉と微粉に分級する機構において、整流器53の内壁面の1[mm]内側の円周上における気流の速度、すなわち、半径がR1−1[mm]となる円周上における気流の速度の最大速度と最小速度の差が、5[m/s]以下であると、分級効率が明らかに向上することを見出している。
よって、整流器53の内壁面の1[mm]内側の円周上における気流の速度、すなわち、半径がR1−1[mm]となる円周上における気流の速度の最大速度と最小速度の差が、5[m/s]以下となる、R1<R2、かつ、R3<R4の条件を満たした整流器53を備える第一分級機50であれば、従来よりも分級効率を向上させることができる。
図6は、整流器53の斜視説明図である。
図6に示すように、本実施形態の整流器53は、複数のルーバー板部12を脱着可能に構成している。整流器53は第一分級機50の円筒ケーシング2から取り外し可能であり、図6は、取り外した状態の整流器53を示す。図6に示すように、ルーバー板部12は整流器53の円環状の基体53bに対して固定ネジ14によって固定されており、固定ネジ14を緩めることによって基体53bからルーバー板部12を取り外すことが可能となっている。
通常、連続的に第一分級機50を運転し、粉体材料を分級すると、分級する条件及び粉体材料の種類によってその様子は異なるが、ルーバー板部12の表面に粉体材料が付着する場合がある。粉体材料の付着が進行すると、粉体材料を変更する際の清掃作業が煩雑になるばかりでなく、粉体材料の付着によってルーバー板部12の隙間が狭くなる。これにより、圧力損失が生じ、供給された二次空気流が滑らかに流れなくなり、分級室6での空気の流れの速度が減少し、分級効率が低下することもある。したがって、ルーバー板部12を脱着可能にすることで、付着した粉体材料を清掃する作業を簡略化でき、清掃時間を短縮できることから、条件変更時に要するトータルの時間が短くなり、メンテナンス性の向上し、生産性を向上させることができる。
上述した説明では、第一分級機50について説明したが、図2に示す粉砕分級装置1が備える第二分級機60にも図3等を用いて説明した第一分級機50と同様の構成を適用することが出来る。但し、第一分級機50では所望の大きさよりも大きい粒径の粗大粒子を除去し、第二分級機60では、所望の大きさよりも小さい微細粒子を除去する構成である。このため、同様の構成であっても第二分級機60の方が分級点が粒径の小さい側にシフトさせた設定とする。また、第一分級機50では、微粒子排出管55から排出される微粒子が製品となる粒子を含む粉体であったが、第二分級機60では、製品粉体排出管61から排出される分級した粒子のうち粗粒子が製品となる粒子を含む粉体である。
本実施形態の第一分級機50は、整流器53の簡易な設備変更により分級効率の向上を図ることができる。よって、所望の粒径範囲であって、誤差の少ない、分級精度の良い粒子を高効率に分級することができる。また、本実施形態の第一分級機50は、樹脂、農薬、化粧品、顔料など粒径がミクロン単位の微粉状製品の製造に用いる分級装置にも有効に適用できるものである。特に、以下に説明するトナーの製造方法に好適である。
<トナーの製造方法>
本発明を適用可能なトナーの製造方法は、少なくとも分級工程を含み、溶融混練工程、粉砕工程、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
分級工程には、上述した本実施形態の第一分級機50等を用いて行われ、粉砕工程は、粉砕機40等を用いて行われる。
<溶融混練工程>
溶融混練工程は、トナー材料を混合して得た混合物を、溶融混練機に仕込んで溶融混練する工程である。溶融混練機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一軸または二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機などが挙げられる。溶融混練機の具体例としては、例えば、神戸製鋼所製のKTK型二軸押出機、東芝機械株式会社製のTEM型押出機、浅田鉄工株式会社製のKCK混練機、池貝鉄工所製のPCM型二軸押出機、Buss社製のコニーダー、などが挙げられるが、これらに限るものではない。この溶融混練は、結着樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、結着樹脂の軟化点を参考にして行われ、軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
トナー材料は、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤、及び帯電制御剤を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−結着樹脂−
結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばスチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、などの単独重合体、または、共重合体などが挙げられる。
これらの中でも、代表的な結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。これらは一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
−着色剤−
着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、などが挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
着色剤の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色、カラー、などが挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
黒色用のものとしては、例えばファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
マゼンタ用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:1、49、50、51、52、53、53:1、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、177、179、202、206、207、209、211、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。
シアン用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、60、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45、また、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料、グリーン7、グリーン36などが挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、151、154、180、C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36などが挙げられる。
トナーにおける着色剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1[質量%]〜15[質量%]が好ましく、3[質量%]〜10[質量%]がより好ましい。トナーにおける着色剤の含有量が、1[質量%]未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15[質量%]を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。この樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、スチレンまたはその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンなどが挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
上述のスチレンまたはその置換体の重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリp−クロロスチレン樹脂、ポリビニルトルエン樹脂などが挙げられる。
スチレン系共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などが挙げられる。
上述のマスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と、着色剤とを高せん断力をかけて混合または混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。このフラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合または混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶剤成分を除去する方法である。この記混合または混練には、例えば三本ロールミル等の高せん断の混練装置が好適に用いられる。
−離型剤−
離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素等のワックス類が挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
上述のカルボニル基含有ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトンなどが挙げられる。
上述のポリアルカン酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなどが挙げられる。
上述のポリアルカノールエステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどが挙げられる。
上述のポリアルカン酸アミドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジベヘニルアミドなどが挙げられる。
上述のポリアルキルアミドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミドなどが挙げられる。
上述のジアルキルケトンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジステアリルケトンなどが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが好ましい。
上述のポリオレフィンワッックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
上述の長鎖炭化水素としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックスなどが挙げられる。
トナーにおける離型剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40[質量%]以下が好ましく、3[質量%]〜30[質量%]がより好ましい。この含有量が、40[質量%]を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
−帯電制御剤−
帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色または白色に近い材料が好ましい。例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩(フッ素変性四級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体またはその化合物、タングステンの単体またはその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(いずれもオリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(いずれも保土谷化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(いずれもヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット株式会社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、スルホン酸基、カルボキシル基、または、四級アンモニウム塩等を有する高分子系の化合物などが挙げられる。
上述の帯電制御剤は、上述のマスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解または分散させてもよく、トナーの各成分と共に前記有機溶剤に直接、溶解乃至分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子製造後にトナー表面に固定させてもよい。
帯電制御剤のトナーにおける含有量としては、トナーに含有する結着樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、結着樹脂100[質量部]に対し、0.1[質量部]〜10[質量部]が好ましく、0.2[質量部]〜5[質量部]がより好ましい。
含有量が、0.1[質量部]未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10[質量部]を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
−その他の成分−
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸などが挙げられる。
外添剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シリカ微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど)、金属酸化物(例えばチタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモンなど)または、これらの疎水化物、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、チタニア粒子、疎水化されたチタニア微粒子が好ましい。
<粉砕工程>
次に、本発明の分級方法を適用可能なトナー製造方法における粉砕工程について説明する。
粉砕工程は、少なくとも1つの粉砕機と、場合によっては少なくとも1つの粗粉分級工程を用いて微粉砕を行う工程である。粉砕工程で用いられる粉砕機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、気流式粉砕機、流動層式粉砕機、機械式粉砕機などが挙げられる。
気流式粉砕機としては、例えば、日本ニューマチック工業株式会社製の超音速ジェット粉砕機、日清エンジニアリング株式会社製のスーパージェットミル、ホソカワミクロン株式会社製のミクロンジェットなどが挙げられる。
流動層式粉砕機としては、例えば、ホソカワミクロン株式会社製のカウンタージェット粉砕機、栗本鐵工所社製のクロスジェットミルなどが挙げられる。
機械式粉砕機としては、例えば、株式会社アーステクニカ社製のクリプトロン、日清エンジニアリング株式会社製のスーパーローター、ターボ工業株式会社製のターボミルなどが挙げられる。
<トナー>
本発明のトナーは、上述した本発明のトナー製造方法により製造されるものである。
トナーは、粒径4.0[μm]以下の微粉含有率は、15[個数%]以下であることが好ましく、10[個数%]以下がより好ましい。また、粒径12.7[μm]以上の粗粉含有率は、5.0[質量%]以下であることが好ましく、0[質量%]〜2.0[質量%]がより好ましい。
トナーの体積平均粒径は、5.0[μm]〜12.0[μm]が好ましく、5.0[μm]〜8.0[μm]がより好ましい。
ここで、粒度分布及び体積平均粒径は、例えば、粒度測定器粒度測定器(コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザーII、または、コールターマルチサイザーIII、ベックマンコールター社製)を用いて測定することができる。
〔実験例〕
以下、本発明に係るトナーの具体的な実験例について説明するが、本発明はこの実験例に限定されるものではない。
本実験例においては、スチレン−アクリル共重合体樹脂を85[重量部]と、カーボンブラック10[重量部]、ワックスを5[重量部]の混合物を溶融混練、冷却した。これをハンマーミルで粗粉砕した粉体材料を、図2に示す態様の粉砕分級装置を用いてトナー製造を行った。
〔実施例〕
図4に示す距離R1、R2、R3、R4をR1=189[mm]、R2=190[mm]、R3=218.4[mm]、R4=342.4[mm]とした整流器53を設置した。さらにルーバー板部12は26枚とし、粉体材料を分級した。得られた粉体材料は、体積平均粒径6.8[μm](コールターカウンターによる測定)、12.7[μm]以上の粗粉含有率(質量[%])が0.8[%]であり、時間あたりの粉体材料の処理量、すなわちフィード量は90[kg/h]であった。
〔比較例1〕
図6に示す距離R1、R2、R3、R4を、R1=189[mm]、R2=190[mm]、R3=218.4[mm]、R4=217.4[mm]、α=7.9[°]、β=7.8[°]、γ=3.1[°]とした整流器53を設置した以外は、実施例と同様の条件および装置を用い、実施例と同様に粉体材料を分級した。得られた粉体材料は、体積平均粒径6.8[μm](コールターカウンタによる測定)、12.7[μm]以上の粗粉含有率(質量[%])が1.2[%]であり、時間あたりの粉体材料の処理量、すなわちフィード量は90[kg/h]であった。
〔比較例2〕
実施例に対して、R1=189[mm]、R2=188[mm]、R3=218.4[mm]、R4=219.4[mm]とした整流器53を設置した以外は、実施例と同様の条件および装置を用い、実施例と同様に粉体材料を分級した。得られた粉体材料は、体積平均粒径6.8[μm](コールターカウンターによる測定)、12.7[μm]以上の粗粉含有率(質量[%])が1.2[%]であり、時間あたりの粉体材料の処理量、すなわちフィード量は90[kg/h]であった。
〔比較例3〕
実施例に対して、R1=189[mm]、R2=189[mm]、R3=218.4[mm]、R4=218.4[mm]とした整流器53を設置した以外は、実施例と同様の条件および装置を用い、実施例と同様に粉体材料を分級した。得られた粉体材料は、体積平均粒径6.8[μm](コールターカウンターによる測定)、12.7[μm]以上の粗粉含有率(質量[%])が1.7[%]であり、時間あたりの粉体材料の処理量、すなわちフィード量は90[kg/h]であった。
〔比較例4〕
図6に示すような整流器53を設置し、さらにルーバー板部12は40枚とし、粉体材料を分級した。得られた粉体材料は、体積平均粒径6.8[μm](コールターカウンターによる測定)、12.7[μm]以上の粗粉含有率(質量[%])が1.9[%]であり、時間あたりの粉体材料の処理量、すなわちフィード量は90[kg/h]であった。
実施例及び比較例1〜4の結果を表1に示す。
Figure 0006108202
本実施形態の第一分級機50は、円柱状の空間を形成する円筒ケーシング57内の分散室5に被分級粉体である原料粉体を一次空気流と混合して導入し、分級室6の周辺部より流入する二次空気流からなる旋回気流によって原料粉体を分級する。また、分級室6における円筒ケーシング57の内壁面側と外壁面側とを連通し、二次空気流を円筒ケーシング57内に取り入れて旋回気流を発生させるスリット12sが円周方向に複数本設けられた円柱状の整流器53を備える。この整流器53は、円周方向に隣り合うスリット12s同士の間に有り、その側面によってスリット12sを形成するルーバー板部12を環状に複数配置した構成である。
ここで、内壁面側のルーバー板部12の端面であるルーバー板部内周端面12eにおける旋回気流が流れる方向の下流側の端部をルーバー板部内周下流側端部12aとする。また、ルーバー板部内周端面12eにおける旋回気流が流れる方向の上流側の端部をルーバー板部内周上流側端部12bとする。そして、円柱状の空間の中心軸15からルーバー板部内周下流側端部12aまでの距離をR1、中心軸15からルーバー板部内周上流側端部12bまでの距離をR2としたときに、R1<R2の関係を満たす。
さらに、外壁面側のルーバー板部12の端面であるルーバー板部外周端面12fにおける旋回気流が流れる方向に対して下流側の端部をルーバー板部外周下流側端部12cとする。また、ルーバー板部外周端面12fにおける旋回気流が流れる方向に対して上流側の端部をルーバー板部外周上流側端部12dする。そして、中心軸15からルーバー板部外周下流側端部12cまでの距離をR3、中心軸15からルーバー板部外周上流側端部12dまでの距離をR4としたときに、R3<R4の関係を満たす。
R1<R2及びR3<R4の関係を満たすことにより、旋回気流の速度差が抑制できた。旋回気流の最外周部は、ルーバー板部内周下流側端部12aに沿うようR1を半径とする円形状に形成される。この円形状よりも内側に、ルーバー板部内周上流側端部12bがあると、そこで気流が乱されることで、旋回気流の速度が変化するものと考えられる。一方、R1<R2の関係を満たし、ルーバー板部内周上流側端部12bが上述のR1を半径とする円形よりも外側にあることにより、気流が乱されることを抑制し、旋回気流の速度の変化を抑制できるものと考えられる。また、R3<R4の関係を満たすことにより、円筒ケーシングの外壁面側を流れる二次空気流を効率良くスリット12s内に導くことができ、分級効率の向上を図ることができるものと考えられる。
本発明の分級装置は、二次空気流が流入するスリットを備えた整流器の簡易な設備変更により分級効率の安定化を図ることができる。また、所望の粒径範囲であって、誤差の少ない、分級精度のよい粒子を長期にわたって高効率で分級することができる。このため、例えばトナー、樹脂、農薬、化粧品、顔料等の粒径がミクロン単位の微粉状製品の製造に適用でき、特に電子写真、静電記録、静電印刷などにおける静電荷像を現像するための乾式トナーの製造に好適である。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
円筒ケーシング57等の円柱状の空間を形成する円筒ケーシングと、円筒ケーシング内に粉砕粒子等の被分級粉体を一次気流と混合して導入する粉体材料供給管59等の粉体導入口と、円筒ケーシングの内壁面側と外壁面側とを連通するスリット12s等のスリットを円周方向に複数形成するようにルーバー板部12等のルーバー板部を環状に複数配置し、スリットから二次気流を取り入れ円筒ケーシング内に旋回気流を発生させる整流器53等の整流器とを備え、該旋回気流によって被分級粉体を分級する第一分級機50等の分級装置において、ルーバー板部の内周側端面における旋回気流が流れる方向の下流側の端部をルーバー板部内周下流側端部とし、ルーバー板部の内周側端面における該旋回気流が流れる方向の上流側の端部をルーバー板部内周上流側端部とし、中心軸15等の円柱状の空間の中心軸からルーバー板部内周下流側端部までの距離をR1、該中心軸から該ルーバー板部内周上流側端部までの距離をR2としたときに、R1<R2の関係を満たし、円柱状の空間の中心軸近傍で下向きに開口し、負圧が作用する吸引口56a等の吸引開口部を備える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、ルーバー板部内周下流側端部とルーバー板部内周上流側端部とが同心円上には配置されておらず、ルーバー板部内周上流側端部がR1を半径とする円形よりも外側にある。これにより、気流が乱されることを抑制し、旋回気流の速度の変化を抑制できる。旋回気流の速度差を抑制できることにより、粉体の分級を精度良く行うことができる。また、吸引開口部に作用する負圧によって上方に吸引される吸引力の方よりも自重によって働く重力の方が大きい粗粒子は吸引開口部から吸引されることはない。このため、吸引開口部から吸引される微粒子に粗粒子が混入することを防止でき、さらに粉体の分級を精度良く行うことができる。
(態様B)
(態様A)において、ルーバー板部の外周側端面における旋回気流が流れる方向に対して下流側の端部をルーバー板部外周下流側端部とし、ルーバー板部の外周側端面における旋回気流が流れる方向に対して上流側の端部をルーバー板部外周上流側端部とし、円柱状の空間の中心軸からルーバー板部外周下流側端部までの距離をR3、中心軸からルーバー板部外周上流側端部までの距離をR4としたときに、R3<R4の関係を満たす。
これによれば、上記実施形態について説明したように、円筒ケーシングの外壁面側を流れる二次空気流を効率良くスリット内に導くことができ、分級効率の向上を図ることができる。
(態様C)
(態様A)または(態様B)において、円柱状の空間の中心軸の軸方向は、鉛直方向であり、複枚のルーバー板部は、円柱状の空間の中心軸を中心とする同心円上に等間隔に設けられている。
これによれば、上記実施形態について説明したように、周方向における速度ムラのない旋回気流を発生させることができる。
(態様D)
態様A乃至Cの何れかの態様において、ルーバー板部は、整流器から脱着可能である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、メンテナンス性の向上を図ることができる。
(態様E)
態様A乃至Dの何れかの態様において、吸引開口部の下方に、中央側が上方となる上昇ガイドコーン54等の円錐状部材を備える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、旋回気流が円錐状部材の表面にそって上昇気流となり、微粒子は上昇気流に乗って上昇し、粗粒子は自重によって円錐状部材の表面に沿って落下する。これにより、分級効率の向上を図ることができる。
(態様F)
態様Eにおいて、円錐状部材を上下に変位させる不図示の昇降機構等の円錐状部材変位機構を備える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、容易に分級点の調整を行うことができる。
(態様G)
態様A乃至Fの何れかの態様において、吸引開口部に接続された微粒子排出管55等の粒子排出管を備え、粒子排出管は、吸引開口部が形成された下方ほど断面積が大きくなる吸引コーン56等の円錐状部を有する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、吸引開口部における吸引性の向上を図ることが出来る。
(態様H)
態様A乃至Gの何れかの態様において、第二分級機60等のように、被分級粉体に含まれる所望の粒径よりも小さい微細粒子を吸引開口部で吸引し、分級することを特徴とする。
これによれば、上記実施形態について説明したように、被分級粉体に含まれる所望の粒径よりも大きい粗大粒子だけでなく、微細粒子も除去することができ、粒径分布が狭い粉体を得ることができる。
(態様I)
所望の粒径を含まない範囲のトナー材料と所望の粒径の範囲を含むトナー材料とを分級する分級工程を含むトナー製造方法において、態様A乃至Hの何れかの態様の分級装置を用いる。
これによれば、上記実施形態について説明したように、トナーの粒径分布を狭くすることができ、画像形成に用いた際に、帯電量分布が狭くなり、高精細な画像を得ることができる。
(態様J)
原料物を粉砕して原料粉体を得る粉砕機40等の粉砕手段と、原料粉体中に含まれる粒子の粒径に応じて分級する第一分級機50及び第二分級機60等の分級手段とを有する粉砕分級装置1等の粉砕分級装置において、分級手段は、原料粉体中に含まれる所望の粒径よりも大きな粗大粒子を除去する第一分級機50等の第一分級手段と、原料粉体中に含まれる所望の粒径よりも小さな微細粒子を除去する第二分級機60等の第二分級手段とを備え、第一分級手段と第二分級手段との少なくとも一方に、態様A乃至Hの何れかの態様の分級装置を用いる。
これによれば、上記実施形態について説明したように、粉砕によって得た粒径にばらつきのある粉砕粒子から所望の粒径分布の粉体を精度良く得ることができる。
1 粉砕分級装置
2 円筒ケーシング
3 センターコア板
3b 供給溝
4 分級板
4b 粗粉排出口
5 分散室
6 分級室
7 微粉排出口
8 下部ホッパー
10 原料供給機
11 下部開口部
12 ルーバー板部
12b ルーバー板部内周上流側端部
12a ルーバー板部内周下流側端部
12e ルーバー板部内周端面
12d ルーバー板部外周上流側端部
12c ルーバー板部外周下流側端部
12f ルーバー板部外周端面
12s スリット
14 固定ネジ
15 中心軸
16 スリット入口
19 スリット出口
20 供給孔
21 供給配管
30 冷風流入口
40 粉砕機
41 粉砕機入口
42 粉砕機出口
43 粉砕機ロータ
44 粉砕機ライナー
50 第一分級機
51 粗粉搬送路
52 粗粉子排出管
53 整流器
53a 二次空気流供給流路
53b 基体
54 上昇ガイドコーン
55 微粒子排出管
56 吸引コーン
56a 吸引口
57 円筒ケーシング
59 粉体材料供給管
60 第二分級機
61 製品粉体排出管
63 第二微粒子排出管
70 集塵機
71 微粉砕粒子収納容器
80 ブロワー
100 分級装置
110 微粉排出管
特開平06−121940号公報 特開平06−154709号公報 登録実用新案第3015458号公報 特開2004−283720号公報 特開平10−34022号公報 特開2010−274234号公報

Claims (10)

  1. 円柱状の空間を形成する円筒ケーシングと、
    前記円筒ケーシング内に被分級粉体を一次気流と混合して導入する粉体導入口と、
    前記円筒ケーシングの内壁面側と外壁面側とを連通するスリットを円周方向に複数形成するようにルーバー板部を基体の表面上に環状に複数配置し、前記スリットから二次気流を取り入れ前記円筒ケーシング内に旋回気流を発生させる整流器とを備え、
    前記旋回気流によって前記被分級粉体を分級する分級装置において、
    前記基体の表面から立ち上がる四つの面を前記ルーバー板部に設けて前記ルーバー板部の平面形状をそれら四つの面のそれぞれの一辺を繋げた四角形にし、
    前記四つの面のうち、前記平面形状で互いに対辺を形成する二つの面のそれぞれを隣りのルーバー板部との間にスリットを形成する面にするように複数のルーバー板部を環状に配置し、
    前記スリットを形成する面ではない残りの二つの面のうち、前記円筒ケーシングの内周側に存在する面を前記ルーバー板部の内周側端面とし、
    前記残りの二つの面のうち、前記円筒ケーシングの外周側に存在する面を前記ルーバー板部の外周側端面とし、
    前記円柱状の空間の中心軸から、前記内周側端面における前記旋回気流の流れる方向の下流側の端部であるルーバー板部内周下流側端部までの距離R1と、前記内周側端面における前記ルーバー板部内周下流側端部から前記方向の上流側に向けて真っ直ぐに延びている面の上流側の端である上流端から、前記中心軸までの距離R2とについて、R1<R2という関係を満たし、
    前記ルーバー板部内周下流側端部及び前記中心軸を結ぶ直線と、前記上流端及び前記中心軸を結ぶ直線とが成す角の角度αについて、5[°]〜15[°]の範囲であるという条件を満たし、
    前記ルーバー板部内周下流側端部、及び前記外周側端面における前記旋回気流の流れる方向に対して下流側の端部であるルーバー板部外周下流側端部を結ぶ直線と、前記ルーバー板部内周下流側端部及び前記中心軸を結ぶ直線に対して垂直に交わり、前記ルーバー板部内周下流側端部を通る直線とがなす角の角度βについて、7[°]〜10[°]の範囲であるという条件を満たし、
    前記上流端、及び前記ルーバー板部の外周側端面における前記旋回気流の流れる方向に対して上流側の端部であるルーバー板部外周上流側端部を結ぶ直線と、前記ルーバー板部内周下流側端部及び中心軸を結ぶ直線に対して垂直に交わり、前記上流端を通る直線とがなす角の角度γについて、2[°]〜5[°]の範囲であるという条件を満たし、
    且つ、前記円柱状の空間の中心軸近傍で下向きに開口し、負圧が作用する吸引開口部を備えることを特徴とする分級装置。
  2. 請求項1の分級装置において、
    上記円柱状の空間の中心軸から上記ルーバー板部外周下流側端部までの距離R3と、前記中心軸から上記ルーバー板部外周上流側端部までの距離R4とについて、R3<R4という関係を満たすことを特徴とする分級装置。
  3. 請求項1または2の分級装置において、
    上記円柱状の空間の中心軸の軸方向は、鉛直方向であり、
    複枚の上記ルーバー板部は、該円柱状の空間の中心軸を中心とする同心円上に等間隔に設けられていることを特徴とする分級装置。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の分級装置において、
    上記ルーバー板部は、上記整流器から脱着可能であることを特徴とする分級装置。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載の分級装置において、
    上記吸引開口部の下方に、中央側が上方となる円錐状部材を備えることを特徴とする分級装置。
  6. 請求項5の分級装置において、
    上記円錐状部材を上下に変位させる円錐状部材変位機構を備えることを特徴とする分級装置。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載の分級装置において、
    上記吸引開口部に接続された粒子排出管を備え、該粒子排出管は、該吸引開口部が形成された下方ほど断面積が大きくなる円錐状部を有することを特徴とする分級装置。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載の分級装置において、
    上記被分級粉体に含まれる所望の粒径よりも小さい微細粒子を上記吸引開口部で吸引し、分級することを特徴とする分級装置。
  9. 所望の粒径を含まない範囲のトナー材料と所望の粒径の範囲を含むトナー材料とを分級する分級工程を含むトナー製造方法において、
    上記分級工程に、請求項1乃至8の何れかに記載の分級装置を用いることを特徴とするトナー製造方法。
  10. 原料物を粉砕して原料粉体を得る粉砕手段と、
    該原料粉体中に含まれる粒子の粒径に応じて分級する分級手段とを有する粉砕分級装置において、
    上記分級手段は、該原料粉体中に含まれる所望の粒径よりも大きな粗大粒子を除去する第一分級手段と、該原料粉体中に含まれる所望の粒径よりも小さな微細粒子を除去する第二分級手段とを備え、
    該第一分級手段と該第二分級手段との少なくとも一方に、請求項1乃至8の何れかに記載の分級装置を用いることを特徴とする粉砕分級装置。
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