JP6103580B2 - 吐出容器 - Google Patents
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Description
しかし、上述したポンプ式吐出容器等の吐出容器の薄肉化を検討したところ、内容物として、空気や酸素等のガスを吸収する性質を有するガス吸収性の液体を注入した後、キャップをして密閉すると、液体の上方に残る空間であるヘッドスペース内のガスが吸収されることによって、ヘッドスペース内が大気圧より低い圧力まで減圧され、それによって、容器に意図しない凹みや変形が生じ得ることがある。このような凹み等が、店頭に陳列される商品の容器に生じると、商品のイメージを悪化させることにもなる。
このような問題は、内容物がガス吸収性の場合の他、高温の液体を注入し密閉した後、該液体が冷却された場合にも生じ得る。
(容器A)前記容器本体の口部に装着されるシール部材を有し、前記挿入部分を、該シール部材の摺接孔に摺接させつつ挿入させることで、該容器本体内の内圧を高めることができるように構成されている前記吐出容器。
(要件A)前記内容物を注入する注入工程、前記挿入部分を、前記シール部材の摺接孔に摺接させつつ前記容器本体内に挿入して該容器本体内の内圧を高める工程、及び前記口部を前記キャップで閉鎖して密閉する工程を具備する。
(容器B)前記挿入部分の周囲に装着される外周部摺接部材を有し、該挿入部分を、該外周部摺接部材の外周部を前記容器本体の口部に摺接させつつ挿入させることで、該容器本体内の内圧を高めることができるように構成されている前記吐出容器。
(要件B)前記内容物を注入する注入工程、前記挿入部分に装着した前記外周部摺接部材の外周部を前記口部に摺接させつつ前記容器本体内に挿入して該容器本体内の内圧を高める工程、及び前記口部を前記キャップで閉鎖して密閉する工程を具備する。
本発明の第1実施形態である吐出容器1は、図1に示すように、内容物を収容する容器本体2と、容器本体2の口部21に装着される、吐出機構付きのキャップ3とを備えている。容器本体2は、図2(a)に示すように、口部21、胴部23及び底部22を有している。本実施形態の吐出容器1は、ポンプ式の吐出容器であり、キャップ3は、ポンプハウジング32内に画成されるポンプ室(図示せず)をピストン(図示せず)で拡縮させることにより、液の吸い込み及び該液の吐出を行うポンプ式の吐出機構を備えている。
斯かる構成のキャップ3は、公知であり、第1実施形態の吐出容器1における後述するシール部材4以外の構成は、特許文献1に記載のポンプ式吐出容器と同一構成である。
また、吐出容器1は、図1に示すように、容器本体2の口部に装着されるシール部材4を有している。シール部材4は、摺接孔41を備えている。摺接孔41は、ポンプハウジング32を挿通可能であるとともに、挿通されたポンプハウジング32の外周面に密着し、気密に当接した状態を維持しながらポンプハウジング32を摺動可能である。また、シール部材4は、その上端部に、直径方向の外方に向かって張り出した環状の外方張り出し部42を有し、外方張り出し部42より下方に円筒状の垂下部43を有している。その垂下部43の下端部には、直径方向の内方に向かって張り出した環状の内方張り出し部44が形成されている。前記摺接孔41は、シール部材4の下端部の中央部に平面視円形の貫通孔として形成されており、周囲を内方張り出し部44に囲まれている。
シール部材4の摺接孔41は、ポンプハウジング32が挿通されていない状態の直径が、ポンプハウジング32の外径の、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上であり、また、好ましくは100%以下、より好ましくは98%以下であり、好ましくは94〜99%、より好ましくは96〜98%である。
そして、外方張り出し部42が口部21の上端に当接した状態においては、シール部材4と容器本体2の口部21との間が密着し、シール部材4と口部21との間が気密に封止される。また、シール部材4の摺接孔41とポンプハウジング32の外周面との間も気密に密着しており、前述の通り、キャップ3は、ポンプハウジング32内を抜けて気体が外部に排出されないようにしてある。
そのため、図2(d)に示すように、シール部材4が容器本体2の口部21に装着された状態から、ポンプハウジング32を更に下降させると、容器本体2内の気体が外部に排出されることなく、容器本体内の容積が、下降したポンプハウジング32の容積分だけ減少し、それに伴い、容器本体2内の内圧が高まる(加圧工程)。そして、内圧が高まった状態を維持しつつ、図2(e)に示すように、キャップ本体31を容器本体2の口部21に螺合させ、該口部21をキャップ3で閉鎖すると、吐出容器1は、内圧が高まった状態に密閉される(密閉工程)。
そのため、第1実施形態の吐出容器1及び第1実施態様の方法によれば、容器本体2を、省資源、ゴミ減容、低コスト化等の観点から薄肉化することも容易となる。なお、容器1内の圧力は、ノズルヘッド35を、ノズル固定リングから外して、消費者が使用を開始することによって大気圧と略同じになる。
また、容器本体2を薄肉化する場合、胴部23の厚みが1.5mm程度以下の薄肉容器においては、場合によっては減圧変形が問題となる可能性があり、特に胴部23の厚みが1.2mm以下では顕著となる可能性もあるので、本発明はかかる薄肉容器に好適に適用できる。また、厚みが薄過ぎると、加圧による膨張変形なども問題となる場合があるため、胴部23の厚みは0.5mm以上、更には0.7mm以上の厚みとしておくのが好ましい。
第2実施態様においては、ポンプハウジング32を挿入する前の容器本体2の口部21にシール部材4を予め装着しておき、その状態のシール部材4の摺接孔41に対してポンプハウジング32を挿通させる。それ以外は、第1実施態様と同様である。
第2実施態様においても、ポンプハウジング32の外周面が、シール部材4の摺接孔41に密着してから図2(d)又は図2(e)に示す状態となるまでの間に、ポンプハウジング32により容器本体2の内部が圧縮され、吐出容器1は、内圧が高まった状態に密閉される。それにより、第1実施態様と同様の効果が奏される。
第3実施形態の吐出容器1Aは、シール部材4に代えて、図3に示す外周部摺接部材5を備える点において第1実施形態の吐出容器1と相違し、他の構成は、第1実施形態の吐出容器1と同様である。従って、以下、第1実施形態と異なる点について主として説明し、同様の点については、図面に同一の符号を付して説明を省略する。
第3実施形態の吐出容器1Aは、図3に示すように、ポンプハウジング32(挿入部分)の周囲に装着される外周部摺接部材5を有している。
外周部摺接部材5は、図3に示すように、円筒状の形状を有しており、下端部に、ポンプハウジング32の周囲に密着する保持用孔51を備えている。より詳細には、外周部摺接部材5は、その上端部に、直径方向の外方に向かって張り出した環状の外方張り出し部52を有し、外方張り出し部52より下方に外径が略一定の円筒状の摺接部53を有している。そして、その摺接部53の下端に、下方に向かって外径及び内径が漸減する縮径部54を有し、縮径部54の下端に前述した保持用孔51を備えている。
外周部摺接部材5は、環状の外方張り出し部52の外径が、キャップ本体31の天面部の内径と同じであるか又は僅かに大きく、保持用孔51の直径が、ポンプハウジング32の外径より僅かに小さい。これにより、外周部摺接部材5は、第1実施形態のキャップ3と同一構成のキャップ3のポンプハウジング32を挿通するだけで、該ポンプハウジング32の周囲に固定可能となっている。
外周部摺接部材5は、キャップ3における容器本体2内に挿入される挿入部分であるポンプハウジング32に装着されて用いられ、キャップ3を容器本体2の口部21に装着する際に、容器本体2の口部21の内周面に外周部を密着させながら摺動させ得る。
そして、その状態のキャップ3を下降させて、ポンプハウジング32を容器本体2内に挿入させると、図4(c)に示すように、挿入の途中段階で、外周部摺接部材5の外周部が、容器本体2の口部21の内周面に当接した状態となる。
そのため、図4(c)に示すように、外周部摺接部材5の外周部が容器本体2の口部21に当接した状態から、図4(d)に示すように、ポンプハウジング32を更に下降させると、容器本体2内の気体が外部に排出されることなく、容器本体内の容積が、ポンプハウジング32と一体となって下降する外周部摺接部材5によって減少し、それに伴い、容器本体2内の内圧が高まる(加圧工程)。そして、内圧が高まった状態を維持しつつ、図4(e)に示すように、キャップ本体31を容器本体2の口部21に螺合させ、該口部21をキャップ3で閉鎖すると、吐出容器1Aは、内圧が高まった状態に密閉される(密閉工程)。
また、容器本体2は、合成樹脂製であることが好ましく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレン等とαオレフィンとの共重合体等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド等から形成することができる。また、容器本体2は、成分が異なる2層以上の層を有する積層体からなるものであっても良い。また、容器本体2の製造方法としては、延伸ブロー成形、ダイレクトブロー成形等が挙げられる。
原料樹脂にポリエチレンを用い、ダイレクトブロー成形により製造した容量610mLの容器本体2内に、内容物として、界面活性剤および油剤を含む空気吸収性の40℃のボディソープを550mL注入した後、LDPE製のシール部材4を、図2(b)に示すように、キャップ3のポンプハウジング32の外周部に保持させた。そして、そのキャップ3を、図2(b)〜図2(e)に示すようにして、容器本体2の口部21に螺合させ、容器1内を密閉した。
〔実施例2〕
原料樹脂にポリエチレンを用い、ダイレクトブロー成形により製造した容量610mLの容器本体2内に、内容物として、界面活性剤および油剤を含む空気吸収性の40℃のボディソープを550mL注入した後、LDPE製の外周部摺接部材5を、図4(b)に示すように、キャップ3のポンプハウジング32の外周部に保持させた。そして、そのキャップ3を、図4(b)〜図4(e)に示すようにして、容器本体2の口部21に螺合させ、容器1内を密閉した。
〔比較例1〕
実施例1において、容器本体2内に内容物を注入した後、シール部材4を用いない以外は、実施例1と同様にして、キャップ3を容器本体2の口部21に螺合させ、容器内を密閉した。
実施例1,2及び比較例1で用いた容器本体には、内圧を測定可能な計測器を取り付けておき、内容物の充填後にキャップ3で密閉した時点からの各容器内の内圧の変化を調べた。その結果を図5に示す。
図5に示す結果から判るように、比較例1の容器は、キャップによる口部の封鎖直後から内圧が減少して、1日後には、内圧が大気圧未満となったのに対して、実施例1,2の容器は、キャップによる口部の密閉直後から内圧が、比較例1よりも高くなっており、約1ケ月経過しても、内圧が大気圧より高い値に維持された。これらの結果から、本発明によれば、簡単な操作により、内容物のガス吸収や温度変化等に伴う内圧の低下を抑制でき、例えば、容器の薄肉化したときに生じやすい容器の凹みや変形を効率的に防止することができることが判る。
2 容器本体
21 口部
3 キャップ
31 キャップ本体
32 ポンプハウジング(挿入部分)
33 吸込管
34 吐出口
35 ノズルヘッド
4 シール部材
41 摺接孔
42 外方張り出し部
43 垂下部
44 内方張り出し部
5 外周部摺接部材
51 保持用孔
52 外方張り出し部
53 摺接部
6 内容物
Claims (7)
- 内容物を収容する容器本体と、該容器本体の口部に装着される吐出機構付きのキャップと、前記容器本体の口部に装着されるシール部材とを有する吐出容器であって、
前記キャップは、前記口部から前記容器本体内に挿入される挿入部分を有しており、
前記シール部材は、前記口部に装着されたときに該口部の上端に当接する環状の外方張り出し部と、該外方張り出し部より下方に位置し、前記挿入部分の外周面に摺接する摺接孔を有する円筒状の垂下部とを有しており、
前記キャップを装着する際に、前記挿入部分を、前記摺接孔に摺接させつつ前記容器本体に挿入させることで、該容器本体内の内圧を高めることができるように構成されている、吐出容器。 - 内容物を収容する容器本体と、該容器本体の口部に装着される吐出機構付きのキャップとを備えた吐出容器であって、
前記キャップは、前記口部から前記容器本体内に挿入される挿入部分を有し、
前記吐出容器は、前記挿入部分の周囲に装着される外周部摺接部材を有しており、
前記外周部摺接部材は、前記挿入部分の外周部に装着固定可能であり、前記挿入部分を、該挿入部分の外周面に前記外周部摺接部材を固定し、該外周部摺接部材の円筒状の外周部を前記容器本体の口部に摺接させつつ挿入させることで、該該容器本体内の内圧を高めることができるように構成されている、吐出容器。 - 前記キャップは、前記容器本体の口部に螺合させて装着されるキャップ本体と、前記挿入部分とを有しており、
前記キャップの挿入部分を、前記口部から前記容器本体内に挿入する際に、該キャップ本体が、前記口部に対して螺合する前から、前記容器本体内の内圧を高めることができるように構成されている、請求項1又は2記載の吐出容器。 - 前記吐出機構は、ポンプハウジング内に画成されるポンプ室をピストンで拡縮させることにより、液の吸い込み及び該液の吐出を行うポンプ式の吐出機構であり、前記挿入部分が、前記ポンプハウジングである、請求項1〜3の何れか1項記載の吐出容器。
- 請求項1に記載の吐出容器内に内容物を注入し密閉して内容物充填容器を得る内容物充填容器の製造方法であって、
前記内容物を注入する注入工程、前記挿入部分を、前記シール部材の摺接孔に摺接させつつ前記容器本体内に挿入して該容器本体内の内圧を高める加圧工程、及び前記口部を前記キャップで閉鎖し密閉する密閉工程を具備する内容物充填容器の製造方法。 - 前記挿入部分を前記容器本体内に挿入する前に、前記挿入部分に前記シール部材を取り付けておく請求項5記載の内容物充填容器の製造方法。
- 請求項2に記載の吐出容器内に内容物を注入し密閉して内容物充填容器を得る内容物充填容器の製造方法であって、
前記内容物を注入する注入工程、前記挿入部分に装着した前記外周部摺接部材の外周部を前記口部に摺接させつつ前記容器本体内に挿入して該容器本体内の内圧を高める加圧工程、及び前記口部を前記キャップで閉鎖して密閉する密閉工程を具備する内容物充填容器の製造方法。
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