本発明は、構築壁50の配管貫通部の貫通孔に嵌め込まれたスリーブ51の管口部と、当該管口部を通っている配管52の管部分との間を、筒形に巻きつけて囲う密封用シート30と、前記密封用シート30の両筒口を、前記スリーブ51の管口部及び/又は配管52の管部分に固定する、複数の固定具10と、を含み、当該固定具10は、前記密封用シート30を押圧して締付ける帯状部材11と、前記帯状部材11の両端にそれぞれ備えられた結合部13と、を有し、前記帯状部材11の前記密封用シート30と接する側における、前記密封用シート30を押圧する面17(図3C、図4Cにて破線で囲まれる領域)の面積は、前記帯状部材11の前記密封用シート30と接する側とは反対側の面18(図3Cにて破線で囲まれる領域)の面積と比較して小さい、ことを特徴とする壁配管貫通部の密封用カバー装置である。
はじめに図1A、図1Bを参照して、本発明に係る密封用カバー装置の概要について説明を行う。図1Aは、本発明の実施の一形態である密封用カバー装置を示した図である。また、図1Bは、本発明の実施の一形態である密封用カバー装置の断面図である。
本発明に係る密封用カバー装置は、構築壁の配管貫通部の貫通孔に嵌め込まれたスリーブの管口部と、当該管口部を通っている配管の管部分との間を、筒形に巻きつけた密封用シートで囲い、その筒形密封用シートの両筒口を前記スリーブの管口部及び/又は配管の管部分に複数の固定具で固定して成るものである。
図1A、図1Bに示される壁50は、建物内部の気体や液体が外部に漏洩することが好ましくない建物(例えば、化学工場内の建物、原子力発電所内のタービン建屋あるいは原子炉建屋等)の、建物の外側と内側とを隔てる壁50である。当該壁50には配管52を通すための貫通孔があり、当該貫通孔にはスリーブ51が嵌め込まれている。
図1Bに示されるように、スリーブ51には、スリーブ51の開口部の端部に沿って、外側面の法線方向に向かって突出する凸部60が備えられることとしてもよい。スリーブ51に凸部60が備えられることによって、スリーブ51の開口部に備えられる固定具10が、スリーブ51から外れることを防止することとなる。
スリーブ51の開口部の端部に沿って備えられる凸部60の突出する高さは、固定具10がスリーブ51から外れにくくするために、固定具10の帯状部材11の厚さよりも大きいことが好ましく、また、固定具10の帯状部材11の厚さ及び密封用シート30の厚さの和よりも大きいことが更に好ましい。
また、スリーブ51の開口部の端部に沿って備えられる凸部60の突出する高さは、例えば、2mm以上であることとしてもよく、3mm以上であることとしてもよい。また、スリーブ51の開口部の端部に沿って備えられる凸部60の突出する高さの上限は特に規定はないが、例えば、30mm以下であることとしてもよく、20mm以下であることとしてもよく、10mm以下であることとしてもよい。
また、スリーブ51の開口部の端部に沿って備えられる凸部60は、密封用シート30を損傷しないよう、凸部60の端部が曲線で形成されていることが好ましい。例えば、スリーブ51の開口部の端部に沿って備えられる凸部60は、図1Bで示されるように、丸い細棒(カーボンスチール製、鉄製等)をスリーブ51の開口部の端部に沿って巻きつけて取り付けることによって形成されることとしてもよい。
また、スリーブ51の開口部の端部に沿って備えられる凸部60が、上記丸い細棒を用いて形成される場合、当該丸い細棒をスリーブ51の開口部の端部に沿って巻きつけた後、溶接することによって取り付け、当該凸部60が形成されることとしてもよい。この場合、スリーブ51及び丸い細棒は、それぞれカーボンスチール、鉄等の溶接可能な材料で構成されることとなる。
また、構築壁の配管貫通部の貫通孔に嵌め込まれたスリーブ51の開口部の端部に沿って備えられる凸部60を形成する方法は、カーボンスチール、及び鉄からなる群から選択される材料によって形成された、丸い断面積を有する細棒を、スリーブ51の開口部の端部に沿って巻きつけた後、溶接する工程を含む、こととしてもよい。
壁50の配管貫通部の貫通孔に嵌め込まれたスリーブ51を通る配管52は、気体又は液体が通る配管52であり、当該気体又は液体は、建物の内側から外側に排出される、あるいは、外側から内側に供給されるものである。
また、当該配管52の外表面温度は、内部を流動する気体又は液体によっては、200℃以上、場合によっては300℃以上に達することも想定される。
また、配管52は、内部を通過する気体又は液体の量や種類等に基づいて、その大きさ、材質等が決定される。そして、決定された配管52の大きさ(配管52の径の大きさ)に応じて、図1に示されるように、配管52の管部分と密封用シート30との間に、配管52の周囲の大きさ(配管52の径の大きさ)を調整するための調整具20を含むこととしてもよい。調整具20に関しては、後に詳細に説明を行う。
なお、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置は、例えば、配管52径(配管52の外径)のサイズが0.5B(1/2インチ)以上の配管52に対して用いることができ、なかでも、4B(4インチ)以上の配管52に対して好適に用いることができる。また、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置は、配管径のサイズが大きいものである場合、本願発明の効果を更に高めることができ、例えば、配管径のサイズは8B以上30B以下であることとしてもよいし、配管径のサイズは14B以上26B以下であることとしてもよい。
また、建物内部に存在し、外部に漏洩することが好ましくない気体や液体とは、例えば、有機溶剤、有毒物質あるいは放射線を放出する物質が含まれた、気体又は液体等が挙げられる。そして、密封用カバー装置を構成する部材のそれぞれは、外部に漏洩することが好ましくない気体や液体、すなわち密封する対象に応じて、材質や物性(例えば、耐熱性、ガス透過性)等が決定されることが好ましい。
以下、密封用カバー装置を構成する各部材について更に詳細に説明を行う。本実施形態に係る密封用カバー装置は、構築壁50の配管貫通部の貫通孔に嵌め込まれたスリーブ51の管口部と、当該管口部を通っている配管52の管部分との間には、筒形に巻きつけて囲う密封用シート30を備える。
図2Aは、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、密封用シート30(30a)の正面図である。図2Bは、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、密封用シート30(30a)の底面図である。図2Cは、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、密封用シート30(30a)を筒形にした状態を示す図である。
図2A等に示されるように、密封用シート30(30a)は、ゴム引き布31と、ガスケット32、ファスナー33を含んで構成されている。また、図2Cに示されるよう、密封用シート30(30a)が密封用カバー装置に用いられる場合、密封用シート30(30a)は、密封用シート30(30a)の一端と他端とを重ね合わせて筒形にし、両筒口を前記スリーブの管口部及び/又は配管の管部分に巻きつけて備えられることとなる。
図2Aに示される密封用シート30(30a)は矩形状のものであるが、密封用シート30(30a)の形状は矩形状のものに限られず、スリーブ51の外径及び配管52の外径(あるいは配管52の周囲の大きさ(配管52の径の大きさ)を調整するための調整具20の外径)に応じて、例えば扇状等であることとしもよい。
図2Eは、本発明の他の実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、密封用シート30(30b)の正面図である。図2Fは、本発明の他の実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、密封用シート30(30b)の底面図である。図2E、2Fに示される密封用シート30(30b)は、スリーブ51の外径及び配管52の外径(あるいは配管52の周囲の大きさ(配管52の径の大きさ)が異なる場合においても、好適に用いることができる。
密封用シート30のゴム引き布31は、建物内側あるいは外側から圧力が加えられた場合、破断しないようゴム弾性を有する材料で形成されている。密封用シート30のゴム引き布31は、例えばエチレン‐プロピレン‐ジエンゴム(EPDM)、シリコーンラバー、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴムもしくはクロロプレンゴム(CR)より形成されることとしてもよい。
また、密封用シート30のゴム引き布31は、エチレン‐プロピレン‐ジエンゴム(EPDM)、シリコーンラバー、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム及びクロロプレンゴム(CR)、からなる化合物群から選択される化合物と、アラミド繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、ナイロン繊維、及びポリエステル繊維、からなる繊維群から選択される繊維によって織られた織布と、を含んで形成されることとしてもよい。この場合、選択された当該織布に、選択された当該化合物が積層されて、密封用シート30のゴム引き布31が構成されることとしてもよい。また、密封用シート30のゴム引き布31は、選択された当該織布を、選択された当該化合物で含浸させたものであることとしてもよい。
また、密封用シート30を形成する材料は、外部に漏洩することが好ましくない気体や液体の種類に応じて適宜選択されることが好ましい。例えば、耐熱性が必要とされる場合には、EPDM(耐熱温度:150℃程度)よりも、優れた耐熱温度を有するシリコーンラバー(耐熱温度;250℃程度)を密封用シート30の材料として選択されることが好ましい。また、耐溶剤性等を付与したい場合には、密封用シート30を構成する化合物の一部にフッ素を導入した材料を用いることとしてもよい。
また、密封用シート30のゴム引き布31は、エチレン‐プロピレン‐ジエンゴム(EPDM)、シリコーンラバー、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム及びクロロプレンゴム(CR)、からなる化合物群から選択される化合物によって形成された膜を複数種積層して構成することとしてもよい。この様に密封用シート30のゴム引き布31が、化合物の異なる複数種の膜を積層して構成されることによって、例えば、密封用シート30の外部と接する面を対候性の優れた材料とし、密封用シート30の内側の面を耐溶剤性の優れた材料とするといったように、用途に応じた構成を選択することが可能となる。
密封用カバー装置において、密封用シート30は、構築壁50の配管貫通部の貫通孔に嵌め込まれたスリーブ51の管口部と、当該管口部を通っている配管52の管部分との間を、筒状に巻きつけて備えられる。そして、筒状に巻きつけた状態における密封用シート30の両端部分は、両端部分を互いに突き合わせて結合されることとしもよいし、所定の幅で重ね合わせ結合されることとしてもよい。
図2Cにて示される、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、密封用シート30を筒形にした状態は、密封用シート30の両端部分は所定の幅で重ね合わせ結合されている。
そして、筒状に巻きつけた状態における密封用シート30の両端部分を所定の幅で重ね合わせ結合される場合、当該重ね合わせ幅は、配管52やスリーブ51管口部の径の大きさにもよるが、例えば25mm以上であることとしてもよい。また、当該重ね合わせ幅は、50mm以上であることが接着強度を高め、圧力がかかった状態での破断を防止する観点から好ましく、75mm以上であることは更に好ましく、100mm以上であることが特に好ましい。また、当該重ね合わせ幅の上限は、配管52の外周あるいはスリーブ51管口部の外周以下であれば特に限りはないが、コスト面の観点から、150mm以下であることとしてもよい。
また、筒状に巻きつけた状態における密封用シート30の両端部分を所定の幅で重ね合わせ結合される場合、当該結合は、接着剤を用いて結合されることとしてもよい。接着剤は、例えば、有機系の接着剤を用いることとしてもよいし、シリコーンシーラントのような無機系の接着剤を用いることとしてもよい。また、密封用シート30の両端部分の接着剤が塗布される部分は、予め接着剤の密着性を高めるためにプライマーを塗布することとしてもよい。また、筒状に巻きつけた状態における密封用シート30の両端部分を所定の幅で重ね合わせ結合される場合、重ね合わせ幅の一部をファスナー33(マジックテープ(登録商標))で結合することとしてもよい。
図2A、図2Bにて示されるように、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、密封用シート30の両端部分には、ファスナー33が備えられている。ファスナー33aは、密封用シート30が筒状となった場合に、ファスナー33Aに対応する位置に取り付けられている。また、ファスナー33bは、密封用シート30が筒状となった場合に、ファスナー33Bに対応する位置に取り付けられている。このように、密封用シート30の両端にファスナー33を備えることによって、密封用カバー装置に密封用シート30を取り付ける際に、重ね合わせの位置決めが容易になる等、作業が簡便となり好ましい。
図2Dは、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、密封用シート30の両端部分を所定の幅で重ね合わせ結合されている状態を示す部分断面図である。図2Dにおける距離dは、重ね合わせ幅であり、すなわち接着材が塗布される接着幅である。
また、図2Dにおいて、接着剤35aとゴム引き布31と、界面には接着剤35aの密着性を高めるためにプライマーが備えられることとしてもよい。また、図2Dにおいては密封用シート30の両端部分を所定の幅で重ね合わせ結合されている状態における、一方の端部に接着剤35bを更に塗布し、接着性を向上させている。
また、密封用シート30が密封用カバー装置に備えられた際に、密封用シート30において固定具10と接する位置には、ガスケット32aが備えられている。図2Cにて示されるように、密封用シート30が筒状となった状態において、ガスケット32はスリーブ51の管口部及び/又は配管52の管部分の全周を覆うように環状となる。
ここで、後に詳細に説明を行うが、ガスケット32aと接する固定具10の帯状部材11は、密封用シート30(密封用シート30に備えられるガスケット32a)と接する側の面から密封用シート30と接する側とは反対側の面にかけて貫通する貫通孔14、及び帯状部材11の密封用シート30と接する側の面から密封用シート30と接する側とは反対側の面に向かって窪む凹部14、の少なくともいずれか一方を備えることとしてもよい。
そして、密封用カバー装置において、密封用シート30の両筒口をスリーブ51の管口部及び/又は配管52の管部分に固定具で固定される際、密封用シート30(密封用シート30に備えられるガスケット32a)は押圧されることによって、固定具10の帯状部材11の貫通孔及び/又は凹部14の内部に入り込んで備えられていることとしてもよい。
このように、密封用シート30に備えられるガスケット32aが固定具10の帯状部材11の貫通孔及び/又は凹部14の内部に入り込んで備えられることによって、密封用シート30は固定具10と接触する面においてアンカー効果が生じ、密封用シート30は密封用カバー装置から外れにくくなる。
ガスケット32は、密封用カバー装置のシール性を高めるために、ゴムによって形成されることとしてもよい。例えば、ガスケット32は、エチレン‐プロピレン‐ジエンゴム(EPDM)、シリコーンラバー、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴムもしくはクロロプレンゴム(CR)より形成されることとしてもよい。また、ガスケット32は、耐熱性等の観点からシリコーンラバーで形成されることとしてもよい。
また、上記説明を行ったアンカー効果を生じやすくするために、密封用シート30に備えられるガスケット32が固定具10の帯状部材11の貫通孔及び/又は凹部14の内部に入り込んで備えられ易くするために、固定具10と接する側に備えられるガスケット32aは、固定具10と接する側と反対側に備えられるガスケット32bと比較して、柔軟性を有する材料にて形成されることとしてもよい。また、固定具10と接する側に備えられるガスケット32aは、固定具10と接する側と反対側に備えられるガスケット32bと比較して、柔軟性を有するゴムにて形成されることとしてもよい。
また、ガスケット32は、未架橋のゴムによって形成されることとしてもよい。すなわち、ガスケット32は、例えば、エチレン‐プロピレン‐ジエンゴム(EPDM)、シリコーンラバー、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム及びクロロプレンゴム(CR)から選択される未架橋のゴムによって形成されることとしてもよい。
また、ガスケット32のうちの、固定具10と接する側に備えられるガスケット32aのみを、未架橋のゴムによって形成されることとしてもよい。すなわち、密封用シート30に備えられる、固定具10と接する側に備えられるガスケット32aは、エチレン‐プロピレン‐ジエンゴム(EPDM)、シリコーンラバー、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム及びクロロプレンゴム(CR)から選択される未架橋のゴムによって形成されることとしてもよい。
ガスケット32が、未架橋のゴムによって形成されることによって、固定具10の帯状部材11の貫通孔及び/又は凹部14の内部に入り込んで備えられ易くなる。そして、固定具10の帯状部材11の貫通孔及び/又は凹部14の内部に入り込んだ、未架橋のゴムによって形成されたガスケット32は、エネルギー、例えば、配管の熱や、外部からの紫外線等のエネルギー線により架橋が進むことによって、アンカー効果が高まり、本発明の効果が更に高まることとなる。
次に、本実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる固定具10について説明を行う。当該固定具10は、構築壁50の配管貫通部の貫通孔に嵌め込まれたスリーブ51の管口部と、当該管口部を通っている配管52の管部分との間を、筒形に巻きつけた密封用シート30で囲い、その筒形密封用シート30の両筒口を前記スリーブ51の管口部及び/又は配管52の管部分に複数の固定具10で固定して成る密封用カバー装置に用いられる固定具10である。そして、当該固定具10は、前記密封用シート30を押圧して締付ける帯状部材11と、前記帯状部材11の両端にそれぞれ備えられた結合部13と、を有し、前記帯状部材11の前記密封用シート30と接する側における、前記密封用シート30を押圧する面17の面積は、前記帯状部材11の前記密封用シート30と接する側とは反対側の面18の面積と比較して小さいものである。
上述のように、近年、例えば、建物内の気圧が上昇した場合や建物が水没する等した場合、密封用カバー装置には気圧もしくは水圧がかかることとなる。このような場合においても、密封用シート30が、密封用カバー装置から抜け落ちないように当該密封用カバー装置に固定されるよう要求が高まっている。そして、当該固定具10を用いることによって、密封用シート30の固定が大幅に改善される。
図3Aは、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、固定具10の正面図である。また、図3Bは、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、固定具10の平面図である。また、図3Cは、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、固定具10の底面図である。また、図3Dは、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、固定具10の右側面図である。
図3A〜3Dに示されるように、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、固定具10は、密封用シート30を押圧して締付ける帯状部材11と、当該帯状部材11の両端にそれぞれ備えられた結合部13と、を有している。そして、前記帯状部材11の前記密封用シート30と接する側における、前記密封用シート30を押圧する面17の面積は、前記帯状部材11の前記密封用シート30と接する側とは反対側の面18の面積と比較して小さいものである。
固定具10の密封用シート30を押圧して締付ける帯状部材11における、密封用シート30と接する側の、密封用シート30を押圧する面17の面積を、密封用シート30と接する側とは反対側の面18の面積と比較して小さくすることによって、固定具10にて密封用シート30を締付けて固定した場合に、より高い面圧にて密封用シート30を押圧することとなるため、密封用シート30に高い圧力が加えられたとしても、容易に密封用シート30が密封用カバー装置から抜け落ちることはない。
なお、ここでいう面圧とは、単位面積あたりに加わる加重を示し、例えば、固定具10の密封用シート30を押圧して締付ける帯状部材11における、密封用シート30と接する側の、密封用シート30を押圧する面17の面積を、密封用シート30と接する側とは反対側の面18の面積と比較して半分の面積とした場合、密封用シート30を押圧する面圧は、固定具10の密封用シート30を押圧して締付ける帯状部材11における、密封用シート30と接する側の、密封用シート30を押圧する面17の面積と、密封用シート30と接する側とは反対側の面18の面積と、が同じ場合の2倍となる。
すなわち、本発明においては、固定具10の密封用シート30を押圧して締付ける帯状部材11における、密封用シート30と接する側の、密封用シート30を押圧する面17の面積は、密封用シート30と接する側とは反対側の面18の面積の、1.0倍未満であることとしてもよい。
また、固定具10の密封用シート30を押圧して締付ける帯状部材11における、密封用シート30と接する側の、密封用シート30を押圧する面17の面積は、密封用シート30と接する側とは反対側の面18の面積の、0.90倍以下であることとしてもよいし、0.8倍以下であることは更に好ましい。
また、固定具10の密封用シート30を押圧して締付ける帯状部材11における、密封用シート30と接する側の、密封用シート30を押圧する面17の面積は、密封用シート30と接する側とは反対側の面18の面積の、0.5倍以上であることとしてもよい。
固定具10の密封用シート30を押圧して締付ける帯状部材11における、密封用シート30と接する側の、密封用シート30を押圧する面17の面積を、密封用シート30と接する側とは反対側の面18の面積と比較して小さくするために、当該帯状部材11は、密封用シート30を押圧する面17から、密封用シート30と接する側とは反対側の面18にかけて、テーパーを有することとしてもよい。
また、図3A〜3Dにて示されるように、固定具10の密封用シート30を押圧して締付ける帯状部材11における、密封用シート30と接する側の、密封用シート30を押圧する面17の面積を、密封用シート30と接する側とは反対側の面18の面積と比較して小さくするために、例えば、固定具10の帯状部材11は、当該帯状部材11の密封用シート30と接する側に備えられる第1の帯状層11Aと、当該帯状部材11の密封用シート30と接する側とは反対側に備えられる第2の帯状層11Bと、を含み、第1の帯状層11Aの軸方向の幅は、第2の帯状層11Bの軸方向の幅と比較して短いものとする、こととしてもよい。
更に、帯状部材11は、密封用シート30と接する側の面から密封用シート30と接する側とは反対側の面18にかけて貫通する貫通孔14、及び、帯状部材11の密封用シート30と接する側の面から密封用シート30と接する側とは反対側の面18に向かって窪む凹部14、の少なくともいずれか一方を備えることとしてもよい。
図4Aは、本発明の他の実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、固定具10の正面図である。図4Bは、本発明の他の実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、固定具10の平面図である。図4Cは、本発明の他の実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、固定具10の底面図である。図4Dは、本発明の他の実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、固定具10の右側面図である。
図4A〜4Dにて示されるように、帯状部材11が、帯状部材11の密封用シート30と接する側の面から密封用シート30と接する側とは反対側の面18に向かって窪む凹部14、を備えている。
図4Cにて示されるように、帯状部材11が、帯状部材11の密封用シート30と接する側の面から密封用シート30と接する側とは反対側の面18に向かって窪む凹部14を備えることによって、密封用シート30と接する側の、密封用シート30を押圧する面17の面積を、密封用シート30と接する側とは反対側の面18の面積と比較して更に小さくすることとなり、面圧が更に高まることとなるため、本発明の効果は更に高まることとなる。
また、図4Cにて示される帯状部材11に備えられた凹部14は、線状、あるいは長方形の矩形状の断面を有するものである。ここで、帯状部材11に備えられる凹部14は、例えば、ドット状、正方形の矩形状等、特定の形状に限られることはないが、バンドの長手方向に長い長方形であると好ましく、特に長方形の縦横比1:3〜1:8であるとより好ましい。帯状部材11に備えられる凹部14が、バンドの長手方向に長い長方形であり、特に長方形の縦横比1:3〜1:8である場合、密封用カバー装置における密封用シート30が脱落しづらくなるという効果を奏する。また、凹部14の配置も特に制限はなく、例えば、格子状に配置してもよく、ランダムに配置してもよく、左右対称に配置する等一定の規則性を有して配置してもよい。
また、帯状部材11が、密封用シート30と接する側の面から密封用シート30と接する側とは反対側の面18にかけて貫通する貫通孔、及び、帯状部材11の密封用シート30と接する側の面から密封用シート30と接する側とは反対側の面18に向かって窪む凹部14、の少なくともいずれか一方を備えることによって、密封用カバー装置において、密封用シート30がゴム弾性を有する材料で形成されている場合、当該密封用シート30が固定具10によって押圧されることによって、帯状部材11の貫通孔及び/又は凹部14の内部に入り込んで備えられることとなる。
そして、密封用カバー装置において、密封用シート30が帯状部材11の貫通孔及び/又は凹部14の内部に入り込んで備えられることによって、固定具10と密封用シート30との間にアンカー効果が生じ、密封用カバー装置における密封用シート30の固定が大幅に改善されることとなる。
また、固定具10と密封用シート30との間のアンカー効果を更に高めるために、帯状部材11は、帯状部材11の密封用シート30と接する側の面から密封用シート30と接する側とは反対側の面18に向かって窪む凹部14を備え、凹部14の開口部は、帯状部材11の密封用シート30と接する側の面から密封用シート30と接する側とは反対側の面18に向かって広くなることとしてもよい。
凹部14の開口部を、帯状部材11の密封用シート30と接する側の面から密封用シート30と接する側とは反対側の面18に向かって広くすることによって、密封用カバー装置における密封用シート30の固定は更に高まることとなる。
また、凹部14の開口部を、帯状部材11の密封用シート30と接する側の面から密封用シート30と接する側とは反対側の面18に向かって広くする構造は、上記説明を行ったように、帯状部材11が、前記帯状部材11の前記密封用シート30と接する側に備えられる第1の帯状層11Aと、前記帯状部材11の前記密封用シート30と接する側とは反対側に備えられる第2の帯状層11Bと、で構成されることによって、当該凹部14の加工を容易に行うことができる。
また、図3A、図4A等で示されるように、固定具10は帯状部材11の一端に、ガイド部12を有することとしてもよい。そして、当該ガイド部12は、密封用シート30の両筒口を前記スリーブ51の管口部及び/又は配管52の管部分に複数の固定具10で固定する際、隣り合う他の固定具10のガイド部12を有する一端とは反対側の他端と、密封用シート30と、の間に備えられることとなる。
すなわち、固定具10が密封用カバー装置に備えられた際、当該固定具10のガイド部12は、当該固定具10と隣り合って備えられる他の固定具の帯状部材11の一部と重なり合って備えられる。より具体的には、固定具10が密封用カバー装置に備えられた際、当該固定具10のガイド部12は、当該固定具10と隣り合って備えられる他の固定具の帯状部材11の、密封用シート30を押圧する面17の一部と重なり合って備えられる。
また、固定具10が密封用カバー装置に備えられた際、当該固定具10のガイド部12は、当該固定具10と隣り合って備えられる他の固定具の帯状部材11の、密封用シート30を押圧する面積の、5〜20%と重なり合って備えられることとしてもよいし、5〜15%と重なり合って備えられることとしてもよいし、5〜10%と重なり合って備えられることとしてもよい。
また、ガイド部12は、帯状部材11と別部材にて固定具10に備えられることとしてもよいし、帯状部材11と一体に成形されて固定具10に備えられることとしてもよい。なお、図3A、4Aにおいては、ガイド部12が帯状部材11と一体に成形されて固定具10に備えられている。
ここで、固定具10は、スリーブ51の管口部及び/又は配管52の管部分を囲んで備えられた密封用シート30の外周を、複数に分割したうちの一を覆う、当該複数に分割したうちの一に対応する円筒形状(リング形状)の一部で構成されることとしてもよい。
具体的には固定具10は、例えば、スリーブ51の管口部及び/又は配管52の管部分を囲んで備えられた密封用シート30の、外周の二分の一を覆う二分の一円筒形状に構成されることとしてもよいし、外周の三分の一を覆う三分の一円筒形状に構成されることとしてもよいし、外周の四分の一を覆う四分の一円筒形状に構成されることとしてもよい。
例えば、スリーブ51の管口部及び/又は配管52の管部分を囲んで備えられた密封用シート30の、外周の三分の一を覆う三分の一円筒形状に構成される固定具10が用いられた場合、スリーブ51の管口部及び/又は配管52の管部分を囲んで備えられた密封用シート30を、当該固定具10の3つを接続することによって密封用シート30の周囲を囲んで固定する。
図5Aは、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、固定具10の3つを接続した状態を示す図である。図5Aに示されるように固定具10は、スリーブ51の管口部及び配管52の管部分を囲んで備えられた密封用シート30の、外周の三分の一を覆う三分の一円筒形状に構成される3つの固定具10を互いに接続して、密封用カバー装置の密封用シート30を固定している。
また、図5Bは、本発明の他の実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、固定具10の2つを接続した状態を示す図である。図5Bに示されるように固定具10は、スリーブ51の管口部及び配管52の管部分を囲んで備えられた密封用シート30の、外周の二分の一を覆う二分の一円筒形状に構成される2つの固定具10を互いに接続して、密封用カバー装置の密封用シート30を固定している。
密封用カバー装置の密封用シート30を固定する複数の固定具10のそれぞれのガイド部12は、互いに隣り合う固定具10のガイド部12を有する一端とは反対側の他端と、密封用シート30と、の間に備えられるように接続される。そして、図5A、5Bにて示されるように、一の固定具と、当該一の固定具と隣り合う他の固定具と、の間隙に、ガイド部12が備えられることとなる。これによって、密封用カバー装置における密封用シート30の固定に複数の固定具10が用いられた場合、固定具10同士の隙間に存在する密封用シート30は、ガイド部12によって押圧されることとなる。すなわち、密封用カバー装置における密封用シート30の周囲は、複数の固定具10によって均一に押圧した状態で固定されることとなる。
なお、ガイド部12は、密封用シート30と接する側の面から密封用シート30と接する側とは反対側の面18にかけて貫通する貫通孔、及び、当該ガイド部12の密封用シート30と接する側の面から密封用シート30と接する側とは反対側の面18に向かって窪む凹部14、のいずれも備えないこととしてもよい。
ガイド部12が、密封用シート30と接する側の面から密封用シート30と接する側とは反対側の面18にかけて貫通する貫通孔、及び、当該ガイド部12の密封用シート30と接する側の面から密封用シート30と接する側とは反対側の面18に向かって窪む凹部14、のいずれかを備えることによって、密封用カバー装置における固定具10の取り付けが困難になるおそれがあるからである。
また、図3A〜3D、図5A等に示されるように、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、固定具10の結合部13のそれぞれは、他の固定具10と結合するための、結合部材15(例えば、ボルトとナット)を通す孔13Aを有する。
そして、固定具10の結合部13のそれぞれは、結合部材15を通す複数の孔13Aを有することとしてもよい。
例えば、固定具10の結合部13のそれぞれに、他の固定具10と結合するための、結合部材15を通す孔13Aが一つのみ備えられ、当該孔13Aを用いて結合部材15を取り付けた場合、結合された隣り合う二つの結合部13は、互いに他方側に倒れてしまうおそれがある。この場合、固定具10によって固定される密封用シート30を均一に固定(締付ける)ことが困難なものとなる。その結果、密封用シート30に外部から圧力が加えられた場合、密封用シート30が密封用カバー装置から外れやすくなることが考えられる。
この場合、固定具10の結合部13のそれぞれに、結合部材15を通す複数の孔13Aを備え、当該複数の孔13Aに複数の結合部材15を用いて互いを結合することによって、結合部同士が互いに他方側に倒れてしまうことを抑制することができる。
また、図3A〜3D、図5A等に示されるように、固定具10の結合部13のそれぞれは、当該固定具10の結合部13と、当該固定具10を取り付けた際に当該結合部13と隣り合う他の固定具の結合部13と、の間隔を一定にする間隔維持部材16を設置するための孔13Bを有する、こととしてもよい。間隔維持部材16は、例えば図3に示されるように、ボルトとナットにて構成されることとしてもよい。
また、固定具10は、金属、プラスチック、もしくはそれらの組み合わせにて形成されることとしてもよい。ここで、金属とは、例えば、クロムモリブデン鋼(SCM材)、炭素鋼・鉄鋼(SS材、SM材)、ステンレス鋼(SUS材)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されることとしてもよい。
また、上記説明を行った固定具10によって、締め付けトルク30〜200Nmで密封用シート30を固定することが可能となる。既知の固定具では、締め付けトルク40Nmで密封用シートを固定することが限度であったため、本発明の密封用カバー装置の気密性・水密性は大幅に向上する。
次に、密封用カバー装置において、壁50の貫通孔の中を通る配管52の大きさ(配管52の径の大きさ)に応じて備えられる、配管52の周囲の大きさ(配管52の径の大きさ)を調整するための調整具20について説明を行う。
前述のように、配管52の表面温度は、内部を通る液体あるいは気体によっては200℃以上、場合によっては300℃以上に上昇することも想定される。このような場合、配管52の表面に直接密封用シート30を備えることは、密封用カバー装置の耐用性の観点から好ましくない。
また、配管52が、例えばプラスチックや、薄い鋼板等で形成された場合、当該配管52の表面を本発明に係る固定具10を用いて押圧すると、当該配管52の表面が押圧に耐えられず変形等をおこすおそれがある。仮に配管52の表面が変形した場合、外部に漏洩することが好ましくない気体や液体を適切に密封することが困難となる恐れが生じ好ましくない。
したがって、本発明に係る密封用カバー装置は、配管52と密封用シート30との間に、当該配管52の径の全周を覆って備えられる調整具20を更に備えることは好ましい。そして、本発明に係る密封用カバー装置に備えられる調整具20は、構築壁の配管貫通部の貫通孔に嵌め込まれたスリーブの管口部と、当該管口部を通っている配管の管部分との間を、筒形に巻きつけた密封用シートで囲い、その筒形密封用シートの両筒口を配管の管部分に固定して成る密封用カバー装置に用いられ、前記密封用シートの両筒口と前記配管の管部分との間に配置される調整具20であって、当該調整具20は、円筒形状を有し、ポリマーを含む第1の層21Aと、セラミックスを含む第2の層21Bとを有し、前記第1の層21Aの外周が前記第2の層21Bの内周と接することを特徴とすることとしてもよい。
ここで、配管52内を通る気体又は液体によっては、当該配管52の表面は200℃以上になることが想定される。このため、調整具20は、耐熱性を有する材料を含んで形成されることとしてもよい。調整具20が耐熱性を有する材料を含んで形成されることによって、密封用カバー装置は、配管の表面が高い温度となる場所にも適用されることとなる。好ましくは、調整具20は、200℃(より好ましくは300℃)における耐熱性を有する材料を含んで形成されることが好ましい。本発明において耐熱性とは、熱分解温度が所定の温度以上であることをいい、例えば、200℃における耐熱性を有する材料とは、熱分解温度が200℃以上の材料をいう。
また、調整具20は、ポリマーを含んで形成されることとしてもよい。また、調整具20は、耐熱性を有するポリマーを含んで形成されることとしてもよい。調整具20が、耐熱性を有するポリマーを含んで形成されることによって、密封用カバー装置は、配管の表面が高い温度となる場所にも適用されることとなる。耐熱性を有するポリマーは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等のフッ素樹脂が挙げられる。中でも、また、ポリマーがフッ素樹脂である場合、耐熱性(例えば300℃における耐熱性)のみならず、有機溶剤に対する耐性も高く好ましい。
更に、当該ポリマーは、エラストマー、樹脂、又はゴムであることとしてもよい。例えば、ポリマーがシリコーンゴムである場合、耐熱性(例えば200℃における耐熱性)を有し、耐溶剤性のみならず、配管52との密着性(シール性)を高める効果も期待できるため好ましい。また、例えば、当該ポリマーが、パーフルオロゴムによって形成される場合、耐熱性、耐溶剤性のみならず、配管52との密着性(シール性)を高める効果も期待できるため好ましい。
また、調整具20は、セラミックスを含んで形成されることとしてもよい。ここで、セラミックスとは、例えば、ヘミサル(登録商標)(ニチアス株式会社製)、ネオアーク(登録商標)(ニチアス株式会社製)、RFボードTOMBO(登録商標)(ニチアス株式会社製)等が挙げられる。また、調整具20が、セラミックスを含んで形成されることによって、密封用カバー装置は、配管の表面が高い温度となる場所にも適用されることとなる。
そして、調整具20がセラミックスを含んで形成されることによって、当該調整具20は優れた機械的強度を得ることとなる。このため、セラミックスを含んで形成された調整具20が備えられた密封用カバー装置は、当該密封用カバー装置に高い圧力が加えられる場所に使用された際の信頼性を高めることとなる。また、調整具20がセラミックスを含んで形成された場合、調整具20のかどが傷つくと脆く欠けることが想定される。そのような場合を想定し、調整具20のかどは面取り加工がされていることとしてもよい。
また、上記説明を行ったように、本発明の密封用カバー装置に用いられる固定具10は、締め付けトルク30〜200Nmで密封用シート30を固定する。これに対しセラミックスを含んで形成された調整具20の圧縮破壊強度は、例えばヘミサルの場合100MPa以上であり、当該固定具10によって加えられる締め付けトルクに十分耐ええる機械的強度を有しているものである。
そして、調整具20は、円筒形状を有し、上記説明を行ったポリマーを含む第1の層21Aと、上記説明を行ったセラミックスを含む第2の層21Bとを有し、前記第1の層21Aの外周が前記第2の層21Bの内周と接することとしてもよい。調整具20がこのような二層構造を採ることによって、密封用カバー装置が高い圧力が加えられる場所に使用された際の信頼性、耐熱性、耐溶剤性を得ることとなり好ましい。
図6Aは、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、調整具20の正面図である。図6Bは、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、調整具20の平面図である。図6Cは、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、調整具20の底面図である。図6Dは、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、調整具20の右側面図である。図6Eは、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、調整具20の左側面図である。
図6A〜6Eにも示されるように、調整具20は、円筒形状(リング状)を有し、第1の層21Aと、第2の層21Bとを有し、前記第1の層21Aの外周が前記第2の層21Bの内周と接している。また、図6A〜5Eに示される調整具20は、調整具20の外周(第2の層21Bの外周)の側面に、該外周に沿った溝22が設けられている。図6A〜7Eに示される調整具20が密封用カバー装置に備えられた場合、当該調整具20と固定具10との間に備えられる密封用シートが、当該溝22の中に入り込んで備えられることとなる。密封用カバー装置において、密封用シート30が当該溝22に入り込んで備えられることによって、調整具20と密封用シート30との間にアンカー効果が生じ、密封用カバー装置における密封用シート30の固定が大幅に改善されることとなる。
また、当該溝22の幅(調整具20が密封用カバー装置に取り付けられた場合における、配管の軸方向の幅の長さ)が固定具10の幅(当該固定具10が密封用カバー装置に取り付けられた場合における、配管の軸方向の幅の長さ)よりも大きい場合、調整具20の溝22に固定具10が入り込んで備えられることとなる。そうすると、密封用カバー装置における固定具10の固定も大幅に改善されることとなる。
したがって、調整具20が有する溝22の幅(調整具20が密封用カバー装置に取り付けられた場合における、配管の軸方向の幅の長さ)は、固定具10の幅(当該固定具10が密封用カバー装置に取り付けられた場合における、配管の軸方向の幅の長さ)よりも大きいこととしてもよい。
なお、図6D及び図6Eに示されるように、本実施形態では、溝22が第2の層21Bの外周のほぼ中央部に設けられていて、溝22によって第2の層21Bの外周に凹部が形成される場合を示したが、あるいは、図8に示されるように、溝22aが第2の層21Bの外周の一端部に設けられていて、溝22aによって第2の層21Bの外周に段差が形成されていてもよい。図8は、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、調整具20aの一変形例の右側面図である。図8に示される調整具20aは、溝22の代わりに溝22aが設けられている以外は、図6A〜6Eに示される調整具20と同じ構成を有する。
また、調整具20における、第1の層21Aの厚さ(調整具20が密封用カバー装置に取り付けられた場合における、配管の周方向の幅の長さ)と、第2の層21Bの厚さ(調整具20が密封用カバー装置に取り付けられた場合における、配管の周方向の幅の長さ)と、は特に限定されないが、例えば、第1の層21Aがゴムによって形成され、第2の層21Bがセラミックスによって形成された場合、第2の層21Bの機械的強度は第1の層21Aの機械的強度よりも大きいものとなるため、第1の層21Aの厚さが第2の層21Bの厚さよりも小さいこととしてもよい。
また、第1の層21Aの厚さが第2の層21Bの厚さの1/2未満であることとしてもよい。また、第1の層21Aの厚さは、第2の層21Bの厚さとの関係において特に下限値を設ける必要はないが、例えば、第1の層21Aの厚さが第2の層21Bの厚さの、1/30以上、1/20以上、あるいは、1/10以上であることとしてもよい。また、第1の層21Aの厚さは、0.40mm〜5.0mmであることとしてもよいし、1.0mm〜3.00mmであることとしてもよい。
ここで、調整具20は、配管52の外周を複数に分割したうちの一を覆う、当該複数に分割したうちの一に対応する円筒形状の一部で構成されることとしてもよい。
具体的には調整具20は、例えば、配管52の外周の二分の一を覆う二分の一円筒形状に構成されることとしてもよいし、外周の三分の一を覆う三分の一円筒形状に構成されることとしてもよいし、外周の四分の一を覆う四分の一円筒形状に構成されることとしてもよい。
例えば、配管52の外周の三分の一を覆う三分の一円筒形状に構成される調整具20が用いられた場合、配管52を、当該固定具10の3つを接続することによって配管52の外周の全周を囲んで備えられる。したがって、複数の調整具20を接続した場合の複数の調整具20の内周は配管の外周とほぼ等しいことが好ましい。
図7Aは、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、調整具20の3つを接続した状態を示す図である。図7Aに示されるように、調整具20は、配管52の外周の三分の一を覆う三分の一円筒形状に構成される3つの調整具20を互いに接続して、配管52の外周の全周を囲んで備えられる。
また、図7Bは、本発明の他の実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、調整具20の2つを接続した状態を示す図である。図7Bに示されるように調整具20は、配管52の外周の二分の一を覆う二分の一円筒形状に構成される2つの調整具20を互いに接続して、配管52の外周の全周を囲んで備えられる。
また、図7A、7Bに示されるように密封用カバー装置において、複数の調整具20によって配管の周囲を覆って備えらえる場合、互いに隣り合う調整具20と接合する接合部23を、それぞれの調整具20が有することとしてもよい。図6A〜6Eには、調整具20の一端に、隣り合う他の調整具20と接合する凸部23Aと、当該調整具20の他の一端に、隣り合う他の調整具20と接合する凹部23Bを有する、調整具20が記載されている。
また、配管52の径の全周を覆って備えられる、ポリマーを含む第1の層21Aと、セラミックスを含む第2の層21Bと、を有する調整具20を取り付ける方法は、前記配管52の外周を覆うように備えられる前記第1の層21Aを取り付ける、第1の層取り付け工程と、前記第1の層取り付け工程の後に、前記第1の層21Aの外周を覆うように前記第2の層21Bを取り付ける、第2の層取り付け工程と、を含むこととしてもよい。
次に、密封用カバー装置において、調整具20と隣り合って、貫通孔の中を通る配管52の大きさ(配管52の径の大きさ)に応じて備えられる、調整具20の配管52の軸方向へのずれを抑制するための支持具40について説明を行う。
図9Aは、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置に用いられる、二つの支持具40が接続された状態を示す正面図である。また、図9Bは、図9Aの側面図である。
図1Bにて示されるように、本発明に係る密封用カバー装置は、調整具20と隣り合って、貫通孔の中を通る配管52の大きさ(配管52の径の大きさ)に応じて備えられる、支持具40を備えることとしてもよい。例えば、図1Bにおいては、支持具40は、調整具20の構築壁50と対向する面側に、調整具20と隣接して備えられている。図1Bにて示される位置に支持具10が備えられることによって、密封用カバー装置の外側から当該密封用カバー装置に圧力が加わった場合においても、調整具20が構築壁50と対向する面側に移動することを抑制する。
また、支持具40は、図1Bにて示される位置に備えられることに限られず、調整具20の構築壁50と対向する面と反対側に、調整具20と隣接して備えられることとしてもよい。支持具40が、調整具20の構築壁50と対向する面と反対側に、調整具20と隣接して備えられることによって、密封用カバー装置の内側から当該密封用カバー装置に圧力が加わった場合においても、調整具20が構築壁50と対向する面の反対側に移動することを抑制する。
また、支持具40は、調整具20の構築壁50と対向する面側及び/又は調整具20の構築壁50と対向する面と反対側に、調整具20と隣接して備えられることとしてもよい。調整具20の構築壁50と対向する面側と、調整具20の構築壁50と対向する面と反対側と、に調整具20と隣接して備えられることによって、密封用カバー装置の内側、外側いずれから当該密封用カバー装置に圧力が加わった場合においても、調整具20の位置が移動することを抑制する。
また、当該支持具40は、配管52を押圧して締付ける帯状部材41と、前記帯状部材41の両端にそれぞれ備えられた結合部42と、を有することとしてもよい。また、例えば、支持具40の結合部42のそれぞれに、他の支持具40と結合するための、結合部材43(例えば、ボルトとナット)を通す孔(図示せず)が備えられ、当該孔を用いて結合部材45を取り付け複数の支持具40を接続することとしてもよい。
また、支持具40は、金属、プラスチック、もしくはそれらの組み合わせにて形成されることとしてもよい。ここで、金属とは、例えば、クロムモリブデン鋼(SCM材)、炭素鋼・鉄鋼(SS材、SM材)、ステンレス鋼(SUS材)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されることとしてもよい。
また、配管52の径の全周を覆って備えられる、支持具40を取り付ける方法は、調整具20を前記配管52の外周を覆うように取り付ける、調整具取り付け工程の後に、前記調整具20と隣接する位置に、前記配管52の外周を覆うように取り付ける工程を含むこととしてもよい。
また、配管52の径の全周を覆って備えられる、支持具40を取り付ける方法は、調整具20を前記配管52の外周を覆うように取り付ける、調整具取り付け工程の前に、前記調整具20が取り付けられる位置と隣接する位置に、前記配管52の外周を覆うように取り付ける工程を含むこととしてもよい。
以上のように、本発明の他の実施形態に係る密封用カバー装置は、前記密封用シートの両筒口を、前記スリーブの管口部及び/又は配管の管部分に固定する、複数の固定具10と、前記第1の層が前記配管の管部分と接する状態で該配管の管部分を覆うように、前記複数の固定具10と前記配管の管部分との間に配置される、複数の上記説明を行った調整具20と、を含むこととしてもよい。また、本発明の他の実施形態に係る密封用カバー装置は、調整具20と隣り合って備えられる支持具40を更に含むこととしてもよい。
また、本発明に係る密封用カバー装置に用いられる固定具10は、構築壁50の配管貫通部の貫通孔に嵌め込まれたスリーブ51の管口部と、当該管口部を通っている配管52の管部分との間を、筒形に巻きつけた密封用シート30で囲い、その筒形密封用シート30の両筒口を前記スリーブ51の管口部及び/又は配管52の管部分に複数の固定具10で固定して成る密封用カバー装置に用いられる固定具10であって、当該固定具10は、前記密封用シート30を押圧して締付ける帯状部材11と、前記帯状部材11の両端にそれぞれ備えられた結合部13と、を有し、前記帯状部材11は、前記密封用シート30と接する側の面から前記密封用シート30と接する側とは反対側の面18にかけて貫通する貫通孔、及び前記帯状部材11の前記密封用シート30と接する側の面から前記密封用シート30と接する側とは反対側の面18に向かって窪む凹部14、の少なくともいずれか一方を備える、こととしてもよい。
すなわち、固定具10と密封用シート30との間のアンカー効果を高めることによって、高い圧力が加えられた場合においても気密性・水密性を有する壁配管貫通部の密封用カバー装置は提供される。
以上、上記説明を行った固定具10が備えられた密封用カバー装置は、固定具10が構築壁50の配管貫通部の貫通孔に嵌め込まれたスリーブ51の管口部と、当該管口部を通っている配管52の管部分との間を、筒形に巻きつけて囲う密封用シート30と、前記密封用シート30の両筒口を、前記スリーブ51の管口部及び/又は配管52の管部分に固定する、複数の固定具10と、を含み、当該固定具10は、前記密封用シート30を押圧して締付ける帯状部材11と、前記帯状部材11の両端にそれぞれ備えられた結合部13と、を有し、前記帯状部材11の前記密封用シート30と接する側における、前記密封用シート30を押圧する面17の面積は、前記帯状部材11の前記密封用シート30と接する側とは反対側の面18の面積と比較して小さい、ことを特徴とする壁配管貫通部の密封用カバー装置である。
また、上記説明を行った固定具10が備えられた密封用カバー装置は、構築壁50の配管貫通部の貫通孔に嵌め込まれたスリーブ51の管口部と、当該管口部を通っている配管52の管部分との間を、筒形に巻きつけて囲う密封用シート30と、前記密封用シート30の両筒口を、前記スリーブ51の管口部及び/又は配管52の管部分に固定する、複数の固定具10と、を含み、当該固定具10は、前記密封用シート30を押圧して締付ける帯状部材11と、前記帯状部材11の両端にそれぞれ備えられた結合部13と、を有し、前記帯状部材11は、前記密封用シート30と接する側の面から前記密封用シート30と接する側とは反対側の面18にかけて貫通する貫通孔、及び前記帯状部材11の前記密封用シート30と接する側の面から前記密封用シート30と接する側とは反対側の面18に向かって窪む凹部14、の少なくともいずれか一方を備え、前記密封用シート30の両筒口を前記スリーブ51の管口部及び/又は前記配管52の管部分に複数の固定具で固定される際、前記密封用シート30は押圧されることによって、前記貫通孔及び/又は凹部14の内部に入り込んで備えられている、ことを特徴とする壁配管貫通部の密封用カバー装置である。
以下に、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置の製造方法について説明を行う。例えば、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置の製造方法は、構築壁の配管貫通部の貫通孔に嵌め込まれたスリーブの管口部と、当該管口部を通っている配管の管部分との間を、筒形に巻きつけた密封用シートで囲う工程と、当該筒形密封用シートの両筒口を前記スリーブの管口部及び/又は配管の管部分に複数の固定具で固定する工程と、を含むこととしてもよい。
また、上記製造方法は、構築壁の配管貫通部の貫通孔に嵌め込まれたスリーブの管口部と、当該管口部を通っている配管の管部分との間を、筒形に巻きつけた密封用シートで囲う工程の前に、前記スリーブの開口部に凸部を形成する工程を含むこととしてもよい。
また、上記製造方法は、構築壁の配管貫通部の貫通孔に嵌め込まれたスリーブの管口部と、当該管口部を通っている配管の管部分との間を、筒形に巻きつけた密封用シートで囲う工程の前に、前記配管に当該配管の外径を調整する調整具を備える工程を含むこととしてもよい。更に、当該調整具を備える工程の後又は前に、前記調整具と隣り合って、前記配管の外周を覆うように支持具を備える工程を含むこととしてもよい。
また、上述の調整具を備える工程は、当該調整具を構成し、前記配管の外周を覆うように備えられる第1の層を備える工程と、前記第1の層の外周を覆うように備えられる第2の層を備える工程と、を含むこととしてもよい。
本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置の製造方法について、図10A〜10Fを参照してより具体的に説明を行う。図10A〜10Fは、それぞれ本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置の製造方法について説明する模式図である。
図10Aは、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置が設置される前の状態を示している。図10Aにて示されるように、構築壁50の配管貫通部の貫通孔に嵌め込まれたスリーブ51の管口部と、当該管口部を通っている配管52と、が設置されている。また、構築壁50の配管貫通部の貫通孔にスリーブ51が嵌め込まれていない場合には、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置の製造方法において、構築壁50の配管貫通部の貫通孔にスリーブ51を嵌め込む工程を含むこととしてもよい。
図10Bは、スリーブ51の開口部に凸部60を形成する工程を示す図である。上述のように、構築壁の配管貫通部の貫通孔に嵌め込まれたスリーブ51の開口部の端部に沿って備えられる凸部60を形成する方法は、カーボンスチール、及び鉄からなる群から選択される材料によって形成された、丸い断面積を有する細棒を、スリーブ51の開口部の端部に沿って巻きつけた後、溶接する工程を含む、こととしてもよい。
図10Cは、配管52に当該配管52外径を調整する調整具20を備える工程を示す図である。上述のように、配管52の径の全周を覆って備えられる、ポリマーを含む第1の層21Aと、セラミックスを含む第2の層21Bと、を有する調整具20を取り付ける方法は、前記配管52の外周を覆うように備えられる前記第1の層21Aを取り付ける、第1の層取り付け工程と、前記第1の層取り付け工程の後に、前記第1の層21Aの外周を覆うように前記第2の層21Bを取り付ける、第2の層取り付け工程と、を含むこととしてもよい。
図10Dは、調整具20と隣り合って、配管52の外周を覆うように支持具40を備える工程を示す図である。支持具40は、調整具20の構築壁50と対向する面側及び/又は調整具20の構築壁50と対向する面と反対側に、調整具20と隣接して備えられる。図10Dにて示される工程では、支持具40は、調整具20の構築壁50と対向する面と反対側に、調整具20と隣接して備えられている。
また、図10Cにて示される工程と、図10Dにて示される工程とは、順序が逆になってもよい。すなわち、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置の製造方法は、配管52の外周を覆うように支持具40を備える工程の後に、当該支持具40と隣接する位置に配管52外径を調整する調整具20を備える工程を行うこととしてもよい。
図10Eは、構築壁50の配管貫通部の貫通孔に嵌め込まれたスリーブ51の管口部と、当該管口部を通っている配管52の管部分との間を、筒形に巻きつけた密封用シート30で囲う工程を示す図である。
図10Eにて示されるように、密封用シート30に備えられるガスケット32は、次工程にて取り付けられる固定具10の取り付け位置に対応する位置に取り付けられている。
図10Fは、前工程にて(図10Eにて示される工程にて)取り付けられた密封用シート30の両筒口をスリーブ51の管口部及び配管52の管部分に複数の固定具10で固定する工程を示す図である。固定具10が取り付けられることによって本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置の製造が完了する。
なお、支持具40が、調整具20の構築壁50と対向する面と反対側に、調整具20と隣接して備えられる場合においては、図10Cにて示される工程は、図10Fにて示される工程の後に行うこととしてもよい。¥すなわち、本発明の一実施形態に係る密封用カバー装置の製造方法は、密封用シート30の両筒口をスリーブ51の管口部及び配管52の管部分に複数の固定具10で固定する工程の後に、支持具40と隣接する位置に配管52外径を調整する調整具20を備える工程を行うこととしてもよい。
以下に、本発明に係る密封用カバー装置が、どの程度の外圧に耐えうるものであるかを測定した実験結果を示す。
図11は、密封用カバー装置の外圧試験装置の概略図である。図12は、密封用カバー装置の内圧試験装置の概略図である。
本実験は、図11、図12にて示される測定装置を使用して行った。図11にて示されるように、密封用カバー装置の外圧試験装置は、耐圧容器100の中に、試験体である密封用カバー装置をそのまま入れ、ホース101より水を耐圧容器100内に注入し、マノスターゲージ102にて耐圧容器100内の水圧を測定した。そして、水圧に耐えきれず、固定具10から密封用シート30が外れたときの水圧を、試験体である密封用カバー装置の耐圧値とした。
なお、本実験(密封用カバー装置の外圧試験)に用いられる試験体の配管52の面52aは塞がれており、配管52の面52aから(図11における配管52の下方から)水が試験体である密封用カバー装置に入り込むことはない。
また、図12に示される密封用カバー装置の内圧試験装置は、試験体である密封用カバー装置の内部にホース101より水を注入し、マノスターゲージ102にて耐圧容器100内の水圧を測定するものである。そして、水圧に耐えきれず、固定具10から密封用シート30が外れたときの水圧を、試験体である密封用カバー装置の耐圧値とした。
なお、本実験(密封用カバー装置の内圧試験)に用いられる試験体の配管52の面52aは塞がれており、配管52の52bは開口しており、52bから試験体であるカバー装置全体に水が注入されることとなる。
固定具10における凹部の有無、調整具の有無等、様々な組み合わせの試験体である密封用カバー装置を用意し、各密封用カバー装置の耐圧値の測定を行った。試験体である密封用カバー装置のそれぞれの耐圧値を下記表1〜3に示す。
表中の固定具の欄における、固定具αとは、帯状部材の前記密封用シートと接する側における、密封用シートを押圧する面の面積が、帯状部材の前記密封用シートと接する側とは反対側の面の面積と比較して小さいものである。固定具αとは、例えば、図3A〜3Dにて示される固定具に相当する。
また、固定具βとは、帯状部材の前記密封用シートと接する側における、密封用シートを押圧する面の面積が、帯状部材の前記密封用シートと接する側とは反対側の面の面積と比較して小さいものであり、かつ、密封用シートと接する側の面から密封用シートと接する側とは反対側の面にかけて貫通する貫通孔、及び帯状部材の密封用シートと接する側の面から密封用シートと接する側とは反対側の面に向かって窪む凹部、の少なくともいずれか一方を備えるものである。固定具βとは、例えば、図4A〜4Dにて示される固定具に相当する。
また、固定具γとは、帯状部材の密封用シートと接する側における、密封用シートを押圧する面の面積が、帯状部材の密封用シートと接する側とは反対側の面の面積と同一のものである。なお、固定具γは既知の固定具に相当する。
また、表中の密封用シート欄における、シートαは、固定具と接する側に備えられるガスケットが未架橋のNBRによって形成され、固定具と接する側と反対側に備えられるガスケットがシリコーンラバーによって形成されたものである。シートαとは、例えば、図2A〜2Dにて示されるシートに相当する。また、シートβとは、ガスケットが予め熱架橋されたものである。
また、表中の調整具の外周の溝欄における、溝αとは、調整具に図6A〜6Eにて示されるような溝が形成されていることを示し、溝βとは、調整具に図8にて示されるような溝が形成されていることを示す。
また、表中の支持部の有無の欄において、“有”と記載されたものは、図1Bに示されるように、支持具40が、調整具20の構築壁50と対向する面側に、調整具20と隣接して備えられていることを示し、“無”と記載されたものは、支持具40が、調整具20の構築壁50と対向する面側に、調整具20と隣接して備えられていないことを示している。
また、表中の調整具のスリーブへの凸部の形成の有無の欄において、“有”と記載されたものは、鉄によって形成された、丸い断面積を有する細棒を、スリーブの開口部の端部に沿って巻きつけた後、溶接することによって形成された凸部60(図1B参照)を有することを示しており、“無”と記載されたものは、スリーブの開口部の端部に凸部60が形成されていないことを示している。
ここで、外圧試験耐圧値が、0.01MPaであることは、密封用カバー装置が水深約1mに水没した場合の水圧に耐えうることを意味する。また、外圧試験耐圧値が0.01MPa増加するごとに、更に水深1m深く水没した場合の水圧に耐えうることを意味する。例えば、外圧試験耐圧値が、0.10MPaであることは密封用カバー装置が水深約10mに水没した場合の水圧に耐えうることを意味する。
既知の固定具(固定具γ)と異なり本発明の固定具α、βが備えられた密封用カバー装置、すなわち、固定具の帯状部材の密封用シート30と接する側における、密封用シート30を押圧する面17の面積が、帯状部材の密封用シート30と接する側とは反対側の面18の面積と比較して小さいもの、又は、固定具の帯状部材が、密封用シート30と接する側の面から密封用シート30と接する側とは反対側の面18にかけて貫通する貫通孔、及び帯状部材の密封用シート30と接する側の面から密封用シート30と接する側とは反対側の面18に向かって窪む凹部14、のいずれかが備えられたものが用いられた、密封用カバー装置は、0.14MPaを超える外圧(水深14mに水没した場合の圧力に相当)にも耐えられるものであった。
また、既知の固定具(固定具β)を用いた場合であっても、調整具の有無、支持部の有無、スリーブへの凸部の形成などによって、耐圧性を上げる効果が得られることを実験結果は示している。