JP6095623B2 - 色変換方法及び装置、プログラム、並びに色変換システム - Google Patents

色変換方法及び装置、プログラム、並びに色変換システム Download PDF

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Description

本発明は色変換方法及び装置、プログラム、並びに色変換システムに係り、特に、印刷物に保護膜を被覆させた保護膜付印刷物の色再現を行う色変換技術に関する。
印刷物の画像形成面に保護膜を被覆することにより、画像の耐久性や印刷面の品質を向上させることが知られている(特許文献1)。「画像形成面」という用語は「印刷面」と同義である。印刷面を保護膜によって被覆した状態と非被覆の状態とでは印刷物の色味が変わる。保護膜には様々な種類があり、保護膜の種類と印刷物(用紙、インク、及び印刷条件が組み合わされた結果物)の組み合わせが膨大な場合には、全ての組み合わせについて保護膜付印刷物の色再現用のプロファイルを作成することは非常に手間がかかる。このため保護膜を含むカラーマネージメントの運用は困難である。
この課題に対し、保護膜の光学物性値を推定し、簡易に保護膜付印刷物の色再現を予測する技術が提案されている(特許文献1,2)。特許文献1には、保護膜付印刷物の色再現精度を低下させることなく、プロファイルの生成に要する作業工数を低減可能な方法が提案されている。特許文献1によれば、印刷物の分光反射率を取得し、保護膜の光学物性値を推定し、取得された分光反射率と光学物性値とを用いて保護膜付印刷物の分光反射率を予測する構成となっている。
特開2011−75304号公報 特開2011−188091号公報
特許文献1に記載の技術は、クベルカ・ムンク(Kubelka-Munk)モデルを応用して保護膜付印刷物の色を予測している。Kubelka-Munkモデルでは、一様な下地の上に等方等質な光散乱吸収層が一定の膜厚で無限に広がっているとの仮定の下、入射方向の光強度と反射方向の光強度と光散乱及び吸収の関係を一次元に単純化してモデル化している。「下地」は、本発明における「印刷物」に対応する要素であると理解される。また、「光散乱吸収層」は、本発明における「保護膜」に対応する要素であると理解される。
面積階調によって濃淡等を表現する印刷物では、紙白領域やベタ印刷領域に対しては、「一様な下地」の仮定が当てはまるものの、網点で再現される中間調部分は「一様な下地」ではなく、Kubelka-Munkモデルの仮定(前提)とずれが生じることになる。
本願発明者は、印刷物の印刷面を保護膜で被覆することにより、中間調のドットゲインが保護膜の被覆前と比べて増加する効果があることを新たに見出した。また、本願の発明者は、保護膜の種類によって、ドットゲインの増加効果の程度が異なることも見出した。しかしながら、従来のKubelka-Munkモデルに基づく色予測方法では、保護膜の被覆によるドットゲインの効果を考慮することができず、従来技術では、ドットゲインの増加効果が大きい保護膜に対して色予測精度が低くなるという新たな課題を見出した。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、上記の課題を解決し、従来技術に比べて、保護膜付印刷物の色再現の精度をより一層向上させることができる色変換方法及び装置、プログラム、並びに色変換システムを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、次の発明態様を提供する。
第1態様に係る色変換方法は、入力側プロファイルと出力側プロファイルとを用いて色変換を行う色変換方法であって、保護膜が非被覆である印刷面を有する印刷物の保護膜非被覆領域の分光反射率を取得する分光反射率取得工程と、保護膜の光学物性値を推定する処理を行う光学物性値推定工程と、印刷物に保護膜を被覆させた保護膜付印刷物の観察光源の分光分布を取得する分光分布取得工程と、保護膜で被覆される下地の印刷物と保護膜との相互作用による色変化特性を推定する処理を行う相互作用特性推定工程と、分光反射率取得工程により取得された印刷物の分光反射率、光学物性値推定工程により推定された保護膜の光学物性値、分光分布取得工程により取得された観察光源の分光分布、及び相互作用特性推定工程により推定された相互作用による色変化特性に基づいて保護膜付印刷物の測色値を予測する予測工程と、印刷物としてのカラーチャートの分光反射率から予測された保護膜付印刷物の測色値に基づいて、色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定する決定処理工程と、決定した色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいてプロファイルを生成する生成処理工程と、を含むプロファイル生成処理によって生成されたプロファイルを入力側プロファイル又は出力側プロファイルとして用い、入力側プロファイルと出力側プロファイルとに基づき画像データの色変換処理を行う、色変換方法である。
「印刷物の保護膜非被覆領域」とは、保護膜が被覆されていない印刷面の領域を意味する。「推定する処理」には、予め定められた演算式や関数、ルックアップテーブルなどを用いて値を算出する処理が含まれる。「保護膜の光学物性値を推定する処理」には、実測値などの物理量から光学物性値を求める演算処理が含まれる。「相互作用による色変化特性を推定する処理」には、相互作用による色変化特性を示すデータを演算等によって求める処理が含まれる。
第1態様によれば、下地の印刷物と保護膜との相互作用による色変化特性が考慮された色予測の処理が行われるため、従来の色予測方法と比べて、色予測精度を向上させることができる。かかる高精度の色予測処理によって生成されたプロファイルを用いて色変換処理を行うため、保護膜付印刷物の色再現の精度が一層向上する。
第2態様として、第1態様の色変換方法において、第一印刷物に第一保護膜を被覆させた第一保護膜付印刷物について、プロファイル生成処理を適用し、第一印刷物としての第一カラーチャートの分光反射率から第一保護膜付印刷物の測色値を予測して得られた第一保護膜付印刷物の測色値に基づいて第一色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定することにより、第一色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいて第一プロファイルを生成する工程と、第二印刷物に第二保護膜を被覆させた第二保護膜付印刷物についてプロファイル生成処理を適用し、第二印刷物としての第二カラーチャートの分光反射率から第二保護膜付印刷物の測色値を予測して得られた第二保護膜付印刷物の測色値に基づいて第二色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定することにより、第二色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいて第二プロファイルを生成する工程と、を有し、第一プロファイルを入力側プロファイルとして用い、第二プロファイルを出力側プロファイルとして用いて色変換処理を行う構成とすることができる。
第3態様として、第2態様の色変換方法において、第一保護膜と第二保護膜とが同一の保護膜である構成とすることができる。
第4態様として、第3態様の色変換方法において、第一印刷物と第二印刷物とは互いに異なる印刷機によって印刷される構成とすることができる。
第5態様として、第1態様から第4態様のいずれか一態様の色変換方法において、相互作用による色変化特性が、保護膜と下地の印刷物との相互作用によるドットゲイン増加量を示すドットゲイン特性である構成とすることができる。
第6態様として、第1態様から第5態様のいずれか一態様の色変換方法において、保護膜の光学物性値は、保護膜の光波長毎の固有反射率、散乱係数、及び吸収係数のうち、独立な二つの光学物性値を含む構成とすることができる。
第7態様として、第1態様から第6態様のいずれか一態様の色変換方法において、光学物性値推定工程には、保護膜が非被覆である少なくとも二種の下地の分光反射率を取得する第一取得工程と、少なくとも二種の下地の上に保護膜をそれぞれ配置した状態での分光反射率を取得する第二取得工程と、第一取得工程及び第二取得工程のそれぞれの工程で取得された各分光反射率及び未知数としての保護膜の光学物性値を用いて、少なくとも二種の下地毎に数理モデルに基づく関係式を求め、下地毎の関係式を連立して解く演算工程と、が含まれ、演算工程の演算処理に基づき保護膜の光学物性値を推定する構成とすることができる。
第8態様として、第1態様から第7態様のいずれか一態様の色変換方法において、相互作用特性推定工程は、異なる網点面積率の単色階調からなる複数種の下地のそれぞれに保護膜を被覆させた状態である保護膜有りの場合のドットゲイン特性と、複数種の下地のそれぞれについて保護膜が非被覆の状態である保護膜無しの場合のドットゲイン特性とに基づいて、相互作用としてのドットゲインの変化による色変化特性を推定する処理を行う構成とすることができる。
第9態様として、第8態様の色変換方法において、相互作用特性推定工程には、保護膜有りの場合における一次色のドットゲイン量と、保護膜無しの場合における一次色のドットゲイン量との差分を示すドットゲイン増加量を算出する工程と、保護膜無しの場合における下地の網点面積率とドットゲイン増加量との関係を特定する工程と、が含まれる構成とすることができる。
第10態様として、第1態様から第9態様のいずれか一態様の色変換方法において、相互作用特性推定工程には、保護膜で被覆される下地の印刷物と保護膜との相互作用による色変化特性を示すデータを補正する補正パラメータを取得する補正パラメータ取得工程と、補正パラメータを用いて色変化特性を補正する補正処理工程と、が含まれる構成とすることができる。
第11態様として、第10態様に記載の色変換方法において、相互作用による色変化特性を示すデータは、一次色のドットゲイン増加量特性を示すデータであり、補正パラメータは、二次色以上の多次色に関するドットゲイン増加量の抑制率を示すパラメータである構成とすることができる。
第12態様として、第1態様から第11態様のいずれか一態様の色変換方法において、予測工程には、光学物性値推定工程により推定された光学物性値を用いて数理モデルに基づき、保護膜付印刷物の分光反射率を予測する処理を行う第一処理工程と、第一処理工程により予測された保護膜付印刷物の分光反射率又は第一処理工程により予測された保護膜付印刷物の分光反射率を基に算出された色予測値を、相互作用特性推定工程により推定された相互作用による色変化特性を用いて修正する第二処理工程と、が含まれる構成とすることができる。
第13態様に係る色変換装置は、入力側プロファイルと出力側プロファイルとを用いて色変換を行う色変換装置であって、保護膜が非被覆である印刷面を有する印刷物の保護膜非被覆領域の分光反射率を取得する分光反射率取得処理と、保護膜の光学物性値を推定する処理を行う光学物性値推定処理と、印刷物に保護膜を被覆させた保護膜付印刷物の観察光源の分光分布を取得する分光分布取得処理と、保護膜で被覆される下地の印刷物と保護膜との相互作用による色変化特性を推定する処理を行う相互作用特性推定処理と、分光反射率取得処理により取得された印刷物の分光反射率、光学物性値推定処理により推定された保護膜の光学物性値、分光分布取得処理により取得された観察光源の分光分布、及び相互作用特性推定処理により推定された相互作用による色変化特性に基づいて保護膜付印刷物の測色値を予測する予測処理と、印刷物としてのカラーチャートの分光反射率から予測された保護膜付印刷物の測色値に基づいて、色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定する決定処理と、決定した色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいてプロファイルを生成する生成処理と、を含むプロファイル生成処理によって生成されたプロファイルを入力側プロファイル又は出力側プロファイルとして用い、入力側プロファイルと出力側プロファイルとに基づき画像データの色変換処理を行う色変換部を備える、色変換装置である。
第13態様の色変換装置において、第2態様から第12態様で特定した色変換方法の特定事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、色変換方法において特定される工程や処理内容は、これに対応する処理部や機能部の要素として把握することができる。
第14態様に係るプログラムは、入力側プロファイルと出力側プロファイルとを用いて色変換を行う色変換機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、保護膜が非被覆である印刷面を有する印刷物の保護膜非被覆領域の分光反射率を取得する分光反射率取得処理と、保護膜の光学物性値を推定する処理を行う光学物性値推定処理と、印刷物に保護膜を被覆させた保護膜付印刷物の観察光源の分光分布を取得する分光分布取得処理と、保護膜で被覆される下地の印刷物と保護膜との相互作用による色変化特性を推定する処理を行う相互作用特性推定処理と、分光反射率取得処理により取得された印刷物の分光反射率、光学物性値推定処理により推定された保護膜の光学物性値、分光分布取得処理により取得された観察光源の分光分布、及び相互作用特性推定処理により推定された相互作用による色変化特性に基づいて保護膜付印刷物の測色値を予測する予測処理と、印刷物としてのカラーチャートの分光反射率から予測された保護膜付印刷物の測色値に基づいて、色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定する決定処理と、決定した色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいてプロファイルを生成する生成処理と、を含むプロファイル生成処理によって生成されたプロファイルを入力側プロファイル又は出力側プロファイルとして用い、入力側プロファイルと出力側プロファイルとに基づき画像データの色変換処理を行う色変換機能をコンピュータに実現させるためのプログラムである。
第14態様のプログラムについて、第2態様から第12態様で特定した色変換方法の特定事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、色変換方法において特定される工程や処理内容は、これに対応する処理や動作を行うプログラムの「機能」の要素として把握することができる。
第15態様に係る色変換システムは、保護膜が非被覆である印刷面を有する印刷物の保護膜非被覆領域の分光反射率を取得する分光反射率取得部と、保護膜の光学物性値を推定する処理を行う光学物性値推定部と、印刷物に保護膜を被覆させた保護膜付印刷物の観察光源の分光分布を取得する分光分布取得部と、保護膜で被覆される下地の印刷物と保護膜との相互作用による色変化特性を推定する処理を行う相互作用特性推定部と、分光反射率取得部により取得された印刷物の分光反射率、光学物性値推定部により推定された保護膜の光学物性値、分光分布取得部により取得された観察光源の分光分布、及び相互作用特性推定部により推定された相互作用による色変化特性に基づいて保護膜付印刷物の測色値を予測する予測部と、印刷物としてのカラーチャートの分光反射率から予測された保護膜付印刷物の測色値に基づいて、色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定する決定処理部と、決定した色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいてプロファイルを生成する生成処理部と、入力側プロファイルと出力側プロファイルとを用いて色変換を行う色変換部であって、生成処理部によって生成されたプロファイルを入力側プロファイル又は出力側プロファイルとして用い、入力側プロファイルと出力側プロファイルとに基づき画像データの色変換処理を行う色変換部と、を備える、色変換システムである。
第15態様の色変換システムは、印刷用の画像データを処理する画像処理装置や画像処理システムの一部として構成することができる。また、色変換システムは、印刷機を備えた印刷システムの一部として構成することができる。
第15態様の色変換システムにおいて、第2態様から第12態様で特定した色変換方法の特定事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、色変換方法において特定される工程や処理内容は、これに対応する処理部や機能部の要素として把握することができる。
本発明によれば、従来技術に比べて、色予測精度の高い色予測処理によって生成されたプロファイルを用いて色変換処理を行うため、保護膜付印刷物の色再現をより一層適切に行うことができる。
図1はデータ上の網点面積率と印刷物上の実質面積率の関係を示したグラフである。 図2はデータ上の網点面積率とドットゲイン量の関係を示したグラフである。 図3は本実施形態による印刷色予測方法の概要を示す説明図である。 図4は保護膜色変化特性把握チャートの第1例を示す図である。 図5は保護膜色変化特性把握チャートの第2例を示す図である。 図6は保護膜色変化特性把握チャートの第3例を示す図である。 図7は保護膜色変化特性把握チャートの第4例を示す図である。 図8は保護膜の光学物性値を推定するために作成される測定試料の例としての概略断面図である。 図9は保護膜の光学物性値を推定するために作成される測定試料の他の例としての概略断面図である。 図10はグロス系ラミネートの一次色ドットゲイン増加量特性の例を示すグラフである。 図11は本実施形態に係る印刷色予測装置としての画像処理装置が組み込まれた印刷システムの例を示した斜視説明図である。 図12はカラーチャートの一例を示す図である。 図13は画像処理装置の機能ブロック図である。 図14は本実施形態による印刷色予測方法の工程を示したフローチャートである。 図15は光学物性値推定工程の内容を示したフローチャートである。 図16は測色値予測工程の内容を示したフローチャートである。 図17は測色値予測工程の他の例による内容を示したフローチャートである。 図18は本実施形態によるプロファイル生成方法の工程を示したフローチャートである。 図19は本実施形態により作成された保護膜付印刷物のプロファイルを用いる色変換の利用例1を示す説明図である。 図20は本実施形態により作成された保護膜付印刷物のプロファイルを用いる色変換の利用例2を示す説明図である。 図21は本実施形態により作成された保護膜付印刷物のプロファイルを用いる色変換の利用例3を示す説明図である。 図22は本実施形態により作成された保護膜付印刷物のプロファイルを用いる色変換の利用例4を示す説明図である。 図23は本実施形態による色変換方法のフローチャートである。 図24は本実施形態による色変換方法の例を示すフローチャートである。 図25(A)〜(C)は黒点補正によるガマット変換過程を示す説明図である。 図26は色変化特性パラメータを調整するための調整用GUI(Graphical User Interface)画面の一例を示す図である。 図27は画像処理装置の他の構成例を示した機能ブロック図である。
以下、添付図面にしたがって本発明を実施するための形態について詳説する。
[保護膜と下地印刷物との相互作用による光学的ドットゲインの増加について]
まず、本願発明者が見出した、保護膜と下地印刷物の相互作用による光学的ドットゲインの増加現象について解説する。
一般に面積階調で表現される印刷物は物理的な網点面積率に対し、用紙内部における光の散乱によってインクで吸収される光が増加し(つまり、反射率が低下し)、見かけ上の網点面積率が増加する光学的ドットゲインという現象が知られている。本願発明者は印刷物を保護膜によって被覆することにより、保護膜被覆前と比べて光学的ドットゲインが更に大きくなる現象が起きることを見出した。
図1に示したグラフは、保護膜を被覆していない保護膜無し印刷物と、その印刷物に対して各種の保護膜を被覆した保護膜有り印刷物のそれぞれについて、データ上の網点面積率と、印刷物上の実質面積率との関係をプロットした例である。図1はフレキソ印刷によるシアン階調の例を示すものである。
図1の横軸は、画像データ上の網点面積率(「データ上面積率」と記載)を示し、縦軸は印刷物上の実質的な網点面積率(「印刷物上実質面積率」と記載)を示している。印刷物上実質面積率は、物理的に網点領域が広がる現象である機械的ドットゲインと、光学的ドットゲインとを含む実質面積率である。
図1では、保護膜無し印刷物を「Normal」と記載した。また、図1には、保護膜として、グロス系ラミネート、グロス系ニス、及び、マット系ニスの三種類を用いた例が示されており、それぞれ「ラミ(グロス)」、「ニス(グロス)」、「ニス(マット)」と記載した。
印刷物上の実質面積率は、マレイ・デービス(Murray-Davies)の式から求めることができる。具体的には、ある単色階調において、面積率0%(紙白)の測色値をXw、面積率100%(ベタ)の測色値をXs、実質面積率計算対象のデータ上面積率の測色値をXとした場合、対象のデータ上面積率に対する実質面積率は次式となる。
実質面積率 ={ (Xw − X)/(Xw − Xs) }×100
なお、シアン階調の場合はXYZ値の中でXを用いて実質面積率を算出したが、これはシアン階調においてXYZ値の中でX値の変化が最も大きいため、測定誤差の影響を小さくすることができるからである。マゼンタ階調ではY値、イエロー階調ではZ値、ブラック階調ではY値を用いて算出するのが望ましい。CMYK以外のインクに適用する場合でも同様に、XYZ値の中で変化の大きいものを用いて実質面積率を算出するのが望ましい。
図2は、図1のグラフを基に、ドットゲイン量(印刷物上実質面積率 − データ上面積率)を計算し、縦軸をドットゲイン量(実質面積率−データ上面積率)として表示したものである。
図2に示したように、保護膜無し印刷物(normal)と比べ、保護膜被覆後の印刷物はいずれもドットゲイン量が増加していることがわかる。これは保護膜と印刷物との相互作用によるものである。なお、保護膜の被覆によっても、機械的ドットゲインはほとんど変化がないと考えられ、図2に示したドットゲイン量の増加要因は、光学的ドットゲインの増加が支配的であると推測される。上記のように保護膜を被覆することによりドットゲインが増加することが判明した。
しかしながら、特許文献1に記載のKubelka-Munkモデルに基づく色予測モデルでは、保護膜と印刷物との相互作用によるドットゲインの増加は考慮されない。したがって、特許文献1に記載の技術では、相互作用によるドットゲイン増加の効果が大きい保護膜に対しては色予測精度が低くなる問題があった。
本発明の実施形態では、保護膜と印刷物との相互作用によるドットゲインの増加の影響を加味した色予測の技術を提供する。
なお、保護膜と印刷物との相互作用による色変化は、ドットゲインが増加するという効果よるもの以外にも、保護膜(表面加工)の接着剤に含まれる溶剤や加工時の熱等の影響により印刷物上のインク自体が変色するという現象もあり得る。ただし、基本的にはここで説明する「ドットゲインが増加する」という効果が支配的であると考えられる。
[実施形態の概要]
図3は本実施形態による印刷色予測方法の概要を示す説明図である。本実施形態の印刷色予測方法では、保護膜の色変化特性パラメータとして、保護膜の光学物性値を用いることに加え、保護膜と印刷物との相互作用による色変化特性としてのドットゲイン増加量特性を用いる。
このため、本実施形態の印刷色予測方法では、保護膜の色変化特性パラメータを取得するために、保護膜色変化特性把握チャート10を作成する。保護膜色変化特性把握チャート10は、保護膜無しのパッチ群12としての白黒パッチ14、一次色階調パッチ16、及び多次色階調パッチ18を有する。また、保護膜色変化特性把握チャート10は、保護膜20で被覆された保護膜有りのパッチ群22としての白黒パッチ24、一次色階調パッチ26、及び多次色階調パッチ28を有する。
「保護膜有り」という用語は保護膜が被覆されている状態を意味し、「保護膜付」や「保護膜被覆後」と同義である。「保護膜無し」という用語は、保護膜が非被覆である状態を意味し、「無保護膜」や「保護膜被覆前」と同義である。これらの用語は、印刷面の全面に対して保護膜の有無を特定する意味に限定されず、印刷面の一部の注目する画像領域について、保護膜の有無を特定する意味で理解することができる。
白黒パッチ14、24は、保護膜20の光学物性値である光散乱及び吸収特性を把握するためのパッチである。
一次色階調パッチ16、26は、一次色のドットゲイン増加量特性を把握するためのパッチである。一次色階調パッチ16、26は、階調値を段階的に変えた複数の階調のパッチを含む。一次色階調パッチ16、26は、例えば、一次色であるブラック(K)について、0から100%までの範囲を10%刻みで階調を変えたKの階調パッチとすることができる。また、一次色階調パッチ16、26は、一次色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の各色について、それぞれ0から100%までの範囲を10%刻みで階調を変えた各色の階調パッチとすることができる。
多次色階調パッチ18、28は、多次色のドットゲイン増加量抑制率を把握するためのパッチである。多次色階調パッチ18、28は、二次色、三次色、四次色のそれぞれについて、階調値を段階的に変えた複数の階調のパッチを含む。多次色階調パッチ18、28は、例えば、二次色であるCM、MY、YC、三次色であるCMY、四次色であるCMYKのそれぞれについて、各色等量のバランスで20%刻みにより階調を変えた階調パッチとすることができる。ただし、0%と100%は除外することが好ましい。
なお、詳細は後述するが、多次色のドットゲイン増加量抑制率を用いずに、多次色に対しても一次色のドットゲイン増加量特性を適用する構成も可能である。その場合、多次色階調パッチ18、28は省略する形態も可能である。
保護膜20には、ラミネート、ニス、透明インク、クリアトナー、若しくは、アクリル板、その他の各種材料を用いることができ、又は、これらの適宜の組み合わせであってもよい。保護膜の種類毎に、保護膜色変化特性把握チャート10を作成する。
保護膜色変化特性把握チャート10は、保護膜無しのパッチ群12と、保護膜有りのパッチ群22とが含まれた1枚の印刷物として形成する形態が好ましいが、発明の実施に際して、保護膜色変化特性把握チャート10におけるパッチ群は、複数枚の用紙(印刷媒体)に分けて別々に形成してもよい。例えば、保護膜無しのパッチ群12と、保護膜有りのパッチ群22とをそれぞれ別々の印刷物として作成してもよい。
次に、保護膜色変化特性把握チャート10のパッチ(14〜18、24〜8)を測色計30によって測色する。測色計30には、分光測色計が用いられる。分光測色計は、可視光の波長領域を所定の波長刻み幅で反射率を測定し、人間の視覚の分光感度を表すXYZ等色関数を用いてXYZ値を算出して測色値を取得することができる。測色計30は、例えば、可視光の波長領域である380ナノメートル[nm]−730ナノメートル[nm]の波長領域を10ナノメートル[nm]の波長刻み幅(波長ステップ)で反射率を測定する。
保護膜無しのパッチ(14〜18)と、保護膜有りのパッチ(24〜28)のそれぞれの測色情報を基に、保護膜20の色変化特性パラメータを推定する処理が行われる。図3では「保護膜の色変化特性パラメータ推定処理40」のブロックとして記載した。保護膜20の色変化特性パラメータは、次の(a)〜(c)に示す三種に分類される。すなわち、(a)保護膜の光学物性値、(b)保護膜と印刷物の相互作用による一次色のドットゲイン増加量特性、(c)多次色のドットゲイン増加量抑制率の三つに分類される。
(a)保護膜の光学物性値
保護膜の光学物性値には、保護膜の光学特性(光散乱と吸収)を表す固有反射率と、散乱係数と、吸収係数と、が含まれる。ただし、固有反射率、散乱係数、及び、吸収係数の三者の間には関係式があるため(後述の式(9)参照)、独立なパラメータはこれらのうち二つである。固有反射率を「R∞」、散乱係数を「Sx」、吸収係数を「Kx」として表す。「S」は単位厚さ当たりの散乱係数であり、「x」は厚さである。ここでは、散乱係数の定義に関して、Sとxの積であるSx(=S・x)を膜厚xでの散乱係数(つまり、一つの変数)として定義するが、S又はSxのいずれを用いてもよい。また、吸収係数の定義も同様であり、単位厚さ当りの吸収係数Kを用いてもよいし、Kとxの積であるKx(=K・x)を膜厚xでの吸収係数として定義してもよい。
固有反射率R∞、散乱係数Sx、及び、吸収係数Kxは、それぞれ波長に依存したパラメータである。固有反射率R∞は「分光固有反射率R∞」と同義である。
保護膜の光学物性値は、保護膜無しの白黒パッチ14と保護膜有りの白黒パッチ24のそれぞれの測色結果を基に推定される。保護膜の光学物性値を推定する処理のブロックを、図3では「保護膜の光学物性値推定処理42」と記載した。
(b)保護膜と印刷物の相互作用による一次色のドットゲイン増加量特性
保護膜と印刷物の相互作用による一次色のドットゲイン増加量特性は、CMYKの全色に共通のパラメータΔdgとしてもよいし、CMYK各色についてそれぞれ階調毎のパラメータΔCdg、ΔMdg、ΔYdg、ΔKdgとしてもよい。一次色のドットゲイン増加量特性は、保護膜で覆われる下地印刷物の実質面積率に依存したパラメータである。一次色のドットゲイン増加量特性は、保護膜無しの一次色階調パッチ16と保護膜有りの一次色階調パッチ26のそれぞれの測色結果を基に取得される。一次色のドットゲイン増加量特性を取得する処理のブロックを、図3では「一次色のドットゲイン増加量特性取得処理44」と記載した。
(c)多次色のドットゲイン増加量抑制率
多次色のドットゲイン増加量抑制率は、一次色に比べて多次色は保護膜による光学的ドットゲイン増加量が小さくなることを考慮するパラメータである。多次色のドットゲイン増加量抑制率は、一次色のドットゲイン増加量パラメータを多次色に適用するために、パラメータ値を補正する補正パラメータ(補正係数)としての役割を持つ。多次色のドットゲイン増加量抑制率は、例えば、二次色補正パラメータα、三次色補正パラメータβ、四次色補正パラメータγというように、定めることができる。
多次色のドットゲイン増加量抑制率は、保護膜無しの多次色階調パッチ18と保護膜有りの多次色階調パッチ28のそれぞれの測色結果を基に取得される。多次色のドットゲイン増加量抑制率を取得する処理のブロックを、図3では「多次色のドットゲイン増加量抑制率取得処理46」と記載した。
上述の(a)から(c)に分類される各パラメータの推定方法と、これらのパラメータを用いた色予測モデルについて詳細は後述する。
図3に示したように、保護膜の色変化特性パラメータ推定処理40には、保護膜の光学物性値推定処理42と、一次色のドットゲイン増加量特性取得処理44と、多次色のドットゲイン増加量抑制率取得処理46と、が含まれる。ただし、多次色のドットゲイン増加量抑制率については「補正パラメータ」という位置づけであり、多次色のドットゲイン増加量抑制率取得処理46を省略する形態も可能である。
保護膜の色変化特性パラメータを推定して、色予測の演算に必要なパラメータを取得する一方で、保護膜無しのプロファイル作成チャート50を出力し、プロファイル作成チャート50の各パッチを測色計30によって測色する。プロファイル作成チャート50は、ICC(International Color Consortium)プロファイルを作成するために用いられるカラーチャートである。プロファイル作成チャート50の印刷面には保護膜が被覆されていないものである。保護膜無しのプロファイル作成チャート50は、その印刷面の全面が「保護膜非被覆領域」に該当する。
プロファイル作成チャート50を測色計30によって測色することにより、保護膜無し印刷物の分光反射率Rg(C,M,Y,K)が得られる。図3では簡略記載のために「分光反射率Rg」と記載した。
プロファイル作成チャート50を測色して得られる保護膜無し印刷物の分光反射率Rg(C,M,Y,K)に対し、保護膜の光学特性(ここでは光散乱特性と吸収特性)による色変化後の分光反射率Rkm(C,M,Y,K)を予測する処理が行われる。
すなわち、保護膜無し印刷物の分光反射率Rg(C,M,Y,K)に対し、保護膜の光学物性値(R∞とSxの組み合わせ)に基づき、Kubelka-Munkモデル54を適用して、KM予測値の分光反射率Rkm(C,M,Y,K)を得る。図3では簡略記載のため「KM予測値Rkm」と記載した。KM予測値という表記は、Kubelka-Munkモデル54から予測される値を意味する。
Kubelka-Munkモデル54とは、特許文献1で説明されているKubelka-Munk式として知られている関数式KM(Rg,R∞,Sx)を用いる色予測モデルである。
次に、KM予測値の分光反射率Rkm(C,M,Y,K)に対応する測色値としてのXYZ値であるXYZkm(C,M,Y,K)を求める測色値算出処理60を行う。測色値算出処理60では、観察光源の分光分布62とXYZ等色関数64とからRkm(C,M,Y,K)に対応するXYZkm(C,M,Y,K)を得る。XYZkm(C,M,Y,K)は、KM予測測色値としてのXYZ値に相当する。図3では簡略記載のため「KM予測測色値XYZkm」と記載した。
本実施形態では、KM予測値に対して、更に、保護膜と印刷物の相互作用による光学的ドットゲイン増加の効果を反映させるドットゲイン増加モデル70を適用して、保護膜付印刷物の色予測値が算出される。ドットゲイン増加モデル70は、少なくとも一次色のドットゲイン増加量特性を用いて色予測値を求める色予測モデルである。
Kubelka-Munkモデル54と測色値算出処理60とドットゲイン増加モデル70とを組み合わせた処理によって、保護膜無しのプロファイル作成チャート50の測色結果から、保護膜付き場合の測色値の予測値(ここではXYZ値)が得られる。こうして得られた保護膜付印刷物予測測色値72と、プロファイル作成チャート50の各パッチにおけるCMYK値との対応関係に基づき、ICCプロファイルの形式に即したプロファイル74が生成される。
なお、XYZ値は、公知の変換式により、L表色系などのデバイス非依存色空間の色座標値に変換することができる。
本実施形態では、測色値を表すデバイス非依存色空間の表色系(色座標系)として、XYZ表色系(輝度(明るさ)を含む刺激値Yと色の刺激値X,Z)を用いる例について説明するが、表色系はこれに限定されるものではない。XYZ表色系に代えて、L表色系を用いることができる。また、国際照明委員会が定める、Yxy表色系(輝度Y、色度座標x,y)、L表色系の他、HSV表色系(色相H(hue)、彩度S(saturation)、明度V(value)又はB(brightness))、HLS表色系(色相H(hue)、彩度S(saturation)、輝度L(luminance))、YCbCr表色系(輝度Y、色差Cb,Cr)など用いることが可能である。
本明細書では表記を簡略化するため、L表色系の色空間を「Lab色空間」と表記し、Lab色空間の座標値で表される色度値を「Lab値」と表記する。また、各画素の画像信号値がLab値によって記述される画像データを「Lab画像」と表記する場合がある。
[保護膜色変化特性把握チャートの具体例]
図4は保護膜色変化特性把握チャートの第1例である。図4に示した保護膜色変化特性把握チャート101は、紙白とK単色階調パッチとが組み合わされたチャートであり、保護膜20で被覆された保護膜有りパッチ群22と、保護膜無しの保護膜無しパッチ群12を有する。なお、図面記載の制約上、図4その他の図面においてパッチの色や階調は十分に表現されていない。図4中の符号16Kは、保護膜無しのK単色階調パッチを示し、符号26Kは保護膜有りのK単色階調パッチを示している。紙白の領域は、任意の画像位置を白パッチとして利用することができる。図4に示した保護膜色変化特性把握チャート101は、図3で説明した多次色階調パッチ18、28を有していないチャートである。図4に示した保護膜色変化特性把握チャート101は、紙白とK単色階調パッチの組み合わせにより、図3で説明した白黒パッチ14、24と、一次色階調パッチ16、26とを有する構成となっている。
図5は保護膜色変化特性把握チャートの第2例である。図5に示した保護膜色変化特性把握チャート102は、紙白とCMYK各色の単色階調パッチとが組み合わされたチャートであり、保護膜20で被覆された保護膜有りパッチ群22と、保護膜無しの保護膜無しパッチ群12を有する。図5に示した保護膜色変化特性把握チャート102は、図3で説明した多次色階調パッチ18、28を有していないチャートである。図5に示した保護膜色変化特性把握チャート102は、紙白とCMYK各色の単色階調パッチの組み合わせにより、図3で説明した白黒パッチ14、24と、一次色階調パッチ16、26とを有する構成となっている。
図5中の符号16Cは保護膜無しのC単色階調パッチを示し、符号16Yは保護膜無しのY単色階調パッチを示し、符号16Mは保護膜無しのM単色階調パッチを示す。また、図5中の符号26Cは保護膜有りのC単色階調パッチを示し、符号26Yは保護膜有りのY単色階調パッチを示し、符号26Mは保護膜有りのM単色階調パッチを示す。
図6は保護膜色変化特性把握チャートの第3例である。図6に示した保護膜色変化特性把握チャート103は、紙白とK単色階調パッチと多次色階調パッチとが組み合わされたチャートであり、保護膜20で被覆された保護膜有りパッチ群22と、保護膜無しの保護膜無しパッチ群12を有する。多次色階調パッチ18、28には、二次色階調パッチと三次色階調パッチと四次色階調パッチとが含まれている。図6に示した保護膜色変化特性把握チャート103は、図3で説明した白黒パッチ14、24と、一次色階調パッチ16、26と、多次色階調パッチ18、28との全てを含む構成となっている。
図7は保護膜色変化特性把握チャートの第4例である。図7に示した保護膜色変化特性把握チャート104は、紙白とCMYK各色の単色階調パッチと多次色階調パッチとが組み合わされたチャートであり、保護膜20で被覆された保護膜有りパッチ群22と、保護膜無しの保護膜無しパッチ群12を有する。多次色階調パッチ18、28には、二次色階調パッチと三次色階調パッチと四次色階調パッチとが含まれている。図7に示した保護膜色変化特性把握チャート104は、図3で説明した白黒パッチ14、24と、一次色階調パッチ16、26と、多次色階調パッチ18、28との全てを含む構成となっている。
[保護膜の色変化特性のパラメータ化について]
次に、保護膜の色変化特性のパラメータ化についてパラメータの種類に分けて説明する。
(a)Kubelka-Munkモデルに用いる光学物性値について
Kubelka-Munkモデルを適用して保護膜付印刷物の分光反射率を予測する技術については、特許文献1に記載されている。Kubelka-Munkモデルは、以下の式(1)に基づいて、保護膜付印刷物の分光反射率Rが予測される。各変数とも光波長毎の関数であるが、説明の便宜のため省略する。
R=[(Rg−R∞)/R∞−R∞(Rg−1/R∞)exp{Sx(1/R∞−R∞)}]/[(Rg−R∞)−(Rg−1/R∞)exp{Sx(1/R∞−R∞)}] …(1)
式(1)中の「Rg」は保護膜無し印刷物単体の分光反射率を表す。「R∞」は保護膜の固有反射率を表す。「S」は保護膜の単位厚さ当たりの散乱係数、「x」は保護膜の厚さを表す(“New Contribution to the Optics of Intensely Light-Scattering Materials. Part I,JOURNAL OF THE OPTICAL SOCIETY OF AMERICA,VOLUME38,NUMBER5,PP,448-457,MAY,1948 参照)。
は、図3で説明したプロファイル作成チャート50の測定結果から得られるデータである。
保護膜の光学物性値である固有反射率R∞と、散乱係数Sxとは、保護膜色変化特性把握チャート10の測色結果を基に推定される。
図8は、保護膜20の光学物性値を推定するために作成された測定試料110の概略断面図である。測定試料110は、図1で説明した保護膜色変化特性把握チャート10における保護膜無しの白黒パッチ14と保護膜有りの白黒パッチ24との組み合わせによって実現されるものである。
測定試料110は、白色の不透明体からなる分光反射率Rg1の基材112と、黒色材114と、保護膜20とから構成される。基材112は、印刷媒体としての用紙に相当する。黒色材114は、Kインクに相当する。基材112上で黒色材114が付着している領域が黒パッチに相当する。また、基材112上に黒色材114が非付着の領域が、いわゆる紙白の領域であり、「白パッチ」に相当する。
図8において、黒色材114が付着している領域のうち、黒色材114の上に更に保護膜20が積層されている領域が保護膜有りの黒パッチに相当し、黒色材114の上に保護膜20が非被覆である領域が保護膜無しの黒パッチに相当する。
また、図8において、黒色材114が非付着である紙白の領域のうち、基材112の上に保護膜20が積層されている領域が保護膜有りの白パッチに相当し、基材112の上に保護膜20が非被覆である領域が保護膜無しの白パッチに相当する。
保護膜無しの白黒パッチ14からそれぞれ分光反射率を取得する工程が「第一取得工程」の一形態に相当する。また、保護膜有りの白黒パッチ24から分光反射率を取得する工程が「第二取得工程」の一形態に相当する。
作業者は、測色計30(図1参照)を用いて測定試料110の各部位の分光反射率を測定する。その結果、基材112上に保護膜20を被覆した領域(保護膜有り白パッチ)から得られる分光反射率をR1、基材112上に黒色材114を設けた領域(保護膜無し黒パッチ)から得られる分光反射率をRg2、基材112上に黒色材114を介して更に保護膜20を被覆した領域(保護膜有り黒パッチ)から得られる分光反射率をR2(R1>R2)とする測定値が得られたとする。
これらの測定値から、以下に示す式(2)〜(4)にしたがって、光学物性値を求める演算処理が行われる。
保護膜20の固有反射率R∞は、数学的解析により、
R∞={C−(C2−4)1/2}/2 …(2)
C={(R1+Rg2)(R2・Rg1−1)−(R2+Rg1)(R1・Rg2−1)}/(R2・Rg1−R1・Rg2) …(3)
として算出される(紙の特集:「たかが紙、されど紙、やはり紙」、“紙の特性と評価方法及び規格の動向” (2004、日本画像学会誌150) 参照)。なお、R1<R2の場合は式(3)の添字1及び2を逆にする。
ここで、固有反射率R∞は、試料が無限の厚みを有すると仮定した場合の反射率である。したがって、同一種類の保護膜20を多数枚重ねて形成することが可能である場合、固有反射率R∞を直接測定して求めてもよい。
次いで、実測値Rn(n=1又は2)と、実測値Rgn(n=1又は2)と、式(2)で算出したR∞とを用いて、保護膜20の散乱係数Sと厚さxの積は、次の式(4)として算出できる(三宅洋一他「色彩再現の基礎と応用技術」(出版社:株式会社トリケップス)の第88頁に記載の数式(21)参照)。
S・x=ln[{(R∞−Rgn)(1/R∞−Rn)}/{(R∞−Rn)(1/R∞−Rgn)}]/(1/R∞−R∞) …(4)
式(4)において、「S」は単位厚さ当たりの散乱係数であり、「x」は保護膜20の厚さである。
このように、基材112、黒色材114及び保護膜20を組み合わせた測定試料110を用いて保護膜20の光学物性値である固有反射率R∞及び散乱係数Sxを推定することができる。
なお、測定試料110は、図8の例に限らず、図9のように、白色の下地116wと黒色の下地116bとを並べて配置しておき、両方の下地116w、116bを跨ぐように保護膜20を積層する構成でもよい。
図8や図9で説明したように、二種類の下地と保護膜20とを組み合わせた測定試料110を用いて、保護膜20の光学物性値(固有反射率R∞及び散乱係数Sx)を推定することができる。二種類の下地とは、図8の例では基材112の面を一種類の下地、黒色材114の面を他の一種類の下地と把握できる。図9の例では下地116wが一種類の下地、下地116bが他の一種類の下地と把握できる。図3から図7の例では、紙白の白パッチを一種類の下地、Kのベタによる黒パッチを他の一種類の下地と把握できる。
ただし、二種類の下地とは別の下地を用いた場合、表面物性等の差異の影響により、この光学物性値がそのまま適用できない可能性がある。すなわち、保護膜20と他の下地との組み合わせ如何によっては、光学物性値に差異が生じ、ひいては色再現精度が低下することも想定される。
そこで、推定に最低限必要である二種類だけではなく、n(n>2)種類の下地と保護膜20とを組み合わせた測定試料を用いて、保護膜20の光学物性値(固有反射率R∞及び散乱係数Sx)を推定することがさらに好ましい。
具体的には、分光反射率Rgnの異なるn種類の下地に対して、同一種類の保護膜20を被覆することで測定試料(不図示)を作製する。異なるn種類の下地として、例えばKの一次色階調パッチなどが利用できる。
そして、測定試料を測定して保護膜被覆前後の分光反射率Rgn、Rnを得た後、式(1)に基づいて、固有反射率R∞及び散乱係数Sxを2個の未知数とする非線形方程式を立てる。ここで、1種類の下地につき1個の関係式が形成されることから、n種類の下地に関して合計n個の連立方程式が立てられる。
連立方程式の数(n個)に対して未知数は2個であることから冗長である。ここで、各方程式の関係を最も満たすような未知数を推定することができる。ここで、上述の場合のように連立方程式の解が一意に定まる場合のみならず、所定の評価関数に基づいて最適な未知数を推定することも「連立方程式を解く」ことに含まれる。
例えば、式(1)の右辺をKM(Rgi,R∞,Sx)とするとき、評価関数として式(5)を設け、
Err=Σ{Ri−KM(Rgi,R∞,Sx)}2 …(5)
式(5)のErrの値を最小にする(R∞,Sx)を推定値とすることができる。
なお、「Σ」は、i=1,……,nでの総和を表す。
(R∞,Sx)の推定値を求めるためには、公知の非線形最適化手法、例えば、最急降下法、ニュートン法、準ニュートン法、或いは、シンプレックス法などを用いることができる。
このように、n種類の下地を用いれば、各下地の表面物性等の差異の影響による固有反射率R∞及び散乱係数Sxの推定ばらつき(推定誤差)を低減することができる。
なお、Saundersonの補正式等を用いて、実測された分光反射率Rnを補正した上で、Kubelka-Munkモデルを適用してもよい(“Calculation of the color pigment plastics”,JOURNAL OF THE OPTICAL SOCIETY OF AMERICA,VOLUME32,PP,727-736,1942 参照)。
具体的には、以下の式(6)及び式(7)に示すように、実測された分光反射率Ri’の代わりに、保護膜20と外部との界面で生じる光反射の影響を除外した分光反射率Riを用いることができる。ここで、r1は外部から保護膜20への入射光の、保護膜20との界面における分光反射率であり、r2は保護膜20から外部への出射光の、保護膜20との界面における分光反射率である。
i’=r1+(1−r1)(1−r2)Ri/(1−r2i)=SD(Ri,r1,r2)…(6)
i=(Ri’−r1)/{(1−r1)(1−r2)+r2i’−r12}=invSD(Ri’,r1,r2) …(7)
このとき、評価関数Err’は、式(5)と同様に、以下の式(8)で与えられる。
Err’=Σ{invSD(Ri’,r1,r2)−KM(Rgi’,R∞,Sx)}2 …(8)
分光反射率r1及びr2が既知数であれば、式(8)に直接代入して用いることができる。また、分光反射率r1及びr2が未知数であれば、他の未知数(R∞,Sx)と同様に推定することができる。すなわち、式(8)のErr’の値を最小にする(R∞,Sx,r1,r2)を推定することができる。
この補正により、保護膜20と外部との界面における光反射がさらに考慮されるので、保護膜付印刷物の分光反射率をさらに高精度に予測できる。さらに、固有反射率R∞、散乱係数S及び吸収係数Kの間には、式(9)に示す関係がある。
K/S=(1−R∞)2/2R∞ …(9)
したがって、固有反射率R∞や散乱係数S(又はSx)ではなく、吸収係数K(又はKx)を用いてもよい。固有反射率R∞、散乱係数S(又はSx)及び吸収係数K(又はKx)の三つ光学物性値のうち、いずれか二つ値が決定されると、もう一つの値が一意に定まるからである。
保護膜の光学物性値を推定する方法は、上述した連立方程式を解く手法に限定されることなく、モンテカルロ法、ニュートラルネットワーク、ブースティングアルゴリズム、又は、遺伝的アルゴリズムなどを適用してもよい。
(b)ドットゲイン増加量特性(Δdg)について
ドットゲイン増加量特性(Δdg)は、一次色階調パッチのドットゲイン量の差分を取得することでパラメータ化する。すなわち、各階調パッチ毎に保護膜被覆前のドットゲイン量、保護膜被覆後のドットゲイン量をMurray-Davies式に基づいて算出する。算出されたドットゲイン量の差分(保護膜被覆後ドットゲイン − 保護膜被覆前ドットゲイン)を保護膜被覆前の実質面積率におけるドットゲイン増加量Δdgとし、保護膜被覆前の実質面積率に対するルックアップテーブル(LUT;Look up table)或いは関数として定義する。ΔdgはK階調のドットゲイン増加量で代表させてパラメータ化しても良いし、CMYK各色階調のドットゲイン量を平均化してパラメータ化しても良い。また、ドットゲイン増加量をインク毎にパラメータ化し、シアンに対するドットゲイン増加量ΔCdg、マゼンタに対するドットゲイン増加量ΔMdg、イエローに対するドットゲイン増加量ΔYdg、ブラックに対するドットゲイン増加量ΔKdgとパラメータ化してもよい。
図10に示すグラフは、グロス系ラミネートの一次色ドットゲイン増加量特性の例である。図10の横軸は、保護膜無し実質面積率(単位は「%」)を表し、縦軸はドットゲイン増加量Δdgを表している。
なお、一次色のドットゲイン増加量特性を「一次色ドットゲイン増加量特性」、或いは、単に「ドットゲイン増加量特性」と表記する場合がある。
(c)多次色ドットゲイン増加量の抑制率について
多次色ドットゲイン増加量の抑制率は、多次色パッチの実測値と後述の色予測モデルによる予測値の差異が最小となるように最適化して決定する。つまり、保護膜色変化特性把握チャートの保護膜無し多次色パッチの分光反射率に対し後述の保護膜色予測モデルによって予測された保護膜被覆後の予測測色値と、保護膜色変化特性把握チャートの保護膜あり多次色パッチの実測測色値との差(色差)が最小となるように決定する。多次色のドットゲイン増加量の抑制率を「多次色ドットゲイン増加量抑制率」、或いは、単に「抑制率」と表記する場合がある。
二次色のドットゲイン増加量抑制率をα、三次色のドットゲイン増加量抑制率をβ、四次色のドットゲイン増加量抑制率をγで表すことにする。重なる色数が増えるに従い光学的ドットゲイン増加量は小さくなるため、概ね「1>α>β>γ>0」の関係となる。なお、多次色ドットゲイン増加量抑制率を用いない形態も可能である。
多次色ドットゲイン増加量抑制率に関する別の実施形態として、抑制率パラメータはCMYK各色の保護膜被覆前の実質面積率の総和に依存したパラメータとして規定してもよい。その場合、抑制率は保護膜被覆前の実質面積率の総和に対する関数或いはルックアップテーブルとして定義される。保護膜被覆前の実質面積率総和をTefとすると、抑制率パラメータαは、Tefの関数として、α(Tef)と表すことができる。
多次色ドットゲイン増加量抑制率に関する更に別の実施形態として、抑制率パラメータを画像に応じて最適化することも考えられる。多次色パッチとして予め網羅的なパッチ(例えばプロファイル作成チャートと同じ)を用意して網羅的に多次色の保護膜による色変化の実測データを取得しておく。次に色変換対象の画像データを解析し、画像中に出現する頻度の高い色に相当する多次色パッチを網羅的な多次色パッチの中から抽出する。抽出された多次色パッチに基づいて抑制率パラメータを最適化し、対象の画像専用の保護膜付印刷物プロファイルを作成し、色変換に利用する。
[保護膜付印刷物に対する色予測モデルについて]
保護膜被覆前のデータ上網点面積率(C,M,Y,K)に対する分光反射率Rg(C,M,Y,K)に対し、保護膜の光散乱/吸収特性による色変化後の分光反射率Rkm(C,M,Y,K)をKubelka-Munkモデルの関数式KM(Rg,R∞,Sx)より求める。
Rkm(C,M,Y,K) = KM( Rg(C,M,Y,K), R∞,Sx)
Kubelka-Munkモデルの関数式KM(Rg,R∞,Sx)を「KM式」と表記する場合がある。KM式については、式(1)で説明したとおりである。
次に、光源の分光分布とXYZ等色関数から Rkm(C,M,Y,K)に対応するXYZ値(「XYZkm(C,M,Y,K)」と表記する。)を求める。これを保護膜被覆前のプロファイル作成チャート50のパッチ毎に適用してチャート全体のXYZ値を求め、ルックアップテーブル(LUT)作成技術により、CMYK→XYZkmのLUTを作成する。この「CMYK→XYZkm」の対応関係を規定したLUTを以下、「XYZkm(C,M,Y,K)」と表記する。LUT作成技術については、例えば、特開2003-289446号公報や特開2006-24971号公報で開示されている技術を用いることができる。
次に光学的ドットゲイン増加の効果を適用する。データ上網点面積率(C,M,Y,K)に対する保護膜被覆前の実質面積率を(Cef,Mef,Yef,Kef)とすると、一次色、二次色、三次色、及び四次色について、それぞれ次の要領で印刷物の表面加工後(つまり、保護膜被覆後)の色予測値であるXYZ値を求める。
一次色(Cの場合)は、XYZ=XYZkm(C+Δdg(Cef),0,0,0)によって求めることができる。他の一次色M,Y,Kも同様であり、記載は省略する。
二次色(CMの場合)は、XYZ=XYZkm(C+αΔdg(Cef),M+αΔdg(Mef),0,0)によって求めることができる。他の二次色CY, MY, CK, MK, YKも同様であり、記載は省略する。
三次色(CMYの場合)は、XYZ=XYZkm(C+βΔdg(Cef),M+βΔdg(Mef),Y+βΔdg(Yef),0)によって求めることができる。他の三次色CMK,MYK,CYKも同様であり、記載は省略する。
四次色(CMYK)は、XYZ=XYZkm(C+γΔdg(Cef),M+γΔdg(Mef),Y+γΔdg(Yef), K+γΔdg(Kef))によって求めることができる。
なお、α、β、γは最良の形態として含まれるのが望ましいが、必須ではない。多次色ドットゲイン増加量抑制率を考慮しない場合は、α=β=γ=1として扱う。つまり、二次色以上の多次色についても一次色のドットゲイン増加量を適用する。
上述の手順で任意のCMYKに対する保護膜被覆後印刷物の色予測値を求めることができる。
保護膜被覆後印刷物の色予測処理に関する別の実施形態として、ドットゲイン増加量特性をインク毎に(CMYKの色毎に)パラメータ化した場合は、一次色、二次色、三次色、及び四次色のそれぞれについて、次の要領で色予測値を求める。
一次色は、XYZ=XYZkm(C+ΔCdg(Cef),0,0,0)によって求めることができる。
二次色は、XYZ=XYZkm(C+αΔCdg(Cef),M+αΔMdg(Mef),0,0)によって求めることができる。
三次色は、XYZ=XYZkm(C+βΔCdg(Cef),M+βΔMdg(Mef),Y+βΔYdg(Yef),0)によって求めることができる。
四次色は、XYZ=XYZkm(C+γΔCdg(Cef),M+γΔMdg(Mef),Y+γΔYdg(Yef),K+γΔKdg(Kef))によって求めることができる。
保護膜被覆後印刷物の色予測処理に関する更に別の実施形態として、抑制率を実質面積率の総和に依存したパラメータα(Tef)とした場合は、実質面積率の総和 Tef =Cef+Mef+Yef+Kefとすると、一次色、二次色、三次色、及び四次色のそれぞれについて、次の要領で色予測値を求める。
一次色は、XYZ=XYZkm(C+Δdg(Cef),0,0,0)として求めることができる。
二次色は、XYZ=XYZkm(C+α(Tef)Δdg(Cef),M+α(Tef)Δdg(Mef),0,0)として求めることができる。
三次色は、XYZ=XYZkm(C+α(Tef)Δdg(Cef),M+α(Tef)Δdg(Mef),Y+α(Tef)Δdg(Yef),0)として求めることができる。
四次色は、XYZ=XYZkm(C+α(Tef)Δdg(Cef),M+α(Tef)Δdg(Mef),Y+α(Tef)Δdg(Yef),K+α(Tef)Δdg(Kef))
として求めることができる。
多次色ドットゲイン増加量抑制率は、一次色ドットゲイン増加量のデータを補正する補正パラメータに相当する。多次色ドットゲイン増加量抑制率を取得する工程が「補正パラメータ取得工程」の一形態に相当し、多次色ドットゲイン増加量抑制率を用いて一次色ドットゲイン増加量のデータを補正する処理の工程が「補正処理工程」の一形態に相当する。
[色数の異なる構成について]
本実施形態による色予測モデルは、CMYK4色に限定されるものではなく、4色より少ない色数や4色より多い色数にも同様にして拡張可能である。なお、もともとの色予測対象が4色印刷で、その後色を追加し色予測対象が5色以上の印刷になった場合、新たに五次色以上のドットゲイン抑制率をパラメータ化することなく、四次色以上は全て四次色のパラメータを適用するなどで対応してもよい。
[色空間の任意性について]
また、測色値はXYZとしているが、Labなど他の色空間の値を使用してもよい。測色値を表現する色空間はXYZ空間に限定されず、任意のデバイス非依存色空間を用いることが可能である。
[波長依存の(分光的な)ドットゲイン増加量特性への拡張について]
また、上述の説明において、ドットゲイン増加特性は波長に依存しない形式として説明したが、分光的なドットゲイン増加特性としてモデル化してもよい。つまり、分光的な実質面積率として、Murray-Davies式を分光で表現し、ある単色階調において、面積率0%(紙白)の分光反射率をRw(λ), 面積率100%(ベタ)の分光反射率をRs(λ)、実質面積率計算対象のデータ上面積率の測色値をR(λ)としたとき、対象のデータ上面積率に対する分光実質面積率(λ)は次式となる。
分光実質面積率(λ)={(Rw(λ)−R(λ))/(Rw(λ)−Rs(λ))}×100…(10)
式(10)の分光実質面積率(λ)から分光ドットゲイン量(分光実質面積率(λ)−データ上面積率)を算出し、分光ドットゲイン量から分光ドットゲイン増加特性Δdg(λ)を算出することができる。データ上網点面積率(C,M,Y,K)に対する保護膜被覆前の分光実質面積率を(Cef(λ),Mef(λ),Yef(λ),Kef(λ))とすると、一次色、二次色、三次色、及び四次色のそれぞれについて、次の要領で色予測値を求めることができる。
一次色(Cの場合)は、R=Rkm(C+Δdg(Cef(λ), λ),0,0,0)として求めることができる。他の一次色M,Y,Kについても同様であり、記載は省略する。
二次色(CMの場合)は、R=Rkm(C+αΔdg(Cef(λ),λ),M+αΔdg(Mef(λ),λ),0,0)として求めることができる。他の二次色CY,MY,CK,MK,YKも同様であり、記載は省略する。
三次色(CMYの場合)は、R=Rkm(C+βΔdg(Cef(λ),λ),M+βΔdg(Mef(λ),λ),Y+βΔdg(Yef(λ),λ),0)として求めることができる。他の三次色CMK,MYK,CYKも同様であり、記載は省略する。
4次色(CMYK)は、R=Rkm(C+γΔdg(Cef(λ),λ),M+γΔdg(Mef(λ),λ),Y+γΔdg(Yef(λ),λ),K+γΔdg(Kef(λ),λ))として求めることができる。なお、Rkmは、波長毎にルックアップテーブルを作成しておけばよい。
図3で示した実施形態の概要図では、保護膜無し印刷物の分光反射率RからKubelka-Munkモデル54を適用してKM予測分光反射率(Rkm)を求め、更にKM予測測色値(XYZ又はLab)を算出し、その後、ドットゲイン増加モデル70を適用して保護膜付印刷物予測測色値(XYZ又はLab)を得る流れとなっているが、分光ドットゲイン増加量特性を用いる構成の場合は、保護膜無し印刷物分光反射率RからKubelka-Munkモデル54を適用してKM予測分光反射率(Rkm)を求め、このKM予測分光反射率(Rkm)に対して「分光ドットゲイン増加モデル」を適用して保護膜付印刷物予測分光反射率を算出し、得られた保護膜付印刷物予測分光反射率に光源の分光分布62とXYZ等色関数64を適用して測色値を算出し、保護膜付印刷物予測測色値(XYZ又はLab)を得る、という流れとなる。すなわち、図3で示した測色値算出処理60とドットゲイン増加モデル70の適用処理の順番が変わる形態となる。
[色予測精度評価の実施例]
保護膜付印刷物の色予測の精度について、従来技術と本発明の実施形態とを比較したものを表1にまとめた。実験では、対象となる下地印刷物に対して、4種類の保護膜を被覆した場合の、それぞれの測色値の実測値と予測値の差を評価した。
下地印刷物は、紫外線硬化型のUV(Ultra Violet ray)インクを用いたUVフレキソ印刷、コート紙、及びCMYK4色の組み合わせによって印刷した。下地印刷物に対し、表1に記載の4種の保護膜を被覆した場合における測色値の実測値と、予測値について、約1000パッチの平均色差を評価した。表1に示した数値は、その平均色差である。
表中のKMは「Kubelka-Munk」の略記である。KM式に用いる光学物性値のパラメータは、白黒の二種の下地から推定した値を用いた。ドットゲイン増加モデルに適用する一次色のドットゲイン増加量特性ΔdgはK単色階調のパッチから推定した。
比較例は、特許文献1に記載されている従来技術のKMモデルを用いた色予測である。
実施例1は、KMモデルとドットゲイン増加モデルとを組み合わせた色予測である。実施例1では、ドットゲイン増加モデルにおいて、多次色のドットゲイン増加量抑制率を用いず、一次色のドットゲイン増加量特性だけを考慮した。
実施例2は、KMモデルとドット増加モデルとを組み合わせた色予測であり、多次色のドットゲイン増加量抑制率を考慮した。
表1に記載の評価した全ての保護膜の種類について、従来技術のKMモデルに対し、本発明の実施例1及び実施例2はいずれも色予測精度が向上し、平均色差が「2」程度となっており、実用的な精度で色予測できている。
[プロファイル作成]
保護膜被覆前のプロファイル作成チャート50のパッチに対し、上記の色予測モデルを適用することで保護膜被覆後のチャート測色値が予測できる。この保護膜被覆後のチャート測色値(予測値)に基づいて保護膜付印刷物のプロファイルを作成する。
[印刷システムの構成例]
図11は、本実施形態に係る色変換装置としての画像処理装置が組み込まれた印刷システムの例を示した斜視説明図である。印刷システム210は、編集装置214と、印刷色予測装置及び色変換処理装置としての画像処理装置216と、印刷機218と、ラミネート処理装置220と、測色計30とを備える。編集装置214と画像処理装置216は、通信ネットワーク212を介して相互に接続されている。通信ネットワーク212は、ローカルエリアネットワーク(LAN;local area network)であってもよいし、ワイドエリアネットワーク(WAN;wide area network)であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。通信ネットワーク212は、有線通信回線に限らず、一部又は全部を無線通信回線とすることができる。また、本明細書において、信号の受け渡しが可能な機器同士の「接続」という表記については、有線接続に限らず、無線接続も含む。
編集装置214は、印刷しようとする画像内容を示す電子原稿を生成する装置である。編集装置214は、文字、図形、絵柄や写真画像等の様々な種類の画像部品を編集し、ページ毎に印刷面上にレイアウトする作業を行うために用いられる。編集装置214は、電子原稿の作成機能の他、電子原稿の編集や校閲などを行う機能を備える。印刷用の電子原稿として、例えば、ページ記述言語(PDL;page description language)で記述された文書データが利用される。編集装置214は、ページ記述言語(以下、PDLという。)による電子原稿、例えば、4色(CMYK)や3色(RGB)のカラーチャンネルからなる8ビット画像データを生成する。PDLとは、印刷や表示等の出力単位である「ページ」内で文字、図形等の書式情報、位置情報、色情報(濃度情報を含む)等の画像情報を記述する言語である。例えば、PDF(Portable Document Formatの略であり、ISO32000−1:2008に規定)、AdobeSystems社のPostscript(登録商標)やXPS(XML Paper Specification)等が知られている。
編集装置214には図示しないカラースキャナが接続されている。カラースキャナは、所定の位置にセットされたカラー原稿を光学的に読み取ることで、電子原稿の構成要素となるカラー画像データを取得可能である。
画像処理装置216は、PDLのデータ形式による電子原稿に対して、各種の画像処理を行い、印刷機218の印刷方式に適した印刷信号に変換して、印刷信号を印刷機218に送信する機能を有する。画像処理装置216が行う画像処理の内容として、電子原稿をビットマップ形式(ラスタ画像の一種)に展開するRIP処理、色変換処理、画像拡縮処理、配置処理などが含まれる。
画像処理装置216は、コンピュータのハードウエアとソフトウエアの組み合わせによって構成される。ソフトウエアという用語は、「プログラム」或いは「アプリケーション」と同義である。画像処理装置216は、本体224と、表示装置226と、入力装置228と、を備えている。本体224の詳細構成は図示しないが、本体224は、中央処理装置(CPU:central processing unit)、メモリ、及び通信インターフェースなど、コンピュータの構成要素を備えている。表示装置226は、カラー画像を表示するカラーディスプレイである。入力装置228として、キーボード230及びマウス232を備えているが、これらに代えて、又は、これらと組み合わせて、タッチパネルやトラックボールなど、各種の入力手段を採用することができる。
また、画像処理装置216は、電子データの記録や消去が自在な外部記憶媒体としての可搬型メモリ234を接続できるメディアインターフェースを備える。更に、画像処理装置216には、測色計30が接続されている。
なお、画像処理装置216の機能と編集装置214の機能とを一台のコンピュータで実現することも可能であり、或いはまた、画像処理装置216の機能を複数台のコンピュータで実現する形態も可能である。
更に、通信ネットワーク212には、データベースDBを接続することができる。データベースDBには、画像処理装置216や編集装置214で用いる各種のデータを保存しておくことができる。データベースDBは、電子原稿のジョブチケット、色見本データ、ターゲットプロファイル、メディア種に適したプロファイル、観察光源として想定される各種の光源の分光分布のデータなどに例示される一つ又は複数種のデータのデータ管理を行うデータベースサーバである。ジョブチケットとして、例えば、JDF(Job Definition Format)ファイルを用いることができる。データベースDBの機能は、画像処理装置216の内部の記憶部に構築することも可能である。
図11に示した印刷機218は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色からなる標準インクを用いてカラー画像を形成するインクジェット方式の印刷装置である。印刷機218は、CMYKの標準インクの他、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)等の淡色や白色(W)、透明(CL)等のオプションインクを組み合わせてカラー画像を形成する構成とすることができる。
印刷機218は、画像処理装置216から受信した印刷信号に基づいて各色のインクの射出制御を行うことにより、印刷媒体としてのメディア236にカラー画像を印刷し、印刷物238を形成する。なお、図11に示したロール状のメディア236は、印刷機218にセットする前の未印刷のメディア236である。「印刷物」という用語には、電子原稿に基づいて印刷される印刷物の他、図1で説明した保護膜色変化特性把握チャート10やプロファイル作成チャート50などの各種のカラーチャート238cが含まれる。
ラミネート処理装置220は、印刷物238の印刷面上に、保護膜20を形成する装置である。ラミネート処理装置220は、印刷物238の印刷面上に、また、必要に応じて更にその裏面に、保護膜20を貼付させた状態で、図示しない加熱ローラを用いて加熱及び加圧処理を施すことにより、印刷物38の印刷面が保護膜20で被覆された保護膜付印刷物242を形成する。
メディア236の基材には、合成紙、厚紙、或いはアルミ蒸着紙等の紙類、塩化ビニルやポリエチレンテレフタラート(PET:polyethylene terephthalate)等の樹脂、若しくは、ターポリンなど、各種の材料を用いることができる。なお、説明の便宜上、メディア236を「用紙」と表記する場合がある。保護膜20には、ラミネートフィルム、液体、ニス、透明インク、クリアトナー、並びにアクリル板等の保護板など、様々な材料を用いることができる。
測色計30は、測定対象物の測色値を測定する。測色値とは、三刺激値XYZ、均等色空間の座標値L***等のみならず、波長に対する光学物性値の分布(以下、「分光データ」という。)、例えば、分光放射分布(分光分布)、分光感度分布、分光反射率又は分光透過率が含まれる。
このようにして得られた保護膜付印刷物242は、観察光源としての図示せぬ光源DSの下で、所定の場所に掲示される。
[印刷機について]
図11では、印刷機218として、インクジェット印刷機を例示したが、発明の実施に際して、印刷機の種類は特に限定されない。インクジェット印刷機に代えて、電子写真プリンタ、レーザープリンタ、オフセット印刷機、フレキソ印刷機など、印刷方式を問わず、各種の印刷機を採用できる。また、複数種の印刷機を組み合わせて、複数台の印刷機を備えた印刷システムを構築することも可能である。「印刷機」という用語は、プリンタ、印刷装置、画像記録装置、画像形成装置、或いは、画像出力装置などの用語と同義のものとして理解される。色材には、印刷機の種類に応じて、インクやトナー等を使用することができる。
[カラーチャートの例]
図12は、カラーチャート238cの一例を示す図である。図12に示すカラーチャート238cは、図1で説明したプロファイル作成チャート50として用いることができる。図12のカラーチャート238cは、複数個(例えば、100個)のカラーパッチ244と、カラーパッチ244の配列位置を特定する数字列246及びアルファベット文字列248と、カラーチャート238cの印刷条件を識別する印刷情報250と、を含んで構成される。複数個のカラーパッチ244は、略同形状(ここでは正方形を例示)であり、色や階調が異なるものが行方向及び列方向に並んで配列されている。カラーパッチ244のそれぞれの配列位置は、数字列246の数字とアルファベット文字列248のアルファベットの組み合わせによって特定することができる。
図12に例示した各カラーパッチ244は、縦方向には10個のカラーパッチ244が隙間なく配置され、横方向には10個のカラーパッチ244が所定間隔の隙間を設けながら配置されている。各カラーパッチ244の色は、CMYK値の各信号レベルの範囲(百分率では0%〜100%、8ビット階調である場合は0〜255)の所定の値が設定されている。数字列246は、図12の上から順に(01)から(10)の文字列として、各カラーパッチ244の左方部にその位置に対応して付されている。一方、アルファベット文字列248は、図12の左から順番に(A)から(J)の文字列として、各カラーパッチ244の上方部にその位置に対応して付されている。
印刷情報250には、印刷機218の機種、シリアル番号若しくは登録名、後述する印刷モード、メディア36の種類、印刷日時等が印刷されている。
図12の例では、100個のカラーパッチ244のそれぞれから分光反射率のデータが取得される。分光反射率のデータは、例えば、光波長がλ=400nmからλ41=800nmの範囲を10nmの等間隔で刻んだ41点のデータを有する構成とすることができる。
[画像処理装置の構成]
図13は画像処理装置216の機能ブロック図である。図13において、図11で説明した構成と同一の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
画像処理装置216は、制御部260、記憶部262、チャートデータ生成部264、光学物性値推定部266、ドットゲイン特性推定部268、測色値予測部270、格子点対応測色値決定処理部272、及び、プロファイル生成処理部274を備える。
制御部260は、画像処理装置216の各部の動作を制御する。記憶部262は、各種のデータを記憶する手段である。記憶部262は、揮発性メモリを含み、ワークメモリとして機能する。また、記憶部262は、不揮発性メモリ、ハードディスクドライブ、若しくは、ソリッドステートドライブ、又はこれらの適宜の組み合わせを含み、データ保存用のストレージとして機能する。記憶部262は、バス276を介して、制御部260、チャートデータ生成部264、光学物性値推定部266、ドットゲイン特性推定部268、測色値予測部270、格子点対応測色値決定処理部272その他の機能部と接続されている。記憶部262に記憶している各種データは、必要に応じて各機能部に供給される。
記憶部262には、光源分光分布データ記憶部278と、保護膜無し印刷物分光反射率データ記憶部280と、プロファイル記憶部282とが含まれる。光源分光分布データ記憶部278には、観察光源の種類に応じた一種類以上の光源の分光分布データが記憶される。好ましくは、複数種類の光源の分光分布データを記憶しておく。分光分布データは必要に応じて、追加、削除、或いは、修正を行うことができる。
保護膜無し印刷物分光反射率データ記憶部280には、保護膜無し印刷物の分光反射率データが記憶される。保護膜無し印刷物の分光反射率データは、保護膜無し印刷物を測色計30によって測色することで取得することができる。また、保護膜無し印刷物の分光反射率データは、可搬型メモリ234から取り込むことも可能である。
プロファイル記憶部282には、印刷標準色のプロファイルや、プロファイル生成処理部274によって生成されたプロファイルなど、各種のプロファイルが記憶される。印刷標準色のプロファイルの一例として、Japan Color(登録商標)プロファイルがある。
チャートデータ生成部264は、保護膜色変化特性把握チャート10(図3参照)やプロファイル作成チャート50(図3参照)などのチャートデータを生成する。
光学物性値推定部266は、保護膜の光学物性値を推定する処理を行う。光学物性値推定部266は、Kubelka-Munkモデル54で使用する一組の光学物性値(本例では、固有反射率R∞と散乱係数Sxのペアを例示)を推定する処理を行う。すなわち、光学物性値推定部266は、図3で説明した保護膜の光学物性値推定処理42を行う。光学物性値推定部266の処理機能が「光学物性値推定機能」の一形態に相当する。光学物性値推定部266によって推定した保護膜の光学物性値の情報は、記憶部262に保存しておくことができる。また、光学物性値推定部266によって推定した保護膜の光学物性値の情報をデータベースDB(図11参照)に蓄積することができる。既に記憶部262やデータベースDBに保存されている保護膜の光学物性値を活用できる場合には、所定のGUIによって保護膜の種類を選択する操作を通じて、記憶部262やデータベースDBから該当する保護膜の光学物性値の情報を取得することができる。
図13のドットゲイン特性推定部268は、保護膜20と印刷物との相互作用によるドットゲイン特性を推定する処理を行う。ドットゲイン特性推定部268は、少なくとも、一次色ドットゲイン増加量特性を推定する処理を行い、より好ましくは、更に、多次色ドットゲイン増加量抑制率を推定する処理を行う。すなわち、ドットゲイン特性推定部268は、図3で説明した一次色のドットゲイン増加量特性取得処理44を行う。また、ドットゲイン特性推定部268は、図3で説明した多次色のドットゲイン増加量抑制率取得処理46を行う構成とすることができる。ドットゲイン特性推定部268は、「相互作用特性推定部」の一形態に相当し、その処理機能が「相互作用特性推定機能」の一形態に相当する。
測色値予測部270は、保護膜付印刷物の測色値を予測する処理を行う処理部である。測色値予測部270は、第一処理部284と第二処理部286とを含んでいる。第一処理部284は、光学物性値推定部266により推定された光学物性値を用いて、Kubelka-Munkモデル54に基づき、保護膜付印刷物の分光反射率(図3で説明したKM予測値Rkmに相当)を予測する処理を行う。第一処理部284による処理の工程が「第一処理工程」の一形態に相当する。測色値予測部270は、図3で説明した測色値算出処理60を実施する演算処理機能を有している。
第二処理部286は、第一処理部284により予測された保護膜付印刷物の分光反射率又は第一処理部284により予測された保護膜付印刷物の分光反射率を基に算出された色予測値(図3で説明したKM予測測色値XYZkmに相当)を、ドットゲイン増加モデル70に基づき、修正する処理を行う。すなわち、第二処理部286は、第一処理部284により予測された保護膜付印刷物の分光反射率又は第一処理部284により予測された保護膜付印刷物の分光反射率を基に算出された色予測値を、ドットゲイン特性推定部268によって推定されたドットゲイン増加量特性を用いて修正する。第二処理部286による
処理の工程が「第二処理工程」の一形態に相当する。測色値予測部270による色予測の機能が「予測機能」の一形態に相当する。
格子点対応測色値決定処理部272は、測色値予測部270で予測した保護膜付印刷物の測色値(「予測測色値」という。)に基づいて色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定する処理を行う。格子点対応測色値決定処理部272による処理の工程が「決定処理工程」の一形態に相当する。
色変換テーブルの格子点とは、例えば、色空間の独立軸(一例として、CMYKのC軸、M軸、Y軸、K軸)のそれぞれについて、信号値の取り得る範囲(変域、又は、値域)を0%から100%で表すとすると、各軸10%の刻みで格子点が設定される(特開2003−289446号公報参照)。なお、格子点を規定する各軸の信号の刻み幅は「10%」に限らない。また、画像信号の信号値として8bitの整数値(0から255)を用いる場合、信号値「0」を0%、信号値「255」を100%として、0から255の間の値を線型式で対応付けることができる。
格子点対応測色値決定処理部272は、CMYKの各格子点に対して、対応する測色値(XYZ値又はLab値)を割り当てる。
プロファイル生成処理部274は、格子点対応測色値決定処理部272によって決定された各格子点に対応する測色値に基づいてプロファイル74(図3参照)を生成する処理を行う。すなわち、プロファイル生成処理部274は、格子点対応測色値決定処理部272の処理結果を基に、デバイス依存色空間の信号値(「デバイス値」と表記する。)とデバイス非依存色空間の座標値(「非デバイス値」と表記する。)の対応関係を表すプロファイルを作成する。
本例のプロファイル生成処理部274は、デバイス値としてのCMYK値と、非デバイス値としてのXYZ値との対応関係を示すCMYK−XYZのプロファイル、又はデバイス値としてのCMYK値と、非デバイス値としてのLab値の対応関係を示すCMYK−Labのプロファイルを生成する。プロファイル生成処理部274による処理の工程が「生成処理工程」の一形態に相当する。プロファイル生成処理部274によって生成されたプロファイルはプロファイル記憶部282に保存することができる。
上記の構成の他、画像処理装置216は、表示装置226との接続を可能にするインターフェース部290と、表示制御部292とを備える。図13において「I/F」の記載は「インターフェース部」を示すものである。表示制御部292は、表示装置226の表示を制御する。また、画像処理装置216は、入力装置228との接続を可能にするインターフェース部294と、測色計30との接続を可能にするインターフェース部296と、可搬型メモリとの接続を可能とするインターフェース部298と、編集装置214との接続を可能にするインターフェース部302とを備える。
また、画像処理装置216は、RIP(Raster Image Processor)部304と、色変換処理部306と、印刷機ドライバ308と、印刷機218側にデータを受け渡すためのデータ出力用のインターフェース部310と、を備える。
RIP部304は、編集装置214から供給された電子原稿のPDL形式をビットマップ形式に展開する処理を行う。RIP部304は、電子原稿のビットマップ形式化の際に、印刷機218の解像度等に対応した解像度変換処理や、画像拡縮処理、印刷フォーマットに対応した画像回転処理、若しくは、画像反転処理、又は、これらの適宜の組み合わせなど、種々の画像処理を行うことができる。
色変換処理部306は、入力プロファイル314と出力プロファイル316を用いて、画像データの色変換処理を行う。色変換処理部306は、入力プロファイル314を用いてデバイス依存データ(デバイス値)からデバイス非依存データ(非デバイス値)に変換する入力側プロファイル処理と、出力プロファイル316を用いてデバイス非依存データ(非デバイス値)からデバイス依存データ(デバイス値)に変換する出力側プロファイル処理とを行う。プロファイル生成処理部274によって生成されたプロファイルを入力プロファイル314又は出力プロファイル316として利用することができる。
「入力プロファイル」という用語は「入力側プロファイル」と同義である。「出力プロファイル」という用語は「出力側プロファイル」と同義である。色変換処理部306は「色変換部」の一形態に相当する。色変換処理部306による色変換処理の機能が「色変換機能」の一形態に相当する。
入力プロファイル314を用いた入力側プロファイル処理と、出力プロファイル316を用いた出力側プロファイル処理とを段階的に実施して色変換を行う構成でもよいし、入力プロファイル314と出力プロファイル316とを一つのテーブルにまとめた色変換テーブルを用いて、一括処理によって色変換を行う構成としてもよい。
なお、色変換処理部306は、印刷機218の印刷モードに応じてプロファイルを補正することができる。印刷モードとは、印刷ヘッドのノズル数、印刷ヘッドの走査時におけるインク射出タイミング(片方向/双方向)、パス数、搭載インク色数及びその種類、インク射出制御用データ作成のアルゴリズム等の、印刷に関する各種設定をいう。
色変換処理部306は、RIP部304により展開された電子原稿のデバイス値(例えば、CMYK値、或いはRGB値)に対して色変換処理を行い、印刷機218による印刷に用いるデバイス依存の画像データ(ここでは、CMYKの画像データ)を生成する。
印刷機ドライバ308は、CMYK値で表される画像データから、印刷機218による印刷の制御に用いる印刷制御用データを生成する。図11に示したインクジェット方式の印刷機218の場合、CMYK値からインク各色(C、M、Y、K、LC、LM、又はW)に対応するインク射出制御用データを作成する。このインク射出制御用データは、印刷機218のインク射出動作(ON/OFFやインクドット径の大小等)との間でその印刷機218固有のデータ定義に従って関連付けられている。その際、8ビット等の多階調画像(連続調画像)から2値画像等の低階調画像への変換(「量子化処理」或いは「ハーフトーン処理」と呼ばれる処理)を要するが、ディザマトリクス法や誤差拡散法等の公知のアルゴリズムを用いることができる。
図13では、印刷機218として無版式のデジタル印刷機であるインクジェット印刷機を想定しているが、印刷機ドライバ308の構成を印刷機218側に搭載する形態も可能である。また、インクジェット印刷機に代えて、印刷版を用いる有版式の印刷機を採用する場合は、画像データから印刷版を作るプレートレコーダ等の製版装置(不図示)と、その製版装置によって得られた印刷版を用いて印刷を行う印刷機と、を備えるシステム構成となる。
測色計30で測定した分光反射率の情報を取り込むインターフェース部296が「分光反射率取得部」の一形態に相当し、分光反射率の情報を取り込む機能が「分光反射率取得機能」の一形態に相当する。また、光源分光分布データ記憶部278やデータベースDBから、演算に必要な分光分布データを読み出して測色値予測部270に提供する制御部260の機能が「分光分布取得部」の一形態に相当し、観察光源の分光分布データを取り込む機能が「分光分布取得機能」の一形態に相当する。
画像処理装置216の機能は、コンピュータシステムによって実現することが可能であり、画像処理装置216は「色変換システム」の一形態に相当する。例えば、画像処理装置216において説明した測色値予測部270の色予測機能を実現する印刷色予測装置としてのコンピュータと、プロファイル生成処理部274のプロファイル生成機能を実現するプロファイル生成装置としてのコンピュータと、色変換処理部306の色変換機能を実現する色変換装置としてのコンピュータとを組み合わせて、画像処理装置216の機能を実現することができる。
[印刷色予測方法]
図14は本実施形態による印刷色予測方法の工程を整理したフローチャートである。
本実施形態による印刷色予測方法は、保護膜無し印刷物の分光反射率を取得する分光反射率取得工程(ステップS11)と、保護膜の光学物性値を推定する光学物性値推定工程(ステップS12)と、観察光源の分光分布を取得する分光分布取得工程(ステップS13)と、保護膜と印刷物との相互作用による色変化特性を推定する相互作用特性推定工程(ステップS14)と、保護膜付印刷物の測色値を予測する測色値予測工程(ステップS15)と、を含む。ステップS15は「予測工程」に相当する。分光反射率取得工程(ステップS11)における保護膜無し印刷物の分光反射率を取得する処理が「分光反射率取得処理」に相当する。光学物性値推定工程(ステップS12)における保護膜の光学物性値を推定する処理が「光学物性値推定処理」に相当する。分光分布取得工程(ステップS13)における観察光源の分光分布を取得する処理が「分光分布取得処理」に相当する。相互作用特性推定工程(ステップS14)における相互作用による色変化特性を推定する処理が「相互作用特性推定処理」に相当する。
図15は、光学物性値推定工程(図14のステップS12)の内容を示したフローチャートである。
図15に示すように、光学物性値推定工程は、保護膜無しの少なくとも二種の下地の分光反射率を取得する工程(ステップS21)と、少なくとも二種の下地の上に保護膜を配置した状態で分光反射率を取得する工程(ステップS22)と、ステップS21及びステップS22で得られる分光反射率を用いて下地毎に数理モデルに基づく関係式を立て、下地毎の関係式を連立して解く演算工程(ステップS23)と、を含む。
図16は、測色値予測工程(図14のステップS15)の内容を示したフローチャートである。
図16に示すように、測色値予測工程は、保護膜の光学物性値を用いてKubelka-Munkモデルに基づき保護膜付き印刷物の分光反射率を予測する工程(ステップS31)と、ステップS31で予測された保護膜付印刷物の分光反射率から予測測色値を算出する測色値算出工程(ステップS32)と、ステップS32で算出された予測測色値に対して、相互作用による色変化特性を適用して予測測色値を修正する工程(ステップS33)と、を含む。
ステップS31は「第一処理工程」に相当し、ステップS33は「第二処理工程」に相当する。
図17は、測色値予測工程(図14のステップS15)の他の内容例を示したフローチャートである。図17において、図16で説明した例と同一の工程には同一のステップ番号を付した。
図17に示すように、測色値予測工程は、保護膜の光学物性値を用いてKubelka-Munkモデルに基づき保護膜付き印刷物の分光反射率を予測する工程(ステップS31)と、ステップS31で予測された分光反射率に対して、相互作用による色変化特性を適用して分光反射率を修正する工程(ステップS34)と、ステップS34で修正された予測分光反射率から予測測色値を算出する測色値算出工程(ステップS36)と、を含む構成とすることができる。
[プロファイル生成方法]
図18は、本実施形態によるプロファイル生成方法の工程を整理したフローチャートである。図18は、図14で説明した印刷色予測方法のプロセス(ステップS11〜S15)を内包しており、図14で説明した工程と共通する工程には同一のステップ番号を付し、その説明は省略する。図18のプロファイル生成方法では、ステップS11において、保護膜無し印刷物として、保護膜無しのカラーチャート(本例では、保護膜無しのプロファイル作成チャート50)を用い、各パッチの分光反射率を取得する。そして、ステップS12からステップS15の工程によって保護膜付きの各パッチの測色値を予測する。保護膜付きの各パッチが「保護膜付印刷物」に相当するものとなる。
更に、本実施形態によるプロファイル生成方法は、ステップS15で予測した保護膜付の各パッチの測色値(予測測色値)に基づいて、多次元の色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定する決定処理工程(ステップS41)と、ステップS41で決定した各格子点と測色値の対応関係に基づきプロファイルを生成する生成処理工程(ステップS42)と、を含む。
[色変換について]
上記で作成した保護膜付印刷物のプロファイルを色変換処理部306(図13参照)に適用して色変換に利用する。以下、具体的な利用例1〜4について説明する。
[利用例1:保護膜付印刷物の色のシミュレーション(プルーフ)を実施する例]
図19は利用例1の説明図である。利用例1は、保護膜付印刷物の色をモニタやプリンタに出力して確認する利用形態である。利用例1では、実際の印刷物として保護膜を被覆することなく(保護膜付印刷物を実際に作成することなく)、モニタの表示や、プリンタで出力する保護膜無しの印刷物によって、目的とする保護膜付印刷物の色を確認できる構成である。
図19に示す利用形態では、保護膜付印刷物のプロファイルを入力プロファイル314として用い、プルーフ出力機器330のプロファイルを出力プロファイル316として用いる。プルーフ出力機器330には、モニタ332やプリンタ334を用いることができる。プルーフ出力機器330の機種や形態は特に限定されない。モニタ332として、表示装置226(図11及び図13参照)を用いることができる。また、プリンタ334として印刷機218(図11及び図13参照)を用いることができる。
原稿画像340を示す画像データを色変換処理部306によって色変換してプルーフ出力機器330に出力する。図19では、色変換処理部306に入力する画像データとしてCMYK値の画像データが示されている。
色変換処理部306では、入力プロファイル314を用いた入力側プロファイル処理により、CMYK値の画像データからXYZ値又はLab値のデータに変換される。また、出力プロファイル316を用いた出力側プロファイル処理により、XYZ値又はLab値のデータから、CMYK値又はRGB値のデータに変換される。プルーフ出力機器330としてモニタ332を用いる場合には、色変換処理部306からRGB値のデータがモニタ332側に提供される。プルーフ出力機器330としてプリンタ334を用いる場合には、色変換処理部306からCMYK値のデータがプリンタ334側に提供される。
こうして、プルーフ出力機器330によって、保護膜付印刷物のシミュレーションプルーフ342が生成される。保護膜付印刷物のシミュレーションプルーフ342は、モニタ332に表示される表示画像やプリンタ334によって印刷された印刷物(保護膜が被覆されていないもの)である。
こうして得られる保護膜付印刷物のシミュレーションプルーフ342に基づき、保護膜付印刷物を実際に作成することなく、シミュレーションプルーフ342で仕上がりの色のイメージを簡易に確認することができる。
オペレータは、保護膜付印刷物のシミュレーションプルーフ342を見て、必要に応じて画像の調整を行う。図19では「画像調整工程S50」として記載した。画像調整工程S50における調整作業には、画像データの信号値を修正する処理が含まれる。
画像調整工程S50による調整後の画像データを色変換してプルーフ出力機器330に出力することにより、調整後の画像データに対する保護膜付印刷物のシミュレーションプルーフ342を得ることができる。このような作業サイクルを1回又は複数回を繰り返すことにより、所望の仕上がりが見込める画像データが得られる。
シミュレーションプルーフ342によって色を確定した後、調整後の画像データを用いて印刷用の出力画像344を生成する。原稿画像340から画像調整工程S50を経て、色変換処理を行うことにより出力画像344を生成する工程を図19では「画像データ色調整工程S52」として記載した。
こうして得られた出力画像344に基づき、製版及び/又は印刷が実施され、印刷物346が得られる。製版及び/又は印刷を実施する工程を「製版/印刷工程S54」と記載した。印刷物346は、保護膜を被覆する前の、つまり保護膜が非被覆の状態の印刷物である。この印刷物346に対して、保護膜を被覆する保護膜被覆工程S56が実施され、保護膜付印刷物348が得られる。
保護膜被覆工程S56による保護膜被覆後の印刷物である保護膜付印刷物348の色は、シミュレーションプルーフ342で確定した色と、精度よく合致するものとなる。
図19で説明した利用例1によれば、色調整の段階で保護膜付印刷物を実際に作成することなく、シミュレーションプルーフ342によって、仕上がりの色を簡易に確認することができるため、「仕上がり確認→画像調整(修正)→仕上がり確認→…」のサイクルを早く回せるようになり、色調整の作業にかかる時間の短縮が可能となる。また、利用例1によれば、印刷及び保護膜被覆の工数及び/又はコストの削減が可能である。
[利用例2:保護膜による色変化の補正を行う例]
図20は利用例2の説明図である。利用例2は、ある確定済みの色再現目標(目標プロファイル)が存在する場合に、保護膜被覆後の色が色再現目標と合うように、画像データを予め補正(色変換)して印刷する利用形態である。保護膜を被覆した場合の色変化を考慮せずに、目標プロファイルでそのまま印刷すると、保護膜被覆後に色が変化し、色再現目標との間に差が出てしまう。この点、本実施形態の利用例2によって印刷される印刷物に対して保護膜を被覆すると色再現目標の色と合うものとなる。なお、「色が合う」という表現は、厳密に色が一致する場合に限らず、色の差が許容可能な誤差の範囲内に収まることを含む。
図20において、図19で説明した構成と同一又は類似の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図20に示す利用例2では、色再現目標である目標プロファイルを入力プロファイル314として用い、保護膜付印刷物のプロファイルを出力プロファイル316として用いる。
色再現目標の例として、Japan Color(登録商標)等の印刷標準色や、保護膜無し印刷物とすることができる。印刷標準色が色再現目標である場合は、印刷標準色のプロファイルが目標プロファイルとなる。また、色再現目標が保護膜を被覆しない状態の印刷物(保護膜無し印刷物)である場合は、当該保護膜無し印刷物のプロファイル(つまり、印刷機のプロファイル)が目標プロファイルとなる。
このよう入力プロファイル314と出力プロファイル316の組み合わせを用いて原稿画像340の色変換を行って得られる出力画像344は、保護膜による色変化分が補正された画像となる。したがって、この出力画像344を基に製版/印刷工程S54を行い、得られた印刷物346に保護膜を被覆すると、保護膜被覆後の保護膜付印刷物348の色は再現目標の色と合うものになる。
[利用例3:保護膜A付印刷物の色を保護膜B付印刷物で再現する例]
図21は利用例3の説明図である。「保護膜A」と「保護膜B」は、互いに異なる保護膜であることを表している。保護膜の材料、及び、厚さ(膜厚)のうち、少なくとも一方が異なる場合は「互いに異なる保護膜」として把握される。
利用例3は、色再現の目標とする保護膜A付印刷物350の色と、保護膜B付印刷物352の色を合わせる利用形態である。利用例3は、例えば、一度、ある保護膜Aについて、保護膜A付きで色を確定した後に、保護膜を保護膜Bに変更する必要が生じた場合に利用する。図21において、図19で説明した構成と同一又は類似の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図21に示す利用例3では、保護膜A付印刷物のプロファイルを入力プロファイル314として用い、保護膜B付印刷物のプロファイルを出力プロファイル316として用いる。そして、保護膜A付き印刷物を印刷した際の出力画像354のデータを色変換する。この色変換処理によって得られた出力画像344を基に印刷された印刷物346に保護膜Bを被覆することにより、保護膜B付印刷物352が得られる。こうして作成された保護膜B付印刷物352の色は、保護膜A付印刷物350の色と合うものになる。
[利用例4:印刷機Aによる保護膜付き印刷物の色を、印刷機Bによる保護膜付き印刷物で再現する例]
図22は利用例4の説明図である。「印刷機A」と「印刷機B」は、互いに異なる印刷機であることを表している。例えば、印刷機Aをオフセット印刷機、印刷機Bをインクジェットプリンタとする。利用例4は、オフセット印刷機と保護膜の組み合わせによって実現される色(保護膜の質感を含む)を、インクジェットプリンタと保護膜の組み合わせで再現するような場合の利用形態である。
図22では、印刷機Aで印刷された印刷物に保護膜を被覆した保護膜付印刷物を「保護膜付きの印刷機A印刷物360」と記載する。また、印刷機Bで印刷された印刷物に保護膜を被覆した保護膜付印刷物を「保護膜付きの印刷機B印刷物362」と記載する。保護膜付きの印刷機A印刷物360の保護膜と、保護膜付きの印刷機B印刷物362の保護膜は、同じ保護膜である。
利用例1で説明した色変換の利用形態では、保護膜を実際に被覆しないで保護膜付き印刷物の色再現をモニタやプリンタでシミュレーションするものであったが、保護膜による光沢感などの質感は実際に保護膜を被覆しないと再現できない。
利用例4のような構成にすることで、実際にオフセット印刷機(印刷機A)で印刷することなく、印刷機Bとしてのインクジェットプリンタと保護膜の組み合わせによって、オフセット印刷機(印刷機A)と保護膜の組み合わせによる仕上がりの色と質感をシミュレーションできるようになる。図22では、印刷機Aを図示せず、印刷機Bを符号366で示した。図22において、図19で説明した構成と同一又は類似の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図22に示す利用例4では、保護膜付きの印刷機A印刷物のプロファイルを入力プロファイル314として用い、保護膜付き印刷機B印刷物のプロファイルを出力プロファイル316として用いる。そして、印刷機Aで印刷する出力画像364のデータを色変換する。この色変換処理によって得られた出力画像344を基に、印刷機B366によって印刷を行い、得られた印刷物346に保護膜を被覆することにより、保護膜付きの印刷機B印刷物362が得られる。こうして作成された保護膜付きの印刷機B印刷物362は、保護膜付きの印刷機A印刷物の色と質感が合うものとなる。
ここで、保護膜の光学物性値は保護膜固有の特性であるため、印刷機A側と印刷機B側で同一の保護膜を使用する場合、どちらのプロファイル作成にも同じ光学物性値が適用できる。しかし、ドットゲイン増加特性は保護膜と印刷物の相互作用による光学的ドットゲインの変化であるため、印刷の網点種類等により特性が異なる。網点種類には、AM(Amplitude Modulation)スクリーンの線数や、AM網点又はFM(Frequency Modulation)網点の種類の違いなどが含まれる。つまり、印刷機A側と印刷機B側で網点種類が異なる場合は、それぞれで保護膜によるドットゲイン増加特性を予め取得し、それぞれで別のドットゲイン増加特性を適用する必要がある。
[色変換処理のフロー]
利用例1から利用例4で例示したように、図18で説明したプロファイル生成処理によって生成された保護膜付印刷物のプロファイルは、色変換処理部306(図13参照)の入力プロファイル314又は出力プロファイル316として用いられる。
図23は、本実施形態による色変換方法のフローチャートである。図23のフローチャートは図19から図22で説明した利用例1から利用例4に共通する包括的な手順を示すものとなっている。
本実施形態の色変換処理に必要な準備として、図18で説明したプロファイル生成処理によって保護膜付印刷物のプロファイル174を生成しておく。図23に示した保護膜付印刷物のプロファイル174は、図3で説明したプロファイル74に対応している。
そして、保護膜付印刷物のプロファイル174を、入力側プロファイル処理の入力プロファイル314、又は出力側プロファイル処理の出力プロファイル316として設定する(ステップS111、ステップS112)。なお、入力プロファイルを設定する処理(ステップS111)と、出力プロファイルを設定する処理(ステップS112)の処理順番は前後の入れ替えが可能であり、また、両方の設定処理を同時に実施してもよい。
ステップS111及びステップS112に関して、図19で説明した利用例1では、保護膜付印刷物のプロファイル174を入力プロファイル314に設定する。図20で説明した利用例2では、保護膜付印刷物のプロファイル174を出力プロファイル316に設定する。図21で説明した利用例3では保護膜付印刷物のプロファイル174(図23参照)として「保護膜A付印刷物のプロファイル」と「保護膜B付印刷物のプロファイル」の二種が生成されており、「保護膜A付印刷物のプロファイル」を入力プロファイル314に設定し、かつ、「保護膜B付印刷物のプロファイル」を出力プロファイル316に設定する。図22で説明した利用例4では、保護膜付印刷物のプロファイル174として「保護膜付きの印刷機A印刷物のプロファイル」と、「保護膜付きの印刷機B印刷物のプロファイル」の二種が生成されており、「保護膜付きの印刷機A印刷物のプロファイル」を入力プロファイル314に設定し、かつ、「保護膜付きの印刷機B印刷物のプロファイル」を出力プロファイル316に設定する。
図23のステップS111及びS112により、入力プロファイルと出力プロファイルのそれぞれを設定した後、これらのプロファイルを用いて、対象画像180のデータに対して色変換を行う(ステップS130)。ステップS130の色変換の処理によって、色変換後の画像としての出力画像184のデータが得られる。
図19で説明した利用例1の場合の対象画像180とは、原稿画像340、又は、原稿画像340から画像調整された調整後画像である。また、利用例1の場合の出力画像184とは、図19に示した出力画像344、又は、プルーフ出力機器330に与える色変換後画像である。
図20で説明した利用例2の場合の対象画像180とは、原稿画像340である。図21で説明した利用例3の場合の対象画像180とは、保護膜A付印刷物の出力画像354である。図22で説明した利用例4の場合の対象画像180とは、印刷機Aの出力画像364である。また、図20〜図22の出力画像344は、図23に示した出力画像184に相当するものである。
図24は、本実施形態による色変換方法の例を示すフローチャートである。図24のフローチャートは、利用例3と利用例4で例示した構成に共通する包括的な手順を示すものとなっている。図24では、図18で説明したプロファイル生成処理のプロセスを二種の印刷物に適用して、第一プロファイル174Aと、第二プロファイル174Bを得て、これらをそれぞれ入力プロファイル、出力プロファイルとして用いて、色変換を行う流れとなっている。
図24のフローチャートに示したステップ番号等の符号は、図18及び図23で説明したフローチャートの説明で用いた符号と対応しており、図23で説明したフローチャートと共通する要素や工程には同一の符号を用いた。図24において、符号の末尾に追記した「A」と「B」は二種の印刷物の違いを表している。図24に示した工程の内容については、図18及び図23で説明済みであるため、図24の記載をもって、詳細な説明は省略する。
図24のステップS11Aに示した保護膜無しの第一プロファイル作成チャートの分光反射率を取得する工程は、「第一印刷物としての第一カラーチャートの分光反射率」を取得する工程に相当している。図24のステップS11AからステップS15Aの印刷色予測処理によって第一保護膜付印刷物としての「保護膜付きの第一プロファイル作成チャート」の測色値が予測される。そして、得られた予測測色値に基づいて第一色変換テーブルの各格子点に対応する測色値が決定され(ステップS41A)、第一プロファイルが生成される(ステップS42A)。こうして得られた第一プロファイル174Aが入力プロファイルとして設定される(ステップS111A)。
同様に、ステップS11Bに示した保護膜無しの第二プロファイル作成チャートの分光反射率を取得する工程は、「第二印刷物としての第二カラーチャートの分光反射率」を取得する工程に相当している。図24のステップS11BからステップS15Bの印刷色予測処理によって第二保護膜付印刷物としての「保護膜付きの第二プロファイル作成チャート」の測色値が予測される。そして、得られた予測測色値に基づいて第二色変換テーブルの各格子点に対応する測色値が決定され(ステップS41B)、第二プロファイルが生成される(ステップS42B)。こうして得られた第二プロファイル174Bが出力プロファイルとして設定される(ステップS112)。
図21で説明した利用例3は、第一保護膜と第二保護膜とが互いに異なる保護膜の場合の例である。利用例3で述べた「保護膜A付印刷物のプロファイル」が第一プロファイル174Aに相当し、「保護膜B付印刷物のプロファイル」が第二プロファイル174Bに相当する。
図22で説明した利用例4は、第一保護膜と第二保護膜とが同じ保護膜である場合の例である。利用例4で述べた「保護膜付きの印刷機A印刷物のプロファイル」が第一プロファイル174Aに相当し、「保護膜付きの印刷機B印刷物のプロファイル」が第二プロファイル174Bに相当する。
[黒点補正について]
上述した色変換の処理に関する他の追加構成として、色変換の際に黒点補正をする構成も可能である。保護膜の種類によっては色再現域(ガマット)が大きく変化するため、測色的な一致を狙った色変換ではシャドー側の階調がつぶれてしまい好ましくない結果となることも考えられる。そこで、黒点補正処理を追加できる構成を含むことが好ましい。
黒点補正とは、第1プロファイルに係るガマット(以下、「第1ガマット」という。)境界上の黒点の色値と、第2プロファイルに係るガマット(以下、「第2ガマット」という。)境界上の黒点の色値とを一致させるようにマッピングする色変換処理である。
黒点補正を行うアルゴリズムとしては、例えば、特開2004−153554号公報に開示された手法を用いることができる。この手法の概要について図25(A)〜(C)を参照しながら説明する。
図25(A)〜(C)は、黒点補正によるガマット変換過程を説明する図である。図2(A)は、黒点補正を行う前の第1ガマット370(実線で囲む領域)及び第2ガマット372(破線で囲む領域)の位置関係を示すグラフである。このグラフの横軸はa*、縦軸はL*で定義されており、三次元色空間L***の断面図を表す。図25(B)及び図25(C)に示すグラフの軸定義についても同様である。
例えば、第1ガマット370は、第1メディアに保護膜を被覆せずに光源PS下で観察した場合のガマットであるとする。また、第2ガマット372は、第1メディアに保護膜を被覆して光源PS下で観察した場合のガマットであるとする。すなわち、保護膜の被覆の有無によって第1ガマット370と第2ガマット372との差異が生じた場合について考える。
第1ガマット370における白点wt1が(L* wt1,a* wt1,b* wt1)、黒点bk1が(L* bk1,a* bk1,b* bk1)であるとする。また、第2ガマット372における白点wt2が(L* wt2,a* wt2,b* wt2)、黒点bk2が(L* bk2,a* bk2,b* bk2)であるとする。
先ず、第1ガマット370の黒点bk1と第2ガマット372の黒点bk2とを一致させるように、各ガマットを下方に平行移動する。第1ガマット370、第2ガマット372の黒点補正後の色値をそれぞれ(L1’,a1’,b1’)、(L2’,a2’,b2’)とするとき、各ガマットの変換式は次の式(11)及び式(12)で表される。
(L1’,a1’,b1’)=(L*−L* bk1,a*−a* bk1,b*−b* bk1) …(11)
(L2’,a2’,b2’)=(L*−L* bk2,a*−a* bk2,b*−b* bk2) …(12)
このようにして平行移動後の第1ガマット370s、第2ガマット372sが得られる(図25(B)参照)。図25(B)に示すように、黒点bk1の変換後の黒点bk1’の色値、黒点bk2の変換後の黒点bk2’の色値はともに(0,0,0)で一致する。
次いで、bk1’とbk2’の一致性を維持しつつ、第1ガマット370sの白点wt1’と第2ガマット372sの白点wt2’とを一致させるようにガマット変換を行う。ここで、第1ガマット370sの領域は第2ガマット372sの領域よりも大きいので、第2ガマット372sを上方に拡大する変換を行う。
本実施の形態では、色順応モデルの一種であるVon−Kries変換を応用して、黒点を固定しつつ白点を一致させる方法を用いている。変換アルゴリズムはこれに限られることなく、例えば、ガマットの相似変換(比率の変更)、Bradford変換、CIECAM97s変換、CIECAM02s変換等を用いてもよい。
第2ガマット372sから第2ガマット372kへのVon-Kries変換式は次の式(13)で表される。

ここで、(X’,Y’,Z’)はガマット変換前の色値であり、(X”,Y”,Z”)はガマット変換後の色値であり、[M-1]は[M]の逆変換行列であり、[M]は色値XYZから目の錐体の応答と関係する色値PQRに変換するための3×3行列である。その他の変数は、次の式(14)式で表される。

なお、白点wt1’、白点wt2’の色値をそれぞれ(Xwt1’,Ywt1’,Zwt1’)、(Xwt2’,Ywt2’,Zwt2’)とする。
ところで、上記のように2段階にわたってガマット変換を行うのではなく、第2ガマット372から第2ガマット372kに直接変換してもよい。その変換式は、次の式(15)及び式(16)のように表すことができる。


なお、第2ガマット372の白点wt2、黒点bk2の色値をそれぞれ(Xwt,Ywt,Zwt)、 (Xbk,Ybk,Zbk)としており、第2ガマット372kの白点wt2”、黒点bk2”の色値をそれぞれ(Xwt”,Ywt”,Zwt”)、 (Xbk”,Ybk”,Zbk”)としている。
ところで、L***とXYZとの関係は、次の式(17)〜式(19)で表される。

ここで、(XST,YST,ZST)は基準色値を表す。式(17)〜式(19)の逆変換によって、色値(L*,a*,b*)から色値(X,Y,Z)に一意に変換することができる。
このようにして、Von-Kries変換後の第2ガマット372kが得られる。図25(C)に示すように、白点wt1’の色値、白点wt2’の変換後の白点wt2”の色値は一致する。
以上のように、第1プロファイルに係る黒点の色値と第2プロファイルに係る黒点の色値とを一致させるようにマッピング(本実施の形態では、ガマットの平行移動)をすることにより、第1印刷物と第2印刷物との間において、特にシャドー領域内の色再現性を略一致させることができる。
[色変化特性パラメータの調整について]
図3で説明した色変化特性パラメータ推定処理40によって得られたパラメータをGUI(Graphical User Interface)で調整できる構成とすることが好ましい。
図26は色変化特性パラメータを調整するための調整用GUI画面の一例を示す図である。図26の「保護膜パラメータ」という記載は「色変化特性パラメータ」を意味している。図26に示す保護膜パラメータ調整画面380は、保護膜の光学物性値を調整するための光学物性値調整GUI表示領域382と、保護膜と印刷物の相互作用によるドットゲイン特性のパラメータを調整するためのドットゲイン特性調整GUI表示領域384と、を備える。
図26では、光学物性値調整GUI表示領域382が保護膜パラメータ調整画面380の上段に配置され、ドットゲイン特性調整GUI表示領域384が保護膜パラメータ調整画面380の下段に配置された例を示しているが、画面上における表示レイアウトの形態は図24の例に限らない。上段と下段の配置関係を入れ替えてもよいし、左右に並べて配置してもよい。或いはまた、光学物性値調整GUI表示領域382と、ドットゲイン特性調整GUI表示領域384のそれぞれを別々のウインドウで表示させてもよい。
光学物性値調整GUI表示領域382は、座標表示欄390と、二つのテキストボックス392、394と、スライダーバーのゲージ400と、スライダー402と、一つのテキストボックス404と、グラフ表示欄406と、を有する。
座標表示欄390は、散乱係数Sxと吸収係数Kxのそれぞれについて調整可能な範囲(ともに0.0〜2.0)を表示している。横軸は散乱係数の調整量Csを表し、縦軸は吸収係数の調整量Ckを表している。調整量Cs,Ckの数値は、それぞれ散乱係数Sx、吸収係数Kxに対する調整係数(乗数)として作用する。調整なしの場合は「1.0」である。
座標表示欄390は、座標ポイント396によって散乱係数と吸収係数のバランスを示すものとなっている。座標ポイント396を入力装置228(図13参照)のマウス操作やタッチ操作等によって動かすことにより、バランスを設定することができる。座標ポイント396の位置と調整量(Cs,Ck)の数値入力は連動している。
座標表示欄390の下部に配置されたテキストボックス392には散乱係数の調整量Csの数値が表示される。同図では調整量Csの数値として「1.2」が例示されている。座標表示欄390の左部に配置されたテキストボックス394には吸収係数の調整量Ckの数値が表示される。同図では調整量Ckの数値として「0.8」が例示されている。テキストボックス392、394の数値を入力装置228(図13参照)のキー入力の操作等によって直接変更することも可能であり、数値の変更に連動して座標ポイント396の位置が変更される。ゲージ400は、保護膜の膜厚(x)として設定可能な範囲(0.0〜2.0)を表示している。ゲージ400の横軸は膜厚の調整量Cxを表している。膜厚の調整量Cxの数値は、膜厚(x)に対する調整係数(乗数)として作用する。調整なしの場合は「1.0」である。入力装置228(図13参照)のマウス操作やタッチ操作等により、スライダー402を図26の左右方向に移動させ、保護膜の膜厚を調整することができる。ゲージ400の左部に配置されたテキストボックス404には膜厚の調整量Cxの数値が表示される。同図では膜厚の調整量Cxの数値として「0.8」が例示されている。ゲージ400とスライダー402によるスライダーバーと数値入力は連動しており、入力装置228(図13参照)からのキー入力の操作などにより、テキストボックス404に所望の数値を入力して、保護膜の膜厚(x)の値を変更することができる。
グラフ表示欄406には、現在の調整状態による光学物性値のパラメータが表示される。すなわち、グラフ表示欄406は、現在の調整状態の散乱係数Sxと吸収係数Kxのグラフが表示される。グラフの横軸は波長(単位はナノメートル[nm])を示し、縦軸は各係数の値を示す。
保護膜の散乱/吸収の各パラメータは、散乱係数の調整量Cs、吸収係数の調整量Ck、及び膜厚の調整量Cxとした場合、調整後の各パラメータは、波長毎に以下の式で算出する。
Kx(調整後)=Kx(調整前)×Ck×Cx
Sx(調整後)=Sx(調整前)×Cs×Cx
次に、ドットゲイン特性調整GUI表示領域384について説明する。ドットゲイン特性調整GUI表示領域384は、グラフ表示欄410と、三つのスライダーバーのゲージ420、430、440と、ゲージ420、430、440毎のスライダー422、432、442と、三つのテキストボックス424、434、444と、を有する。
グラフ表示欄410には、一次色のドットゲイン増加量特性のグラフが表示される。ここに示されるグラフは、図3で説明したように、横軸が保護膜無し実質面積率を示し、縦軸は一次色ドットゲイン増加量(Δdg)を示している。各色のグラフについて、入力装置228(図13参照)のマウス操作やタッチ操作などにより、グラフ上のポイントを動かしてパラメータ値を調整することができる。
ゲージ420とスライダー422は、二次色のドットゲイン増加量抑制率を調整するためのスライダーバーである。ゲージ420は、ドットゲイン増加量抑制率として設定可能な範囲(0.0〜1.0)を表示している。ゲージ420の左部に配置されたテキストボックス424には二次色のドットゲイン増加量抑制率の数値が表示される。
ゲージ430とスライダー432は、三次色のドットゲイン増加量抑制率を調整するためのスライダーバーである。ゲージ430の左部に配置されたテキストボックス434には三次色のドットゲイン増加量抑制率の数値が表示される。
ゲージ440とスライダー442は、四次色のドットゲイン増加量抑制率を調整するためのスライダーバーである。ゲージ440の左部に配置されたテキストボックス44には次色のドットゲイン増加量抑制率の数値が表示される。
スライダー422、432、442の操作と数値入力が連動する点や、テキストボックス424、434、444への直接的な数値入力が可能である点は、既に説明した膜厚調整用のスライダー402とテキストボックス404の関係と同様である。
また、図26に示す保護膜パラメータ調整画面380は、OKボタン452と、シミュレーション表示ボタン454と、キャンセルボタン456とを有している。「ボタン」という記載は、GUIボタンを意味している。なお、GUIボタンについて「押す」という表現には、クリックする、タッチする、或いは、マウスオーバーなど、ボタンに対応した指令の入力を行う動作が含まれる。
OKボタン452が押されると、パラメータの調整値の設定が保存される。キャンセルボタン456が押されると、調査作業が取り消され、保護膜パラメータ調整画面380が閉じられて設定作業を終了する。
シミュレーション表示ボタン454が押されると、表示装置226(図13参照)の画面上で印刷色予測シミュレーションを開始する。すなわち、保護膜付印刷物の印刷色を表示装置226の画面上に擬似的に再現し、見え方の予測や評価等をすることができる。表示装置226は、高輝度かつ高精細のモニタであることが好ましい。
図26で説明した保護膜パラメータ調整画面380で調整した結果は、モニタ上でシミュレーション表示して確認することができる。シミュレーション表示の色変換については、[利用例1]で説明したとおりである。
[プロファイルの調整について]
図13のプロファイル生成処理部274によって作成した保護膜付印刷物のプロファイルを更に調整できる構成を追加し、調整後のプロファイルを色変換処理時の保護膜付き印刷物のプロファイルとして使用するようにしてもよい。
プロファイルの調整の仕方としては、例えば、保護膜無し印刷物のプロファイルのLUT(データ上網点面積率→測色値の対応関係)と保護膜付き印刷物のプロファイルのLUT(データ上網点面積率→測色値の対応関係)を所定の比率によってブレンドする方法がある。具体的には、同一のデータ上網点面積率に対する上記二つのLUTの出力値(測色値)の重み付き平均値を調整後プロファイルのLUTの前記データ上網点面積率に対する出力値とする。つまり、あるデータ上網点面積率に対する保護膜無し印刷物のプロファイルのLUT出力値を(X,Y,Z)、保護膜付き印刷物のプロファイルのLUT出力値を(X,Y,Z)、重みをw(0≦w≦1)とした場合、調整後の測色値(X’,Y’,Z’)は次式となる。なお、w=1の場合は、調整前の保護膜付きプロファイルと一致する。
’ = (1−w)・X+w・X
’ = (1−w)・Y+w・Y
’ = (1−w)・Z+w・Z
これを、LUTの格子点全てに対して適用し、LUTの出力値である測色値を(X’,Y’,Z’)に置き換える。
このような調整を可能な構成とすることにより、保護膜による色変化の補正の効果やシミュレーションの効果を簡易に調整することが可能となる。例えば、色補正の効き目を若干小さくしたい場合には、wを「1.0」から「0.9」と調整するなどの利用が可能である。
[画像処理装置の他の構成例]
図27は画像処理装置216の他の構成例を示した機能ブロック図である。図27において、図13に示した構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。図27に示した画像処理装置216は、図13に示した構成に加え、黒点補正処理部462と、パラメータ調整処理部464と、プロファイル調整処理部466とを備えている。
黒点補正処理部462は、図25(A)〜(C)で説明した黒点補正の処理を行う。パラメータ調整処理部464は、図26で説明した色変化パラメータの調整処理を行う。プロファイル調整処理部466は、上述したプロファイルの調整処理を行い、調整後のプロファイルを生成する。プロファイル調整処理部466による調整処理は「プロファイル生成処理工程」の一部に含まれる処理であると把握することができる。
<コンピュータを画像処理装置として機能させるプログラムについて>
上述の実施形態で説明した画像処理装置216として、コンピュータを機能させるためのプログラムをCD−ROMや磁気ディスクその他のコンピュータ可読媒体(有体物たる非一時的な情報記憶媒体)に記録し、該情報記憶媒体を通じて当該プログラムを提供することが可能である。このような情報記憶媒体にプログラムを記憶させて提供する態様に代えて、インターネットなどの通信ネットワークを利用してプログラム信号をダウンロードサービスとして提供することも可能である。また、画像処理装置216をアプリケーションサーバとして提供し、通信ネットワークを通じて処理機能を提供するサービスを行うことも可能である。
また、このプログラムをコンピュータに組み込むことにより、コンピュータに画像処理装置216の各機能を実現させることができ、上述の実施形態で説明した画像処理機能を実現することができる。
[実施形態の利点]
上述した本発明の実施形態によれば、保護膜と下地印刷物の相互作用による色変化特性に基づく、中間調のドットゲイン補正処理としてのドットゲイン増加モデル70による処理が含まれている。これにより、従来技術と比べて、保護膜付印刷物の色予測精度が一層向上する。また、本実施形態で説明した色予測結果から作成したプロファイルを用いた色変換処理を行うことにより、シミュレーションの精度や色補正の精度が向上する。
以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものでは無く、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有するものにより、多くの変形が可能である。
[変形の例示1]
本実施形態では、プロファイル作成チャート50として例示した図12のカラーチャート238cが有するカラーパッチ244の個数を100個、分光データの数を41点、光波長の間隔を10nmとしているが、色再現精度、画像処理時間等を総合的に勘案し、これらを自由に変更できるように構成してもよい。
[変形の例示2]
また、本実施の形態では、保護膜付印刷物の測色値の予測式としてKubelka-Munkモデルを用いているが、これに限らず、Kubelka-Munkモデルの変形式、或いは他の数理モデルも適用できることはいうまでもない。同様に、本実施の形態では、網点の面積率の算出式としてMurray-Daviesの式を用いているが、これに限らず、Murray-Daviesの式の変形式、或いは他の数理モデルも適用できることは言うまでもない。
[変形の例示3]
更に、図11に示した実施形態では、インクジェット方式の印刷機218を用いる構成を説明したが、これに限定されることなく、電子写真、感熱方式、若しくはフレキソ印刷など、有版/無版を問わず、様々な印刷方式の印刷機を採用する構成に対しても本発明を適用することができる。
10…保護膜色変化特性把握チャート、20…保護膜、30…測色計、50…プロファイル作成チャート、54…Kubelka-Munkモデル、70…ドットゲイン増加モデル、210…印刷システム、214…編集装置、216…画像処理装置、218…印刷機、220…ラミネート処理装置、266…光学物性値推定部、268…ドットゲイン特性推定部、270…測色値予測部、272…格子点対応測色値決定処理部、274…プロファイル生成処理部、284…第一処理部、286…第二処理部、306…色変換処理部、314…入力プロファイル、316…出力プロファイル

Claims (22)

  1. 入力側プロファイルと出力側プロファイルとを用いて色変換を行う色変換方法であって、
    保護膜が非被覆である印刷面を有する印刷物の保護膜非被覆領域の分光反射率を取得する分光反射率取得工程と、
    前記保護膜の光学物性値を推定する処理を行う光学物性値推定工程と、
    前記印刷物に前記保護膜を被覆させた保護膜付印刷物の観察光源の分光分布を取得する分光分布取得工程と、
    前記保護膜で被覆される下地の印刷物と前記保護膜との相互作用による色変化特性を推定する処理を行う相互作用特性推定工程と、
    前記分光反射率取得工程により取得された前記印刷物の分光反射率、前記光学物性値推定工程により推定された前記保護膜の光学物性値、前記分光分布取得工程により取得された前記観察光源の分光分布、及び前記相互作用特性推定工程により推定された前記相互作用による色変化特性に基づいて前記保護膜付印刷物の測色値を予測する予測工程と、
    前記印刷物としてのカラーチャートの分光反射率から前記予測された前記保護膜付印刷物の測色値に基づいて、色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定する決定処理工程と、
    前記決定した前記色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいてプロファイルを生成する生成処理工程と、
    を含むプロファイル生成処理であって、前記相互作用による色変化特性が、前記保護膜と前記下地の印刷物との相互作用によるドットゲイン増加量を示すドットゲイン特性である前記プロファイル生成処理によって生成された前記プロファイルを前記入力側プロファイル又は前記出力側プロファイルとして用い、前記入力側プロファイルと前記出力側プロファイルとに基づき画像データの色変換処理を行う、色変換方法。
  2. 前記相互作用特性推定工程は、異なる網点面積率の単色階調からなる複数種の下地のそれぞれに前記保護膜を被覆させた状態である保護膜有りの場合のドットゲイン特性と、前記複数種の下地のそれぞれについて前記保護膜が非被覆の状態である保護膜無しの場合のドットゲイン特性とに基づいて、前記相互作用としてのドットゲインの変化による前記色変化特性を推定する処理を行う、請求項1に記載の色変換方法。
  3. 入力側プロファイルと出力側プロファイルとを用いて色変換を行う色変換方法であって、
    保護膜が非被覆である印刷面を有する印刷物の保護膜非被覆領域の分光反射率を取得する分光反射率取得工程と、
    前記保護膜の光学物性値を推定する処理を行う光学物性値推定工程と、
    前記印刷物に前記保護膜を被覆させた保護膜付印刷物の観察光源の分光分布を取得する分光分布取得工程と、
    前記保護膜で被覆される下地の印刷物と前記保護膜との相互作用による色変化特性を推定する処理を行う相互作用特性推定工程と、
    前記分光反射率取得工程により取得された前記印刷物の分光反射率、前記光学物性値推定工程により推定された前記保護膜の光学物性値、前記分光分布取得工程により取得された前記観察光源の分光分布、及び前記相互作用特性推定工程により推定された前記相互作用による色変化特性に基づいて前記保護膜付印刷物の測色値を予測する予測工程と、
    前記印刷物としてのカラーチャートの分光反射率から前記予測された前記保護膜付印刷物の測色値に基づいて、色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定する決定処理工程と、
    前記決定した前記色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいてプロファイルを生成する生成処理工程と、
    を含むプロファイル生成処理であって、前記相互作用特性推定工程は、異なる網点面積率の単色階調からなる複数種の下地のそれぞれに前記保護膜を被覆させた状態である保護膜有りの場合のドットゲイン特性と、前記複数種の下地のそれぞれについて前記保護膜が非被覆の状態である保護膜無しの場合のドットゲイン特性とに基づいて、前記相互作用としてのドットゲインの変化による前記色変化特性を推定する処理を行う前記プロファイル生成処理によって生成された前記プロファイルを前記入力側プロファイル又は前記出力側プロファイルとして用い、前記入力側プロファイルと前記出力側プロファイルとに基づき画像データの色変換処理を行う、色変換方法。
  4. 前記相互作用特性推定工程には、前記保護膜有りの場合における一次色のドットゲイン量と、前記保護膜無しの場合における一次色のドットゲイン量との差分を示すドットゲイン増加量を算出する工程と、
    前記保護膜無しの場合における下地の網点面積率と前記ドットゲイン増加量との関係を特定する工程と、
    が含まれる、請求項2又は3に記載の色変換方法。
  5. 前記相互作用特性推定工程には、前記保護膜で被覆される下地の印刷物と前記保護膜との相互作用による色変化特性を示すデータを補正する補正パラメータを取得する補正パラメータ取得工程と、
    前記補正パラメータを用いて色変化特性を補正する補正処理工程と、
    が含まれる、請求項1からのいずれか一項に記載の色変換方法。
  6. 前記相互作用による色変化特性を示すデータは、一次色のドットゲイン増加量特性を示すデータであり、
    前記補正パラメータは、二次色以上の多次色に関するドットゲイン増加量の抑制率を示すパラメータである、請求項に記載の色変換方法。
  7. 入力側プロファイルと出力側プロファイルとを用いて色変換を行う色変換方法であって、
    保護膜が非被覆である印刷面を有する印刷物の保護膜非被覆領域の分光反射率を取得する分光反射率取得工程と、
    前記保護膜の光学物性値を推定する処理を行う光学物性値推定工程と、
    前記印刷物に前記保護膜を被覆させた保護膜付印刷物の観察光源の分光分布を取得する分光分布取得工程と、
    前記保護膜で被覆される下地の印刷物と前記保護膜との相互作用による色変化特性を推定する処理を行う相互作用特性推定工程と、
    前記分光反射率取得工程により取得された前記印刷物の分光反射率、前記光学物性値推定工程により推定された前記保護膜の光学物性値、前記分光分布取得工程により取得された前記観察光源の分光分布、及び前記相互作用特性推定工程により推定された前記相互作用による色変化特性に基づいて前記保護膜付印刷物の測色値を予測する予測工程と、
    前記印刷物としてのカラーチャートの分光反射率から前記予測された前記保護膜付印刷物の測色値に基づいて、色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定する決定処理工程と、
    前記決定した前記色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいてプロファイルを生成する生成処理工程と、
    を含むプロファイル生成処理であって、前記相互作用特性推定工程には、前記保護膜で被覆される下地の印刷物と前記保護膜との相互作用による色変化特性を示すデータを補正する補正パラメータを取得する補正パラメータ取得工程と、
    前記補正パラメータを用いて色変化特性を補正する補正処理工程と、
    が含まれ、
    前記相互作用による色変化特性を示すデータは、一次色のドットゲイン増加量特性を示すデータであり、
    前記補正パラメータは、二次色以上の多次色に関するドットゲイン増加量の抑制率を示すパラメータである、前記プロファイル生成処理によって生成された前記プロファイルを前記入力側プロファイル又は前記出力側プロファイルとして用い、前記入力側プロファイルと前記出力側プロファイルとに基づき画像データの色変換処理を行う、色変換方法。
  8. 第一印刷物に第一保護膜を被覆させた第一保護膜付印刷物について、前記プロファイル生成処理を適用し、前記第一印刷物としての第一カラーチャートの分光反射率から前記第一保護膜付印刷物の測色値を予測して得られた前記第一保護膜付印刷物の測色値に基づいて第一色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定することにより、前記第一色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいて第一プロファイルを生成する工程と、
    第二印刷物に第二保護膜を被覆させた第二保護膜付印刷物について前記プロファイル生成処理を適用し、前記第二印刷物としての第二カラーチャートの分光反射率から前記第二保護膜付印刷物の測色値を予測して得られた前記第二保護膜付印刷物の測色値に基づいて第二色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定することにより、前記第二色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいて第二プロファイルを生成する工程と、
    を有し、
    前記第一プロファイルを前記入力側プロファイルとして用い、前記第二プロファイルを前記出力側プロファイルとして用いて前記色変換処理を行う、請求項1から7のいずれか一項に記載の色変換方法。
  9. 前記第一保護膜と前記第二保護膜とが同一の保護膜である、請求項に記載の色変換方法。
  10. 前記第一印刷物と前記第二印刷物とは互いに異なる印刷機によって印刷される、請求項に記載の色変換方法。
  11. 前記保護膜の光学物性値は、前記保護膜の光波長毎の固有反射率、散乱係数、及び吸収係数のうち、独立な二つの光学物性値を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の色変換方法。
  12. 前記光学物性値推定工程には、
    前記保護膜が非被覆である少なくとも二種の下地の分光反射率を取得する第一取得工程と、
    前記少なくとも二種の下地の上に前記保護膜をそれぞれ配置した状態での分光反射率を取得する第二取得工程と、
    前記第一取得工程及び前記第二取得工程のそれぞれの工程で取得された各前記分光反射率及び未知数としての前記保護膜の光学物性値を用いて、前記少なくとも二種の下地毎に数理モデルに基づく関係式を求め、前記下地毎の前記関係式を連立して解く演算工程と、
    が含まれ、
    前記演算工程の演算処理に基づき前記保護膜の光学物性値を推定する、請求項1から11のいずれか一項に記載の色変換方法。
  13. 前記予測工程には、前記光学物性値推定工程により推定された前記光学物性値を用いて数理モデルに基づき、前記保護膜付印刷物の分光反射率を予測する処理を行う第一処理工程と、
    前記第一処理工程により予測された前記保護膜付印刷物の分光反射率又は前記第一処理工程により予測された前記保護膜付印刷物の分光反射率を基に算出された色予測値を、前記相互作用特性推定工程により推定された前記相互作用による色変化特性を用いて修正する第二処理工程と、が含まれる、請求項1から12のいずれか一項に記載の色変換方法。
  14. 入力側プロファイルと出力側プロファイルとを用いて色変換を行う色変換装置であって、
    保護膜が非被覆である印刷面を有する印刷物の保護膜非被覆領域の分光反射率を取得する分光反射率取得処理と、
    前記保護膜の光学物性値を推定する処理を行う光学物性値推定処理と、
    前記印刷物に前記保護膜を被覆させた保護膜付印刷物の観察光源の分光分布を取得する分光分布取得処理と、
    前記保護膜で被覆される下地の印刷物と前記保護膜との相互作用による色変化特性を推定する処理を行う相互作用特性推定処理と、
    前記分光反射率取得処理により取得された前記印刷物の分光反射率、前記光学物性値推定処理により推定された前記保護膜の光学物性値、前記分光分布取得処理により取得された前記観察光源の分光分布、及び前記相互作用特性推定処理により推定された前記相互作用による色変化特性に基づいて前記保護膜付印刷物の測色値を予測する予測処理と、
    前記印刷物としてのカラーチャートの分光反射率から前記予測された前記保護膜付印刷物の測色値に基づいて、色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定する決定処理と、
    前記決定した前記色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいてプロファイルを生成する生成処理と、
    を含むプロファイル生成処理であって、前記相互作用による色変化特性が、前記保護膜と前記下地の印刷物との相互作用によるドットゲイン増加量を示すドットゲイン特性である前記プロファイル生成処理によって生成された前記プロファイルを前記入力側プロファイル又は前記出力側プロファイルとして用い、前記入力側プロファイルと前記出力側プロファイルとに基づき画像データの色変換処理を行う色変換部を備える、色変換装置。
  15. 入力側プロファイルと出力側プロファイルとを用いて色変換を行う色変換装置であって、
    保護膜が非被覆である印刷面を有する印刷物の保護膜非被覆領域の分光反射率を取得する分光反射率取得処理と、
    前記保護膜の光学物性値を推定する処理を行う光学物性値推定処理と、
    前記印刷物に前記保護膜を被覆させた保護膜付印刷物の観察光源の分光分布を取得する分光分布取得処理と、
    前記保護膜で被覆される下地の印刷物と前記保護膜との相互作用による色変化特性を推定する処理を行う相互作用特性推定処理と、
    前記分光反射率取得処理により取得された前記印刷物の分光反射率、前記光学物性値推定処理により推定された前記保護膜の光学物性値、前記分光分布取得処理により取得された前記観察光源の分光分布、及び前記相互作用特性推定処理により推定された前記相互作用による色変化特性に基づいて前記保護膜付印刷物の測色値を予測する予測処理と、
    前記印刷物としてのカラーチャートの分光反射率から前記予測された前記保護膜付印刷物の測色値に基づいて、色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定する決定処理と、
    前記決定した前記色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいてプロファイルを生成する生成処理と、
    を含むプロファイル生成処理であって、前記相互作用特性推定処理は、異なる網点面積率の単色階調からなる複数種の下地のそれぞれに前記保護膜を被覆させた状態である保護膜有りの場合のドットゲイン特性と、前記複数種の下地のそれぞれについて前記保護膜が非被覆の状態である保護膜無しの場合のドットゲイン特性とに基づいて、前記相互作用としてのドットゲインの変化による前記色変化特性を推定する処理を行う、前記プロファイル生成処理によって生成された前記プロファイルを前記入力側プロファイル又は前記出力側プロファイルとして用い、前記入力側プロファイルと前記出力側プロファイルとに基づき画像データの色変換処理を行う色変換部を備える、色変換装置。
  16. 入力側プロファイルと出力側プロファイルとを用いて色変換を行う色変換装置であって、
    保護膜が非被覆である印刷面を有する印刷物の保護膜非被覆領域の分光反射率を取得する分光反射率取得処理と、
    前記保護膜の光学物性値を推定する処理を行う光学物性値推定処理と、
    前記印刷物に前記保護膜を被覆させた保護膜付印刷物の観察光源の分光分布を取得する分光分布取得処理と、
    前記保護膜で被覆される下地の印刷物と前記保護膜との相互作用による色変化特性を推定する処理を行う相互作用特性推定処理と、
    前記分光反射率取得処理により取得された前記印刷物の分光反射率、前記光学物性値推定処理により推定された前記保護膜の光学物性値、前記分光分布取得処理により取得された前記観察光源の分光分布、及び前記相互作用特性推定処理により推定された前記相互作用による色変化特性に基づいて前記保護膜付印刷物の測色値を予測する予測処理と、
    前記印刷物としてのカラーチャートの分光反射率から前記予測された前記保護膜付印刷物の測色値に基づいて、色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定する決定処理と、
    前記決定した前記色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいてプロファイルを生成する生成処理と、
    を含むプロファイル生成処理であって、前記相互作用特性推定処理には、前記保護膜で被覆される下地の印刷物と前記保護膜との相互作用による色変化特性を示すデータを補正する補正パラメータを取得する補正パラメータ取得処理と、
    前記補正パラメータを用いて色変化特性を補正する補正処理と、
    が含まれ、
    前記相互作用による色変化特性を示すデータは、一次色のドットゲイン増加量特性を示すデータであり、
    前記補正パラメータは、二次色以上の多次色に関するドットゲイン増加量の抑制率を示すパラメータである前記プロファイル生成処理によって生成された前記プロファイルを前記入力側プロファイル又は前記出力側プロファイルとして用い、前記入力側プロファイルと前記出力側プロファイルとに基づき画像データの色変換処理を行う色変換部を備える、色変換装置。
  17. 入力側プロファイルと出力側プロファイルとを用いて色変換を行う色変換機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、
    保護膜が非被覆である印刷面を有する印刷物の保護膜非被覆領域の分光反射率を取得する分光反射率取得処理と、
    前記保護膜の光学物性値を推定する処理を行う光学物性値推定処理と、
    前記印刷物に前記保護膜を被覆させた保護膜付印刷物の観察光源の分光分布を取得する分光分布取得処理と、
    前記保護膜で被覆される下地の印刷物と前記保護膜との相互作用による色変化特性を推定する処理を行う相互作用特性推定処理と、
    前記分光反射率取得処理により取得された前記印刷物の分光反射率、前記光学物性値推定処理により推定された前記保護膜の光学物性値、前記分光分布取得処理により取得された前記観察光源の分光分布、及び前記相互作用特性推定処理により推定された前記相互作用による色変化特性に基づいて前記保護膜付印刷物の測色値を予測する予測処理と、
    前記印刷物としてのカラーチャートの分光反射率から前記予測された前記保護膜付印刷物の測色値に基づいて、色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定する決定処理と、
    前記決定した前記色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいてプロファイルを生成する生成処理と、
    を含むプロファイル生成処理であって、前記相互作用による色変化特性が、前記保護膜と前記下地の印刷物との相互作用によるドットゲイン増加量を示すドットゲイン特性である前記プロファイル生成処理によって生成された前記プロファイルを前記入力側プロファイル又は前記出力側プロファイルとして用い、前記入力側プロファイルと前記出力側プロファイルとに基づき画像データの色変換処理を行う色変換機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
  18. 入力側プロファイルと出力側プロファイルとを用いて色変換を行う色変換機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、
    保護膜が非被覆である印刷面を有する印刷物の保護膜非被覆領域の分光反射率を取得する分光反射率取得処理と、
    前記保護膜の光学物性値を推定する処理を行う光学物性値推定処理と、
    前記印刷物に前記保護膜を被覆させた保護膜付印刷物の観察光源の分光分布を取得する分光分布取得処理と、
    前記保護膜で被覆される下地の印刷物と前記保護膜との相互作用による色変化特性を推定する処理を行う相互作用特性推定処理と、
    前記分光反射率取得処理により取得された前記印刷物の分光反射率、前記光学物性値推定処理により推定された前記保護膜の光学物性値、前記分光分布取得処理により取得された前記観察光源の分光分布、及び前記相互作用特性推定処理により推定された前記相互作用による色変化特性に基づいて前記保護膜付印刷物の測色値を予測する予測処理と、
    前記印刷物としてのカラーチャートの分光反射率から前記予測された前記保護膜付印刷物の測色値に基づいて、色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定する決定処理と、
    前記決定した前記色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいてプロファイルを生成する生成処理と、
    を含むプロファイル生成処理であって、前記相互作用特性推定処理は、異なる網点面積率の単色階調からなる複数種の下地のそれぞれに前記保護膜を被覆させた状態である保護膜有りの場合のドットゲイン特性と、前記複数種の下地のそれぞれについて前記保護膜が非被覆の状態である保護膜無しの場合のドットゲイン特性とに基づいて、前記相互作用としてのドットゲインの変化による前記色変化特性を推定する処理を行う前記プロファイル生成処理によって生成された前記プロファイルを前記入力側プロファイル又は前記出力側プロファイルとして用い、前記入力側プロファイルと前記出力側プロファイルとに基づき画像データの色変換処理を行う色変換機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
  19. 入力側プロファイルと出力側プロファイルとを用いて色変換を行う色変換機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、
    保護膜が非被覆である印刷面を有する印刷物の保護膜非被覆領域の分光反射率を取得する分光反射率取得処理と、
    前記保護膜の光学物性値を推定する処理を行う光学物性値推定処理と、
    前記印刷物に前記保護膜を被覆させた保護膜付印刷物の観察光源の分光分布を取得する分光分布取得処理と、
    前記保護膜で被覆される下地の印刷物と前記保護膜との相互作用による色変化特性を推定する処理を行う相互作用特性推定処理と、
    前記分光反射率取得処理により取得された前記印刷物の分光反射率、前記光学物性値推定処理により推定された前記保護膜の光学物性値、前記分光分布取得処理により取得された前記観察光源の分光分布、及び前記相互作用特性推定処理により推定された前記相互作用による色変化特性に基づいて前記保護膜付印刷物の測色値を予測する予測処理と、
    前記印刷物としてのカラーチャートの分光反射率から前記予測された前記保護膜付印刷物の測色値に基づいて、色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定する決定処理と、
    前記決定した前記色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいてプロファイルを生成する生成処理と、
    を含むプロファイル生成処理であって、前記相互作用特性推定処理には、前記保護膜で被覆される下地の印刷物と前記保護膜との相互作用による色変化特性を示すデータを補正する補正パラメータを取得する補正パラメータ取得処理と、
    前記補正パラメータを用いて色変化特性を補正する補正処理と、
    が含まれ、
    前記相互作用による色変化特性を示すデータは、一次色のドットゲイン増加量特性を示すデータであり、
    前記補正パラメータは、二次色以上の多次色に関するドットゲイン増加量の抑制率を示すパラメータである前記プロファイル生成処理によって生成された前記プロファイルを前記入力側プロファイル又は前記出力側プロファイルとして用い、前記入力側プロファイルと前記出力側プロファイルとに基づき画像データの色変換処理を行う色変換機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
  20. 保護膜が非被覆である印刷面を有する印刷物の保護膜非被覆領域の分光反射率を取得する分光反射率取得部と、
    前記保護膜の光学物性値を推定する処理を行う光学物性値推定部と、
    前記印刷物に前記保護膜を被覆させた保護膜付印刷物の観察光源の分光分布を取得する分光分布取得部と、
    前記保護膜で被覆される下地の印刷物と前記保護膜との相互作用による色変化特性を推定する処理を行う相互作用特性推定部と、
    前記分光反射率取得部により取得された前記印刷物の分光反射率、前記光学物性値推定部により推定された前記保護膜の光学物性値、前記分光分布取得部により取得された前記観察光源の分光分布、及び前記相互作用特性推定部により推定された前記相互作用による色変化特性に基づいて前記保護膜付印刷物の測色値を予測する予測部と、
    前記印刷物としてのカラーチャートの分光反射率から前記予測された前記保護膜付印刷物の測色値に基づいて、色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定する決定処理部と、
    前記決定した前記色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいてプロファイルを生成する生成処理部と、
    入力側プロファイルと出力側プロファイルとを用いて色変換を行う色変換部であって、前記生成処理部によって生成された前記プロファイルを前記入力側プロファイル又は前記出力側プロファイルとして用い、前記入力側プロファイルと前記出力側プロファイルとに基づき画像データの色変換処理を行う色変換部と、
    を備え、
    前記相互作用による色変化特性が、前記保護膜と前記下地の印刷物との相互作用によるドットゲイン増加量を示すドットゲイン特性である、色変換システム。
  21. 保護膜が非被覆である印刷面を有する印刷物の保護膜非被覆領域の分光反射率を取得する分光反射率取得部と、
    前記保護膜の光学物性値を推定する処理を行う光学物性値推定部と、
    前記印刷物に前記保護膜を被覆させた保護膜付印刷物の観察光源の分光分布を取得する分光分布取得部と、
    前記保護膜で被覆される下地の印刷物と前記保護膜との相互作用による色変化特性を推定する処理を行う相互作用特性推定部と、
    前記分光反射率取得部により取得された前記印刷物の分光反射率、前記光学物性値推定部により推定された前記保護膜の光学物性値、前記分光分布取得部により取得された前記観察光源の分光分布、及び前記相互作用特性推定部により推定された前記相互作用による色変化特性に基づいて前記保護膜付印刷物の測色値を予測する予測部と、
    前記印刷物としてのカラーチャートの分光反射率から前記予測された前記保護膜付印刷物の測色値に基づいて、色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定する決定処理部と、
    前記決定した前記色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいてプロファイルを生成する生成処理部と、
    入力側プロファイルと出力側プロファイルとを用いて色変換を行う色変換部であって、前記生成処理部によって生成された前記プロファイルを前記入力側プロファイル又は前記出力側プロファイルとして用い、前記入力側プロファイルと前記出力側プロファイルとに基づき画像データの色変換処理を行う色変換部と、
    を備え、
    前記相互作用特性推定部は、異なる網点面積率の単色階調からなる複数種の下地のそれぞれに前記保護膜を被覆させた状態である保護膜有りの場合のドットゲイン特性と、前記複数種の下地のそれぞれについて前記保護膜が非被覆の状態である保護膜無しの場合のドットゲイン特性とに基づいて、前記相互作用としてのドットゲインの変化による前記色変化特性を推定する処理を行う、色変換システム。
  22. 保護膜が非被覆である印刷面を有する印刷物の保護膜非被覆領域の分光反射率を取得する分光反射率取得部と、
    前記保護膜の光学物性値を推定する処理を行う光学物性値推定部と、
    前記印刷物に前記保護膜を被覆させた保護膜付印刷物の観察光源の分光分布を取得する分光分布取得部と、
    前記保護膜で被覆される下地の印刷物と前記保護膜との相互作用による色変化特性を推定する処理を行う相互作用特性推定部と、
    前記分光反射率取得部により取得された前記印刷物の分光反射率、前記光学物性値推定部により推定された前記保護膜の光学物性値、前記分光分布取得部により取得された前記観察光源の分光分布、及び前記相互作用特性推定部により推定された前記相互作用による色変化特性に基づいて前記保護膜付印刷物の測色値を予測する予測部と、
    前記印刷物としてのカラーチャートの分光反射率から前記予測された前記保護膜付印刷物の測色値に基づいて、色変換テーブルの各格子点に対応する測色値を決定する決定処理部と、
    前記決定した前記色変換テーブルの各格子点に対応する測色値に基づいてプロファイルを生成する生成処理部と、
    入力側プロファイルと出力側プロファイルとを用いて色変換を行う色変換部であって、前記生成処理部によって生成された前記プロファイルを前記入力側プロファイル又は前記出力側プロファイルとして用い、前記入力側プロファイルと前記出力側プロファイルとに基づき画像データの色変換処理を行う色変換部と、
    を備え、
    前記相互作用特性推定部には、前記保護膜で被覆される下地の印刷物と前記保護膜との相互作用による色変化特性を示すデータを補正する補正パラメータを取得する補正パラメータ取得部と、
    前記補正パラメータを用いて色変化特性を補正する補正処理部と、
    が含まれ、
    前記相互作用による色変化特性を示すデータは、一次色のドットゲイン増加量特性を示すデータであり、
    前記補正パラメータは、二次色以上の多次色に関するドットゲイン増加量の抑制率を示すパラメータである、色変換システム。
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