JP6094750B2 - 量子干渉装置、原子発振器、磁気センサー及び量子干渉装置の製造方法 - Google Patents

量子干渉装置、原子発振器、磁気センサー及び量子干渉装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、量子干渉装置、原子発振器、磁気センサー及び量子干渉装置の製造方法に関する。
アルカリ金属原子の一種であるセシウム原子は、図13に示すように、6S1/2の基底準位と、6P1/2、6P3/2の2つの励起準位とを有することが知られている。さらに、6S1/2、6P1/2、6P3/2の各準位は、複数のエネルギー準位に分裂した超微細構造を有している。具体的には、6S1/2はF=3,4の2つの基底準位を持ち、6P1/2はF’=3,4の2つの励起準位を持ち、6P3/2はF’=2,3,4,5の4つの励起準位を持っている。
例えば、6S1/2のF=3の基底準位にあるセシウム原子は、D2線を吸収することで、6P3/2のF’=2,3,4のいずれかの励起準位に遷移することができるが、F’=5の励起準位に遷移することはできない。6S1/2のF=4の基底準位にあるセシウム原子は、D2線を吸収することで、6P3/2のF’=3,4,5のいずれかの励起準位に遷移することができるが、F’=2の励起準位に遷移することはできない。これらは、電気双極子遷移を仮定した場合の遷移選択則による。逆に、6P3/2のF’=3,4のいずれかの励起準位にあるセシウム原子は、D2線を放出して6S1/2のF=3又はF=4の基底準位(元の基底準位又は他方の基底準位のいずれか)に遷移することができる。ここで、6S1/2のF=3,4の2つの基底準位と6P3/2のF’=3,4のいずれかの励起準位からなる3準位(2つの基底準位と1つの励起準位からなる)は、D2線の吸収・発光によるΛ型の遷移が可能であることからΛ型3準位と呼ばれる。同様に、6S1/2のF=3,4の2つの基底準位と6P1/2のF’=3,4のいずれかの励起準位からなる3準位は、D1線の吸収・発光によるΛ型の遷移が可能であるからΛ型3準位を形成する。
これに対して、6P3/2のF’=2の励起準位にあるセシウム原子は、D2線を放出して必ず6S1/2のF=3の基底準位(元の基底準位)に遷移し、同様に、6P3/2のF’=5の励起準位にあるセシウム原子は、D2線を放出して必ず6S1/2のF=4の基底準位(元の基底準位)に遷移する。すなわち、6S1/2のF=3,4の2つの基底準位と6P3/2のF’=2又はF’=5の励起準位からなる3準位は、D2線の吸収・放出によるΛ型の遷移が不可能であることからΛ型3準位を形成しない。なお、セシウム原子以外のアルカリ金属原子も、同様に、Λ型3準位を形成する2つの基底準位と励起準位を有することが知られている。
ところで、気体状のアルカリ金属原子に、Λ型3準位を形成する第1の基底準位(セシウム原子の場合、6S1/2のF=3の基底準位)と励起準位(セシウム原子の場合、例えば6P3/2のF’=4の励起準位)とのエネルギー差に相当する周波数(振動数)を有する共鳴光(共鳴光1とする)と、第2の基底準位(セシウム原子の場合、6S1/2のF=4の基底準位)と励起準位とのエネルギー差に相当する周波数(振動数)を有する共鳴光(共鳴光2とする)とを同時に照射すると、2つの基底準位の重ね合わせ状態、即ち量子コヒーレンス状態(暗状態)になり、励起準位への励起が停止する電磁誘起透過(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)現象(CPT(Coherent Population Trapping)と呼ばれることもある)が起こることが知られている。このEIT現象を起こす共鳴光対(共鳴光1と共鳴光2)の周波数差はアルカリ金属原子の2つの基底準位のエネルギー差ΔE12に相当する周波数と正確に一致する。例えば、セシウム原子は、2つの基底準位のエネルギー差に相当する周波数は9.192631770GHzであるので、セ
シウム原子に、周波数差が9.192631770GHzの2種類のD1線又はD2線のレーザー光を同時に照射すると、EIT現象が起こる。
従って、図14に示すように、周波数がω1の光と周波数がω2の光を気体状のアルカリ金属原子に同時に照射したとき、この2光波が共鳴光対となってアルカリ金属原子がEIT現象を起こすか否かでアルカリ金属原子を透過する光の強度が急峻に変化する。この急峻に変化する透過光の強度を示す信号はEIT信号(共鳴信号)と呼ばれ、共鳴光対の周波数差ω1−ω2がΔE12に相当する周波数ω12と正確に一致するときにEIT信号のレベルがピーク値を示す。そこで、気体状のアルカリ金属原子を封入した原子セル(ガスセル)に2光波を照射し、光検出器によりEIT信号のピークトップを検出するように、すなわち、2光波の周波数差ω1−ω2がΔE12に相当する周波数ω12と正確に一致するように制御することで、高精度な発振器を実現することができる。このような原子発振器に関する技術は、例えば、特許文献1に開示されている。
米国特許第6320472号明細書
ところで、EIT現象により光の吸収が停止しないように、ω12からわずかにずれた一定周波数差の2光波(D1線、D2線のいずれでもよい)を、その中心波長を掃引してセシウム原子に照射し、アルカリ金属原子を透過する光の透過率を観測すると、図15に示すように、透過率が低くなる2つの吸収帯が観測できる。図15において、横時軸は2光波の中心波長を表し、縦軸は透過率を表している。例えば、2光波がD2線であれば、6S1/2のF=3の基底準位にあるセシウム原子が波長の小さい(周波数の大きい)方のD2線を吸収して6P3/2のF’=4の励起準位に遷移すると同時に、6S1/2のF=4の基底準位にあるセシウム原子が波長の大きい(周波数の小さい)方のD2線を吸収して6P3/2のF’=4の励起準位に遷移する際に第1の吸収帯が見られる。これに対して、6S1/2のF=3の基底準位にあるセシウム原子が波長の小さい(周波数の大きい)方のD2線を吸収して6P3/2のF’=3の励起準位に遷移すると同時に、6S1/2のF=4の基底準位にあるセシウム原子が波長の大きい(周波数の小さい)方のD2線を吸収して6P3/2のF’=3の励起準位に遷移する際に第2の吸収帯が見られる。図15では、第1の吸収帯は左側の吸収帯であり、2光波の中心波長がλaの時が第1の吸収帯の底となり、第2の吸収帯は右側の吸収帯であり、2光波の中心波長がλbの時が第2の吸収帯の底となる。
6P3/2のF’=3とF’=4のエネルギー差は6P1/2のF=3とF=4のエネルギー差に比べて1桁くらい小さいため、ガスセルに封入される緩衝ガスによる効果(吸収帯の裾野を大きくする効果)を含めると、実際には、図16に示すように、2つの吸収帯は重なって観測される。遷移強度の違いにより吸収の強さも異なり、第2の吸収帯は第1の吸収帯に埋もれてしまい分かりにくく、従来、第1の吸収帯の底でEIT信号を観測していた。この場合、第1の吸収帯のみで考えると左右対称なEIT信号が得られ、第2の吸収帯のみで考えると非対称なEIT信号が得られることになる。結局、この2つのEIT信号の重ね合わせにより、実際には、第1の吸収帯の底で観測すると非対称なEIT信号が得られることになる。同様に第2の吸収帯の底で観測しても非対称なEIT信号となる。
レーザー光源やガスセルの経年劣化、環境変化等によってアルカリ金属原子に照射される光の強度が変動した場合、左右対称なEIT信号であればピーク位置は変動しない。しかしながら、図17に示すように、非対称なEIT信号では、ピーク位置が変動する可能
性がある。EIT信号のピーク位置が変動すると共鳴する光の周波数も変動するため、原子発振器の周波数も変動する。これにより、従来の原子発振器では、高い長期安定度を実現することが難しいという問題があった。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、従来よりも長期安定度を向上させることが可能な量子干渉装置、原子発振器、磁気センサー及び量子干渉装置の製造方法を提供することができる。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例に係る量子干渉装置は、金属原子と、前記金属原子に電磁誘起透過現象を発生させる共鳴光対を含む光を照射する光源と、前記金属原子を透過した前記光を検出する光検出部と、を有し、前記金属原子の、第1の基底準位と第1の励起準位とのエネルギー差に相当する波長をλ1、前記第1の基底準位よりも高い第2の基底準位と前記第1の励起準位とのエネルギー差に相当する波長をλ2、前記第1の基底準位と前記第1の励起準位よりも高い第2の励起準位とのエネルギー差に相当する波長をλ3、前記第2の基底準位と前記第2の励起準位とのエネルギー差に相当する波長をλ4とした時、前記共鳴光対の前記中心波長は、(λ3+λ4)/2よりも大きく、かつ、(λ1+λ2)/2よりも小さい。
「共鳴光対の中心波長」とは、共鳴光対の中間の波長であり、一方の共鳴光対の波長をλA、他方の共鳴光対の波長をλBとした時の(λA+λB)/2に相当する波長である。例えば、半導体レーザーを光源として使用し、半導体レーザーの出射光に含まれる1次のサイドバンドの2つの光を共鳴光対として使用する場合、共鳴光対の中心波長は、半導体レーザーの出射光の中心波長と一致する。
本適用例に係る量子干渉装置では、金属原子は、共鳴光対の中心波長が(λ3+λ4)/2及び(λ1+λ2)/2の時(正確にはこれらの波長からわずかにずれた時)にそれぞれ共鳴光対を吸収する吸収帯の底となる。従って、共鳴光対の中心波長を(λ3+λ4)/2よりも大きく、かつ、(λ1+λ2)/2よりも小さくすることで、電磁誘起透過(EIT)現象により光検出部の出力に現れるEIT信号は、それぞれの吸収帯のみを考慮すると互いに反対向きの非対称な形状になるが、これらが重なり合うことで実際にはより対称な形状に近づく。EIT信号がより対称に近づくことで、時間の経過とともに共鳴光対の強度が低下しても、EIT信号のピーク位置の変動がより小さくなるので、原子発振器の周波数の変動が小さくなり、長期安定度を向上させることができる。
[適用例2]
本適用例に係る量子干渉装置は、金属原子と、前記金属原子に電磁誘起透過現象を発生させる共鳴光対を含む光を照射する光源と、前記金属原子を透過した前記光を検出する光検出部と、を有し、周波数の異なる2光波を前記金属原子に照射した時に、前記2光波が前記金属原子を透過する透過率が極小値となる2つの中心波長の間に、前記共鳴光対の前記中心波長がある。
本適用例に係る量子干渉装置では、金属原子は、共鳴光対の中心波長がλa及びλbの時(正確にはこれらの波長からわずかにずれた時)にそれぞれ共鳴光対を吸収する吸収帯の底となる場合、共鳴光対の中心波長をλaとλbとの間の波長とすることで、電磁誘起透過(EIT)現象により光検出部の出力に現れるEIT信号は、それぞれの吸収帯のみ
を考慮すると互いに反対向きの非対称な形状になるが、これらが重なり合うことで実際にはより対称な形状に近づく。EIT信号がより対称に近づくことで、時間の経過とともに共鳴光対の強度が低下しても、EIT信号のピーク位置の変動がより小さくなるので原子発振器の周波数の変動が小さくなり、長期安定度を向上させることができる。
[適用例3]
上記適用例に係る量子干渉装置において、前記光検出部の出力信号と周波数とをプロットしたグラフにおいて、極大値の時の前記周波数を中心としてグラフの形状が線対称になる周波数帯を有するようにしてもよい。
本適用例に係る量子干渉装置によれば、EIT信号がそのピークを中心として線対称となる周波数帯を有するので、時間の経過とともに共鳴光対の強度が低下してもEIT信号のピーク位置が変動しにくいため、原子発振器の高い長期安定度を実現することができる。
[適用例4]
本適用例に係る原子発振器は、上記のいずれかの量子干渉装置を含む。
[適用例5]
本適用例に係る磁気センサーは、上記のいずれかの量子干渉装置を含む。
[適用例6]
本適用例に係る量子干渉装置の製造方法は、金属原子と、2光波を含む光を発生させて前記金属原子に照射する光源と、前記金属原子を透過した光を検出する光検出部と、を含む物理パッケージを準備する物理パッケージ準備工程と、前記金属原子の、第1の基底準位と第1の励起準位とのエネルギー差に相当する波長をλ1、前記第1の基底準位よりも高い第2の基底準位と前記第1の励起準位とのエネルギー差に相当する波長をλ2、前記第1の基底準位と前記第1の励起準位よりも高い第2の励起準位とのエネルギー差に相当する波長をλ3、前記第2の基底準位と前記第2の励起準位とのエネルギー差に相当する波長をλ4とした時、前記2光波の中心波長を、(λ3+λ4)/2よりも大きく、かつ、(λ1+λ2)/2よりも小さい波長に設定する中心波長設定工程と、を含む。
[適用例7]
上記適用例に係る量子干渉装置の製造方法において、前記中心波長設定工程では、前記2光波の周波数差を、前記金属原子に電磁誘起透過現象を発生させる周波数を中心に掃引させた状態で、前記2光波の中心波長を(λ3+λ4)/2よりも大きく、かつ、(λ1+λ2)/2よりも小さい所与の範囲で掃引しながら前記光検出部の出力信号を取得し、前記2光波の中心波長を、前記光検出部の出力信号が、極大値の時の周波数を中心として線対称に近づけるように設定するようにしてもよい。
[適用例8]
上記適用例に係る量子干渉装置の製造方法において、前記中心波長設定工程では、取得した前記光検出部の出力信号の周波数スペクトルを観測し、前記2光波の周波数差を掃引した掃引周波数の2次成分のスペクトルと1次成分のスペクトルとの差が最も大きくなる時の値を、前記2光波の中心波長としてもよい。
本実施形態の原子発振器の具体的な構成例を示す図。 図2(A)はゼーマン分裂したエネルギー準位を示す図であり、図2(B)は分裂したEIT信号の一例を示す図。 半導体レーザーの出射光の周波数スペクトラムの一例を示す概略図。 検波回路による検波原理の説明図。 検波回路による検波原理の説明図。 光の透過率(EIT信号強度)とロック周波数との関係についての説明図。 光の透過率(EIT信号強度)とロック周波数との関係についての説明図。 従来の中心波長の設定とEIT信号の対称性との関係についての説明図。 本実施形態の中心波長の設定とEIT信号の対称性との関係についての説明図。 本実施形態の原子発振器の製造方法の一例を示すフローチャート図。 本実施形態の磁気センサーの構成例を示す図。 変形例における半導体レーザーの出射光の周波数スペクトルを示す概略図。 セシウム原子のエネルギー準位を模式的に示す図。 EIT信号の一例を示す概略図。 吸収帯の説明図。 緩衝ガスによる効果を含めた吸収帯の説明図。 EIT信号のピークシフトの説明図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.原子発振器
[原子発振器の構成]
図1は、本実施形態の原子発振器の構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態の原子発振器1は、半導体レーザー10、減光フィルター(NDフィルター)11、1/4波長板12、ガスセル13、光検出器14、磁場発生部15、検波回路16、電圧制御水晶発振器(VCXO)17、変調回路18、低周波発振器19、周波数変換回路20、検波回路21、変調回路22、低周波発振器23、駆動回路24、磁場設定回路25、バイアス設定回路26、メモリー27及び周波数変換回路28を含んで構成されている。なお、本実施形態の原子発振器1は、適宜、図1の構成要素(各部)の一部を省略又は変更し、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
半導体レーザー10(光源の一例)は、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等の面発光レーザーや端面発光レーザー(Edge Emitting Laser)などであり、半導体レーザー10が発生させた光は、減光フィルター11に入射する。
減光フィルター11は、半導体レーザー10の出射光の一部のみを透過させ、減光フィルター11を透過した光は1/4波長板12に入射する。
1/4波長板12は、入射した光をσ+円偏光にして透過させ、1/4波長板12を透過した光はガスセル13に入射する。
ガスセル13は、ガラス等の透明部材でできた容器中に気体状のアルカリ金属原子(ナトリウム(Na)原子、ルビジウム(Rb)原子、セシウム(Cs)原子等)とともにネオン(Ne)やアルゴン(Ar)等のバッファーガスが封入されたものである。ガスセル13に入射した光の一部はガスセル13を透過し、光検出器14に入射する。
光検出器14(光検出部の一例)は、ガスセル13を透過した光を検出し、検出した光の強度に応じた検出信号を出力する。光検出部14は、例えば、受光した光の強度に応じた検出信号を出力するフォトダイオード(PD:Photo Diode)を用いて実現することができる。光検出器14の出力信号は検波回路16と検波回路21に入力される。
磁場発生部15は、ガスセル13の内部に定常磁場(一様な磁場)を発生させるものである。磁場発生部15は、例えば、コイルで実現することができ、コイルの位置、形状(例えば、コイルを巻く方向、巻き数、直径等)、電流の大きさや向き等を調整することで所望の磁場を発生させることができる。
この定常磁場がガスセル13にかかると、アルカリ金属原子の各エネルギー準位が2F+1個に分裂(ゼーマン分裂)する。例えば、セシウム原子の場合、図2(A)に示すように、6S1/2,F=3の基底準位や6P3/2,F’=3の励起準位は、磁気量子数mF=0,±1,±2,±3に対応する7つの準位に分裂し、6S1/2,F’=4の基底準位や6P3/2,F=4の励起準位は、磁気量子数mF=0,±1,±2,±3,±4に対応する9つの準位に分裂する。セシウム原子にσ+円偏光が入射すると、ΔmF=+1の選択則に従って励起するため、例えば、6S1/2,F=3,4の基底準位と6P3/2,F’=4の励起準位の間で、7つのΛ型3準位が形成される。従って、この状態では、2光波の周波数差をスイープすると、図4(B)に示すように7つのEIT信号が観測される。特に、6S1/2,F=3,4のmF=0の基底準位と6P3/2,F’=4のmF=+1の励起準位の間で形成されるΛ型3準位に対応するEIT信号の強度が最も高いので、このEIT信号を発生させるように、共鳴光対の周波数差を制御するのが有効である。
半導体レーザー10、減光フィルター11、1/4波長板12、ガスセル13、光検出器14及び磁場発生部15は、1つの筐体に収容されており、物理パッケージ100を構成している。
検波回路16は、数Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振する低周波発振器19の発振信号を用いて光検出器14の出力信号を検波する。そして、検波回路16の出力信号の大きさに応じて、電圧制御水晶発振器(VCXO)17の発振周波数が微調整される。電圧制御水晶発振器(VCXO)17は、例えば、数MHz〜数10MHz程度で発振する。
変調回路18は、検波回路16による検波を可能とするために、低周波発振器19の発振信号(検波回路16に供給される発振信号と同じ信号)を変調信号として電圧制御水晶発振器(VCXO)17の出力信号を変調する。変調回路18は、周波数混合器(ミキサー)、周波数変調(FM:Frequency Modulation)回路、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)回路等により実現することができる。
周波数変換回路20は、一定の周波数変換率で変調回路18の出力信号を周波数変換して駆動回路24に出力する。周波数変換回路20は、例えば、PLL(Phase Locked Loop)回路により実現することができる。
検波回路21は、数Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振する低周波発振器23の発振信号を用いて光検出器14の出力信号を検波する。
変調回路22は、検波回路21による検波を可能とするために、低周波発振器23の発振信号(検波回路21に供給される発振信号と同じ信号)を変調信号として検波回路21の出力信号を変調して駆動回路24に出力する。変調回路22は、周波数混合器(ミキサー)、周波数変調(FM)回路、振幅変調(AM)回路等により実現することができる。
磁場設定回路25は、メモリー27に記憶されている設定情報に応じて磁場発生部15が発生させる磁場の強度を設定する処理を行う。例えば、磁場発生部15をコイルで実現し、磁場設定回路25は、メモリー27に記憶されている設定情報に応じて当該コイルに流す電流量を設定するようにしてもよい。
バイアス設定回路26(中心波長設定部の一例)は、駆動回路24を介して、メモリー27に記憶されている設定情報に応じて半導体レーザー10にバイアス電流を設定する処理(半導体レーザー10が発生させる光の中心波長を設定する処理)を行う。
メモリー27は、不揮発性のメモリーであり、磁場発生部15が発生させる磁場の強度の設定情報や半導体レーザー10のバイアス電流の設定情報が記憶されている。メモリー27は、例えば、MONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon)メモリー等のフラッシュメモリーやEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等で実現することができる。
駆動回路24は、半導体レーザー10のバイアス電流を設定するとともに、変調回路22の出力信号に応じて当該バイアス電流を微調整して半導体レーザー10に供給する。すなわち、半導体レーザー10、減光フィルター11、1/4波長板12、ガスセル13、光検出器14、検波回路21、変調回路22、駆動回路24を通るフィードバックループ(第1のフィードバックループ)により、半導体レーザー10が発生させる光の中心波長λ0(中心周波数f0)が微調整される。
駆動回路24は、さらに、バイアス電流に、周波数変換回路20の出力周波数成分(変調周波数fm)の電流(変調電流)を重畳して半導体レーザー10に供給する。この変調電流により、半導体レーザー10に周波数変調がかかり、中心周波数f0(中心波長λ0)の光とともに、その両側にそれぞれ周波数がfmだけずれた周波数f0±fm、f0±2fm、・・・の光を発生させる。そして、半導体レーザー10、減光フィルター11、1/4波長板12、ガスセル13、光検出器14、検波回路16、電圧制御水晶発振器(VCXO)17、変調回路18、周波数変換回路20、駆動回路24を通るフィードバックループ(第2のフィードバックループ)により、周波数f0+fmの光と周波数f0−fmの光がガスセル13に封入されているアルカリ金属原子にEIT現象を発生させる共鳴光対となるように微調整される。
例えば、第2のフィードバックループにより、磁気量子数mF=0の基底準位を有するアルカリ金属原子がEIT現象を起こすように、変調周波数fmがフィードバック制御される。具体的には、第2のフィードバックループにより、1次のサイドバンドである周波数f0+fmの光と周波数f0−fmの光の周波数差(=2fm)が、アルカリ金属原子の磁気量子数mf=0の2つの基底準位間のエネルギー差ΔE12に相当する周波数ω12と正確に一致するようにフィードバック制御がかかる。例えば、アルカリ金属原子がセシウム原子であれば、ω12が9.192631770GHz+ΔHz(Δは磁界強度の2次関数で表される周波数)なので、変調周波数fmは4.596315885GHz+Δ/2Hzと正確に一致する。図3に、半導体レーザー10の出射光の周波数スペクトラムの一例を示す。図3において、横軸は光の周波数であり、縦軸は光の強度である。
このように、アルカリ金属原子のEIT現象を利用することで、第2のフィードバックループに含まれる、周波数変換回路20の出力信号や電圧制御水晶発振器(VCXO)17の出力信号は、それぞれ所定の周波数で安定する。
周波数変換回路28は、一定の周波数変換率で電圧制御水晶発振器(VCXO)17の
出力信号を周波数変換し、所望の周波数(例えば、10.00・・・MHz)のクロック信号を生成する。このクロック信号が外部出力される。周波数変換回路20は、例えば、DDS(Direct Digital Synthesizer)により実現することができる。
図1において、物理パッケージ100を除く構成要素(回路)は、例えば、1チップの集積回路(IC)で実現することができる。
なお、図1では、半導体レーザー10、減光フィルター(NDフィルター)11、1/4波長板12、ガスセル13、光検出器14、磁場発生部15、検波回路16、電圧制御水晶発振器(VCXO)17、変調回路18、低周波発振器19、周波数変換回路20、検波回路21、変調回路22、低周波発振器23、駆動回路24、磁場設定回路25、バイアス設定回路26及びメモリー27により、量子干渉装置200が構成されている。ただし、本実施形態の量子干渉装置200は、適宜、図1の構成要素(各部)の一部を省略又は変更し、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
[検波原理]
次に、検波回路16による検波原理について説明する。前述のように、本実施形態では、変調回路18が、低周波発振器19が発生させる数十Hz〜数百Hz程度の正弦波を変調信号として電圧制御水晶発振器(VCXO)17の発振信号を周波数変調し、周波数変換回路20に入力している。これにより、半導体レーザー10が発生させる2光波の周波数差を正弦波の振幅によって決まる数百Hz〜数kHz程度の範囲で掃引し、検波回路16により光検出器14の出力信号をこの正弦波で同期検波することで、光検出器14の出力に現れるEIT信号の左右の面積が等しいところをピークとみなして検出している。EIT信号が左右対称(極大値の時の周波数を中心として線対称)の場合、図4(A)に示すように、周波数がfs(周期が1/fs)の正弦波(掃引信号)のゼロクロス点a,c,eがEIT信号のピークトップと一致している状態では、光検出器14の出力信号には、直流成分と周波数が2fs(周期が1/2fs)の一定振幅の低周波数成分が含まれるが、周波数がfs(周期が1/fs)の低周波数成分は極めて小さい。従って、検波回路16によってfsの周波数成分はほとんど検波されない。一方、図4(B)に示すように、周波数がfs(周期が1/fs)の正弦波のゼロクロス点a,c,eがEIT信号のピークトップよりも低い方向にずれた状態では、光検出器14の出力信号は、周波数が2fs(周期が1/2fs)で1/fs周期毎に振幅が変化する。つまり、光検出器14の出力信号には、直流成分と2fsの周波数成分以外に、fsの周波数成分も含まれる。そのため、検波回路16によってfsの周波数成分が検波され、検波回路16の出力信号の電圧値は、図4(A)の場合の電圧値(基準電圧値)よりも高い電圧値となる。この検波回路16の出力信号が電圧制御水晶発振器(VCXO)17に入力されるので、電圧制御水晶発振器(VCXO)17の発振周波数は高い方向(2光波の周波数差がω12に近づく方向)に変化する。一方、図示を省略するが、周波数がfs(周期が1/fs)の正弦波のゼロクロス点a,c,eがEIT信号のピークトップよりも高い方向にずれた状態では、光検出器14の出力信号は、図4(B)の信号に対して位相が180度異なる信号となる。従って、検波回路16の出力信号の電圧値は負(基準電圧値よりも低い電圧値)となり、電圧制御水晶発振器(VCXO)17の発振周波数は低い方向(2光波の周波数差がω12に近づく方向)に変化する。
このような検波原理により、EIT信号が左右対称の場合には、EIT信号のピークトップにロックがかかる。一方、EIT信号が左右非対称の場合は、図5(A)に示すように、周波数がfs(周期が1/fs)の正弦波(掃引信号)のゼロクロス点a,c,eがEIT信号のピークトップと一致している状態では、光検出器14の出力信号には、直流成分と2fsの周波数成分以外に、fsの周波数成分も含まれる。そのため、検波回路16によってfsの周波数成分が検波され、検波回路16の出力信号の電圧値は、図5(B)の
場合の電圧値(基準電圧値)よりも低い電圧値となる。また、図5(B)に示すように、周波数がfs(周期が1/fs)の正弦波のゼロクロス点a,c,eがEIT信号のピークトップよりも低い方向に所定量だけずれた状態では、光検出器14の出力信号には、直流成分と周波数が2fs(周期が1/2fs)の一定振幅の低周波数成分が含まれるが、周波数がfs(周期が1/fs)の低周波数成分は極めて小さい。従って、検波回路16によってfsの周波数成分はほとんど検波されず、この状態で安定する。すなわち、EIT信号が左右非対称の場合には、EIT信号のピークトップからずれた位置にロックがかかる。
[周波数の長期安定度の向上]
検波回路16がEIT信号の左右の面積が等しいところをピークとみなして周波数をロックする性質を持つため、EIT信号が非対称にゆがんでいた場合、光源や外環境の変化によってEIT信号の強度が下がったときにロックする周波数もずれてしまう可能性がある。図6(A)及び図6(B)は、EIT信号(光検出器14の出力信号))とロック周波数(共鳴光対の周波数差)とをプロットしたグラフの一例である。図6(A)及び図6(B)において、縦軸はガスセル13を透過する光の透過率(検出器14の出力信号強度)であり、横軸は周波数(共鳴光対の周波数差)である。例えば、図6(A)に示すように、EIT信号が左側(低周波側)に傾いていた場合、EIT信号の強度が下がるにつれて、ロック周波数がf1→f2→f3のように下がっていく。逆に、図6(B)に示すように、EIT信号が右側(高周波側)に傾いていた場合、EIT信号の強度が下がるにつれて、ロック周波数がf1→f2→f3のように上がっていく。従って、EIT信号が非対称であれば、時間の経過とともに周波数が変動し、高い長期安定度を実現することが難しい。
これに対して、EIT信号が左右対称であれば、図7に示すように、EIT信号の強度が下がっても、ロック周波数は初期の周波数f1のまま変動しない。従って、EIT信号が左右対称であれば、長い時間が経過してもロック周波数が変動せず、高い長期安定度を実現することができる。
前述したように、周波数差がω12(2つの基底準位のエネルギー差ΔE12に相当する周波数)から所定量だけわずかにずれた周波数の異なる2光波を、その中心波長を所定の範囲で掃引しながらアルカリ金属原子に照射した時、透過率を観測すると2つの吸収帯が見られる。従来の原子発振器では、図8(A)に示すように、共鳴光対の中心波長λ0を、重なり合う2つの吸収帯のうちの吸収の大きい第1の吸収帯の底に合わせていた。この場合、図8(B)に示すように、第1の吸収帯のみを考慮した時のEIT信号は左右対称であり、また、図8(C)に示すように、吸収の小さい第2の吸収帯のみを考慮した時のEIT信号は左右非対称である。従って、図8(D)に示すように、実際に観測されるEIT信号は、これら2つのEIT信号を重ね合わせたものになるので、左右非対称になってしまう。
そこで、本実施形態の原子発振器1では、図9(A)に示すように、共鳴光対の中心波長λ0が、第1の吸収帯の底(第1の極小値)に対応する波長λaと第2の吸収帯の底(第2の極小値)に対応する波長λbとの間の所望の波長(周波数)に設定される。具体的には、バイアス設定回路26が、メモリー27に記憶されているバイアス電流の設定情報に従い、半導体レーザー10が発生させる光の中心波長λ0をλaとλbとの間の所望の波長に設定する。この場合、図9(B)に示すように、第1の吸収帯のみを考慮した時のEIT信号は右側に傾いて左右非対称であり、また、図9(C)に示すように、第2の吸収帯のみを考慮した時のEIT信号は左側に傾いて左右非対称である。従って、図9(D)に示すように、実際に観測されるEIT信号は、これら2つのEIT信号を重ね合わせたものになるので、従来よりも左右対称になり、ほぼ左右対称にすることも可能である。EIT信号が左右対称に近づくことにより、時間の経過によるロック周波数の変動を低減
させることができるので、原子発振器の長期安定度を従来よりも向上させることができる。
なお、アルカリ金属原子のF=3の基底準位(第1の基底準位)とF’=3の励起準位(第1の励起準位)とのエネルギー差に相当する波長をλ1、F=4の基底準位(第2の基底準位)とF’=3の励起準位とのエネルギー差に相当する波長をλ2、F=3の基底準位(第1の基底準位)とF’=4の励起準位(第2の励起準位)とのエネルギー差に相当する波長をλ3、F=4の基底準位とF’=4の励起準位とのエネルギー差に相当する波長をλ4とした時、λa=(λ3+λ4)/2、λb=(λ1+λ2)/2である。
[原子発振器の製造方法]
図10は、本実施形態の原子発振器1の製造方法の一例を示すフローチャート図である。
まず、図1に示した物理パッケージ100を準備する(S10)。例えば、既存の物理パッケージ100を用意してもよいし、半導体レーザー10、減光フィルター11、1/4波長板12、ガスセル13、光検出器14及び磁場発生部15を用意して物理パッケージ100を組み立ててもよい。
次に、半導体レーザー10の変調周波数fmをω12/2を中心として低周波数で掃引させた状態(EIT信号のピークトップを中心に掃引させた状態)で、中心波長λ0がλaとλbとの間の所定範囲で掃引されるように、半導体レーザー10のバイアス電流を掃引する(S20)。変調周波数fmを掃引する低周波数は、図1の低周波発振器19の周波数と一致させればよい。変調周波数fmをω12/2を中心として低周波数で掃引させる信号は、例えば、シグナルジェネレーターで発生させることができる。
次に、光検出器14の出力信号の周波数スペクトルを観測し、ステップS20で変調周波数fmを掃引した掃引周波数の2次成分のスペクトルと1次成分のスペクトルとの差が最も大きくなる時のバイアス電流値を取得する(S30)。前述した検波原理により、EIT信号のピークトップで掃引した場合、EIT信号が対称であれば、図4(A)に示したように、光検出器14の出力信号に掃引信号の1次成分はほとんど含まれない。一方、EIT信号が非対称であれば、図5(A)に示したように、光検出器14の出力信号に掃引信号の1次成分が含まれる。EIT信号が対称に近いほど、この1次成分は小さくなる。従って、2次成分のスペクトルと1次成分のスペクトルとの差が最も大きくなる時が、EIT信号が最も対象に近いと言える。光検出器14の出力信号の周波数スペクトルの観測には、例えば、スペクトルアナライザーを用いることができる。変調周波数fmを掃引した掃引周波数が例えば100Hzであれば、光検出器14の出力信号に含まれる100Hz成分のスペクトルと200Hz成分のスペクトルとの差のグラフを作成し、この差が最も大きい時のバイアス電流値を取得する。
次に、ステップS30で取得したバイアス電流値を、図1のメモリー27に書き込む(S40)。これにより、中心波長λ0が第1の吸収帯の底に対応する波長λaと第2の吸収帯の底に対応する波長λbとの間で、EIT信号の対称性が最もよくなる波長に固定される。
最後に、物理パッケージ100と回路(IC)を接続し、原子発振器1を組み立てる(S50)。
以上に説明したように、本実施形態の原子発振器によれば、従来よりもEIT信号の対称性が良いので、長期安定度を向上させることができる。
2.磁気センサー
図1に示したガスセル13の周辺の磁場の強度が変化すると、ガスセル13に収容されているアルカリ金属原子の基底準位と励起準位におけるゼーマン分裂準位が変化する。このゼーマン分裂準位の変化に応じて、アルカリ金属原子にEIT現象を発生させる共鳴光対の周波数差ω12も変化する。そして、このω12は、磁場の強度Bの2乗に比例することが知られている。電圧制御水晶発振器(VCXO)17の周波数はω12に比例するので、電圧制御水晶発振器(VCXO)17の周波数から磁場強度を算出することができる。従って、ガスセル13の近傍に磁気測定対象物を配置することで磁気センサーを実現することができる。
図11は、本実施形態の磁気センサーの構成例を示す図である。図11において、図1と同じ構成要素には同じ符号を付している。図11に示すように、本実施形態の磁気センサー2は、図1に示した原子発振器1の周波数変換回路28が磁場強度情報生成回路29に置き換わっており、その他の構成は図1に示した原子発振器1と同様である。
磁場強度情報生成回路29は、電圧制御水晶発振器(VCXO)17の発振周波数を測定し、測定結果に基づいて外部磁場の強度を示す磁場強度情報を生成する。ガスセル13には磁場発生部15により定常磁場がかけられているので、例えば、外部磁場が0(定常磁場のみ)の時の電圧制御水晶発振器(VCXO)17の発振周波数の情報をメモリー27にあらかじめ記憶させておき、磁場強度情報生成回路29は、測定した周波数をメモリー27に記憶されている発振周波数と比較して外部磁場の強度を算出するようにしてもよい。あるいは、電圧制御水晶発振器(VCXO)17の発振周波数と外部磁場の強度との対応テーブルをメモリー27に記憶させておき、磁場強度情報生成回路29は、この対応テーブルを参照し、測定した周波数に対応する外部磁場の強度を、補完計算等により求めてもよい。
図11に示す磁気センサー2のその他の構成は、図1に示した原子発振器1と同様であるので、その説明を省略する。
3.変形例
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
[変形例1]
本実施形態の原子発振器や磁気センサーでは、第1のフィードバックループにより、半導体レーザー10の出射光に含まれる2つの1次サイドバンドの光(周波数f0+fmの光と周波数f0−fmの光)がアルカリ金属原子にEIT現象を発生させる共鳴光対となるように、すなわち変調周波数fmがω12/2に一致するように制御がかかるが、これに限られない。例えば、図12(A)及び図12(B)に示すように、一方の1次サイドバンドの光(周波数f0+fmの光又は周波数f0−fmの光)と中心波長λ0(周波数f0)の光が共鳴光対となるように、すなわち、変調周波数fmがω12に一致するように制御してもよい。この場合、バイアス設定回路26は、共鳴光対の中間の波長がλaとλbの間の波長になるように半導体レーザー10のバイアス電流を設定すればよい。
[変形例2]
本実施形態の原子発振器や磁気センサーを、電気光学変調器(EOM:Electro-Optic Modulator)を用いた構成に変形してもよい。すなわち、半導体レーザー10は、周波数変換回路20の出力信号(変調信号)による変調がかけられず、設定されたバイアス電流に応じた単一波長λ0(周波数f0)の光を発生させる。この波長λ0の光は、電気光学変
調器(EOM)に入射し、周波数変換回路20の出力信号(変調信号)によって変調がかけられる。その結果、図3と同様の周波数スペクトルを有する光を発生させることができる。そして、この電気光学変調器(EOM)が発生させる光がガスセル13に照射される。この原子発振器や磁気センサーでは、半導体レーザー10と電気光学変調器(EOM)により光源が構成される。なお、電気光学変調器(EOM)の代わりに、音響光学変調器(AOM:Acousto-Optic Modulator)を用いてもよい。
[変形例3]
本実施形態の原子発振器や磁気センサーでは、1つの半導体レーザー10の出射光に含まれる2つの1次サイドバンドの光を共鳴光対として使用しているが、2つの半導体レーザーに、それぞれ単一波長の光を発生させ、これらを共鳴光対として使用してもよい。この場合も、共鳴光対の中間の波長がλaとλbの間の波長になるように2つの半導体レーザーのバイアス電流をそれぞれ設定すればよい。
なお、本実施形態の量子干渉装置は、原子発振器や磁気センサー以外にも応用することができる。例えば、本実施形態の量子干渉装置の構成により、極めて安定したアルカリ金属原子の量子干渉状態(量子コヒーレンス状態)を作り出すことができるので、ガスセル13に入射する共鳴光対を取り出すことで、量子コンピュータ、量子メモリー、量子暗号システム等の量子情報機器に用いる光源を実現することもできる。
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1 原子発振器、2 磁気センサー、10 半導体レーザー、11 減光フィルター、12 1/4波長板、13 ガスセル、14 光検出器、15 磁場発生部、16 検波回路、17 電圧制御水晶発振器(VCXO)、18 変調回路、19 低周波発振器、20 周波数変換回路、21 検波回路、22 変調回路、23 低周波発振器、24 駆動回路、25 磁場設定回路、26 バイアス設定回路、27 メモリー、28 周波数変換回路、29 磁場強度情報生成回路、100 物理パッケージ、200 量子干渉装置

Claims (8)

  1. 金属原子と、
    前記金属原子に電磁誘起透過現象を発生させる共鳴光対を含む光を照射する光源と、
    前記金属原子を透過した前記光を検出する光検出部と、を有し、
    前記金属原子の、第1の基底準位と第1の励起準位とのエネルギー差に相当する波長をλ1、前記第1の基底準位よりも高い第2の基底準位と前記第1の励起準位とのエネルギー差に相当する波長をλ2、前記第1の基底準位と前記第1の励起準位よりも高い第2の励起準位とのエネルギー差に相当する波長をλ3、前記第2の基底準位と前記第2の励起準位とのエネルギー差に相当する波長をλ4とした時、前記共鳴光対の中心波長は、(λ3+λ4)/2よりも大きく、かつ、(λ1+λ2)/2よりも小さい、量子干渉装置。
  2. 金属原子と、
    前記金属原子に電磁誘起透過現象を発生させる共鳴光対を含む光を照射する光源と、
    前記金属原子を透過した前記光を検出する光検出部と、を有し、
    周波数の異なる2光波を前記金属原子に照射した時に、前記2光波が前記金属原子を透過する透過率が極小値となる2つの中心波長の間に、前記共鳴光対の前記中心波長がある、量子干渉装置。
  3. 前記光検出部の出力信号と周波数とをプロットしたグラフにおいて、極大値の時の前記周波数を中心としてグラフの形状が線対称になる周波数帯を有する、請求項1又は2に記載の量子干渉装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の量子干渉装置を含む原子発振器。
  5. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の量子干渉装置を含む磁気センサー。
  6. 金属原子と、2光波を含む光を発生させて前記金属原子に照射する光源と、前記金属原子を透過した光を検出する光検出部と、を含む物理パッケージを準備する物理パッケージ準備工程と、
    前記金属原子の、第1の基底準位と第1の励起準位とのエネルギー差に相当する波長をλ1、前記第1の基底準位よりも高い第2の基底準位と前記第1の励起準位とのエネルギー差に相当する波長をλ2、前記第1の基底準位と前記第1の励起準位よりも高い第2の励起準位とのエネルギー差に相当する波長をλ3、前記第2の基底準位と前記第2の励起準位とのエネルギー差に相当する波長をλ4とした時、前記2光波の中心波長を、(λ3+λ4)/2よりも大きく、かつ、(λ1+λ2)/2よりも小さい波長に設定する中心波長設定工程と、
    を含む、量子干渉装置の製造方法。
  7. 前記中心波長設定工程では、
    前記2光波の周波数差を、前記金属原子に電磁誘起透過現象を発生させる周波数を中心に掃引させた状態で、前記2光波の中心波長を(λ3+λ4)/2よりも大きく、かつ、(λ1+λ2)/2よりも小さい所与の範囲で掃引しながら前記光検出部の出力信号を取得し、前記2光波の中心波長を、前記光検出部の出力信号が、極大値の時の周波数を中心として線対称に近づけるように設定する、請求項6に記載の量子干渉装置の製造方法。
  8. 前記中心波長設定工程では、
    取得した前記光検出部の出力信号の周波数スペクトルを観測し、前記2光波の周波数差を掃引した掃引周波数の2次成分のスペクトルと1次成分のスペクトルとの差が最も大きくなる時の値を、前記2光波の中心波長とする、請求項7に記載の量子干渉装置の製造方
    法。
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