JP6093518B2 - 金属酸化物の等電点を変化させる方法、及びこの方法で処理された金属酸化物 - Google Patents

金属酸化物の等電点を変化させる方法、及びこの方法で処理された金属酸化物 Download PDF

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Description

本願発明は、水中に分散した金属酸化物の等電点をプラズマにより変化させる表面改質方法、及びこの方法で処理された金属酸化物に関する。
金属酸化物は触媒、電子材料、化粧品、顔料、インク、セラミック等幅広い分野で利用されており、水溶液中では表面電位を持つことが知られている。
この金属酸化物の水分散物において、粒子周囲に形成されるイオン固定層とイオン拡散層とから成る電気二重層中の、液体流動が起こり始める「滑り面」の電位はゼータ電位と呼ばれている。
ゼータ電位の大きさは金属酸化物の表面状態と周囲の溶液のpHに依存しており、ゼータ電位が0になるpHは等電点と呼ばれている。
金属酸化物の物性や機能は表面電位と密接な関係にある。金属酸化物の表面電位は、等電点よりも低いpHの水溶液中ではプラスに、等電点よりも高いpHの水溶液中ではマイナスになる。つまり金属酸化物の分散や吸着等の挙動は、その金属酸化物の等電点と周囲のpHの関係によって大きく影響を受ける。
例えば、金属酸化物の表面にイオン性界面活性剤を吸着させる表面処理では、分散媒のpHを変化させて金属酸化物の表面電位をコントロールすることにより、効率良く吸着させることができる。
このとき、処理剤として用いるイオン性界面活性剤の電荷もpHに依存しているため、反応を行う系のpHは金属酸化物と処理剤との間に強い静電的引力が働くように設定する。
このように金属酸化物の表面処理を行う際には、基材として用いる金属酸化物の等電点を考慮した上で、適切な処理剤と、分散媒のpHを検討する必要がある。
一方、金属酸化物が水溶液中に分散している状態にある金属酸化物の液中分散物を利用する場合では、その分散状態が機能性に大きく影響する。
例えば、触媒として用いる際には水溶液中における分散状態が良好である程、反応効率も向上する。
化粧品分野においては、酸化チタン、微粒子酸化チタン、酸化亜鉛等の粉体をUV防御剤として製剤中に分散させた状態で配合されており、粉体の分散状態が良好である程、肌に塗布した時に透明感があり、UV防御能も大きくなる。
金属酸化物が水中に分散している場合、金属酸化物の表面電位が大きければ、粒子同士の静電反発力は強くなり、粒子の分散は安定化する。このため、金属酸化物の表面電位をコントロールすることは、分散安定化という観点からみても重要であり、分散媒のpHはそれを決める重要な因子の1つである。
しかし、pH調整剤等の添加により分散媒のpHを調節すると、金属酸化物を触媒として利用する場合、反応へ影響を及ぼすことがある。また、化粧料に用いる場合でも、肌に塗布するという点を考慮するとpH範囲は限られる。
分散媒のpHを調整することが好ましくない場合、金属酸化物表面を適切な等電点を有する別の金属酸化物で被覆する方法や分散剤を添加する等の方法がよく用いられている。
例えば、等電点pHが4.8〜5.5付近である酸化チタンは、表面をシリカで被覆することにより等電点は2〜3程度となり、水中での良好な分散状態の維持が可能となる。
しかし、このように表面を異なる金属酸化物に置き換えると、本来期待される機能が失われてしまう場合がある。
分散剤を添加する場合では、分散剤分子が金属酸化物の表面に吸着することによる機能の低下が懸念され、さらに乳化系に用いる際には系の乳化安定性への影響等も考慮しなければならない。
一方、近年、有機粉体の分散媒にプラズマ照射を行うことにより粉体表面を親水化する方法が開発されている。
例えば、特許文献1では溶媒の液面に浮遊した有機粉体に、気中からプラズマ照射を行うことにより粉体表面を親水化する方法が示されている。しかし多くの金属酸化物は元々の性質として強い親水性表面を有しているため、多孔質で空気を抱え込んでいない限り、そのほとんどが浮遊せず水溶液中に存在する。
特許文献1では、プラズマによる粉体表面の親水化により、液面に浮遊した状態から水溶液中に馴染むことを水への分散として報告しているが、親水性の金属酸化物の等電点を変化させることにより安定に水中へ分散させる方法はない。
特許文献2では、溶媒中に対電極を設置することにより溶媒中にプラズマを発生させてセラミック粒子を分散する方法が提案されているが、安定したプラズマを発生させるために塩を加える必要があるため凝集・沈降が生じ易い。
このように、金属酸化物の表面状態や分散媒の特性を大きく変えることなく金属酸化物の等電点を変えるのは困難であり、分散性を改善する方法はないのが現状である。
国際公開番号 WO2011/010620 A1 特開2010−222189
本願発明が解決しようとする課題は、分散剤や表面処理剤等を添加することなく、金属酸化物の等電点を変化させることにより、金属酸化物の表面改質を行う方法を提供することにある。
図1のbに示される、表面改質を行う金属酸化物及び分散媒である水溶液を入れる貯留槽、電源、対電極を備え、対電極の両方の電極を気中に設置した装置を用いて、該対電極間に電圧を印加して気中に置いた電極と液面との間にプラズマを発生させることにより、水溶液中に沈降又は分散した金属酸化物の等電点を変化させる方法である。
なお、本願発明において用いる「水溶液」とは、水及び水溶性の液体全てを含む。
本願発明で用いるプラズマは、液面及び水溶液中を反応の場としている。すなわち、水溶液中に存在する金属酸化物は、液面付近及び水溶液中においてプラズマ処理がなされ、等電点が変化する。
本願発明において、目的とする金属酸化物の表面改質の効率を上げるために、対電極の数を増やして複数のプラズマを発生させてもよい。
さらには、機械的撹拌力を併用することにより、粒子状の金属酸化物の等電点をより均一に、効率良く変化させることができる。
本願発明で用いるプラズマ発生方式は、図1のbに示される、表面改質を行う金属酸化物及び分散媒である水溶液を入れる貯留槽、電源、対電極を備え、対電極の両方の電極を気中に設置した装置に電圧を印加して、気中に置いた電極と液面との間にプラズマを発生させる方式である。
対電極の両方の電極を気中に置いた場合には、気中に置いた電極と液面との間にプラズマが発生する。
本願発明で用いる電極の形状は、例えば、針状、中空針状、線状、平板状等が挙げられるが特に限定はされない。針状の電極は、不平等電界が発生することで絶縁破壊電圧が低くなり、プラズマを低電圧でも発生させやすくするため好ましい。電極の大きさや太さは特に限定されない。電極の材質は、例えば、銅、銅タングステン、グラファイト、タングステン、チタン、ステンレス、モリブテン、アルミ、鉄、白金等が挙げられ、特に限定されないが、電極の消耗を考慮すると、タングステンやチタンが好ましい。
本願発明で用いるプラズマ発生装置の電源は、直流電源、パルス電源、低周波交流電源、マイクロ波電源等、様々な方式を用いることができる。
プラズマの発生量は、印加電圧に大きく影響を受ける。プラズマを発生させるに要する印加電圧は、対電極の両方の電極を気中に置いた場合では、液面−電極間距離に影響される。この距離が長い程、プラズマ発生に必要な印加電圧は高くなる。印加電圧の大きさにより、最適な液面−電極間距離は変化する。電極間距離は、本願発明では特に限定されないが、安定な印加電圧をかけることができ効率良く等電点を変化させることができる範囲として、0mmよりも大きく50mmよりも小さい方が好ましい。また、印加電圧の大きさも特に限定されない。大きな印加電圧・電流を用いる場合には、複数の電源を並列又は直列につなぐことにより電流・電圧を上昇させても良く、整流回路を用いても良い。
本願発明で用いる水溶液は、水又は水溶性の液体であれば良く、本願発明の効果を損なわない範囲で、塩、アルコール、界面活性剤、水溶性高分子等の保護コロイド成分を添加しても良い。
本願発明で用いるプラズマを発生させる装置において、液面上部は開放した状態であっても、密閉した状態であっても良い。密閉系では、任意のガスを導入しながら、又はガスを充満させた状態で放電することができ、ガスの種類や濃度によって、等電点の上下と変化量を変えることができる。
導入するガスとしては、水素、窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素等の気体やこれらの混合物等が挙げられる。ガスの導入は液面上、水溶液中のいずれでも良い。
本願発明の金属酸化物の等電点を変化させる方法において、局所的に発生させているプラズマの効果を系全体に行き渡らせ、より効率良く等電点を変化させるためには、機械的撹拌力を同時に加えることが好ましい。
また、ナノ粒子のように水溶液中で凝集し易い微粒子の場合は、凝集体を一時的に解砕するため、機械的解砕力を加えることが好ましい。
併用する機械的撹拌力・解砕力が得られる装置としては、マグネチックスターラー、ミキサー、超音波浴、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、高速ホモミキサー、高圧ホモジナイザー、コロイダルミル、スタンプミル、ロッドミル、ボールミル、ビーズミル、ジョークラッシャー、ニーダー、プラネタリー等が挙げられるが、特にこれらに限定されず、2つ以上併用してもよい。また、攪拌力と解砕力が同時に得られるという点から、超音波浴、超音波ホモジナイザー、高圧ホモミキサー、ビーズミル、プラネタリーを併用することが好ましい。
本願発明では、これら各機械的撹拌力・解砕力が得られる装置と、設置する電極の位置を任意に選択し組み合わせることができ、その組み合わせは特に限定されない。
超音波処理においては、超音波の周波数は、通常洗浄に用いられる程度の15〜150kHzであり、撹拌能力と設置コストを考慮すると、30〜50kHzが好ましい。出力は処理しようとする粉体の量や特性に依存するが、通常市販されている2500W以下のものを用いれば良く、コストを考慮すれば1200W以下のものが汎用性が高い。
また、リザーバータンク等を用いて、プラズマ照射部と攪拌・解砕部を分離させ、双方を循環させながら、同時にプラズマ照射と攪拌・解砕を行ってもよい。
本願発明では、処理される金属酸化物が水溶液中に存在するため、金属酸化物の表面が水溶液に触れていれば改質効果が望める。したがって、処理される金属酸化物の形状は限定されず、金属酸化物の成型体、粉体であっても良い。さらには、金属酸化物が微細であっても良く、特に、凝集力の大きい一次粒子径が100nm以下の微粒子には効果的である。
金属酸化物の種類としては、酸化チタン、ベンガラ、酸化亜鉛、酸化クロム、黒酸化鉄、黄酸化鉄、鉛丹、黒酸化チタン、チタン酸リチウムコバルト、雲母チタン、ジルコン、合成金雲母、セリサイト、タルク、マイカ等が挙げられ、これらを含む混合物や複合体、又は粘土鉱物であっても良い。
本願発明の金属酸化物の等電点を変える方法は、プラズマ処理により有利な表面改質効果を奏する。すなわち、金属酸化物の表面を別の金属酸化物で被覆する従来の方法とは異なり、金属酸化物本来の機能や物性を損なうことなく、水溶液中に存在している金属酸化物の等電点を変化させることができる。
上記の効果は、水溶液中でプラズマ照射に伴い発生するラジカル種により、金属酸化物が表面改質されることによると推測される。水溶液に触れている試料表面が改質されるため、用いる試料の形状、種類、大きさは特に限定されず、成型体の場合は完全に水溶液中に浸された状態であれば良く、粉体の場合では浮遊することなく水溶液中に沈降又は分散していれば良い。
さらに、本願発明の方法によれば、金属酸化物が微粒子状で凝集し易くても、等電点の変化により水溶液中に安定に分散し、微粒子の凝集物を解すことができる。
このため、大気中では均一な処理が困難な、一次粒子が100nm以下の凝集しやすい金属酸化物微粒子に対しても、より均一にプラズマ処理を行うことができる。
本願発明の表面改質方法により等電点を変化させた金属酸化物は、表面電位のpH依存性が変化している。
本願発明の金属酸化物の等電点を変化させる方法を用いることで、金属酸化物の分散挙動やイオンの吸着挙動が変化する。特に、金属酸化物粉体においては、従来とは異なるpHでの分散物の調製も可能となる。また、逆に表面電荷に起因する静電気反発力を弱くすることで、煩雑なpH調整操作を行うことなく、水溶液中に分散している金属酸化物を凝集させ、回収することも可能である。
図1は、気中に置いた電極と液面の間でプラズマを発生させる2つの方式の装置a及びbと、水溶液中に設置した対電極間でプラズマを発生させる方式の装置cの概略図である。 図2は、対電極を複数設置し、それぞれの対電極間に電圧を印加することにより複数のプラズマを発生させる装置の概略図である。
次に、本願発明の金属酸化物の等電点を変化させる方法、及びその方法で処理された金属酸化物について実施例を挙げて詳細に説明するが、本願発明はこれらに限定されない。
参考例1
水溶液中にある微粒子酸化チタンを図1aで表わされるプラズマ発生装置を用いて下記の条件にてプラズマ処理を行った。
<金属酸化物>
微粒子酸化チタン0.1g(テイカ株式会社製MT−500B、平均一次粒子径35nm(カタログ値)、形状:略球状)
<反応場に用いる溶液>
イオン交換水 pH=5.8 金属酸化物との全量を1000gに調整
<プラズマ発生条件>
電源:インバーター式ネオン変圧器(60Hz)
電極1:タングステン(針状、直径1mm)、液面−電極間距離5mmの気中に設置
電極2:アルミテープ(平板状)を水溶液中に設置
印加電圧:3kV
貯留槽:1リットルビーカー
機械的攪拌装置:マグネチックスターラー
処理時間:2時間
<等電点の算出>
参考例1で得られた金属酸化物の水分散物に対して、ゼータ電位を測定するELS Z(大塚電子株式会社製)と任意のpHに滴定するELS−PT(大塚電子株式会社製)により、pHを変えながらゼータ電位を測定した。滴定には0.1mol/L塩酸水溶液と0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いた。等電点pHは、各pHにおけるゼータ電位の値から、ゼータ電位が0mVとなるpHの値とした。
<結果>
参考例1で得られた微粒子酸化チタンの等電点はpH=9.5となった。これに対しプラズマ処理を行わず参考例1と同様に処理した微粒子酸化チタンの等電点はpH=5.4であった(浮遊物のみで測定)。このように、本願発明の方法により大きく等電点を変えることができた。
参考例2
参考例1の処理時間を1時間とし、他の条件は同様にしてプラズマ処理を行った。
<結果>
参考例2で得られた微粒子酸化チタンの等電点はpH=8.8となった。プラズマ照射時間を変えることにより等電点の変化量を調整することができた。
参考例3
参考例1でのマグネチックスターラーの併用を無くし、他の条件は参考例1と同様にしてプラズマ処理を行った。
<結果>
参考例3で得られた微粒子酸化チタンの等電点はpH=8.5となった。機械的攪拌力無しでも金属酸化物の等電点を変化させることができた。
参考例4)
参考例2の金属酸化物をシリカ(富士化学株式会社製 HF−Silbol−S、平均一次粒子径250nm(カタログ値)、形状:球状、pH=2.2〜2.8(文献値))に替えて、その他は参考例2と同様にプラズマ処理を行った。
<結果>
参考例4で得られたシリカの等電点はpH=4.1となった。金属酸化物の等電点がイオン交換水のpHよりも低く、水中で粒子表面の電位がマイナスになっているものでも、金属酸化物の等電点を変化させることができた。
参考例5)
参考例2の金属酸化物をアルミナ(大明化学工業株式会社製 TM−DA、平均一次粒子径100nm(カタログ値)、形状:紡錘状、pH=9.3(文献値))に替えて、その他は参考例2と同様に行った。
<結果>
参考例5で得られたアルミナの等電点はpH=9.9となった。金属酸化物の等電点がイオン交換水のpHよりも大きく、水中で粒子表面の電位がプラスになっているものでも、金属酸化物の等電点を変化させることができた。
参考例6)
参考例2の金属酸化物を合成板状アルミナ(キンセイマテック株式会社製 セラフ 00610、平均一次粒子径600nm 厚さ60nm(カタログ値)、形状:板状)に替えて、その他は参考例2と同様にプラズマ処理を行った。
<結果>
参考例6で得られた合成板状アルミナの等電点はpH=9.7となった。板状の金属酸化物の等電点を変化させることができた。
参考例7)
参考例1の電源(インバーター式ネオン変圧器)を巻線式ネオン変圧器(60Hz)に替えて、他は全て参考例1と同じ条件でプラズマ処理を行った。
<結果>
参考例7で得られた微粒子酸化チタンの等電点はpH=9.4となった。使用する電源を換えても等電点を変化させることができた。
図1bのプラズマ発生装置において、電源には巻線式ネオントランスを用い、両電極共に液面−電極間距離を5mmとし、他の条件は参考例1と同様にプラズマ処理を行った。(図1b参照)
<結果>
実施例1で得られた微粒子酸化チタンの等電点はpH=8.7となった。両電極を気中に設置してもプラズマを発生させることができ、金属酸化物の等電点を変化させることができた。
参考例8
図1cのプラズマ発生装置において、電源には高圧パルス電源、水溶液中に置かれた両電極間の距離が1mmとなるように調整し、他の条件は参考例1と同様にプラズマ処理を行った。
<結果>
参考例8で得られた微粒子酸化チタンの等電点はpH=9.1となった。両電極を水溶液中に設置するプラズマ発生装置でも、金属酸化物の等電点を変化させることができた。
(参考例9
参考例1の機械的攪拌力として用いたマグネチックスターラーを、機械的解砕力もある超音波浴に替え、他は参考例1と同じ条件でプラズマ処理を行った。
<結果>
参考例9で得られた微粒子酸化チタンの等電点はpH=9.8となり、マグネチックスターラーを併用した参考例1よりも等電点変化が大きくなった。
参考例10
参考例9の微粒子酸化チタンを、粒径の異なる微粒子酸化チタンに変更し、その他は参考例9と同条件でプラズマ処理した。
<対象の微粒子>
参考例10−1:テイカ株式会社製 MT−150A,平均一次粒子径15nm(カタログ値)
参考例10−2:テイカ株式会社製 MT−600B,平均一次粒子径50nm(カタログ値)
参考例10−3:テイカ株式会社製 MT−700B,平均一次粒子径80nm(カタログ値)
<結果>
各等電点は参考例10−1がpH=9.6、参考例10−2がpH=9.8、参考例10−3がpH=9.8と、ほとんど差のない結果となり、100nm以下の微粒子全般にわたり、等電点を変化させることができた。
参考例11
超音波浴を併用する参考例9の装置で、液面上部の電極を覆う形で密閉した装置を作製した(貯留槽を1リットルビーカーから1リットル平底セパラブルフラスコに変更し、上部は4つ口のセパラブルカバーで覆った。)。この装置を用いて、Arガスを注入しながら、参考例9と同様の条件でプラズマ処理を行った。
<結果>
参考例11で得られた微粒子酸化チタンの等電点はpH=8.0となった。Ar雰囲気においても等電点を変化させることができた。
参考例12
参考例1の微粒子酸化チタン量を1g、10g、100g、200gと増やし、さらに機械的攪拌装置を超音波から高速ホモミキサーに替え、その他は参考例9と同条件でプラズマ処理を行った。
<結果>
表1より、金属酸化物粒子の濃度を変えても等電点を変化させることができることがわかる。
参考例13
参考例12の機械的攪拌力・解砕力に、ビーカー側面の撹拌も十分できるようにアンカー型の撹拌装置を併用し、他の条件は参考例12−4と同様にしてプラズマ処理を行った。
<結果>
参考例13で得られた微粒子酸化チタンの等電点はpH=7.3となり、参考例12−4よりもさらに等電点の変化が大きくなった。このように、微粒子酸化チタンの濃度が高い系では液の粘性が上がるため、高速ホモミキサーの解砕力だけでなく撹拌により系全体を均一にすることで処理効率を上げることができる。
(比較例1)
参考例9と同一の条件で、プラズマ照射を行わず、超音波浴のみを用いて微粒子酸化チタンの分散処理を行った。
<分散状態の評価>
等電点の算出に加えて、動的光散乱による粒径測定(大塚電子株式会社製 FPAR−1000)を行った。
比較例1の金属酸化物の等電点はpH=5.4であり、酸化チタンの文献値と大きな差はなかった。また、平均粒径2μm以上の凝集物が存在していた。参考例9ではプラズマ照射により等電点がpH=9.8へ変化し、平均粒径は200nm以下で安定した分散状態を維持していた。一般に、一次粒子径が100nm以下のナノ粒子では、粒子間に強い表面エネルギーが働くため分散が非常に難しいが、参考例9においては、等電点を変化させることで、界面活性剤やpH調整剤を加えることなく、良好な分散状態を維持することができた。
一般に、密度が高く凝集し易い酸化チタンでは、酸化チタンの水中分散を維持させることは非常に困難であるが、本願発明では驚くべきことに等電点を変化させることで酸化チタンのナノ粒子でさえも水中に安定に分散させることができた。
参考例14
<電極−液面間距離>
参考例7において、電極−液面間距離を2、10、15、30、50mmと変えてプラズマ処理をした。
<結果>
液面−電極間距離が大きくなるとプラズマを発生させるのに必要な印加電圧も大きくなり、液面−電極間距離が大きくなり過ぎると発生するプラズマが不安定になり、50mmではプラズマが発生・消失を繰り返した。
参考例15
参考例1において、電源を、巻線式ネオン変圧器2台を直列につないだ電源に替え、他の条件は参考例1と同様にしてプラズマ処理を行った
<結果>
参考例15で得られた微粒子酸化チタンの等電点はpH=9.7となり、金属酸化物の等電点を変化させることができた。
参考例16
参考例1において、電源を、巻線式ネオン変圧器2台を並列につないだ電源に替え、他の条件は参考例1と同様にしてプラズマ処理を行った。
<結果>
参考例16で得られた微粒子酸化チタンの等電点はpH=9.6となり、金属酸化物の等電点を変化させることができた。
参考例17
参考例15において、さらに整流回路を用いて一方向にプラズマを照射して、他の条件は参考例15と同様にしてプラズマ処理を行った。
<結果>
参考例17で得られた微粒子酸化チタンの等電点はpH=9.6となり、金属酸化物の等電点を変化させることができた。
参考例18
図2で表わされるような対電極を2つ設置した装置を用いて、他の条件は参考例2と同様にしてプラズマ処理を行った。
<結果>
参考例18で得られた微粒子酸化チタンの等電点はpH=9.8となり、金属酸化物の等電点を変化させることができた。
本願発明は、水中にある金属酸化物の等電点をプラズマの照射により変化させ、金属酸化物の表面改質を行う技術である。従来技術では、等電点を変化させるためには別の金属酸化物を被覆しなければならなかったのに対し、本願発明では基材自身を表面改質するため、基材が本来有している機能や特性を失わせることなく、等電点を変化させることができる。
1.表面改質を行う金属酸化物及び分散媒を入れる貯留槽
2.分散媒中で分散又は沈降した金属酸化物(図1−a、図2は分散した金属酸化物、bは凝集・沈降した金属酸化物、cは板状の成形体の金属酸化物)
3.電源
4.電極1(図1−a,図1−b、図2では気中、図1−cでは水溶液中に設置)
5.電極2(図1−a,図1−c、図2では水溶液中、図1−bでは気中に設置)
6.プラズマ(図1−a,図1−b、図2では気中に設置した電極と液面間にプラズマが発生し、図1−cは水溶液中に設置した対電極間でプラズマが発生する)

Claims (1)

  1. 表面改質を行う金属酸化物及び分散媒である水溶液を入れる貯留槽、電源、対電極を備え、対電極の両方の電極を気中に設置した装置を用いて、該対電極間に電圧を印加して気中に置いた電極と液面との間にプラズマを発生させることにより、水溶液中に沈降又は分散した金属酸化物の等電点を変化させる方法。
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