近年における社会的な環境意識の高まりにより、プリンタにおいても低消費電力化が求められており、印刷を行う通常モードと、通常モードより低消費電力の待機モードとを有するプリンタが実用化されている。このようなプリンタにおいては、印刷要求を受けていない間は待機モードとなって消費電力を削減し、印刷要求を受けた場合に待機モードから通常モードに復帰して印刷を実行する。そして、印刷が完了すると、通常モードから再び待機モードに移行する。
このような待機モードを有するプリンタにおいて、待機モードから通常モードへの復帰には、感光体の加熱等が必要となるため、数十秒程度の時間を要する。従って、上記特許文献1に開示されたプリンタとして、待機モードを有するプリンタを使用した場合には、ユーザがプリンタの操作表示部から親展No.を入力した時点から復帰処理が開始されることとなるため、ユーザの待ち時間が長くなる。その結果、ユーザの作業効率が低下する。
また、待ち時間の長期化を回避すべくプリンタが印刷ジョブを受信した時点から復帰処理を開始したのでは、消費電力の削減効果が低下する。例えば、パソコンとプリンタとの物理的な距離が離れている場合には、ユーザがプリンタに到着するよりも前に通常モードへの移行が完了するため、まだ印刷が実行されないにも拘わらず通常モードの状態が長く続いてしまう。あるいは、印刷ジョブの送信だけを済ませておき、別の作業が片付いてから後で印刷を行うような場合であっても、印刷ジョブの送信によってプリンタは通常モードへ移行するため、直ちに印刷が実行されないにも拘わらず通常モードの状態が長く続いてしまう。その結果、消費電力の削減効果が低下する。
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、消費電力の削減効果が低下することを回避しつつ、待機モードから通常モードへの復帰処理に伴うユーザの待ち時間の発生を回避することが可能な、プリンタ制御装置、プリンタ、プログラム、コンピュータシステム、及びプリンタ制御方法を得ることを目的とする。
本発明の第1の態様に係るプリンタ制御装置は、複数のユーザ端末と通信する通信部と、認証情報が入力される入力部と、印刷を実行する通常モード及び当該通常モードより低消費電力の待機モードを有する印刷部と、を備えるプリンタを制御するプリンタ制御装置であって、ユーザ端末から印刷要求が送信されてから前記入力部に認証情報が入力されるまでの過去の経過時間情報が、ユーザ端末別に記述された、所定の履歴情報テーブルを記憶する記憶部と、制御部と、を備え、前記制御部は、ユーザ端末から送信された印刷要求を、前記通信部を介して取得する印刷要求取得部と、前記印刷要求取得部が印刷要求を取得した場合に、前記印刷部の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを、前記履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末に応じて設定する設定部と、前記設定部によって設定された開始タイミングで復帰処理を開始するモード切替部と、を有し、前記履歴情報テーブルには、前記経過時間情報が、ユーザ端末別及び予め区分された時間帯別に記述されており、前記設定部は、復帰処理の開始タイミングを、前記履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末及び印刷要求の送信時刻が属する時間帯に応じて設定することを特徴とするものである。
第1の態様に係るプリンタ制御装置によれば、履歴情報テーブルには、ユーザ端末から印刷要求が送信されてから入力部に認証情報が入力されるまでの過去の経過時間情報が、ユーザ端末別に記述されている。そして、設定部は、印刷要求取得部が印刷要求を取得した場合に、印刷部の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを、履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末に応じて設定する。従って、設定部は、印刷実行のためにユーザがプリンタに到着する時点で復帰処理が完了するように、復帰処理の開始タイミングを適切に設定することができる。つまり、入力部への認証情報の入力を待たずに実行が開始される復帰処理(事前復帰処理)の開始タイミングを、適切に設定することができる。このように、事前復帰処理を行い、しかもその開始タイミングを適切に設定することにより、消費電力の削減効果が低下することを回避しつつ、待機モードから通常モードへの復帰処理に伴うユーザの待ち時間の発生を回避することが可能となる。
しかも、履歴情報テーブルには、経過時間情報がユーザ端末別に記述されている。ユーザがユーザ端末から印刷要求を送信してからプリンタに到着するまでの経過時間は、ユーザ端末とプリンタとの物理的な距離や、ユーザの歩行速度等によって、ユーザ毎に異なる。第1の態様に係るプリンタ制御装置によれば、履歴情報テーブルには経過時間情報がユーザ端末別に記述されているため、ユーザ毎に最適な開始タイミングを設定部によって設定することが可能となる。
また、第1の態様に係るプリンタ制御装置によれば、履歴情報テーブルには、経過時間情報が、ユーザ端末別及び予め区分された時間帯別に記述されている。そして、設定部は、復帰処理の開始タイミングを、履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末及び印刷要求の送信時刻が属する時間帯に応じて設定する。同一のユーザであっても、印刷に関する行動パターンが時間帯毎に異なる場合がある。例えば、昼休み直前の時間帯に印刷要求を送信した場合には昼休みの終了後に印刷を実行するが、それ以外の時間帯では直ちに印刷を実行するというユーザも存在する。第1の態様に係るプリンタ制御装置によれば、履歴情報テーブルには経過時間情報が時間帯別に記述されている。そのため、上記のように印刷に関する行動パターンが時間帯に応じて異なるユーザに対しても、時間帯毎に最適な開始タイミングを設定部によって設定することが可能となる。
本発明の第2の態様に係るプリンタ制御装置は、複数のユーザ端末と通信する通信部と、認証情報が入力される入力部と、印刷を実行する通常モード及び当該通常モードより低消費電力の待機モードを有する印刷部と、を備えるプリンタを制御するプリンタ制御装置であって、ユーザ端末から印刷要求が送信されてから前記入力部に認証情報が入力されるまでの過去の経過時間情報が、ユーザ端末別に記述された、所定の履歴情報テーブルを記憶する記憶部と、制御部と、を備え、前記制御部は、ユーザ端末から送信された印刷要求を、前記通信部を介して取得する印刷要求取得部と、前記印刷要求取得部が印刷要求を取得した場合に、前記印刷部の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを、前記履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末に応じて設定する設定部と、前記設定部によって設定された開始タイミングで復帰処理を開始するモード切替部と、を有し、前記設定部は、印刷要求の送信元のユーザ端末に関して所定のしきい値以上の前記経過時間情報が記述されている場合には、復帰処理の開始タイミングとして、前記入力部に認証情報が入力されたタイミングを設定することを特徴とするものである。
第2の態様に係るプリンタ制御装置によれば、履歴情報テーブルには、ユーザ端末から印刷要求が送信されてから入力部に認証情報が入力されるまでの過去の経過時間情報が、ユーザ端末別に記述されている。そして、設定部は、印刷要求取得部が印刷要求を取得した場合に、印刷部の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを、履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末に応じて設定する。従って、設定部は、印刷実行のためにユーザがプリンタに到着する時点で復帰処理が完了するように、復帰処理の開始タイミングを適切に設定することができる。つまり、入力部への認証情報の入力を待たずに実行が開始される復帰処理(事前復帰処理)の開始タイミングを、適切に設定することができる。このように、事前復帰処理を行い、しかもその開始タイミングを適切に設定することにより、消費電力の削減効果が低下することを回避しつつ、待機モードから通常モードへの復帰処理に伴うユーザの待ち時間の発生を回避することが可能となる。
しかも、履歴情報テーブルには、経過時間情報がユーザ端末別に記述されている。ユーザがユーザ端末から印刷要求を送信してからプリンタに到着するまでの経過時間は、ユーザ端末とプリンタとの物理的な距離や、ユーザの歩行速度等によって、ユーザ毎に異なる。第2の態様に係るプリンタ制御装置によれば、履歴情報テーブルには経過時間情報がユーザ端末別に記述されているため、ユーザ毎に最適な開始タイミングを設定部によって設定することが可能となる。
また、第2の態様に係るプリンタ制御装置によれば、設定部は、印刷要求の送信元のユーザ端末に関して所定のしきい値以上の経過時間情報が記述されている場合には、復帰処理の開始タイミングとして、入力部に認証情報が入力されたタイミングを設定する。このように、印刷要求を送信しても直ちに印刷を実行しないユーザに対しては事前復帰処理を行わず、ユーザが実際に入力部に認証情報を入力したタイミングで通常の復帰処理を開始することにより、無用な事前復帰処理に起因して消費電力の削減効果が低下することを回避することが可能となる。
本発明の第3の態様に係るプリンタ制御装置は、複数のユーザ端末と通信する通信部と、認証情報が入力される入力部と、印刷を実行する通常モード及び当該通常モードより低消費電力の待機モードを有する印刷部と、を備えるプリンタを制御するプリンタ制御装置であって、ユーザ端末から印刷要求が送信されてから前記入力部に認証情報が入力されるまでの過去の経過時間情報が、ユーザ端末別に記述された、所定の履歴情報テーブルを記憶する記憶部と、制御部と、を備え、前記制御部は、ユーザ端末から送信された印刷要求を、前記通信部を介して取得する印刷要求取得部と、前記印刷要求取得部が印刷要求を取得した場合に、前記印刷部の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを、前記履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末に応じて設定する設定部と、前記設定部によって設定された開始タイミングで復帰処理を開始するモード切替部と、を有し、前記経過時間情報は、直近の所定期間内又は所定回数内の印刷処理によって蓄積された複数の経過時間情報に関する平均値と最小値とを含み、前記制御部は、ユーザ端末に関連付けられたユーザに対して登録されているイベントの開始予定時刻を含むイベント情報を、前記通信部を介して取得するイベント情報取得部をさらに有し、前記設定部は、前記イベント情報取得部が取得した前記イベント情報に基づいて、印刷要求の送信時刻が、イベントの開始予定時刻より所定時間前から当該開始予定時刻までの第1特定期間に属するか否かを判定し、印刷要求の送信時刻が前記第1特定期間に属する場合には、前記経過時間情報の最小値に基づいて、復帰処理の開始タイミングを設定することを特徴とするものである。
第3の態様に係るプリンタ制御装置によれば、履歴情報テーブルには、ユーザ端末から印刷要求が送信されてから入力部に認証情報が入力されるまでの過去の経過時間情報が、ユーザ端末別に記述されている。そして、設定部は、印刷要求取得部が印刷要求を取得した場合に、印刷部の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを、履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末に応じて設定する。従って、設定部は、印刷実行のためにユーザがプリンタに到着する時点で復帰処理が完了するように、復帰処理の開始タイミングを適切に設定することができる。つまり、入力部への認証情報の入力を待たずに実行が開始される復帰処理(事前復帰処理)の開始タイミングを、適切に設定することができる。このように、事前復帰処理を行い、しかもその開始タイミングを適切に設定することにより、消費電力の削減効果が低下することを回避しつつ、待機モードから通常モードへの復帰処理に伴うユーザの待ち時間の発生を回避することが可能となる。
しかも、履歴情報テーブルには、経過時間情報がユーザ端末別に記述されている。ユーザがユーザ端末から印刷要求を送信してからプリンタに到着するまでの経過時間は、ユーザ端末とプリンタとの物理的な距離や、ユーザの歩行速度等によって、ユーザ毎に異なる。第3の態様に係るプリンタ制御装置によれば、履歴情報テーブルには経過時間情報がユーザ端末別に記述されているため、ユーザ毎に最適な開始タイミングを設定部によって設定することが可能となる。
また、第3の態様に係るプリンタ制御装置によれば、設定部は、イベント情報取得部が取得したイベント情報に基づいて、印刷要求の送信時刻が、イベントの開始予定時刻より所定時間前から当該開始予定時刻までの第1特定期間に属するか否かを判定する。そして、印刷要求の送信時刻が第1特定期間に属する場合には、経過時間情報の最小値に基づいて復帰処理の開始タイミングを設定する。イベントの開始直前の第1特定期間に印刷要求が送信された場合には、その印刷要求は当該イベントで使用する資料に関する印刷要求であって、ユーザは至急に印刷を実行することが想定される。従って、印刷要求の送信時刻が第1特定期間に属する場合には、経過時間情報の最小値に基づいて復帰処理の開始タイミングを設定することにより、印刷要求の送信後にユーザが直ちにプリンタに到着した場合であっても、その時点で復帰処理は完了しているため、ユーザは当該資料を至急に印刷することが可能となる。
本発明の第4の態様に係るプリンタ制御装置は、第3の態様に係るプリンタ制御装置において特に、前記イベント情報は、イベントの終了予定時刻をさらに含み、前記設定部は、前記イベント情報取得部が取得した前記イベント情報に基づいて、印刷要求の送信時刻が、イベントの開始予定時刻から終了予定時刻までの第2特定期間に属するか否かを判定し、印刷要求の送信時刻が前記第2特定期間に属する場合には、前記経過時間情報の最小値に基づいて、復帰処理の開始タイミングを設定することを特徴とするものである。
第4の態様に係るプリンタ制御装置によれば、設定部は、イベント情報取得部が取得したイベント情報に基づいて、印刷要求の送信時刻が、イベントの開始予定時刻から終了予定時刻までの第2特定期間に属するか否かを判定する。そして、印刷要求の送信時刻が第2特定期間に属する場合には、経過時間情報の最小値に基づいて復帰処理の開始タイミングを設定する。イベントの開催中の第2特定期間に印刷要求が送信された場合には、その印刷要求は当該イベントで使用する資料に関する印刷要求であって、ユーザは至急に印刷を実行することが想定される。従って、印刷要求の送信時刻が第2特定期間に属する場合には、経過時間情報の最小値に基づいて復帰処理の開始タイミングを設定することにより、印刷要求の送信後にユーザが直ちにプリンタに到着した場合であっても、その時点で復帰処理は完了しているため、ユーザは当該資料を至急に印刷することが可能となる。
本発明の第5の態様に係るプリンタ制御装置は、第4の態様に係るプリンタ制御装置において特に、設定部は、印刷要求の送信時刻が第1特定期間及び第2特定期間に属さない場合には、経過時間情報の平均値に基づいて、復帰処理の開始タイミングを設定することを特徴とするものである。
第5の態様に係るプリンタ制御装置によれば、設定部は、印刷要求の送信時刻が第1特定期間及び第2特定期間に属さない場合には、経過時間情報の平均値に基づいて、復帰処理の開始タイミングを設定する。これにより、至急の印刷実行が想定されない状況では復帰処理は必要以上に早く開始されないため、消費電力の削減効果の低下を回避することが可能となる。
本発明の第6の態様に係るプリンタ制御装置は、第3〜第5のいずれか一つの態様に係るプリンタ制御装置において特に、前記イベントは「会議」であることを特徴とするものである。
第6の態様に係るプリンタ制御装置によれば、ユーザは、会議に使用する資料に関する印刷要求を会議開始時刻の直前又は会議開催中に送信した場合であっても、当該資料を待ち時間なく至急に印刷することが可能となる。
本発明の第7の態様に係るプリンタ制御装置は、第6の態様に係るプリンタ制御装置において特に、前記イベント情報には、会議が行われる会議室を示す情報がさらに含まれており、前記設定部は、前記イベント情報に基づいて、前記第1特定期間を会議室別に設定することを特徴とするものである。
第7の態様に係るプリンタ制御装置によれば、イベント情報には、会議が行われる会議室を示す情報が含まれており、設定部は、当該イベント情報に基づいて、第1特定期間を会議室別に設定する。プリンタから遠い会議室で会議が行われる場合には、その会議で使用する資料に関する至急の印刷が、会議開始時刻よりも比較的早い時点から必要になるという状況が想定される。従って、プリンタから遠い会議室で会議が行われる場合には第1特定期間を比較的長く設定することにより、ユーザは、会議開始時刻よりも比較的早い時点から、当該資料を待ち時間なく至急に印刷することが可能となる。また、プリンタから近い会議室で会議が行われる場合には、会議開始時刻よりも比較的早い時点で至急の印刷が必要になるという状況は稀である。従って、プリンタから近い会議室で会議が行われる場合には第1特定期間を比較的短く設定することにより、至急の印刷を必要以上に早い時点から許容することに起因して消費電力の削減効果が低下することを、予め回避することが可能となる。
本発明の第8の態様に係るプリンタ制御装置は、第3の態様に係るプリンタ制御装置において特に、前記イベントは「外出」であることを特徴とするものである。
第8の態様に係るプリンタ制御装置によれば、ユーザは、出張等の外出先で使用する資料に関する印刷要求を外出の直前に送信した場合であっても、当該資料を待ち時間なく至急に印刷することが可能となる。
本発明の第9の態様に係るプリンタ制御装置は、複数のユーザ端末と通信する通信部と、認証情報が入力される入力部と、印刷を実行する通常モード及び当該通常モードより低消費電力の待機モードを有する印刷部と、を備えるプリンタを制御するプリンタ制御装置であって、ユーザ端末から印刷要求が送信されてから前記入力部に認証情報が入力されるまでの過去の経過時間情報が、ユーザ端末別に記述された、所定の履歴情報テーブルを記憶する記憶部と、制御部と、を備え、前記制御部は、ユーザ端末から送信された印刷要求を、前記通信部を介して取得する印刷要求取得部と、前記印刷要求取得部が印刷要求を取得した場合に、前記印刷部の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを、前記履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末に応じて設定する設定部と、前記設定部によって設定された開始タイミングで復帰処理を開始するモード切替部と、を有し、前記制御部は、ユーザ端末が操作されているか否かを示す操作情報を、前記通信部を介して取得する操作情報取得部をさらに有し、前記設定部は、前記操作情報取得部が取得した前記操作情報に基づいて、ユーザ端末の操作が終了した時点を起点として復帰処理の開始タイミングを設定することを特徴とするものである。
第9の態様に係るプリンタ制御装置によれば、履歴情報テーブルには、ユーザ端末から印刷要求が送信されてから入力部に認証情報が入力されるまでの過去の経過時間情報が、ユーザ端末別に記述されている。そして、設定部は、印刷要求取得部が印刷要求を取得した場合に、印刷部の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを、履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末に応じて設定する。従って、設定部は、印刷実行のためにユーザがプリンタに到着する時点で復帰処理が完了するように、復帰処理の開始タイミングを適切に設定することができる。つまり、入力部への認証情報の入力を待たずに実行が開始される復帰処理(事前復帰処理)の開始タイミングを、適切に設定することができる。このように、事前復帰処理を行い、しかもその開始タイミングを適切に設定することにより、消費電力の削減効果が低下することを回避しつつ、待機モードから通常モードへの復帰処理に伴うユーザの待ち時間の発生を回避することが可能となる。
しかも、履歴情報テーブルには、経過時間情報がユーザ端末別に記述されている。ユーザがユーザ端末から印刷要求を送信してからプリンタに到着するまでの経過時間は、ユーザ端末とプリンタとの物理的な距離や、ユーザの歩行速度等によって、ユーザ毎に異なる。第9の態様に係るプリンタ制御装置によれば、履歴情報テーブルには経過時間情報がユーザ端末別に記述されているため、ユーザ毎に最適な開始タイミングを設定部によって設定することが可能となる。
また、第9の態様に係るプリンタ制御装置によれば、設定部は、操作情報取得部が取得した操作情報に基づいて、ユーザ端末の操作が終了した時点を起点として復帰処理の開始タイミングを設定する。ユーザ端末から印刷要求が送信されても、ユーザがユーザ端末を操作している間は、印刷実行のためにユーザがプリンタに到着することはあり得ない。従って、ユーザ端末の操作が終了した時点を起点として復帰処理の開始タイミングを設定することにより、印刷を実行し得ない状況で復帰処理が完了することに起因して消費電力の削減効果が低下することを、予め回避することが可能となる。
本発明の第10の態様に係るプリンタ制御装置は、複数のユーザ端末と通信する通信部と、認証情報が入力される入力部と、印刷を実行する通常モード及び当該通常モードより低消費電力の待機モードを有する印刷部と、を備えるプリンタを制御するプリンタ制御装置であって、ユーザ端末から印刷要求が送信されてから前記入力部に認証情報が入力されるまでの過去の経過時間情報が、ユーザ端末別に記述された、所定の履歴情報テーブルを記憶する記憶部と、制御部と、を備え、前記制御部は、ユーザ端末から送信された印刷要求を、前記通信部を介して取得する印刷要求取得部と、前記印刷要求取得部が印刷要求を取得した場合に、前記印刷部の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを、前記履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末に応じて設定する設定部と、前記設定部によって設定された開始タイミングで復帰処理を開始するモード切替部と、を有し、前記モード切替部は、前記印刷部による印刷が完了した第1時点から第1の所定時間が経過した第2時点において、前記印刷部の動作モードを通常モードから待機モードに移行し、前記制御部は、前記印刷要求取得部が取得した印刷要求が、同一のユーザ端末からの同一のファイルに関する再印刷要求であるか否かを判定する判定部をさらに備え、前記判定部は、前記第1時点から前記第2時点までの間に、同一のユーザ端末からの同一のファイルに関する再印刷要求を受けた場合には、前記モード切替部に対して通常モードから待機モードへの移行を行わせないことを特徴とするものである。
第10の態様に係るプリンタ制御装置によれば、履歴情報テーブルには、ユーザ端末から印刷要求が送信されてから入力部に認証情報が入力されるまでの過去の経過時間情報が、ユーザ端末別に記述されている。そして、設定部は、印刷要求取得部が印刷要求を取得した場合に、印刷部の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを、履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末に応じて設定する。従って、設定部は、印刷実行のためにユーザがプリンタに到着する時点で復帰処理が完了するように、復帰処理の開始タイミングを適切に設定することができる。つまり、入力部への認証情報の入力を待たずに実行が開始される復帰処理(事前復帰処理)の開始タイミングを、適切に設定することができる。このように、事前復帰処理を行い、しかもその開始タイミングを適切に設定することにより、消費電力の削減効果が低下することを回避しつつ、待機モードから通常モードへの復帰処理に伴うユーザの待ち時間の発生を回避することが可能となる。
しかも、履歴情報テーブルには、経過時間情報がユーザ端末別に記述されている。ユーザがユーザ端末から印刷要求を送信してからプリンタに到着するまでの経過時間は、ユーザ端末とプリンタとの物理的な距離や、ユーザの歩行速度等によって、ユーザ毎に異なる。第10の態様に係るプリンタ制御装置によれば、履歴情報テーブルには経過時間情報がユーザ端末別に記述されているため、ユーザ毎に最適な開始タイミングを設定部によって設定することが可能となる。
また、第10の態様に係るプリンタ制御装置によれば、判定部は、第1時点から第2時点までの間に、同一のユーザ端末からの同一のファイルに関する再印刷要求を受けた場合には、モード切替部に対して通常モードから待機モードへの移行を行わせない。同一のユーザ端末からの同一のファイルに関する再印刷要求は、資料中の誤記等を訂正した後の再印刷である場合が多く、ユーザ端末から再印刷要求が送信された後、印刷実行のためにユーザが直ちにプリンタに到着することが想定される。従って、通常モードから待機モードへ移行する前に再印刷要求を受けた場合には、通常モードの状態を維持して待機モードへ移行させないことにより、ユーザは誤記等を訂正した後の資料を待ち時間なく印刷することが可能となる。
本発明の第11の態様に係るプリンタ制御装置は、第10の態様に係るプリンタ制御装置において特に、前記経過時間情報は、直近の所定期間内又は所定回数内の印刷処理によって蓄積された複数の経過時間情報に関する平均値と最小値とを含み、前記判定部は、前記第2時点から第2の所定時間が経過した第3時点までの間に、同一のユーザ端末からの同一のファイルに関する再印刷要求を受けた場合には、前記経過時間情報の最小値に基づいて、復帰処理の開始タイミングを設定することを特徴とするものである。
第11の態様に係るプリンタ制御装置によれば、判定部は、第2時点から第3時点までの間に、同一のユーザ端末からの同一のファイルに関する再印刷要求を受けた場合には、経過時間情報の最小値に基づいて復帰処理の開始タイミングを設定する。従って、通常モードから待機モードへ移行した後であっても、第2時点から第3時点までの間に再印刷要求を受けた場合には、経過時間情報の最小値に基づいて復帰処理の開始タイミングを設定することにより、再印刷要求の送信後にユーザがプリンタに到着した時点で復帰処理は完了しているため、ユーザは誤記等を訂正した後の資料を待ち時間なく印刷することが可能となる。
本発明の第12の態様に係るプリンタ制御装置は、第1〜第11のいずれか一つの態様に係るプリンタ制御装置において特に、復帰処理の所要時間をP1、経過時間情報で示される経過時間をP2として、前記設定部は、復帰処理の開始タイミングを、印刷要求の送信時刻から時間P2−P1後の時点に設定することを特徴とするものである。
第12の態様に係るプリンタ制御装置によれば、復帰処理の所要時間をP1、経過時間情報で示される経過時間をP2として、設定部は、復帰処理の開始タイミングを、印刷要求の送信時刻から時間P2−P1後の時点に設定する。このように開始タイミングを設定することにより、ユーザがユーザ端末から印刷要求を送信してからプリンタに到着した時点で、復帰処理を完了させることができる。その結果、消費電力の削減効果の低下及びユーザの待ち時間の発生を、効果的に回避することが可能となる。
本発明の第13の態様に係るプリンタ制御装置は、第1〜第12のいずれか一つの態様に係るプリンタ制御装置において特に、印刷要求には、モノクロ印刷かカラー印刷かを示す属性情報が含まれ、前記設定部は、前記属性情報に基づき、モノクロ印刷かカラー印刷かによって復帰処理の開始タイミングを異ならせることを特徴とするものである。
第13の態様に係るプリンタ制御装置によれば、設定部は、モノクロ印刷かカラー印刷かによって復帰処理の開始タイミングを異ならせる。従って、カラー印刷における復帰処理の所要時間がモノクロ印刷のそれより長い場合であっても、モノクロ印刷及びカラー印刷の別に応じて、復帰処理の開始タイミングを適切に設定することができる。その結果、モノクロ印刷及びカラー印刷の双方に関して、消費電力の削減効果が低下することを回避しつつ、待機モードから通常モードへの復帰処理に伴うユーザの待ち時間の発生を回避することが可能となる。
本発明の第14の態様に係るプリンタは、複数のユーザ端末と通信する通信部と、認証情報が入力される入力部と、印刷を実行する通常モード及び当該通常モードより低消費電力の待機モードを有する印刷部と、ユーザ端末から印刷要求が送信されてから前記入力部に認証情報が入力されるまでの過去の経過時間情報が、ユーザ端末別に記述された、所定の履歴情報テーブルを記憶する記憶部と、制御部と、を備え、前記制御部は、ユーザ端末から送信された印刷要求を、前記通信部を介して取得する印刷要求取得部と、前記印刷要求取得部が印刷要求を取得した場合に、前記印刷部の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを、前記履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末に応じて設定する設定部と、前記設定部によって設定された開始タイミングで復帰処理を開始するモード切替部と、を有し、前記履歴情報テーブルには、前記経過時間情報が、ユーザ端末別及び予め区分された時間帯別に記述されており、前記設定部は、復帰処理の開始タイミングを、前記履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末及び印刷要求の送信時刻が属する時間帯に応じて設定することを特徴とするものである。
第14の態様に係るプリンタによれば、履歴情報テーブルには、ユーザ端末から印刷要求が送信されてから入力部に認証情報が入力されるまでの過去の経過時間情報が、ユーザ端末別に記述されている。そして、設定部は、印刷要求取得部が印刷要求を取得した場合に、印刷部の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを、履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末に応じて設定する。従って、設定部は、印刷実行のためにユーザがプリンタに到着する時点で復帰処理が完了するように、復帰処理の開始タイミングを適切に設定することができる。つまり、入力部への認証情報の入力を待たずに実行が開始される復帰処理(事前復帰処理)の開始タイミングを、適切に設定することができる。このように、事前復帰処理を行い、しかもその開始タイミングを適切に設定することにより、消費電力の削減効果が低下することを回避しつつ、待機モードから通常モードへの復帰処理に伴うユーザの待ち時間の発生を回避することが可能となる。
しかも、履歴情報テーブルには、経過時間情報がユーザ端末別に記述されている。ユーザがユーザ端末から印刷要求を送信してからプリンタに到着するまでの経過時間は、ユーザ端末とプリンタとの物理的な距離や、ユーザの歩行速度等によって、ユーザ毎に異なる。第14の態様に係るプリンタによれば、履歴情報テーブルには経過時間情報がユーザ端末別に記述されているため、ユーザ毎に最適な開始タイミングを設定部によって設定することが可能となる。
また、第14の態様に係るプリンタによれば、履歴情報テーブルには、経過時間情報が、ユーザ端末別及び予め区分された時間帯別に記述されている。そして、設定部は、復帰処理の開始タイミングを、履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末及び印刷要求の送信時刻が属する時間帯に応じて設定する。同一のユーザであっても、印刷に関する行動パターンが時間帯毎に異なる場合がある。例えば、昼休み直前の時間帯に印刷要求を送信した場合には昼休みの終了後に印刷を実行するが、それ以外の時間帯では直ちに印刷を実行するというユーザも存在する。第14の態様に係るプリンタによれば、履歴情報テーブルには経過時間情報が時間帯別に記述されている。そのため、上記のように印刷に関する行動パターンが時間帯に応じて異なるユーザに対しても、時間帯毎に最適な開始タイミングを設定部によって設定することが可能となる。
本発明の第15の態様に係るプログラムは、複数のユーザ端末と通信する通信部と、認証情報が入力される入力部と、印刷を実行する通常モード及び当該通常モードより低消費電力の待機モードを有する印刷部と、を備えるプリンタを制御するプリンタ制御装置を、ユーザ端末から送信された印刷要求を、前記通信部を介して取得する印刷要求取得部と、前記印刷要求取得部が印刷要求を取得した場合に、ユーザ端末から印刷要求が送信されてから前記入力部に認証情報が入力されるまでの過去の経過時間情報が、ユーザ端末別に記述された、所定の履歴情報テーブルに基づいて、前記印刷部の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを、印刷要求の送信元のユーザ端末に応じて設定する設定部と、前記設定部によって設定された開始タイミングで復帰処理を開始するモード切替部と、として機能させるためのプログラムであって、前記履歴情報テーブルには、前記経過時間情報が、ユーザ端末別及び予め区分された時間帯別に記述されており、前記設定部は、復帰処理の開始タイミングを、前記履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末及び印刷要求の送信時刻が属する時間帯に応じて設定することを特徴とするものである。
第15の態様に係るプログラムによれば、履歴情報テーブルには、ユーザ端末から印刷要求が送信されてから入力部に認証情報が入力されるまでの過去の経過時間情報が、ユーザ端末別に記述されている。そして、設定部は、印刷要求取得部が印刷要求を取得した場合に、印刷部の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを、履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末に応じて設定する。従って、設定部は、印刷実行のためにユーザがプリンタに到着する時点で復帰処理が完了するように、復帰処理の開始タイミングを適切に設定することができる。つまり、入力部への認証情報の入力を待たずに実行が開始される復帰処理(事前復帰処理)の開始タイミングを、適切に設定することができる。このように、事前復帰処理を行い、しかもその開始タイミングを適切に設定することにより、消費電力の削減効果が低下することを回避しつつ、待機モードから通常モードへの復帰処理に伴うユーザの待ち時間の発生を回避することが可能となる。
しかも、履歴情報テーブルには、経過時間情報がユーザ端末別に記述されている。ユーザがユーザ端末から印刷要求を送信してからプリンタに到着するまでの経過時間は、ユーザ端末とプリンタとの物理的な距離や、ユーザの歩行速度等によって、ユーザ毎に異なる。第15の態様に係るプログラムによれば、履歴情報テーブルには経過時間情報がユーザ端末別に記述されているため、ユーザ毎に最適な開始タイミングを設定部によって設定することが可能となる。
また、第15の態様に係るプログラムによれば、履歴情報テーブルには、経過時間情報が、ユーザ端末別及び予め区分された時間帯別に記述されている。そして、設定部は、復帰処理の開始タイミングを、履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末及び印刷要求の送信時刻が属する時間帯に応じて設定する。同一のユーザであっても、印刷に関する行動パターンが時間帯毎に異なる場合がある。例えば、昼休み直前の時間帯に印刷要求を送信した場合には昼休みの終了後に印刷を実行するが、それ以外の時間帯では直ちに印刷を実行するというユーザも存在する。第15の態様に係るプログラムによれば、履歴情報テーブルには経過時間情報が時間帯別に記述されている。そのため、上記のように印刷に関する行動パターンが時間帯に応じて異なるユーザに対しても、時間帯毎に最適な開始タイミングを設定部によって設定することが可能となる。
本発明の第16の態様に係るコンピュータシステムは、複数のユーザ端末と、通信ネットワークを介して前記複数のユーザ端末に接続されたプリンタと、を備え、前記プリンタは、前記複数のユーザ端末と通信する通信部と、認証情報が入力される入力部と、印刷を実行する通常モード及び当該通常モードより低消費電力の待機モードを有する印刷部と、ユーザ端末から印刷要求が送信されてから前記入力部に認証情報が入力されるまでの過去の経過時間情報が、ユーザ端末別に記述された、所定の履歴情報テーブルを記憶する記憶部と、制御部と、を有し、前記制御部は、ユーザ端末から送信された印刷要求を、前記通信部を介して取得する印刷要求取得部と、前記印刷要求取得部が印刷要求を取得した場合に、前記印刷部の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを、前記履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末に応じて設定する設定部と、前記設定部によって設定された開始タイミングで復帰処理を開始するモード切替部と、を含み、ユーザ端末に関連付けられたユーザに対して登録されているイベントの開始予定時刻を含むイベント情報を管理する管理サーバをさらに備え、前記経過時間情報は、直近の所定期間内又は所定回数内の印刷処理によって蓄積された複数の経過時間情報に関する平均値と最小値とを含み、前記制御部は、前記イベント情報を、前記管理サーバから前記通信部を介して取得するイベント情報取得部をさらに含み、前記設定部は、前記イベント情報取得部が取得した前記イベント情報に基づいて、印刷要求の送信時刻が、イベントの開始予定時刻より所定時間前から当該開始予定時刻までの第1特定期間に属するか否かを判定し、印刷要求の送信時刻が前記第1特定期間に属する場合には、前記経過時間情報の最小値に基づいて、復帰処理の開始タイミングを設定することを特徴とするものである。
第16の態様に係るコンピュータシステムによれば、履歴情報テーブルには、ユーザ端末から印刷要求が送信されてから入力部に認証情報が入力されるまでの過去の経過時間情報が、ユーザ端末別に記述されている。そして、設定部は、印刷要求取得部が印刷要求を取得した場合に、印刷部の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを、履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末に応じて設定する。従って、設定部は、印刷実行のためにユーザがプリンタに到着する時点で復帰処理が完了するように、復帰処理の開始タイミングを適切に設定することができる。つまり、入力部への認証情報の入力を待たずに実行が開始される復帰処理(事前復帰処理)の開始タイミングを、適切に設定することができる。このように、事前復帰処理を行い、しかもその開始タイミングを適切に設定することにより、消費電力の削減効果が低下することを回避しつつ、待機モードから通常モードへの復帰処理に伴うユーザの待ち時間の発生を回避することが可能となる。
しかも、履歴情報テーブルには、経過時間情報がユーザ端末別に記述されている。ユーザがユーザ端末から印刷要求を送信してからプリンタに到着するまでの経過時間は、ユーザ端末とプリンタとの物理的な距離や、ユーザの歩行速度等によって、ユーザ毎に異なる。第16の態様に係るコンピュータシステムによれば、履歴情報テーブルには経過時間情報がユーザ端末別に記述されているため、ユーザ毎に最適な開始タイミングを設定部によって設定することが可能となる。
また、第16の態様に係るコンピュータシステムによれば、設定部は、イベント情報取得部が取得したイベント情報に基づいて、印刷要求の送信時刻が、イベントの開始予定時刻より所定時間前から当該開始予定時刻までの第1特定期間に属するか否かを判定する。そして、印刷要求の送信時刻が第1特定期間に属する場合には、経過時間情報の最小値に基づいて復帰処理の開始タイミングを設定する。イベントの開始直前の第1特定期間に印刷要求が送信された場合には、その印刷要求は当該イベントで使用する資料に関する印刷要求であって、ユーザは至急に印刷を実行することが想定される。従って、印刷要求の送信時刻が第1特定期間に属する場合には、経過時間情報の最小値に基づいて復帰処理の開始タイミングを設定することにより、印刷要求の送信後にユーザが直ちにプリンタに到着した場合であっても、その時点で復帰処理は完了しているため、ユーザは当該資料を至急に印刷することが可能となる。
本発明の第17の態様に係るコンピュータシステムは、第16の態様に係るコンピュータシステムにおいて特に、前記イベント情報は、イベントの終了予定時刻をさらに含み、前記設定部は、前記イベント情報取得部が取得した前記イベント情報に基づいて、印刷要求の送信時刻が、イベントの開始予定時刻から終了予定時刻までの第2特定期間に属するか否かを判定し、印刷要求の送信時刻が前記第2特定期間に属する場合には、前記経過時間情報の最小値に基づいて、復帰処理の開始タイミングを設定することを特徴とするものである。
第17の態様に係るコンピュータシステムによれば、設定部は、イベント情報取得部が取得したイベント情報に基づいて、印刷要求の送信時刻が、イベントの開始予定時刻から終了予定時刻までの第2特定期間に属するか否かを判定する。そして、印刷要求の送信時刻が第2特定期間に属する場合には、経過時間情報の最小値に基づいて復帰処理の開始タイミングを設定する。イベント開催中の第2特定期間に印刷要求が送信された場合には、その印刷要求は当該イベントで使用する資料に関する印刷要求であって、ユーザは至急に印刷を実行することが想定される。従って、印刷要求の送信時刻が第2特定期間に属する場合には、経過時間情報の最小値に基づいて復帰処理の開始タイミングを設定することにより、印刷要求の送信後にユーザが直ちにプリンタに到着した場合であっても、その時点で復帰処理は完了しているため、ユーザは当該資料を至急に印刷することが可能となる。
本発明の第18の態様に係るコンピュータシステムは、第17の態様に係るコンピュータシステムにおいて特に、前記設定部は、印刷要求の送信時刻が前記第1特定期間及び前記第2特定期間に属さない場合には、前記経過時間情報の平均値に基づいて、復帰処理の開始タイミングを設定することを特徴とするものである。
第18の態様に係るコンピュータシステムによれば、設定部は、印刷要求の送信時刻が第1特定期間及び第2特定期間に属さない場合には、経過時間情報の平均値に基づいて、復帰処理の開始タイミングを設定する。これにより、至急の印刷実行が想定されない状況では復帰処理は必要以上に早く開始されないため、消費電力の削減効果の低下を回避することが可能となる。
本発明の第19の態様に係るプリンタ制御方法は、複数のユーザ端末と通信する通信部と、認証情報が入力される入力部と、印刷を実行する通常モード及び当該通常モードより低消費電力の待機モードを有する印刷部と、を備えるプリンタを制御するプリンタ制御方法であって、(A)ユーザ端末から送信された印刷要求を、前記通信部を介して取得するステップと、(B)前記ステップ(A)で印刷要求を取得した場合に、ユーザ端末から印刷要求が送信されてから前記入力部に認証情報が入力されるまでの過去の経過時間情報が、ユーザ端末別に記述された、所定の履歴情報テーブルに基づいて、前記印刷部の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを、印刷要求の送信元のユーザ端末に応じて設定するステップと、(C)前記ステップ(B)によって設定された開始タイミングで復帰処理を開始するステップと、を備え、前記履歴情報テーブルには、前記経過時間情報が、ユーザ端末別及び予め区分された時間帯別に記述されており、前記ステップ(B)では、復帰処理の開始タイミングが、前記履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末及び印刷要求の送信時刻が属する時間帯に応じて設定されることを特徴とするものである。
第19の態様に係るプリンタ制御方法によれば、履歴情報テーブルには、ユーザ端末から印刷要求が送信されてから入力部に認証情報が入力されるまでの過去の経過時間情報が、ユーザ端末別に記述されている。そして、ステップ(B)では、ステップ(A)で印刷要求を取得した場合に、印刷部の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを、履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末に応じて設定する。従って、ステップ(B)において、印刷実行のためにユーザがプリンタに到着する時点で復帰処理が完了するように、復帰処理の開始タイミングを適切に設定することができる。つまり、入力部への認証情報の入力を待たずに実行が開始される復帰処理(事前復帰処理)の開始タイミングを、適切に設定することができる。このように、事前復帰処理を行い、しかもその開始タイミングを適切に設定することにより、消費電力の削減効果が低下することを回避しつつ、待機モードから通常モードへの復帰処理に伴うユーザの待ち時間の発生を回避することが可能となる。
しかも、履歴情報テーブルには、経過時間情報がユーザ端末別に記述されている。ユーザがユーザ端末から印刷要求を送信してからプリンタに到着するまでの経過時間は、ユーザ端末とプリンタとの物理的な距離や、ユーザの歩行速度等によって、ユーザ毎に異なる。第19の態様に係るプリンタ制御方法によれば、履歴情報テーブルには経過時間情報がユーザ端末別に記述されているため、ユーザ毎に最適な開始タイミングをステップ(B)で設定することが可能となる。
また、第19の態様に係るプリンタ制御方法によれば、履歴情報テーブルには、経過時間情報が、ユーザ端末別及び予め区分された時間帯別に記述されている。そして、ステップ(B)では、復帰処理の開始タイミングが、履歴情報テーブルに基づいて、印刷要求の送信元のユーザ端末及び印刷要求の送信時刻が属する時間帯に応じて設定される。同一のユーザであっても、印刷に関する行動パターンが時間帯毎に異なる場合がある。例えば、昼休み直前の時間帯に印刷要求を送信した場合には昼休みの終了後に印刷を実行するが、それ以外の時間帯では直ちに印刷を実行するというユーザも存在する。第19の態様に係るプリンタ制御方法によれば、履歴情報テーブルには経過時間情報が時間帯別に記述されている。そのため、上記のように印刷に関する行動パターンが時間帯に応じて異なるユーザに対しても、時間帯毎に最適な開始タイミングを設定部によって設定することが可能となる。
本発明によれば、消費電力の削減効果が低下することを回避しつつ、待機モードから通常モードへの復帰処理に伴うユーザの待ち時間の発生を回避することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
図1は、本発明の実施の形態に係るコンピュータシステム1の構成を示す図である。コンピュータシステム1は、例えばオフィスのフロア内に構築され、プリンタ2と、ユーザ端末としての複数台のパソコン4(この例では3台のパソコン4X〜4Z)とを備えて構成されている。プリンタ2は、有線又は無線の通信ネットワーク3を介して、パソコン4に接続されている。
パソコン4を操作するユーザは、所望のファイルに関する印刷要求を、パソコン4から通信ネットワーク3を介してプリンタ2に向けて送信する。プリンタ2は、受信した印刷要求に含まれているファイルを、プリンタ2内に保存する。印刷要求を送信したユーザは、自席からプリンタ2の設置場所に移動し、予め付与されているICカードをプリンタ2のICカードリーダにかざすことにより、認証情報を入力する。プリンタ2は、入力された認証情報に基づいて認証処理を行い、認証に成功すると、保存しているファイルを印刷(プリントアウト)する。なお、プリンタ2は、印刷機能の他に、FAX機能、コピー機能、及びスキャナ機能を有する複合機であっても良い。
図2は、プリンタ2の構成を簡略化して示すブロック図である。図2の接続関係で示すように、プリンタ2は、上記のICカードリーダに相当する認証入力部11と、通信ネットワーク3を介してパソコン4と通信する通信部12と、所望のファイルの印刷を行う印刷部13と、CPU等の制御部14と、ROM等の記憶部15と、ハードディスク又は半導体メモリ等の記憶部16とを備えて構成されている。
プリンタ2は、印刷部13の印刷機能が制限されていないことにより印刷を実行可能な動作モードである通常モード(オンモード、アクティブモード)と、電源はオンされているが印刷機能を含む一部の機能が制限されることで通常モードより低消費電力の動作モードである待機モード(省電力モード、スリープモード)とを有する。換言すれば、印刷部13は、印刷を実行可能な通常モードと、印刷を実行不能な待機モードとを有する。
記憶部15には、制御部14を動作させるためのプログラム20が記憶されている。記憶部16には、履歴情報テーブル21と、認証処理を行うための認証情報テーブル22とが記憶されている。認証情報テーブル22には、各パソコン4を識別するための固有の識別情報であるユーザ端末IDと、各ユーザに付与したICカードを識別するための固有の識別情報であるユーザIDとの関連付けが記述されている。
図3は、履歴情報テーブル21を示す図である。履歴情報テーブル21には、パソコン4から印刷要求が送信されてから、ユーザによって認証入力部11に認証情報が入力されるまでの過去の経過時間情報が、ユーザ端末ID別に記述されている。図3に示した例では、経過時間情報として、経過時間の平均値が記述されている。つまり、パソコン4から印刷要求を受信する度に、制御部14が印刷要求の送信時刻と認証情報の入力時刻との時間差を計測することにより、その時間差を経過時間情報としてパソコン別に蓄積する。そして、直近の所定期間内(例えば30日)又は所定回数内(例えば30回)の印刷処理によって蓄積された複数の経過時間情報の平均値を、制御部14がパソコン別に算出して、その平均値をユーザ端末IDに関連付けて履歴情報テーブル21に記述する。図3に示した例では、ユーザ端末IDが「4X」であるパソコン4Xに関しては平均値「30秒」、ユーザ端末IDが「4Y」であるパソコン4Yに関しては平均値「42秒」、ユーザ端末IDが「4Z」であるパソコン4Zに関しては平均値「60秒」の経過時間情報が、それぞれ記述されている。
図4は、履歴情報テーブル21の他の例を示す図である。履歴情報テーブル21には、平均値ではなく実測値を記述しても良い。図4に示した例では、各パソコン4に関して直近の10回の印刷処理において計測された経過時間の実測値が、ユーザ端末IDに関連付けて記述されている。制御部14は、履歴情報テーブル21に記述されている複数の実測値に基づいて、必要に応じてパソコン別に平均値の算出又は最小値の抽出等を実行することができる。
図5は、制御部14が有する機能を示すブロック図である。記憶部15からプログラム20を読み出して実行することにより、制御部14は、テーブル更新部31、認証処理部32、印刷処理部33、印刷要求取得部34、設定部35、及びモード切替部36として機能する。換言すれば、プログラム20は、プリンタ制御装置としての制御部14を、テーブル更新部31、認証処理部32、印刷処理部33、印刷要求取得部34、設定部35、及びモード切替部36として機能させるためのプログラムである。
図6は、制御部14が実行する処理内容を説明するための図である。以下、代表的にパソコン4Xから印刷要求が送信された場合を例にとり、制御部14の処理内容について順に説明する。
パソコン4Xを操作するユーザによって、時刻T1(図6に示した例では10時30分20秒)に、印刷要求D1がパソコン4Xから送信されたものとする。印刷要求D1は、通信ネットワーク3を介してプリンタ2の通信部12によって受信される。この時、プリンタ2の動作モードは待機モードとなっているが、待機モードでも通信部12及び制御部14の機能は制限されないため、通信部12は印刷要求D1を受信可能であり、制御部14は以下の処理を実行可能である。
印刷要求取得部34は、パソコン4Xから送信された印刷要求D1を、通信部12を介して取得する。印刷要求D1には、パソコン4Xのユーザ端末IDと、パソコン4Xから印刷要求D1が送信された送信時刻と、印刷対象ファイルのファイル名と、印刷対象データとが含まれる。
印刷要求取得部34は、印刷要求D1からユーザ端末ID及び送信時刻を抽出し、データD2として設定部35に入力する。また、印刷要求取得部34は、印刷要求D1からユーザ端末ID及び印刷対象データD5を抽出し、印刷対象データD5をユーザ端末IDに関連付けて記憶部16に保存する。また、印刷要求取得部34は、印刷要求D1からユーザ端末ID及び送信時刻を抽出し、データD6としてテーブル更新部31に入力する。
次に設定部35は、図3に示した履歴情報テーブル21を参照することにより、印刷部13の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを設定する。具体的に、まず設定部35は、データD2に含まれるユーザ端末ID「4X」に対応する平均値「30秒」を、履歴情報テーブル21から特定する。次に設定部35は、データD2に含まれる送信時刻T1(10時30分20秒)から平均値「30秒」後の時刻T3(10時30分50秒)を算出する。次に設定部35は、時刻T3から、印刷部13の復帰処理に要する既知の所要時間(この例では20秒とする)だけ遡及した時刻T2(10時30分30秒)を算出し、この時刻T2を復帰処理の開始タイミングとして設定する。つまり、設定部35は、復帰処理の所要時間をP1、経過時間情報で示される経過時間をP2として、復帰処理の開始タイミングを、印刷要求D1の送信時刻から時間P2−P1後の時点に設定する。設定部35は、設定した開始タイミングを、データD3としてモード切替部36に入力する。なお、復帰処理の開始タイミングとして算出した時刻T2が現在の時刻より過去である場合には、設定部35は、即時に復帰処理を開始させるための制御信号を、データD3としてモード切替部36に入力する。
次にモード切替部36は、印刷部13の復帰処理を行うための制御信号D4を、データD3で示される開始タイミング(10時30分30秒)で出力する。制御信号D4は印刷部13に入力され、これにより、10時30分30秒に印刷部13の復帰処理が開始される。この例では復帰処理の所要時間は20秒であるため、印刷部13の復帰処理は10時30分50秒に完了する。
一方、パソコン4Xから印刷要求D1を送信したユーザは、自席からプリンタ2の設置場所に移動し、予め付与されているICカードをプリンタ2のICカードリーダにかざす。これにより、認証処理部32に認証情報D7が入力される。認証情報D7には、ユーザIDが含まれる。
認証処理部32は、認証情報テーブル22に基づいて認証処理を行い、認証に成功すると、認証成功を示すデータD8を印刷処理部33に入力する。また、認証処理部32は、認証情報D7が入力された時刻を、データD9としてテーブル更新部31に入力する。データD8,D9には、認証情報D7に含まれるユーザIDに対応するユーザ端末ID「4X」が含まれる。
印刷処理部33は、認証成功を示すデータD8が入力されると、データD8に含まれるユーザ端末ID「4X」に関連付けられている印刷対象データD5を、記憶部16から読み出す。そして、読み出した印刷対象データD5を、印刷部13に入力する。ここで、パソコン4Xから印刷要求D1を送信したユーザが、自席からプリンタ2の設置場所に移動して認証情報を入力するまでに、平均的に30秒程度の時間を要する。従って、ユーザが時刻T1(10時30分20秒)に印刷要求D1を送信してから直ちに移動を開始したとしても、到着して認証情報を入力するのは、概ね10時30分50秒である。上記の通り印刷部13の復帰処理は10時30分50秒に完了するため、印刷部13は、印刷処理部33から印刷対象データD5が入力されると直ちに印刷を開始することができる。
テーブル更新部31は、データD6,D9にそれぞれ含まれるユーザ端末ID「4X」に基づいて、対応するデータD6,D9を特定する。そして、データD6で示される印刷要求D1の送信時刻と、データD9で示される認証情報D7の入力時刻との時間差を算出することにより、最新の経過時間情報を求める。そして、履歴情報テーブル21のユーザ端末ID「4X」に対応する経過時間情報の値を、その最新の経過時間情報を反映した最新値に更新する。
このように本実施の形態に係るプリンタ制御装置によれば、履歴情報テーブル21には、パソコン4から印刷要求D1が送信されてから認証入力部11に認証情報D7が入力されるまでの過去の経過時間情報が、パソコン別に記述されている。そして、設定部35は、印刷要求取得部34が印刷要求D1を取得した場合に、印刷部13の動作モードを待機モードから通常モードへ移行する復帰処理の開始タイミングを、履歴情報テーブル21に基づいて、印刷要求D1の送信元のパソコン4に応じて設定する。従って、設定部35は、印刷実行のためにユーザがプリンタ2に到着して認証情報D7を入力する時点で復帰処理が完了するように、復帰処理の開始タイミングを適切に設定することができる。つまり、認証入力部11への認証情報D7の入力を待たずに実行が開始される復帰処理(以下「事前復帰処理」と称す)の開始タイミングを、適切に設定することができる。このように、事前復帰処理を行い、しかもその開始タイミングを適切に設定することにより、消費電力の削減効果が低下することを回避しつつ、待機モードから通常モードへの復帰処理に伴うユーザの待ち時間の発生を回避することが可能となる。
しかも、履歴情報テーブル21には、経過時間情報がユーザ端末ID別に記述されている。ユーザがパソコン4から印刷要求D1を送信してからプリンタ2に到着するまでの経過時間は、パソコン4とプリンタ2との物理的な距離や、ユーザの歩行速度等によって、ユーザ毎に異なる。本実施の形態に係るプリンタ制御装置によれば、履歴情報テーブル21には経過時間情報がユーザ端末ID別に記述されているため、ユーザ毎に最適な開始タイミングを、設定部35によって設定することが可能となる。
また、本実施の形態に係るプリンタ制御装置によれば、復帰処理の所要時間をP1、経過時間情報で示される経過時間をP2として、設定部35は、復帰処理の開始タイミングを、印刷要求D1の送信時刻から時間P2−P1後の時点に設定する。このように開始タイミングを設定することにより、ユーザがパソコン4から印刷要求D1を送信してからプリンタ2に到着した時点(認証情報D7を入力した時点)で、復帰処理を完了させることができる。その結果、消費電力の削減効果の低下及びユーザの待ち時間の発生を、効果的に回避することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態に係るプリンタ制御装置の様々な変形例について、上記実施の形態との相違点を中心に説明する。以下に述べる各変形例は、任意に組み合わせて適用することが可能である。
<第1の変形例>
図7は、第1の変形例に係る履歴情報テーブル21を示す図である。本変形例に係る履歴情報テーブル21では、1日の24時間が、オフィスの就業時間に応じて複数の時間帯に区分されている。そして、経過時間情報(この例では平均値)は、ユーザ端末ID別及び時間帯別に記述されている。
図7に示した例では、始業時刻が09時00分、終業時刻が18時00分、昼休みが12時00分−13時00分であるオフィスを想定して、1日の24時間が、
・始業時刻直前である08時50分−09時00分
・始業時刻直後である09時00分−09時10分
・午前の就業時間である09時10分−11時50分
・昼休みの直前である11時50分−12時00分
・昼休み中である12時00分−13時00分
・昼休みの直後である13時00分−13時10分
・午後の就業時間である13時10分−17時50分
・終業時刻直前である17時50分−18時00分
・終業時刻直後である18時00分−18時10分
・就業時間外である18時10分−8時50分
の10個の時間帯に区分されている。なお、図7に示した時間帯の区分は一例であり、同一のユーザであっても印刷に関する行動パターンが変化することが予想される一以上の時刻を境界として、任意に時間帯を区分すれば良い。
図7を参照して、ユーザ端末ID「4X」に着目すると、昼休みの直前及び直後の時間帯で経過時間が最小値「25秒」となっており、就業時間外の時間帯で経過時間が最大値「38秒」となっている。これは、パソコン4Xのユーザが、昼休みの直前又は直後の時間帯に印刷を行う場合には、比較的急いで印刷を実行し、残業中に印刷を行う場合には、比較的ゆっくりと印刷を実行するという行動パターンをとるためである。また、ユーザ端末ID「4Z」に着目すると、昼休みの直前及び昼休み中の時間帯では、他の時間帯に比べて経過時間が極端に大きくなっている。これは、パソコン4Zのユーザが、昼休みの直前又は昼休み中に印刷を行う場合には、先に印刷要求の送信だけを済ませておき、昼休みが終わってから印刷を実行するという行動パターンをとるためである。
図5を参照して、設定部35は、復帰処理の開始タイミングを、履歴情報テーブル21に基づいて、印刷要求D1の送信元のユーザ端末及び印刷要求D1の送信時刻が属する時間帯に応じて設定する。具体的に、まず設定部35は、データD2に含まれるユーザ端末ID及び送信時刻に基づいて、当該ユーザ端末IDと当該送信時刻が属する時間帯とに対応して記述されている経過時間情報(この例では平均値)を、履歴情報テーブル21から特定する。次に設定部35は、特定した平均値が、予め設定されている所定のしきい値TH0未満であるか否かを判定する。
しきい値TH0は、ユーザ端末ID毎に個別の値が設定されても良いし、全てのユーザ端末IDに関して共通の値が設定されても良い。個別の値を設定する場合は、例えば、図3に示した各平均値の3倍の値(ユーザ端末ID「4X」に関しては「90秒」、ユーザ端末ID「4Y」に関しては「126秒」、ユーザ端末ID「4Z」に関しては「180秒」)が、各ユーザ端末IDに関するしきい値TH0として設定される。共通の値を設定する場合は、固定値(例えば「300秒」)、図3に示した最大の平均値の3倍の値(この例では「180秒」)、又は復帰処理の所要時間の10倍の値(この例では「200秒」)等が、全ユーザ端末IDに関するしきい値TH0として設定される。
履歴情報テーブル21から特定した平均値がしきい値TH0未満である場合には、設定部35は、上記実施の形態と同様の事前復帰処理を行う。つまり設定部35は、データD2に含まれる送信時刻T1から当該平均値後の時刻T3を算出した後、当該時刻T3から復帰処理の所要時間だけ遡及した時刻T2を算出し、当該時刻T2を復帰処理の開始タイミングとして設定する。
一方、履歴情報テーブル21から特定した平均値がしきい値TH0以上である場合には、設定部35は、事前復帰処理を行わず、ユーザによる認証入力部11への認証情報D7の入力を条件とする通常の復帰処理(以下「事後的な復帰処理」と称す)を行う。つまり設定部35は、事後的な復帰処理を行うために認証情報D7の入力を待機することを示すデータD3(換言すれば復帰処理の開始タイミングを認証情報D7の入力タイミングに設定するデータD3)を、モード切替部36に入力する。印刷要求D1を送信したユーザがICカードをプリンタ2のICカードリーダにかざすと、認証処理部32に認証情報D7が入力される。認証処理部32は、認証情報D7に基づいてユーザの認証を行った後、認証成功を示すデータD8をモード切替部36に入力する。モード切替部36は、認証成功を示すデータD8が入力されることにより、印刷部13の復帰処理を行うための制御信号D4を出力する。これにより、印刷部13の復帰処理が開始される。
このように本変形例に係るプリンタ制御装置によれば、履歴情報テーブル21には、経過時間情報が、ユーザ端末ID別及び予め区分された時間帯別に記述されている。そして、設定部35は、復帰処理の開始タイミングを、履歴情報テーブル21に基づいて、印刷要求D1の送信元のパソコン4及び印刷要求D1の送信時刻が属する時間帯に応じて設定する。そのため、印刷に関する行動パターンが時間帯に応じて異なるユーザに対しても、時間帯毎に最適な開始タイミングを設定部35によって設定することが可能となる。図7を参照して、例えば、パソコン4Xを操作するユーザが、残業中である18時30分に印刷要求D1を送信した場合には、その送信時刻から38−20=18秒後に事前復帰処理が開始され、昼休み直前である11時55分に印刷要求D1を送信した場合には、その送信時刻から25−20=5秒後に事前復帰処理が開始される。このように、同一のユーザに対しても時間帯毎に最適な開始タイミングを、設定部35によって設定することが可能となる。
また、本変形例に係るプリンタ制御装置によれば、設定部35は、印刷要求D1の送信元のパソコン4に関してしきい値TH0以上の経過時間情報が記述されている場合には、復帰処理の開始タイミングとして、認証入力部11に認証情報D7が入力されたタイミングを設定する。このように、印刷要求D1を送信しても直ちに印刷を実行しないユーザに対しては事前復帰処理を行わず、ユーザが実際に認証入力部11に認証情報を入力したタイミングで事後的な復帰処理を開始することにより、無用な事前復帰処理に起因して消費電力の削減効果が低下することを回避することが可能となる。図7を参照して、例えば、パソコン4Zを操作するユーザが、昼休み直前又は昼休み中である11時50分−13時00分の時間帯に印刷要求D1を送信した場合には、事後的な復帰処理が行われ、その他の時間帯に印刷要求D1を送信した場合には、事前復帰処理が行われる。このように、パソコン4Zを操作するユーザによる速やかな印刷実行が期待されない11時50分−13時00分の時間帯に、パソコン4Zから印刷要求D1が送信された場合には、事前復帰処理を行わないことにより、無用な事前復帰処理に起因して消費電力の削減効果が低下することを回避することが可能となる。
<第2の変形例>
図8は、第2の変形例に係るコンピュータシステム1の構成を示す図である。コンピュータシステム1は、プリンタ2と、パソコン4X〜4Xと、管理サーバ5とを備えて構成されている。プリンタ2、パソコン4X〜4Z、及び管理サーバ5は、通信ネットワーク3を介して相互に接続されている。
管理サーバ5は、オフィスで働く社員の行動スケジュールを統一的に管理するための共有サーバである。社員であるユーザは、会議や外出等のイベントの予定が入った場合には、パソコン4によってイベント情報を作成し、当該イベント情報をパソコン4から管理サーバ5に向けて送信する。管理サーバ5は、パソコン4から受信したイベント情報をユーザ別に登録して管理する。例えば、社内での会議の予定が入った場合には、ユーザは、会議の開催日、開始予定時刻、終了予定時刻、及び会議が行われる会議室等の情報を含むイベント情報を作成し、当該イベント情報を管理サーバ5に登録する。また、出張等の外出の予定が入った場合には、ユーザは、外出日、退出予定時刻、帰社予定時刻、及び訪問先等の情報を含むイベント情報を作成し、当該イベント情報を管理サーバ5に登録する。
図9は、本変形例に係る制御部14が有する機能を示すブロック図である。記憶部15からプログラム20を読み出して実行することにより、制御部14は、テーブル更新部31、認証処理部32、印刷処理部33、印刷要求取得部34、設定部35、モード切替部36、及びイベント情報取得部37として機能する。
管理サーバ5は、自身が管理しているイベント情報D10を、通信ネットワーク3を介してプリンタ2に向けて送信する。イベント情報D10は、プリンタ2の通信部12によって受信される。イベント情報取得部37は、管理サーバ5から送信されたイベント情報D10を、通信部12を介して取得する。
図10は、本変形例に係る履歴情報テーブル21を示す図である。本変形例に係る履歴情報テーブル21では、経過時間情報として、経過時間の平均値と最小値とが記述されている。制御部14は、パソコン4から印刷要求を受信する度に、印刷要求の送信時刻と認証情報の入力時刻との時間差を計測し、その時間差を経過時間情報としてパソコン別に蓄積する。そして、制御部14は、直近の所定期間内(例えば30日)又は所定回数内(例えば30回)の印刷処理によって蓄積された複数の経過時間情報の平均値及び最小値をパソコン別に算出して、その平均値及び最小値をユーザ端末IDに関連付けて履歴情報テーブル21に記述する。図10に示した例では、ユーザ端末IDが「4X」であるパソコン4Xに関しては平均値「30秒」及び最小値「18秒」、ユーザ端末IDが「4Y」であるパソコン4Yに関しては平均値「42秒」及び最小値「25秒」、ユーザ端末IDが「4Z」であるパソコン4Zに関しては平均値「60秒」及び最小値「40秒」の経過時間情報が、それぞれ記述されている。
図11,12は、本変形例に係る制御部14が実行する処理内容を説明するための図である。以下、代表的にパソコン4Xから印刷要求が送信された場合を例にとり、制御部14の処理内容について順に説明する。
パソコン4Xを操作するユーザによって、時刻T1に、印刷要求D1がパソコン4Xから送信されたものとする。印刷要求取得部34は、パソコン4Xから送信された印刷要求D1を、通信部12を介して取得する。また、印刷要求取得部34は、印刷要求D1からユーザ端末ID及び送信時刻を抽出し、データD2として設定部35に入力する。
次に設定部35は、データD2に含まれるユーザ端末ID「4X」に対応するユーザIDを特定し、当該ユーザIDに関して登録されているイベント情報D10を、管理サーバ5に対して要求する。管理サーバ5は、要求されたイベント情報D10をプリンタ2に向けて送信し、イベント情報取得部37は、管理サーバ5から送信されたイベント情報D10を取得する。
イベント情報取得部37は、取得したイベント情報D10を、データD11として設定部35に入力する。当該ユーザIDに対して「会議」のイベントが登録されている場合には、データD11には、ユーザID、会議の開催日、開始予定時刻、終了予定時刻、及び会議が行われる会議室を示す情報が、少なくとも含まれる。また、当該ユーザIDに対して「外出」のイベントが登録されている場合には、データD11には、ユーザID、外出日、及び退出予定時刻を示す情報が、少なくとも含まれる。
次に設定部35は、図10に示した履歴情報テーブル21を参照することにより、復帰処理の開始タイミングを設定する。
第1の例として図11を参照し、ユーザ端末ID「4X」に対応するユーザIDに関して、時刻T5(14時00分00秒)を退出予定時刻とする「外出」のイベントが登録されていたものとする。設定部35は、時刻T5から所定時間だけ遡及した時刻T4(13時50分00秒)を算出し、時刻T4から時刻T5までの期間を第1特定期間PAとして設定する。当該所定時間としては、システム導入時に任意の時間を設定することができ、この例では「10分間」が設定されている。
次に設定部35は、印刷要求D1の送信時刻T1が第1特定期間PAに属しているか否かを判定する。送信時刻T1が第1特定期間PAに属する場合には、設定部35は、履歴情報テーブル21に記述されている「最小値」を用いて、復帰処理の開始タイミングを設定する。つまり、送信時刻T1から最小値「18秒」後の時刻T3を算出し、その時刻T3から復帰処理の所要時間だけ遡及した時刻T2を、復帰処理の開始タイミングとして設定する。一方、送信時刻T1が第1特定期間PAに属さない場合には、設定部35は、履歴情報テーブル21に記述されている「平均値」を用いて、復帰処理の開始タイミングを設定する。つまり、送信時刻T1から平均値「30秒」後の時刻T3を算出し、その時刻T3から復帰処理の所要時間だけ遡及した時刻T2を、復帰処理の開始タイミングとして設定する。
第2の例として図12を参照し、ユーザ端末ID「4X」に対応するユーザIDに関して、時刻T5(15時00分00秒)を開始予定時刻とし、時刻T6(16時00分00秒)を終了予定時刻とする「会議」のイベントが登録されていたものとする。設定部35は、時刻T5から所定時間だけ遡及した時刻T4を算出し、時刻T4から時刻T5までの期間を第1特定期間PBとして設定する。当該所定時間としては、プリンタ2の設置場所から会議室までの平均的な移動所要時間等に応じて、任意の時間をシステム導入時に設定することができる。この例では第1会議室に関しては「10分間」が設定され、第2会議室に関しては「20分間」が設定される。従って、第1特定期間PBは、会議の開催場所が第1会議室である場合には14時50分00秒−15時00分00秒の期間に設定され、会議の開催場所が第2会議室である場合には14時40分00秒−15時00分00秒の期間に設定される。また、設定部35は、時刻T5から時刻T6までの期間を第2特定期間PCとして設定する。この例では、第2特定期間PCは15時00分00秒−16時00分00秒の期間に設定される。
次に設定部35は、印刷要求D1の送信時刻T1が第1特定期間PB又は第2特定期間PCに属しているか否かを判定する。送信時刻T1が第1特定期間PB又は第2特定期間PCに属する場合には、設定部35は、履歴情報テーブル21に記述されている「最小値」を用いて、復帰処理の開始タイミングを設定する。一方、送信時刻T1が第1特定期間PB及び第2特定期間PCに属さない場合には、設定部35は、履歴情報テーブル21に記述されている「平均値」を用いて、復帰処理の開始タイミングを設定する。
このように本変形例に係るプリンタ制御装置によれば、設定部35は、イベント情報取得部37が取得したイベント情報D10に基づいて、印刷要求D1の送信時刻T1が、イベントの開始予定時刻T5より所定時間前から当該開始予定時刻T5までの第1特定期間PA,PBに属するか否かを判定する。そして、印刷要求D1の送信時刻T1が第1特定期間PA,PBに属する場合には、経過時間情報の最小値に基づいて復帰処理の開始タイミングを設定する。イベントの開始直前の第1特定期間PA,PBに印刷要求D1が送信された場合には、その印刷要求D1は当該イベントで使用する資料に関する印刷要求であって、ユーザは至急に印刷を実行することが想定される。従って、印刷要求D1の送信時刻T1が第1特定期間PA,PBに属する場合には、経過時間情報の最小値に基づいて復帰処理の開始タイミングを設定することにより、印刷要求D1の送信後にユーザが直ちにプリンタ2に到着した場合であっても、その時点で復帰処理は完了しているため、ユーザは当該資料を至急に印刷することが可能となる。
また、本変形例に係るプリンタ制御装置によれば、設定部35は、イベント情報取得部37が取得したイベント情報D10に基づいて、印刷要求D1の送信時刻T1が、イベントの開始予定時刻から終了予定時刻までの第2特定期間PCに属するか否かを判定する。そして、印刷要求D1の送信時刻T1が第2特定期間PCに属する場合には、経過時間情報の最小値に基づいて復帰処理の開始タイミングを設定する。イベントの開催中の第2特定期間PCに印刷要求D1が送信された場合には、その印刷要求D1は当該イベントで使用する資料に関する印刷要求であって、ユーザは至急に印刷を実行することが想定される。従って、印刷要求D1の送信時刻T1が第2特定期間PCに属する場合には、経過時間情報の最小値に基づいて復帰処理の開始タイミングを設定することにより、印刷要求D1の送信後にユーザが直ちにプリンタ2に到着した場合であっても、その時点で復帰処理は完了しているため、ユーザは当該資料を至急に印刷することが可能となる。
また、本変形例に係るプリンタ制御装置によれば、設定部35は、印刷要求D1の送信時刻T1が第1特定期間PA,PB及び第2特定期間PCに属さない場合には、経過時間情報の平均値に基づいて、復帰処理の開始タイミングを設定する。これにより、至急の印刷実行が想定されない状況では復帰処理は必要以上に早く開始されないため、消費電力の削減効果の低下を回避することが可能となる。
また、本変形例に係るプリンタ制御装置によれば、イベントには「外出」が含まれる。従って、ユーザは、出張等の外出先で使用する資料に関する印刷要求D1を外出の直前に送信した場合であっても、当該資料を待ち時間なく至急に印刷することが可能となる。
また、本変形例に係るプリンタ制御装置によれば、イベントには「会議」が含まれる。従って、ユーザは、会議に使用する資料に関する印刷要求D1を会議開始時刻の直前又は会議開催中に送信した場合であっても、当該資料を待ち時間なく至急に印刷することが可能となる。
また、本変形例に係るプリンタ制御装置によれば、イベント情報D10には、会議が行われる会議室を示す情報が含まれており、設定部35は、当該イベント情報D10に基づいて、第1特定期間PBを会議室別に設定する。プリンタ2から遠い会議室(上記の例では第2会議室)で会議が行われる場合には、その会議で使用する資料に関する至急の印刷が、会議開始時刻よりも比較的早い時点から必要になるという状況が想定される。従って、プリンタ2から遠い会議室で会議が行われる場合には第1特定期間PBを比較的長く設定することにより、ユーザは、会議開始時刻よりも比較的早い時点から、当該資料を待ち時間なく至急に印刷することが可能となる。また、プリンタ2から近い会議室(上記の例では第1会議室)で会議が行われる場合には、会議開始時刻よりも比較的早い時点で至急の印刷が必要になるという状況は稀である。従って、プリンタ2から近い会議室で会議が行われる場合には第1特定期間PBを比較的短く設定することにより、至急の印刷を必要以上に早い時点から許容することに起因して消費電力の削減効果が低下することを、予め回避することが可能となる。
<第3の変形例>
本変形例では、モノクロ印刷を行う場合とカラー印刷を行う場合とで復帰処理の所要時間が異なるプリンタに関して、モノクロ印刷及びカラー印刷の別に応じて復帰処理の開始タイミングを適切に設定することが可能なプリンタ制御装置について説明する。
図13は、第3の変形例に係る制御部14が実行する処理内容を説明するための図である。この例では、モノクロ印刷を行う場合の復帰処理の所要時間P1Mは15秒であり、カラー印刷を行う場合の復帰処理の所要時間P1Cは25秒である。以下、パソコン4Xから印刷要求が送信された場合を例にとり、制御部14の処理内容について順に説明する。
パソコン4Xを操作するユーザによって、時刻T1(図13に示した例では10時30分20秒)に、印刷要求D1がパソコン4Xから送信されたものとする。印刷要求D1は、通信ネットワーク3を介して通信部12によって受信される。
図5を参照して、印刷要求取得部34は、パソコン4Xから送信された印刷要求D1を、通信部12を介して取得する。印刷要求D1には、パソコン4Xのユーザ端末IDと、パソコン4Xから印刷要求D1が送信された送信時刻と、印刷対象ファイルのファイル名と、印刷対象データと、モノクロ印刷かカラー印刷かを示す属性情報(以下「M/C属性情報」と称す)とが含まれる。
印刷要求取得部34は、ユーザ端末ID、送信時刻、及びM/C属性情報を印刷要求D1から抽出し、データD2として設定部35に入力する。
次に設定部35は、図3に示した履歴情報テーブル21を参照することにより、復帰処理の開始タイミングを設定する。具体的に、まず設定部35は、データD2に含まれるユーザ端末ID「4X」に対応する平均値「30秒」を、履歴情報テーブル21から特定する。次に設定部35は、データD2に含まれる送信時刻T1(10時30分20秒)から平均値「30秒」後の時刻T3(10時30分50秒)を算出する。また、設定部35は、データD2に含まれるM/C属性情報に基づき、モノクロ印刷であるかカラー印刷であるかを特定する。次に設定部35は、モノクロ印刷である場合には、時刻T3から所要時間P1M(この例では15秒)だけ遡及した時刻T2M(10時30分35秒)を算出し、カラー印刷である場合には、時刻T3から所要時間P1C(この例では25秒)だけ遡及した時刻T2C(10時30分25秒)を算出する。そして、算出した時刻T2M又は時刻T2Cを復帰処理の開始タイミングとして設定する。つまり、設定部35は、モノクロ印刷を行う場合の復帰処理の所要時間をP1M、カラー印刷を行う場合の復帰処理の所要時間をP1C、経過時間情報で示される経過時間をP2として、復帰処理の開始タイミングを、モノクロ印刷を行う場合には印刷要求D1の送信時刻から時間P2−P1M後の時点に設定し、カラー印刷を行う場合には印刷要求D1の送信時刻から時間P2−P1C後の時点に設定する。設定部35は、設定した開始タイミングを、データD3としてモード切替部36に入力する。
このように本変形例に係るプリンタ制御装置によれば、設定部35は、モノクロ印刷かカラー印刷かによって復帰処理の開始タイミングを異ならせる。従って、カラー印刷における復帰処理の所要時間がモノクロ印刷のそれより長い場合であっても、モノクロ印刷及びカラー印刷の別に応じて、復帰処理の開始タイミングを適切に設定することができる。その結果、モノクロ印刷及びカラー印刷の双方に関して、消費電力の削減効果が低下することを回避しつつ、待機モードから通常モードへの復帰処理に伴うユーザの待ち時間の発生を回避することが可能となる。
<第4の変形例>
図14は、第4の変形例に係る制御部14が有する機能を示すブロック図である。記憶部15からプログラム20を読み出して実行することにより、制御部14は、テーブル更新部31、認証処理部32、印刷処理部33、印刷要求取得部34、設定部35、モード切替部36、及び操作情報取得部38として機能する。本変形例において、各パソコン4は、ユーザがパソコン4の操作(キーボードからのキー入力、タッチパネルからのタッチ入力、マイクからの音声入力、又はマウス操作等)を行っている間、パソコン4が操作中であることを示す操作情報D20を、例えば1秒間隔でプリンタ2に向けて送信する。操作情報D20には、ユーザ端末IDと送信時刻とが含まれる。各パソコン4から送信された操作情報D20は、通信ネットワーク3を介して通信部12によって受信される。操作情報取得部38は、各パソコン4から送信された操作情報D20を、通信部12を介して取得する。
図15は、本変形例に係る制御部14が実行する処理内容を説明するための図である。以下、パソコン4Xから印刷要求が送信された場合を例にとり、制御部14の処理内容について順に説明する。
パソコン4Xを操作するユーザによって、時刻T1(図15に示した例では10時29分30秒)に、印刷要求D1がパソコン4Xから送信されたものとする。印刷要求D1は、通信ネットワーク3を介して通信部12によって受信される。印刷要求取得部34は、パソコン4Xから送信された印刷要求D1を、通信部12を介して取得する。印刷要求取得部34は、印刷要求D1からユーザ端末ID及び送信時刻を抽出し、データD2として設定部35に入力する。
また、パソコン4Xを操作するユーザは、時刻T1に印刷要求D1を送信した後も、時刻T6(図15に示した例では10時30分20秒)まで、パソコン4Xの操作を継続していたものとする。パソコン4Xは、時刻T1から時刻T6までの間、操作情報D20を1秒間隔でプリンタ2に向けて送信する。操作情報D20は、通信ネットワーク3を介して通信部12によって受信される。操作情報取得部38は、パソコン4Xから送信された操作情報D20を、通信部12を介して取得する。操作情報取得部38は、操作情報D20からユーザ端末ID及び送信時刻を抽出し、データD21として設定部35に入力する。操作情報取得部38は、通信部12から新たな操作情報D20を取得する度に、新たなデータD21を設定部35に入力する。
次に設定部35は、図3に示した履歴情報テーブル21を参照することにより、復帰処理の開始タイミングを設定する。具体的に、まず設定部35は、データD2に含まれるユーザ端末ID「4X」に対応する平均値「30秒」を、履歴情報テーブル21から特定する。また、設定部35は、ユーザ端末IDが「4X」であるデータD21が最後に入力されてから一定時間(例えば10秒)が経過したことにより、ユーザがパソコン4Xの操作を終了した時刻T6を特定する。この例では、ユーザ端末IDが「4X」であり送信時刻が「10時30分20秒」であるデータD21が入力されてから、ユーザ端末IDが「4X」である新たなデータD21が入力されない時間が10秒間継続したことにより、設定部35は、時刻T6を「10時30分20秒」と特定する。
次に設定部35は、パソコン4Xの操作が終了した時刻T6(10時30分20秒)から平均値「30秒」後の時刻T3(10時30分50秒)を算出する。次に設定部35は、時刻T3から、印刷部13の復帰処理に要する既知の所要時間(この例では20秒とする)だけ遡及した時刻T2(10時30分30秒)を算出し、この時刻T2を復帰処理の開始タイミングとして設定する。つまり、設定部35は、復帰処理の所要時間をP1、経過時間情報で示される経過時間をP2として、復帰処理の開始タイミングを、パソコン4Xの操作終了時刻から時間P2−P1後の時点に設定する。設定部35は、設定した開始タイミングを、データD3としてモード切替部36に入力する。
次にモード切替部36は、印刷部13の復帰処理を行うための制御信号D4を、データD3で示される開始タイミング(10時30分30秒)で出力する。これにより、10時30分30秒に印刷部13の復帰処理が開始される。
このように本変形例に係るプリンタ制御装置によれば、設定部35は、操作情報取得部38が取得した操作情報D20に基づいて、パソコン4Xの操作が終了した時刻T6を起点として復帰処理の開始タイミングを設定する。パソコン4Xから印刷要求D1が送信されても、ユーザがパソコン4Xを操作している間は、印刷実行のためにユーザがプリンタ2に到着することはあり得ない。従って、パソコン4Xの操作が終了した時刻T6を起点として復帰処理の開始タイミングを設定することにより、印刷を実行し得ない状況で復帰処理が完了することに起因して消費電力の削減効果が低下することを、予め回避することが可能となる。
<第5の変形例>
図16は、第5の変形例に係る制御部14が有する機能を示すブロック図である。記憶部15からプログラム20を読み出して実行することにより、制御部14は、テーブル更新部31、認証処理部32、印刷処理部33、印刷要求取得部34、設定部35、モード切替部36、及び判定部39として機能する。
図17,18は、本変形例に係る制御部14が実行する処理内容を説明するための図である。図17を参照して、ある印刷要求D1に対して印刷部13による印刷が完了すると、モード切替部36は、印刷が完了した時刻T10(図17に示した例では10時32分00秒)から第1の所定時間P11(この例では60秒)が経過した時刻T11(10時33分00秒)において、印刷部13の動作モードを通常モードから待機モードに移行する。
ここで、本変形例に係る制御部14は、時刻T10から時刻T11までの間に、同一のパソコン4からの同一のファイルに関する再印刷要求を受けた場合には、時刻T11において通常モードから待機モードへの移行を行わず、通常モードの状態を維持する。以下、具体的に説明する。
図16,17を参照して、印刷要求取得部34は、通信部12から印刷要求D1を取得する度に、印刷要求D1からユーザ端末ID及びファイル名を抽出し、データD30として判定部39に入力する。また、印刷部13は、時刻T10において印刷が完了すると、印刷の完了を示すデータD40を判定部39に入力する。データD40には、印刷が完了した時刻T10を示す情報が含まれている。
判定部39は、時刻T10から第1の所定時間P11が経過するまでの間に新たなデータD30が入力された場合には、今回の印刷要求D1が前回の印刷要求D1についての再印刷要求であるか否かを判定する。具体的に判定部39は、今回入力されたデータD30に含まれるユーザ端末ID及びファイル名と、前回入力されたデータD30に含まれるユーザ端末ID及びファイル名とを比較する。そして、ユーザ端末ID及びファイル名の双方が一致する場合には、今回の印刷要求D1は同一ユーザ端末からの同一ファイルに関する再印刷要求であると判定し、少なくとも一方が一致しない場合には再印刷要求ではないと判定する。但し、ファイル名に関しては、完全に一致する場合のみならず、一文字違い等の極めて類似する場合も、同一のファイル名として処理しても良い。
判定部39は、今回の印刷要求D1が前回の印刷要求D1についての再印刷要求であると判定した場合には、その旨を示すデータD31をモード切替部36に入力する。
モード切替部36は、データD31が入力されると、時刻T11において通常モードから待機モードへの移行を行わず、時刻T11以降も、再印刷要求に対する印刷の完了時刻から第1の所定時間P11が経過するまで、通常モードの状態を維持する。
なお、判定部39は、今回の印刷要求D1が前回の印刷要求D1についての再印刷要求ではないと判定した場合には、データD31をモード切替部36に入力しない。これにより、モード切替部36は、時刻T11において印刷部13の動作モードを通常モードから待機モードに移行する。
図18には、時刻T11において印刷部13の動作モードが通常モードから待機モードに移行された状況を示している。また、本変形例に係る履歴情報テーブル21では、図10に示した例と同様に、経過時間情報として経過時間の平均値及び最小値が記述されている。本変形例に係る制御部14は、時刻T11から第2の所定時間P12(この例では300秒)が経過する時刻T12(10時38分00秒)までの間に、同一のパソコン4からの同一のファイルに関する再印刷要求を受けた場合には、経過時間の最小値に基づいて復帰処理の開始タイミングを設定する。以下、具体的に説明する。
判定部39は、時刻T11から第2の所定時間P12が経過するまでの間に新たなデータD30が入力された場合には、上記と同様の手法により、今回の印刷要求D1が前回の印刷要求D1についての再印刷要求であるか否かを判定する。
判定部39は、今回の印刷要求D1が前回の印刷要求D1についての再印刷要求であると判定した場合には、その旨を示すデータD32を設定部35に入力する。
設定部35は、データD32が入力されると、履歴情報テーブル21に記述されている「最小値」を用いて、今回の印刷要求D1についての復帰処理の開始タイミングを設定する。
なお、判定部39は、今回の印刷要求D1が前回の印刷要求D1についての再印刷要求ではないと判定した場合には、データD32を設定部35に入力しない。これにより、設定部35は、履歴情報テーブル21に記述されている「平均値」を用いて、今回の印刷要求D1についての復帰処理の開始タイミングを設定する。
このように本変形例に係るプリンタ制御装置によれば、判定部39は、時刻T10から時刻T11までの間に、同一のユーザ端末からの同一のファイルに関する再印刷要求を受けた場合には、モード切替部36に対して通常モードから待機モードへの移行を行わせない。同一のユーザ端末からの同一のファイルに関する再印刷要求は、資料中の誤記等を訂正した後の再印刷である場合が多く、ユーザ端末から再印刷要求が送信された後、印刷実行のためにユーザが直ちにプリンタ2に到着することが想定される。従って、通常モードから待機モードへ移行する前に再印刷要求を受けた場合には、通常モードの状態を維持して待機モードへ移行させないことにより、ユーザは誤記等を訂正した後の資料を待ち時間なく印刷することが可能となる。
また、本変形例に係るプリンタ制御装置によれば、判定部39は、時刻T11から時刻T12までの間に、同一のユーザ端末からの同一のファイルに関する再印刷要求を受けた場合には、経過時間情報の最小値に基づいて復帰処理の開始タイミングを設定する。従って、時刻T12において通常モードから待機モードへ移行した後であっても、時刻T12から時刻T13までの間に再印刷要求を受けた場合には、経過時間情報の最小値に基づいて復帰処理の開始タイミングを設定することにより、再印刷要求の送信後にユーザがプリンタ2に到着した時点で復帰処理は完了しているため、ユーザは誤記等を訂正した後の資料を待ち時間なく印刷することが可能となる。