JP6091944B2 - 呼吸用ガスの加温加湿器 - Google Patents
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Description
また、特許文献1及び特許文献2以外にも、呼吸用ガスに微細な水滴のミストを吹き付けることにより、加湿能力を向上させた水噴霧式の加湿器も知られている。
また、特許文献2に記載の加温加湿器や水噴霧式の加湿器においては、水と呼吸用ガスとの接触面積を増やすことにより加湿能力を高めることとしているが、これらによる加湿も十分なものではなく、より一層の加湿能力の向上が求められている。
この場合、チャンバの内部空間を仕切り板により区画することで、呼吸用ガスが、加熱板から離れて配置される予熱空間から加湿空間へと流れる通路が形成される。このため、チャンバ内に取り込まれた呼吸用ガスは、初めに予熱空間内を通過する際に予備的に加温されるとともに、予熱空間内に蒸発している水蒸気により予備的に加湿され、その後に仕切り板の連通部を通じて加湿空間に移動される。そして、加湿空間において、呼吸用ガスが加熱板によって温められた湿潤状態のシート状加湿部材の表面に接触することで、さらに加温加湿が促進されることとなる。
このように、予熱空間で予備的な加温加湿を行い、加湿空間で本格的な加温加湿を行う構成とし、呼吸用ガスを予熱空間と加湿空間とで段階的に加温加湿することとしているので、呼吸用ガスの投入流量を増加した際にも、速やかに加温加湿することが可能である。
また、呼吸用ガスが予熱空間から加湿空間へと移動する際に、連通部において確実に水面上を通過する。このため、呼吸用ガスは連通部を通過する際に水面に接触して加湿を促進することができる。
さらに、加熱板を円筒状に設けてチャンバの中心部に配置することで、チャンバの内部空間を中心部から周方向に順に加熱することができ、比較的温度の高い加湿空間から比較的温度の低い予熱空間までをそれぞれの領域で周方向にほぼ均等に構成することができる。また同様に、シート状加湿部材による呼吸用ガスとの接触面を周方向に均等に配置することができ、呼吸用ガスの加温加湿を均等に行うことができる。
この場合、加熱板によってチャンバ内の水も加熱することができ、チャンバ内の湿度を高めることができる。また、呼吸用ガスを加熱された水の水面に接触させることができ、チャンバ内を通過する呼吸用ガスの加湿効率を高めることができる。
このように、予熱空間で予備的な加温加湿を行い、加湿空間で本格的な加温加湿を行う構成とし、呼吸用ガスを予熱空間と加湿空間とで段階的に加温加湿することとしているので、呼吸用ガスの投入流量を増加した際にも、速やかに加温加湿することが可能である。
加熱板は加湿空間側に配置され加湿空間に溜められた水を直接的に加熱する構成とされているが、仕切り板に下側連通部と上側連通部とを設けることでチャンバ内の水を加湿空間と予熱空間との間で対流させることができる。このため、予熱空間の水も円滑に加熱することが可能となり、予熱空間における呼吸用ガスの予備的な加温加湿を円滑に行うことができる。
図1に示す本実施形態の呼吸用ガスの加温加湿器100は、例えば、自発呼吸を補助して呼吸障害を治療するためのCPAP装置等に接続されて用いられる。CPAP装置は、持続気道陽圧(CPAP:continuous positive airway pressure)と呼ばれる方式の補助喚起法を用いて患者に治療を施す装置であり、ネーザルプロング、気管挿管チューブ、鼻マスク等の患者インターフェースを介して所定量の酸素と空気との混合ガスからなる呼吸用ガスを患者に供給する。そして、加温加湿器100は、患者に供給される呼吸用ガスを適度の温度及び湿度に維持するために設けられており、CPAP装置から送られる呼吸用ガスは加温加湿器100で加温加湿され、患者に供給されるようになっている。
なお、加温加湿器100は、図1に示すように、キャスタ71により移動自在な架台7上に載置されており、架台7とともに全体を移動可能になっている。
なお、チャンバ3の容器部8及び蓋部9は、例えばポリカーボネート樹脂(PC)やPMMA等のアクリル樹脂、ポリスルホン樹脂(PSU)等の透明な樹脂により形成されている。
また、蓋部8には、図1及び図2に示すように、チャンバ3の内部空間に呼吸用ガスを取り込む吸入口41と、チャンバ3内で加湿された呼吸用ガスを外部に導き出す吹出口51と、チャンバ3内に加湿用の水を供給する給水口61とが設けられている。そして、吸入口41は供給用ホース4に接続され、吹出口51はインターフェース接続ホース5に接続され、吸水口61は給水部6に接続されている。
この場合、ヒートシンク23と加熱板81とは、上方に向かうにしたがって漸次縮径するように若干のテーパ状に形成され、ヒートシンク23の外周面23aと加熱板81の内周面81bとがほぼ同じ傾斜角度に形成されていることにより、ヒートシンク23に加熱板81を嵌合したときに、加熱板81の内周面81bとヒートシンク23の外周面23aとが面接触し、ヒータ22の熱がヒートシンク23を介して加熱板81に円滑に伝えられるようになっている。
そして、この加熱板81の外周面81aに、シート状加湿部材11を有するタワーユニット10が着脱可能に取り付けられるようになっている(図5参照)。
枠体12は、図6に示すように、タワーユニット10の長さ方向の両端に配置される円環部14a,14bを4本の板状部15で繋いだ形状とされており、板状部15の間を塞ぐようにシート状加湿部材11が取り付けられることにより、シート状加湿部材11がほぼ円筒状に保持されている。この場合、加熱板81が若干のテーパ状に形成されていることから、この加熱板81の外周面81aにシート状加湿部材11を緊密接触できるように、枠体12の板状部15及びシート状加湿部材11も加熱板81と同様に、上方に向かうにしたがって漸次縮径するように傾斜を設けた若干のテーパ状に形成されている。
そして、タワーユニット10を容器部8の加熱板81に取り付けた状態では、シート状加湿部材11が加熱板81の外周面81aに面接触するように配置されるとともに、仕切り板13によりチャンバ3の内部空間を内側と外側との二重のリング状空間に区画する。したがって、チャンバ3の内部空間は、図3及び図9に示すように、シート状加湿部材11が配置される内側の加湿空間31と、その加湿空間31に隣接する予熱空間32とに区画されることとなる。
なお、図9においては、チャンバ3のみを表示しており、その他の構成部分は非表示にしてある。また、説明を容易にするために、下側連通部34及び上側連通部35を、仕切り板13の周方向の同じ位置に配置している。
この際、加熱板81は加湿空間31側に配置され、加湿空間31に溜められた水を直接的に加熱する構成とされているが、前述したように、仕切り板13に下側連通部34を設けているので、チャンバ3内の水を、図9の破線矢印で表されるように、下側連通部34を経由して加湿空間31と予熱空間32との間で流通させることができる。したがって、予熱空間32の水も円滑に加熱することが可能となり、予熱空間32の加湿も円滑に行えるようになっている。
そして、蓋部9に設けられた吸入口41及び給水口61は、予熱空間32に接続されている。一方、吹出口51は加湿空間31に接続されており、吸入口41から取り込まれた呼吸用ガスは、図9の白抜き矢印で表されるように、上側連通部35(連通部33)を介して予熱空間32から加湿空間31へと移動し、吹出口51から取り出されるようになっている。したがって、呼吸用ガスは、加湿空間31においては、シート状加湿部材11の表面に沿って下から上に向かって流れることとなる。
給水ホース63は、チャンバ3の蓋部9に設けられた給水口61に接続されており、チャンバ3内に貯留された水の水位に応じて、給水用バッグ62からチャンバ3内に水が供給されるようになっている。
また、図示は省略するが、加温加湿器100には、チャンバ3内に呼吸用ガスを送り込むためのガス供給機(例えば、CPAP装置)が接続される。
チャンバ3内に呼吸用ガスを供給する前に、給水用バッグ62からチャンバ3内に給水を行う。これにより、シート状加湿部材11の下端部が水面下に浸漬され、シート状加湿部材11が水を吸い上げて湿潤状態となる。そして、この状態でガス供給機を駆動することにより、呼吸用ガスを吸入口41からチャンバ3内に供給する。
加湿空間31に取り込まれた呼吸用ガスは、流れの向きを上向きに変えて上部の吹出口51に向かって流れる。この際、呼吸用ガスは、加熱板81によって温められた湿潤状態のシート状加湿部材11の表面をなぞるようにその表面に沿って流れることにより、シート状加湿部材11に含まれる水分を気化させ、その水蒸気が取り込まれることで加湿される。そして、加湿された呼吸用ガスは、吹出口51から外部へと取り出される。
また、チャンバ3内の水が消費されることに伴い水位が低下するが、加温加湿器100においては、チャンバ3内の水位に応じて給水部6から水が自動供給されるようになっている。
しかも、シート状加湿部材11は、吸水性に優れるので、加湿空間31に配置される表面から水を蒸発させながら、水に浸漬状態の下端部から速やかに水を上部に吸い上げることができ、水を連続的に蒸発させることができる。
また、呼吸用ガスが予熱空間32から加湿空間31へと移動する際に仕切り板13に設けられた連通部33を通過することから、呼吸用ガスを水面wに確実に接触させることができ、さらに加湿を促進することができる。
この場合も、上側連通部35は少なくともその一部が水面wから開口する位置に配置されることから、呼吸用ガスが予熱空間32から加湿空間31へと移動する際に、上側連通部35において確実に水面w上を通過させることができ、呼吸用ガスを水面wに接触させて加湿を促進することができる。
また、図10に破線矢印で表されるように、チャンバ3内の水を、下側連通部34と上側連通部35とにより加湿空間31と予熱空間32との間で対流させることができ、予熱空間32の水も円滑に加熱することができる。
2 基台
3 チャンバ
4 供給用ホース
5 インターフェース接続ホース
6 給水部
7 架台
8 容器部
9 蓋部
10 タワーユニット
11 シート状加湿部材
12 枠体
13 仕切り板
14a,14b 円環部
15 板状部
20 センサ
21 凹部
22 ヒータ
23 ヒートシンク
24 ヒンジ機構部
25 ロック部
31 加湿空間
32 予熱空間
33 連通部
34 下側連通部
35 上側連通部
41 吸入口
51 吹出口
61 給水口
62 給水用バッグ
63 給水ホース
64 送水ポンプ
71 キャスタ
81 加熱板
100 呼吸用ガスの加温加湿器
Claims (3)
- 水を溜めたチャンバ内に呼吸用ガスを流通させて加温加湿する加温加湿器であって、前記チャンバには、前記チャンバ内に呼吸用ガスを取り入れる吸入口と、前記チャンバ内で加湿された呼吸用ガスを外部に導き出す吹出口と、ヒータにより加熱される加熱板と、前記チャンバ内の水に一部を浸漬させて湿潤状態に保たれるシート状加湿部材と、前記シート状加湿部材と間隔をおいて配置され前記チャンバの内部空間を前記シート状加湿部材が配置される加湿空間とその加湿空間に隣接する予熱空間とに区画する仕切り板とが備えられ、前記吸入口及び前記吹出口は前記チャンバの上部の蓋部に設けられ、前記予熱空間に前記吸入口が設けられ、前記加湿空間に前記吹出口が設けられており、前記シート状加湿部材は、前記加熱板に面接触するとともに、その表面に沿って前記呼吸用ガスを流通させるように配置されており、
前記加熱板は円筒状に設けられるとともに前記チャンバの中心部に配置され、前記シート状加湿部材が前記加熱板の円周面に沿う円筒状に設けられ、前記仕切り板が前記チャンバの内部空間の前記予熱空間と前記加湿空間とを二重のリング状空間に区画する円筒状に設けられ、
前記予熱空間と前記加湿空間とは前記仕切り板に設けられる連通部によって前記呼吸用ガスを前記予熱空間から前記加湿空間に流通する構成とされており、
前記連通部は、前記仕切り板の周方向に間隔をおいて複数設けられるとともに、水面を跨ぐように開口して設けられていることを特徴とする呼吸用ガスの加温加湿器。 - 前記加熱板は、その一部を前記チャンバ内の水に浸漬させて配置されていることを特徴とする請求項1記載の呼吸用ガスの加温加湿器。
- 前記連通部は、水面下に配置される下側連通部と、該下側連通部よりも上側に設けられ、水面を跨ぐように開口して配置される上側連通部とを有する構成とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の呼吸用ガスの加温加湿器。
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