JPH05309136A - 呼吸ガス用加湿器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 人工呼吸空気、麻酔ガスなどの呼吸ガスを吸
水部材に滲透させた水を加熱蒸発させて適度の加湿、加
熱状態に調整する。 【構成】 ハウジング１を導入口５から送出口６に至る
二つの通路部９、１０に仕切ってそれらの壁の少なくと
も一部を吸水部材１１と伝熱部材１２からなる蒸発体
７、８で形成する。下向き導入口５の下方にその中心か
ら偏心させて規定水位より低い高さの仕切部材１４を設
け、水位低下により露出したとき流入呼吸ガスを二分し
て送出口６まで短かく且つ蒸発体７、８の接触面積が小
さい通路部１０に大量を流し、送出口６まで長く且つ蒸
発体７、８の接触面積が大きい通路部９に少量を流して
過度に加熱させないようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は人工呼吸器、麻酔器など
において呼吸ガスに適度の水分を加えるための加湿器に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】人工呼吸器の空気、麻酔器の麻酔ガスな
どの呼吸ガスは圧縮状態で圧力容器に充填されており、
これを減圧して呼吸させるようになっている。これらに
おいて、圧力容器に充填する際に圧縮されて高温となっ
た呼吸ガスが冷却されると、含有水分の殆んどが水滴と
なって除去されてしまう。また、圧力容器などの発錆を
防止するため予め除湿してから圧縮充填することもあ
る。

【０００３】一方、人が呼吸している大気中には一般に
４０〜７０％の水分が含有されており、前記のように極
度に乾燥した呼吸ガスを呼吸すると呼気時に体内の水分
が奪われて体の変調を来たすこととなるので、呼吸ガス
を減圧したとき加湿することによって適度の水分を加え
ることが行なわれている。

【０００４】現在使用されている加湿器の多くは、減圧
した呼吸ガスを温水を滲透させた吸水部材に接触させ、
温水の蒸発による水蒸気をとり込ませることによって加
湿する方式であり、長時間の連続呼吸に対応できるよう
に或る大きさをもったハウジングの底部に水を貯留し、
この水を毛細管現象によって吸上げる吸水部材でハウジ
ングの呼吸ガス導入口から送出口に至る呼吸ガス通路の
壁を形成させ、呼吸ガスが導入口から送出口へ流れる間
に加湿されるようにしている。

【０００５】この場合、貯留されている水を加熱し温水
化して吸水部材に滲透させるようにすると、全部の水を
加熱しなければならないこと、および蒸発の際の気化熱
による温度低下を考慮してかなり高温度に加熱する必要
があること、によりきわめて大きな熱エネルギを必要と
する。

【０００６】その対策として、熱良導材料で作った伝熱
部材を吸水部材に接触させ、伝熱部材を直接または間接
に加熱することによって少ない熱エネルギで吸水部材に
滲透した水の蒸発を良好に行なわせるとともに、気化熱
による呼吸ガスの温度低下を防止することが考えられて
いる。

【０００７】しかしながら、ハウジングに貯留した水は
呼吸に伴って次第に減少するので、それまで水中に没し
ていた吸水部材と伝熱部材とが露出して水を大量に蒸発
させるようになるとともに、伝熱部材の熱によって呼吸
ガス自身も加熱されやすくなり、しかも水位低下に伴い
通路が大きくなって呼吸ガスの流速が低下するため呼吸
ガスの温度が上昇して使用者にとって危険な状態となる
心配がある。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、導入口から送出口へ流れる呼吸ガス通路の
壁を吸水部材で形成し伝熱部材によって吸水部材に滲透
している水を加熱するようにした呼吸ガス用加湿器は、
貯留されている水が減少すると呼吸ガスの温度が上昇し
使用者にとって危険な状態になる心配がある、という点
である。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は上部に呼吸ガスの導入口と送出口とを有す
るハウジングの内部を仕切って二つの通路部を形成する
とともに、それらの壁の少なくとも一部を吸水部材と伝
熱部材とからなる蒸発体によって形成し、下向きに開口
させた導入口の下方の導入口中心から偏心させた位置に
水の規定水位よりも低い高さの仕切部材を設けた。そし
て、仕切部材より導入口中心を含む側から送出口に至る
通路部を反対側から送出口に至る通路部よりも通路長を
短かくするとともに蒸発体の呼吸ガスとの接触面積を小
さくするという構成とし、このような手段としたことに
よってハウジングの底部に貯留されている水が減少して
も呼吸ガスの温度を上昇させることがなく安全である、
という目的を達成した。

【００１０】

【作用】貯留されている水の水位が仕切部材の上方にあ
るときは呼吸ガスは二つの通路部をほぼ均等に流れて加
湿される。水位が低下して仕切部材が露出すると、上方
の導入口から吸込まれた呼吸ガスは二分されるようにな
り、流量の多い方が短かい通路を通って充分に加湿され
ないとともに殆んど加熱されない状態で送出口に達し、
流量の少ない方が長い通路を通って過度に加湿されると
ともに加熱された状態で送出口に達し、これらが混合し
適度の加湿状態と温度とになって使用者に送られること
となる。

【００１１】

【実施例】図面を参照して本発明の実施例を説明する
と、側壁２、頂壁３および底壁４からなる円筒形のハウ
ジング１の頂壁３の一側端および中心に上方へ突出させ
て呼吸ガスの導入口５および送出口６が設けられてい
る。このハウジング１の側壁２および頂壁３は透明合成
樹脂またはガラスで作られ内部が透視可能になってお
り、底壁４は熱良導材料であるアルミニウムのような金
属で作られている。

【００１２】ハウジング１の内部は上下両端を頂壁３と
底壁４とに接触させて縦に配置した蒸発体７、８によっ
て導入口５から送出口６に至る二つの通路部９、１０に
分けられている。即ち、一つの蒸発体７は側壁２と同心
の円弧形に形成されていて、側壁２と蒸発体７とに挟ま
れた円弧状空間の一側端に近い部分に導入口５が下向き
に開口している。もう一つの蒸発体８は蒸発体７と同心
の円弧形に形成されて送出口６の下方を円弧状に囲んだ
部分と、それより蒸発体７の両側端縁間を通ってハウジ
ング１のほぼ半径方向へ延び側壁２に接する部分とによ
って形成されている。

【００１３】これらの蒸発体７、８は側壁２、頂壁３と
協働して導入口５の下方で分岐し送出口６の下方附近で
合流するまで互いに区画された二つの通路部９、１０を
形成するものであって、連続気孔スポンジ、人造または
天然繊維の積層体或いは織物など吸水性に富む材料から
なり適当厚さの板状に形成された吸水部材１１と、熱良
導材料であるアルミニウムなどの金属板で作られた伝熱
部材１２とを積層して構成されている。

【００１４】伝熱部材１２は底壁４に密着するかまたは
底壁４と一体品に形成されていて、吸水部材１１を加熱
して滲透している水を加熱蒸発させるほかに、吸水部材
１１を保持して所定形状に維持させるものであり、底壁
４の下面にはニクロム線、セラミックス発熱体などの発
熱体１３が配設されている。

【００１５】更に、導入口５の下方にはその中心から偏
心させた位置にハウジング１のほぼ半径方向へ向けた仕
切部材１４が設置されている。この仕切部材１４は底壁
４に直立固定され側壁２と蒸発体７とに両端をほぼ接し
ているとともに、ハウジング１の底部に貯留する水の規
定水位１５よりも低い高さとされている。

【００１６】このように構成した本実施例は、導入口５
または送出口６からハウジング１に規定水位１５となる
まで水を入れて蒸発体７、８の下部を浸漬させ、吸水部
材１１に毛細管現象により吸水させる。また、導入口５
に圧力容器の呼吸ガスの減圧器を接続するとともに送出
口６に呼吸用のマスクを接続し、更に発熱体１３に電源
を接続入力し底壁４と伝熱部材１２とを加熱して人工呼
吸や麻酔の準備を整える。

【００１７】そして、マスクを鼻や口に当てて呼吸を行
なうと呼吸ガスが流れるようになり、吸気時に導入口５
からハウジング１に流入した呼吸ガスは図１で反時計方
向へほぼ半周し次でその内側を時計方向へほぼ半周する
通路長が長い通路部９と、時計方向へ向かい次でハウジ
ング１の半径方向へ向かう通路長が短かい通路部１０と
にほぼ均等に二分されて流れ、その間に吸水部材１１か
ら蒸発した水蒸気をとり込んで吐出口６で合流しマスク
へ送られる。伝熱部材１２は吸水部材１１に滲透してい
る水を加熱蒸発させると同時に、呼吸ガスを暖めて気化
熱による温度低下を防止する。

【００１８】ハウジング１に貯留されている水が仕切部
材１４よりも高い水位のときは図３に示すように呼吸ガ
スは二つの通路部９、１０にほぼ均等に二分されるが、
蒸発により水位が低下して仕切部材１４の上端部が露出
すると、導入口５から下向きに吸込まれた呼吸ガスは仕
切部材１４によって二つに分けられるようになる。この
分割の比率は仕切部材１４の導入口中心からの偏心量に
よって定まり、且つ仕切部材１４の露出高さが大きくな
るに従って正確に前記比率で二分されるようになる。

【００１９】即ち、仕切部材１４より導入口５の中心を
含む側から通路長の短かい通路部１０に入る呼吸ガスは
その反対側から通路長の長い通路部９に入る呼吸ガスよ
りも大量であり（図４参照）、前者通路部１０を通過す
る大量の呼吸ガスは短時間で送出口６に達することと蒸
発体７、８の接触面積が小さいこととによって充分に加
湿されないとともに殆んど加熱されない。一方、後者通
路部９を通過する少量の呼吸ガスはかなり長時間で送出
口６に達することと蒸発体７、８の接触面積が大きいこ
ととによって過度に加湿されるとともに加熱され、これ
ら二つの呼吸ガスが混合することによって適度の加湿状
態と温度とに調整され使用者に送られることとなる。

【００２０】水位の低下に伴って通路部７、８の断面積
が大きくなり呼吸ガスの流速が低下して伝熱部材１２の
熱的影響が大きくなるが、仕切部材１４の露出高さが大
きくなって呼吸ガスの分割比率が正確になるので、二つ
の通路部７、８を通過した呼吸ガスが合流して混合され
たときの加湿状態と温度とは適正に制御される。

【００２１】尚、ハウジング１の頂壁３を熱良導材料で
ある金属で作って伝熱部材１２を加熱させるようにして
もよく、また吸水部材１１は絶えず水を吸上げて吸水状
態となっていればよいので、その下端は予測される最低
水位附近に達していれば足り底壁４に接していなくても
よい。更に、二つの通路部７、８はハウジング１の形状
に応じて任意の形状に作られることは言うまでもない。
更にまた、伝熱部材１２はストーブ、レンジなど適宜の
熱源を用いて加熱することができ、発熱体１３がなくて
も本発明の目的を達成することができる。

【００２２】

【発明の効果】本発明によると、導入口からハウジング
に流入した呼吸ガスを二分し、加湿のため貯留した水が
減少したとき大量の呼吸ガスを少ない加湿、加熱状態と
するとともに少量の呼吸ガスを過度の加湿、加熱状態と
し、これらを混合して送出する構成としたので、水位の
低下に伴って呼吸ガスの温度が上昇する現象が防止さ
れ、吸水部材が吸収している水を加熱部材で加熱蒸発し
呼吸ガスにとり込ませる方式において安全に使用するこ
とができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す横断面図。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿う断面図。

【図３】規定水位における図１のＢ−Ｂ線に沿う断面
図。

【図４】水位低下時における図１のＢ−Ｂ線に沿う断面
図。

【符号の説明】

１ ハウジング、５ 導入口、６ 送出口、７、８ 蒸
発体、９、１０ 通路部、１１ 吸水部材、１２ 伝熱
部材、１４ 仕切部材、

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上部に呼吸ガスの導入口および送出口を
   有するハウジングの内部を仕切って前記導入口から送出
   口に至る二つの通路部が形成されているとともに、前記
   二つの通路部のそれぞれの壁の少なくとも一部が吸水部
   材とこれに接触させた伝熱部材とからなる蒸発体によっ
   て形成されており、前記導入口は下向きに開口していて
   その下方の導入口中心から偏心させた位置に前記ハウジ
   ングの底部に貯留される水の規定水位よりも低い高さの
   仕切部材が設けられており、前記仕切部材より前記導入
   口中心を含む側から送出口に至る通路部は反対側から送
   出口に至る通路部よりも通路長が短かく且つ前記蒸発体
   の呼吸ガスとの接触面積が小さくされていることを特徴
   とする呼吸ガス用加湿器。