JP6088181B2 - 走査型共焦点内視鏡システムおよび走査型共焦点内視鏡用プロセッサ - Google Patents

走査型共焦点内視鏡システムおよび走査型共焦点内視鏡用プロセッサ Download PDF

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Description

この発明は、励起光により励起された被写体から発生した蛍光のうち共焦点光学系の焦点位置と共役の位置に配置されたピンホールを介した光のみを検出して画像化する走査型共焦点内視鏡システムおよび走査型共焦点内視鏡用プロセッサに関する。
従来、光ファイバによって導光される光を観察部位に対して走査させ、その反射光を受光して画像化する走査型内視鏡システムの1つとして、走査型共焦点内視鏡システムが知られている。走査型共焦点内視鏡システムは、薬剤が投与された生体組織にレーザ光を照射し、その生体組織から発せられる蛍光のうち、共焦点光学系の焦点位置と共役の位置に配置されたピンホールを介した成分のみを抽出することにより、その生体組織を、通常の内視鏡光学系によって得られる観察像より高倍率で観察可能にするものである。走査型共焦点内視鏡システムにおいては、生体組織に照射されるレーザ光を2次元若しくは3次元に走査させることで、通常の内視鏡光学系によって得られる観察像の倍率では観察できないような微小な対象物を観察したり、生体組織の断層部を観察したりすることができるように構成されている。
また、近年、走査型共焦点内視鏡システムとして、光ファイバによって導光される光を、観察部位に対して渦巻状に走査させ、その反射光を受光して画像化する走査型共焦点内視鏡システムを用いることが提案されている。このような走査型共焦点内視鏡システムでは、圧電アクチュエータによって、シングルモード型の光ファイバの先端部を固有振動数に従って2次元的に振動させて(共振させて)、光ファイバの先端部を渦巻状に駆動させる。その結果、光ファイバによって光源から導光された照明光が観察部位へ向けて渦巻状に照射され、その照射領域(走査領域)の画像が取得される。
このような走査型共焦点内視鏡システムにおいては、走査領域の中心部分から周辺部分に向かって連続光を渦巻き状に走査する構成を採っているが、走査領域の中心部分と周辺部分とでは光の走査速度が異なるため、走査領域の中心部分ではサンプリング点が集中する傾向にある。すなわち、走査領域の中心部分と周辺部分とでは、走査領域(観察部位)の単位面積当たりの光量(照射エネルギー)が大きく異なることとなる。そのため、単位面積当たりの照射エネルギーが高い走査領域の中心部分で蛍光体の分解がより速く進行してしまう。結果として、走査領域の中心部分が周辺部分に比べて暗い画像となり(褪色し)、一様な明るさの内視鏡画像を得ることができないといった問題が生じる。
このような問題を解決するため、特許文献1には、励起光の照射密度が走査領域の全域において所定の密度以下になるように光源を制御する手段を備える走査型共焦点内視鏡システムが開示されている。特許文献1に記載の走査型共焦点内視鏡システムでは、光源制御の一例として、一スパイラル中の画素位置数の増加率に応じて、線形または非線形に励起光の強度を設定することにより、周辺部分に対して中心部分の励起光強度が低くなる構成を開示している。
特開2012−110479号公報
ここで、走査型共焦点内視鏡システムを用いて生体組織の蛍光観察を行う場合、患者の個人差や、観察対象となる臓器の種類によって、蛍光試薬と励起光の反応が異なる。そのため、特許文献1に記載されるような、光源の制御に用いられるパラメータ(例えば励起光の照射頻度など)を予め一意に設定することは必ずしも容易であるとは限らない。この場合、医師が観察画像を見て褪色の有無を確認し、手動でパラメータを変更することも可能であるが、医師の負担が大きくなるとともに、既に褪色が進行してからの対処となってしまうといった問題がある。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、蛍光の褪色を軽減して一様な明るさの内視鏡画像を得るために、励起光の制御に用いられる適切なパラメータを自動的に設定することが可能な走査型共焦点内視鏡システムおよび走査型共焦点内視鏡用プロセッサを提供することである。
上記の目的を達成するため、本発明の走査型共焦点内視鏡システムは、入射端に入射する励起光を射出端まで導光し、該射出端から被写体に射出する光ファイバと、光ファイバの射出端から射出される励起光が、初期位置における光ファイバの長手方向に延びる軸心を中心とした略円形の走査領域内で中心部から周辺部に向って一定の回転周期で渦巻状に被検面上を走査するように、光ファイバの射出端を渦巻状に回転駆動させる光ファイバ走査手段と、パラメータに基づいて励起光を制御する光源制御手段と、励起光の集光点と共役の位置に配置された共焦点ピンホールと、励起光により励起された被写体から発生する蛍光を、共焦点ピンホールを介して受光し、所定の検出タイミングで画像信号を検出する画像信号検出手段と、検出された画像信号を用いて共焦点画像を生成する画像生成手段と、を備え、光源制御手段は、画像生成手段により生成された共焦点画像に基づいて、パラメータを変更することを特徴とする。また、光源制御手段は、共焦点画像の中心部分の画素レベルと、1フレーム以上前のフレームの共焦点画像の中心部分の画素レベルとの比較結果に基づいて、パラメータを変更しても良い。
このような構成により、取得した共焦点画像の画素レベルに基づいて、光源を制御するためのパラメータを自動的に変更することができ、個体差にかかわらず、実際の褪色の発生に基づいて、適切な光源の制御が可能となる。また、過去のフレームにおける画素レベルとの比較を行うことで、中心部分における褪色の進行度合いを適切に検出して、パラメータを変更することが可能となる。
また、本発明の走査型共焦点内視鏡システムにおける光源制御手段は、共焦点画像の中心部分の画素レベルが、1フレーム以上前のフレームの共焦点画像の中心部分の画素レベル以下であり、かつ、共焦点画像の中心部分の画素レベルと、1フレーム以上前のフレームの共焦点画像の中心部分の画素レベルとの差が、所定の閾値以上である場合に、中心部における励起光の照射密度が低くなるよう、パラメータを変更する構成であっても良い。
また、本発明の走査型共焦点内視鏡システムにおける光源制御手段は、共焦点画像の中心部分の画素レベルと、同じ共焦点画像の周辺部分の画素レベルとの比較結果に基づいて、パラメータを変更する構成であっても良い。さらに、光源制御手段は、共焦点画像の中心部分の画素レベルが、共焦点画像の周辺部分の画素レベル以下であり、かつ、共焦点画像の中心部分の画素レベルと、共焦点画像の周辺部分の画素レベルとの差が、所定の閾値以上である場合に、中心部における励起光の照射密度が低くなるよう、パラメータを変更する構成であっても良い。
このような構成により、中心部分の画素レベルが所定の閾値を超えない程度に緩やかに低下した場合も、中心部分の画素レベルと周辺部分の画素レベルを比較することで、適切に褪色の発生を検出し、パラメータを変更することができる。
さらに、本発明の走査型共焦点内視鏡システムにおける光源制御手段は、共焦点画像の中心部分の画素レベルが、1フレーム以上前のフレームの共焦点画像の中心部分の画素レベルより大きい場合、または、共焦点画像の中心部分の画素レベルが共焦点画像の周辺部分の画素レベルより大きい場合に、中心部における励起光の照射密度が高くなるよう、パラメータを変更する構成であっても良い。このような構成により、パラメータが必要以上に変更されている場合にも、適切なパラメータに戻すことが可能となる。
また、本発明の光源制御手段におけるパラメータは、時間軸に対する励起光強度の傾き、励起光の照射頻度、励起光のデューティー比、または励起光の強度に関する値であっても良い。
また、本発明により、被写体に射出される励起光を走査型共焦点内視鏡へ供給する光源と、パラメータに基づいて励起光を制御する光源制御手段と、励起光により励起された被写体から発生する蛍光を、共焦点ピンホールを介して受光し、所定の検出タイミングで画像信号を検出する画像信号検出手段と、検出された画像信号を用いて共焦点画像を生成する画像生成手段と、を備え、光源制御手段は、画像生成手段により生成された共焦点画像に基づいて、パラメータを変更することを特徴とする、走査型共焦点内視鏡用プロセッサが提供される。また、光源制御手段は、共焦点画像の中心部分の画素レベルと、1フレーム以上前のフレームの共焦点画像の中心部分の画素レベルとの比較結果に基づいて、パラメータを変更しても良い。
本発明によれば、蛍光の褪色を軽減して一様な明るさの内視鏡画像を得るために、励起光の制御に用いられる適切なパラメータを自動的に設定することが可能な走査型共焦点内視鏡システムおよび走査型共焦点内視鏡用プロセッサが提供される。
本発明の実施形態の走査型共焦点内視鏡システムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態の走査型共焦点内視鏡システムが有する共焦点光学ユニットの構成を概略的に示す図である。 XY近似面上における光ファイバの先端の回転軌跡を示す図である。 本発明の実施形態の走査型共焦点内視鏡システムによって得られる共焦点画像の一例を示す図である。 本発明の実施形態の光源が射出する励起光の強度に関する図である。 本発明の実施形態におけるパラメータ設定処理を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の走査型共焦点内視鏡システムについて説明する。
図1は、本発明の実施形態の走査型共焦点内視鏡システム1の構成を示すブロック図である。本実施形態の走査型共焦点内視鏡システム1は、共焦点顕微鏡の原理を応用して設計されたシステムであり、高倍率かつ高解像度の被写体を観察するのに好適に構成されている。図1に示されるように、走査型共焦点内視鏡システム1は、システム本体(プロセッサ)100、共焦点プローブ200、モニタ300を有している。走査型共焦点内視鏡システム1を用いた共焦点観察は、可撓性を有する管状の共焦点プローブ200の先端面を被写体に当て付けた状態で行う。
システム本体100は、光源102、光分波合波器(フォトカップラ)104、ダンパ106、CPU108、CPUメモリ110、光ファイバ112、受光器114、映像信号処理回路116、画像メモリ118、映像信号出力回路120、光源制御回路122を有している。共焦点プローブ200は、光ファイバ202、共焦点光学ユニット204、サブCPU206、サブメモリ208、走査ドライバ210を有している。
光源102は、光源制御回路122の駆動制御に従い、患者の体腔内に投与された薬剤を励起する励起光を射出する。励起光は、光分波合波器104に入射する。光分波合波器104のポートの一つには、光コネクタ152が結合している。光分波合波器104の不要ポートには、光源102から射出された励起光を無反射終端するダンパ106が結合している。前者のポートに入射した励起光は、光コネクタ152を通過して共焦点プローブ200内に配置された光学系に入射する。
光ファイバ202の一端(以下、「基端」という。)は、光コネクタ152を通じて光分波合波器104と結合している。光ファイバ202の他端(以下、「先端」という。)は、共焦点プローブ200の先端部に組み込まれた共焦点光学ユニット204内に収められている。光分波合波器104を射出した励起光は、光コネクタ152を通過して光ファイバ202の基端に入射後、光ファイバ202を伝送して光ファイバ202の先端から射出される。
図2(a)は、共焦点光学ユニット204の構成を概略的に示す図である。以下、共焦点光学ユニット204を説明する便宜上、共焦点光学ユニット204の長手方向をZ方向と定義し、Z方向に直交しかつ互いに直交する二方向をX方向、Y方向と定義する。図2(a)に示されるように、共焦点光学ユニット204は、各種構成部品を収容する金属製の外筒204Aを有している。外筒204Aは、外筒204Aの内壁面形状に対応する外壁面形状を持つ内筒204Bを同軸(Z方向)にスライド自在に保持している。光ファイバ202は、外筒204A、内筒204Bの各基端面に形成された開口を通じて内筒204Bに収容支持されており、光ファイバ202の先端(以下、符号「202a」を付す。)は、走査型共焦点内視鏡システム1の二次的な点光源として機能する。点光源である先端202aの位置は、CPU108による制御に基づいて周期的に変化する。なお、図2(a)中、中心軸AXは、Z方向に配置された光ファイバ202の軸心を示しており、光ファイバ202の先端202aが振動していない状態(初期状態)のとき、中心軸AXは、光ファイバ202の光路と一致する。
サブメモリ208は、共焦点プローブ200の識別情報や各種プロパティ等のプローブ情報を格納している。サブCPU206は、システム起動時にサブメモリ208からプローブ情報を読み出して、システム本体100と共焦点プローブ200とを電気的に接続する電気コネクタ154を介してCPU108に送信する。CPU108は、送信されたプローブ情報をCPUメモリ110に格納する。CPU108は、格納したプローブ情報を必要時に読み出して共焦点プローブ200の制御に必要な信号を生成して、サブCPU206に送信する。サブCPU206は、CPU108から送信された制御信号に従って走査ドライバ210に必要な設定値を指定する。
走査ドライバ210は、指定された設定値に応じたドライブ信号を生成して、先端202a付近の光ファイバ202の外周面に接着固定された二軸アクチュエータ204Cを駆動制御する。図2(b)は、二軸アクチュエータ204Cの構成を概略的に示す図である。図2(b)に示されるように、二軸アクチュエータ204Cは、走査ドライバ210と接続された一対のX軸用電極(図中「X」、「X’」)及びY軸用電極(図中「Y」、「Y’」)を圧電体上に形成した圧電アクチュエータである。
走査ドライバ210は、交流電圧Xを二軸アクチュエータ204CのX軸用電極間に印加して圧電体をX方向に共振させると共に、交流電圧Xと同一周波数であって位相が直交する交流電圧YをY軸用電極間に印加して圧電体をY方向に共振させる。交流電圧X、Yはそれぞれ、振幅が時間に比例して線形に増加して、時間(X)、(Y)かけて実効値(X)、(Y)に達する電圧として定義される。光ファイバ202の先端202aは、二軸アクチュエータ204CによるX方向、Y方向への運動エネルギーが合成されることにより、X−Y平面に近似する面(以下、「XY近似面」と記す。)上において中心軸AXを中心に渦巻状のパターンを描くように回転する。先端202aの回転軌跡は、印加電圧に比例して大きくなり、実効値(X)、(Y)の交流電圧が印加された時点で最も大きい径を有する円の軌跡を描く。図3に、XY近似面上の先端202aの回転軌跡を示す。
本実施形態では励起光は連続光である。励起光は、二軸アクチュエータ204Cへの交流電圧の印加開始直後から印加停止までの期間中、光ファイバ202の先端202aから射出される。以下、説明の便宜上、この期間を「サンプリング期間」と記す。上述したように、二軸アクチュエータ204Cへ交流電圧が印加されると、光ファイバ202の先端202aは、中心軸AXを中心に渦巻状のパターンを描くように回転する。そのため、サンプリング期間中、光ファイバ202の先端202aから射出した励起光は、中心軸AXを中心とした所定の円形の走査領域を渦巻状に走査する。サンプリング期間が経過して二軸アクチュエータ204Cへの交流電圧の印加が停止すると、光ファイバ202の振動が減衰する。XY近似面上における先端202aの円運動は、光ファイバ202の振動の減衰に伴って収束し、光ファイバ202の振動は、所定時間後に略ゼロとなる(すなわち、先端202aは、中心軸AX上でほぼ停止する)。以下、説明の便宜上、サンプリング期間が終了してから先端202aが中心軸AX上にほぼ停止するまでの期間を「ブレーキング期間」と記す。ブレーキング期間の経過後、さらに所定時間の経過を待って、次のサンプリング期間が開始される。以下、説明の便宜上、ブレーキング期間が終了してから次のサンプリング期間の開始までの期間を「セトリング期間」と記す。セトリング期間は、光ファイバ202の先端202aを中心軸AX上に完全に停止させるための待機時間であり、セトリング期間を設けることにより、先端202aを精確に走査させることが可能となる。また、一フレームに対応する期間は、一つのサンプリング期間と一つのブレーキング期間で構成されており、セトリング期間を調整することによって、フレームレートを調整することができる。つまり、セトリング期間は、光ファイバ202の先端202aが完全に停止するまでの時間とフレームレートとの関係から適宜設定することができるようになっている。なお、ブレーキング期間を短縮するため、ブレーキング期間の初期段階に二軸アクチュエータ204Cに逆相電圧を印加して制動トルクを積極的に加えてもよい。
光ファイバ202の先端202aの前方には、対物光学系204Dが設置されている。対物光学系204Dは、複数枚の光学レンズで構成されており、図示省略されたレンズ枠を介して外筒204Aに保持されている。レンズ枠は、外筒204Aの内部において、内筒204Bと相対的に固定され支持されている。そのため、レンズ枠に保持された光学レンズ群は、外筒204Aの内部を内筒204Bと一体となってZ方向にスライドする。
内筒204Bの基端面と外筒204Aの内壁面との間には、圧縮コイルばね204E及び形状記憶合金204Fが取り付けられている。圧縮コイルばね204Eは、自然長からZ方向に初期的に圧縮狭持されている。形状記憶合金204Fは、Z方向に長尺な棒形状を持ち、常温下で外力が加わると変形して、一定温度以上に加熱されると形状記憶効果で所定の形状に復元する性質を有している。形状記憶合金204Fは、形状記憶効果による復元力が圧縮コイルばね204Eの復元力より大きくなるように設計されている。走査ドライバ210は、サブCPU206が指定した設定値に応じたドライブ信号を生成して、形状記憶合金204Fを通電し加熱して伸縮量を制御する。形状記憶合金204Fは、伸縮量に応じて内筒204Bを光ファイバ202ごとZ方向に進退させる。
光ファイバ202の先端202aから射出された励起光は、対物光学系204Dを透過して被写体の表面又は表層でスポットを形成する。スポット形成位置は、点光源である先端202aの進退に応じてZ軸方向に変位する。すなわち、共焦点光学ユニット204は、二軸アクチュエータ204Cによる先端202aのXY近似面上の周期的な円運動とZ方向の進退を併せることで、被写体を三次元走査する。
光ファイバ202の先端202aは、対物光学系204Dの前側焦点位置に配置されているため、共焦点ピンホールとして機能する。先端202aには、励起光により励起された被写体の散乱成分(蛍光)のうち先端202aと光学的に共役な集光点からの蛍光のみが入射する。蛍光は、光ファイバ202を伝送後、光コネクタ152を通過して光分波合波器104に入射する。光分波合波器104は、入射した蛍光を光源102から射出される励起光と分離して光ファイバ112に導く。蛍光は、光ファイバ112を伝送して受光器114で検出される。受光器114は、微弱な光を低ノイズで検出するため、例えば光電子増倍管等の高感度光検出器としてもよい。
検出信号は、映像信号処理回路116に入力する。映像信号処理回路116は、CPU108の制御下で動作して、検出信号を一定のレートでサンプルホールド及びAD変換してデジタル検出信号を得る。ここで、サンプリング期間中の光ファイバ202の先端202aの位置(軌跡)が決まると、当該位置に対応する観察領域(走査領域)中のスポット形成位置、当該スポット形成位置からの戻り光を検出してデジタル検出信号を得る信号取得タイミングがほぼ一義的に決まる。本実施形態においては、予め、校正治具等を用いた実測結果を参考に信号取得タイミングからスポット形成位置が推定され、推定位置に対応する画像上の位置が決定されている。CPUメモリ110には、決定された信号取得タイミングと画素位置(画素アドレス)とを関連付けたリマップテーブルが格納されている。
映像信号処理回路116は、リマップテーブルを参照して、各デジタル検出信号により表現される点像の画素アドレスへの割り当てを信号取得タイミングに応じて行う。以下、説明の便宜上、上記の割り当て作業をリマッピングと記す。映像信号処理回路116は、リマッピング結果に従って、各点像の空間的配列によって構成される画像の信号を画像メモリ118にフレーム単位でバッファリングする。バッファリングされた信号は、所定のタイミングで画像メモリ118から映像信号出力回路120に掃き出されて、NTSC(National Television System Committee)やPAL(Phase Alternating Line)等の所定の規格に準拠した映像信号に変換されてモニタ300に出力される。モニタ300の表示画面には、高倍率かつ高解像度の被写体の三次元共焦点画像が表示される。
ところで、被写体は、XY方向に関して走査領域の中心から周辺に向かって渦巻き状に走査(スパイラルスキャン)される。被写体に対する走査軌跡は、図3と同様の渦巻き軌跡である。光ファイバ202は共振運動のため、各スパイラルの周期(一回転の走査にかかる時間)は同じである。走査領域の中心ほど励起光の照射密度(単位面積当たりの照射エネルギー)が高いため、蛍光体の分解がより速く進行して褪色が起きる。この場合の共焦点画像の一例を図4に示す。図4に示されるように、観察主体が位置する観察領域の中心部分R1では、蛍光の褪色により、画像が暗くなる不具合が生じる。そこで、本実施形態の走査型共焦点内視鏡システム1は、光源制御回路122において光源を適切に制御して蛍光の褪色を好適に抑えるように構成される。
図5(a)は、光ファイバ202の先端202aの動きを示す図であり、図5(b)および図5(c)は、光源102が射出する励起光の強度を示す図である。図5(a)−(c)の横軸は時間軸である。図5(a)の縦軸は、中心軸AXを基準とした先端202aのX(又はY)方向の変位量を示す。図5(b)および(c)の縦軸は、励起光の強度を示す。図5(b)に示されるように、光源制御回路122は、サンプリング期間開始から終了にかけて励起光の強度を、傾きLで線形に増加させることにより、中心部分R1における励起光の照射密度を制御する。また、本実施形態における傾きLは、サンプリング期間の終点(つまり最外スパイラル時)での励起光の強度(つまり最大強度)を固定値(基準値)として変化させるものであり、サンプリング期間の始点での励起光の強度(つまり最小強度)は0から最大強度までの任意の値となる。さらに、本実施形態の光源制御回路122は、このような励起光の制御に用いられるパラメータ(この場合は傾きL)を、自動的に設定することが可能となっている。
図6は、本実施形態のパラメータ設定処理を示すフローチャートである。本実施形態では、光源制御回路122が、CPU108の制御下でパラメータ設定処理を実行する。ただし、別の実施形態においては、CPU108単独にて当該処理を実行する構成としても良い。本処理では、まず、取得された1フレームの共焦点画像内における中心部分R1と周辺部分R2の平均画素レベルをそれぞれ計算する(S1)。ここでいう画素レベルは、画素の輝度を示す値のことであり、画素レベルが大きいほど明るい画素であることを示す。また、中心部分R1および周辺部分R2は任意に設定可能であるが、好ましくは、面積比が1:1となるように設定される。
次に、S1で得られた現在のフレームにおける中心部分R1の平均画素レベルが、数フレーム前の画像における中心部分R1の平均画素レベル以下であるか否かが判断される(S2)。本実施形態では、過去のフレームにおける中心部分R1の平均画素レベルがCPUメモリ110などに記憶されており、S2にて何フレーム前の画像が比較対象とされるかは、あらかじめ任意で設定されている。そして、現在のフレームにおける中心部分R1の平均画素レベルが、数フレーム前の平均画素レベル以下であると判断されると(S2:Yes)、続いて、これらの平均画素レベルの差が一定値以上であるか否かが判断される(S3)。ここでは、現在の中心部分R1の平均画素レベルが、数フレーム前の平均画素レベル以下である場合は、中心部分R1褪色が発生した可能性があると判断し、その差が一定値以上か否かに基づいて、褪色の進行度合い(褪色が進行しているか、停止しているか)を判断する。ここで用いられる一定値は、蛍光の褪色が発生したとみなすことができる最小値が予め設定される。
そして、現在の中心部分R1の平均画素レベルと、数フレーム前の平均画素レベルの差が一定値以上である場合は(S3:Yes)、現在のパラメータが最大値であるか否かが判断される(S4)。ここでの最大値は、傾きLとして設定可能な最大の値であって、例えば図5に示されるサンプリング期間移行直後の励起光の強度が0で、サンプリング期間終了時に励起光の強度が最大になるような値である。最大値は、予め設定されてCPUメモリ110などに記憶される。そして、現在のパラメータが最大値でない場合は(S4:No)、パラメータを最小単位だけ上げる(S5)。
すなわち、現在の中心部分R1の平均画素レベルが数フレーム前の平均画素レベルから大きく低下した場合(S2:YesおよびS3:Yesの場合)、中心部分R1における褪色が進行していると判断され、褪色を軽減するためにパラメータが変更される(S5)。具体的には、図5(b)に示されるように励起光の制御がなされる場合に対し、パラメータである傾きLの値を最小単位だけ大きくする。これにより、図5(c)に示されるように、中心部分R1における励起光の強度がより小さくなるように、光源102が制御される。
一方、現在の中心部分R1の平均画素レベルと、数フレーム前の平均画素レベルとの差が一定値以上でない場合(S3:No)、中心部分R1の平均画素レベルと周辺部分R2の平均画素レベルが比較され、中心部分R1の平均画素レベルが周辺部分R2の平均画素レベル以下であるか否かが判断される(S6)。ここで、中心部分R1の平均画素レベルが周辺部分R2の平均画素レベル以下である場合(S6:Yes)、続いて、中心部分R1の平均画素レベルと周辺部分R2の平均画素レベルの差が、一定値以上か否かが判断される(S7)。
そして、中心部分R1の平均画素レベルと周辺部分R2の平均画素レベルの差が、一定値以上である場合(S7:Yes)、S4の処理に進み、現在の制御パラメータが最大値か否かが判断される(S4)。現在のパラメータが最大値でない場合(S4:No)、パラメータを最小単位だけ上げる(S5)。ここで、S2およびS3の処理では、中心部分R1の平均画素レベルが一定値を超えない範囲で緩やかに低下した場合、褪色が適切に検出されない可能性がある。そのため、S6およびS7において、中心部分R1の平均画素レベルが周辺部分R2の平均画素レベルより一定値以上小さい場合にも、褪色が発生しているとみなし、パラメータを変更する。そして、中心部分R1の平均画素レベルと周辺部分R2の平均画素レベルの差が一定値以上でない場合(S7:No)、および現在のパラメータが最大値である場合(S4:Yes)は、パラメータの変更は行わずにS10の処理へ進む。
一方、現在の中心部分R1の平均画素レベルが、数フレーム前の平均画素レベル以下でない場合(S2:No)、または、中心部分R1の平均画素レベルが、周辺部分R2の平均画素レベル以下でない場合は(S6:No)、現在のパラメータが初期値であるか否かが判断される(S8)。ここでいう初期値は、予め設定される傾きLの最小値であって、例えば、サンプリング期間移行直後の励起光の強度とサンプリング期間終了時の励起光の強度の差が必要最小限となるような値である。そして、現在のパラメータが初期値でない場合(S8:No)、パラメータを最小単位だけ下げる(S9)。
すなわち、現在の中心部分R1の平均画素レベルが、過去の平均画素レベルまたは同じフレーム内の周辺部分R2の平均画素レベルより大きい場合(S2:NoまたはS6:Noの場合)は、パラメータが必要以上に変更されていることが考えられる。例えば、新たな別の部位の観察に移行した場合、移行前の観察において設定されていたパラメータが、新たな部位における観察に対して適切でなくなってしまうことがある。そのため、このような場合には、適切なパラメータに戻すよう、最小単位下げられ(すなわち傾きLが小さくされ)、中心部分R1における照射強度が上げられる。一方、現在のパラメータが初期値である場合(S8:Yes)は、パラメータの変更は行わずにS10の処理へ進む。
S10では、現在の中心部分R1の平均画素レベルをCPUメモリ110メモリに保存する。ここで保存された中心部分R1の平均画素レベルは、将来取得されるフレームに対するS2およびS3の処理のために用いられる。その後、撮影を終了するか否かが判断され(S11)、撮影を継続する場合には(S11:No)、S1の処理に戻り、新たに取得されるフレームの画像に基づいて、以降の処理が繰り返される。
このように、本実施形態では、取得した共焦点画像の画素レベルに基づいて実際に褪色が発生したか否かを判断し、光源を制御するためのパラメータを自動的に変更することができる。これにより、被検体による反応の違いに影響を受けることなく、中心部分における蛍光の褪色を軽減するための適切な光源制御が可能となる。また、本実施形態では、現在と過去のフレームにおける画像の画素レベルを比較することで、中心部分における褪色の進行度合いを適切に検出して、パラメータを変更することができる。
以上が本発明の実施形態の説明である。本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。まず、上記実施形態では、パラメータとして、図5(c)に示される励起光の強度と時間とからなるグラフの傾きLの値を変更する例を説明したが、パラメータはこれに限定されるものではなく、励起光の照射密度を制御するために用いられる様々なパラメータを変更することが可能である。例えば、中心部分に照射する励起光をパルス光とし、そのデューティー比や照射頻度などをパラメータとして設定する構成としても良い。さらに、パラメータだけでなく、励起光の強度自体を自動的に設定することも可能である。
また、別の実施形態においては、図6のS6およびS7の処理を省略すること、またはS6およびS7の処理をS2およびS3の処理に先立って行うことも可能である。このような場合も、光源制御に用いられる適切なパラメータを自動的に変更することができ、中心部分の褪色を軽減することが可能となる。また、上記実施形態では、中心部分R1および周辺部分R2の平均画素レベルを比較して、褪色が発生したか否かを判断する構成としたが、中心部分R1および周辺部分R2の最大または最小画素レベルを比較して、褪色が発生したか否かを判断する構成としても良い。
1 走査型共焦点内視鏡システム
100 システム本体
102 光源
104 光分波合波器
106 ダンパ
108 CPU
110 CPUメモリ
112 光ファイバ
114 受光器
116 映像信号処理回路
118 画像メモリ
120 映像信号出力回路
122 光源制御回路
200 共焦点プローブ
202 光ファイバ
204 共焦点光学ユニット
206 サブCPU
208 サブメモリ
210 走査ドライバ

Claims (8)

  1. 入射端に入射する励起光を射出端まで導光し、該射出端から被写体に射出する光ファイバと、
    前記光ファイバの射出端から射出される前記励起光が、初期状態における前記光ファイバの長手方向に延びる軸心を中心とした略円形の走査領域内で、中心部から周辺部に向って一定の回転周期で渦巻状に前記被写体面上を走査するように、前記光ファイバの射出端を渦巻状に回転駆動させる光ファイバ走査手段と、
    前記励起光の照射密度を制御するためのパラメータに基づいて前記励起光を制御する光源制御手段と、
    前記励起光の集光点と共役の位置に配置された共焦点ピンホールと、
    前記励起光により励起された被写体から発生する蛍光を、前記共焦点ピンホールを介して受光し、所定の検出タイミングで画像信号を検出する画像信号検出手段と、
    前記検出された画像信号を用いて共焦点画像を生成する画像生成手段と、
    を備え、
    前記光源制御手段は、前記画像生成手段により生成された共焦点画像の中心部分の画素レベルと、これよりも1フレーム以上前のフレームで生成された共焦点画像の中心部分の画素レベルとの比較結果に基づいて、前記パラメータの設定を毎フレーム実行する、
    走査型共焦点内視鏡システム。
  2. 前記光源制御手段は、前記共焦点画像の中心部分の画素レベルが、前記1フレーム以上前のフレームの共焦点画像の中心部分の画素レベル以下であり、かつ、前記共焦点画像の中心部分の画素レベルと、前記1フレーム以上前のフレームの共焦点画像の中心部分の画素レベルとの差が、所定の閾値以上である場合に、前記中心部における励起光の照射密度が低くなるよう、前記パラメータを変更する、
    請求項に記載の走査型共焦点内視鏡システム。
  3. 前記光源制御手段は、さらに、前記共焦点画像の中心部分の画素レベルと、前記共焦点画像の周辺部分の画素レベルとの比較結果に基づいて、前記パラメータを設定する、
    請求項または請求項に記載の走査型共焦点内視鏡システム。
  4. 前記光源制御手段は、前記共焦点画像の中心部分の画素レベルが、前記共焦点画像の周辺部分の画素レベル以下であり、かつ、前記共焦点画像の中心部分の画素レベルと、前記共焦点画像の周辺部分の画素レベルとの差が、所定の閾値以上である場合に、前記中心部における励起光の照射密度が低くなるよう、前記パラメータを変更する、
    請求項に記載の走査型共焦点内視鏡システム。
  5. 前記光源制御手段は、前記共焦点画像の中心部分の画素レベルが、前記1フレーム以上前のフレームの共焦点画像の中心部分の画素レベルより大きい場合、または、前記共焦点画像の中心部分の画素レベルが前記共焦点画像の周辺部分の画素レベルより大きい場合に、前記中心部における励起光の照射密度が高くなるよう、前記パラメータを変更する、
    請求項から請求項のいずれか一項に記載の走査型共焦点内視鏡システム。
  6. 前記パラメータは、時間軸に対する励起光強度の傾き、励起光の照射頻度、励起光のデューティー比、または励起光の強度に関する値である、
    請求項1から請求項のいずれか一項に記載の走査型共焦点内視鏡システム。
  7. 光ファイバの射出端から射出される励起光が、初期状態における前記光ファイバの長手方向に延びる軸心を中心とした略円形の走査領域内で、中心部から周辺部に向って一定の回転周期で渦巻状に被写体面上を走査するように、前記光ファイバの射出端を渦巻状に回転駆動させる光ファイバ走査を行う走査型共焦点内視鏡が着脱可能に接続される走査型共焦点内視鏡用プロセッサにおいて、
    被写体に射出される励起光を前記走査型共焦点内視鏡へ供給する光源と、
    前記励起光の照射密度を制御するためのパラメータに基づいて前記励起光を制御する光源制御手段と、
    前記励起光により励起された被写体から発生する蛍光を、共焦点ピンホールを介して受光し、所定の検出タイミングで画像信号を検出する画像信号検出手段と、
    前記検出された画像信号を用いて共焦点画像を生成する画像生成手段と、を備え、
    前記光源制御手段は、前記画像生成手段により生成された共焦点画像の中心部分の画素レベルと、これよりも1フレーム以上前のフレームで生成された共焦点画像の中心部分の画素レベルとの比較結果に基づいて、前記パラメータの設定を毎フレーム実行する、
    走査型共焦点内視鏡用プロセッサ。
  8. 入射端に入射する励起光を射出端まで導光し、該射出端から被写体に射出する光ファイバと、
    前記励起光の照射密度を制御するためのパラメータに基づいて前記励起光を制御すると共に前記光ファイバの射出端を振動させることにより、前記射出端から射出される前記励起光によって、初期状態における前記光ファイバの長手方向に延びる軸心を中心とした所定の走査領域内の中心部分と周辺部分とで照射密度が異なるように、前記被写体面上を走査する制御手段と、
    前記励起光の集光点と共役の位置に配置された共焦点ピンホールと、
    前記励起光により励起された被写体から発生する蛍光を、前記共焦点ピンホールを介して受光し、所定の検出タイミングで画像信号を検出する画像信号検出手段と、
    前記検出された画像信号を用いて共焦点画像を生成する画像生成手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記画像生成手段により生成された共焦点画像の中心部分の画素レベルと、これよりも1フレーム以上前のフレームで生成された共焦点画像の中心部分の画素レベルとの比較結果に基づいて、前記パラメータの設定を毎フレーム実行する、
    走査型共焦点内視鏡システム。
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