JP6086327B2 - セラミック焼結体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミック粉末およびバインダを含むセラミック成形体を寝床に載置して脱脂および焼結を行うセラミック焼結体の製造方法に関し、それを用いたセラミック焼結体に関する。
セラミック成形体は、一般に、セラミック粉末とバインダを含み、射出成形法や鋳込み成形法によって形成されている。これらの成形法において、成形に必要な流動性や可塑性を得るためのバインダは、脱脂過程において加熱により溶融、分解、気化され、セラミック成形体から除去される。脱脂後のセラミック成形体(脱脂体)は、焼成過程においてセラミック粉末が焼結する温度まで加熱され、セラミック焼結体に形成される。このように形成されたセラミック焼結体は、硬くて脆いため機械加工が難しい。したがって、セラミック焼結体を製造する場合は、目標とする外形寸法に対する寸法バラツキができる限り小さいことが望まれる。
セラミック焼結体の外形寸法のバラツキを低減することを目的とし、種々の製造方法が検討されている。例えば、特許文献1乃至3には、セラミック成形体を専用容器(サヤ)内に入れた敷粉の中に埋設し、加熱してバインダなどを除去(脱脂過程)し、さらに加熱してセラミック粉末を焼結する(焼成過程)方法が開示されている。この方法によれば、敷粉を用いてセラミック成形体の表面を被覆することにより、脱脂および焼結によるセラミック成形体や脱脂体の変形が抑制できるとされる。
また、例えば、特許文献4には、匣鉢(サヤ)内にセラミック成形体と同じ材質の敷粉を層状に敷き詰め、その上にセラミック成形体を載置した状態で焼成する方法が開示されている。この方法によれば、敷粉を用いてセラミック成形体とサヤの間の摩擦抵抗を軽減することにより、焼結による脱脂体の不均一な収縮変形が抑制できるとされる。
また、例えば、特許文献5、6には、タービンブレードなどの中空の翼形状を有する鋳物の製造に使用するセラミック中子の製造方法が開示されている。この方法は、焼成過程において敷粉ではなくセッターを使用し、その寝床の受け面をセラミック成形体に有する翼形状に対応する形状に形成するとされる。また、その寝床は、剛性のある材料で構成するとされ、具体的に、セラミック粉末(例えばアルミナ、シリカ、ジルコンおよび/またはジルコニア粉末)とその他の液体結合剤や添加剤を含んでなる混合物を用いて成形体を形成し、その成形体を焼結体に形成して寝床に使用する一例が記載されている。このような記載からして、その寝床の受け面は、一般のセラミック焼結体と同等の構造を有し、同程度に硬くかつ緻密に形成されていると推量される。
また、例えば、特許文献7には、焼成治具(サヤ)内に入れたセラミック粉体をタッピングして粉体ベッド(寝床)を形成し、さらにその寝床の上にセラミック成形体と同程度の収縮率を有する好ましくは同じ材質の成形板を設置する方法が開示されている。そして、焼成工程において、その成形板の上にセラミック成形体を載置し、セラミック粉末を焼結するとされる。この方法によれば、成形板がセラミック成形体とともに焼結して収縮することでセラミック成形体とサヤの間の摩擦抵抗が軽減され、焼結による変形やクラックを抑制できるとされる。
特開昭61−117164号公報 特開昭63−100074号公報 特開昭63−248775号公報 特開2008−94631号公報 特開2003−176181号公報 特開2009−136922号公報 特開平10−251073号公報
上述した特許文献1乃至3に開示される方法では、セラミック成形体の形状や敷粉への埋設状態によっては、焼成過程において、脱脂体が焼結して収縮するときに表面を被覆する敷粉がその収縮に追従できず、脱脂体の収縮を妨げてしまう問題があった。また、セラミック成形体がサヤに直接接触していると、脱脂や焼結によってセラミック成形体や脱脂体がサヤの表面形状に倣うように変形してしまう問題があった。
また、上述した特許文献4に開示される方法では、セラミック成形体と同じ材質の敷粉がセラミック成形体に付着したまま焼結する問題があった。また、脱脂の過程で溶融したバインダが層状に形成された敷粉の内部に浸透する際に、バインダが浸透した敷粉層の表面が変形することがあり、セラミック成形体がその変形した敷粉層の形状に倣うように変形してしまう問題があった。
また、上述した特許文献5、6に開示される方法では、セラミック焼結体でなる緻密で空隙率がかなり小さい硬い寝床の受け面にセラミック成形体を載置するため、脱脂の過程で溶融したバインダが寝床の内部にほとんど浸透せず、セラミック成形体と寝床の受け面との間に、つまりセラミック成形体の表面近傍に残留してしまう。このため、セラミック成形体の表面近傍に残留しているバインダが分解し気化する過程で、セラミック成形体に膨れや割れあるいは変形を生じる問題があった。
また、上述した特許文献7に開示される方法では、セラミック成形体と同程度の収縮率を有する好ましくは同じ材質の成形板にセラミック成形体を載置するため、成形板が焼結の過程で脱脂体とともに焼結し、セラミック焼結体の取り外しが困難になる、相互に固着するなどの問題があった。また、脱脂の過程で溶融したバインダがセラミック成形体と成形板の間に残留した場合には、脱脂体に膨れや割れを生じる問題があった。
本発明の目的は、脱脂および焼結による軟化・収縮過程でセラミック成形体に生じる異常な変形を抑制することにより、目標とする外形寸法に対する差分(シフト量)やそのバラツキが小さいセラミック焼結体の製造方法を提供することである。
本発明者は、脱脂や焼結を行うときのセラミック成形体や脱脂体の支持方法に着目し、セラミック成形体や脱脂体を変形させようとする力や応力を局所的に集中させない姿勢で、セラミック成形体や脱脂体を寝床に載置することにより、上述した課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、セラミック粉末およびバインダを含むセラミック成形体を寝床に載置して脱脂および焼結を行うセラミック焼結体の製造方法であって、前記セラミック成形体は異なる曲率を有する複数の曲面を有し、大小の湾曲形状を有する形状であり、前記寝床に載置されたセラミック成形体の姿勢が、前記湾曲形状のうち面積的により大きな湾曲を有する曲面の凸側が鉛直方向下側となる姿勢であって、前記セラミック成形体を前記セラミック成形体の重心直下の支持により静止させたときの静止姿勢に対して10度以内の傾きとなるようにする。
また、前記静止姿勢を、前記セラミック成形体を重心直下を間に挟む2点により支持して静止させたときの静止姿勢とすることができる。セラミック成形体が、例えば凹凸や孔などの空隙を有するような複雑な形状である場合、重心直下の最適な1点による支持が困難な場合があり得る。このような場合、重心直下を間に挟む2点で支持して静止する姿勢を用いることが好ましい。なお、重心直下を間に挟む2点は、できるだけ近接していることが好ましい。
また、前記静止姿勢を、前記セラミック成形体を定盤上に載置したときに前記セラミック成形体が2点により支持されて静止したときの静止姿勢とすることができる。セラミック成形体の形状によっては、定盤上に載置したときに2点支持の状態で静止したセラミック成形体の静止姿勢が、重心直下の1点あるいは重心直下を間に挟む2点で支持されて静止したときの静止姿勢と同等な静止姿勢になる場合があり得る。このような場合、定盤上に載置したときにセラミック成形体が2点により支持されて静止状態となった姿勢を用いることができる。
上述した本発明のセラミック焼結体の製造方法によれば、異常な変形、亀裂、割れなどの不具合を有さず、所望寸法に対して高精度な本発明のセラミック焼結体を作製することができる。
前記セラミック焼結体は、中空の翼形状を有する鋳物の製造に使用するセラミック中子であってよい。
本発明によれば、セラミック粉末およびバインダを含むセラミック成形体を寝床に載置して脱脂および焼結を行ったときに、脱脂や焼成によるセラミック成形体や脱脂体の軟化や収縮によって生じる歪な変形を抑制することができる。よって、本発明の適用により、目標とする外形寸法に対する差分(シフト量)やそのバラツキが小さく、異常な変形が十分に抑制されたセラミック焼結体を容易に得ることができる。
本発明の適用が好ましいセラミック成形体を厚さ方向の凸側(背側)から見たときの平面図である。 図1に示すセラミック成形体をチップ側から見たときの側面図である。 図1に示すセラミック成形体をダブテイル側から見たときの側面図である。 図1に示すセラミック成形体を用いて作製されたセラミック焼結体を厚さ方向の凸側(背側)から見たときの平面図である。 静止プロファイルの測定方法の一例の説明図である。 寝床の受け面の作製方法一例の説明図である。 寝床の受け面上にセラミック成形体を載置した状態を示す断面図である。 本発明に係る実施例および比較例となるセラミック成形体の姿勢の説明図である。
本発明は、セラミック粉末およびバインダを含むセラミック成形体を寝床に載置して脱脂および焼結を行うセラミック焼結体の製造方法である。本発明は、セラミック成形体を脱脂炉などで脱脂して作製した脱脂体を焼結炉などで焼結してセラミック焼結体を作製する方法であってよいし、セラミック成形体を焼結炉などで脱脂および焼結してセラミック焼結体を作製する方法であってよい。
本発明における重要な特徴は、セラミック成形体を寝床に載置して脱脂を行うとき、脱脂体を寝床に載置して焼結を行うとき、あるいはセラミック成形体や脱脂体(以下、特に断らない限り、まとめて「セラミック成形体」という。)を寝床に載置して脱脂および焼結を行うときに、前記寝床に載置されたセラミック成形体の姿勢が、前記セラミック成形体を前記セラミック成形体の重心直下の支持により静止させたときの静止姿勢に対して10度以内の傾きとなるようにすることである。なお、本発明は、セラミック成形体が、例えば平板、角形や丸形の棒などの単純な形状であってもよいが、異なる曲率を有する複数の曲面を有するような形状である場合に適している。特に、セラミック成形体が、例えば大小の湾曲形状、複数の孔や凹凸、スリット状の溝や長孔などを有するような複雑な形状である場合にはより有効である。
セラミック成形体を1点で支持できた場合、その支持点がセラミック成形体の重心の直下になるため、最も好ましい均衡状態を得ることができる。従って、寝床に載置されたセラミック成形体の姿勢がセラミック成形体の重心直下の支持により静止させたときの静止姿勢と一致している場合、脱脂や焼結においてセラミック成形体を最も好ましい均衡状態にすることができる。この場合、寝床の作製効率や寸法精度あるいは得られるセラミック焼結体の寸法精度などを実用的に考慮し、寝床に載置されたセラミック成形体の姿勢が、最も好ましい前記静止姿勢に対して10度以内の傾きとなる姿勢と一致するようにできればよい。
セラミック成形体を、重心直下の支持により静止させたときの静止姿勢に対して10度以内の傾きとなるように寝床に載置するためには、寝床の形状をその姿勢になるように形成しておくことがよい。例えば、セラミック成形体を重心直下の1点支持で静止させたときの前記セラミック成形体の鉛直方向下側の表面の三次元プロファイル(以下、「静止プロファイル」という。)と同じ形状を有する受け面を含む寝床とすることにより、本発明に好適な寝床を得ることができる。なお、脱脂や焼結における膨張や収縮による変形に及ぼす影響が比較的小さいと考えられる場合、セラミック成形体の静止プロファイルに含まれる例えば凹部、孔部、凸部などの形状を、必ずしも正確に倣わなくてもよい。
セラミック成形体の静止プロファイルと同じ形状を有する受け面、つまり、その静止プロファイルに倣った受け面を含む寝床にすることより、セラミック成形体と受け面との間の過分な隙間をなくすことができる。このため、脱脂過程では、セラミック成形体(脱脂体)の表面の極近傍におけるバインダの残留や、バインダなどの膨張による変形が異常になることを抑止することができる。また、焼結過程では、セラミック成形体(脱脂体)の収縮による変形が異常になることを抑止することができる。
1点支持による静止状態のセラミック成形体は、つまり、表面上の1箇所で支持されて静止したときのセラミック成形体は、上述したようにその支持点が重心直下がその1箇所で支持されるため、力学的に釣り合って静止状態になっている。従って、セラミック成形体が1点支持による静止状態の姿勢になっている場合、そのセラミック成形体は回転運動や直線運動を起こす状態にない。見方を替えると、セラミック成形体が1点支持による静止状態の姿勢になっていない場合、そのセラミック成形体はいつでも回転運動や直線運動を起こす状態にある。この観点から、脱脂や焼結における膨張や収縮の前に、寝床上のセラミック成形体を回転運動や直線運動を起こさない姿勢にしておくことにより、膨張や収縮によって寝床上のセラミック成形体の力学的な均衡が崩れ、これに起因してセラミック成形体が回転運動や直線運動をしたときに、セラミック成形体に異常な変形が発生することを抑制することができる。
ところで、セラミック成形体の重心直下の形状によっては、1点支持が安定しないために完全な静止状態が得られない場合が起こり得る。ある場合、重心直下を間に挟む2点で支持されることにより、あるいは近接する2点で支持されることにより、セラミック成形体が静止状態になることがある。このようなときには、その2点支持による静止状態のセラミック成形体の姿勢を用いることができる。別の場合、セラミック成形体を定盤上に載置したときにセラミック成形体が2点により支持されて静止したときの静止姿勢が、重心直下の1点支持による静止状態の場合と同等な静止状態になることがある。このようなときには、定盤上に載置したときにセラミック成形体が2点により支持されて静止状態となった姿勢を用いることができる。
なお、表面上の3箇所以上を支持してセラミック成形体を静止状態にすることは容易である。しかし、3箇所以上で支持された静止状態のセラミック成形体は、上述した1箇所または2箇所で支持された静止状態のセラミック成形体とは異なり、必ずしも力学的に釣り合って静止しているとは限らない。ほとんどの場合、そのような静止状態のセラミック成形体は、たとえ静止していたとしても、いつでも回転運動や直線運動を起こす状態にあると考えられる。従って、そのような静止状態の姿勢で寝床に載置されたセラミック成形体は、脱脂や焼結における膨張や収縮の前に回転運動や直線運動を起こそうとしているため、膨張や収縮に起因して発生するセラミック成形体の回転運動や直線運動が増幅されてしまう。この増幅作用により、例えば、セラミック成形体が傾動したときに受け面を強く押圧したり、セラミック成形体が摺動したときに受け面との間に大きな摩擦力が発生したりといったことが起こり得る。よって、その増幅作用によってセラミック成形体の運動方向に対応する表面に対して局所的に集中荷重が発生し、これによるセラミック成形体の異常な変形、亀裂、割れといった不具合が発生しやすくなる。
よって、脱脂や焼結を行う寝床にセラミック成形体を載置するとき、上述した1点支持または2点支持によって力学的に安定な静止状態のセラミック成形体と同じ姿勢にするとよい。これにより、脱脂や焼結を行う前のセラミック成形体には、例えば自重に起因する寝床からの反力などの静的な負荷が一部分に集中してしまうような局所的な作用を抑制することができる。また、そのような静止状態になるように寝床の受け面に載置されたセラミック成形体は、脱脂中や焼結中においても重心が安定的に支持され続けるため、セラミック成形体の膨張や収縮に起因して発生する動的な負荷が一部分に集中してしまうような局所的な作用を抑制することができる。
上述した1点支持または2点支持による静止状態のセラミック成形体の姿勢は、その静止状態のセラミック成形体の鉛直方向下側の表面の三次元プロファイル(静止プロファイル)を、例えば三次元測定機などを用いて測定して数値データに変換して規定することができる。また、その静止プロファイルの数値データを例えばCADシステムに取り込み、その静止プロファイルと同等の三次元プロファイルを有する模型などを、CAD/CAMシステム、ラピッドプロトタイピング(RP)システム、あるいは三次元プリンタシステムなどの手段によって容易に作製することができる。従って、その静止プロファイルに基づいて、1点支持または2点支持による静止状態のセラミック成形体の静止プロファイルと同じ形状を有する受け面を含む、セラミック成形体の脱脂や焼結に使用する寝床を容易に作製することができる。
上述した静止状態のセラミック成形体とその静止プロファイルを適用する本発明によれば、寝床の受け面に載置されたセラミック成形体の姿勢を、1箇所または2箇所で支持された静止状態のセラミック成形体と同等の姿勢にすることができるため、脱脂や焼結におけるセラミック成形体に対する静的な負荷や動的な負荷の局所的な作用の抑制効果を奏することができる。これにより、脱脂中や焼結中における軟化過程や収縮過程においてセラミック成形体に異常な変形、亀裂、割れなどの不具合が発生し難くなるため、目標とする外形寸法に対する差分(シフト量)やそのバラツキが小さいセラミック焼結体を得ることができる。
次に、セラミック粉末およびバインダを含むセラミック成形体を寝床に載置して脱脂および焼結を行うセラミック焼結体の製造方法と、その方法を用いて作製することができるセラミック焼結体について説明する。
本発明に係るセラミック焼結体の製造工程には、セラミック成形体の作製工程、静止プロファイルの測定工程、寝床の作製工程、セラミック成形体の脱脂工程、およびセラミック成形体(脱脂体)の焼結工程などが含まれる。前記脱脂工程と前記焼結工程は、同じ熱処理炉を用いて連続して実施してもよい。以下、上述した各工程について説明する。具体的には、本発明の適用が好ましいと考える図1〜図3に示す形状をもつセラミック成形体1を用いて図4に示すセラミック焼結体1sを作製する場合について、図面を参照しながら説明する。
(セラミック成形体の作製)
図1に示すセラミック成形体1は、本発明の適用が好ましいセラミック成形体の一例である。セラミック成形体1は、異なる曲率を有する複数の曲面を有し、図2および図3において背側8および腹側9で示すように、大きな湾曲形状を有している。このセラミック成形体1を用いて、脱脂および焼結を経て、図4に示すセラミック焼結体1sを作製することができる。このような翼部2、シャンク3、ダブテイル4、チップ5などを含む形状を有するセラミック成形体1(セラミック焼結体1s)は、例えばガスタービン翼の内部で中空構造となる冷却孔を形成するためのセラミック中子として使用され、右方をリーディングエッジ側6、左方をトレイリングエッジ側7、図2および図3に示す鉛直方向上側に膨らむ湾曲形状の上方を背側8、下方を腹側9と呼ぶ。この中空の翼形状を有する鋳物(ガスタービン翼)の製造に使用するセラミック中子などのように、薄肉で孔部や曲面部を有する複雑な形状を有するセラミック成形体(セラミック焼結体)への本発明の適用は特に好ましい。
上述したセラミック成形体1は、例えば射出成形法によって作製することができる。まず、セラミック成形体1の原料となる例えば、シリカ粉末、アルミナ粉末、ジルコン粉末などから選択して配合された混合粉を例えば55〜75体積%とし、この混合粉に対してパラフィンワックス系バインダなどを25〜45体積%とし、これらを混合して射出成形用組成物を作製する。その射出成形用組成物を、セラミック成形体1の形状に対応するキャビティを有する金型の前記キャビティ内に例えば1〜200MPaの射出圧力で射出した後に固化させる射出成型法により、セラミック成形体1を作製することができる。こうして作製できるセラミック成形体1は、例えば、長さ300mm、幅100mm、厚肉部の厚さ15mmの寸法を有する。
前記混合粉は、0.1〜15.0質量%のアルミナ粉末と、カリウムまたはナトリウムのうち少なくとも1種を0.005〜0.1質量%と、残部にシリカ粉末および不可避的不純物とを含むセラミック粉末であることが好ましい。さらに0.5〜35.0質量%のジルコン粉末を含むセラミック粉末であることがより好ましい。前記シリカ粉末は、その全量が非結晶性シリカ粉末であるものや、その全量のうち90質量%以上が非結晶性シリカ粉末であるものが使用できる。前記非結晶性シリカ粉末は、少なくとも粒度50μm以上の粗粒を5〜30%質量含み、平均粒径が5〜35μmのものが好ましい。
(静止プロファイルの測定)
1点支持または2点支持による静止状態のセラミック成形体の静止プロファイルを測定する場合、例えば図5に示すような方法であってよい。図5(a)に示すセラミック成形体1は、鉛直方向下側に膨らんで凸となる湾曲形状を有するセラミック成形体1が鉛直方向下側の表面上の1箇所で、定盤20に固定されたサポートロッド21によって支持されて静止している。この静止状態のセラミック成形体1を支持している1箇所の支持点SPが、セラミック成形体1が力学的に釣り合うことができる釣合点BPになっている。従って、図5に示す測定方法では、セラミック成形体1の重心直下と推測される付近で、図5(a)に示す姿勢にセラミック成形体1を静止することができる釣合点BPを探し求めればよい。
続いて、図5(b)に示すように、釣合点BPで支持された静止状態のセラミック成形体1を、例えばセラミック成形体1の両側から補助具22のクランプ部22aと補助具23のクランプ部23aとで挟持する。このとき、2つの補助具22、23の定盤20からの高さを同じに設定しておくことや、セラミック成形体1の姿勢を変動させないことが重要である。次いで、図5(c)に示すように、セラミック成形体1を挟持している2つの補助具22、23の天地を反転することにより、セラミック成形体1の天地を反転する。このとき、2つの補助具22、23の定盤20からの高さが同じに設定されているため、セラミック成形体1の姿勢が傾くようなことがない。また、反転した2つの補助具22、23は定盤20に固定しておくことが好ましく、セラミック成形体1が定盤20上で平行移動することがない。なお、このような測定方法において、図5(b)に示すように補助具22、23で挟持されたセラミック成形体1の姿勢のままでも静止プロファイルが測定できるのであれば、図5(c)に示すような反転作業を行わなくてもよい。
図5(c)に示す姿勢のセラミック成形体1の鉛直方向上側に膨らむ湾曲形状の三次元プロファイルと、図5(a)に示すセラミック成形体1が釣合点BPで支持されて静止したときの鉛直方向下側に膨らむ湾曲形状の三次元プロファイルとは、定盤20面を基準として実質的に対称になっている。従って、図5(c)に示すセラミック成形体1の上側の表面の三次元プロファイルを、例えば接触式または非接触式の3次元形状測定機を用いて測定することにより、図5(a)に示すセラミック成形体1の静止プロファイルを得ることができる。また、例えば3次元形状測定機で測定された静止プロファイルは、数値データへの変換を容易に行うことができる。
また、セラミック成形体1を作製する場合、CADなどを用いて作製しようとするセラミック成形体の基本モデルを作成し、その基本モデルからセラミック成形体1に対応する射出成形金型のキャビティを加工することができる。このようにセラミック成形体1に対応する基本モデルの数値データがある場合、例えば、予め決めておいたセラミック成形体1上の幾つかの基準点の三次元情報を測定することにより、セラミック成形体1の静止プロファイルを得ることができる。具体的には、セラミック成形体1から得られた実体の基準点の空間座標などの三次元情報と、その実体上の基準点に対応する基本モデル上の基準点の三次元情報とから、例えば、双方の基準点の数学的な関係を表す変換行列を求めて基本モデルの数値データを変換する方法や、基本モデルの数値データを書き換える方法などにより、実体の静止プロファイルの数値データを得ることができる。
上述した三次元情報は、空間座標に限らず、2つの基準点を通る直線の傾きや、定盤20からの距離などであってよい。また、上述した基本モデルの数値データは、セラミック成形体を作製する射出成形金型のキャビティの形状の数値データに対応するものであってよい。その場合、キャビティの内部で射出成形材料を固化して作製されたセラミック成形体は、その寸法がキャビティの寸法よりも収縮して小さくなる。しかし、CADなどの基本モデルにおける重心の位置と、実体のセラミック成形体の重心の位置とが、ほぼ同等の位置になるような場合には、CADなどの基本モデルの数値データにおける基準点の位置を上述した変換行列などを用いて調整することによって得られるプロファイルの数値データであっても、本発明におけるセラミック成形体の静止プロファイルとして利用することができる。
セラミック成形体が表面上の近接する2点で支持されて静止したときの静止プロファイルを測定する場合、例えば図5に示すような方法において、2つのサポートロッドを用いて釣合点BPを探し求めることができる。また、図5に示すような方法以外に、例えば、セラミック成形体1を定盤20上に載置したときにセラミック成形体1が2点により支持されて静止した状態になった場合、その姿勢のセラミック成形体1の鉛直方向下側の表面の三次元プロファイルを例えば三次元測定機を用いて測定することにより、静止プロファイルの数値データを得ることができる。いずれの方法であっても、上述したセラミック成形体1の実体および基本モデルの基準点から求める方法も適用できる。
(寝床の作製)
脱脂や焼結においてセラミック成形体1を載置する寝床は、上述のようにして得られたセラミック成形体1の三次元の静止プロファイルの数値データを用いて作製することができる。具体的には、例えば、その静止プロファイルと同等の形状(プロファイル)を有するように作製した転写面を有する押し型を作製し、その押し型の転写面を容器内に敷き詰めた寝床の受け面を形成する材料の表面に押し付けて転写し、セラミック成形体1の静止プロファイルと同等の形状を有する受け面の形状(プロファイル)を作製することができる。これにより、寝床に載置されたセラミック成形体の姿勢を、セラミック成形体を1点支持により静止させたときの静止姿勢と一致あるいは前記静止姿勢に対し10度以内の傾きの姿勢にすることができる。
上述した押し型の転写面は、セラミック成形体1の静止プロファイルの数値データを入力データとし、例えばCAD/CAMシステム、ラピッドプロトタイピング(RP)システム、あるいは三次元プリンタシステムなどの手段によって作製することができる。RPは迅速造形法であって、液状樹脂や焼結性粉末などの材料に紫外線やレーザ光を照射して硬化させながら積層造形する光造形法(SLA法)や粉末焼結積層造形法(SLS法)、熱可塑性樹脂などの材料を固化させながら積層造形する熱溶融積層造形法(FDM法)などが知られている。
上述した押し型を用いて寝床の受け面を作製する場合、例えば図6に示すような方法であってよい。まず、図6(a)に示すように、板34上に環状の枠35を配置し、その枠35の中にセラミック成形体1の静止プロファイルに対応する転写面38を有する押し型37を設置する。その枠35の中に、押し型37との間に隙間ができないように例えば結晶性シリカ粉末32などの粉末材料を充填する。その枠35を底板36を用いて蓋をしてサヤ33を構成する。続いて、図6(b)に示すように、押し型37が上側で底板36が下側になるように反転し、サヤ33内の結晶性シリカ粉末38ができるだけ均一な充填状態になるように振動を加える。その後、押し型37を取り外すことにより、セラミック成形体1の静止プロファイルに対応する形状(プロファイル)の受け面31を有する図7に示す寝床30を作製することができる。
このような方法によって作製した寝床30の受け面31の表面硬さは、載置したセラミック成形体1の自重の作用の大小に関係なく実質的に均等化されるため、脱脂や焼結における膨張や収縮に起因して受け面31からの抗力が作用したとしても、セラミック成形体1の異常な変形を抑制することができる。また、加える振動の振幅や周波数により、受け面31の表面硬さを調整することができる。また、セラミック成形体1の静止プロファイルを転写するために粉末材料に押し付けることがないこのような方法によれば、セラミック成形体1の損傷リスクが小さいため好ましい。
上述した方法によって寝床の受け面を作製する場合、粉末材料を使用することが好ましい。粉末材料は、押し型37からの荷重に対応して自由に移動するとともに密着力が小さいため、押し型37の転写面38に隙間なく密着させることができ、転写面38からの剥離も容易である。このような粉末材料としては、例えば、結晶性シリカ粉末、電融アルミナ粉末、電融ジルコニア粉末、ジルコン粉末のうちの1種または1種以上を用いることが好ましい。結晶性シリカ粉末は、クリストバライト(クリストバル石、方珪石)の他、石英やトリジマイトなどの粉末であってよい。上述した各種の粉末は、セラミック成形体の構成材料である例えば溶融シリカ、アルミナ、ジルコンなどのセラミック粉末やバインダ材料などとの反応性が低く、セラミック成形体の焼結処理条件において焼結による緻密化を起こし難い。このため、脱脂を経た脱脂体や焼成を経たセラミック焼結体の寝床からの離脱を容易に行うことができる。また、これらの粉末は、セラミック焼結体の表面に固着して異物化するようなこともない。
また、上述した粉末材料を用いる場合、メジアン径d50が3μm〜40μmの粉末を用いることが好ましい。粉末のメジアン径d50が上記範囲内であれば、粉末の相互連結により形成される空隙の大きさ(細孔径)やその空隙の割合(空隙率)が好ましくなる。寝床が、適度に小さな細孔径と、適度に大きな空隙率とを有して形成されていると、毛細管現象の発現によりバインダが浸透しやすくなり、しかもバインダが浸透しても崩れて変形し難くなる。特に、受け面の表面近傍の内部形態の影響は大きい。その粉末のメジアン径d50が3μm未満になると空隙率が大きくなるため、バインダが浸透すると崩れやすくなる。また、その粉末のメジアン径d50が40μmを超えると細孔径が大きくなるため、毛細管現象によるバインダの浸透性が低下しやすくする。なお、粉末が30μm以下のメジアン径d50であると、バインダの浸透性や耐変形性がより好ましくなる。なお、本発明でいうメジアン径d50は、体積粒度分布(横軸が粒径、縦軸が累積)における粒径の中央値である。なお、粉末材料の粒度は、例えばレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
上述した寝床の受け面は、被測定箇所に対して垂直方向に測定した表面硬さが0.2kPa〜40kPaの分布となるように形成することが好ましい。この場合の表面硬さは、セラミック成形体の被載置部が接触する寝床の受け面上の数点を選び、円錐圧子を被測定箇所に対して垂直方向に押し当てて所定の深さだけ埋め込んだときの荷重を測定し、測定した荷重値を円錐圧子の接触面積(円錐圧子における底面を除く表面積)で除した値であってよい。寝床の受け面の表面硬さが0.2kPa〜40kPaの分布であれば、粉末材料の相互の係合によって形成される空隙が好適な状態で形成される。
このように形成された受け面を有する寝床は、セラミック成形体から溶融したバインダの浸透性と、セラミック成形体の重さを受けるための機械的強度の両方を、好適に備えることができる。また、寝床の受け面が変形する可能性は重力の作用方向や受け持つ負荷の程度にもよるが、受け面の表面硬さが0.2kPa未満であると、バインダの浸透性は高まるもののバインダの浸透による変形が大きくなりやすい。また、受け面の表面硬さが40kPaを超えると、受け面の機械的強度は高まるもののバインダの浸透性が低下しやすくなる。より好ましくは、3kPa〜30kPaであり、バインダの浸透性と受け面の機械的強度とのバランスが好適になることを確認している。
(セラミック成形体の脱脂処理)
図7に示すように、セラミック成形体1を静止プロファイルを測定した表面側(背側8)が接触する姿勢で寝床30の受け面31上に載置する。その状態のサヤ33を熱処理炉に入れて、例えば保持温度500℃〜600℃かつ保持時間1h〜10hの脱脂条件で脱脂処理を行うことにより、脱脂体を得ることができる。前記脱脂条件、炉内雰囲気、昇温や降温の速度などは、セラミック成形体の形状、厚さ分布、容積、バインダの材質などに適するように調整すればよい。また、このようにセラミック成形体1の湾曲形状の凸側(背側8)を受け面31に接触させる姿勢で載置することは、セラミック成形体1のリーディングエッジ側6やトレイリングエッジ側7の歪な変形の抑制に有効である。これは、湾曲形状のリーディングエッジ側6およびトレイリングエッジ側7の部分に含まれるバインダなどが膨張しようとしたときに、その膨張に抗するように湾曲の中央部分に向かう自重に起因する力が作用しやすいからである。
(脱脂体の焼結処理)
続いて、寝床30に脱脂体を載置した状態のサヤ33を熱処理炉に入れて、例えば保持温度1200℃〜1400℃かつ保持時間1h〜10hの焼結条件で焼結処理を行うことにより、図4に示すセラミック焼結体1sを作製することができる。上述したセラミック成形体1の脱脂処理後、寝床30の受け面31上に残るバインダや内部に浸透したバインダの影響を排除するため、新たな寝床30に交換することが好ましい。前記焼結条件、炉内雰囲気、昇温や降温の速度などは、脱脂体の形状、厚さ分布、容積、セラミック粉末の材質などに適するように調整すればよい。なお、上述したセラミック成形体1の脱脂処理と脱脂体の焼結処理は、同じ熱処理炉内で連続的に行ってもよい。
また、焼結において、上述したようにセラミック成形体1あるいは脱脂体の湾曲形状の凸側(背側8)を受け面31に接触させる姿勢で載置することは、脱脂体リーディングエッジ側6やトレイリングエッジ側7の亀裂や割れの抑制に有効である。これは、湾曲形状のリーディングエッジ側6およびトレイリングエッジ側7の部分のセラミック粉末が焼結によって収縮しようとしたときに、その収縮を妨げないように湾曲の中央部分に向かう自重に起因する力が作用しやすいからである。
本発明のセラミック焼結体の製造方法を適用し、図1に示すものと同様な複数の曲率からなる少なくとも一つの曲面を有する湾曲形状のセラミック成形体を用いて、図4に示すものと同様なセラミック焼結体を作製した。なお、本発明の範囲を以下に述べる実施例に限定するものではない。
まず、セラミック成形体を作製するために、アルミナ粉末(Al)を0.5質量%、ジルコン粉末(ZrSiO)を25質量%、残部を溶融シリカ粉末(SiO)とした混合粉(セラミック粉末)を68体積%とし、パラフィンとスチレン系熱可塑性エラストマーからなるバインダ他を32体積%とした射出成形用組成物を準備した。続いて、射出成形用組成物を、セラミック成形体に対応する三次元形状を有するキャビティを含む金型内へ約7MPaの射出圧力で充填した。こうした射出成形を同様に繰り返すことにより、実質的に材質と形状が同じ複数のセラミック成形体を作製した。作製したセラミック成形体の寸法は、概ね、長さ300mm、幅100mm、厚肉部の厚さ15mmである。
次に、図5に示す方法により、任意に選んだ幾つかのセラミック成形体の1点支持による静止プロファイルを三次元形状測定機(Mitutoyo製CRYSTA−APEX、S9168)により測定した。1点支持による静止状態のセラミック成形体は、図8(a)に示すように1つの釣合点BPで支持されて力学的に釣り合って静止した姿勢となった。この静止状態のセラミック成形体の姿勢において、鉛直方向VD上の釣合点BPを基準点とする傾き角を零と定義し、時計回りを正方向とする。
続いて、1点支持のそれぞれの複数の静止プロファイルの数値データに基づいて、1点支持の平均的な静止プロファイルの数値データを求めた。その数値データに基づいて、CAD/CAMシステムを使用し、図8(a)に示す1点支持の平均的な静止プロファイルと同等の形状(プロファイル)の転写面を有する押し型を作製した。また、同様にして、図8(b)に示す傾き角αが5°〜6°となるように、1点支持の平均的な静止プロファイルを傾けた形状(プロファイル)の転写面を有する押し型を作製した。それぞれの押し型の転写面を転写する図6に示す方法により、1点支持の平均的な静止プロファイルに対応する受け面を含む複数の寝床と、1点支持の平均的な静止プロファイルに対して5°〜6°傾いた姿勢に対応する受け面を含む複数の寝床とを、メジアン径d50が7.0μmのクリストバライト(結晶性シリカ)粉末を用いて作製した。作製したいずれの寝床も、その受け面の表面硬さ分布が3.6kPa〜20.4kPaの範囲に収まっていた。
また、実施例の寝床と対比可能な比較例として、同様な方法と材料により、図8(c)に示す傾き角βが−12°〜−13°となるように、1点支持の平均的な静止プロファイルを意図的に傾けた姿勢に対応する受け面を含む寝床を作製した。
次いで、平均的な静止プロファイルを用いた寝床による実施例と、それを傾き角が5°〜6°となるように傾けたプロファイルを用いた寝床による実施例と、比較例の寝床とのそれぞれに、湾曲形状の凸側(背側)を受け面に接触させる姿勢でセラミック成形体を載置し、580℃の温度で5h保持する脱脂処理を行った。これにより、セラミック成形体からバインダなどが概ね除去された脱脂体を作製した。実施例および比較例のいずれの脱脂体にも、亀裂や割れは発生していなかった。続いて、実施例(2種類)および比較例の新しい寝床のそれぞれに、湾曲形状の凸側(背側)を受け面に接触させる姿勢で脱脂体を載せ替えて、脱脂体に残るバインダなどの除去およびセラミック粉末の焼結処理を行った。具体的には、焼成温度まで温度を上げる過程で脱脂体からバインダなどを完全に除去し、さらに1300℃の温度で2h保持する間にセラミック粉末が焼結されるようにしてセラミック焼結体を作製した。このようにして作製した実施例(2種類)および比較例のいずれのセラミック焼結体にも、亀裂や割れは発生していなかった。
次に、作製しようとするセラミック焼結体の基本モデルの数値データを基準とし、その基準と、実施例(2種類)および比較例の寝床を用いて作製したセラミック焼結体の寸法との差分を求めた。作製したセラミック焼結体の寸法は、ラインレーザープローブ(Mitutoyo製SurfaceMeasure606)を取り付けた三次元形状測定機(Mitutoyo製CRYSTA−APEX、S9168)を使用し、セラミック焼結体の全表面上の約150万の箇所を測定点として実測した。その約150万個(n個)の測定点について、三次元座標上における基本モデルの数値データと実測値との離間距離Xnの2乗和(X1+X2+…+Xn)を分子として標準偏差σを求めた。
例えばガスタービン翼の鋳造用セラミック中子に使用されるセラミック焼結体の場合、製品の寸法精度や製造歩留の観点から、すべての測定点の離間距離Xnが±3σの範囲に収まっていれば十分な実用性があるといってよい。この±3σ(mm)の値が零に近い程、そのセラミック焼結体が基本モデルにより近似した形状を有していることを意味する。こうした観点に基づいて、セラミック焼結体の寸法精度を±3σ(mm)によって評価した。
実施例(2種類)および比較例の寝床を用いて作製したセラミック焼結体と基本モデルとを上述した方法で評価し、その結果を表1に示す。なお、表1において、「寸法精度±3σ(mm)」に記載した数値は±3σ(mm)の絶対値であり、例えば「0.75mm超0.80mm以下」は0.75mm<|±3σ|≦0.80mmを意味する。
表1に示す実施例(2種類)において、寝床の受け面の形状を1点支持の平均的な静止プロファイルに対応させたセラミック焼結体は、そのすべての寸法精度が0.8mm以下であった。また、1点支持の平均的な静止プロファイルに対して5°〜6°傾けた寝床を適用したセラミック焼結体にも寸法精度が0.8mm以下のものが多かった。一方、寝床の受け面の形状を意図的に−12°〜−13°傾けた比較例のセラミック焼結体は、そのすべての寸法精度が0.80mmを超えており、1.0mmを超えるものが68.2%に達していた。また、±3σ(mm)で表す寸法精度の許容範囲を0.80mm以下とした場合、実施例の歩留は92.6%であり、比較例の歩留は0%であった。また、寸法精度の許容範囲を緩和して1.0mm以下とした場合、実施例の歩留は100%であり、比較例の歩留は31.8%であった。
以上の結果より、実施例に適用した本発明の製造方法の有効性と、それを用いて作製された本発明のセラミック焼結体の実用性を確認することができた。
1.セラミック成形体、1s.セラミック焼結体、2.翼部、3.シャンク、4.ダブテイル、5.チップ、6.リーディングエッジ側、7.トレイリングエッジ側、8.背側、9.腹側、20.定盤、21.サポートロッド、22.補助具、22a.クランプ部、23.補助具、23a.クランプ部、30.寝床、31.受け面、32.粉末材料、33.サヤ、34.板、35.枠、36.底板、37.押し型、38.転写面、BP.釣合点、SP.支持点、VD.鉛直方向

Claims (3)

  1. セラミック粉末およびバインダを含むセラミック成形体を寝床に載置して脱脂および焼結を行うセラミック焼結体の製造方法であって、
    前記セラミック成形体は異なる曲率を有する複数の曲面を有し、大小の湾曲形状を有する形状であり、
    前記寝床に載置されたセラミック成形体の姿勢が、前記湾曲形状のうち面積的により大きな湾曲を有する曲面の凸側が鉛直方向下側となる姿勢であって、前記セラミック成形体を前記セラミック成形体の重心直下の支持により静止させたときの静止姿勢に対して10度以内の傾きとなるようにする、セラミック焼結体の製造方法。
  2. 前記静止姿勢を、前記セラミック成形体を重心直下を間に挟む2点により支持して静止させたときの静止姿勢とする、請求項1に記載のセラミック焼結体の製造方法。
  3. 前記静止姿勢を、前記セラミック成形体を定盤上に載置したときに前記セラミック成形体が2点により支持されて静止したときの静止姿勢とする、請求項1に記載のセラミック焼結体の製造方法
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