JP6086306B2 - バラスト水処理装置およびバラスト水処理方法 - Google Patents

バラスト水処理装置およびバラスト水処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、船舶に貯留されるバラスト水の処理システムに用いられる装置、およびバラスト水の処理方法に関する。
近年、船舶に積載するバラスト水の処理が問題となっている。バラスト水は空荷状態でも安全に航行するために船舶に積載される海水であり、バラスト水を浄化処理して微生物を除去あるいは死滅、不活性化する方法が種々検討されている。比較的大きな微生物の除去の目的で濾過を用いる方法も検討されており、たとえば特許文献1には本願出願人による濾過膜を用いたバラスト水の処理装置が記載されている。この装置では、円筒形状のプリーツフィルターを回転させながら、フィルター外面に向かって濾過対象である海水を噴出させることで、フィルターを洗浄しつつ濾過を行う装置を提供できる。
また、バラスト水の処理では濾過等の手段に加えて水生微生物や細菌等の殺滅手段が併用される。殺滅手段としては紫外線照射、薬剤投入、電解法などが知られている。特許文献2〜4には、電解装置により海水から塩素含有物質を生成して海水中に注入する殺滅・殺菌方法が開示されている。
特許第4835785号公報 国際公開第WO2005/077833号再公表特許公報 特開2009−274028号公報 特開2012−20218号公報
海水を電解処理して次亜塩素酸ナトリウム(次亜塩素酸ソーダ)を生成する電解法では、薬剤使用による殺滅のように船舶に別途薬剤を積み込む事無く殺滅処理が行える利点がある。一方、電解処理には船舶からの電力供給が必要となる点で不利である。さらに、対象とする被処理水が海水の場合は適用可能であるが、淡水の場合には電解により次亜塩素酸ナトリウムが得られないために利用できない。
本願発明者らは、フィルターによる濾過と電解による殺滅手段とを組み合わせたバラスト水の処理装置および方法を検討する際に、上記電解法の得失に起因する次の課題を見いだし、本願発明に至った。かかる課題とは、船舶に電解のための十分な電力供給能力が無い場合には殺滅処理に必要とされる十分な電解処理が行えないこと、および被処理水が淡水や塩分濃度が低い海水の場合には十分な電解処理が行えないこと、の2点である。
すなわち本願1の発明は、
被処理水から次亜塩素酸を生成する電解処理部と、被処理水に薬剤を注入する薬剤注入部と、被処理水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定部または前記電解処理部に供給される電力量を検出する電力検出部とを備えたバラスト水処理装置である。
また、本願は、被処理水の塩分濃度を測定し、測定された塩分濃度の値に応じて、または、電解による次亜塩素酸の生成に要する電力量の値と次亜塩素酸注入後の水中の塩素濃度の値とに応じて、次の(A)から(C)のいずれか1つの動作を行うバラスト水の処理方法を提供する。
(A)前記被処理水の一部または全部に対して電解処理を施して生成された次亜塩素酸を前記被処理水に注入する。
(B)前記被処理水の一部または全部に対して電解処理を施して生成された次亜塩素酸を前記被処理水に注入すると共に、前記被処理水に薬剤を注入する。
(C)前記被処理水に薬剤を注入する。
上記発明によれば、海水濃度や電力供給が不十分な環境においても利用可能な、電解処理を殺滅手段に用いたバラスト水処理装置および方法を提供することが可能となる。
本発明の実施形態としてのバラスト水処理装置の構成例を説明するシステム構成図である。 電解処理部の構成を説明するための模式図である。 本発明の別な実施形態としてのバラスト水処理装置の構成例を説明するシステム構成図である。 本発明のまた別な実施形態としてのバラスト水処理装置の構成例を説明するシステム構成図である。
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の内容を列記して説明する。
本願発明は、被処理水から次亜塩素酸を生成する電解処理部と、被処理水に薬剤を注入する薬剤注入部と、被処理水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定部または前記電解処理部に供給される電力量を検出する電力検出部とを備えたバラスト水処理装置である。
電解処理部と薬剤注入部の両方を併設する構成により、電解処理により生成した次亜塩素酸と、別途準備された薬剤の双方をうまく使い分けて効率的な水生生物等の殺滅処理を行うことができる。通常運転では電解処理により殺菌剤としての次亜塩素酸を生成して運転し、電解処理に支障が生じた場合に薬剤注入へ切り換え、あるいは薬剤注入を併用することにより、動作環境によらず安定したバラスト水の処理を行うことが可能となる。また電解処理に供する電力量の低減等によりバラスト水処理のコスト低減に効果的である。
これらの殺滅処理は、被処理水の濾過を行う濾過部に直列に配置されると良い。すなわち、海洋等から取水された被処理水を濾過し、濾過後の被処理水に残った微細な水生生物や細菌等の殺滅を行うために、電解処理部と薬剤注入部を用いると良い。
薬剤注入部は、電解処理により生成した次亜塩素酸では無く別途準備した薬剤を被処理水に注入することが可能な部分であり、単なる注入口等の構造であって人為的に薬剤を注入することでもよいし、一定量の薬剤を連続注入可能な注入装置であるとなお良い。
別途準備する薬剤は殺滅処理が可能な薬剤であれば良い。バラスト水の処理として次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸カルシウムが知られている。本願発明者は従来のバラスト水処理では一般に用いられていなかったジクロルイソシアヌル酸ナトリウムまたはトリクロルイソシアヌル酸ナトリウムに着目し、これらが本願発明の実施態様として有効であることを見いだした。これらのいずれの薬剤を用いても次亜塩素酸イオンを生成して殺滅処理に寄与する範囲に於いて効果がある。
ジクロルイソシアヌル酸ナトリウムまたはトリクロルイソシアヌル酸ナトリウムは、次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウムに比べて、通常雰囲気中での分解がされにくく、保存安定性が高い。本願に示すバラスト水処理装置においては、薬剤は通常は保管されており、電解処理部による次亜塩素酸の生成に問題がある場合に使用される。したがって、薬剤を船舶内で長期保管する必要が生じ、特に保存安定性に優れた薬剤が有用と考えられる。
これらの薬剤は、固体あるいは液体での薬剤として準備される。すなわち、後述する電解処理部により生成された次亜塩素酸溶液に比べて同じ殺滅効果を得るために必要とされる量(体積、重量)が極めて少なくて済む。仮に予め電解処理によって次亜塩素酸溶液を準備しておいて殺滅処理に用いようとすると、その貯蔵のために要領の大きなタンクや配管が必要となり、船舶への搭載ではスペース確保が問題となる。別途薬剤を準備すれば保管を含めた設備を小さくすることが可能となる。
次亜塩素酸カルシウム、ジクロルイソシアヌル酸ナトリウムまたはトリクロルイソシアヌル酸ナトリウムは固形または粉状で供給されるため、これらを用いる場合は、一旦水に溶かし高濃度の次亜塩素酸を含む液体を作成した後、注入するのが望ましい。
電解処理部は、被処理水の一部を取り出して、または被処理水の全体の流路途中にて直流電流を印加し、電解により次亜塩素酸ナトリウム(溶液としての次亜塩素酸(次亜塩素酸イオン))を生成する部分である。生成された次亜塩素酸を被処理水に注入することにより殺滅処理を行う。被処理水全体に直流電流を印加する場合は生成と同時に注入されたことになる。別途薬剤を準備することなく、被処理水自体から次亜塩素酸を生成して用いることができる点で有益である。
電解処理部は被処理水中の塩化ナトリウムの存在を利用して次亜塩素酸を生成する。すなわち、塩化ナトリウムを含む被処理水中に陽極と陰極となる電極を配置して直流電流を流すことで、陽極において塩素を発生が起こり、陰極に於いて水素の発生とNaOH(苛性ソーダ)の発生が起こり、塩素と苛性ソーダが反応して次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を生じさせるものである。よって、被処理水中に塩化ナトリウムが存在しないと機能しない。また、塩化ナトリウムの濃度(塩分濃度)が低いと十分に次亜塩素酸を生成出来ず、逆に十分な生成のためには多くの電力を必要とする。
上述の通り、殺滅処理として船舶に搭載されたバラスト水処理装置において薬剤注入部を用いる得失と電解処理部を用いる得失がそれぞれある。本願発明は、その双方を併用することによって利点を活かし、装置全体としての効率的な運用およびコストメリットを得るものである。
被処理水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定部は、電解処理部の運転可否を判定するために用いられる。言い換えると、電解処理部の利用と薬剤注入部の利用の併用の目的で塩分濃度測定部を用いる。塩分濃度測定部としては既知の塩分測定装置を用いることができ、被処理水の流路中にて、あるいは被処理水の一部を取り出して、塩分濃度の値を測定できるように構成されていればよい。
塩分濃度測定部は既知の塩分測定器を用いるほか、塩分を直接測定することに代えて、電解処理部での電解処理から塩分濃度を求める構成の装置としても良い。電解に供される電流と電圧(すなわち電力)は被処理水の導電率(抵抗値)により異なる。被処理水中の塩分濃度が高ければ導電率が高くなり、たとえば同一の電圧を印加した場合でも流れる電流値が大きくなる。そこで、一定の電解を行い、その時の電圧と電流の関係から、被処理水の導電率を求め、塩分濃度に置き換えることも可能である。塩分濃度と導電率の関係は予め既知濃度の塩水にて求めておくことができる。さらに、既知の導電率測定器を用いることも可能である。
塩分濃度測定部により被処理水の塩分濃度が判れば、電解処理部が効果的に動作可能か否かを判断することが可能となる。塩分濃度が一定以上であれば電解処理部により生成した次亜塩素酸のみで十分に被処理水の殺滅処理が可能である。通常はこのような状態で運用出来ることを前提として装置が設計され船舶に搭載される。しかし、海域の違いや河川からの淡水の流入が多い等の環境条件により塩分濃度が一定量に満たない場合が生じ得る。このような場合に、別途準備した薬剤を併用することにより常に安定した殺滅処理が可能とできる。予め電解処理により生成した次亜塩素酸溶液をタンクに蓄えておき、これを充足のために用いることや、別な手段により塩分濃度を故意に上げて電解処理を行うことも考えられるが、大きなタンク容量を必要とすることや、余分な設備や電力を必要とすることから、船舶に搭載されるバラスト水処理装置としては好ましくない。固形や液状の薬剤を別途準備して薬剤注入部と併用することで小さな容積で効果的な殺滅処理を行うことが可能となる。
前記塩分濃度測定部により測定された塩分濃度に応じて前記電解処理部と前記薬剤注入部の動作を判定する動作判定部を備えると良い。測定された塩分濃度の値を操作員が判断して電解処理部と薬剤注入部の利用を選択し、人為的に薬剤を用いることができる。好ましくは、予め定めた一定の条件により自動的に判定がなされると良い。さらに動作判定部の判定結果により電解処理部の電解処理と薬剤注入部の薬剤注入の制御信号を出力する制御部を備えることが好ましい。動作判定部と制御部は同一の装置で構成しても良く、別々の装置であっても良い。
動作判定部および制御部は、信号入力、条件判断、表示を含む信号出力等が行える装置として構成されれば良い。プロセッサを内蔵した専用の装置として構成してもよいし、制御用の汎用コンピュータ装置に本発明に係る方法をプログラムとして組み込んだ装置としても良い。
さらに、動作判定部は、前記電解処理部が電解処理に要する電力量を予測する機能を備え、予測される電力量に応じて前記電解処理部と前記薬剤注入部の動作を決定するようにすると良い。
電力量の予測は、たとえば次のように行うことができる。一定の電解処理を行い、それに要した電力量を測定する。あわせて電解処理により生成した次亜塩素酸を注入した処理対象水の水中の残留塩素濃度を検出する。投入した電力量と結果としての残留塩素濃度とから、その後の電解処理に必要な電力量を所定の計算式や予め定めた算出テーブル等から求め、予測された電力量とする。あるいは、検出される残留塩素濃度が所定の値になるように電解処理に投入する電力量を調整し、かかる電力量をその後の処理に必要な電力量の予測値とすることもできる。
バラスト水処理装置が船舶に搭載される場合、当該船舶の電力のうちバラスト水処理に用いるための使用量が制限される場合がある。被処理水から次亜塩素酸を生成可能な場合であっても、被処理水の塩分濃度が低い等の理由により、生成に必要な電力量が、許容される電力量に対して大きすぎる場合は電解処理を行うことが困難である。動作判定部が、電解処理部が処理に必要な電力量を予測判断し、電解処理部と薬剤注入部の動作の配分を決めることが出来れば、許容電力が制限される船舶においても安定して殺滅処理を継続することが可能となる。
必要な電解処理は、被処理水中の塩分濃度によって変わる。すなわち、塩分濃度が高ければ電解により多くの次亜塩素酸が得られるが、塩分濃度が低い場合は短時間に多くの電流を投入しなければ十分な次亜塩素酸が得られない。そこで、前述の電力量の予測は、塩分濃度測定部により測定された塩分濃度の値と、処理する被処理水の量に基づいて算出されるようにされていると良い。そのような算出の条件は動作判定部に組み込まれるプログラムにより実現することができる。
好ましい一例として、前記動作判定部は、前記塩分濃度測定部により測定された塩分濃度が予め設定した塩分濃度以上の場合は、前記電解処理部のみを動作させ、塩分濃度がそれ未満の場合は前記薬剤注入部のみ、または前記薬剤注入部と前記電解処理部の両方を動作させるとの判定をすると良い。
予め設定した塩分濃度としては、1PSU(実用塩分単位:practical salinity unit)以上とすると良い。1PSU以上の塩分があれば、電解によって殺滅処理に必要な次亜塩素酸が得られることが確認されたためである。ただし、船舶によっては、電力量の制限から1PSUでの電解処理が行えず、たとえば2PSU以上さらには5PSU以上の場合に電解処理が可能となるなど、電力量との関係において塩分濃度の設定を変える場合もある。また、塩分濃度が高い程、必要な次亜塩素酸を生成するために必要な装置の大きさが小さく出来る。よって、閾値を5PSU以上などと大きく設定して薬剤注入部との併用を積極的に行うようにすれば、電解処理部の大きさを小さく設計することができ、船舶に積載されるバラスト水処理装置として積載面積の点で有益である。
なお、前述のように塩分濃度の値を直接用いる代わりに、電解処理における被処理水の導電率や抵抗値、電流と電圧の値等を用いても良い。この場合は上記の塩分濃度値に相当する測定値により動作の判定を行っても良いし、塩分濃度に換算してから動作の判定を行っても良い。
同様に、前記動作判定部は、前記予測される電力量が予め設定した値未満の場合は、前記電解処理部のみを動作させ、当該電力量が予め設定した値以上の場合は前記薬剤注入部のみ、または前記薬剤注入部と前記電解処理部の両方を動作させるとの判定をすると良い。
上述の構成は、被処理水を濾過する濾過処理部の後段に用いられると効果的である。すなわち、濾過処理部によって被処理水中の濁質分や比較的大きな水生生物が除去された後の、濾過後の被処理水に対して薬液による殺滅処理を行うことで、十分な殺滅処理が可能となる。このような組み合わせによって、バラスト水処理条約に適合したバラスト水を効率的に製造することが可能となる。
具体的には、被処理水を濾過する濾過処理部と、濾過後の被処理水から次亜塩素酸を生成する電解処理部と、前記濾過後の被処理水に薬剤を注入可能な薬剤注入流路と、被処理水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定部または前記電解処理部に供給される電力量を検出する電力検出部とを備えたバラスト水処理装置とすることが好ましい。さらに上述の動作判定部や制御部を備えることが好ましい。
より具体的には、被処理水を濾過する濾過処理部と、濾過後の被処理水の一部を分岐取水して次亜塩素酸を生成する電解処理部と、生成された次亜塩素酸を前記濾過後の被処理水に注入する電解液注入流路と、前記濾過後の被処理水に薬剤を注入可能な薬剤注入流路と、被処理水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定部または前記電解処理部に供給される電力量を検出する電力検出部とを備えたバラスト水処理装置とする構成が代表的に好ましく用いられる。
本願発明はまた、被処理水の塩分濃度を測定し、測定された塩分濃度の値に応じて次の(A)から(C)のいずれか1つの動作を行うバラスト水の処理方法を提供する。
(A)前記被処理水の一部または全部に対して電解処理を施して生成された次亜塩素酸を前記被処理水に注入する。
(B)前記被処理水の一部または全部に対して電解処理を施して生成された次亜塩素酸を前記被処理水に注入すると共に、前記被処理水に薬剤を注入する。
(C)前記被処理水に薬剤を注入する。
測定された塩分濃度の値が所定の値以上の場合には前記(A)の動作を行い、それ以外の場合には前記(B)または(C)の動作を行うようにすると良い。簡単な閾値判断によって効果的な運転制御を実現することができる。
さらに、電解による次亜塩素酸の生成に要する電力量の値と、次亜塩素酸注入後の水中の塩素濃度の値とに応じて次の(A)から(C)のいずれか1つの動作を行う、ようにすれば、より効果的に運転制御を行うことができる。
このような閾値判断による動作の選択のみならず、塩分濃度値や電力量予測値に応じて、電解処理部の動作と薬剤注入部の動作の配分を複数段階、あるいは連続で調節するようにしても良い。より細かな運転調整を行うことで、さらに効率的な運転が可能となる。
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明にかかるバラスト水の処理装置の構成および処理方法を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
(バラスト水処理システム)
図1にて代表的な実施例としてのバラスト水処理装置を用いたバラスト水処理システムの全体構成例を説明する。バラスト水処理装置は大きく分けて濾過装置10と殺滅装置20から構成され、配管41から取水された被処理水に濾過処理および殺滅処理を行ってバラスト水51としてバラスト水タンク50へ供給する装置である。バラスト水処理装置は船舶に搭載され、船舶内のタンクをバラスト水タンクとする場合が代表的であるが、本願の装置構成および処理方法は地上に設置されるバラスト水処理装置においても利用可能である。このような処理システム全体をバラスト水処理システムと呼び、その処理方法をバラスト水の処理方法と呼ぶ。
以下図1の順を追って各部の機能を説明する。代表的には船舶の停泊海域における海水である被処理水は配管41を通って取水され、ポンプ40により配管42に送られる。配管42から濾過装置10に供給された被処理水は濾過装置10により濾過される。濾過後の被処理水は配管44に送られ、濾過されなかった排出水は配管43から排出される。
濾過後の被処理水は配管44から配管47へと送られ、バラスト水タンク50にバラスト水51として貯留される。配管44には殺滅装置20が設けられている。
(殺滅装置)
以下殺滅装置20の動作を説明する。
配管44から分岐した配管45により被処理水の一部が取り出され、電解処理部32へと送られる。電解処理部32では被処理水の電解処理が行われ、被処理水中から次亜塩素酸ナトリウムが生成される。生成された次亜塩素酸ナトリウムは被処理水中に次亜塩素酸として存在する。なお、図1の構成例では配管45により被処理水の一部を取り出して、残りを配管48によりバイパスしているが、図3のように被処理水の全部を電解処理部32に送る構成とすることもできる。図3においては図1に示す配管48が無く被処理水全部が電解処理部32に供される。その他の構成は図1と同じであり、各部には同じ符号を付している。この場合は、電解により被処理水の一部から生成された次亜塩素酸が被処理水中に同時に注入されることになる。
次亜塩素酸を含む被処理水は、配管46を通して再び元の被処理水に注入され、配管47を通してバラスト水タンク50へ送られる。この状態でバラスト水には次亜塩素酸が含まれ、その作用によって水中生物等の殺滅が進行する。
また、殺滅装置20は、薬剤注入部31を備える。薬剤注入部31は、別途準備される薬剤を保持し、必要時に当該薬剤を薬剤注入口37から被処理水に注入可能な装置あるいは構造部分である。代表的には薬剤貯留容器と注入用のディスペンサー、および付帯的配管等から構成される。図1では薬剤注入口37を配管45に接続しているが、被処理水に注入できる場所であれば、配管45と分岐後の配管48や、電解処理部の後の配管46、あるいは配管47に注入してもよい。
薬剤が粉または固体の場合は、薬剤注入部は薬剤タンクに粉または固体の薬剤を自動供給する装置であっても良い。また一定時間おきに手動で水および薬剤を投入しても良い。
また、殺滅装置20は、被処理水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定部33を有する。測定された塩分濃度は、表示あるいは信号として外部に出力される。
本例においては、塩分濃度測定部33は被処理水の塩分濃度を直接測定する装置構成としている。電解処理部での電解処理から被処理水の導電率(抵抗値)を求め、被処理水の塩分濃度測定に置き換える装置構成の場合もある。当該構成を図2に示す。図2において塩分濃度測定部に関する構成以外は図1と同様であり、各部分には同じ符号を付している。図2の装置においては、塩分濃度測定部33は直流電源38からの電圧や電流等に関する情報を受けて、導電率を算出したり、塩分濃度値を算出したりするように構成される。この場合、塩分濃度測定部33は直流電源38と一体構成されることにより、電解処理に要する電圧と電流値から導電率を求める構成としても良い。塩分濃度測定部33は導電率を塩分濃度に換算する機能を持たせても良いし、導電率の値を塩分濃度値に代えて外部に出力する構成でも良い。
電解処理部32の基本構成を概念図として図2に示す。図1と同じ構成要素には同じ符号を付している。電解処理部32は、配管45から流入する被処理水を受け入れる容器63と、容器内に配置された陽極61および陰極62により構成される。その他容器に必要な構造やガス放出部等の付帯構造は図示していない。
陽極61と陰極62の間に直流電流を流すことにより、陽極において塩素(Cl)が発生し、陰極に於いて水素(H)と苛性ソーダ(NaOH)が発生する。塩素と苛性ソーダが水中で反応して次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)が生じる。
直流電流印加のために、図1に示す直流電源38が用いられる。直流電源38は、電解処理に要する電力量の値(あるいは供給する電圧値と電流値)を、表示あるいは信号として外部に出力する機能を併せ持つ。かかる機能を有する部分を電力検出部と呼ぶ。あるいは上記外部に出力された信号を受信する装置(後述の動作判定部等)をも含めて電力検出部と称しても良い。なお、本例では電解処理部32と直流電源38を別体として示したが、一体の機器として電解処理部としても同様の機能を果たすことができれば良い。
さらに以下任意の追加機能部分として、動作判定部34および制御部35、残留塩素濃度測定部36を備える。動作判定部34は、塩分濃度測定部33により測定された塩分濃度の信号、あるいは電力検出部としての直流電源38からの電力量を含む信号の一方または両方を受信して、電解処理部32と薬剤注入部31の動作を決定する。動作の決定の代表的ロジックは閾値との比較判定である。たとえば塩分濃度(または電力量)が予め定めた閾値以上(電力量の場合は未満)の場合は(A)、それ以外の場合には(B)または(C)の動作を行うようにする。
(A)前記被処理水の一部または全部に対して電解処理を施して生成された次亜塩素酸を前記被処理水に注入する。
(B)前記被処理水の一部または全部に対して電解処理を施して生成された次亜塩素酸を前記被処理水に注入すると共に、前記被処理水に薬剤を注入する。
(C)前記被処理水に薬剤を注入する。
閾値を上下2段階設けて、上段閾値以上(電力量の場合は下段閾値未満)の場合は(A)、上段閾値未満(同、下段閾値以上)で下段閾値以上(同、上段閾値未満)の場合は(B)、下段閾値未満(同、上段閾値以上)の場合は(C)の動作をするようにしても良い。これらの閾値設定は任意に定めることができる。好ましくは、閾値のいずれかを1PSUの塩分濃度とすると良い。1PSU未満の被処理水では電解による次亜塩素酸ナトリウムの生成が十分に行えないからである。
制御部35は、上記動作判定部34による判定結果を信号として受信して、自動的に薬剤注入部31と電解処理部32へ制御信号を出力する部分である。制御部35を設けることで、被処理水の塩分濃度に応じて自動的に適した殺滅処理を行わせることが可能となり、装置効率を高め、ランニングコストの低いバラスト水処理を実現することができる。
残留塩素濃度測定部36は、電解処理または薬剤注入による殺菌剤を投入した被処理水に含まれる塩素濃度を測定する部分である。既知の残留オキシダント(TRO:Total Residual Oxidants)センサを用いることができる。
残留塩素濃度を測定し、その値を動作判定部34に出力する。動作判定部34では、その値が予め定めた濃度に満たない場合は、薬剤注入部あるいは電解処理部による次亜塩素酸の注入量を増加し、また、予め定めた濃度を超える場合は注入量を減少するように、薬剤注入部31および電解処理部32を制御することで、過不足の無い効率的な殺滅処理を継続的に行うことができる。また、残留塩素濃度が必要な値に達せず、電力量の制限によりそれ以上の電解処理を行うことが困難と判定される場合は薬剤注入部による薬剤注入に切り換える等の処理により、安定的に殺滅処理を継続することが可能となる。
このように、動作判定部34は、電解処理部32が電解処理に必要とする電力量を算出して動作判定に用いるように構成することができる。動作の決定の代表的ロジックは上述の塩分濃度による判定と同じであり、閾値との比較判定である。たとえば想定電力量が予め定めた閾値未満の場合は上述の(A)、それ以外の場合には(B)または(C)の動作を行うようにする。電解処理に必要な電力量の求め方は特に限定されない。電解処理に必要な電力量を、被処理水の塩分濃度、注入後の残留塩素濃度、処理する被処理水の流量等のパラメータで計算する演算式を動作判定部にプログラムとして組み込んでもよいし、それらの関係をテーブルとして記憶させて、測定値に応じてテーブルを参照するようにしても良い。
10 濾過装置
20 殺滅装置
31 薬剤注入部
32 電解処理部
33 塩分濃度測定部
34 動作判定部
35 制御部
36 残留塩素濃度測定部
37 薬剤注入口
38 直流電源
40 ポンプ
41、42、43、44、45、46、47、48 配管
50 バラスト水タンク
51 バラスト水
61 陽極
62 陰極
63 容器

Claims (5)

  1. 被処理水から次亜塩素酸を生成する電解処理部と、被処理水に水生微生物または細菌殺滅処理が可能な薬剤を注入する薬剤注入部と、前記電解処理部に供給される電力量を検出する電力検出部と、動作判定部とを備え、
    前記動作判定部は、前記電力検出部で検出された電力量と、前記次亜塩素酸が注入された処理水の残留塩素濃度とから、前記電解処理部が電解処理に要する電力量を予測する機能を備え、前記予測される電力量が予め設定した値未満の場合は、前記電解処理部のみを動作させ、当該電力量が予め設定した値以上の場合は前記薬剤注入部のみ、または前記薬剤注入部と前記電解処理部の両方を動作させるとの判定をする、バラスト水処理装置。
  2. 前記薬剤注入部は、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、ジクロルイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロルイソシアヌル酸ナトリウムからなる群から選ばれるいずれか1つまたは複数の薬剤を被処理水に注入することが可能とされている、請求項1に記載のバラスト水処理装置。
  3. 被処理水を濾過する濾過処理部を備え、前記電解処理部は濾過後の被処理水から次亜塩素酸を生成する請求項1または請求項2に記載のバラスト水処理装置。
  4. さらに被処理水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定部を備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のバラスト水処理装置。
  5. 被処理水から次亜塩素酸を生成する電解処理部と、被処理水に水生微生物または細菌殺滅処理が可能な薬剤を注入する薬剤注入部と、前記電解処理部に供給される電力量を検出する電力検出部を備えるバラスト水処理装置を用いたバラスト水の処理方法であって、
    前記電力検出部で検出された電力量と、前記次亜塩素酸が注入された処理水の残留塩素濃度とから、前記電解処理部が電解処理に要する電力量を予測し、前記予測される電力量が予め設定した値未満の場合は次の(A)の処理を、当該電力量が予め設定した値以上の場合は(B)または(C)の処理を行うバラスト水の処理方法。
    (A)前記被処理水の一部または全部に対して電解処理を施して生成された次亜塩素酸を前記被処理水に注入する。
    (B)前記被処理水の一部または全部に対して電解処理を施して生成された次亜塩素酸を前記被処理水に注入すると共に、前記被処理水に水生微生物や細菌等の殺滅処理が可能な薬剤を注入する。
    (C)前記被処理水に水生微生物や細菌等の殺滅処理が可能な薬剤を注入する。
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