JP6085600B2 - 注射器及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、注射器及びその製造方法に関するものである。
特許文献1からは、注射針(インジェクション針)を保持し、また、その内部に注射液を含むカプセルが配設されているホルダが、ハウジングに対して相対的に動かされる注射器が知られている。ホルダを引き戻すことにより、注射針は注射プロセスの前にハウジング内に隠される。これは利用者の針に対する不安を和らげる。
注射器を製造するために、注射液を含むカプセルのためのホルダを、容器から注射液を押し出すために利用されるプランジャ(押し子)が、第一の注射の前にカプセルの栓に当接するように駆動装置に配設することが特許文献1から知られている。ホルダを固定するために、特許文献1では微小戻り止め部が設けられている。
カプセル内のストッパーの場所(位置、状態)は、製品依存で、比較的高い公差の影響下にある。従って、ストッパーの状態に応じて、ハウジング内の注射針の異なる場所がもたらされる。容器がハウジングに対して戻る経路が、構造上予め設定されているので、注射針の場所に依存して、挿入深度(刺入深度)が変化する。挿入深度を調節するため引用文献1からは、それを用いて利用者が挿入深度を手動で変更可能なスリーブが知られている。
特定の利用のためには、厳密に定義された挿入深度で注射を実行することが有利である。そしてこれは特に、非常に短い注射針を用いて注射を行う場合に合目的である。注射針が非常に短い場合、一方では十分な挿入深度が達成され、それにより注射液が確実に注入されることが保障されなければならない。他方では、針保持部がハウジングから出すぎないことが保証されなければならない。
EP0762904B1
本発明は、所望の挿入深度を保障することが出来る注射器の製造方法を準備する、という課題に基づいている。本発明の別の課題は、定義された挿入深度を有する注射器を準備すること、である。
この課題は、方法に関しては、請求項1の特徴を有する方法によって解決される。注射器に関しては、前記課題は請求項7の特徴を有する注射器によって解決される。
注射器は複数の部分からなるハウジングを有しており、このハウジングは少なくとも第一及び第二ハウジング部分を含んでいる。この両ハウジング部分は注射器の製造時に互いに位置決めされる。その際、位置決めは、収容部がその近位側の端部位置において接触部に対して予め設定された場所を占有するように、行なわれる。その後第一ハウジング部分は、この位置において、第二ハウジング部分に対して分離不能に固定される。特に、第一ハウジング部分は、第二ハウジング部分に直接固定されている。しかしながら第一ハウジング部分は、第二ハウジング部分に固定して接続された部材に、固定されてもよい。分解不能な固定とは、注射器を損なうことなく利用者によって分解され得ないような固定として理解される。それにより、両ハウジング部分の互いの位置決めによる製造の際に一度調節された挿入深度は、利用者によって変更され得ない。両ハウジング部分の互いの位置決めに基いて、注射器の個々のパーツの間の製造公差を解消することが可能であり、そして、挿入深度を両ハウジング部分の互いの位置決めの精度の枠内で確定出来る。
本発明は、注ぎ足しが可能ではない注射器に用いること、を想定している。この種の注射器は、注射液を含む容器、即ちいわゆるカプセル又はカートリッジを有している。注射器は複数回の注射に十分である。最後の注射の後、注射器は廃棄される。
注射液を押し出すために、容器内には移動可能な栓が配置されている。駆動装置は有利には栓に作用するプランジャを有している。プランジャを介し、注射液を容器から外へ押し出すことが出来る。既に初めの注射の際に、規定量の注射液を注射するために、容器がプランジャに対して、プランジャに対する栓の定義された位置がもたらされるように位置決めされること、及び、容器がこの位置で固定されること、が企図される。それにより、プランジャが栓に当接することを確実にするために、使用者が、まずはじめに、少量の注射液を排出しなければならないということを避けることが出来る。プランジャが栓に当接するように容器を位置決め出来、それはプランジャと栓の間の定義された間隔が調節される場合、有利でもある。この定義された間隔は、初めの注射のため計量ストロークにおいて構造的に考慮されなければならない。
有利には、プランジャに対する容器の位置決めは、第二ハウジング部に対する第一ハウジング部の位置決めの前に行なわれる。従って、第二ハウジング部への第一ハウジング部の位置決めを介して、ストッパーの位置の公差を解消出来る。それにより、一方では非常に精確な挿入深度を達成することができ、他方では注射液を含む容器にして、栓の位置がより僅かな正確性で規定されている容器の使用が可能である。これにより製造は簡素化される。
注射器は有利には連結要素を有しており、これはプランジャと協働する。プランジャに対する位置決めの後、容器は、有利には、連結要素に固定される。それにより、単純な方法でプランジャに対する容器の位置決めを行うことが出来る。特に容器は収容部を保持するホルダ内に配置され、また、ホルダはその内部に配置された容器と共に連結要素に固定される。それゆえ、ホルダ及び連結要素を介して、駆動装置に対して収容部が位置決めされる。
第一ハウジング部が第二ハウジング部に接着される場合、簡潔な製造がもたらされる。有利には、光線より、特にはUV光線(紫外線)により硬化する接着剤が使用される。しかしながら、第一ハウジング部が第二ハウジング部にプレスされることも企図され得る。特に有利には、プレスはホットプレスによって行なわれる。第一にハウジング部が第二ハウジング部に溶接されることも企図され得る。溶接は有利には、レーザー溶接又は超音波溶着によって行なわれる。
規定の挿入深度を保障する注射器は、第一第二ハウジング部及び第二ハウジング部を含むハウジングを有しており、その際、第一ハウジング部は第二ハウジング部に対して分離不能に固定されている。第一ハウジング部は、特には第二ハウジング部に直接固定されている。複数部分からなるハウジングの形成は、ハウジング部の互いの精確な位置決めを可能にするので、挿入深度を精確に調整することが出来る。両ハウジング部が互いに固定して接続されていることにより、利用者によるのちの挿入深度の変更は排除されている。
最初の注射において既に予め調節された量の注射液が注射されることを確実にするために、プランジャが容器の可動性の栓に当接していることが企図される。しかしながら、プランジャが栓に対して最初の注射の前に間隔を有していること、及び、プランジャが最初の注射の際に調節された量の注射液を押し出すために必要な経路(ストローク)よりもプランジャとストッパーの間の間隔分だけ長い経路を戻るように、駆動装置が形成されていることも企図される。これは、最初の注射のための調整経路(調整範囲)を適切に拡大することによって、もたらされる。
有利には容器は、プランジャと協動する連結要素に接続されている。連結要素は、プランジャを作動状態に応じて容器に対して固定する、又は、プランジャを容器に対して開放する。その際、異なる作動状態とは、注射器の張力調整(テンション調整)の第一フェーズ、注射器の張力調整の第二フェーズ、針刺し、並びに、注入液の注入、であり、第一フェーズでは注射針がハウジング内へ引き戻され、第二フェーズでは駆動装置がプランジャに対して、注入される液量に対応する経路分だけ調節される。
容器は有利には、注射針のための収容部を有するホルダを保持している。それにより容器は、それ自体で容易に組み立てられていることが出来る。有利にはホルダは透明な材料から構成されている。それにより使用者は、適切なハウジング構成では、ホルダを通して、どれだけの量の注射液がまだ容器内に現存しているかを認識出来る。ホルダは、ホルダの透明な構成に基づき、光線によって、特にはUV光線によって硬化された接着接続を介して、連結要素と接続されている。それにより、簡潔な方法で、ホルダと連結要素の、固定されて分解不能な接続を達成することが出来る。ホルダ及び連結要素は特に合成物質から構成されている。
注射器が、注射工程において、ハウジングに対する容器の動きと同様、容器に対するプランジャの動きをも引き起こすテンションスプリングを有していることが企図される。それにより、テンションスプリングを用いて注射針の針刺しと同様に注入液の注入をも、もたらすことが出来る。それにより、注射器の簡潔な構造がもたらされる。有利には、駆動装置は連結装置を介して容器及びプランジャと接続されている。連結装置はその際、駆動装置、容器、及び、プランジャの位置に依存して、ハウジングに対して制御されている。それに従って、連結装置の経路に依存した制御が企図されている。連結装置は特に、カム制御されたジャック連結部として実施されていてもよい。連結装置は有利には、容器とプランジャの間の第一接続部、及び、プランジャと駆動装置の間の第二接続部を制御する。両接続部を適切にコントロールすることによって、連結装置は、容器も駆動装置の接続することが出来る。
本発明の実施例は以下において図面を用いて詳細に説明される。
注射器の側面図を示す。 静止状態にある注射器の概略的な断面図を示す。 針を引き戻した後の図2に対応する断面図を示す。 テンションスプリングを完全にセットした(テンションを掛けた)後の図2に対応する断面図を示す。 注射針部を刺入した後の図2に対応する断面図を示す。 注射液を注入した後の図2に対応する断面図を示す。 容器を引き戻した後の、注射針部を備えていない図1の注射器の断面図を示す。 図7の注射器の収容部領域とそこに取り付けられた注射針部の部分断面図を示す。 図1のラインIX−IXに沿った断面図を示す。 ホルダを取り付ける前の図1の注射器を示す。 図10のラインXI−XIに沿った断面図を示す。 ホルダ取り付け後の図10の注射器の側面図を示す。 図12のラインXIII−XIIIに沿った断面図を示す。 第一ハウジング部の取り付け後の図10の注射器の側面図を示す。 図14のラインXV−XVに沿った断面図を示す。 注射器の実施例の長手断面図を示す。
図1は注射器1を示す。注射器1は、大き目の万年筆やボールペンのような形状を有しており、注射液を注入するために用いられる。図1に示される注射器1は再充填不能である。注射器1を用いることで、予め設定された回数の注射を実行することが出来る。一回の注射ごとに注射される液量は、その際、設計的に予め設定されている。しかしながら、例えば特許文献1からは、注射される液量が使用者によって調整可能であるような注射器も知られている。本発明もまた、注射される液量が調整可能であるような注射器を想定している。
注射器1は、2つの部分から形成されているハウジング2を有している。ハウジング2は、近位部の第一ハウジング部3及び遠位部の第二ハウジング部4を有している。「近位」とはこの場合、注射の際に針を刺す位置に向かい合って位置する側を意味し、「遠位」とは針を刺す位置から離れて位置する側を意味する。図1に示される、注射器1の待機姿勢では、注射針部7が第一ハウジング部3から突出している。第一ハウジング部3は複数ののぞき窓9を有しており、これらは非透過性の合成物質から形成された第一ハウジング部3に開口部として形成されている。のぞき穴9を通して、注射液を含む容器を視認できる。
注射器1は、その遠位側における操作のためにテンション要素6並びに動作要素5を有しており、テンション要素6は使用者によって注射器1にテンションをかけるためにハウジング2から引き出され、また、作動要素5は操作ボタンとして形成されており第二ハウジング部4に配されている。注射を作動するためには、使用者は、テンションを掛けられた注射器1を皮膚の上にのせ、作動要素5を操作する。
注射器1の機能は、図2から6の概略図を用いて説明される。図示されている構造的な形態は、簡潔な説明のためにのみ利用される。図2は待機状態の注射器1を示している。注射針部7は注射針保持器23を有しており、この注射針保持器23には注射針22が固定されている。注射針22はハウジングから、挿入深度に対応する長さaだけ突出している。注射プロセスにおいては、ハウジング2は、接触部35を形成するその近位端側を、肌の上にのせられる。
ハウジング2には、第一ハウジング部3の範囲に容器10が配されている。容器10は、有利にはカプセルとして形成されており、また、その遠位端部に栓26を有しており、この栓26は、容器10の近位端部に配された注射針22による注射液の押し出しのために、近位方向に移動される。栓26は、その遠位端部に端部側56を有しており、この端部側56にはプランジャ17が端部側27で当接する。プランジャ17は栓26を移動させるために利用される。プランジャ17は更に、駆動装置の一部であり、この駆動装置は容器10をハウジング2内で注射器1の長手軸30の方向でずらす。これに合わせて、プランジャ17は、ラック(歯軌条)として形成されており、また、少なくとも二つの実施例においては互いに向かい合って配されている側面に、歯を有している。プランジャの一方の歯列には、ホルダ11に支持されている掛け爪部16が係合している。ホルダ11内には容器10が配されている。掛け爪部16は、ホルダ11をプランジャ17に接続するための連結要素39を形成する。概略図において、歯列16に対向する側に配されているもう一方の歯列には、駆動要素19で支持されている掛け爪部20が係合している。プランジャ20の歯18は、鋸歯状に形成されており、近位エッジは緩やかな勾配で、そして遠位エッジは急な勾配、特には長手軸30に対して略垂直に、延びている。歯18の近位エッジ68及び遠位エッジ69の異なる形状に基いて、ホルダ11及び駆動要素19はプランジャ17に対して遠位方向にのみずらさられ得る。反対方向において、移動は歯18の形状に基づいて妨げられる。
駆動要素19はテンションスプリング21を介してハウジング2に対してばねにより付勢されて支持されている。テンションスプリング21は駆動要素19の肩部33に突っ張って自身を支持している。駆動要素19には、ハウジング2の空所29内へ嵌り込むことが出来るロック要素60が配されている。駆動要素19は、テンションスプリング19、掛け爪部16、20、及びプランジャ17と共に、駆動装置を形成し、この駆動装置は、ハウジング2に対して容器10を、そしてまた、容器10に対してプランジャ17を、移動させる。
注射器1にテンションを掛けるために、利用者はテンション要素6を、矢印31の方向へ、遠位方向へ、つまり図2の上方へ引く。全テンション経路bは、ロック要素60が引き戻され、空所29内へ嵌り込むまでの経路である。テンション要素6が図2に示される停止位置から引き戻される場合、先ずはじめに、ハウジング2内の駆動要素19、プランジャ17、ホルダ11及び容器10からなるユニット全体が変位される。その再、テンションスプリング21はテンションを掛けられる。矢印31の方向にテンション要素6を引き戻す際、掛け爪部20はブロック輪郭部24に隣接して配されており、このブロック輪郭部24は掛け爪部20がプランジャ17から外部へ移動し、掛け爪部20とプランジャ17の間の係合が開放される得ることを防ぐ。掛け爪部20を介して、駆動要素19及びプランジャ17は、この位置にて、互いに固定接続されている。プランジャ17に対する遠位方向への掛け爪部16の移動は、歯18の幾何形状に基づいて防がれる。図2に示される位置から、図3に示される位置へテンション要素6を引き戻す際、掛け爪部16はブロック輪郭部28の範囲に到り(図3参照)、このブロック輪郭部28は掛け爪部16の側方への動き、またそれに伴う掛け爪部16とプランジャ17の間のかみ合いの開放を、ブロックする。ブロック輪郭部24及び28に基いて、駆動要素19、プランジャ17及びホルダ11は互いに固定的に接続される。
図2及び図3が示しているように、ホルダ11は外側へ突出した突起部12を有しており、この突起部12はハウジング2の空所13に配されている。図2で示される状態では、突起部12は、近位側の第一のストッパー14に接して配されている。テンション要素6を引き戻す際、突起部12は遠位側の第二のストッパー15まで移動する。その際、容器10を有するホルダ11、プランジャ17及び駆動要素19は、調整経路cだけ戻る。その際、この調整経路cは、針22がハウジング2内へ引かれる分の経路に対応する。図3は、針22がハウジング2内へ引き戻された後の注射器1を示す。テンション要素6を図3に示される位置から、図2の矢印31の方向へ、更に引き戻す場合、ホルダ11の更なる動きは、ストッパー15に当接する突起部12によってブロックされる。掛け爪部16を介して、プランジャ17はホルダ11に固定接続されているので、プランジャ17も更に遠位方向へ動かされ得ない。掛け爪部20は、図3に示される状態では、ハウジング2の空所25の範囲に配されており、そのため半径方向外側へ滑動出来る、そして、テンション要素6を更に引き戻す場合、プランジャ17に対して、歯18の1つ分、遠位方向へ移動出来る。その際、テンションスプリング21は、駆動要素19が図4に示される位置に達するまで、更にテンションが掛けられる。駆動要素19が歯19の1つ分プランジャ17に対して移動したと同時に、ロック要素60がハウジング2の空所29に嵌り込むので、テンション要素6の遠位側への更なる移動はそれ以上不可能である。
図4は完全にテンションを掛けられた状態の注射器1を示している。この状態で、使用者は注射器1を接触部35を用いて肌の上にのせ、そしてロック要素60を矢印32の方向へ操作する。これは、有利には図2から6では非図示の動作要素5を介して行なわれる。それにより、ロック要素60と空所29の間の係合は開放される。テンションスプリング21に蓄えられたエネルギーに基いて、駆動要素19は図5に示される矢印36の方向へ動かされる。その際、駆動要素19は掛け爪部20を介してプランジャ17を同行させる。掛け爪部20は、空所25からブロック輪郭部24まで移動した、そして、半径方向に回避することは出来ない。掛け爪部16はブロック輪郭部28の範囲に配されており同様に回避することは出来ないので、ホルダ11及び容器10並びに注射針部7も同様に、近位方向へ動かされる。駆動要素19及びホルダ11の、遠位方向へのプランジャ17に対する相対移動も、歯18の遠位側の側面69の形状に基いて不可能である。
ホルダ11の移動の際、針22は近位側の端部にてハウジング2から出て、使用者の肌へ刺入する。ハウジング2に対するホルダ11のこの移動の際、空所13内の突起部12は、遠位側のストッパー15から近位側のストッパー14まで、調整経路cの分だけ移動する。この位置は図5に示されている。テンションスプリング21に蓄えられた力に基いて、駆動要素19は更に近位方向に移動される。掛け爪部16は、刺入工程(針刺し工程)の後には空所13の範囲に配されており、また、プランジャ17に対して外側に移動出来、また、次の歯18に係合出来る。ホルダ11はストッパー14での突起部12の構成に基いて更に移動することは出来ない。駆動要素19は、その図5に図示される位置から図6に図示される位置への近位側への移動の際に、プランジャ17を同行させる、なお、このプランジャ17は、容器10に対して相対的に移動し、また容器内の栓26をずらし、それにより注射液を針22を通って押し出す。その際、プランジャ17は投与経路dの分だけ戻る、なお、この投与経路は二つの互いに連続する歯18の遠位側の端部側の間隔に対応する。投与経路d及び調整経路cは、合わせて図2に図示されるテンション経路bに対応する。注入される液体の液量が調整可能である注射器の場合、投与経路dは利用者によって調整可能である。
図7は注射器1の構造的な構成を図示している。図7は部分的にテンションを掛けられた状態の注射器を図示しており、この状態では容器10はその遠位側の端部位置に配されており、駆動要素19はしかしながらまだプランジャ17に対して遠位方向にずらされていない。これは図3に図示される位置に対応する。テンション要素6は、第二ハウジング部4に固定接続されているガイドスリーブ43に接して案内されている。第二ハウジング部4には更に、スリーブ40が固定接続されている。スリーブ40及び第二ハウジング部4は一体的に形成されていてもよい。二つの部分からなる形成に基いて、製造は単純化される。スリーブ40は、半径方向外側に突出する縁41を用いて、ハウジング部4の節部42に当接している。テンション要素6は、接続部44にて、駆動要素19と固定接続されている。ここでも、両要素を一体的に形成することが企図出来る。駆動要素19の内部にはプランジャ17が案内されている。駆動要素19には掛け爪部20が形成されている。駆動要素19は合成物質からなり、そして、掛け爪部20は駆動要素19に一体的に形成され、また、長手軸30の方向でオーバーハングした(張り出した)アーム部として形成されている。材料の固有の弾性に基いて掛け爪部20は弾性を有して形成されている。
掛け爪部20の向かい側には、掛け爪部16が配されており、これは連結要素39の円筒状の部分59と一体的に形成されている。連結部39もまた合成物質から構成されており、掛け爪部16は、材料の固有の弾性に基いて弾性を有したアーム部に形成されている。
スリーブ40は、その近位側端部に係合指部46を有しており、そこに連結要素39が係合されている。連結要素39はその際、近位側方向でスリーブ40に対して移動可能である。連結要素39はホルダ11に固定的に接続されている。プランジャ17は栓26に当接している。図7に示すように、ホルダ11はその近位側端部に注射針部7のための収容部8を有しており、この収容部8は雄ネジとして形成されており、この雄ネジに針ホルダ23を備えた注射針部7を螺合することが出来る。収容部8の近位側の端部側37は、図7に示される、ホルダ11の引き戻された位置において、接触部35に対して間隔eを有している。
図8は、収容部8に注射針部7が配設された図7の装置を図示する。注射針部7はその近位側末端に先端部55を有しており、この先端部55は第一ハウジング部3の内部に配されている。先端部55は従って、接触部35を超えて突出してはいない。先端部55は接触部35に対して間隔oを有している。間隔oは非常に短いものであっても良い。図8にも図示するように、針22は容器10の膜部38を貫通して容器10の内部空間へ突き出ている。
図9は静止状態の注射器1を図示している。この状態では、容器10はその近位側の末端位置に配されており、注射針部7の針22は接触部35を超えて突出している。注射後にして注射針部7が外される前に、及び、注射器1にテンションを掛ける前にして新しい注射針部7を取り付けた後に、注射器1はこの静止状態にある。この静止状態では、針22は接触部35を超えて突出している。針22の先端部55は、接触部35に対して間隔aを有している。針保持部23は完全にハウジング部3の内部に配されており、また、接触部35に対して間隔mを有している。それにより、針保持部23が使用者との接触し得ることが避けられる。
図9から図15は、注射器1の製造の際の経過を図示している。その際、駆動装置の組み立ては、個別に図示されてはいない。この駆動装置は既に組み立てられ第二ハウジング部4に配設されている。その際、スリーブ40は第二ハウジング部4の近位側の端部側34を超えて突出している。スリーブ40の近位側の末端部には、係合指部46が配されており、この係合指部には、連結要素39の円筒形状の部分59が噛み合わされている。円筒形状の部分59はストッパー45を有している。連結要素39は、連結要素39のストッパー45と近位側の末端部52の間に、縁47を有しており、この縁47は長手軸30に対して平行に伸びる長手ブリッジ48を有している。長手ブリッジ48は盛り上がり部として形成されているので、長手ブリッジ48の間には、接着剤の収容部として利用され得るポケットが形成されている。
組み立ての際には、先ず、容器10がホルダ11内に配設される。引き続き、ホルダ11が矢印53の方向で縁47上へ押しずらされる。ホルダ11が連結要素39に接着されるべきである場合、ホルダ11を押しずらす前に、縁47には接着剤が配される。容器10は縁47の内部に突入し、また、ホルダ11は縁47を掴持する。図11に示すように、ホルダ11と容器10の間には環状空間49が形成されており、これは長手方向30で肩部51によってホルダ11にて限定される。肩部51及びストッパー45は最大の挿入深さを限定する。栓26の端部側56がプランジャ17の端部側27に当接するまで、ホルダ11は縁47上へ押しずらされる。容器10内の栓26の位置は、比較的大きな公差がある。栓26の位置は例えばそれぞれの容器に応じておおよそ1ミリメートルだけ揺らぎ得る。端部側56は、収容部8の端部側37に対して、間隔nを有しており、これは栓26の位置に対応的に変化する。図11に示すように、ホルダ11はその近位側の端部にて雄ネジ50を有しており、これは収容部8を形成している。雄ネジ50は、針ホルダ23(図9)がホルダ11の端部側37まで螺合され得るように、形成されている。それにより、注射針部7の先端部55の位置は、ホルダ11に対して定義される。
ホルダ11が連結要素39へ押しずらされた後、ホルダ11及び連結要素39は固定して分離不能に互いに接続される。これは例えば、接着により行われる。ホルダ11は有利には透明であり、また貼り付けは、光線下特にUV光線下で、硬化する接着剤を用いて行われる。プレスによる、特にはホットプレスによる分離不能な接続、または、溶接による、特にはレーザー溶接あるいは超音波溶接による、分離不能な接続も、企図され得る。図12及び13は、位置決め及び連結要素39への固定の後の、ホルダ11の位置を示している。ストッパー45はホルダ11に対して間隔fを有している。連結要素39は挿入深さg分だけ環状空間49内に突入している。連結要素39はその際、肩部51に対して間隔hを有している。環状空間49の寸法及びストッパ45の位置は、以下のように選ばれている、つまり、生じる全ての公差において、ホルダ11及びストッパ45の間には間隔fが、また同様に、連結要素39と肩部51の間に間隔hが形成されているように、選ばれている。ホルダ11の近位側の端部37は、ハウジング部4の近位側の端部34に対する間隔iを有しており、これは栓26の位置に依存している。
ホルダ11の固定後、第二ハウジング部4は第一ハウジング部3に位置決めされ、ここで固定される。これは、図14及び図15に図示されている。第一ハウジング部3は矢印54の方向で近位側から第二ハウジング部4内へ押し入れられる。第二ハウジング部4はその際第一ハウジング部を掴持する。第一ハウジング部3の第二ハウジング部4への位置決めは、ホルダ11の端部側37と接触部35の間に定義された間隔lがもたらされるように、行われる。図15に示されるホルダ11及び容器10の近位側の位置のこの間隔は、収容部8に配される注射針部7のために所望の挿入深度がもたらされるように、選ばれている。針ホルダ23は、この位置において有利には第一ハウジング部の内部に配されている。第一ハウジング部の位置決めは、接触部35と第二ハウジング部の近位側端部34の間の間隔kを変更することで行われる。所望の間隔lが調整されるとすぐに、第一ハウジング部3は、第二ハウジング部4に分離不能に固定される。この固定は、有利には、接着、プレス、特にホットプレス、又は、溶接、特にレーザー溶接又は超音波溶接、によって行われる。
図16に示される注射器61の実施例では、プランジャ17の端部側27は栓26の端部側56には当接しておらず、これに対して定義された間隔pを有している。連結要素39へのホルダ11の押しずらしは、この実施例では、プランジャ17が栓26に当接するまでではなく、定義された間隔pに達するまで行われる。最初の注射の際にプランジャ17が所望の投与経路dの分だけ動かされることを確実にするために、それを渡って掛け爪部20が滑動する第一の歯57は、高さqを有しており、この高さqは投与経路dよりも大きく、そのうちでも特に投与経路dよりも間隔pの分だけ大きい。それにより、プランジャ17は初めの注射プロセスの際に、間隔pの分だけ栓26まで、及び、追加的に投与経路dの分だけ、調節される。対応的に、それを渡って掛け爪部20が滑動する第一の歯58は、拡大されて実施されているので、プランジャ17は初めの注射プロセスの後、栓26に当接する。
1 注射器
2 ハウジング
3 第一ハウジング部
4 第二ハウジング部
7 注射針部
8 収容部
10 容器
11 ホルダ
17 プランジャ
26 栓
35 接触部
39 連結要素
61 注射器
p 間隔


Claims (16)

  1. 注射器を製造するための方法にして、注射器(1、61)が第一ハウジング部(3)及び第二ハウジング部(4)を含むハウジング(2)を有しており、注射器(1、61)が注射針部(7)のための収容部(8)を有しており、収容部(8)が遠位側の端部位置及び近位側の端部位置の間で第二ハウジング部(4)に対して収容部(8)を移動させるために利用される駆動装置に接続されており、第一ハウジング部(3)が注射の作動前に肌に当てられる接触部(35)を有している注射器を製造するための方法において、
    第一ハウジング部(3)が第二ハウジング部(4)に、収容部(8)がその近位側の端部位置において接触部(35)に対して予め設定された場所を占有するように位置決めされ、第一ハウジング部(3)がこの位置において第二ハウジング部(4)に対し分離不能に固定されることを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、
    注射器(1、61)が注射液を含む容器(10)を有しており、その中には可動性の栓(26)が配されていること、駆動装置が栓(26)に作用するプランジャ(17)を有していること、プランジャ(17)に対する栓(26)の定義された場所がもたられるように、容器(10)がプランジャ(17)に対して位置決めされること、及び、容器(10)がこの位置で固定されることを特徴とする方法。
  3. 請求項2に記載の方法において
    プランジャ(17)に対する容器(10)の位置決めが、第二ハウジング部(4)に対する第一ハウジング部(3)の位置決めの前に、行われることを特徴とする方法。
  4. 請求項2又は3に記載の方法において
    注射器(1、61)が、プランジャ(17)と協働する連結装置(39)を有しており、その際、容器(10)が、プランジャ(17)に対する位置決めの後で、連結要素(39)に対して固定されることを特徴とする方法。
  5. 請求項4に記載の方法において
    容器(10)が収容部(8)を支持するホルダ(11)内に配設されること、及び、ホルダ(11)がそこに配設される容器(10)と共に連結要素(39)に固定されることを特徴とする方法。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の方法において
    第一ハウジング部(3)が第二ハウジング部(4)に、接着、プレス、又は、溶接されることを特徴とする方法。
  7. 第一ハウジング部(3)及び第二ハウジング部(4)を含むハウジング(2)を有する注射器にして、注射器(1、61)が注射針部(7)のための収容部(8)を有しており、その際、収容部(8)が、遠位側の端部位置と近位側の端部位置の間で収容部(8)を第二ハウジング部(4)に対して移動させるために利用される駆動装置に接続されており、第一ハウジング部(3)が注射を作動する前に肌に当てるための接触部(35)を有する、注射器において、
    第一ハウジング部(3)が第二ハウジング部(4)に対して分離不能に固定されていること、及び
    注射を作動する前には収容部(8)がその近位側の端部位置において接触部(35)に対して予め設定された場所を占有していること、
    を特徴とする注射器。
  8. 請求項7に記載の注射器において、
    第一ハウジング部(3)及び第二ハウジング部(4)が、互いに接着、プレス、又は、溶接されていることを特徴とする注射器。
  9. 請求項7又は8に記載の注射器において、
    注射器(1、61)が注射液を含む容器(10)を有しており、その中に可動性の栓(26)が配されていること、及び、駆動装置がプランジャ(17)を有しており、このプランジャ(17)が栓(26)に作用することを特徴とする注射器。
  10. 請求項9に記載の注射器において、
    プランジャ(17)が第一の注射の前に栓(26)に当接していることを特徴とする注射器。
  11. 請求項10に記載の注射器において、
    プランジャ(17)が第一の注射の前に栓(26)に対して間隔(p)を有しており、その際、駆動装置は、プランジャ(17)が第一の注射の際にプランジャ(17)と栓(16)の間の間隔(p)の分だけ調整された量の注射液を押し出すために必要な経路よりも大きな経路を戻るように、形成されていることを特徴とする注射器。
  12. 請求項9から11のいずれか一項に記載の注射器において、
    容器(10)が連結要素(39)と接続されており、この接続要素(39)が、プランジャ(17)と協働し、また、プランジャ(17)を作動状態に応じて、容器(10)に対して固定するか、容器(10)に対して開放することを特徴とする注射器。
  13. 請求項12に記載の注射器において、
    容器(10)が、注射針部(7)の収容部(8)を有するホルダ(11)内に配設されていることを特徴とする注射器。
  14. 請求項13に記載の注射器において、
    ホルダ(11)が、透明な材料から構成されており、光線により硬化する接着接続部を介して連結要素(39)と接続されていることを特徴とする注射器。
  15. 請求項9から14のいずれか一項に記載の注射器において、
    注射器(1、61)がテンションスプリング(21)を有しており、このテンションスプリング(21)が、注射プロセスにおいて、ハウジング(2)に対する容器(10)の移動と同様に、容器(10)に対するプランジャ(17)の移動をも生じさせることを特徴とする注射器。
  16. 請求項9から15のいずれか一項に記載の注射器において、
    駆動装置が連結装置を介して容器(10)及びプランジャ(17)に接続されており、その際、連結装置が、駆動装置、容器(10)及びプランジャ(17)の位置に依存して、ハウジングに対して制御されていることを特徴とする注射器。
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