JP6083595B2 - タンパク質とリン酸化ペプチドのペプチド主鎖のN−Cα結合又はCα−C結合の特異的切断方法 - Google Patents

タンパク質とリン酸化ペプチドのペプチド主鎖のN−Cα結合又はCα−C結合の特異的切断方法 Download PDF

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Description

本発明は、タンパク質とリン酸化ペプチドのペプチド主鎖のN-Cα結合又はCα-C結合の特異的切断方法、より詳細には、ナフトール系化合物とレーザー光を利用したタンパク質とリン酸化ペプチド主鎖のN-Cα結合又はCα-C結合の特異的切断方法に関する。
タンパク質やポリペプチドなどのペプチド主鎖はアミノ酸残基R (-NH-CαH-CO-)を単位とし,α位の炭素 -Cα- にアミノ酸側鎖が結合したポリマーである。アミノ酸のナンバリングはアミノ (N)-末端側から始まり,カルボキシ (C)-末端を最終とする。一文字表記法でn個のアミノ酸残基から成るペプチドまたはタンパク質を表すと,NH2-R1-R2-R3-----Rn-1-Rn-COOH のように書くことができる。タンパク質を同定する際に最も役に立つ情報はこのアミノ酸配列であり,N-末端側でもC-末端側でも,あるいは内部配列でもその部分配列の10残基程度の情報があれば,データベースを使って簡単に同定することができる。各種アミノ酸配列解析法が開発されているが,質量分析法 (mass spectrometry, MS) もその一つに数えられている。質量分析法では、試料をイオン化し、このイオンを真空中で質量/電荷数比(m/z)に従って分離し、各イオンの相対強度を測定する。イオン化の方法としては、電子イオン化法(EI, electron ionization)、化学イオン化法(CI, chemical ionization)、電界脱離法(FD, field desorption)、高速原子衝突法(FAB, fast atom bombardment)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI, matrix associated laser desorption ionization)、エレクトロスプレーイオン化法(ESI, electrospray ionization)など様々な手法が開発されている。イオン化された試料を分離する分析部では、磁場偏向型、四重極型、イオントラップ型、飛行時間型(TOF, time-of-flight)、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型などの質量分析計が用いられる。MALDI-TOFの組合せは、高分子量まで適用できるイオン源と高分子量まで適用できる分析計の組合せであるため、ポリマーやタンパク質などの高分子の分析によく用いられている。
マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF MS)を使うタンパク質の直接シーケンシングを最初に報告したのは,R.S.BrownとJ.J.Lennonである(非特許文献1)。その後,種々のタンパク質の直接シーケンシングに応用されたが(非特許文献2〜6),なぜレーザー照射によってタンパク質のアミノ酸配列解析を可能にするような特異的な開裂反応が起こるのか,その機構はまったく理解されていなかった。本発明者らもBrown等の最初の報告とは独立にこの現象に遭遇し,この現象がイオン化とは独立に起こることを示した(非特許文献7)。すなわち,N-Cα結合の開裂は,MALDI条件下でペプチドやタンパク質がプロトンを受け取り生成したプロトン化分子 [M+H]+ が開裂するのではなく,レーザー光照射によってマトリックスから水素ラジカルが発生し、中性試料分子 M に結合することにより開裂が起こる。開裂はイオン化室 (ion source) の内部で起こるため,この現象を in-source decay (ISD) と呼ぶ。
MALDIにおけるイオン化は,マトリックスと試料を混合し形成した結晶系にレーザー光を照射したとき,大過剰のマトリックスが光子を吸収し爆発的に気化する際のイオン分子反応によって起こる。マトリックスは,プロトンの供給源であるとともにプロトン受容体にもなるイオン化試薬である。ペプチドやタンパク質のN-Cα結合を特異的に開裂させるマトリックスには2,5-dihydroxybenzoic acid(2,5-DHB)が適していることが報告されていた(非特許文献8)。同時に、N-Cα結合の開裂は、マトリックスから発生する水素ラジカルがペプチドやタンパク質のラジカル種を生成させる原理が報告された(非特許文献9)。その後、島津製作所の田中耕一氏のグループより優れた試薬1,5-diaminonaphthalene (1,5-DAN) が発表され(非特許文献10)、海外グループによって確認された (非特許文献11)。しかし、2,5-DHBは過度に分解を促すホットな性質を持ち、1,5-DANは昇華性と発がん性があるとして、別のさらにすぐれたマトリックスが要望されていた。
5-アミノサリチル酸(5-ASA, 5-amino salicylic acid)は、発がん性などの著しい毒性がなく、准安定ピークも多価イオンのピークも与えず、さらに、アミノ酸配列解析にとって重要なピークのシャープネスを確保するイオン化試薬である(非特許文献12、特許文献1)。しかし、この試薬を用いた場合、最適な結晶の作製が必要で、レーザー光照射位置の選択にも熟練が必要であった。
ところで、タンパク質,特にリン酸化タンパク質のリン酸化位置を微量で迅速,かつ精密に決定することは困難とされている。特にリン酸化位置の決定には,多量のリン酸化タンパク質が必要であることと同時に、複数の消化酵素を組み合わせてペプチド断片を作成し、その質量を比較しながら決定する必要がある。また、質量分析による衝突誘起解離(CID)法を使ってリン酸化ペプチドのアミノ酸配列解析を行う場合、リン酸基の脱離が優先し、リン酸化位置を決定するのは困難である。
さらに、タンパク質のアミノ酸配列情報を数十残基単位で誰でも容易に決定できる迅速な方法はない。
上記の状況に対して、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)と組み合わせてペプチド主鎖のN-Cα結合のみを特異的に切断し、その際、リン酸基の脱離を伴わないソフトな切断手法を提供することが求められる。従来報告されていた技術では,リン酸化ペプチドのアミノ酸配列解析に使用可能な試薬(非特許文献8、10、11及び12)は,高度の技術と豊富な経験を要した。従って、より取扱いが容易な試薬が求められている。
R. R. Brown, and J. J. Lennon: Anal. Chem. 67 (1995) 3990. J. J. Lennon, and K. A. Walsh: Protein Science 6 (1997) 2446. D. C. Reiber, T. A. Grover, and R. S. Brown: Anal. Chem. 70 (1998) 673. V. Katta, D. T. Chow, and M. F. Rohde: Anal. Chem. 70 (1998) 4410. J. J. Lennon, and K.A. Walsh: Protein Science 8 (1999) 2487. M. Takayama, and A. Tsugita: Electrophoresis 21 (2000) 1670.)8-12. M. Takayama, and A. Tsugita: Int. J. Mass Spectrom. 181 (1998) L1. M.Takayama: J.Am.Soc.Mass Spectrom., 12(2001)420. M.Takayama: J.Am.Soc.Mass Spectrom., 12(2001)1044. Y.Fukuyama et al: J.Mass Spectrom., 41(2006)191. K.Demeure et al: Anal. Chem., 79(2007)8678. M.Sakakura and M.Takayama: J. Am. Soc. Mass Spectrom., 21, 979-988 (2010).
WO2011/007743国際公開パンフレット
本発明は、タンパク質やペプチド、特に、タンパク質とリン酸化ペプチドのアミノ酸配列解析に適したマトリックス材を提供することを目的とする。
本発明者らが、5-アミノ-1-ナフトール(AHN, 5-amino-1-naphthol)(AHNは、5,1-ANLと呼ぶこともある)の存在下で、タンパク質やリン酸化ペプチドにレーザー光を照射したところ、タンパク質やリン酸化ペプチド主鎖のN-Cα結合だけが特異的に開裂反応を起こした。反応生成物をMALDI-TOF MSで解析したところアミノ酸配列を決定することができた。また、AHNのナフトール環の5位のアミノ基を電子親和性官能基に置換すれば、タンパク質やリン酸化ペプチド主鎖のCα-C結合を開裂させることができると考えられる。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)下記の一般式(I)で表される化合物の存在下で、タンパク質又はペプチドにレーザー光を照射することを含む、ペプチド主鎖のN-Cα結合又はCα-C結合を特異的に切断する方法。
(式中、Rは官能基を示す。)
(2)上記の一般式(I)で表される化合物の存在下で、タンパク質又はペプチドにレーザー光を照射して、ペプチド主鎖のN-Cα結合又はCα-C結合を特異的に切断することを含む、タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列決定方法。
(3)一般式(I)で表される化合物がマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析のマトリックスとして使用される請求項2記載の方法。
(4)上記の一般式(I)で表される化合物を含む、ペプチド主鎖のN-Cα結合又はCα-C結合の特異的切断試薬。
(5)上記の一般式(I)で表される化合物を含む、水素ラジカル放出試薬。
(6)上記の一般式(I)で表される化合物を含む、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析用マトリックス試薬。
(7)上記の一般式(I)で表される化合物を含む、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析用マトリックス。
(8)上記の一般式(I)で表される化合物を含む、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析用タンパク質又はペプチドイオン化試薬。
(9)上記の一般式(I)で表される化合物を含む、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析用キット。
従来報告されていた技術では,リン酸化ペプチドのアミノ酸配列解析に使用可能な試薬(非特許文献8、10、11及び12)は,高度の技術と豊富な経験を要した。これに対して,本発明の試薬は,特にリン酸化ペプチドのアミノ酸配列解析に優位であることが確認されただけでなく,従来より弱いレーザー照射量でも信号を得ることができ,さらに経験が浅くても良質のデータを得ることができる。以上の改善は,従来の試薬よりもイオン収量と分解効率の高い試薬を見いだしたためである。
AHNはプロトン放出性を有するため、ペプチド、タンパク質試料の正イオン測定に適用して、成果を上げることができる(後述の実施例1)他、負イオン測定に適用したところ(後述の実施例2)、試料からプロトンを引き抜く効果も見出され、効率的に脱プロトン化分子[M-H]- を生成することができた(図22参照)。のみならず、ペプチド主鎖のN-Ca結合を切断する能力も保持しつつ、正イオンで生成するN-末端側のc-イオンからのアミノ酸配列情報を補完することのできる、C-末端側のz-イオンが観測されるようになった(図23参照)。正イオンと今回の負イオンのデータを補完的に用いることで、ペプチドおよびタンパク質のアミノ酸配列解析のための有意な情報を得ることができ、解析の精度をあげることができる。また、ペプチド主鎖のAsp(D)の部位で特異的に強く観測されるN-末端側のc11イオンを補完するC-末端側のz11イオンが観測され、負イオンでc/z対イオンが観測されたのは初めてであり、これらはアミノ酸配列解析に有用な情報である。
本発明の新規試薬は、従来の試薬と比して、以下のような改善点を有する。
1.これまでの試薬の中で最もリン酸化ペプチドの解析に適し,すなわちアミノ酸配列解析に必要なシグナル数が増した。
2.これまではレーザー光照射の際に最適な結晶部位を試行錯誤で探る必要があったが,どの結晶部位からも優位なシグナルが得られるようになった。この結果,誰でも解析できるようになった。
3.リン酸化ペプチドのみならず,タンパク質からも直接に50残基以上のアミノ酸配列情報を得られるようになり,その性能はこれまで報告された試薬より優位に高い。
MALDI-TOF MSによるN-Cα結合の特異的切断の原理を示す。 ペプチド主鎖N-Cα結合の特異的切断により生じるc-イオンとz-イオンを示す。 ISDスペクトルからのアミノ酸同定を示す。 DHB、DAN、AHN又はDHNマトリックスを用いたときのペプチド(ACTH18-35)のMALDI-ISDスペクトルをイオンシグナルのS/N値で評価した結果を示す。 DHB、DAN、AHN又はDHNマトリックスを用いたときのペプチド(ACTH18-35)のMALDI-ISDスペクトルを示す。 DHB、DAN、AHN又はDHNマトリックスを用いたときの2リン酸化モデルペプチド(ACTH18-35)のMALDI-ISDスペクトルをイオンシグナルのS/N値で評価した結果を示す。 DHB、DAN、AHN又はDHNマトリックスを用いたときの2リン酸化モデルペプチド(ACTH18-35)のMALDI-ISDスペクトル(m/z 800-2050)を示す。 DHB、DAN、AHN又はDHNマトリックスを用いたときのβ-カゼインモデルペプチドのMALDI-ISDスペクトルをイオンシグナルのS/N値で評価した結果を示す。 DHB、DAN、AHN又はDHNマトリックスを用いたときのβ-カゼインモデルペプチドのMALDI-ISDスペクトルを示す。 DHB、DAN、AHN又はDHNマトリックスを用いたときのβ-カゼインモデルペプチドのMALDI-ISDスペクトル(m/z 850-2450)を示す。 DHB、DAN、AHN又はDHNマトリックスを用いたときのHorse Apo-MyoglobinのMALDI-ISDスペクトルを示す。 DHB又はAHNマトリックスを用いたときのBovine cytochrome c(m/z 3500-6000)のMALDI-ISDスペクトルを示す。 DHB又はAHNマトリックスを用いたときのBovine cytochrome c(m/z 6000-6500)のMALDI-ISDスペクトルを示す。 DHB又はAHNマトリックスを用いたときのBovine cytochrome c(m/z 6500-9000)のMALDI-ISDスペクトルを示す。 DHB又はAHNマトリックスを用いたときのBovine cytochrome c(m/z 9000-12000)のMALDI-ISDスペクトルを示す。 DHB又はAHNマトリックスを用いたときのEquine cytochrome c(m/z 3500-6000)のMALDI-ISDスペクトルを示す。 DHB又はAHNマトリックスを用いたときのEquine cytochrome c(m/z 6000-6500)のMALDI-ISDスペクトルを示す。 AHNマトリックスを用いたときのTobacco mosaic virusコートタンパク質 (TMV)のMALDI-ISDスペクトルを示す。 AHNマトリックスを用いたときのCucumber green mottle mosaic virusコートタンパク質 (CGMMV)のMALDI-ISDスペクトルを示す。 DHB、DAN、AHN又はDHNマトリックスを用いたときのBovine Serum Albmin (BSA)のMALDI-ISDスペクトルを示す。 DHB、DAN、AHN又はDHNマトリックスを用いたときのBovine Serum Albmin (BSA)のMALDI-ISDスペクトルの拡大図を示す。 AHNマトリックスを用いたときのペプチド(ACTH18-39)の負イオンMALDI-ISDスペクトルを示す。得られた負イオンISDスペクトルにはペプチド試料からプロトンが放出して生成した脱プロトン化分子[M-H]- が高い強度で観測された。本スペクトルは、AHNマトリックスがペプチドからプロトンを引き抜く性質も有し、ペプチドの負イオン測定にも適することを示すものである。 AHNマトリックスを用いたときのペプチド(ACTH18-39)の負イオンMALDI-ISDスペクトルの拡大図を示す。c-イオン:N-末端側の11〜17番目までの配列情報。z-イオン:C-末端側の9〜19番目までの配列情報。c-イオンシリーズは、本ペプチドの11番目のグルタミン酸(E)からプロトンが放出されて負イオンになったために観測されたものと考えられる。さら、観測されたz-イオンは、ACTH18-39のアミノ酸配列のC-末端側から数えて9番目から19番目までの配列に相当する。
以下、本発明の実施の形態についてより詳細に説明する。
本発明は、下記の一般式(I)で表される化合物の存在下で、タンパク質又はペプチドにレーザー光を照射することを含む、ペプチド主鎖のN-Cα結合又はCα-C結合を特異的に切断する方法を提供する。
(式中、Rは官能基を示す。)
ペプチドは、一般に、2個以上のアミノ酸がペプチド結合により結合したものである。タンパク質は、約20種のL-α-アミノ酸がペプチド結合により結合したポリペプチドである。ペプチドを構成するアミノ酸の数は、特に限定されるものではないが、2〜200個が適当であり、10〜50個が好ましく、15〜25個がより好ましい。ペプチドを構成するアミノ酸の数が100個よりも多いタンパク質の場合には、トリプシンなどの酵素で消化処理を行い、液体クロマトグラフィで分離・分取してから、本発明のN-Cα結合特異的切断方法に用いてもよいが、タンパク質を本発明の方法で直接切断してもよい。ペプチドを構成するアミノ酸の種類は限定されるものではなく、いかなるアミノ酸であってもよい。また、アミノ酸は、アセチル化、メチル化、リン酸化、グリコシル化などの修飾がなされていてもよい。ペプチドには、タンパク質、タンパク質以外のポリペプチド、オリゴペプチド、グリコペプチド、リポタンパク質などが含まれる。
一般式(I)におけるRは官能基を示し、官能基は還元性官能基であっても、酸化性官能基であってもよい。還元性官能基は、水素ラジカル放出能が高い官能基であるとよく、具体的には、-NH2、-SH、-OHなどの基を挙げることができる。酸化性官能基は、電子吸引性基であるとよく、具体的には、-CN、-NO2 などの基を挙げることができる。
一般式(I)で表される化合物は、公知の合成法により製造してもよいし、市販のものを用いてもよい。
後述の実施例では、一般式(I)で表される化合物として、5-amino-1-naphthol(AHN)を用いた。AHNの構造式は以下の通りである。
AHNは公知の化合物であり、市販されている。
本発明のペプチド主鎖のN-Cα結合又はCα-C結合の特異的切断方法において、一般式(I)で表される化合物の使用量は、タンパク質又はペプチド1モルに対して、5000〜50000モルが適当であり、5000〜10000モルが好ましい。
レーザーとしては、波長337 nmの窒素レーザー、波長226nmのネオジウムYAGレーザーなどの紫外レーザーを用いることができ、このうち、波長337 nmの窒素レーザーが好ましい。生成するイオンの加速電圧は20〜25 kV程度が適当であるが、これに限定されるわけではない。
一般式(I)で表される化合物の存在下で、タンパク質又はペプチドにレーザー光を照射することにより、ペプチド主鎖のN-Cα結合又はCα-C結合を特異的に切断することができる。従って、本発明は、一般式(I)で表される化合物を含む、ペプチド主鎖のN-Cα結合又はCα-C結合の特異的切断試薬を包含する。
本発明のペプチド主鎖のN-Cα結合又はCα-C結合の特異的切断方法によって生成したペプチド分解物を質量分析計にかけ、マススペクトルをとることにより、タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を決定することができる。従って、本発明は、一般式(I)で表される化合物の存在下で、タンパク質又はペプチドにレーザー光を照射して、ペプチド主鎖のN-Cα結合又はCα-C結合を特異的に切断することを含む、タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列決定方法も包含する。
一般式(I)で表される化合物は、質量分析、好ましくはマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI MS)、より好ましくはMALDI-ISDのマトリックスとして使用することができる。また、正イオン測定のみならず、負イオン測定にも適用することができる。従って、本発明は、一般式(I)で表される化合物を含む、MALDI用マトリックス試薬も包含する。
MALDIのマトリックスとして一般式(I)で表される化合物を使用する場合、サンプル(タンパク質又はペプチド)とマトリックス(一般式(I)で表される化合物)の混合物(混晶)にレーザー光を照射する。タンパク質又はペプチドは一般式(I)で表される化合物の結晶表面にあり、ペプチド主鎖上のカルボニル酸素は一般式(I)で表される化合物の水酸基とあらかじめ水素結合している。一般式(I)で表される化合物がレーザー光を吸収すると励起して水素ラジカルとフェノキシラジカルに解離し、水素ラジカルはそのままペプチド主鎖上のカルボニル酸素に結合して、カルボニル酸素が水酸基に、カルボニル炭素がラジカルになる。そして、ラジカル部位に対してα位にあるNH-Cα結合が単純開裂を生じる(α開裂)(図1)。このときの生成イオンはc-イオンとz-イオンである(図2)。このようにイオン化と同時又は直後にイオン化室で生じるペプチドの分解、すなわち、フラグメンテーションはin-source fragmentation又はin-source decay(ISD)と呼ばれる。MALDI-ISDによって生じるペプチドのフラグメントイオンは、主としてN-末端が保存されたラダー状のc-イオンピーク群からなる。それらのピーク群において、隣り合うピーク間の質量差Δ(m/z)がアミノ酸残基の質量を意味するため、ラダー状ピーク群の質量差を順次並べると部分アミノ酸配列が得られる(図3)。ペプチド主鎖のNH-Cα結合の開裂の際、リン酸基の脱離が伴わなければ、質量差Δ(m/z)からリン酸基の位置や有無を知ることができる。一般式(I)で表される化合物は、タンパク質やペプチドのリン酸基の脱離を伴わずに、ペプチド主鎖のNH-Cα結合を開裂することができる。従って、リン酸化ペプチドのアミノ酸配列解析に適している。また、一般式(I)で表される化合物を用いることにより、リン酸化ペプチドのみならず,タンパク質からも直接に50残基以上のアミノ酸配列情報を得られるようになり,その性能はこれまで報告された試薬より優位に高い。さらにまた、一般式(I)で表される化合物を用いると、データの獲得が容易である。これまではレーザー光照射の際に最適な結晶部位を試行錯誤で探る必要があったが,どの結晶部位からも優位なシグナルが得られるようになった。この結果,誰でも解析ができるようになった。また、一般式(I)で表される化合物はマトリックスとしての機能が明確である。すなわち、ナフトール水酸基が、レーザー光照射による励起一重項状態において酸性度が増し、試料のプロトン化を促進する。ナフトールの還元性官能基(一般式(I)で表される化合物がAHNである場合には、アミノ基)が、水素原子放出能を有し、NH-Cα結合の切断を促進する。一般式(I)で表される化合物中のナフトール環の5位の官能基が還元性官能基である場合には、以上のようなNH-Cα結合の開裂が生じるが、一般式(I)で表される化合物中のナフトール環の5位の官能基が酸化性官能基である場合には、Cα-C結合の開裂が生じると考えられる。ペプチド主鎖のCα-C結合の開裂は、サリチル酸誘導体マトリックスを用いたときに観察されている(J. Am. Soc. Mass Spectrom. (2011) 22:1224-1233)。
一般式(I)で表される化合物は、MALDIマトリックス機能(タンパク質又はペプチドのイオン化能)と水素ラジカル放出能を併せ持つ。しかも、一般式(I)で表される化合物は水素ラジカル移動反応(ISD)能が高い。従って、本発明は、一般式(I)で表される化合物を含む、水素ラジカル放出試薬を包含する。また、本発明は、一般式(I)で表される化合物を含む、MALDI用タンパク質又はペプチドイオン化試薬を包含する。
MALDIのマトリックスとして一般式(I)で表される化合物を使用する場合には、0.05〜0.5%(好ましくは、0.1%)のTFAを含むアセトニトリル水溶液(40〜70%(好ましくは、50%), v/v)に溶解し、その飽和溶液をマトリックス溶液として使用するとよい。マトリックス溶液中の一般式(I)で表される化合物濃度は、1〜20 pmol/μLが適当であり、5〜10 pmol/μLが好ましい。マトリックス溶液には、バッファー、ピコリン酸などを添加してもよい。ペプチド試料との混合に際しては、一般式(I)で表される化合物とペプチドのモル比が、5000〜50000程度、好ましくは、5000〜10000程度になるように調製するとよい。マトリックス溶液とペプチド試料との混合溶液をプレートに滴下し、自然乾燥させ、溶媒を除去するとよい。一般式(I)で表される化合物を使うと針状結晶が成長し、この時、ペプチド分子はマトリックスの結晶表面を覆うようになる。マトリックス結晶表面には一般式(I)で表される化合物分子の水酸基またはアミノ基などの官能基が露出しているため、タンパク質又はペプチド分子はそれら官能基群の上に乗るような形で覆っている。本発明は、一般式(I)で表される化合物を含む、MALDI用のマトリックスを包含する。マトリックスには、一般式(I)で表される化合物の他、バッファー成分、ピコリン酸などが含まれていてもよい。本発明は、質量分析、特に、MALDI-TOF MSを利用するタンパク質又はペプチドの直接シーケンシングに利用可能であり、プロテオミスク分野やタンパク質化学分野に応用できる。とりわけ、プロテオミクス分野の翻訳後修飾タンパク質の解析に有利である。
また、本発明は、一般式(I)で表される化合物を含む、MALDI用キットを提供する。
このキットには、さらに、他のマトリックス試薬(例えば、1,5-diaminonaphthalenre(1,5-DAN)、5-aminosalicylic acid (5-ASA)、α-cyano-4-hydroxycinnamic acid(CHCA)、sinapinic acid、2,5-dihydroxybenzoic acid(2,5-DHB)、3-hydroxypicolinic acid、ferulic acidなど)、バッファー、ピコリン酸、キットの使用方法、注意書、内容物などを記した説明書、標準ペプチドなどを含めてもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
実験方法:質量分析装置には、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法を搭載した飛行時間型(TOF)の質量分析計 AXIMA-CFR(島津製作所、京都)を使用し、レーザーには波長337nmの紫外窒素レーザーを用いた。測定はすべて正イオンモードで行った。生成したイオンの加速電圧は20kVであった。試料ペプチドには副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)のフラグメント ACTH18-35、ACTH18-35の2リン酸化体およびβ-カゼイン由来の4リン酸化ペプチドを用いた。これらペプチドはペプチド研究所(箕面、大阪)から購入したものをそのまま使用した。試料タンパク質にはHorse Apo-myoglobin、Bovine Serum Albumin(BSA)、Equine Cytochrome c、Bovine Cytochrome c はSigma Aldrich (Steinheim, Germany)から購入、Cucumber Green Mottle Mosaic Virus (CGMMV)、Tobbaco Mosaic Virus (TMV)は、つくば分子生物学研究所 野津祐三博士から提供された。マトリックスである5-amino-1-naphthol(AHN)、2,5-dihydroxybenzoic acid (DHB)、1,5-diaminonaphthalene (DAN)、1,5-dihydroxynaphthalene(DHN)は東京化成(東京)から購入し、再結晶することなく使用した。ペプチドおよびタンパク質試料の水溶液は、その5μLをマトリックス溶液(各マトリックスの50%アセトニトリル水溶液の飽和溶液)5μLと混合し、混合後の試料溶液1μLを試料ターゲットに塗布し、自然乾燥により試料結晶を作成した。試料結晶を塗布したターゲットを質量分析計に導入した。
結果と考察:
異なる4種類のマトリックスDHN, AHN, DAN, DHBを用いてペプチド試料ACTH18-35の正イオンMALDI-ISDスペクトルの評価を行った(図5)。得られたISDスペクトルにはアミノ酸配列を反映するcイオンがc7〜c17まで観測され、これらISDスペクトルの質をcイオンピークのS/N値で評価した。その結果、ACTH18-35ではDANが最も高いS/N値を示し優れた結果を与えた(図4)。
上記と同様のマトリックスを用い、ACTH18-35のチロシンとセリン残基がリン酸化されたACTH18-35の2リン酸化体の正イオンMALDI-ISDスペクトルを得た(図7)。本スペクトルではリン酸基が保持されたままのcイオンがc7〜c17まで観測され、リン酸化の部位を推定することが可能であった。本リン酸化ペプチドの場合、各cイオンピークのS/N値はマトリックスAHNにおいて最も高い値を示した(図6)。
上記と同様のマトリックスを用い、リン酸化タンパク質であるβカゼインに由来する4リン酸化ペプチドの正イオンMALDI-ISDスペクトルを得た(図9、図10)。マトリックスDHNを除き、いずれのマトリックスも高いプロトン化分子[M+H]+ のピークを与え(図9)、なかでもAHNは明瞭なcイオンをc7〜c19まで与えた(図10)。スペクトルの質を評価するため、各cイオンのS/N値を比較したところ、マトリックスAHNが圧倒的に高い値を示し、最も優れたマトリックスであった(図8)。
上記のマトリックスを用い、各種タンパク質試料の正イオンMALDI-ISDスペクトルを得た(図11〜図20)。馬心筋アポミオグロビンのISDスペクトルは、マトリックスAHNとDHBにおいて高いプロトン化分子 [M+H]+ (m/z 16958)を与え(図11)、アミノ酸配列情報であるcイオンを同数程度与えたが、各シグナルピークのシャープネス(ピーク幅)はAHNが優れていた。
牛チトクロムcのISDスペクトルをマトリックスAHNとDHBを用いて得たところ(図12〜図15)、いずれもアミノ酸配列情報であるcイオンをc26〜c97まで示し、72残基の内部アミノ酸配列を読むことができた。ISDスペクトルの質を各cイオンピークの強度、S/N値、cイオンの数、ピーク幅で評価したところ、いずれもAHNが有意に優れていた(図12〜図15)。同様の結果は、馬チトクロムcのISDスペクトルでも確認された(図16、図17)。
上記のように、リン酸化ペプチドの正イオンMALDI-ISDスペクトルの獲得に優れた性能を示したマトリックスAHNは、タンパク質でも優れた性能を示しアミノ酸配列情報を与えた。本マトリックスを2種のウイルスコートタンパク質であるキュウリ紫斑病ウイルスタンパク質(CGMMV)とタバコモザイクウイルス(TMV)に適用したところ、いずれのタンパク質でも明瞭なプロトン化分子 [M+H]+ を示しただけでなく、多数のcイオンも与えた(図18,図19)。特にCGMMVではc9〜c60まで50残基以上の内部アミノ酸配列を読むことができた(図19)。
上記結果は相対分子質量20,000Da以下のタンパク質への適用であったので、より相対分子質量の大きな牛血清アルブミン(BSA,66,437Da)に4種類のマトリックスDHN, AHN, DAN, DHBを適用し、性能を比較した(図20、図21)。いずれのマトリックスもc10〜c33までのイオンピークを示したが、各cイオンのS/Nおよびピーク幅で優れていたのはAHNとDANであった(図21)。BSAは34番目にジスルフィド結合(S-S)をもつシステイン残基が存在するためにc34以上のシグナルは観測されないが、MALDI-ISDはタンパク質の質量にほとんど上限なく有用な方法であることが判明した。
以上に示した結果から、マトリックスAHNは既報の他のマトリックスに比較して、以下の評価項目に対する総合評価として、特にリン酸化ペプチドに最も優れていることが判明した。
1.イオンシグナルのS/N値
2.イオンシグナルのシャープネス(ピーク幅)
3.アミノ酸配列情報獲得に有用なイオンシグナルの数
4.データ獲得の容易さ(スイートスポット無し)
また、マトリックスAHNはリン酸化ペプチドだけでなく、タンパク質に対しても優れた性能を示したことから、これまでに報告されているマトリックスの中で、トップダウンプロテオミクスに適するMALDI-ISD法の最良のマトリックスである。トップダウンプロテオミクスは、タンパク質を酵素消化することなく、そのままでアミノ酸配列情報を獲得する戦略である。
〔実施例2〕
実験方法:質量分析装置には、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法を搭載した飛行時間型(TOF)の質量分析計 AXIMA-CFR(島津製作所、京都)を使用し、レーザーには波長337nmの紫外窒素レーザーを用いた。測定はすべて負イオンモードで行った。生成したイオンの加速電圧は20kVであった。試料ペプチドには副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)のフラグメント ACTH18-39を用いた。ペプチドはペプチド研究所(箕面、大阪)から購入したものをそのまま使用した。5-amino-1-naphthol(AHN)は東京化成(東京)から購入し、再結晶することなく使用した。ペプチド試料の水溶液は、その5μLをマトリックス溶液(アセトニトリル70%、水30%の混合溶液にDHNを飽和溶解させたもの)5μLと混合し、混合後の試料溶液1μLを試料ターゲットに塗布し、自然乾燥により試料結晶を作成した。試料結晶を塗布したターゲットを質量分析計に導入した。
結果と考察:
AHNマトリックスを用いてペプチド試料ACTH18-39の負イオンMALDI-ISDスペクトルの評価を行った。得られた負イオンISDスペクトルにはペプチド試料からプロトンが放出して生成した脱プロトン化分子[M-H]- が高い強度で観測された(図22)。本スペクトルは、AHNマトリックスがペプチドの負イオン測定にも適することを示すものである。また、脱プロトン化分子のピークより低質量領域には、ペプチド主鎖のN-Ca結合の特異的分解に由来するN-末端側のアミノ酸配列を反映するc-イオンがc11〜c17まで観測された(図23)。本c-イオンシリーズは、ACTH18-39の11番目のグルタミン酸(E)(図22参照)からプロトンが放出されて負イオンになったために観測されたものと考えられる。さらに同じ負イオンスペクトル中には、従来、本ペプチド試料では観測できなかったC-末端側のアミノ酸配列を反映するz-イオンがz9〜z19まで観測された。Z-イオンは、図22に示すアミノ酸配列のC-末端側から数えて9番目から19番目までの配列に相当し、その生成はプロトンを放出して負イオンになりやすい酸性官能基(E, D)がC-末端側に存在していることに由来する。負イオンが感度高く観測できる本結果は、AHNマトリックスが、プロトン放出能の他にプロトン引き抜きの性質も有することを示すものである。
本発明は、プロテオミクス分野やタンパク質化学分野に利用可能である。特に、プロテオミクス分野の翻訳後修飾タンパク質の解析に有利である。

Claims (8)

  1. 5-アミノ-1-ナフトールの存在下で、タンパク質又はペプチドにレーザー光を照射することを含む、ペプチド主鎖のN-Cα結合を特異的に切断する方法。
  2. 5-アミノ-1-ナフトールの存在下で、タンパク質又はペプチドにレーザー光を照射して、ペプチド主鎖のN-Cα結合を特異的に切断することを含む、タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列決定方法。
  3. 5-アミノ-1-ナフトールがマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析のマトリックスとして使用される請求項2記載の方法。
  4. 5-アミノ-1-ナフトールを含む、ペプチド主鎖のN-Cα結合の特異的切断試薬。
  5. 5-アミノ-1-ナフトールを含む、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析用マトリックス試薬。
  6. 5-アミノ-1-ナフトールを含む、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析用マトリックス。
  7. 5-アミノ-1-ナフトールを含む、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析用タンパク質又はペプチドイオン化試薬。
  8. 5-アミノ-1-ナフトールを含む、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析用キット。
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