JP6082605B2 - 分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は非光学方式を用いたDNAあるいはRNAなどの核酸の塩基配列を解読するための方法および核酸配列解析を行う分析装置に関わる。
次世代シーケンシング技術は年ごとにスループット(読み取り塩基数/日)を向上させている。2010年中旬までの市場で上位シェアを獲得している3機種シーケンサはIllumina社のHiSeq2000, Life technologies 社のSOLiD, Roche 社の 454であった。これらの機種はいずれも光学検出を用いたシーケンサである。しかしながら、2011年にLife technologies が投入したIon Torrent シーケンサは、光学検出を用いず、DNA伸長時のヌクレオチド取り込みに伴い放出されるプロトンを検出する原理を用いるシーケンサである。光学検出を用いないシーケンスはPost-Lightシーケンスと呼ばれる。
光学検出を用いない利点として
1) 高価な光学系(撮像素子、励起用光源、対物レンズなど)が不要
2) ヌクレオチドやプライマなどに蛍光色素の修飾が不要
3) 200塩基長以上の読み取りが可能
4) 2時間のターンアラウンドタイム(TAT)
5) 半導体プロセスの拡張性
という点を挙げることができる。
これらはシーケンスに要するコストを劇的に低減することが可能になるため、将来ヒトゲノムを $1000 で解読するための最有力候補となっている。上述した光学検出を用いない方式については、特許文献1および非特許文献1に記載されている。
上術した Post-Light シーケンスにおける課題は、サンプル調整技術である。Post-Lightシーケンスではセンサ上方に解析対象となる増幅済みDNA断片を結合したビーズを配置させる。この同一配列を持つ増幅DNA断片を多数結合したビーズを調整する方法をエマルジョン PCR という。一般にエマルジョンPCR に要する工程は作業が煩雑であり、かつ時間を要する。エマルジョン PCR の工程は下記に示すように、大きく 3 つに分けることができる。
1) DNA断片のエマルジョン化 (1時間)
2) ビーズ上での DNA 増幅反応 (5時間)
3) 反応ビーズの濃縮 (5時間)
これらの時間は合わせて11時間を要する。
シーケンス反応時間が2時間であるのに対し、前処理に要する時間は長いため、エマルジョンPCRに代わる簡便な前処理方法の開発が望まれていた。
一方、光学検出を用いるIllumina社のHiSeq2000では、光学検出を行う基板上でDNA断片の増幅反応を行う。これはBridge PCR と呼ばれる。解析対象となるDNAはまず超音波などを用いて断片化される。その後、断片化されたDNAの両末端に2種類の異なるアダプター配列を付加する。また、増幅反応を直接行う基板の表面には、上述したアダプター配列と相補的に結合する2種類のPCRプライマが均一に固定されている。このプライマに結合したDNA断片が基板上でPCRされることにより、同一の配列からなるクラスターが基板上に多数形成される。このクラスター群について蛍光修飾されたヌクレオチドを付加し、1塩基ずつ反応を進行させ、その都度蛍光計測を行う。これにより、シーケンスを行うことが可能となる。なお、断片化されたDNAは基板上にランダムに吸着するため、クラスター群は基板上にDNA断片がばら撒かれた点を起点として生成し、それらは規則的に配置されていないという点が特徴である。これらの手法については特許文献2に詳細が記載されている。
また、Bridge PCRに類似した方法として、Life Technologies 社では恒温状態での基板上DNA断片増幅法を発表している。同社はこの手法の採用により、11時間要していた前処理工程を2時間まで短縮できるとしている。基板上の増幅に特徴的なことは、増幅は基板上の足場となるプライマがある限り、継続的に増幅を進行させることができるという点である。Life Technologies社では異なる2つのDNAクラスター群の径が増大していき、2つのDNAクラスター群が接触したところで増幅反応が終了することを報告している。したがって増幅時に2つの異なるDNAクラスター間内のそれぞれの配列情報が混ざり合うという現象は発生しない。これら特徴については非特許文献2に記載されている。
一方、基板上に所定のオリゴプローブを区画化した状態で配置することは既存の技術である。特許文献3のp.42では"Patterned polynucleotide patches on chip"という表現で上記概念が示されている。また、産業界では既にロシュ・ニンブルジェンがマスクレスでの光化学合成を用いて、オリゴヌクレオチドをスライドグラス上で合成している。紫外線の照射/非照射(光感受性保護基の除去/非除去)をミラーデバイス上の78万個また420万個の微小な鏡で制御し、区画化された状態でオリゴプローブを基板上に配置することが可能となっている。
また、細胞内で進行する様々なバイオロジカルプロセスを制御し、リアルタイムで反応開始を制御できる技術としてケージド化合物を挙げることができる。ケージド化合物とは生理活性分子を光分解性保護基で修飾して一時的にその活性を失わせたものの総称である。生理活性を檻(cage)に入れて眠らせた分子という意味でケージド化合物(caged compounds)という名称が付いている。ケージド化合物にその化合物に最適な波長の光を照射すると、光を当てた瞬間に当てた場所だけで保護基が外れ、もとの生理活性が発現することになる。この特性を用いると、外部からの光照射を反応開始のトリガーとすることができる。つまり、反応開始を制御できる。次世代シーケンシング技術の開発を行っているLaserGenでは「開裂停止部分」の構造が、光感受性の2-ニトロベンジル基である修飾ヌクレオチドを製造している。特徴は、UV光照射後に天然型のヌクレオチドにもどるため、他のメーカによる修飾ヌクレオチドよりも塩基伸長の反応効率が高いという効果を有する。この技術については非特許文献4に記載がされている。
また、特許文献1に記載された非光学検出方式は塩基伸長反応時に放出されるプロトンを検出する方式であった。化学修飾を施さないヌクレオチドを用いて伸長反応を計測するもう一つの方式として、伸長時に発生する熱を計測する方法を上げることができる。特許文献4では、DNAポリメラーゼがdNTPをDNA鎖の3'末端に結合する際に、dNTPの高エネルギーリン酸結合の分解に伴って熱エネルギーが放出されるが、その熱エネルギーを検出する方法について説明している。微小温度計として用いられるセンサとして、赤外線センサ、ピコカロリメータ、熱電対、サーモパイル、ナノワイヤ、CMOSセンサ、フォトダイオードなどを用いることができる。上記文献ではエマルジョンPCRを覆ない、ビーズ上に結合したDNA増幅産物をウェル内に固定している。この環境下で、0.003℃以上の温度変化を検出することにより、塩基配列を読み取ることが特許の請求項に記載されている。更に、特許文献1ではプロトン濃度を検出するため、伸長時におけるヌクレオチドの判別はできない。しかし、温度計測では4種類のヌクレオチドの取りこみ時に発生される熱量が異なるため、塩基配列の精度を向上できる可能性がある。塩基伸長において4種類のヌクレオチドのエンタルピーが異なることについては、非特許文献5、6に報告されている。非特許文献5によれば、構造が類似したヌクレオチドであるdAとdTが塩基伸長時に発生するエンタルピーはそれぞれ -12.3および-15.1 kcal/bpであった。
また、非特許文献6では4種類の異なるヌクレオチドで発生するエンタルピーが異なり、識別が可能であることが報告されている。
特表 2010-513869 W/0 2007/123744 W/0 2011/123246 US 2008/0166727
Nature, vol475,pp348,2011 In Sequence, October 18, 2011, p.2 バイオチップの技術と応用、シーエムシー出版、p.33-41 Nucleic Acids Res., 39:e39. (2011) Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, vol.100, no.25, p.14719-14724 Nucleic Acids Res., p.1894-1902 (2010)
本発明が解決しようとする課題は、Post-Lightシーケンスにおける前処理の煩雑さである。より具体的にはEmulsion PCRに要する時間である。Post-Lightシーケンサでは塩基配列解析自体は2時間で終了するのに対し、塩基配列解析の前処理で11時間を要している。従って解析速度の律速は前処理工程にある。
従来の光学方式による次世代シーケンサで採用されている基板上の前処理をPost-Lightシーケンサに導入することは以下の理由で困難である。たとえばIllumina社のBridge PCRは基板上にランダムにDNA断片をばらまき、基板上で増幅を行う。光学計測ではDNAクラスターの位置がランダムであっても、2つのDNAクラスター間距離が光学分解能以上である限り、検出が可能であるためである。これに対し、Post-LightシーケンシングにおいてはDNAクラスター生成以前に既に基板上のセンサの位置は決定されている。S/N比の高い信号検出を達成するためにはセンサ真上にDNAクラスターを配置する必要がある。しかしながら、現在まで、前処理工程において、エマルジョンPCRに依存せずに、これを達成する手法が存在しなかった。
本発明では、微小センサを用いるシーケンシング装置において、エマルジョンPCR由来のビーズを用いることなく、センサ基板上で直接解析対象となるDNA断片の増幅をセンサの真上で行うことを可能にする手段を提供する。より具体的には、基板上に同一のプライマから構成されるプライマ群が格子状に区画化された状態で固定されている。隣り合ったプライマ群は直接接触せず、各プライマ群の間にはプライマが固定されず、かつDNA断片が非特異吸着しない領域で仕切られている。また、各プライマ群は各微小センサの真上に、それぞれ1:1に対応するように配置される。基板上のプライマ群に対して相補的に結合するように末端処理を施したDNA断片を1分子のみ吸着させる。これにもう一方のDNA断片のもう片方の末端に結合するプライマおよび伸長反応を行う酵素を溶液中に混在させ、溶液の温度調節を行うことにより、増幅反応を進行させることができる。これにより、Post-Lightシーケンシングの前処理を基板上で行うことが可能となる。
本手段を用いることで、それぞれのプライマ群内において塩基配列が同一なDNAクラスター群を生成することができる。プライマ群が格子状に区画化されている場合、増幅後のDNAクラスター分子もプライマ群の形状をそのまま反映する。また、基板上における複数のDNAクラスター群の塩基配列は、基板上に投与したDNA増幅断片のポピュレーションを反映する。従って基板上のDNAクラスター群の配列は、サンプル内の存在比率が高いものについては同一の配列が多く観察される一方、互いに異なるDNA塩基配列持つものも観察される。
Post-Lightシーケンシングの前処理において、煩雑な処理を必要とするエマルジョンPCRを省略し、基板上でのDNA増幅を行うことが可能となり、シーケンス作業を簡便にできる。
実施例1における光学計測とは異なる計測法で塩基配列解析を行う装置の説明図。 実施例2におけるプライマ固定を区画化した基板を用いたDNA断片の増幅技術についての説明図。 実施例3におけるプライマ固定を区画化した基板を用いたDNA断片の増幅反応技術ついての説明図。 実施例4におけるピラー状の構造物を用いたDNA断片の増幅反応技術ついての説明図。 実施例5における有効パネル数を増加させる方法についての説明図。 実施例6におけるDNA塩基配列解析を行うパネル数を増大させる方法についての説明図。 実施例7における溶液交換を行わずにDNAの塩基配列解析方法についての説明図。 実施例8における溶液交換を行わずにDNAの塩基配列解析方法についての説明図。 実施例7における溶液交換を行わずにDNAの塩基配列解析方法の計測データについての説明図。 実施例7における溶液交換を行わずにDNAの塩基配列解析方法の計測データについての説明図。
以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の第1の実施例として、光学計測とは異なる計測法で塩基配列解析を行う装置について図1を用いて説明する。光学計測とは異なる計測法とは、具体的にはDNAの伸長反応時における塩基の取り込み時に発生するプロトンの濃度(=pH)を計測する方法あるいは塩基伸長反応に伴う熱の発生に伴う局所的な温度上昇を計測する方法である。第1の実施例ではプロトンの濃度計測を行う半導体シーケンサについて説明する。しかしながら計測するイオンとしてはプロトンに限定されるものではなく、塩基伸長時に分解産物として産出されるPPiなどのイオンであってもいい。あるいは伸長時の化学反応進行時に放出される熱に伴う局所的な温度上昇を検出してもよい。
フローセル002の基板上には、単一DNA分子が増幅されたDNAクラスター007が基板上に区画化された状態で2次元の格子状に配置されている。区画内のDNAクラスター007を構成する複数のDNA配列は同一である。配列の長さは増幅される単一DNA分子の長さに依存するが、50〜2000塩基の塩基長であることが一般的である。DNAクラスター007はフローセル002の基板表面上に2次元の格子状に固定されている。各DNAクラスターの間隔は0.1〜10μmの間であることが望ましい。より望ましくは 0.2〜2μmであることが望ましい。また、DNAクラスター自体の大きさは0.1〜10μmの間であることが望ましい。より望ましくは 0.2〜2μmであることが望ましい。
分析感応性を有するパシベーション膜008はイオン透過性を持った膜であり、より具体的にはプロトン透過性を有する。パシベーション膜008を構成する素材として、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化シリコン、五酸化タンタルなどを挙げることができる。
プライマ被覆部006上にはプライマが6〜25万コピー/μm2の密度で固定されている。プライマはプライマ被覆部006に共有結合または非共有結合で付着されうる。一例としてパシベーション膜008の活性な表面基を介してシラン化層をパシベーション膜008上に結合することができる。シラン化層について二感応性リンカーを用いて更に末端を化学修飾されたプライマを用いて共有結合させることができる。あるいは、プライマ被覆部006にポリリジンなどを吸着させ、プライマを非共有結合によりプライマ被覆部006に固定する方法も用いることができる。
フローセル002はヒートブロック001上に保持され、0〜100℃の間で温調される。ペルチェ素子003にヒートブロック001およびヒートシンク004が密着している。ヒートシンク004にはファン005が設置され、温調時にペルチェ素子003より発生した熱の放熱を促進する。送液部014はフローセル002内で発生する塩基伸長反応に必要な試薬をフローセル002に供給する。試薬送液機構014はDNAの構成部品であるdATP, dCTP, dGTP, dTTPのみを含む4種類の試薬を保持する。また、鋳型となるDNAにこれらのヌクレオチドを連結させる分子機械であるポリメラーゼを含む試薬も有する。また、各ヌクレオチドをフローセル002へ送液し、伸長が発生した後、伸長に寄与しなかったヌクレオチドを洗浄する必要がある。このための洗浄試薬も試薬部014には含まれる。試薬送液機構014の試薬は制御バルブ015により試薬が弁別され、フローセル102上の試薬注入口011に送液される。また、反応あるいは洗浄などにより発生する廃液は試薬排出口012を介して廃液タンク016に廃棄される。
異なるヌクレオチドを送液する度に伸長反応が発生したDNAクラスターでは、伸長反応に伴ってプロトンが放出される。結果としてDNAクラスター007近傍のpHが一時的に上昇し、パシベーション膜008を介して、DNAクラスター007直下のイオン感応型電界効果トランジスタ(ISFET) 010 がそれを検出する。これにより、2次元に配置されたDNAクラスター007における伸長反応をモニターすることができ、DNA配列のシーケンシングが可能となる。なお、フローチップ002内にはバルクの分析溶液自身の持つ電位を計測するための参照電極が配置される。また、装置はUVレーザー017光源を有し、フローチップ002への照射を行うことができる。これら送液部、光照射、データ取得および解析は一括してPC013で制御される。
本発明の第2の実施例として、プライマの固定が区画化された基板を用いたDNA断片の増幅技術について、図2を用いて以下に説明する。
基板101はその表面にプライマが区画化された状態で共有結合を介して固定されている。区画化されたパネル102、104およびその他のパネルの表面上にはプライマが固定化されている。なおプライマの長さは20-50塩基の間で設計されていることが望ましい。プライマの固定密度は40000-100000分子/um2であることが望ましく、より詳細には60000-80000分子/um2は程度であることが望ましい。また図2においてパネル102とパネル104の間に引かれている格子状の線上にはプライマは固定されていない。また、パネル間の領域にはDNA断片との非特異吸着を防止する化学処理が施されている。このため、外部より注入されるDNA断片がパネル間の領域に吸着することはない。
平均して各パネル上の単位溶液体積あたり1分子のDNA断片が存在するようにサンプル溶液の濃度調整を行う。これをフローチップに注入すると、1分子のDNA断片103が基板上のパネル上のプライマとハイブリダイゼーションする。つまり、1パネルにつき1分子のDNA断片103が結合するようにする。この現象は確率的に発生するが、後述するように1パネルが保持する体積あたり、1分子のDNA断片が存在する濃度にサンプル溶液を調整したとき、1パネルについて1分子のDNA断片がハイブリする確率が最も高くすることができる。
サンプル溶液はDNA増幅反応に必要なdATP, dCTP, dGTP, dTTP および酵素ポリメラーゼを含む。1パネルにつき1分子のDNA断片103が結合した後、伸長反応を開始させるため至適反応温度に温調を行い、増幅反応を進行させることができる。増幅反応はパネル内のプライマが枯渇するまで進行し、DNA分子のDNAクラスター104を形成する。つまり、プライマが固定されたパネル形状と同様な形状になるまでDNA断片の増幅が進行する。パネル上のどの位置でどのDNA断片が結合するかはランダム仮定である。しかしながら、増幅反応終了時にはそれぞれのDNAクラスターは互いに同一の正方形の形状となる。また、複数ではなく、1分子のDNA断片が結合したパネル上で増幅された増幅産物は全て同一のDNA塩基配列を有する。また、増幅産物はパネル上に展開されるため、異なるDNA塩基配列であっても、正方形状の固定状態を有することを特徴とする。また、各パネルの間にはプライマは存在しないため、増幅工程中に各パネルに固定された、それぞれ配列の異なる一分子DNA配列が混じり合い、コンタミしてしまうということも発生しない。従って、パネル下部に存在するISFETに対し、効率的かつ規則的にDNAクラスターを配置することができる。
基板上のパネルが区画化されていない状況では各ISFETに対してDNA分子を規則正しく配置することができない。従ってISFETセンサ上に配置されるDNAクラスターの密度を制御することができない。また、ランダム固定であるがゆえに、測定対象と非測定対象のDNAクラスター間の距離もあるものは遠く離れ、あるものは密着してしまい、DNAクラスター間の距離を制御することが困難であった。従って、測定対象に隣接するDNAクラスターより発生するプロトンによるノイズがばらつくため、DNA塩基配列解析の精度の低下を招いていた。しかし、本方式で述べた区画化されたプライマを用いた1分子からの増幅を用いれば、DNAクラスター間の距離を一定にできるため、ノイズの影響を均一化できるため、塩基配列解析精度の向上を達成できる。
また、本実施例は基板上でデジタルPCRを行うことを可能にする。一般にリアルタイムPCRなどはその反応中に指数関数的に遺伝子コピーが増幅されるため、定量性が問題となる。デジタルPCRは多数の溶液に分画されたチャンバーにおいてPCR反応を行い、PCR反応物が確認されたチャンバーの数から、試料中の検出DNAの分子数を計測する手法である。より詳しくは、DNAの増幅が検出されたチャンバー/全チャンバー数の割合をポアソン統計により解析し、遺伝子数の絶対定量を行う。ここで重要であるのは全チャンバー数が既知であることである。次世代シーケンサのトップシェアを誇るIllumina社の次世代シーケンサでは基板上でランダムに固定された1分子DNA断片についてブリッジPCRと呼ばれる増幅法により、クラスターDNA分子を形成する。しかしながら、Illumina社の増幅方法では、増幅反応が発生しなかったチャンバー数を見積もることができない。なぜならば、結果として増幅が行われたクラスターのみ蛍光より検出が可能であり、一方で蛍光検出ができなかったクラスター数は不明だからである。これに対し、本実施例では全チャンバ数が明らかであるため、ポアソン統計の適用が可能であり、従って遺伝子数の絶対定量を行うことが可能となる。
また、一般的なデジタルPCRは液中の反応であり、かつ検出対象となる遺伝子数はせいぜい5個程度である。更に、蛍光による検出を用いるため、蛍光色素でラベルされた試薬および高価な光検出器を必要とする。これに対し本実施例で説明した、プライマの固定が区画化された基板を用いたDNA断片の増幅技術では、検出対象となる遺伝子数は106のオーダーであり、実質的に制限はなく、かつ増幅した検出対象の塩基配列情報についても取得でき、かつ光学検出を用いないため、試薬および装置のコストを大幅に低減することができる。
従って、本実施例で示した方法は、基板上でデジタルPCRを行うことができる方法と手段を提供する。更に、デジタルPCRによる分子数の絶対定量およびその後の塩基配列解析をも同時に測定できる手段を提供する。
本発明の第3の実施例として、プライマの固定が区画化された基板上におけるDNA増幅反応について、図3を用いて以下に説明する。
a) プライマ被覆部201上にプライマ202が規則的に区画化された状態で配置されている。各プライマ202が固定化されたパネル間の間隔は一定である。
b) 増幅したいDNA断片203を外部よりフローセルに注入し、基板上のプライマ202と注入したDNA断片203をハイブリダイゼーションさせる。
c) ハイブリダイズしたDNA断片203を鋳型として、基板上のプライマ202が伸長し、増幅断片204となる。
d) 伸長反応は60℃前後に保たれた状態で進行する。この温度はプライマ202とDNA断片205の結合におけるTm値に近いため、DNA断片205はプライマ上を移動し、別なプライマ202と結合する。これが別の新たなプライマ202分子に対して鋳型を提供することになり、伸長反応が継続する。また、プライマ202を起点として伸長が完成したDNA断片の3’末端側にプライマ206はハイブリダイゼーションする。プライマ206を起点にDNA断片の相補鎖の伸長反応が進行する。
e) 増幅反応が数サイクル進行する。
f) 基板上のプライマが枯渇するまで増幅反応は進行する。また、例えばDNA断片のハイブリが発生しなかったパネルでは増幅は進行しないままでパネルが残る。
g) 増幅工程が完了する。
本実施例で述べた方法により、プライマの固定が区画化された基板上におけるDNA増幅反応を行うことができる。パネル直下には塩基伸長反応にともなうプロトンなどの反応物を検出する半導体センサが配置されている。本実施例の技術を用いることで、各パネル上には同一の配列を持ったDNA断片を固定することが可能となり、かつセンサ上に規則正しくパネルを配置する設計を行うことも可能となる。
これと比較して、基板上でランダムにDNA断片の増幅を行った場合、増幅されたDNA断片であるDNAクラスターはセンサ上方で規則的に区画化されず、DNAクラスターが入り混じる可能性がある。これは検出される信号のS/Nの劣化を招く。また、DNAクラスターとセンサの位置がそれぞれのDNAクラスターとセンサ間で異なるため、塩基伸長時にプロトンの濃度上昇として検出される信号値も距離によりばらつき、結果として信号のS/Nの低下を招く。また、DNAクラスターの形状も制御できないため、DNAクラスターより放出されるイオンであるプロトンもDNAクラスター形状を反映し、プロトンの濃度ばらつきを増大させる。これもS/Nの低下を招く。
これらの問題に対して、本実施例で説明した、プライマの固定が区画化され、センサ上方に1対1に規則的に配置する、基板上におけるDNA増幅方法は、信号のS/Nの上昇を図る方法として有功である。
本発明の第4の実施例として、プライマの固定が区画化された基板上におけるDNA増幅反応について、図4を用いて以下に説明する。本実施例においては半導体プロセスを駆使し、基板上にピラー状の構造物を形成し、そのピラー間で基板上のDNA断片を増幅する方法について説明する。
a) 基板にはプライマ被覆部301が形成され、その上にはプライマ302が高密度で固定されている。また、ピラー303は基板上に規則正しく配置されている。ピラー上部の304においてはDNA断片が吸着しないように、パッシベーション膜の処理が施されている。
b) 2つのピラーに挟まれたウェル空間内にDNA断片305が1分子あるいは0分子供給されるように投与サンプルの濃度調整を行う。ピラー304上のプライマ302とハイブリしたDNA断片1分子は増幅反応を開始する。なお、増幅時の温度は約60℃である。
c) 第3の実施例で説明したようにDNA断片305はプライマ302と結合し、DNA断片305を鋳型として結合したプライマが伸長する。伸長反応が完了したDNA断片305は隣接するプライマ分子に移動し、隣接したプライマが伸長を始める。また、伸長反応が完了したプライマの3’末端にはプライマが結合し、基板方向に伸長を開始する。この反応を繰り返すことにより、DNA断片305を結合したウェル内壁においてプライマ302と同等の密度で増幅させることができる。また、ピラー上部にはパッシベーション膜304が施されているため、プライマ302は存在しない。このため、ピラー303を乗り越えたDNA増幅は発生しない。
本実施例により、平面基板上での増幅をピラー上で行うことにより、DNA断片の密度の向上を図ることができる。
本発明の第5の実施例として、最適濃度でDNA断片を基板上に投与し、増幅し、再びDNA断片を基板上に供給する作業を繰り返すことにより、有効パネル数を増加させる方法について、図5を用いて以下に説明する。表aはパネル1区画の上方に存在するDNA断片数の数が変化したとき、パネル1区画にDNA断片が1個のみ入る確率を表す。これは下記に示すポアソン分布で表現される。
ここでλは予想平均、xはイベント数である。表aではイベント数、つまりパネル1区画に入るDNA断片数 x を1と固定し、予想平均、つまり濃度λを変化させた図である。パネル1区画にDNAが1断片のみ入る確率が最も高いのは36.8%であり、濃度が1である場合であることが分かる。従って、基板に投与するDNA断片の濃度を、パネル1区画あたり1DNA断片を含む濃度に調整した場合、36.8%のパネルに1分子のDNA断片が結合することになる。この状態で増幅反応を行うと、1分子以上のDNA断片を結合したパネルでのみ増幅が発生し、各パネルの全領域がDNA分子で覆われる。図cに示すように上述した濃度でDNA断片を基板に投与すると、1区画に入るDNA断片数n=0のパネルが36.8%、n=1が36.8%, n=2が18.4%,n=3が6.1%であることが分かる。2分子以上のDNA分子が吸着してしまったパネルにおいては塩基伸長反応毎に2種類の信号が混ざってしまい、データとして採用できない。しかしながら、この濃度ではパネル上にDNA分子が全く吸着していないパネルが36.8%も存在する。従って増幅反応終了時もこれらのパネルには増幅産物が生成していない。これらのパネルに対して、増幅後に再びDNA断片を振りかけ、増幅を行う。この作業を繰り返していくと、図bおよび表cに示されるように6回目の増幅を完了した時点で、1種類のDNA塩基配列を保持したパネルの確率を58.1% まで上昇させることができる。この方法は、スループットの増大を図る上で、有効な手段である。
本発明の第6の実施例として、DNA断片の増幅および塩基配列解析を行うパネル数を増大させる方法について図6を用いて以下に説明する。
図1ではパネルおよびセンサはフローチップの底面のみ使用していた。これに対し本実施例では図6に示すように、フローチップの上面および底面の両面にパネルおよびセンサを配置する。なお、プライマ被覆部606上にはプライマが6〜25万コピー/μm2の密度で固定されている。異なるヌクレオチドを送液する度に伸長反応が発生するDNAクラスターでは、伸長反応に伴ってプロトンが放出される。結果としてクラスター近傍のpHが一時的に上昇し、パシベーション膜608を介して、DNAクラスター直下のイオン感応型電界効果トランジスタ(ISFET)610がそれを検出する。なお、フローチップは試薬注入口611および試薬排出口612を有する。本実施例ではフローチップの両面を増幅および塩基配列解析の反応場をとして用いることで、反応に用いる試薬量を増やさずに、塩基配列解析のスループットを増大することができる。
本発明の第7の実施例として、溶液交換を行わずにDNAの塩基配列解析方法について図7を用いて以下に説明する。フローチップ内に注入される反応溶液にはケージド化合物で修飾されたdATP701, dCTP702, dGTP703, dTTP704および伸長反応を行う酵素が存在している。ここで特徴的なことは塩基伸長に必要な4種類のヌクレオチドが反応溶液に全て含まれていることである。本実施例で用いる温度センサ010は微小である。センサの間隔は0.1〜10μmの間であることが望ましい。より望ましくは 0.2〜2μmであることが望ましい。また、センサ自体の大きさは0.1〜10μmの間であることが望ましい。より望ましくは 0.2〜2μmであることが望ましい。
光学検出を用いるシーケンサ―で洗浄が必要である理由は、蛍光色素を用いることによる。フローセル内に浮遊している蛍光色素があると、背景光の上昇を招くため、浮遊色素の洗浄を行わざるを得なかった。一方、特許文献1におけるPost-Lightシーケンサでは、洗浄が必要である理由は、残存しているヌクレオチドが伸長に寄与してしまうノイズを低減するためである。検出した信号が直前に流し込んだヌクレオチドであることを保証するために、dA,dC,dG,dTの交換前後に洗浄バッファーでフローセル内を置換する。より詳細には、dAを流した後、洗浄バッファーでフローセル内を洗浄し、dAを完全に洗い流す。その後、dCをフローセル内に流し込み、伸長反応が完了した後、洗浄バッファーを再びフローセル内に流し込み、dCを完全に洗い流す。上述の作業をdG,dTについても行う。この方式はS/Nを向上する点については有効であるが、大量の試薬および溶液を消費する。これは装置のランニングコストを増大させる。また、装置内に試薬を保持するスペースおよび廃液タンクなどを確保する必要が生じるため、装置の巨大化を招く。
より具体的には、200塩基の伸長反応を行うためには少なくとも200塩基/ヌクレオチド x 4ヌクレオチド = 800 回の酵素を含んだ溶液交換を行う必要がある。しかしながら、酵素はPost-Lightシーケンサで用いる試薬の中で最も効果なものであり、装置のコストパフォーマンスを上げるためには、溶液交換を極力少なくする必要がある。また、溶液交換に必要となる試薬をストックする試薬ラック、この冷却機構、および試薬の分注機構、これをフローセル内に送るポンプおよび切り替えバルブなどが必要となる。これらは装置のコンパクト化を著しく妨げるものであった。また、診断などに用いるPOCT対応装置への対応を困難なものにしていた。更に溶液交換の頻度が増えれば、液漏れのリスクも増大するという問題もあった。上記の理由から、塩基伸長反応中の溶液交換回数の低減が大きな課題であった。
本実施例では微小温度センサを採用することにより、4種類の異なるヌクレオチドの取りこみを識別することが可能となる。従って、例として、caged 化合物を修飾した4種類のヌクレオチドを混ぜてフローセルに注入し、溶液交換を行わないで伸長反応を行うといった方式が可能となる。使用する試薬量を大幅に低減できるため、塩基配列解析に要するコストを低減できるという効果をもたらす。また、装置のコンパクト化を容易にし、携帯が容易な装置の製造が可能となる。
本実施例のより具体的な事例について以下に説明する。反応溶液は溶液注入口711を介してフローチップに導入される。より詳細には、各ヌクレオチドはUV光の照射により解離するニトロベンジル基が修飾されている。各ヌクレオチドはケージド化合物で修飾されているため、取り込まれると次の塩基の伸長を立体的に阻害するため、塩基伸長は1塩基ずつしか進行しない。伸長反応を進行させるためには、UV光を照射することによりケージド化合物を解離し、各ヌクレオチドを生体内に存在する状態に戻し、塩基伸長反応が進行できる状態に戻すことが必要となる。dATP701, dCTP702, dGTP703, dTTP704の取り込みに伴って発生する熱量はdGTP>dCTP >dTTP>dATPである。より具体的にはそれぞれ-32.3, -25.2, -16.0, -9.8 kcal/bpであるため、この熱量による温度上昇を計測することにより塩基配列を決定することが可能となる。
一方、実施例2および3で説明した方法を用いて、フローチップ底面には1種類の塩基配列から構成されるDNAクラスターが基板上に規則正しく2次元の格子状に配置されている。フローチップの底面は光透過性を有する薄膜708で構成される。プリズム713を用いることでUVレーザ715から発せられたUV光714をフローチップ底面の薄膜708に全反射状態で導入することができる。全反射したUV光714を導入すると、パネル上に形成されたDNAクラスター内に取り込まれた修飾ヌクレオチドの修飾基を切断し、インタクトな状態に戻すことができる。全反射照明は薄膜708と溶液の界面に染み出す光であるため、クラスターに取り込まれた、ケージド化合物で修飾されたヌクレオチドのみに照射される。結果として溶液中のヌクレオチドはUV光714の影響を受けず、ケージド化合物の解離は進行しないが、クラスターに取り込まれたケージド化合物の解離を選択的に進行させることが可能となる。
インタクトな状態に戻ったDNA分子は、塩基伸長を阻害していた立体構造がなくなるため、次の塩基の取り込みが行われる。塩基の取り込みが修了した後、次の塩基の取り込みを逐次的に進めるため、UV光714の照射を行う。このプロセスを繰り返すことにより、DNAの塩基配列を解読することができる。
この方法の大きな利点は、溶液交換を行わないで塩基伸長反応を計測できることである。この結果装置の小型化が可能となり、試薬の交換の省略は、試薬使用量および試薬に要するコスト低減もできる。また、廃液タンクなどを準備することなく、フローチップごと廃棄すればいいため、環境にも優しい。また、溶液交換がないため、溶液交換に伴う試薬の液漏れの可能性を除去することができる。
また、本実施例における温度上昇の測定データについて図9を用いて説明する。UV光714の照射時間は25msである。一方、塩基取り込みは秒のオーダーで進行する。いずれも熱を発生するため、温度上昇を引き起こすが、両者の時間オーダーは二桁異なるため、両者を分離することは容易である。また、異なる4塩基の識別データとして図10を用いて説明する。これはある特定の一つのDNAクラスターにおける伸長反応に伴って発生する温度上昇を、DNAクラスターに対応する温度センサで計測したものである。温度上昇はdGTP>dCTP >dTTP>dATPであるため、計測される温度上昇は異なる。これにより4塩基の識別が、溶液交換を行わない環境下で可能となる。また、それぞれのDNAクラスターにおいて最終的なDNA個数が異なったとしても、それぞれのDNAクラスターにおいて検出される信号強度を規格化し、相対的に強度比を算出することにより、4塩基の識別が可能となる。
本発明の第8の実施例として、溶液交換を行わずにDNAの塩基配列解析方法について図8を用いて以下に説明する。基本校正は図7で説明した実施例7と同様である。しかしながら、本実施例ではフローチップ上の溶液交換および塩基伸長反応後の洗浄を行う。また、伸長反応に用いる溶液が2種類である点が特徴である。第一の反応溶液にはdGTPおよびdATPが含まれる。一方、第二の反応溶液にはdCTPおよびdTTPが含まれる。なお、全てのヌクレオチドはケージド化合物が修飾されている。上述したように反応溶液を2分した理由は、dGTPとdCTPの塩基伸長反応に伴って発生する熱量が-20.0, -16.0 kcal/bpと近い値であるためである。更にdATPとdTTPが発生する熱量も-9.8, -8.2 kcal/bpと近い。これを効率よく分離するため、dGTPおよびdATPを含んだ第一溶液、dCTPおよびdTTPを含んだ第二溶液を準備する。以下に塩基伸長反応を解析するプロセスを説明する。
a)において第一溶液をフローセル内に注入する。b)において伸長反応が進行し、dGTPおよびdATPの取り込みにより発生した温度上昇を温度センサが検出する。dGTPとdATPの温度上昇は大きく異なるため、両者の取り込みを判別することが可能となる。その後、ヌクレオチドdGTPとdATPを含む第一溶液を、洗浄液により洗い流す。c)において、次の塩基伸長反応に移行するため、取り込まれたヌクレオチドに収縮されたケージド化合物をUV光照射により解離させる。これにより取り込まれたヌクレオチドはインタクトな状態に戻り、次の塩基伸長反応が可能な状態となる。d)において第二反応溶液をフローセル内に流し込む。e)においてはb)と同様に伸長反応が進行し、dCTPおよびdTTPの取り込みにより発生した温度上昇を温度センサが検出する。dCTPとdTTPの温度上昇は大きく異なるため、両者の取り込みを判別することが可能となる。その後、ヌクレオチドdCTPとdTTPを含む第二溶液を、洗浄液により洗い流す。f)においてもc)と同様にUV光を照射し、DNAクラスター内部のケージド化合物を切断し、次の伸長反応に進むことが可能となる。
001…ヒートブロック
002…フローセル
003…ペルチェ素子
004…ヒートシンク
005…ファン
006…プライマ被覆部
007、104…DNAクラスター
008、304、608…パシベーション膜
010、610…イオン感応型電界効果トランジスタ(ISFET)
011、611、711…試薬注入口
012、612、712…試薬排出口
013…PC
014…試薬送液機構
015…制御バルブ
016…廃液タンク
101…基板
102、104…パネル
103、305…1分子のDNA断片
201、301、606…プライマ被覆部
202、206、302…プライマ
203…DNA断片
204…プライマが伸長したDNA増幅断片
207、306、707…増幅反応が完了したDNAクラスター
303…ピラー
701…ケージド化合物で修飾されたdATP
702…ケージド化合物で修飾されたdCTP
703…ケージド化合物で修飾されたdGTP
704…ケージド化合物で修飾されたdTTP
708…薄膜
710…温度センサ
713…プリズム
715…UVレーザー
714…UVレーザー光

Claims (9)

  1. 基板内に規則正しく格子状に配置された2個以上のセンサと、そのセンサ真上に配置された分子群と、分子群と分子群の間に配置された非特異吸着防止膜と、基板を温度調節できる機構を持ち、
    前記分子群がDNAであり、
    前記基板上にはピラー状の構造物が形成されており、当該ピラー状の構造物の上部にはDNA断片が吸着しないように、パッシベーション膜の処理が施されており、
    前記ピラー状の構造物間でDNA断片を増幅させることを特徴とする分析装置。
  2. 請求項第1項記載の分析装置において、基板に溶液を供給できる機構を備えることを特徴とする分析装置。
  3. 請求項第1または2項記載の分析装置において、前記センサと相補的な塩基配列を持つ外来DNA1分子を捕捉し、かつ温度調節による増幅反応を行うことができることを特徴とする分析装置。
  4. 請求項第2または3項記載の分析装置において、前記溶液に酵素、プライマおよび4種類のデオキシリボヌクレオチド三リン酸 (dATP, dCTP, dGTP, dTTP)を含むことを特徴とする分析装置。
  5. 請求項第1ないし4項のいずれか記載の分析装置において、前記温度調節する機構の調節温度範囲が0℃〜100℃であり、前記基板上でPCRに必要なサーマルサイクル、あるいは等温増幅反応を行うための温度制御が可能であることを特徴とする分析装置。
  6. 請求項第1ないし5項のいずれか記載の分析装置において、前記センサが基板上の化学反応に伴って放出されるイオンあるいは熱を検出することができる半導体センサであることを特徴とする分析装置。
  7. 請求項第1項記載の分析装置において、基板が光透過性を持ち、基板に紫外線を全反射条件で入射することができる光源を備えることを特徴とした分析装置。
  8. 請求項第7項記載の分析装置において、前記溶液に酵素、プライマおよびケージド化合物で修飾された4種類のデオキシリボヌクレオチド三リン酸 (dATP, dCTP, dGTP, dTTP)を含むことを特徴とする分析装置。
  9. 請求項第8項記載の分析装置において、センサ真上の分子群に取り込まれたデオキシリボヌクレオチド三リン酸のケージド化合物を紫外線により分解し、反応の進行を制御することができることを特徴とする分析装置。
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