JP6081867B2 - 構造物劣化診断システム - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、トンネル内の吊り下げ構造物、あるいは張り出し構造物のような構造物の取付状態の劣化を、長期にわたってモニタすることができるとともに、センサの故障診断機能を備えた構造物劣化診断システムに関する。
構造物の劣化状態を検出する方法としては、検査員による定期検査により、目視あるいは何らかの計器を用いて行われることが主流であった。また、劣化診断対象であるトンネルなどの構造物に経年的に発生する亀裂に関して、定量的な検査を、簡単かつ迅速に行う従来技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1では、紫外線または青色系可視光などの励起光によって発光する蛍光色素を、劣化診断対象である構造物にあらかじめ混入させている。そして、この構造物に紫外線または青色系可視光などを発光する光源を照射し、目視あるいはCCDカメラ等による撮像画像の解析処理により、亀裂の発生を定量的に判断している。
特開2013−83493号公報
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1では、定量的な劣化診断を可能にしてはいるものの、あくまでも、検査員による定期検査を基本としている。さらに、劣化診断対象の構造物に対して、蛍光色素をあらかじめ混入させておく必要があった。
一方、近年では、構造物の劣化診断を定期検査よりも短い周期で、検査員を介さずに無人で行うことのできる劣化診断システムが望まれている。また、トンネル等においては、トンネル自身の壁面や天井の劣化状態以外にも、トンネル内の吊り下げ構造物、あるいは張り出し構造物のような構造物の取付状態の劣化を、定量的に診断する必要性がある。さらに、新規の構造物だけでなく、既存の構造物に対しても、容易に対応できることが望まれる。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、構造物の取付状態の劣化を、検査員よる定期検査を必要とせずに、定量的に診断することができるとともに、センサの故障診断機能を備えた構造物劣化診断システムを得ることを目的とする。
本発明に係る構造物劣化診断システムは、固定面に取り付けられ、劣化診断対象である構造物に設置された複数のセンサヘッドのそれぞれから出力される構造物の加速度情報に基づいて、構造物の取付状態が正常か否かを診断するセンサコントローラを備えた構造物劣化診断システムにおいて、センサコントローラにより実行される構造物劣化診断システムであって、複数のセンサヘッドのそれぞれから取得した加速度情報に基づく特徴量として、構造物の傾き情報および固有振動数情報の少なくとも一方の情報を、複数のセンサヘッドのそれぞれについて個別に抽出する特徴量抽出部と、特徴量抽出部により抽出された特徴量に基づいて、正常状態において求めた基準データと、劣化診断時において求めた診断データとが所定量以上の有意差を有する場合には、構造物の取付状態に異常が発生していると判定する判定部とを備え、判定部は、劣化診断時において、複数のセンサヘッドについて、異常状態でないことを判定するために、加速度情報から得られるセンサ診断用履歴データを個別に算出し、複数のセンサヘッドのうち、第1のセンサヘッドについて算出された第1のセンサ診断用履歴データと、第2のセンサヘッドについて算出された第2のセンサ診断用履歴データとの比である比較値を算出し、算出した比較値があらかじめ規定した許容範囲内にない場合には、少なくとも第1のセンサヘッドあるいは第2のセンサヘッドのいずれかが異常状態であると判定するものである。
本発明によれば、加速度情報に基づく特徴量から算出された確率密度分布の変化度合を検出することで、定量的な劣化診断を可能とするとともに、劣化診断時における複数のセンサヘッドの検出結果に基づく履歴データの比較値が許容範囲を逸脱することで、センサヘッド自身の故障診断を可能とすることにより、構造物の取付状態の劣化を、検査員よる定期検査を必要とせずに、定量的に診断することのできるとともに、センサの故障診断機能を備えた構造物劣化診断システムを得ることができる。
本発明の実施の形態1における構造物劣化診断システムの構成図である。 本発明の実施の形態1における第1の劣化診断部による劣化診断処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1における3軸分の傾き情報の収集に関する具体例を示した図である。 本発明の実施の形態1における3軸分の傾き情報に関する確率密度分布の具体例を示した図である。 本発明の実施の形態1における、ある1軸の傾き情報に関する確率密度分布、確率密度比、および評価値の具体例を示した図である。 本発明の実施の形態1における第2の劣化診断部による劣化診断処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1における3軸分の振動数情報の収集に関する具体例を示した図である。 本発明の実施の形態1における3軸分のパワースペクトルの算出結果を示した図である。 本発明の実施の形態1における、ある1軸について算出された学習時の確率密度分布、劣化診断時の確率密度分布、および両者の比である確率密度比の具体例を示した図である。
以下、本発明の構造物劣化診断システムの好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本発明は、劣化診断対象である構造物に取り付けられたセンサから得られる加速度情報に基づいて、構造物の傾きあるいは固有振動数に関する特徴量の確率密度分布を求め、正常時における確率密度分布と劣化診断時における確率密度分布との間に有意差がある場合には、取付状態に何らかの劣化が発生していると判断するとともに、センサの故障診断機能を備えたことを技術的特徴としている。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における構造物劣化診断システムの構成図である。本実施の形態1における構造物劣化診断システムは、センサコントローラ10、およびN個(Nは、2以上の整数)のセンサヘッド20(1)〜20(N)を備えて構成されている。
なお、本実施の形態1における構造物劣化診断システムでは、最低限、1個のセンサヘッド20を設けておけば、劣化診断を実施することが可能である。また、複数用いる場合のN個のセンサヘッドのそれぞれの機能は、全て共通である。そこで、以下の説明では、それぞれのセンサヘッドを区別する必要がない場合には、(1)〜(N)の添字を用いずに、単にセンサヘッド20と記載する。
N個のセンサヘッド20のそれぞれは、センサ部21と、加速度情報出力部22を有しており、劣化診断対象である構造物の異なる位置に設置されている。ここで、構造物の具体例としては、トンネル内の吊り下げ構造物、あるいは張り出し構造物が挙げられ、本発明の構造物劣化診断システムによって、長期にわたって構造物の取付状態の劣化診断が行われることとなる。
このような構造物としては、トンネル内に設置されるジェットファン、情報板、標識等が対象とされ、トンネルを形成する躯体のコンクリートから吊り下げまたは張り出される重量物が挙げられる。そして、構造物に対してセンサヘッド20が好ましくは2個設置され、各々を構造物に対して両端となる部分に設置することで、構造物の変位をいずれかが大きく捕らえることとなる。
そのため、N個のセンサヘッド20は、構造物の変位を大きく捕らえるために、設置面の方向に対して、各々が離れる位置に設置される。さらに、センサヘッド20は、交換を容易にするため、2個等の複数個を2組としてもよく、1組ごとで交換することにより、監視状態を継続することができる。
センサ部21は、例えば、薄膜の水晶振動子を用い、応答性に優れ、測定範囲がDC〜数十Hz程度の加速度を測定可能な3軸加速度センサである。このように、加速度センサに3軸のセンサを用いることにより、水平出しが不要となり、傾きや振動の方向に関わらず、センサ出力を行うことができる。したがって、水平出しを行うなど、傾きの方向などが特定できる場合には、2軸や1軸であってもよい。
また、加速度情報出力部22は、センサヘッドの設置箇所における構造物の3軸の加速度に関するアナログ信号を、所定のサンプリングレート(例えば、50Hzのサンプリングレート)でデジタル信号に変換し、加速度情報としてセンサコントローラ10へ送信する。なお、加速度情報出力部22は、一例として、CANやRS232C等の通信I/Fを介して、デジタル信号である加速度情報をセンサコントローラ10に送信することができる。
また、センサコントローラ10は、構造物近傍のN個のセンサヘッド20に配線が届く位置に設置され、N個のセンサヘッド20のそれぞれから取得した加速度情報に基づいて、構造物の取付状態が正常か否かを判断する。具体的には、センサコントローラ10は、加速度情報に基づいて、傾き情報を第1の特徴量として抽出し、構造物の取付状態の劣化診断を行う第1の劣化診断部11と、加速度情報に基づいて、固有振動数情報を第2の特徴量として抽出し、構造物の取付状態の劣化診断を行う第2の劣化診断部12を有している。
また、センサコントローラ10は、診断結果、あるいは診断に用いたデータ等を、図示しない制御装置に送信できるようにするために、例えば、イーサネット(登録商標)等の大容量通信I/Fを備えることができる。
構造物としてジェットファン等が設けられるトンネル設備の場合、詳細に示さないが、トンネル内の情報は、トンネル近傍に設けられた、いわゆる電気室内に設置される制御装置に集約され、さらに、監視者の居る遠方監視制御装置に移報されて、双方で情報が共有される。後述する劣化診断の処理に従い、劣化が生じていると判定された結果が、上記各制御装置に表示や警報音等で報知される。このような判定結果は、別途劣化診断システムの設備業者や点検業者のセンタ装置に送られてもよく、異常発生時に迅速な対応を可能にできる。
また、劣化を判定するレベルを次のように細分し、そのレベルに応じて対応を変えてもよい。例えば、劣化の判定レベルは、
レベル1:「定期点検等で詳細に点検する必要有り(確認レベル)」
レベル2:「現場を確認し、今後の改良計画等を検討する必要あり(計画レベル)」
レベル3:「速やかに改善を必要とする事態で、至急現場へ急行する必要有り(改善レベル)」
レベル4:崩落を含む緊急事態(緊急レベル)」
とレベル分けし、レベル1、2は、各制御装置の盤面で簡単に表示するだけとし、レベル3、4の段階になって、詳細な警報表示や警報音鳴動等を行うようにしてもよい。
さらに、業者のセンタ装置で常時判定に用いるデータを収集し、別途、多面的に分析を行い、例えば、レベル3に達するまでの時期予測などを行ってもよい。トンネルは、遠方監視制御装置によって、常時監視員に監視されていることが多いが、そうでない場合もあり、日常の管理設備が十分でない場合は、業者のセンタ装置を介して、緊急時の一次対応として現場を確認し、状況を報告する対応を、業者の係員に行わせることも可能である。
そして、第1の劣化診断部11および第2の劣化診断部12は、いずれも、監視対象である構造物の正常時における確率密度分布と、劣化診断時における確率密度分布とを比較し、有意差が生じたことで構造物の劣化を検出する点では共通している。ただし、傾き情報を特徴量として劣化診断を行う第1の劣化診断部11と、固有振動数情報を特徴量として劣化診断を行う第2の劣化診断部12とでは、具体的な信号処理方法が異なっており、以下において、詳細に説明する。
(1)第1の劣化診断部11による傾き情報に基づく劣化診断の処理の流れについて
図2は、本発明の実施の形態1における第1の劣化診断部11による劣化診断処理の流れを示すフローチャートである。この図2のフローチャートに基づいて、傾き情報に基づいた第1の劣化診断部11による具体的な劣化診断処理について説明する。
まず始めに、ステップS201において、第1の劣化診断部11は、センサヘッド20内の加速度情報出力部22から取得した加速度情報に基づいて、傾き情報の抽出を行う。具体的には、第1の劣化診断部11は、例えば、50HzのサンプリングレートでX、Y、Z軸の加速度情報を取得する。そして、第1の劣化診断部11は、この加速度情報を用いて、各軸毎にディジタルフィルタによるローパスフィルタ処理を行う。ローパスフィルタのカットオフ周波数は、例えば、0.1Hz程度とする。
ここで、DC成分を含む3軸加速度の低周波成分は、傾き情報と等価である。そして、ローパスフィルタ処理された傾き情報は、急速に変化する高周波成分を含まない。このため、劣化検出のための傾きデータのサンプリングレートを遅くしても、情報は欠損しない。具体的には、カットオフ周波数の2倍程度のサンプリングレートがあれば、標本化定理を満たすことができ、0.1Hzのカットオフ周波数に対しては0.2Hzのサンプリング周波数、すなわち、5秒間隔のサンプリングでよい。
図3は、本発明の実施の形態1における3軸分の傾き情報の収集に関する具体例を示した図である。図3に示すように、第1の劣化診断部11は、サンプリング間隔ΔTごとに、3軸分の傾き情報を収集することとなる。なお、本発明での「傾き情報」とは、ある基準方向を0度として規定した際の、180度から−180度までの範囲の傾きを意味しており、図3の縦軸に示した「傾き情報」は、基準方向に対する180度から−180度までの傾きを、1から−1として正規化して示したものである。
次に、第1の劣化診断部11は、ステップS202において、センサヘッド20の取り付け方向の修正を行う。具体的には、第1の劣化診断部11は、センサヘッド20の取り付け方向のキャリブレーションデータ(アフィン変換の行列の要素)と、先のステップS201で得られたサンプリングデータを行列演算することで、それぞれのセンサヘッド20の座標軸を一致させるように、取り付け方向の誤差修正を行う。ここで、キャリブレーションデータは、センサヘッド20が交換されて新規センサヘッドが用いられる場合には、新規センサヘッド用のデータに置き換えなければならない。
このステップS202は、センサヘッド20の取付方向に依存せず座標軸を揃えることが目的であり、センサヘッド20が3軸で方向に関わらず傾きや振動を検出できることから、センサ出力をそのまま用いる場合には、なくてもよい。
次に、第1の劣化診断部11は、ステップS203において、センサヘッド20の取り付け方向の誤差修正後の傾き情報に対して、対数化処理(デシベル化)を行う。微小な傾き情報の計測のために、例えば、1/100万[G]単位の分解能を元にして、後述する確率密度分布を得ようとすれば、そのために必要となる記憶領域は、膨大となる。そこで、本実施の形態1の第1の劣化診断部11は、加速度を対数化(デシベル化)し、デシベルデータに基づいた分類により確率密度分布を求めることで、効率のよい量子化を行っている。
次に、第1の劣化診断部11は、ステップS204において、傾き情報に基づく劣化診断を行うために、確率密度分布の生成処理を行う。第1の劣化診断部11は、例えば、先のステップS203でデシベル化された傾き情報を用いて、0.5デシベル単位で累積度数分布を作成し、これに局所平滑化処理を施すことで、確率密度分布を生成する。なお、平滑化処理としては、例えば、ガウス関数を適用することができる。
なお、設置時の初期学習データとしての確率密度分布は、例えば、1ケ月程度のデータを用いて生成される。一方、劣化診断時の現在のデータとして作成する確率密度分布のデータ数は、例えば、過去3時間〜24時間程度のデータに基づいて生成される。
また、基準データとなる正常時における学習データとしては、必ずしも設置時に取得したデータを継続して使用する必要はない。長期にわたって劣化診断を行うため、劣化診断を行う過程で、継続的に学習データを更新することも可能である。そして、劣化監視時に継続学習データとして採用する確率密度分布は、例えば、過去数時間〜数週間程度のデータに基づいて生成される。
図4は、本発明の実施の形態1における3軸分の傾き情報に関する確率密度分布の具体例を示した図である。各軸の1次元の確率密度分布は、傾きなしの中点に対して、正方向の傾きおよび負方向の傾きが大きくなるに従って、中点から両側に広がるような分布として表される。
次に、第1の劣化診断部11は、ステップS205において、劣化診断時に求めた各軸の確率密度分布(診断時データに相当)を、学習時に求めた各軸の確率密度分布(基準データに相当)で割ることで、両者の比率を計算し、それぞれの軸について確率密度比の分布データを生成する。なお、基準データとしては、初期設定時のデータ以外に、継続学習データにより更新された学習データを採用することもできる。
図5は、本発明の実施の形態1における、ある1軸の傾き情報に関する確率密度分布、確率密度比、および評価値の具体例を示した図である。図5(a)、(b)に示すように、確率密度分布のピークがずれた際には、そのずれたピーク位置を中心に、1よりも大きな確率密度比の分布が発生することとなる。
さらに、第1の劣化診断部11は、各軸について算出された傾きに関する確率密度比をベクトルに見立てて、ベクトル長を計算する。具体的には、第1の劣化診断部11は、図5(c)に示すように、3軸の確率密度比のユークリッド距離としてベクトル長を求め、劣化診断のための評価値とする。
そして、最後に、ステップS206において、第1の劣化診断部11は、確率密度比のベクトル長が、劣化判定の基準値未満であるならば正常とし、基準値を超える分布データが存在する場合には、劣化が生じていると判定する。
以上の内容を整理すると、傾き情報に関する確率密度分布を利用して、構造物の取付状態の劣化診断を実施するに当たっては、以下の処理を行うことを特徴としている。
[特徴1]加速度情報の低周波成分を抽出することで、傾き情報を取得する。
[特徴2]傾き情報のサンプリングレートは、情報が欠損しない程度に遅くでき、例えば、5秒間隔でデータ収集を行うことができる。
[特徴3]取り付け方向の修正がなされた傾きデータをデシベル化することで、記憶容量を削減した上で、効率的な量子化を行っている。
[特徴4]所定のデシベル単位に基づいて、学習時および劣化診断時の確率密度分布を算出し、3軸の確率密度比のユークリッド距離としてベクトル長を求め、劣化診断のための評価値としている。
[特徴5]基準値を超える評価値がある場合には、センサヘッド20が設置された部分で、構造物の傾きが許容できないレベルに達していると判断し、劣化状態を定量的に判断する。
(2)第2の劣化診断部12による固有振動数情報に基づく劣化診断の処理の流れについて
次に、第2の劣化診断部12による具体的な処理内容を説明する。
図6は、本発明の実施の形態1における第2の劣化診断部12による劣化診断処理の流れを示すフローチャートである。この図6のフローチャートに基づいて、固有振動数情報に基づいた第2の劣化診断部12による具体的な劣化診断処理について説明する。
まず始めに、ステップS601において、第2の劣化診断部12は、センサヘッド20内の加速度情報出力部22から取得した加速度情報に基づいて、振動数情報の抽出を行う。センサヘッド20からは、例えば、50HzのサンプリングレートでX、Y、Z軸の加速度情報が出力されている。しかしながら、常に大きな振動が発生している訳ではない。一方、周波数解析を行うに当たっては、高いサンプリングレートが必要であり、常時、データを取得するためには、膨大な記憶領域を要する。
そこで、本実施の形態1における第2の劣化診断部12は、取得した3軸の加速度情報のうち、少なくとも1軸において、あらかじめ設定した基準レベルを超えた加速度が得られた場合には、過去から未来に亘るデータを2nの一定数(例えば512個)取得している。
図7は、本発明の実施の形態1における3軸分の振動数情報の収集に関する具体例を示した図である。図7においては、X軸において測定された加速度データが、基準レベルを超えた際に、その時点をイベントトリガとして、3軸分それぞれに過去データと未来データからなる一定数のデータを記憶する場合を例示している。
次に、第2の劣化診断部12は、ステップS602において、センサヘッド20の取り付け方向の修正を行う。具体的には、第2の劣化診断部12は、センサヘッド20の取り付け方向のキャリブレーションデータ(アフィン変換の行列の要素)と、先のステップS601で得られた一定数のデータのそれぞれを行列演算することで、それぞれのセンサヘッド20の座標軸を一致させるように、取り付け方向の誤差修正を行う。ここで、キャリブレーションデータは、センサヘッド20が交換されて新規センサヘッドが用いられる場合には、新規センサヘッド用のデータに置き換えなければならない。
次に、第2の劣化診断部12は、ステップS603において、誤差修正された3軸データに対し、FFT処理によりパワースペクトルを算出し、固有振動数を求める。図8は、本発明の実施の形態1における3軸分のパワースペクトルの算出結果を示した図である。加速度データには、直流成分(傾き成分)が含まれる。そこで、第2の劣化診断部12は、パワースペクトルから低周波成分を取り除き、残ったスペクトルの中から最大の極大値(図8中のf1x、f1y、f1zに相当)、および第2の極大値(図8中のf2x、f2y、f2zに相当)を求め、これをそれぞれ、各軸の第1固有振動数、第2固有振動数とする。
次に、第2の劣化診断部12は、ステップS604において、第1固有振動数と第2固有振動数をそれぞれ直交軸として、2次元の累積度数分布を作成し、これに局所平滑化処理を施すことで、2次元の確率密度分布を生成する。具体的には、第2の劣化診断部12は、例えば、先のステップS601でのイベントトリガごとに、先のステップS603で得られた第1固有振動数および第2固有振動数で規定される2次元の累積度数分布を作成し、この累積度数分布に局所平滑化処理を施すことで、確率密度分布を生成する。なお、平滑化処理としては、例えば、ガウス関数を適用することができる。
なお、設置時の初期学習データとしての確率密度分布は、例えば、1ケ月程度のデータを用いて生成される。一方、劣化診断時の現在のデータとして作成する確率密度分布のデータ数は、例えば、過去3時間〜24時間程度のデータに基づいて生成される。
また、基準データとなる正常時における学習データとしては、必ずしも設置時に取得したデータを継続して使用する必要はない。長期にわたって劣化診断を行うため、劣化診断を行う過程で、継続的に学習データを更新することも可能である。劣化監視時に継続学習データとして採用する確率密度分布は、例えば、過去数時間〜数週間程度のデータに基づいて生成される。
次に、第2の劣化診断部12は、ステップS605において、劣化診断時に求めた各軸の2次元確率密度分布(診断時データに相当)を、学習時に求めた各軸の2次元確率密度分布(基準データに相当)で割ることで、両者の比率を計算し、それぞれの軸について確率密度比の2次元分布データを生成する。なお、基準データとしては、初期設定時のデータ以外に、継続学習データにより更新された学習データを採用することもできる。
図9は、本発明の実施の形態1における、ある1軸としてX軸について算出された学習時の2次元確率密度分布、劣化診断時の2次元確率密度分布、および両者の比である2次元の確率密度比の具体例を示した図である。図9に示したように、固有振動数に関する確率密度分布は、第1固有振動数および第2固有振動数で規定される2次元のデータとして生成されるが、確率密度比の考え方は、第1の劣化診断部11による傾きデータに関する1次元の確率密度比の考え方と同じである。第2の劣化診断部12は、各軸について算出された2つの固有振動数に関する2次元の確率密度比を、劣化診断のための評価値とする。
そして、最後に、ステップS606において、第2の劣化診断部12は、3軸の確率密度比が、ともに劣化判定の基準値未満であるならば正常とし、いずれか1つでも基準値を超える確率密度比の2次元分布が存在する場合には、劣化が生じていると判定する。
以上の内容を整理すると、固有振動数情報に関する確率密度分布を利用して、構造物の取付状態の劣化診断を実施するに当たっては、以下の処理を行うことを特徴としている。
[特徴1]加速度情報に関して、いずれかの軸で基準レベルを越えた加速度データが得られた時点を含む一定数の加速度データを抽出することで、固有振動数情報を取得する。
[特徴2]固有振動数情報は、その後の周波数解析に用いられるため、センサヘッド20からの出力レートをダウンサンプリングすることは、適切でない。そこで、いずれかの軸で基準レベルを越えた加速度データが得られた時点をイベントトリガとして、過去データと未来データからなる一定数の加速度データを抽出して固有振動数情報を記憶させることで、記憶容量の低減を図っている。
[特徴3]取り付け方向の修正がなされた固有振動数情報について周波数解析を行ってパワースペクトルを算出し、パワースペクトルから低周波成分を取り除いた残りのスペクトルの中から、最大の極大値および第2の極大値を求めることで、各軸の第1固有振動数、第2固有振動数を算出する。
[特徴4]イベントトリガごとに算出された第1固有振動数、第2固有振動数による2次元の直交座標として作成した各軸の累積度数分布から、学習時および劣化診断時の2次元の確率密度分布を算出し、3軸の確率密度比を、劣化診断のための評価値とする。
[特徴5]基準値を超える評価値がある場合には、センサヘッド20が設置された部分で、構造物の振動が許容できないレベルに達していると判断し、劣化状態を定量的に判断する。
以上のように、実施の形態1によれば、劣化診断対象の構造物から得られた加速度情報に基づいて、傾きに関する第1の特徴量および固有振動数に関する第2の特徴量を抽出している。そして、それぞれの特徴量に関して、正常時の基準データに相当する学習時の確率密度分布と、劣化診断時の測定結果に基づく確率密度分布との比較により、有意差が検出された場合には、劣化が発生していると判断している。この結果、構造物の取付状態の劣化診断を、長期にわたって定量的に実施することを可能としている。
なお、上述した実施の形態1では、傾きに関する第1の特徴量に基づく劣化診断と、固有振動数に関する第2の特徴量に基づく劣化診断について説明したが、これら2つの診断は、いずれか1つのみを行うことによっても、劣化診断を長期にわたって定量的に実施することが可能である。
また、上述した実施の形態1による劣化診断は、最小限の構成として、センサヘッドを1個用いた場合にも、劣化診断が可能である。ただし、センサヘッドを設置した箇所では劣化が発生していなくても、他の場所で劣化が発生しているおそれはある。そこで、センサヘッドを複数箇所に設置し、いずれかのセンサヘッドで劣化状態が検出されたときに、構造物の取付劣化が発生したと判断することで、検出精度の向上が期待できる。
さらに、2つのセンサヘッドのデータを活用できる場合には、個々の診断結果に加え、傾きに関しては、2つのセンサヘッドの傾きの差として、振動数に関しては、2つのセンサヘッドの振動の位相差として、確率密度分布に基づく劣化診断を行うことができ、さらなる検出精度の向上が期待できる。なお、振動数に関しては、位相差として行うだけでなく、振幅差として同様に劣化診断を行うこともできる。
また、上述した実施の形態1においては、トンネル内の吊り下げ構造物、あるいは張り出し構造物を劣化診断対象の一例として挙げたが、本発明は、これに限定されない。固定面に取り付けられ、経年的に取付状態が変化してしまうおそれのある構造物であれば、長期にわたって定量的に劣化診断を行うことができる。また、既存の構造物に対して、センサヘッドを後付けすることによっても、センサヘッドの設置以降において、構造物の取付状態の経年的変化を、定量的に診断することができる。
また、上述した実施の形態1においては、正常時の基準データとして、初期段階で学習する場合と、劣化診断時における学習により更新する場合について説明したが、本発明は、これに限定されない。正常であることを判断するための確率密度分布は、唯一である必要はなく、例えば、時間帯毎に個別の基準データを設ける、あるいは構造物に発生する事象毎に別個の基準データを設けることもできる。さらに、経年変化を考慮して、初期段階での確率密度分布と、劣化診断時の学習により得られた新たな確率密度分布を併用することも可能である。
実施の形態2.
本実施の形態2では、複数のセンサヘッド20による検出結果を相互に比較することで、センサヘッドの異常(故障)診断を行う機能について説明する。なお、本実施の形態2における「センサヘッドの異常(故障)」とは、センサ自体が何らかの影響で劣化診断対象の構造物から脱落する、あるいはずれてしまうような設置上の異常と、センサから正確な検出値を出力できなくなってしまうような電気的な異常を含む概念である。
先の実施の形態1で詳述したように、本発明は、センサヘッド20を用いて劣化診断対象の構造物から得られた加速度情報を利用することで、構造物の取付状態の劣化診断を、高精度で実現している。ここで、劣化診断の信頼性を確保するためには、センサヘッド20により検出される加速度情報自体の信頼性を確保することが重要となる。
そこで、本実施の形態2では、複数のセンサヘッド20による検出結果を相互比較することで、劣化診断とは別に、センサヘッド自身の故障診断も行うこととする。なお、説明を簡略化するために、2つのセンサヘッド20(1)、20(2)の検出結果を相互比較することで、センサヘッドの故障診断を行う方法について、以下に説明する。
先の実施の形態1では、劣化診断を行うために、学習時の確率密度分布と劣化診断時の確率密度分布との比としての確率密度比を算出していた。これに対して、本実施の形態2では、センサヘッド自身の故障診断を行うために、劣化診断時における複数のセンサヘッド20(1)、20(2)のそれぞれの確率密度分布の比として、確率密度比を算出する。
具体的には、センサコントローラ10は、先の実施の形態1で説明したように、劣化診断時においては、すでに、センサヘッド20(1)とセンサヘッド20(2)について、X軸、Y軸、Z軸の各軸の確率密度分布を算出済みである。そこで、センサコントローラ10は、軸ごとに、2つのセンサヘッド20(1)、20(2)の確率密度比を算出し、算出した確率密度比があらかじめ規定した許容範囲内に収まっているか否かを判断する。
最終的に、センサコントローラ10は、少なくともいずれか1つの軸の確率密度比が、許容範囲を逸脱している場合には、故障あるいは脱落などによって、2つのセンサヘッド20(1)、20(2)の少なくとも一方に異常が発生したと判断できる。なお、このような故障診断における確率密度分布としては、先の実施の形態1で説明した傾き情報に基づく確率密度分布、あるいは振動数情報に基づく確率密度分布のいずれを採用することも可能である。その場合、センサコントローラ10は、傾き情報および振動数情報の両方に基づく故障診断結果がともに正常なとき(全ての確率密度比が許容範囲以内であるとき)に、故障が発生していないと判断することもできる。
以上のように、実施の形態2によれば、劣化診断時における複数のセンサヘッドの検出結果に基づく確率密度分布の比が、許容範囲を逸脱することで、センサヘッド自身の故障診断を可能としている。この結果、センサヘッドの健全性を確認した上で、劣化診断の信頼性を確保することができる。
なお、上述した故障診断は、必ずしも劣化診断と同じタイミングで常時行う必要はない。たとえば、定期的に故障診断を行う、あるいは、劣化診断により劣化状態が検出された際に、センサヘッド自体の異常がないことを確認するために、故障診断を行うことも可能である。
また、第1のセンサヘッドの故障診断を行うための第2のセンサヘッドとしては、劣化診断を行うために設置されたセンサヘッドを流用することもでき、また、故障診断専用として、第1のセンサヘッドの近傍に設置することもできる。
また、上述した実施の形態2では、構造物の劣化診断で使用した確率密度分布および確率密度比を流用して、センサの故障診断を行う場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。センサの故障診断を行う際には、確率密度分布の代わりに、センサヘッドの出力である加速度情報から得られる履歴データ(あるいは加工データ)を採用し、確率密度比の代わりに履歴データ比較値を採用することも可能である。
実施の形態3.
本実施の形態3では、故障あるいは寿命等により、センサヘッド20を交換する際に、監視状態を継続させるために、旧センサヘッドにより収集した学習データを活用できるように、新センサヘッドによる検出データをキャリブレーションする方法について説明する。なお、説明を簡略化するために、ある1つの箇所に設置されている旧センサヘッド20oldを、その近傍に設置した新センサヘッド20newに交換する際のキャリブレーションを例に、以下に説明する。
本実施の形態3では、旧センサヘッド20oldの近傍に新センサヘッド20newを併設する期間を設けることで、以下のようにしてキャリブレーションを行っている。旧センサヘッド20oldを新センサヘッド20newに置き換える場合には、旧センサヘッド20oldにより検出されるX、Y、Zの3軸の傾きaxold、ayold、azoldと、新センサヘッド20newにより検出されるX、Y、Zの3軸の傾きaxnew、aynew、aznewとを整合させることで(すなわち、旧センサヘッド20oldと新センサヘッド20newのそれぞれの座標軸を一致させることで)、監視状態を継続することができる。
そこで、センサコントローラ10は、併設期間において、旧センサヘッド20oldにより検出された3軸の傾きaxold、ayold、azoldと、新センサヘッド20newにより検出された3軸の傾きaxnew、aynew、aznewとを用いて、下式(1)の関係を満たすアフィン変換行列Xを求める。
Figure 0006081867
このようにして、アフィン変換行列Xが算出できた後には、センサコントローラ10は、新センサヘッド20newにより検出された3軸の傾きa(xnew)、a(ynew)、a(znew)と、アフィン変換行列Xとを用いて上式(1)の演算を行うことで、新センサヘッド20newにより、旧センサヘッド20oldで得られていたデータと座標軸が一致したデータを得ることが可能となる。
なお、上式(1)では、旧センサヘッド20oldおよび新センサヘッド20newのそれぞれにより検出された傾き情報に基づいて、変換行列を算出する場合について説明した。しかしながら、本発明は、これに限定されず、変換行列の算出に当たっては、センサヘッドの設置状態に応じて変化する検出結果を利用することが可能であり、傾き情報の代わりに固有振動数情報に基づいて変換行列を算出することも可能である。
なお、アフィン変換行列による変換は、新センサヘッド20newの検出結果に適用せずに、旧センサヘッド20oldのデータに適用してもよく、すなわち、旧センサヘッド20oldにより収集した学習データを逆向きに変換し、新センサヘッドに合わせるように処理してもよい。
また、先の実施の形態1における図2のステップS202で説明したキャリブレーション機能は、センサヘッド20の取り付け位置に依存せずに、常に座標軸が重力方向などの基準方向に一致するように補正するものである。
従って、この実施の形態1におけるキャリブレーション機能は、旧センサヘッド20oldの座標軸に合わせ込む代わりに、基準の座標軸に合わせ込むものであり、キャリブレーションの概念としては、本実施の形態3と同じである。
すなわち、本実施の形態3において、例えば、重力方向を基準した際の基準情報(基準の傾き情報、あるいは基準の固有振動数情報に相当)がわかっている場合には、現状のセンサヘッド20による検出情報とこの基準情報を上式(1)に代入することで、変換行列を算出することができる。
そして、センサヘッド20を交換する毎に、このような変換行列を求めておき、センサヘッド20による検出情報を、変換行列を用いて変換することで、センサコントローラ10は、基準となる重力方向に一致させた情報に基づく正規化された特徴量を、センサの取り付け方向に依存せずに、常に算出することが可能となる。
このように、変換行列を用いてデータ変換を行うことで、旧センサヘッド20oldを取り除いた後も、旧センサヘッド20oldによる検出結果に基づいて今まで蓄積してきた学習時のデータ、交換を行わない他のセンサヘッドのデータ、および劣化判定に用いる許容レベルをそのまま活用し、一定した劣化診断性能を維持して監視状態を継続することが可能となる。
以上のように、実施の形態3によれば、センサヘッドを交換する際に、新旧2つのセンサヘッドを併設する期間を設け、両センサヘッドによる検出結果からアフィン変換行列を算出しておく。あるいは、センサヘッドを交換する際に、例えば重力方向のような基準方向と一致するような検出結果が得られるように、アフィン変換行列を算出しておく。この結果、アフィン変換を適用することで、交換前のセンサヘッドで得られていたデータを有効活用することができ、センサヘッドの交換に伴う取り付け方向の違いによる劣化診断性能への影響を抑え、一定した劣化診断性能を維持して監視状態を継続することが可能となる。
10 センサコントローラ、11 第1の劣化診断部、12 第2の劣化診断部、20 センサヘッド、21 センサ部、22 加速度情報出力部。

Claims (2)

  1. 固定面に取り付けられ、劣化診断対象である構造物に設置された複数のセンサヘッドのそれぞれから出力される前記構造物の加速度情報に基づいて、前記構造物の取付状態が正常か否かを診断するセンサコントローラを備えた構造物劣化診断システムにおいて、前記センサコントローラにより実行される構造物劣化診断システムであって、
    前記複数のセンサヘッドのそれぞれから取得した前記加速度情報に基づく特徴量として、前記構造物の傾き情報および固有振動数情報の少なくとも一方の情報を、前記複数のセンサヘッドのそれぞれについて個別に抽出する特徴量抽出部と、
    前記特徴量抽出部により抽出された前記特徴量に基づいて、正常状態において求めた基準データと、劣化診断時において求めた診断データとが所定量以上の有意差を有する場合には、前記構造物の取付状態に異常が発生していると判定する判定部と
    を備え、
    前記判定部は、
    劣化診断時において、前記複数のセンサヘッドについて、異常状態でないことを判定するために、前記加速度情報から得られるセンサ診断用履歴データを個別に算出し、
    前記複数のセンサヘッドのうち、第1のセンサヘッドについて算出された第1のセンサ診断用履歴データと、第2のセンサヘッドについて算出された第2のセンサ診断用履歴データとの比である比較値を算出し、算出した前記比較値があらかじめ規定した許容範囲内にない場合には、少なくとも前記第1のセンサヘッドあるいは前記第2のセンサヘッドのいずれかが異常状態であると判定する
    構造物劣化診断システム。
  2. 請求項1に記載の構造物劣化診断システムにおいて、
    前記判定部は、
    前記センサ診断用履歴データとして、劣化診断用に前記複数のセンサヘッドについて個別に算出した前記診断データを流用し、
    前記複数のセンサヘッドのうち、第1のセンサヘッドについて算出された第1の診断データと、第2のセンサヘッドについて算出された第2の診断データとの比として前記比較値を算出し、算出した前記比較値があらかじめ規定した許容範囲内にない場合には、少なくとも前記第1のセンサヘッドあるいは前記第2のセンサヘッドのいずれかが異常状態であると判定する
    構造物劣化診断システム。
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