JP6081163B2 - 放射性セシウムの除染液 - Google Patents

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Description

本発明は、放射性セシウムによって汚染された周辺の環境や放射性セシウムが固着している汚染物質から、常温常圧の温和な条件下で放射性セシウムを除去する均質で安定な除染液に関するものである。
原子力発電所や放射性物質を取り扱う研究所などの原子力施設において、何らかの事故により核分裂生成物であるセシウム137やセシウム134が施設の構内や周囲の環境に漏出した場合、これらの放射性セシウムは物理的半減期がそれぞれ30年及び2年の長期にわたり、また化学的な反応性が高いために施設や周囲の環境を汚染して、放射線量を高め、周辺での安全な作業に長期間支障を来たすことが多い。従って上記のような漏出事故の場合には、可及的速やかに放射性セシウムを水洗いや拭き取り、その他の方法によって、汚染した環境や施設から除去することが必要になる。
元素の周期律表においてセシウムはアルカリ金属類に属し、水に容易に溶け、化学的な反応性が高く、例えば水の共存下で水酸イオン、ハロゲンイオン、炭酸イオン、硫酸イオン、珪酸イオンなどの陰イオンと強い結合を作る。
特に、漏出した周囲の環境中にこれらの交換基を有する物質があった場合には、放射性セシウムがこれらの物質表面の交換基と化学的に安定な結合をつくり、水洗いなどで除去することが困難になる。
このような場合、周囲の物質と化学的に強固に結合した放射性セシウムを除去するには、塩酸あるいは硫酸などの強酸や苛性ソーダ溶液などの強アルカリ水溶液で洗い、放射性セシウムが固着した周囲の物質(汚染物質)を溶解しつつ除去する方法も可能であるが、その場合、微量に存在する放射性セシウムと共に比較的大量の汚染物質を強酸あるいは強アルカリなどによって溶かし出すことになり、かえって周囲の環境を損ね、放射性セシウムの拡散を招く結果になる恐れがあるので、得策ではない。
例えば、非特許文献1や非特許文献2などによればセシウムイオンは土壌中のケイ酸塩鉱物と安定な結合を作り、特にケイ酸塩鉱物が層状の結晶構造をとるときには、その結晶間に入り込んで特に安定な結合を作ることが知られている。
このような場合、層状の結晶を持つケイ酸塩鉱物からセシウムを溶離しようとすれば、高温の硝酸などの非常に強力な酸化剤でケイ酸塩鉱物の結晶構造を壊すほかは無く、このような激しい条件下で脱離を行った場合には脱離操作によって微量の放射性物質を含んだ大量の土砂屑が発生するので、その処理が却って困難になる(例えば、非特許文献3参照)。
従って、このような極端な条件では周囲の環境を回復するという本来の放射性セシウム脱離・回収の目的を達成することは出来ない。
放射性セシウムの、汚染物質を大きく傷つけない温和な脱離方法として、汚染物質をセシウムと結合する溶質を含んだ常温の水溶液で洗浄し脱離する方法があり、その場合セシウムと結合する溶質としてはEDTAなど各種の錯形成剤が考えられる。
その中で特にフェロシアン塩錯体(ヘキサシアノ第一鉄酸イオン)水溶液が一定の効果を有することは、例えば、特許文献3などにより知られている。その場合、放射性セシウムの除去効果は、錯形成物質とセシウムの固着している汚染物質との間に起こるセシウムのイオン交換反応によるものと考えられ、汚染物質とセシウムとの化学的結合の安定性に比較してフェロシアン塩錯体とセシウムの錯形成能力が高い場合には、高い除去効果を上げることが出来る。
そのほかフェロシアン塩錯体を用いた放射性セシウムの回収方法については、例えば、特許文献1などの記述がある。これによれば原子力発電所などで発生する低レベル放射性物質を含んだ廃液に、固体のフェロシアン化銅加えて、廃液中に溶存している放射性セシウムを沈殿し回収する方法が記載されている。
これまで説明して来たとおり、水溶液に溶解した状態、或いは固体表面に固着した状態を問わず、フェロシアン塩錯体を用いて放射性セシウムを分離し回収する方法については各種の方法が知られている。
ところで、放射性セシウムが固着した汚染物質(固体)からセシウムを除去する除染液を提供しようとする本発明とは適用分野が異なるが、放射性物質を含む廃液より、フェロシアン塩錯体と遷移金属イオンのNi,Cu、Coなどの2価陽イオンからなる官能基を表面に有する吸着体(イオン交換樹脂等)に接触させ、吸着体の内部に多重付加型金属塩の沈殿を生成した吸着体を用いて、放射性セシウムを選択的且つ効果的に吸着し、除去する方法が、すでに非特許文献4などによって知られている。
この方法によれば、MR型陰イオン交換樹脂内にフェロシアン化銅あるいはフェロシアン化ニッケルなどの多重付加型金属塩の沈殿を生成させ、これにより多数の放射性核種を含む水溶液から、放射性セシウムイオンの捕集に成功している。
また、これと同様にフェロシアン塩錯体を用いて、セシウムを含有する水溶液からセシウムイオンを吸着し回収する方法は、例えば、特許文献2に開示されている。この特許では、Cu、Co、Ni、Znなどの2価の遷移金属イオンとフェロシアン塩錯体(第一鉄イオンを含む還元型錯体)が作る不溶性沈殿物によって、水溶液中のセシウムイオンを吸着・分離し、その後、該フェロシアン塩錯体沈殿物を硝酸などの酸化剤によって酸化型のフェリシアン塩錯体(第二鉄イオンを含む酸化型錯体)に変換し、これによって吸着したセシウムイオンを脱離する方法が開示されている。
この方法によれば、フェロシアン塩錯体と2価の遷移金属イオンからなる沈殿物は還元型の場合にセシウムイオンの吸着能力を有し、これが酸化型のフェリシアン塩錯体に変化した場合には吸着能力を失うことが示されている。
ただし、これまで説明した水溶液中のセシウムイオンをフェロシアン塩錯体沈殿物によって吸着・分離する方法は、本発明の目的とする、汚染物質の表面に固着している放射性セシウムをフェロシアン塩錯体などの水溶液によって脱離・除去しようとするものではない。
つまり、特許文献2の方法は、フェロシアン塩錯体と遷移金属などの2価陽イオンとが作る沈殿物によって、多数の放射性核種が存在する混合水溶液中に溶存する放射性セシウムを、選択的に分離することが目的である。しかしながら、固体のフェロシアン塩錯体沈殿物への吸着によってセシウムを分離しようとする当該技術では、汚染物質の表面に固着している放射性セシウムを均質な液状の除染液によって脱離・除去しようとすることは出来ない。
汚染された固体表面より放射性セシウムを、フェロシアン塩錯体を主成分とする均質な除染液によって除去しようとする場合、即ち固体表面に固着している放射性セシウムを除染液による洗浄などの化学的手段によって液相に移行させるひとつの方法として、前述の特許文献3に記載されている方法がある。
この方法によればフェロシアン塩錯体水溶液に固体のイオン交換樹脂を加えた除染液を用いることによって、放射性セシウムイオン及び放射性遷移金属イオンを含む各種の放射性核種を、汚染した固体表面から化学的に液相へ脱離する方法が記載されている。
しかしながら、この特許文献3に開示されている範囲では、固体のイオン交換樹脂を共存した状態で均質な液状の除染液を得る技術については説明が無く、またイオン交換樹脂がいかなる作用によってセシウムイオンの吸着・脱離に寄与しているのかについても一切説明が無い。またセシウムの吸着・脱離に関しても実験例の記載も無いことから、この特許文献3の手段によって果たしてセシウムの脱離が可能か否か技術的に不明である。
特公平6-68556号公報 特開平5-254828号公報 米国特許第7148393号明細書
農業技術研究所報告B36、57−113(1984) 日本土壌肥料学会HP (http://jssspn.jp/info/nuclear/cs.html) 産業技術総合研究機構プレスリリース、2011.8.31 (http://www.aist.go.jp/db_j/list/search.php?&typ=f&tmp=9&furi=&po=140&sc[]=publish_start_desc) 日本原子力学会誌(1970、718ページ)総説
本発明の課題は、原子力施設の事故などにおいて施設内や周囲の環境に放射性セシウムを含む放射性物質が漏出した場合に、周辺の物質(固体)の表面に化学的に強固に結合した放射性セシウムを、フェロシアン塩錯体を含む中性の水溶液を常温常圧で接触させる比較的温和な方法で除去するとともに、除染作業に必要な期間, 均質で安定な液状を保つことのできる除染液を得ることである。
本発明は、発明者らの研究の結果明らかになったフェロシアン塩錯体と、Mg、Ca,Baなどのアルカリ土類金属イオンを含む水溶液の除染効果に基づき、汚染物質表面に固着している放射性セシウムを、フェロシアン塩錯体とアルカリ土類金属イオンを含む均質な水溶液によって、温和な条件下で液相に移行させ除染するための除染液を得るものである。
本発明は、汚染物質の表面に固着している放射性セシウムと反応して、放射性セシウムを脱離・除去する除染用水溶液であって、当該除染用水溶液は、フェロシアン塩錯体と、アルカリ土類金属イオンと、アルカリ土類金属イオンとフェロシアン塩錯体とを除染用水溶液中に共存させるための、複数のカルボキシル基を有する水溶性高分子と、を含ことを特徴とする。
本発明によれば、原子力施設の事故などにおいて施設内や周囲の環境に放射性セシウムを含む放射性物質が漏出した場合に、周辺の物質(固体)の表面に化学的に強固に結合した放射性セシウムを、比較的温和な方法で除去するとともに、除染作業上の必要に応じて、一定の期間均質で安定な液状を保つことのできる除染液を提供することが可能となる。
本実施形態の放射性セシウムの除染液を製造する手順の一例を示す図である。
本発明者らは、放射性セシウムの除染液について鋭意研究した結果、フェロシアン化カリウムなどのフェロシアン塩錯体を含む水溶液に、遷移金属に代わってMg、Ca,Baなどのアルカリ土類金属イオン(2価の陽イオン)を添加することによって、除染作業に必要な期間沈殿を生成しない、均質で安定な除染用水溶液を得ることに成功し、これによって温和な条件下で汚染物質の表面より放射性セシウムを除去することを見出した。
フェロシアン塩錯体がフェロシアン化カリウムであり、アルカリ土類金属がMgであり、その各々のモル濃度が0.005M以上かつ0.5M以下の範囲とした本発明者らの評価によれば、除染液調整後、各々の濃度が0.5Mでは10分経過後に、0.1Mでは8時間経過後にそれぞれ沈殿が生じた。また、0.01Mでは、24日経過後に沈殿が生じ、0.005Mでは25日経過後にも沈殿が生じなかった。このことから、除染作業に必要な観点から、均質で安定していて、かつ効果的な除染が可能な範囲は、フェロシアン化カリウム及びMgのモル濃度が各々0.005M以上かつ0.1M以下とすることが好ましい。
本発明によって得られた均質な除染液によるセシウムの脱離効果は、従来技術におけるフェロシアン塩錯体とNi、Cu、Coイオン等の2価の遷移金属イオンの沈殿物による水溶液からの選択的なセシウム分離効果に匹敵し、汚染物質の表面に固着したセシウムイオンを、フェロシアン塩錯体―アルカリ土類金属イオンとの反応よって効果的に脱離し、除去することが出来る。
ところで、フェロシアン塩錯体と、Mg,Ca,Baなどのアルカリ土類金属イオンを含む水溶液は、そのイオン種や濃度によって、調合後常温で長期保管した場合に沈殿が発生し、遠隔地での除染作業や長期にわたる作業の場合に満足な除染効果を発揮することができない場合がある。これでは、除染液を製造場所から遠隔地の野外での除染作業に用いる場合等には不十分な場合がある。
本発明者らは、除染作業上の必要に応じて、フェロシアン塩錯体とアルカリ土類金属イオンが共存する条件で化学的に安定し、長期間、沈殿を作らない方法を鋭意研究した結果、これらの2価の金属イオンと安定な結合を作る第三の物質を添加することによって目的を達することを見出した。
以下に、本発明者らの研究の結果明らかになった長期に均質で安定な除染液を得る方法、即ちフェロシアン塩錯体とMgなどアルカリ土類金属の2価イオンの反応物を安定化させる第三の物質について説明する。
このような特性を持つ物質としては、カルボキシメチルセルロースやカルボキシメチル澱粉など、複数のカルボキシル基を持つ水溶性高分子物質が有効であり、特に、一定のエーテル化度を有するカルボキシメチルセルロース(CMC)が有効であることを見出した。本発明に適したCMCは平均重合度が中程度以下、望ましくは1000以下で、エーテル化度が0.8以上、より望ましくは1.0以上のものである。
通常市販のCMCはNa塩型の粉末として提供されるが、これらのCMCを本発明の目的に使用する場合には、図1に示すように、アルコール中でCMCのNa塩粉末を分散させたものをアルカリ土類金属塩水溶液に加えて、あらかじめ水溶液中でCMCのNaイオンをアルカリ土類金属イオンに置換した上で、フェロシアン塩錯体を加える製造方法により、本発明に適合したフェロシアン塩錯体―2価金属イオンの安定な水溶液が得られる。
CMCを加えることにより、長期間安定で沈殿を作らない2価の金属イオンとしては、アルカリ土類金属イオンが好適であり、特にMgイオンが、均質で安定な除染液をつくり且つセシウムの除去効果を維持するという点で好ましい。さらに好ましくは、フェロシアン化カリウムの濃度領域及びMgのモル濃度領域が各々0.005M以上かつ0.03M以下において、更にMgイオンと化学的に当量のカルボキシル基を与えるCMC−Na塩を加えれば、均質で安定な液状を長期間保つ除染液を得ることができる。
本発明によって作成されたフェロシアン塩錯体―2価アルカリ土類金属イオンの均質で安定な水溶液は、放射性セシウムで汚染された物体(汚染物質)を洗浄し除染する除染液として、セシウムの分離効果を高め、実際の除染作業を行う上で極めて有効である。
本発明による除染液を用いて汚染物質を洗浄し、或いは除染液を汚染物質の表面に塗布し、あるいは汚染物質を除染液に暫時浸漬し、その後水洗した場合、固着している放射性セシウムはフェロシアン塩錯体及びアルカリ土類金属イオンよりなる溶質のイオン交換反応によって、汚染物質の表面から容易に脱離されて水相に移り、その後流去されるものと考えられる。
例えば、平成23年3月の福島第一原子力発電所の事故において、原子炉から放出された放射性セシウムは広く関東一円に飛散したが、それらの放射性セシウムを汚染物質より除去する除染作業において、本発明による除染液の使用方法は対象とする汚染物質によってさまざまに異なる。
例えば、汚染物質が金属類やガラス表面など比較的平滑な表面の場合には、固着している放射性セシウムと本発明による除染液の接触は比較的容易で除染が速やかに行われるのに対し、コンクリート・スラブやアスファルト舗装面など多孔性の表面を持つ汚染物質については、除染液がセシウムの固着している表面に浸透するために多少の時間がかかり、また衣類などの繊維製品の場合にも浸透時間を必要とすることから、効果的な除染のためには汚染物質の表面を除染液により暫時の間、濡らしたり、除染液に浸漬するなどの方法が必要になる。
しかしながら、いずれの場合も汚染物質に固着している放射性セシウムと除染液中のフェロシアン塩錯体―アルカリ土類金属イオンとの反応はイオン交換反応であり、セシウムに対し化学量論的に大過剰のフェロシアン塩錯体およびアルカリ土類金属イオンを反応させることにより、汚染物質の表面から速やかにセシウムを脱離することが出来る。
除染液中でフェロシアン塩錯体―アルカリ土類金属イオンの沈殿生成を長期にわたり防止し安定化するために加えられるカルボキシル基を有する水溶性高分子は、一方では除染液の粘度を高め、多孔性の表面を持つ汚染物質と除染液との接触を妨げる場合がある。これを防止するためには、例えば平均重合度の低い水溶性高分子を用いると共に、共存する2価陽イオンと化学的に当量となるカルボキシル基を与える量の水溶性高分子を加えることが望ましい。
例えばCMCの場合、その添加量はCMCの平均重合度及びエーテル化度より計算して液中に存在するアルカリ土類金属イオンと化学的に当量のカルボキシル基を与えることによって決定される。例えばMgイオンを含む除染液に必要なCMC添加量 [g] は、下記の式による計算で与えられる。
CMC 添加量=Mg当量数×CMC 平均分子量÷(CMC 平均重合度×CMC 平均エーテル化度)
これらのいずれの場合においても、本発明による除染液は、除染作業上必要な期間均質で安定な液状を保つので、放射性セシウムの固着した汚染物質の除染を効果的に行うことができる。
(実施例1)
放射性セシウムの除染液を下記の順序にて作成した。
(1-1) 塩化マグネシウム6水塩を純水に溶解し、塩化マグネシウム0.03M水溶液100mlを作った。
(1-2) フェロシアン化カリウム3水塩を純水に溶解し、0.03M水溶液100mlを作った。
(1-3) (1-2) に (1-1) を全量加え、均一に混合した後、密栓したガラス容器に入れ、常温にて静置したところ、100時間を経過しても沈殿を生じなかった。
(実施例2)
放射性セシウムの除染液を下記の順序にて作成した。
(2-1) 塩化カルシウム2水塩を純水に溶解し、塩化カルシウム0.03M水溶液100mlを作った。
(2-2) フェロシアン化カリウム3水塩を純水に溶解し、0.03M水溶液100mlを作った。
(2-3) (2-2) に (2-1) を全量加え、均一に混合した後、密栓したガラス容器に入れ、常温にて静置したところ、100時間を経過しても沈殿を生じなかった。
(実施例3)
上記 (1-3) で作成した混合溶液(除染液)を用いて、放射性セシウムに汚染された各種試料の除染試験を下記のように行った。
(3-1) 表面各所が放射性セシウムに汚染された約15cm角、厚み4cmの花崗岩を取り、汚染度の最も高い表面を流水でよく洗い流した後、上記除染液を注ぎかけ、花崗岩の表面を濡らし約10分間放置した。その後同じく流水で洗滌し、洗浄前後の表面汚染度(ガンマ線カウント数)を、携帯型放射線測定器(米国製インスペクタープラスGM計数管式測定器)を用いて測定した。測定器の計数管部分を厚さ3mmのアルミ板で遮蔽することによりベータ線を遮断し、花崗岩表面から発生するガンマ線のみを測定するように注意した。測定は、花崗岩表面より1cmの距離で、毎分のカウント数(cpm)を20回測定し、その平均値を放射線量の測定値とした。それぞれの放射線量測定値より実験室の環境放射線量測定値を差し引いた値を、表面汚染度の測定値とした。測定結果は、最初の流水による洗浄後で196cpm、その後除染液にて濡れ処理した後流水で洗浄後153cpm、前後の放射線測定値の比として得られた除染率は、22.0%であった。
(実施例4)
放射性セシウムで表面を汚染された約20cm角、厚み3cmのコンクリート片を試料として、(3-1) と同様に除染試験を行った。除染液で処理する前の放射線量は257cpm、除染液で処理した後の放射線量は197cpmであった。これから同様に計算した除染率は23.3%であった。これは流水下で表面の泥汚れ等を擦り洗いした後に除染液で処理したことによる除染効果の測定結果であり、これにより除染液の十分に高い効果が確認された。
(比較例1)
実施例1、2のアルカリ土類金属に替えて2価の遷移金属イオンによる比較を行うため、塩化第一鉄を純水に溶解し、塩化第一鉄0.03M溶液100mlを作り、フェロシアン化カリウム0.03M溶液100mlに混合したところ、直ちに青色の沈殿を生成し、攪拌したが均質な水溶液は得られなかった。同様に上記のフェロシアン化カリウム水溶液に塩化第二銅0.03M溶液100mlを加えた場合でも、混合後直ちに濃褐色の沈殿を生成し、均質な水溶液は得られなかった。これによりフェロシアン塩錯体と2価陽イオンを含む均質な除染液を得るには、アルカリ土類金属の使用が効果的であることを確認した。
(実施例5)
放射性セシウムの除染液を下記の順序にて作成した
(5-1) 塩化マグネシウム6水塩を純水に溶解し、下表に掲げる各濃度の水溶液100mlを、また、フェロシアン化カリウム3水塩を純水に溶解し、下表に掲げる各濃度の水溶液100mlを作った。
(5-2) (5-1) で調製した各同一濃度の2種類の水溶液全量同士を、均一に混合した後、密栓したガラス容器に入れ、常温にて静置し、観察して、沈殿発生までの経過時間を計った。その結果を下表に示す。
Figure 0006081163
表からわかるように、フェロシアン化カリウム及びMgの各濃度を0.005以上0.1以下とした場合には、沈殿発生まで8時間であり、除染作業に必要な観点から、均質で安定しており、かつ効果的な除染が、さらに可能であることがわかる。
(実施例6)
放射性セシウムの除染液を下記の順序にて作成した。
(6-1) 塩化マグネシウム6水塩を純水に溶解し、塩化マグネシウムの1M溶液を作った。
(6-2) 平均エーテル化度1.4、平均重合度 400のカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩(CMC-Na)3.8 gを取り、これを無水エチルアルコール20 mlに入れ、静かに攪拌した。
(6-3) 1M塩化マグネシウム溶液 10mlを取り、これにCMC-Na−エチルアルコール混合液を注ぎ、継粉が発生しないよう静かに攪拌した後、純水100mlを加えて均一に溶解するようによく攪拌し、さらに純水200mlを加えて均一に混合したのち常温にて6時間静置した。
(6-4) フェロシアン化カリウム 0.1M溶液 200mlを純水で倍以上に希釈し、更に(6-3)で作成した塩化マグネシウム一CMC-Na−エチルアルコール混合液を加え、攪拌して均一溶液を作った。
(6-5) (6-4) で作成した混合液に純水を加え、全体を1,000mlに合わせた。以上の操作により、塩化マグネシウム 0.01M、CMC-Na 0.38 %、フェロシアン化カリウム0.02 Mの混合溶液(除染液)を作成した。
(6-6) (6-5) にて作成した混合溶液(除染液)200mlを密栓したガラス容器に入れ、常温で60日間静置したが、沈殿を生じなかった。
(実施例7)
上記(6-5) で作成した混合溶液(除染液)を用いて、放射性セシウムに汚染された各種の試料の除染試験を下記の通り行った。
(7-1) 表面各所が放射性セシウムで汚染された約20cm角、厚み3cmのコンクリート片を取り、汚染度の最も高い表面を流水でよく洗い流したのち、上記除染液をスポンジにとってコンクリート片の表面を濡らし約10分間放置した。その後、同じく流水で洗浄し、洗浄前後の表面汚染度(ガンマ線カウント数)を、携帯型放射線測定器(米国製インスペクター・プラスGM計数管式測定器)を用いて測定した。測定器の計数管部分を厚さ約3mmのアルミ板で遮蔽することによりベータ線を遮断し、コンクリート表面から発生するガンマ線のみを測定するように注意した。測定は、コンクリート表面より1cmの距離で、毎分のカウント数(cpm)を20回測定し、その平均値を放射線量の測定値とした。それぞれの放射線量測定値より実験室の環境放射線量測定値を差し引いた値を、表面汚染度の測定値とした。測定結果は、最初の流水による洗浄後で、 467cpm、その後除染液にて濡れ処理した後流水による洗浄後で313cpm、この除染処理前後の放射線量測定値の比として得られた除染率は、33.0%であった。
(実施例8)
(8-1) (7-1)で除染試験を行ったコンクリート片の表面を更に除染液で濡らし、10分間放置した後、流水にて十分洗浄し、表面のカウント数を (6-1) と同様に測定した。その結果は、除染液による濡れ処理の後流水で洗浄した後の放射線量測定値は290cpm、処理前の放射線量測定値 313cpmとの比として得られた除染率は 9.3%であった。
(8-2) (7-1) と (8-1)の2回の除染作業を加えた除染率(467cpmと290cpmの比より計算)は、38.0%であった。
(実施例9)
放射性セシウムで表面を汚染された重さ約2kgの扁平状御影石を試料として、(7-1) 及び (8-1) と同様に除染試験を行った。御影石の表面のうちもっとも放射線量の高かった部分を流水下でブラシを用いてよく擦り洗いを行い、その表面の放射線量を (7-1) と同様の方法で測定した。その後、除染液をスポンジに含ませて御影石表面を十分に濡らし、約10分放置した後、流水でよく洗浄した。
ブラシによる洗浄後、および除染液による濡れ処理を施した後の放射線量を測定し、その結果より除染率を算出した。ブラシによる洗浄後の放射線量は、929cpm、除染液で処理した後の放射線量は827cpmであった。これから計算した除染率は11.0%であった。これは流水下で擦り洗いした後に、更に除染液で処理したことによる除染率の測定結果であり、これにより除染液の十分高い効果が確認された。
(比較例2)
実施例6の条件で、CMC-Na塩とエチルアルコールを加えることなく、除染液と類似の混合溶液1000mlを作成し、そのうち200mlを密栓したガラス容器に入れ、常温で静置したところ、20日経過頃から容器の底面に少数の白色小片の沈殿を観察した。小片はその後も日数の経過とともにその量を増していった。これにより長期間経過しても沈殿を生じない均質で安定な除染液を得るためには、適量のCMC−Naの添加が必要なことを確認した。

Claims (6)

  1. 汚染物質の表面に固着している放射性セシウムと反応して、放射性セシウムを脱離・除去する除染用水溶液であって、
    当該除染用水溶液は、
    フェロシアン塩錯体と、
    アルカリ土類金属イオンと、
    前記アルカリ土類金属イオンと前記フェロシアン塩錯体とを前記除染用水溶液中に共存させるための、複数のカルボキシル基を有する水溶性高分子と、
    を含む、ことを特徴とする除染用水溶液。
  2. 前記アルカリ土類金属イオンが、Mgイオン、Caイオン、またはBaイオンであることを特徴とする請求項1に記載の除染用水溶液。
  3. 前記フェロシアン塩錯体がフェロシアン化カリウムであり、前記アルカリ土類金属がMgであり、その各々の濃度が0.005M以上かつ0.1M以下であることを特徴とする請求項1に記載の除染用水溶液。
  4. 前記複数のカルボキシル基を有する水溶性高分子が、カルボキシメチル澱粉、または、カルボキシメチルセルロースであることを特徴とする請求項に記載の除染用水溶液。
  5. 前記アルカリ土類金属が、Mgであることを特徴とする請求項4記載の除染用水溶液。
  6. 前記フェロシアン塩錯体がフェロシアン化カリウムであり、かつ前記アルカリ土類金属が、Mgであり、その各々の濃度が、0.005M以上かつ0.03M以下であり、かつ、前記複数のカルボキシル基を有する水溶性高分子が、カルボキシメチルセルロースであり、前記カルボキシル基の当量数が、前記Mgイオンの当量数と等しいことを特徴とする請求項4または5に記載の除染用水溶液。
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