以下、本発明の最良の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、遊技機としてパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を挙げる。
(パチンコ機正面側の構成)
図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の斜視図、図3はパチンコ機10の前面枠の斜視図である。図1および図2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。以下に、外枠11と内枠12との構成を個別に説明する。
上記外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。このように構成することにより、パチンコ機の軽量化を図ることができるからである。
一方、上記内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。このような構成とするのは、内枠12の開閉軸線がハンドル設置箇所側(図1のパチンコ機10の右側)で上下方向にあるとすると、内枠12を開放する際に遊技球発射ハンドル18の頭部等が隣なりのパチンコ機やカードユニット(球貸しユニット)に干渉することになり、内枠12を十分に開放できないからである。また、内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂から成る。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できるという利点が発揮される。
また、内枠12は、その最下部に下皿ユニット13を有し、内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、樹脂ベース25(図6参照)と、この樹脂ベース25の後側に取り付けられる後述の遊技盤30とを備えている。これらの各構成を以下に詳細に説明する。
上記下皿ユニット13は、前面枠セット14の一部として前面枠ベース部材に固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と演出ボタン79が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、後述の上皿が満タンになった場合等に排出口16より排出される遊技球を停留する役割がある。上記球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に停留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して遊技者の持球貯留箱(ドル箱)に排出することができる。上記遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出するように配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、発射ソレノイドを備えた遊技球発射装置によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。前面枠セット14の上部には、スピーカからの音を出力するための音出力口24が設けられている。
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が前面枠セット14と一体的に設けられている。この上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。また、上皿19の左下方には、装飾図柄表示装置42の背景を変える等の操作を遊技者が行なうための演出ボタン79が設けられている。
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり遊技状態時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、大当たり遊技状態時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり遊技状態中であることを報知する構成である。
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタンと、返却ボタンと、度数表示部とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタンは、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタンは、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置部から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
次に、図4を用いて遊技盤30の構成を説明する。図4は遊技盤30の構成を示す正面図である。遊技盤30は、一般入賞口を備える一般入賞装置31、可変入賞装置32、中央始動口33aと右始動口33b(作動チャッカ33bで構成)と一対の開閉羽根60とを備える始動入賞装置33、通過口を備える作動入賞装置34(スルーゲートで構成)、主表示ユニット371、装飾図柄表示装置42を備える可変表示装置ユニット35等が設けられている。これらの一般入賞装置31、可変入賞装置32、始動入賞装置33、作動入賞装置34、可変表示装置ユニット35等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。また、右始動口33bの入口には、一対の開閉羽根60が設けられており、遊技球を案内する開放位置と、右始動口33b内に遊技球が入りにくくなる(入らない)閉塞位置を採りうる。開閉羽根60は、遊技盤30の裏面側に配設されたソレノイドSL1によって駆動される。また、中央始動口33aの下方には、大入賞口(収容部の入口)61が配置されている。大入賞口61については、後に言及する。大入賞口61内には、入球検出スイッチSW1が設けられている。
前述の一般入賞装置31、可変入賞装置32および始動入賞装置33に遊技球が入球し、当該入球が後述する検出スイッチ(入賞口スイッチ、カウントスイッチ、作動口スイッチ等)で検出され、この検出スイッチの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、各種部材(役物)が配設されている。
主表示ユニット371は、後述する主制御装置261が直接的に制御する表示装置ユニットであり、図5に示すように、右上の隅部が直角でその対辺が左上から右下へ延びる斜辺となっている、やや上下に長い概略直角三角形の各隅部(角部)が丸く角落ちするとともに、斜辺が遊技領域の右上部に沿って弧状に内側へ湾曲する正面形状を有し、前後に遊技球の直径よりやや大きい程度の厚みを有する立体状の外形を有する部品となっている。主表示ユニット371における右上には、ネジ挿通孔を有するフランジ371Hが背面に沿って形成され、右下の隅部には、前面側から後面壁まで凹入し該後面壁にネジ挿通孔(図示せず)を有する正面視概略U字状のネジ挿通部371Nが形成され、図4に示すように、フランジ371Hおよびネジ挿通部371Nにネジが螺入されて主表示ユニット371が遊技盤30の前面における右上部に固定されている。主表示ユニット371における左上の上面部は左下方へやや下傾するように形成され、その中央部は、図4に示すように、遊技球の最大飛翔部分に対応する外レール52の先端部に近接し、この部位の上に、図5に示すようにゴム板よりなる返しゴム371Rが取り付けられている。この返しゴム371Rにより、所定以上の勢いで発射された遊技球が当たって跳ね返されるようになっている。主表示ユニット371の前面部には、左上端近傍からネジ挿通部371Nに隣接するまで斜辺に沿って弧状に延びる正面形状を有して内奥側へ段状に凹入する表示部371Mが形成されている。
上記表示部371Mには、7個の表示装置371A〜371Gが上から弧状に並ぶようにして順に配置されている。表示装置371B(第1特別図柄表示装置)は、中央始動口33aへの遊技球の入賞を契機に変動表示される第1特別図柄を表示するものであり、表示装置371D(第2特別図柄表示装置)は、右始動口33bへの遊技球の入賞を契機に変動表示される第2特別図柄を表示するものである。これらの表示装置371B,371Dはそれぞれ、「8」の字状に配列された7個と、隅部にドット状に配列された1個とによる合計8個のLEDのセグメントから構成されている。なお、各特別図柄は、上記表示装置371B,371Dにおいて同時に変動表示されることがなく入賞順に従って順次行われるため、装飾図柄表示装置42においては共通の装飾図柄によって特別図柄に対応する表示が行われるようになっている。表示装置371A(第1特別図柄保留表示装置)は、第1特別図柄の保留数を表示するものであり、表示装置371C(第1特別図柄保留表示装置)は、第2特別図柄の保留数を表示するものである。これらの表示装置371A,371Cはそれぞれ、左右2個のLEDで構成され、左側のLEDのみあるいは両方を点灯又は点滅させることにより最大で4個までの保留数を表示するようになっている。なお、センターフレーム43の下部には、2色の発光が可能な合計4個のランプよりなる保留ランプ800aが装飾図柄表示装置42の下辺に沿って配列されており(図4参照)、この保留ランプ800aによって表示される装飾図柄の保留数は、遊技状態(後述するサポート状態か否か)に応じて、上記表示装置371A,371Cのうち何れかが表示する保留数と対応するようになっている。表示装置371E(普通図柄表示装置)は、作動入賞装置34における通過口への遊技球の入賞を契機に変動表示される普通図柄を表示するものであり、左右2個のLEDで構成され、片側のLEDのみを点灯させることで外れを表示し、両方を点灯させることで当りを表示するようになっている。表示装置371F(普通図柄保留表示装置)は、普通図柄の保留数を表示するものであり、左右2個のLEDで構成され、左側のLEDのみあるいは両方を点灯又は点滅させることにより最大で4個までの保留数を表示するようになっている。表示装置371Gは、遊技状態の種別を表示するものであり、合計8個のLEDで構成されている。これらのLEDがそれぞれ消灯、点灯、点滅の何れかに変化し、全消灯を除く6560通りの組み合わせによって、1.通常遊技状態(大当たり乱数カウンタC1の抽選が低確率であり、サポート状態ではない)、2.時短状態(大当たり乱数カウンタC1の抽選が低確率であり、サポート状態)、3.潜伏高確率状態(大当たり乱数カウンタC1の抽選が高確率であり、サポート状態ではない)、4.高確率状態(大当たり乱数カウンタC1の抽選が高確率であり、サポート状態)、及び5.大当たり状態の何れかを表示するようになっており、大当たり状態を表示するのに際してはその大当たりの最大ラウンド数によって異なる表示が行われる。
上記装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。装飾図柄表示装置42には、例えば上、中、及び下の3箇所に識別情報としての図柄(装飾図柄)が表示される。これら図柄がスクロールされて装飾図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本形態では、装飾図柄表示装置42(液晶表示装置)は例えば10インチ或いは12インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備えている。遊技球が始動入賞装置33を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっているが、この保留ランプ800aが表示する保留回数は、装飾図柄表示装置42の一部(具体的には右下部)にも表示される。この保留表示は、保留数に対応する数のキャラクタ画像が並列的に表示されるものである。
上記可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっているが、その具体的な構成については後述する。簡略に触れれば、特別図柄表示装置が特定の表示態様となった場合(装飾図柄表示装置42の停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組み合せとなった場合)に特別遊技状態が発生する。そして、可変入賞装置32が受球状態となり、遊技球の入賞を許す。具体的には、所定時間(例えば30秒)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の受球状態が所定回数繰り返し開放される。
また、遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす金属板にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。内レール51および外レール52の後側端縁(遊技盤30に対向する端縁)には、所定間隔をおいて複数個所に鋲56が設けられており、内レール51および外レール52は該鋲56を打ちつけるようにして遊技盤30に取り付けられている。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)が内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51、52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
内レール51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51および外レール52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。
尚、遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール)と主表示ユニット371の斜辺とにより略円形状に区画形成されており、特に本形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領城が従来よりもはるかに大きく構成されている。
(パチンコ機の背面構成)
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。図6はパチンコ機10の背面の構成を示す分解斜視図である。
先ず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12および遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにしてまたは前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の裏カバー(保護カバー)等が取り付けられている。本形態では、各種制御基板を3つの取付台に分けて搭載して3つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12または遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御基板、電源監視基板、これら基板を収容する基板ボックスおよび該基板ボックスを封印する封印ユニットから構成される主制御装置261を一つにユニット化し、表示制御基板、該表示制御基板を収容する基板ボックスおよび装飾図柄表示装置42から構成される表示制御装置45とサブ制御基板および該サブ制御基板を収容する基板ボックスから構成されるサブ制御装置262とを後述する外包部材82に搭載してユニット化し、さらに払出制御基板、該払出制御基板を収容する基板ボックス(払出制御基板ケース)および該基板ボックスを封印する封印ユニットから構成される払出制御装置311と電源基板、発射制御基板およびこれら基板を収容する基板ボックス(電源・発射制御基板ケース203A)から構成される電源・発射制御装置とを1つの取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、各ユニットを上記の順に「第1制御基板ユニット201」、「第2制御基板ユニット202」および「第3制御基板ユニット203」と称することとする。
また、払出機構および裏カバー(保護カバー)も上記第3制御基板ユニット203に一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここでは第3制御基板ユニット203を「裏パックユニット203」とも称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット201は、後述するように、取り外す場合には工具で封止状態を解除する必要があるが取付はネジ等の締結具も工具も何ら要することなく行い得るよう構成されており、第2制御基板ユニット202および裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されている。更に、これに加え、各ユニット201〜203は、一部に支軸部を設けて内枠12または遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
上述した第1制御基板ユニット201は、その遊技の進行を統括する主制御基板及び電源の監視を司る電源監視基板を有する。上記主制御基板と電源監視基板とは透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容されて構成されている。この基板ボックスは、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって開封不能に連結されることにより、基板ボックスが封印される。
尚、封印ユニットはボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用でき、また、封印ユニットによる封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期にかつ容易に発見可能とするものである。
第2制御基板ユニット202は、主制御基板からの指示に従い前記装飾図柄表示装置42の表示制御を司る表示制御装置45と主制御基板からの指示に従い音声ランプ制御を司るサブ制御基板とを有する。上記表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42および表示制御基板がユニットとして構成され、透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容されて後述する外包部材82の背面側に取り付けられている。上記サブ制御基板は透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容され、上記表示制御装置45の背面側に取り付けられている。
次に、前記第3制御基板ユニット(裏パックユニット)203は、払出制御基板、電源基板、発射制御基板及びカードユニット接続基板を有している。上記払出制御基板により賞品球や貸出球の払出が制御され、上記電源基板および発射制御基板により各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力されるとともに遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射ソレノイドの制御が行われる。また、上記カードユニット接続基板は、パチンコ機前面の貸球操作部120(図1参照)および図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御基板に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板は不要である。
上記払出制御基板は、透明樹脂材料等よりなる払出制御基板ケース(図示せず)内に収納されており、上記電源基板および発射制御基板は、透明樹脂材料等よりなる電源・発射制御基板ケース203A内に収納されている。また、上記カードユニット接続基板は透明樹脂材料等よりなるカードユニット接続基板ケース(図示せず)内に収納されている。特に、払出制御基板では、前述した主制御基板と同様、基板ケース(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット(封印手段)によって開封不能に連結されることにより、基板ボックスが封印される。
上記払出制御基板は状態復帰スイッチと電気的に接続されており、例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチが押下されると、払出モータがゆっくりと正回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
裏パック351は例えばABS樹脂により成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす裏カバー部(保護カバー部)354とを有する。裏カバー部354は左右側面および上面が閉鎖されかつ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも電動役物表示制御装置45を囲むのに十分な大きさを有する(但し本形態では、前述のサブ制御装置262も合わせて囲む構成となっている)。裏カバー部354の背面には多数の通気孔が設けられている。この通気孔は各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔が比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
また、ベース部353には、裏カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図示しない払出通路等を通じて前記上皿19に供給される。
タンクレール356と、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ359とが一体化するようにユニット化されており、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ359が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
上記払出機構部352には、前記払出制御基板から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチの切替操作により電源ONまたは電源OFFとされるようになっている。
なお、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ(図示せず)が設けられており、内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチからホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。また、上記内枠開検出スイッチの左方には、前面枠開検出スイッチ(図示せず)が設けられており、前面枠セット14が開かれると、前面枠開検出スイッチからホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。
(パチンコ機の電気的構成及び各種制御処理)
次に、図9を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。パチンコ機10は、電源装置313と、電源監視装置540と、主制御装置261と、サブ制御装置262と、払出制御装置311と、表示制御装置45等を備えている。以下に、これらの装置を個別に詳細に説明する。尚、電源監視装置540と主制御装置261とは、上記したように封印ユニットで封印されている。
次いで、主制御装置261の構成について説明する。主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU501が搭載されている。MPU501には、該MPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
なお、MPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU501へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
主制御装置261のMPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、電源監視装置540内のRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、発射制御装置312、サブ制御装置262、主表示ユニット371(第1特別図柄保留表示装置371A、第1特別図柄表示装置371B、第2特別図柄保留表示装置371C、第2特別図柄表示装置371D、普通図柄表示装置371E、普通図柄保留表示装置371F、状態報知用表示装置371G)や、その他図示しない入賞検知スイッチ群や不正検知スイッチ群などが接続されている。なお、装飾図柄保留表示装置800(保留ランプ800a)は、サブ制御装置262に従属する表示制御装置45に接続されている。
払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU511は、そのMPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
なお、主制御装置261のMPU501と同様、MPU511のNMI端子にも、停電時の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
払出制御装置311のMPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、主制御装置261、払出モータ358aがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射ソレノイドによる遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射ソレノイドは、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311からカードユニットとの接続状態であることを示す接続信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射制御装置312は発射許可信号を主制御装置261に出力する。発射許可信号を入力した主制御装置261は、発射ソレノイド制御信号を発射制御装置312に出力する。これにより発射制御装置312は発射ソレノイド制御信号に応じて発射ソレノイドを駆動し、その結果、遊技球発射ハンドルの操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
サブ制御装置262は、主制御装置261からのコマンドに基づいて装飾図柄の変動表示に応じた演出用スピーカ810等の鳴動制御及び演出用ランプ811の点灯(点滅)制御、並びに、主制御装置261からのコマンドに基づいて表示制御装置45へのコマンドを編集して表示制御装置45に送信する機能を果たすものである。サブ制御装置262のMPU550には、そのMPU550により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM551と、ワークメモリ等として使用されるRAM552とを備えている。MPU550には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン553を介して入出力ポート554が接続されている。入出力ポート554には、スピーカ、ランプ、装飾図柄表示装置42における変動表示中において所定の表示演出を実行させるための演出用ボタン79、及び主制御装置261がそれぞれ接続されている。演出用ボタン79としては、例えば所定のキャラクタが順次出現する態様によって大当たり状態の可能性が大きいことを予告するステップアップ予告等の表示演出用ボタン等が挙げられる。なお、演出用ボタン79が押されると、所定の演出実行のための演出指定コマンドが生成されて、装飾図柄表示装置42に送信されようになっている。
表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を制御するものである。表示制御装置45は、ワークRAM等として使用されるRAM523を有するMPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529とを備えている。
MPU521は、サブ制御装置262から送信されてくる図柄表示コマンド(停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等)を入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し、又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行って画像コントローラ526の制御(具体的には画像コントローラ526に対する内部コマンドの生成)を実施する。プログラムROM522は、MPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値を記憶するためのメモリであり、背景画像用のJPEG形式画像データも併せて記憶保持されている。RAM523は、MPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグ等を一時的に記憶するためのメモリである。
画像コントローラ526は、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)で構成されている。VDPは、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路であり、ICチップ化されているため、「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は描画処理専用のソフトウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。画像コントローラ526は、MPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して、出力ポート529を介して装飾図柄表示装置42に出力して表示させる。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM524の内容を書き換えることにより装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担うものである。このキャラクタROM525には、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。特に、ビットマップ形式の図柄画像データにはそれぞれ図柄コード(図柄番号)が付与されており、コマンドレベルでは各図柄画像を図柄コードだけで管理可能としている。なお、キャラクタROM525を複数設け、各キャラクタROM525に分担して画像データ等を記憶させておくことも可能である。また、プログラムROM522に記憶した背景画像用のJPEG形式画像データをキャラクタROM525に記憶する構成とすることも可能である。
電源装置313は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部541を備えている。この電源部541は、電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を、電源監視装置540、サブ制御装置262、払出制御装置311、表示制御装置45等に対して供給する。なお、主制御装置261に対しては、電源監視装置540を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。また、発射制御装置312に対しては、主制御装置261を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。
電源監視装置540は、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、リセット信号を出力するリセット回路544と、を備えている。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置261のMPU501及び払出制御装置311のMPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチが押下された場合に、主制御装置261及び払出制御装置311へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。なお、払出制御装置311への信号の送信は、主制御装置261を介して行われる。
主制御装置261及び払出制御装置311は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップデータをクリアする。
リセット回路544は、主制御装置261、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45を初期化するため、リセット信号を出力する回路である。なお、リセット回路544からのリセット信号は、主制御装置261に対しては直接与えられるが、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45に対しては、電源装置313を介して与えられるようになっている。
ここで、特別図柄表示装置、普通図柄表示装置、及び装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。なお、本実施形態のパチンコ機10においては、大当たりの発生を遊技者に示すための図柄として2個の特別図柄表示装置で表示される特別図柄と、単一の装飾図柄表示装置42で表示される装飾図柄との2種類が設けられている。装飾図柄は、特別図柄と同期して変動が行われる図柄であり、特別図柄の変動開始と同時に(又はほぼ同時期に)変動を開始し、また特別図柄の変動停止と同時に(またはほぼ同時期に)変動を停止するものである。この装飾図柄は、遊技者に多種多様な表示演出を行って飽きにくい遊技性を備えるために設けられている。
先ず、第1特別図柄表示装置371B及び第2特別図柄表示装置371Dで行われる特別図柄の表示内容について説明する。特別図柄の変動表示は、8個のLEDセグメントの点灯パターンの変化によりそれぞれ表現される。この特別図柄の変動表示は遊技球の始動入賞装置33への入賞を契機としてその入賞順に基づいて第1特別図柄表示装置371B及び第2特別図柄表示装置371Dの何れかで開始され、所定時間後に停止する。具体的には、対応する側の特別図柄表示装置の点灯状態を中止する全消灯処理を行った後、所定の順番で各LEDセグメントを順次点灯させる切替処理を実行することで変動を開始させ、後述する停止パターン選択カウンタC3の値によって決定された変動表示時間が経過すると上述の切替処理を中断して全消灯処理を行い、後述する大当たり乱数カウンタC1及び大当たり図柄カウンタC2の値に基づいて決定された態様によって各LEDセグメントを点灯させるようになっており、大当たり抽選における外れ結果を表示する場合にはドット状の1個のLEDセグメントのみを点灯表示させる一方、大当たり結果を表示する場合には、大当たり後に高確率遊技状態を発生させる当選であるか否かによって異なる数字を「8」の字状に並ぶ7個のLEDセグメントを用いて点灯表示する。なお、一方の特別図柄表示装置が変動表示状態である期間において他方の特別図柄表示装置は変動表示を行わず、最後に変動表示された際に停止表示した図柄の点灯表示を継続した状態とされる。遊技球が始動入賞装置33の中央始動口33a及び右始動口33bに入賞した回数はそれぞれ最大4回まで保留され、それらの保留回数は、中央始動口33aへの入賞に対応する保留数については第1特別図柄保留表示装置371A及び装飾図柄表示装置42の所定領域にてそれぞれ表示され、右始動口33bへの入賞に対応する保留数については第2特別図柄保留表示装置371C及び装飾図柄表示装置42の所定領域にて表示されるようになっており、加えて、装飾図柄保留表示装置800の保留ランプ800aにて、遊技状態に応じて、中央始動口33aへの入賞に対応する保留回数又は右始動口33bへの入賞に対応する保留回数が点灯表示されるようになっている。
次いで、装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。装飾図柄表示装置42の表示画面には、例えば、上段・中段・下段に区分けされた3つの表示領域に3つの装飾図柄列Z1〜Z3が表示される。これら装飾図柄列Z1〜Z3は、右から左にスクロール表示される。装飾図柄は、例えば「1」〜「9」の数字からなる主図柄と、主図柄より小さい副図柄とにより構成され、これら各主図柄および副図柄によって装飾図柄の図柄列が形成される。装飾図柄で形成される各図柄列では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間にそれぞれ副図柄が配列されている。始動入賞装置33への入賞すなわち始動入賞が発生すると、装飾図柄の変動表示が行われ、変動パターンに応じた一定時間の経過後に変動表示が停止し、装飾図柄表示装置42には縦3×横3の9個の装飾図柄が表示結果として表示される。大当たり抽選に当選した変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めの一直線上に同一の主図柄が3つ揃って停止するように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に大当たりの発生が示される。一方、大当たり抽選に外れた変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めのいずれにも同一の主図柄が3つ揃って停止しないように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に外れの発生が示される。なお、遊技状態がサポート状態(一対の開閉羽根60が通常より開放し易く且つ開放時間が通常よりも長い状態)を含まない状態である場合においては装飾図柄保留表示装置800の保留ランプ800aにて中央始動口33aへの入賞に対応する保留回数が赤色の発光で点灯表示される一方、遊技状態がサポート状態を含む状態である場合においては装飾図柄表示装置800の保留ランプ800aにて右始動口33bへの入賞に対応する保留回数が点灯表示されるようになっている。
次いで、普通図柄表示装置371Eにおいて行われる普通図柄の表示内容について説明する。普通図柄の変動表示は、上述した2個のLEDを交互に点灯させることにより表現される。この普通図柄の変動表示は遊技球が作動入賞装置34の通過口を通過することを条件として開始され、所定時間後に普通図柄の変動表示が停止する。そして、両方のLEDを点灯状態で停止させた場合に始動入賞装置33が所定時間だけ作動状態となる(一対の開閉羽根60が開放される)よう構成されている。遊技球が作動入賞装置34の通過口を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が普通図柄保留表示装置371Fにて点灯表示されるようになっている。
(電源投入時)
パチンコ機10の電源立ち上げ時には、動作確認および電源投入報知として、スピーカ、装飾図柄表示装置42の液晶画面、枠に配置された各種LED、遊技盤30に配置された各種LED等の各部が所定時間(本実施形態では30秒間)に亘って予め定められた動作をするように設定されている。このため、これら各部が正常に機能するか否かを目視確認できる。このとき、パチンコ機10に不正な改変が加えられたりしていないか否かも併せて確認できる。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本形態では、主制御装置261内のMPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や特別図柄表示装置の図柄表示の設定などを行うこととしている。具体的には、特別図柄に関連するカウンタ群と、普通図柄に関連するカウンタ群とを備えている。先ず、特別図柄に関連するカウンタ群について説明する。特別図柄に関連するカウンタ群としては、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、特別図柄表示装置の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、特別図柄表示装置が外れ変動する際の停止パターンの選択(装飾図柄の変動においてはリーチとするか完全外れとするかのリーチ抽選に相当する)に使用する停止パターン選択カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する種別を決定する変動種別カウンタCS1〜CS3とを備えている。
ここで、変動パターンとは、変動表示の特徴が共通するものを区分した場合における各パターン(形態)を意味している。
上記カウンタC1〜C3,CINI1,CS1〜CS3、は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア700が設けられており、これらの各エリアには、始動入賞装置33への遊技球の入賞タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
次いで、各カウンタの具体的な内容について詳述する。
大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜738の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり738)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINI1の値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINI1は、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜738)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞装置33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「373,727」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は14で、その値は「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,577,631,683,733」である。なお、高確率時とは、特別図柄の組み合せが予め定められた確率変動図柄である特定図柄の組み合せによって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない場合をいう。
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、特別図柄表示装置における特別図柄の変動停止時の図柄を決定するものであり、例えば0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。例えば、大当たり図柄カウンタC2の値が「0」、「1」の場合の停止図柄は、9個のLEDセグメントが特定の点灯パターンで停止し、この場合の停止図柄の組み合せは非特定図柄(通常の大当たり図柄)を意味する。
大当たり図柄カウンタC2の値が「2」、「3」、「4」の場合の停止図柄は、9個のLEDセグメントが上記とは別の特定の点灯パターンで停止し、この場合の停止図柄の組み合せは特定図柄(確率変動図柄)を意味する。
大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞装置33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
停止パターン選択カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本形態では、特別図柄の変動表示は、9つのLEDセグメントで表現するように構成されているので、特別図柄の場合にはリーチという概念はなく、リーチに相当する停止パターンを停止パターン選択カウンタC3によって、決定することとしている。一方、装飾図柄の場合は、3つの装飾図柄が停止するので、リーチが存在する。従って、装飾図柄の場合は、リーチ抽選を、停止パターン選択カウンタC3によって決定している。即ち、装飾図柄の場合では、リーチ発生した後に最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。例えば、停止パターン選択カウンタC3=0〜201が完全外れに該当し、停止パターン選択カウンタC3=202〜208が前後外れリーチに該当し、停止パターン選択カウンタC3=209〜238が前後外れ以外リーチに該当する。
ここで、リーチとは、装飾図柄表示装置42の表示画面に表示される装飾図柄が変動表示を開始した後、先に停留する図柄の組み合せが同一図柄(複数の有効ラインがある装飾図柄においてはいずれかの有効ライン上で同一図柄)であって大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている図柄の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆して大当たりの図柄の組み合せを遊技者に期待させる表示であり、興趣演出の1種である。興趣演出とは、変動表示の途中で装飾図柄表示装置42の表示画面にリーチに代表される所定の図柄を現出させたり、スピーカから特定の音声を出力したり、或いは、振動用のモータによって遊技球発射ハンドル18を振動させる等、通常とは異なる態様を変動表示に伴わせて変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させる演出である。
なお、停止パターン選択カウンタC3は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞装置33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS3は、例えば0〜162の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり162)に達した後0に戻る構成となっている。
変動種別カウンタCS1によって、ノーマルリーチ、スーパーリーチ、スペシャルリーチ、プレミアムリーチ等のリーチの種別のような大まかな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばノーマルリーチA、ノーマルリーチB等のようにさらに細かな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばすべり停止変動の場合の変動時間の加減算が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1〜CS3を組み合わせることで、変動パターンの多種多様性を容易に実現できる。
カウンタCS1〜CS3は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、特別図柄表示装置による特別図柄及び装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してカウンタCS1〜CS3のバッファ値が取得される。
次いで、普通図柄に関連するカウンタ群について説明する。普通図柄に関連するカウンタ群としては、当たりの抽選に使用する当たり乱数カウンタC4と、当たり乱数カウンタC4の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI2とを備えている。
上記当たり乱数カウンタC4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア701が設けられており、これらの各エリアには、作動入賞装置34への遊技球の通過に合わせて、当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
次いで、上記当たり乱数カウンタC4,初期値乱数CINI2の具体的な内容について詳述する。当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻る構成となっている。そして、当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の当たり初期値乱数カウンタCINI2の値が当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。なお、初期値乱数カウンタCINI2は、当たり乱数カンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜250)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。当たり乱数カウンタC4は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が作動入賞装置34を通過したタイミングでRAM503の保留球格納エリア701に格納される。当たり乱数カウンタC4の当たりとなる乱数の値の数は149で、その値は「5〜153」である。
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、停止パターン選択カウンタC3、当たり乱数カウンタC4、変動種別カウンタCS1〜CS3の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
尚、主制御装置261内のMPU501により実行される各制御処理の詳細については、ここでは詳細説明を省く。
しかし、要約すれば、上述のように、始動入賞装置33への入賞により、主制御装置261において所定の確率の当否抽選がなされ、当たりに際しては、特別遊技状態に移行するのであり、これに伴って可変入賞装置32が入賞球の受球状態となるものである。
(可変入賞装置と捕集部)
この実施例においては、上記の可変入賞装置32は、次のように構成されている。
この可変入賞装置32の基本構成は、遊技盤30の横方向に複数の遊技球を通過させることのできる幅を持つ大入賞口61からの入球を収容部(図示せず)に収容し、該収容部に設けた排出部から検出センサ(図示せず)に至って検出するように構成されている。
そして、前記遊技盤30の遊技領域に、窓部101と遊技盤30との間の流下空間を流下する遊技球を入球させる始動入賞装置33(33a及び33b:図4参照)が設けられ、前記始動入賞装置33への入球により、主制御装置261によって、所定の確率の当否抽選が行われ、該当たり抽選によって遊技状態が特別遊技状態に移行し、該特別遊技状態において、少なくとも1回、前記可変入賞装置32が、非受球状態から受球状態に切り替わり、前記受球状態において、前記大入賞口61から収容部に収容された規定数の入賞球を、前記検出センサにより検出することによって規定数の賞球を払い出すように構成してある。
(特徴構成)
本パチンコ機10における遊技盤30の構成について、以下、製造工程に基づいてさらに説明する。遊技盤30は、ベース(基材)となる装飾板(遊技板)603(図11参照)に対し各種役物等が取付けられて構成されている。図10は、遊技盤30の製造工程を説明するためのフローチャート図である。
<I.装飾板(遊技板)製作ライン>
ステップS101のシート貼付工程では、板材600に対し装飾シートとしてのセルシート601が貼付されることで、装飾板(遊技板)603が製造される〔図11(a),(b)参照〕。図11(a)は、装飾板603を構成する板材600と、そこに貼付されるセルシート601とを分けた状態で示す正面模式図であり、図11(b)は、装飾板603を示す正面模式図である。
より詳しくは、まず製造しようとしている遊技盤30(パチンコ機10)に対応するセルシート601を作業者が所定のシート貼付装置にセットする。続いて、所定の貯留場所からコンベア等で搬送されてきた未加工の板材600の表面に対し接着剤を塗布した上で、1枚のセルシート601が貼付される。板材600には、矩形状(長方形状)で、2箇所に位置決め用の孔を有するベニヤ板が用いられている。
また、本実施形態に係るセルシート601は、後でより具体的に記述するが、例えば板材600との接着層となる定着層と、遊技領域に対応する部分に各種デザイン画(イラスト)等が印刷される印刷層と、当該印刷層の表面側を覆う透明な樹脂表面層とが積層された基本構造となっている。該セルシート601は、各種デザイン画(イラスト)等の印刷部分を除く地の部分は基本的に白色となっている。
さらに、セルシート601の左下コーナ部(第1のコーナー部)近傍には、予め第1識別コードとしての仮識別コード605が付されている。本実施形態における仮識別コード605は、二次元コードであるQRコード(登録商標)により構成されている。この仮識別コード605には、例えば、セル番号情報、セルメーカー名情報、機種名情報、枠名情報、内枠12の種別情報、遊技盤30の盤面データ情報など、各種情報が記憶されている。なお、仮識別コード605が付された装飾板603(セルシート601)の左下コーナ部近傍部位615は、後述するルーター加工によって切除される部位である〔図11(c)参照〕。
上記セル番号情報としては、具体的には、例えば”SB087”のように、アルファベット2字とアラビア数字3字とをこの順に配列して構成されたもの等が挙げられる。この文字列を構成する各文字の表す情報は、例えば次のようなものとすることができる。即ち、第1のアルファベット”S”は、セルのメーカを表し、例えばセルメーカが3社あった場合、”S, T, U”等のアルファベット3字から選ばれ、これによりセルメーカの識別ができる情報となっている。第2のアルファベット”B”は、当該セルシートの販売年を表し、例えば”A”は2008年、”B”は2009年というようになっている。第1〜第3のアラビア数字で構成される3桁の数”087”は、セルの種類を表し、また同時に、この3桁の数だけでもセルメーカが識別できるように数の範囲がセルメーカ毎に振り分けられてある(例えば333ずつ3社)。
続くステップS102の照合工程では、装飾板603上の仮識別コード605に記憶された上記各種情報のうちの基本情報が、現在製造しようとしている遊技盤30(パチンコ機10)に対応したものであるか否かを照合する。本実施形態においては、基本情報として、セル番号情報が、機械の生産順機種データと照合される。
より詳しくは、先ずは所定の読取装置によって仮識別コード605の情報を読み取る。そして、所定の管理装置が、当該読み取った基準情報と、自身に予め登録された基準情報とが一致するか否かを判定する(ステップS103)。なお、当該登録された基準情報とは、後述する本識別コード606に含まれる基準情報と同一のものである。
ここで、両情報が一致した場合には、正しいセルシート601が貼付されているものとして、ステップS104の刻印工程に移行する。
一方、両情報が一致しないと判定された場合には、誤ったセルシート601が貼付されたおそれがあるとして、管理装置は、所定の警告報知(ステップS112)を行うとともに、生産ラインを停止させる(ステップS113)。この後、再びステップS101のシート貼付工程に戻って別の装飾板603を用意し、この新たな装飾板603に取り替えて再度ステップS102の照合工程を行い、正しいセルシート601が貼付された装飾板603となっていることを確認して、ステップS104の刻印工程に移行する。
上述のように、装飾板603に対し本識別コード606を付すにあたり、管理装置に予め登録された情報(これから付される本識別コード606に含まれる情報、以下「本コード情報」という。)と、事前にセルシート601に付された仮識別コード605の内容(以下「仮コード情報」という。)とを照合する。このため、仮にシート貼付工程におけるセルシート601のセットミス等に起因して、セルシート601の貼り間違いが発生した場合であっても、上記本コード情報と仮コード情報の照合結果に基づき警告報知を行ったり、生産ラインを停止するなど処理が実行されるため、所望の機種に対応しないセルシート601が付された装飾板603が次工程に送られるといった不具合の発生を防止することができる。同様に、登録情報の入力ミス等が発生した場合であっても、本識別コード606の刻印前に本コード情報と仮コード情報の照合を行うため、誤った本識別コード606が装飾板603に刻印されるといった事態を防止することができる。結果として、製造過程における管理性の向上を図ることができる。
また、予め定められた機種名情報等のみならず、製造年月日や生産ライン等に関する情報を本識別コード606の内容に含ませることができる。結果として、その後の製造過程において何らかの不具合が発生した場合において追跡調査が可能となるなど、利便性が向上する。
ステップS104の刻印工程では、所定のレーザー刻印装置により、第2識別コード(本識別コード)としての本識別コード606を装飾板603の右上コーナ部(第2のコーナー部)近傍にレーザー刻印する。これにより、セルシート601の樹脂表面層に本識別コード606が刻印されることとなる。ステップS104の刻印工程が本実施形態におけるコード付け工程に相当する。
仮識別コード605と同様、本識別コード606も二次元コードであるQRコードにより構成されている。また、本識別コード606が付された装飾板603(セルシート601)の右上コーナ部近傍部位は、後述するルーター工程によって切除されない部位である〔図11(c)参照〕。さらに、本識別コード606が付された部位は、遊技領域外となる部位であり、遊技盤30単体の状態では露出するが、遊技盤30を内枠12に取付けた際には本識別コード606は内枠12により被覆され見えなくなる。
なお、本識別コード606には、上記仮識別コード605に含まれる情報に加えて、管理装置によって管理される生産ライン情報や、製造年月日に係る情報(製造年月日情報)、刻印延べ数情報なども含まれる。
上記本識別コード606に含まれる情報をまとめると、以下の通りである。
・セル番号情報(セル番号の目視確認用。仮識別コード605に含まれていたものと同一の情報。)
・セルメーカー名情報(セルメーカーの目視確認用。例えば”S”。仮識別コード605に含まれていたものと同一の情報。)
・機種名情報(機種名の目視確認用。例えば”CR××物語M”。仮識別コード605に含まれていたものと同一の情報。)
・枠名情報(枠名の目視確認用。例えば”P6AS”。仮識別コード605に含まれていたものと同一の情報。)
・遊技盤種別情報(後述するステップS107の釘打工程ならびにステップS109の前面部品取付工程における機械動作を決定する。例えば”274”。仮識別コード605に含まれていたものと同一の情報。)
・主基板対応情報(後述するステップS111の遊技盤装着工程で主基板シールの番号と目視照合。例えば”93D”。仮識別コード605に含まれていたものと同一の情報(機種名情報)。)
・内枠対応情報(後述するステップS111の遊技盤装着工程で内枠証紙色および番号と目視照合。例えば”1−黒”。仮識別コード605に含まれていたものと同一の情報(内枠12の種別情報)。)
・刻印延べ数情報(遊技盤製作数の目視確認用。)
・製作年月日情報(遊技盤製作年月日の目視確認用。)
上記のようにして適正に製造された装飾板603は、次にステップS105のルーター加工工程に送られる。
かかるルーター加工工程においては、ルータ加工機のボス2本に、前記位置決め用の孔を嵌着して位置決めをし、機械の生産順機種データに基づいてルータ加工を行う。ルーター加工が施されると、装飾板603には、可変表示装置ユニット35等を取付けるための貫通孔(図示略)等が形成される。また、装飾板603は、左下コーナ部近傍部位615や左上コーナ部近傍部位616が切除されることで、所定の外周形状となる〔図11(c)参照〕。その結果、仮識別コード605も装飾板603から切除されることとなる。
<II.遊技盤製造ラインA>
上記装飾板(遊技板)製作ラインで作製された装飾板603は、2つの遊技盤製造ラインA、Bに順次送られ、第1の遊技盤製造ラインAでは、ステップS107の釘打工程が行われる。釘打工程においては、製造ラインのボス2本に、前記位置決め用の孔を嵌着して位置決めをし、本識別コード606の遊技盤種別情報に基づいて釘打ちを行う。
このとき、本識別コード606の情報が所定の読取装置により読み取られる(ステップS106)。
ここで、ステップS106の読み取りの結果、本識別コード606の遊技盤種別情報が正しく読み取られて釘打ちが適正に行われた場合には、ステップS109の前面部品取付工程に移行する。
一方、ステップS106の読み取りの結果、本識別コード606の遊技盤種別情報が正しく読み取られない場合には、ステップS104の刻印工程で本識別コード606が正しく刻印されていない(異常)と判断され、所定の警告報知(ステップS114)を行うとともに、生産ラインを停止させ(ステップS115)、ステップS116のシール貼付工程に移行する。
本識別コード606の刻印工程(ステップS104)では、誤動作や位置ズレといった何らかの原因により、本識別コード606が正しく刻印されないことがある。このように刻印が正しくなされていない状態でステップS107の釘打工程まで移行してくると、ステップS106の読み取りで本識別コード606の遊技盤種別情報が読み取られず、釘打工程を行うことができなくなる。そこで、このような場合、上述のように警告報知(ステップS114)および生産ラインの停止(ステップS115)を経て、ステップS116のシール貼付工程に移行し、このシール貼付工程で、本識別コードを印刷したシールを別に用意して手作業で装飾板603に貼付し、これによりあらためて本識別コードを装飾板603に付すようにする。
上記本識別コードを印刷したシール(以下、「本識別コードシール」とも称す)608は、上記刻印工程で刻印された本識別コード(以下、「刻印本識別コード」とも称す)606と同一のQRコードを印刷して調製され、したがって言うまでもなく、当該本識別コードシール608の本識別コードに含まれる情報も、上記刻印本識別コード606に含まれる情報すなわち本コード情報と同一となっている。
このとき、上記本識別コードシール608に含まれる情報には、前述の通り、製造時の情報である刻印延べ数情報や製造年月日情報があることにより、同一種のセルシートであっても本識別コードの態様は別々になる。このため、セルシートの種類ごとに共通のQRコードを予め印刷して所要枚数の本識別コードシール608を調製しておくことができず、代わりに、読み取り不可の刻印本識別コード606があった場合には、製造ラインを流れる順番における前後のセルシートに付された刻印本識別コード606の内容から本識別コードシール608に印刷すべき内容を把握し、コード印刷機を作業者が設定して本識別コードシール608に印刷する識別コードの内容を調整するようにする。
シール貼付工程(ステップS116)においては、上記本識別コードシール608を装飾板603に貼付するが、このとき、本識別コードシール608を手作業により正確な位置に貼付することは難しく、貼付位置がズレることとなりやすい。本識別コードシール608の貼付位置がズレると、再度また、遊技盤種別情報が読み取られなくて釘打工程を行うことができないというエラーが繰り返されることとなる。
そこで、本実施形態のシール貼付工程(ステップS116)においては、図12および図13に示す遊技盤の加工位置案内具(以下、単に「ガイド」とも称す)607を用いて本識別コードシール608を貼付するようにしている。以下、このガイド607について説明する。なお、図12および図13におけるガイド607の方向は、装飾板603に取り付けられた状態で正面側から視た場合の方向と概ね一致しており、以下の記述においても、装飾板603に取り付けられた状態での方向をもって記述する。
上記ガイド607は、図12および図13に示すように、前後方向の寸法(奥行)と上下方向の寸法(高さ)とがほぼ同程度であってこれよりも左右方向の寸法(幅)が大きく、全体として左右方向にやや長い直方体において、上面を覆う上壁607Tと、右側面を覆う右側壁607Rと、前面を覆う前側壁607Fと、背面を覆う後側壁607Bとが連続的に形成され、下面と左側面とが開放された概略箱状の外形となるように黒色の樹脂を成形してなる中空の樹脂成形体となっている。上記ガイド607における内部空間の奥行、即ち前側壁607Fの内面と後側壁607Bの内面との間隔は、約19〜20mm程度で、装飾板603の厚さより僅かに大となっている。また、上壁607T、右側壁607R、前側壁607Fおよび後側壁607Bのそれぞれの肉厚は約2〜3mm程度となっている。
上記ガイド607における上面と右側面とが交叉して形成される稜角部は丸く角落ちするように成形され、当該稜角部の内側に形成される稜部は丸く湾曲面状に形成されている。
上記ガイド607における上壁607Tの左端縁からは、肉厚約6mm程度、延出高さ約7mm程度でガイド607の前面から背面まで延びる、中実の突壁状の第1ツマミ607Pが上方へ垂直に延出し、右側壁607Rの下端縁からは、上記第1ツマミ607Pとほぼ同様の寸法および形状を有する中実の突壁状の第2ツマミ607Hが右方へ水平に延出している。上記第1ツマミ607Pおよび第2ツマミ607Hにおいて、先端部に形成される各稜角部、即ち縦断面において出隅部となる各稜角部はそれぞれ丸く角落ちするように成形され、基端部に形成される各稜部、即ち縦断面において入隅部となる各稜部はそれぞれ丸く湾曲面状に形成されている。
上記前側壁607Fは、右側壁607Rの下端よりも約9mm程度下方へ長く延出し、右下および左下の出隅部はそれぞれ丸く角落ちするように成形され、第2ツマミ607Hの下面と交わる入隅部は丸く弧状に形成されている。一方、上記後側壁607Bの下端の位置は右側壁607Rの下端の位置と等しく、したがって即ち後側壁607Bの下端面と第2ツマミ607Hの下面とが面一となっている。後側壁607Bにおける左下の出隅部は丸く角落ちするように成形されている。
上記前側壁607Fの中央には、厚さ方向に貫通する窓部607Sが穿設されている。該窓部607Sは、垂直に下方を指示する矢印状の形状を有し、下端の矢部(三角状部)の最大幅は約11mm程度、該矢部から上方に延びる軸部の幅は約5mm程度、長さ(上下方向の全長)は約14mm程度となっており、前側壁607Fの中央からやや下方寄りにずれるように形成されている。
上記ガイド607は、図14に示すように、ルータ加工後の装飾板603において、読取不可と判定された本識別コード606が刻印されていた、右上コーナ部(第2のコーナー部)に嵌着する。
装飾板603の右上コーナ部(第2のコーナー部)は、図11では図示省略しているが、実際には図14に示すように、ルータ加工により内側へ正面視弧状に凹入するように切除されている。したがって、この弧状の凹入部の両端部(左上部および右下部)にそれぞれ出隅部が形成されているが、このうちの左上の出隅部(以下、「対象出隅部」とも称す)にガイド607が嵌着される。このとき、対象出隅部の上端面603Tにガイド607における上壁607Tの内面を、対象出隅部の右側面603Rにガイド607における右側壁607Rの内面を、それぞれ当接させるようにして、ガイド607を、内部に対象出隅部を挟み込むように嵌着する。このとき、前述の通り、ガイド607における内部空間の奥行、即ち前側壁607Fの内面と後側壁607Bの内面との間隔は装飾板603の厚さより僅かに大となっているので、ガイド607の内面と装飾板603の表裏面との間には僅かに余裕が存在するようになっており、したがってガイド607を装飾板603の対象出隅部にスムーズに着脱することができ、また装飾板603の表裏面を傷つけることも少ないようになっている。他方、ガイド607の内面と装飾板603の表裏面との間に形成される余裕は、ガイド607が前後に実質的にガタつくことがない程度の最小限の余裕となっており、したがってガイド607が安定して確実に嵌着されるようになっている。
このように、ガイド607は、対象出隅部に嵌着することにより、装飾板603に対してシールの貼付位置を案内することが可能な案内体勢となり、この案内体勢において、上壁607Tの内面が、装飾板603の上面に対向する第1対向部となっており、右側壁607Rの内面が、装飾板603の右側面に対向する第2対向部となっている。即ち、第1対向部である上壁607Tの内面を装飾板603における対象出隅部の上端面603Tに当接させることにより、ガイド607の上下位置が案内体勢における上下位置に合致し、第2対向部である右側壁607Rの内面を装飾板603における対象出隅部の右側面603Rに当接させることにより、ガイド607の左右位置が案内体勢における左右位置に合致し、これによってガイド607を案内体勢となるように位置合わせすることができる。
またこのとき、ガイド607は、両手で扱っても、あるいは左手で扱っても右手で扱ってもよく、またその持ち方等も任意であるが、例えば、図14に仮想線で示すように、2本の手指F1、F2をそれぞれ第1ツマミ607Pおよび第2ツマミ607Hに内側から掛けるようにして片手でガイド607を保持するようにすると、ガイド607を容易に案内体勢に保持することができる。このとき、図14に矢印A11で示すように、おおよそ装飾板603の中央方向に向けて左下方向に力をかけるようにすると、ガイド607に下方向への力も左方向への力も同時にかけることができるので、ガイド607を上下方向においても左右方向においても容易かつ確実に案内体勢に保持することができる。ここで、この左下方向A11の力の分力となる左方向への力および下方向への力をガイド607にかける上で、第1ツマミ607Pおよび第2ツマミ607Hが特に有用となっている。即ち、第1の手指F1で第1ツマミ607Pを左方向に、第2の手指F2で第2ツマミ607Hを下方向にそれぞれ押圧することにより、左下方向A11の力を容易にガイド607にかけることができるようになっている。さらに、第1ツマミ607Pおよび第2ツマミ607Hが、ガイド607における上壁607Tの左端および右側壁607Rの下端にそれぞれ配設され、したがって左方向に力を加える点と下左方向に力を加える点とが互いに最も離れた両端部に位置するようになっているので、ガイド607に上述のような力をより容易に、かつ安定してかけることができるようになっている。
上述のようにして案内体勢としたガイド607における前側壁607Fの下端面607Gは、図14に矩形状の仮想線で示すシール貼付位置603Sの上端縁に沿って位置するように設定されている。即ち、ガイド607における前側壁607Fの下端面607Gが、装飾板603に対してシール貼付位置603Sを案内することが可能な案内体勢とされたときに、当該シール貼付位置603Sの上端縁に沿って位置する、上端位置案内部となっている。一方、案内体勢としたガイド607における前側壁607Fの左側端面607Lは、シール貼付位置603Sの左側端縁の延長線上に位置するように設定されている。即ち、ガイド607における前側壁607Fの左側端面607Lが、装飾板603に対してシール貼付位置603Sを案内することが可能な案内体勢とされたときに、当該シール貼付位置603Sの左側端縁の延長線に沿って位置する、左端位置案内部となっている。
このとき、ガイド607の前側壁607Fには、前述の通り、垂直に下方を指示する矢印状の形状を有する窓部607Sが形成されているので、該窓部607Sの矢印形状により、その下方にシール貼付位置603Sがあることが教示される。即ち、該窓部607Sの矢印形状が、シール貼付位置603Sがある方向を指示する案内として機能するようになっている。また、第1ツマミ607Pの左側面が、ガイド607における前側壁607Fの左側端面607Lと面一となるように形成されているので、左端位置案内部の位置がより強調される形状となっている。即ち、第1ツマミ607Pの左側面が、シール貼付位置603Sの左端位置に沿った基準線の一部を形成している。
上述のようにガイド607を案内体勢に保持しながら、図15に示すように、シール貼付位置603Sに本識別コードシール608を貼付する。このとき、上端位置案内部である、ガイド607における前側壁607Fの下端面607Gに、本識別コードシール608の上端縁を合わせ、左端位置案内部である、ガイド607における前側壁607Fの左側端面607Lに、本識別コードシール608の左端の位置を合わせるようにする。このとき、ガイド607を一方の手(左手または右手)で案内体勢に保持しつつ、他方の手(右手または左手)で本識別コードシール608をシール貼付位置603Sに貼付する。こうして、シール貼付位置603Sに本識別コードシール608を手作業により容易かつ正確に貼付することができる。
このとき、ガイド607における前側壁607Fの内面と装飾板603の表面との間には前述の通り余裕が存在するので、この間に本識別コードシール608の上端部が多少とも誤って入り込み、その結果、本識別コードシール608がシール貼付位置603Sよりも多少とも上方にズレてしまうこともあり得る。この場合、ガイド607の前側壁607Fは不透明の黒色樹脂よりなるため、この裏側に本識別コードシール608の上端部が入り込んだとしても、前方からは隠れていて視認されず、したがってズレの程度が小さい場合にはそのまま認識されずに看過されてしまうことともなりやすい。しかしながら、本識別コードシール608の位置が多少ずれたとしても、読取装置による読み取りは可能、即ち読取装置による読取可能範囲は多少の余裕をもって大きめに設定されているので、あまり問題はない。
これに対し、例えば図16に示すように、本識別コードシール608が読取可能範囲を超える程度に大きく上方にズレてしまうと、読取装置による読み取りが不可能なエラーとなってしまう。そこで、上記ガイド607においては、上述のように読取可能範囲を超えて上方にズレた場合の本識別コードシール608の上端部にかかるような位置、即ちガイド607における前側壁607Fの下端面607Gから所定距離D11をおいた位置に、窓部607Sが形成されている。窓部607Sは、ガイド607における前側壁607Fを厚さ方向に貫通する窓部となっているので、図16に示すように、読取可能範囲を超えて上方にズレた本識別コードシール608の上端部が、該窓部607Sを通して外部から視認され、これにより、次の工程に移行する前に本識別コードシール608の位置を修正してエラーを回避することができる。即ち、窓部607Sが、本識別コードシール608が読取可能範囲を超えて上方にズレた体勢となっていることを目視により確認することを可能とする覗き窓としても機能するようになっている。ここで、上記ガイド607における前側壁607Fの下端面607Gから窓部607Sまでの距離D11は、5mmに設定されている。即ち、本識別コードシール608がシール貼付位置603Sより5mmを超えて上方にズレると読み取りが不可能なエラーとなるため、このように5mmを超えて上方にズレた本識別コードシール608の上端部を視認可能とする位置に窓部607Sが形成されている。
上述のように本識別コードシール608をシール貼付位置603Sに貼付した後、ガイド607を装飾板603から取り外して取り除き、次いで、図10に示すように、ステップS107の釘打工程をあらためて行う。
<III.遊技盤製造ラインB>
本識別コードシール608(または、刻印本識別コード606に異常がなかった場合には、刻印本識別コード606)の本コード情報を正しく読み取って釘打ちを完了したら、装飾板603は、第1の遊技盤製造ラインAから第2の遊技盤製造ラインBに移送され、まずステップS109の前面部品取付工程が行われる。前面部品取付工程においては、釘打工程の場合と同様に、製造ラインのボス2本に、前記位置決め用の孔を嵌着して位置決めをし、次いで、センターフレーム43等の前面側の遊技部品を、ルータ加工により穿設された開口部(貫通孔)に手作業により嵌入する。この後、本識別コードシール608(または刻印本識別コード606)の遊技盤種別情報に基づいてネジ止めにより固定する。
このとき、前面側の遊技部品を開口部(貫通孔)に手作業により嵌入した後、ネジ止めにより固定する前に、釘打工程の場合と同様に、本識別コードシール608(または刻印本識別コード606)の情報が所定の読取装置により読み取られる(ステップS108)。
ここで、ステップS108の読み取りの結果、本識別コードシール608(または刻印本識別コード606)の遊技盤種別情報が正しく読み取られて前面部品の取付が適正に行われた場合には、ステップS110の裏面部品取付工程に移行する。
一方、ステップS108の読み取りの結果、本識別コードシール608(または刻印本識別コード606)の遊技盤種別情報が正しく読み取られない場合には、例えばステップS108の読み取りの前に前面側の遊技部品を開口部(貫通孔)に手作業により嵌入する工程で傷がつく等の原因により、本識別コードシール608(または刻印本識別コード606)に何らかの異常が生じていると判断され、所定の警告報知(ステップS117)を行うとともに、生産ラインを停止させ(ステップS118)、ステップS119のシール貼付工程に移行する。ステップS119のシール貼付工程においては、前述のステップS116のシール貼付工程と同様の工程(説明は省略)により、異常があるとされた刻印本識別コード606の上に重ねるようにして、あるいは異常があるとされた本識別コードシール608と貼り替えるようにして、別に調製した新たな本識別コードシール608を貼付し、次いでステップS109の前面部品取付工程をあらためて行う。なお、ステップS108の読み取りによって異常と判断されたのが刻印本識別コード606ではなく本識別コードシール608の場合には、この上に重ねるようにして新たな本識別コードシール608を貼付すると、この新たな本識別コードシール608を剥がして別の装飾板603に貼付することによって同一の本コード情報を有する別の装飾板603を調製するという不正行為がなされる虞がある。したがってこの場合には、異常があるとされた本識別コードシール608の上に重ねるようにして新たな本識別コードシール608を貼付するのではなく、上述のように新たな本識別コードシール608に貼り替えるようにすることが望ましい。
本識別コードシール608(または刻印本識別コード606)の本コード情報を正しく読み取って前面部品の取付を完了したら、第2の遊技盤製造ラインBで引き続き、ステップS110の裏面部品取付工程が行われる。裏面部品取付工程においては、装飾板603を裏返し、主基板ボックス等を含む裏面側の遊技部品を、手作業により配置してネジ止めにより固定する。これにより、遊技盤30が完成する。
<IV.遊技盤装着ライン>
上記遊技盤30は、遊技盤装着ラインに送られ、ステップS111の遊技盤装着工程が行われる。遊技盤装着工程においては、内枠12に対し遊技盤30を手作業により装着する。
このとき、本識別コードシール608(または刻印本識別コード606)の主基板対応情報と主基板ボックスの主基板シール番号とを目視照合する。また、本識別コードシール608(または刻印本識別コード606)の内枠対応情報と内枠12の証紙色および証紙番号とを目視照合する。
以下、本実施形態に係るセルシート601についてさらに説明する。
セルシート601は、図17に模式的に示すように、板材600に対向する内側から、紙層611、アルミニウム層612および外側層613がこの順に形成された積層構造を有するものとなっている。
外側層613は、それ自体がさらに積層構造を有するものとなっている。即ち、内側すなわちアルミニウム層612側から、レンズ層614、接着層615、印刷層616および表面樹脂層617がこの順に形成されている。
レンズ層614は、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂よりなる透明性ないし半透明性を有するフィルムで構成され、レンズ的に機能して装飾をより美麗に見えるようにするものである。接着層615は、ウレタン系樹脂よりなる透明性ないし半透明性を有する接着剤(糊)で構成されている。印刷層616は、感光性樹脂よりなる透明性ないし半透明性を有するインクを用いて、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等により表面樹脂層617の内側面に形成され、これにより所定の絵柄が印刷される。表面樹脂層617は、CAB(セルロース・アセテート・ブチレート)樹脂よりなる透明性ないし半透明性を有する層となっている。CAB樹脂よりなる層は、透明性や光沢性、着色性に優れる、切削加工性に優れてバリが生じ難い、等の特性を有する。なお、半透明性とは、例えば、向こう側の様態が僅かに透過して視認し得る程度の透明性を含意する。
紙層611は、上質紙、コート紙等の紙よりなる層となっている。アルミニウム層612は、レンズ層614の内側面にアルミニウムを蒸着することにより形成されており、このアルミニウム層612を形成したレンズ層614が、紙層611の外側面に糊付けにより接着されている(この接着層の説明および図示は省略)。
上記セルシート601の積層構造によれば、アルミニウム層612が鏡面状となって光を前方へ反射し、これによりセルシート601の外観がよりきらびやかで派手となり、印刷層616の絵柄も強調されることとなって、優れた装飾効果が得られるようになっている。
また、上記表面樹脂層617を構成するCAB(セルロース・アセテート・ブチレート)樹脂は耐熱性が低く熱により変形しやすいが、上記セルシート601の積層構造によれば、耐熱性に優れるPET樹脂製のレンズ層614にアルミニウム層612を蒸着により形成した後、これを接着層615により表面樹脂層617(および印刷層616)と接着するようにしているので、アルミニウム層612の形成工程における熱による表面樹脂層617への影響を回避することができる。
ところが、上記セルシート601を調製した後に、前述の通りステップS104の刻印工程で本識別コード606をレーザ刻印すると、レーザによる熱によってアルミニウム層612が高温化し、これにより表面樹脂層617が影響を受けることが避けられない。表面樹脂層617が熱を受けると、外側へ膨出するように変形し、これより内側の、耐熱性を有するレンズ層614等から剥離してその間に空気層が生じたりすることともなる。このように表面樹脂層617が変形すると、本識別コード606が正しく刻印されず、その読取が困難となる不具合が生じやすい。
そこで、本パチンコ機10においては、図17に摸式的に示すように、上記セルシート601においてレーザ刻印(高温処理)による熱を受ける領域に、外側層613を貫通して該外側層613の外側面からアルミニウム層612の外側面まで延びる通気孔618を穿設するようにしている。この構成により、レーザ刻印(高温処理)によりアルミニウム層612が熱を持っても、この熱が通気孔618を通して外部に逃げることができ、これによりアルミニウム層612の高温化が抑制されて表面樹脂層617の変形も抑制される。
本識別コード(刻印本識別コード)606を構成するQRコードは、図18にもあらためて拡大して示すようなものであるが、方形状のドット(セル)を縦横に配列するように印字して構成される二次元コードであり、本実施形態では縦25ドット、横25ドットが配列されて構成されたものとなっている。1ドットの寸法は0.8mm×0.8mmであり、したがってQRコード全体の寸法は20mm×20mmとなっている。通気孔618は、QRコード1ドットの1辺の約1/4に相当する約0.2mmの孔径を有し(したがってその開口面積約0.0314mm2はQRコード1ドットの面積0.64mm2の約1/20)、図18に示すように、QRコード(刻印本識別コード606)を上下左右に余裕をもって内包するように、該QRコードよりもやや大きい縦H11×横W11(H11>20mm、W11>20mm)の矩形状の領域内の一面に、縦横にそれぞれ等間隔d12=3mmをおいて格子点をなすように配置形成されている。なお、図18において、通気孔618間の間隔d12は、QRコード(刻印本識別コード606)の寸法に対してほぼ実際の寸法比の通りに図示しているが、各通気孔618の寸法(孔径)は、明瞭化のため、QRコード(刻印本識別コード606)の寸法に対して実際よりも大幅に拡大して図示している(換言すれば、各通気孔618の実寸は、上述の通りQRコードの1ドットの実寸よりも大幅に小さく、したがって実際の大小関係に反しないように図示するとすれば、図においてもQRコードの1ドットよりも細小となるように図示されるべきものである)。
通気孔618の開口面積は、QRコード1ドットの面積の1/3以下、より好ましくは1/10以下であることが望ましい。通気孔618の開口面積がQRコード1ドットの面積の1/3より大となると、QRコードのドットの位置に重なって穿設された通気孔618が当該ドットの読取りを阻害する虞がある。なお、レーザ刻印の精度がより高いレベルで確保できて通気孔618の周囲に十分にドットを刻印することが可能な場合には、通気孔618の開口面積を上記範囲よりも大きく設定することも可能である。一方、通気孔618の開口面積は、QRコード1ドットの面積の1/100以上、より好ましくは1/30以上であることが望ましい。通気孔618の開口面積がQRコード1ドットの面積の1/100より小となると、通気性が不十分となってアルミニウム層612の熱を十分に逃すことができなくなる虞がある。
通気孔618間の間隔(d12)は、QRコード1ドットの寸法(0.8mm)の0.5倍よりも大、より好ましくはQRコード1ドットの寸法の1倍以上であることが望ましい。通気孔618間の間隔がQRコード1ドットの寸法と同等またはこれよりも小となると、1ドット内に2以上の通気孔618が位置することがあり、このような場合には当該ドットの読取りが阻害される虞がある。一方、通気孔618間の間隔(d12)は、本実施形態ではQRコード1ドットの寸法0.8mmの3.75倍に相当する3mmに設定されているが、QRコード1ドットの寸法の8倍以下、より好ましくは4倍以下であることが望ましい。通気孔618間の間隔がQRコード1ドットの寸法の8倍よりも大となると、通気性が不十分となってアルミニウム層612の熱を十分に逃すことができなくなる虞がある。
通気孔618は、例えば図19に示すように、セルシート601に対して外側に平行に配置される平板状の基材619Sの内側面(セルシート601に対向する面)において、各通気孔618に対応する格子点状(間隔d12=3mm)の位置にそれぞれ針619Pがセルシート601に向けて突設された構成を有する穿孔治具619を、図19に矢印A12示すように、セルシート601の外側面(表面樹脂層617形成側面)に外側から圧し付けていき、針619Pの先端をセルシート601に所定深さまで突き刺すことにより穿設することができる。
このとき、図19に示すように、針619Pの先端がちょうどアルミニウム層612の表面に到達する位置で穿孔治具619を止めるようにして(したがって針619Pがアルミニウム層612の表面に接するが表面から陥入はしないようにして)通気孔618を穿設する穿孔方法(以下、「非貫通式穿孔方法」とも称す)としても、あるいは、例えば図20に示すように、針619Pを少なくともアルミニウム層612を(もしくは紙層611も含めて、即ちセルシート601の全体を)貫通させるようにして通気孔618を穿設する穿孔方法(以下、「貫通式穿孔方法」とも称す)としてもよい。
針619Pをアルミニウム層612に陥入させない上記非貫通式穿孔方法によれば、針619Pを突き刺す深さを最小限(即ち外側層613のみ)とするので、針619Pを引き抜くときに外側層613が引っ張られる力が比較的に小さく、通気孔618の周縁がセルシート601の外側面から出っ張ることが抑制され、したがってこのような出っ張りの形成による読取りエラーを防止することができる。一方、針619Pをアルミニウム層612を貫通させる上記貫通式穿孔方法によれば、例えば針619Pの先端をちょうどアルミニウム層612の表面に到達する位置で止めた場合に、該針619Pの先端がアルミニウム層612の表面を多少とも押圧することによりアルミニウム層612がレンズ層614から剥離し、その結果外側層613が外側へ膨張しやすくなる、といった不具合が防止され、これにより、外側層613がアルミニウム層612に付着した状態に確実に保持されて該外側層613の変形が抑止され、したがって読取りエラーを防止することができる。
(作用)
本パチンコ機10は、CAB樹脂よりなる樹脂含有層すなわち表面樹脂層617を含んで構成される外側層613と、該外側層613の内側に配置された金属含有層すなわちアルミニウム層612とを有するセルシート601を備え、該セルシート601の右上コーナ部(第2のコーナー部)近傍に高温処理としてレーザ刻印が施される構成において、上記セルシート601において高温処理が施される領域すなわち右上コーナ部(第2のコーナー部)近傍に、上記外側層613を貫通して該外側層613の外側面から上記アルミニウム層612の外側面まで延びる通気孔618が穿設された構成となっている。
上記構成によれば、高温処理すなわちレーザ刻印によりアルミニウム層612が熱を持っても、この熱が通気孔618を通して外部に逃げることができ、これによりアルミニウム層612の高温化が抑制されて表面樹脂層617の変形も抑制されるようになっている。これにより、レーザによる本識別コード606の刻印も正しく行うことができ、本識別コード606の読取が困難となる不具合も生じ難くなっている。
また、上記高温処理が、ドットを縦横に配列して構成される二次元コードであるQRコードをレーザにより刻印する処理であり、上記通気孔618の開口面積が、上記QRコード1ドットの面積の1/3以下である約1/20となっているので、該通気孔618がドットの位置に重なって穿設されたとしても当該ドットの読取りを阻害し難い。
また一方、上記通気孔618の開口面積が、上記QRコード1ドットの面積の1/100より大である約1/20となっているので、通気性が十分に確保されてアルミニウム層612の熱を十分に逃すことができるようになっている。
また、上記通気孔618間の間隔(d12)が、QRコード1ドットの寸法0.8mmよりも大きい3mmとなっているので、1ドット内に2以上の通気孔618が位置して当該ドットの読取りが阻害されるといったことがないようになっている。
また一方、上記通気孔618間の間隔(d12)が、QRコード1ドットの寸法0.8mmの8倍以下である3.75倍に相当する3mmとなっているので、通気性が十分に確保されてアルミニウム層612の熱を十分に逃すことができるようになっている。
また、上記通気孔618が、針619Pの先端をセルシート601に所定深さまで突き刺すことにより穿設されており、このとき、該針619Pの先端をちょうどアルミニウム層612の表面に到達する位置で止めるようにしてアルミニウム層612に陥入させない非貫通式穿孔方法によれば、針619Pを突き刺す深さを最小限(即ち外側層613のみ)とするので、針619Pを引き抜くときに外側層613が引っ張られる力が比較的に小さく、通気孔618の周縁がセルシート601の外側面から出っ張ることが抑制され、したがってこのような出っ張りの形成による読取りエラーを防止することができる。
一方、該針619Pを少なくともアルミニウム層612を貫通させる貫通式穿孔方法によれば、例えば針619Pの先端をちょうどアルミニウム層612の表面に到達する位置で止めた場合に、該針619Pの先端がアルミニウム層612の表面を多少とも押圧することによりアルミニウム層612がレンズ層614(外側層613)から剥離し、その結果外側層613が外側へ膨張しやすくなる、といった不具合が防止され、これにより、外側層613がアルミニウム層612に付着した状態に確実に保持されて該外側層613の変形が抑止され、したがって読取りエラーを防止することができる。
また、本実施形態に係る遊技盤の加工位置案内具であるガイド607は、パチンコ機10の遊技領域を前面によって形成する遊技板すなわち装飾板603にセンターフレーム43等の遊技部品を装着してなる遊技盤30の作製工程において、該装飾板603に施される加工すなわち本識別コードシール608の貼付の位置を案内することが可能な構成において、上記装飾板603に対して上記本識別コードシール608の貼付位置を案内することが可能な案内体勢とされたときに、当該本識別コードシール608の貼付位置に沿って位置する案内部として前側壁607Fの下端面607Gおよび左側端面607Lと、上記案内体勢において上記装飾板603の上面に対向する第1対向部として上壁607Tの内面と、上記案内体勢において上記装飾板603の一方の側面すなわち右側面に対向する第2対向部として右側壁607Rの内面と、上記案内体勢において上記装飾板603の上辺に対し外方へ向けて突出する第1把手部として第1ツマミ607Pと、上記案内体勢において前記装飾板603の一方の側辺すなわち右側辺に対し外方へ向けて突出する第2把手部として第2ツマミ607Hと、を備える構成となっている。
上記構成によれば、上壁607Tの内面および右側壁607Rの内面を装飾板603の上面および右側面にそれぞれ対向させることでガイド607を装飾板603に対して正確かつ容易に所定の案内体勢とすることができる。このとき、第1ツマミ607Pおよび第2ツマミ607Hを把持することにより、容易かつ確実にガイド607を所定の案内体勢にセットし保持することができる。こうしてガイド607を案内体勢とした状態で、前側壁607Fの下端面607Gおよび左側端面607Lに沿って本識別コードシール608を貼付することで、装飾板603に対して正確な位置に容易に本識別コードシール608を貼付することができる。
また、上記案内部が、装飾板603に対してシール貼付位置603Sを案内することが可能な案内体勢とされたときに当該シール貼付位置603Sの上端縁に沿って位置する上端位置案内部として前側壁607Fの下端面607Gおよび当該シール貼付位置603Sの左側端縁の延長線に沿って位置する左端位置案内部として前側壁607Fの左側端面607Lを有するので、本識別コードシール608の上端縁および左側端縁を前側壁607Fの下端面607Gおよび左側端面607Lの位置にそれぞれ合わせることでその上下位置および左右位置を容易かつ正確に合わせることができる。
また、上記第1対向部および第2対向部が、上記装飾板603の出隅部に対応する折曲形状をなして横方向および縦方向にそれぞれ延びる上壁607Tおよび右側壁607Rの内面となっており、上記上壁607Tおよび右側壁607Rにおいて折曲部から遠い側の両端部すなわち上壁607Tの左端部および右側壁607Rの下端部に、それぞれ外方へ向けて突出するように第1ツマミ607Pおよび第2ツマミ607Hが配設されているので、装飾板603に対するガイド607の位置決めがより安定し、本識別コードシール608の貼付位置をより容易かつ正確に案内することができる。
また、上記第1把手部および第2把手部のうちの一方である第1ツマミ607Pが、シール貼付位置603Sの左右位置の基準となる基準線の一部を形成しているので、該第1ツマミ607Pの体勢によってガイド607の位置決めが正確になされているか否かを容易に確認することができる。またこのとき、該第1ツマミ607P自体が直接把持される部分であるので、ガイド607の体勢を調整し易い。
また、案内部である前側壁607Fの下端面607Gおよび左側端面607Lを含め、ガイド607の全体が黒色に構成されているので、セルシート601の白色とコントラストをなして案内部が明瞭で見易くなっており、したがって本識別コードシール608の貼付位置を容易かつ正確に案内することができる。
また、上記加工が、装飾板603にシート状の部材である本識別コードシール608を付加(貼付)することとなっており、上記ガイド607が、案内部を構成する下端面607Gおよび左側端面607Lを有する前側壁607Fを備え、該前側壁607Fにおける上端位置案内部である下端面607Gの近傍に、装飾板603側を視認可能とする窓部607Sが配設されているので、本識別コードシール608がシール貼付位置603より上方にずれて前側壁607Fの裏側に入り込んだ場合に、該窓部607Sを覗き窓としてこの本識別コードシール608がずれた状態にあることを容易に発見することができる。
また、上記窓部607Sが、上端位置案内部である前側壁607Fの下端面607Gを指示する下向きの矢印状の形状となるように形成されているので、シール貼付位置603がある方向が明瞭に示されるようになっている。また、このシール貼付位置603を指示する記号としての機能と上述の覗き窓としての機能とを該窓部607Sが兼備することとなっており、したがってそのぶんガイド607の構成が簡潔となっている。
(変更態様)
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記実施形態では、本識別コード606の刻印工程の前段階において、仮コード情報と本コード情報を照合する照合工程を行う構成となっている。これに限らず、本識別コード606の刻印工程の後段階において、両識別コード605,606の内容(仮コード情報と本コード情報)を照合する照合工程を行う構成としてもよい。
(b)上記実施形態では、識別コードとしてQRコードが採用されているが、これに限らず、他の二次元コードやカラーコード、バーコード、数字、記号、マークなどを識別コードとして採用してもよい。
(c)上記実施形態では、本識別コード606をレーザー刻印する構成となっている。これに限らず、例えば本識別コード606をセルシート601に直接印刷する構成やラベルシールとして貼付する構成など、他の構成を採用してもよい。
(d)上記実施形態では、仮識別コード605をセルシート601に付す構成に関して特に言及していないが、かかる構成として、例えばセルシート601の印刷層又は樹脂表面層への仮識別コード605の印刷、刻印、ラベルシールの貼付などの各種公知技術を採用することができる。
(e)上記実施形態では、セルシート601の左下コーナ部近傍に仮識別コード605が付され、右上コーナ部近傍に本識別コード606が付される構成となっている。各識別コード605,606が付される箇所はこれに限定されるものではない。例えば、仮識別コード605に関して、ルーター加工により貫通孔が形成される部位に付されるようにしてもよい。また、本識別コード606に関して、比較的目立たない位置であれば、遊技領域となる部位に付されるようにしてもよい。
(f)遊技盤30の製造工程は、上記実施形態の順序に限定されるものではない。従って、多少の順序の相違や、所定の工程の省略、別途の工程を設けることは、通常の遊技盤30の製造の範疇から逸脱するものでない限り、何ら支障はない。
例えば、上記実施形態では、仮識別コード605をセルシート601に付す工程や、本識別コード606に係る情報を管理装置に登録する工程を、図10に示す製造工程とは別工程で行う構成となっているが、これらの工程を図10に示す製造工程の流れに組み込んだ構成としてもよい。
(g)上記実施形態においては、セルシート601が、内側のアルミニウム層612と外側層613とが積層された構造を有するものとなっているが、セルシートとしては、内側の金属含有層と樹脂含有層を含んで構成される外側層とが積層された構造を有するものであれば任意の構成が可能である。
例えば、金属含有層に含有される金属としては、アルミニウム以外にも、金、銀、銅等の各種金属や、あるいはこれらの合金を使用することができる。また、外側層としては、例えばレンズ層を含まないもの等も可能である。外側層に耐熱性を有するレンズ層が含まれていない構成であっても、樹脂含有層が変形して膨出する場合があり、この場合にもやはり、セルシートにおいて高温処理が施される領域に通気孔を穿設することによって効果的に変形を抑制することができる。
上述のように耐熱性を有するレンズ層が含まれていない構成を有するものとして、例えばホログラムを用いたセルシートが挙げられる。また、樹脂含有層と金属含有層との積層構造またはこれに相当するものとして、例えば、ガラスや透明樹脂よりなる透明層に、蒸着やめっき等により金属薄膜よりなる反射層を形成したハーフミラー構造を有するセルシート等としてもよい。
(h)上記実施形態においては、遊技盤30のベース(基材)となる装飾板(遊技板)603を構成するセルシート601においてレーザ刻印が施される領域に、外側層613を貫通して該外側層613の外側面からアルミニウム層612の外側面まで延びる通気孔618が穿設されているが、このように樹脂含有層を含んで構成される外側層と内側の金属含有層とを有するセルシートにおいて高温処理が施される領域に通気孔が穿設される構成は、遊技盤以外にも、例えば、遊技盤に配置されるセンターフレーム等の遊技部品や、前面枠等のように、遊技機における任意の部位に適用することができる。
また、高温処理としては、加熱を伴うものであればレーザ刻印以外にも任意の処理であってもよく、例えば遊技機において前方から視認可能な部位であれば、セルシートにおいて高温処理が施される領域に通気孔を穿設することにより、当該部位が高温処理の熱で変形することによる外観上の劣化を効果的に防止することができる。
しかしながら、上記実施形態におけるように、識別コードをレーザ刻印する高温処理の場合には、変形を生じると外観が損なわれるだけでなく当該識別コードの読取りが困難となることから、通気孔を穿設することにより変形を防止することが特に有用である。
即ち、上記実施形態におけるように、遊技機の遊技盤を構成する装飾板の製造方法において、上記遊技機の種別を特定可能な情報を含んだ第1識別コードが付された装飾シートを板材に貼付するシート貼付工程と、上記板材に貼付された装飾シートに対し、上記遊技機の種別を特定可能な情報を含んだ第2識別コードを付すコード付け工程と、上記コード付け工程の前段階又は後段階において、上記第1識別コードの内容と前記第2識別コードの内容とを照合する照合工程とを備える場合に、上記装飾シートにおいて高温処理が施される領域に通気孔を穿設することが特に有用である。
(i)上記実施形態においては、遊技盤30の作製工程において、装飾板(遊技板)603に本識別コードシール608を貼付する際に、遊技盤の加工位置案内具としてガイド607が用いられていたが、装飾板(遊技板)603に対する加工としては、上記のようなシールの貼付以外にも、例えば、シート状やフィルム状、プレート状(あるいは他の任意の形状)の部材を押しピン等の固定手段により手作業で位置決めしながら取り付ける加工や、あるいは、セルシートに上述の通気孔618等の孔がエラー等により穿設されていなかった場合に、工場内で手作業により孔を穿設する加工(穿孔加工)等が挙げられ、これらのような加工においても遊技盤の加工位置案内具が好適に使用できる。
(j)上記実施形態においては、装飾板603における右上の隅部に本識別コードシール608が貼付されているが、シールの貼付または他の加工は、右上の隅部以外にも、左上、右下および左下のうちのいずれの隅部に対しても行うことができる。この場合、左下の隅部が右上の隅部と同様の形状であるとすると、上記実施形態に係るガイド607を180°回転させた体勢で使用することができる。また、左上の隅部が右上の隅部と左右対称の形状であるとすると、上記実施形態に係るガイド607と左右対称に構成したガイド(図示省略)が使用でき、さらに、右下の隅部が左上の隅部と同様の形状であるとすると、当該左上の隅部用の上記ガイドを180°回転させた体勢で使用することができる。
(k)上記実施形態においては、ガイド607の上壁607Tおよび右側壁607Rにおいて折曲部から遠い側の両端部すなわち上壁607Tの左端部および右側壁607Rの下端部に、それぞれ第1ツマミ607Pおよび第2ツマミ607Hが配設されていたが、第1把手部および第2把手部は、上述のような両端部よりも折曲部寄りの任意の位置(例えば上壁607Tおよび右側壁607Rのそれぞれの中央部等)に配設するようにしてもよい。
(l)上記実施形態においては、ガイド607の第1ツマミ607Pおよび第2ツマミ607Hがそれぞれ1枚の突壁状の形状に成形されていたが、例えば、このような突壁状のツマミの延出端部が正面視L字形状(鉤形状)に折曲された形状や、あるいは突壁状のツマミの延出端から両側へ延出する片を形成して全体として正面視T字形状に成形されたもの等の形状も可能である。さらには、突壁状の形状以外にも、例えば円柱状、角柱状等の柱状体、瘤状、錐状等の突出体といった任意の形状の突起等としてもよく、またこのような突起を複数並置するように形成してもよい。さらにまた、第1把手部ないし第2把手部として、上述のような各種の突起以外にも、例えば、上壁ないし側壁の厚みをやや大とし、該上壁ないし側壁の厚み方向に凹入する凹入部としてもよい。この場合、該凹入部の形状としては、方形状、三角状、六角状等の多角形状、円状、楕円状、長円状、溝状、不定形状等の任意の形状が可能であり、またこのような凹入部を複数並置するように形成してもよい。
(m)上記実施形態においては、ガイド607の上端位置案内部および左端位置案内部がそれぞれ前側壁607Fの下端面607Gおよび左側端面607Lとなっていたが、案内部を構成する構造体の構成としては、このような壁体以外にも各種のものが可能であり、例えば、図21に示すように枠状に構成したもの、図22に示すようにコ字状に構成したもの、図23に示すように「日」の字状に構成したもの等が挙げられる。
図21に示すガイド620は、上記実施形態の前側壁607Fにかえて、該前側壁607Fと同一形状(即ち左右方向にやや長い矩形状)の周縁よりやや内側が、当該周縁に沿ってほぼ同様の矩形状に開口し、全体として矩形状に成形された枠状部620Fを有する以外は、上記実施形態のガイド607と同様の構成となっている。
本変更態様に係るガイド620においては、上記実施形態のガイド607の場合と同様に、ガイド620の上端位置案内部および左端位置案内部がそれぞれ枠状部620Fの下端面620Gおよび左側端面620Lとなっており、したがって上記実施形態のガイド607の場合と同様にしてシール貼付位置603Sを案内することができるようになっているが、枠状部620Fの内側の大部分が開口しているので、この開口部が大面積の窓部として機能し、特に覗き窓としての機能が上記実施形態における窓部607Sよりも大幅に向上した構成となっている。
図22に示すガイド621は、上記変更態様の枠状部620Fにかえて、該枠状部620Fの左辺部が切除されて開放された構成を有するコ字状部621Fを有する以外は、上記変更態様のガイド620と同様の構成となっている。
本変更態様に係るガイド621においても、上端位置案内部および左端位置案内部がそれぞれコ字状部621Fの下端面621Gおよび左側端面621Lとなっており、したがって上記実施形態のガイド607の場合と同様にしてシール貼付位置603Sを案内することができるようになっている。このコ字状部621Fによれば、上記枠状部620Fの場合よりもさらに開放面積が大となっているが、上記枠状部620Fの場合よりも下辺部の強度が劣ることが避けられないため、この観点からは上記枠状部620Fの構成のほうが望ましい。
図23に示すガイド622は、上記図21に示す変更態様に係るガイド620の構成において、全体として左方へさらに幅広に成形され、上記枠状部620Fとほぼ同様の矩形状の枠状部(上側枠状部)622Fの下方にさらに別の矩形状の枠状部(下側枠状部)622Eが連なるように形成され、全体として「日」の字状に成形された構成となっている。
本変更態様に係るガイド622においては、下側枠状部622Eの内側に形成される矩形状の開口部が、シール貼付位置603Sよりも縦横ともにやや大きくなっており、該開口部の左上の入隅部は、これ以外の3入隅部が弧状に丸く形成されているのとは異なって、直角に形成されている。この構成においては、上記下側枠状部622Eの開口部の上端面(即ち上側枠状部622Fと下側枠状部622Eとを区画する水平片の下端面)622Gが上端位置案内部となっていてシール貼付位置603Sの上端縁がくるようになっており、一方、該開口部の左側端面(即ち下側枠状部622Eの左側片の右側端面)622Lが左端位置案内部となっていてシール貼付位置603Sの左端縁がくるようになっている。即ち、該開口部の左上の入隅部に、シールの左上の出隅部を合わせるようにして、該開口部内にシールを貼付するようにする。このとき、該開口部の寸法がシールの寸法に等しいとシールを該開口部内に入れる際に余裕がなくて入れ難いので、上述の通り該開口部の寸法はシールの寸法よりもやや大きめに設定されており、図23に示すように、シール貼付位置603Sの右側および下側に余裕が確保されるようになっている。
上記上側枠状部622Fの内側に形成される開口部は、前述の図21に示す変更態様の枠状部620Fと同様に窓部として機能する。また一方、図24に示すように、下側枠状部622Eの左側片、右側片および下側片の裏面には、一面にブラシを敷設することにより、均し部622Mが形成されている。セルシートには、前述したような高温処理の熱やその他の原因により表面に凹凸が形成されることがあるが、ガイド622に上記均し部622Mを敷設しておくことにより、シール貼付位置603Sにおいてこのような凹凸を均してセルシートの表面を均一化することができ、これにより、凹凸によってシールの貼付状態が不良となったりシールの識別コードの読取りが困難になるといった不具合を防止することができる。図23に示すように、ガイド622を案内体勢とした状態では、下側枠状部622Eはシール貼付位置603Sを内包するようになっているので、装飾板603の対象出隅部に外側からガイド622を嵌着して案内体勢となる位置までもっていく途上で、シール貼付位置603Sの一面に均し部622Mを擦過させることができる。このとき、下側枠状部622Eをセルシートの表面に圧し付けるようにしながら案内体勢となる位置までもっていくようにし、さらには上下ないし左右に往復動させるようにすると、均し部622Mをセルシートの表面に十分に擦りつけて凹凸を効果的に均すことができる。なお、図24に示す622Bはガイド622の後側壁である。
均し部としては、上記のようにブラシを敷設して構成されたもの以外にも、例えば、下側枠状部の裏面に、断面略半円状の略半円柱状(略カマボコ状)に延びる突状を形成したもの等も可能である。また、このような均し部を設けない構成としてもよい。
また、案内部としては、以上のようなもの以外にも、例えば、前面壁に、矩形状の開口を縦2列、横2列に配置形成して該前面壁を略「田」の字状に形成し(換言すれば、上述の「日」の字状の構成において中央に垂直片をさらに形成し)、これにより中央に形成される十字状の片を案内部としたものや、あるいは前面壁に十字状、鉤状(L字状)等の切り込みを形成して該切り込みを案内部としたもの等でもよい(いずれも図示省略)。これらの構成によれば、シール等のシート状部材を位置合わせする場合にはこれを前面壁とセルシートとの間に挿入するようにする必要があり、作業性の点ではやや劣るが、一方、内側が全体的に開口した枠状の構成や「日」の字状の構成等に比して、強度の点ではやや有利である。
さらにまた、例えば図25に示すように、前側壁624Fの下端面624Gを上端位置案内部とするガイド624において、該前側壁624Fの下端面624Gから垂直に延出する延出端縁を設け、この延出端縁を左端位置案内部ないし右端位置案内部とした構成としてもよい。図25に示すガイド624は、前側壁624Fが、上記実施形態に係るガイド607の前側壁607Fよりも左方にさらに余分に幅が大きく形成され、この余分の幅部分が下方に延出して垂下片624Nが形成された構成となっている。該垂下片624Nの右側端縁は前側壁624Fの下端面624Gに対して垂直に、シール貼付位置603Sの左端縁に沿って延びている。即ち、該垂下片624Nの右側端縁が左端位置案内部となっている。
本変更態様に係るガイド624は、これを案内体勢とした状態で、前側壁624Fの下端面624Gおよび垂下片624Nの右側端縁にそれぞれシールの上端縁および左端縁を合わせるようにして当該シールを貼付する。即ち、本変更態様に係るガイド624は、前側壁624Fの下端面624Gおよび垂下片624Nの右側端縁がそれぞれ上端位置案内部および左端位置案内部となっているのであるが、これら両者があわせて、シールの左上の出隅部に対応する鉤形状の案内部を構成していると言うこともできる。
本変更態様に係るガイド624によれば、上述の図23に示す「日」の字状のガイド622の場合と同様に、シールの左上の出隅部をより容易かつ確実に合わせることができるが、シール貼付位置603Sが枠状部で包囲されず大部分が開放された構成となっているので、シールをシール貼付位置603Sにもっていく際に邪魔になる部分が少ないという利点がある。
ただし、垂下片624Nのような延出部は枠状部よりも破損しやすいきらいがある。このため、本変更態様に係るガイド624の垂下片624Nは、必要最小限の延出長さ(数mm程度)を有する短小に成形されている。
また、前側壁624Fの下端面624Gと垂下片624Nの右側端縁とで構成される入隅部は、弧状に形成されず直角状に形成されている。
また、上記垂下片624Nにかえて、あるいはこれとあわせて、該垂下片624Nと左右対称に構成された垂下片を前側壁の右端部に設けるようにしてもよい。
(n)上記実施形態においては、ガイド607が黒色の樹脂よりなるものとなっていたが、QRコードの周囲は通例白色となっていることから、少なくとも案内部を、白色と対照的な色で構成しておくと、案内部が明瞭となって視認しやすく、シール貼付位置603Sを明確に案内することができる。白色と対照的な色としては、黒色以外にも、例えば赤、緑、青の原色等が挙げられる。また、例えば逆に、加工位置のほうが黒、赤、緑、青等の色を有する場合には、加工位置案内具(ガイド)の少なくとも案内部のほうを白色とすることが望ましい。
(o)上記実施形態においては、ガイド607の窓部607Sが、シール貼付位置603Sの方向を指示する矢印形状を有するものとなっていたが、これ以外にも任意の形状が可能であり、例えば加工位置の方向を指示する三角形状(即ち矢印の軸部がなく矢部のみを有する形状)や、あるいは、例えば「コノシタ」、「ここより下」等のように加工位置の方向を表す文字列の形状等も挙げられる。また、例えば、案内部に沿って延びるスリット状、溝状や、あるいは、丸状、多角形状等を案内部に沿って複数並置するように形成したもの等も可能である。また、このような窓部を設けない構成としてもよい。
(p)上記実施形態においては、ガイド607が、専ら遊技盤の加工位置案内具として使用される治具となっていたが、例えば遊技機に使用される機能部品として遊技機に搭載される案内具としてもよい。より具体的には、例えばコネクタカバーの一部にガイドとして機能し得る部位を形成しておき、遊技盤の製造工程において必要な場合にガイドとして使用し、未使用の場合も含め、これ以降の段階ではコネクタカバーとして所定位置に取り付ける、といった構成が可能である。このような構成によれば、使用機会の比較的に少ない加工位置案内具(ガイド)を別に用意することを不要とすることができる。
(q)上記実施形態に係るガイド607は、例えば図26に示すように変更を加えることもできる。図26に示すガイド623は、一部の寸法ならびに第2ツマミ623Hの形成位置が異なる以外は、基本的に上記実施形態に係るガイド607と同様の構成となっている。このため、以下、同様の部位ないし部材については基本的に説明を省略する。
本変更態様に係るガイド623は、図26および図27に示すように、第2ツマミ623Hが、右側壁623Rの上端に位置し、その上面が上壁623Tの上面と同一平面をなして連続するように形成されている。第2ツマミ623Hの寸法および形状は、上記実施形態に係るガイド607の第2ツマミ607Hの寸法および形状と基本的に同様であるが、右上の出隅部が丸く角落ちしない稜角となっている点で異なっている。第1ツマミ623Pは、上記実施形態に係るガイド607の第1ツマミ607Pと同様に、上壁623Tの左端に形成され、その形状も基本的に同様となっているが、肉厚D21は5mmで、基端部に形成される入隅部は、丸く湾曲面状に形成されずほぼ直角状の稜部となっている。
第1ツマミ623Pの右側面から第2ツマミ623Hの先端までの距離D22は27mmとなっている。上壁623Tの内面から前側壁623Fの下端面623Gまでの距離D23は27mmで、上記第1ツマミ623Pの右側面から第2ツマミ623Hの先端までの距離D22と同一(D23=D22)となっている。前側壁623Fの左側端面623Lから右側壁623Rの内面までの距離D24は26mm、右側壁623Rの内面から第2ツマミ623Hの先端までの距離D25は6mmとなっている。したがって、前側壁623Fの左側端面623Lから第2ツマミ623Hの先端までの距離すなわちガイド623の左右方向の全幅はD24+D25=D21+D22=32mmとなるが、これは上記実施形態に係るガイド607の全幅よりも若干小さくなっている。
図28に示す、ガイド623における内部空間の奥行、即ち前側壁623Fの内面と後側壁623Bの内面との間隔D26は19mm、ガイド623の前後方向の厚さ、即ち前側壁623Fの外面と後側壁623Bの外面との距離D27は26mmとなっている。
本変更態様に係るガイド623は、上記実施形態に係るガイド607の場合と同様にして、装飾板603の対象出隅部に嵌着して案内体勢とすることができるが、このような基本的な使用態様に加えて、以下のような別の使用態様も可能となっている。
上記実施形態においては、ステップS107の釘打工程の際に本識別コード606の遊技盤種別情報が読み取られ(ステップS106)、刻印本識別コード606の遊技盤種別情報が正しく読み取られない場合に、ステップS104の刻印工程で刻印本識別コード606が正しく刻印されていない(異常)と判断され、ステップS116のシール貼付工程で本識別コードシール608がシール貼付位置603Sにガイド607を用いて貼付されるようになっていたのであるが、例えば、ステップS105のルーター加工工程よりも前であっても、刻印本識別コード606の刻印の異常が発見されることがある。このような場合でも、そのままステップS105のルーター加工工程からステップS107の釘打工程を経て、ステップS116のシール貼付工程で同様にして本識別コードシール608が貼付される。
ルーター加工工程よりも前の段階では、装飾板603の右上コーナ部(第2のコーナー部)がまだ正面視弧状に凹入するように切除されていないので、この状態ではガイド607をシール貼付位置603Sの案内が可能な案内体勢とすることはできない。
そこで、本変更態様に係るガイド623は、このような場合にもシール貼付位置603Sの案内ができるようにした。
シール貼付位置603Sの左上の隅部は、図29に示すように、装飾板603の上端面603Tから下方に距離D28、図29に仮想線で示すようにルーター加工により形成される弧状の凹入部における左上出隅部(対象出隅部)の右側面603Rから左方に距離D29をそれぞれおいた位置にあり、本変更態様に係るガイド623における上壁623Tの内面から前側壁623Fの下端面623Gまでの距離D23ならびに前側壁623Fの左側端面623Lから右側壁623Rの内面までの距離D24は上述のシール貼付位置603Sの上下位置および左右位置に合わせて設定されている。即ち、D23=D28=27mm、D24=D29=26mmとなるように設定されている。したがって、ルーター加工工程よりも後の段階では、上記実施形態に係るガイド607の場合と同様にして、即ち基本的使用態様として、本変更態様に係るガイド623を、弧状の凹入部における左上の出隅部(対象出隅部)に嵌着して案内体勢とすることができる。
これに対し、ルーター加工工程よりも前の段階では、シール貼付位置603Sの左端は、矩形状の装飾板603の右側端面からは左方に距離D30=78mmをおいた位置にあり、したがってガイド623は、基本的使用態様と同様の使用態様では対応することができない。
そこで、図30および図31に示すように、本変更態様に係るガイド623を、第1ツマミ623Pの延出方向が後方、第2ツマミ623Hの延出方向が下方となるような体勢とし、第1ツマミ623Pの内側面(基本的使用態様では右側にくる面)および上壁623Tの外面を装飾板603の上端面603Tおよび前面にそれぞれ当接させ、即ち第1ツマミ623Pと上壁623Tとにより形成される鉤状の面を装飾板603の上端面603Tから前面に掛け吊るすように嵌合させるようにして、装飾板603の右側端から3個のガイド623を隙間なく並置するように配置する。これにより、左端に配置されたガイド623の後側壁623Bの外面が、装飾板603の右側端面から、ガイド623の厚さの3倍の距離(D27×3=78mm)をおいた位置にくる。即ち、左端に配置されたガイド623の後側壁623Bの外面が、シール貼付位置603Sの左側端縁の延長線に沿って位置する、左端位置案内部となる。一方、前述の通り、第1ツマミ623Pの内側面から第2ツマミ623Hの先端までの距離D22は上壁623Tの内面から前側壁623Fの下端面623Gまでの距離D23と同一(D22=D23=27mm)となっているので、第2ツマミ623Hの先端が、シール貼付位置603Sの上端縁に沿って位置する、上端位置案内部となる。
即ち、ルーター加工工程よりも前の段階であっても、上述のように装飾板603の上端面603Tに右側端から3個のガイド623を隙間なく並置するように配置することにより、ガイド623をシール貼付位置603Sの案内が可能な案内体勢とすることができる。
本変更態様に係るガイド623には、例えば、前側壁623Fの外面と後側壁623Bの外面とに、互いにスナップ式に係合し合う係合爪と係合孔とをそれぞれ配設しておき、これにより、上述のように複数のガイド623を並置する場合に隣接するガイド623同士を容易に着脱し得るようにしてもよく、これによれば複数のガイド623をより容易かつ確実に案内体勢に配置しあるいは保持することができる。
(r)上記実施形態に係るガイド607においては、第1対向部である上壁607Tの内面と、第2対向部である右側壁607Rの内面とが直交する入隅部を構成していたが、第1対向部と第2対向部とのなす角度および形状は、ガイドを嵌着する装飾板(遊技板)の隅部の構成に応じて適宜設定すればよく、例えば80〜120°程度の角度で交差する入隅部としたり、当該入隅部を対象出隅部の形状に応じて角状、丸状(湾曲状)等の任意の形状としてもよい。
(s)上記実施形態とは異なるタイプの遊技盤やパチンコ機等に適用してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球等の各種遊技機として実施することも可能である。
なお本明細書は、以下に記述する手段A1から手段A15、手段B1から手段B10ならびに手段C1から手段D3の発明についての内容をいずれも開示している。
[手段A1〜手段A15に係る発明の背景技術]
従来、パチンコ機等の遊技機は、数多くの工程を経て製造されている。例えば、パチンコ機の遊技領域を構成する遊技盤は、まずベニヤ板等の板材の表面に樹脂製の装飾シート(セルシート)を貼付して、ベース(基材)となる装飾板を製造した後、当該装飾板を所定形状に切削するルーター加工等を経て製造される。そして、ルーター加工後の装飾板に対し多数の釘を植設するとともに、表示装置や入賞装置、装飾部材等といった各種部材を取付けることにより、遊技盤が完成する。
上記のような遊技盤においては、例えば、装飾シートとして、内部にアルミニウム等の金属よりなる層を形成して鏡面状とし、これにより前方からの見栄えが派手となるように構成されたものもある。
一方、近年では、製造する遊技機の種別(機種)等を特定可能なバーコード等の識別コードを遊技盤の装飾シート等に対し印刷することにより、製造工程を管理している(例えば、特許文献1:特開平7−313673号公報参照)。例えば、各種部材の取付工程においては、所定の読取装置により遊技盤に付されたバーコードの内容を読み取り、当該遊技盤に対しその機種に応じた各種部材の取付作業を行う。
[手段A1〜手段A15に係る発明が解決しようとする課題]
さらに、識別コードとして、上記のようにバーコードを装飾シートに印刷する以外にも、QRコードで構成された識別コードを装飾シートにレーザにより焼き付けることによって刻印することもなされている。
ところが、上述のような内部に金属層を有する装飾シートにレーザによる焼き付けを行うと、レーザによる熱によって金属が高温化し、この影響により表面の樹脂層が変形することとなりやすい。このように表面の樹脂層が変形すると、識別コードが正しく刻印されず、その読取が困難となる不具合が生じる虞がある。
本発明は、かかる問題点に鑑みて案出されたものであり、高温処理を施しても樹脂層が変形し難いセルシートを備える遊技機およびその製造方法を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段A1〜手段A15]
本発明にかかる遊技機は、上記目的を達成するために、手段A1として、
樹脂を含有してなる樹脂含有層を含んで構成される外側層と、該外側層の内側に配置された金属を含有してなる金属含有層とを有するセルシートを備え、該セルシートの少なくとも一部に高温処理が施される遊技機であって、
前記セルシートにおいて高温処理が施される領域に、前記外側層を貫通して該外側層の外側面から少なくとも前記金属含有層の外側面まで延びる通気孔が穿設されていることを特徴とする。
本発明において、セルシートにおける内側および外側とは、それぞれ、遊技機に配置されたときに内側および外側にくる側のことであり、換言すれば、設置状態で相対的に遊技機に近い側および遠い側のことである。したがって、例えば、セルシートが外側層および金属含有層の2層構造よりなる場合には、金属含有層が遊技機に対向する側となるように配置されるが、このとき、「金属含有層の外側面」は、遊技機に対向する面ではなく、外側層に対向する面のほうである。
あるいは、「外側面」は、「表面」と表現してもよい。
また、「高温処理」は、例えばレーザによる焼き付け等のように、加熱をともなう処理を広汎に含意する。
上記手段A1の構成によれば、高温処理により金属含有層の金属が熱を持っても、この熱が通気孔を通して外部に逃げることができ、これにより金属含有層の高温化が抑制されて樹脂含有層の変形も抑制される。したがって、高温処理が識別コードを刻印する処理である場合にも当該識別コードの刻印を正しく行うことができ、識別コードの読取が困難となる不具合も生じ難い。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A2として、手段A1の遊技機において、
前記高温処理が、ドットを配列して構成される識別コードを刻印する処理であり、前記通気孔の開口面積が、前記識別コード1ドットの面積の1/3以下であることを特徴とする。
上記手段A2の構成によれば、通気孔がドットの位置に重なって穿設されたとしても、当該ドットの読取りを阻害し難い。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A3として、手段A1または手段A2の遊技機において、
前記高温処理が、ドットを配列して構成される識別コードを刻印する処理であり、
前記通気孔の開口面積が、前記識別コード1ドットの面積の1/100より大であることを特徴とする。
上記手段A3の構成によれば、通気性が十分に確保されて前記金属含有層の熱を十分に逃すことができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A4として、手段A1から手段A3のいずれかの遊技機において、
前記高温処理が、ドットを配列して構成される識別コードを刻印する処理であり、
前記記通気孔間の間隔が、前記識別コード1ドットの寸法よりも大きいことを特徴とする。
上記手段A4の構成によれば、1ドット内に2以上の通気孔が位置して当該ドットの読取りが阻害されるといったことがない。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A5として、手段A1から手段A4のいずれかの遊技機において、
前記高温処理が、ドットを配列して構成される識別コードを刻印する処理であり、
前記通気孔間の間隔が、前記識別コード1ドットの寸法の8倍以下であることを特徴とする。
上記手段A5の構成によれば、通気性が十分に確保されて前記金属含有層の熱を十分に逃すことができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A6として、手段A1から手段A5のいずれかの遊技機において、
前記通気孔が、針の先端を前記セルシートに所定深さまで突き刺すことにより穿設されており、このとき、前記針の先端をちょうど前記金属含有層の表面に到達する位置で止めるようにして前記通気孔が穿設されていることを特徴とする。
上記手段A6の構成によれば、針を突き刺す深さを最小限(即ち外側層のみ)とするので、針を引き抜くときに外側層が引っ張られる力が比較的に小さく、通気孔の周縁がセルシートの外側面から出っ張ることが抑制され、したがって、高温処理が識別コードを刻印する処理である場合にもこのような出っ張りの形成による読取りエラーを防止することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A7として、手段A1から手段A5のいずれかの遊技機において、
前記通気孔が、針の先端を前記セルシートに所定深さまで突き刺すことにより穿設されており、このとき、前記針を少なくとも前記金属含有層を貫通させるようにして前記通気孔が穿設されていることを特徴とする。
上記手段A7の構成によれば、例えば針の先端をちょうど金属含有層の表面に到達する位置で止めた場合に、該針の先端が金属含有層の表面を多少とも押圧することにより金属含有層が外側層から剥離し、その結果外側層が外側へ膨張しやすくなる、といった不具合が防止され、これにより、外側層が金属含有層に付着した状態に確実に保持されて該外側層の変形が抑止され、したがって、高温処理が識別コードを刻印する処理である場合にも読取りエラーを防止することができる。
また、本発明にかかる遊技機の製造方法は、上記目的を達成するために、手段A8として、
樹脂を含有してなる樹脂含有層を含んで構成される外側層と、該外側層の内側に配置された金属を含有してなる金属含有層とを有するセルシートの少なくとも一部に高温処理を施す遊技機の製造方法において、
前記高温処理の前に、前記セルシートにおいて当該高温処理が施される領域に、前記外側層を貫通して該外側層の外側面から少なくとも前記金属含有層の外側面まで延びる通気孔を穿設することを特徴とする。
上記手段A8の構成によれば、高温処理により金属含有層の金属が熱を持っても、この熱が通気孔を通して外部に逃げることができ、これにより金属含有層の高温化が抑制されて樹脂含有層の変形も抑制される。したがって、高温処理が識別コードを刻印する処理である場合にも当該識別コードの刻印を正しく行うことができ、識別コードの読取が困難となる不具合も生じ難い。
また、本発明にかかる遊技機の製造方法は、手段A9として、手段A8の遊技機の製造方法において、
前記高温処理が、ドットを配列して構成される識別コードを刻印する処理であり、
前記通気孔の開口面積を、前記識別コード1ドットの面積の1/3以下とすることを特徴とする。
上記手段A9の構成によれば、通気孔をドットの位置に重なって穿設したとしても、当該ドットの読取りを阻害し難い。
また、本発明にかかる遊技機の製造方法は、手段A10として、手段A8または手段A9の遊技機の製造方法において、
前記高温処理が、ドットを配列して構成される識別コードを刻印する処理であり、
前記通気孔の開口面積を、前記識別コード1ドットの面積の1/100より大とすることを特徴とする。
上記手段A10の構成によれば、通気性を十分に確保して前記金属含有層の熱を十分に逃すことができる。
また、本発明にかかる遊技機の製造方法は、手段A11として、手段A8から手段A10のいずれかの遊技機の製造方法において、
前記高温処理が、ドットを配列して構成される識別コードを刻印する処理であり、
前記記通気孔間の間隔を、前記識別コード1ドットの寸法よりも大とすることを特徴とする。
上記手段A11の構成によれば、1ドット内に2以上の通気孔を穿設して当該ドットの読取りを阻害するといったことがない。
また、本発明にかかる遊技機の製造方法は、手段A12として、手段A8から手段A11のいずれかの遊技機の製造方法において、
前記高温処理が、ドットを配列して構成される識別コードを刻印する処理であり、
前記通気孔間の間隔を、前記識別コード1ドットの寸法の8倍以下とすることを特徴とする。
上記手段A12の構成によれば、通気性を十分に確保して前記金属含有層の熱を十分に逃すことができる。
また、本発明にかかる遊技機の製造方法は、手段A13として、手段A1から手段A12のいずれかの遊技機の製造方法において、
前記通気孔を、針の先端を前記セルシートに所定深さまで突き刺すことにより穿設し、このとき、前記針の先端をちょうど前記金属含有層の表面に到達する位置で止めるようにして前記通気孔を穿設することを特徴とする。
上記手段A13の構成によれば、針を突き刺す深さを最小限(即ち外側層のみ)とするので、針を引き抜くときに外側層が引っ張られる力が比較的に小さく、通気孔の周縁がセルシートの外側面から出っ張ることが抑制され、したがって、高温処理が識別コードを刻印する処理である場合にもこのような出っ張りの形成による読取りエラーを防止することができる。
また、本発明にかかる遊技機の製造方法は、手段A14として、手段A8から手段A12のいずれかの遊技機の製造方法において、
前記通気孔を、針の先端を前記セルシートに所定深さまで突き刺すことにより穿設し、このとき、前記針を少なくとも前記金属含有層を貫通させるようにして前記通気孔を穿設することを特徴とする。
上記手段A14の構成によれば、例えば針の先端をちょうど金属含有層の表面に到達する位置で止めた場合に、該針の先端が金属含有層の表面を多少とも押圧することにより金属含有層が外側層から剥離し、その結果外側層が外側へ膨張しやすくなる、といった不具合を防止することができ、これにより、外側層を金属含有層に付着した状態に確実に保持して該外側層の変形を抑止でき、したがって、高温処理が識別コードを刻印する処理である場合にも読取りエラーを防止することができる。
また、本発明にかかる遊技機の製造方法は、手段A15として、手段A8から手段A14のいずれかの遊技機の製造方法において、
前記セルシートが、装飾シートを板材に貼付した構成を有する遊技板を基材とする遊技盤における当該装飾シートであり、
前記遊技機の種別を特定可能な情報(機種名情報)を含んだ第1識別コード(仮識別コード)が付された装飾シートを板材に貼付するシート貼付工程と、
前記板材に貼付された装飾シートに対し、前記遊技機の種別を特定可能な情報(機種名情報)を含んだ第2識別コード(本識別コード)を付すコード付け工程と、
前記コード付け工程の前段階又は後段階において、前記第1識別コードの内容と前記第2識別コードの内容とを照合する照合工程とを備えることを特徴とする。
上記手段A15の構成によれば、コード付け工程において第2識別コード(本識別コード)を付す際の高温処理によって変形を生じると外観が損なわれるだけでなく当該第2識別コード(本識別コード)の読取りが困難となるので、通気孔を穿設することにより変形を防止するようにする手段A8の構成が特に有用となる。
また、上記手段A15の構成によれば、装飾板に対し識別コード(第2識別コード)を付すにあたり、当該識別コードの内容と、事前に装飾シートに付された仮識別コード(第1識別コード)の内容とを照合する。このため、仮にシート貼付工程における装飾シートのセットミスや、コード付け工程に係る情報の入力ミス等に起因して、装飾シートの貼り間違いや識別コードの付け間違い等が発生した場合であっても、上記照合結果に基づき警告報知を行ったり、生産ラインを停止するなど所定の処理を実行することにより、所望の機種に対応しない装飾シートや識別コードが付された装飾板が次工程に送られるといった不具合の発生を防止することができる。結果として、製造過程における管理性の向上を図ることができる。
なお、予め装飾シートに対し本識別コード(第2識別コード)を付しておくことも考えられるが、かかる場合には、当該本識別コードの内容に、予め定められた機種名情報等だけしか含ませることができない。
この点、本手段A15によれば、予め定められた機種名情報等のみならず、製造年月日や生産ライン等に関する情報を本識別コード(第2識別コード)の内容に含ませることができる。結果として、その後の製造過程において何らかの不具合が発生した場合において追跡調査が可能となるなど、利便性が向上する。
上記のように、第1識別コードの内容と第2識別コードの内容は完全一致させる必要はない。従って、上記照合工程においては、少なくとも両識別コードに共通する機種名情報等の基本情報のみを対比し、両識別コードの内容が一致するか否かを判断すれば足りる。
[手段B1〜手段B10に係る発明の背景技術]
従来、パチンコ機等の遊技機は、数多くの工程を経て製造されている。例えば、パチンコ機の遊技領域を構成する遊技盤は、まずベニヤ板等の板材の表面に装飾シートを貼付して、ベース(基材)となる装飾板を製造した後、当該装飾板を所定形状に切削するルーター加工等を経て製造される。そして、ルーター加工後の装飾板に対し多数の釘を植設するとともに、表示装置や入賞装置、装飾部材等といった各種部材を取付けることにより、遊技盤が完成する。
近年では、製造する遊技機の種別(機種)等を特定可能なバーコード等の識別コードを遊技盤の装飾シート等に対し印刷することにより、製造工程を管理している(例えば、特許文献1:特開平7−313673号公報参照)。例えば、各種部材の取付工程においては、所定の読取装置により遊技盤に付されたバーコードの内容を読み取り、当該遊技盤に対しその機種に応じた各種部材の取付作業を行う。
[手段B1〜手段B10に係る発明が解決しようとする課題]
ところが、上記のように識別コードを遊技盤の装飾シート等に対し印刷する場合に、機械の誤動作や位置ズレといった何らかの原因により、識別コードが装飾シート等に正しく印刷されないことがある。このような場合に、識別コードを印刷したシールを手作業で貼付し、これによりあらためて装飾シート等に識別コードを付すようにすることがなされている。
このとき、シールを手作業で貼付する際にも、貼付位置がズレてしまうことがあり、これにより、この後の釘打ち工程、部材取付工程等において識別コードの内容を読み取ることが困難になるという問題があった。
本発明は、かかる問題点に鑑みて案出されたものであり、遊技盤の作製において当該遊技盤に施される加工の位置を正確かつ容易に案内することが可能な、遊技機、当該遊技機を構成する遊技盤、当該遊技盤の加工位置案内用の案内具ならびに当該遊技盤を製造する製造方法を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段B1〜手段B10]
本発明にかかる遊技盤の加工位置案内具は、上記目的を達成するために、手段B1として、
遊技機の遊技領域を前面によって形成する遊技板に遊技部品を装着してなる遊技盤の作製工程において、該遊技板に施される加工の位置を案内することが可能な案内具であって、
前記遊技板に対して前記加工の位置を案内することが可能な案内体勢とされたときに、当該加工の位置に沿って位置する案内部と、
前記案内体勢において前記遊技板の上面または下面に対向する第1対向部と、
前記案内体勢において前記遊技板の一方の側面に対向する第2対向部と、
前記案内体勢において前記遊技板の上辺または下辺に対し外方へ向けて突出または内方へ向けて凹入する第1把手部と、
前記案内体勢において前記遊技板の一方の側辺に対し外方へ向けて突出または内方へ向けて凹入する第2把手部と、
を備えることを特徴とする。
本発明において、「遊技部品」には、表示装置、入賞装置、制御装置等がいずれも含まれる。
上記手段B1の構成によれば、第1および第2対向部を遊技板の上面または下面ならびに一方の側面にそれぞれ対向させることで案内具を遊技板に対して正確かつ容易に所定の案内体勢とすることができる。このとき、第1および第2把手部を把持することにより、容易かつ確実に案内具を所定の案内体勢にセットし保持することができる。こうして案内具を案内体勢とした状態で、案内部に沿って加工を行うことで、遊技板に対して正確な位置に容易に加工を施すことができる。
また、本発明にかかる遊技盤の加工位置案内具は、手段B2として、手段B1の遊技盤の加工位置案内具において、
前記案内部が、遊技板に対して加工位置を案内することが可能な案内体勢とされたときに当該加工位置の上端位置または下端位置を案内する上下端位置案内部および当該加工位置の一方側端位置を案内する一方側端位置案内部を有することを特徴とする。
上記手段B2の構成によれば、加工位置の上端位置または下端位置ならびに一方側端位置を上下端位置案内部および一方側端位置案内部にそれぞれ合わせることでその上下位置および左右位置を容易かつ正確に合わせることができる。
また、本発明にかかる遊技盤の加工位置案内具は、手段B3として、手段B1または手段B2の遊技盤の加工位置案内具において、
前記第1対向部および第2対向部が、前記遊技板の出隅部に対応する折曲形状をなして横方向および縦方向にそれぞれ延びる壁の内面となっており、前記壁において折曲部から遠い側の両端部に、それぞれ外方へ向けて突出するように第1把手部および第2把手部が配設されていることを特徴とする。
上記手段B3の構成によれば、遊技板に対する工位置案内具の位置決めがより安定し、加工位置をより容易かつ正確に案内することができる。
また、本発明にかかる遊技盤の加工位置案内具は、手段B4として、手段B1から手段B3のいずれかの遊技盤の加工位置案内具において、
前記第1把手部および第2把手部のうちの少なくとも一方が、加工位置の上下位置または左右位置の基準となる基準線の一部を形成していることを特徴とする。
上記手段B4の構成によれば、該第1把手部ないし第2把手部の体勢によって加工位置案内具の位置決めが正確になされているか否かを容易に確認することができる。またこのとき、該第1把手部ないし第2把手部自体が直接把持される部分であるので、加工位置案内具の体勢を調整し易い。
また、本発明にかかる遊技盤の加工位置案内具は、手段B5として、手段B1から手段B4のいずれかの遊技盤の加工位置案内具において、
前記加工の位置が実質的に白色であり、
少なくとも前記案内部が実質的に黒色で構成されていることを特徴とする。
上記手段B5の構成によれば、加工位置の白色とコントラストをなして案内部が明瞭で見易くなり、したがって加工位置を容易かつ正確に案内することができる。
また、本発明にかかる遊技盤の加工位置案内具は、手段B6として、手段B1から手段B5のいずれかの遊技盤の加工位置案内具において、
前記加工が、遊技板にシート状の部材を付加することとなっており、前記加工位置案内具が、案内部を有する壁を備え、該壁における案内部の近傍に、遊技板側を視認可能とする窓部が配設されていることを特徴とする。
上記手段B6の構成によれば、シート状部材が加工位置よりずれて壁の裏側に入り込んだ場合に、窓部を覗き窓としてこのシート状部材がずれた状態にあることを容易に発見することができる。
また、本発明にかかる遊技盤の加工位置案内具は、手段B7として、手段B6の遊技盤の加工位置案内具において、
前記窓部が、前記案内部の方向を指示する形状となるように形成されていることを特徴とする。
上記手段B7の構成によれば、加工位置がある方向が明瞭に示される。また、この加工位置を指示する記号としての機能と覗き窓としての機能とを該窓部が兼備することとなり、したがってそのぶん加工位置案内具の構成が簡潔となる。
また、本発明にかかる遊技盤の製造方法は、上記目的を達成するために、手段B8として、
前記手段B1から手段B6のいずれかの遊技盤の加工位置案内具を用いて遊技盤に加工を施すことを特徴とする。
上記手段B8の構成によれば、遊技盤の作製において当該遊技盤に施される加工の位置を正確かつ容易に案内することができる。
また、本発明にかかる遊技盤は、上記目的を達成するために、手段B9として、
前記手段B8の遊技盤の製造方法により作製されたものであることを特徴とする。
上記手段B9の構成によれば、製造が容易で、加工位置に正確に加工が施された遊技盤を得ることができる。
また、本発明にかかる遊技機は、上記目的を達成するために、手段B10として、
前記手段B9の遊技盤を備えることを特徴とする。
上記手段B10の構成によれば、製造が容易で信頼性の高い遊技機を得ることができる。
[手段C1〜手段C7に係る発明の背景技術]
従来、パチンコ機等の遊技機は、数多くの工程を経て製造されている。例えば、パチンコ機の遊技領域を構成する遊技盤は、まずベニヤ板等の板材の表面に装飾シートを貼付して、ベース(基材)となる装飾板を製造した後、当該装飾板を所定形状に切削するルーター加工等を経て製造される。そして、ルーター加工後の装飾板に対し多数の釘を植設するとともに、表示装置や入賞装置、装飾部材等といった各種部材を取付けることにより、遊技盤が完成する。
近年では、製造する遊技機の種別(機種)等を特定可能なバーコート等の識別コードを遊技盤の装飾シート等に対し印刷することにより、製造工程を管理している(例えば、特許文献1:特開平7−313673号公報参照)。例えば、各種部材の取付工程においては、所定の読取装置により遊技盤に付されたバーコードの内容を読み取り、当該遊技盤に対しその機種に応じた各種部材の取付作業を行う。
[手段C1〜手段C7に係る発明が解決しようとする課題]
ところが、装飾シートを板材へ貼付するシート貼付装置へ当該装飾シートを予めセットする作業や、識別コードを印刷する印刷装置へ各種情報を予め入力する作業などは、作業者が人為的に行うため、かかる工程での装飾シートのセットミスや情報の入力ミスが発生した場合には、装飾シートの種類と、当該シートに印刷された識別コードの内容とが一致しないこととなる。つまり、所望の機種に対応しない装飾シートや識別コードが付された装飾板(遊技盤)が次工程に送られるおそれがある。
本発明は、上記例示した問題点などを解決するためになされたものであり、その目的は、製造過程における管理性の向上を図ることのできる遊技機、遊技盤、装飾板、及び、装飾板の製造方法を提供することにある。
[課題を解決するための手段C1〜手段C7]
本発明にかかる装飾板の製造方法は、上記目的を達成するために、手段C1として、
遊技機の遊技盤を構成する装飾板の製造方法であって、
前記遊技機の種別を特定可能な情報(機種名情報)を含んだ第1識別コード(仮識別コード)が付された装飾シートを板材に貼付するシート貼付工程と、
前記板材に貼付された装飾シートに対し、前記遊技機の種別を特定可能な情報(機種名情報)を含んだ第2識別コード(本識別コード)を付すコード付け工程と、
前記コード付け工程の前段階又は後段階において、前記第1識別コードの内容と前記第2識別コードの内容とを照合する照合工程とを備えたことを特徴とする。
上記手段C1によれば、装飾板に対し識別コード(第2識別コード)を付すにあたり、当該識別コードの内容と、事前に装飾シートに付された仮識別コード(第1識別コード)の内容とを照合する。このため、仮にシート貼付工程における装飾シートのセットミスや、コード付け工程に係る情報の入力ミス等に起因して、装飾シートの貼り間違いや識別コードの付け間違い等が発生した場合であっても、上記照合結果に基づき警告報知を行ったり、生産ラインを停止するなど所定の処理を実行することにより、所望の機種に対応しない装飾シートや識別コードが付された装飾板が次工程に送られるといった不具合の発生を防止することができる。結果として、製造過程における管理性の向上を図ることができる。
なお、予め装飾シートに対し本識別コード(第2識別コード)を付しておくことも考えられるが、かかる場合には、当該本識別コードの内容に、予め定められた機種名情報等だけしか含ませることができない。
この点、本手段C1によれば、予め定められた機種名情報等のみならず、製造年月日や生産ライン等に関する情報を本識別コード(第2識別コード)の内容に含ませることができる。結果として、その後の製造過程において何らかの不具合が発生した場合において追跡調査が可能となるなど、利便性が向上する。
上記のように、第1識別コードの内容と第2識別コードの内容は完全一致させる必要はない。従って、上記照合工程においては、少なくとも両識別コードに共通する機種名情報等の基本情報のみを対比し、両識別コードの内容が一致するか否かを判断すれば足りる。
また、本発明にかかる装飾板の製造方法は、手段C2として、手段C1の装飾板の製造方法において、
前記第1識別コード及び第2識別コードのうち、少なくとも前記第2識別コードは、二次元コードであることを特徴とする。
近年のパチンコ機等においては、遊技領域が拡大化する傾向にあり、製造過程にのみ必要な識別コードを付す遊技領域外の部位が減少している。このため、第1識別コードに加え、第2識別コードを付す領域を確保することが困難となるおそれがある。第1識別コードは製造の最終段階まで残す必要のないものであるため、後工程において切除される部位に付しておけばよいが、第2識別コードは後工程の管理に必須のものであるため、付す領域を確保することがより困難となるおそれがある。
この点、本手段C2のように、第2識別コードを二次元コードとすることで、比較的狭い領域においても十分な情報量を確保して付すことができる。
また、本発明にかかる装飾板の製造方法は、手段C3として、手段C1または手段C2の装飾板の製造方法において、
四角形状をなす前記装飾シートのうちの第1のコーナー部の近傍において第1識別コードが付され、前記第1のコーナー部と対角にあたる第2のコーナー部の近傍において前記第2識別コードが付されるようにしたことを特徴とする。
上記手段C3の構成によれば、第1識別コードと第2識別コードをより離して配置することができ、両識別コードを混同して読み取ってしまうといった不具合の発生を防止することができる。
また、本発明にかかる装飾板の製造方法は、手段C4として、手段C1から手段C3のいずれかの装飾板の製造方法において、
前記コード付け工程は、レーザー刻印により行われることを特徴とする。
識別コードを装飾シートに直接印刷する構成やラベルシールとして貼付する構成では、製造過程で装飾板を積み重ねる等した場合に摩擦等により擦れて識別コードが読取不能となったり、ラベルシールが剥れるおそれがある。
この点、本手段C4のように、装飾シートに対しレーザー刻印により識別コードを付すことにより、このような不具合の発生を防止することができる。
また、本発明にかかる装飾板は、上記目的を達成するために、手段C5として、
上記手段1から手段C4のいずれかに記載の製造方法によって製造されたものであることを特徴とする。
また、本発明にかかる遊技盤は、上記目的を達成するために、手段C6として、
上記手段C5に記載された装飾板のうち、少なくとも前記第1識別コードが付された部位を切除する工程を経て形成されたものであることを特徴とする。
上記手段C6の構成によれば、第1識別コードが付された部位がルーター加工等により切除されることにより、その後の工程において、第1識別コードと第2識別コードを混同して読み取ってしまうといった不具合の発生を防止することができる。また、装飾板から切除される部位に第1識別コードを付しておくことにより、後工程の管理に必須な第2識別コードを付す領域を確保することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、上記目的を達成するために、手段C7として、
上記手段C6に記載の遊技盤を備えたものであることを特徴とする。
このような遊技盤を備えた遊技機としては、例えばパチンコ機等の弾球遊技機が挙げられる。
従来、パチンコ機等の遊技機においては、多くの機種が存在する。また、互いに似通った機種でありながら、大当たりの発生確率などが相違するシリーズ機と称されるものも存在する。かかるパチンコ機等の遊技機にあっては、装飾シートのデザインが類似していることもあり、上述した装飾シートの貼り間違い等が発生しやすくなるおそれがある。仮に大当たり発生確率や大当たり時の賞球数が異なるシリーズ機間で、装飾シートの貼り間違いが発生すると、遊技者や遊技場関係者にとって不足の不利益が及んでしまうことが懸念される。従って、かかるパチンコ機等の遊技機にあっては、上記手段C1の構成等がより奏功することとなる。