以下、本発明の一実施形態である遊技機用サービス提供システム100について説明する。まず、図1を参照して、遊技機用サービス提供システム100の全体構成について概略的に説明する。遊技機用サービス提供システム100は、複数のパチンコ機1の各々に併設される複数の個別管理装置20と、サービス員によって携帯される携帯端末30とを備える。なお、遊技場には、遊技場内の全てのパチンコ機1および個別管理装置20を管理するための管理コンピュータ(所謂「ホールコン」)が設けられているが、管理コンピュータは本発明の要部ではないため、詳細な説明は省略する。
パチンコ機1は、遊技媒体である遊技球を増減させる遊技を実行する。個別管理装置20は、パチンコ機1において増減される遊技者の遊技球数の情報を管理する。携帯端末30は、遊技者の注文に応じてサービス員によって入力される情報等を、個別管理装置20との間で送受信する。これにより、携帯端末30および個別管理装置20は、データとして管理されている遊技者の遊技球数(持ち球数)の情報を処理する
パチンコ機1の構成について説明する。以下の説明において、図1の左手前側、紙面右奥側を、夫々、パチンコ機1の正面側、背面側とする。パチンコ機1は、複数の遊技球を機械内部に封入して循環させる封入式遊技機である。パチンコ機1は、例えば外枠2、中枠3、および表枠4等からなる筐体を備える。外枠2は、正面視で縦長の略長方形状をなす枠体であり、パチンコ機1の土台を形成する。中枠3は、外枠2の正面側に設けられ、外枠2に対して開閉可能に軸支されている。中枠3の前面の上半分には、正面視略正方形状の遊技盤(図示せず)が設置され、その正面側に表枠4が開閉可能に設けられている。
表枠4の略中央には、遊技盤の前面に対向して配置される略円形のガラス窓5が設けられている。表枠4におけるガラス窓5の左右両側には、装飾ランプ6が各々設けられている。表枠4の右上および左上の角には、スピーカ7が各々設けられている。表枠4の下方には、正面視で横長の長方形状をなす前枠8が、中枠3に対して開閉可能に設けられている。前枠8の右下部分には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル9が設けられている。
前枠8の中央部には、遊技者が各種操作を行うための操作ユニット10が設けられている。操作ユニット10は、前方に向けて略直方体状に突出する操作台11を備える。操作台11の上面側の中央部には、表面にタッチパネル12を備えた遊技者用表示装置13が設けられている。遊技者用表示装置13の表示内容は、パチンコ機1および個別管理装置20によって制御される。遊技者用表示装置13には、例えば、遊技者が使用可能な遊技球の数(持ち球数)、後述の個別管理装置20に挿入された現金の残高情報、景品と交換せずに遊技店側に貯蓄した遊技球の数(貯球数)、サービスを受ける対価として持ち球数を減少させる許可を行うか否かを遊技者に確認するための確認画面等、各種の情報が表示される。遊技者は、タッチパネル12を操作することで、各種指示をパチンコ機1および個別管理装置20に対して行うことができる。
操作台11における遊技者用表示装置13の左方には、球貸しボタン14および返却ボタン15が設けられている。球貸しボタン14は、遊技球の払い出し(球貸し)を受ける際に遊技者が押下するためのボタンである。返却ボタン15は、後述の個別管理装置20に挿入されたカードCの返却を受ける際に遊技者が押下するためのボタンである。なお、詳細は図示しないが、パチンコ機1における遊技盤(図示せず)の前面には、遊技を実行するための演出表示装置46(図2参照)、始動入賞口、大入賞口等の各種部材が設けられている。始動入賞口および大入賞口に遊技球が入賞すると、所定数の遊技球(賞球)が付与される。本実施形態では、パチンコ機1から遊技球自体の払い出しは行われないため、付与された賞球は、データとして管理されている遊技者の持ち球数に加算される。
個別管理装置20の構成について説明する。個別管理装置20の外形は、左右方向の厚みが奥行きよりも薄い略直方体形状に形成されている。個別管理装置20は、主に、通信部21と、カード挿入口22と、現金投入口23と、サービス待機中報知ランプ24とを備える。
通信部21は、個別管理装置20の正面側上端部に設けられている。個別管理装置20は、通信部21によって携帯端末30との間の通信を行う。カード挿入口22および現金投入口23は、個別管理装置20の正面側における通信部21の下方に形成されている。カード挿入口22には、遊技者が所有するカードCを挿脱可能である。本実施形態のカードCは、遊技者またはカードCに固有の識別情報を記憶したICカードである。現金投入口23には、遊技者が遊技球の貸し出し(球貸し)を受ける際の対価となる現金を投入可能である。前述の遊技者用表示装置13には、現金投入口23に投入された現金のうち、遊技者が球貸しを受けるために支払うことができる残高の情報が表示される。球貸しボタン14が押下されると、残高の情報から所定金額(例えば、500円)が減算されて、所定数(例えば、125個)の遊技球が遊技者の持ち球に加算される。
サービス待機中報知ランプ24は、本実施形態では、個別管理装置20の上端部の前端部近傍(つまり、通信部21の上面)から上方に突出している。従って、遊技者にサービス(例えば、コーヒー等の飲料の提供等)を提供するサービス員、または遊技場の従業員は、パチンコ機1が並べて設置されている遊技島の外側にいる場合でも、サービス待機中報知ランプ24の状態を容易に確認することができる。サービス待機中報知ランプ24は、サービスの対価として遊技者の持ち球を減算させる処理(つまり、支払処理)が完了した際に点灯され、サービス員の操作によって消灯する。サービス待機中報知ランプ24は、サービス員および遊技場の従業員を単に呼び出すための呼び出しランプ(図示せず)とは別に設けられている。従って、サービス員は、サービスを提供すべき遊技者を容易且つ確実に把握することができる。サービスを提供すべき遊技者をサービス員が見失う可能性は、著しく低下する。
携帯端末30の構成について説明する。携帯端末30は、サービス員による携帯が容易なように小型に形成されており、外形は略直方体形状である。携帯端末30は、アンテナ31と、タッチパネル32と、サービス員用表示装置33と、操作キー34とを備える。
アンテナ31は、携帯端末30の上端部から上方に延びている。携帯端末30は、アンテナ31によって、個別管理装置20の通信部21との間で通信を行う。サービス員用表示装置33は、携帯端末30の正面側上部に形成されている。タッチパネル32は、サービス員用表示装置33の表面に設けられている。サービス員用表示装置33の表示内容は、携帯端末30によって制御される。サービス員用表示装置33には、例えば、遊技者に提供するサービスの項目と対価数(球数)の情報、支払処理が完了したことを示す完了画面、サービスを待機している遊技者のパチンコ機1を特定する情報(本実施形態ではパチンコ機1の台番)等、各種の情報が表示される。操作キー34は、携帯端末30の正面側におけるサービス員用表示装置33の下方に設けられている。タッチパネル32および操作キー34は、サービス員による各種操作入力を受け付ける。
図2を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部は、各種の制御処理を行うCPU41を備える。CPU41には、RAM42、ROM43、外部インターフェイス44、乱数発生部45、およびインターフェイス回路群26が、バスを介して接続されている。RAM42は、各種データを一時的に記憶する。ROM43は、パチンコ機1を制御するための制御プログラム、初期値等を記憶している。外部インターフェイス44は、個別管理装置20、管理コンピュータ(図示せず)等の外部機器にパチンコ機1を接続する。乱数発生部45は、大当たり判定等に用いる乱数を発生させる。インターフェイス回路群26は、パチンコ機1に設けられた各種機器を電気的に接続する。
インターフェイス回路群26には、演出表示装置46、装飾ランプ6、スピーカ7、発射ハンドル9、タッチパネル12、遊技者用表示装置13、球貸しボタン14、返却ボタン15、発射球検出センサ47、入賞球検出センサ48、ファール球検出センサ49、および発射モータ50等が接続されている。CPU41は、インターフェイス回路群26を介してデータおよび信号(コマンド)を送受信し、これらの機器を駆動制御する。
発射球検出センサ47は、遊技領域に打ち出された遊技球を検出する。入賞球検出センサ48は、始動入賞口および大入賞口等の入賞口に入賞した遊技球を検出する。ファール球検出センサ49は、遊技領域に到達せずに発射位置に戻って来た遊技球(ファール球)を検出する。発射モータ50は、発射ハンドル9の操作に応じて、発射位置の遊技球を遊技領域に向けて打ち出す。
図3を参照して、個別管理装置20の電気的構成について説明する。個別管理装置20の制御部は、各種の制御処理を行うCPU51を備える。CPU51には、RAM52、ROM53、外部インターフェイス54、およびインターフェイス回路群27が、バスを介して接続されている。RAM52は、各種データを一時的に記憶する。ROM53は、個別管理装置20の動作を制御するためのプログラム、初期値等を記憶している。外部インターフェイス54は、パチンコ機1、携帯端末30、および管理コンピュータ(図示せず)等の外部機器に個別管理装置20を接続する。インターフェイス回路群27は、個別管理装置20に設けられた各種機器を電気的に接続する。
インターフェイス回路群27には、カードリーダライタ56、紙幣識別機57、およびサービス待機中報知ランプ24が接続されている。カードリーダライタ56は、カード挿入口22(図1参照)から挿入されたカードCに対して、各種データの読み出しおよび書き込みを実行する。紙幣識別機57は、現金投入口23から投入された現金を識別する。
個別管理装置20は、現金の残高情報、パチンコ機1で獲得された持ち球数等、遊技に必須の情報を、外部インターフェイス54から管理コンピュータに出力する。個別管理装置20と管理コンピュータとの間のデータの送受信量の増加を抑制することで、個別管理装置20の処理負担、通信回線の混線等が生じる可能性を低下させることができる。本実施形態の遊技機用サービス提供システム100は、個別管理装置20と管理コンピュータとの間のデータの送受信量の増加を抑制しつつ、データとして管理されている遊技者の持ち球数を適切に処理することができる。
図4を参照して、携帯端末30の電気的構成について説明する。携帯端末30の制御部は、各種の制御処理を行うCPU61を備える。CPU61には、RAM62、ROM63、外部インターフェイス64、不揮発性メモリ65、およびインターフェイス回路群28が、バスを介して接続されている。RAM62は、各種データを一時的に記憶する。ROM63は、携帯端末30の動作を制御するためのプログラム、初期値等を記憶している。外部インターフェイス64は、個別管理装置20、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)19等の外部機器に携帯端末30を接続する。PC19は、携帯端末30に記憶されているサービスのメニューの更新等を行うものであり、管理コンピュータをPC19として用いることも可能である(詳細は後述する)。不揮発性メモリ65は、携帯端末30の電源がオフとされても記憶内容を保持できる記憶素子である。インターフェイス回路群28は、携帯端末30に設けられた各種機器を電気的に接続する。インターフェイス回路群28には、タッチパネル32、サービス員用表示装置33、および操作キー34が接続されている。
図5を参照して、携帯端末30が実行するメニュー更新処理について説明する。メニュー更新処理では、サービスのメニューデータが携帯端末31において更新される。メニューデータとは、遊技者に提供する商品(サービス)の各々と、その対価として遊技場側が受け取る持ち球(遊技者が所持する遊技媒体)の単価とを対応付けるデータである。遊技場は、新しい商品(サービス)を追加する場合、商品の単価を変更する場合等に、予めPC19(図4参照)で新しいメニューデータを作成し、図5に示すメニュー更新処理を実行する。携帯端末30のCPU61は、操作キー34等またはPC19からメニューの更新を実行する指示を入力すると、ROM63に記憶されているプログラムに従って、図5に示すメニュー更新処理を実行する。
まず、メニュー更新処理をキャンセルする指示が入力されたか否かが判断される(S1)。操作キー34等またはPC19からキャンセル指示が入力されると(S1:YES)、メニュー更新処理はそのまま終了する。キャンセル指示が入力されていなければ(S1:NO)、新たなメニューデータを保持しているPC19との間の通信が確立したか否かが判断される(S2)。携帯端末30とPC19との間の通信は、有線および無線を問わない。通信が確立していなければ(S2:NO)、処理はS1の判断へ戻る。PC19との間の通信が確立すると(S2:YES)、各商品(サービス)と持ち球数の単価とが対応付けられた新たなメニューデータがPC19からダウンロードされて、不揮発性メモリ65に記憶され、メニューデータが更新される(S3)。メニュー更新処理は終了する。
図6に示すように、携帯端末30のサービス員用表示装置33には、サービスメニュー画面70が表示される。サービスメニュー画面70では、不揮発性メモリ65に記憶されているメニューデータに従って、商品欄71と単価欄72を含むメニュー73が表示される。メニューデータが更新されると、表示されるメニュー73も変更される。サービスメニュー画面70のその他の表示内容については後述する。
詳細は後述するが、本実施形態の遊技機用サービス提供システムは、携帯端末30のメニューを更新するだけで、新しいメニューを用いて円滑に遊技者にサービスを提供することができる。パチンコ機1および個別管理装置20においてもメニューを更新してもよいが、これは必須ではない。よって、遊技場は、簡易な処理で円滑にサービスを提供することができる。
図7を参照して、携帯端末30が実行するサービス提供処理について説明する。サービス提供処理は、遊技者の持ち球を対価として遊技者にサービスを提供するための携帯端末30側の処理である。携帯端末30の電源がオンとされると、CPU61は、ROM63に記憶されているプログラムに従って、図7に示すサービス提供処理を実行する。
まず、タッチパネル32または操作キー34によってサービスの開始指示が入力されたか否かが判断される(S11)。入力されていなければ(S11:NO)、処理はそのままS23の判断へ移行する。サービスの開始指示が入力されると(S11:YES)、サービスの選択操作が受け付けられる(S13)。
詳細には、図6に示すように、不揮発性メモリ65に記憶されている最新のメニューデータに基づいて、サービス員用表示装置33にサービスメニュー画面70が表示される。次いで、商品(サービス)の各々に対応させて設けられた数量入力欄74への数量の入力が受け付けられる。サービス員は、タッチパネル32または操作キー34を操作することで、遊技者が希望する商品に対応する数量入力欄74に、遊技者が希望する数量を入力する。CPU61は、数量が入力されると、単価に数量を掛けた値(小計)を各商品について計算し、全ての商品の小計を合計することで、合計球数を算出する。算出した合計球数を、合計球数表示欄75に表示させる。従って、サービス員は、遊技者が所望するサービスを把握して数量を入力するだけで、合計球数を容易に把握することができる。
次いで、キャンセルボタン77(図6参照)が操作されたか否かが判断される(S14)。サービス員がタッチパネル32または操作キー34を用いてキャンセルボタン77を操作すると(S14:YES)、サービス員によって入力された情報が破棄されて、処理はS11の判断へ戻る。キャンセルボタン77が操作されていなければ(S14:NO)、確定ボタン78(図6参照)が操作されたか否かが判断される(S15)。操作されていなければ(S15:NO)、処理はS13へ戻る。
少なくともいずれかの商品の数量が入力された状態で、確定ボタン78が操作されると(S15:YES)、アンテナ31(図1参照)から直近の個別管理装置20の通信部21へ注文情報が送信される(S16)。注文情報には、注文された(つまり、S13で入力が受け付けられた)商品および数量と、合計球数とが含まれる。なお、携帯端末30は、注文を行った遊技者の台番をサービス員に入力させて、入力された台番のパチンコ機1に付属している個別管理装置20に注文情報を送信してもよい。この場合、サービス員がアンテナ31を近づけなくても、携帯端末30は、適切な個別管理装置20との間で情報を送受信することができる。
次いで、遊技者による支払の許可・不許可を個別管理装置20から受信する処理が行われる。まず、個別管理装置20からキャンセルコマンドを受信したか否かが判断される(S18)。詳細は後述するが、遊技者がパチンコ機1のタッチパネル12にキャンセル(不許可)を入力すると、個別管理装置20からキャンセルコマンドが送信される。この場合(S18:YES)、サービス員によって入力された情報が破棄されて、処理はS11の判断へ戻る。キャンセルコマンドを受信していなければ(S18:NO)、個別管理装置20から減少完了情報を受信したか否かが判断される(S19)。詳細は後述するが、遊技者がタッチパネル12に暗証番号を入力し、注文を確定させると、個別管理装置20は、遊技者の持ち球を減少させる処理を行い、処理が完了したことを示す減少完了情報を送信する。減少完了情報を受信していなければ(S19:NO)、処理はS18の判断へ戻る。
減少完了情報を受信すると(S19:YES)、販売情報が不揮発性メモリ65に記憶される(S20)。販売情報には、注文が完了した商品および数量と、減少処理が完了した持ち球数(商品の合計球数に等しい)とが含まれる。なお、管理コンピュータを使用している場合、携帯端末30は、販売情報を管理コンピュータに送信してもよい。この場合、個別管理装置20またはパチンコ機1から管理コンピュータに販売情報を送信する必要が無い。よって、個別管理装置20およびパチンコ機1は、持ち球数等の重要な情報を確実に処理することができる。なお、販売情報が記憶されると、S13でサービス員によって入力された情報は破棄される。
次いで、支払を完了させてサービスを待機している遊技者の台番(つまり、減少完了情報を送信した個別管理装置20が付属するパチンコ機1の台番)が、サービス員用表示装置33に表示される(S21)。本実施形態では、図8に示すように、サービスメニュー画面70の一部に、待機中台番報知領域79が形成される。待機中台番報知領域79には、台番(図8の例では「325番台」)と、待機しているサービスの内容(図8の例では「アイスコーヒー×1」「サンドイッチ×1」)とが表示される。従って、サービス員は、支払を完了させた遊技者に素早くサービスを提供することができる。遊技者の人数が多い場合でも、支払を完了させた遊技者をサービス員が見失う可能性は低下する。なお、本実施形態の携帯端末30は、待機中台番報知領域79を表示させている間でも、遊技者からの注文を重複して受け付けることができる。処理はS23の判断へ移行する。
次いで、遊技者が待機中である旨の報知を終了させる指示が入力されたか否かが判断される(S23)。入力されていなければ(S23:NO)、処理はS11の判断へ戻る。サービス員が待機中台番報知領域79を選択し、報知の終了指示を入力すると(S23:YES)、終了の指示が行われた台番の待機中台番報知領域79が消去される(S24)。次いで、終了の指示が行われた台番の個別管理装置20に、サービス待機中報知ランプ24の消灯指示コマンドが送信されて(S25)、処理はS11の判断へ戻る。詳細は後述するが、個別管理装置20は、消灯指示コマンドを受信すると、点灯させていたサービス待機中報知ランプ24を消灯させる。
図9を参照して、個別管理装置20が実行する持ち球支払処理について説明する。持ち球支払処理は、携帯端末30から入力した情報に応じて、商品の対価として遊技者の持ち球を減少させる処理である。個別管理装置20の電源がオンとされると、個別管理装置20のCPU51は、ROM53に記憶されているプログラムに従って、図9に示す持ち球支払処理を実行する。
まず、携帯端末30から注文情報を受信したか否かが判断される(S31)。前述したように、注文情報には、注文された商品および数量と、合計球数とが含まれる。注文情報を受信していなければ(S31:NO)、S31の判断が繰り返されて待機状態となる。注文情報を受信すると(S31:YES)、図10に示すように、受信した注文情報に応じて、注文内容確認画面80がパチンコ機1の遊技者用表示装置13に表示される(S32)。注文内容確認画面80では、「以下の商品を注文しますか?」のメッセージと共に、注文情報によって示された商品とその数量が表示される。CPU51は、合計球数を注文内容確認画面80で表示してもよい。注文内容確認画面80の下部には、キャンセルボタン81と注文ボタン82が表示される。
次いで、キャンセルボタン81が操作されたか否かが判断される(S33)。キャンセルボタン81が操作されると(S33:YES)、注文をキャンセル(不許可)することを通知するためのキャンセルコマンドが、注文情報の送信元の携帯端末30に送信される(S40)。注文内容確認画面80が消去されて(S41)、処理はS31の判断へ戻る。キャンセルボタン81が操作されていなければ(S33:NO)、注文ボタン82が操作されたか否かが判断される(S34)。操作されていなければ(S34:NO)、処理はS33の判断へ戻る。
注文ボタン82が操作されると(S34:YES)、図11に示すように、暗証番号入力画面83がパチンコ機1の遊技者用表示装置13に表示される(S36)。暗証番号入力画面83は、遊技者自身が予め設定した暗証番号を入力する画面である。暗証番号は、遊技者がカード挿入口22に挿入したカードC、または管理コンピュータに記憶されていればよい。暗証番号の入力を求めることで、不正行為やサービス員のミスによって遊技者が不利益を被る可能性を大幅に低下させることができる。暗証番号入力画面83の下部には、キャンセルボタン84と確定ボタン85が表示される。
次いで、キャンセルボタン84が操作されたか否かが判断される(S37)。キャンセルボタン84が操作されると(S37:YES)、注文をキャンセルすることを通知するためのキャンセルコマンドが、注文情報の送信元の携帯端末30に送信される(S40)。暗証番号入力画面83が消去されて(S41)、処理はS31の判断へ戻る。キャンセルボタン84が操作されていなければ(S37:NO)、正しい暗証番号の入力が完了したか否かが判断される(S38)。入力されていなければ(S38:NO)、処理はS37の判断へ戻る。
正しい暗証番号が入力された状態で確定ボタン85が操作されると(S38:YES)、注文情報によって示された合計球数分の持ち球を、データとして管理されている遊技者の持ち球から減少させる処理(支払処理)が行われる(S43)。持ち球は、カードCに記憶されていてもよいし、個別管理装置20のRAM52に記憶されていてもよい。CPU51は、記憶されているデータを変更することで持ち球数を減少させる。また、持ち球は、管理コンピュータにおいて記憶されていてもよい。この場合、CPU51は、持ち球を減少させる指示を管理コンピュータに送信すればよい。次いで、持ち球数の減少が完了したことを通知するための減少完了情報が、注文情報の送信元の携帯端末30に送信される(S44)。前述したように、携帯端末30では、減少完了情報の受信を契機として販売情報が記憶され、待機中台番報知領域79がサービスメニュー画面70に形成される(図8参照)。
減少させた持ち球数に応じたポイント(例えば、減少させた持ち球数の1割のポイント)が、商品を購入した遊技者のポイントに加算される(S45)。本実施形態では、ポイントはカードCに記憶されている。しかし、管理コンピュータにおいてポイントが記憶されていてもよい。遊技場は、遊技者が貯めたポイントと引き換えにサービス(商品)を提供することもできる。従って、遊技者は、持ち球を対価としたサービスを積極的に受けるようになる。次いで、図12に示すように、注文完了画面86がパチンコ機1の遊技者用表示装置13に表示される(S46)。注文完了画面86では、注文が完了したことを示す「お買い上げありがとうございました」のメッセージと共に、今回の注文によって加算されたポイント数が表示される。なお、注文完了画面86では、ポイントが加算された後の累積のポイント数を表示させてもよい。
次いで、サービス待機中報知ランプ24(図1参照)を点灯させる処理が行われる(S47)。前述したように、サービス待機中報知ランプ24は、支払処理が完了してサービスの提供を待機している状態である旨を、サービス員に報知する。サービス員は、サービス待機中報知ランプ24を視認することで、遊技島の外側にいる場合でも、サービスを待機している遊技者を容易に探し出すことができる。次いで、携帯端末30から消灯指示コマンドを受信したか否かが判断される(S49)。前述したように、消灯指示コマンドは、待機中である旨の報知を終了させる指示がサービス員によって行われると、終了の指示が行われた台番の個別管理装置20へ送信される。消灯指示コマンドを受信していなければ(S49:NO)、待機状態となる。受信すると(S49:YES)、サービス待機中報知ランプ24が消灯されて(S50)、処理はS31の判断へ戻る。なお、持ち球支払処理は、個別管理装置20の電源がオフとされると終了する。
以上説明したように、本実施形態に係る遊技機用サービス提供システム100では、サービス員は、遊技者が所望するサービスを把握し、把握したサービスについての対価情報(注文情報)を、遊技者が所望する各サービスの数量によって携帯端末30に入力する。ついで、対価情報によって示される持ち球の減少を許可するか否かの選択入力が、個別管理装置20によって受け付けられる。許可の選択指示を遊技者が入力すると、データとして管理されている遊技者の持ち球が減少されて、且つ、減少完了情報が個別管理装置20から携帯端末30に送信される。従って、遊技機用サービス提供システム100は、個別管理装置20と携帯端末30の間で情報を処理するだけで、サービスの提供に必要な持ち球の情報の処理を行うことができる。複数の遊技者の持ち球を管理する管理コンピュータ等は必須ではない。管理コンピュータを用いる場合でも、管理コンピュータと個別管理装置20との間の情報の伝達量は増加しない。よって、管理コンピュータの処理負担の増加を抑制しつつ、サービスの提供を円滑に実行させることができる。また、遊技者は、持ち球の減少を許可するか否かの選択指示を入力するだけでよく、商品・球数等を自ら入力する必要は無い。さらに、選択指示を遊技者に入力させることで、不正行為等によって遊技者が不利益を被ることが抑制される。よって、遊技機用サービス提供システム100は、データとして管理されている遊技者の持ち球の情報を増減させることで行われる遊技者へのサービスの提供を、不正行為等による不利益の発生を防止しつつ簡易な構成で実現することができる。
本実施形態では、サービスの対価として持ち球を減少させる処理(支払処理)が完了すると、サービス待機中報知ランプ24が点灯する。サービス員がサービスを完了させて、待機中の報知を終了させる指示を行うと、サービス待機中報知ランプ24は消灯される。従って、サービス員は、支払処理を終えた後でサービスを遊技者に提供する場合に、サービスを待機している遊技者を、サービス待機中報知ランプ24によって容易に把握することができる。よって、サービス員は、遊技場に多数の遊技者が来場している場合でも、支払を完了させてサービスを待機している状態の遊技者を容易に探し出すことができる。
本実施形態では、支払処理が完了すると、サービスを待機している遊技者のパチンコ機1の台番が、携帯端末30のサービス員用表示装置33に表示される。サービス員がサービスを完了させて、待機中の報知を終了させる指示を行うと、台番の表示は終了する。従って、サービス員は、遊技場に多数の遊技者が来場している場合でも、支払を完了させてサービスを待機する状態の遊技者を容易に把握することができる。
本実施形態の個別管理装置20は、支払処理が完了した場合に、サービスの注文に応じて遊技者に自動的にポイントを付与する。従って、遊技機用サービス提供システム100は、遊技者がサービスを受ける意欲を容易に高めることができる。
上記実施形態において、図7のS13でサービスの選択操作を受け付ける携帯端末30のCPU61が、本発明の「対価情報入力手段」として機能する。図7のS16で注文情報(対価情報)を個別管理装置20へ送信するCPU61が、本発明の「対価情報送信手段」として機能する。図9のS32〜34で注文を許可するか否かの選択指示を受け付ける個別管理装置20のCPU51が、本発明の「選択指示受付手段」として機能する。図9のS43で持ち球を減少させる処理を行うCPU51が、本発明の「対価減少手段」として機能する。図9のS44で減少完了情報を携帯端末30に送信するCPU51が、本発明の「完了情報送信手段」として機能する。
図9のS47でサービス待機中報知ランプ24を点灯させるCPU51が、本発明の「完了報知手段」として機能する。図9のS49,S50でサービス待機中報知ランプを消灯させるCPU51が、本発明の「報知終了手段」として機能する。図7のS21で待機中台番報知領域79をサービス員用表示装置33(表示手段)に表示させるCPU61が、本発明の「特定情報表示制御手段」として機能する。図7のS24で台番の表示を終了させるCPU61が、本発明の「表示終了手段」として機能する。ポイントを記憶するカードC又は管理コンピュータが、本発明の「所定の記憶手段」に相当する。図9のS45でポイントを加算する処理を行うCPU51が、本発明の「ポイント加算制御手段」として機能する。
本発明は、以上詳述した実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能であることは勿論である。例えば、上記実施形態では、注文(支払処理)を許可するか否かを遊技者に選択させる際に、併せて暗証番号の入力を要求する。従って、不正行為等によって遊技者に不利益が生じる可能性は、大幅に低下する。しかし、暗証番号の入力を要求しなくても本発明は実現できる。この場合でも、注文を許可するか否かを遊技者に選択させることで、自動的に持ち球を減少させる場合に比べて、遊技者が不利益を被る頻度は大幅に低下する。
上記実施形態の個別管理装置20は、注文内容確認画面80(図10参照)、暗証番号入力画面83(図11参照)、および注文完了画面86(図12参照)を、パチンコ機1の遊技者用表示装置13に表示させる。つまり、個別管理装置20は、各種画面の表示指示をパチンコ機1に出力することで、パチンコ機1に設けられている遊技者用表示装置13に画面を表示させる。しかし、個別管理装置20が表示装置を備えていてもよい。また、個別管理装置20は、外付けの表示装置に各種画面を表示させてもよい。
上記実施形態では、封入式のパチンコ機1と個別管理装置20とが別体となっている。しかし、パチンコ機1が個別管理装置20を内蔵していてもよい。この場合、パチンコ機1が本発明の「個別管理装置」に相当する。また、本発明が適用できる遊技機は、封入式のパチンコ機1に限定されない。例えば、複数のパチンコ機の間で遊技球を共有する場合でも、本発明は適用できる。コインを遊技媒体として用いる回動式遊技機においても本発明は適用できる。
上記実施形態では、個別管理装置20の上端部にサービス待機中報知ランプ24が設けられている。しかし、サービス待機中報知ランプ24が配設される位置は、サービス員が視認し易い位置であればよく、上記実施形態で説明した位置に限定されない。例えば、大当たり中や、遊技場の係員を呼び出す際に点灯するランプを利用して、遊技者がサービスの待機中である旨をサービス員に報知してもよい。パチンコ機1にサービス待機中報知ランプ24が設けられていてもよい。また、サービス待機中報知ランプ24の代わりに、可動物を用いて待機中である旨を報知することも可能である。例えば、通常は遊技盤の盤面と平行な姿勢となっている可動物を、遊技盤の前方に突出する姿勢とすることで、待機中である旨を報知してもよい。また、上記実施形態の個別管理装置20は、携帯端末30から消灯指示コマンドを受信することで、サービス待機中報知ランプ24による報知を終了させる。しかし、サービス員が個別管理装置20を直接操作することで報知を終了させるように変更してもよい。
上記実施形態では、遊技者がサービスの待機中である旨が、サービス待機中報知ランプ24およびサービス員用表示装置33によってサービス員に報知される。しかし、両者の一方のみを用いて待機中である旨を報知することも可能である。また、上記実施形態では、支払処理が完了すると、合計球数に応じたポイントが自動的に加算される。しかし、ポイントを加算する処理を省略することも可能である。
上記実施形態では、サービス員は、遊技者が所望する商品の数量を入力することで、サービスの対価に関する情報を携帯端末30に入力する。しかし、対価に関する情報を入力する方法も変更できる。例えば、対価として受け取るべき遊技媒体数をそのまま携帯端末30に入力してもよい。バーコード等を用いて対価に関する情報を入力することも可能である。