従来より、高齢者や身体障害者の身体を支持することによって浴槽への出入りを容易にするために、グリップを備えており、浴槽の側壁へ着脱可能に後付けすることができる浴槽用手摺りが市販されている。このタイプの浴槽用手摺りは、通常、浴槽の側壁を強力にクランプするための押圧板を備えている。また、押圧板による浴槽側壁のクランプ及びクランプの解放は、押圧板に連結されているシャフト部材を螺進退させることによって実現されているケースが多い。したがって、上述のタイプの浴槽用手摺りの場合、押圧板はシャフト部材、又はシャフト部材と螺合しているナット部材を回転ハンドルによって回転させることにより、浴槽の側壁へ強力且つ確実にクランプされなければならない。
ところが、上述のタイプの浴槽用手摺りにおいて、押圧板を進退させるための回転ハンドルは、ヒトの手によって“回転される”という基本的機能のみが重視され、幅広い不特定多数の操作者の手の大きさや形状に適合させることや、操作者の手にとってもストレスを感じさせることがない優しい形状、構造とすることについては全く考慮されてこなかった。このため、従来の浴槽用手摺では、操作者が押圧板を進退させる回転ハンドルを強い力で回転させようとすると、ノブ部が操作者の手の中で容易に滑ったり、又はノブ部の滑り止め用の突起物などが操作者の手の中を局所的に圧迫することによって痛みやストレスを生じさせるので、操作者は強い力で回転ハンドルを把持し、無理なく回転ハンドルへ回転力を伝達できないという問題があった。
また、浴槽用手摺り以外の特定の部品へ回転力を伝達するハンドルとしては、特開2009−299855号公報(特許文献1)及び意匠登録第1444792号公報(特許文献2)に記載されているような汎用の回転ハンドル、特開2006−129864号公報(特許文献3)、特開2011−229458号公報(特許文献4),特開2004−236515号公報(特許文献5)に記載されているような釣り用リールの回転ハンドル及び意匠登録第1172177号公報(特許文献6)に記載されているような水栓用回転ハンドルなどが知られている。
しかしながら、特許文献1,2及び6に記載されている回転ハンドルは、ノブ部の外周面に手の指を係止するための尖った凸部や角部が形成されているため、これらの回転ハンドルを手の平でいわゆる鷲掴み状態にしなければならないような大きな手を持った操作者においては、回転ハンドルを強い力で把持すると、ノブ部の凸部や角部が手の平を局所的に圧迫することによって手の平に痛みやストレスを生じさせるので、操作者は十分な力で回転力を回転ハンドルへ伝達できないという問題があった。
また、特許文献3,4及び5に記載されている回転ハンドルは、釣り用リールの回転ハンドルであって、クランク状のアーム部材に連結されたノブ部をリール軸の周りに公転させることによって回転力を発生させるように設計されている。このため、特許文献3,4及び5に記載されている回転ハンドルでは、操作者が手首の向きを固定したまま、腕と手首の小さな公転運動により高速で振り回すことができるように、ノブ部本体は指のみでも摘むことができるように比較的小さな形状とされており、またノブ部本体の表面も凹凸部が殆どない滑らかな曲面で構成されている。
このため、特許文献3,4及び5に記載されている回転ハンドルを、シャフト部材を螺進退させるための浴槽用手摺りの回転ハンドルへ適用すると、ノブ部が操作者の手の中で滑ったり、又は操作者の手が大きい場合はノブ部本体を手首で捻ることができず、回転ハンドルを十分に自転させることができないという問題があった。なぜなら、浴槽用手摺りの回転ハンドルは、操作者が手首を捻ることによって直接ノブ部自体を自転させなければならないからである。
そこで、本発明は、シャフト部材を螺進退させるための浴槽用手摺りの回転ハンドルであって、ノブ部が幅広い操作者の手の大きさや形状に適合し、そして操作者の手の中に局所的な圧迫感やストレスを殆ど感じさせることなく強く確実に把持させることができる回転ハンドルを提供することを目的とする。
本発明者等は、シャフト部材を螺進退させるための浴槽用手摺りの回転ハンドルにおいて、シャフト部材の外周に装着されるノブ部の大きさや形状、表面の凹凸部の形状やその配置などについて鋭意検討を重ねた結果、回転ハンドルのノブ部の周方向には特殊な形状を施した凹凸部を設け、軸方向には手の平を押圧する膨出部を設けることによって、手のサイズが標準的な操作者に対しては、膨出部が手の平の中心付近を支持しながら凹凸部が手の指を係止し、手のサイズが大きな操作者に対しては、凹凸部が操作者の手の中に局所的な圧迫感やストレスを感じさせることなく、手の平や指の付け根付近を強力に滑り止めるようにしたことで上記の問題を解決した。
具体的には、本発明によれば、浴槽用手摺りの押圧板に連結されたシャフト部材を螺進退させるために、シャフト部材の外周に装着され、そして操作者の手によって回転されるノブ部を備えたハンドルにおいて、ノブ部は、シャフト部材の径方向外方に向けて凸となる略半球形状の複数の凸部と、シャフト部材の径方向内方に向けて凹となる複数の凹部と、そして操作者がノブ部を把持した時、操作者の手の平を圧接するようにシャフト部材の軸方向外方へ向けて凸となる膨出部とを備えており、凸部と凹部は、ノブ部の外周部にシャフト部材の周方向に交互に配置されており、そして凸部の外周面と凹部の外周面は、互いに連続する曲面によって形成されていることを特徴とする浴槽用手摺りの回転ハンドルが提供される。
換言すれば、本発明によれば、膨出部が形成されたノブ部の端部は操作者の手の平によって圧接され、凹部及び凸部が形成されたノブ部の外周部は操作者の指によっていわゆる鷲掴み状態にされることによって把持されることを前提に設計された浴槽用手摺りの回転ハンドルが提供される。
本発明による回転ハンドルは、シャフト部材の外周に装着されていれば、直接的にシャフト部材へ取り付けられていてもよく、又は間接的にシャフト部材へ取り付けられていてもよい。
例えば、シャフト部材が、外周部にネジ部が形成されそしてナットと螺合されるものである場合、回転ハンドルがシャフト部材へ直接的に取り付けられている態様であれば、シャフト部材自体を回転ハンドルによって回転させることにより螺進退させることができ、回転ハンドルがナットへ取り付けられており、シャフト部材には間接的に取り付けられている態様であれば、ナット自体を回転ハンドルによって回転させることによりシャフト部材を螺進退させることができる。
本発明では、ノブ部の外周部に略半球形状の複数の凸部と複数の凹部を交互に配置し、そして凸部の外周面と凹部の外周面を互いに連続する曲面によって形成したことにより、手のサイズが標準的な操作者が本発明の回転ハンドルを把持した場合、手の各指を凹部と凸部の外周面上へ隙間なく密着させ、そして凸部と凸部の間に確実に係止させることができる。特にノブ部の凸部と凹部の外周面を連続した曲面によって構成し、そして凸部を略半球形の形状としたので、手の指が凸部と凸部の間に斜め方向に配置された場合でも、手の指を凸部及び凹部へ無理なく密着させ、確実に係止させることができる。
なお、本願明細書で使用するところの“連続する曲面”には一部に平面を含んでいるような曲面も含まれ、厳密な意味ですべての面が曲面で構成されている必要はない。すなわち、本願明細書で使用するところの“連続する曲面”とは、面と面とが角部や段差を生じることなく互いに滑らかに接続されているような曲面と曲面との組み合せ、または曲面と平面との組み合せを意味する。
一方、手のサイズが大きな操作者が本発明の回転ハンドルを把持した場合、指の付け根付近又は手の平は主としてノブ部の凸部へ圧着されるので、凸部をノブ部を回転させる際の手の平や指の付け根付近の強力な滑り止めとして機能させることができる。本発明では、特にノブ部の凸部を略半球形の形状とし、そして凸部と凹部の外周面を連続した曲面によって構成したので、凸部や凹部が手の平や指の付け根付近を局所的に圧迫することがなく、操作者が強い力で回転ハンドルを握った場合でも操作者の手の中に痛みやストレスを感じさせることがない。このため、操作者は強い力で回転ハンドルを把持することができ、無理なく手首の回転をノブ部へ伝達することができる。
また、本発明では、ノブ部の端部に外方へ向けて凸となる膨出部を設けたことにより、操作者が本発明の回転ハンドルを把持した場合、膨出部が手の平の中心付近を押圧することによって手の平を支持させることができるので、操作者は膨出部を支点として手首を容易に捻ることができ、手首の回転を無理なくノブ部へ伝達することができる。特に膨出部をシャフト部材の軸方向外方へ向けて凸となる曲面によって構成した場合は、指の付け根付近から手の平の中心付近までをノブ部の端部に隙間なく密着させることができるので、手首を強い力で回転させる場合でも、手首の強力な回転力を無駄なくノブ部へ伝達することができる。なお、ノブ部の膨出部は、回転ハンドルを握る際に操作者によって手の平の中心付近が圧接されるものなので、操作者の手のサイズに拠らず上述の作用効果を奏することができる。なお、シャフト部材の軸方向外方とは、シャフト部材の端部を越えてシャフト部材の軸を延長する側又はその領域を意味する。
本発明の回転ハンドルでは、ノブ部の凸部及び凹部はそれぞれ5個または6個配置されていることが好ましい。
凸部及び凹部をノブ部の外周部にそれぞれ5個以上配置した場合は、手の各指をそれぞれ別個の凸部と凸部の間又は凹部の上に載置することができるので、凸部及び凹部による手の指の係止をより一層強固なものとすることができる。また、凸部及び凹部をノブ部の外周部にそれぞれ6個配置した場合は、手の指をいわゆる鷲掴み状態とした時、指と指との間隙が最も広くなる親指と小指の間に1つ遊んだ凹部を配置することができるので、手の各指を凸部及び凹部に無理なくフィットさせることができ、その結果、回転ハンドルの操作性がより一層向上する。
本発明の回転ハンドルでは、凹部の外周面の最底部はそれぞれシャフト部材の軸から等距離に配置されていることが好ましい。また、凸部の外周面の最頂部もそれぞれシャフト部材の軸から等距離に配置されていることが好ましい。
凹部の外周面の最底部をそれぞれシャフト部材の軸から等距離に配置した場合、凹部の配置は、操作者がノブ部をいわゆる鷲掴み状態にした時の各指の配置に近似しているので、凹部の上に指を載置した時のフィット性や密着性がより一層向上する。また、適合する操作者の手の許容範囲が広がるというメリットもある。
凸部の外周面の最頂部をそれぞれシャフト部材の軸から等距離に配置した場合、凸部の配置は、手のサイズが大きな操作者がノブ部をいわゆる鷲掴み状態にした時の各指の付け根の配置又は手の平の形状に近似しているので、凸部の上に指の付け根又は手の平を載置した時のフィット性や密着性がより一層向上する。また、比較的手のサイズが大きな操作者の中においても、適合する手の許容範囲が広がるというメリットもある。
なお、ここで使用するところの“シャフト部材の軸から凹部の外周面の最底部までの距離”とは、凹部の外周面の最底部からシャフト部材の軸まで垂線を下ろした時のその垂線の長さを意味し、実質的にシャフト部材の軸から凹部までの最短距離を意味する。また“シャフト部材の軸から凸部の外周面の最頂部までの距離”とは、凸部の外周面の最頂部からシャフト部材の軸まで垂線を下ろした時のその垂線の長さを意味し、実質的にシャフト部材の軸から凸部までの最短距離を意味する。また、シャフト部材の軸にはシャフト部材内部の軸のみならず、同軸上に延長されたシャフト部材外部の軸も含む概念である。
本発明の回転ハンドルでは、凸部はそれぞれシャフト部材の周方向に等間隔に配置されていることが好ましい。また、凹部もそれぞれシャフト部材の周方向に等間隔に配置されていることが好ましい。
凸部及び/又は凹部をそれぞれの周方向に等間隔に配置した場合、凸部及び/又は凹部の配置は、操作者がノブ部をいわゆる鷲掴み状態にした時の各指の配置に近似しており、そして操作者の各指を凸部と凸部の間又は凹部の上に均等間隔で載置することができるので、凸部と凸部との間又は凹部の上に指を載置した時のフィット性やホールド性、密着性がより一層向上する。また、操作者は、ノブ部の凸部及び/又は凹部の位置に合わせて握り位置を変える必要がなくなるという利益もある。さらに、手のサイズが大きな操作者が回転ハンドルを把持した場合は、均等配置された凸部が指の付け根又は手の平を万遍なく押圧するので、手とノブ部の間でムラのない摩擦力が発生し、その結果、操作者が回転ハンドルを回転させる際に手が滑るのを効果的に防止することができる。
本発明の回転ハンドルでは、凸部はそれぞれ同じ形状を有していることが好ましい。また、凹部もそれぞれ同じ形状を有していることが好ましい。
凸部及び/又は凹部をそれぞれ同じ形状とした場合、操作者は、凸部及び/又は凹部の位置を選ぶことなく手の指、指の付け根又は手の平を凸部及び/又は凹部の外周面上へ隙間なく密着させ、そしてストレスなくノブ部の外周面上に係止させることができる。また、凸部の外周面と凹部の外周面は連続した曲面によって構成されているので、操作者が凸部及び/又は凹部の位置を選ぶことなく回転ハンドルを握った場合でもノブ部から受ける押圧力は分散され、操作者の手の中に局所的な痛みやストレスを感じさせることがない。さらに、外観上も規則正しい曲面主体の統一性のとれた形状とすることができるため、見た目にも美しくヒトに優しい回転ハンドルを提供することができる。
本発明の回転ハンドルでは、ノブ部と同軸上に連結されており且つシャフト部材の外周に装着される筒状部をさらに備えていることが好ましい。
本発明の回転ハンドルは、操作者の手の平をノブ部の膨出部へ押し当て、操作者の指はノブ部の外周部をいわゆる鷲掴み状態にすることを前提に設計されているために、シャフト部材の軸方向に沿ったノブ部外周部の長さは比較的短い。そのため、同軸上にノブ部へ筒状部をさらに連結すると、回転ハンドルをシャフト部材の外周へ緩みなく強固に装着することができるので、特に回転軸に対するノブ部の振れ回りを効果的に防止することができる。
本発明の回転ハンドルは、凹部の外周面の最底部から膨出部の中心部までのノブ部の外周面に沿った最短距離:A1と、凹部の外周面の最底部からシャフト部材の軸までの最短距離:Dは、D≦A1≦56mmの関係を満たすことが好ましい。
本発明の回転ハンドルは、ノブ部の端部に外方へ向けて凸となる膨出部を備えているので、凹部から膨出部の中心部までのノブ部の外周面に沿った最短距離:A1は、凹部からシャフト部材の軸までの最短距離:D以上の長さが必要である。そしてA1≧Dであると、操作者はノブ部の端部および外周部に沿って手の平及び手の指を隙間なく密着させることができるので、手首の回転力を確実にノブ部へ伝達することができる。
また、「日本人の人体計測データ1992−1994」(社団法人人間生活工学研究センター発行)に基づけば、成人男女の中指(第3指)長の最小値は女性の場合の56.3mmであるのに対し、成人男女の中指(第3指)長の平均値は76.5mmである。したがって、最短距離:A1を56mm以下の長さとすることにより、ほとんどの成人男女は、中指(第3指)及びその他の指もノブ部の膨出部から凹部を越えて膨出部の反対側へまで伸ばしてノブ部を掴むことができるので、回転ハンドルを容易且つ強い力で強固に把持することができる。
本発明の回転ハンドルは、凹部から膨出部の中心部までのノブ部の外周面に沿った最短距離:A1と、ノブ部と筒状部の連結部から凹部の外周面の最底部までのノブ部の外周面に沿った最短距離:A2との合計距離:A1+A2は、56mm≦A1+A2≦98mmを満たすことが好ましい。
「日本人の人体計測データ1992−1994」(社団法人人間生活工学研究センター発行)に基づけば、成人男女の中指(第3指)長の最小値は女性の場合の56.3mmであるのに対し、最大値は男性の場合の98.4mmである。したがって、凹部から膨出部の中心部までのノブ部の外周面に沿った最短距離:A1とノブ部と筒状部の連結部から凹部までのノブ部の外周面に沿った最短距離:A2との和(A1+A2)を56mm以上且つ98mm以下の長さとすることにより、ノブ部の膨出部から凹部を越えて筒状部との連結部までの最短距離(A1+A2)を幅広い年齢層の成人男女の中指(第3指)の長さに適合させることができる。また、ノブ部への中指(第3指)及びその他の指の密着性が向上するので、操作者は回転ハンドルを容易且つ強い力で強固に把持することができる。
なお、上述の最短距離:A1と最短距離:A2中の“最短”とは、凹部の外周面の最底部およびシャフト部材の軸を通り且つシャフト部材の軸に平行な断面に表れるノブ部断面の外延であることを意味し、上述の凹部からシャフト部材の軸までの最短距離:D中の“最短”とは、凹部の外周面の最底部からシャフト部材の軸まで垂線を下ろした時のその垂線の長さであることを意味する。また、シャフト部材の軸にはシャフト部材内部の軸のみならず、同軸上に延長されたシャフト部材外部の軸も含む概念である。
本発明では、ノブ部の外周部に略半球形状の複数の凸部と複数の凹部を交互に配置し、そして凸部の外周面と凹部の外周面を互いに連続する曲面によって形成したことにより、手のサイズが標準的な操作者が本発明の回転ハンドルを把持した場合、手の各指を凹部と凸部の外周面上へ隙間なく密着させ、そして凸部と凸部の間に確実に係止させることができる。また、凸部を略半球形の形状としているので、手の指が凸部と凸部の間に斜め方向に配置された場合でも、手の指を凸部及び凹部へ無理なく密着させ、確実に係止させることができる。
本発明では、手のサイズが大きな操作者が本発明の回転ハンドルを把持した場合、指の付け根付近又は手の平は主としてノブ部の凸部へ圧着されるので、凸部をノブ部を回転させる際の手の平や指の付け根付近の強力な滑り止めとして機能させることができる。
また、本発明では、ノブ部の端部に外方へ向けて凸となる膨出部を設けたことにより、操作者が本発明の回転ハンドルを把持した場合、膨出部が手の平の中心付近を押圧することによって手の平を支持させることができるので、操作者は膨出部を支点として手首を容易に捻ることができ、手首の回転を無理なくノブ部へ伝達することができる。
本発明では、凸部及び凹部をノブ部の外周部にそれぞれ5個又は6個配置することにより、手の各指をそれぞれ別個の凸部と凸部の間又は凹部の上に載置することができるので、凸部及び凹部による手の指の係止をより一層強固なものとし、各指を凸部及び凹部に無理なくフィットさせることができる。
本発明では、凹部の外周面の最底部及び/又は凸部の外周面の最頂部をそれぞれシャフト部材の軸から等距離に配置することにより、凹部又は凸部の上に手の指、指の付け根又は手の平を載置した時のフィット性や密着性がより一層向上し、適合する操作者の手の許容範囲も広げることができる。
本発明では、凸部及び/又は凹部をそれぞれの周方向に等間隔に配置することにより、凸部と凸部との間又は凹部の上に指を載置した時のフィット性やホールド性、密着性がより一層向上し、また、操作者はノブ部の凸部及び/又は凹部の位置に合わせて握り位置を変える必要もなくなる。
本発明では、凸部及び/又は凹部をそれぞれ同じ形状とすることにより、操作者は、凸部及び/又は凹部の位置を選ぶことなく手の指、指の付け根又は手の平を凸部及び/又は凹部の外周面上へ隙間なく密着させ、そしてストレスなくノブ部の外周面上に係止させることができる。また、外観上も規則正しい曲面主体の統一性のとれた形状とすることができるため、見た目にも美しくヒトに優しい回転ハンドルを提供することができる。
本発明では、同軸上にノブ部へ筒状部をさらに連結すると、回転ハンドルをシャフト部材の外周へ緩みなく強固に装着することができるので、特に回転軸に対するノブ部の振れ回りを効果的に防止することができる。
本発明では、凹部から膨出部の中心部までのノブ部の外周面に沿った最短距離:A1と凹部からシャフト部材の軸までの最短距離:Dとを、D≦A1≦56mmの関係を満たす長さとすることにより、操作者はノブ部の端部および外周部に沿って手の平及び手の指を隙間なく密着させることができるので、手首の回転力を確実にノブ部へ伝達することができると共に、ほとんどの成人男女は、中指(第3指)をノブ部の膨出部から凹部を越えて膨出部の反対側へまで伸ばして掴むことができるので、回転ハンドルを容易且つ強い力で強固に把持することができる。
本発明では、最短距離:A1とノブ部と筒状部の連結部から凹部の外周面の最底部までのノブ部の外周面に沿った最短距離:A2との和(A1+A2)を56mm≦A1+A2≦98mmとすることにより、ノブ部の膨出部から凹部を越えて筒状部との連結部までの最短距離(A1+A2)を幅広い年齢層の成人男女の中指(第3指)の長さに適合させることができ、またノブ部への中指(第3指)の密着性が向上するので、操作者は回転ハンドルを容易且つ強い力で強固に把持することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る浴槽用手摺りの回転ハンドルについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示される実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
図1〜3を用いて、本発明の一実施形態に係る浴槽用手摺りの回転ハンドル1の主な構成を説明する。図1には、斜め前方からみた本実施例の浴槽用手摺りの回転ハンドル1の斜視図が示されている。また、図2には本実施例の回転ハンドル1の正面図が示されており、図3には本実施例の回転ハンドル1の側面図が示されている。
図1〜3を参照して理解されるように、本実施例の回転ハンドル1は操作者の手によって回転されるノブ部2と、ノブ部2と同軸上に連結された筒状部3とから構成されており、浴槽用手摺りの押圧板(図示せず)に連結されたシャフト部材4を螺進退させるために、シャフト部材4の外周に装着される。
図示しないが、本実施例の回転ハンドル1が装着されるシャフト部材4は、外周部にネジ部が形成されそしてナットと螺合されるものであり、本実施例の回転ハンドル1はナットへ取り付けられ、そしてナット自体を回転ハンドル1によって回転させることによってシャフト部材4を螺進退させることができる。
ノブ部2は、シャフト部材4の径方向外方に向けて凸となる略半球形状の複数の凸部21と、シャフト部材4の径方向内方に向けて凹となる複数の凹部22と、そして操作者がノブ部2を把持した時、操作者の手の平を圧接するようにシャフト部材4の軸方向外方へ向けて凸となる膨出部23とを備えている。凸部21と凹部22は、ノブ部2の外周部10にシャフト部材4の周方向に交互に配置されており、そして凸部21の外周面211と凹部22の外周面221は、互いに連続する曲面によって形成されている。
なお、“連続する曲面”には一部に平面を含んでいるような曲面も含まれ、厳密な意味ですべての面が曲面で構成されている必要はない。したがって、本実施例において“連続する曲面”とは、面と面とが角部や段差を生じることなく互いに滑らかに接続されているような曲面と曲面との組み合せ、または曲面と平面との組み合せを意味し、凸部21の外周面211及び/又は凹部22の外周面221の一部に平面が含まれていてもよい。
図4には、図2に示した回転ハンドル1のA−A断面図であって、手5のサイズが標準的な操作者によって回転ハンドル1が把持された状態が示されている。また、図5には、図2に示した回転ハンドル1のB−B断面図であって、手5のサイズが大きな操作者によって回転ハンドル1が把持された状態が示されている。
図4,5に示されるように、本実施例の回転ハンドル1は膨出部23が形成されたノブ部2の端部20は操作者の手の平によって圧接され、凹部22及び凸部21が形成されたノブ部2の外周部10は操作者の指によっていわゆる鷲掴み状態にされることによって把持されることを前提に設計されている。
本実施例の回転ハンドル1では、ノブ部2の外周部10に略半球形状の複数の凸部21と複数の凹部22を交互に配置し、そして凸部21の外周面211と凹部22の外周面221を互いに連続する曲面によって形成しているので、図4に示されるように、手のサイズが標準的な操作者が回転ハンドル1を把持した場合、手の各指51を凹部22と凸部21の外周面211,221上へ隙間なく密着させ、そして凸部21と凸部21の間に確実に係止させることができる。特にノブ部の凸部21と凹部22の外周面10を連続した曲面によって構成し、そして凸部21を略半球形の形状としているので、手の指が凸部21と凸部21の間に斜め方向に配置された場合でも、手の指を凸部21及び凹部22へ無理なく密着させ、確実に係止させることができる。
一方、図5に示されるように、手5のサイズが大きな操作者が本実施例の回転ハンドル1を把持した場合、指の付け根52付近又は手の平53は主としてノブ部2の凸部21へ圧着されるので、凸部21をノブ部2を回転させる際の手の平53や指の付け根52付近の強力な滑り止めとして機能させることができる。本実施例では、特にノブ部2の凸部21を略半球形の形状とし、そして凸部21と凹部22の外周面10を連続した曲面によって構成しているので、凸部21や凹部22が手の平53や指の付け根52付近を局所的に圧迫することがなく、操作者が強い力で回転ハンドル1を握った場合でも操作者の手5の中に痛みやストレスを感じさせることがない。このため、操作者は強い力で回転ハンドル1を把持することができ、無理なく手首の回転をノブ部2へ伝達することができる。
また、本実施例の回転ハンドル1では、ノブ部2の端部20に外方へ向けて凸となる膨出部23を設けているので、操作者が回転ハンドル1を把持した場合、膨出部23が手の平53の中心付近を押圧することによって手の平53を支持させることができ、その結果、操作者は膨出部23を支点として手首を容易に捻ることができ、手首の回転を無理なくノブ部2へ伝達することができる。特に膨出部23をシャフト部材4の軸方向外方へ向けて凸となる曲面によって構成した場合は、指の付け根52付近から手の平53の中心付近までをノブ部2の端部20に隙間なく密着させることができるので(図4,5)、手首を強い力で回転させる場合でも、手首の強力な回転力を無駄なくノブ部2へ伝達することができる。なお、ノブ部2の膨出部23は、回転ハンドル1を握る際に操作者によって手の平53の中心付近が圧接されるものなので、操作者の手5のサイズに拠らず上述の作用効果を奏することができる。なお、シャフト部材4の軸方向外方とは、シャフト部材4の端部を越えてシャフト部材4の軸41を延長する側又はその領域を意味する。
図1,2を参照して理解されるように、本実施例の回転ハンドル1では、ノブ部2の凸部21及び凹部22はそれぞれ6個配置されている。凸部21及び凹部22をノブ部2の外周部10にそれぞれ6個配置した場合は、手の指51をいわゆる鷲掴み状態とした時、指51と指51との間隙が最も広くなる親指と小指の間に1つ遊んだ凹部22を配置することができるので、手の各指51を凸部21及び凹部22に無理なくフィットさせることができ、その結果、回転ハンドル1の操作性がより一層向上する。
本実施例の回転ハンドル1では、凹部22の外周面221の最底部222はそれぞれシャフト部材4の軸41から等距離に配置されている。また、凸部21の外周面211の最頂部212もそれぞれシャフト部材41の軸から等距離に配置されている(図2,6参照)。
凹部22の外周面221の最底部222をそれぞれシャフト部材4の軸41から等距離に配置した場合、凹部22の配置は、操作者がノブ部2をいわゆる鷲掴み状態にした時の各指51の配置に近似するので、凹部22の上に指51を載置した時のフィット性や密着性がより一層向上する。また、適合する操作者の手5の許容範囲が広がるというメリットもある(図4参照)。
凸部21の外周面211の最頂部211をそれぞれシャフト部材4の軸41から等距離に配置した場合、凸部21の配置は、手5のサイズが大きな操作者がノブ部2をいわゆる鷲掴み状態にした時の各指の付け根52の配置又は手の平53の形状に近似するので、凸部21の上に指の付け根52又は手の平53を載置した時のフィット性や密着性がより一層向上する。また、比較的手5のサイズが大きな操作者の中においても、適合する手5の許容範囲が広がるというメリットもある(図5参照)。
なお、ここで使用するところの“シャフト部材4の軸41から凹部22の外周面221の最底部222までの距離”とは、凹部22の外周面221の最底部222からシャフト部材4の軸41まで垂線を下ろした時のその垂線の長さを意味し、実質的にシャフト部材4の軸41から凹部22までの最短距離を意味する。また“シャフト部材4の軸41から凸部21の外周面211の最頂部212までの距離”とは、凸部21の外周面211の最頂部212からシャフト部材4の軸41まで垂線を下ろした時のその垂線の長さを意味し、実質的にシャフト部材4の軸41から凸部21までの最短距離を意味する(図2,6参照)。また、シャフト部材4の軸41にはシャフト部材4内部の軸411のみならず、同軸上に延長されたシャフト部材4外部の軸412も含まれる(図6参照)。
図2に示されるように、本実施例の回転ハンドル1では、凸部21はそれぞれシャフト部材4の周方向に等間隔に配置されており、また凹部22もそれぞれシャフト部材4の周方向に等間隔に配置されている。
凸部21及び/又は凹部22をそれぞれの周方向に等間隔に配置した場合、凸部21及び/又は凹部22の配置は、操作者がノブ部をいわゆる鷲掴み状態にした時の各指51の配置に近似し、そして操作者の各指51を凸部21と凸部21の間又は凹部22の上に均等間隔で載置することができるので、凸部21と凸部21との間又は凹部22の上に指を載置した時のフィット性やホールド性、密着性がより一層向上する。また、操作者は、ノブ部2の凸部21及び/又は凹部22の位置に合わせて握り位置を変える必要がなくなるという利益もある。さらに、手5のサイズが大きな操作者が回転ハンドル1を把持した場合は、均等配置された凸部21が指の付け根52又は手の平53を万遍なく押圧するので、手5とノブ部2の間でムラのない摩擦力が発生し、その結果、操作者が回転ハンドル1を回転させる際に手5が滑るのを効果的に防止することができる(図5参照)。
本実施例の回転ハンドル1では、凸部21はそれぞれ同じ形状を有しており、また凹部22もそれぞれ同じ形状を有している(図2参照)。
凸部21及び/又は凹部22をそれぞれ同じ形状とした場合、操作者は、凸部21及び/又は凹部22の位置を選ぶことなく手の指51、指の付け根52又は手の平53を凸部21及び/又は凹部22の外周面211,221上へ隙間なく密着させ、そしてストレスなくノブ部2の外周面211,221上に係止させることができる。また、凸部21の外周面211と凹部22の外周面221は連続した曲面によって構成されているので、操作者が凸部21及び/又は凹部22の位置を選ぶことなく回転ハンドル1を握った場合でもノブ部2から受ける押圧力は分散され、操作者の手5の中に局所的な痛みやストレスを感じさせることがない。さらに、外観上も規則正しい曲面主体の統一性のとれた形状とすることができるため、見た目にも美しくヒトに優しい回転ハンドル1を提供することができる。
図1,6に示されるように、本実施例の回転ハンドル1では、ノブ部2と同軸上に連結されており且つシャフト部材4の外周に装着される筒状部3を備えている。本実施例の回転ハンドル1は、操作者の手の平53をノブ部2の膨出部23へ押し当て、操作者の指51はノブ部2の外周部10をいわゆる鷲掴み状態にすることを前提に設計されているために、シャフト部材4の軸41方向に沿ったノブ部2外周部の長さは比較的短い。そのため、同軸上にノブ部2へ筒状部3をさらに連結すると、回転ハンドル1をシャフト部材4の外周へ緩みなく強固に装着することができるので、特に回転軸41に対するノブ部2の振れ回りを効果的に防止することができる。
図6には、図2に示した回転ハンドル1のA−A断面図が示されている。図2に示されるように、本実施例の回転ハンドル1は、凹部22の外周面221の最底部222から膨出部23の中心部231までのノブ部2の外周面に沿った最短距離:A1と、凹部22の外周面221の最底部222からシャフト部材4の軸41までの最短距離:Dは、D≦A1≦56mmの関係を満たしている。
本実施例の回転ハンドル1は、ノブ部2の端部20に外方へ向けて凸となる膨出部23を備えているので、凹部22から膨出部23の中心部231までのノブ部2の外周面に沿った最短距離:A1は、必然的に凹部22からシャフト部材4の軸41までの最短距離:D以上の長さとなっている。そしてA1≧Dであると、操作者はノブ部2の端部20および外周部10に沿って手の平53及び手の指51を隙間なく密着させることができるので、手首の回転力を確実にノブ部2へ伝達することができる。
また、「日本人の人体計測データ1992−1994」(社団法人人間生活工学研究センター発行)によると、成人男女の中指(第3指)長の最小値は女性の場合の56.3mmであるのに対し、成人男女の中指(第3指)長の平均値は76.5mmである。したがって、最短距離:A1を56mm以下の長さとすることにより、ほとんどの成人男女は、中指(第3指)及びその他の指もノブ部2の膨出部23から凹部22を越えて膨出部の反対側へまで伸ばしてノブ部2を掴むことができるので、回転ハンドル1を容易且つ強い力で強固に把持することができる(図4参照)。
図6に示されているように、本実施例の回転ハンドル1は、凹部22から膨出部23の中心部231までのノブ部2の外周面に沿った最短距離:A1と、ノブ部2と筒状部3の連結部6から凹部の外周面の最底部までのノブ部の外周面に沿った最短距離:A2との合計距離:A1+A2は、56mm≦A1+A2≦98mmを満たしている。
「日本人の人体計測データ1992−1994」(社団法人人間生活工学研究センター発行)によると、成人男女の中指(第3指)長の最小値は女性の場合の56.3mmであるのに対し、最大値は男性の場合の98.4mmである。したがって、凹部22から膨出部23の中心部231までのノブ部2の外周面に沿った最短距離:A1とノブ部2と筒状部3の連結部6から凹部22までのノブ部2の外周面に沿った最短距離:A2との和(A1+A2)を56mm以上且つ98mm以下の長さとすることにより、ノブ部2の膨出部23から凹部22を越えて筒状部3との連結部6までの最短距離(A1+A2)を幅広い年齢層の成人男女の中指(第3指)の長さに適合させることができる。また、ノブ部2への中指(第3指)及びその他の指の密着性が向上するので、操作者は回転ハンドル1を容易且つ強い力で強固に把持することができる(図4参照)。
なお、上述の最短距離:A1と最短距離:A2中の“最短”とは、図6に示されているとおり、凹部22の外周面221の最底部222およびシャフト部材4の軸41を通り且つシャフト部材4の軸41に平行な断面に表れるノブ部2断面の外延であることを意味し、上述の凹部22からシャフト部材4の軸41までの最短距離:D中の“最短”とは、凹部22の外周面221の最底部222からシャフト部材4の軸41まで垂線を下ろした時のその垂線の長さであることを意味する。また、シャフト部材4の軸41にはシャフト部材4内部の軸411のみならず、同軸上に延長されたシャフト部材4外部の軸412も含まれる(図6参照)。