JP6077479B2 - コンクリート構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄筋の腐食を抑制するためのコンクリート構造体に関する。
コンクリート構造体は、建築や土木の構造体として多く用いられてきた。しかし、補強されていないコンクリート構造体の圧縮強度は引張強度の10倍程度であるため、引張応力に抗する補強を必要としていた。例えば、補強に鉄筋を用いることにより、鉄筋がコンクリート構造体に加えられる引張応力を負担し、コンクリート構造体及び鉄筋がコンクリート構造体に加えられる圧縮応力を負担する。なお、コンクリート構造体の材料であるコンクリート中はアルカリ性に保たれているため、鉄筋は不働態と呼ばれる状態となり、極めて腐食しにくくなることが知られている。
しかしながら、鉄筋を補強材として用いたコンクリート構造体においては、まれに鉄筋の腐食が発生する。腐食が生じる理由としては、大気中の二酸化炭素によりアルカリ性が中和され、不働態状態が維持できなくなるからである。不働態状態が維持できなくなると、鉄がイオン化するアノード化と空気中の酸素がイオン化し、水そのものの分解や水中の水素イオンが水素に戻るカソード化とが進行し、鉄筋表面で水素が発生する。この水素が鉄筋に侵入し、いわゆる遅れ破壊を引き起こすとされている。
以下に、その過程を一例として概説する。水素発生の際には、次の式(1)に示す鉄筋表面の一部分において鉄が腐食してイオン化する反応と釣り合うように、式(2)及び式(3)に示す鉄筋表面の他の部分においてコンクリート中の水分に含まれる水素イオンが水素となる反応を生じる。この際に生じた水素が鉄筋表面に吸着されて鉄筋中に侵入すると考えられている。
Figure 0006077479
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対策として、鉄筋への水素の侵入を軽減する方法、鉄筋の合金組成を変える方法、鉄筋に侵入した水素を金属組織内に強く束縛する方法等が検討された。しかし、これらの対策は鉄筋表面における水素の発生を抑えることはできないため、根本的には鉄筋の遅れ破壊を止めることはできない。
従来、このような課題を解決するため、例えば特許文献1では、コンクリート中において、鉄筋に対して貴な酸化還元電位を示す金属または合金とが電気的に接続された状態で埋設されている構造とすることにより、金属又は合金の表面に限って水素を発生させ、鉄筋表面における水素発生を抑制する技術が提案されている。
特許登録第5275787号公報
このような従来技術の構造体によれば、鉄筋に対して貴な酸化還元電位を示す金属または合金とが電気的に接続された状態であることが、鉄筋表面における水素発生を抑制する条件となる。しかしながら、例えば鉄筋と金属または合金との間に充填されるコンクリートの量が多い場合、鉄筋と金属または合金との間でコンクリートを経由したイオン電導が発生しなくなる。
このため、鉄筋(鉄)をアノードとし、金属または合金をカソードとする電池が構成されて、コンクリート中の水に対する鉄筋の電位が、金属または合金と電気的に接続された鉄筋の場合のように、貴な方向へのシフトしなくなり、結果として鉄筋表面における水素発生を抑制できなくなるという問題点があった。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、鉄筋における水素発生を確実に抑制でき、鉄筋の遅れ破壊を安定的に抑制できるコンクリート構造体を提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかるコンクリート構造体は、鉄筋と、鉄に対して貴な電位を示す第1の金属又は合金とが、第1の配線を介して電気的に接続された状態でコンクリートに埋設されてなるコンクリート構造体であって、前記鉄筋と前記第1の金属又は合金とは、前記鉄筋と前記第1の金属又は合金とが前記コンクリートを電解質とする第1の腐食電池を形成しうる第1の距離に配置されており、前記コンクリートの単位距離あたりの抵抗値をRとし、前記鉄筋と前記第1の金属又は合金との間に発生する電位差をE1とし、前記コンクリートを介して前記第1の金属又は合金側から前記鉄筋側へ流れるイオン電流をI1とした場合、前記第1の距離L1は、E1/(I1×R)より短い距離とするようにしたものである。
また、本発明にかかる上記コンクリート構造体の一構成例は、前記鉄筋が、予め応力を与えて前記コンクリート中に埋設されているものである。
本発明によれば、コンクリートを電解質とする鉄筋と鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金とからなる腐食電池が、常に形成されるため、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金側でカソード反応が生じる。このため、水素の発生点は、カソードである鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金の周辺となり、結果として、鉄筋からの水素発生を確実に抑制でき、鉄筋の腐食を安定的に抑制することが可能となる。
第1の実施の形態にかかるコンクリート構造体を示す説明図である。 第1の実施の形態にかかる腐食電池を示す説明図である。 第1の実施の形態にかかる他のコンクリート構造体を示す説明図である。 第2の実施の形態にかかるコンクリート構造体を示す説明図である。 第2の実施の形態にかかる腐食電池を示す説明図である。
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるコンクリート構造体10について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかるコンクリート構造体を示す説明図である。
このコンクリート構造体10は、コンクリート11と、このコンクリート11中に埋設された鉄筋12、鉄に対して貴な金属又は合金(第1の金属又は合金)13、および鉄筋12と鉄に対して貴な金属又は合金13とを電気的に接続する配線15(第1の配線)とから構成されている。
本実施の形態は、このようにコンクリート構造において、鉄筋12と鉄に対して貴な金属又は合金13とを、コンクリート11を電解質とする腐食電池(第1の腐食電池)を形成しうる距離(第1の距離)L1以下の範囲に配置したものである。
図1では、コンクリート製の電柱の要部断面例が示されており、電柱の長手方向(立設方向)に沿って、柱形状の鉄筋12がコンクリート11中に埋設されている。また、鉄筋12の両脇には、鉄筋12の伸延方向に沿って柱形状の鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13が、鉄筋12から距離L1以下の範囲で離間してコンクリート11中に埋設されている。
コンクリート11は、セメントと水とを原料として混合して生成される。混合される水の量は、コンクリート構造体10の使用目的に応じて設定される。一般的な土木、建築の用途であれば、水とセメントとの重量比を5〜60%が好ましい。そして、コンクリート11の体積を補充する目的で、砂や砂利等の骨材を混合する。適当な硬度があり、泥などの有機物を含有、付着せず、吸水量及び塩分が少なく、粒径が均一である等の条件を満たしている必要がある。また、強度を向上させる目的で繊維を混合することもある。繊維は、直線又は曲線形状であり、金属、有機物、無機物であることが好ましい。
鉄筋12は、鉄鋼を主原料とする構造用材料である。
鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13は、ニッケル、コバルト、ニッケル−鉄合金、コバルト−鉄合金、銅及びその合金などが好ましい。この際、pH=10〜12.5の範囲で、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13を用いることが好ましい。
配線15は、銅線などの一般的な電気用配線でよく、鉄筋12や鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13の表面に、半田付けなどにより固定すればよい。
図1において、コンクリート11中に埋設された鉄筋12は、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13と、配線15を介して電気的に接続されている。ここで、コンクリート11にはセメント部、骨材、および空隙が存在し、この空隙には水に溶解したセメント成分のイオン種からなる溶液が存在している。したがって、これらを電解質とする鉄筋12と鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13とからなる腐食電池(第1の腐食電池)B1が形成される。
図2は、第1の実施の形態にかかる腐食電池を示す説明図である。
この腐食電池B1において、鉄筋12は鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13よりイオン化傾向が高いため、鉄筋12がアノード(陽極)となり、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13がカソード(陰極)となる。
したがって、鉄筋12において、前述の式(1)で示した反応により、鉄筋12の鉄(Fe)が電子(2e-)と鉄イオン(Fe2+)に変化し、アノード反応としてこの鉄イオンが鉄筋12からコンクリート11中に拡散される。
一方、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13では、アノード反応が発生し、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13からコンクリート11中に電子が拡散される。これにより、拡散された電子が、コンクリート11中の水分に含まれる水素イオン(H+)と反応して水素(H2)を発生させる。
したがって、カソード反応、すなわちコンクリート11中への電子の拡散は、両社のイオン化傾向の違いにより、カソードとなる鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13で発生するため、水素は鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13で発生する。このため、水素の発生点は、カソードである鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13の周辺となり、結果として、鉄筋12からの水素発生が抑制されることになる。
この際、これらアノード反応およびカソード反応の進行に伴い、鉄筋12から鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13へ、配線15を介して電子が供給される。また、鉄筋12と鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13との間に存在するコンクリート11中では、電気化学的な中性条件を満たすため、陰イオン(アニオン)による鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13側から鉄筋12側へのイオン電流I1が発生する。
ここで、コンクリート11は、一定の抵抗値を有しているため、イオン電流I1に起因して、鉄筋12と鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13との間に電圧降下が発生する。例えば、コンクリート11の単位距離あたりの抵抗値を単位抵抗値Rとし、鉄筋12と鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13との間の距離をL1とした場合、イオン電流I1に応じてI1×R×L1の電圧降下が、鉄筋12と鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13との間に生じることになる。
したがって、この腐食電池B1を形成して、鉄筋12からの水素発生を抑制するためには、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13の電位が、鉄筋12に対して、常に電位的に貴となることが条件となる。このため、鉄筋12と鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13との間に発生する電位差をE1とした場合、上記条件は次の式(4)で表される。
E1>I1×R×L1 …(4)
よって、鉄筋12と鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13との間の距離L1が、次の式(5)を満足することが、鉄筋12からの水素発生を抑制するための条件となる。
L1<E1/(I1×R) …(5)
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、鉄筋12と、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13とが配線15を介して電気的に接続された状態でコンクリート11に埋設されてなるコンクリート構造体10において、鉄筋12と鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13とを、鉄筋12と鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13とがコンクリート11を電解質とする腐食電池B1を形成しうる距離L1に配置するようにしたものである。
具体的には、距離L1は、鉄筋12と鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13との間に位置するコンクリート11による電圧降下が発生しても、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13が鉄筋12に対して電位的に貴となる距離であればよい。すなわち、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13が、コンクリート11による電圧降下に対して、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13の電位差E1が補償される等電位面よりも鉄筋12側に配置されていればよく、等電位面を全て覆う必要はない。
これにより、コンクリート11を電解質とする鉄筋12と鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13とからなる腐食電池B1が、常に形成されるため、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13側でカソード反応が生じる。このため、水素の発生点は、カソードである鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13の周辺となり、結果として、鉄筋12からの水素発生を確実に抑制でき、鉄筋12の腐食を安定的に抑制することが可能となる。
また、第1の実施の形態では、図1において、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13を、鉄筋12に沿って複数本埋設した場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、1本だけ埋設してもよい。
図3は、第1の実施の形態にかかる他のコンクリート構造体を示す説明図である。ここでは、コンクリート製の電柱の要部断面例が示されており、電柱の長手方向(立設方向)に沿って、柱形状の4本の鉄筋12が、円筒形状をなすコンクリート11の壁部中に、等しい間隔で埋設されている。また、コンクリート11のうち中心内壁部と各鉄筋12と間には、金属網からなる円筒形状の、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13が、鉄筋12から距離L1以下の範囲で離間してコンクリート11中に埋設されている。
これにより、鉄筋12から所定の距離でコンクリート製の電柱内に、効率よく鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13を埋設することができる。
なお、本実施の形態において、鉄筋12は、緊張材としてコンクリート11中に埋設されていてもよい。緊張材とは、あらかじめ引張応力を加えられてからコンクリート11中に埋設され、コンクリート11に緊張を与える鉄筋12のことを示す。このようにして構成されたコンクリート11を、プレストレスト・コンクリートと呼ぶ。プレストレスト・コンクリートであっても、本発明における構成を用いることで、鉄筋12の遅れ破壊を防ぐことができる。
また、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13は、非緊張材としてコンクリート11中に埋設されていてもよい。プレストレスト・コンクリートは、あらかじめ引張応力を加えた緊張材と、引張応力を加えない通常の鉄筋12とを併用することも可能であり、この場合の鉄筋12を非緊張材と呼ぶ。ここで、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13を非緊張材としてプレストレスト・コンクリートに埋設することにより、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13を埋設するためのスペースを確保する必要はなくなり、従来のプレストレスト・コンクリートと同様の構造で、緊張材として用いられる鉄筋12の遅れ破壊を防ぐことができる。
[第2の実施の形態]
次に、図4を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるコンクリート構造体10について説明する。図4は、第2の実施の形態にかかるコンクリート構造体を示す説明図である。
本実施の形態では、第1の実施の形態に加えて、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14を追加した場合について説明する。
図4では、コンクリート製の電柱の要部断面例が示されており、電柱の長手方向(立設方向)に沿って、柱形状の鉄筋12がコンクリート11中に埋設されている。また、鉄筋12の一方の脇には、鉄筋12の伸延方向に沿って柱形状の鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金(第1の金属又は合金)13が、鉄筋12との間でコンクリート11を電解質とする腐食電池(第1の腐食電池)を形成しうる距離L1以下の範囲で離間してコンクリート11中に埋設されており、配線15(第1の配線)を介して鉄筋12と電気的に接続されている。
また、鉄筋12の他方の脇には、鉄筋12の伸延方向に沿って柱形状の鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金(第2の金属又は合金)14が、鉄筋12との間でコンクリート11を電解質とする腐食電池(第2の腐食電池)を形成しうる距離距離L2以下の範囲で離間してコンクリート11中に埋設されており、配線16(第2の配線)を介して鉄筋12と電気的に接続されている。
鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14は、鉛、アルミニウム、マグネシウム及びその合金などが好ましい。
配線16は、銅線などの一般的な電気用配線でよく、鉄筋12や鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14の表面に、半田付けなどにより固定すればよい。
このほか、コンクリート11、鉄筋12、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13、および配線15については、第1の実施の形態と同様である。
図4において、コンクリート11中に埋設された鉄筋12は、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13と、配線15を介して電気的に接続されているとともに、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14と、配線16を介して電気的に接続されている。
ここで、コンクリート11にはセメント部、骨材、および空隙が存在し、この空隙には水に溶解したセメント成分のイオン種からなる溶液が存在している。したがって、これらを電解質として、鉄筋12と鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13とからなる腐食電池(第1の腐食電池)B1が形成されるとともに、鉄筋12と鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14とからなる腐食電池(第2の腐食電池)B2が形成される。
図5は、第2の実施の形態にかかる腐食電池を示す説明図である。
腐食電池B1において、鉄筋12は鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13よりイオン化傾向が高いため、鉄筋12がアノード(陽極)となり、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13がカソード(陰極)となる。
したがって、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13では、カソード反応が発生し、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13からコンクリート11中に電子が拡散される。これにより、拡散された電子が、コンクリート11中の水分に含まれる水素イオン(H+)と反応して水素(H2)を発生させる。
一方、腐食電池B2において、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14は鉄筋12よりイオン化傾向が高いため、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14がアノード(陽極)となり、鉄筋12がカソード(陰極)となる。
したがって、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14において、アノード反応が発生し、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14の金属イオンがコンクリート11中に拡散される。
このため、腐食電池B1と腐食電池B2とが、鉄筋12を介して直列接続された状態となり、鉄筋12では、カソード反応およびアノード反応のいずれも発生せず、鉄筋12は、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14からなるアノードと、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13からなるカソードとの間で、電流を通過させる導線の役目を担うことになる。よって、鉄筋12では、カソード反応により電子がコンクリート11中に拡散されることがなく、アノード反応により鉄イオンがコンクリート11中に拡散されることもない。結果として、鉄筋12からの水素発生が抑制されるとともに、鉄筋12の減少が抑制されることになる。
この際、これらアノード反応およびカソード反応の進行に伴い、腐食電池B1と同様、腐食電池B2において、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14から鉄筋12へ、配線16を介して電子が供給される。また、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14と鉄筋12との間に存在するコンクリート11中では、電気化学的な中性条件を満たすため、陰イオン(アニオン)による鉄筋12側から鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14側へのイオン電流I2が発生する。
ここで、コンクリート11は、一定の抵抗値を有しているため、イオン電流I2に起因して、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14と鉄筋12との間に電圧降下が発生する。例えば、コンクリート11の単位距離あたりの抵抗値を単位抵抗値Rとし、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14と鉄筋12との間の距離をL2とした場合、イオン電流I2に応じてI2×R×L2の電圧降下が、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14と鉄筋12との間に生じることになる。
したがって、この腐食電池B2を形成して、鉄筋12からの鉄イオン拡散を抑制するためには、鉄筋12の電位が、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14に対して、常に電位的に貴となることが条件となる。このため、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14と鉄筋12との間に発生する電位差をE2とした場合、上記条件は次の式(6)で表される。
E2>I2×R×L2 …(6)
よって、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14と鉄筋12との間の距離L2が、次の式(7)を満足することが、鉄筋12からの鉄イオン拡散を抑制するための条件となる。
L2<E2/(I2×R) …(7)
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、第1の実施の形態の構成に加えて、配線16を介して鉄筋12と電気的に接続された状態で、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14をコンクリート11に埋設し、鉄筋12と鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14とは、鉄筋12と鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14とがコンクリート11を電解質とする腐食電池B2を形成しうる距離L2に配置したものである。
具体的には、距離L2は、鉄筋12と鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14との間に位置するコンクリート11による電圧降下が発生しても、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14が鉄筋12に対して電位的に卑となる距離であればよい。すなわち、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14が、鉄筋12からコンクリート11による電圧降下に対して、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14の電位差E2が補償される等電位面よりも鉄筋12側に配置されていればよく、等電位面を全て覆う必要はない。
これにより、コンクリート11を電解質とする鉄筋12と鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14とからなる腐食電池B2が、常に形成されるため、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14側でアノード反応が生じる。このため、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14の金属イオンがコンクリート11中に拡散されることになる。したがって、第1の実施の形態と同様の作用効果が得られるとともに、鉄筋12からの鉄イオンの拡散を抑制でき、鉄筋12の減少を安定的に抑制することが可能となる。
また、以上で説明した第1および第2の実施の形態において、鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金13は、鉄筋12に沿って連続して埋設する必要はなく、鉄筋12のすべての表面に対して距離L1以下の範囲となるのであれば不連続に埋設してもよい。また形状についても、板・棒・網などいずれの形状でもよい。このことは、鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金14についても同様である。
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
10…コンクリート構造体、11…コンクリート、12…鉄筋、13…鉄に対して貴な電位を示す金属又は合金(第1の金属又は合金)、14…鉄に対して卑な電位を示す金属又は合金(第2の金属又は合金)、15…配線(第1の配線)、16…配線(第2の配線)、B1…腐食電池(第1の腐食電池)、B2…腐食電池(第2の腐食電池)。

Claims (2)

  1. 鉄筋と、鉄に対して貴な電位を示す第1の金属又は合金とが、第1の配線を介して電気的に接続された状態でコンクリートに埋設されてなるコンクリート構造体であって、
    前記鉄筋と前記第1の金属又は合金とは、前記鉄筋と前記第1の金属又は合金とが前記コンクリートを電解質とする第1の腐食電池を形成しうる第1の距離に配置されており、
    前記コンクリートの単位距離あたりの抵抗値をRとし、前記鉄筋と前記第1の金属又は合金との間に発生する電位差をE1とし、前記コンクリートを介して前記第1の金属又は合金側から前記鉄筋側へ流れるイオン電流をI1とした場合、前記第1の距離L1は、E1/(I1×R)より短い距離とする
    ことを特徴とするコンクリート構造体。
  2. 請求項1に記載のコンクリート構造体において、
    前記鉄筋は、予め応力を与えて前記コンクリート中に埋設されていることを特徴とするコンクリート構造体。
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