JP6075553B2 - 発泡性入浴剤用組成物 - Google Patents
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Description
より詳しくは、浴湯中に炭酸ガスの気泡を発生する発泡性入浴剤用組成物およびこれを含有する発泡性入浴剤に関するものである。
しかしながら、特許文献2の発明では、成形性が良好であるコハク酸を使用することはできず、使用する有機酸は特定のものに限定されてしまうばかりか、水面からの有機酸の微粉末の飛散を十分に防止できず、「むせ」の防止の点でも不十分であった。
しかしながら、この有機酸は、その一次粒子はさらに複数の結晶子から構成されているもので、浴湯に溶解した際には、有機酸は、結晶子もしくは結晶子がいくつか集まった単位、すなわち一次粒子よりずっと小さいサイズにまで小さくなって存在することとなる。
したがって、特定の範囲の粒径(一次粒子径)を有する有機酸について、その含有量を限定しても、必ずしも水面からの有機酸の微粉末の飛散を防止できないため、「むせ」を十分に防止できないという問題があった。
有機酸と、炭酸塩及び/又は炭酸水素塩を含有する発泡性入浴剤用組成物において、
前記有機酸は、結晶子径1,300Å以上である結晶子から構成されていること
を特徴とする発泡性入浴剤用組成物である。
請求項1に記載の発泡性入浴剤用組成物において、
前記結晶子径は、
1,300〜3,000Åであること
を特徴とするものである。
請求項1又は2に記載の発泡性入浴剤用組成物において、
前記有機酸は、
コハク酸であること
を特徴とするものである。
請求項1〜3のいずれかに記載の発泡性入浴剤用組成物において、
前記発泡性入浴剤用組成物は、
錠剤の形態にあること
を特徴とするものである。
請求項1〜3のいずれかに記載の発泡性入浴剤用組成物を含有すること
を特徴とする発泡性入浴剤である。
このような構成によって、浴湯へ投入した際の炭酸ガスの発泡による有機酸の微粉末の飛散によって生ずる「むせ」が防止される。
この発明では、このような特定の有機酸を選択・使用するため、浴湯へ投入した際の炭酸ガスの発泡による有機酸の微粉末の飛散によって生ずる「むせ」が防止される。
これは製造工程においては、結晶子の単位まで砕けることはなく、一次粒子が有機酸を構成する最小の単位であるためである。
すなわち、通常、入浴剤用組成物中においては一次粒子の形態で存在する有機酸が、浴湯に溶解した際には、最小単位である結晶子として存在することになる。
したがって、浴湯に溶解した際には、有機酸の個々の結晶子が比較的大きいことから、有機酸は水面から飛散しづらい。
このメカニズムにより、「むせ」の防止効果が発揮されているものと考えられる。
コハク酸を選択することが、取り扱い性やコストの面で好ましい。
なお、コハク酸としては、従来の石油化学原料から作られる従来のコハク酸のほか、植物由来原料など、非化石原料から作られるバイオコハク酸も使用可能である。
前記炭酸塩および前記炭酸水素塩については、それぞれを単独で使用してもよいし、これらの2種以上を組み合わせて使用してもよい。
具体的には、発泡性入浴剤用組成物ないし発泡性入浴剤の0.01質量%水溶液が、温度25℃でpH5〜7になるようにすることが好ましい。
中でも1回分の使用量が正確で、コンパクトで取り扱い易いことから、錠剤の形態を選択することが好ましい。
例えば、植物成分、無水ケイ酸等の安定化剤、香料、着色剤、芒硝等の無機塩類、油性成分、界面活性剤、白濁剤、アスパラギン酸ナトリウム等のアミノ酸、保湿剤、溶解剤、各種の抽出液、ビタミン類、ホルモン、抗炎症剤、美白剤、収斂剤、清涼剤等を適宜添加することができる。
なお、前記薬剤については、遊離の状態で使用することができる他、造塩可能なものは酸または塩基の塩の型で、また、カルボン酸基を有するものはそのエステルの型で使用することができる。
なお、この発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[製造例]
各種発泡入浴剤を、下記のように製造した。
下記表1に示されるコハク酸を使用して、下記表2に示される処方に基づき錠剤型の発泡性入浴剤を常法に従って製造し、1錠あたり45gの錠剤型の発泡性入浴剤を得た。
X線回折装置X’PertPRO MPD(スペクトリス)を用い、X線回折パターンを測定した。
得られたX線回折パターンから、下記Scherrerの式を用いて結晶子サイズを算出した。
各試料における結晶子サイズ解析結果を、表1に示す。
結晶子径D(Å)=(Kλ)/(βcosθ)
但し、上記式において、Kはk=0.9として計算した。
上記実施例1および2ならびに比較例1において得られた発泡性入浴剤について、これらの粉体飛散量を、下記測定方法に基づいて測定した。
その結果を、表3および図3に示す。
図1に示されているように、ステンレスタンクに温度約40℃のお湯66.7Lを入れた後、労研式マスクフィッティングテスター(MT・03型)の吸引部を、水面から23cmの高さに固定した。
錠剤1錠(45g)をタンク底面中央に設置したシャーレに投入し、以下の測定条件および測定フローに基づいて、水面からの粉体飛散量の測定を行った。
なお、経過時間と粉体飛散量の関係については、例えば、経過時間が30sのとき、入浴剤を、お湯に投入後0〜30sの間にカウントした粉体の数を示している。
1)吸引流量 :1L/min
2)測定粒子径:0.5 μm以上
3)測定時間 :300秒
図2に示されているように、
START→ 粒子計測の待ち時間(10s)→ Blankの粒子個数測定(3s)→粒子計測の待ち時間(10s) →湯面からの粒子個数測定(3s) →ENDを1サイクル(約30s)
とし、この操作を10回繰り返すことで、300秒間の粉体飛散量の測定を行った。
なお、粉体飛散量については、下記のように定義した。
粉体飛散量を求める際、飛散粒子のカウント数について、以下のように定義した。
定義1:入浴剤投入前の飛散量は0とした。
定義2:入浴剤投入後以降の飛散量については、
(粉体飛散量)=(実際のカウント値)−(測定期間中での最少カウント値)
とし、測定期間中での最小カウント値を、入浴剤を投入していないときの空気中に飛散している粒子数として、実際のカウント値から差し引き、その値を粉体飛散量とした。
粉体は、経過時間60sのとき(入浴剤投入後30〜60sのとき)に最も多く飛散していた。
そのピーク値は、
比較例1で得られた入浴剤>実施例2で得られた入浴剤>実施例1で得られた入浴剤
の順であった。
すなわち、実施例1および2で得られた入浴剤と、比較例1で得られた入浴剤における粉体飛散量を比較すると、実施例1及び2で得られた入浴剤の方が粉体飛散量は少なく、特に実施例1で得られた入浴剤の粉体飛散量はきわめて少ない。
したがって、結晶子径が大きい方が粉体の飛散がし辛いということがわかる。
上記実施例1及び2ならびに比較例1における発泡性入浴剤について、下記評価方法および評価基準に基づいて「むせ」の評価を行った。
その結果を、表4に示す。
図1に示されているステンレスタンクに温度約40℃のお湯66.7Lを入れた後、発泡性入浴剤1錠(45g)をタンク底面中央に設置したシャーレに投入した。
男女パネル(計10名)によって、「むせ」、具体的には、錠剤投入後30秒間、ステンレスタンク内の水面から23cmの高さに顔を近づけた時にむせるか否かを、下記基準で評価した。
なお、各評価の平均値を、評価結果とした。
3:全くむせない
2:むせかける
1:むせる
実施例1および2において得られたこの発明の発泡性入浴剤は、いずれも比較例1において得られた発泡性入浴剤よりも「むせ」の防止効果に優れていることが分かる。
したがって、この発明の優れた「むせ」の防止効果は、有機酸を、結晶子径1,300Å以上である結晶子から構成されるものに特定したことによるものであることは明らかである。
Claims (5)
- 有機酸と、炭酸塩及び/又は炭酸水素塩を含有する発泡性入浴剤用組成物において、
前記有機酸は、結晶子径1,300Å以上である結晶子から構成されていること
を特徴とする発泡性入浴剤用組成物。 - 前記結晶子径は、
1,300〜3,000Åであること
を特徴とする請求項1に記載の発泡性入浴剤用組成物。 - 前記有機酸は、
コハク酸であること
を特徴とする請求項1又は2に記載の発泡性入浴剤用組成物。 - 前記発泡性入浴剤用組成物は、
錠剤の形態にあること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発泡性入浴剤用組成物。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の発泡性入浴剤用組成物を含有すること
を特徴とする発泡性入浴剤。
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