JP6074449B2 - Mimoシステム試験装置およびそのチャネル相関情報設定方法 - Google Patents

Mimoシステム試験装置およびそのチャネル相関情報設定方法 Download PDF

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Description

本発明は、携帯電話やスマートフォン等の移動体端末やそれに用いる回路、チップセットなどを試験対象とし、特に、MIMO方式による通信を行なうシステムの試験に必要なパラメータであるチャンネル間の相関係数の設定範囲を、規格で定められたものより拡大してより広範囲な試験が行なえるようにするための技術に関する。
携帯電話やスマートフォン等の移動体端末では、画像情報などの大量の情報を高速に通信できることが要求されており、そのために基地局と移動体端末との間で行う通信方式として、MIMO方式が実現されている。
MIMO方式は、基地局側から所定の変調方式(例えば、OFDM、OFDMA、W−CDMA等)で変調された複数L系列(Lは情報の系列数でレイヤ数と呼ばれる)の情報を複数M本のアンテナから同時に並行して送信し、これを移動体端末側で複数N本のアンテナで受信して、移動体端末内部でL系列の情報に分離して復調処理する方式であり、通常の1×1の通信方式(SISO方式)に比べてL倍(Lは最大min{M,N})の情報伝達が可能となる。ここで、min{M,N}はMとNの小さい方を表し、Lは、MとNの小さい方がとり得る最大値である。
このMIMO方式では、基地局のM本の各アンテナと移動体端末のN本の各アンテナとの間がM×N本の伝搬路でそれぞれ接続されることになり、各伝搬路の状態は、基地局と移動体端末との間のロケーションや、移動体端末の姿勢等により異なり、その伝搬路の状態に応じてN本のアンテナで受信される信号が変化する。
このように伝搬路の状態によって変化するN系列の受信信号から、L系列の情報を正しく分離できるように、MIMO方式では、基地局側から予め既知の信号(パイロット信号)を送信し、移動体端末側で実際に受信された信号と既知信号とを用いて特定の演算処理を行うことで、伝搬路の状態を推定し、その推定した伝搬路の状態で最も品質の良い情報伝送が行えるようにしている。
このような移動体端末(それに用いる回路も含む)の機能を試験するためのシステムでは、基地局のアンテナから移動体端末のアンテナまでを含む仮想的な伝搬路を構成し、その伝搬路の特性を決定する各種パラメータ(減衰、遅延、ノイズ等に関するパラメータ)をユーザーに設定させ、その設定された情報に対応した特性となる伝搬路を介して試験用信号を試験対象に与え、試験対象の動作を確認している。
図12は、2×2MIMO方式の伝搬路モデルを示すものであり、送信側のアンテナ1A、1Bにそれぞれ送信信号Sa、Sbを与え、アンテナ1A、1Bから空間に放出された電波を受信側のアンテナ2A、2Bで受信し、その受信信号Ra、Rbを得る。
ここで、送信側のアンテナ1A、1Bと受信側のアンテナ2A、2Bとの間を、それぞれの伝達関数がh(11)、h(12)、h(21)、h(22)となる4つの伝搬路で接続されるモデルを考えると、受信信号Ra、Rbは、
Ra=h(11)・Sa+h(12)・Sb ……(1)
Rb=h(21)・Sa+h(22)・Sb ……(2)
で表される。
ここで、既知の送信信号Sa、Sbの組合せを2組用い、その組合せ毎に得られた受信信号を上式(1)、(2)に代入して連立方程式を解けば、未知数である4つの伝達関数h(11)〜h(22)が求まる。単純に言えば、送信信号の組合せとして、(Sa=1、Sb=0)の組を用いれば、h(11)=Ra/Sa、h(21)=Rb/Saで求まり、(Sa=0、Sb=1)の組を用いれば、h(12)=Ra/Sb、h(22)=Rb/Sbで求まる。
上記伝搬路の特性を決定する重要な情報として、減衰、遅延等のフェージング関係の情報以外に、アンテナ間相関がある。
アンテナ間相関とは、2つのアンテナがどれだけ似通った電波を受けるかという指標であり、アンテナ間相関の係数が最大値1のとき、2つのアンテナは全く同じ電波を受けることになる。例えば基地局と移動体端末との距離が非常に大で、且つ移動体端末の周囲に電波の到来を妨げるものが一切無いような見通し環境等では、移動体端末側の2つのアンテナのアンテナ間相関は非常に高くなる。これは、伝達関数h(11)、h(21)が等しくなり、h(12)、h(22)も等しくなることであるから、式(1)、(2)の連立方程式は解けない。
送信側アンテナ数2、受信側アンテナ数1の方式の場合、伝達関数h(11)、h(12)の2つの伝搬路で接続されることになり、送信側の2つのアンテナの相関係数αは、C[h(11),h(12)]となり、送信側アンテナ数1、受信側アンテナ数2の方式の場合、伝達関数h(11)、h(21)の2つの伝搬路で接続されることになり、受信側の2つのアンテナの相関係数βは、C[h(11),h(21)]となる。ただし、記号C[A,B]は、A、Bの相関値を示す。
伝達関数とアンテナ間相関行列(チャネル相関行列)とは、MIMO方式に関するクロネッカー(Kronecker)のモデル等から、次式で関係付けされることが知られている。
=R1/2
ただし、R=E{H,H
ここで、Hは伝達関数行列(相関レイリーフェージング行列)、Rは、M×Nのチャネル行列Hの全ての行列要素の間の複素相関を含む(MN)×(MN)のチャネル相関行列(アンテナ間相関行列)であり、チャネル行列Hとその複素共役転置Hとの期待値Eで表される。Gは、伝搬路についてのランダムなフェージング行列で、伝達関数行列Hと同じ行数、列数の行列を有する。
ただし、詳述しないが、上式において、(R1/2=R1/2×(R1/2と分解(コレスキー分解という)できることが、伝達関数行列Hが求まる条件であり、その場合において、アンテナ間相関を正しくシミュレートできることが知られている。
したがって、MIMO方式の移動体端末やそれに用いる回路の試験を行なう場合に、アンテナ間相関の情報を含めた伝達関数に対する試験対象の動作を調べることが一つの試験項目として規定されている。
この試験に関して、非特許文献1の規格3GPP TS 36.101 V12.4.0には、送受アンテナ数種別に応じて用いる相関行列が決められている。なお、この規格では、送受アンテナ数種別を、送受信に用いる実際のアンテナ数だけではなく、1つのアンテナで異なる偏波を用いる場合も考慮して「MIMOチャネル」と呼んでいる。
次の表1は、基地局側のアンテナ数が1、2、4のときの相関行列ReNBを示しており、行列要素のαは相関係数である(前記3GPP規格中のTable B.2.3.1−1)。
Figure 0006074449
次の表2は、端末側のアンテナ数が1、2、4のときの相関行列RUEを示しており、行列要素のβは相関係数である(前記3GPP規格中のTable B.2.3.1−2)。
Figure 0006074449
次の表3は、送受のアンテナ数が、1×2、2×2、4×2、4×4の場合の伝搬路全体の相関行列Rspatを示すものあり、この場合、相関行列Rspatは、基地局側のアンテナの相関行列eNBと端末側のアンテナの相関行列RUEとの積で表される(前記3GPP規格中のTable B.2.3.1−3)。
Figure 0006074449
そして、相関係数α、βに用いる値として、相関が無い状態に設定する場合には、α=β=0とし、相関が中程度の状態に設定する場合には、α=0.3、β=0.9とし、相関が強い状態に設定する場合には、α=β=0.9とするように規定されている(前記3GPP規格中のTable B.2.3.2−1)。
また、相関が強い場合でアンテナ数4×2、4×4の場合、正の微小値であるスケーリングファクタaを用いて、次の式で表される相関行列Rhighを用いることも規定されている(Iはn行n列単位行列)。
high=[Rspat+aI]/(1+a)
この相関行列Rhighは、元の相関行列Rspatの1行1列目、2行2列目、…n行n列目の各要素(全て1)を1+aに変換した行列を(1+a)で除算しているので、最終的には1行1列目、2行2列目、…n行n列目の要素(対角要素)については1のままとなるが、その他の要素については(1+a)で除算した値に変更されることになる(スケーリング処理という)。なお、前記規格上では、アンテナ数4×2の場合のスケーリングファクタaは0.00010、アンテナ数4×4の場合のスケーリングファクタaは0.00012としている。
また、相関が中程度の場合でアンテナ数4×4の場合についても、スケーリングファクタaを用いた上式で、相関行列Rmediumを用いることも規定されている。この場合、スケーリングファクタaは0.00012が用いられる。
これらの規定によって具体的な行列要素の値が決まった相関行列が、前記3GPP規格中のTable B.2.3.2−2〜4に示されている。
なお、実際の送受アンテナ数が4×1、4×2で、そのアンテナとして、交差偏波型のアンテナを用いて実質的に8×2、8×4を実現するMIMO方式では、α、βの他に偏波に関する相関の程度を表す相関係数γ(=0.3)が用いられる。
したがって、試験対象に対してMIMOの伝搬の試験を行なう場合、試験システム側の記憶装置に上記の送受アンテナ数種別と相関の程度で決まる相関行列を記憶させておき、ユーザーの操作によって指定された送受アンテナ数種別と相関の程度に対応する相関行列の情報等を読み出して、擬似的な伝搬路を形成する擬似伝搬路形成部へ設定することで、ユーザーが選択した条件での試験が行なえることになる。
このような試験システムとしては、図13に示すように、試験対象1を試験するために必要な信号を生成して送信し、試験対象1から送信された信号を受信して試験に必要な処理を行なう信号処理部11と、擬似的な伝搬路を形成する擬似伝搬路形成部12(一般的にフェージングシミュレータと呼ばれる)と、試験に必要なパラメータ、例えば基地局と移動体端末の間で行なう通信方式、周波数、帯域等の各種パラメータを設定するためのパラメータ設定部13とで構成され、パラメータ設定部13には、前記したように、MIMO方式における送受アンテナ数種別と相関の程度で決まる複数通りの相関行列を予め記憶し、ユーザーの操作によって指定された送受アンテナ数種別と相関の程度に対応する相関行列の情報を読み出し、伝達関数を特定するための情報求めて、擬似伝搬路形成部12に設定するチャンネル相関情報設定手段14が含まれることになる。
規格3GPP TS 36.101 V12.4.0
しかしながら、上記したように規格で定められた相関係数に基づく特定の相関行列による試験だけでは、試験対象の動作を正しく把握することができない場合がある。
これを解決するために、相関係数α、βをユーザーが任意に指定できることが望ましいが、前記したように、アンテナ間相関を正しく模擬できるためには、相関行列Rがコレスキー分解できることが必須条件であり、任意の相関係数を与えたとしてもその相関行列Rがコレスキー分解できなければ試験を正しく行なうことができない。
本発明は、この問題を解決し、ユーザーが指定できる相関係数の範囲を拡大して、より広範囲な条件での試験が行なえるMIMOシステム試験装置およびそのチャネル相関情報設定方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の請求項1のMIMOシステム試験装置は、
MIMO方式による通信を行なう試験対象との間で信号の授受を行なう信号処理部(21)と、
前記信号処理部と前記試験対象との間を、予め設定された送受アンテナ間の伝達関数に対応する擬似伝搬路で接続する擬似伝搬路形成部(22)と、
ユーザーによって指定された前記擬似伝搬路の送受アンテナ数種別と、送信側アンテナ間および受信側アンテナ間の相関係数値とによって決まる相関行列の計算を行い、該計算結果を、前記擬似伝搬路の伝達関数を特定する情報として前記擬似伝搬路形成部に設定するチャネル相関情報設定手段(24)を含み、前記試験対象の試験に必要なパラメータを前記信号処理部および前記擬似伝搬路形成部に設定するパラメータ設定部(23)とを備えたMIMOシステム試験装置であって、
前記チャンネル相関情報設定手段は、
前記擬似伝搬路の送受アンテナ数種別と、送信側アンテナ間および受信側アンテナ間の相関係数値とによって決まる相関行列がコレスキー分解できる範囲内で、ユーザーが任意に指定した相関係数値を有効値として前記相関行列の計算に用いることを特徴としている。
また、本発明の請求項2のMIMOシステム試験装置は、請求項1記載のMIMOシステム試験装置において、
前記チャンネル相関情報設定手段は、
前記擬似伝搬路の送受アンテナ数種別に対応した相関行列がコレスキー分解できるための前記相関係数値の範囲を有効設定範囲として予め記憶する有効設定範囲記憶手段を有しており、
ユーザーが前記有効設定範囲内の任意の相関係数値を指定できるように構成されていることを特徴とする。
また、本発明の請求項3のMIMOシステム試験装置は、請求項2記載のMIMOシステム試験装置において、
前記チャンネル相関情報設定手段は、
ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(1×1)、(2×1)、(1×2)、(2×2)のいずれかである場合には、相関係数値の実数部と虚数部について、
実数部+虚数部<1
となる範囲を有効設定範囲としていることを特徴とする。
また、本発明の請求項4のMIMOシステム試験装置は、請求項2記載のMIMOシステム試験装置において、
前記チャンネル相関情報設定手段は、
ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(4×1)、(4×2)、(4×4)、(8×2)、(8×4)のいずれかである場合には、相関行列の要素となる相関係数の9乗根を計算する際に用いる次数によって変化する複数の有効設定範囲のうち、ユーザーが指定した相関係数値が含まれる有効設定範囲に対応する次数を選択して前記9乗根の計算に用いることを特徴とする。
また、本発明の請求項5のMIMOシステム試験装置は、請求項2記載のMIMOシステム試験装置において、
前記チャンネル相関情報設定手段は、
ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(4×1)、(4×2)、(4×4)、(8×2)、(8×4)のいずれかである場合には、その指定された送受アンテナ数種別に対応する相関行列Rspatに対して、
scal=[Rspat+aIn]/(1+a)
aはスケーリングファクタ、Inはn行単位行列
で表されるスケーリング処理を、元の相関行列Rspatの固有値のうちの負の最小固有値の絶対値と正の微小値との和に等しいスケーリングファクタaを用いて行なうことで、スケーリング処理後の相関行列Rscalをコレスキー分解可能な行列に変換することを特徴とする。
また、本発明の請求項6のMIMOシステム試験装置は、請求項2記載のMIMOシステム試験装置において、
前記チャンネル相関情報設定手段は、
ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(4×1)、(4×2)、(4×4)、(8×2)、(8×4)のいずれかである場合には、相関行列の要素となる相関係数の9乗根を計算する際に用いる次数によって変化する複数の有効設定範囲のうち、ユーザーが指定した相関係数値が含まれる有効設定範囲に対応する次数を選択して前記9乗根の計算に用いるとともに、該計算で求めた相関行列Rspatに対して、
scal=[Rspat+aIn]/(1+a)
aはスケーリングファクタ、Inはn行単位行列
で表されるスケーリング処理を、元の相関行列Rspatの固有値のうちの負の最小固有値の絶対値と正の微小値との和に等しいスケーリングファクタaを用いて行なうことで、スケーリング処理後の相関行列Rscalをコレスキー分解可能な行列に変換することを特徴とする。
また、本発明の請求項7のMIMOシステム試験装置のチャンネル相関情報設定方法は、
MIMO方式による通信を行なう試験対象との間で信号の授受を行なう信号処理部(21)と、
前記信号処理部と前記試験対象との間を、予め設定された送受アンテナ間の伝達関数に対応する擬似伝搬路で接続する擬似伝搬路形成部(22)と、
ユーザーによって指定された前記擬似伝搬路の送受アンテナ数種別と、送信側アンテナ間および受信側アンテナ間の相関係数値とによって決まる相関行列の計算を行い、該計算結果を、前記擬似伝搬路の伝達関数を特定する情報として前記擬似伝搬路形成部に設定するチャネル相関情報設定手段(24)を含み、前記試験対象の試験に必要なパラメータを前記信号処理部、擬似伝搬路形成部に設定するパラメータ設定部(23)とを備えたMIMOシステム試験装置のチャンネル相関情報設定方法であって、
前記擬似伝搬路の送受アンテナ数種別と、送信側アンテナ間および受信側アンテナ間の相関係数値とによって決まる相関行列がコレスキー分解できる範囲内で、ユーザーが任意に指定した相関係数値を有効値として前記相関行列の計算に用いることを特徴としている。
また、本発明の請求項8のMIMOシステム試験装置のチャンネル相関情報設定方法は、請求項7記載のMIMOシステム試験装置のチャンネル相関情報設定方法において、
前記擬似伝搬路の送受アンテナ数種別に対応した相関行列がコレスキー分解できるための前記相関係数値の範囲を有効設定範囲として予め記憶しておき、
ユーザーが前記有効設定範囲内の任意の相関係数値を指定できるようにしたことを特徴としている。
また、本発明の請求項9のMIMOシステム試験装置のチャンネル相関情報設定方法は、請求項8記載のMIMOシステム試験装置のチャンネル相関情報設定方法において、
ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(1×1)、(2×1)、(1×2)、(2×2)のいずれかである場合には、相関係数値の実数部と虚数部について、
実数部+虚数部<1
となる範囲を有効設定範囲としていることを特徴としている。
また、本発明の請求項10のMIMOシステム試験装置のチャンネル相関情報設定方法は、請求項8記載のMIMOシステム試験装置のチャンネル相関情報設定方法において、
ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(4×1)、(4×2)、(4×4)、(8×2)、(8×4)のいずれかである場合には、相関行列の要素となる相関係数の9乗根を計算する際に用いる次数によって変化する複数の有効設定範囲のうち、ユーザーが指定した相関係数値が含まれる有効設定範囲に対応する次数を選択して前記9乗根の計算に用いることを特徴とする。
また、本発明の請求項11のMIMOシステム試験装置のチャンネル相関情報設定方法は、請求項8記載のMIMOシステム試験装置のチャンネル相関情報設定方法において、
ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(4×1)、(4×2)、(4×4)、(8×2)、(8×4)のいずれかである場合には、その指定された送受アンテナ数種別に対応する相関行列Rspatに対して、
scal=[Rspat+aIn]/(1+a)
aはスケーリングファクタ、Inはn行単位行列
で表されるスケーリング処理を、元の相関行列Rspatの固有値のうちの負の最小固有値の絶対値と正の微小値との和に等しいスケーリングファクタaを用いて行うことで、スケーリング処理後の相関行列Rscalをコレスキー分解可能な行列に変換することを特徴とする。
また、本発明の請求項12のMIMOシステム試験装置のチャンネル相関情報設定方法は、請求項8記載のMIMOシステム試験装置のチャンネル相関情報設定方法において、
ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(4×1)、(4×2)、(4×4)、(8×2)、(8×4)のいずれかである場合には、相関行列の要素となる相関係数の9乗根を計算する際に用いる次数によって変化する複数の有効設定範囲のうち、ユーザーが指定した相関係数値が含まれる有効設定範囲に対応する次数を選択して前記9乗根の計算に用いるとともに、該計算で求めた相関行列Rspatに対して、
scal=[Rspat+aIn]/(1+a)
aはスケーリングファクタ、Inはn行単位行列
で表されるスケーリング処理を、元の相関行列Rspatの固有値のうちの負の最小固有値の絶対値と正の微小値との和に等しいスケーリングファクタaを用いて行うことで、スケーリング処理後の相関行列Rscalをコレスキー分解可能な行列に変換することを特徴とする。
このように、請求項1、7の発明では、擬似伝搬路の送受アンテナ数種別と、送信側アンテナ間および受信側アンテナ間の相関係数値とによって決まる相関行列がコレスキー分解できる範囲内で、ユーザーが任意に相関係数値を設定することができ、従来のように規格で規定された数種類の相関行列に限定された試験だけでなく、広い範囲で正しく行なうことができる。
また、請求項2、8の発明では、擬似伝搬路の送受アンテナ数種別に対応した相関行列がコレスキー分解できるための相関係数値の範囲を有効設定範囲として予め記憶していて、ユーザーがその有効設定範囲内の任意の相関係数値を指定できるようにしている。
このように予め記憶された有効設定範囲を記憶しておくことで、ユーザーが入力した相関係数値に対する判定をその都度即座に行って、有効設定範囲内に速やかに誘導することや、ユーザーが相関係数値を入力する前にその有効設定範囲を表示してユーザーに認識させ、その範囲内で設定させること等も可能となり、ユーザーの相関係数値の設定作業を無駄なく行なわせることができる。
また、請求項3、9の発明では、ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(1×1)、(2×1)、(1×2)、(2×2)のいずれかである場合に、相関係数値の実数部と虚数部について、
実数部+虚数部<1
となる範囲を有効設定範囲としている。
この有効設定範囲は、実数軸と虚数軸とからなる直交座標上の原点を中心とする半径1の円内であり、その範囲内の任意の値を設定しても、その設定値に対応した伝達関数による擬似伝搬路を正しく構成することができ、従来のような規格で規定された数種類の相関行列以外の試験を広い範囲で自由にかつ正しく行なうことができる。
また、請求項4、10の発明では、ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(4×1)、(4×2)、(4×4)、(8×2)、(8×4)のいずれかである場合には、相関行列の要素となる相関係数の9乗根を計算する際に用いる次数によって変化する複数の有効設定範囲のうち、ユーザーが指定した相関係数値が含まれる有効設定範囲に対応する次数を選択して9乗根の計算に用いることを特徴としている。
後述するように、送受アンテナ数種別が(4×1)、(4×2)、(4×4)、(8×2)、(8×4)の場合、送信側の相関行列と受信側の相関行列の少なくとも一方側で相関行列の要素となる相関係数の9乗根を計算する必要があり、その際に用いる次数によって相関行列がコレスキー分解できる相関係数値の有効設定範囲が変化するので、その複数の有効設定範囲のうち、ユーザーが指定した相関係数値が含まれるための次数を選択することで、コレスキー分解可能な相関行列を得ることができる。ただしこの場合、計算に用いる次数のよって得られる複数の有効設定範囲は、前記した実数軸と虚数軸とからなる直交座標上の原点を中心とする半径1の円内の一部に限定されるが、それでも、従来のように規格で規定された数種類の相関行列以外の試験をより広い範囲で自由にかつ正しく行なうことができる。
また、請求項5、11の発明では、ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(4×1)、(4×2)、(4×4)、(8×2)、(8×4)のいずれかである場合に、相関行列に対するスケーリング処理を、元の相関行列の固有値のうちの負の最小固有値の絶対値と正の微小値との和に等しいスケーリングファクタを用いて行なうことで、スケーリング処理後の相関行列をコレスキー分解可能な行列に変換している。
このため、このスケーリング処理により、ユーザーが前記した実数軸と虚数軸とからなる直交座標上の原点を中心とする半径1の円内のいずれの位置に相関係数値を設定しても、コレスキー分解可能な相関行列が得られることになり、相関係数値の有効設定範囲を送受アンテナ数種別が(1×1)〜(2×2)の場合と同様に最大限まで拡げることができる。ただし、スケーリング処理後の相関行列の対角要素以外の要素はスケーリング処理により全体的に小さくなるので、その減少度合いを考慮する必要が生じる。
また、請求項6、12の発明では、ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(4×1)、(4×2)、(4×4)、(8×2)、(8×4)のいずれかである場合に、前記請求項4、10で用いた次数の選択処理と、前記請求項5、11で用いたスケーリング処理とを実行することで、相関係数値の有効設定範囲を送受アンテナ数種別が(1×1)〜(2×2)の場合と同様に最大限まで拡げることができる。しかも、この発明では、スケーリング処理前に相関係数値の9乗根を求める際の次数の選択処理を行なっていて、スケーリング処理前の有効設定範囲を拡大しているので、小さいスケーリングファクタaを用いてもスケーリング処理後の有効設定範囲を最大限まで拡大することができる。したがって、スケーリング処理後に得られる相関行列の対角要素以外の要素の減少度合いを抑制することができる。
送受アンテナ数種別(4×1)で、相関行列の計算に用いた次数が0の場合にコレスキー分解できる相関係数値の範囲を示す図 送受アンテナ数種別(4×1)で、相関行列の計算に用いた次数が4の場合にコレスキー分解できる相関係数値の範囲を示す図 送受アンテナ数種別(4×1)で、相関行列の計算に用いた次数が5の場合にコレスキー分解できる相関係数値の範囲を示す図 送受アンテナ数種別(4×1)で、相関行列の計算に用いた次数が0、4、5の場合にコレスキー分解できる相関係数値の範囲を合わせた図 送受アンテナ数種別(4×1)で、相関行列の計算に用いた次数が0、スケーリング処理を実施した場合でコレスキー分解できる相関係数値の範囲を、行列要素の減少度合いを10パーセント間隔で区分けして示した図 送受アンテナ数種別(4×1)で、相関行列の計算に用いた次数が0、4、5、スケーリング処理を実施した場合でコレスキー分解できる相関係数値の範囲を、行列要素の減少度合いを10パーセント間隔で区分けして示した図 本発明の実施形態の全体構成図 本発明の実施形態の要部の処理手順を示すフローチャート 本発明の実施形態の表示部に対する表示例を示す図 本発明の実施形態の表示部に対する表示例を示す図 本発明の実施形態の表示部に対する表示例を示す図 (2×2)のMIMO方式の伝搬路を示す図 従来のMIMOシステム試験システムの構成図
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明するが、それに先立って、送受アンテナ数種別毎に定義されている相関行列がコレスキー分解できるための相関係数の範囲について調べた結果について説明する。
前記したように、相関行列がコレスキー分解できる条件は、その行列が正定値であることであり、行列が正定値であるか否かはシルベスターの判定法を用いて判定することができることが知られている。
ここで、シルベスターの判定法は、対称行列Qの準正定性、正定性を、次の関係を用いて判定するものである。
1.Qが準正定であるための必要十分条件は、Qの主小行列式が全て零以上であること。
2.Qが正定であるための必要十分条件は、Qの主座小行列式が全て零より大きいこと。
つまり、相関行列の主座小行列式が0より大きければ、その相関行列は正定値であり、コレスキー分解可能である。ここで主小行列式とは、n行n列の行列から、任意の行、列の要素を残して、他の行、列の要素を除いて得られる小行列の行列式であり、主座小行列式とは、n行n列の行列の小行列のうち、n個の小行列の行列式である。
また、n行n列の行列A(要素aij)の行列式|A|は、
|A|=j=1Σ(−1)i+jijij i=1〜n
で定義される。ただし、記号j=1Σはj=1〜nまでの総和を表し、Mijは、行列Aのi行j列を省いてできた(n−1)行(n−1)列の小行列の行列式である。
以下、この原理により、送受アンテナ数種別毎の相関行列について、正定値となる条件を求める。なお、相関係数α、βはともに複素数であり、その実部および虚部の設定範囲は−0.99〜0.99、相関係数γは実数で、その設定範囲は0〜0.99とする。
(送受アンテナ数=1×1の場合)
この方式は、送信側と受信側のアンテナが1つずつのSISO(Single Input Single Output)方式(ここでは、このような送信側と受信側の少なくとも一方のアンテナ数が1の方式もMIMOシステムに含まれるものとする)であり、その相関行列Rは前記したように、R=1であり、常に正定値である。
(送受アンテナ数=1×2の場合)
この方式は、送信側アンテナ数1、受信側アンテナ数2のSIMO方式であり、その相関行列Rは前記したように、
Figure 0006074449
となる。
ここで、主座小行列式R=1、R1,2=1−|β|となり、ともに0より大きくなるから、この相関行列は常に正定値である。
(送受アンテナ数=2×1の場合)
この方式は、送信側アンテナ数2、受信側アンテナ数1のMISO方式であり、その相関行列Rは前記したように、
Figure 0006074449
となる。
ここで、主座小行列式R=1、R1,2=1−|α|となり、ともに0より大きくなるから、この相関行列は常に正定値である。
(送受アンテナ数=2×2の場合)
この方式は、送信側アンテナ数2、受信側アンテナ数2のMIMO方式であり、その相関行列Rは前記したように、
Figure 0006074449
となる。
この相関行列Rがコレスキー分解できる条件は、ReNB、RUEがそれぞれコレスキー分解できることであり、ReNB、RUEは、それぞれ上記した(1×2)、(2×1)の方式の相関行列であってともに正定値であるから、この相関行列Rもコレスキー分解可能である。
(送受アンテナ数=4×1の場合)
この方式は、送信側アンテナ数4、受信側アンテナ数1のMISO方式であり、その相関行列Rは前記したように、
Figure 0006074449
となる。
この相関行列の主座小行列式R、R1,2、R1,2,3、R1,2,3,4を計算した結果を次に示す。
ただし、
α=ρ×exp(jθ)
α1/9=ρ1/9×exp{j(θ+πn)/9}
α4/9=ρ4/9×exp{j4(θ+πm)/9}
n、mは0〜8の整数
とする。
=1
1,2=1−|α|(2/9)
1,2,3=1−2|ρ|2/9+2ρ8/9cos{(2θ+4π(2m−n))/9}
1,2,3,4=|ρ|20/9+|ρ|16/9−2|ρ|10/9−3|ρ|2/9
−2|ρ|8/9+|ρ|4/9−3|ρ|2/9−|ρ|+1
+4ρ2/3cos{(2θ+4π(2m−n))/9}
−2ρ4/3cos{(2θ−2πn)/3}
−2ρcos{(2θ+2π(n−8n))/9}
+4ρ14/9cos{(4θ−2π(n+4m))/9}
上記の主座小行列R、R1,2、R1,2,3は、相関係数αの全ての範囲で0より大きいが、主座小行列R1,2,3,4は、相関係数αの値によって0以下となる場合が起こり、コレスキー分解できない場合が生じる。
(送受アンテナ数=4×2の場合)
この方式は、送信側アンテナ数4、受信側アンテナ数2のMIMO方式であり、その相関行列Rは前記したように、
Figure 0006074449
となる。
この相関行列Rがコレスキー分解できる条件は、前記したように、相関行列ReNB、RUEがそれぞれコレスキー分解できることであるが、RUEは、前記した(1×2)の方式の相関行列であって相関係数βの全範囲でコレスキー分解可能であるが、ReNB、は(4×1)の方式の相関行列である。したがって、(4×2)の方式の場合、(4×1)の方式と同様に、相関係数αの値によってコレスキー分解できない場合が生じる。
(送受アンテナ数=4×4の場合)
この方式は、送信側アンテナ数4、受信側アンテナ数4のMIMO方式であり、その相関行列Rは前記したように、
Figure 0006074449
となる。
この相関行列Rがコレスキー分解できる条件は、前記したように、ReNB、RUEがそれぞれコレスキー分解できることであるが、ReNB、RUEは、相関係数の表示が異なるだけで、どちらも前記した(4×1)の方式の相関行列と同等である。したがって、(4×4)の方式の場合、コレスキー分解可能な相関係数α、βの範囲は、(4×1)の方式における主座小行列R1,2,3,4が正となる範囲に制限されることになる。
(送受アンテナ数=8×2の場合)
この方式は、交差偏波型のアンテナを送信側4本、受信側1本用いて、実質的に8×2とするMIMO方式であり、その相関行列Rは、
Figure 0006074449
となる。
ここで、偏波に関する相関行列Γの主座小行列Γ、Γ1,2、Γ1,2,3、Γ1,2,3,4を求めると、
Γ=1
Γ1,2=1
Γ1,2,3=1−γ
Γ1,2,3,4=(1−γ
となり、相関係数γの全範囲に対して全て正の値をとるから、相関行列Γは相関係数γの全設定範囲に対してコレスキー分解可能である。
したがって、この方式の相関行列Rも、(4×1)の場合と同様に、コレスキー分解可能な相関係数αの範囲が制限されることになる。
(送受アンテナ数=8×4の場合)
この方式は、交差偏波型のアンテナを送信側4本、受信側2本用いて、実質的に8×4とするMIMO方式であり、その相関行列Rは、
Figure 0006074449
となる。
ここで、相関行列RUE、Γは、前記同様に相関係数β、γの全ての範囲でコレスキー分解可能であるが、相関行列ReNB、については、(8×2)の方式と同様にコレスキー分解可能な相関係数αの範囲が制限されるから、この(8×4)の方式の場合も、(8×2)の方式と同様の制限を受けることになる。
上記の結果から、(4×1)の方式における相関行列がコレスキー分解できない場合の主要因であることが判明したので、次に(4×1)の方式の相関行列について、さらに詳しく分析を行なう。
始めに、送受アンテナ数種別(4×1)の方式で、主座小行列R1,2,3,4の値が0以下となる場合(コレスキー分解できない場合)の相関係数αの範囲を、n=m=0の条件で計算して求めた。
図1がその計算結果であり、実数領域のおよそ0〜0.9の範囲で、且つ虚数領域のおよそ0.12〜−0.12の範囲に収まる略横長半紡錘形の範囲Aでコレスキー分解可能となる。規格で定義されている3種類の値(0、0.3、0.9)は、当然範囲Aの実数軸上にある。図中の範囲Bは、相関係数の絶対値(実数部と虚数部とで決まるベクトルの大きさ)が1未満となる範囲(原点を中心とする半径1の円内)であり、ユーザーが入力可能な値ではあるが、範囲Aを除いた領域ではコレスキー分解できないことが判る。また、範囲Bを越える領域は相関係数αの絶対値が1以上のエラー範囲である。
上記計算結果から、以下のことが言える。
(a)送受アンテナ数種別が(1×1)、(1×2)、(2×1)(2×2)の方式については、相関係数α、βの絶対値が1未満の範囲(図1の範囲B内)であれば、規格で指定された値以外の任意の値を設定しても正しく試験が行なえる。
(b)送受アンテナ数種別が(4×1)、(4×2)の方式については、相関係数αが図1の範囲A内であれば、規格で指定された値以外の任意の値を設定しても正しく試験が行なえる。
(c)送受アンテナ数種別が(4×4)の方式については、相関係数α、βがともに図1の範囲A内であれば、規格で指定された値以外の任意の値を設定しても正しく試験が行なえる。
(d)送受アンテナ数種別が(8×2)、(8×4)の方式については、実際のアンテナ数が(4×1)、(4×2)であるので、(b)と同様に、相関係数αが図1の範囲A内であれば、規格で指定された値以外の任意の値を設定しても正しく試験が行なえる。この方式の場合、新たに偏波に関する相関係数γも設定する必要があるが、その設定範囲が0〜0.99の範囲であれば問題ない。
したがって、MIMOシステム試験装置の一つの実施形態として、上記した図1の相関係数の範囲A、Bを予め記憶装置に記憶させておき、(1×1)〜(2×2)の方式については、範囲B内でユーザーが相関係数を任意に指定できるようにし、(4×1)、(4×2)の方式については、相関係数αを範囲A内、相関係数βを範囲B内で任意に指定できるようにし、(4×4)の方式については、相関係数α、βを範囲A内で任意に指定できるようにし、(8×2)、(8×4)の方式については、相関係数αを範囲A内、相関係数βを範囲B内で任意に指定できるようにし、相関係数γについても0〜0.99の範囲内で任意に指定できるようにすればよい。
いずれの方式に関しても、従来のように規格で定められた3種類の相関係数値に限定されない広範囲の試験が行なえるので、試験対象の動作解析をより詳細に行なうことができる。
次に、(4×1)以上の方式に関して、さらに広範囲の試験を行なう方法について説明する。
(4×1)の方式について、前記計算では、m=n=0として相関係数αの9乗根を求めていたが、この値を0以外の値にすることで、コレスキー分解可能な相関係数αの範囲が変化する。
図2は、m=n=4としたときにコレスキー分解可能な相関係数αの範囲A1を示すものであり、図3は、m=n=5としたときにコレスキー分解可能な相関係数αの範囲A2を示すものである。範囲A1は、図1の範囲Aの上半分(虚数部が正の領域)を実数部の負側に折り返した形状、範囲A2は、図1の範囲Aの下半分(虚数部が負の領域)を実数部の負側に折り返した形状となっている。
したがって、図4に示すように、相関係数αの有効設定範囲を、A+A1+A2の範囲に拡げておき、この範囲内でユーザーが任意に指定できるようにすればよい。この場合、ユーザーが指定した相関係数値が範囲Aにあれば、相関係数αの9乗根をm=n=0として計算し、ユーザーが指定した相関係数値が範囲A1にあれば、相関係数αの9乗根をm=n=4として計算し、ユーザーが指定した相関係数値が範囲A2にあれば、相関係数αの9乗根をm=n=5として計算すればよい。
このように(4×1)の方式について拡張された図4の有効設定範囲は、前記説明から明らかなように、(4×2)、(4×4)、(8×2)、(8×4)の方式についても適用できる。ただし、(4×4)の方式の場合、両方の相関係数α、βの有効設定範囲が図4と同じになる。
上記のように相関係数α、βの9乗根を求める際に用いる次数m、nの値を、ユーザーが指定した値に応じて変更することで、実数部が正となる範囲Aだけでなく、実数部が負となる範囲A1、A2でも係数設定が行なえ、より広範囲な試験が行なえる。
次に、スケーリングファクタの値と相関係数の有効設定範囲との関係について説明する。
相関行列に対するスケーリング処理は、前記したように、
scal=[Rspat+aI]/(1+a)
で表され、従来はスケーリングファクタの値aとして0.00010、000012のいずれかを用いるように規定されている。
発明者らは、このスケーリングファクタaを相関行列に対して最適化することで、相関係数の有効設定範囲を最大限まで拡張できることを見いだした。
以下、その方法について説明する。
始めに、正定値でないn行n列の相関行列Rspatの固有値λ〜λを求め、その負の最小固有値(負で絶対値が最大の固有値)λminと正の微小値d(例えば0.0001)を用いて、スケーリングファクタaを次のように算出する。
a=|λmin|+d
このスケーリングファクタaを用いてスケーリング処理することで、負の固有値をもつ相関行列を正の固有値だけをもつ正定値の相関行列に変換することができる。これについて以下に説明する。
相関行列Rspatを、固有値行列を用いて表すと次のようになる。ただし、Uはユニタリ行列でUU=I(単位行列)となる。
Figure 0006074449
この行列にaInを足し合わせる(対角成分にスケーリングファクタaを加算)ことで、次のように、各固有値にスケーリングファクタaを加算する。
Figure 0006074449
上記式から負の固有値を正の固有値に変換できる。実際のスケーリング処理では、上記行列の大きさを合わせるために、(1+a)で除算している。
このようにスケーリング処理で用いるスケーリングファクタaを最適化することで、相関行列を正定値に変換することができ、絶対値が1未満の範囲(前記した範囲B)内でユーザーが任意に指定した相関係数を用いた試験が行なえる。ただし、スケーリングファクタaを大きくすると、1+aの除算処理によって対角要素以外の行列要素の値が小さくなる。
図5は、(4×1)の方式について、スケーリングファクタaを変化させたときに、対角要素以外の元の行列要素の変化幅を求めたものであり、スケーリング処理を行なわないときの範囲Aの減少度合いを1とし、スケーリングファクタaを順次増加させてスケーリング処理したことによって1〜0.9まで減少した範囲Aa、0.9〜0.8まで減少した範囲Ab、…、0.6〜0.5まで減少した範囲Aeを区分けして表したものであり、例えば行列要素が0.7まで減少した範囲Acまで許容した場合、相関係数の絶対値が1を越えない範囲B中の60パーセントの領域で使用可能となる。この場合、相関係数の実数部が負側の領域の多くが利用できないが、実数部の正側の領域は広範囲で有効となる。
図5は、スケーリング処理していないときの有効設定範囲Aが、スケーリングファクタaの増加に伴って、A→Aa→Ab→Ac→Ad→Aeと拡大され、それに伴い対角要素以外の要素の減少度合いが増していくことを示しており、これらの範囲を予め記憶しておき、ユーザーが指定した相関係数の値がA〜Aeの範囲のいずれにあるかを調べ、その範囲についての行列要素の減少度合いをユーザーに通知するように構成すれば、ユーザーが予期しない減少度合いの相関行列を設定しないで済む。
ユーザーが指定した相関係数の値が、上記いずれの範囲に含まれるかを調べ、その範囲に対応する次数で相関係数の9乗根を計算し、得られた元の相関行列に対して、前記した固有値と正の微小値とで決まるスケーリングファクタaを用いてスケーリング処理することで、コレスキー分解可能な相関行列を得ることができる。
図5の計算結果は、相関係数の9乗根を求める際の次数をm=n=0とした場合であるが、これをm=n=4、m=n=5の場合も含めると、図6の結果が得られる。
図6は、図4に示した有効設定範囲A、A1、A2をスケーリング処理で拡大したものであり、スケーリング処理を行なわないときの範囲A、A1、A2の減少度合いを1とし、スケーリングファクタaを順次増加させてスケーリング処理したことによって1〜0.9まで減少した範囲Aa′、A1a、A2a、0.9〜0.8まで減少した範囲Ab′、A1b、A2b、…、0.6〜0.5まで減少した範囲Ad′、A1d、A2dを区分けして表したものである。
ここで、行列要素の減少が0.7までの範囲を許容した場合、相関係数の絶対値が1を越えない範囲B中の90パーセントの領域で使用可能となり、行列要素の減少を65パーセントまで許容した場合、ほぼ100パーセントの領域で使用可能であり、最も広範囲で有効な設定が行なえる。
この例は、スケーリングファクタaの増加に伴って、次数0の場合の元の有効設定範囲AがA→Aa′→Ab′→Ac′→Ad′と上下方向に拡大され、次数4の場合の元の有効設定範囲A1が、A1→A1a→A1b→A1c→A1dと上方向に拡大され、次数5の場合の元の有効設定範囲A2が、A→A2a→A2b→A2c→A2dと下方向に拡大されたと考えられ、それに伴い対角要素以外の要素の減少度合いが増していくことを示している。これらの範囲を予め記憶しておき、ユーザーが指定した相関係数の値がいずれの範囲にあるかを調べ、その範囲についての行列要素の減少度合いをユーザーに通知するように構成すれば、ユーザーが予期しない減少度合いの相関行列を設定しないで済む。
この場合も、ユーザーが指定した相関係数の値が、上記いずれの範囲に含まれるかを調べ、その範囲に対応する次数で相関係数の9乗根を計算し、得られた元の相関行列に対して、前記した固有値と正の微小値とで決まるスケーリングファクタaを用いてスケーリング処理することで、コレスキー分解可能な相関行列を得ることができる。
図7は、上記知見に基づいて構成したMIMO方式試験システム20の構成を示すものであり、試験対象1に送信するための試験用の送信信号を生成するとともに、試験対象1から送信された信号を受信して各種処理を行なう信号処理部21、信号処理部21と試験対象1との間に擬似的な伝搬路を形成する擬似伝搬路形成部22(フェージングシミュレータ)と、試験に必要なパラメータ、例えば基地局と移動体端末の間で行なう通信方式、周波数、帯域等の各種パラメータを設定するためのパラメータ設定部23、操作部25、表示部26とで構成されている。
パラメータ設定部23には、MIMO方式における送受アンテナ数種別(MIMOチャネル種別)の選択、相関係数の設定、スケーリング処理を行なうか否かの選択等をユーザーに行なわせ、それらユーザーの操作によって選択、設定された情報に基づいて、擬似伝搬路形成部22において擬似伝搬路を形成するのに必要な行列G、相関行列R等の情報を生成して、擬似伝搬路形成部22に与えるチャネル相関情報設定手段24が含まれている。
擬似伝搬路形成部22は、MIMO方式の端末やそれに用いる回路等の試験を行なう場合に、指定されたチャネル数の伝搬路を模擬的に形成する。この処理は、簡単に言えば、信号処理部21から送信アンテナ数に対応した複数系列の試験信号を受けて各伝搬路の伝達関数を乗じて、受信アンテナ数に対応する出力数に合わせて加算合成した出力する処理であり、その伝達関数を特定するために必要な少なくとも前記行列G、相関行列R等の情報をチャネル相関情報設定手段24から受けることになる。
チャネル相関情報設定手段24は、前記したように、ユーザーが指定した条件でMIMO方式の試験を行なうために必要なパラメータを求めて擬似伝搬路形成部22に与えるが、前記したように、送受アンテナ数種別毎に規格で定められた数種類の相関係数を選択するだけでなく、より広範囲の係数設定が可能となっている。なお、ここでは、行列Gの設定については任意であり詳述しないが、例えばランダムな値を要素とする行列の中からユーザーが予め選択したものを用いればよい。
上記説明したように、ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(1×1)〜(2×2)のいずれかである場合、相関係数α、βの絶対値が1未満の範囲(図1の範囲Bの内側:実数部+虚数部<1の範囲)で任意の値が設定可能である。
また、ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(4×1)〜(8×4)のいずれかである場合で、最も広い範囲で設定が可能な実施形態は、前記したように、相関係数の9乗根を求める際の次数m、nとスケーリング処理に用いるスケールファクタaとを最適化する場合であり、この場合において、スケーリング処理によって対角要素以外の行列要素が元の値の65パーセントの減少まで許容する場合も、相関係数α、βの絶対値が1未満の範囲(図1の範囲Bの内側:実数部+虚数部<1の範囲)で任意の値が設定可能である。
スケーリング処理をするか否かはユーザーが決定できることが望ましく、設定操作としてその選択が可能なようにした場合において、スケーリング処理を行なわないように選択されたときの設定可能な最大の範囲は、相関係数の9乗根を求める際の次数m、nを最適化して得られる図4に示した範囲となる。
したがって、チャネル相関情報設定手段24の一つの好ましい処理手順は、図8のフローチャートで示すことができる。
即ち、始めに、送受アンテナ数種別(MIMOチャネル種別)を選択させるための画面を表示部26に表示させ、そのいずれかを選択させる(S1)。
ここで、ユーザーが送受アンテナ数種別として(1×1)〜(2×2)のいずれかの方式を選択した場合、例えば図9のように、選択された送受アンテナ数種別において設定可能な相関係数の種別とその数値を実数部と虚数部に分けて入力する数値入力欄および実行ボタン等が表示された設定画面を表示し、操作部25の操作で数値入力欄への数値入力、実行ボタンの操作ができる状態にする(S2、S3)。図9は、(2×2)の方式が選択され、その方式に対し設定可能な2種類の相関係数α、βの数値入力欄が表示された例を示しているが、一方の相関係数のみの場合もある。
そして、ユーザーによって相関係数の実数部と虚数部の数値が入力されると、その相関係数の絶対値が1未満であるか否か、即ち、実数部+虚数部<1であるか否かの判定が行なわれる(S4、S5)。
指定された相関係数の絶対値が1以上の場合には、入力値がオーバーであることを示すエラー表示を行い、処理S3に戻って再入力を促す(S6)。
指定された相関係数の絶対値が1未満の場合には、入力値は試験に有効な値であると判断し、実行ボタンの操作ができる状態にし、ユーザーによって実行ボタンが操作されると、入力値に基づいて得られる相関行列の各要素を計算し、前記した行列Gとともに伝達関数を特定する情報として擬似伝搬路形成部22に与える(S7〜S9)。
また、ユーザーが送受アンテナ数種別として(4×1)〜(8×4)のいずれかの方式を選択した場合、例えば図10のように、選択された送受アンテナ数種別において設定可能な相関係数の種別、その数値を実数部と虚数部に分けて入力する数値入力欄、自動スケーリング処理を実行するか否か選択するボタンおよび実行ボタン等が表示された設定画面を表示し、数値入力欄に対して数値入力、自動スケーリング処理のオンオフ操作、実行ボタン操作ができる状態にする(S10、S11)。図10は、(4×2)の方式が選択され、その方式に対し設定可能な2種類の相関係数α、βの数値入力欄が表示された例を示しているが、(8×2)、(8×4)の方式が選択された場合、相関係数γについての数値入力欄も表示される。
そして、ユーザーによって相関係数の実数部と虚数部の数値が入力されると、前記同様に、その相関係数の絶対値が1未満であるか否かが判定され、1以上であればエラー表示を行い、処理S11に戻って再入力を促す(S12〜S14)。この処理は実際には相関係数α、βについてその係数毎に行なわれるがここではまとめて記載している。また、相関係数γについては入力可能な数値範囲が予め0〜0.99以内に設定されており、入力値の範囲を調べることはしない。
入力された相関係数α、βの絶対値がともに1未満で、自動スケーリング処理オフが指定されているときには、相関係数αについての有効設定範囲は、図4に示した範囲であるので、入力された相関係数αの値が図4の有効設定範囲にあるか否かを判定し、この範囲に入っていて、指定された方式が(4×4)でなければ、この相関係数αの値の他に、絶対値が1未満の任意の値に指定された相関係数β(相関係数γがある場合はその任意の設定値も含む)が有効値と判断され、実行ボタンの操作ができる状態にし、ユーザーによって実行ボタンが操作されると、相関係数αについてはその値が含まれる範囲に応じた次数で計算された相関行列が計算され、処理S9に移行して、得られた相関行列および予め設定された行列Gの情報等を擬似伝搬路形成部22に与える(S15〜S19)。
また、相関係数αが図4の有効設定範囲に入っていなければ、例えば図11のように、図4に示した有効設定範囲を画面上に表示し、その範囲内のカーソル操作等によって指定した位置の座標を表示し、相関係数αの値を有効設定範囲内で指定するように促す(S20)。なお、送受アンテナ数種別が指定された段階でこの有効設定範囲を表示して、この有効設定範囲内で相関係数値を指定させる形態であってもよい。
そして、ユーザーが有効設定範囲内の相関係数αの座標を入力すると(S21)、処理S17に移行し、指定されている方式が(4×4)でなければ、前記同様に処理S18、S19を経て、有効な相関係数α、β(γ)の値によって得られる相関行列を計算し、処理9に移行して、その相関行列および行列Gの情報を擬似伝搬路形成部22に与える。
また、処理S17で、指定されている方式が(4×4)であると判定されると、他方の相関係数βについても、相関係数αについての処理S16、20、21と同様の処理S22〜S24を行い、相関係数α、βを図4に示した有効設定範囲内で指定させ、それによって得られる相関行列の各要素を計算することになる。
また、処理S15において自動スケーリング処理が選択されている場合には、ユーザーによって指定された相関係数の値が、図6で示した各範囲のいずれにあるかを調べ、その範囲に対応する次数を求め、その次数を用いて相関係数の9乗根を計算し、元の相関行列Rspatを求める(S25)。
そして、得られた相関行列についての固有値と正の微小値とで決まるスケーリングファクタaを求め、そのスケーリングファクタaを用いて元の相関行列Rspatに対するスケーリング処理を行い、コレスキー分解可能な相関行列Rscalを求め、処理S9に移行する(S26、S27)。
なお、このような処理で最終的に得られた相関行列やスケーリング処理によって対角要素以外の行列要素の減少度合いを示す値を表示部26に表示してもよい。
このように構成したMIMOシステム試験装置20は、ユーザーが指定した送受アンテ数種別(MIMOチャネル種別)に対して想定される模擬伝搬路の伝達関数を決めるための相関行列を、従来から規格で規定された数種類だけに限定されず、格段に広い範囲で設定することができ、試験対象に対する動作試験を様々な条件で行なうことができる。
特に、送受アンテナ数種別が(4×1)〜(8×4)の場合においては、相関係数の9乗根を求める際の次数を最適化し、スケーリング処理に用いるスケーリングファクタaの値を最適化することで、相関係数の有効設定範囲を最大限まで拡げることができ、極めて広い範囲で試験対象の試験が可能となる。
なお、上記したチャネル相関情報設定手段24の処理手順や表示形式等は、本発明を限定するものではなく、種々の変形、応用が可能である。
例えば、相関係数をユーザーに入力させる場合、全ての送受アンテナ数種別について、例えば図6に示したように、設定可能な最大の範囲を直交座標上に表示し、ユーザーが指定した位置に基づいて、次数の選択、スケーリング処理の実行選択およびスケーリングファクタの選択を自動的に行なうように構成してもよい。
20……MIMOシステム試験装置、21……信号処理部、22……模擬伝搬路形成部、23……パラメータ設定部、24……チャネル相関情報設定手段、25……操作部、26……表示部

Claims (12)

  1. MIMO方式による通信を行なう試験対象との間で信号の授受を行なう信号処理部(21)と、
    前記信号処理部と前記試験対象との間を、予め設定された送受アンテナ間の伝達関数に対応する擬似伝搬路で接続する擬似伝搬路形成部(22)と、
    ユーザーによって指定された前記擬似伝搬路の送受アンテナ数種別と、送信側アンテナ間および受信側アンテナ間の相関係数値とによって決まる相関行列の計算を行い、該計算結果を、前記擬似伝搬路の伝達関数を特定する情報として前記擬似伝搬路形成部に設定するチャネル相関情報設定手段(24)を含み、前記試験対象の試験に必要なパラメータを前記信号処理部および前記擬似伝搬路形成部に設定するパラメータ設定部(23)とを備えたMIMOシステム試験装置であって、
    前記チャンネル相関情報設定手段は、
    前記擬似伝搬路の送受アンテナ数種別と、送信側アンテナ間および受信側アンテナ間の相関係数値とによって決まる相関行列がコレスキー分解できる範囲内で、ユーザーが任意に指定した相関係数値を有効値として前記相関行列の計算に用いることを特徴とするMIMOシステム試験装置。
  2. 前記チャンネル相関情報設定手段は、
    前記擬似伝搬路の送受アンテナ数種別に対応した相関行列がコレスキー分解できるための前記相関係数値の範囲を有効設定範囲として予め記憶する有効設定範囲記憶手段を有しており、
    ユーザーが前記有効設定範囲内の任意の相関係数値を指定できるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のMIMOシステム試験装置。
  3. 前記チャンネル相関情報設定手段は、
    ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(1×1)、(2×1)、(1×2)、(2×2)のいずれかである場合には、相関係数値の実数部と虚数部について、
    実数部+虚数部<1
    となる範囲を有効設定範囲としていることを特徴とする請求項2記載のMIMOシステム試験装置。
  4. 前記チャンネル相関情報設定手段は、
    ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(4×1)、(4×2)、(4×4)、(8×2)、(8×4)のいずれかである場合には、相関行列の要素となる相関係数の9乗根を計算する際に用いる次数によって変化する複数の有効設定範囲のうち、ユーザーが指定した相関係数値が含まれる有効設定範囲に対応する次数を選択して前記9乗根の計算に用いることを特徴とする請求項2記載のMIMOシステム試験装置。
  5. 前記チャンネル相関情報設定手段は、
    ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(4×1)、(4×2)、(4×4)、(8×2)、(8×4)のいずれかである場合には、その指定された送受アンテナ数種別に対応する相関行列Rspatに対して、
    scal=[Rspat+aIn]/(1+a)
    aはスケーリングファクタ、Inはn行単位行列
    で表されるスケーリング処理を、元の相関行列Rspatの固有値のうちの負の最小固有値の絶対値と正の微小値との和に等しいスケーリングファクタaを用いて行なうことで、スケーリング処理後の相関行列Rscalをコレスキー分解可能な行列に変換することを特徴とする請求項2記載のMIMOシステム試験装置。
  6. 前記チャンネル相関情報設定手段は、
    ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(4×1)、(4×2)、(4×4)、(8×2)、(8×4)のいずれかである場合には、相関行列の要素となる相関係数の9乗根を計算する際に用いる次数によって変化する複数の有効設定範囲のうち、ユーザーが指定した相関係数値が含まれる有効設定範囲に対応する次数を選択して前記9乗根の計算に用いるとともに、該計算で求めた相関行列Rspatに対して、
    scal=[Rspat+aIn]/(1+a)
    aはスケーリングファクタ、Inはn行単位行列
    で表されるスケーリング処理を、元の相関行列Rspatの固有値のうちの負の最小固有値の絶対値と正の微小値との和に等しいスケーリングファクタaを用いて行なうことで、スケーリング処理後の相関行列Rscalをコレスキー分解可能な行列に変換することを特徴とする請求項2記載のMIMOシステム試験装置。
  7. MIMO方式による通信を行なう試験対象との間で信号の授受を行なう信号処理部(21)と、
    前記信号処理部と前記試験対象との間を、予め設定された送受アンテナ間の伝達関数に対応する擬似伝搬路で接続する擬似伝搬路形成部(22)と、
    ユーザーによって指定された前記擬似伝搬路の送受アンテナ数種別と、送信側アンテナ間および受信側アンテナ間の相関係数値とによって決まる相関行列の計算を行い、該計算結果を、前記擬似伝搬路の伝達関数を特定する情報として前記擬似伝搬路形成部に設定するチャネル相関情報設定手段(24)を含み、前記試験対象の試験に必要なパラメータを前記信号処理部、擬似伝搬路形成部に設定するパラメータ設定部(23)とを備えたMIMOシステム試験装置のチャンネル相関情報設定方法であって、
    前記擬似伝搬路の送受アンテナ数種別と、送信側アンテナ間および受信側アンテナ間の相関係数値とによって決まる相関行列がコレスキー分解できる範囲内で、ユーザーが任意に指定した相関係数値を有効値として前記相関行列の計算に用いることを特徴とするMIMOシステム試験装置のチャンネル相関情報設定方法。
  8. 前記擬似伝搬路の送受アンテナ数種別に対応した相関行列がコレスキー分解できるための前記相関係数値の範囲を有効設定範囲として予め記憶しておき、
    ユーザーが前記有効設定範囲内の任意の相関係数値を指定できるようにしたことを特徴とする請求項7記載のMIMOシステム試験装置のチャンネル相関情報設定方法
  9. ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(1×1)、(2×1)、(1×2)、(2×2)のいずれかである場合には、相関係数値の実数部と虚数部について、
    実数部+虚数部<1
    となる範囲を有効設定範囲としていることを特徴とする請求項8記載のMIMOシステム試験装置のチャンネル相関情報設定方法。
  10. ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(4×1)、(4×2)、(4×4)、(8×2)、(8×4)のいずれかである場合には、相関行列の要素となる相関係数の9乗根を計算する際に用いる次数によって変化する複数の有効設定範囲のうち、ユーザーが指定した相関係数値が含まれる有効設定範囲に対応する次数を選択して前記9乗根の計算に用いることを特徴とする請求項8記載のMIMOシステム試験装置のチャンネル相関情報設定方法。
  11. ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(4×1)、(4×2)、(4×4)、(8×2)、(8×4)のいずれかである場合には、その指定された送受アンテナ数種別に対応する相関行列Rspatに対して、
    scal=[Rspat+aIn]/(1+a)
    aはスケーリングファクタ、Inはn行単位行列
    で表されるスケーリング処理を、元の相関行列Rspatの固有値のうちの負の最小固有値の絶対値と正の微小値との和に等しいスケーリングファクタaを用いて行なうことで、スケーリング処理後の相関行列Rscalをコレスキー分解可能な行列に変換することを特徴とする請求項8記載のMIMOシステム試験装置のチャンネル相関情報設定方法。
  12. ユーザーによって指定された送受アンテナ数種別が(4×1)、(4×2)、(4×4)、(8×2)、(8×4)のいずれかである場合には、相関行列の要素となる相関係数の9乗根を計算する際に用いる次数によって変化する複数の有効設定範囲のうち、ユーザーが指定した相関係数値が含まれる有効設定範囲に対応する次数を選択して前記9乗根の計算に用いるとともに、該計算で求めた相関行列Rspatに対して、
    scal=[Rspat+aIn]/(1+a)
    aはスケーリングファクタ、Inはn行単位行列
    で表されるスケーリング処理を、元の相関行列Rspatの固有値のうちの負の最小固有値の絶対値と正の微小値との和に等しいスケーリングファクタaを用いて行なうことで、スケーリング処理後の相関行列Rscalをコレスキー分解可能な行列に変換することを特徴とする請求項8記載のMIMOシステム試験装置のチャンネル相関情報設定方法。
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