本明細書には、2つ以上の異なる波長で測定された光の強度(たとえば光度)間の関係に基づいて、薄膜、液体、ゲル、気体(ガス)、または、他の媒体の厚さ測定値を得るための種々の技術が開示されている。また、本明細書には、3次元再構成(3次元復元ともいう。以下同じ)で使用する、(外耳道などの)内部容積部や(歯などの)外部容積部などにおけるそのような厚さ測定値を得るための種々の技術が開示されている。一般に、後述するシステム及び方法は、媒体中の光の吸収に関するランベルト・ベールの法則(Beer-Lambert law)、より具体的には、ある波長がある媒体を通過すると、他の波長よりも大きく減衰するというランベルト・ベールの法則から導かれる結果を利用する。光源及び媒体の特性を制御することによって、この減衰の違いを用いて、光が媒体を通過してセンサーに到達するまでの距離を決定することができる。この一般的な原理のより具体的な応用例については後で説明するが、そのような応用例は、光の種々の波長の異なる減衰に基づく距離測定のための新しい技術のいくつかのバリエーションの概略を示すのに役立つ。
本明細書全体を通じて、「吸収」という用語は、媒体中を伝搬する電磁エネルギーなどのエネルギーの減衰を記述するために使用されている。この減衰は、媒体中の物理的な吸収、または、他の任意の物理現象(散乱など)、または、信号が媒体を通過する際に該信号の強度を相当程度もしくは測定可能な程度に減少させることになる現象の組み合わせによって引き起こされうる。たとえば、本明細書に記載されているいくつかの実施形態、たとえば、金ナノ粒子を含む実施形態では、「吸収」は、多数の非弾性散乱が起こることの結果であることが理解されよう。したがって、本明細書で使用されている吸収は、それのより具体的な意味が明示されているかもしくは文脈から明らかである場合を除いて、減衰の任意の形態または原因(またはそれによる欠乏)を意味する広義の用語である。
以下の説明では、本明細書に開示されている技術を用いて決定ないし測定される厚さを記述するために、厚さ、厚さ計算(値)、及び厚さ測定値などの用語を同義で使用している。一般に、「測定」及び「計算」という用語には特別な意味を含めておらず、これらの一方または他方の用語の使用、または、厚さ測定値を「決定する」、「計算する」もしくは「取得する」という類似の表現の使用は、厚さを決定することができるやり方を区別することを意図していない。厚さに関するそのような用語ないし表現は全て、それらのより具体的な意味が明示されている場合を除いて、本明細書に記載されている媒体の厚さまたは媒体を通過する光路長を決定するための全ての技術を含んでいる。
本開示を通じて、定量的及び定性的な意味の種々の用語が使用されている。それらの用語は、記述されている特徴に関する厳密な数値境界を表明することを意図しておらず、多少のばらつきを許容するものとして解釈されるべきである。したがって、たとえば、媒体がある特定の波長において透明である(すなわち、該特定の波長を透過させる)と記載されている場合、このことは、測定限界または人間の知覚限界において完全に透明であることを意味するのではなく、正確な厚さ計算値を測定値がもたらすことができる程度に、実質的または十分に透明であることを意味している。同様に、目標面が均一の色を有している(または、目標面がある特定の波長において均一の色を有している)と記載されているか、または、染料がある特定の波長において蛍光を発すると記載されている場合、このことは、任意の従来(もしくは既存)の材料または製造プロセスに特有のばらつきが排除されると解釈すべきではない。したがって、以下の説明において、全ての記述用語及び数値は、本発明の本質が許容する限り広く解釈されるべきであり、当業者には、それらの用語及び数値が別の意味であることが明示されているかもしくは文脈から明らかである場合を除いて、本明細書に開示されている発明の概念の適正な動作ないし作用と整合する範囲のばらつきが考慮されていることが理解されよう。
以下の説明では、波長という用語は、光または他の電磁エネルギーの特性を記述するために使用されている。波長という用語は、ある特定の波長、たとえば、中心周波数や、ある範囲の周波数の限界値もしくは境界値を意味する場合があることが理解されよう。そのような意味に加えて、または、そのような意味の代わりに、この用語は、波長がセンサーやピクセル(または画素)などについて指定される場合などのように、ある波長帯域を一般に意味する場合がある。したがって、一般に、本明細書で使用されている波長という用語は、より具体的な意味であることが明示されているかまたは文脈から明らかである場合を除いて、特定の波長と波長範囲の一方または両方を意味する。
本明細書で言及されている全ての文書は、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれるものとする。単数形の用語が使用されている場合には、それの複数形の用語の意味が含まれ、その逆も同様である(ただし、そうではないことが明示されているか文章から明らかである場合を除く)。文法上の接続詞は、結合される節、文、語などの任意の及び全ての離接及び合接による結合を表すことが意図されている(ただし、そうではないことが明示されているか文脈から明らかである場合を除く)。
以下の開示は実施形態の例を含んでいるが、それらの例は、説明のためだけに提示されたものであって、(それらの例に)限定することを意図したものではない。当業者には明らかであろうところの構成要素のあらゆる変形、修正、拡張、応用、及び組み合わせ等は、本開示の範囲内のものであることが意図されている。
図1は3次元画像化システム(3次元画像形成システムともいう。以下同じ)を示している。1実施形態では、システム100は、物体とカメラの間に蛍光媒体(蛍光を発する媒体)を利用することができる。ただし、種々の媒体、センサー、及び他の構成要素を使用できることが容易に理解されよう。システム100は、励起源フィルター104を有する励起源(または励起光源。以下同じ)102、媒体106、目標面110を有する物体108、センサーフィルター114を有するセンサー112、及びコンピューター116を備えることができる。通常動作時には、励起源102が、媒体106を通過する光照射路(照射光路)118に沿って光を物体108に照射し、センサー112が、媒体106を通過する戻り光路120上で物体108からの反射光を取り込む。センサー112で生成された信号をコンピューターで処理して、媒体106の厚さ測定値を得ることができ、該測定値をさらに処理して、物体108の3次元画像を得ることができる。後述する種々の詳細な実施形態に関して説明されているように、多くの変形、追加、省略、及び修正が可能であることが理解されよう。
励起源102を任意の適切な光源とすることができる。種々の実施形態において、これは、発光ダイオード、白熱電球もしくは白熱灯、レーザー光源、または、他の任意の広帯域光源、広帯域可視光源、狭帯域光源、または、(1以上の)所望の波長で光子を放出するそれらの光源の任意の組み合わせを含むことができる。より詳細に後述するように、(励起源フィルター104によって整形される)励起源102は、媒体106内にあるかもしくは目標面110にある蛍光体(蛍光物質ともいう。以下同じ)を励起する波長を含む任意の適切な(1以上の)波長の光、並びに、媒体106による減衰の程度が既知である(1以上の)波長の光を供給することができる。励起源102は、より一般的には、本明細書に記載されている画像化(画像形成)に適した任意の照明源(光源または照射源ともいう。以下同じ)を含むことができる。可視光は、1つの有用な波長範囲を含んでいるが、励起源102は、それに加えてまたはその代わりに、近赤外光や赤外光などの可視光範囲の近くもしくはそれを超える波長の光を有効に供給することができ、または、より一般的には、媒体106による減衰を測定することができる任意の範囲の電磁波波長にわたる光を有効に供給することができる。種々の他の実施形態がより詳細に後述されているが、本明細書で使用されている「励起源」という用語は、物体108を照明(または照射。以下同じ)できる任意のエネルギー源として広い意味を有することが理解されよう。1実施形態では、励起源102を、(たとえば媒体106内にある)物体108の周辺ないし近辺の単一の蛍光体を励起して蛍光発光(蛍光放射ともいう)させるように配置された光源、より一般的には、媒体106及び/または目標面110を必要に応じて照明して、後述する厚さ計算のための適切な強度測定値をセンサー112において取得するように配置された光源とすることができる。
励起源102のスペクトルプラファイルを整形するために1以上の励起源フィルター104をオプションとして利用することができ、これによって、たとえば、広帯域光源から狭帯域の光を供給したり、対象とする波長以外のエネルギーを減衰させたりすることができる。たとえば、センサー112が、物体108からの蛍光像または他の発光像を取り込む場合には、1以上の励起源フィルター104は、蛍光像の汚染(蛍光像の劣化)を回避するために励起源102からの(1以上の)蛍光波長を有効に除去しまたは減衰させることができる。
媒体106は、本明細書に記載されている画像化システム及び方法に適した任意の物質、混合物、溶液、組成物ないし合成物などを含むことができる。一般に、媒体106は、2つの異なる波長(の光)に対して既知の異なる減衰係数を有することができ、このため、それらの波長における強度の比を得て、厚さ計算に使用することができる。媒体106はまた、2つの異なる波長のうちの一方における電磁エネルギーの強度(大きさ)に寄与する単一の蛍光体、燐光体、または類似の発光体を含むことができる。いくつかの実施形態では、減衰係数の一方はゼロである。いくつかの実施形態では、減衰係数の一方は、他方より大きいかまたは小さく、または、比を含む計算における識別を改善するために、他方よりも大幅に大きいかまたは小さい。
1つの側面において、媒体106を力学的性質によって選択することができる。したがって、媒体106は、液体、気体(ガス)、固体、ゲル、または他の物体もしくは物体の組み合わせを含むことができる。たとえば、シリコン油などの液体を使用することができるが、シリコン油は、物体108が小さくて、該物体をシリコン油が入った槽(またはタンク)もしくは他の容器に収容できる場合に便利である。別の例として、後述の種々の実施形態に関して記載されているように、蛍光染料を有する気体を内部空間において有効に利用することができる。他の実施形態では、媒体106を硬化性ゲルなどの鋳造媒体とすることができ、物体108を該ゲルに圧入した後取り外して、媒体106中に該物体の対応する彫り型(negative impression)を残すことができる。種々の実施形態において、そのような硬化性の材料を、物体108が媒体106内にある間、または、物体108が媒体106から除去された後、または、これらの何らかの組み合わせのタイミングで硬化させることができる。媒体106は時間の経過とともに硬化することができ、または、熱、光、圧力などを加えることによって、または、他の何らかの活性化媒体によって媒体106を硬化させることができる。
他の側面において、媒体106をルミネセンス(たとえば蛍光)及び/または減衰などの光学的特性によって選択することができる。したがって、一般に、媒体106を、電磁スペクトルのある部分にわたって透明なものとすることができ、これによって、媒体106を通過するいくつかの波長の光が減衰しないようにすることができる。媒体106はまた、いくつかの波長において非ゼロの減衰係数を有することができ、これによって、それらの波長の光が媒体106を通過する際に減衰するようにすることができる。これは、たとえば、(特定の狭い波長帯域で減衰をもたらすように非常に厳密に調整することができる)金ナノ粒子、または、所望の減衰スペクトルプロファイルを実現する任意の他の物質もしくは物資の組み合わせなどの添加物を使用することによって達成することができる。媒体106はまた、蛍光染料、燐光染料、量子ドット、または、他の波長または(印加された電界や化学反応などの)他の刺激に応答して光を放出するその他の物質もしくは物質の組み合わせを含むことができる。より詳細に後述するように、そのような実施形態では、放出された光の強度を用いて、媒体106の厚さの計算を支援することができる。媒体106は、それらに加えて、またはそれらの代わりに、任意の化学発光材料またはエレクトロルミネセンス材料、または、1以上の測定可能な波長の光を放出する他の材料を含むことができる。
したがって、一般に、媒体106は、種々の染料、溶質、量子ドット、封入されたシリカナノ粒子、または、(均一混合物などに)混合することによって、異なるそれぞれの波長においてそれぞれ異なる放出特性(または発光特性)及び/または減衰係数を媒体106にもたらすことができる他の物質を含むことができる。生体に接触して、または生体内で、または、生体のごく近くで使用しても安全であるように、添加物を含む媒体106を、生体適合性材料から形成することができる。1つの有効な生体適合性染料は、フルオレセインナトリウム(fluorescein sodium)であるが、種々の生体適合性蛍光染料が知られており、それらの蛍光染料を本明細書に記載されているシステム及び方法に有効に利用できることが理解されよう。
物体108を、目標面110(該目標面から3次元画像が得られる)を有する任意の物体とすることができる。物体108は、たとえば、歯(または歯の鋳造物)、骨、手、指紋、より一般的には、外耳道、鼻腔、嚢などの内部表面(ただし、これには限定されない)を含む任意の組織、骨格、器官などの生物学的なまたは生理学的な物質を含むことができる。物体108はまた、それらに加えて、または、それらの代わりに、精密機械加工部品、精密鋳造部品、燃料噴射器、タービン翼、シール、または、任意の他の3次元物体などの製造物を含むことができ、この場合、品質管理は、3次元形状の評価を有効に含むことができる。物体108はまた、それらに加えて、または、それらの代わりに、コンピューター支援設計、コンピューターアニメーションなどの後続のコンピューター処理のために有効にデジタル化することができるモデルを含むことができる。より一般的には、物体108を、3次元画像を有効に取得することができる任意の物体とすることができる。
センサー112は、1以上の波長の電磁放射の強度をデジタル形式または電子的形式で取得するのに適した任意のセンサーまたは一群のセンサーを含むことができる。センサー112は、たとえば、フォトダイオード、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイス、または、本明細書に記載されているシステム及び方法で使用するのに適した任意の他の光学センサーまたはセンサーの組み合わせを含むことができる。一般に、目標面110上の対象領域内のある位置の方向における1以上の波長の光の強度を測定するようにセンサー112を配置することができ、当該方向は、たとえば、戻り光路120が物体を出てセンサー112及びセンサーフィルター114に向かう方向として示されている。
センサー112は、2次元画像を取り込むことができる2次元ピクセル配列イ(2次元ピクセルアレイ)を含むことができ、該ピクセル配列の各ピクセル位置(各画素位置)における測定値は、センサー112の視野内のある方向における1以上の波長の光の強度に対応する。センサー112は、たとえば、グレースケール配列(grayscale array)、赤−緑−青(RGB)配列、シアン−マゼンタ−イエロー(CMY)配列などを含むことができる。検出器を覆って各ピクセル位置において特定の範囲の波長を取り込むためのフィルターマスク(filter mask)、フィルターホイール(filter wheel。フィルターホィールを用いて、時間分離(及び波長分離)された画像を一連のフィルターの各々によって取り込むことができる)、または、光路を、それぞれが互いに異なる波長を測定するために使用される3つのサブ経路に分離するプリズムを含む、異なる波長を識別するための種々の技術が知られている。他の実施形態では、ネスト化された(または入れ子になった)半導体井戸またはこれと同様の物を利用して、半導体デバイス内の異なる深さにおいて異なる波長を測定することができる。個別には図示していないが、センサー112は、集束レンズ、ズームレンズ、プリズム、及びミラーなどの種々のカメラ光学系、並びに、シャッター及び口径制御などの他のカメラハードウェアを含むことができ、それらのうちの任意のものを、特定の画像化環境向けに組み立てることができ、または、市販されているカメラもしくはそれらの何らかの組み合わせに組み込むことができることが理解されよう。
一般に、本明細書に記載されている技術は、2つの測定された波長(以下、測定された波長を測定波長という)を使用する。しかしながら、精度を高めるために、または、さまざまな異なる媒体106を使用できるようにするために、追加の波長を有効に利用できることが理解されるべきである。測定波長を、従来のカメラハードウエア(カメラ装置)によって検出された特定の波長もしくは特定の波長に近い波長とすることができ、または、それ以外の波長とすることができる。測定波長は、一般に、使用されるセンサーの感度並びに/または励起源102及び媒体106の特性に応じて、ある中心波長の周りにさまざまな大きさの範囲または帯域を含むことができる。いくつかの実施形態では、測定波長は、それぞれ、510ナノメートルと540ナノメートルである。
センサーフィルター114を、1以上の波長の光をセンサー112へと選択的に通過させるのに有効な任意のフィルターまたはフィルターの組み合わせとすることができ、センサーフィルター114は、センサーに入る波長を区別するための上記のフィルターマスク、または、入力光信号を全体的にフィルタリング(または粗フィルタリング)するためのセンサー112と分離した1以上のフィルターを含み、これによって、たとえば、対象とする1以上の波長以外の波長の光を減衰させることができる。種々の実施形態において、センサーフィルター114は、切替可能な光学帯域フィルター、光学帯域フィルター、カラーフィルター、測定波長以外の波長の全ての光を減衰させる迷光フィルター(stray-light filter)、励起帯域にわたる波長の光を減衰させる励起フィルターなどを含むことができる。
コンピューター116は、デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューター、または、(1以上の)専用の処理装置(ただしこれらには限定されない)を含む任意の適切な(1以上の)コンピューティング装置を含むことができる。コンピューター116は、本明細書に記載されているように、強度の測定値を受け取って減衰媒体の厚さを決定するための計算を実行し、及び、その計算の結果を出力するように構成及び/またはプログラムされた1以上の汎用または専用のプロセッサを含むことができる。これは、ソフトウェア、ファームウェア、マイクロコード、プラグラム可能ゲートアレイ、及び特定用途向け回路などの使用を含むことができる。一般に、コンピューター116は、本明細書に記載されているような1以上の高レベル機能を提供することができる。
1つの側面において、コンピューター116は、励起源102及びセンサー112の動作を制御して、物体108のセンサー画像を取得することができる。コンピューター116は、媒体106の供給を制御したり、本明細書に記載されているシステム及び方法のためにハードウェアの監視及び制御を行うなどの補助的な機能を含むことができる。別の側面において、該コンピューターは、センサー112から、物体108及び媒体106を含む視野から取得された強度値の2次元配列などのデータを取得することができる。これは、センサー112の動作の制御またはセンサー112からのデータ供給の制御などの中間の処理、並びに、対象とする特定波長における強度値を得るためにセンサー112からのデジタル測定値を処理することを含むことができる。したがって、たとえばRGBカメラが使用される場合には、コンピューター116は、該カメラの各ピクセルについて3つの別個の波長測定値(たとえば、赤の波長、緑の波長、及び青の波長)を受け取り、各ピクセル位置におけるそれらのRGB値を処理して、後続の計算で使用するために、それらの別個のRGB値間の1以上の波長における強度を決定または推定することができる。
別の側面において、コンピューター116は、2つ以上の特定の波長における強度の関数(または相互関係)に基づいて、物体108上のある位置の方向(たとえば、戻り光路120に沿って特定のセンサー/ピクセル位置に向かう方向)における媒体106の厚さを計算することができる。一般に、各センサー112(または、センサー112内のピクセル位置)は、目標面110上のある位置の方向における2つの異なる波長(の光)の強度の測定値を提供する。この場合、該位置は、センサー112及び関連するハードウェアの光学的分解能に依存して、対象とする領域全体、または、対象とする領域内の特定の位置に対応しうる。
媒体106が、2つの測定波長間で異なる減衰係数を有し、かつ、媒体106が、それら2つの波長の一方の波長で蛍光を発するかもしくは他のやり方で光を放出する場合には、それら2つの波長の各々における強度を、該位置の方向における媒体106の厚さに関連付けることができる。次のような場合には適切な適用を行うことができる。たとえば、媒体106が、励起源102によって励起される1つの蛍光染料を含んでいる場合か、または、媒体106が、励起源102によって励起される2つの蛍光染料を含んでいる場合が、または、媒体106が既知の減衰係数を有し、かつ、目標面110が既知の色パターンを有している場合か、または、目標面110が、媒体106によって減衰させられる波長で発光する発光面を有している場合である。いくつかの実施形態では、目標面110のベースライン画像(たとえば、媒体106が存在しない場合に得られる画像)を用いて、既知の色パターンを取得することができる。非吸収媒体と媒体106が、類似のまたは同程度の屈折率を有し(すなわち、それらが互いに屈折率整合し)、これによって、ベースライン画像と媒体106を介して取得された任意の画像とができるだけ正確に整列するようにするのが好ましい。カメラまたは他のセンサーが、複合次元画像を形成するために使用される種々のポーズ(姿勢)ないし位置から画像を取得するなどの場合には、ベースライン画像を物体上の種々の視点(見え方)に適合させるために、平行移動、回転、ねじり(反らせたりたわませたりすることを含む)なども利用することができる。しかしながら、適合化されると、この一般的な概念を利用して、目標面110上の対応する複数の位置の方向における複数の厚さ測定値を得ることができる。
別の側面において、コンピューター116は、厚さ測定値を処理して、目標面110の3次元復元物(3次元再構成物)を得ることができる。媒体106の物理的境界に関する情報、ピクセルもしくは他のセンサー測定値に関連する方向性、及びユークリッド幾何学の単純な適用などのいくつかの単純な制約の下で、厚さ測定値を目標面110を表す3次元データセットに変換することができる。この3次元データを、記憶し、表示し、及び、他のコンピュータープロセスに出力することなどができる。媒体106は、図1では概ね長方形の断面形状を有するものとして示されているが、これは、厳密に要求されることではなく、厚さ測定値に基づいて目標面に関する推定を可能にするのに十分な媒体106の表面に関する情報が利用できる場合には、任意の形状の媒体106を利用できることが理解されよう。たとえば、センサー112のレンズを減衰媒体に沈めて(または浸して)、該レンズの表面から物体108までの厚さ測定値を直接的に得るようにすることができる。別の側面において、物体108を、媒体106の槽(または容器)に沈める(または浸す)ことができ、この場合、該槽の上面が既知の位置にあり、該上面から目標面まで、厚み部分が(方向性に基づいて)突き出るようにすることができる。
このプロセスをいくつかのやり方で補足することができる。たとえば、一連の時間分離した測定値を用いて3次元映像を生成することができる。別の側面において、対象とするより大きな領域または物体108全体(の画像)を取り込むために、または、物体108の閉ざされた(または見えなくされた)表面の測定値を得るために、または、他の何らかの理由で、センサー112または物体108を動かす(平行移動させ、回転させ、または、それらの何らかの組み合わせにおる移動をさせる)ことができる。そのような動きを利用した画像化プロセスでは、センサー112、物体108、及び/または媒体106の相対的な位置を、モーションセンサーなどで物理的に追跡することができ、または、該相対的な動きを、3次元レジストレーションプロセス(three-dimensional registration process)を用いて推定し、連続する3次元データセットを互いに空間的に関連付けることができる。特定の方法論に関係なく、個々の空間的測定値または一群の空間的測定値を組み合わせて、より大きな3次元モデルを形成できることが容易に理解されるであろうし、また、当業者には明らかであろう、3次元復元物を生成するためのそのような全ての技術は本開示の範囲内のものであることが意図されている。
別の側面では、コンピューター116は、システム100を制御し及び動作させるためのユーザーインターフェース、並びに、厚さ測定値を表示し、及び復元された3次元モデルを表示しまたは操作するなどのためのツールを提供することができる。
コンピューター116はまた、システム100のキャリブレーション(較正)をサポートすることができ、これによって、たとえば、センサー112、励起源102、及び関連する光学系のばらつき、または、媒体に対する添加物の濃度のばらつきを補正することができる(該添加物は、吸収/散乱/減衰/蛍光を行い、または、該媒体にその他の種々の光学的特性を与える)。(限定ではなく)たとえば、センサー112をシステム100で使用する前に、キャリブレーション器具などを用いてセンサー112の特性を調整できることが理解されよう。さらに、媒体106の吸収スペクトル及び発光スペクトルの制御された測定値を取得することによって、厚さ測定値及び関連する計算値の精度を高めることができることが理解されよう。キャリブレーションは、たとえば、形状及び媒体106内の位置が既知である物体108を使用すること、また、既知の形状を有する媒体用の容器を使用することを含むことができる。既知の形状、大きさ、及び表面パターンの使用に基づく種々の適切なキャリブレーション技術が容易に理解されようが、それらの技術のうちの任意のものを、本明細書に記載されている画像化システムに使用するために適合させることができる。
媒体106の供給源122を設けて、センサー112と目標面110の間に媒体106を分布させるように該供給源122を適合させることができる。供給源122は外部のタンク(または槽)として図示されているが、該供給源は、厚さ測定を可能にするやり方で物体108の周囲に媒体106を配布し及び/または媒体106を保持する任意の構造物として広く理解されるべきであり、本明細書に記載されている用途のために媒体106を供給するのに適合した任意のポンプ、バルブ(弁)、容器、配水管、及び管類などを含むことが理解されよう。
図2は、フルオレセインナトリウム(fluorescein sodium)の発光及び吸収スペクトルを示している。一般に、上記の画像化技術は、2つの異なる蛍光染料を使用するERLIF技術を利用することができる。しかしながら、1側面において、その代わりに、画像化システムを、発光スペクトル204とオーバーラップする(部分的に重なる)吸収スペクトル202を有するフルオレセインナトリウムなどの1つの蛍光染料(または他の物質)を含む媒体を用いて実施することができる。この染料を青色光で励起して、吸収及び減衰がゼロではないオーバーラップしているスペクトル206内にある(たとえば、約510ナノメートルや約540ナノメートルを中心とする)10ナノメートル帯における蛍光画像のペアを取り込むことによって、上記のERLIF技術と同様のやり方で、厚さ計算のための強度値を取得することができる。このように、1実施形態において、本明細書には、1つの蛍光染料を有する媒体を使用する厚さ測定及び/または3次元画像化システムが開示されており、この場合、該染料は、オーバーラップする、非ゼロの発光スペクトル及び吸収スペクトルを有している。
図3は、物体に付加された発光面(発光表面)を用いる3次元画像化システムを示している。一般に、システム300を、この点の違いはあるものの、図1を参照して上述したシステムと同様のものとすることができる。発光層322を物体108の目標面110に付加(または塗布ないし貼付)することができ、発光層322は、センサー112によって測定できる第1の波長及び第2の波長の光を放出することができ、これによって、媒体106の厚さの計算が簡単になる。一般に、センサー112を、目標面110のある位置の方向における該第1の波長及び第2の波長(の光)の強度を得るように配置(または位置決め)することができ、コンピューター116などのプロセッサを、該第1及び第2の波長の強度の関数(または相互関係)に基づいて、該ある位置の方向における媒体の厚さを計算するようにプログラムすることができる。
1側面において、発光層322は、目標面110に付加(または塗布ないし貼付)されるか、または、(たとえば、導波路などを用いて)物体108内に埋め込まれる。発光層322からの放射(光)は、上述したように、戻り光路120に沿って進むことができる。以下の説明では、発光材料の層を明示しているが、それに加えて、または、その代わりに、物体108を発光物質(発光材料)から作製して同様の効果を達成できること、及び、物体108は、発光を行う導波路またはこれに類するものを含むことができることが容易に理解されよう。したがって、本明細書で使用されている「発光層」という用語は、物体108の目標面110に別個の発光物質の層を要するものとして解釈されるべきではない。発光層という用語が別の意味であることが明示されているかまたは文脈から明らかである場合を除いて、物体108を発光性にするための任意の技術は、該用語が本明細書で使用されているように発光層322を生成するものとして理解されるべきである。一般に、発光層322を、適切な力学的性質、光学的性質、及び他の性質によって選択された材料の任意の適切な組み合わせから形成することができる。
発光層322の力学的性質は、発光層322を付加(または塗布ないし貼付)するやり方に依存しうる。たとえば、油またはその他の比較的粘性のある材料は、物体108を浸漬被覆するのに適切でありえ、一方、比較的粘性が低い流体は、目標面110に吹き付けるか塗布するために有効に利用することができる。他の実施形態では、薄膜または他の膜に発光物質を浸透または含浸させることができ(または、該薄膜または他の膜を、発光物質から作製し、または、発光物質でコーティングする(表面を覆う)ことができ)、後述するように、該薄膜または他の膜を用いて、膨張性の膜内に発光層322を形成することができる。該膜を、弾性を有するもの、または変形可能であるもの、または可撓性を有するもの、または曲げやすいもの、または、これらの性質の任意の組み合わせを有するものとすることができ、または、該膜は、物体108の上に適合する(または物体108の形状にしっくりと合う)発光層を形成するのに有効な任意の他の性質を有することができる。
いくつかの実施形態では、発光層322を、物体108の一部または全てを包み込む(または、物体108の一部または全てに巻き付く)ことができる膜とすることができる。この場合、発光層322で周囲を囲まれた物体108を媒体106に導入することができ、任意の数のポーズ(姿勢)ないし位置からの厚さ測定値を、媒体106の内部または外部から取得することができる。したがって、たとえば、物体108が人間の足である場合には、ソックスを発光層322を有する材料で作製することができ、この場合、ソックスの外面に発光層322が配置されるようにする。そして、足の3次元モデルを得るために、足をこのソックスに入れ、次に、該ソックスに入れた足を媒体106の中に入れることができる。このアプローチを、本明細書に記載されている任意の弾性膜または非弾性膜などの膜を目標面の外部の囲いとして用いて3次元画像を得るために、より一般的に利用することができる。したがって、1実施形態において、本明細書には、発光外面を有するソックス(または他の周囲を取り囲んでいる膜)が開示されており、該ソックスに挿入された物体の3次元画像を取り込むために、該ソックスを使用することができる。
発光層322の光学的性質を、適切な添加物を導入ないし添加することによって制御することができる。発光層322は、励起源102からの(光)照射に反応する蛍光染料または他の光放射物質を含むことができる。1つの適切な蛍光物質は、クマリン153(coumarin-153)を含むことができ、クマリン153は、いくつかのプラスチックに非常に良く溶け及び/または拡散することができる粉末であり、好適な蛍光特性を有し、及び、毒性を示さないと見られている。別の側面では、発光層322は、光の直接供給源(光源)として作用する化学発光材料またはエレクトロルミネセンス材料を含むことができる。適切な化学発光材料は、触媒(たとえば鉄や銅)が存在する状態での過酸化水素の溶液、触媒(たとえばサリチル酸ナトリウム)が存在する状態での過酸化水素の溶液中のサイリューム(cyalume)などを含むことができる。種々の液相及び気相の組成物を利用できることが理解されよう。適切なエレクトロルミネセンス材料は、たとえば、銅または銀が添加(ドープ)されている硫化亜鉛粉末、マンガンが添加(ドープ)されている硫化亜鉛薄膜などを含むことができる。より一般的には、種々の化学発光材料またはエレクトロルミネセンス材料が既知であり、それらの材料を、本明細書に記載されている発光層322として使用するために適合させることができる。このように、発光層322は、化学発光層またはエレクトロルミネセンス層、蛍光層、または、それらの何らかの組み合わせを含むことができる。
代替の実施形態では、発光層322は、目標面110上または物体108内に光導波路を含むことができる。光導波路の種々の幾何学的構成ないし配置、モード構造(mode structure)、及び材料が可能であり、それらを、本明細書に記載されているシステムで使用するために適合させることができることが理解されよう。
励起源102は、1以上の波長の光を提供して、発光層322内の蛍光染料及びこれに類するものを励起することができる。他の実施形態では、励起源102を完全に省くことができ、または、代替的に、励起源102を、発光層322から(光)照射を生じさせる化学的なエネルギー源、または電気的なエネルギー源、またはその他のエネルギー源として実現することができる。いくつかの実施形態では、励起源102は、物体108内の導波路に電力を直接供給する電源を含むことができる。他の実施形態では、励起源102は、電界、化学的前駆体(chemical precursor)、または、発光層322を照明するための他の手段を含むことができる。
したがって、発光層322を、種々の異なるキャリア(または担体)及び添加物から形成できることが理解されよう。いくつかの実施形態では、発光層322は、物体108上に吹き付けるかまたは塗布することができる液体キャリア中の蛍光染料などの任意の適切な発光顔料(または発光色素)、または、蛍光物質でコーティングされた(すなわち、表面を覆われた)薄膜または膜、あるいは、蛍光物質を含浸ないし浸透させた薄膜もしくは膜を含むことができる。生体内の画像化の場合は、発光層322を、生体適合性物質で形成することができる。いくつかの実施形態では、発光層322は、生体適合性のある蛍光性金属酸化物ナノ粒子(及び該ナノ粒子を含むコーティング(被膜))、薄膜の可撓性のあるエレクトロルミネセンス源、または、化学発光分子の表面コーティングを有するナノ粒子を含むことができる。
発光層322を有するいくつかの実施形態では、蛍光媒体または他の発光媒体106を必要とせずに、互いに異なる波長の相対的な減衰に基づいて、厚さ計算を行うための適切な強度測定値を得ることができる。所望の減衰特性を実現するために、媒体106は、金ナノ粒子またはナノロッドが均一に分散している透明な液体から形成されたキャリアを含むことができる。金ナノ粒子またはナノロッドは、該ナノ粒子またはナノロッド自体の大きさ及び形状に基づいて調整することができる吸収プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、金ナノ粒子またはナノロッドを、可視光波長の所定帯域内の光エネルギーを他の波長における光エネルギーよりも多く吸収するように調整することができる。金ナノ粒子またはナノロッドのキャリア内の濃度を、媒体106が該所定帯域外で透明である(すなわち、実質的にゼロの減衰を維持する)ように設定することができる。
本明細書には、発光層322の使用に関連する機能を実行するための種々の手段が開示されていることが理解されよう。目標面110に発光層322を付加(または塗布ないし貼付)するための付加手段は、たとえば、ペンキ用のはけ、噴霧器、霧吹き、または、目標面110を浸す(または入れる)ことができる発光層322用の材料の容器を含むことができる。分布手段は、媒体の供給源、及び、物体の周辺の所望の領域に媒体を保持するための任意の構造(たとえば、側壁を有する液体の容器)、または、気体(ガス)状の媒体を保持するための気密性チャンバーを含むことができる。センサー手段は、本明細書に記載されている任意のセンサーを含むことができる。処理手段は、本明細書に記載されている任意のコンピューティング装置または他の処理ハードウェアを含むことができる。
図4は、物体に付加(または塗布ないし貼付)される不動態層(passive layer)を用いる3次元画像化システムを示している。一般に、システム400は、この点の違いはあるものの上述のシステムと同様のものである。不動態層422を物体108の目標面110に付加(または塗布ないし貼付)することができ、これによって、物体108に減衰媒体106と組み合わせて使用できる既知の光学的性質を与えて、種々の波長における強度の測定値に基づいて厚さを決定することができる。
媒体106を、少なくとも2つの異なる波長について互いに異なる減衰係数を提供する上記の1以上の減衰媒体のうちの任意のものとすることができる。励起源102を、厚さ計算に使用される該少なくとも2つの異なる波長を含む波長の範囲(または、複数の波長範囲)にわたって物体108を照明する広帯域光源とすることができる。
一般に、不動態層422を、発光層322について上記した技術の任意のものを用いて構成することができる。これは、吹き付け、塗布、もしくは、他のやり方で不動態層422を物体108に付加すること、または、所望の性質を有する外面を有する物体108を作製することを含む。一般に、不動態層422は、既知の光学的パターンを物体108に与え、これによって、物体108が、対象とする領域にわたって所定の色を有するようにしている。この所定の色を、未知の均一の色、または、既知の均一の色(たとえば特定の色)、または、既知の色分布とすることができる。
動作時には、物体108を励起源102によって照明する(物体108に光を当てる)ことができ、少なくとも2つの波長における強度をセンサー112によって測定することができる。広帯域光源及び物体上の既知の色分布を用いることによって、反射強度の比は、目標面110にわたって一定であると見なすことができる。したがって、測定された強度(以下、測定強度ともいう)の比のばらづきを減衰媒体106の厚さに関連付けることができ、厚さを計算することができる。比を用いることによって、照明源の空間的な不均一性または不動態層の反射率の空間的な不均一性が厚さ計算に与える影響を低減することもできる。
1側面において、不動態層422は、一様でない色を有することができる。これは、たとえば、目標面110の高さが(媒体106の厚さの変動に対応して)かなり大きく変動していることが予期さえる場合に有効である。一般に、媒体106の厚さに対するセンサー112において測定された光の強度の感度は、不動態層422について選択された色を含むいくつかの要因に依存しうる。表面がほぼ平面であることが予期される場合には、厚さ測定値のより高い分解能を達成するために、高い感度が好ましい場合がある。しかしながら、表面の非平面性の程度が大きいことが予期される場合には、センサー112の飽和を回避するために、より一般的には、深度を得るのに十分な被写界深度を提供するために、より低い感度が要求される場合がある。測定される物体108の形状に関して何らかの情報が事前に(または先験的に)利用可能である場合には、この情報を用いて、目標面110に対する適切な対応する選択にしたがって、測定解像度をスケーリングする(増減させる)ことができる。
不動態層422は、上記に加えて、または、上記の代わりに、正確な厚さ測定値を得るのを支援するために選択された他の特性を有することができる。たとえば、マット仕上げ(または艶消し仕上げ)は、目標面110に、さまざまな(またはある範囲の)照明条件にわたってより一貫した(またはより一定の)反射特性を提供することができる。同様に、暗色仕上げ(dark color finish)は、該仕上げがない場合にはセンサー測定値に悪影響を与えることになるであろうところの所定波長の入射光を吸収することができる。
1側面において、既知の色分布を有する目標面から厚さ測定値を得るための本明細書に記載されているシステムは分布手段を含むことができ、該分布手段を、供給源122、または、目標面とセンサーの間に媒体を分布させるための、または、そのように分布した状態に媒体を保持するための上記した他の手段のうちの任意のものとすることができる。このシステムは、上記の光源または他の励起源のうちの任意のものとすることができる照明手段を含むことができる。該システムは、照明手段によって提供された照明に対応する波長強度データを取得するのに適した上記のセンサーのうちの任意のものを含むことができるセンサー手段を含むことができる。最後に、該システムは、波長強度測定値に基づいて厚さを計算するように、及び、さらに、必要に応じて、得られた(1以上の)厚さから3次元画像を復元(再構成)するようにプロフラムされた、本明細書に記載されている任意のプロセッサまたはコンピューティング装置を含むことができる。
1側面において、上記のシステムは、従来のカラー写真機(カラーカメラ)などのカメラを1つ用いて3次元画像化を可能にする点で有利である。上記の種々の実施形態にしたがって、媒体、照明源、及び/または、物体の表面処理を物理的に準備ないし配置することによって、厚さ測定値を、単一のカメラを用いて取得することができ、及び、目標面の3次元画像に幾何学的に変換することができる。したがって、1側面において、本明細書に開示されている3次元画像化装置は、カメラ及びプロセッサを含む。従来のカラー写真機とすることができる該カメラは、第1の波長及び第2の波長における強度を含むある視野の2次元カラー画像を取り込むことができるレンズ及び1以上のセンサーを含むことができる。ここで、該第1の波長及び第2の波長は、上記の波長または波長帯のうちの任意のものとすることができる。2次元画像の各ピクセル位置における強度はレンズから該視野に向かう方向に対応しており、このため、測定に適した方向性を推測して、3次元復元に利用することができる。この場合、上記のコンピューターまたは他の任意の処理装置とすることができるプロセッサは、複数のピクセル位置の各々に対応する方向における媒体の厚さを、該複数のピクセル位置の該各々における第1の波長の強度と第2の波長の強度の関数(または関係)として計算することができ、これによって、複数の厚さ測定値を提供することができる。この複数の厚さ測定値、各ピクセルに関連する方向性などの関連する情報、及び、媒体の幾何学的境界に関する事前に得られた(または先験的な)任意の情報から、プロセッサは、該視野内の物体の3次元画像を計算することができる。
上記のように開示された3次元画像を得る際の単一のカメラの使用は、従来のERLIF技術との関連でも適用できることが理解されるべきである。
センサー112に関して、該カメラは、固体素子(またはソリッドステート素子)内に(または該固体素子をなす)1以上のCMOSセンサーを有する相補型金属酸化膜半導体(CMOS)チップカメラを含むことができ、または、該カメラは、固体素子(またはソリッドステート素子)内に(または該固体素子をなす)電荷結合素子の配列を含むことができる。該カメラは、複数のピクセル位置の各々における第1及び第2の波長の強度を選択的に取得するための任意の数のフィルターを含むことができる。該フィルターは、撮像デバイスに配置された(すなわち、カメラチップまたは他の固体状態(ソリッドステート)撮像デバイスに一体化された)フィルターマスクを含むことができる。たとえば、該カメラは、複数のピクセル位置の異なるそれぞれの位置において異なる波長の強度を選択的に取得するための複数のフィルター(たとえば、従来のRGBまたはCMYフィルターマスク)、または、厚さ計算で使用される特定の波長を選択的に取り込むための複数のフィルターを含むことができる。それらのフィルターは、上記に加えて、または、上記に代えて、外部フィルター素子または外部フィルターシステムを含むこともでき、また、動作中にフィルター特性の調整を可能にする能動フィルター、または、カメラレンズの前に手作業で配置されるダイクロイックミラー(二色性ミラー)もしくはこれに類するものなどの固定フィルターを含むことができる。
該カメラは、市販されている機器に典型的に見られるように、RGB(赤、緑、青)またはCMY(シアン、マゼンタ、イエロー)カラー画像を取り込むことができ、または、他の任意の有用な狭い範囲または広範囲の波長を取り込むことができる。媒体が気体である1実施形態では、該カメラを目標面と共に該気体中に入れる(または該気体にさらす)ことができ、この場合、厚さ測定値を、該カメラのレンズから物体の表面のある位置までの全距離とすることができる。(一般的に上述した)光源または他の励起源を含めることもでき、該光源は、特定の媒体に適した任意のフィルターまたはフィルターの組み合わせを含むことができる。そのようなフィルターは、たとえば、1以上の波長を選択的に通過させて蛍光物質を励起するために、または、蛍光波長の光を減衰させて、目標面または間にある媒体からの蛍光放射を妨害しないようにするために有効でありうる。
別の側面において、上記の画像化システムで使用するのに有用な媒体が開示されている。一般に、それらの媒体は、上記のシステムでの使用に特別に考案されたものであって、市販されていないかまたは本技術分野では触れられていない(減衰または蛍光用の)キャリアと他の物質との任意の組み合わせを含んでいる。
たとえば、1側面において、本明細書に記載されている組成物は、透明な液状媒体から形成されたキャリア、及び、該キャリア内に均一に分布している複数の金ナノ粒子を含んでいる。有利なことに、本明細書に記載されている厚さ測定及び3次元画像化を容易にするために、金ナノ粒子を、可視光波長の所定帯域内の光エネルギーを吸収するように調整することができる。
複数の金ナノ粒子を、該複数の金ナノ粒子の形状を用いて調整することができ、及び/または、複数の金ナノ粒子を、該複数の金ナノ粒子の大きさを用いて調整することができる。複数の金ナノ粒子のキャリア内における濃度を、組成物が該所定の帯域外でゼロの減衰を有する(すなわち、該所定の帯域外の波長を全く減衰させない)ように設定することができる。該所定の帯域を、450ナノメートル〜550ナノメートルとすることができる。キャリアを、油、ゲル、ガス(気体)、及び液体のうちの1以上とすることができ、画像化される対象物及び利用する画像化技術に応じて有効に選択することができる。1側面では、キャリアはシリコン油を含むことができる。対象物を鋳造物とすることができ、または、他の点でゲルが有効が媒体として機能する別の側面では、キャリアは、グリセロール、より一般的には、任意のゼラチン、グリセロール、及び、それらの種々の溶液もしくは他の調合物もしくは配合物、または、類似ないし同様の特性を有する任意の他の物質もしくは物質の組み合わせを含むことができる。他の実施形態では、キャリアを硬化性のものとすることができる。キャリアは、ポリマーまたはポリマーの混合物、または、目標面に適合(たとえば、ぴったりと密着)させてから、たとえば、化学硬化、熱硬化、光硬化、時間硬化(time curing)などを用いて硬化させることができる任意の他の硬化性物質を含むことができる。キャリアを生体適合性のものとすることもでき、これによって、人間の歯や人間の外耳道などの対象物の生体内の画像化に対してキャリアを安全に使用できるようにすることができる。
別の側面において、媒体は、透明な液状媒体で形成されたキャリア、及び、該キャリア内に均一に分布している染料を含むことができる。染料を、吸収スペクトルと発光スペクトルを有する単一の蛍光染料(該蛍光染料は、該吸収スペクトルの範囲の光を吸収し、該発光スペクトルの蛍光を発する)から構成することができ、該吸収スペクトルと該発光スペクトルは、少なくとも1つのゼロではないオーバーラップ領域(重複領域)を有する。この単一染料構成は、媒体に必要とされる蛍光染料の数を1つという数に少なくすることによって、キャリア、たとえば従来のERLIFで使用されるキャリアを改良する。本出願人は、画像化用のハードウェア(または機器)を改造し、及び、適切な数学的手法を開発することによって、単一の蛍光染料を含む媒体を用いて画像を取得するための技術を発明した。したがって、本明細書における、単一の染料、単一の蛍光染料、単一の蛍光物質、またはこれに類する表現の使用は、厳密に1つの蛍光物質、すなわち、ただ1つだけの蛍光物質を意味することが意図されており、単一の蛍光物質を使用することは、従前のERLIF画像化技術とは大きく異なり、かつ、該ERLIF画像化技術に対する大きな進歩を提供するものである。
キャリアを、油、ゲル、ガス(気体)、及び液体のうちの1つ以上とすることができる。たとえば、キャリアは、シリコン油またはグリセロールを含むことができる。染料を、フルオレセインナトリウムとすることができる。キャリアを、一般的に上記したように硬化性のものとすることができ、キャリアを生体適合性のあるものとすることができる。1実施形態では、染料をシリカナノ粒子に封入することができる。かかる組成物(または合成物)は、可視光内にピークを有する吸収スペクトルを有することができ、この場合、該ピークは、極大値(局所的な最大値)である場合もあれば、絶対最大値(全範囲でみた場合の最大値)である場合もある。同様に、該組成物は、可視光範囲内にピークを有する発光スペクトルを有することができる。
図5は、物体の目標面に付加(たとえば塗布や貼付などによる付加。以下同じ)された発光層を用いて3次元画像化を行うための方法のフローチャートである。
方法500は、ステップ502に示すように、目標面に発光層を付加することから開始することができる。蛍光層、化学発光層、及びエレクトロルミネセンス層などとすることができる発光層を、吹き付け、塗布、及び浸漬被覆を含む上記の任意の技術を用いて、または、物体を蛍光材料から作製することによって、付加することができる。たとえば、これは、目標面に、蛍光層を、液体キャリア内の蛍光顔料として付加することを含むことができる。発光層は、たとえば上記の任意の励起源または他の刺激に応答して、第1の波長及び第2の波長の光を放出することができる。他の実施形態では、発光層は、たとえば蛍光に起因して、第1の波長の光を放出して、第2の波長の光を反射することができ、この場合、該第1の波長と該第2の波長は、周囲の媒体の厚さ測定値を得るために使用される。
ステップ504に示すように、方法500は、上記の任意の媒体などの媒体を、発光層とセンサーの間に分布させることを含むことができる。これは、物体とセンサーの間に媒体を置く(たとえば、液状の媒体を物体が入った容器に注ぐ)ための、または、物体を媒体に浸す(または埋める)ための、または、ガスを物体が入ったチャンバーに供給するための種々の技術を含むことが理解されよう。別の側面において、これは、バルーン、空気袋、またはその他の膨張性の膜を蛍光染料を含んでいるガスで膨らませ、その後、該膨張性の膜にセンサーを挿入すること含むことができる。別の側面において、これは、上記のように媒体を分布させる前にソックスまたは他の筐体(または密閉容器)に物体を挿入することを含むことができる。
いくつかの実施形態では、媒体を収容しているバルーンまたはこれに類するものを、物体に押し付け、または物体上に置き、またはその他のやり方で物体に接触させることができ、これによって、該バルーン等を目標面に適合させる(たとえば密着させる)ことができる。本明細書に記載されている任意の技術を用いて、バルーンに対する目標面の3次元の型(または彫り形)を得るために、かかる配置状態におけるバルーンの内部を使用することができる。したがって、本明細書に記載されている内部空洞(内部キャビティ)を測定するため技術を、上記に加えて、または、上記に代えて、任意の表面の測定に適合させることができることが理解されよう。1側面において、膨張性の膜を配置する装置をこの目的のために特別に適合させることができるが、これは、たとえば、膨張性の膜を円錐形状物(これは、該膜に沿った密封された内部を形成することもできる)内で膨らませるか、または、膨張性の膜を物体に押し付けるのを容易にする支持用ハンドル(取っ手など)の端部で該膨張性の膜を膨らませることによって行うことができる。
ステップ506に示すように、方法500は、発光層が、反射光及び/または放射光の何らかの組み合わせを提供するように、発光層を励起することを含むことができる。上述したように、これは、目標面から反射した励起源からの1以上の波長の光、及び/または、蛍光、エレクトロルミネセンス、化学発光、または、ステップ502に関して述べたように発光層が光を放出するようにする他の任意の適切なメカニズムに起因して発光層から放射される1以上の波長の光を含むことができる。発光層は、励起光源に応答して第1の波長及び第2の波長の光を放出する蛍光層を含むことができ、これによって、本明細書に記載されている発光層を励起することは、蛍光層を励起光源で励起して蛍光層から蛍光放射を提供することを含む。発光層を、該第1の波長及び該第2の波長以外の1以上の波長の光を提供する広帯域光源もしくは任意の他の光源などの励起源で励起することができる。励起光源は、上記に加えて、または、上記に代えて、1以上のレーザー、1以上の発光ダイオード、白熱灯などを含むことができる。別の側面において、導波路を物体または目標面に組み込んで、該導波路が発光層として直接作用するようにすることができる。
ステップ508に示すように、方法500は、センサーに対する目標面のある位置の方向における第1の波長の(光の)強度及び第2の波長の(光の)強度を測定することを含むことができる。この場合、該センサーを、たとえば上記の任意のセンサーとすることができる。
ステップ510に示すように、方法500は、第1の波長の(光の)強度と第2の波長の(光の)強度の関数(または関係)に基づいて、該位置の方向における媒体の厚さを決定することを含むことができる。波長の強度と厚さとの実際の関係は、発光層の性質、媒体による種々の波長の減衰係数(種々の波長に対する媒体の減衰係数)、励起源(が発する光)の強度などの種々の要因に依存しうることが理解されよう。センサーが、(目標面上の複数の位置にそれぞれ対応する)複数のピクセル位置からの測定値を提供する場合には、そのような強度測定値の2次元配列を用いて、厚さ計算値の2次元配列を得ることができる。
以下、蛍光面を用いて厚さを計算ないし決定するより詳細な解析的手法を説明する。蛍光スペクトルの一部が、該蛍光スペクトルの他の部分よりも多く吸収されるように、目標面の蛍光特性及び吸収媒体の特性を選択することができる。たとえば、波長λ
1とλ
2を中心波長とする2つの波長強度帯域(波長強度帯域を、本明細書では単に強度ともいう)が測定される場合には、媒体の吸収係数ε
λ1とε
λ2は異なるはずである。λ
1を中心とする帯域が優先的に吸収される帯域である場合には、ε
λ1>ε
λ2である。蛍光面から、媒体内で該蛍光面と距離dだけ離れて配置されたイメージセンサー(または、蛍光面から、媒体を距離dだけ通過して該媒体の外部にあるセンサー)まで進む両方の波長帯域の正規化された測定強度を以下の式で記述することができる。
蛍光面におけるこれらの帯域の強度I
λ1,x=0及びI
λ2,x=0は、該表面の蛍光特性及び励起光のスペクトル及び強度に純粋に依存する。励起強度のばらつきによって、該表面における蛍光の強度が変わりうるが、I
λ1,x=0とI
λ2,x=0の比の変動は無視してよいであろう。したがって、式1及び式2から正規化された強度の比をとって、媒体の深さ、濃度、及び吸収係数にのみ依存する式を得ることができる。
強度比は、媒体を通過する距離が長くなるにしたがって指数関数的に減少することがはっきりとわかる。この関係は、媒体の厚さの計算を可能にする。実際上は、動作しているシステムから較正された厚さ測定値を提供するために、実際の測定値を取得して、該測定値を任意の適切な技術を用いてこの関係に当てはめることができることが理解されよう。
ステップ512に示すように、方法500は、目標面の3次元画像を復元(再構成)することを含むことができる。これは、たとえば、強度測定値から計算された媒体の厚さと共に種々の幾何学的制約のうちの任意のものを用いて、センサー112からの複数の測定値から対象とする領域の3次元画像を構築することを含むことができる。幾何学的制約は、たとえば、媒体の少なくとも1つの既知の表面などの媒体の境界に関する任意の空間的情報を含むことができ、該空間的情報を1以上の厚さ測定値(及び厚さの方向)と組み合わせて、目標面上のポイントを得ることができる。該少なくとも1つの既知の表面を、本明細書に記載されている種々の実施形態における種々の表面のうちの任意のものとすることができ、この場合、該表面(より具体的には、該表面と媒体との境界)に関する空間的情報は既知であることが理解されよう。したがって、たとえば、既知の表面を、液体状の媒体を収容しているタンク(容器)の露出した上面とすることができ、または、媒体の透明容器の内部側面もしくは底面とすることができる。該既知の表面は、上記に加えて、または、上記に代えて、カメラのレンズ、または、センサーをガス状媒体から分離する他の光学素子を含むことができる。より一般的には、既知であるかまたは測定することができる媒体の任意の空間境界は、本明細書に開示されている種々の方法及びシステムにおいて記載されている3次元復元で使用される該少なくとも1つの既知の表面として機能することができる。さらに、任意の数の3次元画像を、レジストレーション(たとえば、画像の位置合わせまたは重ね合わせ)などを用いて組み合わせることによって、目標面の一部または全部の複合3次元画像を形成することができる。
上記の方法500に対して、特定の画像化技術に適合された変形を含む種々の変形が可能であることが理解されよう。たとえば、媒体としてガスが使用される場合には、方法500は、目標面とセンサーの間に透明なバリア(障壁)を提供して、該ガスを目標面に対して保持することを含むことができる。たとえば、物体を、透明な気密チャンバー内に配置して、蛍光ガス(蛍光性のガス)で満たすことができる。該チャンバーの外側から得られた厚さ測定値を、該チャンバーの内部寸法に関する情報と共に用いることによって、一般的に上述したように、物体上の目標面の3次元復元物を得ることができる。別の側面において、方法500は、光強度測定値を取得するために、目標面を液体に浸して、センサーを該液体の上面の上に配置することを含むことができる。そのような実施形態では、該液体の上面の位置を容易に決定することができ、該位置を、厚さ測定値を3次元復元物に変換するための基礎として使用することができる。
より一般的には、上記の方法500は1例として説明されたものであって、それに限定されないことが理解されよう。当業者には、多くの変形、追加、省略、及び他の変更が明らかであろうが、そのような全ての変更は、本開示の範囲内のものであることが意図されている。さらに、本明細書及び図面におけるこれらのステップの順番または提示は、特定の順番が必要であることが明示されているかまたは文脈から明らかである場合を除いて、記載されているステップを提示された順番で実行することを要求するものではないことが意図されている。
したがって、たとえば、発光層を付加するやり方に依存して、媒体を目標面とセンサーの間に分布させる前かまたは後に、該発光層を該目標面に付加することができる。別の例では、媒体を目標面とセンサーの間に分布させることができ、または、目標面を液体状の媒体のタンク(容器)に浸すことができるが、これは、媒体を該面に対して配置して正確な厚さ測定値を得るという目的と同じ目的を達成する。別の例では、これは、目標面が入っている液体の容器にカメラを挿入することを含むことができ、この場合、厚さ測定をカメラのレンズ位置を起点とすることができる。別の例では、これは、媒体の他の境界情報、たとえば、液体表面の位置及び透明な障壁の位置(これらの位置を介して媒体を測定することができる)などを提供することを含むことができる。別の例では、発光層を励起することは、蛍光、燐光、エレクトロルミネセンス、及び化学発光などによって該面上の発光層を活性化させることを含むことができる。
図6は、単一の蛍光染料を用いて3次元画像化を行うための方法のフローチャートである。
ステップ602に示すように、方法600は、媒体を目標面とセンサーの間に分布させることを含むことができ、この場合、該媒体は、媒体の非ゼロの吸収スペクトルと波長がオーバーラップする蛍光発光スペクトルを有する単一の蛍光物質を含んでいる。該媒体は、たとえば、第2の波長においてゼロの吸収を有することができる。該単一の蛍光物質を、上記の発光スペクトル及び吸収スペクトルを有するフルオレセインナトリウムとすることができる。この蛍光物質またはこれに類似する蛍光物質を用いて、第1の波長を約510ナノメートルとすることができ、第2の波長を約540ナノメートルとすることができる。別の実施形態では、該単一の蛍光物質は、量子ドット、または、入射電磁放射に反応ないし応答して光を放出する他の発光体(scintillant)を含むことができる。種々の実施形態において、該媒体は、液体、ガス(気体)、固体、及び/またはゲルを含むことができ、この場合、適切な変更ないし適合化が関連するハードウェアに対してなされる。たとえば、媒体がガスである場合には、方法600は、上記の透明な障壁または他の筐体(または密閉容器)を提供することを含むことができる。媒体が液体の場合には、方法600は、目標面を該液体に浸して(または沈めて)、センサーを該液体の上に配置することを含むことができる。
ステップ604に示すように、方法600は、該単一の蛍光物質を励起して蛍光発光をもたらすことを含むことができる。これは、たとえば、広帯域光源または1以上の発光ダイオード(からの光)を、蛍光染料に向けること及び/または目標面の方向に向けることによって行われる。
ステップ606に示すように、方法600は、目標面のある位置の方向における蛍光発光をセンサーで測定することを含むことができ、これは、第1の波長の強度と第2の波長の強度を測定することを含み、媒体は、該第1の波長と該第2の波長とで異なる吸収係数を有している。2次元のピクセル配列を有する従来のカメラもしくは他のセンサーデバイスが使用される場合には、蛍光発光を測定することは、センサー内の複数のピクセル位置にそれぞれ対応する位置にある目標面の複数の位置から、該第1の波長の強度及び該第2の波長の強度を測定することを含むことができ、これによって、厚さ測定値の2次元配列を提供することができる。
ステップ608に示すように、方法600は、該第1の波長の強度と該第2の波長の強度の関数(または関係)に基づいて、該位置の方向における媒体の厚さを決定することを含むことができる。これは、たとえば、該第1の波長の強度と該第2の波長の強度の比を計算することを含むことができる。
吸収スペクトルと発光スペクトルがオーバーラップする蛍光物質を含む媒体を用いて3次元画像化が実行される場合には、媒体が、波長λ1とλ2を中心波長とする2つの蛍光波長帯域の一方を他方よりも優先的に自己再吸収する限り、該2つの蛍光波長帯域の強度比を取ることによって、厚さを求めることができる。λ1を中心とする帯域だけが自己再吸収される場合には、ελ1は何らかの正の有限値であり、ελ2は0にほぼ等しい。
センサーから距離xだけ離れた(または、媒体中へと距離xだけ進んだ)任意のポイント(地点)において、励起光の強度Ie(x)は、
によって与えられる。ここで、I
0=Ie(0)は、センサーの位置における励起強度であり、ε
λeは、励起波長λeにおける媒体の吸収係数である。
媒体内における、波長λ
1とλ
2を中心とする2つの波長帯域の微分要素による蛍光発光(の強度)は、
によって与えられる。ここで、φは、媒体の量子効率、すなわち、吸収されるエネルギーに対する放出されるエネルギーの比であり、η
1及びη
2は、2つの波長λ
1とλ
2における媒体の相対的な発光強度(または発光量)である。ε
λ1>0で、ε
λ2が0にほぼ等しい場合には、該第1の波長帯域は(少なくとも部分的に)吸収されるであろうが、該第2の波長帯域は吸収されないであろう。励起光の強度がどの蛍光発光の強度よりもはるかに大きい場合には、再吸収される波長帯域と再吸収されない波長帯域のいずれの強度の増加も無視できる。したがって、λ
1帯域の再吸収を含む微分(または差分)蛍光強度式を次のように書くことができる。
センサーからのある特定の方向において、該センサーから距離dだけ離れた位置における(または、媒体を距離dだけ通過した位置における)蛍光強度を計算するために、これらの式をx=0からx=dまで積分して、
を得ることができる。
深さと測定波長との関係を得るために、次のように、これら2つの蛍光測定値の比をとることができる。
この関係によって、媒体の厚さを計算することが可能になる。実際上は、動作しているシステムから較正された厚さ測定値を提供するために、実際の測定値を取得して、該測定値を任意の適切な技術を用いてこの関係に当てはめることができることが理解されよう。
ステップ610に示すように、方法600は、媒体または容器の既知の境界などの種々の幾何学的制約のうちの任意のものを、強度測定値から計算された媒体の厚さと共に用いて、センサーからの複数の測定値から対象とする領域の3次元画像を構築することを含むことができる。さらに、いくつかのそのような3次元画像を、レジストレーション(たとえば、画像の位置合わせまたは重ね合わせ)などを用いて組み合わせることによって、目標面の一部または全部の3次元画像を形成することができる。
上記の方法600は、1例として説明されたものであって、それに限定されないことが理解されよう。当業者には、多くの変形、追加、省略、及び他の変更が明らかであろう。さらに、本明細書及び図面におけるこれらのステップの順番または提示は、特定の順番が必要であることが明示されているかまたは文脈から明らかである場合を除いて、記載されているステップを提示された順番で実行することを要求するものではないことが意図されている。したがって、たとえば、媒体を目標面とセンサーの間に分布させる前に、蛍光面または他の発光面を励起することができ、または、蛍光物質を燐光物質で容易に代用することができる。そのような全ての変更は、本開示の範囲内のものであることが意図されており、本開示は、それらの変更に限定されない。
図7は、吸収に基づいて3次元画像化を行うための方法のフローチャートである。この方法700では、目標面上の所定の色を広帯域光源と組み合わせて用いて、2つの異なる波長における反射光を得る。該2つの異なる波長のうちの一方は、他方よりも間にある媒体によって多く吸収される。種々の所定の色を使用することができる。たとえば、該色を特定の色(たとえば青色)とすることができ、または、該色が目標面全体にわたって均一ないし同一である場合には、該色を未知の色(またはなじみのない色)とすることができる。他の実施形態では、異なる測定尺度または測定ゲインを提供するなどのために、既知の色分布を使用することができる。
ステップ702に示すように、方法700は、媒体を目標面とセンサーの間に分布させることから開始することができ、この場合、該目標面は、対象領域にわたって所定の色を有しており、該対象領域を、物体の目標面内の任意の領域とすることができる。該媒体を、第1の波長において第1の減衰係数を有し、第2の波長において、該第1の減衰係数とは異なる第2の減衰係数を有するものとして特徴付けることができる。該第1の減衰係数をゼロとすることができ、より一般的に、該第2の減衰係数よりも小さな任意の値とすることができる。
センサーを、該第1の波長及び該第2の波長における(光の)強度を取得するのに適した上記のセンサーのうちの任意のものとすることができる。1側面において、該センサーをCCDアレイまたはこれに類するものとすることができ、それらのCCDアレイは、センサー内の複数の位置のそれぞれに対応する位置にある対象領域内の複数の位置のそれぞれから該第1の波長の強度及び該第2の波長の強度を測定し、これによって、厚さ測定値の2次元配列を提供する。
1側面において、媒体を、固体、液体、ゲル、またはガス(気体)などの上記の媒体のうちの任意のものとすることができる。媒体は、該第1の波長における減衰係数と該第2の波長における減衰係数が異なる任意の物体または物体の組み合わせを含むことができる。媒体がガスの場合には、方法700は、該ガスを目標面に対して保持するために、透明な障壁を目標面とセンサーの間に提供することを含むことができる。媒体が液体の場合には、方法700は、目標面を該液体に浸して(または沈めて)、センサーを該液体の上面の上に配置することを含むことができる。
ステップ704に示すように、方法700は、広帯域光源、レーザー、または1以上の発光ダイオード、より一般的には、反射された波長をセンサーで取り込むことができるように、対象領域内の位置を照明することができる任意の励起源などによって、該位置を照明することを含むことができる。別の側面において、該位置を照明することは、目標面にある化学発光物質、エレクトロルミネセンス物質、及び光導波路のうちの1以上で照明することを含むことができる。照明源が目標面上または物体内に配置されている場合には、該照明源自体が該所定の色(厚さ計算はこの色に基づく)を与えることができることが理解されよう。
ステップ706に示すように、方法700は、該位置の方向における該第1の波長の強度及び該第2の波長の強度をセンサーで測定することを含むことができる。方法700は、上記のセンサーフィルターのうちの任意のものを用いることなどによって、媒体とセンサーの間の1以上の波長の光をフィルタリングすることを含むことができる。方法700は、これに加えて、または、これの代わりに、広帯域光源(からの光)をフィルタリングまたは整形し、または、媒体内で減衰させるためなどの種々の任意の目的で、1以上の波長の光を減衰させ、これによって、ピクセル位置における追加の厚さ測定値を提供することにより、全体の精度を改善するために使用できる、他の波長における追加の測定を可能にすることを含むことができる。
ステップ708に示すように、方法700は、たとえば、該第1の波長の強度と該第2の波長の強度の比を計算して、この関係を用いて厚さを決定することによって、該第1の波長の強度と該第2の波長の強度の関数(または関係)に基づいて、該位置の方向における媒体の厚さを決定することを含むことができる。この状況における厚さ計算に関するより詳細な解析的手法を以下で説明する。
本明細書に記載されている吸収に基づく方法では、波長λ1とλ2を中心波長とする2つの波長強度帯域を選択することができ、この場合、一方の帯域が他方の帯域よりも優先的に吸収されるように、媒体の吸収係数ελ1とελ2は異なる(換言すれば、所望のそれぞれの波長の吸収率が異なるように媒体を選択することができる)。照明源は、波長λ1及びλ2を含むことができ、該面は、それら2つの帯域をセンサーに向かって容易に反射するようにする特性を有することができる。該面が既知の均一の色(または同一色)または既知の色パターンを有している場合には、強度の比は、媒体の厚さとともに予測可能に変化するであろう。
かかる状況において3次元の幾何学的形状ないし配置を計算する場合には、センサー及び照明源の幾何学的形状ないし配置を考慮する必要がある。なぜなら、照明源からの光が吸収媒体中を進み始めるやいなや、それらの(照明源からの)波長が吸収されるからである。一番単純な例は、同軸の画像化用(または結像用)の光学縦列と照明源を含んでいる。ここで、吸収を受ける距離は、センサーから該面まで(または、媒体の境界から目標面まで)の距離の2倍に等しい。したがって、式3は、次のようになる。
ここで、R1、R2は、それぞれ、波長λ1、λ2における該表面の反射率である。強度比は、媒体中を通る距離が大きくなるにつれて指数関数的に減少するので、この関係によって、媒体の厚さ(または媒体を通過した距離)を計算することが可能になる。実際上は、動作しているシステムから較正された厚さ測定値を提供するために、実際の測定値を取得して、該測定値を任意の適切な技術を用いてこの関係に当てはめることができることが理解されよう。
ステップ710に示すように、方法700は、目標面の3次元画像を復元(再構成)することを含むことができる。これは、たとえば、(センサー測定値の2次元配列などから得られた)厚さ測定値の2次元配列を用いて対象領域の3次元画像を構築することを含むことができる。これは、さらに、複数の3次元画像のレジストレーション(たとえば、それらの画像の位置合わせまたは重ね合わせ)を行うか、または、他のやり方で該複数の3次元画像を組み合わせることなどによって、対象とする複数の領域の複数の3次元画像から目標面の3次元画像を構築することを含むことができる。
上記の方法700は1例として説明されたものであって、それに限定されないことが理解されよう。当業者には、多くの変形、追加、省略、及び他の変更が明らかであろう。さらに、本明細書及び図面におけるこれらのステップの順番または提示は、特定の順番が必要であることが明示されているかまたは文脈から明らかである場合を除いて、記載されているステップを提示された順番で実行することを要求するものではないことが意図されている。したがって、たとえば、システムは、精度を改善するために、媒体中におけるまたは媒体を通過する3つ以上の異なる波長の強度を測定することができる。別の例として、3次元復元は、媒体を保持する画像化用チャンバー内の任意の数の基準を用いて媒体の1以上の境界面の位置を特定する(または該境界面を配置する)ことを含むことができる。別の例では、特定の波長を選択的に吸収する介在する媒体を使用せずに、目標面のカラー画像を取得することによって、目標面の色または色パターンを事前に決定することができる。選択的吸収性を有する媒体が目標面とセンサーの間に導入されると、このベースライン画像は、後続の厚さ計算に必要な事前決定された色パターンを提供することができる。カラー画像を、たとえば、厚さ計算用の強度データを取得するために使用するのと同じ(1以上の)センサーから、または、別個のカラー写真機(カラーカメラ)などから得ることができる。そのような全ての変更は、本開示の範囲内のものであることが意図されており、本開示は、それらの変更に限定されない。
図8は、上述の技術を用いて3次元画像化を行うためのコンピューターによって実施される方法を示している。方法800を、たとえば、1以上のコンピューティング装置によって実行されると、(図8に)記載されているステップを実施する、コンピューター読み取り可能媒体において具現化されているコンピュータープログラム製品として実施することができる。
ステップ802に示すように、方法800は、目標面上の対象領域に所定の色(事前に決定された色)を提供するために、該対象領域を覆う色を特徴づけることから開始することができる。この実施形態において説明されている厚さ計算を実行するために、計算は、目標面の既知の色(より具体的には、2以上の特定の波長(の光)の既知の反射率。これら2つの若干異なる概念は、今の説明の目的のためには同じと見なされる)を利用する。目標面の色が既知の均一色(または同一色)である場合には、該所定の色を、コンピューターメモリにおいて、目標面全体についての色(たとえば、測定された色の特定の波長またはRGB成分)を記述する1以上のスカラー値、または、測定される2つの波長における該表面の反射率を記述する1以上のスカラー値として特徴付けることができる。変化する(すなわち一様ではない)パターンなどが使用される場合には、該所定の色を、目標面上の色パターンの空間的分布を特徴付ける配列として記憶することができる。
ステップ804に示すように、方法800は、目標面とセンサーの間に分布している媒体の第1の波長における第1の吸収係数及び第2の波長における第2の吸収係数と特徴づけることをさらに含むことができる。これらの値を用いて、目標面からセンサーへと反射された光の(予測される)減衰を評価し、これによって、厚さを計算できるようにする。一般に、減衰係数を、媒体、及び、該媒体に混合された任意の物質もしくはその他のやり方で該媒体中に分布させた任意の物質に基づいて想定することができ、または、減衰係数を、キャリブレーション(較正)プロセスなどにおける任意の適切な技術を用いて測定することができる。
ステップ806に示すように、測定値をセンサーから受け取ることができ、この場合、該センサーを、光検出器、ピクセルアレイ(pixel array)、または、対象領域内のある位置の方向における強度を取得する上記のその他のセンサーのうちの任意のものとすることができる。後続の計算で使用するために、該第1の波長における強度及び該第2の波長における強度の測定値を信号としてプロセッサ(または、プロセッサに関連付けられた記憶装置)に提供することができる。
ステップ808に示すように、方法800は、該第1の波長の強度と該第2の波長の強度の関数(または関係)に基づいて、該位置の方向における媒体の厚さを計算することを含むことができる。適切な計算については上述している。
ステップ810に示すように、及び、より一般的に後述するように、目標面の3次元復元物を得ることができる。この復元プロセスでは、たとえば、厚さ測定値、関連する方向性、及び媒体(該媒体の厚さ方向の測定値が得られる)の幾何学的構成(大きさ、形状、配置など)に関する情報の組み合わせを用いて、厚さ測定値を、目標面の3次元画像に変換することができる。任意の適切なレジストレーション技術を用いて、個々の3次元画像を、複合3次元画像に統合することもできる。
上記の方法800は1例として説明されたものであって、それに限定されないことが理解されよう。当業者には、多くの変形、追加、省略、及び他の変更が明らかであろう。さらに、本明細書及び図面におけるこれらのステップの順番または提示は、特定の順番が必要であることが明示されているかまたは文脈から明らかである場合を除いて、記載されているステップを提示された順番で実行することを要求するものではないことが意図されている。したがって、たとえば、目標面の色を特徴づけることは、(介在する減衰媒体を使用せずに)表面の特徴に関する十分な情報を提供する分光機器で目標面を画像化して、減衰に基づく厚さ測定を可能にすることを含むことができる。さらに、色及び減衰係数の特徴付けを、波長固有の強度情報を取得する前、または該情報を取得している間、または、該情報を取得した後に実行することができる。そのような全ての変更は、本開示の範囲内のものであることが意図されており、本開示は、それらの変更に限定されない。
図9は、単一のカメラを用いて厚さを測定するための方法を示している。図9に関して説明する方法900を、カメラ、及び該カメラに結合されて説明されているように動作するプロセッサで具現化でき、または、方法900を、コンピューティング装置で実行されると記載されているステップを実施するコンピューター実行可能コードを含むコンピュータープログラム製品で具現化できることが理解されよう。
ステップ902に示すように、方法900は、カメラからカラー画像を受け取ることから開始することができる。該カメラを、たとえば、任意の市販されているカラーカメラとすることができ、この場合、該カラーカメラは、たとえば、赤の波長、緑の波長、及び青の波長における強度測定値を含む2次元画像を提供するものである。この代わりに、該カメラを、シアンの波長、マゼンタの波長、及びイエローの波長における強度測定値を含む2次元画像を提供する市販のカラーカメラとすることができる。実際には、そのような強度測定値の各々は、対応するセンサーによって検出されたある範囲にわたる波長の強度を表すことができ、それは、該カメラのフィルター、センサーの感度、及び、他のハードウェア及び処理特性にしたがって、それぞれ、赤、緑、青の中心周波数を中心とする比較的広帯域のまたは比較的狭帯域の測定値でありうることが理解されよう。2次元画像は、赤、緑、及び青の画像の各々ついてのピクセル値からなる3つの配列などの任意の数の形態をとりうる。
ステップ904に示すように、方法900は、カラー画像を処理して、第1の波長における強度及び第2の波長における強度を、該カメラの複数のピクセルの各々について決定することを含むことができる。カメラが、フィルターを対応して使用することなどによって、対象とする波長における直接測定を提供する場合には、後続の厚さ計算においてそれらの値を直接使用することができる。一方、カメラがRGBまたはCMYデータを提供する場合には、画像に含まれている個別の色値から対象とする波長を推測することができる。
ステップ906に示すように、方法900は、該第1の波長における強度及び該第2の波長における強度、並びに、該第1の波長及び該第2の波長の各々に対する媒体の既知の減衰係数に基づいて、複数のピクセルの各々に対応するカメラからの方向における媒体の厚さを計算することを含むことができる。より一般的には、上記の任意の技術を、従来のカラーカメラ及び適切な対応する処理と共に利用して、本明細書に記載されているように厚さ測定値を取得することができる。
ステップ908に示すように、方法900は、上記の任意の技術を使用することなどによって、目標面の3次元復元を行うことを含むことができる。ステップ908を、厚さ計算を行うのと同じプロセッサによって実行することができ、または、厚さデータを、他の幾何学的情報(媒体の境界情報など)とともに厚さデータを取得して、目標面の3次元画像を復元する別のプロセス、プロセッサ、またはマシンに転送することができる。1実施形態では、厚さ計算値を、カメラ及びプロセッサを含み、及び、たとえば後続の3次元復元を実行するデスクトップコンピューターで使用するために、厚さ計算値の配列を出力として提供する単一の装置に有効に組み込むことができる。
上記の方法900は1例として説明されたものであって、それに限定されないことが理解されよう。当業者には、多くの変形、追加、省略、及び他の変更が明らかであろう。さらに、本明細書及び図面におけるこれらのステップの順番または提示は、特定の順番が必要であることが明示されているかまたは文脈から明らかである場合を除いて、記載されているステップを提示された順番で実行することを要求するものではないことが意図されている。そのような全ての変更は、本開示の範囲内のものであることが意図されており、本開示は、それらの変更に限定されない。
別の側面において、本明細書に記載されているシステムは、カラー画像を撮像ないし取得するための上記のカメラまたは類似の任意のセンサーまたはセンサーの集合などの画像化手段、及び、上記のデータ処理ステップを実行するようにプログラムされた本明細書に記載されている任意のプロセッサなどを含む処理手段を含むことができる。
図10は、本明細書に記載されている技術を、人間の外耳道などの内部空間の画像化に適用した場合の構成を示している。図10に示すように、システム1000は、内部空間1004の周囲に形成されて、内面(内部表面)1006及び外面(外部表面)1008を有する膨張性の膜1002、第1のポート1012及び第2のポート1014を有するシール1010、媒体1018の供給源1016、ポンプ1020、光源1022、センサー1024、並びに、プロセッサ1026及び他のハードウェア1028を有するコンピューター1025を備えることができる。システム1000を本明細書に記載されている独創的な画像化技術のうちの任意のものと共に使用できるが、それに加えてまたはそれに代えて、システム1000を、ERLIFまたはこれに類似する他の任意の技術などの既知の薄膜厚測定技術に使用できるように適合できることが理解されよう。
通常の動作時には、供給源1016は、圧力がかかった状態で、膨張性の膜1002の内部空間1004に媒体1018を送り込んで、膨張性の膜1002が膨らんで内部測定容積部(不図示)を満たすようにする。膨張性の膜1002が、内部測定容積部に接触して、該容積部のある部分の形状をなすように、該膜1002が膨らむと、光源1022は、膨張性の膜1002の内面1006を照明することができ、センサー1024は、一般的に上述した技術のうちの任意のものを用いて2つ以上の波長における強度測定値を取得することができる。得られた測定値をプロセッサ1026で受け取ることができ、該プロセッサは、膨張性の膜1002の内面1006上の1以上の位置における、内部空間1004内の媒体1018の厚さを決定することができる。これらの厚さ測定値をさらに処理して、内面1006の一部の3次元画像を得ることができる。
膨張性の膜1002を、内部空間1004の周囲に形成されたバルーンまたはこれに類するものとすることができる。一般に、膨張性の膜1002を、加圧されたガスもしくは他の材料で充填されたときに膨らむように伸びることができる任意のゴム、(ゴムひもなどの)伸縮素材、もしくは他の材料で形成された弾性膜とすることができる。いくつかの実施形態では、膨張性の膜1002を、これに加えてまたはこれに代えて、材料で加圧するか材料で充填することによって内部(及び/または外部)の容積(体積)を大きくすることができる任意の拡張可能な膜、弾性部材または非弾性部材とすることができる。したがって、たとえば、膨張性の膜1002を、上記の膜のうちの任意のもの、または、マイラー(MAYLAR)薄膜などの小穴のない(または通気性のない)複数の非弾性パネルから形成された拡張可能な膜などの非弾性膜とすることができる。このアプローチは、膨張性の膜1002の膨らんだときの形状が予測される空洞(キャビティともいう)の形状または大きさに合致することを可能にする。別の側面において、膨張性の膜1002は、実質的に球形または卵形の形状を有することができ、及び、該膜1002が空洞いっぱいに伸びて広がることができるようにする材料で該膜1002を作製することができる。異なる大きさのバルーン及び他の膨張性の膜を異なる空洞に使用できることが容易に理解されよう。
膨張性の膜1002を、小穴のない(または通気性のない)もの、または、他のやり方で、内部に加圧ガスもしくは他の材料を保持することができるものとすることができ、これによって、該膜1002が内部容積部内で膨らむことができ、及び、圧力がかかった状態で(すなわち加圧された状態で)、該内部容積部の形状をとることができるようになっている。1側面では、膨張性の膜1002を、該膜1002が該内部容積部内で膨らむにつれて、該容積部の任意の輪郭形状ないし外形をぴったりとなぞる(または該輪郭形状ないし外形にぴったりとフィットする)ように十分な可撓性(柔軟性)及び弾性を有し、及び、該膜1002が膨らんでそのような容積部の壁に接触したときには、内面1006の測定値を用いて外面1008の形状を正確に推測できるように十分に薄いものとすることができる。より一般的には、それ自体の内部空間内に材料を保持でき、かつ、それ自体の表面の輪郭形状をぴったりとなぞる(または該輪郭形状にぴったりとフィットする)ようなやり方で内部容積を満たすように膨張することができる任意の膜を、膨張性の膜1002として使用することができる。
膨張性の膜1002の多くの変形形態が可能であること、及び、該膜1002の任意の表面を画像化のために使用できることが理解されよう。たとえば、膨張性の膜1002を透明な材料(または光を通す材料)から作製することができ、外面1008を蛍光層または発光層でコーティングすることができる。かかる実施形態では、3次元復元において、目標面を復元するときに、膨張性の膜1002の厚さを考慮することができる。別の側面において、内面1006などの表面は、既知の均一(または同一)の色または所定の色分布などの所定の色を有することができ、これによって、上記のいくつかの画像化技術を使用できるようになっている。別の実施形態では、画像化される空洞は、それ自体が既知の色を有することができ、または、それ自体に蛍光塗料または発光塗料が塗布されている。そのような空洞を、透明で、かつ、上記の画像化用媒体のうちの1つを含んでいる膨張性の膜1002を用いて画像化することができ、この場合、膨張性の膜1002と該空洞の表面との間の該膜の厚さを考慮するための適切な調整を行うことができる。
シール1010を用いて、大気圧下にある空気などの周囲環境から内部空間1004を隔離することができる。シール1010は、内部空間1004にアクセス(出入り)するための第1のポート1012及び第2のポート1014などの任意の数のポートを含むことができる。いくつかの実施形態では、シール1010は、スリーブ1015を省くことができるようにするためのOリング(オーリング)またはこれに類するものを含むことができる。そのような実施形態では、Oリングと、該Oリングに挿入される光学系及び電子機器等との間のぴったりとした嵌合によって加圧ガス(または、液体媒体など)を内部空間1004内に保持することができる。
第1のポート1012を、たとえば、内部空間1004内に開口端を有する流体ポートとすることができ、及び、圧力がかかっている状態で、ガスや上記の任意の媒体などの媒体を内部空間1004に送り込むための供給ポートとして機能することができ、これによって、厚さ測定を容易にするために使用される媒体で膨張性の膜1002を膨らませることができるようにする。第1のポート1012は、内部空間1004への媒体1018の供給を制御するためのバルブ1013またはこれに類するものを含むことができる。
第2のポート1014は、厚さ測定用のデータを取得するために内部空間1004に挿入されることができる光学系及び光源などへのアクセスポートとして機能することができる。第2のポート1014を、内部空間1004に挿入し及び該内部空間1004から取り出されるときにそのようなハードウェア(機器や装置)を物理的に収容するスリーブ1015に結合することができる。1側面において、スリーブ1005を、光源1022及び/またはセンサー1024に結合されて、膨張性の膜1002が膨らむと、光源1022及び/またはセンサー1024が該膜の内部空間1004内を動くことができるようにする弾性のまたは拡張(または伸長)可能なスリーブとすることができる。別の側面において、スリーブ1015を、膨張性の膜1002内にアクセス空間1017を画定する透明で剛性ないし硬質のシェル(殻)などとすることができ、及び、加圧されて媒体が充填される内部空間1004の残りの部分から物理的に隔離することができる。このようにして、シール1010を膨張性の膜1002上に保持して、たとえば加圧されたガスなどを保持した状態で、光ファイバー束等の光供給手段、レンズ、フィルター、または他の光学系、センサー、光源、(たとえばセンサー及び/または光源を動作させるための)電子機器、電源に対するワイヤー(または電線)またはその他の電気的結合手段などを、内部空間1004(より正確には、内部空間1004内のアクセス空間1017)に/から自由に挿入/取り外すことができる。別の側面において、スリーブ105(または、スリーブ1015内の窓やのぞき窓(ビューポート)など)を媒体に屈折率整合させることによって、該スリーブが媒体と実質的に同じ屈折率を有するようにすることができる。これによって、媒体で充填された内部空間1004中への実質的に歪みのない光路を提供することができる。
供給源1016を、媒体1018の供給源を保持する任意の槽、タンク、または他の容器とすることができ、この場合、該媒体を、ガス(気体)、液体、ゲルなどの上記の媒体のうちの任意のものとすることができる。一般に、供給源1016を、媒体1018を加圧した状態で供給することができる任意の供給源とすることができる。いくつかの実施形態では、供給源1016は、圧力がかかった状態(すなわち加圧状態)で、媒体1018を第1のポート1012を通して内部空間1004に供給し、または、同様にして、媒体1018を内部空間1004から引き出すためのポンプ1020または他の装置を含むことができる。ポンプ1020を、加圧状態下で媒体1018を供給できる任意の電気機械装置とすることができ、かかるポンプには、回転式ポンプ、蠕動ポンプ、ピストンポンプ(往復式ポンプ)、遠心ポンプ、エダクターポンプ(eductor-jet pump)、水撃ポンプなどがある。供給源1016はユーザ制御部を含むことができ、該制御部を、コンピュータ1025によって遠隔から作動させることができ、または、ポンプ1020を電気的に制御する、スイッチ、ノブ、ダイヤル、またはこれらに類するものとして供給源1016に設けることができる。いくつかの実施形態では、供給源1016は、媒体1018に圧力を手動で加えるか、または、他のやり方で媒体1018を機械的に送り込む(この場合も圧力が加えられた状態で)ためのプランジャー、レバー、ノブ、または、これらに類似の装置を含むことができ、それらのいずれも、本明細書で使用されている用語であるポンプ1020として機能することができる。より一般的には、媒体1018を内部空間1004に選択的に送り込むことを可能にする任意のやり方で供給源1016を内部空間1004に結合することができる。ポンプ1020は、たとえば、媒体1018を制御された圧力でもって送り込むことができ、または、体積が制御された媒体1018を送り込むことができ、または、任意の他の適切な基準にしたがって動作することができる。他の側面では、供給源1016を、媒体1018を送り込むために収縮する加圧式弾性容器とすることができる。
光源1022は上記の任意の光源を含むことができる。膨張性の膜1002が発光状態にされる1側面では、アクセス空間1017内の光源1022を省くことができる。1側面において、光源1022を、アクセス空間1017に(第2のポート1014を通じて)挿入可能な(または挿入に適した)形状及びサイズにすることができ、または、内部空間1004内に配置することができる。別の側面において、光源1022を、たとえば、内面1006に分布させられているか、または、内部キャビティのターゲット面に直に分布させられた発光層とすることができ、または、光源1022を、上記の測定技術に適した膨張性の膜1002の目標面上のある位置を照明するために、シール1010上または任意の他の位置に配置することができる。
センサー1024は上記の任意のセンサーを含むことができる。センサー1024を、第2のポート1014を通じてアクセス空間1017に挿入可能(または挿入に適した)な形状及びサイズとすることができ、または、他のやり方で膨張性の膜1002の内部空間1004に挿入することができる。1側面において、(アクセス空間1017内において、または、それに取り付けられたスリーブ1015と共に)ファイバースコープまたはボロスコープを、オプションとして、プリズムなどの任意の適したレンズ、または、円錐形のもしくは放物線状のもしくは角のある(またはある角度をなす)もしくはその他のチップ(先端部分など)を有する鏡面(これらもまた、媒体1018と屈折率整合させることができる)と共に用いることができる。かかる実施形態では、センサー1024は、内部空間の円筒形の断面から測定値を取得する視野(視界)を有することができることが理解されよう。これは、従来のカメラ及びレンズとは大きく異なる、強度測定のための幾何学的形状(及び/または配置)及び方向性を提供することができ、一群の空間測定値及び後続の任意の3次元復元に対する適した調整が望ましい場合がある。
いくつかの実施形態では、媒体1018を通過する光路を改善するために、既知のサイズを有する光透過性の(または透明な)屈折率整合されたチップをファイバースコープに付加することができる。これによって、より吸収性の高い媒体を使用することができ、したがって、該チップからより離れたところにあるシステムの深さ分解能を高めることができる。換言すれば、そのようなチップは、比を深さに関係付ける指数関数曲線をシフトさせる(ずらす)ことができ、かかる関係によってより深い深さ測定を可能にする。
コンピュータ1025は、上記の任意のプロセッサまたは他のコンピューティング装置などのプロセッサ1026を含むことができる。コンピューター1025は、また、入力/出力インターフェース、メモリなどの他のハードウェア1028を含むことができる。該他のハードウェア1028は、一般に、センサー1024、光源1022、及び、供給源1016に動作可能に結合する任意のハードウェアを含むことができる。1側面では、該他のハードウェア1028は、入力が光ファイバーによってセンサー1024に結合された光変換器(光トランスジューサ)またはピクセルアレイなどの電子撮像装置を含むことができる。別の側面では、該他のハードウェア1028は、光ファイバーによって光源1022に結合された照明源を含むことができる。別の側面では、センサー1024及び/または光源1022を、電線またはこれに類するものでコンピューター1025に電子的に結合された電子装置とすることができる。別の側面では、光源1022及びセンサー1024を、自家動力式(すなわち電源内蔵式)のものとすることができ、かつ、これら自体を制御及び動作させるためのコンピューター1025に無線で結合することができる。コンピューター1025を供給源1016に結合することもでき、該コンピューターは、ポンプ1020の動作を制御して、膨張性の膜1002の内部空間1004に媒体1018を送りこむ(及び/または、該内部空間から媒体1018を取り除く)ことができる。
膨張性の膜1002は、軟質フォーム(または柔らかい発泡樹脂)または類似の物質から形成された柔らかく曲げやすいキャップとすることができるキャップ1030を含むことができる。キャップ1030は、(スリーブ1015が、該キャップがない場合には不快感や物理的損傷を生ずる可能性がある硬い材料で形成されている場合などに)膨張性の膜1002を挿入している間、人間の外耳道などの挿入場所を保護することができる。
システム1000はまた、該システム1000の動作を制御し、該システムの状態を監視するためにコンピューター1025と協働することができる任意の種々の他の状態センサーや空間センサーなどを含むことができることが理解されよう。
一般に、システム1000を、上述の任意の画像化技術に使用するために適合させることができる。たとえば、画像化技術がターゲット面に付加された蛍光層を用いる場合には、内面1006、外面1008、または、膨張性の膜1002が蛍光材料(クマリン−153など。但し、これには限定されない)またはこれに類するものを含むように、膨張性の膜1002を適合させることができる。したがって、1側面において本明細書に開示されているのは、蛍光性の(すなわち蛍光を発する)内面を有する膨張性の膜であって、該膜を内部容積部(該内部容積部内で該膜が膨張させられる)の3次元画像を取り込むために利用できるところの該膨張性の膜である。同様に、一般的に上記したように、(たとえば、バルーンが膨らむにつれて該バルーンの色が変わる場合には、処理に対する追加の修正措置が必要になりうるが)所定のまたは既知の色を該内面に用いることができ、または、該所定の色を空洞内の目標面に配置または塗布することができる。
内部測定用のシステム1000を、特定の画像化状況に対してより特別に適合させることができる。たとえば、膨張性の膜1002を人間の外耳道に挿入するのに適した(及び、該外耳道内で膨張させるのに適した)形状及びサイズにすることができ、またはより具体的には、人間の耳に挿入するのに適した形状及びサイズにされた圧縮された(たとえば、膨張していない)形態を有することができ、これによって、膨張性の膜1002を、外耳道に挿入して膨らませることができ、その後、該外耳道の3次元画像を取り込む(または撮像する)ために使用することができる。より一般的には、嚢、胃、外耳道などの生物学的空洞(生体空洞)を画像化(または撮像)するために、または、ピストン・チャンバー、タンク、及び他の容器などの機械部品を画像化(または撮像)するために、システム1000を有効に利用することができる。
1側面において、本明細書に開示されているのは、膨張手段、照明手段、センサー手段、及びプロセッサ手段を含むシステムである。膨張手段を、供給源1016、または、第1の波長の光を第2の波長の光よりも多く吸収する媒体で膨張性の膜を膨らませるための任意の他の手段とすることができる。照明手段は、上記の光源1022、または、該膨張性の膜の表面を照明するか、または、該表面を他のやり方で励起するための本明細書に記載されている任意の他の手段を含むことができる。センサー手段は、センサー1024、または、該照明手段によって照明されたときに該表面のある位置における第1の波長の強度及び第2の波長の強度を測定するための本明細書に記載されている任意の他の手段を含むことができる。プロセッサ手段は、該プロセッサ、または、第1の波長の強度と第2の波長の強度の関数(または関係)に基づいて該位置の方向における媒体の厚さを計算するようにプログラムされた本明細書に記載されている任意の他の手段を含むことができる。
いくつかの実施形態では、システム1000を、内部測定や外耳道だけでなく、より一般的なターゲット(目標物)を測定するために適合させることができる。かかる実施形態では、膨張性の膜1002を、遠隔の対象物の表面に合致させるために該対象物に接触するように移動させることができる。この場合、膨張性の膜1002は、該媒体を収容することができ、または、該媒体を収容するために膨張することができる。たとえば、膨張性の膜1002は、媒体を収容する柔軟なまたは非常に変形しやすい袋を含むことができる。そのような膨張性の膜1002は、3次元画像を取得できるように対象物(の形状)に適合することができる。これを、たとえば、タービン翼や他の寸法の影響を受けやすい部品などに対する品質管理または部品検査に有効に利用することができる。このアプローチは、ターゲットとなる対象物に変更を加えることなく、かつ、該対象物を媒体にさらすことなく3次元測定を可能にする。様々な他の用途が容易に理解されようが、それらの用途は、本開示の範囲に含まれることが意図されている。
いくつかの実施形態では、システム1000を、膨張性の膜1002が2つ以上のチャンバーを含むように適合させることができる。これらのチャンバーの各々をそれ自体の供給源1016に動作可能に結合することができ、該チャンバーの各々は、膨張性の膜1002が最終的に配置されることになる管(または外耳道)の一部の予期された寸法に基づいて適合される特性を有する媒体を含む。限定しない例として、たとえば、外耳道の外側部分は同じ外耳道の内側部分よりも広いことを予期することができる。したがって、外耳道を伴う用途では、外耳道の外側部分に対応する第1のチャンバーを、外耳道の内側部分に対応する第2のチャンバーよりも吸収性(吸収率)が低い光(学)媒体で充填することができる。かかる適合化によれば、同じ照明源からの照明光が第1のチャンバーを通って伝搬する距離(この距離はより長いことが予期されている)の方が、該照明光が第2のチャンバーを通って伝搬する距離(この距離はより短いことが予期されている)よりも長くなるようにすることができる。いくつかの実施形態では、媒体の光学特性を、チャンバー毎に蛍光塗料を異ならせるだけでなく、染料構成物及び/または染料濃度によって調整することができる。スリーブ1015は、各チャンバー中へと入るか、または、各チャンバーを通過することができ、好ましくは、媒体の各々に屈折率整合し、または、個別のスリーブをチャンバーの各々に設けることができる。
図11は、内部空間の3次元画像を取得するための方法のフローチャートである。一般に、方法1100は、空洞内の上記の任意の膨張性の膜などの膨張性の膜を配置するステップと、上記の任意の媒体などの媒体で該膜を膨張させるステップを含むことができる。この場合、適切な照明源及び画像取り込みハードウェアを用いて、該空洞の内壁の3次元復元で使用するために、厚さ測定値を取得することができる。方法1100を、たとえば、上述のシステムを用いて実施することができる。
ステップ1102に示すように、該方法は、空洞内に膨張性の膜を配置することから開始することができる。このステップを、多数の内部空洞に適合させることができることが理解されよう。たとえば、胃や嚢などの生物学的空洞を画像化する場合には、該膜を、(のどなどの)手が加えられていない孔部を通して、または、内視鏡またはこれに類するものなどの手術道具の穴を通して挿入することができる形状及びサイズに圧縮することができる。したがって、該空洞を、人間の外耳道、胃、嚢、または、任意の他の生物学的空洞、または、より一般的に、上記の任意の空洞とすることができる。膨張したとき及び圧縮されたときの嚢のサイズ並びに特定の画像の所望の分解能を、該膜の適切な材料を選択する際に考慮でき、該材料は、弾性材料から箔(または金属薄片)及び種々の複合物などの非常に薄く可撓性のある非弾性の膜(または被膜)までの多岐にわたるものとすることができることが容易に理解されよう。たとえば、人間の外耳道の画像化に使用する場合には、挿入場所の直径は、画像化される空洞に比べて大きく、及び、種々の弾性材料を適切に使用することができる。
膜を使用する種々の技術において、該膜用に選択された材料は、予期される表面のタイプ(種類)及び画像化に望ましい表面精度に部分的に依存しうることもまた理解されよう。いくつかの用途では、細部が重要な場合があり、表面の細部を改善するために、非常に薄くて弾性に富む材料を利用することが好ましい場合がある。他の用途では、高い膨張圧が望ましい場合があり、適切に丈夫な材料が、詳細な表面輪郭(または表面の等高線)を撮像する忠実度には関係なく好ましい場合がある。一般に、多種多様な適切な膜が既知であって、それらの膜を異なる画像化用途に適合させることができる。そのような全ての変形は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
ステップ1104に示すように、方法1100は、第1の波長の光を第2の波長の光よりも多く吸収する媒体で膨張性の膜を膨張させることを含むことができる。この媒体を、たとえば、上記の任意の媒体とすることができる。膨張を、たとえば、ポンプ、または、一般的に上述したその他の手動式のもしくは自動化された送り込み機構で行うことができる。膨張性の膜が膨張すると、該膜は空洞内で膨張し続けて空洞の形態をとることができる。該膜内の該媒体は、空洞内部の3次元画像を復元するために使用することができる厚さ測定を容易にすることができる。
ステップ1106に示すように、方法1100は、膨張性の膜の表面を照明することを含むことができる。これは、たとえば、上記の任意の光源などの光源を活性化させること、または、膨張性の膜内の(または該膜の表面に配置された)発光物質を化学的もしくは電気的に活性化することを含むことができる。上述の種々の実施形態において、この照明を、画像化する(たとえば、光透過性の(または透明な)膜及び蛍光性の空洞壁(中空壁)を有する)空洞の壁などの別の表面に向けることができることが理解されよう。かかる実施形態では、膨張性の膜の表面を照明源の位置に関係なく照明することもでき、そのような全ての変形は、本明細書に記載されているステップとしての「照明すること」の範囲内に含まれることが意図されている。
ステップ1108に示すように、方法1100は、該表面が照明されるときに該表面のある位置の方向における第1の波長の強度及び第2の波長の強度を測定することを含むことができる。これは、上記の任意のセンサーを用いて波長強度を測定すること(該ステップは、たとえば、先端部が円錐形のファイバースコープ(conical-tipped fiberscope)またはこれに類するものを用いて、光ファイバーを介して該膜外の電子撮像装置に光信号を送信することを含む)を含むことができる。1側面において、これは、ファイバースコープの円柱形の視野内で測定値を取得することを含むことができる。
ステップ1110に示すように、方法1100は、たとえば、該表面及び該媒体などの性質に応じて上述した任意の技術を用いて、第1の波長の強度と第2の波長の強度の関数(または関係)に基づいて該位置の該方向における媒体の厚さを計算することを含むことができる。ステップ1110を、任意の適切なプロセッサ、または、任意の他のコンピューティング装置、または、コンピューティング装置の任意の組み合わせによって実行することができる。
ステップ1112に示すように、方法1100は、厚さ測定値、及び、該媒体の利用可能な境界情報に基づいて、該表面の3次元画像を復元することを含むことができる。そこで、たとえば、光透過性の(または透明な)プラスチックチューブまたは他の光透過性(または透明)で剛性のスリーブがセンサー及びこれに類するものに使用される場合には、厚さ測定値を、媒体とのスリーブの物理的境界面から得ることができる。ステップ1112を、任意の適切なプロセッサ、または、任意の他のコンピューティング装置、または、装置の任意の組み合わせによって実行することができる。
いくつかの実施形態では、方法1100は繰り返しを含み、この繰り返しにおいて、上述したように、膨張性の膜を第1の圧力になるまで膨張させ、計算によって媒体の第1の厚さを決定する。次に、上述のように、膨張性の膜は、今度は第2の圧力になるまで再び膨張し、計算によって媒体の第2の厚さが決定される。第1の測定と第2の測定が対象物の同じ対象ポイントに対応し、かつ、そのような複数の測定が該対象物の複数の対象ポイントについてなされるときには、方法1100は、その対象ポイントにおける該対象物の相対的な硬度、または、空洞が圧力によってどのように変形(たとえば屈曲)するかを示すコンプライアンスマップを生成するステップを含むことができる。たとえば、第1の測定と第2の測定の間で厚さがより大きく変化した(たとえば、より大きな圧力によって変形した)ことを示す対象ポイントは、それらの測定の間で厚さがそれほど変化しなかったことを示す対象ポイントよりもより高い「弾性」を有する。したがって、ステップ1112は、該コンプライアンスマップを計算するステップを含むこと、または、該計算するステップからなることができ、方法1100の論理フローは、異なる加圧状態における任意の数の測定について、ステップ1110からステップ1104まで戻るループを含むことができる。
図12は、内部測定に使用するための自己膨張式の袋(空気袋やゴム製の袋など。以下、自己膨張式袋という)を示す。一般に、自己膨張式袋1200は、上述のシステム1000の多くの要素を含む折りたたみ可能な膜などの膜1202(但し、システム1000の場合とは後述のような相違点がある)を含むことができる。
膜1202を、内部空間1004のまわりに形成することができ、及び、外力がない状態では元の形状に戻る材料から構成することができる。たとえば、膜1202を、元の形状に戻る、形状記憶合金、粘弾性固体または粘弾性発泡体、光誘起形状記憶ポリマー、形状記憶ゴム、または任意の他の薄膜、フレーム(または枠組み構造体)、格子、各種の要素からなる外部及び/内部構造物、または構造物の組み合わせから形成することができる。膜1202を(該膜が膨張した形態において)、1つ以上の体積(または寸法)で画像化されることになる空洞よりも大きくなるような形状及びサイズにすることができ、これによって、該膜1202が圧縮された膜へと圧縮されたときに該膜を該空洞に挿入し、その後、該空洞の内壁に接触するまで膨張させることができる。より一般的には、動作時に、力を加えることによって膜1202を圧縮し、その後、画像化のために空洞を充填するなどのために、該膜の元の形状まで膨張するように解放することができる。1側面では、膜1202を、熱、水蒸気、電界などの印加などのユーザーによって制御された条件の下で元の形状に戻る材料から作製することができる。かかる実施形態では、膜1202は、適切な形態の活性作用を加えることの他には、物理的な外力がなくても元の形状に戻る傾向があることが理解されよう。そのような全ての変形も、本明細書で使用されている表現としての「外力がない状態で元の形状に戻る膜」という範囲に含まれることが意図されている。
圧縮された膜は、本明細書で使用されている表現としての「圧縮された」状態になるために、体積が小さくなる必要はないことが理解されるべきである。たとえば、全体的に弾性のある膜が粘質物で充填される場合には、力を印加することによって該膜を伸長させて、該膜の長さをより長くし、かつ、該膜の厚さをより薄くすることができる。この圧縮された状態では、該膜を(外耳道などの)狭い通路に挿入することができ、次に、該膜は、その元のより厚い形状に戻るときに該通路の壁に接するように膨張することができる。したがって、本明細書で説明する種々の実施形態は、媒体を膜の中へ及び該膜の外へと移動(または変位)させることを含むが、他の実施形態では、折りたたみ可能な膜を、該膜の体積を全体的に変えることなく該媒体を該膜内で移動(または変位)させることによって圧縮することができる。かかる実施形態では、該膜内で該媒体を操作するための任意の流体ポートまたはこれに類するものを要することなく、該膜を密閉された形態に有利に作製することができる。
内部空間1004を、(この場合は、流体ポートとすることができる)第1のポート1012を介して媒体1018の供給源1016(これらは、それぞれ、上記の任意の媒体及び供給源とすることができる)に結合することができる。該第1のポートは、供給源1016を内部空間1004に結合し、及び、供給源1016と内部空間1004の間を媒体1018が通過する速度(または量の割合)を制御する流量制限器1213またはこれに類するものを備える。これは、たとえば、多孔質膜、ノズル、狭い流体通路、(流量(または流速)を可変制御するための)調整可能な弁、または、膜1202が膨張しているときに内部空間1004中への媒体1018の通過速度を遅くするための任意の他の物質または構造(またはこれらの組み合わせ)を含むことができる。一般に、流量制限器1213は、媒体1018の流れを制限することによって、外力がない状態で膜1202が膨張する速度を制限する。これは、膜1202を、力を加えることによって圧縮して、その後解放することを有効に可能にする。膜1202は、この解放された時点で、該膜が完全に膨張する前に、該膜を空洞に挿入できるように十分にゆっくりと膨張することになる。
上記の任意の剛性のシェルなどのシェルとすることができるスリーブ1015を、内部空間1004内に配置して、光強度(または光度または光量)測定を容易にするために光源1022、センサー1024、及びこれらに類するものを挿入するためのアクセス空間1017を画定することができる。スリーブ1015を光透過性の(または透明な)材料から作製することができ、または、該スリーブは、そのような測定のための少なくとも1つの光透過性(または透明)領域を含むことができる。スリーブ1015は、シール1010からキャップ1030(該キャップは、上記の任意のキャップなどの柔らかく曲げやすいキャップとすることができる)まで延びることができる。1側面において、スリーブ1015を、キャップ1030及びシール1010に直接にまたは追加の構造を介して物理的に接続して、供給源1016及び第1のポート1012と共に、挿入可能な画像化装置(または撮像装置)として使用できる固体または全体的に剛性の構造を形成することができる。自己膨張式袋1200が、たとえば、人間の外耳道に使用するのに適した形状及びサイズとされている場合は、該器具ないし装置を挿入する間外耳道を保護するために、キャップ1030を柔らかく及び/または曲げやすいものとすることができる。
キャップ1030は光透過性(または透明な)窓を含むことができる。自己膨張式袋1200(または、本明細書に記載されている内部を画像化するための任意の他の装置)を、たとえば、外耳道または他の開口に挿入する間、ファイバースコープが該窓を通じた光学的視野を有するように、該ファイバースコープをアクセス空間1017に挿入でき、及び、センサー1024は、外耳道の長さだけ先のところの画像を取得することができる。この視野を使って、ユーザーは、自己膨張式袋1200(または他の装置)を外耳道に誘導することができ、さらに、たとえば、鼓膜または他の障害物や敏感な領域にぶつかる前に、ユーザーは挿入を停止させることが可能になる。自己膨張式袋1200(または他の装置)は、挿入の間外耳道を照明するための補助的な照明装置を含むことができ、または、光源1022をこの目的を達成するように適合させることができる。
1側面において、折りたたみ可能な膜を圧縮された形状で機械的に保持する保持装置(または保持具。以下同じ)1216を設けることができる。したがって、使用時には、膜1202を、たとえば円柱形のスリーブまたはこれに類するものとすることができる保持装置1216の内径より小さなサイズに圧縮することができ、保持装置1216を、該圧縮された形状にぴったり適合させて膜1202を保持することができる。3次元画像を取得するときに、保持装置1216を移動させる(または取り外す)ことができ、自己膨張式袋1200を対象とする空洞に挿入して、該対象とする空洞の形状になるようにゆっくりと膨張させることができる。この膨張速度は、たとえば媒体1018の粘性(または粘度)、流路に配置された流量制限器1213、及び、膜1202がそれの完全に膨張した形状に向かって膨張するときに該膜によって加えられる機械的な力(機械力)によって決まる。保持装置1216を、剛性の材料(または材料の組み合わせ)、または、膜1202を圧縮された状態に保持するのに適した任意の他の材料で有効に形成できることが理解されよう。保持装置1216を、キャップ1030上を摺動して膜1202からはずれるような形状及びサイズとされた単一の構造とすることができ、または、保持装置1216を、たとえば、互いにかみ合わされて、膜1202のまわりに隔置されることができる複数の構成要素からなるアセンブリ(組立体)、または、膜1202を蝶番動作可能に囲む複数の構成要素からなるアセンブリ(組立体)、あるいは、他のやり方で膜1202を圧縮された形状に取り外し可能に保持する複数の構成要素からなるアセンブリ(組立体)で形成することができる。該圧縮された形状を、3次元画像が所望される人間の耳や任意の他の空洞への挿入に適した形状及び/またはサイズにすることができる。
図12は、圧縮された状態において単純な円柱状をなす膜1202を示しており、特定の画像化用途に適した任意の形状を同様に使用できること、及び、該形状を、挿入場所の形状及びサイズ、または、画像化される空洞の形状及びサイズ、または、これらの何らかの組み合わせに適応させることができることが理解されよう。たとえば、人間の外耳道の内側部分と外側部分は互いに大きく異なる内径を有する。したがって、1側面において、自己膨張式袋1200、膜1202及び該膜の保持装置1216は、先細り形状(テーバー状)または2段階形状を有することができる。これらの形状の直径は、外側の外耳道を画像化するために外側部分において比較的大きく、内側の外耳道のより深い部分を画像化するために内側部分において比較的小さい。異なる画像化用途のために任意の数の類似の適合化を行うことができるが、それらは全て当業者には容易に理解されるであろう。
図13は、上記の自己膨張式袋1200などの自己膨張式袋を使用して、内部空間の3次元画像を取得するための、より具体的には、人間の外耳道の3次元画像を取得するための方法のフローチャートである。
方法1300は、ステップ1302に示すように、外力がない状態で元の形状に戻る折りたたみ可能な(または屈曲可能な)膜を提供することから開始することができる。ここで、該折りたたみ可能な膜は内部空間を有する。該膜を、たとえば、上記の任意の膜とすることができる。上記したように、外力がない状態で元の形状に戻る膜は、抑圧する物理的力(たとえば、上記の保持装置)が解除されているときでも、活性化の何らかの形態(光、熱、電気など)が加えられているときでも、またはこれらの何らかの組み合わせにおいても、ある形状に戻る傾向がある任意の構造または構造の組み合わせを含むことが意図されている。
ステップ1304に示すように、方法1300は、折りたたみ可能な膜を人間の外耳道に適合する(フィットする)形状及びサイズに圧縮することを含むことができる。これは、たとえば、該膜を、外耳道に適合させるのに十分に狭い概ね円柱形状に圧縮することを含むことができる。1側面では、ある時間マージンを設けることができ、これによって、保持装置が取り外されて、該膜が(上記のように)膨張を開始するときに、(該膜の)操作及び外耳道への挿入を可能にするために、該膜が、ある時間の間外耳道の予測されたサイズを超えて膨張しないようにすることができる。この時間マージンを、たとえば、10秒、または、ユーザーの選択もしくは取り扱い上の制約などに応じた任意の他の時間期間とすることができる。
ステップ1306に示すように、方法1300は、上記の任意の保持装置などの保持装置によって該折りたたみ可能な膜を該形状及びサイズに保持することを含むことができる。1側面において、該折りたたみ可能な膜を、使い捨ての保持装置を有する使い捨ての膜とすることができる。別の側面において、該折りたたみ可能な膜を再使用可能な膜とすることができ、該保持装置は、脱着可能及び交換可能であって、これによって、該折りたたみ可能な膜を何度も再配置することができる。
ステップ1308に示すように、方法1300は、該内部空間を、第1の波長の光を第2の波長の光よりも多く吸収する液状の媒体の供給源に結合することを含むことができる。ここで、該内部空間は、該内部空間への媒体の流れを制限する(上記の流体ポート及び流量制限器などの)ポートを通じて媒体に結合される。種々の実施形態において、この結合を、折りたたみ可能な膜が圧縮される前または後、及び、保持装置が該圧縮された膜に適合される前または後に行うことができることが理解されよう。
ステップ1310に示すように、方法1300は、保持装置を折りたたみ可能な膜から取り外して、該折りたたみ可能な膜を人間の外耳道に挿入することを含むことができる。この時点で、該膜は、膨張し始めて、該媒体を該内部空間に引き込むことができる。上記したように、この膨張の速度は、該媒体の粘性、流量制限の程度、膨張している該膜によって生成される圧力、及び、(もしあれば)該供給源の加圧状態などの複数の要因の任意のものに依存しうる。これらの要因を、該折りたたみ可能な膜の設計中に概ね制御することができ、該設計は、流量制限用の調整可能な弁(または加減弁)を設けることなどによって配置するときに手動で調整することを可能にすることもできる。
ステップ1312に示すように、方法1300は、上記の任意の技術を用いた測定及び3次元復元を含むことができる。
上記の方法1300は例示であってこれに限定されないことが理解されよう。当業者には、多くの変形、追加、削除、及び他の変更が明らかであろう。さらに、本明細書及び図面におけるそれらのステップの順番または提示は、特定の順番が要求されていることが明示されているか文脈から明らかである場合を除いて、記載されているステップをその順番で実行することを要することを意図したものではない。したがって、たとえば、膜を圧縮する前または後に媒体を該膜に結合してもよい。媒体が膜を圧縮する前に結合される場合には、逆の圧力(たとえば、吸い込み)を用いて該膜を圧縮して該内部空間から材料を取り出すために、該供給源を使用することができる。同様に、1つの外耳道を具体例として述べたが、本アプローチを、任意の数の生物学的空洞(生体の空洞)や他の空洞に適応させることができる。かかる全ての変更は、本開示の範囲内に含まれることが意図されており、制限しない意味に解釈されるべきである。
図14は、人間の歯生状態などの物体の3次元画像を取得するために本明細書に記載されている技術を適用した構成を示す。1実施形態では、歯生状態を画像化する際に使用される装置1400は、底部1406及び1つ以上の側壁1408から形成された内面1404、任意の数の基準(点)1410、並びに、上記の任意の媒体などの媒体1412を有する撮像トレイ(画像化トレイともいう)1402を備えることができる。図示されていないが、装置1400を、上記のセンサー、光源、及びプロセッサなどの任意の適切な組み合わせと共に使用できることが理解されよう。装置1400を、本明細書に記載されている独創的な画像化技術のうちの任意のものと共に使用することができるが、一方で、それらに加えて、または、それらに代えて、装置1400を、ERLIFや任意の他の類似の技術などの既知の薄膜厚測定技術で使用するために適応させることができることがさらに理解されよう。
撮像トレイ1402を、物体の印象(インプレッション)を受容するのに適した任意の容器とすることができる。歯に適用する場合には、撮像トレイ1402を、歯科用咬合トレイとして使用するのに適した形状及びサイズとすることができる。多くの使い捨て咬合トレイ及び/または再使用可能な咬合トレイ、印象トレイ、フッ化物トレイなどを含む種々のそのような容器が歯に関する技術分野で知られており、これらの任意のものを、本明細書に記載されている技術で使用するために適応させることができる。さらに、完全なアーチ状の咬合トレイ(または全歯列にわたる咬合トレイ:full-arch dental tray)が図示されているが、これに代えて、該トレイは、四分円状などのアーチ(または歯列)の任意の一部分または片側の歯列をカバーするものであってもよいことが理解されよう。他の実施形態では、該咬合トレイは、上側の歯列と下側の歯列を同時に捕捉することができ、これによって、上側と下側の歯列の位置あわせに関する咬合位置決め(または、バイトレジストレーション:bite registration)情報を有利に取得できる。歯科用咬合トレイが図示されているが、撮像トレイ1402は、より一般的に、画像化されることになる物体に適した任意の形状及びサイズを有することができることが理解されよう。さらに、撮像トレイ1402を上記の任意の種々の画像化技術に適応させることができる。該適応は、たとえば、撮像トレイ1402を通じて厚さ測定値を取得できるように、撮像トレイ1402を、光透過性(または透明な)材料から作製すること、または、撮像トレイ1402が上記のような光源として機能することができるように、撮像トレイ1402を、蛍光材料または他の発光材料から作製することを含むことができる。該適応は、撮像トレイ1402を、上記したような減衰測定で使用することができる既知の色または既知の色分布を有する材料から作製することを含むことができる。これらに加えて、または、これらの代わりに、該適応は、蛍光層、発光層、または、既知のカラー層などの層を内面1404に付加する(たとえば付着させるか塗布することによって)ことを含むことができる。
内面1404は、媒体1412に押し付けられた(または型をとられた)物体の3次元画像を幾何学的に復元(再構築)するために厚さ測定値と組み合わせて使用できる既知の寸法を有することができる。1実施形態では、該既知の寸法は、媒体1412に歯科印象(歯科用インプレッションともいう)を収容できる。より一般的には、内面1404に関する幾何学的情報または空間情報は、撮像トレイ1402内の媒体1412に関する境界情報を提供し、これによって、媒体1412の厚さ測定値を、共通座標系の印象(インプレッション)の空間測定値に変換することができ、それゆえ、3次元復元が可能になる。したがって、撮像トレイ1402は2つの側壁1408及び底部(底面)1406から形成された内面1404を有するものとして図示されているが、3次元復元のために境界位置が必要とされる領域において該内面1404の形状が既知である場合には、該内面1404は、より一般的には、画像化されることになる特定の物体に適した任意の直線形状の(または直線で囲まれた)表面、曲線形状の(または曲線で囲まれた)表面、または他の表面(これらの表面は複数の場合もある)を含むことができることが理解されよう。
底部1406及び側壁1408は、媒体1412を撮像トレイ1402内に保持し、及び、媒体1412の1つ以上の表面の既知の物理的境界を提供し、これによって、厚さ測定値を3次元画像に変換できるようにする。媒体1412が、操作及び/または押し付け(または圧入など)中に撮像トレイ1402内に完全にまたは部分的に留まるのに十分な粘性を有する場合には、図示のように、側壁1408を開いた(すなわち閉じていない)ものとすることができることが理解されよう。たとえば、媒体1412が非粘性液体の場合には、該液体を撮像トレイ1402内に保持する周囲が完全に閉じた側壁を形成するために、側壁1408を有効につなぎ合わせることができる。別の側面では、たとえば、厚さ測定値が取得されることが予期される方向に依存して、底部1406と側壁1408の1つ以上を光透過性の(または透明な)ものとすることができる。
オプションとして、任意の数の基準(または基準点)1410を、撮像トレイ1402にまたは該トレイ内に含めることができる。これらの基準を既知の位置に配置することができ、及び/または、これらの基準は既知の形状を有することができる。各基準1410は、撮像トレイ1402の測定値から得られた画像または他のデータにおいて該各基準を識別できるように、1つ以上の固有の識別特性を有することができる。これらの基準は、一般に、複数の独立した3次元測定値及び/または画像の全体的なレジストレーション(位置合わせなど)を容易にすることによって3次元復元における有用な目印として機能することができる。これらの基準1410は、たとえば、撮像トレイ1402上の3次元位置に相互に関連付けることができるか、または、空間情報を符号化することができる可視の目印を画像化システムに提供することができる。当業者には、より一般的に、3次元レジストレーション(3次元位置合わせ)における基準のいくつかのタイプ及び使用が容易に理解されるであろうが、本明細書に記載されている3次元画像化技術と共に使用するように適合させることができるそのような全ての基準は本開示の範囲内に含まれることが意図されている。同様に、ランダムパターンもしくは規則的なパターン、または、他の表面処理を、レジストレーションに役立てるために利用することができ、並びに、撮像トレイ1402及び本明細書に記載されている他の装置及び測定技術と共に使用するために適合させることができる。
媒体1412を内面1404内に配置することができ、及び、該媒体は、一般に、上記の任意の媒体を含むことができる。1実施形態では、媒体1040は、撮像トレイに挿入された物体の印象(インプレッション)を形成するために変形する(たとえば屈曲したりへこんだりする)ことができ、及び、たとえば、第1の波長の光を第2の波長の光よりも多く吸収することができる。媒体1412は、単一の蛍光染料または複数の蛍光染料を含むことができる。媒体1412は任意の数のキャリアを使用することができる。
たとえば、媒体1412は、該媒体内に印象(インプレッション)を正確に保持できるか、または、該媒体内に該印象を正確に保持するために硬化することができるゲル、液体、または、他の物質を含むことができる。熱硬化性材料、圧力硬化性材料、時間硬化性材料、光硬化性材料、化学硬化性材料、またはこれらに類するもの、並びにこれらの任意の組み合わせを含む(適切な光学特性を有する)任意のタイプの硬化性材料をキャリアとして使用することができる。媒体1412を、患者が歯科用咬合トレイを咬んでいる間などのように物体が該媒体内に押し付けられている間に硬化させることができ、または、媒体1412を、該物体を引き出した後に硬化させることができる。後者の場合は、媒体1412は、媒体1412を硬化させることができるまで該物体の有用な印象を保持するのに十分な粘性を有することが望ましい。他の実施形態では、媒体1412は、硬化性のものでない場合があるが、物体が除去された後、永久的または半永久的、または、少なくとも厚さ計算のための光強度測定値を得るのに十分な長い時間、正確な印象を保持するのに十分な粘性を有するかもしくは可塑性を有するものとすることができる。他の実施形態では、媒体1412及び撮像トレイ1402を、該物体が該媒体に埋め込まれている間に画像化(または撮像)することができる。該物体が撮像トレイ1402中に完全にフィットする(ぴったり合う)場合には、撮像トレイ1402を液体またはこれに類するもので充填された単純な卓上トレイ(またはデスクトップトレイ)とすることができる。該物体が(人間の歯列などの)より大きな物体に物理的に結合されている場合には、厚さ計算用の測定値を底部1406または側壁(複数の場合あり)1408を通じて得ることができるように、撮像トレイ1402を光透過性(または透明なもの)とすることができる。
図15は、本明細書に記載されている技術を用いて、人間の歯列などの物体の3次元画像を得るための方法のフローチャートである。方法1500を、たとえば、上記の撮像トレイ1402及び媒体1412と共に使用することができる。
ステップ1502に示すように、方法1500は、寸法が既知の内面を有する撮像トレイ内に媒体を配置することから開始することができる。ここで、該媒体は、該撮像トレイに挿入された物体の印象(インプレッション)を形成するために変形する(たとえば屈曲したりへこんだりする)ことができ、該媒体は、第1の波長の光を第2の波長の光よりも多く吸収する。一般的に、これは、上記の任意の撮像トレイ及び媒体を含むことができる。媒体を撮像トレイ内に配置するために、媒体の粘性及び他の物理的特性に適した任意の適切な道具(ツール)及び/または技術を用いて、該媒体を、該内部空間に流し込み、または、注入し、または散布し(もしくは拡散させ)、または、他のやり方で分布(または分散)させることができる。予めパッケージングされた実施形態では、作製中に、該媒体を、撮像トレイ内に配置して、すぐに使用できる形態で出荷するためにパッケージングすることができる。他の実施形態では、使用する前に、該媒体を、該媒体の管(チューブ)や他の容器などから手操作で撮像トレイ内に配置することができる。いずれの場合も、該撮像トレイを再使用可能または使い捨てのものとすることができる。
ステップ1504に示すように、方法1500は、物体を撮像トレイに挿入することを含むことができる。これは、(媒体が液体である場合などに)物体を撮像トレイ内に配置すること、または、該物体を該撮像トレイ内の媒体に挿入するための力を加えることを含むことができる。たとえば、撮像トレイが歯科用咬合トレイの場合は、これは、印象(インプレッション)の対象物(すなわち、型などをとる対象物)である歯及びその他の歯列で該媒体をかむことによりユーザーに力を加えさせることなどによって、該歯科用咬合トレイに人間の歯列を挿入する(またははめ込む)ことを含むことができる。該物体は挿入されると、通常、該媒体を変位させて該媒体内に該物体の印象(インプレッション)を形成することができる。
ステップ1506に示すように、方法1500は、撮像トレイの内面を照明することを含むことができる。これは、上記の任意の照明技術を含むことができる。
ステップ1508に示すように、方法1500は、第1の波長及び第2の波長で該内面の画像を取り込むことを含むことができる。これは、一般に、上記の任意の画像化技術を含むことができる。この文脈では画像を取り込むことは、該表面自体ではなく該表面の方向(向き)に注目することが意図されていることが理解されよう。したがって、たとえば、光透過性の(または透明な)撮像トレイが使用される場合には、取り込まれた画像を、該内面自体ではなく、該内面の背後にある媒体からの光の強度とすることができる。したがって、多くの実施形態では、該画像を、光が反射される実際の位置ではなく、光強度が測定される方向に関連付けることができる。
該内面の画像を取り込むことは、それらに加えて、または、それらに代えて、該撮像トレイ内に設けられている複数の基準の基準画像を取り込むことを含むことができる。任意の種々の既知の技術を用いて撮像トレイの3次元の(すなわち3次元空間における)位置及び向き(または方位)を決定するためにこれらの基準を使用することができる。これは、厚さを計算するのに使用されるのと同じ画像(たとえば、第1の波長及び第2の波長における該内面の画像)を処理すること(これは、そのような画像内の基準の位置を特定して解釈することなどによって行われる)、または、これは、それらの基準を処理するのと同じカメラまたはセンサー(複数の場合あり)で補足的な画像を取り込むことを含むことができる。別の側面では、それらの基準の基準画像を取り込むために補足的なカメラまたは他の画像化装置(または撮像装置)を設けることができる。そのような実施形態では、該補足的なカメラは、厚さ測定に使用されるカメラまたはセンサーに対して既知の空間関係を有すべきである。
ステップ1510に示すように、方法1500は、該画像を処理して該内面のある方向における媒体の厚さを決定することを含むことができる。これは、2つの異なる波長の光の強度の比に基づく上記の任意の処理技術、または、任意の他の類似の技術もしくはアプローチを含むことができる。これは、カメラもしくはこれに類するものによって取得された強度測定値の2次元配列などから、該内部空間に向かう複数の方向に関する複数の厚さ測定値を取得することを含むことができる。
ステップ1512に示すように、方法1500は、厚さ測定値(複数の場合あり)から該物体の3次元復元を得ることを含むことができる。これは、たとえば、該内面の既知の寸法を考慮して、複数の厚さ測定値を、該物体の3次元形状、または、該媒体中の該物体の印象(インプレッション)の境界を決定するために適用することを含むことができる。様々な理由により、該物体の実際の形状と該物体の実際の印象(インプレッション)との間にはわずかなまたは大きな(もしくは有意な)ずれ(差異)が存在しうることが理解されよう。これらの(概念的に)鏡像をなす表面の一方または両方は、本明細書で使用されている用語としての物体の3次元形状の範囲内に含まれることが意図されている。
上記の方法1500は例示であってこれに限定されないことが理解されよう。多くの変形、追加、削除、及び他の変更が当業者には明らかであろう。さらに、本明細書及び図面におけるそれらのステップの順番及び提示は、特定の順番が要求されていることが明示されているか文脈から明らかである場合を除いて、記載されているステップをその順番で実行することを要することを意図したものではない。したがって、たとえば、媒体を撮像トレイに配置する前に物体を該撮像トレイに挿入することができる。または、種々のタイプの基準を使用して、厚さ測定値を撮像トレイ内の複数の位置に関連付けることができる。同様に、人間の歯列を具体的にとりあげたが、該アプローチを、様々な生体物質や他の対象物に適応させることができ、そのような全ての変形も本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
上記のシステム、装置、方法及びプロセスなどのうちの任意のものを、本明細書に記載されている制御、データ取得ないし収集、及びデータ処理に適したハードウェアまたはソフトウェアまたはそれらの任意の組み合わせで実現できることが理解されよう。これは、1以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、組み込み型のマイクロコントローラ、プログラム可能なデジタル信号プロセッサまたは他のプログラム可能な装置、並びに、内部及び/または外部の記憶装置で実現することを含む。これは、上記に加えてまたは上記に代えて、電子信号を処理するように構成することができる1以上の特定用途向け集積回路、プログラム可能なゲートアレイ、プログラマブルアレイロジックコンポーネント、または、他の任意の1以上の装置を含むことができる。上記の処理(プロセス)または装置の実現には、Cなどの構造化プログラミング言語、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、または、(アセンブリ言語、ハードウェア記述言語、及び、データベースプログラミング言語及び技術を含む)任意の他の高レベルまたは低レベルプログラミング言語を用いて生成されるコンピューター実行可能コードを含めることができることがさらに理解されよう。これらの言語は、上記の装置のうちの1つ、並びに、異種のプロセッサの組み合わせ、プロセッサアーキテクチャ、または、異なるハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実行されるために格納され、コンパイルまたは翻訳(解釈)されることができる。同時に、処理を、多くのやり方で、カメラ及び/またはコンピューター及び/またはサーバー、または、他の遠隔処理リソースなどの装置間に分散させることができ、または、全ての機能を専用の独立型装置に組み込むことができる。かかる全ての置換及び組み合わせは、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
他の実施形態において、本明細書に開示されているのは、1つ以上のコンピューター装置で実行されると、上記の任意のステップ及び/または全てのステップを実行するコンピューター実行可能コードまたはコンピューター使用可能コード(コンピュータが使用可能なコード)を含むコンピュータープログラム製品である。該コードをコンピューターメモリに格納することができ、該コンピューターメモリを、プログラムが実行される(ために読み出される)メモリ(たとえば、プロセッサに関連付けられたランダムアクセスメモリ)、または、ディスクドライブなどの記憶装置、フラッシュメモリ、または任意の他の光学装置、電磁気装置、磁気装置、赤外線装置または他の装置、または、それらの装置の組み合わせとすることができる。他の側面では、上記の任意の処理を、上記のコンピューター実行可能コード、及び/または該コードへの任意の入力または該コードからの任意の出力を伝送する任意の適切な伝送媒体または伝搬媒体で具現化することができる。
図16は、内面(内側表面)を画像化するためのセンサーアセンブリを示している。上記のように、センサーアセンブリ1600を膨張性の膜内に配置することができる。センサーアセンブリ1600は、上記のように、センサーの主軸などの特定の軌道または他の任意の(1以上の)方向に沿って該軌道または該方向からセンサー1602に入射する光の所定の波長を検出するように動作可能な1以上のセンサー1602を備えることができる。センサーアセンブリ1600はさらに、上記のように、所望の波長の光を生成するように動作可能な1以上の光源1603を備えることができる。
トランク1614は、画像化システムの全体的な支持構造(または構造支柱)を提供することに加えて、電力を電気的に配送できるようにし、かつ、センサーアセンブリ1600のコンポーネント間の電気通信をサポートできるようにするためのコンジット(導管)として使用することができ、この場合、プロセッサまたは他のコンピューティング装置は、センサーアセンブリ1600の動作を制御し、及び、該センサーアセンブリから取得されたデータに基づいて3次元画像を復元するために使用される。たとえば、これを、他のコンポーネントに電力を供給し、制御命令及び/または取得されたデータを、該他のコンポーネントへ/から伝送するためなどに使用することができる。いくつかの実施例では、センサーアセンブリ1600を、センサーアセンブリのコンポーネントを制御し、及び、該コンポーネントによって取得されたデータを処理または表示するように動作可能な上記のコンピューターに、トランクを介して接続することができる。
いくつかの実施例では、センサー1602は可視光カメラを備えることができる。たとえば、該可視光カメラが、透明な窓を有する膨張性の膜内に配置される場合は、該可視光カメラは、該センサーアセンブリ/膜システムがオトスコープとして機能できるようにし、または、別のやり方で曲がりくねった(またはねじれた)領域を探査できるようにすることができる。上記のように、該可視光カメラを用いて、3次元復元で使用される深さまたは距離の測定のためのデータを取得することもできる。一般に、本明細書に記載されているシステム及び方法と整合する波長測定値を取得できる任意の光学センサーを有効に利用することができる。たとえば、電荷結合素子は、有用で、安価で、かつ、市場で広く入手できる1つの選択肢である。しかしながら、これに加えてまたはこれに代えて、種々の構成をなす相補型金属酸化膜半導体デバイスなどを含む他の任意の装置(またはデバイス)を使用することができる。たとえば、Foveon(フォビオン)社は、単一の場所における複数の波長測定値を得るために積層型フォトダイオードを用いるデジタルセンサーを製造している。すべてのそのような適切な装置(またはデバイス)を、本開示において考慮されているセンサー1602として有効に使用することができる。
各々のセンサー1602及び/または励起源1603は、それぞれ、望ましくない波長の光が、センサー1602に入射し、または、励起源1603から放出されてくるのを阻止するためのフィルター1604を備えることができる。いくつかの実施例では、センサー1602及び/または励起源1603を、トランクの周囲に(たとえば円周状に)配置することによって、全体で360度の視野を提供することができる。
いくつかの実施例では、センサー1602は、ピクセル配列(ピクセルアレイ)を含むことができ、フィルター1604は、赤−青−緑(RGB)ベイヤーフィルター(RGB Bayer filter)を含むことができる。フィルター1604は、これに加えてまたはこれに代えて、ローパスフィルター(低域通過フィルター)またはハイパスフィルター(高域通過フィルター)などのロングパスフィルター(long pass filter)を含むことができる。いくつかの実施例では、該ロングパスフィルターの遮断波長(カットオフ波長)を、励起源1603からの波長は減衰させるが、膨張性の膜の内面から放出された光(たとえば、蛍光)は通過させるように選択することができる。
フィルター1604は、上記に加えてまたは上記に代えて、バンドパスフィルター(帯域通過フィルター)を備えることができる。いくつかの実施例では、該バンドパスフィルターを、膨張性の膜の内面に付加された蛍光層の発光スペクトル中の特定の成分波長に中心があるものとすることができる。複数の成分波長を有する蛍光層の場合は、帯域幅の中心に発光スペクトルの各成分(波長)がある、複数のバンドパスフィルター(「ノッチフィルター」とも呼ばれる)を使用することができる。たとえば、黄色の蛍光を発する蛍光層の場合は、フィルター1604は、緑及び赤の光を通過させることができるように構成されたノッチフィルターを含むことができる。
いくつかの実施例では、コーティング(または被膜)を、センサーアセンブリ1600のコンポーネント(構成要素)の一部または全体に(付加や塗布などによって)施すことができる。たとえば、コーティングを、熱を生成する傾向があるコンポーネント(たとえば、励起源1603)に施すことができ、この場合、該コーティングは、膨張性の膜内の周囲媒体に対する該コンポーネントからの熱的結合を強化する。かかるコーティングの使用は、それらのコンポーネントがより効果的に熱を放散するのに役立ちうる。
コーティングを、上記に加えてまたは上記の代わりに、媒体の屈折率と光学部品(たとえば、励起源1603及び/またはセンサー1602)の光学系の屈折率を整合させるために、該光学部品に施すことができる。そのようなコーティングを施すことは、フレネル反射や他の望ましくない光学現象を低減するのに役立ちうる。種々のコーティングが本技術分野において既知であるが、屈折率整合用の特定のコーティングの選択は、(1以上の)センサー1602が(該媒体内で)使用されるところの該媒体に依存する。
各々のセンサー1602は、対応する視野1606、すなわち、センサー1602が放出された光を検出することができる全体領域を有する。いくつかの実施例では、複数のセンサー1602は、それぞれ異なるセンサーアーム1608に取り付けられ、それらのセンサーアームはトランク1614に取り付けられる。図16に示されているセンサーアセンブリ1600は、3つのセンサー1602を有しており、それらのセンサーの各々はそれぞれ別個のセンサーアーム1606に取り付けられているが、一般に、任意の数のセンサー及び/またはセンサーアームを用いることができる。より一般的に後述するように、それぞれのセンサー(または少なくとも2つのセンサー)は、それぞれに異なる視野を提供するために、または、それぞれに異なる軌道もしくは方向からの入射電磁放射を取り込むために、それぞれに異なる面配向すなわち異なる主軸を有することができる。
複数のセンサー1602を使用することの1つの利点は、該複数のセンサーの各々の視野1606を結合して、拡大された集合視野1610を提供できることである。いくつかの実施例では、視野1606の結合を、該センサーの個々の視野間のオーバーラップ領域(重複領域)1612に沿って該センサーの各々によって取得された画像のレジストレーション(たとえば、画像の位置合わせまたは重ね合わせ)を行うことによって達成することができる。次に、それらの画像をつなぎ合わせて、該集合視野のモザイク画像を形成することができる。
いくつかの実施形態では、種々のセンサーアーム1608の形状についての先験的知識(アプリオリな知識)を用いて、個別のセンサー1602によって取得された画像を結合することによって、集合視野1610の画像を得ることができる。たとえば、いくつかの実施例では、センサーアーム1608は、堅くて、所定の幾何学的構成(たとえば、形状、寸法、配置など)で構成されている。別の例として、いくつかの実施例では、センサーアームに、該センサーアーム1608に沿ったいくつかのポイントにおける、該アームの曲がり、ねじれ、及び/または屈曲(の度合い)を測定するセンサーを装備し、これによって、その形状(したがって、対応するセンサーの視野1606の方向)を決定できるようにすることができる。
本明細書で使用されている視野は、任意の集束光学部品を介してセンサーによって取り込まれる(または撮像される)画像化領域(撮像領域ともいう)を意味することが理解されよう。ここで、該集束光学部品を、センサー1602上に追加の層として直接作製する(または直接組み立てる)ことができ、あるいは、作製した(または組み立てた)後で、システム1600の組み立て中にセンサー1602に付加することができる。いずれの場合も、各センサー1602は、一般に、該視野に対してある面配向、たとえば、センサー1602の主軸の垂線を有している。センサー1602内の一群のピクセル中の各ピクセルは、付随する光学部品に応じて独立の主軸を有することができることが理解されよう。その場合には、「主」軸には、センサー1602の種々の画像化要素(撮像要素ともいう)の複数の主軸の平均軸(すなわち、各画像化要素の主軸の方向ないし傾きを平均した方向を向いている軸)が含まれることが理解されよう。したがって、1側面において、本明細書には、複数のCCDセンサーの各々のCCDセンサー(または、該複数のCCDセンサーの少なくとも2つのCCDセンサー)が、それぞれ異なる主軸方向を向いているところの複数のCCDセンサーを備える画像化システムが開示されている。別の側面では、それらの主軸を、各センサーの視野内のオーバーラップ領域(重複領域)を制限または低減するように配置ないし配列することができる。したがって、たとえば、立体画像形成に使用するために実質的にオーバーラップしている視野(の画像)を取り込むことができる従来技術のシステムとは対照的に、本明細書に記載されているシステム1600は、実質的にまたは完全にオーバーラップしていない視野用に配置ないし配列された複数のセンサー1602を有することができる。一定量のオーバーラップ(重複部分)は、隣接する画像のレジストレーションを行い、または、システム1600を較正し、または、より完全な空間カバー範囲(有効撮像範囲)を提供するのに有用でありうるが、オーバーラップしている視野は、一般に冗長であり、複数のセンサー1602の全体的な空間カバー範囲(有効撮像範囲)を改善するために、該オーバーラップしている視野を有効に低減もしくは最小限にすることができる。
いくつかの実施形態では、トランク1614を、所望の構成ないし配置をなすように、制御し、または、ある方向に向け、または配置することができる。たとえば、トランク1614は、種々の結合部(または接合部)、または、可撓性ないし曲げやすい部分などを含むことができる。したがって、いくつかの実施例では、トランク1614を操作して、センサー1602が、センサーアセンブリ1600を収容している膨張性の膜内の領域を走査(スキャン)できるようにすることができる。他の実施形態では、撮像された画像内のオーバーラップの程度を任意の所望の程度にできるようにするために、各センサー1602の位置及び/または向きを独立に制御可能なものとすることができる。
センサーアセンブリ1600にある種々のセンサー1602を、センサーアーム1608を介して該トランクに沿って任意のパターンで取り付けることができる。
たとえば、図16は、長手方向に互い違いに(すなわち、千鳥に)配置されたセンサー(千鳥方式センサー。スタガードセンサーともいう)1602を有するセンサーアセンブリ1600を示している。いくつかの実施例において、センサーアセンブリ1600の1つの利点は、該千鳥方式センサー1602を一括して用いて、人間の外耳道内部などのねじれた構造のデータを取得することができることである。
いくつかの実施例では、長手方向に互い違いに配置された千鳥方式センサー1602は、個別に調節ないし動かすことが可能である。たとえば、いくつかの実施例では、トランク1614は、オペレータが、特定のセンサー1602を該トランクに沿って長手方向に動かすことができ、また、該特定のセンサーを回転させ、湾曲させ、屈曲させたりすることができるようにする個別に調節ないし動かすことが可能な(または個別に連結することが可能な)サブトランク(不図示)を有することができる。
図17は、内部空間を画像化(または撮像)するためのセンサーアセンブリを示している。図示のセンサーアセンブリ1700は、曲がりくねった(またはめじれた)構造内に配置されている。センサーアセンブリ1700は、該センサーアセンブリの遠位端(該内部空間の奥の方の側にある端部)1716の近くに遠位端センサー1720を備えており、該センサーアセンブリの近位端(該内部空間の入口側にある端部)1718の近くに近位センサー1722を備えている。
この例では、(2つの)センサーのそれぞれの視野は、オーバーラップ領域1712においてオーバーラップしている。その結果、視線上に障害物が存在するにもかかわらず、及び、センサー1720、1722の位置/向きが異なるのにもかかわらず、それら2つのセンサーによって取得されたデータを(たとえば、上記のやり方で)結合して、異種のセンサーの集合的視野1710の単一の画像を生成することが可能である。さらに、より多くの時間がかかりかつ画像アーティファクトや他のエラーを導入する可能性があるセンサーの再配置及び複数の画像の連続的な取得を行うことなく、この集合的画像を得ることができる。
図18は、上記のセンサーアセンブリに使用するセンサーを示している。一般に、センサー1800は、センサーアレイ(センサーの配列)1802、第1のフィルター1804、第2のフィルター1806、及びレンズ1808を備える。
センサーアレイ1802は、入射電磁エネルギーを検出して、該エネルギーの強度を表す対応する信号を生成することができる任意の光−電気センサーもしくはこれに類するものを備えることができる。これには、たとえば、電荷結合素子、相補型金属酸化膜半導体デバイス、または、他の任意の適切な半導体もしくは他のデバイスを含めることができる。電荷結合素子は、典型的には、図18の長方形の素子によって示されているように、対応するピクセル配列のデータを取り込むようにするために個々のセンサーの配列中に配列される。ただし、この形状は説明のために提示されたものであって、個々の検出器の実際の形状はそれとは異なる場合がある。距離測定値を、それぞれ別個の光検出器において取得することもできるが、一体的に集積化されたセンサーアレイは、種々の同時測定を可能にする点で有利であることが理解されよう。
第1のフィルター1804を、センサー1800内の各ピクセルにおける電磁放射の異なる波長または色を識別するためのベイヤーフィルター(Bayer filter)または他の任意の適切なフィルターとすることができる。青色、緑色及び赤色を通過させるフィルターからなるベイヤーフィルターは、市販されているCCDデバイスの1つの従来のフィルターであるが、第1のフィルター1804を、上記の3次元画像化システムに使用するために特に適合させることができる。たとえば、第1のフィルター1804は、センサー1800のピクセルの上に市松模様のパターン(またはチェッカーボードパターン)をなすように等間隔で配置された赤色フィルター及び緑色フィルターを含むことができ、ここで、赤(の波長)と緑(の波長)に対する感度が等しくない場合には、それらの波長の一方に偏った何らかの他のフィルターパターンが距離の計算において使用される。
第2のフィルター1806は、距離計算で使用される波長の識別を改善するためのフィルターを含むことができる。第2のフィルター1806は、たとえば、ベイヤーフィルターを有する市販のCCDセンサーを用いて、距離計算のための測定が行われるそれら2つ(またはそれより多くの)波長におけるノッチまたはバンドバスフィルタリングを有効に提供することができる。そのようなフィルターの動作については、図19を参照してより詳細に後述する。
レンズ1808は、入射光をセンサーアレイ1802に所望のやり方で集束させるための種々の光学レンズのうちの任意のものを含むことができる。これは、たとえば、センサーアレイ1802全体の上に主軸を有する、センサー1800上に直接作製ないし組み立てられた単一のレンズ、または、各ピクセルデバイスもしくは光検出デバイスがそれ自体の主軸を有するように、(複数のマイクロレンズ中の)各々のマイクロレンズが各ピクセルに光を集束させるところの複数のマイクロレンズを備えることができる。このように個々に集束を行うことによって、センサーアレイ1802によって取り込まれる画像に対してより広い視野を提供することができる。別の側面では、レンズ1808を、センサーアレイ1802とデータが取得される撮像面との間に適切なハードウェアを備えた別個の光学部品として提供することができる。より一般的には、本開示で考慮されているレンズ1808として、実質的に同じ方向からの異なる2つの波長の測定を可能にするやり方で、1つの撮像面(または複数の撮像面)からセンサーアレイ1802へ入射する光を集束させるための任意の適切な(1以上の)光学部品を使用することができる。単一のレンズが使用される場合には、センサー1800の方向すなわち面配向を、レンズ1808の主軸にしたがって特徴づけることができることが理解されよう。レンズ1808が、それぞれが(または2以上が)異なる主軸を有する複数の集束素子を含む場合には、センサー1800の主軸を、上記に加えてまたは上記の代わりに、各サブレンズまたは集束素子の主軸の平均の向き(面配向の平均)によって特徴づけることができる。したがって、この説明の文脈において、主軸という用語は、異なる意味であることが明示されているかまたは文脈から明らかである場合を除いて、センサー1800全体の主軸を意味することが理解されるべきである。
図19は、センサー内のフィルターの帯域通過特性を示している。一般に、上記のシステム及び方法は、距離測定値を得るために赤の強度と緑の強度との比を使用することができる。これらの測定値を、ベイヤーフィルターを有する従来のCCDアレイを用いて得ることができる。典型的なベイヤーフィルターの感度スペクトルが、青(B)、緑(G)、及び赤(R)の波長について図示されている。市販のCCD用のカラーフィルターは、典型的には、ある程度のオーバーラップ(重なり部分)を有しており、これによって、該オーバーラップによって画定される波長範囲が、たとえば、赤と緑のピクセルの両方によって検出されるようになっている。このオーバーラップによって、2つの色帯域の比に基づく上記のシステムなどの測定システムのダイナミックレンジが小さくなりうる。いくつかの明確に定められた波長帯のみを通過させるが他の全ての波長帯を阻止する狭帯域設計のノッチフィルターを使用することによって、そのように失われるダイナミックレンジの量を緩和し、または、そのようにして失われたダイナミックレンジを回復することができる。それらのノッチフィルターは、2つのバンドパスフィルターを用いて感度領域を大まかに特徴づけている長方形として図示されている。この技術は、一般に、従来のベイヤーフィルタリングが施されたCCDを用いて、緑及び赤のスペクトルに対する感度を別々に大きくすることが可能であり、また、上記の技術を用いて取得された距離測定値のダイナミックレンジに対応する利得を提供する。
緑及び赤の波長は例示であって、距離計算に使用される実際の測定波長を、光源(光供給部)や画像化(用)媒体などの選択された照明及び減衰特性に対応ないし合致する任意の波長とすることができることが理解されよう。したがって、フィルターが3次元画像化システムの他の側面に合致するように選択されている場合には、本開示において考慮されている従来のCCDを用いて3次元画像化システムのダイナミックレンジを改善するために、ノッチフィルターの任意の有効な範囲及び位置を有効に利用できることが容易に理解されよう。1側面では、バンドパス領域(帯域通過領域。通過帯域ともいう)の各々は、75ナノメートル未満の幅、または、約50ナノメートルの幅を有することができる。それらのバンドパス領域は、少なくとも80ナノメートルだけ、または、約100ナノメートルだけ隔置された中心周波数を有することができる(すなわち、それらのバンドパス領域の中心周波数を、少なくとも80ナノメートルだけ、または、約100ナノメートルだけ離すことができる)。赤及び緑の測定値を使用する1実施形態では、バンドパス領域を、それぞれ、約525ナノメートル(緑)と約625ナノメートル(赤)を中心とする約50ナノメートルの幅の領域とすることができる。
本発明を、図示し及び詳細に説明した好適な実施形態に関して開示したが、それらの実施形態に対する種々の変更及び改良が当業者にはすぐに明らかになるであろう。したがって、本発明の思想及び範囲は、上記の例によって限定されるものではなく、法律によって許容される最も広い意味において理解されるべきである。