JP6073136B2 - 抗炎症化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、炎症の治療に用いることができる、化合物及びそれを含有する医薬組成物に関する。本発明は、また、その化合物を用いて炎症を治療する方法に関する。
参照による援用
本特許出願は、「ANTI-INFLAMMATORY COMPOUNDS」と題する2009年11月10日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2009905498号の優先権を主張し、この特許の全体の内容は本願明細書に援用される。
炎症は、例えば、感染、細胞及び/又は組織に対する損傷、刺激剤等を含む刺激に応答して生じる複雑な生物学的過程である。炎症は感染を治癒させかつ防止するのに重要であるが、異常な又は過剰な炎症は被検者の健康、快適さ及び/又は運動性に悪影響を与え得る。
ステロイド(例えばグルココルチコイド)や非ステロイド系抗炎症薬(例えばアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン等)を含む広範囲にわたる抗炎症薬が知られている。しかしながら、これらの薬剤は、一部の炎症性状態を治療するのに無効であることがありかつ/又は有害な副作用と関係していることがある。
例えば、現在の一部の抗炎症薬は、胃腸管損傷、腎障害、感光性、肝刺激作用、頭痛、めまい、クッシング症候群、高血圧、低カリウム血症、高ナトリウム血症等のいずれか1つ又はそれ以上を含む有害な副作用を有する。更に、有害な反応により、一部の抗炎症薬は、例えば、妊娠した被検者や炎症性大腸疾患をもつ被検者を含む一部の被検者には適していないことがあり得る。抗炎症薬の有害な副作用は、局所投与、経口投与又は他の投与形態から生じる場合がある。
現在の多くの抗炎症剤の制限により、新規な抗炎症薬を開発することが継続的に求められている。抗炎症特性を有する化合物の同定及び単離又は合成が望ましい。
本明細書において先行技術について述べることは、この先行技術がいかなる国においても共通の一般知識の一部をなすことを認めるものでなく又はいかなる示唆の形でもなく、かつそのように取るべきものでもない。
本発明は、マウス耳浮腫アッセイにおいて抗炎症活性を示す新規なジテルペン化合物の範囲の発見に起因する。
一態様において、本発明は、下記式(I)の化合物又は医薬的に許容され得る塩又はそのプロドラッグを提供する。
Figure 0006073136
(I)
式中:
- Tは、単結合又は二重結合であり;
- R1は、COOR7、CONR7R8、COSR7、COR7、SO3H、SO2NR7R8、SO2R7、SONR7R8、及びSOR7からなる群より選ばれ;
- R2、R3及びR4は、各々独立して、H、必要により置換されていてもよいC1-C12アルキル及び必要により置換されていてもよいC2-C12アルケニルからなる群より選ばれ;
- R5及びR6は、各々独立して、H、OH、必要により置換されていてもよいC1-C12アルキル、=O (R5及び/又はR6は、これらが結合している炭素原子に結合した水素と一緒になって=O部分で置き換えられる)、(CH2)mOC(O)R9、C1-C12オキシアルキル、C1-C12アルキルオキシ、C2-C12オキシアルケニル及びC2-C12アルケニルオキシからなる群より選ばれるが、R5及びR6の少なくとも1つは(CH2)mOC(O)R9であり、R5がメチルでありかつR6がOC(O)R9である場合、R9はCH3ではなく;
- R7及びR8は、各々独立して、H、必要により置換されていてもよいC1-C12アルキル、必要により置換されていてもよいC2-C12アルケニル、必要により置換されていてもよいC2-C12アルキニル、必要により置換されていてもよいC1-C10ヘテロアルキル、必要により置換されていてもよいC3-C12シクロアルキル、必要により置換されていてもよいC3-C12シクロアルケニル、必要により置換されていてもよいC1-C12ヘテロシクロアルキル、必要により置換されていてもよいC1-C12ヘテロシクロアルケニル、必要により置換されていてもよいC6-C18アリール、及び必要により置換されていてもよいC1-C18ヘテロアリールからなる群より選ばれ;
- R9は、必要により置換されていてもよいC1-C12アルキル、必要により置換されていてもよいC2-C12アルケニル、必要により置換されていてもよいC2-C12アルキニル、必要により置換されていてもよいC1-C10ヘテロアルキル、必要により置換されていてもよいC3-C12シクロアルキル、必要により置換されていてもよいC3-C12シクロアルケニル、必要により置換されていてもよいC1-C12ヘテロシクロアルキル、必要により置換されていてもよいC1-C12ヘテロシクロアルケニル、必要により置換されていてもよいC6-C18アリール、及び必要により置換されていてもよいC1-C18ヘテロアリールからなる群より選ばれ;
- Arは、必要により置換されていてもよいアリール基であり;
- m及びnは、各々が0、1、2、3、及び4からなる群より選ばれる整数である。
特定の効用をもつ構造的に関連した化合物のいかなるグループとも同様に、式(I)の化合物の可変部分のある種の実施態様は、特にこれらの最終用途に有効である。
いくつかの実施態様において、化合物は、式(Ia)又は式(Ib)を有する。
Figure 0006073136
種々の実施態様において、R9は、必要により置換されていてもよいC6-C18アリールである。いくつかの実施態様において、R9は、フェニルである。いくつかの実施態様において、R5及びR6の1つだけが(CH2)mOC(O)R9である。いくつかの実施態様において、mは、0及び1からなる群より選ばれる。
いくつかの実施態様において、Tは、二重結合である。
いくつかの実施態様において、nは、1である。
種々の実施態様において、Arは、必要により置換されていてもよいフラン、必要により置換されていてもよいチオフェン、必要により置換されていてもよいピロール、必要により置換されていてもよいフェニル、及び必要により置換されていてもよいピリジンからなる群より選ばれる。いくつかの実施態様において、Arは、フランである。
種々の実施態様において、R1は、COOR7である。いくつかの実施態様において、R7は、Hである。
いくつかの実施態様において、R2は、必要により置換されていてもよいC1-C12アルキルである。
いくつかの実施態様において、R2は、メチルである。
いくつかの実施態様において、R3は、Hである。
種々の実施態様において、R4は、必要により置換されていてもよいC1-C12アルキルである。いくつかの実施態様において、R4は、メチルである。
上記のことから、いくつかの実施態様において、本発明が下記式(II)の化合物又は医薬的に許容され得る塩又はそのプロドラッグを提供することが明らかである。
Figure 0006073136
(II)
式中、R5、R6及びR7は、上で定義した通りである。
種々の実施態様において、R5は、(CH2)mOC(O)R9であり、R6は、H及びOHからなる群より選ばれる。
種々の実施態様において、R6は、(CH2)mOC(O)R9であり、R5は、必要により置換されていてもよいC1-C12アルキルである。いくつかの実施態様において、R5は、メチルである。
他の態様において、本発明は、本明細書に記載されている化合物を含む組成物を提供する。組成物は、医薬組成物又は化粧組成物であり得る。
態様において、更に、本発明は、被検者において炎症を治療するか又は予防する方法であって、治療的に有効な量の本明細書に記載されている化合物を被検者に投与することを含む、前記方法を提供する。
他の態様において、本発明は、被検者において炎症を治療するか又は予防する方法であって、治療的に有効な量の本明細書に記載されている組成物を被検者に投与することを含む、前記方法を提供する。
他の態様において、本発明は、炎症が特徴であるか又は炎症を伴う疾患又は状態を治療する方法であって、治療的に有効な量の本明細書に記載されている化合物をその治療を必要としている被検者に投与することを含む、前記方法を提供する。
態様において、更に、本発明は、炎症が特徴であるか又は炎症を伴う疾患又は状態を治療する方法であって、治療的に有効な量の本明細書に記載されている組成物をその治療を必要としている被検者に投与することを含む方法を提供する。
種々の実施態様において、被検者は、哺乳類である。いくつかの実施態様において、被検者は、ヒトである。
本発明は、また、炎症が特徴であるか又は炎症を伴う疾患又は状態の治療において本明細書に記載されている化合物の使用を提供する。
更にまた、本発明は、炎症の治療又は予防のための薬剤の調製における本明細書に記載されている化合物の使用を提供する。
図1は、ドドナエア・ポリアンドラの葉から得られる異なる粗抽出液の抗炎症活性と収率%を示す表である。 図2は、炎症のネズミ耳モデルにおけるドドナエア・ポリアンドラの葉から得られる粗抽出液(0.4mg/耳)の抗炎症効果を示すグラフである(LH = 抽出したn-ヘキサン、LMM = 抽出した塩化メチレン/メタノール(1:1)、LE = 抽出した80%エタノール、SeMM = 連続抽出した塩化メチレン/メタノール、SeE =連続抽出した80%エタノール、TPA = 12-O-テトラデカノイルホルボール13-アセテート)。 図3は、炎症のネズミ耳モデルにおけるドドナエア・ポリアンドラの葉から得られる粗抽出液による平均炎症阻止パーセントを示すグラフである(LH = 抽出したn-ヘキサン、LMM = 抽出した塩化メチレン/メタノール(1:1)、LE =連続抽出した80%エタノール、SeMM = 連続抽出した塩化メチレン/メタノール、SeE =連続抽出した80%エタノール、HC =ヒドロコルチゾンヘミスクシネート塩)。 図4は、炎症のネズミモデルにおける対照耳とドドナエア・ポリアンドラの茎から得られる抽出物で治療される耳の耳の厚さ差を示すグラフである。茎抽出物を1耳につき0.4mg、0.04mg及び0.004mgで投与し、炎症に対する正の対照としてクロトン油を用いた。 図5は、ドドナエア・ポリアンドラの茎から得られる粗抽出液の1耳につき0.4mg、0.04mg及び0.004mgにおける抗炎症活性と収率%を示す表であり、炎症に対する正の対照としてクロトン油を用いた。 図6は、ドドナエア・ポリアンドラ葉からのヘキサン葉抽出物の分画、画分の収率及び画分の阻止活性を示すチャートである。チャートには、また、抽出物から化合物の精製、化合物の収率及び化合物の1つの阻止活性が示されている(化合物C)。 図7は、単離した、図6で阻止活性を試験した化合物Cの化学構造を示す図である。 図8は、ドドナエア・ポリアンドラ葉からのヘキサン葉抽出物の分画、画分の収率及び画分の阻止活性を示すチャートである。チャートには、また、抽出物から化合物の精製、化合物の収率及び化合物の2つの阻止活性が示されている(化合物D及びE)。 図9aは、単離して図8で阻止活性を試験した化合物Dの化学構造を示す図である。 図9bは、単離して図8で阻止活性を試験した化合物Eの化学構造を示す図である。 図10は、ドドナエア・ポリアンドラ葉からの塩化メチレン/メタノール(1:1)葉抽出物の分画及び画分の収率の図を示す。チャートには、また、抽出物から化合物の精製、化合物の収率及び化合物の1つの阻止活性が示されている(化合物F)。 図11は、単離して図10で阻止活性を試験した化合物Fの化学構造を示す図である。 図12は、単離して阻止活性を試験した化合物Hの化学構造を示す図である。 図13は、ドドナエア・ポリアンドラからヘキサン葉抽出物の半純粋画分を用いた炎症ネズミモデルにおける炎症の最大パーセントと平均阻止パーセントを示す表である。半純粋画分1-13は、図6に示される通りである。 図14は、炎症のTPA誘発マウス耳浮腫モデルにおける単離された化合物E、F及びCの用量反応特性及びFとその非エステル化生成物の間の活性の比較を示すグラフである。示される用量は、モル/耳である。阻止パーセントデータは、平均±SEMとして示される(Eに対しては各治療グループとしてn=4、F及びCに対してはn≧6、データはt=8時間で算出した) * p<0.05 負のTPA対照と比較した; a,b p<0.05 統計的有意な差が同じ化合物の治療グループの間に存在する; # p<0.05 統計的に有意な差が0.88モル/耳の用量で化合物Fとその非エステル化生成物の間に存在する)。 図15は、炎症ネズミモデルにおいて化合物C(DP5)、化合物D(DP9)、化合物E(DP6)及び化合物F(DP8)に対して48時間にわたる炎症の平均阻止パーセントを示すグラフである。ヒドロコルチゾン(HC)及びジプロピオン酸ベタメタゾン(BMS)は、正の対照として用いた。 図16は、炎症ネズミモデルにおける化合物C(DP5)、化合物D(DP9)、化合物E(DP6)及び化合物F(DP8)による炎症減少の時間経過を示すグラフである。TPAは、負の対照として用いた。ベタメタゾンは、正の対照として用いた。グラフは、TPAラインが最大炎症反応であり、TPAラインの下のラインが抗炎症のレベルを表すと解釈される。
下記の説明が、具体的な実施態様を記載するためだけのものであり、かつ上記説明に関して限定するためのものでないことは理解すべきである。
本明細書において、当業者に周知である多くの用語が用いられる。しかし、明確にするために、多くの用語が定義される。
明細書全体に用いられる用語“無置換の”は、置換基がないか又は唯一の置換基が水素であることを意味する。
明細書全体に用いられる用語“必要により置換されていてもよい”は、1つ以上の非水素置換基で更に置換又は(縮合多環系を形成するように)縮合されていてもされていなくてもよいことを意味する。ある種の実施態様において、置換基は、ハロゲン、=O、=S、-CN、-NO2、-CF3、-OCF3、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、シクロアルキルアルケニル、ヘテロシクロアルキルアルケニル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシシクロアルキル、アルキルオキシヘテロシクロアルキル、アルキルオキシアリール、アルキルオキシヘテロアリール、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アミノスルフィニルアミノアルキル、-C(=O)OH、-C(=O)Ra、C(=O)ORa、C(=O)NRaRb、C(=NOH)Ra、C(=NRa)NRbRc、NRaRb、NRaC(=O)Rb、NRaC(=O)ORb、NRaC(=O)NRbRc、NRaC(=NRb)NRcRd、NRaSO2Rb、-SRa、SO2NRaRb、-ORa、OC(=O)NRaRb、OC(=O)Ra及びアシルからなる基より独立して選ばれる1つ以上の基であり、ここで、Ra、Rb、Rc及びRdは、各々独立して、H、C1-C12アルキル、C1-C12ハロアルキル、C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、C2-C10ヘテロアルキル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12シクロアルケニル、C2-C12ヘテロシクロアルキル、C2-C12ヘテロシクロアルケニル、C6-C18アリール、C1-C18ヘテロアリール、及びアシルからなる群より選ばれ、又はRa、Rb、Rc及びRdの2つ以上が、これらが結合している原子と一緒になった場合に、環原子3〜12個を有する複素環系を形成する。
いくつかの実施態様において、選択できる置換基は、各々独立して、ハロゲン、=O、=S、-CN、-NO2、-CF3、-OCF3、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアリール、アルキルオキシヘテロアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、アミノアルキル、COOH、SH、及びアシルからなる群より選ばれる。
特に適切な選択できる置換基の例としては、F、Cl、Br、I、CH3、CH2CH3、OH、OCH3、CF3、OCF3、NO2、NH2、及びCNが挙げられる。
下記の多くの置換基の定義において、“基は、末端基であっても架橋基であってもよい”ことが述べられている。これは、基が分子の他の2つの部分の間のリンカーであるだけでなく、末端部分である状況を包含するものであることを示すものである。一例として用語アルキルを用いると、いくつかの文献は架橋基として用語「アルキレン」を用いている。つまり、他のこの文献において、用語“アルキル”(末端基)と“アルキレン”(架橋基)の間に区別がある。本出願において、その区別はなされず、ほとんどの基は架橋基でも末端基でもよい。
基として又は基の一部としての“アルケニル”は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する脂肪族炭化水素基を意味し、直鎖において、好ましくは炭素原子2-12個、より好ましくは炭素原子2-10個、最も好ましくは炭素原子2-6個を有する直鎖又は分枝鎖であり得る。基は、直鎖において複数の二重結合を含有してもよく、配置は、各々独立してE又はZである。例示的アルケニル基としては、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル及びノネニルが挙げられるが、これらに限定されない。基は、末端基であっても架橋基であってもよい。
“アルケニルオキシ”は、アルケニル-O-基を意味し、アルケニルは本明細書に定義される通りである。好ましいアルケニルオキシ基は、C1-C6アルケニルオキシ基である。基は、末端基であっても架橋基であってもよい。基が末端基である場合には、酸素原子を介して分子の残部に結合されている。
基又は基の一部としての“アルキル”は、特に明記しない限り直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素基、好ましくはC1-C12アルキル、より好ましくはC1-C10アルキル、最も好ましくはC1-C6を意味する。適切な直鎖及び分枝鎖のC1-C6アルキル置換基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ヘキシル等が挙げられる。基は、末端基であっても架橋基であってもよい。
“アルキルオキシ”は、アルキル-O-基を意味し、アルキルは本明細書で定義される通りある。好ましくは、アルキルオキシは、C1-C6アルキルオキシである。例としては、メトキシ及びエトキシが挙げられるが、これらに限定されない。基は、末端基であっても架橋基であってもよい。
基又は基の一部としての“アルキニル”は、炭素-炭素三重結合を含有する脂肪族炭化水素基を意味し、直鎖において、好ましくは炭素原子2-12個、より好ましくは2-10個、より好ましくは炭素原子2-6個を有する直鎖であっても分枝鎖であってもよい。例示的構造としては、エチニル及びプロピニルが挙げられるが、これらに限定されない。基は、末端基であっても架橋基であってもよい。
基又は基の一部としての“アリール”は、(i)好ましくは環当たり5から12までの原子を有する必要により置換されていてもよい単環、縮合多環、芳香族炭素環(すべて炭素である環原子を有する環構造)を意味する。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル等が挙げられる; (ii)必要により置換されていてもよい部分的に飽和された二環式芳香族炭素環部分、ここで、フェニルとC5-7シクロアルキル基又はC5-7シクロアルケニル基は一緒に縮合して、環構造、例えば、テトラヒドロナフチル、インデニル又はインダニルを形成する。基は、末端基であっても架橋基であってもよい。典型的には、アリール基は、C6-C18アリール基である。
“シクロアルケニル”は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有しかつ好ましくは環当たり炭素原子5-10個を有する非芳香族単環又は多環系を意味する。例示的単環式シクロアルケニル環としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル又はシクロヘプテニルが挙げられる。シクロアルケニル基は、1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。シクロアルケニル基は、典型的には、C3-C12アルケニル基である。基は、末端基であっても架橋基であってもよい。
“シクロアルキル”は、特に明記しない限り、好ましくは環当たり炭素3から9個までを含有する飽和単環又は縮合又はスピロ多環炭素環、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を意味する。これには、シクロプロピルやシクロヘキシルのような単環系、デカリンのような二環系、及びアダマンタンのような多環系が含まれる。シクロアルキル基は、典型的には、C3-C12アルキル基である。基は、末端基であっても架橋基であってもよい。
“ハロゲン”は、塩素、フッ素、臭素又はヨウ素を表す。
“ヘテロアルキル”は、鎖中に、好ましくは炭素2から12個まで、より好ましくは炭素2〜6個を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基を意味し、ここで、炭素原子の1つ以上(及び付随する水素原子)は、各々独立して、S、O、P及びNR'(ここで、R'は、H、必要により置換されていてもよいC1-C12アルキル、必要により置換されていてもよいC3-C12シクロアルキル、必要により置換されていてもよいC6-C18アリール、及び必要により置換されていてもよいC1-C18ヘテロアリールからなる群より選ばれる)より選ばれるヘテロ原子基によって置き換えられている。例示的なヘテロアルキルとしては、アルキルエーテル、第二級及び第三級アルキルアミン、アミド、アルキルスルフィド等が挙げられる。ヘテロアルキルの例としては、ヒドロキシC1-C6アルキル、C1-C6アルキルオキシC1-C6アルキル、アミノC1-C6アルキル、C1-C6アルキルアミノC1-C6アルキル、及びジ(C1-C6アルキル)アミノC1-C6アルキルが挙げられる。基は、末端基であっても架橋基であってもよい。
“ヘテロアリール”単独か又は基の一部は、芳香環における環原子として1つ以上のヘテロ原子を有し、環原子の残りが炭素原子である、芳香環(好ましくは5又は6員芳香環)を含有する基を意味する。適切なヘテロ原子としては、窒素、酸素及び硫黄が挙げられる。ヘテロアリールの例としては、チオフェン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、ベンゾキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイソチアゾール、ナフト[2,3-b]チオフェン、フラン、イソインドリジン、キサントレン、フェノキサチン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、テトラゾール、インドール、イソインドール、1H-インダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、シンノリン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、チアゾール、イソチアゾール、フェノチアジン、オキサゾール、イソオキサゾール、フラザン、フェノキサジン、2-、3-又は4-ピリジル、2-、3-、4-、5-、又は8-キノリル、1-、3-、4-、又は5-イソキノリニル1-、2-、又は3-インドリル、及び2-、又は3-チエニルが挙げられる。ヘテロアリール基は、典型的には、C1-C18ヘテロアリール基である。基は、末端基であっても架橋基であってもよい。
“ヘテロシクロアルケニル”は、少なくとも1つの二重結合を含有する以外は本明細書に定義されるヘテロシクロアルキル基を意味する。ヘテロシクロアルケニル基は、典型的には、C2-C12ヘテロシクロアルケニル基である。基は、末端基であっても架橋基であってもよい。
“ヘテロシクロアルキル”は、少なくとも1つの環に窒素、硫黄、酸素より選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくは1から3個までのヘテロ原子を含有する飽和単環、二環、又は多環を意味する。各環は、好ましくは3から10員、より好ましくは4〜7員である。適切なヘテロシクロアルキル置換基の例としては、ピロリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチオフラニル、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、モルフィリノ、1,3-ジアザパン、1,4-ジアザパン、1,4-オキサゼパン、及び1,4-オキサチアパンが挙げられる。ヘテロシクロアルキル基は、典型的には、C2-C12ヘテロシクロアルキル基である。基は、末端基であっても架橋基であってもよい。
基としての“低級アルキル”は、特に明記しない限り、鎖内に炭素原子1〜6個、より好ましくは炭素1〜4個を有する直鎖であっても分枝鎖であってもよい脂肪族炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル又はイソプロピル)又はブチル(n-ブチル、イソブチル又はtert-ブチル)を意味する。基は、末端基であっても架橋基であってもよい。
“オキシアルケニル”は、アルケニル及びRaが本明細書に定義される通りであるRaO-アルケニル-基を意味する。好ましくは、オキシアルケニルは、C2-C6オキシアルケニル、すなわち、RaO-C2-C6アルケニル-である。例としては、RaO-CH=CH-、RaO-CH2CH=CH-、RaO-CH=CHCH2-が挙げられる。基は、末端基であっても架橋基であってもよい。
“オキシアルキル”は、アルキル及びRaが本明細書に定義される通りであるRaO-アルキル-基を意味する。好ましくは、オキシアルキルは、C1-C6オキシアルキル、すなわち、RaO-C1-C6アルキル-である。例としては、RaO-CH2-、RaO-CH2CH2-、RaO-CH2CH2CH2-が挙げられる。基は、末端基であっても架橋基であってもよい。
ジアステレオ異性体、エナンチオマー、互変異性体及び“E”又は“Z”立体配置異性体又はE及びZ異性体の混合物の幾何異性体を含む異性体型が式(I)の化合物の系統群に含まれることは理解される。ジアステレオマー、エナンチオマー、幾何異性体のようないくつかの異性体の形は、物理的な及び/又は化学的方法によって及び当業者によって分離され得ることも理解される。
開示された実施態様の化合物の一部は、単一の立体異性体、ラセミ化合物、及び/又はエナンチオマー及び/又はジアステレオマーの混合物として存在し得る。そのすべての単一の立体異性体、ラセミ化合物及びこれらの混合物は、記載されかつ特許請求される内容の範囲内であることを意図する。
更に、式(I)は、該当する場合、化合物の溶媒和された形も溶媒和されない形も包含することを意図する。従つて、各式には、水和された形も水和されない形も含む、指定された構造を有する化合物が含まれる。
用語“医薬的に許容され得る塩”は、上で確認した化合物の所望の生物活性を保持し、かつ医薬的に許容され得る酸付加塩や塩基付加塩を含む塩を意味する。式(I)の化合物の適切な医薬的に許容され得る酸付加塩は、無機塩基から又は有機塩基から調製され得る。医薬的に許容され得る塩に関する情報は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 19th Edition, Mack Publishing Co., Easton, PA 1995に見出すことができる。固形物である薬剤の場合には、本発明の化合物、薬剤及び塩は異なる結晶又は多形形態で存在することができ、その全てが本発明及び指定された式の範囲内であることを意図するが当業者によって理解される。
用語“プロドラッグ”は、生物系の中で、通常は代謝手段によって(例えば加水分解、還元又は酸化によって)式(I)の化合物に変換を受ける化合物を意味する。例えば、ヒドロキシル基を含有する式(I)の化合物のエステルプロドラッグは、生体内加水分解によって親分子に変換でき得る。ヒドロキシル基を含有する式(I)の化合物の適切なエステルは、例えば、アセテート、シトレート、ラクテート、タートレート、マロネート、オキサレート、サリチレート、プロピオネート、スクシネート、フマレート、マレエート、メチレン-ビス-β-ヒドロキシナフトエート、ゲンチセート、イセチオネート、ジ-p-トルオイルタートレート、メタンスルホネート、エタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p-トルエンスルホネート、シクロヘキシルスルファメート、キネートである。他の例として、カルボキシ基を含有する式(I)の化合物のエステルプロドラッグは、親分子に生体内加水分解によって変換でき得る。(エステルプロドラッグの例は、F.J. Leinweber, Drug Metab. Res., 18:379, 1987によって記載されているものである。)
用語“治療的に有効な量”又は“有効な量”は、有益な又は所望の臨床結果を達成するのに充分な量である。有効な量は、1回以上の投与において投与され得る。有効な量は、典型的には、疾患状態の進行を緩和するか、改善させるか、安定化するか、逆転させるか、速度を落とすか又は遅延させるのに充分な量である。
本明細書に用いられる用語“炎症”は、被検者の免疫系が組織損傷、感染、抗原攻撃等に対する応答を調整する過程を意味するものである。炎症は、組織への血液供給増加、組織における毛細血管透過性増加及び組織への白血球遊走増加の1つ以上と関連があり得る。
被検者において炎症に関して本明細書で用いられる用語“治療する”は、化合物又は医薬組成物が症状及び/又は炎症の原因を低減するか又は排除することを意味するものである。
被検者において炎症に関して本明細書で用いられる用語“予防する”は、化合物又は医薬組成物が、実質的に炎症反応を予防しかつ/又は化合物又は医薬組成物で治療しなかった被検者が生じた炎症反応の症状を低減させることを意味するものである。
本発明の第1の態様は、下記式(I)の化合物又はその医薬的に許容され得る塩又はプロドラッグを提供する。
Figure 0006073136
(I)
式中:
- Tは、単結合又は二重結合であり;
- R1は、COOR7、CONR7R8、COSR7、COR7、SO3H、SO2NR7R8、SO2R7、SONR7R8、及びSOR7からなる群より選ばれ;
- R2、R3及びR4は、各々独立して、H、必要により置換されていてもよいC1-C12アルキル及び必要により置換されていてもよいC2-C12アルケニルからなる群より選ばれ;
- R5及びR6は、各々独立して、H、OH、必要により置換されていてもよいC1-C12アルキル、=O (R5及び/又はR6は、これらが結合している炭素原子に結合した水素と一緒になって=O部分で置き換えられる)、(CH2)mOC(O)R9、C1-C12オキシアルキル、C1-C12アルキルオキシ、C2-C12オキシアルケニル及びC2-C12アルケニルオキシからなる群より選ばれるが、R5及びR6の少なくとも1つは(CH2)mOC(O)R9であり、R5がメチルでありかつR6がOC(O)R9である場合、R9はCH3ではなく;
- R7及びR8は、各々独立して、H、必要により置換されていてもよいC1-C12アルキル、必要により置換されていてもよいC2-C12アルケニル、必要により置換されていてもよいC2-C12アルキニル、必要により置換されていてもよいC1-C10ヘテロアルキル、必要により置換されていてもよいC3-C12シクロアルキル、必要により置換されていてもよいC3-C12シクロアルケニル、必要により置換されていてもよいC1-C12ヘテロシクロアルキル、必要により置換されていてもよいC1-C12ヘテロシクロアルケニル、必要により置換されていてもよいC6-C18アリール、及び必要により置換されていてもよいC1-C18ヘテロアリールからなる群より選ばれ;
- R9は、必要により置換されていてもよいC1-C12アルキル、必要により置換されていてもよいC2-C12アルケニル、必要により置換されていてもよいC2-C12アルキニル、必要により置換されていてもよいC1-C10ヘテロアルキル、必要により置換されていてもよいC3-C12シクロアルキル、必要により置換されていてもよいC3-C12シクロアルケニル、必要により置換されていてもよいC1-C12ヘテロシクロアルキル、必要により置換されていてもよいC1-C12ヘテロシクロアルケニル、必要により置換されていてもよいC6-C18アリール、及び必要により置換されていてもよいC1-C18ヘテロアリールからなる群より選ばれ;
- Arは、必要により置換されていてもよいアリール基であり;
- m及びnは、各々が0、1、2、3、及び4からなる群より選ばれる整数である。
本発明の個々の化合物には、以下が含まれる。
Figure 0006073136
Figure 0006073136
化合物は、合成されてもよく、天然源から単離されてもよい。本明細書に記載される組成物を調製するために用いられる化合物は、少なくとも50%純粋、60%純粋、70%純粋、80%純粋、90%純粋、95%純粋、99%純粋又は99.5%純粋だけでなく、100%純粋であり得る。“純粋”は、対象の化合物(すなわち、活性化合物)が他の化合物を含まないことを意味する。同様に、化合物は、また、化合物がその天然源から取り出されかつある程度まで精製されていることを意味する“単離された化合物”と呼ばれてもよい。
化学合成方法は、当該技術において一般に知られており、容易に入手できる出発材料を用いた当該技術において利用できる技術を使って種々の実施態様の化合物が調製され得る。当業者は、既知の化学反応が種々の実施態様の化合物を調製するのに容易に適合され得ることを認めるであろう。実施態様の化合物の合成は、当業者にとって明らかな変更によって、例えば、妨害基を適切に保護することによって、当該技術において既知の他の適切な試薬に変えることによって、又は反応条件の通常の変更をすることによって行うことができる。有機合成に適切な保護基のリストは、T.W. Greene's Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, John Wiley & Sons, 1991に見出すことができる。あるいは、本明細書に開示されるか又は当該技術において既知の他の反応は、種々の実施態様の他の化合物を調製するのに適用性を有すると認められる。化合物を合成するのに有効な試薬は、当該技術において既知の技術に従って入手することができ、調製することもできる。例えば、本発明の化合物のデカリンコア構造を合成する方法は、Ley et al. (Chem. Soc., Chem. Commun., 1983, 503 - 505)及びその中の引用文献に示されている。
あるいは、化合物は、天然源から単離することができる。例えば、化合物は、植物から単離することができる。いくつかの実施態様において、化合物は、ドドナエア(Dodonaeoideae)亜科の植物から単離することができる。
ドドナエア亜科は、ムクロジ(Sapindaceae)科の顕花植物の亜科であり、例えば、ドドナエア(Dodonaea)属やケールロイテリア(Koelreuteria)属を含む。ケールロイテリア属は、3つの種、すなわち、ケールロイテリア・ビピンナタ(Koelreuteria bipinnate)、ケールロイテリア・エレガンス(Koelreuteria elegans)、ケールロイテリア・パニクラタ(Koelreuteria paniculate)からなる。
いくつかの実施態様において、植物は、ドドナエア属であり得る。ドドナエア属は、例えば、ドドナエア・アデノフォラ(Dodonaea adenophora)、ドドナエア・アンブリオフィラ(Dodonaea amblyophylla)、ドドナエア・アングスティフォリア(Dodonaea angustifolia)、ドドナエア・アングスティッシマ(Dodonaea angustissima、ドドナエア・アプテラ(Dodonaea aptera)、ドドナエア・アテニュエート(Dodonaea attenuate)、ドドナエア・バウエリ(Dodonaea baueri)、ドドナエア・ビロバ(Dodonaea biloba)、ドドナエア・ボロニフォリア(Dodonaea boroniifolia)、ドドナエア・ブルサリフォリア(Dodonaea bursariifolia)、ドドナエア・カエスピトーサ(Dodonaea caespitose)、ドドナエア・カムフィールディ(Dodonaea camfieldii)、ドドナエア・ケラトカルパ(Dodonaea ceratocarpa)、ドドナエア・コンシナ(Dodonaea concinna), ドドナエア・コリアセア(Dodonaea coriacea)、ドドナエア・クネアタ(Dodonaea cuneata)、ドドナエア・ディバリカタ(Dodonaea divaricate)、ドドナエア・エリシフォリア(Dodonaea ericifolia)、ドドナエア・エリコイデス(Dodonaea ericoides)、ドドナエア・ファルカタ(Dodonaea falcate)、ドドナエア・フィリフォリア(Dodonaea filifolia)、ドドナエア・フィリフォルミス(Dodonaea filiformis)、ドドナエア・グランデュロサ(Dodonaea glandulosa)、ドドナエア・ハッケティアナ(Dodonaea hackettiana)、ドドナエア・ヘテロモルファ(Dodonaea heteromorpha)、ドドナエア・ヘキサンドラ(Dodonaea hexandra)、ドドナエア・ヒルステ(Dodonaea hirsute)、ドドナエア・フミフサ(Dodonaea humifusa)、ドドナエア・フミリス(Dodonaea humilis)、ドドナエア・イナエクイフォリア(Dodonaea inaequifolia)、ドドナエア・イントリカタ(Dodonaea intricate)、ドドナエア・ランセオラタ(Dodonaea lanceolata)、ドドナエア・ラレオイデス(Dodonaea larreoides)、ドドナエア・ロブラータ(Dodonaea lobulate)、ドドナエア・マクロサニ(Dodonaea macrossanii)、ドドナエア・マダガスカリエンシス(Dodonaea madagascariensis)、ドドナエア・メガジガ(Dodonaea megazyga)、ドドナエア・ミクロジガ(Dodonaea microzyga)、ドドナエア・ムルティユガ(Dodonaea multijuga)、ドドナエア・オキシプテラ(Dodonaea oxyptera)、ドドナエア・パチニューラ(Dodonaea pachyneura)、ドドナエア・ペドゥンクラリス(Dodonaea peduncularis)、ドドナエア・ペティオラリス(Dodonaea petiolaris)、ドドナエア・フィソカルパ(Dodonaea physocarpa)、ドドナエア・ピニフォリア(Dodonaea pinifolia)、ドドナエア・ピンナタ(Dodonaea pinnata)、ドドナエア・プラティプテラ(Dodonaea platyptera)、ドドナエア・ポリアンドラ(Dodonaea polyandra)、ドドナエア・ポリジガ(Dodonaea polyzyga)、ドドナエア・プロクンベンス(Dodonaea procumbens)、ドドナエア・プタルミシフォリア(Dodonaea ptarmicifolia)、ドドナエア・ロンビフォリア(Dodonaea rhombifolia)、ドドナエア・リギダ(Dodonaea rigida)、ドドナエア・ルピコラ(Dodonaea rupicola)、ドドナエア・セラティフォリア(Dodonaea serratifolia)、ドドナエア・シヌオラータ(Dodonaea sinuolata)、ドドナエア・スパツラータ(Dodonaea spatulate)、ドドナエア・ステノフィラ(Dodonaea stenophylla)、ドドナエア・ステノジガ(Dodonaea stenozyga)、ドドナエア・スブグランデュリフェラ(Dodonaea subglandulifera)、ドドナエア・テヌイフォリア(Dodonaea tenuifolia)、ドドナエア・テッペリ(Dodonaea tepperi)、ドドナエア・トリアングラリス(Dodonaea triangularis)、ドドナエア・トリフィダ(Dodonaea trifida)、ドドナエア・トリケトラ(Dodonaea triquetra)、ドドナエア・ツルンカティアレス(Dodonaea truncatiales)、ドドナエア・ウンシナータ(Dodonaea uncinate)、ドドナエア・ベスティタ(Dodonaea vestita)、ドドナエア・ビスコサ(Dodonaea viscose)を含む約70種からなる。
いくつかの実施態様において、植物は、ドドナエア・ポリアンドラ種である。
化合物は、例えば、クロマトグラフィ、溶媒抽出、それらの組み合わせを含む、当該技術において一般に既知の方法によって天然源から単離することができる。カラムクロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ、及び高圧液体クロマトグラフィを単独で又は組み合わせて用いて、本発明の化合物を単離することができる。順相クロマトグラフィ、逆相クロマトグラフィ、及びこれらの組み合わせを用いることができる。
化合物は、天然源の抽出物から単離することができる。天然源から化合物を単離することには、天然源から抽出物を調製することが含まれ得る。例えば、適切な植物からi)生物量の植物と溶媒とを適切な条件下で混合し; ii)工程(i)から抽出物を含有する溶媒を収集し; iii)溶媒の少なくとも一部を除去することによって抽出物を調製することができる。
生物量の植物は、植物の異なる部分によって準備されてもよく、新鮮な植物材料からなっても乾燥した植物材料からなってもよい。いくつかの実施態様において、生物量は、乾燥植物材料を含む。
いくつかの実施態様において、生物量は、葉、茎、又は樹皮のいずれか1つ又はそれ以上を含むことができる。いくつかの実施態様において、生物量は、花、根、枝又は幹を含むことができる。
いくつかの実施態様において、生物量は、溶媒と混合する前に又は同時に、破砕、分裂、破壊、浸解、混和又は細断することができる。あるいは、生物量は、実質的に損傷を受けていない状態で用いることができる。
上述したように、植物から抽出物を調製することには生物量の植物と溶媒とを適切な条件下で混合することが含まれる。当業者によって理解されるように、用いられる溶媒及び抽出すべき植物の成分によっては適切な条件が異なってもよい。
いくつかの実施態様において、適切な条件は、20℃と30℃の間の温度からなる。いくつかの実施態様において、適切な条件は、20℃と40℃の間の温度からなる。
いくつかの実施態様において、適切な条件は、植物材料と溶媒の撹拌からなる。撹拌は、例えば、かき混ぜ、振盪、反転等を含む多くの異なる方法によって行うことができる。いくつかの実施態様において、撹拌は、植物生物量を断裂させるか又は損傷させるのに充分なものでよく、植物生物量からいくつかの化合物の抽出に有利なものであり得る。
いかなる適切な抽出時間も、抽出物を調製するのに用いることができる。いくつかの実施態様において、生物量の植物と溶媒とを適切な条件下で混合することは、約1、4、6、8、10、12、16、20又は24時間よりも長く行われてもよい。いくつかの実施態様において、生物量の植物と溶媒とを適切な条件下で混合することは、1時間未満行われてもよい。
いくつかの実施態様において、生物量の植物と溶媒の混合物からの抽出物を含有する溶媒を収集することには、生物量の植物からの抽出物を含有する溶媒を分離することが必要である(例えばろ過によって)。いくつかの実施態様において、抽出物は、溶媒の一部又は成分にのみ含有されることになり(例えば、水相又は有機相に)、その場合、抽出物を含有する溶媒を収集することには溶媒の1つ以上の部分又は成分を分離することが含まれることになる。収集又は分離方法には、例えば、傾瀉、ろ過、密度勾配分離、遠心等を含む当該技術において既知のものが含まれる。
抽出物を調製する方法にも、溶媒の少なくとも一部を除去ことが含まれる。溶媒の少なくとも一部を除去することは抽出物を含有する溶媒の収集の前に行われてもよいが、この工程は通常は抽出物を含有する溶媒の収集の後に行われると想定される。いくつかの実施態様において、溶媒の少なくとも一部を除去することは、溶媒の成分を除去することを含んでもよく(例えば水性エタノール溶媒からエタノールの除去)、全体として溶媒の少なくとも一部又は容積を除去してもよい(例えば、溶媒の容積の40%を除去する)。いくつかの実施態様において、溶媒の一部だけが除去され、このことにより残りの溶媒中で抽出物が濃縮されるか又は溶媒中の成分の濃度が変わることになる。いくつかの実施態様において、実質的にすべての溶媒が除去されて、乾燥した又は固体の抽出物を調製してもよく、溶媒の1つ以上の成分の全部が除去されてもよい。
溶媒又は溶媒の成分を除去する方法は、当該技術において既知であり、例えば、抽出物の沈殿、溶媒又は溶媒の成分の蒸発、クロマトグラフィ、密度勾配分離及び/又は遠心分離を含む。蒸発は、温度及び/又は圧力を上昇/降下することによって促進することができる(例えば凍結乾燥、焼成、回転蒸発等)。溶媒のどの成分及び溶媒のどのくらいを除去するかは、抽出物の所望の形態及び使用及び用いられる具体的な溶媒に左右され得る。
いくつかの実施態様において、溶媒は、アルコールからなる。理解されるように、異なるアルコールの範囲が用いられてもよく、例えば、第一級アルコール(例えばエタノール)、第二級アルコール(例えばイソプロピルアルコール)又は第三級アルコール(例えばt-ブチルアルコール)が挙げられる。いくつかの実施態様において、アルコールは、水と混合することができる。
いくつかの実施態様において、溶媒は、エタノール又はメタノールからなる。溶媒は、水性(例えば50-99%)メタノール又はエタノールでもあり得る。
いくつかの実施態様において、溶媒は、エステル、例えば酢酸エチルからなる。
いくつかの実施態様において、溶媒は、炭化水素を含むからなる。炭化水素は、直鎖炭化水素、分枝鎖炭化水素又は環状炭化水素からなってもよい。いくつかの実施態様において、炭化水素は、置換炭化水素でもよい。
いくつかの実施態様において、溶媒は、アルカン炭化水素からなる。アルカン炭化水素は、例えば、ペンタン、ヘキサン又はオクタン炭化水素からなってもよい。
いくつかの実施態様において、アルカン炭化水素は、ヘキサンからなる。
いくつかの実施態様において、溶媒は、ハロゲン化炭化水素からなる。いくつかの実施態様において、ハロゲン化炭化水素は、塩化メチレン(すなわちジクロロメタン)である。いくつかの実施態様において、塩化メチレンは、他の有機化合物と混合されてもよい。従って、いくつかの実施態様において、溶媒は、塩化メチレンとメタノールの混合物からなってもよい。抽出すべき抽出物及び抽出条件によって異なる比の塩化メチレンとメタノールを用いることができるが、いくつかの実施態様において、塩化メチレンとメタノールの比は約1:1である。
抽出物を調製するための方法は、単一の溶媒による単一の抽出工程を含んでもよく、2種類以上の異なる溶媒又は異なる濃度の溶媒による2つ以上の連続抽出工程を含んでもよい。従って、いくつかの実施態様において、方法は、異なる溶媒による連続抽出を含む。いくつかの実施態様において、方法は、複数の溶媒による単一の抽出工程を含んでもよい。
本明細書で用いられる用語“連続抽出”は、生物量が第1の溶媒と適切な条件下で適切な時間混合された後、第1の溶媒が除去され、第2の溶媒に置き換えられる。次に、第2の溶媒が除去されると、後続の溶媒が用いられてもよい。植物生物量から異なる成分を除去するために特定の順序で異なる溶媒を用いてもよく、第1の成分を含むが第2の成分を除外する抽出物が選ばれることを可能にすることができる。例えば、植物生物量から第1の成分を抽出するのに適しているが第2の成分を抽出するのに適していない第1の溶媒は、双方の成分を抽出する第2の溶媒の前に植物生物量に用いることができる。第1の溶媒が植物生物量から第1の成分をすでに抽出しているので、第2の溶媒は、最少量の抽出されている第1の成分を有する植物生物量から第2の成分を抽出することができる。
異なる溶媒の範囲を、例えば、本明細書において前述した溶媒のいずれかを含む、連続抽出に用いることができることは理解される。いくつかの実施態様において、異なる溶媒は、ヘキサン、塩化メチレン/メタノール(1:1)、及びエタノールからなる。いくつかの実施態様において、異なる溶媒は、いかなる順序においても用いることができる。いくつかの実施態様において、異なる溶媒は、ヘキサン、次に、塩化メチレン/メタノール(1:1)、次に、エタノールの順序である。いくつかの実施態様において、溶媒は、抽出の終わりにプールされ得る。
いくつかの実施態様において、生物量の植物の溶媒抽出は、反復することができる。反復抽出から収集される抽出物を含有する溶媒は、最初の溶媒抽出から収集された抽出物を含有する溶媒と合わせてもよく、別々に処理されてもよい。
“抽出物”の例示的な例としては、“LH”画分(例えばLH1-LH13)及び本明細書の実施例に示される“DPS”画分が挙げられる。
いくつかの実施態様において、化合物は天然源から直接単離されてもよいが、一般的には中間工程(例えば抽出物の調製)が用いられることが想定される。いくつかの実施態様において、化合物を直接天然源の代わりに抽出物から単離すると、単離された化合物の収率、純度又は品質を改善することができ、単離プロセスの有効性を改善することもできる。
いくつかの実施態様において、抽出物は、本発明の化合物を純粋形態で単離するために、クロマトグラフィにかける。適切なクロマトグラフィ技術としては、重力供給カラムクロマトグラフィ; 中圧カラムクロマトグラフィ; 高圧カラムクロマトグラフィ(例えば‘フラッシュ’クロマトグラフィ、HPLC等); 薄層クロマトグラフィ; 等が挙げられるがこれらに限定されない。クロマトグラフィは、順相シリカ、逆相シリカ(例えばC18)、セファデックス等で実施され得る。
あるいは、又は更に、化合物は、適切な溶媒(1つ以上)を用いて結晶化によって得ることもできる。好適な溶媒には、化合物が可溶である第1の溶媒と、化合物が不溶である第2の溶媒の混合物が含まれる。当業者は、適切な溶媒又は溶媒の組み合わせが試行錯誤によって決定され得ることを理解する。
抽出物から単離することができる例示的な化合物としては、本明細書の実施例に示される化合物が挙げられる(例えば化合物C、E、F及びH)。
活性によって誘導された分画は、天然源から化合物の単離に用いることができる。種々の実施態様において、抽出物の活性は、適切な炎症モデル系において分析することができ、分析の結果は、適切な抗炎症活性を有する抽出物を確認するために用いることができる。いくつかの実施態様において、炎症モデル系は、マウス耳浮腫モデルである。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の化合物を含む組成物を提供する。組成物は、製薬組成物であっても化粧組成物であってもよい。
いくつかの実施態様において、本発明の第2の態様の組成物は、医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物である。個々の実施態様において、医薬組成物は、局所組成物からなる。
医薬組成物は、また、1つ以上の医薬的に許容され得る添加剤を含むことができ、医薬的に許容され得る塩、アミノ酸、ポリペプチド、ポリマー、溶媒、緩衝剤、賦形剤及び増量剤が含まれ、投与される化合物の具体的な物理的化学的特性が考慮に入れられる。
その医薬組成物の調製は、当該技術において既知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (18th ed., Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1990)、米国薬局方: 国民医薬品集(Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1984)に記載されている。
例えば、化合物は、例えば、水溶液、油性製剤、脂肪エマルジョン、エマルジョン、ゲル等の形で種々の医薬組成物に調製することができ、これらの製剤は、筋肉内注射又は皮下注射として又は臓器への注入として、又は埋め込み製剤として又は鼻腔、直腸、子宮、膣、肺等による経粘膜製剤として投与することができる。組成物は、経口製剤の形で投与することができる(例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤又は散剤のような固体製剤; シロップ、乳剤又は懸濁剤のような液体製剤)。化合物を含有する組成物は、防腐剤、安定剤、分散剤、pH調整剤又は等張剤を含有することもできる。適切な防腐剤の例は、グリセリン、プロピレングリコール、フェノール又はベンジルアルコールである。適切な安定剤の例は、デキストラン、ゼラチン、a-トコフェロールアセテート又はアルファ-チオグリセリンである。好適な分散剤の例としては、ポリオキシエチレン(20)、ソルビタンモノオレエート(ツウィーン80)、ソルビタンセスキオレエート(スパン30)、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(Pluronic F68)又はポリオキシエチレン水素化ヒマシ油60が挙げられる。好適なpH調整剤の例としては、塩酸、水酸化ナトリウム等が挙げられる。適切な等張剤の例は、グルコース、D-ソルビトール又はD-マンニトールである。
組成物は、また、他の成分又は添加剤、例えば、医薬的に許容され得る担体、希釈剤、賦形剤、懸濁剤、滑沢剤、補助剤、賦形剤、送達系、乳化剤、崩壊剤、吸収剤、防腐剤、界面活性剤、着色剤、香味剤又は甘味剤を含有することができ、投与される化合物の物理的化学的特性が考慮される。
組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレー、吸着、吸収によって、局所的に、直腸的に、経鼻的に、口腔内に、経膣的に、眼内に、脳室内に、移植レザバーによって通例の非毒性の医薬的に許容され得る担体を含有する投薬製剤で、又は他の便利な剤形によって投与することができる。本明細書に用いられる用語非経口としては、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、脳室内、線条体内、及び頭蓋内注射又は注入の技術が挙げられる。
非経口投与される場合、組成物は、医薬的に許容され得る担体による、好ましくは受容個体の血液と等張である単位用量の滅菌注射剤形(溶液、懸濁液又はエマルジョン)であり得る。その滅菌注射剤形の例は、滅菌注射用水性又は油性懸濁液である。これらの懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤をを用いて当該技術において既知の技術に従って配合することができる。滅菌注射用剤形は、また、非経口的に許容され得る非毒性の希釈剤又は溶媒中の滅菌注射剤溶液又は懸濁液、例えば、1,3-ブタンジール中の溶液としてであってもよい。使うことができる許容され得る賦形剤及び溶媒の中では、水、食塩水、リンゲル液、デキストロス溶液、生理食塩水及びハンクス液である。更に、滅菌不揮発性油は、通例は、溶媒又は懸濁媒体として使うことができる。このために、合成モノグリセリド又はジグリセリド、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、及びゴマ油を含むいかなる不揮発性油も使うことができる。オリーブ油やヒマシ油を含む、エチルオレエート、イソプロピルミリステート、オレイン酸、そのグリセリド誘導体のような脂肪酸が、特にそのポリオキシエチル化変形例で、注射剤の調製に有効である。これらの油溶液又は懸濁液は、また、長鎖アルコール希釈剤又は分散剤を含有し得る。
担体は、少量の添加剤、例えば、溶解性、等張性、及び化学安定性を高める物質、例えば、抗酸化剤、緩衝剤、防腐剤を含有することができる。
経口投与される場合、化合物は、従来の設備及び当該技術において既知の技術を用いて、錠剤、カシェ剤、散剤、顆粒剤、ビーズ剤、チュアブルロゼンジ剤、カプセル剤、液剤、水性懸濁液又は水溶液、又は類似の剤形のような単位剤形に配合され得る。その製剤には、典型的には、固体、半固体、又は液体の担体を含まれる。例示的な担体としては、ラクトース、デキストロス、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、鉱油、カカオバター、カカオ脂、アルギン酸塩、トラガント、ゼラチン、シロップ、メチルセルロース、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
錠剤は、化合物を必要により1つ以上の補助的成分と圧縮するか又は成形することによって製造することができる。圧縮錠剤は、適切な機械において、必要により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤、又は分散剤と混合されてもよい粉末又は顆粒のような自由流動性の形の有効成分を圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、適切な機械において、粉末状の有効成分と不活性液体希釈剤で湿らせた適切な担体の混合物を成形することによって製造することができる。
本発明の種々の実施態様において化合物の投与は、また、放出制御技術を用いることができる。化合物は、また、徐放性医薬品として投与することができる。徐放効果を更に高めるために、化合物は、追加成分、例えば、植物性油脂(例えば、ダイズ油、ゴマ油、ツバキ油、ヒマシ油、落花生油、菜種油);中鎖脂肪酸トリグリセリド; 脂肪酸エステル、例えばエチルオレエート; ポリシロキサン誘導体; あるいは、水溶性高分子量化合物、例えば、ヒアルロン酸又はその塩(質量平均分子量: 約80,000〜2,000,000)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(質量平均分子量: 約20,000〜400,000)、ヒドロキシプロピルセルロース(2%水溶液の粘度: 3〜4,000cps)、アテロコラーゲン(質量平均分子量: 約300,000)、ポリエチレングリコール(質量平均分子量: 約400〜20,000)、ポリエチレンオキシド(質量平均分子量: 約100,000〜9,000,000)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(1%水溶液の粘度: 4〜100,000cSt)、メチルセルロース(2%水溶液の粘度: 15〜8,000cSt)、ポリビニルアルコール(粘度: 2〜100cSt)、ポリビニルピロリドン(質量平均分子量: 25,000〜1,200,000)と配合することができる。
いくつかの実施態様において、数日間にわたる制御放出用の疎水性高分子マトリックスに化合物を組み込むことができる。次に、化合物を、頻繁な再投薬を必要とせずに長期間にわたって有効な濃度の化合物を与えるのに適している固体植込剤、又は外面的に適用される貼付剤に成形することができる。その放出制御フィルムは、当該技術に周知である。用いることができるこのために一般に使われるポリマーの他の例としては、非分解性エチレン-酢酸ビニルコポリマー、外面的に又は内面的に用いることができる分解性乳酸-グリコール酸コポリマーが挙げられる。ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール)ようなある種のヒドロゲルも、上述したようなその他のポリマー放出系よりも短い放出サイクルの場合に有効であり得る。
担体は、また、適切な時間放出特性及び放出速度論を有する固体生分解性高分子又は生分解性高分子の混合物であり得る。次に、化合物を、頻繁な再投薬を必要とせずに長期間にわたって有効な濃度の化合物を与えるのに適している固体植込剤に成形することができる。化合物は、当業者に知られている適切な方法で生分解性高分子又はポリマー混合物に組み込むことができ、生分解性高分子を有する均一なマトリックスを形成してもよく、ポリマーの中に何らかの方法で封入されてもよく、固体植込剤に成形されてもよい。
いくつかの実施態様において、組成物は、局所組成物あり得る。局所投与に対して、本発明の組成物は、溶液、噴霧、ローション、クリーム(例えば非イオンクリーム)、ゲル、ペースト、軟膏又はロゼンジの形であり得る。あるいは、組成物は、リポソーム、ナノソーム、又はニュートリディフューザビヒクルを介して送達することができる。
いくつかの実施態様において、局所組成物は、皮膚又は歯肉への投与に適合される。例えば、組成物は、クリーム、ローション、ペースト、軟膏、ゲル等の形で与えることができる。
クリーム剤は、水及び油を含有する製剤であってもよく、乳化剤によって安定化される。親油性クリームは、油中水型エマルジョンと呼ばれ、親水性クリームは、水中油型エマルジョンと呼ばれる。油中水型エマルジョンのためのクリーム基剤は、ワセリン、セレシン又はラノリンのような吸収基剤であり得る。水中油型エマルジョンのための基剤は、乳化剤として脂肪酸又は脂肪アルコールと石鹸、アルキルスルフェート又はアルキルポリグリコールエーテルとのモノ-、ジ-及びトリグリセリドであり得る。
ローション剤は、皮膚外用のための不透明で薄くベタつかないエマルジョン液体剤形であってもよく、揮発分が50%よりも多くかつかけることによって送達することができる粘度が充分に低い水性賦形剤を含有することができる。ローションは、通常は親水性であり、LOD(乾燥減量)によって測定されるように50%よりも多い揮発分を含有する。ローションは、皮膚上で擦ったときに清涼感と共に急速に蒸発する傾向がある。
ペースト剤は、皮膚外用のための不透明又は半透明の粘稠なベタベタしたエマルジョン又は懸濁半固体剤形であってもよく、50%よりも多い炭化水素ベース又はポリエチレングリコールベースの賦形剤及び20%未満の揮発分を含有することができる。ペーストは、脂肪性又は水性賦形剤に分散した固形分の大部分(20-50%)を含有することができる。軟膏は、皮膚上で擦ったときに、蒸発しないか又は吸収されない傾向がある。
軟膏は、皮膚外用のための不透明又は半透明の粘稠なベタベタしたエマルジョン又は懸濁半固体剤形であってもよく、50%よりも多い炭化水素ベース又はポリエチレングリコールベースの賦形剤及び20%未満の揮発分を含有することができる。軟膏剤は、通常は親油性であり、賦形剤として> 50%の炭化水素又はポリエチレングリコール及びLODによって測定されるように < 20%の揮発分を含有する。軟膏は、皮膚上で擦られたときに蒸発しないか又は吸収されない傾向がある。
ゲル剤は、皮膚外用のための半透明のベタつかないエマルジョン又は懸濁半固体剤形であってもよく、ゲル化剤を3次元の架橋マトリックスを与えるのに充分な量で含有する。ゲルは、通常は親水性であり、充分な量のゲル化剤、例えば、デンプン、セルロース誘導体、カルボマー、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、キサンタンガム、コロイドシリカ、アルミニウム又は亜鉛石鹸を含有する。
局所投与用の組成物には、更に、乾燥剤、消泡剤; 緩衝剤、中和剤、pH調整剤; 着色剤及び脱色剤; 皮膚軟化剤; 乳化剤、エマルジョン安定剤、粘度上昇剤; 保湿剤; 匂い物質; 防腐剤、抗酸化剤、化学安定剤; 溶媒; 増粘剤、硬化剤、沈殿防止剤、残部の水又は溶媒が含まれてもよい。いくつかの実施態様において、局所製剤は、また、噴霧の形であり得る。適切な噴霧製剤の例としては、鼻腔内噴霧剤、口腔内又は咽喉内噴霧剤及び皮膚噴霧剤が挙げられる。
いくつかの実施態様において、組成物は、眼組成物でってもよい。眼投与に対して、本発明の組成物は、溶液、噴霧、ローション、クリーム、ゲル、ペースト又は軟膏の形であり得る。
眼に直接適用される点滴剤及び液剤は、典型的には、適切な緩衝剤、安定剤、及び保存剤と共に、0.1%〜10%を含有する滅菌水溶液である。溶質の全濃度は、可能な場合には、得られた溶液が涙液と等張であり、pH 6-8の範囲で等価なpHを有するものでなければならない。典型的な防腐剤は、フェニル水銀アセテート、チメロサール、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウムである。典型的な緩衝系及び塩は、例えば、クエン酸塩、ホウ酸塩又はリン酸塩に基づき; 適切な安定剤には、グリセリンやポリソルベート80が含まれる。水溶液は、簡単には、溶質を適量の水に溶解し、pHを約6.8-8.0に調整し、追加の水で最終容積に調節し、当業者に既知の方法を用いて調製物を殺菌することによって配合される。
得られた眼組成物の用量レベルは、もちろん、点滴剤の濃度、被検者の状態及び治療に対する反応の個々の大きさに左右される。しかしながら、典型的な眼組成物は、有効成分の0.5%溶液が1眼につき1日約2-10滴の割合で投与され得る。
医薬組成物は、伝統的医療、補完医療及び/又は代替医療に用いることができる。
本発明の第2の態様のいくつかの実施態様において、組成物は、化粧組成物である。
化粧組成物は、本発明の第1の態様の化合物のいずれかの1つ以上と化粧的に許容され得る担体、希釈剤及び/又は補助剤を混合することによって調製することができる。これらの実施態様において、化合物は、被検者の皮膚適用のための局所賦形剤、例えば化粧用賦形剤に組み込むことができる。適切な化粧用賦形剤としては、メーキャップ、唇、顔面及びスクラブに適用することを意図した製品、クレンジング製品、例えばローション、皮膚軟化剤、パウダー、コンディショニング製品、例えばローション、クリーム、オイル、アンチエージング製品、スキンホワイトニング製品、整髪製品、例えばローションやラッカー、脱臭剤、制汗薬、クレンザー、例えば化粧石鹸、防臭石鹸、収斂剤、皮膚洗浄剤、シェービング製品、例えばクリーム、フォーム、ローション、バスシャワー製品、例えばソルト、フォーム、オイル、ゲル等、脱毛剤、風呂上りパウダー、衛生パウダー、保湿製品、例えばクリーム、ローション、ゲル、フォーム、日光浴製品が挙げられるが、これらに限定されない。化粧用製品は、リーブオン組成物、リンシング組成物又はクレンジング組成物であってもよい。
一実施態様において、化粧用製品は、エッセンス、クレンザー、トナー、クリーム、マスク、及びミストからなる群より選ばれ得る。
組成物は、更に、追加の抗酸化剤、日焼け止め剤、モイスチャライザー、エッセンシャルオイル、植物抽出物、スキンコンディショニング剤、ハーブエキス、保湿剤、界面活性剤、ビタミン、増粘剤、防腐剤、エクスフォリアント、芳香剤等を含むことができる。
例示的的な抗酸化剤としては、水溶性抗酸化剤、例えばスルフヒドリル化合物及びその誘導体(例えばメタ重亜硫酸ナトリウムやN-アセチル-システイン)、リポ酸及びジヒドロリポ酸、レスベラトロル、及びラクトフェリンが挙げられる。例示的な油溶性抗酸化剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン、レチノイド、トコフェロール、及びユビキノンが挙げられる。
例示的なモイスチャライザーとしては、脂肪酸、ラノリン、セチルパルミテート、ヒマシ油、ホホバ種子油、ブドウ種子油、ヒマワリ種子油、ベニバナ種子油、ジグリセリン、オレイン酸、ジメチコーンコポリオール、デキストリン、ホホバエステル、パンテノール、スクアレン、ヤシ油、オリーブ油、ゼラチン、カカオバター、水素化レシチン、イソプロピルイソステアレート、水素化植物油、グリセロールポリマー、グリセリン、ソルビタンパルミテート、ペテロラタム、トリステアリン、グリセリルジステアレート、及びセラミドが挙げられる。
エッセンシャルオイルは、組成物の皮膚軟化特性と浸透特性を強化することができる。例示的なエッセンシャルオイルとしては、レモングラス油、チャノキ油、タイム油、ラベンダー油及びアルファビサボロールが挙げられる。
例示的な保湿剤は、グリセロール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、単糖、オリゴ糖が挙げられる。
例示的なビタミンとしては、ビタミンA、プロビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB4、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンD2、ビタミンD3、トコフェロール(ビタミンE)、ビタミンF、及びビタミンKiが挙げられる。
例示的な増粘剤としては、カルボマー、ヒドロキシメチルセルロース、キサンタンガム、グアガム、キトサン、ステアリルアルコール、及びポリクオタニウム-10が挙げられる。
例示的な防腐剤としては、トタロール、パラベン、第四級塩化アンモニウム、塩化ベンザルコニウム、イソチアゾリノン、パラベン、クロロキシレノール; クロルヘキシジン、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、安息香酸及びその塩、クロロブタノール、ソルビン酸及びその塩、トリクロサン、及びトリクロカルバンが挙げられる。
例示的なスキンコンディショニング剤としては、ヒドロキシ酸が挙げられる。用語「ヒドロキシ酸」には、α-ヒドロキシ酸とβ-ヒドロキシ酸双方が含まれる。適切なヒドロキシ酸としては、α-ヒドロキシ酸、例えば、乳酸、グリコール酸、クエン酸、α-ヒドロキシオクタン酸、酒石酸、グルクロン酸、α-ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、マンデル酸、及びピルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。適切なβ-ヒドロキシ酸としては、サリチル酸、β-ヒドロキシ酪酸、及びカルニチンが挙げられるが、これらに限定されない。
化粧組成物は、被検者において炎症を治療するか又は予防するために用いることができる。
本発明の第3の態様は、被検者において炎症を治療するか又は予防する方法であって、本発明の第1の態様の治療的に有効な量の化合物を被検者に投与することを含む、前記方法を提供する。
本発明の第4の態様は、被検者において炎症を治療するか又は予防する方法であって、本発明の第2態様の治療的に有効な量の組成物を被検者に投与することを含む、前記方法を提供する。
いくつかの実施態様において、炎症は、急性炎症を含む。いくつかの実施態様において、被検者における急性炎症は、以下のいずれか1つ又はそれ以上に応答していることがあり得る: 創傷(例えば、切り傷、挫傷、火傷等); 感染(例えば、細菌、ウイルス、真菌、原生生物等); 毒素又はイオン化放射線への曝露; アレルゲン又は抗原への曝露; 及び被検者における異物(例えば破片)の存在。いくつかの実施態様において、急性炎症は、皮膚炎を伴う場合がある。
いくつかの実施態様において、炎症は、慢性炎を含む。いくつかの実施態様において、慢性炎は、上記のように、急性炎症の持続的な形を伴ってもよく、炎症性疾患を伴ってもよい。炎症性疾患は、例えば、自己免疫疾患(例えば、リウマチ様関節炎、クローン病、炎症性大腸疾患、サルコイドーシス、乾癬、多発硬化症等)、無害環境抗原(例えば、喘息、湿疹、花粉症、じんま疹、食物アレルギー等)に対する過敏性反応、持続感染に対する過敏性反応又は遅延型過敏反応、例えば、接触過敏症、ツベルクリン型過敏性又は肉芽腫性過敏性)を含むことができる。
いくつかの実施態様において、炎症は、他の疾患又は状態を伴ってもよく、例えば、糸球体腎炎、脊椎炎、骨関節炎、血管炎、強皮症、スティル病、歯肉炎等が含まれる。
従って、いくつかの実施態様において、本発明は、炎症に特徴を有するか又は炎症を伴う疾患又は状態を治療する方法であって、本発明の第1の態様の治療的に有効な量の化合物又は本発明の第2の態様の治療的に有効な量の組成物をその治療を必要としている被検者に投与することを含む、前記方法を提供する。
いくつかの実施態様において、炎症は、移植した臓器又は組織に対する免疫応答を伴う。
炎症の症状は、炎症の種類によるが、以下のいずれか1つ又はそれ以上を含むことができる: 発赤; 高熱; 膨潤; 疼痛; 及び患部組織の機能の喪失。
いくつかの実施態様において、炎症は、以下の免疫反応又は過程のいずれか1つ又はそれ以上によって仲介され得る: T細胞活性化; B細胞活性化; 樹枝状細胞活性化; 自然免疫細胞(すなわち、食細胞、例えば、単球、マクロファージ、好中球等が挙げられる)の活性化; 走化性分子の放出; 補体の放出; 炎症性サイトカインの放出; 抗炎症サイトカインの抑止; 抗体の放出; 損傷、感染等の部位に対する免疫細胞の移動; 損傷、感染等の部位へ血液供給の増加; 損傷、感染等の部位近傍の血管透過性の増大; 及び損傷、感染等の部位近傍の細胞による接着因子の発現増加。いくつかの実施態様において、化合物又は医薬組成物は、これらの免疫反応又は過程のいずれか1つ又はそれ以上を阻害することができる。
化合物又は組成物を被検者に投与することは、いかなる適切な方法によっても投与することを含むことができる。例えば、化合物又は医薬組成物は、経口的に、非経口的に、局所的に、内視鏡的に、注射によって、全身的に又は他の適切ないかなる手段によっても投与することができる。
上述したように、本発明の第3又は第4の態様の方法は、被検者において炎症を治療するか又は予防するために用いることができる。いくつかの実施態様において、被検者は、動物被検者である。適切な被検者としては、例えば、ヒト、霊長類、家畜動物、例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ等、伴侶動物、例えば、イヌ又はネコ、臨床検査動物、例えば、マウス、ラット、モルモット又は鳥、又は獣医学的重要性の動物又は経済的重要性の動物のような哺乳類の被検者が挙げられる。被検者には、また、非哺乳類動物被検者、例えば、ニワトリのような家禽鳥類を含む鳥類; ウミガメ、カメ、ヘビのような伴侶爬虫類を含む爬虫類被検者; 野生捕獲された魚及び水産養殖における魚を含む魚が含まれてもよい。
従って、いくつかの実施態様において、被検者は、哺乳類である。いくつかの実施態様において、被検者は、ヒトである。
本発明の第5の態様は、炎症の治療又は予防のための薬剤の調製において、本発明の第1の態様の化合物の使用を提供するものである。
本発明の第6の態様は、炎症に特徴を有するか又は炎症を伴う疾患又は状態の治療において、本発明の第1の態様の化合物の使用を提供するものである。
下記の限定されない図面及び/又は実施例によって本発明が更に記載される。
ドドナエア・ポリアンドラから植物材料の収集
Northern Kaanju Kuku I'yu Homelands (Chuula Homelands)、セントラルケープヨーク半島、クイーンズランドのNorthern Kaanjuの人々が西洋の学名を確認した民族植物学者Nick Smith氏と協力してドドナエア・ポリアンドラの植物材料を収集した。ドドナエア・ポリアンドラ(伝票番号NMS5293)の葉と茎を、2007年12月に雄雌双方のタイプ(若い木≦2m)から、30の植物試料の集団から収集した。証拠標本と植物位置(13°07′14″、142°59′45″)の詳細を記録し、ブリズベーンハーバリウム、クイーンズランド(証拠標本No.AQ 749703)に提出した。植物材料を日陰で風乾し、運搬のための紙袋に包装した。次に、葉と茎を相互に分離し、抽出まで-20℃で別々の紙袋に保存した。
一般材料
植物抽出及び粗分離に用いられるすべての溶媒は、HPLC実験用の分析グレード(Merck、Australia and Univar、オーストリア)又はHPLCグレード(Merck、Australia and Univar、オーストリア)であった。薄層クロマトグラフィ(薄層クロマトグラフィ)プレート(逆相RP-18 F254及び順相シリカゲル60 F254)は、Merck(ダルムシュタット、ドイツ)から購入した。プレートは、Chromato-vueキャビネットCC-60(UVP、Australia)を使用している紫外線(254/365nm)の下で視覚化した。Waters C18 125オングストローム(ミルフォード、マサチューセッツ州)、Merckシリカゲル60(70-230メッシュASTM)及びセファデックスLH-20(Sigma)をカラムクロマトグラフィに用いた。すべてのHPLC実験は、自動注入装置を備えるShimadzu SIL-10A、Activon GoldPak 100 5μm ODS 25×1 cm又はActivon GoldPakシリカゲル5μm半分取用HPLCカラムを備えるSCL-10Aシステムで実施した。旋光は、PolAAr 21偏光計(589nm、20℃)を用いて行った。1D及び2D NMRデータは、アデレード大学で、Varian INOVA 600MHzのスペクトロメータ(CDCl3又はCD3OD)で獲得した。HREIMS及び/又はHRAPCI質量スペクトルは、タスマニア大学、セントラルサイエンスラボラトリで、Kratos Concept ISQ磁気セクタ又はThermoFinnegan LTQ Orbitrap HR MS/MSで得た。赤外分光分析とUV分光分析は、それぞれ、島津8400S FT-IR(島津、日本)とCARY 50 Bio(Varian、USA)を用いて実施した。
葉茎材料の水性アルコール溶媒抽出
実施例1からの葉植物材料(50g)と茎植物材料(50g)を、溶媒と乾燥植物材料比5:1を用いて80%(v/v)水性エタノールで25℃において24±1時間撹拌しながら別々に抽出した。24時間後、エタノール抽出物を傾瀉し、ワットマンNo.1ろ紙(Whatman、英国)で減圧下にろ過した。第2の同量の溶媒を添加し、更に24時間抽出した後、除去し、ろ過した。ろ過した抽出物を40-42℃でBuchi Rotavapを用いて濃縮して、エタノールを除去し、続いて凍結乾燥(Christ Alpha 2-4 LD)して、残存水を除去した。葉抽出物(LE)と茎抽出物(SE)の収率は、それぞれ、34.4%(17.7g)と14.0%(7.02g)であった。乾燥抽出物の長期貯蔵は、-20℃であった。
異なる有機溶媒を用いた葉茎材料の非連続抽出及び連続抽出
実施例1からの葉材料と茎材料の抽出物を、溶媒としてn-ヘキサン及び塩化メチレン/メタノール(1:1)を用いた以外は実施例3に記載された方法を用いて個々に調製した。更に、葉材料のバッチと茎材料のバッチを、n-ヘキサンから始めて、次に塩化メチレン/メタノール(1:1)で、最後に80%(v/v)水性エタノールで連続して抽出し、植物はそれぞれの溶媒で一回だけ抽出された。n-ヘキサン(LH)抽出物と塩化メチレン/メタノール(1:1)(LMM)抽出物の葉収率は、それぞれ、1.2%(600mg)と22.3%(11.1g)であった。その間に、連続方法として、葉収率は、n-ヘキサン(SeLH)抽出物、塩化メチレン/メタノール(1:1)(SeLMM)抽出物及び80%(v/v)水のエタノール(SeLE)抽出物に対して、それぞれ、1.34%(670mg)、15.4%(7.69g)及び14.1%(7.03g)であった。乾燥抽出物の長期貯蔵は、-20℃であった。
マウス耳浮腫モデル
炎症のインデューサとして12-O-テトラデコノイルホルボル-13-アセテート(TPA)(Sigma)又はクロトン油を用いてマウス耳浮腫モデルにおいて抗炎症活性を測定した(Sanchez, T and Moreno, J 1999, Role of leukocyte influx in tissue prostaglandin H synthase-2 overexpression induced by phorbol ester and arachidonic acid in skin, Biochemical Pharmacology, 58, 877-879.)。生後7-9週、体重20-25gの雄のBalb/Cマウスを用いた。マウスを、自由に食物(ネズミ/マウス標準ペレット)と水をとれる一定の室温(20±2℃)のケージに収容した。12時間の昼/夜サイクルを動物飼育装置(Reid建設動物ハウス、南オーストラリア大学)内で維持し、すべての実験を日中に実施した。
耳の厚さのベースライン測定は、実験の前にデジタルマイクロメーター(±0.001mm、Mitutoyo、日本)を用いて測定した。次に、アセトンに溶解したTPA(2.5μg/耳)を、右耳の内部表面に20μLの容積で、対照として左耳に20μLのアセトンで適用した。30分後、80%エタノールに溶解した試験試料を右耳の内部表面に、それぞれの治療グループの左耳上に80%エタノールを適用した。17,21-ジプロピオン酸ベタメタゾン(Sigma)(0.9μモル/耳)を正の対照として用いた。多回用量実験を範囲0.005-1.83μモル/耳で行った。適用の2時間、4時間、6時間、8時間、24時間及び48時間後、デジタルマイクロメーターを用いて耳の厚さを測定した。クロトン油又はTPAのみが適用された治療されない対照グループを、達成される最大炎症の基準として用い、試験試料の炎症阻止パーセントをこのグループに相対して算出した。実験の完了後、マウスをイソフルラン吸入に続いて頚椎脱臼によって安楽死させた。
D. ポリアンドラの粗葉抽出物はマウス浮腫モデルにおける炎症を阻害する
実施例3及び実施例4において調製される粗抽出液の抗炎症特性を、実施例5に記載される急性炎症のTPA誘発マウス耳浮腫モデルにおいて試験した。
図1に示されるように、粗抽出液の各々は、マウス浮腫モデルの炎症を著しく阻止した。阻止レベルは、炎症阻止に対して正の対照として用いたヒドロコルチゾンに匹敵するか又はそれを上回った。図2に示されるように、粗抽出液の阻止作用は、正の対照と同様の時間経過傾向にあった。粗抽出液による平均炎症阻止は、図3に示されるように対照を上回るか又は、対照に匹敵した。
D.ポリアンドラの茎抽出物はマウス浮腫モデルにおける炎症を阻止する
D.ポリアンドラの粗茎抽出物の抗炎症特性を、実施例5に記載される急性炎症のTPA誘発マウス耳浮腫モデルにおいて試験した。
図4及び図5に示されるように、D.ポリアンドラの茎抽出物は、0.004mg/耳及び0.4mg/耳で強い炎症阻止を示した。
D.ポリアンドラ葉抽出物の分画
n-ヘキサン抽出(実施例4)から得られる粗葉抽出物(SeLH)を、更に液体クロマトグラフィによって分画した。
葉ヘキサン(SeLH)抽出物(7g)で実施した最初の分離は、順相フラッシュクロマトグラフィであった。第1の分離は、ガラスカラム(φ45 mm、充填塔の高さ120mm)を用いて実施した。粗試料をカラムに前吸着法を用いて適用した。シリカゲルと吸着される粗抽出液との質量比は、5:2(すなわち2.5gのシリカ/g試料)であった。分離は、窒素を用いて不活性条件下で行った。用いられる溶離剤は、n-ヘキサンと、MeOHが導入される100% CH2Cl2までの増加量のCH2Cl2であり、99:1の比から始めた。カラムをCH2Cl2/MeOH(90:10)で洗い流すとすぐに分離が中断された。20mLの画分を収集しつつ分離全体に各々異なる組成物に対して約400mLの溶離剤を用いた。
あらゆる第2の画分をTLCにより分析し、観察されたTLCプロファイルに基づいてより大きい画分にプールした。最初の分離から合計13の主画分を得、続いてTPA誘発マウス耳浮腫モデルにおいて各々を試験した。チャートはLH抽出物の分画を示し、画分の収率及び炎症阻止レベル(I)を図6に示す。各画分の炎症の最大阻止パーセントを、図12の表にも示す。図に示されるように、多くの画分が炎症を阻止した。
画分(Fr) LH10からTLCにより黄色の主スポットを観察し、この画分の精製を更に開始した。画分LH10(1036mg)を、CH2Cl2/MeOH(3:1)移動相を有する親油性セファデックスLH-20(φ30 mm、充填塔の高さ480mm)を用いて重力下でクロマトクラフィ処理した。この工程から5つの画分を得、Fr-LH10.3は対象の黄色のスポットを含有した。引き続き、半純粋なFr-LH10.3を、溶離剤として80% MeOH/H2O及び2mL/分の流量を用いて逆相(C18) HPLCによって均一に分離した。2mLの画分の濃度及びRP-TLC分析によって、順相TLCで以前に観察されていない2つの黄色のスポットの存在が示された。それ故、Fr-LH10.3.2の残部をRP-HPLC上に再注入し、収集した画分サイズの容積を1mLに減少させた。画分容積を減少させると相互から2つの化合物が分割されて、化合物A(4.8mg)及び化合物B(31mg)(詳細は示されていない)を共に黄色のゴム状固形物として得た。
同様に最も活性な画分LH11を、低圧逆相(C18)カラムクロマトグラフィを用いて5つの副画分に分離した。90% MeOH/H2Oによる均一濃度溶離を用いてガラスカラム(φ30 mm、充填塔の高さ150mm)によって分離を実施した。ほぼ5mLの画分を集め、分離をTLC分析によって連続してモニタした。この試料から対象のスポットは、アニスアルデヒド試薬で噴霧した際に外見が緑色/青色であった。残存する成分を、100% MeOHに続いてイソプロパノールによって洗い流した。大部分の分離が、TLCに基づく3つの個々の成分からなるFr-LH11.3(606mg)の中に含有した。Fr-LH11.3に存在する成分は、逆相TLCと比較して順相TLCによりより大きな分割を示した。それ故、0.5mLの留分を集めつつ、Fr-LH11.3(75mg)を更にヘキサン/酢酸エチル(8:2)均一濃度溶離による順相HPLCを用いて精製した。分離によって、44mgの化合物C(15,16-エポキシ-2(α)-ベンゾイルオキシ-クレロダ-3,13(16),14-トリエン-18-酸; 図6を参照のこと)が白色アモルファス固体として得られた。図6は、更に、化合物A、B及びCの分画及び精製の詳細を示すものである。化合物Cの化学構造を図7に示す。精製された化合物Cの収量は、44mgであった。
化合物Cは、m/z 436.2245におけるHREIMS分子イオンピークから求めた分子式C27H32O5(C27H32O5の計算値、436.2250)を有する白いアモルファス固体として分離され、 従って12不飽和度の存在が示された。化合物Cの1H NMRスペクトル(表1)は芳香族プロトンの共鳴(δH 8.01, dd, J = 8.4, 1.3 Hz; 7.53, t, J = 7.4, 1.3 Hz; 7.37, dd, J = 8.4, 7.4 Hz)を示し、δH 8.01のシグナルによってエステルのカルボニル炭素(δC 165.9)に対するHMBC相関が得られた。二重線として最初に出現したδH 6.77のビニルプロトンは、ローレンツ型/ガウス型解像度向上により二重の二重線に分割され(dd, J = 4.4, 1.4 Hz;δC 132.7)、オキシメチンプロトンとの強いCOSY相関が示された(δH 5.65, dt, J = 4.8, 1.4 Hz)。HMBCスペクトルにおいて、この同じプロトン(δH 5.65)は、エステルカルボニル炭素δC 165.9と相関した。クレロダンジテルペノイドにおけるC-3ビニルプロトンの共通性を考えれば、これはビニルプロトンδH 6.77がC-3に位置することを意味しかつベンゾイルエステル官能性がC-2に結合されていることを示した。δH 5.65に対する同一でないメチレンプロトン(δH 2.02, dq, J = 15.0, 1.8 Hz; 1.95, ddd, J = 15.0, 12.8, 5.0 Hz)とメチンプロトン(δH 1.78, dd, J =12.8, 2.0 Hz)の間に存在するCOSY相関及び更にδH 1.78とメチル炭素δC 18.9(δH 1.29, s)間のHMBC相関はからC-2、C-6及びC-10の配列が示された。δC 35.3(δH 2.36, m; 1.30, dt, J = 12.6, 4.1 Hz)及びδC 27.1(δH 1.51, m; 1.48, m)に結合したメチレンプロトンに対する共鳴は、それぞれ、C-6及びC-7に帰属した。更にまた、δH 1.30は、C-5に結合したメチル基に対してHMBC相関を示した。
第3のメチルの証拠は、DEPT及び1H NMRデータに見られた。化合物Cの1H NMRスペクトルに存在するメチル二重線(δH 0.86, d, J =6.6 Hz)はメチンプロトン(δH 1.64, m)とカップリングし、また、メチレンプロトンδH1.51、1.48とCOSY相関を示し、従ってメチル基がδC36.1(C-8)に位置決めされることが示された。1H NMRスペクトルにおいて一重線として出現したメチル基(δH 0.79)に対する結合性は、δC42.1、δC38.5及びδC36.1とのHMBC相関によってδC38.5(C-9)で結合されることが決定された。
m/z 95、81における質量スペクトルの有意なピーク及び1H NMRスペクトルにおけるフランプロトンに対するシグナル(δH 7.20, t, J = 1.7 Hz; 7.76, dd, J = 1.7, 0.9 Hz; 6.00, dd, J = 1.7, 0.9 Hz)は、β-置換フラニル基の存在を支持した。エチル結合β-フランの結合性は、δC 38.5(C-9)であると確認された。C-4(δC 146.5)に結合したカルボン酸の証拠があった。上記の構造データによって、15,16-エポキシ-2(α)-ベンゾイルオキシ-クレロダ-3,13(16),14-トリエン-18-酸としてこの新規な化合物Cになった。
同様に以前解明された構造に関して、立体中心の相対配置がROESYを用いて確認された。化合物4のδH 1.78(C-10)におけるプロトンは、再び1、2、及び3と同じ配位を占めるとみなされた。Me-19の13C共鳴及びプロトンδH 1.78とメチルプロトンδH 1.29(Me-19)の間のROESY相関がないことによって、トランス環接合点が示された。相関は、また、すべての3つのメチル基の間に存在し、そのコフェイシャルな関係が示された。C-2のオキシメチンプロトンによって、δH 1.78によるROESY相関が示され、ベンゾイルエステル官能性とメチル基とのコフェイシャルな関係が示された。
化合物C: 白色アモルファス固体; [α]25 D -199.23 (c 0.462 MeOH);λmax (log ε) 225 (4.3), 275 (3.0) & 345 nm(2.6); 1H & 13C NMR 表1を参照; IR (CHCl3) 3510 , 1708, 1693, 1635, 1600 & d 873 cm-1; LREIMS m/z 436 [M]+, 299, 122, 105 & 81; HREIMSはm/z 436.2245を示した (C27H32O5の計算値, 436.2250).
図8は、更に、LH抽出物画分からの化合物の分画及び精製を示す。Fr-LH9の精製は、90% MeOH/H2O均一濃度溶離による低圧逆相(C18)カラムクロマトグラフィ(φ30 mm、充填塔の高さ150mm)を用いてFr-LH11と同一の方法で行った。画分は、また、緑色/青色主スポットを含有し、Fr-LH11.3から化合物Cと異なるRfが得られた。逆相カラム分離によって、緑色/青色スポットを含有するFr-LH9.2を有する3つの画分が得られた。順相HPLC精製のためのFr-LH9.2の試料の調製中に、試料の大部分が用いられている溶媒(ヘキサン/酢酸エチル(8:2))に可溶でないことが認められた。試料の黄色の色が溶液に移り、白色固体がバイアルの底で残存した。この知見に基づいて、試料(65mg)の大部分を冷ヘキサン/酢酸エチル(8:2)で注意深く洗浄した。パスツールピペットを用いて上澄みを吸引し、このプロセスを数回反復し、白色アモルファス固体が残り、続いて残存する溶媒を蒸発させた。順相TLCに適用される試料の展開によって、単一の青色/緑色スポットが示された。
洗浄プロセスの完了によって、40mgの化合物Eが得られた(図8)。化合物Eの化学構造を図9bに示す。
化合物Eは、白色アモルファス固体として単離された。分子式は、m/z 436.2246に分子イオンピークを有する高分解能EI質量分析(HREIMS)によってC27H32O5であることが決定された(C27H32O5の計算値、436.2250)。これによって、化合物が12不飽和度を含有することが示された。IRスペクトルは、ヒドロキシル(3065cm-1)、エステルカルボニル(1714cm-1)、共役カルボン酸カルボニル(1681cm-1)、アルケン(1630cm-1)及びフラン(873cm-1)官能性に強い吸収バンドを示した。13C及びDEPTスペクトルは25の炭素共鳴の存在を示し、そのうちの2つはメチル炭素であった(δC 20.5 & 19.2)。7つのメチレン炭素(δC 66.6, 38.9, 35.2, 27.4, 22.4, 18.3 & 17.0)、2つのsp3メチン炭素(δC 46.7 & 41.0)及び9つのsp2メチン炭素(δC 142.8, 140.5, 138.6, 132.9, 129.5, 128.3, 111.0)に対する共鳴が見られた(δC 129.5及び128.3におけるシグナルは、シグナルの強さに基づき仮に2対の等価炭素であるとした)。全部で7つの第四級炭素は、2つのカルボニル炭素(δC 171.1 & 166.7)、3つのsp2ハイブリダイズされた炭素(δC 141.0, 130.4 & 125.1)及び2つのsp3炭素(δC 38.4 & 37.4)からなるとみなされた。12の不飽和度の8つは、14のsp2炭素中心の存在に起因することができ(2つのカルボニル基と6つの炭素-炭素二重結合を含む)、残りの不飽和度は構造中4つの環の存在によることが示された。
化合物Eの1H NMRスペクトル(表1)は、5つの芳香族プロトン(δH 8.00, dd, J = 8.3, 1.3 Hz (2H); 7.54, tt, J = 7.3, 1.3 Hz; 7.42, dd, J = 8.3, 7.3 Hz (2H))、3つのフラニルプロトン(δH 7.33, t, J = 1.7 Hz; 7.19, dd, J = 1.7, 0.9 Hz; 6.27, dd, J = 1.7, 0.9 Hz)、ビニルプロトン(δH 6.89, dd, J = 4.8, 2.7 Hz)、非等価オキシメチレン基(δH 4.52, dd, J = 11.2, 4.5 Hz; 4.06, dd, 11.2, 8.0 Hz)、2つのメチル一重線(δH 1.31,s; 0.92, s)及び2つのメチンシグナル(δH 1.96, m; 1.47, d, J = 12.6)に対する共鳴を示した。
COSYスペクトルにおいて、芳香族プロトンδH 8.00(δC 129.5)は、δH 7.42(δC 128.3)とカップリングし、更にδH 7.54(δC 132.9)とカップリングした。δH 8.00とδH 7.42の組込みを考えれば、これにより、一置換6員芳香環の存在が示された。フラニルプロトンδH 7.33及びδH 6.27は、COSY相関を示した。第3のフランプロトンδH 7.19は、他のフラニルプロトンとCOSY相関を示さなかった。これにより、構造内のβ-置換フラン部分が示された。
HMBC相関によって、芳香族プロトン(δH 8.00, 7.54, 7.42)の代替パターンが確認され、δH 8.00はエステルカルボニルに特有のsp2炭素(δC 166.7)と相関した。更に、オキシメチレンプロトン(δH 4.52, 4.06)は、また、δC 166.7と相関し、化合物1がベンゾイルエステル官能性を含有することが示された。
残りの共鳴(δH 2.56, dt, J = 13.2, 3.4 Hz; 1.20, dt, 13.4, 3.6 Hz), (δH 2.47, ddd, J = 14.4, 12.2, 4.4 Hz; 2.25, m), (δH 2.36, dt, J = 19.6, 4.8 Hz; 2.20, m), (δH 1.83, m; 1.61, dq, J = 13.4, 3.4 Hz), (δH 1.73, m; 1.51, m)及び(δH 1.78, m)は、クレロダンジテルペノイド化合物に典型的な縮合環系のメチレンプロトンと一致した。
メチンプロトンδH 1.96(δC 41.0に結合)によって、オキシメチレンプロトンδH 4.52 & 4.06及びメチレンプロトンδH 1.83 & 1.61とのCOSY関係が示された。同じメチレンプロトンによって、δH 2.56 & 1.20(δC 35.2に結合)とのCOSY相関が示された。メチルプロトン(δH 0.92)によって、メチン炭素δC 41.0及び第四級sp3炭素δC 38.4とのHMBC相関が示された。第2のメチル基(δH 1.31)によって、δC 35.2、第四級sp3炭素δC 37.4及びsp2ハイブリダイズ炭素(δC 141.0)とのHMBC相関が示された。メチンプロトンδH 1.47によって、δC 37.4及びメチル炭素δC 20.5とのHMBC相関が得られた。これによりδH 1.47がδC 37.4に結合したメチル基に隣接して位置決めされることが示された。ビニルシグナルδH 6.89によって、メチレンプロトンδH 2.36 & 2.20とのCOSY相関が示され、これらは、また、同一でないメチレンプロトンδH 1.73 & 1.51とカップリングした。更にまた、δH 1.73 & 1.51は、COSYスペクトルにおいてδH 1.47とカップリングした。HMBC相関は、δH 2.36 & 2.20とビニル炭素δC 141.0に見られた。
メチレンプロトンδH 2.47 & 2.25(δC 18.3)を含む1H & 13Cスペクトルの残りの共鳴は、sp2炭素δC 125.1とフランsp2メチン炭素δC 138.6とのHMBC相関を示した。2つの等価なメチレンプロトンδH 1.78によって、非等価メチレンプロトンδH 2.47 & 2.25とのCOSY相関及びメチル基(δH 0.92、δC 19.2)が結合されることが確認される第四級炭素δC 38.4とのHMBC相関が得られた。これにより、フラン環のβ-炭素と第四級炭素δC 38.4(C-9)の間にエチル結合を含有するフラニル官能性の存在が確認された。このフラグメントの確認は、更に、225nmにおけるUV吸収、873cm-1におけるIR吸収及びEIMSにおけるm/z 81(C5H5O)及び95(C6H7O)の有意なイオンの存在によって示された。質量スペクトルにおけるこれらの開裂は、無置換側鎖を有するフラニル基を含有するクレロダンジテルペノイドに一般に見られる。
391amuの式量を有する部分構造がNMRから利用できるデータを使い果たして得られ、45amuの説明できない質量が依然としてあることを意味した。これによりカルボン酸基の存在が示され、δC 171.1における13C NMRスペクトルのピークだけでなくIRスペクトルの3065cm-1における-OH伸縮によって支持された。ビニルプロトンδH 6.77とδC 171.1の三結合HMBC相関に基づき、第四級炭素δC 141.0に結合したカルボン酸が位置決めされた。更に、文献に報告されるように類似の化合物に対するNMRスペクトルのデータがこの位置決めを支持した(Ahmad, V. U.; Khan, A.; Farooq, U.; Kousar, F.; Saleha Suleman Khan; Nawaz, S. A.; Abbasi, M. A.; Choudhary, M. I., Three New Cholinesterase-Inhibiting cis-Clerodane Diterpenoids from Otostegia limbata. Chemical and Pharmaceutical Bulletin 2005, 53, (4), 378-381 ; Huang, Z.; Jiang, M.; Zhou, Z.; Xua, D., Two new clerodane diterpenes from Dodonaea viscosa. Zeitschrift fur Naturforschung: Section B Journal of Chemical Sciences 2010, 65, (1), 83-86)。上記のデータを考えれば、この新規な化合物の構造がクレロダンフラノジテルペノイド1,15,16-エポキシ-8(α)-(ベンゾイルオキシ)メチル-クレロダ-3,13(16),14-トリエン-18-酸であると確認された。
化合物Eの立体中心の相対配置の帰属は、ROESYデータだけでなく、ドドナエア種から以前に単離されたクレロダンジテルペノイドから得られる情報を用いて実施した。C-3-C-4二重結合を有するドドナエア属から以前に単離されたクレロダンジテルペノイドは、典型的には、環接合にトランス配列を含有する(必ずではない)(Ghisalberti, E. L., Ethnopharmacology and Phytochemistry of Dodonaea species. Fitoterapia 1998, 69, 99-113; Huang, Z.; Jiang, M.; Zhou, Z.; Xua, D., Two new clerodane diterpenes from Dodonaea viscosa. Zeitschrift fur Naturforschung: Section B Journal of Chemical Sciences 2010, 65, (1), 83-86)。Me-19は、また、A/B環接合の情報を求めるための基準として使用することができる - C-19メチル共鳴が〜δ5-10ppm以上(典型的にはδC 25ppm)であると認められるシス縮合とは対照的に、トランス縮合については、C-19メチルの化学シフトが典型的には〜δC 11-19 ppmの範囲にある(Manabe, S.; Nishino, C., Stereochemistry of cis-clerodane diterpenes. Tetrahedron 1986, 42, (13), 3461-3470)。この場合には、C-19メチル共鳴はδC 20.5ppmに見られ、それはシス配位を示すことができる化学シフト範囲の低端部にある(シフトは通常見られる範囲のわずかに外にあるが)。しかしながら、X線結晶構造が決定されている構造的に関連した化合物(-)-ハードウィッキ酸のMe-19共鳴もまた、トランスMe-19(δ20.6)に対してわずかに高い化学シフトを示している(Santos, A. G. d.; Perez, C. C.; Tininis, A. G.; Bolzani, V. d. S.; Cavalheiro, A. J., Clerodane Diterpenes from Leaves of Casearia sylvestris Swartz. Quimica Nova 2007, 30, (5), 1100-1103; Chaichantipyuth, C.; Muangsin, N.; Chaichit, N.; Roengsumran, S.; Petsom, A.; Watanabe, T.; Ishikawa, T., Crystal structure of (-)-hardwickiic acid, C19H27OCOOH. Zeitschrift fuer Kristallographie 2004, 219, 111-113)。更に、トランスクレドランが典型的であるMe-20(δ19.2)の化学シフトも、化合物Eのトランス環接合を支持した。ROESYデータから、C-19メチル基(δH 1.31)は、C-20メチル(δH 0.92)と相関を示し、C-17のオキシメチレンプロトンとも相関を示した(δH 4.52 & 4.06)。他のROESY相関と共に、これらの所見によって炭素C-1、C-5、C-8及びC-9に対する相対配置が確認された。
化合物E: 白色アモルファス固体; [α]20 D -69.54 (c 0.805 MeOH);λmax (log ε) 225 (4.4) and 275 nm (3.0); IR (CHCl3) 3065, 1714, 1681, 1630, 1602, 1276 & 873 cm-1; 1H & 13C NMR 表1を参照; LREIMS m/z 436 [M]+, 219, 125, 105, 95 & 81; HREIMS m/z 436.2246 (C27H32O5の計算値, 436.2250).
SeMM抽出物の最初の清浄工程は、15gのSeMM抽出物を150mLの70% MeOH/H2Oに溶解し、150mLのn-ヘキサンの間で分配することによって行った。図10に示される流れ図は、関係するプロセスをまとめたものである。水層を保持し、引き続き150mLのCH2Cl2で抽出した。対象の成分を含有するCH2Cl2層をロータバップにより37℃で減圧下に蒸発させて、Fr-SeMMMc(7.00g)を得た。画分SeMM2(2.24g)を、85% MeOH/H2Oによる均一濃度溶離下で反復低圧逆相(C18)カラムクロマトグラフィ(φ30mm、充填塔の高さ150mm)に供した。対象の青色/緑色スポットがカラムから溶離するまで、順相TLCによって分離をモニタした。カラムをMeOH、続いてイソプロパノールで洗浄して、カラムから残存する成分を除去した。5つの画分(SeMM2.1-SeMM2.5)を、TLC分析に基づいて一緒にプールし、Fr-SeMM2.4が青色/緑色スポットを含有した。SeMM2.4画分(255mg)を、更に低圧順相条件(φ10 mm、充填塔の高さ240mm)及びCH2Cl2/MeOH(99:1)溶離剤によって更に精製した。このプロセスを2回反復して、化合物F(50mg)を白色アモルファス固体として得た。化合物Fの化学構造を図11に示す。
化合物FのNMR分光分析データの分析から、この化合物が化合物Eと異なった類似性を有するクレロダンフラノジテルペノイドであることが示された。分子式は、M-Hピークm/z 451.2123からC27H32O6であると決定された(C27H31O6の計算値、451.2121)。フランプロトンの共鳴δH 7.31 (t, J = 1.7 Hz), 7.19 (dd, J = 1.7, 0.9 Hz) & 6.28 (dd, J = 1.7, 0.9 Hz)によって、この化合物がβ-フラン部分を含有することが示された。更に、エチルフラン基が化合物Eと同じ位置に結合されることが確認された。化合物Eにおいて確認されたものと同様のこの化合物において芳香族プロトンについてほぼ同一の共鳴が見られた(δH 8.00, dd, J = 8.3, 1.3 Hz; 7.55, tt, J = 7.4, 1.4 Hz; 7.41, dd, J = 8.3, 7.4 Hz))。芳香族プロトンδH 8.00は、また、化合物Eに見られるようにカルボニル化合物(δC 166.7)と同一のHMBC相関を示した。更に、δC 66.4に結合される2つの同一でないオキシメチレンプロトン(δH 4.53, dd, J = 11.1, 7.6; 4.08 Hz), dd, J = 11.1, 7.8 Hz)について同様の共鳴が見られた。これにより、この化合物がベンゾイルエステル官能性を特徴とすることが明らかに示された。HMBCデータによって更に確認され、オキシメチレンプロトン(δH 4.53 & 4.08)と炭素δC 40.9、38.1 & 22.3の間の相関が示され、エステルが化合物Eと同じ位置(C-8)で結合されることが示された。化合物Fの1H NMRスペクトルにおいて最も顕著な差はオキシメチンプロトン(δH 4.39, dt, J = 4.5, 1.4 Hz)であり、これは化合物Eに見られるのと同じC-3(δC 136.5)の位置にあると確認されたビニルプロトン(δH 6.27, dd, J = 4.5, 1.4 Hz)と強いCOSY相関を示した。これにより、Eと比較してこの位置におけるヒドロキシル官能性の存在が示された。ヒドロキシル基の存在は1H NMR又はIRスペクトルから明らかでなかったが、全炭素数及びMS正確な質量はこの提案を強く支持した。δH 4.39のオキシメチンプロトンによっても、C-1位(δC 26.8)の化学的に非等価なメチレンプロトン(δH 1.96, m; 1.76, m)とのCOSY相関が示された。C-3のビニルプロトンとδC 171.0の炭素の間のHMBC相関に基づき化合物Eについて決定されたように、非帰属カルボン酸炭素(δC 171.0)がC-4ビニル炭素(δC 143.9)への結合を占めることもわかった。上記のデータを考えれば、この新規な化合物の構造は、クレロダンジテルペノイドF、15,16-エポキシ-8(α)-(ベンゾイルオキシ)メチル-3(α)-ヒドロキシ-クレロダ-3,13(16),14-トリエン-18-酸であると確認された。
化合物FにおけるC-10の相対配置の帰属は、化合物Eと同様であるとみなされた。残りの立体中心の相対配置がROESY NMR実験を用いて確認され、化合物Eについて決定されたものと同じであった。C-5に結合されるメチル基のメチルプロトン(δH 1.27)によって、C-9に結合される第2のメチル基との強いROESY相関が示された。更に、同じメチルプロトンもオキシメチレンプロトン(δH 4.53, 4.08)と強く相関し、これらの基の空間的近接性が示された。C-10(δH 1.75)のメチンプロトンとC-2(δH 4.39)のオキシメチンプロトンの間の強いROESY相関によって、他のROESY相関と共に、炭素C-2、C-5、C-8、C-9及びC-10の相対配置が確認された。
化合物F: 白色針状結晶; M.p. 81-83℃; [α]20 D -75.36 (c 0.836 MeOH);λmax (log ε) 225 (4.3), 270 (3.0) & 345 nm (2.7); IR (CHCl3) 3090, 1712, 1692, 1633, 1602, 1278, & 873 cm-1; 1H & 13C NMR 表1を参照; LRAPCI m/z 451 [M-H]-; HRAPCI m/z 451.2123 (C27H31O6の計算値, 451.2121).
D.ポリアンドラのn-ヘキサン葉粗抽出液からの化合物の単離は、活性によって誘導された分画プロセスに基づいた。これのための原理は、薬理活性を測定するために用いられる生体内方法によった。半精製画分を試験することから得られた統計的に意味があるデータ及びこれらの画分の化学的単純性は、おそらく活性が最も豊富な成分(1つ以上)によるものであることを意味した。それ故、最も活性な半精製画分の分離は、更に、TLCに見られる最も顕著なスポットに基づいて誘導された。
D.ポリアンドラ葉抽出物の分画
CH2Cl2/MeOH(1:1)を有するD.ポリアンドラ茎の抽出物を上記の通り葉抽出物製剤と同じ手順を用いて調製した。抽出物(DPS)収量は、34.9g(9.8%)であり、CH2Cl2と70%メタノール水溶液(それぞれ350mL、全量700mL)の間に液体/液体分配によって更に精製した。有機層を除去し、乾燥し、40-42℃で蒸発させて、14.4gの収量を得た。10.1gのCH2Cl2画分(DPS1)の最初の分離を、CH2Cl2の増加量によるn-ヘキサン/CH2Cl2で溶離する順相ガラスカラムクロマトグラフィを用いて行い、CH2Cl2/MeOH(95/5)で停止した。溶離液を収集し(15mLの試料)、試料のTLCプロファイルに基づいて3つの主要画分に分類した。
画分DPS1A(4.1g)を、メタノールの増加量を有する75%メタノール水溶液で溶離する逆相条件下で分離して、3つの主要画分を得た(DPS1A1、DPS1A2及びDPS1A3)。画分DPS1A1(685mg)を、CH2Cl2/MeOH(3:1)で溶離するセファデックスLH-20カラムに通過させて、2つの画分(DPS1A1a及びDPS1A1b)を得た。画分DPS1A1a(40mg)を、順相分取用TLC(CH2Cl2/MeOH 95/5)を用いて分離した。対象の領域を切り離し、酢酸エチルを微小ガラスカラムに入れた試料に通過させることによって対象の成分を回収した。窒素下で試料を乾燥させるときに、1mgの化合物Hをオフホワイトの固体として得た。化合物Hの化学構造を図12に示す。
化合物Hをオフホワイトのアモルファス固体として分離し、m/z 450.2041における分子イオン[M]+ピークから決定された分子式C27H30O6を有した(C27H30O6の計算値、450.2042)。この化合物とFの間の2つのプロトンの差によって、追加の不飽和度の存在が示された。化合物Hの1HのNMRスペクトル(表1)は、化合物Fとほとんど同じであり、1つの例外は化合物Fの1H NMRスペクトルにおいてδH 4.39に見られたオキシメチンプロトンが存在しないことであった。同様に、13C NMRスペクトルによって、化合物Fと異なった類似性が示されたが、Fのスペクトルに存在しないδC 200.2の有意なピークによって、化合物Fに見られた第二アルコールの代わりにケトン官能基が化合物Hに存在することが示された。この基の位置は、メチレンプロトンδH 2.51(C-1)とメチンプロトンδH 2.09(C-10)→炭素δC 200.2の間に見られるHMBC相関によって示されるようにC-2であることが決定された。上記の重要でない構造的な差を考えれば、この新規な化合物Hの構造は15,16-エポキシ-8(α)-(ベンゾイルオキシ)メチル-2-オキソ-クレロダ-3,13(16),14-トリエン-18-酸として確認された。
立体中心に対する相対配置の帰属は、前述と同様の証拠を用いた。双方のメチル基(δH 1.45, δC 18.7 & δH 1.10, δC 18.7)によって、ROESY相関が示されたが、メチンプロトンδH 2.09と相関せず、環接合においてトランス配列が再び示された。プロトンδH 2.09及びδH 2.01によってROESY相関が示され、ベンゾイルエステル部分が化合物E及びFと同じ位置に配位されたことが示された。これにより、C-5、C-8、C-9及びC-10の相対配置が化合物E及びFと同じであることが確認された。
化合物H: オフホワイト固体; LREIMS m/z 450 [M] +, 417, 234, 189, 105, 95, 81, 77; 1H & 13C NMR 表1参照; HREIMS m/z 450.2041 (C27H30O6の計算値, 450.2042).
Figure 0006073136
D.ポリアンドラの半精製葉抽出物はマウス浮腫モデルの炎症を阻止する
実施例8に従って調製した半精製画分LH1-LH13をマウス浮腫モデルに用いて、画分の抗炎症効果を求めた。図13に示されるように、画分LH11、LH12及びLH13を0.4mg/耳で試験した場合に、それぞれ41.7、37.6及び35.6%の著しい平均阻止浮腫%を示した。
D.ポリアンドラの葉抽出物から精製される化合物はマウス浮腫モデルの炎症を阻止する
化合物C、E及びFは、TPAによって誘発されたマウス耳浮腫モデルにおいて著しい抗炎症活性を示し、C及びFが最も強力であった(得られたHの量は、試験が行われるのを可能にしなかった)。化合物Eは、試験した最高用量においてTPAのみの対照と比較した場合に著しいレベルの活性を示した(1.83μモル/耳、p < 0.05)が、より低い濃度での効果は観察できなかった。化合物Fは、用量範囲0.0055 - 1.77μモル/耳について用量反応を示した。適用の8時間後、0.22μモル/耳用量は、最大の70.2 ± 10.0 %(平均 ± SEM)阻止を示したが、2つの高用量に対して活性の改善が見られなかった。化合物Eは、Fと同様に強力な活性を示したが、0.91μモルの用量で76.4 ± 7.3%の最大阻止を達成し、活性は正の対照ジプロピオン酸ベタメタゾン(0.90μモル/耳)に匹敵した。しかしながら、Cの用量反応関係は、実験の範囲についてU字型用量反応に特徴を有し、低い用量と高い用量における著しい活性が特徴であった。この用量反応の形状は、実際には、むしろ免疫系関連の終点に共通するものであるが、その現象の有意性はしばしば無視されている。多くの種類の化合物がその用量反応を誘導するのに報告されてきたが、典型的にはこれらの効果を有することと関連した注目すべき例がステロイドである(Calabrese, E. J., Hormetic Dose-Response Relationships in Immunology: Occurrence, Quantitative Features of the Dose Response, Meachnistic Foundations and Clinical Implications Critical Reviews in Toxicology 2005, 35, 89-295; Snijdewint, F. G.; Kapsenberg, M. L.; Wauben-Penris, P. J.; Bos, J. D., Corticosteroids class-dependently inhibit in vitro Th1- and Th2-type cytokine production. Immunopharmacology 1995, 29, 93-101)。BALB/cマウスモデル(この研究に用いられるタイプ)がこの種の用量反応を示すことに共通して関連していることが更に興味深い点である。
化合物の阻止効果を図14及び図15に示す。
化合物Fのアルカリ加水分解-抗炎症活性上のベンゾイル部分の効果
ベンゾイルエステル部分が観察された活性に重要であるかを決定するために、化合物Fを穏やかなアルカリ加水分解に供し、引き続き生体内試験した。
化合物Fの穏やかなアルカリエステル加水分解は、以前に記載された方法を用いて実施した(Khurana, J. M.; Chauhan, S.; Bansal, G., Facile Hydrolysis of Esters with KOH-Methanol at Ambient Temperature. Monatshefte fuer Chemie 2004, 135, 83-87)。簡単には、水酸化カリウム(Merck、ダルムシュタット)を、化合物と3:1のモル比を用いて100μLのメタノール中37℃で反応させた。反応の進行をモニタし、300μLの水、続いて100μLの1M HClを添加することによって2時間で終了した。対象の成分を500μLのCH2Cl2で液液抽出によって回収し、引き続き水層から有機層を除去し、硫酸ナトリウムで乾燥し、遠心分離(14,000rpm、5分間)して、固体微粒子を除去した。加水分解した対象の成分を含有する乾燥有機層を、分取用TLCによって順相条件(92.5/7.5のCH2Cl2/MeOH)下で精製した。加水分解生成物の構造をNMRによって確認した。
図13に示されるように、ベンゾイル官能基の除去は、生体内で炎症(浮腫)を阻止する化合物の能力を著しく低下させた(p < 0.05)。
COX阻害分析
化合物C及びFについて、COX蛍光阻害剤スクリーニングアッセイキット(Cayman Chemical)を用いてCOX-1及びCOX-2酵素活性を阻害する能力を試験した。
COX阻害剤スクリーニングアッセイは、特定の阻害剤に対してヒツジCOX-1及びヒト組換えCOX-2双方をスクリーニングする。化合物CもFも、0.03μMから10μMまでの回復する濃度でCOX-1又はCOX-2活性にほとんど影響しなかった。これは、前の実施例に示される炎症阻止がCOX-1及び/又はCOX-2阻害以外の機序を介して進行しているようであることを示している。
局所組成物
局所クリームは、以下のように形成されることができる。ステアリルアルコール(60g)とUSPオリーブ油(940g)を、80℃まで別々に加熱することができる。一方80℃において、ステアリルアルコールを予熱されたオリーブ油に添加することができる。
次に、グリセリン(20g)、トリステアリン(20g)、及び抗酸化剤(1g)を撹拌によって添加することができる。次に、活性化合物(1g)を添加することができ、混合物を容器に注入することができ、自然に冷却させて、半固体混合物を形成することができる。
当業者は、本明細書に記載されている本発明が詳しく記載されているもの以外の変更及び修正に影響されやすいことを理解するであろう。本発明がすべてのその変更及び修正を含むことを理解すべきである。本発明は、また、個々に又はひとまとめにして、本明細書に言及されるか、又は指示される工程、特徴、組成物及び化合物のすべて、また、いずれか2つ以上の工程又は特徴のいずれか及びすべての組み合わせを含む。
この明細書全体に、語「含む(複数形)」、又は「含む(単数形)」又は「含んでいる」のような変形が、所定の要素、完全体又は段階、又は要素、完全体又は段階のグループを包含するが、他のいずれの要素、完全体又は段階、又は要素、完全体又は段階のグループも除外しないものであることを理解するであろう。

Claims (3)

  1. 下記からなる群より選ばれる化合物。
    Figure 0006073136

    Figure 0006073136

    Figure 0006073136

    Figure 0006073136
  2. 炎症を治療又は予防するための医薬組成物であって、請求項1記載の単離された化合物を活性成分として添加されていることを特徴とする医薬組成物。
  3. 炎症の治療又は予防のための薬剤の調製における、請求項1記載の化合物の使用。
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