JP6071694B2 - 有機無機複合体、構造体及び有機無機複合体の製造方法 - Google Patents

有機無機複合体、構造体及び有機無機複合体の製造方法 Download PDF

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本発明は、有機無機複合体、構造体及び有機無機複合体の製造方法に関する。
従来、複合体としては、ポリ(2−エチル−2オキサゾリン)のようなカルボニル基を有する有機高分子に均一に銀ナノ粒子が分散したナノ複合体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この複合体では、オレフィンに対する透過性が高く、乾燥した運転条件でも分離性能が安定し、銀イオンの還元などによる分離性能の低下がないとしている。また、有機無機複合体としては、シリカゲルなどの無機酸化物マトリックス中に、ポリオキサゾリンのようなカルボニル基を有する有機高分子と、遷移金属が、均一に分散されたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この有機無機複合体は、カラーフィルターとして有用であり、この複合体の焼成によって得られる多孔質シリカは、高効率の遷移金属担持無機触媒として極めて有用であるとしている。また、有機無機複合体としては、ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)のようなカルボニル基を有する有機高分子及びSiO2骨格からなるハイブリッド膜にAgBF4を加えたものが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この有機無機複合体は、例えばC24とC26との分離能を有するとしている。
特開2007−021473号公報 特開平5−310994号公報
Journal of Materials Science Letters, 21(2002)525-527
しかしながら、特許文献1に記載された複合体では、有機膜であるため、例えば高圧のオレフィンに膨潤して分離性能が低下することがあった。また、特許文献2に記載された有機無機複合体では、ガスなどの流体の分離性能などについては検討されていなかった。このため、銀を添加することについて検討されておらず、また、無機酸化物マトリックスと有機高分子との結合が流体の分離に用いるには不十分なことがあった。また、非特許文献1に記載された有機無機複合体は、有機高分子とSiO2骨格とを十分に結合させるために150℃といった高温での加熱が必要であり、こうした加熱によって銀成分が凝集してしまうなどして分離性能が低下することがあった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、機能性をより高めることができる有機無機複合体、構造体及び有機無機複合体の製造方法を提供することを主目的とする。
上述した主目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、アミノ基を有する無機系化合物と、カルボニル基を有する有機系化合物と、銀成分とを含むものとすると、機能性をより高めることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の有機無機複合体は、
アミノ基を有する無機系化合物と、
カルボニル基を有する有機系化合物と、
銀成分とを備えている。
本発明の構造体は、基材と、前記基材上に形成された上述の有機無機複合体と、を備えたものである。
本発明の有機無機複合体の製造方法は、
無機系化合物と有機系化合物と銀成分とを備えた有機無機複合体の製造方法であって、
前記無機系化合物の原料にアミノ基を有する物質を用い、前記有機系化合物の原料にカルボニル基を有する物質を用いて、前記無機系化合物と前記有機系化合物とを複合化し、有機無機複合体を得る複合化工程、を含むものである。
本発明の有機無機複合体、構造体及び有機無機複合体の製造方法は、機能性をより高めることができる。この理由は、以下のように推察される。例えば、無機系化合物がアミノ基を有し、有機系化合物がカルボニル基を有しているため、100℃以下や常温のような比較的低い温度で合成しても、アミノ基とカルボニル基との間に適度な結合力が働くと考えられる。そして、それにより、無機系化合物と有機系化合物とが均一に混合して構造が安定化すると考えられる。ところで、銀成分は、100℃よりも高温で加熱すると凝集してしまうことがある。しかし、本発明では、比較的低い温度で合成しても無機系化合物と有機系化合物との構造を安定化でき、高温での加熱が不要なため、加熱による銀成分の凝集を抑制できる。そして、銀成分が凝集することなく均一に分散するため、分離機能といった、銀成分の有する機能をより高く発現できる。これにより、機能性をより高めることができると考えられる。
本発明の有機無機複合体の一例を表す説明図。 有機無機複合体の具体例を表す説明図。 構造体10の構成の概略の一例を示す説明図。
本発明の構造体の一実施形態を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である有機無機複合体の一例を表す説明図である。図2は、有機無機複合体の具体例を表す説明図である。図3は、構造体10の構成の概略の一例を示す説明図である。本発明の有機無機複合体は、アミノ基を有する無機系化合物と、カルボニル基を有する有機系化合物と、銀成分とを備えている。
無機系化合物は、例えば、金属マトリクス構造と、金属マトリクス構造に結合したアミノ基と、を有しているものとしてもよい。金属マトリクス構造は、例えば、金属と酸素との鎖状構造であるものとしてもよいし、3次元構造であるものとしてもよい。アミノ基は、金属マトリクス構造のうち金属に結合しているものとしてもよい。このアミノ基は、金属マトリクス構造の主鎖に結合しているものとしてもよいし、側鎖に結合したアミノ基としてもよい。側鎖としては、例えば、炭素数1〜10程度の、置換基を有していてもよい炭化水素基が挙げられる。また、この側鎖は、N、O、S、Pのうち1以上を含むものとしてもよい。無機系化合物は、Si、Ti、Al及びZrから選ばれる1以上と、Oとを含む化合物であるものとしてもよい。これらの金属を含む化合物では、酸素との結合により、機械的強度の高い構造としやすい。また、鎖状構造又は3次元構造としやすく好ましい。
無機系化合物は、金属アルコキシドの加水分解化合物であるものとしてもよい。金属アルコキシドは、加水分解及び重合しやすく、好ましい。この金属アルコキシドは、例えば、上記アミノ基を有しているものとしてもよい。金属アルコキシドとしては、例えば、金属をSiとした場合は、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどが挙げられ、金属をTiとした場合は、2−(ジメチルアミノメチル)−4,6−ジメチルフェノキシトリイソプロポキシチタンなどが挙げられる。
有機系化合物は、炭素原子が結合した炭素構造と、この炭素構造に結合したカルボニル基と、を有しているものとしてもよい。この炭素構造は、鎖状構造であるものとしてもよいし、3次元構造であるものとしてもよい。また、この炭素構造は、主鎖や側鎖にN、O、S、Pのうち1以上を含むものとしてもよい。カルボニル基は、炭素構造の主鎖に結合しているものとしてもよいし、側鎖に結合したカルボニル基としてもよい。このようなものとしては、ポリマーが挙げられる。ポリマーとしては、例えば、主鎖にカルボニル基を含むものとして、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレートなど)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタンなどが挙げられる。また、ポリマーとしては、例えば、側鎖にカルボニル基を含むものとして、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)(POZ)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などが挙げられる。
銀成分は、金属銀としてもよいし、銀イオンとしてもよい。銀成分は、銀成分の有する機能をより少量で発現できることから、銀イオンであることがより好ましい。銀成分が金属銀である場合、その粒径D50は1nm以上10nm以下などが好ましい。銀成分が銀イオンである場合、例えば、PF6 -やBF4 -、ClO4 -、NO3 -などのアニオンとともに塩を構成したもの、すなわち、AgPF6、AgBF4 、AgClO4 、AgNO3などとして含まれていてもよい。この銀成分は、上述した金属マトリクス構造を構成する金属に対して20mol%以上含まれていることが好ましい。銀成分を多く含むため、銀成分の有する機能をより高く発現できるからである。なお、本発明の有機無機複合体では、有機系化合物と無機系化合物とが均一に混合しているため、銀成分が分散しやすく、銀成分を多量に含む(例えば、金属マトリクス構造を構成する金属に対して20mol%以上)場合にも、銀成分が凝集しにくい。
本発明の有機無機複合体は、複数の成分からなる流体に含まれる特定の成分を選択的に透過する機能を有するものとしてもよい。流体としては、液体や気体が挙げられる。例えば、この有機無機複合体は、オレフィン/パラフィンの分離機能を有しているものとしてもよい。このとき、銀成分が分離機能を発現するものとしてもよい。また、本発明の有機無機複合体は、流体に含まれる第1成分と流体に含まれる第2成分とを分離する機能を有するものとしてもよい。
本発明の有機無機複合体は、オレフィン/パラフィンの分離機能の耐久性を表す選択性維持率が、0.50以上であることが好ましく、0.60以上であることがより好ましく、0.70以上であることが更に好ましい。この選択性維持率は、以下のように求めるものとする。オレフィン単体ガス又はパラフィン単体ガスを用い、23℃、0MPa〜1MPaの測定条件で有機無機複合体にこのガスを吸着させる。この吸着を10回繰り返して行う。この吸着結果を用い、(1MPaでのエチレン吸着量)/(エタンの吸着量)を選択性とする。また、(測定10回目の選択性)/(測定1回目の選択性)を選択性維持率とする。この選択性維持率が高いほど、ガス分離機能の耐久性がより高い。用いるガスは、オレフィンとしては例えば、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。また、パラフィンとしては、メタン、エタン、プロパンなどが挙げられる。
本発明の有機無機複合体は、例えば、図1に示すように、金属M及び酸素を含む金属マトリクス構造とマトリクス構造の側鎖R1に結合したアミノ基とを備えた無機系化合物と、カルボニル基を備えた有機系化合物と、を備え、アミノ基とカルボニル基との間に何らかの相互作用が働いているものとしてもよい。なお、図1では、カルボニル基は、有機化合物の側鎖R2に結合し、末端基R3を有するものとした。この有機無機複合体は、より具体的には、例えば、図2に示すように、アミノプロピル基が結合したSiマトリクス構造を有する無機系化合物と、ピロリドン構造を有するポリマーである有機系化合物とを備え、アミノ基とカルボニル基により何らかの相互作用が働いているものとしてもよい。
この有機無機複合体のドメインサイズは、20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。ここで、「ドメインサイズ」とは、有機無機複合体の構成単位の大きさをいうものとする。このドメインサイズが小さい状態で無機物と有機物とがハイブリッド化されていれば、機械的強度などに優れると考えられる。また、銀成分を均一に分散させることができると考えられる。ドメインサイズは、以下のようにして測定するものとする。まず、有機無機複合体の表面もしくは断面を走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型顕微鏡(TEM)により、ランダムに10視野を撮影し、得られた画像において、コントラストの違う領域、具体的には、白に近い領域と黒に近い領域とに分離する。SEMにおいて、有機無機複合体の断面を2000〜5000倍で撮影するものとする。画像に含まれる白もしくは黒い円状の領域の最大の長さ(長径)をドメインサイズとし、このドメインサイズを計測する。TEMにおいては、有機無機複合体の表面もしくは断面を20万倍で撮影し、色の違う領域、具体的には、白に近い領域と黒に近い領域とに分離する。そして、上記SEMと同様にドメインを計測する。上記の方法で10視野中の全ドメインのサイズを計測し、その平均値を有機無機複合体のドメインサイズとする。
次に、この有機無機複合体の製造方法について説明する。この製造方法は、無機系化合物の原料にアミノ基を有する物質を用い、有機系化合物の原料にカルボニル基を有する物質を用いて、無機系化合物と前記有機系化合物とを複合化し、有機無機複合体を得る複合化工程、を含む。
複合化工程では、例えば、無機系化合物の原料としてアミノ基を有する金属アルコキシドを用い、有機系化合物の原料としてカルボニル基を有するポリマーを用い、金属アルコキシドとポリマーとを含む溶液で金属アルコキシドを加水分解することにより、無機系化合物を生成すると共に無機系化合物と有機系化合物とを複合化するものとしてもよい。
複合化工程には、例えば、カルボニル基を有するポリマーである有機系化合物を溶解した溶液に金属アルコキシドを添加し加水分解及び重合させて前駆体ゾルを作製する前駆体生成工程を含むものとしてもよい。前駆体生成工程では、ポリマー溶液として、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶媒やアルコールと、水との混合溶液にポリマーを溶解するものとしてもよい。金属アルコキシドは、例えば、Si、Ti、Al及びZrから選ばれる1以上の金属と、アミノ基とを有するものが好ましい。この場合、複合化工程には、前駆体ゾルを乾燥する乾燥工程を含むものとしてもよい。ゾルの乾燥は、100℃以下で行うことが好ましく、80℃以下で行うことがより好ましい。
複合化工程には、例えば、銀成分を添加する銀成分添加工程を含むものとしてもよい。この銀成分添加工程は、例えば、加水分解前に行うものとしてもよいし、加水分解以降に行うものとしてもよい。加水分解以降に行う場合、例えば、上述した前駆体生成工程で得られた前駆体ゾルに銀成分を添加するものとしてもよい。なお、無機系化合物の原料や有機系化合物の原料として銀成分を含むものを用いた場合には、銀成分添加工程はなくてもよい。銀成分を添加するには、金属銀を添加してもよいし、銀イオンを含む塩を添加してもよい。金属銀や、銀イオンを含む塩としては、上述したものなどを用いることができる。
この有機無機複合体の製造方法では、上述した乾燥工程を含め、複合化工程以降の工程を100℃以下の温度で行うことが好ましく、80℃以下の温度で行うことがより好ましい。こうすれば、銀成分が凝集しにくく、機能性の低下を抑制することができる。
次に、本発明の構造体について説明する。本発明の構造体は、基材と、基材上に形成された上述したいずれかの有機無機複合体と、を備えたものである。基材は、特に限定されないが、例えば、樹脂などの有機材料、無機材料及び金属材料などとすることができる。無機材料としては、例えば、コージェライト、Si結合SiC、再結晶SiC、チタン酸アルミニウム、ムライト、窒化珪素、サイアロン、リン酸ジルコニウム、ジルコニア、チタニア、アルミナ及びシリカから選択される1以上とすることができる。有機無機複合体は、例えば、膜状として基体上に形成されているものとしてもよい。このとき、有機無機複合体の厚さは、例えば、0.01μm〜数10μm程度とすることができる。
この構造体の具体例を説明する。図3に示すように、本発明の構造体10は、混合流体の流路となる複数のセル12を形成する基材としての多孔質の隔壁部14と、上述した有機無機複合体からなり隔壁部14の内表面15に設けられた機能層16と、を備えている。また、隔壁部14の端面17には、シール部18が形成されている。このシール部18は、例えば、ガラスやセラミックス、樹脂などのうち緻密質な材料により形成されており、隔壁部14の端面17からの流体の流入や流出を防ぐものである。この構造体10では、機能層16は、混合流体を分離する分離膜として機能する。具体的には、入口側からセル12へ入った混合流体のうち、機能層16の銀成分と親和性の高い流体は、機能層16が形成された多孔質の隔壁部14を通過して濃縮され、濃縮流体として構造体10の側面から排出される。一方、銀成分と親和性が低く機能層16を通過できない流体は、セル12の流路に沿って流通し、分離流体としてセル12の出口側から排出される。隔壁部14は、気孔径の大きな粗粒部14aの表面に気孔径の小さな細粒部14bが形成された二層以上の多層構造を有しているものとしてもよい。粗粒部14aの気孔径は、例えば、0.1μm〜数100μm程度とすることができる。細粒部14bの気孔径は、粗粒部14aの気孔径に比して小さいものであればよく、例えば、気孔径が0.001〜1μm程度のものとすることができる。こうすれば、隔壁部14の透過抵抗を低減することができる。このように、構造体10を形成し、有機無機複合体を利用することができる。
以上説明した有機無機複合体によれば、無機系化合物がアミノ基を有し、有機系化合物がカルボニル基を有しているため、比較的低い温度で合成しても無機系化合物と有機系化合物が均一に混合して構造を安定化でき、高温での加熱が不要である。このため、加熱による銀成分の凝集を抑制できる。そして、銀成分が凝集することなくその分散性が高いため、分離機能といった、銀の有する機能をより高く発現できる。これにより、機能性をより高めることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、構造体10は複数のセル12を備え流体が流通するものとしたが、基材と基材上に形成された有機無機複合体とを備えるものとすれば、特にこの形状に限定されない。例えば、1つのセルを備えたチューブラー形状としてもよい。あるいは、本発明の有機無機複合体は、粉末の状態で用いるものとしてもよい。有機無機複合体の粉末は、例えば、吸着剤や触媒として利用することができる。
上述した実施形態では、有機無機複合体からなる機能層16は流体としての混合流体を分離する分離膜として機能するものとしたが、特にこれに限定されず、液体や気体を殺菌・浄化する殺菌・浄化膜として機能するものとしてもよい。こうした殺菌・浄化膜としての機能層16を備えた構造体10は、殺菌・浄化用フィルターとして用いることができる。
以下には、有機無機複合体を具体的に作製した例を実験例として説明する。なお、実験例1〜4、7が本発明の実施例に相当し、実験例5〜6が比較例に相当する。
[実験例1]
まず、前駆体ゾルを合成した。ポリマーとしてのポリビニルピロリドン2gと、溶媒としてのエタノールと水との混合溶媒(モル比で9:1)80gとを混合し、ポリマー溶液を調整した。次に、触媒としての硝酸1gをポリマー溶液に添加した。無機系化合物の原料としての3−アミノプロピルトリエトキシシラン10gを、上記ポリマー溶液に添加し、撹拌した。すると、3−アミノプロピルトリエトキシシランの加水分解及び重合が進行した。さらに、この溶液にAgBF4を4g添加し、攪拌することで、前駆体ゾルが得られた。この前駆体ゾルを、シャーレに入れて乾燥させ、ゲルを作製した。得られたゲルを70℃で一晩乾燥し、得られた有機無機複合体を実験例1とした。
[実験例2−4]
ポリビニルピロリドンの代わりに、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)を用いた以外は実験例1と同様の工程を行い、得られた有機無機複合体を実験例2とした。また、ポリビニルピロリドンの代わりに、ポリ酢酸ビニルを用いた以外は実験例1と同様の工程を行い、得られた有機無機複合体を実験例3とした。また、金属アルコキシドの加水分解及び重合の工程にて、3−アミノプロピルトリエトキシシランの代わりにN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを用いた以外は実験例1と同様の工程を行い、得られた有機無機複合体を実験例4とした。
[実験例5]
実験例1の触媒の添加及び金属アルコキシドの添加を省略し、無機系化合物を含まないものを実験例5とした。
[実験例6]
金属アルコキシドの加水分解及び重合の工程にて、3−アミノプロピルトリエトキシシランの代わりにテトラエトキシシランを用いた以外は実験例1と同様の工程を行い、得られた有機無機複合体を実験例6とした。
[実験例7]
実験例1にて作製した前駆体ゾルを、直径10mm、長さ10cm、表面細孔径0.1μmの多孔質アルミナ基材上に塗布し、70℃で一晩乾燥し、構造体を作製した。この構造体の一方の端部を封止し、他方の端部にガラス管を接続し、得られた構造体を実験例7とした。
(吸着性能の耐久性評価)
実験例1〜6のガス分離機能に関する測定を、磁気浮遊天秤を有する高圧ガス吸着量測定装置(日本ベル株式会社製MSB−AD−H)を用いて行った。ここでは、オレフィン/パラフィンの分離機能を考察するものとし、そのモデルとして、エチレン及びエタンの吸着測定を10回繰り返して実施した。エチレン又はエタンのいずれかをより吸着するものとすれば、オレフィン/パラフィンの分離機能がより高いと判断することができる。吸着測定は、エチレン単体ガス又はエタン単体ガスを用い、23℃、0MPa〜1MPaの測定条件で行った。吸着測定の結果を用い、(1MPaでのエチレン吸着量)/(エタンの吸着量)を選択性とした。また、(測定10回目の選択性)/(測定1回目の選択性)を選択性維持率とした。この選択性維持率が高いほど、ガス分離機能の耐久性がより高いものと判断することができる。
(構造体のガス透過性評価)
実験例7のガス分離機能に関する測定を行った。ガス透過性評価は、エチレン/エタン混合ガス(1:1)を用い、23℃、1MPaの測定条件で行った。
(結果と考察)
実験例1〜6の、有機無機複合体の構成及び選択性維持率についてまとめて表1に示す。表1に示すように、実験例5,6ではガスの選択性維持率が極めて低かった。実験例6は、無機系化合物の添加による効果として、実験例5に比して選択性維持率は高いものの、その値は実験例1〜4に比較して低かった。これは、無機系化合物がアミノ基を有していないため、無機系化合物と有機系化合物との親和性が低く、無機系化合物と有機系化合物との間で剥離などが生じ劣化したためであると推察された。これに対して、実験例1〜4では、ガスの選択性維持率が0.50以上と、高い値を示すことがわかった。これについて考察すると、無機系化合物は、金属−酸素結合を有する金属マトリクス構造を有し、この金属マトリクス構造にアミノ基が結合していることが推察される。一方、有機系化合物は、カルボニル基を有している。このため、無機系化合物のアミノ基と、有機系化合物のカルボニル基との分子間にイオン結合性の相互作用が働いているものと考えられた。この相互作用により、無機系化合物と有機系化合物とがより強固になるものと推察された。また、実験例7にてガス透過性の評価を行った結果、エタンに比べてエチレンが選択的に透過することを確認した。
Figure 0006071694
本発明は、フィルターやハニカム構造体などの機能材の分野に利用可能である。
10 構造体、11 端面、12 セル、14 隔壁部、14a 粗粒部、14b 細粒部、15 内表面、16 機能層、17 端面、18 シール部。

Claims (8)

  1. アミノ基を有する金属アルコキシドの加水分解化合物である無機系化合物と、
    ポリビニルピロリドン、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)及びポリ酢酸ビニルのうち1以上であるカルボニル基を有するポリマーである有機系化合物と、
    銀成分と、を備え
    複数の成分からなる流体に含まれる特定の成分を選択的に透過する機能を有する、
    有機無機複合体。
  2. 前記無機系化合物は、金属マトリクス構造と、該金属マトリクス構造に結合したアミノ基と、を有している、請求項1に記載の有機無機複合体。
  3. 前記無機系化合物は、Si、Ti、Al及びZrから選ばれる1以上と、Oとを含む化合物である、請求項1又は2に記載の有機無機複合体。
  4. 前記無機系化合物は、金属マトリクス構造と、該金属マトリクス構造に結合したアミノ基と、を有しており、
    前記銀成分は、前記金属マトリクス構造を構成する金属に対して20mol%以上含まれている、請求項1〜のいずれか1項に記載の有機無機複合体。
  5. 基材と、
    前記基材上に形成された請求項1〜のいずれか1項に記載の有機無機複合体と、
    を備えた構造体。
  6. 無機系化合物と有機系化合物と銀成分とを備え、複数の成分からなる流体に含まれる特定の成分を選択的に透過する機能を有する有機無機複合体の製造方法であって、
    前記無機系化合物の原料にアミノ基を有する金属アルコキシドを用い、前記有機系化合物の原料にポリビニルピロリドン、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)及びポリ酢酸ビニルのうち1以上であるカルボニル基を有するポリマーを用い、前記金属アルコキシドと前記ポリマーとを含む溶液で前記金属アルコキシドを加水分解することにより、前記無機系化合物と前記有機系化合物とを複合化し、有機無機複合体を得る複合化工程、を含む、
    有機無機複合体の製造方法。
  7. 前記複合化工程では、前記加水分解の後に前記銀成分を添加する、請求項に記載の有機無機複合体の製造方法。
  8. 前記複合化工程以降の工程を100℃以下の温度で行う、請求項6又は7に記載の有機無機複合体の製造方法。
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