以下、図面に沿って、本発明に係る実施形態について説明する。なお、画像形成装置の構成部品の寸法、材質、形状、及びその相対位置等は、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、各図面において同一の符号を付したものは、同一の構成または作用をなすものであり、これらについての重複説明は適宜省略した。
図1は、本実施形態における画像形成装置200の概略構成を示す断面図である。図1に示すように、画像形成装置200は、フルカラー画像形成装置(複写機能、プリンタ機能、FAX機能を併せ持つ複合機)の一例である。画像形成装置200は装置本体200aを有し、この装置本体200aに、中間転写ベルト7の回転方向(矢印R7方向)に沿って上流側から下流側にかけて配置された4個の画像形成部(画像形成ステーション)Sa、Sb、Sc、Sdを有している。
各画像形成部Sa、Sb、Sc、Sdは、この順に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成する構成を有している。画像形成部Sa、Sb、Sc、Sdはそれぞれ、潜像担持体(像担持体)として、ドラム形の電子写真感光体(以下「感光体ドラム」という)1a、1b、1c、1dを備えている。
感光体ドラム1a、1b、1c、1dは、それぞれ矢印Ra、Rb、Rc、Rdの方向(図1中の時計回り方向)に回転駆動されるように構成されている。感光体ドラム1a〜1dの各周囲には、その回転方向に沿って順に、帯電手段である一次帯電器2a、2b、2c、2dと、潜像形成手段である露光装置3a、3b、3c、3dとが配設されている。
感光体ドラム1a〜1dの各周囲には、現像手段である現像装置100a、100b、100c、100dと、一次転写手段である一次転写ローラ5a、5b、5c、5dとが配設されている。さらに、感光体ドラム1a〜1dの各周囲には、感光体クリーニング手段であるクリーニングブレード6a、6b、6c、6dが配設されている。
所定の位置関係に配置された一次転写ローラ5a〜5d、従動ローラ18、駆動ローラ8及びテンションローラ17には、無端状の中間転写ベルト7が掛け渡されている。中間転写ベルト7は、一次転写ローラ5a〜5dによって裏面側から押圧され、その表面が感光体ドラム1a〜1dに当接されている。
これにより、感光体ドラム1a〜1dと中間転写ベルト7との間には、一次転写部である一次転写ニップT1a、T1b、T1c、T1dが形成されている。中間転写ベルト7は、二次転写対向ローラ(二次転写ローラ)も兼ねる駆動ローラ8の矢印R8方向の回転に伴って、矢印R7方向に回転するように構成されている。中間転写ベルト7の回転速度は、上述の各感光体ドラム1a〜1dの回転速度(プロセススピード)とほぼ同じに設定されている。
以上の中間転写ベルト7と、中間転写ベルト7を張架する少なくとも3つの張架ローラとしての駆動ローラ8、テンションローラ17(第1張架ローラ)及び従動ローラ18(第2張架ローラ)と、一次転写ローラ5a〜5dとにより、中間転写ユニット40が構成されている。中間転写ベルト7は、感光体ドラム(像担持体)1a〜1dからの画像を転写される無端状ベルトとして構成され、一次転写ローラ5a〜5dは、テンションローラ17と従動ローラ18との間で中間転写ベルト7を介して感光体ドラム1a〜1dに当接するように構成されている。即ち、一次転写ローラ5a〜5dは、中間転写ベルト7を介して感光体ドラム1a〜1dと対向するように配置され、感光体ドラム1a〜1dから中間転写ベルト7にトナー像(画像)が転写される一次転写ニップT1a、T1b、T1c、T1dを形成する。
このような中間転写ユニット40は、装置本体200aに対して所定方向(図1の左右方向)に挿入及び引き抜き可能に構成されている。すなわち、装置本体200aの正面右側部には、開閉扉部200bが、回動支軸200dを支点として矢印X方向に回動可能に支持されている。装置本体200aには、開閉扉部200bが矢印X方向に回動すると開放状態となって中間転写ユニット40を挿入及び引抜き(挿抜)可能となる挿脱口200cが設けられている。中間転写ユニット40は、このように開閉扉部200bを開放した状態で、所定方向(図1の左右方向)に挿入及び引き抜き操作される。
中間転写ベルト7表面における、駆動ローラ8に対向する位置には、二次転写手段である二次転写外ローラ9が配設されている。二次転写外ローラ9は、駆動ローラ8(二次転写ローラ)との間に中間転写ベルト7を挟持しており、二次転写外ローラ9と中間転写ベルト7との間には、二次転写部としての二次転写ニップ部T2が形成されている。つまり、二次転写部としての二次転写ニップ部T2は、張架ローラの1つとしての従動ローラ18の記録材搬送方向(中間転写ベルト7の回転方向)の下流に配置されている。即ち、駆動ローラ8は、テンションローラ17と従動ローラ18のうちの中間転写ベルト7の回転方向下流側に配置された従動ローラ18の更に下流側に配置されて中間転写ベルト7を張架すると共に、中間転写ベルト7から記録材に画像が転写される二次転写ニップ部T2を形成する。
また、中間転写ベルト7表面における、テンションローラ17に対向する位置には、中間転写体クリーナであるベルトクリーニングユニット11が当接するように配設されている。
画像形成に供される記録材Pは、装置本体200a下部に配置された給紙カセット10に積載された状態で収納されている。記録材Pは、給紙ローラ、搬送ローラ、レジストローラ等を有する給搬送装置(いずれも不図示)によって、上述の二次転写ニップ部T2に供給される。記録材Pの搬送方向に沿っての二次転写ニップ部T2の下流側には、定着ローラ14とこれに加圧された加圧ローラ15とを有する定着装置13が配設されている。さらに、定着装置13の下流側には、排紙トレイ(不図示)が配設されている。
上述構成の画像形成装置200では、以下のようにして、記録材P上にフルカラーのトナー像が形成される。まず、原稿を読み取ると、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの成分による画像信号が決定される。続いて、感光体ドラム1a〜1dは、それぞれ感光体ドラム駆動モータ(不図示)によって矢印Ra、Rb、Rc、Rdの方向に所定のプロセススピードで回転駆動される。
そして、一次帯電器2a、2b、2c、2dによって、所定の極性・電位に一様に帯電される。帯電後の感光体ドラム1a〜1dは、露光装置3a、3b、3c、3dによって画像情報に基づく露光が行われ、露光部分の電荷が除去されて各色毎の静電潜像が形成される。
感光体ドラム1a〜1d上の各静電潜像は、現像装置100a〜100dの各現像スリーブ102a、102b、102c、102dを介してイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像として現像される。これら4色のトナー像は、一次転写ニップT1a、T1b、T1c、T1dにおいて、一次転写ローラ5a、5b、5c、5dにより、中間転写ベルト7上に順次に一次転写される。こうして、4色のトナー像が中間転写ベルト7上で重ね合わされる。感光体ドラム1a〜1d上に残ったトナーは、感光体クリーニングによって回収トナーBox(不図示)に回収される。
上述のようにして中間転写ベルト7上で重ね合わされた4色のトナー像は、記録材Pに二次転写される。給紙カセット10から給搬送装置によって搬送された記録材Pは、レジストローラ(不図示)によって中間転写ベルト7上のトナー像にタイミングを合わせるようにして二次転写ニップ部T2に供給される。供給された記録材Pには、二次転写ニップ部T2において、二次転写外ローラ9により、中間転写ベルト7上の4色のトナー像が一括で二次転写される。
4色のトナー像が二次転写された記録材Pは、定着装置13に搬送され、ここで加熱・加圧されて、表面にトナー像が定着される。トナー像定着後の記録材Pは、排出トレイ(不図示)上に排出される。以上で、1枚の記録材Pの片面(表面)に対するフルカラーの画像形成が終了する。
[中間転写ユニット概要]
次に、図2(a)〜(d)を参照して、中間転写ユニット40について説明する。なお、図2(a)は本実施形態における中間転写ユニット40の転写可能状態の断面図を、図2(b)は本実施形態におけるテンションローラ部の断面図を、図2(c),(d)は本実施形態における一次転写ホルダの外形図をそれぞれ示している。
先ず、図2(a)を参照して、中間転写ユニット40の全体構成について説明する。前述したように、中間転写ユニット40は、張架ローラとしての駆動ローラ8、テンションローラ17及び従動ローラ18によって張架された無端状の中間転写ベルト7を有している。即ち、図2(a)に示すように、中間転写ユニット40では、中間転写ベルト7が、中間転写ベルト7を駆動する駆動ローラ8、従動回転する従動ローラ18、及びテンションローラ17の3つの張架用ローラによって張架されている。
駆動ローラ8は、表面に薄層のゴム部材を有しており、長手方向の両端部が軸受を介して、中間転写ユニット40に備えられた中間転写フレーム20(図6参照)に回転可能に支持されている。この中間転写フレーム20は、駆動ローラ8をはじめ他の複数のローラを一体的に支持する。
中間転写フレーム20に支持された状態の駆動ローラ8は、中間転写ユニット40が装置本体200aに装着された状態で、本体レール部材32に位置決め支持される。
従動ローラ18は、中間転写フレーム20に回動可能に支持された従動ローラ軸受21(図3(b)参照)に回転自在に支持される。また、従動ローラ18の対向位置には、色ずれ調整や濃度調整に用いられるレジパッチ検知センサ28が配置されている。
テンションローラ17は、図2(b)に示すように、長手方向の両端部がテンションローラ軸受23によって回転可能に支持され、テンションローラ軸受23と中間転写フレーム20(図6も併せて参照)との間に、ベルトテンションバネ24が縮設されている。このベルトテンションバネ24は、コイルバネ等の圧縮バネから構成される。
テンションローラ軸受23は、中間転写フレーム20に対してベルトテンションバネ24のバネ力作用方向にスライド可能に支持された状態で、中間転写ベルト7を張架している。テンションローラ軸受23は、中間転写フレーム20に対して図の上下方向にガタを持って支持されており、結果としてテンションローラ17は、中間転写フレーム20に対して上下方向に固定されず、フリーな状態で支持される。
一次転写ローラ5a〜5dは、感光体ドラム1a〜1dに対して夫々対向配置されている。一次転写ローラ5a〜5dは、図2(c),(d)に示すように、一次転写ホルダ25a〜25d(図3(b)も参照)に対し直動支持もしくは回動支持されて感光体ドラム1a〜1d方向に夫々加圧されている。
中間転写ベルト7は、本実施形態では、PEEK(PolyEther Ether Ketone)にて形成された例えば周長791.9mm、幅346mm、厚さ48μmの無終端ベルト(無端状ベルト)から構成される。中間転写ベルト7の材料としては、これに限定されるものではないが、上記の他、ポリイミド、ポリカーボネート、PVDF、ETFE、PTFE等を好適に用いることが可能である。
中間転写ベルト7は、その内側において、記録材搬送方向(周回移動方向)と直交する幅方向の両端近傍にリブが取り付けられている。本実施形態におけるリブは、ベルト内面に略垂直方向に起立し、中間転写ベルト7の全周に亘り延在する、ウレタンにて形成された例えば幅3mm、高さ1.2mmの帯状突起である。
また、図2(a)に示すように、従動ローラ18に対向する位置には、色ずれ調整や濃度調整に用いるレジパッチ検知センサ28が配置されている。
[一次転写ローラ離間構成]
先ず、図3(a),(b)を参照して、一次転写ローラ5a〜5dの離間構成について説明する。なお、図3(a)は本実施形態における中間転写ユニット40の離間時の断面図を、図3(b)は本実施形態における一次転写離間構成部の当接時の断面図をそれぞれ示す。
一次転写ローラ5a〜5dは、図3(a)に示すように、Bk(ブラック)単色出力の際や、中間転写ユニット40の着脱の際に、感光体ドラム1a〜1dから離間できるように構成されている。一次転写ローラ5a〜5d離間の際には、従動ローラ18も同時に離間する。この構成は、一次転写ローラ5a〜5dの寿命向上や、中間転写ユニット40着脱時の中間転写ベルト7の傷防止にも有効である。
図3(a),(b)に示すように、一次転写ローラ5a〜5dは、それぞれ対応する一次転写ホルダ25a〜25dを介して、対応する感光体ドラム1a〜1dに対して接近・離間動作が可能となるように中間転写フレーム20(図6)に支持されている。また従動ローラ18は、従動ローラ軸受21を介して、感光体ドラム1dの方向に接近・離間動作(接離動作)が可能となるように中間転写フレーム20に支持されている。
次に、図3(b),(c)、図4(a)〜(c)及び図5(a)〜(c)を用いて、一次転写ローラ5a〜5d離間時の動作について説明する。なお、図3(c)は本実施形態におけるカム部材27の外形を示す斜視図である。また、図4(a)〜(c)は本実施形態における一次転写離間動作を示す側面図、図5(a)〜(c)は本実施形態における一次転写離間動作をそれぞれ説明する平面図である。
図3(b)に示すように、中間転写フレーム20(図6参照)には、回転軸26が感光体ドラム1a〜1d、各ローラ5a〜5d、8、17、18と平行に回転自在に支持されている。この回転軸26の中間転写フレーム20の内側両端部には、図3(c)に示す形状のカム部材27が夫々取り付けられている。カム部材27は、不図示の駆動源から駆動入力が行われると回転軸26と共に回転する。このカム部材27にBkスライダ29(第2移動部)とCLスライダ30(第1移動部)が夫々係合するように配置されている。カム部材27が回転すると、Bkスライダ29及びCLスライダ30がそれぞれ図中の左右方向へ移動する。
回転軸26、カム部材27、Bkスライダ29及びCLスライダ30により、中間転写ユニット40に備えられた、本発明の移動手段としての移動機構50が構成される。この移動機構50は、感光体ドラム1a〜1dから中間転写ベルト7に画像が転写される転写可能状態から、中間転写ユニット40を装置本体200aに対して所定方向(図1の左右方向)に移動させるときに、次のように作動する。つまり、移動機構50は、中間転写ベルト7の外形が周辺部材に干渉しない形状を呈する移動可能状態となるように、張架ローラのうちの少なくとも1つである従動ローラ18と、一次転写ローラ5a〜5dとを、感光体ドラム1a〜1dに対して移動させる。
本実施形態において、周辺部材とは、レジパッチ検知センサ28と搬送ガイド部材55を示す。
レジパッチ検知センサ28は、中間転写ユニット40の周辺で、所定方向(図1左右方向、図8矢印Y方向(つまり張架ローラの回転軸に直交する挿抜方向))から見た場合に、感光体ドラム1a〜1dから画像を転写される転写可能状態の第1位置にある中間転写ベルト7と、少なくとも一部が重なる位置に配置されている。このようなレジパッチ検知センサ28は、張架ローラとしての従動ローラ18に中間転写ベルト7を介して対向配置されて画像を検知する検知手段としても構成される。また、搬送ガイド部材55は、二次転写部としての二次転写ニップ部T2に記録材Pを案内するように従動ローラ18に中間転写ベルト7を介して対向配置されている。
また、図2(c),(d)に示すように(図3、図4も参照)、一次転写ホルダ25a〜25dには、突起部25e,25f,25g,25hが設けられている。なお、図2(c),(d)には、一次転写ホルダ25b、25cに対応する突起部25f、25gのみを図示している。
突起部25e〜25hを、図4(a)〜(c)に示すBkスライダ29及びCLスライダ30の各斜面部29a、30aに入れ込んだ状態で、Bkスライダ29及びCLスライダ30を図中左右方向へ夫々移動させる。これにより、一次転写ローラ5a〜5dが、感光体ドラム1a〜1dの対応するものから離間される。
従動ローラ18は前述した通り、中間転写フレーム20に回動可動に支持された従動ローラ軸受21に回転可能に支持されている。従動ローラ軸受21は、従動ローラバネ22(図3(b))によって中間転写ベルト7方向へ加圧され、図1に示した装置本体200a(本体フレーム)に位置決めされた本体レール部材32(図7(b))へ突き当て位置決めされている。この本体レール部材32は、挿脱口200c(図1)内に対応する位置にて装置本体200a側に固定されており、開閉扉部200b(図1)を開放した状態にて中間転写ユニット40を挿脱口200c内に着脱可能に案内する。
Bkスライダ29が移動するとき、Bkスライダ29の押し上げ部29b(図5参照)により、従動ローラ軸受21を中間転写ベルト7と反対方向へ押し上げることで、従動ローラ18が離間される。
離間動作は、移動機構50の作動に基づき、カム部材27の回転停止位置(回転位相)に応じて3モードが構成される。図4(a)〜(c)に3モードをそれぞれ示す。
図4(a)は、カム部材27を第1位相に回転させることで、突起部25e〜25hに連動する一次転写ローラ5a〜5d全て(第1の一次転写ローラ及び第2にの一次転写ローラ)が、それぞれ対応する感光体ドラム1a〜1d(第1像担持体及び第2像担持体)に加圧された(転写位置に移動した)状態のCLモードを示す。
図4(b)は、カム部材27を第2位相に回転させることで、突起部25hに連動する一次転写ローラ5d(第2の一次転写ローラ、Bk:ブラック)のみが感光体ドラム1d(第2像担持体)に加圧された状態(第1位置)のBkモードを示す。このとき、一次転写ローラ5a〜5c(第1の一次転写ローラ)は、中間転写ベルト7を転写位置よりも感光体ドラム1a〜1c(第1像担持体)から離間させる離間位置に移動している。
図4(c)は、カム部材27を第3位相に回転させることで、一次転写ローラ5a〜5d全てが、それぞれ対応する感光体ドラム1a〜1dから離間された(第1の一次転写ローラが離間位置に、第2の一次転写ローラが第1位置よりも中間転写ベルト7が感光体ドラム1dから離間する第2位置に移動した)状態の全離間モードである。この全離間モード時には、従動ローラ18も、像担持体としての感光体ドラム1a〜1dから離間するように移動している。このモード時の状態が、中間転写ベルト7の外形が周辺部材(レジパッチ検知センサ28、搬送ガイド部材55)に干渉しない形状を呈する移動可能状態である。
図5(a),(b),(c)は、図4(a),(b),(c)に示したCLモード、Bkモード及び全離間モードにそれぞれ対応する、移動機構50におけるカム部材27、Bkスライダ29及びCLスライダ30の各位置関係を示している。図4(a)〜(c)及び図5(a)〜(c)は、カム部材27を120°ずつ回転させたときの状態を示している。
カム部材27(図3(c)も参照)は、Bkスライダ29用のカム部材面とCLスライダ30用のカム部材面とを有しており、120°毎にBkスライダ29、CLスライダ30にそれぞれ異なる動きをさせるように構成されている。
図4(a)及び図5(a)では、Bkスライダ29が同図の左側に移動し、CLスライダ30が同図の左側に移動している。また、図4(b)及び図5(b)では、Bkスライダ29が同図の左側に移動し、CLスライダ30が同図の右側に移動している。図4(c)及び図5(c)では、Bkスライダ29が同図の右側に移動し、CLスライダ30が同図の右側に移動している。
Bkスライダ29とCLスライダ30の上記移動方向と、Bkスライダ29とCLスライダ30の斜面部29a、30aの形状と、Bkスライダ29の押し上げ部29bの形状との連係で、一次転写ローラ5a〜5d及び従動ローラ18の接離動作が行われる。
一次転写ローラ5a〜5dと従動ローラ18は、中間転写フレーム20に支持された状態で本体レール部材32、これ以外のユニット(感光体ドラム1a〜1dの不図示の支持ユニット)やレジパッチ検知センサ28(図2(a)参照))に対し位置決めされる。
[ローラ位置決め構成]
次に、中間転写ユニット40におけるローラ位置決め構成について説明する。なお、図6は、本実施形態における中間転写ユニット40の外観を示す斜視図である。図7(a)は、本実施形態における中間転写ユニット40の平面図、図7(b)は、本実施形態における本体レール部材32の詳細図である。
図6に示すように、中間転写ユニット40における中間転写フレーム20は、駆動ローラ8の位置決め部8aと、中間転写フレーム20の回り止め20a及びボス20bとを介して、本体レール部材(不図示)に対して位置決めされる。中間転写フレーム20は、中間転写ユニット40の両端部に夫々設けられており、駆動ローラ8両端部の位置決め部8a,8aは、これらに対向するように装置本体200aに固定された一対の本体レール部材(不図示)に夫々支持される。
また、テンションローラ17(図3参照)は、テンションローラ軸受23の上下方向を、本体レール部材32の規制突起部33a,33c(図7(b))で規制されて位置決めされる。図6において、テンションローラ軸受23は中間転写ユニット40の両端部にそれぞれ位置しており、テンションローラ17はその両端部をこれらテンションローラ軸受23,23にそれぞれ支持されている。
従動ローラ18は、レジパッチ検知センサ28(図3(a))の対向ローラでもある。中間転写ベルト7に形成されたレジパッチを検知するために、中間転写ベルト7とレジパッチ検知センサ28との距離関係は、高い精度を要求される。そのため、従動ローラ軸受21(図3、図4)を本体レール部材32へ突き当て位置決めを行い、レジパッチ検知センサ28も本体レール部材32(図7(b))へ位置決めしている。
これにより、レジパッチ検知センサ28と一体的に装置本体200a側に支持された搬送ガイド部材55(図8参照)も、その先端傾斜ガイド部55aが、従動ローラ18で張架される中間転写ベルト7に対し高い精度で位置決めされる。
ベルトクリーニングユニット11は、両端部のテンションローラ軸受23,23に支持された状態で、そのブレード角度、距離が規制される。さらにベルトクリーニングユニット11は、両端部の位置決め部11a,11aの上下方向が、対応するように本体レール部材32,32に設けられた規制突起部33a,33b(図7(b))で規制されて位置決めされる。
中間転写フレーム20及び本体レール部材32は、それぞれ両端部に駆動ローラ8及びテンションローラ17をそれぞれ支持可能な長尺形状を呈している。中間転写フレーム20は、両端部に駆動ローラ8及びテンションローラ17をそれぞれ支持した状態で本体レール部材32の一端側から受け入れられて他端側にスライド移動した後に本体レール部材32に係合支持される。
中間転写ユニット40は、図1における装置本体200aの右側から着脱されるため、中間転写ユニット40の装着時には、ベルトクリーニングユニット11から挿入される。そのため、図7(a)に示すように、各位置決め部の長手方向位置関係は、
位置決め部11a=テンションローラ軸受23<回り止め20a<位置決め部8a
としている。このように長手方向に各位置決め部をずらすことで、複数部の位置決めを本体レール部材32に集約することができる。
すなわち、図7(b)に示す本体レール部材32は、挿入される中間転写ユニット40の両端部に対向する一対として、装置本体200aの本体フレームを形成する図1手前−奥側の側板に固定されている。上述した各位置決め部の関係は、下記のようになっている。
つまり、本体レール部材32の先端である図7(b)の位置Aに形成された規制突起部33a,33bには、ベルトクリーニングユニット11の位置決め部11aが導入部34から導入されて位置決めされる。位置Bに形成された規制突起部33a,33cには、テンションローラ17のテンションローラ軸受23が導入部35から導入されて位置決めされる。
位置Cに形成された規制溝部36aと、規制溝部36bとには、中間転写フレーム20の回り止め20a及びボス20bが、規制溝部36a,36bの傾斜形状に沿って導入されてそれぞれ位置決めされる。規制溝部36bの上部には、規制溝部36bとでボス20bを規制する規制突起部36cが形成されている。
本体レール部材32の後端である位置Dに形成された規制切欠き部37には、駆動ローラ8の位置決め部8aが当接されて位置決めされる。このとき、位置決め部8aは、不図示の加圧機構により、斜め下方から付勢されることにより、3点支持で固定される。
また、位置Eにおける規制切欠き部37の下方に形成された規制突起部38には、従動ローラ18の従動ローラ軸受21が導入部39から導入されて位置決めされる。
本体レール部材32の長手方向に沿ってガイド溝36が形成されている。このガイド溝36の図7(a)右端部には、位置決め部11a、回り止め20a、ボス20b等をこの順に導入するための導入部36fが形成されている。ガイド溝36の図7(a)左方部分には、上述した規制溝部36a,36b、規制突起部36c、案内部36dが形成されている。
さらに、ガイド溝36における導入部36f寄りの部位には、カム部材27に回転を付与する一次転写ローラ離間駆動入力用の回転軸26(図3(b)参照)を挿通するための穴部32aが、図7(a)の手前−奥方向に貫通して形成されている。上記ボス20bは、中間転写ユニット40の本体レール部材32への着脱時に、回り止め20aが穴部32aに落ち込まないようにする。
[中間転写ユニット挿抜構成]
次に、中間転写ユニットの挿入及び引抜き構成(挿抜構成)について、図8を参照して説明する。なお、図8は、中間転写ユニット40を模式的に示す断面図である。
図8(a),(b)に示すように、中間転写ユニット40の挿抜方向は、図中の矢印Y方向である。二次転写部である二次転写ニップ部T2(図1参照)の上流には、記録材Pの搬送姿勢を安定させるために、搬送ガイド部材55が配置されている。
搬送ガイド部材55は、駆動ローラ8と従動ローラ18との間の中間転写ベルト面に対して、記録材Pを所定の着地位置、当接角度で安定して搬送するために、先端傾斜ガイド部55aで従動ローラ18を覆うように配置されている。そして、従動ローラ18に中間転写ベルト7を介して対向する位置にレジパッチ検知センサ28が配置され、搬送ガイド部材55とレジパッチ検知センサ28とが一体でユニット化されている。
移動機構(移動手段)50により移動させられる従動ローラ18は、中間転写ベルト7の転写可能状態で、中間転写ベルト7の感光体ドラム(像担持体)1a〜1dと対向する面を形成する。また、移動機構50により移動させられる従動ローラ18は、転写可能状態で、周辺部材としてのレジパッチ検知センサ28及び搬送ガイド部材55に中間転写ベルト7を介して対向配置される。
搬送ガイド部材55とレジパッチ検知センサ28とは、中間転写ベルト面との距離及び位置の関係が重要であるため、中間転写ベルト7に対する高い位置決め精度が要求される。そのため、従動ローラ軸受21(図4参照)を本体レール部材32へ突き当てて位置決めを行い、搬送ガイド部材55及びレジパッチ検知センサ28も、本体レール部材32に(つまり装置本体200a側に)位置決め固定される。
搬送ガイド部材55は、図8(a)に示す中間転写ユニット40の転写可能状態(第1位置)にて、その先端傾斜ガイド部55aを中間転写ベルト7に対して所定の隙間をあけた状態で対向するように装置本体200a側に固定されている。搬送ガイド部材55は、図8(b)に示す中間転写ユニット40の移動可能状態(第2位置)では、従動ローラ18及び一次転写ローラ5a〜5dの退避により、先端傾斜ガイド部55aが中間転写ユニット40の挿入及び引抜きによる移動を妨げない位置となる。即ち、移動機構50は、挿抜方向から見た場合に、第1位置にある状態の中間転写ベルト7を、中間転写ベルト7が搬送ガイド部材55と重ならない第2位置にある状態に移動可能に支持する。これと共に、移動機構50は、中間転写ベルト7の第1位置から第2位置への移動に伴い、中間転写ベルト7が感光体ドラム1a〜1dから離間するように構成されている。
ここで、搬送ガイド部材55と中間転写ユニット40との挿抜方向の干渉幅をLとすると(図8参照)、この干渉幅Lは、中間転写ユニット40もしくは搬送ガイド部材55が退避しなければ、中間転写ユニット40を挿抜することはできない。
搬送ガイド部材55を退避させようとすると、退避機構によるコストアップを伴うだけでなく、前述したように位置決め精度が要求されるユニットであるにも拘わらず、退避構成のガタなどにより繰り返し位置決め精度の低下が懸念される。
その影響を無くすため、本実施形態では、搬送ガイド部材55及びレジパッチ検知センサ28を装置本体200a側に固定する部材として構成し、中間転写ユニット40を移動機構50によって退避させる構成とした。
退避する構成は、前述した一次転写ローラ離間構成を用いている。一次転写ローラ5a〜5d及び従動ローラ18の感光体ドラム1a〜1dからの離間量を干渉幅L以上に設定し、ローラ離間状態を全離間モード(図4(c)参照)にするだけで、図8(b)のように中間転写ユニット40の挿抜動作を容易に達成できる。
中間転写ユニット40を装置本体200aの挿脱口200cに挿入するときは、一次転写ローラ5a〜5d及び従動ローラ18を感光体ドラム1a〜1dから離間させた移動可能状態で、容易に挿入することができる。
本実施形態では、ベルトクリーニングユニット11は中間転写ユニット40と一体的に構成されているが、その上下方向寸法は、全離間モード時の中間転写ユニット40と同等以下に設定されている。もしくは、中間転写ユニット40の挿抜軌跡を、ベルトクリーニングユニット11側を持ち上げるように構成して干渉を避けるようにすることもできる。さらには、一次転写ローラ5a〜5dの離間動作に合わせてベルトクリーニングユニット11を退避させるように構成することもできる。一方、ベルトクリーニングユニット11を装置本体200a側に残すように構成する場合は、中間転写ユニット40の挿抜動作に関して問題を生じることはない。
ここで、本発明の基礎となる構成例について、図9(a),(b)を参照して説明する。なお、図9(a)は、画像形成装置本体に装着された中間転写ユニット140の転写可能状態を示す図である。
この構成例では、図9(a)に示すように、中間転写ユニット140の挿抜方向は図の左右方向であり、二次転写部(不図示)の上流には、従動ローラ118に沿うように搬送ガイド部材133が配置されている。この搬送ガイド部材133には、レジパッチ検知センサ128が一体的に取り付けられている。
この状態で、搬送ガイド部材133は中間転写ユニット140の移動軌跡に重なっているため、中間転写ユニット140を挿抜することはできない。なお、図中の符号107は中間転写ベルト、108は駆動ローラである。
図9(b)は、中間転写ユニット140の挿抜時の状態を示す図である。中間転写ユニット140を画像形成装置本体から右方向に引き抜くために、搬送ガイド部材133、レジパッチ検知センサ128を回転軸133aを中心に回動退避させて、挿抜空間を作っている。
上記構成例のように、中間転写ユニット140を挿抜するためにドラムカートリッジや、レジパッチ検知センサ128、搬送ガイド部材133など、挿入及び引抜き時に干渉するユニットや部品を移動可能に支持するものもある。しかし、この構成によると、コストアップ、位置決め精度を損なう等の不都合を生じる懸念がある。
これに対し、本実施形態では、一次転写ローラ5a〜5dの離間動作に連動して中間転写ユニット40の最大外形を決めている張架ローラである従動ローラ18を移動させ、中間転写ユニット40の断面を小さくしている。これにより、中間転写ユニット挿抜時の移動軌跡と干渉しないようにすることができる。
これにより、移動可能状態(図8(b))では、転写可能状態(図8(a))の中間転写ユニット断面よりも最大外形を小さくして、挿脱口200c内の狭い空間を移動させることができる。これにより、設計の自由度を高め、ユニット着脱時のユーザビリティを向上させることができる。また、周りのユニット、部品を退避させる構成が不要になるため、構成を簡略化させて、コストアップや、位置決め精度を損なう等の不都合を招くおそれがない。