JP6070504B2 - 鋼材の冷却方法および冷却設備 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼材の浸漬冷却に関するものである。
厚鋼板など肉厚の厚い鋼材の製造において、多量の合金成分の添加を行わずに高強度および高靭性を得るためには、一般的に、オフラインでローラークエンチする方法で焼入れ処理を行う。しかしながら、例えば、板厚が100mmを超えるような鋼材の場合、テーブルローラーがたわむなど、搬送の問題が生じる。そこでこのような厚物鋼材の場合、水中に浸漬させて冷却する方法で焼入れ処理を行っている。
水中に浸漬させて冷却する鋼材の焼入れ処理(以下、単に浸漬冷却と称することもある。)は、図2または図3に示すような設備において、鋼材1を台車2付きの加熱炉3で加熱した後、クレーンなどの吊り具4で鋼材1を吊って、水5で満たされた水槽6内に鋼材の広面部が垂直または水平になるようにして浸漬させて行う。焼入れ中の冷却速度を速くするほど、高強度で高靭性の材質の鋼材が得られる。
水中に浸漬させて鋼材を冷却する方法として、特許文献1の技術がある。特許文献1は、浸漬槽を用いた鋼片の冷却において、鋼片広面が側面となるように水中に垂直方向に浸漬させ、鋼片両面から水噴射を行うことを特徴とする鋼片の水冷方法であり、鋼片の急速かつ均一な冷却を図るものである。
特開2006−199992号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、加熱炉から抽出した鋼材を垂直にして浸漬させる場合、図4に示すように、板長が長い鋼材では、自重によって吊上げ時に鋼材が変形するという問題がある。例えば、板厚150mm、板長13mの場合は、吊上げ時に変形して、全長で500mm程度の反りが生じてしまう。
また、加熱炉から抽出した鋼材の広面部を水平にして水に浸漬させる場合、図5に示すように、鋼材1の上面に発生する蒸気泡7は、滞留せずに矢印の方向に移動する。しかしながら、鋼材1の下面では、発生した蒸気泡7が滞留して蒸気膜8が形成されると、鋼材下面と水とが直接接触しなくなるため、熱伝達が阻害される。したがって、鋼材1の上面と比較して下面は冷えにくくなり、平均冷却速度の低下や上下面の冷却不均一が起こる。その結果、強度や靭性の低下、冷却中に反りが生じるという問題がある。例えば、板厚150mmの鋼材の広面部を水平にして浸漬させた時、上下面の温度履歴は図6のようになり、鋼材の下面温度が上面温度に比べて最大350℃高くなる。
したがって、加熱炉から抽出した鋼材の広面部を水平にして水に浸漬させる場合、鋼材上下面の冷却を均一にするためには、水噴流などの冷却装置を用いて下面の冷却を促進する必要がある。しかしながら、例えば、板幅2m、板長10m以上の鋼材の焼入れ処理を行う場合、多数のノズル設置や多量の冷却水が必要となり、設備コストおよびランニングコストがかかる
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、鋼材下面の冷却を促進させ、高強度および高靭性の材質を得られるうえに、冷却中に反りの生じない鋼材の冷却方法および冷却設備を提供することを目的とする。
本発明は、前記した従来の問題点を解決するためになされたものであって、それは下記のとおりである。
[1]鋼材の広面部を上下面として、鋼材の広面部短辺方向の水平面からの傾斜角度を5°以上になるように鋼材を水中に浸漬し、鋼材下面側の傾斜方向に沿って、0.3m/s以上の流速で鋼材下面の下端側から上端側に向けて水を噴射することを特徴とする鋼材の冷却方法。
[2]鋼材を浸漬冷却させる水槽を有し、前記水槽内には、鋼材の広面部短辺方向の水平面からの傾斜角度を5°以上に保持するための浸漬具と、鋼材下端側に配置されて、鋼材下面側の傾斜方向に沿って0.3m/s以上の流速で水を噴射するノズルとを備えることを特徴とする鋼材の冷却設備。
本発明によれば、鋼材下面の冷却を促進させることができる。その結果、鋼材全面を均一に冷却することができるため、冷却中に反りが生じず、高強度および高靭性の材質の鋼材を製造することができる。また、本発明では、鋼材の広面部を垂直にして浸漬させる必要がないため、吊り上げ時に鋼材が変形するという問題もない。さらにまた、本発明は、鋼材の傾斜角度が小さくても鋼材下面の冷却を促進でき、設備の大型化を回避することができる。
本発明の冷却方法を示す概略図である。 鋼材の焼入れ処理の一例を示す概略図である。 鋼材の焼入れ処理の一例を示す概略図である。 吊上げ時に変形する鋼材の一例を示す概略図である。 鋼材の広面部を水平にして水中に浸漬させる場合に生じる、蒸気泡および蒸気膜の様子の一例を示す概略図である。 板厚150mmの鋼材について、広面部を水平にして水中に浸漬させた時の、上下面の温度履歴を表すグラフである。 鋼材の広面部を傾斜させて水中に浸漬させる場合に生じる、蒸気泡および蒸気膜の様子の一例を示す概略図である。 傾斜角度と蒸気泡速度との関係を示すグラフである。 傾斜角度と噴射する水の流速との関係を示すグラフである。 浸漬具の一例を示す概略図である。 浸漬具の一例を示す概略図である。 浸漬具の一例を示す概略図である。
以下、本発明について説明する。
本発明の鋼材の冷却方法は、鋼材の広面部を上下面として、鋼材の広面部短辺方向の水平面からの傾斜角度を5°以上になるように鋼材を水中に浸漬し、鋼材下面側の傾斜方向に沿って、0.3m/s以上の流速で鋼材下面の下端側から上端側に向けて水を噴射することを特徴とする。なお、本発明における水の流速とは、鋼材下端側の噴射時の流速をいう。
図1は、本発明の冷却方法を示す概略図である。具体的には、鋼材を水槽内に浸漬冷却させた際の水槽内の断面図である。図1において、鋼材1の下端側には、水を噴射するノズル9が配置されている。ノズル9は、鋼材1の下面に沿って、鋼材1の下端側から上端側に向けて水を噴射する。
浸漬冷却中、鋼材1の下面で発生する蒸気泡7は、浮力によって鉛直方向上向きに上昇しようとする。鋼材1の広面部を上下面として、鋼材1を傾斜させた状態で浸漬すると、図1に示すように、鋼材1の下面で発生した蒸気泡7は、浮力により、滞留することなく鋼材1の下面に沿って、鋼材1の傾斜方向上端部に向かって移動する。さらに、蒸気泡7の上昇に伴い、冷却水の対流が発生する(図1の破線矢印)。このため、下面の冷却が促進される。本発明においては、さらに、図1に示すように、鋼材1の下面側で、鋼材1の傾斜方向下端側から上端側に向けて、ノズル9から水が噴射される(図1の実線矢印)。水は鋼材1の下面に沿って鋼材1の下端側から上端側へ移動する。そのため、鋼材1の下面に沿って移動する水により蒸気泡7が除去されるとともに、傾斜方向に沿った水の移動に伴い、対流効果が大きくなる。したがって、鋼材1の下面において、蒸気膜8が形成されにくくなり、蒸気膜8に起因した熱伝達の阻害が起こらず、平均冷却速度の低下や上下面の冷却不均一が生じない。その結果、鋼材1の下面の冷却が促進され、浸漬冷却中の反りが起こらず、高強度および高靭性の材質の鋼材を製造することができる。また、水を噴射することにより、上述の鋼材下面の冷却促進に加えて、傾斜角度を低減することができるため、設備の大型化を必要としない。さらにまた、水を噴射することにより、鋼材下面の水の流速が大きくなり、上述した冷却水の対流が促進されるので、鋼材下面の冷却促進が期待できる。
浸漬冷却中、鋼材1の下面で発生する蒸気泡7は、浮力によって鉛直上向きに上昇しようとする。ここで、鋼材1を傾斜させた状態で浸漬すると、図7に示すように、蒸気泡7が滞留することなく、鋼材1の下面に沿って上方へ逃げていく。さらに、蒸気泡7の上昇に伴い対流が発生するため、鋼材1の下面の冷却が促進される。さらに発明者は、鋼材の広面部短辺方向の傾斜角度について、蒸気泡径5mm、広面部短辺方向の鋼板長さ800mmの条件で、検討を行った。その結果、図8に示すように、傾斜角度が大きいほど、傾斜方向に沿って蒸気泡7が上昇する速度(蒸気泡速度)が増加することがわかった。図8から、傾斜角度が大きいほど蒸気泡7が除去されやすくなるとともに、対流効果が大きくなり、鋼材下面の冷却が促進される。なお、蒸気泡の速度については、鋼板に沿って上昇する複数の蒸気泡を撮影し、撮影した映像から蒸気泡速度を平均化して算出した。
さらに本発明者が検討したところ、高強度および高靭性の材質を得るためには、鋼材の浸漬冷却時の傾斜角度を5°以上にすることに加えて、鋼材下面側において水を噴射させる必要があることを見出した。発明者は、鋼材の広面部短辺方向の傾斜角度と水の流速との関係について、広面部短辺方向の鋼板長さ800mm、傾斜角度0〜15°の条件で、鋼板下端の円管ノズルから水を噴射させて検討を行った。その結果、傾斜角度15°で水流がない場合と同等の鋼材下面平均冷却速度を得るために必要な水の流速が、鋼材の傾斜角度に対してどのように変化するかについて、図9の曲線のような関係があることがわかった。傾斜浸漬のみの場合では15°といった大きな傾斜角度が必要であるところ、本発明では、鋼材下面において水を噴射させることにより、傾斜角度が小さい5°であっても、蒸気泡を十分除去することができ、鋼材下面の冷却が促進されることがわかる。したがって、本発明では、設備の大型化を必要とせず、鋼材下面の冷却を促進させることができる。
本発明では、鋼材の広面部短辺方向の水平面からの傾斜角度を5°以上とする。傾斜角度が5°未満で浸漬冷却すると、鋼材下面に沿って上昇する蒸気泡の速度が遅く、蒸気膜の形成を十分に抑制することができない。このため、鋼材下面の冷却が促進されず、高強度および高靭性の材質の鋼材を得ることができないうえに、浸漬冷却中に鋼材反りが生じてしまう。また、傾斜角度が5°未満では、十分な対流効果を得られず、噴射する水の流量を多くしなければならないため、大量の水が必要になり、設備が大型化する。なお、上下面冷却均一性の観点から、傾斜角度は、10°以上であることが好ましい。
なお、実用上の上限として水平面からの傾斜角度は45°以下であることが好ましい。45°を超えると、浸漬時の鋼材高さが高くなり、水槽を大きくする必要がある。そのうえ、鋼材を傾斜させるための装置が大掛かりとなるため、設備コストがかかる。なお、設備コスト抑制の観点から、傾斜角度は、30°以下であることがさらに好ましい。
本発明では、噴射する水の流速を0.3m/s以上とする。流速を0.3m/sとすることにより、傾斜角度が5°であっても蒸気泡を十分除去することができ、鋼材下面の冷却が促進される。また、流速は2.5m/s以下とすることが好ましい。流速が2.5m/sより大きいと、鋼材上面に比べて鋼材下面の冷却能力が大きくなりすぎて、冷却中に鋼板反りが生じる可能性がある。
鋼材の傾斜方向については、鋼材の広面部を上下面として、鋼材の広面部短辺方向に傾斜させる。短辺方向に傾斜させることにより、鋼材浸漬時の鋼材傾斜方向下端部から上端部までの高さが短くなり、水槽深さを浅くすることができる。例えば、鋼材広面部が、短辺3m×長辺10mの長方形である鋼材を、傾斜角度30°に傾斜させて浸漬冷却させる場合、短辺方向に傾斜させると浸漬時の鋼材高さは1.5mとなる。これに対して、長辺方向に傾斜させると5mとなるため、水槽が大きくなり設備コストが膨大となる。さらに、本発明では、鋼材の広面部を垂直にして浸漬させる必要がないため、吊上げ時に自重により鋼材が変形するという問題がない。したがって、板長の長い鋼材も問題なく製造できる。
鋼材の冷却設備における水槽としては、鋼材体積の20倍以上の水を蓄えることが可能である水槽が好ましい。鋼材体積の20倍以上の水を蓄えた水槽内で本発明を実施することにより、冷却中に水槽内の水温が上昇して冷却能力が低下することがなくなり、その結果、高強度および高靭性の材質の鋼材をより安定的に確保することができる。
本発明では、鋼材の冷却設備における水槽内で、鋼材の広面部短辺方向の傾斜角度を5°以上に保持するための浸漬具を用いる。浸漬具としては、鋼材の広面部短辺方向の傾斜角度を5°以上に保持することができる浸漬具であればよく、例えば、図10のような傾斜架台10、図11のようなCフック11、図12のような浸漬装置12等が挙げられる。なお、図10の傾斜架台10は安価に製造でき、その一方で、図11のCフック11や、図12の浸漬装置12は設備コストがかかる。このため、本発明では、図10のような傾斜架台10が好ましい。なお、Cフック11や浸漬装置12を用いる場合、ノズルから噴射された水が鋼材下面側の傾斜方向に沿って移動できるように、例えば、櫛歯状のCフックや浸漬装置を用いればよい。
水槽内に配置されるノズルは、鋼材の傾斜方向下端部から鉛直下向きの位置に、鋼材の広面部長辺方向の全長にわたって、500mm以下のピッチで配置されることが好ましい。これにより、鋼材の広面部長辺方向の全長にわたって気泡が噴射され、鋼材下面の冷却が促進され、鋼材下面が均一に冷却される。広面部長辺方向のノズルの設置間隔が500mm超えでは、攪拌されない箇所が生じて、広面部長辺方向の鋼材下面の冷却がばらつき、強度や靭性などの材質がばらいてしまう。
本発明の対象である厚板鋼材の場合、熱伝導律速となるため、上記の傾斜角度と噴流速度を適用する際に板厚の上限は無い。なお、板幅としては5m以下であることが好ましい。板幅が5m以上の鋼材では、鋼材下面側に流速0.3m/s以上を与えると流量が多大となりコストが増加する。
鋼材の焼入れ処理に際して、本発明の冷却方法を用いる場合には、冷却開始前の鋼材の温度を、鋼材全体の組織が十分にオーステナイト化される温度に加熱することが好ましい。これにより、その後の浸漬冷却によって十分に焼きが入り、均一な材質の鋼材が得られる。また、鋼材温度が1150℃超えでは、加熱中にオーステナイト粒が粗大化し、最終的な鋼組織も粗大化し、靭性が低くなってしまい、材質が確保できない可能性がある。したがって、鋼材温度は1150℃以下とすることが好ましい。また、冷却停止温度としては、焼入れ処理が十分に完了すればよく、例えば、100℃以下であればよい。
本発明は鋼材吊上げ時に変形するようなサイズの場合に最も効果を発揮する。ここで、鋼材自重によって板に発生する最大応力は梁の応力式から、σmax=3/4×ρg×L/h×10−6(σmax:発生最大応力(MPa)、ρ:鋼材密度(kg/m)、g:重力加速度(m/s)、L:板長(m)、h:板厚(m))となり、この値が降伏応力を超える場合に変形が生じる。したがって、例えば、焼入れ処理のための加熱温度における熱間降伏応力が40MPaの時、その温度においてσmax>40となるような鋼材サイズにおいてより効果を発揮する。
なお、本発明の冷却方法は厚板の熱処理工程で用いれば大きな効果を発揮するが、本発明はこれに限るものではなく、鍛造品などの鋼材全般の熱処理工程に適用できる。
以下、本発明の実施例について説明する。
図2に示すような、台車付き加熱炉を有する冷却設備を用いて、重量25トン、板厚(t)150mmの鋼材1を900℃まで再加熱した後、台車2によって鋼材1を加熱炉3から抽出し、Cフッククレーンで鋼材1を吊り上げた。水槽6上方に鋼材1を移動させて、水槽6内の傾斜架台(図示しない。)に鋼材1を載置した。そして、表1に示す条件で、冷却停止温度が100℃以下となるように鋼材1を冷却した。なお、水槽6には、鋼材1の体積の80倍以上の体積の水を確保した。
鋼材の評価は、800℃から400℃までの平均冷却速度の値で評価した。本実施例で用いた鋼において目標とする材質(強度・靭性)の鋼材を確保するためには、図13で示すように、板厚方向1/4t位置および板厚方向3/4t位置において、それぞれ平均冷却速度を1.10℃/s以上にする必要がある。また、板厚中心(1/2t)においては、平均冷却速度を0.90℃/s以上にする必要がある。また、冷却中の反りを抑制するためには、板厚方向上面と板厚方向下面との平均冷却速度の差(絶対値)を、板厚方向上面の平均冷却速度の10%以内にする必要がある。ここで、板厚方向1/4t位置の温度は、上面から板厚1/4t部まで穴を開けて取り付けた熱電対により、板厚方向3/4t位置の温度は、上面から板厚3/4t部まで穴を開けて取り付けた熱電対により、板厚中心(1/2t)部の温度は、上面または下面から板厚中心(1/2t)部まで穴を開けて取り付けた熱電対により、それぞれ測定した。冷却中の各温度を測定し、温度降下量と時間とから、800℃から400℃までの平均冷却速度を算出した。
各条件および平均冷却速度を表1に示す。
Figure 0006070504
発明例1では、鋼材の広面部短辺方向に水平面から15°傾斜させた状態で浸漬させ、噴射する水の流速を0.8m/sで鋼材下端部に向けて噴射して、全ての部分が100℃以下になるまで冷却して製造した。平均冷却速度は、板厚方向1/4t位置で1.15℃/s、3/4t位置で1.25℃/s、板厚中心で0.93℃/sとなった。また、板厚方向上面と板厚方向下面との平均冷却速度の差は0.10となり、板厚方向上面の平均冷却速度の10%以内(0.115℃/s以内)を満足した。したがって、冷却中の反りがなく、高強度および高靭性の材質の鋼材を得るために必要な条件を満たすことができた。
発明例2では、鋼材の広面部短辺方向に水平面から5°傾斜させた状態で浸漬させ、噴射する水の流速を0.5m/sで鋼材下端部に向けて噴射して、全ての部分が100℃以下になるまで冷却して製造した。平均冷却速度は、板厚方向1/4t位置で1.15℃/s、3/4t位置で1.20℃/s、板厚中心で0.91℃/sとなった。また、板厚方向上面と板厚方向下面との平均冷却速度の差は0.05となり、板厚方向上面の平均冷却速度の10%以内(0.115℃/s以内)を満足した。したがって、冷却中の反りがなく、高強度および高靭性の材質の鋼材を得るために必要な条件を満たすことができた。
比較例1では、鋼材の広面部短辺方向に水平面から13°傾斜させた状態で浸漬させ、ノズルから水の噴射を行わずに、全ての部分が100℃以下になるまで冷却して製造した。平均冷却速度は、板厚方向1/4t位置で1.15℃/s、3/4t位置で1.00℃/s、板厚中心で0.85℃/sとなった。これは、ノズルから水を噴射させていないため、十分な対流効果を得られず、下面が均一に冷却されなかったためと考えられる。また、板厚方向上面と板厚方向下面との平均冷却速度の差は0.15となり、板厚方向上面の平均冷却速度の10%以内(0.115℃/s以内)を満足しなかった。したがって、冷却中の反りがなく、高強度および高靭性の材質の鋼材を得るために必要な条件を満たすことができなかった。
比較例2では、鋼材の広面部短辺方向に水平面から5°傾斜させた状態で浸漬させ、噴射する水の流速を0.2m/sで鋼材下端部に向けて噴射して、全ての部分が100℃以下になるまで冷却して製造した。平均冷却速度は、板厚方向1/4t位置で1.15℃/s、3/4t位置で1.10℃/s、板厚中心で0.87℃/sとなった。板厚方向上面と板厚方向下面との平均冷却速度の差は0.05となり、冷却中の反りがない鋼材を得るために必要な板厚方向上面の平均冷却速度の10%以内(0.115℃/s以内)を満足した。しかし、高強度および高靭性の材質の鋼材を得るために必要な条件を満たすことができなかった。これは、ノズルから噴射される水の流速が小さいため、十分な対流効果を得られず、下面が均一に冷却されなかったためと考えられる。したがって、冷却中の反り発生はなかったものの、高強度および高靭性の材質の鋼材を得るために必要な条件を満たすことができなかった。
比較例3では、鋼材の広面部短辺方向に水平面から3°傾斜させた状態で浸漬させ、噴射する水の流速を0.3m/sで鋼材下端部に向けて噴射して、全ての部分が100℃以下になるまで冷却して製造した。平均冷却速度は、板厚方向1/4t位置で1.15℃/s、3/4t位置で1.12℃/s、板厚中心で0.88℃/sとなった。板厚方向上面と板厚方向下面との平均冷却速度の差は0.03となり、冷却中の反りがない鋼材を得るために必要な板厚方向上面の平均冷却速度の10%以内(0.115℃/s以内)を満足した。しかし、高強度および高靭性の材質の鋼材を得るために必要な条件を満たすことができなかった。これは、傾斜角度が小さいため、十分な対流効果を得られず、下面が均一に冷却されなかったためと考えられる。したがって、冷却中の反り発生はなかったものの、高強度および高靭性の材質の鋼材を得るために必要な条件を満たすことができなかった。
1 鋼材
2 台車
3 加熱炉
4 吊り具
5 水
6 水槽
7 蒸気泡
8 蒸気膜
9 ノズル
10 傾斜架台
11 吊り具(Cフック)
12 浸漬装置

Claims (2)

  1. 鋼材の広面部を上下面として、鋼材の広面部短辺方向の水平面からの傾斜角度を5°以上になるように傾斜架台に載置した鋼材を水中に浸漬し、
    鋼材下面側の傾斜方向に沿って、0.3m/s以上0.8m/s以下の流速で鋼材下面の下端側から上端側に向けて水を噴射することを特徴とする鋼材の冷却方法。
  2. 鋼材を浸漬冷却させる水槽を有し、前記水槽内には、
    鋼材の広面部短辺方向の水平面からの傾斜角度を5°以上に保持するために鋼材を載置する傾斜架台と、
    鋼材下端側に配置されて、鋼材下面側の傾斜方向に沿って0.3m/s以上0.8m/s以下の流速で水を噴射するノズルと
    を備えることを特徴とする鋼材の冷却設備。
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