JP6068228B2 - セパレータ、金属空気二次電池およびセパレータの製造方法 - Google Patents

セパレータ、金属空気二次電池およびセパレータの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属空気二次電池において、負極と正極との間に配置されるセパレータ、および、当該セパレータの製造方法、並びに、当該セパレータを有する金属空気二次電池に関する。
従来より、正極と負極との間にセパレータを配置した二次電池が知られている。例えば、特許文献1におけるリチウム二次電池では、セパレータがセラミック物質とバインダーとにより形成される多孔膜を含み、当該バインダーが3次元架橋構造を有するアクリル系ゴムにて構成される。特許文献1の手法では、耐ショート性や耐熱性等の安全性に優れたリチウム二次電池が実現される。また、特許文献2では、多孔質構造を有する膜の片面または両面に、無機微粒子を含む通気性を有する表面保護層を設けることにより、機械的強度に優れた多孔質膜を得る手法が開示されており、当該多孔質膜は非水電解液電池用セパレータとして利用可能である。なお、特許文献3および4では、セラミックの成形手法について記載されている。
特開2006−310302号公報 特開平11−80395号公報 特開2004−338363号公報 特開2005−66958号公報
ところで、充電の際に負極において金属が析出する二次電池において、負極の形状や充電時の電流密度等によっては、金属が粉状または粒子状に析出することがある。この場合、多孔質構造を有するセパレータを用いた場合でも、負極の析出金属がセパレータを貫通して負極と正極とが短絡するおそれがある。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、負極の析出金属がセパレータを貫通して負極と正極とが短絡することを防止することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、金属空気二次電池において、負極と正極との間に配置されるセパレータであって、セラミックにて形成される多孔質の支持体であるセパレータ本体と、前記セパレータ本体において前記負極と対向する面上にセラミックにて形成され、前記セパレータ本体の平均細孔径よりも小さい平均細孔径を有する多孔膜とを備え、前記多孔膜の前記平均細孔径が、0.01マイクロメートル以上かつ2マイクロメートル以下であり、前記多孔膜の厚さが50マイクロメートル以上かつ200マイクロメートル以下である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のセパレータであって、前記多孔膜が、複数の膜が積層された積層膜である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のセパレータであって、前記多孔膜が、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアおよびハフニアのうちの少なくとも1つを含む。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のセパレータであって、前記セパレータ本体の空孔率が、30パーセント以上かつ80パーセント以下である。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のセパレータであって、前記セパレータ本体が筒状であり、前記セパレータ本体において、前記負極と対向する面の全周に亘って前記多孔膜が形成される。
請求項6に記載の発明は、金属空気二次電池であって、正極と、充電の際に金属が析出する負極と、前記負極と前記正極との間に配置される電解質層とを備え、前記電解質層が、請求項1ないし5のいずれかに記載のセパレータを有し、前記セパレータに電解液が充填される。
請求項7に記載の発明は、金属空気二次電池において、負極と正極との間に配置されるセパレータの製造方法であって、a)セラミックにて形成される多孔質の支持体であるセパレータ本体を準備する工程と、b)前記セパレータ本体において前記負極と対向する面上に、前記セパレータ本体の平均細孔径よりも小さい平均細孔径を有する多孔膜をセラミックにて形成する工程とを備え、前記多孔膜の前記平均細孔径が、0.01マイクロメートル以上かつ2マイクロメートル以下であり、前記多孔膜の厚さが50マイクロメートル以上かつ200マイクロメートル以下である。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のセパレータの製造方法であって、前記b)工程が、b1)前記セパレータ本体の前記面上にセラミック粒子の焼結により一の膜を形成する工程と、b2)前記一の膜の表面上にセラミック粒子の焼結により他の一の膜を形成する工程とを有する。
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載のセパレータの製造方法であって、前記多孔膜が、平均粒径が0.1マイクロメートル以上かつ30マイクロメートル以下のセラミック粒子の焼結により形成される。
本発明によれば、負極の析出金属がセパレータを貫通して負極と正極とが短絡することを防止することができる。
金属空気電池の構成を示す図である。 セパレータを製造する処理の流れを示す図である。 過充電安定性の評価試験の結果を示す図である。 比較例のセパレータの断面を示す写真である。 比較例のセパレータの断面を示す写真である。 比較例のセパレータの外側面を示す写真である。 比較例のセパレータの内側面を示す写真である。 セパレータの断面を示す写真である。 セパレータの内側面を示す写真である。 サイクル耐久性の評価試験の結果を示す図である。
図1は、本発明の一の実施の形態に係る金属空気電池1の構成を示す図である。金属空気電池1の本体11は中心軸J1を中心とする略円柱状であり、図1では、中心軸J1を含む面における本体11の断面を示す。金属空気電池1は、正極2、負極3および電解質層4を備える二次電池である。
負極3(金属極とも呼ばれる。)は、中心軸J1を中心とするコイル状の部材である。本実施の形態における負極3は、断面が略円形の線状の部材を中心軸J1を中心として螺旋状に巻いた形状を有する。図1に示すように、負極3は、導電性材料にて形成されるコイル状の基材31、および、基材31の表面に形成される粉状または粒子状の析出金属層32を備える。図1に示すように、中心軸J1方向における負極3の端部には負極集電端子33が接続される。
基材31を形成する材料として、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)等の金属、または、いずれかの金属を含む合金が例示される。本実施の形態では、基材31は銅にて形成される。集電体を兼ねる基材31の導電率を高くするという観点では、基材31が銅または銅合金を含むことが好ましい。基材31の本体が銅にて形成される場合、当該本体の表面にニッケルや亜鉛等の他の金属の保護膜が形成されることが好ましい。この場合、基材31の表面は、当該保護膜の表面となる。例えば、保護膜の厚さは、1〜20μm(マイクロメートル)であり、保護膜は、めっきにて形成される。析出金属層32は、亜鉛(Zn)の電解析出により形成される。析出金属層32は、亜鉛以外の金属の電解析出にて形成されてもよい。
負極3の周囲には、円筒状のセパレータ41が設けられ、セパレータ41の周囲には、円筒状の正極2(空気極とも呼ばれる。)が設けられる。すなわち、セパレータ41の内側面は負極3に対向し、セパレータ41の外側面は正極2の内側面に対向する。負極3、セパレータ41および正極2は、中心軸J1を中心とする同心状に設けられ、中心軸J1に沿って見た場合に、負極3の外縁と正極2との間の距離は、中心軸J1を中心とする周方向の全周に亘って一定である。すなわち、金属空気電池1における負極3および正極2の間では、周方向の全周に亘って、等電位面の間隔が一定であり(当該間隔の粗密がなく)、均一な電流分布が発生する。なお、周方向の全周に亘る電流分布がおよそ均一と捉えられるのであるならば、正極2の形状が、正多角形(例えば、頂点が6個以上の正多角形)の筒状であってもよい。
セパレータ41は、セラミックにて形成される多孔質の筒状支持体であるセパレータ本体411、および、セパレータ本体411において負極3と対向する内側面上に形成された多孔膜412を有する。セパレータ本体411は、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)およびハフニア(HfO)等の機械的強度および絶縁性が高いセラミックにて形成される。本実施の形態では、セパレータ本体411はセラミックの焼結体(すなわち、一体成形されたもの)であり、セラミックのみにて構成される。なお、セパレータ本体411は、これらのセラミックの混合体や積層体であってもよく、安定性の観点では、表面にジルコニアが用いられることが好ましい。円筒状のセパレータ本体411の肉厚は、例えば0.5〜4ミリメートル(mm)である。
セパレータ本体411の平均細孔径は、電池反応を阻害しない程度の保液性、イオン導電性、通気性が確保される範囲内であればよい。後述するように、セパレータ本体411の表面上に多孔膜412を形成する際の操作性を考慮すると、セパレータ本体411の平均細孔径は15μm以下であることが好ましい。なお、平均細孔径の測定は、例えばポロシメータを用いる測定や、電子顕微鏡による計測等、様々な手法が利用可能である。
また、セパレータ本体411の空孔率は、30パーセント(%)以上であることが好ましく、これにより、所望のガス透過量や液透過量、補液量等が容易に実現される。また、セパレータ本体411の空孔率は、80%以下であることが好ましく、これにより、セパレータ本体411における一定の機械的強度が確保される。ここで、空孔率とは、セパレータ本体411の中心軸J1を含む面、または、中心軸J1に垂直な面にて切断した場合の断面における空隙の面積の占有率であり、セパレータ本体411の多孔率を表す。なお、空孔率は電子顕微鏡にてセパレータ本体411の断面を観察し、空隙の面積を計測する等によって算出される。セパレータ41におけるガス透過量は、350m/(m×hr×atm)以上であることが好ましい。
多孔膜412は、セラミックにて形成され、本実施の形態では、多孔膜412は、セパレータ本体411と同様にセラミックの焼結体である。具体的には、多孔膜412(後述の積層膜の場合は、当該積層膜の各膜)は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアおよびハフニア等の機械的強度および絶縁性が高いセラミックのうちの少なくとも1つのセラミックを含むことが好ましく、より好ましくは、多孔膜412は、セラミックのみから構成される。
多孔膜412は、セパレータ本体411の平均細孔径よりも小さい平均細孔径を有する。具体的には、多孔膜412の平均細孔径は、0.01μm以上かつ2μm以下であり(より好ましくは、1μm以下)、後述する充電時に負極3に発生する粉状または粒子状の析出金属の平均的な粒径(例えば、20〜30μm)よりも小さい。また、多孔膜412の厚さは50μm以上(より好ましくは、70μm以上)かつ200μm以下である。多孔膜412の厚さが200μm以下であることにより、金属空気電池1において、所定の通気性、保液性、エネルギー密度、電極間抵抗等を容易に確保することができる。また、多孔膜412の厚さが50μm以上であることにより、後述するように負極3の析出金属が多孔膜412を貫通することが防止される。なお、多孔膜412の膜厚は、電子顕微鏡による計測や、多孔膜412の形成時に不要な一部の領域をマスキングしておき、当該領域と多孔膜412との段差を段差計にて計測することにより取得可能である。
好ましくは、多孔膜412は、複数の膜が積層された積層膜である。この場合も、各膜がセラミック粒子の焼結により形成され、多孔性を有する。安定性の観点では、表面のセラミック膜の形成にジルコニアが用いられることが好ましい。金属空気電池1では、筒状のセパレータ本体411において、負極3と対向する面の全周に亘って多孔膜412が形成される。後述する充電時において負極3に発生する析出金属により多孔膜412にダメージが生じることを防止するという観点では、多孔膜412を形成するセラミックのビッカース硬さは、好ましくは、100HV以上であり、より好ましくは500HV以上である。
多孔膜412の剥離やクラック等を抑制するという観点では、セパレータ本体411と多孔膜412との熱膨張係数の差が小さくなるように、セパレータ本体411および多孔膜412のそれぞれを形成するセラミックの種類が選択される。例えば、セパレータ本体411がアルミナにて形成される場合、熱膨張係数が、200℃において0.2%以下、400℃において0.05%以上かつ0.4%以下、600℃において0.1%以上かつ0.65%以下、800℃において0.2%以上かつ1%以下であるセラミックが、多孔膜412の形成に用いられることが好ましい。
筒状の正極2の内側(中心軸J1側)の空間には、水系の電解液40が充填される。負極3のおよそ全体は電解液40中に浸漬される。多孔質部材であるセパレータ41の細孔にも電解液40が充填される。以下の説明では、中心軸J1に沿って見た場合における負極3と正極2との間の空間を「電解質層4」という。すなわち、電解質層4は、負極3と正極2との間に配置される空間である。本実施の形態では、電解質層4はセパレータ41を含む。電解液40は、アルカリ水溶液であり、好ましくは、水酸化カリウム(苛性カリ、KOH)水溶液、または、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ、NaOH)水溶液を含む。また、電解液40は、酸化亜鉛を高濃度で含むことが好ましい。なお、電解液40は、他の水系電解液や、非水系(例えば、有機溶剤系)あるいはイオン液体系の電解液であってもよい。
正極2は、多孔質の正極導電層21を備える。筒状の正極導電層21の外側面には正極触媒が担持され、正極触媒層22が形成される。正極触媒層22の周囲には、例えば、ニッケル等の金属のメッシュシートが巻かれて集電層23が形成され、中心軸J1方向における集電層23の端部には正極集電端子24が接続される。実際には、正極触媒は正極導電層21の外側面近傍に分散しており、明確な層として形成される訳ではないため、集電層23は正極導電層21の外側面にも部分的に接する。なお、正極導電層21の外側面の一部のみに当接するインターコネクタが集電層23として設けられてもよい。
集電層23の外側面(メッシュ状の集電層23にて覆われていない正極触媒層22の外側面の部位を含む。)には、撥水性を有する材料(例えば、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン))による多孔質の層が撥液層29として形成される。
後述の充電時における酸化による劣化を防止するという観点では、正極導電層21は、導電性カーボンを含まないことが好ましく、本実施の形態では、正極導電層21は、導電性を有するペロブスカイト型酸化物(例えば、LSMF(LaSrMnFeO))にて主に形成される多孔質の薄い導電膜である。
また、正極触媒層22は、酸素還元反応を促進する触媒にて形成され、例えばマンガン(Mn)やニッケル(Ni)、コバルト(Co)等の金属酸化物が当該触媒として例示される。本実施の形態では、正極触媒層22は、正極導電層21に優先的に担持させた二酸化マンガン(MnO)により形成される。金属空気電池1では、原則として、多孔質の正極触媒層22近傍において空気と電解液40との界面が形成される。
図1に示すように、中心軸J1方向において負極3、電解質層4および正極2の両端面(図1中の上端面および下端面)には、円板状の閉塞部材51が固定される。各閉塞部材51の中央には貫通孔511が設けられる。金属空気電池1では、撥液層29および閉塞部材51により、本体11内の電解液40が貫通孔511以外から外部へと漏出することが防止される。
一方の閉塞部材51の貫通孔511には供給管61の一端が接続され、供給管61の他端は供給回収部6に接続される。また、他方の閉塞部材51の貫通孔511には回収管62の一端が接続され、回収管62の他端は供給回収部6に接続される。供給回収部6は電解液の貯溜タンクやポンプを有し、本体11内の電解液40を、制御部(図示省略)から指示される流量(単位時間当たりの体積)にて貯溜タンクに回収するとともに、貯溜タンク内の電解液を同じ流量にて本体11に供給することが可能である。すなわち、本体11と供給回収部6の貯溜タンクとの間にて電解液を循環させることが可能である。供給回収部6にはフィルタが設けられており、電解液の循環時には、電解液に含まれる不要物が当該フィルタにて取り除かれる。
本実施の形態における金属空気電池1では、本体11の中心軸J1は鉛直方向(重力方向)に平行であり、回収管62に接続される貫通孔511が、供給管61に接続される貫通孔511よりも鉛直方向下方に位置する。また、供給管61および回収管62には供給バルブおよび回収バルブ(図示省略)が設けられる。本動作例における通常動作では、一定の流速にて電解液の循環が行われる。なお、供給バルブおよび回収バルブは、供給回収部6の一部と捉えることができる。金属空気電池1の中心軸J1は必ずしも鉛直方向に平行である必要はなく、例えば中心軸J1が水平方向に平行となるように、金属空気電池1が配置されてもよい。
図1の金属空気電池1において放電が行われる際には、負極集電端子33と正極集電端子24とが負荷(例えば、照明器具等)を介して電気的に接続される。負極3に含まれる金属は酸化されて金属イオンが生成され、電子は負極集電端子33、および、正極集電端子24を介して正極2に供給される。多孔質の正極2では、撥液層29を透過した空気中の酸素が、負極3から供給された電子により還元され、水酸化物イオンとして電解液中に溶出する。正極2では、正極触媒により酸素の還元反応が促進される。
一方、金属空気電池1において充電が行われる際には、負極集電端子33と正極集電端子24との間に電圧が付与され、正極2に対して水酸化物イオンから電子が供給されるとともに酸素が発生する。負極3では、集電層23および正極集電端子24を介して負極集電端子33に供給される電子により金属イオンが還元されて表面に金属(ここでは、亜鉛)が析出する。
このとき、コイル状の負極3では、角部がないため、電界集中が起こりにくくなる(電流密度の大きな偏りがない。)。また、負極3が、電解液40に均一に接触する。その結果、金属が樹枝状に析出するデンドライトや、ひげ状(針状)に析出するウィスカーの生成および成長が著しく抑制される。実際には、負極3の表面のほぼ全体において、粉状または粒子状の金属が均一に析出し、粉状または粒子状の析出金属層32が形成される(または、析出金属層32が厚くなる)。正極2では、正極触媒層22に含まれる正極触媒により酸素の発生が促進される。
既述のように、金属空気電池1では、供給回収部6による電解液の循環が行われており、下方の貫通孔511(以下、「下貫通孔511」とも呼ぶ。)近傍における電解液40は、下貫通孔511から回収される。また、上方の貫通孔511(以下、「上貫通孔511」とも呼ぶ。)から本体11内に供給された電解液40の一部は、コイル状の負極3の隙間(図1に示す負極3の断面において、縦方向に互いに離れた円形の部位の間)を介して電解質層4(のセパレータ41)にも拡散する。これにより、金属空気電池1において放電または充電を行いつつ、電解質層4に含まれる電解液40が、供給回収部6の貯溜タンク内の電解液に置換される。
金属空気電池1では、下貫通孔511からの所定量の電解液の回収、および、上貫通孔511からの同量の電解液の供給を順に行う動作が繰り返されてもよい。これにより、放電または充電を行いつつ、本体11内の電解液40が、供給回収部6の貯溜タンク内の電解液に置換される。また、電解液の置換を間欠的に行うことも可能である。例えば、電解液を所定時間だけ循環させた後、供給バルブおよび回収バルブを閉じて、新たな電解液の拡散が平衡状態となるまで、電解液の回収および供給が停止される。これにより、放電または充電を行いつつ、本体11内の電解液40の交換(劣化した電解液と新たな電解液との混合)が行われる。もちろん、放電または充電を停止して、本体11内の電解液40の交換が行われてもよい。
次に、セパレータ41を製造する処理の流れについて図2を参照して説明する。セパレータ41の製造では、まず、セラミックにて形成される多孔質の支持体であるセパレータ本体411が準備される(ステップS11)。既述のように、セパレータ本体411は、セラミック粒子の焼結により形成される。セパレータ本体411の成形体は、押出成形法、冷間等方圧プレス法、熱間等方圧プレス法等の任意の成形法により成形可能であり、例えば、特開2004−338363号公報(特許文献3)や、特開2005−66958号公報(特許文献4)に記載の成形手法が利用される。このとき、適当なダイスを選択することにより、成形体の中心軸に垂直な断面形状は、円、楕円、三角形、四角形、六角形、八角形等の任意形状にすることが可能である。成形体の焼成における焼結温度や焼結時間は、焼結が全体に亘って進行し、かつ、所定のガス透過量(例えば、3000m/(m×hr×atm))および平均細孔径(例えば、10μm)のセパレータ本体411が得られる条件が採用される。本実施の形態では、当該焼結温度は1000〜1500℃であり、焼結時間は10時間である。
セパレータ本体411が準備されると、セパレータ本体411において負極3と対向する(予定の)内側面上にセラミック膜が形成される(ステップS12)。詳細には、まず、セラミック粒子、溶媒、バインダを混合することにより、均一な分散状態の分散液が作製される。セラミック粒子は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアあるいはハフニア等である。セラミック粒子の平均粒径は、例えば、0.02μm以上かつ50μm以下であり、好ましくは、0.1μm以上かつ30μm以下である。より好ましくは、上記範囲内に含まれる粒径のセラミック粒子のみが用いられる。セラミック粒子の粒子形状はどのようなものであってもよい。
分散液を調整する溶媒には、水、あるいは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジエチレングリコール等のアルコール類、メチルセロソルブ等のセロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン等のケトン類、N、N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム等の塩素系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等を例示することができ、これらの溶媒は単独で、または、2種以上を混合して用いることが可能である。溶媒の添加量は、操作性や製膜性に影響を及ぼさない範囲内であれば特に限定されないが、乾燥処理の時間を短縮するという観点では、セラミック粒子100グラム(g)に対して500g以下であることが好ましい。
分散液を調整するバインダ樹脂は、水系および非水系のいずれも利用可能であり、様々な公知のバインダが用いられてよい。本実施の形態において用いられるバインダ樹脂の具体例としては、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、あるいは、これらの共重合体等が挙げられ、これらのバインダ樹脂は単独で、または、2種以上を混合して用いることができる。バインダの添加量は、操作性や製膜性に影響を及ぼさない範囲であれば特に限定されないが、脱脂に要する時間を短縮するという観点では、セラミック粒子100gに対して500g以下であることが好ましい。
分散液はセパレータ本体411の内側面に塗布され、分散液の膜が当該内側面の全体に均一に形成される。なお、金属空気電池1の設計によっては、セパレータ本体411の外側面に分散液の膜が形成されてもよい。また、板状のセパレータ本体が用いられる場合には、セパレータ本体の一の主面に分散液の膜が形成される。セパレータ本体における分散液の膜の形成では、セパレータ本体のサイズや形状に合わせた適切な製膜方法(例えば、キャスティング法、ディッピング法、スプレー法等)が適宜選択される。分散液の膜を簡便に形成するという観点では、ディッピング法が用いられることが好ましい。
分散液の膜の焼成における焼結温度や焼結時間は、焼結が全体に亘って進行し、かつ、焼成により得られるセラミック膜の平均細孔径が0.01μm以上かつ2μm以下となる条件が採用される。本実施の形態では、当該焼結温度は、1000〜1500℃であり、焼結時間は10時間である。これにより、セパレータ本体411の内側面において、セラミック粒子の焼結によりセラミック膜が形成される。なお、焼成処理の前に、必要に応じて乾燥処理(ベーキング)が行われ、分散液の膜中の溶媒等が除去されてもよい。
上記セラミック膜を下層膜として、他のセラミック膜を下層膜上にさらに形成する場合には(ステップS13)、上記ステップS12が繰り返され、下層膜の表面上に他のセラミック膜が、下層膜と同じ種類または他の種類のセラミック粒子の焼結により形成される。このとき、当該他のセラミック膜の形成に用いられるセラミック粒子の粒径は、下層膜の形成に用いられるセラミック粒子の粒径よりも小さいことが好ましく、これにより、セパレータ本体411の細孔径が比較的大きい場合でも、平均細孔径が小さいセラミック膜を容易に形成することが可能となる。ステップS12の処理は必要な回数だけ繰り返され(ステップS13)、複数のセラミック膜が積層された積層膜が多孔膜412として形成される。ステップS12の処理が1回だけ行われる場合には、多孔膜412は一のセラミック膜の単層膜となる。以上の処理により、セパレータ41が製造される。
次に、セパレータの製造に係る実施例1ないし8、並びに、当該実施例1ないし8にて作製したセパレータの評価試験(過充電安定性およびサイクル耐久性の評価試験)について述べる。以下の実施例にて製造されるセパレータは一例であり、セパレータは他の処理にて製造されてもよい。
(実施例1)
ソルミックス(登録商標)H−37(日本アルコール販売株式会社製)3部、酢酸2−(2−n−ブトキシエトキシ)エチル(関東化学株式会社製)1部、エチルセルロース(東京化成工業株式会社製)0.14部を混合および撹拌し、アルミナ粉末(昭和電工株式会社製、商品名:A−42−6)1.28部をさらに混合および攪拌して、セラミック膜用の分散液を作製した。
外径16mm、内径12mm、長さ300mmの円筒状の多孔質アルミナ支持体をセパレータ本体として準備した。セパレータ本体の平均細孔径は10μmであり、ガス透過量は3173m/(m×hr×atm)であった。セパレータ本体の下端をキャップ部材にて封止し、上端からセパレータ本体内に上端近傍に液面が位置するまで分散液を注入し、1分間保持した。そして、キャップ部材を取り外してセパレータ本体内の分散液を回収した。このようにして、セパレータ本体の内側面に分散液の膜を形成した。セパレータ本体に対して、室温下にて20時間の静置乾燥後、50℃で3時間の乾燥を行った。その後、セパレータ本体を1450℃で4時間焼成することにより、アルミナにて形成された多孔質セラミック膜を内側面上に有するセパレータ本体を得た。多孔膜であるセラミック膜の膜厚は50μmであり、平均細孔径は2.0μmであった。また、セラミック膜およびセパレータ本体にて構成されるセパレータのガス透過量は2117m/(m×hr×atm)であった。
(実施例2)
ソルミックス(登録商標)H−37(日本アルコール販売株式会社製)3部、酢酸2−(2−n−ブトキシエトキシ)エチル(関東化学株式会社製)1部、エチルセルロース(東京化成工業株式会社製)0.11部を混合および撹拌し、ジルコニア粉末(東ソー株式会社製、商品名:TZ−0)0.8部をさらに混合および攪拌して、セラミック膜用の分散液を作製した。
続いて、実施例1で作製したセパレータに対して、上記ジルコニアの分散液を用いて実施例1と同様の処理を行って、セパレータ本体の内側面のセラミック膜上に分散液の膜を形成した。実施例1と同様に乾燥処理を行った後、セパレータ本体を1000℃で4時間焼成することにより、積層膜を内側面上に有するセパレータ本体を得た。当該積層膜は、アルミナにて形成された多孔質セラミック膜と、ジルコニアにて形成された多孔質セラミック膜とが積層されたものである。多孔膜である積層膜の膜厚は68μmであり、平均細孔径は0.3μmであった。また、積層膜およびセパレータ本体にて構成されるセパレータのガス透過量は1065m/(m×hr×atm)であった。
(実施例3)
実施例2で作製したセパレータに対して、実施例2と同様の処理を再度行うことにより、積層膜を内側面上に有するセパレータ本体を得た。当該積層膜は、アルミナにて形成された多孔質セラミック膜と、一の焼成処理により形成されたジルコニアの多孔質セラミック膜と、他の一の焼成処理により形成されたジルコニアの多孔質セラミック膜とが積層されたものである。多孔膜である積層膜の膜厚は84μmであり、平均細孔径は0.1μmであった。また、積層膜およびセパレータ本体にて構成されるセパレータのガス透過量は373m/(m×hr×atm)であった。
(実施例4)
実施例1で作製したセパレータに対して、実施例1と同様の処理を再度行うことにより、積層膜を内側面上に有するセパレータ本体を得た。当該積層膜は、一の焼成処理により形成されたアルミナの多孔質セラミック膜と、他の一の焼成処理により形成されたアルミナの多孔質セラミック膜とが積層されたものである。多孔膜である積層膜の膜厚は98μmであり、平均細孔径は1.5μmであった。また、積層膜およびセパレータ本体にて構成されるセパレータのガス透過量は1534m/(m×hr×atm)であった。
(実施例5)
実施例1にて作製した分散液と同様の分散液、および、実施例1にて用いたセパレータ本体と同様のセパレータ本体(セラミック膜は形成されていない。)を準備し、セパレータ本体の上端および下端をキャップ部材にて封止した。そして、容器内に貯溜された分散液中にセパレータ本体を浸漬し、1分間保持した後、セパレータ本体を引き上げた。なお、セパレータ本体の分散液への浸漬は2秒で行い、分散液からの引き上げは6秒で行った。このようにして、セパレータ本体の外側面に分散液の膜を形成した。セパレータ本体に対して、室温下にて20時間の静置乾燥後、50℃で3時間の乾燥を行った。その後、セパレータ本体を1450℃で4時間焼成することにより、アルミナにて形成された多孔質セラミック膜を外側面上に有するセパレータ本体を得た。多孔膜であるセラミック膜の膜厚は53μmであり、平均細孔径は2.0μmであった。また、セラミック膜およびセパレータ本体にて構成されるセパレータのガス透過量は2117m/(m×hr×atm)であった。
(実施例6)
実施例2にて作製した分散液と同様のジルコニアの分散液を準備した。続いて、実施例5で作製したセパレータに対して、上記ジルコニアの分散液を用いて実施例5と同様の処理を行って、セパレータ本体の外側面のセラミック膜上に分散液の膜を形成した。実施例5と同様に乾燥処理を行った後、セパレータ本体を1000℃で4時間焼成することにより、積層膜を外側面上に有するセパレータ本体を得た。当該積層膜は、アルミナにて形成された多孔質セラミック膜と、ジルコニアにて形成された多孔質セラミック膜とが積層されたものである。多孔膜である積層膜の膜厚は65μmであり、平均細孔径は0.4μmであった。また、積層膜およびセパレータ本体にて構成されるセパレータのガス透過量は1346m/(m×hr×atm)であった。
(実施例7)
実施例6で作製したセパレータに対して、実施例6と同様の処理を再度行うことにより、積層膜を外側面上に有するセパレータ本体を得た。当該積層膜は、アルミナにて形成された多孔質セラミック膜と、一の焼成処理により形成されたジルコニアの多孔質セラミック膜と、他の一の焼成処理により形成されたジルコニアの多孔質セラミック膜とが積層されたものである。多孔膜である積層膜の膜厚は81μmであり、平均細孔径は0.1μmであった。また、積層膜およびセパレータ本体にて構成されるセパレータのガス透過量は361m/(m×hr×atm)であった。
(実施例8)
実施例5で作製したセパレータに対して、実施例5と同様の処理を再度行うことにより、積層膜を外側面上に有するセパレータ本体を得た。当該積層膜は、一の焼成処理により形成されたアルミナの多孔質セラミック膜と、他の一の焼成処理により形成されたアルミナの多孔質セラミック膜とが積層されたものである。多孔膜である積層膜の膜厚は103μmであり、平均細孔径は1.6μmであった。また、積層膜およびセパレータ本体にて構成されるセパレータのガス透過量は1621m/(m×hr×atm)であった。
(過充電安定性の評価試験)
実施例1ないし8にて作製したセパレータの過充電安定性について評価した。ここでは、セラミック膜を形成していない上記セパレータ本体を比較例のセパレータとして準備した。過充電安定性の評価試験では、図1と同様のコイル状の亜鉛電極(負極3)、および、直径24mm、長さ100mm、肉厚2mmの亜鉛パイプを準備した。また、0.65M(mol/L)の酸化亜鉛を含む7Mの水酸化カリウム水溶液を2Lだけ貯溜する容器を準備した。そして、水酸化カリウム水溶液中において、円筒状のセパレータ内にコイル状の亜鉛電極をセパレータと同心円状に配置し、亜鉛パイプの内側面がセパレータの外側面と対向するように亜鉛パイプをセパレータと同心円状に配置した。セパレータと外径(コイル径)8mmのコイル状の亜鉛電極との面間距離は2mmとなり、セパレータと亜鉛パイプとの面間距離は4mmとなる。
セパレータ本体の内側面上にセラミック膜を形成した実施例1ないし4のセパレータ、並びに、セラミック膜を形成していない比較例のセパレータについては、コイル状の亜鉛電極がカソード極(すなわち、亜鉛が析出する電極)となるように、電源(株式会社山本鍍金試験器製、型番:YPP15101C)の電源端子をコイル状の亜鉛電極および亜鉛パイプに接続した。また、セパレータ本体の外側面上にセラミック膜を形成した実施例5ないし8のセパレータについては、亜鉛パイプがカソード極となるように、上記電源の電源端子を亜鉛パイプおよびコイル状の亜鉛電極に接続した。そして、電流密度150mA/cmで1〜10時間の電解析出を行い、電解析出後のセパレータを観察した。
図3は、カソード極における析出金属(亜鉛)のセパレータ内部への侵出の有無を確認した結果を示す図である。図3では、最も左側の列に、セパレータの製造に係る実施例の番号(または比較例)を記し、列見出しに「セパレータへの侵出」と記す列に、析出金属の侵出の有無を示している。○は、カソード極における析出金属のセパレータ内部(内側面と外側面との間の部位)への侵出が確認されなかったことを示し、△は、析出金属のセパレータ内部への侵出はあるが、析出金属がセパレータを貫通していなかったことを示し、×は、析出金属がセパレータを貫通していたことを示す。図3では、列見出しに「膜形成面」と記す列に、セパレータ本体においてセラミック膜が形成される面を記し、列見出しに「1層目材料」と記す列にセパレータ本体に直接形成されるセラミック膜の材料を示している。また、当該セラミック膜上にセラミック膜が積層される場合に、列見出しに「2層目材料」と記す列に2層目のセラミック膜の材料を示し、列見出しに「3層目材料」と記す列に3層目のセラミック膜の材料を示している。図3では、セラミック膜の単層膜または複数のセラミック膜の積層膜である多孔膜の膜厚および平均細孔径、並びに、評価試験における電析時間も示している(後述の図10における対応する項目において同様)。なお、比較例における平均細孔径は、セパレータ本体の平均細孔径である。
比較例のセパレータにおいて電析時間が2時間の場合は、析出金属の比較例のセパレータ内部への侵出は確認されなかったが、電析時間が3時間の場合は、セパレータの縦断面を示す図4および図5のように、コイル状の亜鉛電極における粉状または粒子状の析出金属がセパレータの内部に侵出していることが確認された。また、電析時間が5時間の場合は、セパレータの外側面を示す図6、および、内側面を示す図7のように、析出金属がセパレータの内部を貫通し、外側面まで到達していることが確認された。
これに対し、セパレータ本体の内側面または外側面に多孔膜が形成された実施例1ないし8のセパレータでは、いずれも析出金属の内部侵入が確認されなかった。図8および図9では、10時間の電解析出後における実施例3のセパレータの横断面および内側面を示しており、図8および図9から、亜鉛電極における析出金属のセパレータ内部への侵出がないことが判る。
(サイクル耐久性の評価試験)
次に、実施例1ないし8にて作製したセパレータのサイクル耐久性について評価した。ここでは、上記過充電安定性の評価試験と同様に、実施例1ないし8、並びに、比較例のセパレータに対してコイル状の亜鉛電極および亜鉛パイプを配置した。そして、セパレータ本体の内側面上にセラミック膜を形成した実施例1ないし4のセパレータ、並びに、セラミック膜を形成していない比較例のセパレータについては、コイル状の亜鉛電極を対象電極とし、セパレータ本体の外側面上にセラミック膜を形成した実施例5ないし8のセパレータについては、亜鉛パイプを対象電極として、電池性能評価装置(株式会社計測器センター製、型番:BLS5500)を用いて、対象電極における金属の析出および溶解を繰り返した。詳細には、電流密度150mA/cmの条件下において、70分間の析出の後、70分間の溶解を行う動作を1サイクルとして、150サイクルの析出および溶解を行った。その後、セパレータを観察した。
図10は、対象電極における析出金属(亜鉛)のセパレータ内部への侵出の有無を確認した結果を示す図である。図10では、列見出しに「セパレータへの侵出」と記す列に、析出金属の侵出の有無を示している。○は、対象電極における析出金属のセパレータ内部への侵出が確認されなかったことを示し、△は、析出金属のセパレータ内部への侵出はあるが、析出金属がセパレータを貫通していなかったことを示し、×は、析出金属がセパレータを貫通していたことを示す。
図10に示すように、比較例の3個のセパレータでは、いずれも、析出金属がセパレータの内部を貫通し、外側面まで到達していることが確認された。これに対し、セパレータ本体の内側面または外側面に多孔膜が形成されたセパレータでは、実施例1に対応するものを除き、いずれも析出金属のセパレータ内部への侵出は確認されなかった。実施例1ないし8のセパレータのうち平均細孔径が最大であり、セパレータ本体の内側面に多孔膜が形成される実施例1のセパレータでは、析出金属の内部侵入はあるが、析出金属がセパレータを貫通することはなかった。
以上のように、セパレータ本体の平均細孔径よりも小さい平均細孔径の多孔膜が、セパレータ本体の内側面または外側面に形成されるセパレータでは、過充電安定性の評価試験およびサイクル耐久性の評価試験において、電極に析出する金属がセパレータを貫通することが防止される。より詳細には、図3および図10の結果から、セパレータにおける多孔膜の平均細孔径が、2μm以下であり、多孔膜の厚さが50μm以上である場合に、電極に析出する金属がセパレータを貫通することがより確実に防止される。したがって、このようなセパレータを金属空気電池1に用いることにより、負極3の粉状または粒子状の析出金属がセパレータ41を貫通して負極3と正極2とが短絡することを防止することが実現される。
また、図1の金属空気電池1では、セパレータ41が、耐電解液性、物理的・化学的な安定性(耐熱性を含む。)および電気化学的耐酸化性を有する焼結セラミックのみにより形成される。これにより、セパレータ41が電解液中に溶出したり、電解液により腐食あるいは膨潤することが抑制され、充電時に発生する酸素による劣化も抑制される。また、電池組み立て工程および電池反応サイクルにおける機械的強度も確保される。さらに、既述の粉状または粒子状の析出金属に対する耐ショート性に加え、充電時にデンドライト等が生成・成長する場合であっても、負極3と正極2との短絡を防止することができる。その結果、金属空気電池1における長期安定性を実現することができる。
さらに、セラミックにて形成されるセパレータ41は、円筒状以外に、板状等、任意の形状に成形することが可能である。したがって、負極3および正極2をフィルム状(シート状)や板状、棒状、あるいは、筒状等、様々な形状とする場合であっても、セパレータ41を支持体として利用して、金属空気電池を容易に製造することができる。なお、図1のように、円筒型の本体11を有する金属空気電池1では、エネルギー密度を容易に向上させることが可能であり、また、複数の本体11を密に配置することも可能である(中心軸J1に垂直な断面形状が、四角形や六角形等である場合において同様。)。
上記金属空気電池1は様々な変形が可能である。負極3と正極2との間に配置されるセパレータ41において、セパレータ本体411の内側面および外側面の双方に多孔膜412が形成されてもよい。すなわち、セパレータ41では、少なくとも負極3と対向する面上に多孔膜412が形成されることが重要である。
また、金属空気電池1の設計によっては、セパレータ本体411および多孔膜412の一方または双方がセラミックに加えて、バインダー等の他の材料を含んでもよい。
金属空気電池1では、必ずしも電解液を循環させる必要はない。上記セパレータ41は、亜鉛空気電池以外の金属空気電池にて用いられてよく、さらに、充電の際に負極において金属が析出する他の二次電池にて用いられてよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
1 金属空気電池
2 正極
3 負極
4 電解質層
40 電解液
41 セパレータ
411 セパレータ本体
412 多孔膜
S11〜S13 ステップ

Claims (9)

  1. 金属空気二次電池において、負極と正極との間に配置されるセパレータであって、
    セラミックにて形成される多孔質の支持体であるセパレータ本体と、
    前記セパレータ本体において前記負極と対向する面上にセラミックにて形成され、前記セパレータ本体の平均細孔径よりも小さい平均細孔径を有する多孔膜と、
    を備え、
    前記多孔膜の前記平均細孔径が、0.01マイクロメートル以上かつ2マイクロメートル以下であり、
    前記多孔膜の厚さが50マイクロメートル以上かつ200マイクロメートル以下であることを特徴とするセパレータ。
  2. 請求項1に記載のセパレータであって、
    前記多孔膜が、複数の膜が積層された積層膜であることを特徴とするセパレータ。
  3. 請求項1または2に記載のセパレータであって、
    前記多孔膜が、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアおよびハフニアのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とするセパレータ。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のセパレータであって、
    前記セパレータ本体の空孔率が、30パーセント以上かつ80パーセント以下であることを特徴とするセパレータ。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載のセパレータであって、
    前記セパレータ本体が筒状であり、
    前記セパレータ本体において、前記負極と対向する面の全周に亘って前記多孔膜が形成されることを特徴とするセパレータ。
  6. 金属空気二次電池であって、
    正極と、
    充電の際に金属が析出する負極と、
    前記負極と前記正極との間に配置される電解質層と、
    を備え、
    前記電解質層が、
    請求項1ないし5のいずれかに記載のセパレータを有し、
    前記セパレータに電解液が充填されることを特徴とする金属空気二次電池。
  7. 金属空気二次電池において、負極と正極との間に配置されるセパレータの製造方法であって、
    a)セラミックにて形成される多孔質の支持体であるセパレータ本体を準備する工程と、
    b)前記セパレータ本体において前記負極と対向する面上に、前記セパレータ本体の平均細孔径よりも小さい平均細孔径を有する多孔膜をセラミックにて形成する工程と、
    を備え、
    前記多孔膜の前記平均細孔径が、0.01マイクロメートル以上かつ2マイクロメートル以下であり、
    前記多孔膜の厚さが50マイクロメートル以上かつ200マイクロメートル以下であることを特徴とするセパレータの製造方法。
  8. 請求項7に記載のセパレータの製造方法であって、
    前記b)工程が、
    b1)前記セパレータ本体の前記面上にセラミック粒子の焼結により一の膜を形成する工程と、
    b2)前記一の膜の表面上にセラミック粒子の焼結により他の一の膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とするセパレータの製造方法。
  9. 請求項7または8に記載のセパレータの製造方法であって、
    前記多孔膜が、平均粒径が0.1マイクロメートル以上かつ30マイクロメートル以下のセラミック粒子の焼結により形成されることを特徴とするセパレータの製造方法。
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