JP6067338B2 - ヤマバ歯車 - Google Patents

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Description

ヤマバ歯車は捩じれ方向が左右逆向きの一対のヘリカル歯を同一軸上で隣り合わせに組み合わせた歯車であり、平行軸の間に動力伝達を行ない主として各種産業機械等の歯車装置に使用される比較的大型の歯車である。ヤマバ歯車はヘリボーン歯車とかダブルヘリカル歯車とも呼ばれる。産業機械等に通常のヘリカル歯車を使用した場合、スラスト力を止めるためにストッパーを設けるので機械の広いスペースを必要とする。一方、ヤマバ歯車を使用するとスラスト力が相殺されるので、ストッパーが不要となり産業機械等は小さいスペースで済む。主に、ヤマバ歯車は鉄道車両駆動系の平行カルダン歯車装置、歯車ポンプ式のゴム、合成ゴムまたは天然ゴム等のエラストマーを混練しながら可塑化して押し出す歯車ポンプ式押出機、遊星歯車のプラネット歯車に適用される。ヤマバ歯車は左右捩じれ方向が逆向きの一対のヘリカル歯車が同一周面に隣り合わせに組み合わされ、軸方向のスラスト力が打ち消される歯車である。スラスト荷重が生じないので、原理的には静粛性が得られる理想的な歯車であるが、現実には機械加工によって左右捩じれ方向が逆向きの一対のヘリカル歯を歯切りすることは困難である。そこで、本発明のヤマバ歯車は、左右捩じれ方向が逆向きの一対のヘリカル歯を同一軸上で隣り合わせに組み合わせた一体方式の歯車に関し、鍛造によって左右捩じれ方向が逆向きの一対のヘリカル歯を形成し、どちらかといえば小型の歯車である。
従来のヤマバ歯車は一体方式或いは組み立て方式により製造されている。一体式ヤマバ歯車の使用例を図9に示す。ここでは上下の平行軸S1、S2の間にヤマバ歯車W10、W10が噛み合う。一体方式は、ギヤシェーパ加工によって歯切りをするために中央部に工具刃の逃げ溝を設ける。同図上段のヤマバ歯車W10は、左右の捩じれ方向が逆向きの一対のヘリカル歯1、2およびその間の溝4から構成される。即ち、ヤマバ歯車W10は一体の円筒粗材の軸方向左右に、捩じれ方向が左右逆向きの一対のヘリカル歯1、2を機械歯切りによって形成し、これらの間にギヤシェーパ刃の逃げ又は干渉防止の溝4を設けたものである。
一方、組み立て方式は、其々の円筒素材に捩じれ方向が逆向きのヘリカル歯をホブ加工によって別個に形成し、同一軸上で左右の捩じれ方向が逆向きの一対のヘリカル歯を結合したものである。即ち、其々の円筒素材に捩じれ方向が逆向きの一対のヘリカル歯を個々に作り、これらを焼嵌め等によって同一軸上で合体させたものである。
ヤマバ歯車に関しては、以下のような提案がなされている。ヤマバ歯車は自動車のトランスミッションに使用されることは無くその応用例は多くないが、例えば鉄道車両の原動機からの伝達経路に使用される。吊掛式の鉄道車両用駆動装置に使用される組み立式の大型ヤマバ歯車の例を以下に示す。左右に捩じれ方向の異なる一対のハスバ歯車輪を組合わせた内径部に一個の歯車ボスを微小な径差摺動可能により嵌合してヤマバ歯車とし、歯車輪と歯車ボスの側面方向となる両面に円板状の板バネを付設させ、この板バネの外径部辺を歯車輪に、内径部辺を歯車ボスにボルトによって螺着した構造である(特許文献1参照)。
同様に、ヤマバ歯車の応用例を示したもので、ハウジング内部のヤマバ歯車に対してハウジング外部から挿入したヤマバ歯車のヤマバ歯車同士の噛み合わせを容易にした例がある。詳細には、ハウジングの外側に配置されて駆動軸に取り付けられた駆動側の第1のヤマバ歯車と、上記ハウジングの内部に配置された従動側の第2のヤマバ歯車と、上記ハウジングの側壁に形成され第1のヤマバ歯車の駆動軸を保持するための組込み用穴と、上記組込み用穴に略すき間なく嵌合されて上記第1のヤマバ歯車の駆動軸を保持する軸受部材とを備え、上記ハウジング内部の第2のヤマバ歯車に対してハウジング外側から挿入した第1のヤマバ歯車を噛み合わせて歯車結合するヤマバ歯車の組立構造において、上記ハウジング内部の第2のヤマバ歯車をその回転軸方向に移動可能とし、第1のヤマバ歯車を上移動させて上記組込み用穴に差し込み、該第1のヤマバ歯車を下移動させて第2のヤマバ歯車に噛み合わせ、第1及び第2のヤマバ歯車が噛み合った状態でそれらをハウジングの内側方向に移動させて、上記ハウジング側壁の組込み用穴内に上記軸受部材を嵌合して組み立てるようにしたものである(特許文献2参照)。
また、本件出願人(以下出願人)は一体方式のヤマバ歯車に関し次のような提案をしている。即ち、ヤマバ歯車を鍛造手段により一体形成可能としたもので、ダイとパンチの夫々対向面へ向かい合わせに同径の凹部が設けられ、それら凹部の内周面に、互いに傾斜方向を逆とするヘリカル歯形形成用歯型を有するダイとパンチとから成る鍛造型内へ素材を据込んで、前記素材の周囲から各ヘリカル歯形形成用歯型内へ歯形を張り出し形成する成形方法である。他に、ダイとパンチの夫々対向面へ向かい合わせに同径の凹部を設け、両凹部の内周面へ、互いに傾斜方向を逆とするヘリカル歯形形成用歯型を形成し、少なくとも前記ダイとパンチの各ヘリカル歯形形成用歯部を夫々回動自在に支持して成る成形装置、及び鍛造型で素材を拘束し、前記上型と下型とから軸穴に相当する素材の中心へポンチを押し込むことにより、素材の周囲に各ヘリカル歯形形成用歯型内へ歯形を張り出し形成する方法である(特許文献3参照)。
実公昭61−10039号公報 特開2007−132436号公報 特開平5−277618号公報
以上の通りであって、特許文献に代表されるように、従来のヤマバ歯車には以下のような問題点がある。
組立て方式のヤマバ歯車は左右の捩じれ方向が逆向きの一対のヘリカル歯を夫々別個に形成した後、合体するので歯筋位相のズレや歯厚のばらつき等が生じて高精度のものが得られない。また、左右の捩じれ方向が逆向きの一対のヘリカル歯を合体させて一体方式のヤマバ歯車を製造する場合は、工程が増え大幅なコスト高をまねく。一方、特許文献1の組み立て方式も同様に、高精度のものを得るのは困難である。また、特許文献3の、鍛造手段によってヤマバ歯車を一体成形する方法によると、左右方向に捩じれた一対のヘリカル歯の歯筋位相が一致したヤマバ歯車を得るには金型に多くの工夫を必要とし、実用化は困難である。
そこで、本出願発明は以上のような課題に着目してなされたもので、捩じれ方向が逆向きの一対のヘリカル歯を冷間鍛造によって一体化成形することを基本とする。本出願発明は、円環状の粗材から左右捩じれ方向が逆向きの一対のヘリカル歯を冷間鍛造によって一体化成形し、金型構造に工夫を加えることによって歯筋方向で位相ずれが無く高精度で、かつ歯元強度を向上させたヤマバ歯車を提供することを目的としている。
近年では鍛造技術の進歩によって様々な形状の歯車を鍛造によって成形し、機械加工を省くことが可能となってきた。そこで、本出願発明者等は、冷間鍛造により歯形の精度のよい歯形が得られることに着目し、また、金型に工夫を凝らすことによってヘリカル歯の歯筋方向で位相ずれが無く、かつ、冷間鍛造よって形成されたファイバフロー(以下ファイバフロー)をそのまま生かすことによって歯車の強度に優れるという知見を得た。本出願発明のヤマバ歯車はかかる知見を基に具現化したもので、請求項1の発明は、円筒粗材の外周面に、左右に捩じれ方向が逆向きの一対のヘリカル歯を同一軸上に形成し、前記一対のヘリカル歯の間に境界域を設けたヤマバ歯車であって、前記境界域はリブから構成されると共に、前記リブは、前記一対のヘリカル歯の前記境界域側における端面の全周に亘って連接していることを特徴とするヤマバ歯車である。
請求項の発明は、前記請求項1の特徴に加えて、前記ヘリカル歯は、歯筋に沿ってクラウニング又はエンドレリーフの歯形にすることを特徴とするヤマバ歯車である。
なお、本願発明では、歯筋方向の歯形において膨らみの有る無しに係わらずヘリカル歯と称し、特に歯筋方向の歯形において膨らみを設ける場合は、クラウニング又はエンドレリーフを施したヘリカル歯と称する。
本願発明によれば、冷間鍛造によって捩じれ方向が左右逆向きの一対のヘリカル歯を同一軸上で一体化形成させたので左右歯筋の位相が一致した一体方式のヤマバ歯車を得ることができた。本願発明のヤマバ歯車は左右捩じれ方向が逆向きの一対のヘリカル歯の間に歯列の全周に亘ってリブが形成されるので、このリブによって強度が補強され上下ヘリカル歯の分割部において耐曲げ疲労強度が向上する。また、本願発明のヘリカル歯は、鍛造によって歯形が形成されるので歯形内部に歯形に沿ったファイバフローが密に形成され、その結果ヘリカル歯の耐面圧疲労強度が改善されるとともに、歯元における耐曲げ疲労強度が向上する。
実施例1のヤマバ歯車を冷間鍛造によって成形する円環状粗材の図である。 同上、円環状粗材を成形開始する前の金型が開いた状態を示す図である。 同上、上下の金型が閉じて成形を開始する状態を示す図である。 同上、成形、歯切りが完了した状態を示す図である。 同上、円環状粗材から冷間鍛造により歯切りが完了した実施形体を示す図である。 同上、リブを有するヤマバ歯車の断面図である。 同上、冷間鍛造の際に生じるファイバフローの状態を示す図である。 実施例2の溝を有するヤマバ歯車の断面図である。 従来例によるヤマバ歯車を示す図である。
本出願発明の実施の形態を、添付図面に例示した本出願発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
本実施例について、図1〜図6を参照しながら説明する。図1は、本実施例1のヤマバ歯車を冷間鍛造によって成形する円環状粗材の図である。図2は、円環状粗材を成形する前の金型が開いた状態を示す図である。図3は、上下の金型が閉じて成形を開始する状態を示す図である。図4は、成形、歯切りが完了した状態を示す図である。図5は、円環状粗材から冷間鍛造により歯切りが完了した実施形体を示す図である。図6は、リブを有するヤマバ歯車の断面図である。図7は、冷間鍛造の際に生じるファイバフローの状態を示す図である。
本実施例のヤマバ歯車の製造プロセスについて主な工程を説明する。先ず、ヤマバ歯車に適した円柱素材を所定の軸長に切断、例えばビレットシャーによって切断した粗材を得る。この場合、粗材の材質としてヤマバ歯車に適した鋼材、例えば、SC鋼、SCR鋼、SCM鋼、SNC鋼、SNCM鋼等を使用することができる。次に、切断した粗材を例えば1200℃に加熱して熱間鍛造を施して中心部を穴が貫通した円環状にし、次いで内外周に機械加工を施した円環状の粗材W1を得、これを図1に示す。或いは、切断した粗材を冷間鍛造により穴を打ち抜く方法によって中心部を穴が貫通した円環状の粗材W1を得る。次に、この粗材W1の外周に捩じれ方向が左右逆向きの一対のヘリカル歯を形成するために、図2に示す金型装置に粗材W1をセットする。なお、粗材の材質としては樹脂を使用した小型歯車の用途もある。
ここで、冷間鍛造による左右逆向きの一対のヘリカル歯を形成するための詳細について図2を参照しながら金型の構成について説明する。金型は上ラム側と下ベッド側に分離して構成される。上ラム側は外側の上パンチP1と内側中心部のマンドレルP2及び、上パンチP1を外から囲むダイ型Q1から構成される。下ラム側は外側のダイ型Q2とこの内周側の下パンチP3及び、この内側中心部の下パンチP4及びこの下方の突き上げ用のエジェクタP5から構成される。上ラム側のダイ型Q1の内周に歯筋が捩じれたヘリカル歯の歯型T1を設け、一方、下ベッド側のダイ型Q2の内周に歯型T1とは歯筋が左右逆向きに捩じれたヘリカル歯の歯型T2を設けた。成形完了した粗材を取り出すために上ラム側のダイQ1は回転自在の構造とする(図示省略)。下ベッド側は、ダイQ2、下パンチP3とも固定構造とする。
本実施例のヤマバ歯車は、左右逆向きの一対のヘリカル歯を形成するためには、上下のヘリカル歯が歯筋方向で位相ずれを防ぐことが重要である。そのためには、位相のズレを防止する何らかの機構を必要とするが、省略する。
次に、冷間鍛造によるヘリカル歯形成の手順を図3に基づいて説明する。上ラムが下降すると同時にダイQ2の上面に接触するまで、油圧他によってピンP2を下降させダイQ1を押し下げ加圧する。このようにして、ダイQ1とダイQ2との間に接触圧が生じて上下が閉じる。この状態で、上パンチP1を下降させることによって下パンチP3の上に載った円環状の粗材W1を加圧し、粗材W2へと塑性変形させる(図4)。この間に、ダイ型Q1の内周に設けた歯型T1によって上方のヘリカル歯1が形成される。同時に、ダイ型Q2の内周に設けた歯型T2によって下方のヘリカル歯2が逆方向に捩じれた状態に形成される。次に、外側のダイQ1とダイQ2とは閉じたまま、上ラムが後退し内側の上パンチP1が先に後退する。成形が完了すると、エジェクタP5を上昇させることによって粗材W2を取り出す。
図2に示した金型を使用して左右逆方向に捩じれた一対のヘリカル歯の歯切りが完了し、その粗材W2の詳細形状を断面図として図5に示す。外周に歯筋が左右逆方向に捩じれた一対のヘリカル歯1、2が上下に構成され、中心部に荒軸穴30が貫通する。そして、上下のヘリカル歯1、2の境界に粗リブ50がヘリカル歯の歯先面から外側径方向へ突出して形成され、このリブの形成が本実施例の特徴である。本粗材W2では、低い荷重によって加圧による肉流の流れるまま粗リブ50の他に余肉を形成させることが特徴である。即ち、荒軸穴30の外周側において、上下方向に余肉60、60を充満させ形成させる。また、上下ヘリカル歯1、2の歯底背面において、上下方向に充満させ余肉70、70を形成させる。後で、これらの余肉部は削り取る。
次に、図5に示した粗材W2に機械加工を施してヤマバ歯車W100を得、図6に示す。即ち、内径に研削処理或いは上下端部の内周面取りを施すことにより上下に貫通する軸孔3を設ける。そして、上下のヘリカル歯1、2の境界において、歯先面から径方向外側へ突出した粗リブ50の外周先端面を面一に削り落としてリブ5を設ける。上下方向外側へはみ出た余肉60、60、70、70も削り落とす。同図(a)では、ヤマバ歯車W100を断面図で示す。同図(b)では記号O―A矢視図を示し、リブとヘリカル歯との関係が解る。ヘリカル歯周列の一部を示したが、ヘリカル歯1の周列の間にリブ5が配設される。本図では、ヘリカル歯2の歯先径とリブ5の外径を面一としたが、他にリブ5の先端部はヘリカル歯1、2の歯先面から凹むことでもよく、その詳細形状を同図(a)に部分的に拡大した図Eとして示す。リブ5の先端部はヘリカル歯1、2の歯先面から内側へ窪んだ凹みDを有する。或いは、リブ5の先端部はヘリカル歯1、2の歯先面から出っ張ることでもよい。
本実施例によるヤマバ歯車は以上のように構成され、以下に作用について説明する。
本実施例では、上述したように冷間鍛造によって左右逆に捩じれた一対のヘリカル歯の間にリブを設ける。鍛造の際上方からパンチP1によって粗材W2を押し潰し、一方下方からはパンチP3によって粗材W2を押し潰す(図3、4参照)。この時、ヘリカル歯の内部に鍛造流が形成されその状態を模式的に図7に示す。同図(a)では、上下パンチによって粗材W2が上下方向から押し潰されることによって、上下方向から肉流F1、F2の流れが生じる状態を示す。金型の構造からは、上下のヘリカル歯1、2の境界に間隙を設け、このスペースの外側先端は閉鎖部を設けない。上下パンチによって粗材W2が加圧されるまま肉流F1、Fとして流れ、合流して外側へ流れてそのまま上下ヘリカル歯の間隙を埋めることによって粗リブ50が形成される。同図(b)では、同図(a)の記号B―B’矢視図として、歯形内部におけるファイバフローの形成状態を模式的に示す。本実施例では間隙の外側先端は閉じられていないので、上下パンチによって加圧されるまま肉流F1、F2となって合流し、上下のヘリカル歯の境界を埋め粗リブ50が形成する。また、本実施例では、意識的に余肉を間隙の外周側へ押し出すので、肉流が充満して先端部位まで張る。通常、鍛造においては肉流の逃げ路は設けないが、本実施例の冷間鍛造では敢えて逃げ道を設けることによって肉流を先端部位まで充満させて欠肉を防ぐことができた。仮に、リブ間隙の外側先端に閉鎖部を設けると先端に空気だまりができて肉流が充満せず、欠肉を生じる。このような要領によって粗リブ50に欠肉を発生させることなく、先端角部位まで張らせることができた。ここで、本実施例におけるファイバフローの形成についてその濃密度の状態を模式的に示した同図(b)を参照しながら説明する。歯形の中心線Cに沿って上下方向及び歯形の中心線Cの左右で歯先にかけて歯面の表層部においてファイバフローが密に均等に形成されるとともに、歯形の内部までファイバフローの間隔が密に繊維状に形成されるので、歯形全体として内部組織が均等化され、ヘリカル歯の耐面圧疲労強度が改善されるとともに、歯元における耐曲げ疲労強度が向上する。このことに加えて、本実施例では歯列の全周に亘ってリブが形成されるので、このリブによって強度が補強され上下ヘリカル歯の分割部において更に耐曲げ疲労強度が向上する。
本出願発明の実施例2について、図8を参照しながら説明する。同図(a)には、図5に示した粗材W2を加工して得られたヤマバ歯車W200を示す。同図(b)には歯筋方向の修正をしたクラウニングの歯形を示し、同図(c)では歯筋方向で二重に修正をしたダブルクラウニングを示す。同図8(a)のヤマバ歯車W200は、軸穴、両端面を旋削及び浸炭後の研削加工を施し、或いは軸穴の内周面取りを施して上下に貫通する軸孔3を設けることによって得られる。そして、上下のヘリカル歯1、2の境界において、図5に示す粗リブ50を削り落として溝4を設ける。粗リブ50の太さが大きい程、鍛造の際肉流を充満させ易い。従って、溝4の幅寸法を大きくする方が製作し易いが、試行錯誤の結果溝4の幅は3mm未満或いは2mmまで狭めることが可能であることを確認した。
本実施例によるヤマバ歯車は以上のように構成され、以下に作用について説明する。
従来のヤマバ歯車では、一対のヘリカル歯を歯切りするために工具刃の干渉を防止するために一対のヘリカル歯の境界に溝を設ける。通常の歯切り加工はホブ切り又はギヤシェーパによって行うが、特にギヤシェーパの場合刃の干渉を防ぐために工具刃のストロークの余裕代が必要となる。通常、工具刃の逃がし代となる溝の幅寸法は4mm以上が必要とされる。本実施例では、鍛造時に発生するボスを削り除くことによって溝を形成するが、溝の幅寸法は大小如何なる寸法でも可能であり、最大は3mm未満から最小は2mmまで減少させることができる。本実施例の場合、従来の機械加工による歯切りの場合の溝幅寸法の4mmに比べて小さいので、ヤマバ歯車の軸方向の全体長さを短小にし、軽量化できる効果がある。次に、歯筋方向の修正をした歯形を本実施例2のヘリカル歯1、2に適用することができる。図8(b)のクラウニングを施したヘリカル歯は、歯筋方向に沿って中央部において膨らみ量Lが5μ程度あり、歯幅両端部が逃げて薄くなる。或いは、図8(c)のダブルクラウニングは、歯筋に沿って二か所で膨らみ量L1、量L2がそれぞれ5μ程度であり、それぞれの歯幅両端部が逃げて薄くなる。また、図8(b)、(c)では、歯筋方向の歯形をエンドレリーフにして歯幅両端部を適度に逃がしたヘリカル歯にすることも考えられる。図8(c)の場合、歯幅両端部を逃がすときの歯筋方向の長さの比率は、例えば端部から中央へG1、G2、G3の長さの比率は1対3対2が考えられる。図8(b)、図8(c)の歯形を選ぶことによって、ヘリカル歯の加工精度のばらつき或いは噛み合う歯車同士の組み付け精度のばらつきが吸収されるので、噛み合う歯車同士の片当たりを防ぐことができる。その結果、振動が減少するとともにノイズ発生が抑えられる。なお、実施例1のリブを設けたヤマバ歯車でも同様に、歯筋方向の歯形をクラウニング又はエンドレリーフを施したヘリカル歯にすることは勿論可能である。
本出願発明のヤマバ歯車は冷間鍛造によって歯形が完成するので、ホブ、シェービング等の機械加工によって鍛造面が削り取られるようなことがなく、内部のファイバフローをそのまま保持して歯車の耐久性を向上させることができる。機械加工によって生じたバリを除去するための機械加工を施す必要もないため、加工コストを低減することができる。従って、本出願発明のヤマバ歯車は樹脂の混練機のような特殊用途に限らず工作機械、荷役建設機械、ロボット等各種の機械装置の用途に適用できる。
S1、S2 平行軸
W1 円環状粗材
W2 ヘリカル歯粗材
W10、W100、W200 ヤマバ歯車
P1 上パンチ、P2 ピン
P3 下パンチ、P4 エジェクタ、P5 ノックアウトピン
Q1 ダイ型、Q2 下ダイ型
T1、T2 歯型
C コッターピン
D 凹み
F ファイバフロー
F1、F2 肉流
L、L1、L2 膨らみ量
1、 2 ヘリカル歯
3 軸穴、30粗軸穴
4 溝
5 リブ、50 粗リブ
60、70 余肉部
11 歯先面、12 歯面、16 歯元

Claims (2)

  1. 円筒粗材の外周面に、捩じれ方向が左右逆向きの一対のヘリカル歯を同一軸上に形成し、前記一対のヘリカル歯の間に境界域を設けたヤマバ歯車であって、
    前記境界域はリブから構成されると共に、前記リブは、前記一対のヘリカル歯の前記境界域側における端面の全周に亘って連接していることを特徴とするヤマバ歯車。
  2. 前記ヘリカル歯は、歯筋方向に沿ってクラウニング又はエンドレリーフを施したことを特徴とする請求項1記載のヤマバ歯車。
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