JP6067079B2 - 酸化インジウムナノロッドおよびその製造方法 - Google Patents

酸化インジウムナノロッドおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ナノロッドおよびその製造方法に関するものであり、特に、酸化インジウムナノロッド(indium oxide nanorod)およびその製造方法に関するものである。
科学技術の急速な進歩に伴い、電子、材料、物理、化学、生物等の領域は、ミクロン時代からいわゆるナノ時代へと進化した。デバイスの大きさをナノレベルに小型化すると、デバイスの物理、機械および化学特性は、デバイスがブロック材料だった時と異なる特性を有する。そのため、材料の組成を変えることによって異なる材料の必要な特性を得る他に、材料の大きさや形状を制御することによって、同じ材料の融点、色、および光学的、電気的、磁気的特性等の基本特性も操作することができる。そのため、ナノ科学技術の分野では、これまで達成できなかった高性能製品や技術も実現できるようになった。
一般的に、ナノ材料には、金属、金属酸化物、半導体、セラミック、高分子材料等の多くの種類がある。また、ナノ構造は、異なる形状、大きさおよび分布範囲に基づいて、一次元、二次元および三次元ナノ構造に分けることができる。現在、ナノ構造(例えば、ナノロッド)の成長機構は、主に、気相‐液相‐固相(Vapor-Liquid-Solid, VLS)成長機構および気相‐固相(vapor-solid, VS)成長機構がある。VLS成長機構は、気相反応物を金属触媒に付着させ、共融(eutectic)温度で液体合金を形成する。反応物の材料が半導体材料の場合は、金属半導体合金中の半導体材料を過飽和させた時に、半導体が金属触媒の底部から沈澱し、沈澱した半導体材料が金属触媒を押し出すため、有向性を有するナノロッドを形成する。VLS成長機構と比較して、VS成長機構は、金属触媒がなくてもナノ構造を成長させることができる。しかしながら、反応物を吸収し、核形成部位として使用することのできる金属触媒が存在しないため、VS成長機構によって成長したナノ構造は有向性を有さず、比較的長い形成時間(約1時間またはそれ以上)を必要とする。そのため、いかにして金属触媒を設置しなくても有向性を有するナノ構造を効率的に製造するかが、解決すべき課題の1つとなっている。
したがって、本発明は、金属触媒を設置しなくても有向性を有する酸化インジウムナノロッドを効率的に製造することのできる酸化インジウムナノロッドの製造方法を提供する。
したがって、本発明は、有向性を有する酸化インジウムナノロッドを提供する。
本発明は、酸化インジウムナノロッドの製造方法を提供する。この製造方法は、第1ゾーンと第2ゾーンに分かれた高温炉を提供するステップと、第1ゾーンに少なくとも1つのインジウム金属源を配置し、第2ゾーンに基板を配置するステップと、第1ゾーンの温度を第1温度に変調し、第2ゾーンの温度を第1ゾーンよりも低い第2温度に変調するステップと、第1ゾーンの温度が第1温度に達し、且つ第2ゾーンの温度が第2温度に達した時に、アルゴンおよび酸素を高温炉に導入し、アルゴンと酸素の比率を30:1〜70:1の範囲にして、基板上に複数の酸化インジウムナノロッドを形成するステップとを含む。
本発明の1つの実施形態において、第1温度は、800℃〜1000℃の範囲内であり、第2温度は、300℃〜500℃の範囲内である。
本発明の1つの実施形態において、酸化インジウムナノロッドは、アルゴンおよび酸素を高温炉に1分間導入した後に形成され、各酸化インジウムナノロッドは、基板の表面から外側へ延伸する。
本発明の1つの実施形態において、アルゴンおよび酸素を高温炉に導入してから30分の間、各酸化インジウムナノロッドの長さと平均直径は、アルゴンおよび酸素を導入した時間に正相関する。
本発明の1つの実施形態において、各酸化インジウムナノロッドは、底部と、接続部と、上部とを含む。底部は、基板と接触し、接続部は、底部と上部の間に接続され、上部は、インジウムで構成され、接続部および底部は、それぞれ酸化インジウムで構成される。
本発明は、酸化インジウムナノロッドを提供する。酸化インジウムナノロッドは、底部と、底部の反対側にある上部と、底部と上部の間に接続された接続部とを含み、上部の平均直径は、接続部の平均直径および底部の平均直径よりも大きい。
本発明の1つの実施形態において、上部は、インジウムで構成され、接続部および底部は、それぞれ酸化インジウムで構成される。
本発明の1つの実施形態において、接続部の幅は、上部から底部に向かって徐々に減少する。
本発明の1つの実施形態において、各酸化インジウムナノロッドは、画鋲形状を有する。
以上のように、本発明の上記実施形態の製造方法は、デュアルゾーン加熱および高温炉のアルゴンと酸素の比率を調整することによりインジウムを自己核形成して、後に形成される酸化インジウムがインジウムを押し出して、有向性を有する酸化インジウムナノロッドを形成する。
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
本発明の1つの実施形態に係る酸化インジウムナノロッドの製造方法を示す概略図である。 本発明の1つの実施形態に係る酸化インジウムナノロッドの製造方法を示す概略図である。 本発明の1つの実施形態に係る酸化インジウムナノロッドの製造方法を示す概略図である。 本発明の1つの実施形態に係る酸化インジウムナノロッドの製造方法を示す概略図である。 本発明の1つの実施形態に係る酸化インジウムナノロッドを示す概略図である。 本発明の実施形態の酸化インジウムナノロッドを使用したソーラーパネルを示す概略的断面図である。
図1a〜図1dは、本発明の1つの実施形態に係る酸化インジウムナノロッドの製造方法を示す概略図である。図2は、本発明の1つの実施形態に係る酸化インジウムナノロッドを示す概略図である。図1aを参照すると、高温炉TFを提供する。高温炉TFは、複数の吸気弁Iと、少なくとも1つの排気弁Oとを含む。吸気弁Iおよび排気弁Oは、それぞれ高温炉TFのチャンバ内部に連通し、後続のプロセスにおいてキャリアガスを流入および排出する。
高温炉TFは、第1ゾーンA1と第2ゾーンA2に分かれ、第1ゾーンA1および第2ゾーンA2は、互いに連通して、キャリアガスの流れを促進する。本実施形態において、高温炉TFは、第1ゾーンA1および第2ゾーンA2にそれぞれ対応する温度制御装置を設置して、第1ゾーンA1および第2ゾーンA2の温度を独立して制御する。
第1ゾーンA1に少なくとも1つのインジウム金属源Mを配置し、第2ゾーンA2に基板SUBを配置する。インジウム金属源Mは、必要な酸化インジウムナノロッドを形成するために提供され、酸化インジウムナノロッドは、純度が99.99%のインジウム顆粒であってもよいが、本発明はこれに限定されない。基板SUBは、形成される酸化インジウムナノロッドを搬送するために提供される。例えば、基板SUBは、サファイア(sapphire)基板、シリコン基板、銅基板、炭化ケイ素(silicon carbide, SiC)基板、半導体構造を有するスタック層、またはその他の適切な基板である。また、異なる設計要求に応じて、基板SUBの上に素子または層を前もって形成してもよい。
図1bを参照すると、第1ゾーンA1の温度を第1温度T1に変調し、第2ゾーンA2の温度を第2温度T2に変調する。第1温度T1は、第2温度T2よりも高い。例えば、第1温度T1は、800℃〜1000℃の範囲内であり、第2温度は、300℃〜500℃の範囲内である。温度を変調する前に、高温炉TF内に真空を生成してもよい。次に、吸気弁Iを介してアルゴンArを導入し、高温炉TF内の気圧を大気圧まで上げた後、第1ゾーンA1の温度を第1温度T1に変調し、第2ゾーンA2の温度を第2温度T2に変調する。
図1cおよび図1dを参照すると、第1ゾーンA1の温度が第1温度T1に達し、且つ第2ゾーンA2の温度が第2温度T2に達した時、アルゴンArおよび酸素O2を高温炉TFに導入する。アルゴンArおよび酸素O2は、それぞれ異なる弁Iを介して流入し、アルゴンArと酸素O2の比率を30:1〜70:1の範囲内にして、基板SUBの上に複数の酸化インジウムナノロッドRを形成する。
化学反応は、温度とともに指数関数的に変化するため、温度が比較的高い(例えば、900℃)第1ゾーンA1にインジウム金属源Mを配置することによって、酸素とインジウムが結合する化学反応を促進して、インジウム‐酸化インジウムのナノ液滴(droplet)DPを形成する。第1ゾーンA1と第2ゾーンA2のキャリアガスは濃度が異なるため、ナノ液滴DPは、拡散(diffusion)によって温度が比較的低い第2ゾーンA2に導かれて、基板SUBの表面に吸収され、核形成(nucleation)部位を形成する。第2温度T2において、インジウムの酸化率は、還元率よりも大きい。そのため、酸化インジウムナノロッドRは、第2ゾーンA2で自己触媒(self-catalyzed)される。特に、酸化インジウムは、自己核形成されたインジウムを押し出して、有向性を有する酸化インジウムナノロッドRを形成する。そのため、本実施形態の製造方法を実行することによって、金属触媒を設置しなくても有向性を有する酸化インジウムナノロッドRを効率的に製造することができる。また、酸化インジウムナノロッドRを搬送する基板SUBは、温度が比較的低い第2ゾーンA2に配置されるため、基板SUBまたは基板SUBに前もって配置された素子が高温により損傷するのを防ぐことができる。
本実施形態において、酸化インジウムナノロッドRは、アルゴンArおよび酸素O2を高温炉TFに1分間導入した後に形成され、各酸化インジウムナノロッドRは、基板SUBの表面から外側に延伸する。特に、アルゴンArおよび酸素O2を高温炉TFに導入してから30分の間、各酸化インジウムナノロッドRの長さおよび平均直径は、アルゴンArおよび酸素O2を導入する時間に正相関する。つまり、各酸化インジウムナノロッドRの長さおよび平均直径は、製造プロセスの時間とともに増加する。
図1dおよび図2を参照すると、各酸化インジウムナノロッドRは、底部BPと、接続部CPと、上部TPとを含む。底部BPは、基板SUBに接触する。接続部CPは、底部BPと上部TPの間に接続される。上部TPの平均直径は、接続部CPの平均直径および底部BPの平均直径よりも大きいため、画鋲形状構造を形成する。また、接続部CPの幅Wは、上部TPから底部BPに向かって徐々に減少する。図2に示すように、接続部CPと底部BPの接合部の幅は、接続部CPと上部TPの接合部の幅よりも小さい。トンネル電子顕微鏡で得られた分析結果に基づくと、例えば、上部TPは、インジウムで構成され、接続部CPおよび底部BPは、それぞれ酸化インジウムで構成される。
以下、図3を参照しながら、酸化インジウムナノロッドRの応用について説明する。図3は、本発明の実施形態の酸化インジウムナノロッドを使用したソーラーパネルを示す概略的断面図である。図3を参照すると、ソーラーパネルSCは、第1半導体層SC1と、第2半導体層SC2と、上部電極E1と、裏面電極E2と、複数の酸化インジウムナノロッドRとを含む。
第2半導体層SC2は、第1半導体層SC1の上に配置される。第1半導体層SC1および第2半導体層SC2のうちの1つは、N型半導体層であり、別の1つは、P型半導体層である。例えば、第1半導体層SC1は、P型半導体層であり、第2半導体層SC2は、N型半導体層であるが、本発明はこれに限定されない。
上部電極E1は、第2半導体層SC2の上に配置され、チタン層、アルミニウム層またはそのスタック層等の好適な導電性を有する金属層であってもよい。さらに、上部電極E1が外側からの環境光を遮断しないよう、上部電極E1は、特定の電極パターンで形成されてもよい。例えば、上部電極E1は、複数の母線(busbar)電極と、母線電極から延伸する複数のフィンガー(finger)電極とを含むことができる。裏面電極E2は、第1半導体層SC1の下に配置され、裏面電界(back surface field, BSF)を提供する。裏面電極E2は、アルミニウム層等の好適な導電性を有する金属層であってもよい。酸化インジウムナノロッドRは、第2半導体層SC2の上に配置され、上部電極E1の外側の領域に設置される。酸化インジウムナノロッドRは、上述した製造方法により製造することができ、この構成において、酸化インジウムナノロッドRが形成されていないソーラーパネルSC’は、上述した酸化インジウムナノロッドRを搬送するための基板SUBである。
酸化インジウムナノロッドRを配置する前に、ソーラーパネルSC’に出射された大部分の光は、空気と第2半導体層SC2の屈折率が一致しないため、第2半導体層SC2と空気の界面により反射して空気に戻され、ソーラーパネルSC’に効率的に吸収されなず、その結果、発電効率が下がることがある。
酸化インジウムナノロッドRを配置することによって、空気中の媒介物の密度比を変えて、段階的な屈折率の効果を提供することができる。それにより、屈折率が一致しないために吸収されない光の割合を減らすことができる。特に、酸化インジウムナノロッドRはナノレベルであるため、全帯域の光反射効果を提供して、大きな入射角でも低い反射率を維持することができる。実際の試験によると、350nm〜950nmの範囲の波長に対し、酸化インジウムナノロッドRを有するソーラーパネルSCは、平均反射率を35.73%〜10%またはそれ以下まで減少させる。つまり、酸化インジウムナノロッドRの設置により、広範囲(broadband)と全方向(omni-direction)の両方の効果を達成することができるため、ソーラーパネルSCは、各角度から各帯域で入射光を完全に吸収することができる。
以上、酸化インジウムナノロッドRの応用例について説明したが、注意すべきこととして、酸化インジウムナノロッドRの応用はこれらに限定されない。例えば、酸化インジウムナノロッドRを他の半導体装置に使用してもよい。あるいは、酸化インジウムナノロッドRを検出装置(例えば、音響検出装置)に使用して検出表面面積を改善してもよく、それより、検出装置の検出性能を上げることができる。あるいは、酸化インジウムナノロッドRの特有の光励起帯域を使用して、ナノレーザー素子や電界放出表示素子を製造してもよい。
以上のように、本発明の実施形態の製造方法は、デュアルゾーン加熱によりインジウムを自己核形成して、高温炉のアルゴンと酸素の比率を調整するとともに、後に形成される酸化インジウムがインジウムを押し出して、有向性を有する酸化インジウムナノロッドを形成する。
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
A1 第1ゾーン
A2 第2ゾーン
Ar アルゴン
BP 底部
CP 接続部
DP ナノ液滴
E1 上部電極
E2 裏面電極
I 吸気弁
M インジウム金属源
O 排気弁
2 酸素
R 酸化インジウムナノロッド
SC、SC’ ソーラーパネル
SC1 第1半導体層
SC2 第2半導体層
SUB 基板
T1 第1温度
T2 第2温度
TF 高温炉
TP 上部
W 幅

Claims (7)

  1. 第1ゾーンと第2ゾーンに分かれた高温炉を提供するステップと、
    前記第1ゾーンに少なくとも1つのインジウム金属源を配置し、前記第2ゾーンに基板を配置するステップと、
    前記第1ゾーンの温度を第1温度に変調し、前記第2ゾーンの温度を前記第1ゾーンよりも低い第2温度に変調するステップと、
    前記第1ゾーンの前記温度が前記第1温度に達し、且つ前記第2ゾーンの前記温度が前記第2温度に達した時に、アルゴンおよび酸素を前記高温炉に導入し、前記アルゴンと前記酸素の比率を30:1〜70:1の範囲にして、前記基板上に前記酸化インジウムナノロッドを形成するステップと、
    を含み、
    前記第1温度が、800℃〜1000℃の範囲内であり、前記第2温度が、300℃〜500℃の範囲内である酸化インジウムナノロッドの製造方法。
  2. 前記酸化インジウムナノロッドが、前記アルゴンおよび前記酸素を前記高温炉に1分間導入した後に形成され、各前記酸化インジウムナノロッドが、前記基板の表面から外側へ延伸する請求項1に記載の酸化インジウムナノロッドの製造方法。
  3. 前記アルゴンおよび前記酸素を前記高温炉に導入してから30分の間、各前記酸化インジウムナノロッドの長さと平均直径が、前記アルゴンおよび前記酸素を導入した時間に正相関する請求項1または2に記載の酸化インジウムナノロッドの製造方法。
  4. 各前記酸化インジウムナノロッドが、底部と、接続部と、上部とを含み、前記底部が、前記基板と接触し、前記接続部が、前記底部と前記上部の間に接続され、前記上部が、インジウムで構成され、前記接続部および前記底部が、それぞれ酸化インジウムで構成された請求項1からのいずれか1項に記載の酸化インジウムナノロッドの製造方法。
  5. 記上部の平均直径が、前記接続部の平均直径および前記底部の平均直径よりも大きい請求項4に記載の酸化インジウムナノロッドの製造方法
  6. 前記接続部の幅が、前記上部から前記底部に向かって徐々に減少する請求項またはに記載の酸化インジウムナノロッドの製造方法
  7. 各前記酸化インジウムナノロッドは、画鋲形状を有する請求項からのいずれか1項に記載の酸化インジウムナノロッドの製造方法
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