〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る電子機器の構成例を示している。図1に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
図1に示す電子機器2は、本開示の電子機器の一例であり、たとえば表示機器4と、この表示機器4を支持して立設させるヒンジ装置6を含んでいる。この電子機器2は、ヒンジ装置6に対して設置される表示機器4として、たとえば異なる表示機器4a、4b、4cの取替えを可能にする。ヒンジ装置6は、表示機器4に対して任意の角度に傾斜させて支持するチルト機能を備えたスタンドの一例であり、設置される表示機器4a、4b、4cに応じたチルト操作力の調整機能を備えている。
表示機器4は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)表示器等で構成された表示部を備えている。この表示機器4は、たとえば図示しないPC(Personal Computer)などの情報処理装置から入力された画像信号を表示するディスプレイ装置や表示部を備えた携帯端末装置、またはテレビジョン受像器などで構成される。そのほか表示機器4は、たとえば携帯型のゲーム機やタブレット型のPCなどであってもよい。この表示機器4は、たとえば表示部のサイズや外形または機器の種類などが異なる表示機器4a、4b、4cが含まれる。
<ヒンジ装置6の構成例について>
ヒンジ装置6は、本開示のヒンジ装置の一例であり、表示機器4などを底面側から支持するスタンド台座8や表示機器4に設置されるチルトヒンジ10、スタンド台座8に形成されたチルトヒンジ設置部12を備える。スタンド台座8は、スタンド本体部の一例であり、表示機器4に設置されたチルトヒンジ10の一端側を固定支持することで、チルトヒンジ10を介して表示機器4を立設させる。このヒンジ装置6は、異なる表示機器4a、4b、4cに切替え可能であるので、スタンド台座8の前後左右方向の幅は、たとえば表示機器4a、4b、4cのうち、想定される外形の大きさや重さなどが最も大きなものに基づいて設定されればよい。
チルトヒンジ10は、表示機器4を任意の角度に傾斜させて支持する手段の一例であり、たとえば表示機器4を支持する部分を回動させることで、前後にチルト動作させる回動機構を含んでいる。これによりチルトヒンジ10は、たとえば回動により表示機器4の設置側を前後方向に傾倒させることで、表示機器4を傾斜させる。チルトヒンジ10の回動機構には、たとえば回動方向に一定の外力が加えられることで回動するようにトルクが設定されている。
チルトヒンジ設置部12は、スタンド台座8に形成され、チルトヒンジ10の着脱により表示機器4の荷重に応じて表示機器4に対するチルト操作力が調整される調整機構の一例である。チルトヒンジ設置部12は、たとえば設置される表示機器4a、4b、4cに応じて設定され、または選択された1または複数のチルトヒンジ10に対して、スタンド台座8に対する設置位置を設定する。すなわちこのチルトヒンジ設置部12は、同一のトルク値が設定されたチルトヒンジ10、または異なるトルク値が設定されたチルトヒンジ10を組み合わせてユニット化して機能させる。チルトヒンジ設置部12は、たとえば表示機器4の外部形状に沿ってチルトヒンジ10を配置させる。
スタンド台座8には、チルトヒンジ10が1または複数個設置され、これらのチルトヒンジ10が設置される表示機器4に対して連動して機能する。これによりヒンジ装置6のチルト操作力は、設置された各チルトヒンジ10のトルクの合力となる。このヒンジ装置6は、特定のトルクをもったチルトヒンジ10を組み合わせ可能にブロック化し、その組み合わせ個数を増減させる構造である。従って、ヒンジ装置6は、たとえば異なる表示機器4a、4b、4cに切替える場合、チルトヒンジ10の設置数を増減することで、チルト操作力が調整される。また、ヒンジ装置6は、たとえばユーザの任意でチルト操作力を調整させる場合も、チルトヒンジ10の設置数を増減させればよい。
ヒンジ装置6のチルト操作力は、たとえば利用する表示機器4a、4b、4cの荷重に基づいて設定される。そしてスタンド台座8に設置されるチルトヒンジ10は、たとえば設置される表示機器4a、4b、4cに対してそれぞれ設置数や設置位置が設定されている。チルトヒンジ10の設置位置および設置個数は、たとえば表示機器4の荷重の値に対応したデータテーブルが設定されてもよい。
<組立て処理について>
図2は、組立て処理の一例を示すフローチャートである。図2に示す処理内容および処理手順は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
図2に示す処理は、電子機器またはヒンジ装置の製造方法の一例である。この組立て処理は、たとえば設置する表示機器4を特定し(S1)、特定された表示機器4の種別情報を利用してチルト操作力が設定される(S2)。この種別情報には、表示機器4の荷重情報として質量情報のほか、たとえば外形または表示部のサイズ情報、型番情報などが含まれる。この種別情報は、チルト操作力の設定処理に利用される情報の一例である。そして、設定されたチルト操作力に応じてチルトヒンジ設置部12に対するチルトヒンジ10の設置数や設置位置が決定される。
ヒンジ装置6には、たとえば予め種別情報に基づいて設定されたチルト操作力情報およびチルトヒンジ10の設置数や設置位置が設定されている。これにより、特定された表示機器4の種別情報に対して予め設定された種別情報を参照することで、チルト操作力情報およびチルトヒンジ10の設置数や設置位置が決定される。
チルト操作力の設定によりチルトヒンジ10の設置数が決定すると、スタンド台座8のチルトヒンジ設置部12に対してチルトヒンジ10を設置し(S3)、このチルトヒンジ10に対して表示機器4を設置する(S4)。
なお、チルトヒンジ10は、たとえば表示機器4に接続した後に、チルトヒンジ設置部12に設置させてもよい。また電子機器2の組立て処理では、予め設置された表示機器4を交換する場合、たとえば新たに設置する表示機器4の特定前に、表示機器4やチルトヒンジ10の取り外し処理を行えばよい。そして、チルトヒンジ設置部12には、チルトヒンジ10を増減させて設置すればよい。
斯かる構成によれば、支持する表示機器4a、4b、4cの荷重に応じてスタンド台座8に設置するチルトヒンジ10の増減を可能にすることで、共通のスタンド台座8に対して異なる表示機器の併用が可能になる。また、設置される表示機器4a、4b、4cの荷重を基準にスタンド台座8に設置したチルトヒンジ10の設置数を増減させることで、ヒンジ装置6の支持力を調整でき、表示機器4a、4b、4cに対するチルト操作力の調整機能が向上する。この電子機器またはヒンジ装置では、たとえば特定された表示機器毎に質量情報や重心位置情報、および支持するチルトヒンジまでの距離情報などによるチルト機構の設計が不要になり、製造処理の簡易化が図れる。
〔第2の実施の形態〕
図3および図4は、第2の実施の形態に係る表示装置の外観構成例を示している。図3、図4に示す構成は一例である。
図3に示す表示装置20は、本開示の電子機器の一例であり、その構成は、たとえばスタンド24および表示機器の一例であるディスプレイ22が含まれる。表示装置20は、たとえばディスプレイ22として、たとえば大きさの異なるディスプレイ22a、22b、22cに対して1つのスタンド24が共用される。このスタンド24は、本開示のヒンジ装置の一例であり、チルトヒンジ10を介してディスプレイ22を支持して立設させるとともに、ディスプレイ22の表示方向を傾斜させる。
スタンド24には、ユーザ操作によって着脱可能なチルトヒンジ10が単数または複数個設置され、支持されたディスプレイ22に対して一定のチルト操作力を発生させている。このチルト操作力は、設置されるディスプレイ22a、22b、22cに応じてチルトヒンジ10を組み合わせて設定される。ディスプレイ22a、22b、22cは、予め外形情報や荷重情報として質量情報などが設定されているものに限られず、たとえばチルトヒンジ10に設置可能で質量情報が把握できるものであれば、外形情報などの詳細な機器情報が設定されていない製品などであってもよい。
スタンド24は、たとえばディスプレイ22の中心または重心を通過する中心軸Pに対して左右対称の位置に配置されればよい。そして、チルトヒンジ10は、スタンド24に対し、中心軸Pに近い位置で左右対称に設置される。各チルトヒンジ10は、たとえば同一のトルクが設定されればよく、またはそれぞれ異なるトルクが設定されてもよい。スタンド24は、異なるトルクのチルトヒンジ10に対して、中心軸Pに対して左右対称に配置してもよく、または力の釣り合いから設置位置を調整してもよい。
チルトヒンジ10は、たとえば一端側がスタンド24に固定され、他端側がディスプレイ22の下端側の一部に設置されることで、ディスプレイ22を支持している。このチルトヒンジ10には、図4に示すようにディスプレイ10を一定の角度で立設させるとともに、ユーザによるチルト操作に対して一定の抵抗力を与えるトルクが設定され、これによりチルト操作力Fが決まる。スタンド24に設置されたディスプレイ22は、チルトヒンジ10を中心にチルト操作を可能にしている。ディスプレイ22は、たとえばスタンド24側にチルトヒンジ10の可動範囲制限手段を形成してチルト角度の範囲が設定されればよい。
<スタンドの構成例について>
図5はスタンドの構成例を示している。
図5に示すスタンド24は、たとえば表示装置20を机上などに設置させるスタンド台座30や、このスタンド台座30上にチルトヒンジ10を設置させるチルトヒンジ設置部32を備える。スタンド台座30は、たとえば樹脂部材または金属部材で形成され、設置されるディスプレイ22の高さおよび重さによって表示装置20を転倒させないように一定の設置面積または重さが設定されればよい。
チルトヒンジ設置部32は、本開示のチルト操作力が調整される調整機構の一例であり、たとえばスタンド台座30と一体に形成されればよい。チルトヒンジ設置部32の底面側には、たとえばチルトヒンジ10の一部を貫通させてスタンド台座30と連結させる連結孔34が形成されている。この連結孔34は、チルトヒンジ10に対するガイド手段の一例であり、設定されたチルトヒンジ10の設置位置に合わせて開口されている。連結孔34は、たとえばチルトヒンジ10の横幅に合わせて2つずつで構成されている。チルトヒンジ10は、連結孔34の位置に合わせて設置される。そしてチルトヒンジ10は、たとえばスタンド台座30の底面側から連結孔34を貫通させた固定手段37によってチルトヒンジ設置部32内に固定される。
チルトヒンジ設置部32は、たとえばディスプレイ22の表示方向に対して両側面側および背面側に立壁部36が形成される。立壁部36は、チルトヒンジ10の設置位置をガイドする手段の一例である。立壁部36の側面部分は、たとえばディスプレイ22の一部を係止してチルト動作を制限する手段が構成される。また、チルトヒンジ設置部32は、たとえばディスプレイ22の前面側が開口しており、この開口部分からチルトヒンジ設置部32に対するチルトヒンジ10が挿入されればよい。また、開口部分は、たとえば前後方向に傾斜するディスプレイ22との接触を防止している。
チルトヒンジ設置部32に設置されたチルトヒンジ10は、ディスプレイ22の外形に沿って直列に固定設置される。そして、これらのチルトヒンジ10は、ディスプレイ22と連動してチルト動作が行われ、ディスプレイ22のチルト操作に対して、各チルトヒンジ10に設定されたトルクの合力が発揮される。
ディスプレイ22は、たとえば表示部の周囲に形成された筐体部において、スタンド24との接合部分に係止部品40が設置され、または形成されている。この係止部品40は、たとえば樹脂部材または金属で構成され、筐体部と一体に形成してもよく、または別部品が図示しない締結部品や接着材により固定されてもよい。ディスプレイ22に対する係止部品40の設置数および設置位置は、ディスプレイ22の荷重に応じて設定されたチルトヒンジ10の設置数および設置位置に合わせて設定されればよい。
係止部品40は、たとえばチルトヒンジ10に対して嵌合され、チルトヒンジ10を貫通させた固定部品41が貫通して係止される。この固定部品41は、たとえば係止部品40やチルトヒンジ10に対して締結されるネジやボルトなど、または係止ピン、ラッチ部品などが利用されればよい。
係止部品40は、たとえばチルトヒンジ10を貫通した固定部品41を係止させる係止孔42やチルトヒンジ10に対してディスプレイ22の移動を阻止する嵌合凸部43を備えている。係止孔42は、チルトヒンジ10に形成された貫通孔78(図11)との間で挿通状態となる位置に形成される。これにより固定部品41は、チルトヒンジ10の貫通孔78とチルトヒンジ10内に嵌合された係止部品40とを連通することで、ディスプレイ22がチルトヒンジ10から外れるのを阻止する。また嵌合凸部43は、係止部品40の一部をディスプレイ22の前後方向に突出して形成され、チルトヒンジ10の嵌合凹部74(図11)内に嵌合させる。これにより、係止部品40は、ディスプレイ22がチルトヒンジ10に対して横方向に移動するのを阻止する。
<チルトガイドの構成について>
ディスプレイ22は、たとえばチルトヒンジ設置部32の立壁部36の両側面に係合させる係合片44、46を備えている。この係合片44は、たとえばチルトヒンジ設置部32の一端側に向けて球面状の凸部48が形成され、立壁部36の一部に接触される。立壁部36は、図6に示すように、チルトヒンジ設置部32の外側に係合片44を配置させる切り欠き部50が形成されている。この切り欠き部50には、たとえば係合片44の凸部48を回動可能に係合させる凹部52が形成されている。この係合片44の凸部48および切り欠き部50の凹部52は、ディスプレイ22のチルト動作を側面側からガイドするチルトガイドとして機能する。
また係合片46は、図7に示すように、凸部48が形成された係合片44の対向面側にガイド爪54を備えている。このガイド爪54は、たとえば係合片46と一体に形成されてもよく、または別部品を設置してもよい。ガイド爪54は、たとえば立壁部36の他端側に向けて突出し、ディスプレイ22のチルト方向に対して一定の長さをもった弧形状で形成されればよい。
立壁部36は、図8に示すように、ガイド爪54と接触する側面側に係合片46を配置させる切り欠き部56が形成される。切り欠き部56には、ガイド爪54を係合させるガイド凹部58が形成される。これにより、図9に示すガイド爪54は、ディスプレイ22のチルト動作に連動してガイド凹部58内を移動する。ガイド爪54は、たとえば図10に示すようにチルトヒンジ10の回動軸P2に近いガイド凹部58内の上部側に接触する高さに設置される。これによりガイド爪54は、たとえばチルト動作時にディスプレイ22の荷重などにより上下方向に変位するのを防止でき、ガイド凹部58内でのスライド移動がスムーズに行える。
そして、ガイド爪54は、ガイド凹部58の一端側に接触することで、ディスプレイ22のチルト動作を停止させる。すなわちガイド爪54およびガイド凹部58は、ディスプレイ22のチルト動作を側面側からガイドし、そのチルト量を制限するチルトガイドとして機能する。
<チルトヒンジ10の構成例について>
図11、図12、図13は、チルトヒンジの構成例を示している。図11、図12、図13に示す構成は一例である。
チルトヒンジ10の構成は、たとえば図11に示すようにスタンド24側に固定設置されるチルト台座60と、このチルト台座60に回動可能に設置されたチルトフレーム62、チルトフレーム62をチルト台座60に回動可能に軸支するシャフト64を含んでいる。チルト台座60は、たとえばチルトヒンジ10の底部に固定手段37を貫通させる固定孔66が形成される。固定孔66は、チルトヒンジ設置部32(図5)の連結孔34の位置に合わせて配置され、固定手段37によって固定される。固定孔66および連結孔34は、たとえば固定手段37を締結させるネジ孔であってもよい。
チルトフレーム62は、たとえばチルトヒンジ10の上部側の前後に、支持片70、72が形成されている。支持片70、72は、間に形成された溝部76にディスプレイ22の係止部品40を嵌合させて支持する。支持片70、72は、溝部76に直交方向に嵌合凹部74が形成され、係止部品40の嵌合凸部43を嵌合させる。また、支持片70、72は、たとえばディスプレイ22の設置方向に対して平行な平板部分に、固定部品41を貫通させる貫通孔78が形成される。この貫通孔78は、たとえば固定部品41の固定構造に応じて、内部にネジ構造を形成してもよい。
そのほか支持片70、72は、たとえばディスプレイ22の設置方向に対して直交な側面部分に連結凸部80、82または連結凹部84、86が形成される。この連結凸部80、82および連結凹部84、86は、隣接する他のチルトヒンジ10に対する連結手段の一例である。
図12に示すようにチルトヒンジ10は、支持片70、72との間の溝部76を、設置されるディスプレイ22または係止部品40の幅に合わせて形成すればよい。また、支持片70、72は、たとえば固定部品41により溝部76の幅を調整可能にしてもよい。そしてチルトヒンジ10は、シャフト64を中心とし、図12のBに示すようにチルト台座60に対してチルトフレーム62を回動することで、設置されたディスプレイ22をチルトさせる。ディスプレイ22に対するチルト操作力は、シャフト64とチルトフレーム62、チルト台座60により発生する摩擦力、又は圧力等によりトルクを発生する。
チルトヒンジ10には、たとえば図13に示すように、シャフト64に対し、トルク調整手段としてナット90が設置されている。シャフト64およびナット90は、たとえば支持片70、72および連結凸部80、82の下部に覆われる位置に配置される。これによりチルトヒンジ10は、連結させた他のチルトヒンジ10に対してシャフト64およびナット90が接触するのを防止している。
トルク調整手段は、たとえば図13のBに示すように、ナット90をシャフト64に対して締めることでチルト台座60が締付けられ、チルトフレーム62を回動させるためのトルク値が設定される。
<チルトヒンジ10同士の連結状態について>
図14に示すスタンド24には、連結凸部80、82と連結凹部84、86とを嵌合させることで連結した複数のチルトヒンジ10が設置されている。連結されたチルトヒンジ10は、各溝部76が支持するディスプレイ22の筐体に沿って直列に配置される。連結されたチルトヒンジ10は、一体化して機能することで、各チルトヒンジ10に設定されたトルク値の合力によってディスプレイ22に対するチルト操作力が設定される。
チルトヒンジ設置部32に対するチルトヒンジ10の設置処理では、たとえば図15に示すように、設置されるディスプレイ22の荷重に応じて、設定したトルク値が得られるチルトヒンジ10を一体化して固定してもよい。また、各チルトヒンジ10を独立してそれぞれチルトヒンジ設置部32に設置してもよい。
<チルトヒンジの組み合わせ例について>
スタンド24は、たとえば図16に示すように、軽量で小型のディスプレイ22aの場合、必要なチルト操作力も比例して小さくなるので、チルトヒンジ10の設置数も少なくなる。そしてチルトヒンジ10は、たとえばチルトヒンジ設置部32にチルトヒンジ10が奇数個設置可能な構成の場合、中央側で離間させて配置すればよい。または、2つのチルトヒンジ10を連結させ、中央側から左右いずれかにずらして設置させてもよい。ディスプレイ22は、たとえばチルトヒンジ10の設置位置に合わせて係止部品40を設置すればよい。
そしてスタンド24は、図17に示すように、表示部が大きいディスプレイ22cが設置される場合、その荷重に応じてチルトヒンジ10の設置数が増加される。スタンド24は、たとえばディスプレイ22aからディスプレイ22cに切替える場合、図16に示すように離間して設置されたチルトヒンジ10からディスプレイ22aを取り外す。そして、離間したチルトヒンジ10間に新たにチルトヒンジ10を設置し、ディスプレイ22cを設置すればよい。
また、スタンド24は、図18に示すように、さらに大型の表示部を備えるディスプレイ22bが設置される場合、設定されるチルト操作力に応じてチルトヒンジ10の設置数が増加される。またスタンド24は、たとえばディスプレイ22cなどの異なるディスプレイ22から新たなディスプレイ22bに切替える場合であって、予め設置されていたチルトヒンジ10のトルク値が足りない場合には、設定トルク値の高い他のチルトヒンジ10に交換される。
なお、チルトヒンジ10は、たとえばチルトヒンジ設置部32に対して離間して設置する場合、図示しない別部品の連結手段を利用して離間したチルトヒンジ10を一体化してもよい。これによりスタンド24は、設定されるチルト操作力に応じて設置された複数のチルトヒンジ10を連動して機能させることができる。
<チルトヒンジ10の設定例について>
図19は、チルトヒンジの設定トルクおよびチルトヒンジ組合わせテーブルの一例を示している。図19に示す構成は一例である。
表示装置20は、たとえばトルク値が設定されたチルトヒンジ10を組み合わせてチルト操作力が設定される。チルトヒンジ10には、たとえば図19のAに示すように予め異なる設定トルク値をもつ複数種類のユニットが用いられる。そして表示装置20は、設定するチルト操作力に応じてチルトヒンジ10の種類および設置数が決められて、設置される。チルトヒンジ10の種類および設置数の決定には、たとえば図19のBに示すチルトヒンジ組合わせテーブル(以下、「組合わせテーブル」と称する)92が利用される。
組合わせテーブル92には、たとえばサイズ情報94、装置質量情報96、必要トルク情報98、チルトユニット組合せ情報100が含まれる。サイズ情報94は、たとえばスタンド24に設置されるディスプレイ22の種別情報の一例であり、表示部の大きさ情報が示されている。また組合わせテーブル92には、たとえばサイズ情報94に対して表示部の種類を示すパネル情報が含まれてもよい。
装置質量情報96は、ディスプレイ22の荷重情報の一例である。必要トルク情報98は、選択されたディスプレイ22を立設させるのに必要な支持力およびディスプレイ22に対する一定のチルト操作力が含まれる。この必要トルク情報98は、装置質量情報96の値に基づき、たとえば予め把握しているディスプレイ22の重心位置(高さ)情報や、重心位置からチルトヒンジ10の回動支点までの距離情報などを利用して算出される。必要トルク情報98の値には一定の誤差が設定されており、たとえばチルトヒンジの組合わせを変更する場合、スタンド24に設定されるトルク値が誤差範囲内に収まるようにチルトヒンジ10を組合わせればよい。
また、必要トルク値は、たとえば対応するサイズ情報94を有するものと、有しないものが含まれる。必要トルク値の算出に利用する重心位置や回転支点までの距離情報は、たとえばスタンド24に設置される表示機器が他社製品またはディスプレイ22以外の場合、斯かる情報を想定することはできない。そこで組合わせテーブル92は、たとえば装置質量情報に対して一定の想定したサイズ情報、距離情報を利用して必要トルク情報98が設定されてもよい。この設定した必要トルク情報98は、たとえば設定された値に基づき、サイズ情報94が得られている必要トルク情報98に対して誤差情報を増減させてもよい。これにより、表示装置20は、設置されるディスプレイ22またはその他の表示機器に対し、同じ質量であってもチルト操作力の設定範囲を調整してもよい。
チルトユニット組合わせ情報100は、装置質量から算出された必要トルク値に基づいてチルトヒンジ10の種類および設置数が設定されている。チルトヒンジ10は、図19のAに示すように、各チルトヒンジ10に設定された設定トルク値と必要トルク情報98とから種類および設置数が決定される。チルトユニット組合わせ情報100は、チルトヒンジ10の選択の一例であり、たとえば必要トルク値が満たされれば、チルトヒンジ10の組合わせを異ならせてもよい。
なお、この設定される必要トルク値は、たとえば立設したディスプレイ22に対して最低限のチルト操作力が設定されてもよい。これによりユーザによる設定操作において、ディスプレイ22を立設できない値までチルト操作力が低下されるのを防止してもよい。
これにより、表示装置20には、設置されるディスプレイ22に対し、最適なチルト操作力を発揮するチルトヒンジ10が設定される。
<表示装置の他の構成例について>
図20、図21、図22は、表示装置の他の構成例を示している。図20、図21、図22に示す構成は一例である。
図20に示すスタンド24は、たとえば表示装置20を壁面101側に固定させ、ディスプレイ22を垂直方向の壁面などに沿って支持させるとともに、この垂直面を基準にして水平方向に向けて任意の角度にチルトさせる。スタンド24は、たとえば垂直面側に固定設置されるスタンド台座30に対し、一部分を水平方向に突出させた立壁部102を有するチルトヒンジ設置部32が形成される。立壁部102は、たとえば水平面またはそれに近似する角度の面にチルトヒンジ10を介してディスプレイ22を載置させる載置部106が構成される。この載置部106には、たとえばチルトヒンジ10を固定手段37によってチルトヒンジ設置部32に連結させる連結孔34が形成されている。連結孔34は、載置部106に対し、チルトヒンジ10が設置される範囲に複数形成されている。
チルトヒンジ設置部32には、たとえば載置部106の両端側が鉛直方向に立設されており、この両端部分にディスプレイ22に設置された係合片44、46と係合させてチルト動作をガイドするガイド溝104が形成される。
チルトヒンジ10は、図21に示すようにチルト台座60(図11)を載置部106上に設置させ、立壁部102の底面側から貫通した固定手段37で固定される。このスタンド24は、スタンド台座30によりディスプレイ22が壁面101側にチルトするのを阻止している。
スタンド台座30は、たとえば壁面101に対して、ネジやボルトなどによって締結され、または接着材などを介して固定させてもよい。
スタンド24に対するディスプレイ22の設置処理では、たとえば図22に示すようにディスプレイ22の荷重情報に基づき、組合わせテーブル92を参照してチルトヒンジ10の種類および設置数が設定される。そして、ディスプレイ22は、チルトヒンジ10の設置数に応じた係止部品40および係合片44、46が設置される。スタンド24には、ディスプレイ22の係止部品40に合わせてチルトヒンジ10が設置される。ディスプレイ22は、たとえばチルトヒンジ10の溝部76(図11)に対して係止部品40を配置させるとともに、係合片44、46をチルトヒンジ設置部32の両端側に配置させる。係合片44には、たとえば凸部110が形成され、この凸部110がガイド溝104内に配置される。また係合片46には、たとえば凸部114が形成され、立壁部102の側面に形成された凹部112内に嵌合される。
そして、チルトヒンジ10は、固定部品41が貫通孔78内に貫通させることで、ディスプレイ22を固定支持する。
なお、スタンド30に固定支持されるディスプレイ22は、PCやテレビ受像機などの表示機器に限られず、携帯型のPCや携帯電話機、携帯ゲーム機などが含まれる。また、組合わせテーブル92に設定された必要トルク情報98およびその値によって設定されるチルトヒンジ10の設置数は一定の基準値であり、ユーザの任意によってチルトヒンジ10の設置数や設置位置の変更が可能であることはいうまでもない。
斯かる構成によれば、支持する表示機器の条件に応じてチルトヒンジ10の増減を可能にすることで、共通のスタンド24に対して異なる表示機器の併用が可能になる。スタンド24によって支持されるディスプレイ22などの表示機器の荷重情報に基づき、組合わせテーブル92を利用してチルトヒンジ10の設置数が決まるので、表示機器の設置処理や取替え処理の容易化が図れる。そしてスタンド24は、チルトヒンジ10の組み替えによってチルト操作力の設定が可能なユニット構造にすることで、表示機器に応じた組立て処理の簡易化が図れる。また組合わせテーブル92によって表示機器の支持に必要なトルク値が示されることで、表示機器の設置処理や組み替えによってトルク値が不足するのを防止でき、スタンド24の信頼性が高められる。
〔第3の実施の形態〕
図23、図24、図25は、第3の実施の形態に係る表示装置の構成例を示している。図23、図24、図25に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
図23に示す表示装置120は、本開示の電子機器の一例であり、ディスプレイ22aの荷重に応じて付け外しが可能にユニット化されたチルトヒンジ10によってディスプレイ22aの支持およびチルト操作力が設定される。チルトヒンジ10には、たとえば1種類または多数種類のトルクがそれぞれ設定されている。そして、スタンド24は、ディスプレイ22aの荷重として、質量情報に基づいて算出される必要トルク値を満たすようにチルトヒンジ10を組み合わせ、これらのトルク値の合計により、ディスプレイ22aを支持する。
ディスプレイ22aは、たとえばスタンド24に対してヒンジアタッチメント部品122aを介して設置される。このヒンジアタッチメント部品122aは、ディスプレイ22aの一部を支持し、チルトヒンジ10に接続される支持手段の一例であり、このヒンジアタッチメント部品122aを介してディスプレイ22aがチルトヒンジ10に設置される。
ヒンジアタッチメント部品122aは、たとえば上部側にディスプレイ22の筐体部分の一部に接触させて固定支持させる支持構造を備え、下部側にチルトヒンジ10の溝部76に係止させる係止部品140aを備えている。ディスプレイ22の支持構造は、たとえばディスプレイ22の筐体を載置させる載置部124と、この載置部124の前後側両端に立壁され、ディスプレイ22の前後を支持する支持フレーム126、128が含まれる。載置部124は、たとえばスタンド24が載置される面に対して平行に形成される。
ヒンジアタッチメント部品122aは、たとえばディスプレイ22aに沿った長辺方向の両端に、チルトヒンジ設置部32の切り欠き部50、56内に設置される係止片130、132が形成される。この係止片130、132には、たとえばそれぞれ対向方向にガイド爪134、136が形成され、切り欠き部50、56内のガイド凹部58に係合される。
ヒンジアタッチメント部品122aは、たとえば支持可能なトルク範囲が設定されており、この支持可能なトルク範囲内のディスプレイ22aが設置される場合に利用される。図24に示すように、ディスプレイ22bは、たとえばディスプレイ22aよりも大型で荷重が大きい場合、チルトヒンジ10の設置数が多くなる。そこで、表示装置120は、ディスプレイ22bが設置される場合、チルトヒンジ10との接続部分を増やしたヒンジアタッチメント部品122bが利用される。
ヒンジアタッチメント部品122の支持構造は、たとえば図25のAに示すように、ディスプレイ22の横幅に合わせて支持フレーム126、128の間隔が設定される。この支持フレーム126、128は、たとえば載置部124に対して配置間隔が調整可能な構成であってよい。載置部124には、たとえばディスプレイ22を固定するための接着材142が塗布されてもよい。
また、図25に示すようにヒンジアタットメント部品122は、たとえば支持フレーム126、128を載置部124に対して交差方向に傾斜させて設置され、その先端部分を狭小状態に構成してもよい。これにより、ディスプレイ22は、支持フレーム126、128によって挟持させて支持される。
なお、表示装置120では、ディスプレイ22のサイズに応じてヒンジアタッチメント部品122を複数種類用いる場合を示したがこれに限られない。表示装置120は、例えばチルトヒンジ10の設置数に関わらず、最も係止部品140bが多いヒンジアタッチメント部品122bを併用してもよい。表示装置120では、たとえばディスプレイ22の荷重に基づいてチルトヒンジ10の設置数が調整され、ヒンジアタッチメント部品122bを介してディスプレイ22が設置される。この場合、ヒンジアタッチメント部品122bには、係止部品140bの一部のみにチルトヒンジ10が係止される。
斯かる構成によれば、設置されるディスプレイ22などの表示機器の荷重に応じて、チルトヒンジ10の設置数の増減によるユニット化により、同一のスタンド24に対し、表示機器の取替えが可能となる。また、同一のスタンド24に対し、必要な支持力およびチルト操作力の設定を容易に行うことができる。そのほか、ディスプレイ以外の表示機器または他の製品などの形状やサイズが異なる表示機器に対し、ヒンジアタッチメント部品122を介して支持させることで、チルトヒンジ10による支持状態を一定にでき、支持機能の安定化を図ることができる。
〔第4の実施の形態〕
図26、図27は、第4の実施の形態に係る表示装置の構成例を示している。図26、図27に示す構成は一例である。
図26に示す表示装置150は、たとえばディスプレイ152の背面側に固定された支持部品154を介してディスプレイ152をスタンド24に立設させる。支持部品154は、たとえばネジや係止ピンなどの固定部品156とディスプレイ152の固定孔158によって固定されてディスプレイ152を支持する支持手段の一例である。ディスプレイ152に形成された固定孔158は、たとえばVESA(Video Electronics Standard Association)によって規定されたFPMPMI(Flat Panel Monitor Physical Mounting Interface)規格に準じて形成されている。これにより固定孔158は、たとえばディスプレイ152のサイズに基づいて孔の形成位置や数、および孔同士の間隔などが設定される。
支持部品154は、ディスプレイ152の設置部分から離間した端部側をスタンド24のチルトヒンジ設置部32に対して配置され、チルトヒンジ10を介して設置されている。支持部品154は、たとえば一定の剛性を持った板金で構成されている。ディスプレイ152は、図27に示すように、支持部品154を介して背面側にチルトヒンジ10による支持力およびチルト操作に対するトルクが作用する。そして、支持部品154は、ディスプレイ152に対してユーザによるチルト操作が行われると、そのチルト操作力をチルトヒンジ10側に伝達させる。そして一定のチルト操作力に対し、チルトヒンジ10がチルト動作することで傾斜し、ディスプレイ152をチルトさせる。
このスタンド24は、VESAのFPMPMI規格の固定孔158が形成されたディスプレイ152の荷重に応じて、チルトヒンジ10の設置数や設置位置の組合わせが設定される。チルトヒンジ10の設置数および設置位置は、既述の組合わせテーブル92を利用すればよい。また、表示装置150は、ディスプレイ152の重心位置に近い本体部分に形成された固定孔158を介してチルトヒンジ10のトルクが作用する。チルト操作力の設定では、たとえば新たなチルトヒンジ組合わせテーブルを用いてもよい。
支持部品154は、たとえば図28に示すように、支持するディスプレイ152の背面側に平行に配置される胴体部160と、胴体部160の一面に形成された支持ガイド162、ディスプレイ152の底面側に配置される底面部164を備える。また支持部品154には、たとえば底面部164上に設置された載置部品166、底面部164の一端側に形成されチルトヒンジ10に固定される固定片部168、また支持部品154の先端部に形成され、チルトヒンジ10の溝部76に嵌合される嵌合部172を備える。固定片部168には、たとえばチルトヒンジ10を貫通した固定部品41を貫通させて支持される支持孔170を備える。支持部品154は、たとえば載置部品166を除き、一体で構成されればよく、板金部材を屈曲させて形成される。
支持部品154は、たとえばディスプレイ152との間に所定の間隔を形成させる支持ガイド162が形成されている。支持ガイド162は、固定部品156による固定位置に合わせて形成されており、内部に固定部品156を貫通させる貫通孔が形成される。支持ガイド162の貫通孔は、固定部品156を締結させるネジ構造を形成してもよい。
固定片部168は、たとえばチルトヒンジ設置部32内に対し、ディスプレイ152や他の表示機器の荷重によって設定される1または複数のチルトヒンジ10に設置可能な幅で形成されている。そして支持孔170は、チルトヒンジ設置部32内に設置可能なチルトヒンジ10の最大数分が形成されればよい。
支持部品154は、図29に示すようにチルトヒンジ10に対し、支持片70、72の間に形成される溝部76内に嵌合部172が配置され、支持片70側に固定片部168を接触させる。この嵌合部172は、溝部76の幅に応じた長さに形成することで、支持片70に対し固定片部168を接触位置に配置させる。固定片部168は、固定部品41によってチルトヒンジ10の支持片70に固定される。
なお、チルトヒンジ10に対する固定片部168の設置位置は、支持片70に限られず、支持片72側に接触させる構成であってもよい。この場合、固定片部168に対し、嵌合部172を逆方向に形成すればよい。
底面部164は、たとえば載置部品166を介してディスプレイ152を支持する。載置部品166は、ディスプレイ152の筐体底面の一部に接触して支持する手段であり、柔軟性をもつ、またはゴム等の弾性変形可能な樹脂部材で構成される。この載置部品166によってディスプレイ152の底面部分が支持されることで、チルト操作において、ディスプレイ152と胴体部160との傾斜角度を一定にでき、固定部品156や固定孔158に対して過度な負荷が掛かるのを防止できる。
なお、支持ガイド162は、たとえば設置されるディスプレイ152の筐体形状に応じて、長さを調整可能にしてもよい。たとえばディスプレイ152の背面側筐体が突出している場合または薄型の場合に応じて支持ガイド162の交換や長さ調整を行い、ディスプレイ152の底面側が載置部品166の適正位置に載置させるように調整してもよい。
<表示装置の他の構成例について>
図30、図31、図32は、表示装置の他の構成例を示している。図30、図31、図32に示す構成は一例である。
図30に示す表示装置150は、ディスプレイ152に形成されたVESA規格の固定孔158を利用した支持部品154を利用し、ディスプレイ152を壁面101(図32)に立て掛ける状態で支持させる構成例を示している。スタンド174は、たとえば背面側を図示しない壁面に対して接触させるように設定されている。そして支持部品154は、ディスプレイ152の背面部分に平行に設置される胴体部160の平面部分をスタンド174のディスプレイ設置面側に立設させる。そして、ディスプレイ152は、背面側を支持部品154に接触させ、固定孔158に対して固定部品156を挿通させて支持される。
スタンド174は、図31に示すようにチルトヒンジ設置部32に立設された立壁部36の底面側にチルトヒンジ10を載置させる載置部180を備える。この載置部180には、固定手段37を貫通させてチルトヒンジ10を載置部180に連結させる連結孔34が複数形成される。チルトヒンジ10の設置数および設置位置は、ディスプレイ22の荷重に基づき、既述の組合わせテーブル92を参照して設定される。
支持部品154は、たとえば胴体部160に対して固定部品156のみでディスプレイ152を固定支持させる構成であり、底面部164が形成されない。支持部品154に対する底面部164は、たとえば立壁部36の載置部180の幅やチルトヒンジ10の設置位置とスタンド174との間の距離に応じて形成してもよい。
チルトヒンジ10は、図32に示すようにチルト台座60(図11)を載置部180上に設置され、立壁部36の底面側から貫通した固定手段37で固定される。スタンド174は、たとえば壁面101に対して、ネジやボルトなどによって締結され、または接着材などを介して固定させてもよい。
そして設定された設置数および設置位置に基づいて載置部180上にチルトヒンジ10が設置され、固定手段37によって固定される。ディスプレイ152は、背面側の固定孔158に支持部品154の支持ガイド162を配置させ、固定部品156を締結させる。
これによりディスプレイ152は、支持部品154とともにチルトヒンジ10によって回動することで、壁面101に対して平行状態と直交状態との間の角度で支持される。
斯かる構成によれば、設置されるディスプレイ22などの表示機器の荷重に応じて、チルトヒンジの設置数の増減によるユニット化により、同一のスタンドに対し、表示機器の取替えが可能となる。また、同一のスタンドに対し、設置される表示機器に応じた必要な支持力およびチルト操作力の設定を容易に行うことができる。そのほか、チルトヒンジに対して支持部品を介して表示機器を支持させることで、ディスプレイ以外の表示機器または他社製品の表示機器を利用する場合でも支持構造を一定にできる。チルトヒンジの設置部分の形状を一定化できるので、表示機器の外形寸法の違いによる影響を抑え、荷重に基づき最適なチルト操作力が設定できる。
〔第5の実施の形態〕
図33は、第5の実施の形態に係る表示装置の外観構成例を示している。図33に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
図33に示す表示装置190は、スタンド192とディスプレイ194とを電気的に接続させるクレードル機能を備えている。スタンド192は、ヒンジ装置の一例であり、チルトヒンジ設置部196が形成され、ディスプレイ194を支持するとともにチルト動作させるチルトヒンジ10、198が設置される。
チルトヒンジ198は、ディスプレイ194に対する接続機能を備えており、ディスプレイ194が載置される溝部内に1または複数の接続端子200を備えている。この接続端子200は、たとえばディスプレイ194の係止部品202に設置された端子部204と接触することで、ディスプレイ194に対して給電する給電端子の一例である。
ディスプレイ194は、外装筐体の下部側にチルトヒンジ10、198に係止させる係止部品202が形成される。係止部品202は、たとえばチルトヒンジ10、198の溝部内に嵌合され、図示しない固定部品によって係止される。係止部品202には、たとえば底面側の一部に1または複数の端子部204が形成され、チルトヒンジ198の接続端子200と接触することで電力の供給を受ける受電機能を備える。端子部204は、たとえばディスプレイ194、または係止部品202の中央位置に形成すればよく、チルトヒンジ198にのみ係止される位置に配置される。つまり、端子部204はチルトヒンジ10、198に跨って配置させないように設定される。
チルトヒンジ設置部196は、スタンド192の一部に、複数のチルトヒンジ10、198を着脱可能に形成されている。チルトヒンジ10、198は、支持するディスプレイ194の筐体形状に沿って一列に配置され、ディスプレイ194の荷重に応じて設置数および設置位置が設定される。チルトヒンジ10は、既述の組合わせテーブル92を利用して、設定トルク値や設置数、設置位置などを決定すればよい。
またチルトヒンジ198は、たとえばチルトヒンジ組合わせテーブル92によって設定された設置数が決められるとともに、ディスプレイ194の端子部204の接続位置に合わせて設置位置が設定されればよい。
図34に示すディスプレイ194は、たとえば表示制御や電力制御などを行う制御部210を備えており、この制御部210が係止部品202の端子部204と電気的に接続されている。これにより制御部210は、端子部204の受電機能部によって、スタンド192側から電力が供給される。制御部210は、たとえばプロセッサなどを備えるコンピュータで構成されている。
スタンド192は、たとえば内部に給電回路212を備えており、外部のAC電源214と接続されて電力の供給を受けている。また給電回路212は、チルトヒンジ198の接続端子200に接続されている。そして、接続端子200は、ディスプレイ194の設置により端子部204と接触することで、給電回路212から受けた電力を端子部204側に供給する。
これによりディスプレイ194は、スタンド192から受けた電力を利用して稼動し、または図示しないバッテリ機能に対して充電する。
チルトヒンジ198の接続端子200は、溝部内に形成される場合に限られず、たとえば図35に示すように、支持片の側面側に形成してもよい。この場合、ディスプレイ194側の端子部204は、たとえば係止部品202の側面側に設定すればよい。
なお、ディスプレイ194に対する給電機能は、スタンド192内に構成される場合に限られず、たとえばチルトヒンジ198が独立して備えてもよい。このチルトヒンジ198は、たとえばチルト機構を備えるとともに内部に給電回路212を備え、外部のAC電源214に接続させてもよい。これにより、クレードル機能を備えないスタンドに対して、給電機能を備えるチルトヒンジ198を設置することで、給電機能を備えることができる。
また、チルトヒンジ198に形成した接続端子200によるクレードル機能は、たとえばディスプレイ194に対する給電に限られない。接続端子200は、たとえば他の電子機器などに接続したスタンド192を介してデータの授受を行う構成にしてもよい。
斯かる構成によれば、スタンドに対してチルトヒンジの設置数を増減させる構成により、異なるディスプレイや他の表示機器の間で同一のスタンドを利用することができる。また、端子部を備えるチルトヒンジを設置することで、スタンドがクレードルとして利用でき、ヒンジ装置の利便性が高められる。
以上説明した各実施形態について、その特徴事項を以下に列挙する。
(1) 本開示のヒンジ装置および電子機器は、サイズの異なる複数のディスプレイなどの表示機器に対してスタンドを共通化し、このスタンドによって設定されるチルト操作力を表示機器のサイズに合わせて最適化させる構造を備える。スタンドは、同じトルク値あるいは、異なるトルク値が設定されたチルトヒンジを単数または複数個組合わせて設置して、スタンド本体部の設定範囲内で、異なるサイズの表示機器に対してチルト操作力を最適化する。
(2) このヒンジ装置および電子機器では、設置される種々の表示機器毎に質量情報や重心位置情報、チルト動作の回動支点の位置情報などを用いた個別のチルト操作力の専用設計が不要になり、製造処理の簡易化などが図れる。
(3) ヒンジ装置および電子機器は、チルトヒンジを直列にブロックのように組み合せることにより、チルト操作力をリニアに調整可能な構造とすることで、様々なサイズの表示機器の使用に対応したスタンドが提供できる。
(4) スタンドは、取り付けたチルトヒンジから、表示機器側へ電力供給を行うことで、クレードル機能を有する。また、スタンドは、電力供給機能に限られず、表示機器とスタンド本体部側との間でUSB(Universal Serial Bus)などのインターフェースコネクタを備えてもよい。これにより、スタンドは、USB−HUB機能や表示機器との間でデータなどを授受するドッキングステーションとして利用してもよい。
(5) ヒンジ装置および電子機器は、設置される表示機器のサイズに関わらず、最適なチルト操作力を提供でき、且つ様々なレイアウト(使用環境)に対応するスタンドを提供できる。
〔その他の実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、ディスプレイ22の荷重に基づいて設定された複数のチルトヒンジ10は、連結され、または一定の間隔を持たせてチルトヒンジ設置部32の中央部側に設置される場合を示したがこれに限られない。チルトヒンジ10は、たとえば図36に示すように、チルトヒンジ設置部32の両端側に離間して設置させるとともに、左右の設置数を異ならせてもよい。
既述のようにチルトヒンジ設置部32に設置されるチルトヒンジ10は、連結手段により連結され、またはディスプレイ22の底面側筐体に沿って一列に接続されることで一体化して機能する。これにより、ディスプレイ22に対する支持力およびチルト操作力は、各チルトヒンジ10の設定トルクの合力によって設定される。そこで、組合わせテーブル92によって設定された設置数および選択されたチルトヒンジ10について、チルトヒンジ設置部32に対する設置位置を任意に変更して設置してもよい。
スタンド24に対するチルトヒンジ10の設置位置は、たとえばディスプレイ22のチルト操作において、チルト操作を行うための力が加えられる側のトルクが強くなるように設定してもよい。ディスプレイ22のチルト操作において、たとえば筐体の右側上部が把持されて力が加えられる場合、チルトヒンジ設置部32には、右側のチルト操作力が大きくなるようにチルトヒンジ10を配置させる。これにより、ディスプレイ22は、たとえば右側のみに加えられる力に対して、右側に大きなチルト操作力が作用することで、ディスプレイ22の中心を基準にしたねじれの発生を抑制することができる。
チルトヒンジ10の設置処理では、たとえばチルト操作力を大きくする側に多くのチルトヒンジ10を設置するほか、設定トルクが大きいチルトヒンジ10に変更して設置してもよい。
(2) 上記実施の形態では、スタンド24に対して1つのチルトヒンジ設置部32が形成される場合を示したがこれに限られない。表示装置220は、図37に示すように、スタンド222上に複数のチルトヒンジ設置部32を形成し、複数のディスプレイ22を設置可能な構成となっている。この表示装置220は、たとえばディスプレイ22の背面同士を対向させて配置した、所謂表裏対向モニタとして機能する。ディスプレイ22は、それぞれ上下方向に任意の角度でチルト可能に設置されている。
そのほか表示装置220は、たとえばスタンド222に対して複数のチルトヒンジ設置部32を直列に設置し、複数のディスプレイ22を同方向にむけて配置させてもよい。これにより、表示装置220は、同一の画像を複数の表示部に表示させてもよく、または複数のディスプレイ22を連動させて1の画像を表示させる、所謂マルチモニタとして機能させることができる。この場合、各ディスプレイ22は、それぞれ独立したチルト動作が可能にチルトヒンジ設置部32が設定されている。
スタンド222は、たとえば設置させるディスプレイ22の大きさや設置数に応じて縦横幅のサイズが設定されればよい。
(3) 上記実施の形態では、ディスプレイ22を上下方向にチルトさせるスタンドを用いる場合を示したが、これに限られない。図38に示す表示装置230は、ディスプレイ22を左右方向に回動させるスタンド232が用いられる。スタンド232は、たとえば外側筐体233と内側筐体234が嵌め合わされて構成しており、外側筐体233に対して内側筐体234が回動する。内側筐体234上には、1または複数のチルトヒンジ10を介してディスプレイ22を支持するチルトヒンジ設置部236が形成される。チルトヒンジ設置部236には、複数のチルトヒンジ10を載置させ、ディスプレイ22の筐体に沿って一例に配置させる載置面部238が形成される。載置面部238は、たとえばディスプレイ22の荷重に応じてチルトヒンジ10を着脱可能にする複数の連結孔41が形成れればよい。チルトヒンジ10は、内側筐体234の底面側から固定部品240によって載置面部238に固定される。
(4) 上記実施の形態では、ディスプレイ22は、底面側に係止部品40が形成され、この係止部品40をスタンド24に設置されたチルトヒンジ10に係止させる構成を示したがこれに限られない。ディスプレイ22は、たとえば筐体の左右または上部側において、支持部品などに設置されたチルトヒンジ10を介してスタンド24に支持されてもよい。この支持部品は、たとえば一端側をネジなどの固定部品でチルトヒンジ設置部32に固定し、他端の先端側に単数または複数のチルトヒンジ10が設置される。そして、ディスプレイ22は、たとえば筐体の背面側などに係止部品40を備え、支持部品に設置されたチルトヒンジ10に対して係止させてもよい。
次に、以上述べた実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。以下の付記に本発明が限定されるものではない。
(付記1)表示機器を任意の角度に傾斜させて支持するチルトヒンジと、
前記チルトヒンジを介して前記表示機器を立設させ、前記チルトヒンジの着脱により前記表示機器の荷重に応じて前記表示機器に対するチルト操作力が調整される調整機構が形成されたスタンド本体部と、
を備えることを特徴とする、ヒンジ装置。
(付記2)前記スタンド本体部は、前記チルトヒンジの設置位置をガイドするガイド手段が形成され、
該ガイド手段は、前記表示機器に沿って前記チルトヒンジを配置させることを特徴とする、付記1に記載のヒンジ装置。
(付記3)前記調整機構は、複数の前記チルトヒンジを隣接して配置させ、または一定の間隔を持たせて配置させることを特徴とする、付記1または付記2に記載のヒンジ装置。
(付記4)前記チルトヒンジは、他の前記チルトヒンジと連結させる連結手段を備え、
該連結手段により隣接した前記チルトヒンジ同士を連結してチルト動作させることを特徴とする、付記1ないし付記3のいずれかに記載のヒンジ装置。
(付記5)前記スタンド本体部は、設置される前記表示機器の荷重に基づく必要トルク値から、少なくとも各チルトヒンジのトルク値に応じて設定された数の前記チルトヒンジが設置されることを特徴とする、付記1ないし付記4のいずれかに記載のヒンジ装置。
(付記6)さらに、前記表示機器の一部を支持するとともに、前記チルトヒンジに接続される支持手段を備えることを特徴とする、付記1ないし付記5のいずれかに記載のヒンジ装置。
(付記7)表示機器と、
該表示機器を任意の角度に傾斜させて支持するチルトヒンジと、
前記チルトヒンジを介して前記表示機器を立設させ、前記チルトヒンジの着脱により前記表示機器の荷重に応じて前記表示機器に対するチルト操作力が調整される調整機構が形成されたスタンド本体部と、
を備えることを特徴とする、電子機器。
(付記8)さらに、前記表示機器の一部を支持し、前記チルトヒンジに接続される支持手段を備え、
前記表示機器は、該支持手段を介して前記チルトヒンジに設置されることを特徴とする、付記7に記載の電子機器。
(付記9)前記表示機器は、一部に前記チルトヒンジに係止させる係止手段を備えることを特徴とする、付記7または付記8に記載の電子機器。
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。