JP6059669B2 - 睡眠状態モニタリングシステム - Google Patents

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Description

本発明は、血管脈波測定システムを用いて睡眠状態又は覚醒状態を判別する睡眠状態モニタリングシステムに関し、特に、血管の脈動波形(以下、脈波という。)を取得して血管脈波測定を行う血管脈波測定システムを用いて睡眠状態又は覚醒状態を判別する睡眠状態モニタリングシステムに関する。
物質の特性を評価する技術として振動を用いる方法が知られている。特許文献1には、物質特性の相違は振動の周波数の変化よりも位相の変化が大きいが、位相測定技術の精度が必ずしも高くないことを考慮し位相変化を周波数変化に変換する方法が開示されている。この方法を用いた装置は、物質に振動として超音波を入射する振動子と物質からの反射波を検出する振動検出センサと、振動検出センサの信号出力端に入力端が接続された増幅器と、増幅器の出力端と振動子の入力端との間に設けられ、振動子への入力波形と振動検出センサからの出力波形との間に位相差が生じるときは、周波数を変化させて前記位相差をゼロにシフトする位相シフト回路と、位相差をゼロにシフトさせるための周波数変化量を検出する周波数変化量検出手段とを含むことを特徴とする。
特許文献1の装置においては、具体的には、周波数偏差検出回路を利用した硬さ測定器において、軟質の被測定物から硬質の被測定物までの広い範囲において硬さ情報を正確に測定するために、接触要素、振動子、自励発振回路及びゲイン変化補正回路を備え、自励発振回路は振動子の振動情報を帰還し共振状態にし、ゲイン変化補正回路は自励発振回路に設け、ゲイン変化補正回路は、自励発振回路の中心周波数と異なる中心周波数を有し、周波数の変化に対してゲインを上昇させる。
上記装置では、周波数変化量検出手段において、硬さの相違による位相差をゼロにシフトさせてこれを周波数変化量に変換している。この変換は、周波数に対する反射彼の振幅ゲインと位相の関係を示す基準伝達関数を予め求めておいてこれを用いている。また、振動として超音波振動を用いているが、これを電気回路における電気信号の振動とすることができる。例えば、発光素子を駆動信号で駆動して光を放射し、その光を受光素子で検出し検出信号を発光素子の駆動信号として帰還することで帰還ループを形成するが、この帰還ループを流れる電気信号の振動を用いることができる。
すなわち、発光素子の駆動信号と放射される光信号との間には、発光素子の構造に起因する信号の遅れがあり、同様に受光素子に入射する光信号と受光素子が出力する検出信号との間にも受光素子の構造に起因する信号の遅れがある。従って、発光素子と受光素子とを組み合わせて帰還ループを形成すると、これらの遅れである位相差をゼロにするようにして自励発振が生じる。この帰還ループに特許文献1で開示されている位相シフト回路を設けることで、位相差を周波数差に変換することができる。
そして、発光素子から放射した光を評価対象の物質に当て、その物質から反射した光を受光素子で受けて、上記の帰還ループを形成すると、自励発振回路の周波数は、受光素子と発光素子の構造に起因する遅れと、評価対象の物質の特性に起因する遅れに依存することになる。従って、この帰還ループに位相シフト回路を設け、位相差を周波数毎に変換して周波数差を観察することで、非接触的に、あるいは非侵襲的に、物質特性を測定することができる。
例えば特許文献2には、血圧測定装置として、赤外光を体内に送波し体内における反射波を受波するセンサユニットと、受波した反射波に基づく電気信号を送波部に帰還して自励発振する自励発振回路とを備え、自励発振回路には周波数の変化に対しゲインを変化させ、入力位相と出方位相との間の位相差をゼロに調整して帰還発振を促進するゲイン変化補正回路を含み、このようにして得られる自励発振回路の発振周波数に基づいて血圧を算出することが述べられている。
特許文献2の装置では、血圧の測定を精度良く行いかつ被測定者の負担を軽減するために、送波部は、電気信号を変換して電磁波または超音波例えば赤外光の体内へ送波し、受波部は、体内における反射波を受波して電気信号に変換し、周波数測定部により測定された自励発振回路の周波数は、血圧計算部において呼び出された相関パラメータに基づいて血圧値に変換され、表示部においてこの血圧値あるいは血圧波形の表示が逐次実施される。
このように、位相シフト法の技術によれば、発光素子と受光素子とを用いて血管の脈動波形を精度よく求めることができる。ところが、血管の脈動を測定する対象の生体、例えば被測定者は必ずしも測定中に安定した状態を維持していない。発光素子と受光素子とが取り付けられた腕を動かす等のように姿勢を変化させることがあり、また、発光素子と受光素子の取り付け状態が不完全であると、測定中に取り付け状態が変化することがある。
従って、測定中に脈動波形が次第に変化し例えば測定範囲、演算範囲を外れてしまうことが生じ得る。このように脈動波形が測定範囲に対しずれてゆくと正確な血管脈波測定を行うことができない。当該問題点を解決するために、より正確な測定を可能とする血管脈波測定システムを提供するために、本願出願人らは、特許文献3において、以下の血管脈波測定システムを提案した。
特許文献3の血管脈波測定システムは、被測定者の血管の脈動取得に適した部位に取り付けられる光探触子と、光探触子回路を介して光探触子に接続され位相シフト法を用いることで周波数の時間変化として脈動波形を出力する脈動波形出力部と、演算処理部とを備え、演算処理部の浮動中央値設定処理モジュールは周期的な周波数データの最大振幅値が演算範囲に対して予め定めた比率となるように最大振幅値を増幅し、その中央値をその絶対値に関わらず浮動的に演算範囲の中央値に設定する機能を有することを特徴としている。
さらに、特許文献4では、脈波の状態を示す脈波信号に基づいて、脈拍数及び脈拍振幅を求め、これらに基づいて呼吸異常の判定を行う呼吸異常判定手段を備えた呼吸異常検出装置が提案されている。当該装置では、例えば、脈波振幅と単位時間当たりの脈拍数との比に基づいて呼吸異常を検出し、もしくは、呼吸数の変化、脈拍数の変化、血液中の酸素飽和濃度の変化に基づいて呼吸異常を検出することを特徴としている。
特開平9−145691号公報 特開2001−187032号公報 国際公開2010/089893号パンフレット 特開2004−121668号公報 特開平6−169892号公報 特開2005−021477号公報
社団法人日本生体医工学会編,「血液のレオロジーと血流」,コロナ社,2003年4月25日発行,120〜121頁
しかしながら、上記特許文献1〜3で開示された従来技術に係る各装置では、
(a)発光素子と受光素子の取り付け状態の変化に加えて、
(b)例えば手首の橈骨動脈部に取り付けるか、もしくは、指尖部に取り付けるかの取り付け部位に応じて、
(c)また、例えば同一の橈骨動脈部の部位に取り付けるにしても、痩せた被測定者と、太った被測定者とでその者の皮膚の厚さに応じて、
(d)さらに、例えば血管からの反射光を用いる反射型光探触子を用いるか、もしくは、血管を通過した通過光を用いる通過型光探触子を用いるかの光探触子の種類に応じて、
血管の脈動取得動作がしばしば不安定な状態になり、脈動波形データを取得できない場合が多発して、測定現場ではほとんど全く使いものにならないという問題点があった。
また、上記特許文献4で開示された従来技術に係る呼吸異常検出装置では、上記の問題点に加えて、呼吸異常の検出精度がいまだ低いという問題点があった。
従って、従来技術では、装置構成が簡単であって、しかも高精度で覚醒状態又は睡眠状態を判別することができる睡眠状態モニタリングシステムは開発、実用化されていない。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、従来技術に比較して装置構成が簡単であって、しかも高精度で覚醒状態又は睡眠状態を判別することができる睡眠状態モニタリングシステムを提供することにある。
本発明に係る睡眠状態モニタリングシステムは、
人体の橈骨動脈部の血管上の皮膚を介して設けられ当該血管に流れる脈波の圧力変化を検出して血管脈波信号の電圧値として測定する第1の圧力センサと、
印加する圧力値を制御可能な圧力印加機構と、
上記第1の圧力センサの近傍に設けられ、圧力値が予め校正されかつ上記圧力印加機構により第2の圧力センサ及び上記皮膚を介して上記血管に対して応力を印加するときの圧力値を検出する第2の圧力センサと、
上記人体の指尖部の血管上の皮膚を介して設けられ当該血管に流れる脈波の圧力変化を検出して血管脈波信号の電圧値として測定する第3のセンサと、
上記各血管脈波信号及び上記検出される圧力値に基づいて、上記橈骨動脈部の第1の最大血圧値及び上記指尖部の第2の最大血圧値を測定する制御手段とを備える睡眠状態モニタリングシステムであって、
上記制御手段は、
(A)所定の時間期間において上記第1の最大血圧値が所定の第1のしきい値以上増加しているときに上記第2の最大血圧値が所定の第2のしきい値以上減少しているときに、上記人体が覚醒状態であると判断し、
(B)上記時間期間において、上記第1の最大血圧値が上記第1のしきい値以上増加しているときに上記第2の最大血圧値が所定の第3のしきい値以上増加し、もしくは、上記第1の最大血圧値が上記しきい値以上減少しているときに上記第2の最大血圧値が上記第3のしきい値以上減少しているとき、上記人体が睡眠状態であると判断することを特徴とする。
上記睡眠状態モニタリングシステムにおいて、上記判断結果を報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする。
また、上記睡眠状態モニタリングシステムにおいて、上記人体の脳波を測定して表示する脳波測定手段をさらに備えることを特徴とする。
さらに、上記睡眠状態モニタリングシステムにおいて、
上記第1及び第2の圧力センサはそれぞれ、上記血管に流れる脈波の圧力変化を抵抗値変化として検出するMEMS圧力センサであり、
上記第3のセンサは、
皮膚を介して血管に光を放射する発光素子と、上記血管からの反射光又は上記血管を介した透過光を皮膚を介して受光する受光素子とを含む光探触子と、
入力される駆動信号に基づいて上記発光素子を駆動する駆動回路と、
上記受光素子により受光された光を電気信号に変換して上記駆動信号として出力する検出回路とを備えた光探触子回路を用いて構成された光センサであることを特徴とする。
またさらに、上記睡眠状態モニタリングシステムにおいて、
上記第1の圧力センサ及び第3のセンサはそれぞれ、
皮膚を介して血管に光を放射する発光素子と、上記血管からの反射光又は上記血管を介した透過光を皮膚を介して受光する受光素子とを含む光探触子と、
入力される駆動信号に基づいて上記発光素子を駆動する駆動回路と、
上記受光素子により受光された光を電気信号に変換して上記駆動信号として出力する検出回路とを備えた光探触子回路を用いて構成された光センサであり、
上記第2の圧力センサは、上記血管に流れる脈波の圧力変化を抵抗値変化として検出するMEMS圧力センサであることを特徴とする。
本発明に係る睡眠状態モニタリングシステムによれば、脈波波形信号のデータを用いて、従来技術に比較して極めて簡単な校正でかつ高精度で血圧を測定して、高精度で覚醒状態又は睡眠状態を判別することができる。
本発明の第1の実施形態に係る血管脈波測定システムの構成を示すブロック図である。 図1の脈波及び圧力検出印加装置20の詳細構成を示す側面図である。 図2の脈波及び圧力検出印加装置20の圧力印加機構である5関節リンク機構21の動作を示す側面図である。 図2及び図3のMEMS圧力センサ30を構成する複数N個の単位センサ回路31−1〜31−Nの配置構成を示す平面図である。 図4のMEMS圧力センサ30の回路構成を示す回路図である。 図2及び図3の脈波及び圧力検出印加装置20を被測定者の手首の橈骨動脈部7に取り付けた場合の一例を示す正面図である。 図2及び図3の脈波及び圧力検出印加装置20を被測定者の指尖部9に取り付けた場合の一例を示す正面図である。 図1の血管脈波測定システムにより測定された脈波電圧値の最大電圧値Vmax及び最小電圧値Vminを示すグラフである。 図1の血管脈波測定システムにより測定された脈波電圧値に対応する血圧値の最大血圧値Pmax及び最小血圧値Pminを示すグラフである。 図1の血管脈波測定システムにより測定された脈波電圧値から血圧値への変換を示すグラフである。 図1の血管脈波測定システムにより測定された脈動波形を血圧波形に変換して示すグラフである。 図1の血管脈波測定システムにおいて、移動平均法を用いて脈動波形を処理する動作を示すグラフである。 (a)は図1の血管脈波測定システムにより測定されたある被測定者の覚醒時の各種信号波形の一例を示すグラフであり、(b)は図1の血管脈波測定システムにより測定されたある被測定者の無呼吸時の各種信号波形の一例を示すグラフである。 (a)は覚醒時の最大血圧値Pmaxの変化をモデル化して示す図であり、(b)は無呼吸時の最大血圧値Pmaxの変化をモデル化して示す図である。 図1の装置コントローラ50の血圧値校正処理モジュール52により実行される血圧値校正処理を示すフローチャートである。 図1の装置コントローラ50の血管脈波測定処理モジュール51により実行される血管脈波測定を示すフローチャートである。 図1の装置コントローラ50の睡眠状態判別処理モジュール53により実行される睡眠状態判別処理を示すフローチャートである。 本発明の第1の変形例に係る、圧力アクチュエータ36及びMEMS圧力センサ30を備えた脈波及び圧力検出印加装置20Aの構成を示す縦断面図である。 本発明の第2の変形例で係る、被験者などの人間の指尖部9で押圧するMEMS圧力センサ30を備えた脈波及び圧力検出印加装置20Bの構成を示す縦断面図である。 本発明の第3の変形例に係る、図2及び図3の脈波及び圧力検出印加装置20の変形例の構成を示す側面図である。 本発明の第4の変形例に係る、圧力アクチュエータ36及びMEMS圧力センサ30を備えた脈波及び圧力検出印加装置20Cの構成を示す縦断面図である。 本発明の第5の変形例で係る、被験者などの人間の指尖部9で押圧するMEMS圧力センサ30を備えた脈波及び圧力検出印加装置20Dの構成を示す縦断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る血圧測定装置に用いる脈波及び圧力検出印加装置20Eを手首の橈骨動脈部7に装着したときの斜視図である。 図19の血圧測定装置によって実行される血圧測定処理のタイミングチャートである。 図19の血圧測定装置の装置コントローラ50(図1)によって実行される血圧測定処理のフローチャートである。 図19の血圧測定装置において、血管脈波信号から減圧ステップ指示信号を発生するための回路の構成を示すブロック図である。 第2の実施形態の変形例に係る血圧測定装置によって実行される血圧測定処理のタイミングチャートである。 第2の実施形態の変形例に係る血圧測定装置の装置コントローラ50(図1)によって実行される血圧測定処理のフローチャートである。 本発明の第3の実施形態に係る血圧測定装置に用いる脈波及び圧力検出印加装置20Fを手首の橈骨動脈部7に装着したときの斜視図である。 図25の光探触子回路120内の反射型光探触子112の構成を示す側面図である。 図25の光探触子回路120の構成を示す回路図である。 本発明の第4の実施形態に係る睡眠状態モニタリングシステム10Aの構成を示すブロック図である。 図28の睡眠状態モニタリングシステム10Aに用いる、脈波及び圧力検出印加装置20Eを手首の橈骨動脈部7に装着しかつ光探触子回路120を指尖部9に装着したときの斜視図である。 図28の装置コントローラ50Aにより実行される覚醒/睡眠状態判別処理を示すフローチャートである。 図29の変形例であって、図28の睡眠状態モニタリングシステム10Aに用いる、脈波及び圧力検出印加装置20Fを手首の橈骨動脈部7に装着しかつ光探触子回路120を指尖部9に装着したときの斜視図である。 図16Aの変形例であって、(a)は圧力アクチュエータ36及びMEMS圧力センサ30を備えた脈波及び圧力検出印加装置20AAの構成を示す縦断面図であり、(b)は脈波及び圧力検出印加装置20AAの下面図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。以下では、測定対象として人間の血管の脈波について説明するが、生体の血管の脈波であればよく、人間以外の動物等を対象とすることができる。また、以下では、血管脈波測定として、脈拍、最大血圧、最小血圧の測定について説明するが、これ以外に、血管の脈動波形を用いて測定するものであればよい。例えば、脈拍波形の積分値から血流量に対応する量の測定を行い、脈動波形の微分値から血管の柔軟性を評価する測定を行うものであってもよい。以下で説明する材料、形状等は例示であって、使用目的に応じこれらの内容を適宜変更してもよい、
第1の実施形態.
図1は本発明の第1の実施形態に係る血管脈波測定システムの構成を示すブロック図である。また、図2は図1の脈波及び圧力検出印加装置20の詳細構成を示す側面図である。
図1において、血管脈波測定システム10の構成要素ではないが、血圧等を測定する対象の被測定者6が示されている。なお、以下の図において、被測定者6の皮膚については図示を省略する。本実施形態に係る血管脈波測定システム10は、従来用いられているコロトコフ音を測定する圧迫カフ法、あるいは、動脈内に、圧力センサが連結されたカテーテルを挿入侵襲させて血管内の圧力を直接測定する観血法に代えて、図1及び図2に示すように、脈波及び圧力検出印加装置20内のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)圧力センサ30及びホイーストンブリッジ回路15(図5)を用いて血管の脈動波形を収得して脈波測定を行うシステムであり、特に、圧力測定を行うMEMS圧力センサ30、ホイーストンブリッジ回路15(図5)及び圧力印加機構である5関節リンク機構21を備えた脈波及び圧力検出印加装置20を用いた血圧測定を行うことを特徴としている。
血管脈波測定システム10は、図1及び図2に示すように、
(a)被測定者6の血管の脈動取得に適した部位に取り付けられるMEMS圧力センサ30及び圧力印加機構である5関節リンク機構21を備えた脈波及び圧力検出印加装置20と、
(b)脈波及び圧力検出印加装置20のMEMS圧力センサ30からの出力電圧Voutを電圧増幅する電圧増幅器32と、
(c)電圧増幅器32からの出力電圧をディジタルデータにA/D変換して装置コントローラ50に出力するA/D変換器33と、
(d)装置コントローラ50からの制御信号Sc1,Sc2(好ましくは、ステッピングパルス信号である。)を5関節リンク機構21のステッピングモータM1,M2に出力する制御信号線34と、
(e)内部メモリ50mを含む例えばディジタル計算機などの制御装置であって、血管脈波測定処理モジュール51と、血圧値校正処理モジュール52と、睡眠状態判別処理モジュール53とを備え、A/D変換器33からのディジタルデータを処理して血管脈波データを発生し、血管脈波データに対して血圧値校正処理(図13)、血管脈波測定処理(図14)及び睡眠状態判別処理(図15)を実行する装置コントローラ50と、
(f)例えばディスプレイ又はプリンタであって、装置コントローラ50からの出力データに基づいて、脈動波形表示(移動平均処理後の脈動波形表示61及びローパスフィルタ処理後の脈動波形表示62)及び各血管脈波測定値表示(脈拍、最大血圧値Pmax及び最小血圧値Pmin)を表示する表示部60と、
を備えて構成される。
図1に示すように、脈波及び圧力検出印加装置20のMEMS圧力センサ30からの出力電圧信号(交流)は増幅器32及びA/D変換器33を介して装置コントローラ50に出力される。ここで、血管が脈動により変化すると、MEMS圧力センサ30からの交流の出力電圧Voutが変化し、すなわち、出力電圧Voutは脈動の変化に対応して変化する。なお、図13の血圧値校正処理における血管への圧力測定については、MEMS圧力センサ30からの出力電圧Voutの時間平均値(時間積分値)を測定することで、血管への印加圧力を測定する。
特許文献1〜3などの従来技術では、大きな出力電圧の変化を得ることができなかったために、その周波数変化を電圧変化に変換して、脈動の変化を検出していたが、本実施形態では、図1及び図2に示すように、MEMS圧力センサ30からの出力電圧Voutを測定することで、脈動波形をきわめて簡単に得ることができる。また、同じMEMS圧力センサ30を用いて、上述のように、血管への印加圧力を測定できる。従って、脈波及び圧力検出印加装置20は、図2に示すように、例えば集積化されたMEMS圧力センサ30と、2個のステッピングモータM1,M2を備えた5関節リンク機構21とを従来技術に比較して簡単な構成でしかも小型化して構成できる。なお、脈波測定のみで血圧測定をしないときは、5関節リンク機構21が不要であって、さらに極めて小さくなる。
次いで、図2及び図3を参照して、脈波及び圧力検出印加装置20の5関節リンク機構21の構成及び動作について以下に説明する。図2は図1の脈波及び圧力検出印加装置20の詳細構成を示す側面図であり、図3は図2の脈波及び圧力検出印加装置20の圧力印加機構である5関節リンク機構21の動作を示す側面図である。
図2において、脈波及び圧力検出印加装置20は、2個のステッピングモータM1,M2を備えた5関節リンク機構21と、その関節J3の先端に取り付けられたMEMS圧力センサ30とを備えて構成される。5関節リンク機構21は、5個の一軸関節J1〜J5と、当該関節J1〜J5の互いに隣接する各一対の関節を連結する直線バー形状のリンクL1〜L4とを備えて構成される。ここで、位置が固定された関節J1はリンクL1を介して関節J2に連結され、関節J2はリンクL2を介して関節J3に連結される。関節J3はリンクL3を介して関節J4に連結され、関節J4はリンクL4を介して位置が固定された関節J5に連結される。リンクL1〜L4はより好ましくは互いに同一の長さを有し、もしくは、好ましくはリンクL1とL4とが互いに同一の長さを有しかつリンクL2とL3とが互いに同一の長さを有する。
筐体22は所定の間隔だけ離隔されて互いに平行な軸受け孔22a,22bを有し、軸受け孔22aには関節J1の軸がXY平面と垂直なZに平行な軸の周りで回転可能に挿入され、軸受け孔22bには関節J5の軸がXY平面と垂直なZに平行な軸の周りで回転可能に挿入される。また、関節J1の軸はステッピングモータM1の回転軸と連結され、関節J5の軸はステッピングモータM2の回転軸と連結される。ここで、ステッピングモータM1,M2には、装置コントローラ50から制御信号線34を介して受信される制御信号Sc1,Sc2が印加される。なお、ステッピングモータM1,M2を備えた5関節リンク機構21、筐体22及びMEMS圧力センサ30を例えば柔軟性のある樹脂などの装置カバーケース(図示せず)で被覆される。
ステッピングモータM1,M2により、位置が固定された関節J1,J5の各軸をそれぞれ正転(図3の時計周り方向の回転)又は逆転(図3の反時計回り方向の回転)で回転させるとき、関節J1〜J5の各軸とは互いに平行となり、各リンクL1〜L4は実質的に1つの平面上で移動し、関節J2〜J4は当該平面上で移動するが、関節J3はX方向又は−X方向、Y方向又は−Y方向、もしくはそれらの組合せ方向で移動させることができる。本実施形態では、図2に示すように、関節J3をMEMS圧力センサ30を介して被測定者の手首の橈骨動脈部7又は指尖部9の血管8の直上に移動させかつ応力21fを印加するために以下の制御信号Sc1,Sc2を用いて5関節リンク機構21を制御する。なお、ステッピングモータM1,M2の回転位置と関節J3との位置との関係は予め測定されて装置コントローラ50により管理格納されており、初期設定位置から所定の制御信号Sc1,Sc2を出力したときのその回転位置も管理格納されている。
(1)関節J3及びMEMS圧力センサ30の位置を所定の初期設定位置(例えば、図2の位置)に設定するための初期設定用制御信号Sc1,Sc2。
(2)関節J3及びMEMS圧力センサ30の位置を所定距離だけ−Y方向で移動させて被測定者の手首の橈骨動脈部7又は指尖部9に対して所定の圧力幅だけ上昇加圧して印加するための圧力上昇用制御信号Sc1,Sc2。当該圧力上昇用制御信号Sc1,Sc2により加圧速度を変化させ、圧力値を例えば時間に対してリニアに又は段階的に(ステップ的に)変化させることができる。
(3)関節J3及びMEMS圧力センサ30の位置を所定距離だけY方向で移動させて被測定者の手首の橈骨動脈部7又は指尖部9に対して所定の圧力幅だけ下降減圧して印加するための圧力下降用制御信号Sc1,Sc2。当該圧力下降用制御信号Sc1,Sc2により減圧度を変化させ、圧力値を例えば時間に対してリニアに又は段階的に(ステップ的に)変化させることができる。
なお、MEMS圧力センサ30を被測定者の手首の橈骨動脈部7又は指尖部9に固定する方法としては、カフを用いて固定してもよいし、粘着シートを介して、もしくは粘着テープを用いて固定してもよい。
次いで、図4及び図5を参照して、脈波及び圧力検出印加装置20のMEMS圧力センサ30の構成及び動作について以下に説明する。図4は図2及び図3のMEMS圧力センサ30を構成する複数N個の単位センサ回路31−1〜31−Nの配置構成を示す平面図であり、図5は図4のMEMS圧力センサ30の回路構成を示す回路図である。
図4において、MEMS圧力センサ30は、以下に示すように、機械要素部品、圧力センサ、アクチュエータ、電子回路を、例えばシリコン基板、ガラス基板、有機材料基板などの基板上に集積化したデバイスであって、図4に示すように、複数N個の単位センサ回路31−1〜31−Nを例えば8×8など複数×複数の2次元配置形状で配置されて、より好ましくは集積化されて構成される。図5において、単位センサ回路31−1は、直流電圧Vinを有する直流電圧源11と、抵抗R1〜R3及び抵抗値RxのMEMS圧力センサ抵抗12からなるホイーストンブリッジ回路15とを備えて構成される。ここで、直流電圧源11からの直流電圧Vinはホイーストンブリッジ回路15の互いに対向する所定の2つの接続端子に印加される一方、他の2つの接続端子から出力電圧Voを得る。ここで、ホイーストンブリッジ回路15の抵抗R1,R2,R3,Rxにおいて、好ましくは、次式のときに平衡状態となるように各抵抗値が設定される。
R2/R1=Rx/R3 (1)
また、他の単位センサ回路31−2〜31−Nは、単位センサ回路31−1と同様に構成される。ここで、各単位センサ回路31−1〜31−Nからの出力電圧をそれぞれVo1〜VoNとし、各単位センサ回路31−1〜31−Nからの出力電圧Vo1〜VoNを直列接続して出力電圧Voutを得る。本実施形態では、MEMS圧力センサ30のMEMS圧力センサ抵抗12の抵抗値Rxは印加圧力により変化し、その変化量(抵抗値変化)をホイーストンブリッジ回路15により検出して、圧力変化量に対応して変化する出力電圧Voutを得る。
なお、図5の実施形態では、各単位センサ回路31−1〜31−Nからの出力電圧Vo1〜VoNを直列接続して出力電圧Voutを得ているが、本発明はこれに限らず、並列接続して出力電圧Voutを得てもよいし、各出力電圧Vo1〜VoNの平均値などの所定の計算値を計算して出力電圧Voutを得てもよい。また、本実施形態では、複数N個の単位センサ回路31−1〜31−Nを用いているが、本発明はこれに限らず、1つの単位センサ回路を用いて構成してもよい。
図6は図2及び図3の脈波及び圧力検出印加装置20を被測定者の手首の橈骨動脈部7に取り付けた場合の一例を示す正面図である。図6に示すように、図2及び図3の脈波及び圧力検出印加装置20を被測定者の手首の橈骨動脈部7に取り付けて脈波測定及び血圧測定等を行うことができる。
図7は図2及び図3の脈波及び圧力検出印加装置20を被測定者の指尖部9に取り付けた場合の一例を示す正面図である。図7に示すように、図2及び図3の脈波及び圧力検出印加装置20を被測定者の指尖部9に取り付けて脈波測定及び血圧測定等を行うことができる。
図8Aは図1の血管脈波測定システムにより測定された脈波電圧値(例えば、電圧増幅器32の出力電圧値)の最大電圧値Vmax及び最小電圧値Vminを示すグラフである。図8Aから明らかなように、脈波電圧値は、脈動の変化に応じて周期的に変化し、最大電圧値Vmaxと最小電圧値Vminをとり、互いに隣接する2つの最小電圧値Vmin間の時間期間を時間期間Tintと定義する。
図8Bは図1の血管脈波測定システムにより測定された脈波電圧値に対応する血圧値の最大血圧値Pmax及び最小血圧値Pminを示すグラフである。図8Bから明らかなように、血圧値は、脈動の変化に応じて図8Aの脈波電圧値と同様に周期的に変化し、最大血圧値Pmaxと最小血圧値Pminをとる。図8Aと図8Bとの間の変換は、図8Cを参照して説明するように、図19の血圧値校正処理で生成される変換式(変換テーブルであってもよい)で行うことができる。
図8Cは図1の血管脈波測定システムにより測定された脈波電圧値から血圧値への変換を示すグラフである。公知の通り、被測定者が異なれば、脈波電圧値と血圧値との間の相関関係が異なるので、予め被測定者ごとに相関関係を求めておく必要がある。また、同じ被測定者であっても、安静状態と運動状態等で、脈波電圧値と血圧値との間の相関関係が異なることがあるので、予め測定状態を設定してそれぞれ相関関係を求めておく必要がある。図1の血管脈波測定システムで得られる脈波電圧値と血圧値との間の相関関係は、被測定者ごとに、測定条件ごとに関連付けられて変換式(又は変換テーブル)の形式で装置コントローラ50の内部メモリ50mに格納される。図8Cは、被測定者より変換式Q1,Q2で異なることを示すものである。このようにして、脈波電圧値から血圧値への変換を行うと、これに基づいて、脈拍数、最大血圧Pmax、最小血圧Pmin等の血管脈波測定を行うことができる。
図9は、図1の血管脈波測定システムにより測定された脈動波形を血圧波形に変換して示すグラフである。図9から明らかなように、出力電圧波形を血圧波形に変換することで図9の脈波波形の表示を得ることができる。
図10は図1の血管脈波測定システムにおいて、移動平均法を用いて脈動波形を処理する動作を示すグラフである。図10において、血管脈波測定システムにより得られた脈波電圧の生データから移動平均法を用いて滑らかな脈動波形を生成する様子を示す図である。図10(a)は、横軸が時間で、縦軸は脈波電圧であり、各サンプリングタイムにおける脈波電圧の変化の様子が示されている。図10(b)は、横軸が時間で、その原点位置等は図10(a)と揃えてある。縦軸は、図10(a)の各サンプリングタイムにおけるデータの移動平均値bである。移動平均値は、例えば5つのデータについて行うものとした。この場合、サンプリングタイムiのとぎの脈波電圧の生データをaiとすると、サンプリングタイムiのときの移動平均値biは次式(2)を用いて計算できる。
b=(ai−4+ai−3+ai−2+ai−1+ai)/5 (2)
すなわち、サンブリングデータaiが取得されると直ちに移動平均値biが算出できるのでリアルタイム処理が可能である。なお、移動平均に用いるデータ数は5でなくてもよい。
図11(a)は図1の血管脈波測定システムにより測定されたある被測定者の覚醒時の各種信号波形の一例を示すグラフであり、図11(b)は図1の血管脈波測定システムにより測定されたある被測定者の無呼吸時の各種信号波形の一例を示すグラフである。
図11(a)において、覚醒時の各測定波形は以下の通りである。
(a)R−EOG A1:公知の眼球電計により測定された眼球電波形である。
(b)Chin−Ref:公知の顎運動測定器により測定された顎の変位量である。
(c)心電図:公知の心電計により測定された心電波形である。
(d)筋電図:公知の筋電計により測定された筋電波形である。
(e)いびき:小型マイクロホンにより測定されたいびき音である。
(f)呼吸波形:被測定者の呼吸にともなう身体下の圧力変化を感圧センサが検出し、呼吸波形を計測したときの呼吸波形である。
(g)SpO2:公知のパルスオキシメーターにより測定された血中酸素飽和度である。
(h)本システム:本実施形態に係る血管脈波測定システムにより測定された脈波波形である。
図11(b)において、無呼吸時の各測定波形は以下の通りである。
(a)R−EOG A1:公知の眼球電計により測定された眼球電波形である。
(b)Chin−Ref:公知の顎運動測定器により測定された顎の変位量である。
(c)心電図:公知の心電計により測定された心電波形である。
(d)筋電図:公知の筋電計により測定された筋電波形である。
(e)いびき:小型マイクロホンにより測定されたいびき音である。
(f)呼吸温度センサ:口元に設けられた温度センサにより測定された呼吸温度である。
(g)呼吸圧:被測定者の呼吸にともなう身体下の圧力変化を感圧センサが検出し、呼吸波形を計測したときの呼吸圧波形である。
(h)胸郭変動:被測定者の胸郭の変化を測定する応力センサにより測定された胸郭変動量である。
(i)腹部変動:被測定者の腹部の変化を測定する応力センサにより測定された腹部変動量である。
(j)SpO2:公知のパルスオキシメーターにより測定された血中酸素飽和度である。
(k)本システム:本実施形態に係る血管脈波測定システムにより測定された脈波波形である。
本実施形態に係る血管脈波測定システムにより測定された図11のデータには、いままでの測定装置ではわからなかった多くの情報が含まれている。図11(a)においては、正常レム睡眠中であるが、当該記録120秒間に2回の覚醒反応があり、その2回とも覚醒反応開始とともに脈圧はやや上昇しその後、急激な低下を示している。覚醒反応による交感神経活動上昇と抹消の血管抵抗の一時的上昇、その後反射的な血管拡張による脈圧低下が観察され、正常睡眠において脈圧の変化が、脳波上の覚醒反応と同期していると考えられる。これは脳波を測定しない小型の血管脈波測定システムで睡眠評価が可能となると考えられる。
図11(b)では、典型的な無呼吸、努力性呼吸〜覚醒反応、過呼吸という一連の中で、無呼吸中の努力性呼吸に同期する小さな周期の変動がみられながら(変動が小さいため実測定数から周波数解析をする必要があると考えられる)無呼吸終了まで、脈圧が徐々に上昇していくことがわかる。その後、覚醒反応、呼吸再開〜過呼吸とともに脈圧は急激に降下する。おそらくこの患者の昼の安静時の血圧はこの降下した後、安定したレベルであり、無呼吸中の血圧上昇は、無呼吸による交感神経活動の過剰上昇によるもので、過去に本発明者らが調べた中では、ピークが収縮期血圧228という患者もいた。従って、無呼吸症候群の患者の場合は合併頻度が問題となる、循環器系疾患の発症に関わる、睡眠中の特殊な循環動態を評価できると考えられる。
図11(a)及び図11(b)の脈波波形のグラフから、レム覚醒時は、最大血圧値Pmaxが無呼吸時に比較して緩やかに上昇した後、下降し、それを繰り返していることがわかる。また、無呼吸時は、最大血圧値Pmaxがレム覚醒時に比較して早く上昇した後、下降し、それを繰り返していることがわかる。
図12(a)は覚醒時の最大血圧値Pmaxの変化をモデル化して示す図であり、図12(b)は無呼吸時の最大血圧値Pmaxの変化をモデル化して示す図である。図12(a)及び図12(b)の最大血圧値Pmaxのモデル図から明らかなように、レム覚醒時の最大血圧値Pamxの変化周期Tarは無呼吸時のそれに比較して長く、原点Sから見た、レム覚醒時の最大血圧値Pmaxの上昇傾斜角度αarは無呼吸時のそれに比較して小さいことがわかる。これらの知見及び治験に基づいて、図15の睡眠状態判別処理のフローチャートを作成した。
図13は、従来技術に係るカフ圧迫法と同様の原理を用いて、最大血圧値と最小血圧値を校正するための、図1の装置コントローラ50の血圧値校正処理モジュール52により実行される血圧値校正処理を示すフローチャートである。
図13において、まず、ステッピングモータM1,M2に対して初期設定用制御信号Sc1,Sc2を出力する。次いで、ステップS11でMEMS圧力センサ30を用いて脈波信号を検出し、脈波信号の時間的に互いに隣接する2つの最小電圧値の時間期間Tint(図8A参照)を演算し、ステップS12において時間期間Tintは所定のしきい値範囲に入っているか否かが判断され(すなわち、脈波信号が検出されているか否かが判断され)、YESのときはステップS13に進む一方、NOのときはステップS11に戻る。ここで、時間期間Tintの所定のしきい値範囲は、脈波信号を検出したか否かの判断範囲であり、上記しきい値範囲は経験値として、例えば0.2秒≦Tint≦2秒である。当該しきい値範囲に時間期間Tintが入っておれば、脈波を検出したと判断する。ステップS13において、被測定者6の脈波を検出したと判断し、所定の差分圧力だけインクリメントするため、ステッピングモータM1,M2に対して圧力上昇用制御信号Sc1,Sc2を出力する。そして、ステップS14において、時間期間Tintは所定のしきい値範囲に入っているか否かが判断され(すなわち、脈波信号が検出されているか否かが判断され)、NOのときはステップS15に進む一方、YESのときはステップS13に戻る。
ステップS15では、被測定者6の脈波を検出しなくなったと判断し、検出しなくなったサンプリングタイミングよりも1つ前のサンプリングタイミングよりも前の脈波信号の一周期期間内の最大電圧値を最大血圧値電圧として内部メモリ50mに格納するとともに、MEMS圧力センサ30の検出圧力値を最大血圧値として内部メモリ50mに格納する。そして、ステップS16において、所定の差分圧力だけデクリメントするため、ステッピングモータM1,M2に対して圧力下降用制御信号Sc1,Sc2を出力する。次いで、ステップS17において、時間期間Tintは所定のしきい値範囲に入っているか否かが判断され(すなわち、脈波信号が検出されているか否かが判断され)、YESのときはステップS18に進む一方、NOのときはステップS16に進む。ステップS18では、被測定者6の脈波を検出したと判断し、検出したサンプリングタイミングからその直後の脈波信号の一周期期間内の最小電圧値を最小血圧値電圧として内部メモリ50mに格納するとともに、MEMS圧力センサ30の検出圧力値を最小血圧値として内部メモリ50mに格納する。また、ステップS19において、内部メモリ50mに格納された最大血圧値電圧とそれに対応する最大血圧値及び最小血圧値電圧とそれに対応する最小血圧値に基づいて、図8Cを参照して説明したように、直線近似法を用いて電圧値から血圧値への変換を示す変換式(又は血圧変換テーブル)を生成して内部メモリ50mに格納し、当該処理を終了する。
図13の血圧値校正処理を例えば図2の脈波及び圧力検出印加装置20を用いて実行しているが、本発明はこれに限らず、MEMS圧力センサ30のみを用いて実行してもよい。この場合において、ステップS13では、被測定者6の脈波を検出したと判断し、圧力印加機構である5関節リンク機構21を用いず、被験者などの人間に対して指尖部9でMEMS圧力センサ30の上部を押圧するように指示するメッセージをLCD表示部(図示せず。)などに表示する。このとき、人間は指尖部9で押圧する。また、ステップS16では、被測定者6の脈波を検出しなくなったと判断し、圧力印加機構である5関節リンク機構21を用いず、被験者などの人間に対して指尖部9での上記応力をゆるめて低下させるように指示するメッセージをLCD表示部(図示せず。)などに表示する。このとき、人間は指尖部9の押圧をゆるめる。このように、圧力印加機構である5関節リンク機構21に代えて、被測定者などの人間の指尖部9で代用することができる。
以上で説明した図2の脈波及び圧力検出印加装置20又はMEMS圧力センサ30のみの装置と、図13又はその変形例の血圧値校正処理を用いることにより、当該血管脈波測定システムにおいて、従来技術に比較して極めて簡単な校正でかつ高精度で、血管脈波信号の血圧値電圧を血圧値に変換するように校正することができる。
図14は図1の装置コントローラ50の血管脈波測定処理モジュール51により実行される血管脈波測定を示すフローチャートである。
図14において、ステップS21で例えば直近の5周期分の脈波波形データ(A/D変換器33からの電圧値データをいう。)をバッファメモリに格納し、ステップS22において脈波波形データのデータ値は演算範囲以内であるか否かが判断され、YESのときはステップS23に進む一方、NOのときはステップS21に戻る。ステップS23において、上記5周期分の脈波波形データに対して高周波ノイズ除去のためのローパスフィルタ処理を実行し、ステップS24において、ローパスフィルタ処理後の脈動波形データに対して、図10を参照して説明した移動平均法を用いた移動平均処理を実行し、さらに、ステップS25において変換式を用いた電圧値から血圧値への変換による血圧測定処理を実行する。さらに、ステップS26において、変換された血圧値を用いて脈波表示データを作成して脈波(リアルタイム)を表示部60に表示し、脈拍及び最大血圧値及び最小血圧値を演算して表示部60に表示する。ステップS27では、測定終了か否かが判断され、YESのときは当該処理を終了する一方、NOのときはステップS21に戻る。
図15は図1の装置コントローラ50の睡眠状態判別処理モジュール53により実行される睡眠状態判別処理を示すフローチャートである。
図15において、ステップS31で例えば直近の21周期分の脈波波形データをバッファメモリに格納し、ステップS32において格納された21周期分の脈波波形データに基づいて上記変換された最大血圧値及び最小血圧値を用いて、21周期分の最大血圧値Pmax(1)〜Pmax(21)及び21周期分の最小血圧値Pmin(1)〜Pmin(21)を演算し、時刻t(1)〜t(21)をバッファメモリに格納する。次いで、ステップS33において、21周期分(n=1,2,…,21)について以下のパラメータを演算する。
最大血圧値Pmaxの時間に対する傾き(20周期の期間)
P’=(Pmax(21)−Pmax(1))/(t(21)―t(1)) (3)
Pmaxave=平均値(Pmax(1)〜Pmax(20)) (4)
脈圧Pp=Pmax(20)−Pmin(20) (5)
次いで、ステップS34において、Pmax(21)がPmaxaveに対して20%以上減少している(以下、条件1という。)か否かが判断され、YESのときはステップS35に進む一方、NOのときはステップS31に戻る。次いで、ステップS35において、脈圧Ppが平均値Pmaxaveに対して20%以上減少している(以下、条件2という。)か否かが判断され、YESのときはステップS36に進む一方、NOのときはステップS31に戻る。そして、ステップS36において、ステップS21〜S25を3周期分についてそれぞれ1周期ごと移動シフトして実行し、条件1及び条件2の判定を行って3周期分以上連続して満足するか否かが判断され、YESのときはステップS37に進む一方、NOのときはステップS31に戻る。ステップS37において、傾きP’>P’th(所定のしきい値であって、図12の傾斜角度αarと傾斜角度αsaとを識別するためのしきい値である。)であるか否かが判断され、YESのときはステップS38に進む一方、NOのときはステップS39に進む。ステップS38では、被測定者は「無呼吸状態」であると判断して表示部60に表示し、ステップS40に進む。一方、ステップS39では被測定者は「覚醒状態」であると判断して表示部60に表示し、ステップS40に進む。ステップS40では、測定終了か否かが判断され、YESのときは当該処理を終了する一方、NOのときはステップS31に戻る。
図15の睡眠状態判別処理において、処理データ数や判断分岐などの「20周期」「21周期」「20%」「3周期分」などは一例であって、本発明はこれに限られない。例えば、「20%」は判断するための所定のしきい値割合である。
以上の実施形態において、上記の各処理をソフトウエアで実現してもよいし、それらの一部をハードウエア回路で実現してもよい。
以上の実施形態において、カフ圧迫法により最大血圧値と最小血圧値の校正を行っているが、本発明はこれに限らず、その他の校正方法を用いてもよい。
以上の実施形態において、皮膚を介して血管に対して圧力を印加する圧力印加機構として5関節リンク機構21を用いているが、本発明はこれに限らず、公知の圧力アクチュエータ等を用いてもよい。以下にそれらの変形例について説明する。
図16Aは本発明の第1の変形例に係る、圧力アクチュエータ36及びMEMS圧力センサ30を備えた脈波及び圧力検出印加装置20Aの構成を示す縦断面図である。図16Aにおいて、脈波及び圧力検出印加装置20Aは、被測定者の血管8に対する圧力及び脈波を検出する圧力シートセンサ35と、被測定者の血管8に対して圧力を印加する圧力アクチュエータ36とが所定の筐体37内で例えばウレタンなどの充填材38を用いて設けられる。ここで、好ましくは、MEMS圧力センサ30と圧力シートセンサ35とは直接に接触して設けられる。これにより、圧力アクチュエータ36の応力が図16Aの位置36aから下側方向の圧力36fで、MEMS圧力センサ30及び被測定者の皮膚を介して血管8に印加される。
なお、第1の変形例では、図13の血圧値校正処理において、ステップS10の処理を削除し、ステップS13において所定の圧力幅だけ上昇させる圧力上昇用制御信号Scを装置コントローラ50から圧力アクチュエータ36に出力する。また、ステップS16では、所定の圧力幅だけ下降させる圧力下降用制御信号Scを装置コントローラ50から圧力アクチュエータ36に出力する。その他の処理は図13と同様である。
図16Bは本発明の第2の変形例で係る、被験者などの人間の指尖部9で押圧するMEMS圧力センサ30を備えた脈波及び圧力検出印加装置20Bの構成を示す縦断面図である。図16Bの脈波及び圧力検出印加装置20Bにおいては、図16Aの圧力アクチュエータ36に代えて、被験者などの人間の指尖部9により図の下側方向9aで筐体37の上部中央部の位置36aからMEMS圧力センサ30及び被測定者の皮膚を介して血管8に対して圧力(応力9fを加えるものである。
図17は本発明の第3の変形例に係る、図2及び図3の脈波及び圧力検出印加装置20の変形例の構成を示す側面図である。図2及び図3の実施形態では、MEMS圧力センサ30を関節J3の下側先端部に取り付けて5関節リンク機構21により−Y方向で例えば手首などの血管8に対して圧力を印加している。これに対して、図17の第3の変形例では、5関節リンク機構21を上下逆に配置し、MEMS圧力センサ30を関節J3の下側先端部(図2及び図3とは反対側)に取り付けて、関節J3を図2及び図3とは逆の方向(図17の−Y方向)で例えば手首などの血管8に対して圧力を印加してもよい。当該変形例では、5関節リンク機構21の固定端側でカフなどを用いて例えば手首などに固定できるという利点がある。
図18Aは本発明の第4の変形例に係る、圧力アクチュエータ36及びMEMS圧力センサ30を備えた脈波及び圧力検出印加装置20Cの構成を示す縦断面図である。図18Aは図16Aの変形例であって、図16Aでは、充填材38を充填した筐体37内に圧力アクチュエータ36の直下にMEMS圧力センサ30を設けて圧力アクチュエータ36からMEMS圧力センサ30を介して血管8に対して圧力36fを印加し、MEMS圧力センサ30は圧力アクチュエータ36からの圧力36fを直接に検出している。これに対して、図18Aの第4の変形例では、ジェル38Aを充填したジェルシート(ジェル38Aを内蔵できる袋形状のシートをいう。)37A内に圧力アクチュエータ36に並置してMEMS圧力センサ30を設けて圧力アクチュエータ36からジェル38Aを介して又は直接的に血管8に対して圧力36fを印加し、MEMS圧力センサ30は圧力アクチュエータ36からの圧力36fのうちの一部の圧力36faをジェル38Aを介して間接的に検出してもよい。この場合において、当該一部の圧力については圧力36fのうちどれぐらいの圧力が分散して印加されるかは予め測定されて校正される。
図18Bは本発明の第5の変形例で係る、被験者などの人間の指尖部9で押圧するMEMS圧力センサ30を備えた脈波及び圧力検出印加装置20Dの構成を示す縦断面図である。図18Bは図16Bの変形例であって、図16Bでは、充填材38を充填した筐体37内にMEMS圧力センサ30を設けて指尖部9から押圧部37aを介して血管8に対して圧力9fを印加し、MEMS圧力センサ30は指尖部9からの圧力9fを直接に検出している。これに対して、図18Bの第5の変形例では、ジェル38Aを充填したジェルシート37A内に押圧部37aの直下ではないその近傍にMEMS圧力センサ30を設けて指尖部9からジェル38Aを介して又は直接的に血管8に対して圧力9fを印加し、MEMS圧力センサ30は圧力アクチュエータ36からの圧力9fのうちの一部の圧力9faをジェル38Aを介して間接的に検出してもよい。この場合において、当該一部の圧力については圧力36fのうちどれぐらいの圧力が分散して印加されるかは予め測定されて校正される。
第2の実施形態.
図19は本発明の第2の実施形態に係る血圧測定装置に用いる脈波及び圧力検出印加装置20Eを手首の橈骨動脈部7に装着したときの斜視図である。図19において、脈波及び圧力検出印加装置20Eは、
(1)第1の実施形態に係る5関節リンク機構21を備え血管脈波信号を測定するMEMS圧力センサ30と、
(2)MEMS圧力センサ30の近傍に設けられ、予め圧力値が校正されかつ装置コントローラ50により制御される5関節リンク機構21により手首の橈骨動脈部7に対して応力を印加したときの圧力値を測定する校正圧力センサ(例えばMEMS圧力センサ、歪み圧力センサなどで構成される)39と
を備えて構成し、第2の実施形態では、これら2つの圧力センサ30,39を用いて血圧測定処理を行うことを特徴とする。ここで、5関節リンク機構21は、印加する圧力値を所定の加圧速度又は減圧速度で制御可能な圧力印加機構であり、装置コントローラ50によりその圧力値が制御される。その他の構成は第1の実施形態と同様である。なお、校正圧力センサ39の配置は5関節リンク機構21により押圧される応力を検知できれば、直接的又は間接的(図18Aと同様)に圧力を検知できる構成でよい。
図20は図19の血圧測定装置によって実行される血圧測定処理のタイミングチャートである。また、図21は図19の血圧測定装置の装置コントローラ50(図1)によって実行される血圧測定処理のフローチャートである。以下、図20及び図21を参照して第2の実施形態に係る血圧測定処理について説明する。なお、図20において、上段の血管脈波信号は、脈波及び圧力検出印加装置20EのMEMS圧力センサ30からの出力電圧(以下、脈波電圧値という。)Voutを示し、下段の脈圧は、校正圧力センサ39からの脈圧値Ppreを示す。
図20及び図21を参照すれば、時刻t11からのステップS41において、定常脈波の事前測定処理を実行することにより、脈波電圧値Voutに基づいて、最大脈波電圧値Vmax、最小脈波電圧値Vmin、定常電圧振幅Vd(=Vmax−Vmin)及び1拍時間T1(血管脈波信号の周期)を測定して内部メモリ50mに記憶する。ここで、これらの各値は複数拍の血管脈波信号について平均値を測定することで精度を上げることが好ましい。次いで、時刻t12からのステップS42において、5関節リンク機構21を用いて手首の橈骨動脈部7に対して所定の加圧速度(時間に対する加圧時の圧力値の傾きをいう。また、時間に対する減圧時の圧力値の傾きを減圧速度という。)で加圧し、時刻t13での脈波消失(血管脈波信号の電圧値Voutが実質的に0となったとき、もしくは、血管脈波信号の最小電圧値Vminの周期Tintが所定のしきい値内にないときをいう。)までステップS43の判断処理を実行しながら加圧処理(S42)を実行する。時刻t13のステップS43でYESであれば当該加圧処理を停止させた後、5関節リンク機構21を用いて所定の最大血圧設定値Pmaxsetから所定の減圧速度Gr1で減圧を行う。このとき、減圧はリニアに減圧する(リニア減圧法という。)よりも段階的にステップ減圧(ステップ減圧法という。)することが好ましい。ここで、好ましくは1拍時間(又はその整数倍)の時間期間において圧力値を一定値に設定した後、順次減圧し、時刻t14において血管脈波信号の脈波が再開したとき(S45でYES;血管脈波信号の電圧値Voutが実質的に0を超えて例えば0.01Vなど測定可能単位電圧以上となったとき、もしくは血管脈波信号の最小電圧値Vminの周期Tintが所定のしきい値内にはいったときをいう。)、その直前の校正圧力センサ39からの脈圧値Ppreを最大血圧値Pmaxとして測定して内部メモリ50mに記憶する(S46)。従って、ステップ減圧法により所定期間、圧力値を固定して最大血圧値Pmaxを測定するので、最大血圧値Vmaxの測定の精度を、リニアに連続的に減圧するよりも向上させることができる。
上記ステップS45の後、ステップS47の減圧処理を開始し、例えばリニア減圧法(ステップ減圧法でもよいが、リニア減圧法の方が所要時間は短縮できる)で所定の減圧速度Gr2で減圧を行う。当該減圧処理は、最大血圧値Pmaxから最小血圧値Pminまで減圧するときに減圧速度を考慮したときに係る時間の70%〜80%程度の時間期間行う。その後の時刻t15で減圧速度Gr3でのステップ減圧法に変更してステップS48の判断処理を行う。ステップS48では、血管脈波信号の脈波電圧値Voutが定常電圧振幅Vdになったか否か(実際には、VoutがVd±ΔVd内に入ったか否か:ここで、ΔVdは判断のための微小範囲である。)を判断する。ステップS48でYESであれば、そのときに最小血圧になったと判断して校正圧力センサ39からの脈圧値Ppreを最小血圧値Pminとして測定して内部メモリ50mに記憶する(S49)。以上により、最高血圧値Pmax及び最小血圧値Pminを測定して例えば表示部60に表示できる。従って、ステップ減圧法により所定期間、圧力値を固定して最小血圧値Pminを測定するので、最小血圧値Vminの測定の精度を、リニアに連続的に減圧するよりも向上させることができる。さらに、ステップS50において、次式を用いて校正値aを計算して設定し、装置コントローラ50の内部メモリ50m(図1)に格納する。脈波電圧値Voutに当該校正値aを乗算することにより、リアルタイムに血圧値を表示できる。
a=(Pmax−Pmin)/(Vmax−Vmin) (6)
図20の減圧処理において、各減圧速度Gr1,Gr2,Gr3は、Gr2>Gr1=Gr3の関係で設定することで、より早く最小血圧値Pminを測定でき、血圧測定全体の時間を短縮できる。ここで、減圧速度Gr1及びGr3を互いに異なるように設定してもよいし、Gr1=Gr2=Gr3と設定してもよい。さらに、減圧速度Gr1,Gr3は、以下のごとく、血管脈波信号の1拍時間T1の長さに応じて変更して設定することが好ましい。
(1)1拍時間T1が長くなるとき、減圧速度を小さくする。
(2)1拍時間T1が短くなるとき、減圧速度を大きくする。
すなわち、1拍時間T1と減圧速度との関係が反比例の関係となるように減圧速度を設定する。
実際には、例えば、所定のしきい値時間T1th1,T1th2(T1th1>T1th2)及び所定の減圧速度値Grp1,Grp2,Grp3(Grp1<Grp2<Grp3)を設定し、
(A)T1>T1th1のとき、減圧速度を所定値Grp1に設定する。
(B)T1th1≧T1≧T1th2のとき、減圧速度を所定値Grp2に設定する。
(C)T1<T1th2のとき、減圧速度を所定値Grp3に設定する。
以上説明したように、血管脈波信号の1拍時間T1の長さに応じて減圧速度を設定することで、最大血圧値Pmax及び最小血圧値Pminを従来技術に比較して高精度で測定できる。
図22は図19の血圧測定装置において、血管脈波信号から減圧ステップ指示信号を発生するための回路の構成を示すブロック図である。図20の血圧測定処理において、ステップS44及びS47の減圧処理において、2つのステップ減圧法による減圧を実行するが、このとき、ステップ減圧の減圧周期を、血管脈波信号の周期に同期させることで、最大血圧値Pmax及び最小血圧値Pminを従来技術に比較して高精度で測定できる。具体的には、脈波及び圧力検出印加装置20Eからの血管脈波信号の出力電圧Voutを、電圧増幅器32により増幅した後、クロック再生回路71により血管脈波信号に同期するクロック信号を再生し、これを減圧ステップ信号として用いる。当該減圧ステップ信号に同期させて、5関節リンク機構21のステッピングモータM1,M2を動作させることで、ステップS44及びS47の減圧処理を行う。
以上の血圧測定装置において、ステップ減圧を最大血圧値Pmaxの測定時及び最小血圧値Pminの測定時に行っているが、本発明はこれに限らず、少なくとも一方のみにステップ減圧を行ってもよい。
第2の実施形態の変形例.
図23は第2の実施形態の変形例に係る血圧測定装置によって実行される血圧測定処理のタイミングチャートである。また、図24は第2の実施形態の変形例に係る血圧測定装置の装置コントローラ50(図1)によって実行される血圧測定処理のフローチャートである。第2の実施形態の変形例に係る血圧測定処理は、図21及び図22の第2の実施形態に係る血圧測定処理に比較して、以下の点が異なる。
(1)ステップS41の事前測定処理に代えて、ステップS41Aにおいて事前測定演算処理を行う。すなわち、校正値aが事前に計算された(もしくは事前に圧力値が校正された)MEMS圧力センサ30を用いて、最大脈波電圧値Vmax、最小脈波電圧値Vmin、定常電圧振幅Vd(=Vmax−Vmin)及び1拍時間T1(血管脈波信号の周期)に加えて、最大圧力値Pmaxpre及び最小圧力値Pminpreを演算する。次いで、ステップS42〜S46の処理は図21と同様に実行される。
(2)ステップS47〜S50に代えて、ステップS51及びS50の処理を実行する。ステップS51において、最大血圧値Pmaxに基づく最小血圧値Pminの演算処理を行う。なお、ステップS50の処理は図21と同様に実行される。
以下、相違点について詳述する。
ステップ41Aでは、校正値aが事前に計算された(もしくは事前に圧力値が校正された)MEMS圧力センサ30を用いて、最大脈波電圧値Vmax、最小脈波電圧値Vmin、定常電圧振幅Vd(=Vmax−Vmin)及び1拍時間T1(血管脈波信号の周期)を測定した後、次式を用いて、最大圧力値Pmaxpre及び最小圧力値Pminpreを演算する。なお、校正値aは事前の血圧測定処理のステップS50において演算された値であってもよいし、事前の校正処理において演算された校正値aを用いてもよい。
Pmaxpre=a×Vmax (7)
Pminpre=a×Vmin (8)
ステップS51では、ステップS46において測定された最大血圧値Pmaxと、ステップS41Aにおいて演算された最大圧力値Pmaxpre及び最小圧力値Pminpreとに基づいて、次式を用いて、血圧オフセット値Poffset及び最小血圧値Pminを推定演算して、測定された最大血圧値Pmax及び推定演算された最小血圧値Pminを表示部60に出力して表示する。
Pmin=Pminpre+Poffset (9)
Poffset=Pmax−Pmaxpre (10)
以上のように構成された第2の実施形態の変形例によれば、最小血圧値Pminを測定しないで推定演算できるので、第2の実施形態に比較して高速で最大血圧値Pmax及び最小血圧値Pminを測定することができる。なお、ステップS44の減圧処理における減圧ステップ及び減圧速度については、第2の実施形態と同様に設定することで高精度に最大血圧値Pmaxを測定できる。
第3の実施形態.
図25は本発明の第3の実施形態に係る血圧測定装置に用いる脈波及び圧力検出印加装置20Fを手首の橈骨動脈部7に装着したときの斜視図である。図25において、第3の実施形態に係る血圧測定装置では、図19の第2の実施形態に比較して、血管脈波信号を測定するために光探触子回路120を用いたことを特徴としている。その他の構成は第2の実施形態及びその変形例と同様であり、血圧測定処理も同様に実行する。
図26は図25の光探触子回路120内の反射型光探触子112の構成を示す側面図である。図26において、光探触子112は、所定の保持部113に発光素子114と受光素子116とが回路基板118に取り付けられて配置されて構成される。保持部113は、回路基板118を内蔵し、発光素子114の光放射部と、受光素子116の光検出部とを表面に突き出して配置する部材で、例えば適当なプラスチック材料を成形してなる。発光素子114としては、発光ダイオード(Light Emission Diode: LED)を用いることができ、例えば赤外LEDが用いられる。また、受光素子116としては、フォトダイオード又はフォトトランジスタを用いられる。
発光素子114と受光素子116とは、近接して配置されることが好ましいが、発光素子114からの光が受光素子116に直接入らないように、間に遮光璧を設ける等の構造的工夫をすることが好ましい。あるいは、レンズを発光素子114と受光素子116に設け、指向性を高めることもよい。図26の例では、発光素子114と受光素子116が1つずつ設けられているが、複数の発光素子114、複数の受光素子116を設けるものとしてもよい。また、受光素子116の周りを複数の発光素子114で囲むように配置してもよい。光探触子112には、図示されていない適当なバンド、テープ等で被測定者6の血管8の脈拍の検出に適した部位に取り付けられる。図26では、光探触子112が手首の橈骨動脈部7に取り付けられる様子が示されているが、これ以外に、腕の肘部の内側に対応する上腕動脈部、指尖部、心臓の近傍等の部位に光探触子112を取り付けてもよい。
図27は図25の光探触子回路120の構成を示す回路図である。図27において、光探触子回路120は、発光素子114に対する駆動回路と、受光素子116に対する検出回路とにより構成され、検出回路からの出力信号を直接に駆動回路に入力させることで同期帰還させて自励発振回路を構成する。
発光素子114に対する駆動回路としては、電源電圧Vccと接地の間に発光素子114と駆動トランジスタ124とを直列に接続して駆動トランジスタ124の制御端子であるベースを所定のバイアス条件とする構成が用いられる。この構成において、駆動トランジスタ124のベースヘの入力信号がハイとなると、駆動トランジスタ124がオンして、発光素子114に駆動電流が流れる。これによって発光素子114が発光し、その光が皮膚を介して血管8に向けて放射される。また、受光素子116のための検出回路としては、正の電源電圧Vccと負の電源電圧−Vccとの間に負荷抵抗122とトランジスタ123と受光素子116とが直列に接続される構成が用いられる。この構成において、発光素子114の光によって照射された血管8からの反射光(透過光)を皮膚を介して受光素子11が受光することで、受光素子116に光電流が発生する。その光電流の大きさは、負荷抵抗122に流れる電流の大きさに対応する出力電圧Voutの信号(出力電圧信号)として出力される。なお、出力電圧Voutの信号は自励発振信号であるので交流信号である。
上記自励発振回路を構成する光探触子回路120からの出力電圧信号は、図1と同様に、増幅器30及びA/D変換器31を介して装置コントローラ50に出力される。このように、発光素子114から光が血管8(正確には、例えば酸化ヘモグロンビンを含む血液が充填された血管の血管壁)により放射され、血管8からの反射光を受光素子116が受け取る場合には、発光素子114から受光素子116に直接入射する光の影響がないものとして、光探触子回路120からの出力電圧信号は光の伝搬距離(発光素子114から放射された光が受光素子116に到達するまでの距離をいう。)に応じて出力電圧Voutが変化するので、血管8が脈動により変化すると、出力電圧Voutが変化し、すなわち、出力電圧Voutは脈動の変化に対応して変化する。
特許文献1〜3などの従来技術では、大きな出力電圧の変化を得ることができなかったために、その周波数変化を電圧変化に変換して、脈動の変化を検出していたが、本実施形態では、図27に示すように、光探触子回路120内の検出回路の出力信号を直接に駆動回路の入力信号として同期帰還させて自励発振させて自励発振信号を発生させ、出力電圧Vout(交流信号である自励発振信号の振幅幅(変化量))が実質的に最大となるように制御して設定することで、脈動波形をきわめて簡単に得ることができる。
以上の第3の実施形態に係る血圧測定装置では、光探触子回路120を用いて血管脈波信号を測定するとともに、校正圧力センサ39を用いて脈圧を測定することで、第2の実施形態及びその変形例と同様に血圧測定処理を実行できる。特に、第3の実施形態では、従来技術に比較して、減圧処理におけるステップ減圧及び高速測定(第2の実施形態の変形例における、最大血圧Pmaxに基づく最小血圧Pminの演算及び測定)については新規性及び進歩性を有するものである。
第2及び第3の実施形態の変形例.
図19において、脈波及び圧力検出印加装置20EのMEMS圧力センサ30に対して、5関節リンク機構21により圧力が印加されるが、本発明はこれに限らず、5関節リンク機構21に代えて、図16Aのように圧力アクチュエータ36により圧力を印加してもよい。
図25において、脈波及び圧力検出印加装置20Fの光探触子回路120に対して、5関節リンク機構21により圧力が印加されるが、本発明はこれに限らず、5関節リンク機構21に代えて、図16Aのように圧力アクチュエータ36により圧力を印加してもよい。
第4の実施形態.
図28は本発明の第4の実施形態に係る睡眠状態モニタリングシステム10Aの構成を示すブロック図である。睡眠状態モニタリングシステム10Aは、図1の血管脈波測定システム10に比較して以下の点が異なる。
(1)手首の橈骨動脈部7に脈波及び圧力検出印加装置20Eに装着し、指尖部9に光探触子回路120を装着したこと。
(2)装置コントローラ50に代えて、覚醒状態/睡眠状態判別処理モジュール53Aを有する装置コントローラ50Aを備えたこと。覚醒状態/睡眠状態判別処理モジュール53Aは、図30の覚醒状態/睡眠状態判別処理を実行することにより、人体の被測定者6が覚醒状態であるか睡眠状態であるかを判別して表示部60Aに表示する。
(3)表示部60に代えて、表示部60Aを備えたこと。表示部60Aは、各表示6163に加えて、脳波表示64と、覚醒状態を示す発光ダイオード(LED)65と、睡眠状態を示す発光ダイオード(LED)66とを備える。
(4)人体の被測定者6の頭部に複数の脳波電極70aを装着し、複数の脳波電極70aからの各脳波信号に基づいて複数の脳波を測定する脳波計70を設けたこと。脳波計70からの複数の脳波信号は装置コントローラ50Aを介して表示部60Aに伝送されて脳波表示64に表示される。
なお、図30の覚醒状態/睡眠状態判別処理における最大血圧値P1,P2の測定方法は、第2及び第3の実施形態もしくは変形例で説明した血圧測定方法を用いる。
図29は図28の睡眠状態モニタリングシステム10Aに用いる、脈波及び圧力検出印加装置20Eを手首の橈骨動脈部7に装着しかつ光探触子回路120を指尖部9に装着したときの斜視図である。図19を参照して詳細説明した脈波及び圧力検出印加装置20Eにおいて、MEMS圧力センサ30は5関節リンク機構21を備え、血管脈波信号を発生して装置コントローラ50Aに出力する。また、校正圧力センサ(例えばMEMS圧力センサ、歪み圧力センサなどで構成される)39は予め圧力値が校正されかつ装置コントローラ50により制御される5関節リンク機構21により手首の橈骨動脈部7に対して応力を印加したときの圧力値を測定して当該圧力値を示し信号を装置コントローラ50Aに出力する。光探触子回路120(図25及び図26参照)は指尖部9の指尖脈波信号を検出して装置コントローラ50Aに出力する。
装置コントローラ50Aは、第2の実施形態と同様の血圧測定方法により、MEMS圧力センサ30からの橈骨動脈部7の脈波信号と、校正圧力センサ39からの圧力値とに基づいて、橈骨動脈部7の最大血圧値P1を測定することができる。また、装置コントローラ50Aは、第3の実施形態と同様の血圧測定方法により、光探触子回路120からの指尖脈波信号に基づいて指尖部9の最大血圧値P2を測定することができる。
図30は図28の装置コントローラ50Aにより実行される覚醒/睡眠状態判別処理を示すフローチャートである。
図30のステップS61において、直近の所定周期分(例えば21周期分)の脈波波形データをバッファメモリに格納する。次いで、ステップS62において、脈波波形データに基づいて、橈骨動脈部7の脈波信号に基づく最大血圧値P1を測定し、指尖脈波信号に基づく最大血圧値P2を測定し、ステップS63において、所定の時間期間(例えば2〜5周期)において最大血圧値P1が所定のしきい値Pth1以上増加しているときに最大血圧値P2が所定のしきい値Pth2以上減少しているか否かが判断され、YESのときはステップS64に進む一方、NOのときはステップS65に進む。ステップ64では、人体の被測定者6は覚醒状態と判断して発光ダイオード(LED)65を点灯させ、ステップS61に戻る。ステップS65において所定の時間期間(例えば2〜5周期)において、最大血圧値P1が上記しきい値Pth1(上記しきい値Pth1とは異なるしきい値であってもよい)以上増加しているときに最大血圧値P2が所定のしきい値Pth3以上増加しているか否か、もしくは、最大血圧値P1が上記しきい値Pth1(上記しきい値Pth1とは異なるしきい値であってもよい)以上減少しているときに最大血圧値P2が上記しきい値Pth3(上記しきい値Pth3とは異なるしきい値であってもよい)以上減少しているか否かが判断され、YESのときはステップS66に進む一方、NOのときはステップS61に戻る。ステップS66において人体の被測定者6は睡眠状態と判断して発光ダイオード(LED)65を点灯させ、ステップS61に戻る。
以上のように構成された睡眠状態モニタリングシステムでは、脳波、及び血圧(圧力センサによる脈圧モニタリング)と、指尖部9と手首の橈骨動脈部7の2カ所の脈波信号(光センサによる脈波モニタリング)の同期測定により、測定機能一体型の小型簡易睡眠状態監視装置を構成できる。ここで、「脳波の覚醒状態・睡眠状態(脳波計70)」と、「手首の橈骨動脈の血圧(MEMS圧力センサ30又は変形例に係る光センサ)」と、「指先の毛細血管の血圧(光センサ)」を同期比較することで、脳波の覚醒時と睡眠時の差異パターンを検出することができる。脳波が睡眠中を示す場合は、手首の橈骨動脈部7及び指尖部9の最大血圧値P1,P2は連動し、すなわち、最大血圧値P1が増加すれば最大血圧値P2も増加し、もしくは、最大血圧値P1が減少すれば最大血圧値P2も減少する。一方、脳波が覚醒中を示す場合は、最大血圧値P1,P2が連動せず、最大血圧値P1が増加するが、最大血圧値P2は減少するパターンとなる。これらの知見は発明者が発見したものであり、その知見に基づいて本実施形態に係る睡眠状態モニタリングシステムを発明した。以上のようにして、最大血圧値P1,P2に基づいて人体の被測定者6が覚醒状態か睡眠状態かを判別することができる。
以上の図28の睡眠状態モニタリングシステム10Aにおいて、脳波電極70a、脳波計70及びそれに付随する回路及び脳波表示64については、省略してもよい。
また、図28の睡眠状態モニタリングシステム10Aでは、覚醒状態のときに発光ダイオード65を点灯させ、睡眠状態のときに発光ダイオード66を点灯させるように表示しているが、本発明はこれに限らず、音、音声又は振動により通知し、もしくは外部回路にそれを示すデータを出力するなど報知してもよい。
図31は図29の変形例であって、図28の睡眠状態モニタリングシステムに用いる、脈波及び圧力検出印加装置20Fを手首の橈骨動脈部7に装着しかつ光探触子回路120を指尖部9に装着したときの斜視図である。すなわち、図29において、図19の脈波及び圧力検出印加装置20Eに代えて、図25の脈波及び圧力検出印加装置20Fを用いてもよい。これにより、脈波及び圧力検出印加装置20Fからの橈骨動脈部7の脈波信号に基づいて、装置コントローラ50Aは橈骨動脈部7の最大血圧値P1を測定することができる。
図32は、図16Aの変形例であって、図32(a)は圧力アクチュエータ36及びMEMS圧力センサ30を備えた脈波及び圧力検出印加装置20AAの構成を示す縦断面図であり、図32(b)は脈波及び圧力検出印加装置20AAの下面図である。図32において、円形孔37cを有する筐体基板37S上に筐体37が形成される。筐体基板37Sの下面には粘着シート40が貼付され、円形孔40cを有し厚さ0.5mm〜1mmの粘着シート40の下面40aは手首の橈骨動脈部7の皮膚に密着される。実施例において、円形孔37cの直径は1mmであり、円形孔40cの直径は3mmであり、粘着シート40は4mm×4mmのサイズを有する。ここで、MEMS圧力センサ30の下面のダイアフラム30dと、円形孔37c,40cとが実質的に同心円となるように形成される。また、MEMS圧力センサ30より面積が大きい粘着シート40を用いることで人体の皮膚に確実に接着される。
以上のように構成された脈波及び圧力検出印加装置20AAにおいて、MEMS圧力センサ30よりも面積が大きい粘着シート40に円形孔(空気孔40cを形成し、手首の橈骨動脈部7からの脈圧を円形孔37c,40cにより形成された空間41を介して、MEMS圧力センサ30のダイアフラム30dに伝達させる。これにより、橈骨動脈部7が円形孔37c,40cの中心から若干ずれても、MEMS圧力センサ30の位置の余裕度を大きくすることができ、橈骨動脈部7からの脈圧を確実に得ることができる。なお、粘着シート40の代わりにゲルシート等の圧力伝達媒体を使用してもよい。
従来技術と本発明に係る血管脈波測定システムとの相違点について.
本発明に係る血管脈波測定法は、従来技術に係る容積振動法(例えば、特許文献5参照。)や超音波を用いた方法(例えば、特許文献6、非特許文献1参照。)などとは全く異なる原理に基づく測定方法であって、MEMS圧力センサ30とホイーストンブリッジ回路15とを組合せて、いわば「MEMS圧力センサ及びホイーストンブリッジ法」と呼ぶ非侵襲的測定方法である。本発明によれば以下の特有の作用効果を有する。
(1)本発明は、血管脈波の振動のみならず、従来技術に係る非侵襲的測定方法では取得しえなかった、覚醒反応による交感神経活動上昇と抹消の血管抵抗の一時的上昇、その後反射的な血管拡張による脈圧低下、並びに、無呼吸による交感神経活動の過剰上昇などの血圧値のベースライン(電圧信号DCレベル)の変化(脈動波形信号のデータ)をも測定でき、しかも装置構成が簡単でしかもサイズが極めて小さい、MEMS圧力センサ30を含む脈波及び圧力検出印加装置20,20A,20Bを用いて血管脈波測定システムを実現できるという特有の作用効果を有している。
(2)また、上記脈波波形信号のデータを用いて、従来技術に比較して簡単な構成でかつ高精度で、無呼吸状態などの呼吸異常を検出することができる。
(3)さらに、上記脈波波形信号のデータを用いて、従来技術に比較して極めて簡単な校正でかつ高精度で、血管脈波信号の血圧値電圧を血圧値に変換するように校正することができる。
非特許文献1では、動脈系内の血管脈波の強度(Wave Intensity)の超音波計測について説明されており、その図2.44は、ヒトの総頸動脈において、超音波エコートラッキング法で測定した血管径変化波形とカテーテル先端圧力計で測定した血管波形を示し、両者の関係は一心周期全体で完全に相似とはいえないが、実用上十分な制度で相似とみなすことができる。特に、血管脈波の強度(Wave Intensity)が定義される駆出期ではほぼ完全に相似である。本発明に係る血管脈波測定法でも、光の発振信号を用いて血管径変化波形(血管脈波)を得ることができる。
以上詳述したように、本発明に係る睡眠状態モニタリングシステムは、橈骨動脈部7の最大血圧値P1と、指尖部9の最大血圧値P2を測定して、それらの測定値の増加又は減少パターンに基づいて、脳波計70を用いずに、人体の被測定者6が覚醒状態か睡眠状態かを判別することができる。
6…被測定者、
7…橈骨動脈部、
9…指尖部、
10…血管脈波測定システム、
10A…睡眠状態モニタリングシステム、
11…直流電圧源、
12…MEMS圧力センサ抵抗、
15…ホイーストンブリッジ回路、
20,20A,20B,20C,20D,20E,20F…脈波及び圧力検出印加装置、
21…5関節リンク機構、
22…筐体、
22a,22b…軸受け孔、
30…MEMS圧力センサ、
30A…増幅器、
30d…ダイアフラム、
31−1〜31−N…単位センサ回路、
32…電圧増幅器、
33…A/D変換器、
34…制御信号線、
36…圧力アクチュエータ、
37…筐体、
37A…ジェルシート、
37S…筐体基板、
38…充填材、
38A…ジェル、
39…校正圧力センサ、
40…粘着シート、
50…装置コントローラ、
50m…内部メモリ、
51…血管脈波測定処理モジュール、
52…血圧値校正処理モジュール、
53…睡眠状態判別処理モジュール、
53A…覚醒状態/睡眠状態判別処理モジュール、
60…表示部、
61,62…脈動波形表示、
63…血管脈波測定値表示、
64…脳波表示、
65,66…発光ダイオード(LED)、
70…脳波計、
70a…脳波電極、
71…クロック再生回路、
112…光探触子、
113…保持部、
114…発光素子、
116…受光素子、
118…回路基板、
120…光探触子回路、
122…負荷抵抗、
124…駆動トランジスタ、
125…センサコントローラ、
126…距離選択スイッチ、
127…素子選択スイッチ、
130…増幅器、
J1〜J5…関節、
L1〜L4…リンク、
M1,M2…ステッピングモータ。

Claims (5)

  1. 人体の橈骨動脈部の血管上の皮膚を介して設けられ当該血管に流れる脈波の圧力変化を検出して血管脈波信号の電圧値として測定する第1の圧力センサと、
    印加する圧力値を制御可能な圧力印加機構と、
    上記第1の圧力センサの近傍に設けられ、圧力値が予め校正されかつ上記圧力印加機構により第2の圧力センサ及び上記皮膚を介して上記血管に対して応力を印加するときの圧力値を検出する第2の圧力センサと、
    上記人体の指尖部の血管上の皮膚を介して設けられ当該血管に流れる脈波の圧力変化を検出して血管脈波信号の電圧値として測定する第3のセンサと、
    上記各血管脈波信号及び上記検出される圧力値に基づいて、上記橈骨動脈部の第1の最大血圧値及び上記指尖部の第2の最大血圧値を測定する制御手段とを備える睡眠状態モニタリングシステムであって、
    上記制御手段は、
    (A)所定の時間期間において上記第1の最大血圧値が所定の第1のしきい値以上増加しているときに上記第2の最大血圧値が所定の第2のしきい値以上減少しているときに、上記人体が覚醒状態であると判断し、
    (B)上記時間期間において、上記第1の最大血圧値が上記第1のしきい値以上増加しているときに上記第2の最大血圧値が所定の第3のしきい値以上増加し、もしくは、上記第1の最大血圧値が上記しきい値以上減少しているときに上記第2の最大血圧値が上記第3のしきい値以上減少しているとき、上記人体が睡眠状態であると判断することを特徴とする睡眠状態モニタリングシステム。
  2. 上記判断結果を報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の睡眠状態モニタリングシステム。
  3. 上記人体の脳波を測定して表示する脳波測定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2記載の睡眠状態モニタリングシステム。
  4. 上記第1及び第2の圧力センサはそれぞれ、上記血管に流れる脈波の圧力変化を抵抗値変化として検出するMEMS圧力センサであり、
    上記第3のセンサは、
    皮膚を介して血管に光を放射する発光素子と、上記血管からの反射光又は上記血管を介した透過光を皮膚を介して受光する受光素子とを含む光探触子と、
    入力される駆動信号に基づいて上記発光素子を駆動する駆動回路と、
    上記受光素子により受光された光を電気信号に変換して上記駆動信号として出力する検出回路とを備えた光探触子回路を用いて構成された光センサであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の睡眠状態モニタリングシステム。
  5. 上記第1の圧力センサ及び第3のセンサはそれぞれ、
    皮膚を介して血管に光を放射する発光素子と、上記血管からの反射光又は上記血管を介した透過光を皮膚を介して受光する受光素子とを含む光探触子と、
    入力される駆動信号に基づいて上記発光素子を駆動する駆動回路と、
    上記受光素子により受光された光を電気信号に変換して上記駆動信号として出力する検出回路とを備えた光探触子回路を用いて構成された光センサであり、
    上記第2の圧力センサは、上記血管に流れる脈波の圧力変化を抵抗値変化として検出するMEMS圧力センサであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の睡眠状態モニタリングシステム。
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