JP6058176B2 - エレベーター装置 - Google Patents

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Description

本発明は、非常時にかごを非常停止させるエレベーター装置に関するものである。
エレベーター装置において、昇降路の上下方向全域にガバナロープを張り、ガバナロープとかごとを非常止め装置で接続して、非常時にかごを停止させる機能を持ったものがある。かごを吊しているメインロープが破断すると、かごとガバナとの間で加速度の差が生じ、楔状体の摺動部が一定の距離以上引き上げられることでガイドレールと楔状体との間に摩擦を発生させ、かごを停止させる。(例えば特許文献1参照)
WO2012/059970
従来のエレベーター装置は、かごの動きに関連して動作するガバナロープなどの質量体を備えており、これにより、停止状態、加速状態、定速走行状態、減速状態のすべてにおいて、通常状態の加速度に比べて所定の加速度差を超えたときに非常止め装置が動作する。そのため、所定の加速度差を小さな値に設定した場合、非常止め装置を短時間で動作させることができるが、乗りかごのゆすり等によりかごが上下に振動した場合に非常止め装置を誤動作させてしまうという問題があった。
本発明は前記のような問題を解決するためになされたもので、非常止め装置の短時間での動作が必要とされる最下階近傍では非常止め装置を短時間で動作させ、かごが最下階から遠いときには非常止め装置の誤動作発生を抑制することを目的としている。
本発明によるエレベーター装置は、昇降体の非常停止を行う非常止め装置を備え、非常止め装置は昇降体とガバナロープとの加速度差が発生したときに制動子が引き上げ距離以上引き上げられガイドレールに押圧されることにより昇降体の非常停止を行う楔状体と、制動子の引き上げを阻止する方向に押圧力を持ったばねと、昇降体が最下階近傍にあるときに非常停止時間調整端の位置を変更して非常停止に要する時間を短くする非常停止時間調整部とを備えるものである。
本発明によれば、昇降体の非常停止を行う非常止め装置を備え、非常止め装置は昇降体とガバナロープとの加速度差が発生したときに制動子が引き上げ距離以上引き上げられガイドレールに押圧されることにより昇降体の非常停止を行う楔状体と、制動子の引き上げを阻止する方向に押圧力を持ったばねと、昇降体が最下階近傍にあるときに非常停止時間調整端の位置を変更して非常停止に要する時間を短くする非常停止時間調整部とを備えているので、非常止め装置の短時間での動作が必要とされる最下階近傍では非常止め装置を短時間で動作させ、かごが最下階から遠いときには非常止め装置の誤動作発生を抑制することを、簡易な構成で実現することができる。
本発明の実施の形態1によるエレベーター装置の構成図である。 本発明の実施の形態1によるエレベーター装置の一部を示した構成図である。 本発明の実施の形態1による楔状体の構成図である。 本発明の実施の形態1による非常止め装置の構成図である。 本発明の実施の形態1おけるかごの位置とばねのばね力との関係を示す図である。 本発明の実施の形態1による非常止め装置の構成図である。 本発明の実施の形態1による非常止め装置の構成図である。 本発明の実施の形態1おけるかごの位置とばねのばね力との関係を示す図である。 本発明の実施の形態2による非常止め装置の構成図である。 本発明の実施の形態3による非常止め装置の構成図である。 本発明の実施の形態4によるエレベーター装置の構成図である。 本発明の実施の形態4によるエレベーター装置の一部を示した構成図である。 本発明の実施の形態4による非常止め装置の構成図である。 本発明の実施の形態4によるエレベーター装置の一部を示した構成図である。 本発明の実施の形態5によるエレベーター装置の構成図である。 本発明の実施の形態6によるエレベーター装置の構成図である。 本発明の実施の形態7によるエレベーター装置の構成図である。
実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1によるエレベーター装置の一例を示したものである。図1に示されたエレベーター装置は、1:1ローピング構成である。昇降路1の上部には、機械室2が設けられている。昇降路1の内部には、かご3および釣合おもり4が懸吊体5によってつり下げられており、かご3はガイドレール6に沿って昇降路1の内部を昇降する。懸吊体5としては、例えば、ロープやベルトなどが用いられる。
かご3は、かご枠と、かご枠に支持されたかご室とを、有している。釣合おもり4は、おもり枠と、おもり枠に支持された複数のおもりブロックとを、有している。昇降路1には、かご3の近傍に、懸吊体5と平行にループ状のガバナロープ12が設置されている。なお、ガバナロープ12とは別のガバナロープを、釣合おもり4に接続して設置してもよい。
機械室2の内部には、かごを昇降させる駆動力を発生する巻上機8が設置されており、巻上機8には駆動綱車9が接続されている。懸吊体5は、駆動綱車9とそらせ車7とに連続的に巻きかけられており、駆動綱車9が回転することによりかご3および釣合おもり4が昇降路1の内部を上下に移動する。また、ガバナロープ12の上部には、調速機14が設置されている。
昇降路1の下端部には、かご3の下方に位置するかご緩衝器10と、釣合おもり4の下方に位置する釣合おもり緩衝器11とが、設置されている。
図2は、本発明の実施の形態1の昇降路1におけるかご3の拡大図を示したものである。ガバナロープ12は、非常止め装置13を介してかご3に接続されており、かご3の上下動に連動して上下に動く。非常止め装置13は、楔状体15、アーム16、ばね17と、後述するローラー18、ギア部19、ラックギア20とから構成される。楔状体15は、ガイドレール6を挟み込むように設置されている。アーム16は、ガバナロープ12と楔状体15とばね17とをつないでおり、かご3とガバナロープ12との上下位置の差に応じて回転する。
図3は、本発明の実施の形態1における楔状体15の構成図を示したものである。図2において、(a)は通常時の状態を示しており、(b)は非常止め装置作動時の状態を示している。楔状体15は、挟圧体22と制動子21から構成されている。制動子21は、アーム16に接続されている。通常時は、制動子21はレール6に接触しない位置ある。ガバナロープ12とかご3との間で上下位置に差が生じたとき、アーム16が回転し、それによってアーム16に接続された制動子21が挟圧体22の中で引き上げられる。制動子21が引き上げ距離dだけ引き上げられたとき、制動子21がガイドレール6を挟み込むことにより摩擦による制動力が発生し、非常停止の状態となる。
図3において、挟圧体22の位置を固定したまま制動子21の位置を実線で示された位置から点線で示された位置まで引き上げた場合、制動力が発生するために必要な制動子21の移動距離である引き上げ距離は、dからd’に短くなり、結果として非常停止に要する時間である非常停止時間が短くなる。以上のように、制動子21の非常止め装置作動前の位置を移動させることにより非常停止時間が調整できることから、制動子21の作動前の位置は非常停止時間調整端の一つである。本発明の実施の形態1においては、非常止め装置作動前は制動子21を移動させないものとする。
図4は、本発明の実施の形態1における非常止め装置13の構成図を示したものである。非常止め装置13は、ガバナロープ12に接続されたアーム16と、楔状体15と、ばね17と、ローラー18と、ギア部19と、ラックギア20とから構成される。アーム16は、支点23を中心に回転する。
ガバナロープ12とかご3との間で上下位置に差が生じかご3の方がガバナロープ12よりも下の位置に下がったとき、アーム16が支点23を中心に時計回りに回転する。その結果、楔状体15の制動子21が、上方向に移動する。例えば、走行中の巻上機8によるブレーキ動作や、かご3の内部の乗客によるかご揺すりなどで、ガバナロープ12とかご3との間で上下位置に差が生じ、楔状体15の制動子21が引き上げ距離dだけ引き上げられると、制動力が発生してしまい、非常止め装置13の誤動作が発生する。そこで、誤動作を阻止するために、ばね17がアーム16を反時計回りの方向に押すように設置されている。
かご3には、ガイドレール6と接触してかごの上下動に伴って回転するローラー18が設置されている。さらに、かご3には、ローラー18の回転を減速するギア部19、および、ギア部19の回転運動を直線運動に変換するラックギア20が備えられている。ばね17は、アーム16とラックギア20との間に予め押し込まれた状態で設置されている。ラックギア20は、かご3の上下位置に連動して左右に移動し、かご3が最下階に位置するときに最も右側に位置する。これにより、ばね17がアーム16を押す力は、かご3が
最下階に位置するときに最も弱くなる。
懸吊体5の破断等によりかご3が落下した場合、かご3は自由落下状態(下向きに1Gの加速度で移動)となるが、ガバナロープ12は自由落下状態とならないため、ガバナロープ12とかご3との間で加速度の差が生じる。この差によって、アーム16が支点23を中心に図4における時計回りに回転する。その結果、楔状体15の中の制動子21を引き上げる方向に力が加えられる。この力が、制動子21の重量とばね17のばね力を上回ると、制動子21が引き上げられる。制動子21が引き上げ距離dだけ引き上げられると、制動子21がガイドレール6に接触し、摩擦力によってかご3の自由落下が抑制される。
最下階近傍において懸吊体5の破断等によりかご3が落下し、非常止め装置13により十分に減速する前にかご緩衝器10に衝突した場合は、衝突時の速度をかご緩衝器10によって吸収しなければならない。よって、かご3がかご緩衝器10に衝突するときの速度は、かご緩衝器10の減速能力を超えない速度でなければならない。かご3がかご緩衝器10に衝突するときの速度が速い場合は、最下階からかご緩衝器10までの距離を長く取るか、かご緩衝器10として減速能力が大きな大型のものを設置する必要がある。しかしながら、昇降路1の上下寸法はなるべく短く、さらに、かご緩衝器10は小型のものを使いたいという要望がある。
図5は、本発明の実施の形態1におけるかご3の位置とばね17のばね力との関係を示す図である。かご3が最下階方向に下降する場合、ローラー18が時計方向に回転し、それによってギア部19が反時計方向に回転し、ラックギア20が右方向に移動する。これにより、ばね17が伸びることになり、ばね17がアーム16を左方向に押すばね力が小さくなる。例えば、かご3の位置とばね17のばね力との関係は、図5において一点鎖線によって「線形特性」として示されているようになる。
かご3が最下階近傍にある場合、ばね17のばね力が小さくなり、アーム16が時計方向に回りやすくなる。その結果、ガバナロープ12とかご3との間で加速度の差が小さくても非常止め装置13が動作することになり、懸吊体5の破断から非常止め装置13が動作するまでの時間が短くなる。一方、かご3が最上階近傍にある場合は、ばね17のばね力が大きくなり、アーム16が時計方向に回りにくくなる。その結果、ガバナロープ12とかご3との間で加速度の差が大きくなければ非常止め装置13が動作しないことになり、懸吊体5の破断から非常止め装置13が動作するまでの時間が長くなる。すなわち、図4においてばね17の両端のうちアーム16に接続されていない方の端部は、位置を移動させることにより非常停止時間が調整できることから、非常停止時間調整端の一つである。なお、ローラー18の回転運動をばね17のアーム16に接続されていない端部の位置移動に変換する機構として、ラックギア以外に、タイミングベルトやカム、リンクなど、もしくはそれらを組み合わせたものなど、回転運動を直線運動に変換する運動変換部の機能を有するものであれば、それらを用いても良い。
これにより、最下階近傍においてかご3がかご緩衝器10に衝突する速度を小さくできるため、小型のかご緩衝器10を適用することが可能となり、昇降路1の上下寸法を短縮することが可能となる。さらに、最上階近傍においては非常止め装置13が動作するために必要なガバナロープ12とかご3との間で加速度の差が大きくなるため、巻上機8によるブレーキ動作やかご3の内部の乗客によるかご揺すりなどによる非常止め装置13の誤動作を少なくすることができる。
なお、最上階近傍においてばね17のばね力が大きいときは、懸吊体5の破断から非常止め装置13が動作するまでの時間が長くなるが、かご3からかご緩衝器10までの距離が十分にあるため、かご3がかご緩衝器10に衝突するまでにかご3を停止することができる。
最上階近傍や中間階においてばね17のばね力を必要以上に大きくしたくない場合は、図5において実線で「非線形特性」として示されている様な特性を持たせればよい。これにより、最下階近傍における非常止め装置13の十分な動作速度を得ることと、最上階近傍および中間階において誤動作を少なくすることとの、両方を実現することが可能である。
図5に示された「非線形特性」は、例えば、図6および図7に示されたような構成で実現することができる。
図6に示された構成では、ギア部19にカム24が設置されている。カム24の形状を変更することにより、ばね17の押し込み距離を非線形に設定することが可能である。
図7に示された構成では、ギア部19にギア部19と同時に回転するリンク25が設置されている。この構成においてリンク25の初期位置や構成を変更することにより、ばね17の押し込み距離を非線形に設定することが可能である。
さらに、エレベーターの通常の運用では、かご3が最下階の位置にある時には下降方向の速度を有していないが、下向き動作時には最下階を離れるほど下降方向の大きな速度を有するため、最下階より少し上方の位置において、懸吊体5の破断から非常止め装置13が動作するまでの時間を最も短くする必要がある。このため、かご3のかご位置とばね17のばね力との関係を図8に示す様な曲線にすることも可能である。これにより、非常止め装置13の誤動作をさらに少なくすることができる。
本発明の実施の形態1においては、非常止め装置13は、かご3とガバナロープ12との間に設置するものとしたが、釣合おもり4とガバナロープ12との間に設置してもよい。
実施の形態2
図9は、本発明の実施の形態2における非常止め装置13の構成図を示したものである。図9に示された構成では、かご3が最下階方向に下降する場合、ローラー18が時計方向に回転し、それによってギア部19が反時計方向に回転し、ラックギア26が上方向に移動する。ラックギア26は楔状体15の制動子21を下方より支える構成となっており、ラックギア26が上方向に移動すると、楔状体15において制動子21が上方向に移動する。例えば、かご3が最下層まで移動した場合、制動子21の非常止め作動前の位置が図3におけるd’の位置まで上方に移動する。これにより、非常止め装置13に制動力が発生する引き上げ距離がdからd’に短くなり、懸吊体5の破断から非常止め装置13が動作するまでの時間が短くなる。一方、かご3が最上階近傍に上昇する場合、制動子21が下方向に移動し、非常止め装置13に制動力が発生する引き上げ距離がd’よりも大きくなり、巻上機8によるブレーキ動作やかご3の内部の乗客によるかご揺すりなどによる非常止め装置13の誤動作を少なくすることができる。
かご3のかご位置と制動子21の上下位置との関係は、線形であっても非線形であってもかまわない。
実施の形態3
図10は、本発明の実施の形態3における非常止め装置13の構成図を示したものである。図10に示された構成では、かご3が最下階方向に下降する場合、ローラー18が時計方向に回転し、それによってギア部19が反時計方向に回転し、ラックギア27が上方向に移動する。ラックギア27はアーム16の支点23およびばね17の端とつながっており、ラックギア27が上方向に移動すると、アーム16およびばね17が上方向に移動することにより、楔状体15において制動子21が上方向に移動する。例えば、かご3が最下層まで移動した場合、制動子21が図3におけるd’の位置まで上方に移動する。これにより、非常止め装置13に制動力が発生する引き上げ距離がdからd’に短くなり、懸吊体5の破断から非常止め装置13が動作するまでの時間が短くなる。一方、かご3が最上階近傍に上昇する場合、制動子21が下方向に移動し、非常止め装置13に制動力が発生する引き上げ距離がd’よりも大きくなり、巻上機8によるブレーキ動作やかご3の内部の乗客によるかご揺すりなどによる非常止め装置13の誤動作を少なくすることができる。
実施の形態4
図11は、本発明の実施の形態4によるエレベーター装置の一例を示したものである。図11に示されたエレベーター装置は、2:1ローピング構成である。かご3の上部には吊車28が設けられ、釣合おもり4の上部には吊車29が設けられる。懸吊体5は、吊車28、駆動綱車9、そらせ車7および吊車29に、巻き掛けられている。懸吊体5の両端は、機械室2の下部に固定されている。また、非常止め装置13は、かご3の上部に設置される。
図12は、本発明の実施の形態4の昇降路1におけるかご3の拡大図を示したものである。
図13は、本発明の実施の形態4における非常止め装置13の構成図を示したものである。非常止め装置13は、ガバナロープ12に接続されたアーム16と、楔状体15と、ばね17と、吊車28と、ギア部19と、ラックギア20とから構成される。アーム16は、支点23を中心に回転する。
かご3が最下階方向に下降する場合、吊車28が時計方向に回転し、それによってギア部19が反時計方向に回転し、ラックギア20が右方向に移動する。これにより、ばね17が伸びることになり、ばね17がアーム16を左方向に押すばね力が小さくなる。例えば、かご3の位置とばね17のばね力との関係は、図5において一点鎖線によって「線形特性」として示されているようになる。
なお、懸吊体5が破断したときに吊車28が空転することがあるが、その場合においてもばね17の長さが変化しないように、吊車28とギア部19との回転比を慣性重量が増えるように設定する、吊車28とギア部19との間に回転抵抗を設ける、または、ロープ張力が失われたときには、ギア部19とラックギア20のかみ合いが外れる構成とされている。これにより、懸吊体5が破断したときにもばね17のばね力は破断時のかご位置に対応する値に保たれる。
これにより、2:1ローピング構成においては、ローラーを必要とせずに本発明の実施の形態1と同様の効果を得るエレベーター装置を実現することが可能である。
本発明の実施の形態4においては、吊車28はかご3の上部に設置されるものとしたが、図14のように吊車28をかご3の下部に設置してもよい。
また、実施の形態2および3に示したように、吊車28の回転によって楔状体15の制動子21の非常止め装置作動前の位置を変更する構成にしてもよい。また、運動変換部として、ラックギア以外にカムなどを用いてもよい。
実施の形態5
図15は、本発明の実施の形態5におけるエレベーター装置の構成図を示したものである。実施の形態5におけるエレベーター装置では、昇降路壁30の最下階近傍から最下階にかけて突起部31が設けられている。かご3が最下階近傍に下降すると、リンク32が突起部31に当たることにより、リンク32が矢印の方向に回転し、結果としてばね17が広げられ、ばね17のばね力が低下する。
これにより、最下階近傍においてかご3がかご緩衝器10に衝突する速度を小さくできるため、小型のかご緩衝器10を適用することが可能となり、昇降路1の上下寸法を短縮することが可能となる。さらに、かご3が最下階近傍以外の場所にあるときは、非常止め装置13が動作するために必要なガバナロープ12とかご3との間で加速度の差が大きくなるため、巻上機8によるブレーキ動作やかご3の内部の乗客によるかご揺すりなどによる非常止め装置13の誤動作を少なくすることができる。
また、実施の形態2および3に示したように、リンク32の移動によって楔状体15の制動子21の非常止め装置作動前の位置を変更する構成にしてもよい。
実施の形態6
図16は、本発明の実施の形態6におけるエレベーター装置の構成図を示したものである。実施の形態6におけるエレベーター装置では、昇降路壁30の最下階近傍に突起部33が設けられている。かご3が突起部位置まで下降すると、リンク34が突起部33に当たることにより、リンク34が矢印の方向に回転し、結果としてばね17が広げられ、ばね17のばね力が低下する。リンク34が引き上げられた状態がラッチ35によって保持されたまま、最下階に到達する。かご3が最下階から突起部位置まで上昇すると、引き上げられた状態のリンク34が突起部33に当たることにより、リンク34が矢印と反対の方向に回転し、ばね17が押し込められ、ばね17のばね力が上昇する。リンク34が引き下げられた状態は、ラッチ35によって保持される。
これにより、最下階近傍においてかご3がかご緩衝器10に衝突する速度を小さくできるため、小型のかご緩衝器10を適用することが可能となり、昇降路1の上下寸法を短縮することが可能となる。さらに、かご3が最下階近傍以外の場所にあるときは、非常止め装置13が動作するために必要なガバナロープ12とかご3との間で加速度の差が大きくなるため、巻上機8によるブレーキ動作やかご3の内部の乗客によるかご揺すりなどによる非常止め装置13の誤動作を少なくすることができる。さらに、ローラーやギアを必要としないので、簡易な構造で非常止め装置を実現可能である。
また、実施の形態2および3に示したように、リンク34の移動によって楔状体15の制動子21の非常止め装置作動前の位置を変更する構成にしてもよい。
さらに、かご3上のリンク34が接触する位置であれば突起部33は昇降路内の他の機器に固定してもよいし、磁力を用いてリンク34の状態を切り替えることで、突起部33と物理的に接触しない構成とすることもできる。また、既存のエレベーターに設置されている終端階検出スイッチ用の突起部などを利用すれることもできる。
実施の形態7
図17は、本発明の実施の形態7におけるエレベーター装置の構成図を示したものである。コントローラ36は、調速機14に設置されているエンコーダの情報からかご3の位置を検出し、かご3の位置情報に基づいてアクチュエータ37を操作する。具体的には、かご3が最下階近傍にあるときはばね17のばね力を弱める方向に、かご3が最下階近傍にないときにはばね17のばね力を強める方向に、アクチュエータ37を操作する。
これにより、最下階近傍においてかご3がかご緩衝器10に衝突する速度を小さくできるため、小型のかご緩衝器10を適用することが可能となり、昇降路1の上下寸法を短縮することが可能となる。さらに、かご3が最下階近傍以外の場所にあるときは、非常止め装置13が動作するために必要なガバナロープ12とかご3との間での加速度の差が大きくなるため、巻上機8によるブレーキ動作やかご3の内部の乗客によるかご揺すりなどによる非常止め装置13の誤動作を少なくすることができる。さらに、ローラーやギアを必要としないので、簡易な構造で非常止め装置を実現可能である。また、既存のエレベーターで制御に利用している情報を利用してアクチュエータ37を操作することも可能であり、非常止め装置13の構成をより簡単にすることもできる。
かご位置検出のセンサとしては、昇降路に設けられたプレート状のものをかご上の光電センサで検知する、気圧センサにより高度の変化を計測する、超音波センサ・レーザーセンサ・カメラなどで昇降路側機器との距離を計測するなどでも良いし、アクチュエータ37としては、モーターとボールねじやタイミングベルトなどを組み合わせたもの、ソレノイドなど磁力を用いるもの、液体圧やガス圧を用いるもの等、電気信号に応じて位置や力を変化できるものであれば良い。
停電時や信号が受信できないときのアクチュエータ37の位置は、ばね力が最も弱くなる値になるように設計することで、緊急時でも最下階近傍で非常止め装置を確実に作動させることができる。
また、実施の形態2および3に示したように、アクチュエータ37の操作によって楔状体15の制動子21の非常止め装置作動前の位置を変更する構成にしてもよい。
なお、以上の実施の形態に関して、1:1ローピングおよび2:1ローピングのエレベーター装置を示したが、これに限定されるものではなく、例えば機械室2を持たない機械室レスエレベーターなどにも適用できる。
3 かご
12 ガバナロープ
13 非常止め装置
15 楔状体
17 ばね
21 制動子

Claims (26)

  1. 昇降体の非常停止を行う非常止め装置を備え、
    前記非常止め装置は
    前記昇降体とガバナロープとの加速度差が発生したときに制動子が引き上げ距離以上引き上げられガイドレールに押圧されることにより昇降体の非常停止を行う楔状体と、
    前記制動子の引き上げを阻止する方向に押圧力を持ったばねと、
    前記昇降体が最下階近傍にあるときに非常停止時間調整端の位置を変更して前記非常停止に要する時間を短くする非常停止時間調整部とを備えることを特徴とするエレベーター装置
  2. 前記非常停止時間調整端はばねの一端であり、
    前記昇降体が最下階近傍にあるときに非常停止時間調整部がばねの押圧力を小さくすることを特徴とする請求項1に記載のエレベーター装置。
  3. 前記非常停止時間調整端は制動子であり、
    前記昇降体が最下階近傍にあるときに前記引き上げ距離を短くすることを特徴とする請求項1に記載のエレベーター装置。
  4. 前記非常停止時間調整部は、
    ガイドレールと接触して昇降体の上下動にともなって回転するローラと、
    前記非常停止時間調整端に接続され前記ローラの回転運動を直線運動に変換する運動変換部とを備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のエレベーター装置。
  5. 前記非常停止時間調整部は、
    ガイドレールと接触して昇降体の上下動にともなって回転するローラと、
    前記ローラの回転運動によって回転するカムとを備え、
    前記カムの回転によって前記非常停止時間調整端の位置を変更することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のエレベーター装置。
  6. 前記非常停止時間調整部は、
    前記昇降体を吊す懸吊体が巻き掛けられ前記昇降体の上下動にともなって回転する吊車と、
    前記非常停止時間調整端に接続され前記吊車の回転運動を直線運動に変換する運動変換部とを備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のエレベーター装置。
  7. 前記非常停止時間調整部は、
    前記昇降体を吊す懸吊体が巻き掛けられ前記昇降体の上下動にともなって回転する吊車と、
    前記吊車の回転運動によって回転するカムとを備え、
    前記カムの回転によって前記非常停止時間調整端の位置を変更することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のエレベーター装置。
  8. 昇降路の最下階近傍に突起部を備え、
    非常停止時間調整部は、
    前記非常停止時間調整端に接続され前記突起部に当たることにより回転するリンクを備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のエレベーター装置。
  9. 前記非常停止時間調整部は、
    前記昇降体の上下位置を検出するコントローラと、
    前記コントローラの情報をもとに前記非常停止時間調整端の位置を変更するアクチュエータとを備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のエレベーター装置。
  10. 前記非常停止時間調整部は、
    前記昇降体が最下階近傍にあるときに前記非常停止に要する時間を短くし、
    前記昇降体が最下階近傍以外の位置にあるときは前記非常停止に要する時間を変更しないことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のエレベーター装置。
  11. 昇降体の非常停止を行う非常止め装置を備え、
    前記非常止め装置は、
    前記昇降体とガバナロープとの加速度差が発生したときに制動子が引き上げ距離以上引き上げられガイドレールに押圧されることにより昇降体の非常停止を行う楔状体と、
    前記制動子の引き上げを阻止する方向に押圧力を持ったばねと、
    前記昇降体が最下階に位置するときに前記ばねの前記押圧力を最も弱くする非常停止時間調整部と
    を備えることを特徴とするエレベーター装置。
  12. 前記非常停止時間調整部は、前記昇降体が最下階方向に下降する場合、前記昇降体の位置と前記ばねのばね力との関係が線形特性または非線形特性であることを特徴とする請求項11に記載のエレベーター装置。
  13. 前記非常停止時間調整部は、
    前記ガイドレールと接触して昇降体の上下動にともなって回転するローラと、
    前記ばねの一端に接続され前記ローラの回転運動を直線運動に変換する運動変換部と
    を備えることを特徴とする請求項11に記載のエレベーター装置。
  14. 前記非常停止時間調整部は、
    前記ガイドレールと接触して昇降体の上下動にともなって回転するローラと、
    前記ローラの回転運動によって回転するカムとを備え、
    前記カムの回転によって前記ばねの一端の位置を変更することを特徴とする請求項11に記載のエレベーター装置。
  15. 前記非常停止時間調整部は、
    前記昇降体を吊るす懸吊体が巻き掛けられ前記昇降体の上下動にともなって回転する吊車と、
    前記ばねの一端に接続され前記吊車の回転運動を直線運動に変換する運動変換部と
    を備えたことを特徴とする請求項11に記載のエレベーター装置。
  16. 前記非常停止時間調整部は、
    前記昇降体を吊す懸吊体が巻き掛けられ前記昇降体の上下動にともなって回転する吊車と、
    前記吊車の回転運動によって回転するカムとを備え、
    前記カムの回転によって前記ばねの一端の位置を変更することを特徴とする請求項11に記載のエレベーター装置。
  17. 昇降路に突起部を備え、
    非常停止時間調整部は、
    前記ばねの一端に接続され前記突起部に当たることにより回転するリンクを備えたことを特徴とする請求項11に記載のエレベーター装置。
  18. 前記非常停止時間調整部は、
    前記昇降体の上下位置を検出するコントローラと、
    前記コントローラの情報をもとに前記ばねの一端の位置を変更するアクチュエータと
    を備えたことを特徴とする請求項11に記載のエレベーター装置。
  19. 昇降体の非常停止を行う非常止め装置を備え、
    前記非常止め装置は、
    前記昇降体とガバナロープとの加速度差が発生したときに制動子が引き上げ距離以上引き上げられガイドレールに押圧されることにより昇降体の非常停止を行う楔状体と、
    前記昇降体が最下階方向に下降する場合、前記制動子の非常止め作動前の位置が上方に移動する非常停止時間調整部と
    を備えることを特徴とするエレベーター装置。
  20. 前記非常停止時間調整部は、前記昇降体の位置と前記制動子の上下位置との関係が線形または非線形であることを特徴とする請求項19に記載のエレベーター装置。
  21. 前記非常停止時間調整部は、
    前記ガイドレールと接触して昇降体の上下動にともなって回転するローラと、
    前記制動子に接続され前記ローラの回転運動を直線運動に変換する運動変換部と
    を備えることを特徴とする請求項19に記載のエレベーター装置。
  22. 前記非常停止時間調整部は、
    前記昇降体を吊るす懸吊体が巻き掛けられ前記昇降体の上下動にともなって回転する吊車と、
    前記制動子に接続され前記吊車の回転運動を直線運動に変換する運動変換部と
    を備えたことを特徴とする請求項19に記載のエレベーター装置。
  23. 前記非常停止時間調整部は、
    前記昇降体を吊す懸吊体が巻き掛けられ前記昇降体の上下動にともなって回転する吊車と、
    前記吊車の回転運動によって回転するカムとを備え、
    前記カムの回転によって前記制動子の位置を変更することを特徴とする請求項19に記載のエレベーター装置。
  24. 昇降路に突起部を備え、
    非常停止時間調整部は、
    前記制動子に接続され前記突起部に当たることにより回転するリンクを備えたことを特徴とする請求項19に記載のエレベーター装置。
  25. 前記非常停止時間調整部は、
    前記昇降体の上下位置を検出するコントローラと、
    前記コントローラの情報をもとに前記制動子の位置を変更するアクチュエータと
    を備えたことを特徴とする請求項19に記載のエレベーター装置。
  26. 昇降体の非常停止を行う非常止め装置を備え、
    前記非常止め装置は、
    前記昇降体とガバナロープとの加速度差が発生したときに制動子が引き上げ距離以上引き上げられガイドレールに押圧されることにより昇降体の非常停止を行う楔状体と、
    前記制動子の引き上げを阻止する方向に押圧力を持ったばねと、
    下向き動作時に最下階から離れた位置において動作するまでの時間を最も短くするような前記かごの位置とばね力との関係を有する非常停止時間調整部と
    を備えることを特徴とするエレベーター装置。
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