(実施例1)
本発明の実施例を具体的に説明する前に、基礎となった知見を説明する。IEEE802.11等の規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)では、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)と呼ばれるアクセス制御機能が使用されている。そのため、当該無線LANでは、複数の端末装置によって同一の無線チャネルが共有される。このようなCSMA/CAでは、キャリアセンスによって他のパケットが送信されていないことを確認した後に、パケットが送信される。
一方、ITS(Intelligent Transport Systems)のような車車間通信に無線LANを適用する場合、不特定多数の端末装置へ情報を送信する必要があるために、信号はブロードキャストにて送信されることが望ましい。しかしながら、交差点などでは、車両数の増加、つまり端末装置数の増加がトラヒックを増加させることによって、パケットの衝突の増加が想定される。その結果、パケットに含まれたデータが他の端末装置へ伝送されなくなる。このような状態が、車車間通信において発生すれば、交差点の出会い頭の衝突事故を防止するという目的が達成されなくなる。さらに、車車間通信に加えて路車間通信が実行されれば、通信形態が多様になる。その際、路車間通信によってブロードキャスト送信されるデータ量もさまざまである。周波数の利用効率を向上させるために、効率的な通信が望まれる。
本発明の実施例1は、車両に搭載された端末装置間において車車間通信を実行するとともに、交差点等に設置された基地局装置から端末装置へ路車間通信も実行する通信システムに関する。車車間通信として、端末装置は、車両の速度、位置等の情報を格納したパケットをブロードキャスト送信する。また、他の端末装置は、パケットを受信するとともに、前述の情報をもとに車両の接近等を認識する。ここで、基地局装置は、複数のサブフレームが含まれたフレームを繰り返し規定する。基地局装置は、路車間通信のために、複数のサブフレームのいずれかを選択し、選択したサブフレームの先頭部分の期間において、制御情報等が格納されたパケットをブロードキャスト送信する。
制御情報には、当該基地局装置がパケットをブローキャスト送信するための期間(以下、「路車送信期間」という)に関する情報が含まれている。端末装置は、制御情報をもとに路車送信期間を特定し、路車送信期間以外の期間(以下、「車車送信期間」という)においてCSMA方式にてパケットを送信する。このように、路車間通信と車車間通信とが時間分割多重されるので、両者間のパケットの衝突確率が低減される。つまり、端末装置が制御情報の内容を認識することによって、路車間通信と車車間通信との干渉が低減される。なお、基地局装置からの制御情報を受信できない端末装置、つまり基地局装置によって形成されたエリアの外に存在する端末装置は、フレームの構成に関係なくCSMA方式にてパケットを送信する。
路車間通信によって基地局装置からブロードキャスト送信されるデータは複数の種類に分類される。ここでは、説明を明瞭にするために2種類のデータに分類する。ひとつ目は、内容が頻繁に更新されるデータ(以下、「動的データ」という)であり、ふたつ目は、動的データより更新頻度の低いデータ(以下、「静的データ」という)である。前者は、リアルタイム性の高いデータであり、後者は、リアルタイム性の低いデータともいえる。例えば、動的データがセンサ情報、信号の灯色情報などであり、静的データが道路線形情報、エリア情報、道路情報(工事・渋滞・障害物・事故など)などである。センサ位置はセンサ情報と組みあわせて動的データに分類してもよいし、センサ情報とは個別に扱い静的データに分類してもよい。また、道路情報も時間とともに変化する情報ではあるが、更新の間隔が基地局装置の発信周期より十分長いので静的データに分類している。
道路線形情報に代表される静的データは、一般的に経時的な情報の変化およびデータ量の変化が少ない。センサ情報は代表される動的データは、経時的に情報の変化およびデータ量が変化する。また、一般的に静的データは動的データよりデータ量が多い。ここで、センサ情報は基地局装置に接続されたセンサによって検知された所定のエリアにいる車両あるいは人の位置または移動を示す情報であり、エリア内の検知個体数にデータ量が依存する。
基地局装置は、静的データを複数に分割してから、それらを複数のパケット(以下「第1種のパケット」という)に格納するとともに、動的データも複数に分割してから、それらを複数のパケット(以下「第2種のパケット」という)に格納する。その際、第2種のパケットのサイズは、第1種のパケットよりも短くされる。動的データはリアルタイム性が高いので、同一内容のデータが繰り返し送信されることはない。そのため、第1種のパケットのサイズを短く設定することで、パケットの欠落の可能を低くするとともに、パケットの欠落による影響を低減する。一方、静的データは更新頻度が低いので、同じ内容のデータが繰り返し送信される。そのため、パケットの欠落が発生しても次の送信を受け取ることができる。そのため、パケットのサイズを大きくすることによって、周波数効率を向上させる。なお、以下では、デジタルデータであるパケットを無線信号に変換したものをパケットと呼ぶ。第1種のパケットは第1種のパケットとして、第2種のパケットは第2種のパケットとして報知される。
図1は、本発明の実施例1に係る通信システム100の構成を示す。これは、ひとつの交差点を上方から見た場合に相当する。通信システム100は、基地局装置10、車両12と総称される第1車両12a、第2車両12b、第3車両12c、第4車両12d、第5車両12e、第6車両12f、第7車両12g、第8車両12h、ネットワーク202を含む。ここでは、第1車両12aのみに示しているが、各車両12には、端末装置14が搭載されている。また、エリア212が、基地局装置10の周囲に形成され、エリア外214が、エリア212の外側に形成されている。
図示のごとく、図面の水平方向、つまり左右の方向に向かう道路と、図面の垂直方向、つまり上下の方向に向かう道路とが中心部分で交差している。ここで、図面の上側が方角の「北」に相当し、左側が方角の「西」に相当し、下側が方角の「南」に相当し、右側が方角の「東」に相当する。また、ふたつの道路の交差部分が「交差点」である。第1車両12a、第2車両12bが、左から右へ向かって進んでおり、第3車両12c、第4車両12dが、右から左へ向かって進んでいる。また、第5車両12e、第6車両12fが、上から下へ向かって進んでおり、第7車両12g、第8車両12hが、下から上へ向かって進んでいる。
通信システム100において、基地局装置10は、交差点に固定して設置される。基地局装置10は、端末装置間の通信を制御する。基地局装置10は、図示しないGPS衛星から受信した信号、または、図示しない他の基地局装置10にて形成されたフレームをもとに、複数のサブフレームが含まれたフレームを繰り返し生成する。ここで、各サブフレームの先頭部分に路車送信期間が設定可能であるような規定がなされている。基地局装置10は、フレーム中の複数のサブフレームのうち、他の基地局装置10によって路車送信期間が設定されていないサブフレームを選択する。基地局装置10は、選択したサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。基地局装置10は、設定した路車送信期間においてパケットを報知する。路車送信期間において、複数のパケットが報知されることもある。また、パケットに含まれるべきデータとして、前述のごとく、静的データと動的データとが規定される。なお、パケットには、路車送信期間が設定されたタイミングに関する情報及びフレームに関する制御情報も含まれる。
端末装置14は、前述のごとく、車両12に搭載されているので、移動可能である。端末装置14は、基地局装置10からのパケットを受信すると、パケットに含まれた制御情報、特に路車送信期間が設定されたタイミングに関する情報及びフレームに関する情報をもとに、フレームを生成する。その結果、複数の端末装置14のそれぞれにおいて生成されるフレームは、基地局装置10において生成されるフレームに同期する。端末装置14は、車車送信期間においてパケットを報知する。車車送信期間の説明は後述するが、これは、フレーム中の路車送信期間とは異なった期間であるといえる。ここで、車車送信期間においてCSMA/CAが実行される。
端末装置14は、データを取得し、データをパケットに格納する。データには、例えば、存在位置に関する情報が含まれる。また、端末装置14は、基地局装置10から受信した制御情報もパケットに格納する。つまり、基地局装置10から送信された制御情報は、端末装置14によって転送される。一方、端末装置14は、エリア外214に存在していると推定した場合、フレームの構成に関係なく、CSMA/CAを実行することによって、パケットを報知する。
図2は、基地局装置10の構成を示す。基地局装置10は、アンテナ20、RF部22、変復調部24、ベースバンド処理部26、パケット生成部38、データ生成部44、ネットワーク通信部30を含む。また、ベースバンド処理部26は、フレーム規定部32、選択部34、生成部36を含む。パケット生成部38は、分割部40、セキュリティ部42を含む。基地局装置10の送信処理に関わる説明を主に行うため。受信処理に関わる部分は一部省略されている。
RF部22は、受信処理として、図示しない端末装置14または他の基地局装置10からのパケットをアンテナ20にて受信する。RF部22は、受信した無線周波数のパケットに対して周波数変換を実行し、ベースバンドのパケットを生成する。さらに、RF部22は、ベースバンドのパケットを変復調部24に出力する。一般的に、ベースバンドのパケットは、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線が示されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。RF部22には、LNA(Low Noise Amplifier)、ミキサ、AGC、A/D変換部も含まれる。
RF部22は、送信処理として、変復調部24から入力したベースバンドのパケットに対して周波数変換を実行し、無線周波数のパケットを生成する。さらに、RF部22は、路車送信期間において、無線周波数のパケットをアンテナ20から送信する。また、RF部22には、PA(Power Amplifier)、ミキサ、D/A変換部も含まれる。
変復調部24は、受信処理として、RF部22からのベースバンドのパケットに対して、復調を実行する。さらに、変復調部24は、復調した結果をベースバンド処理部26に出力する。また、変復調部24は、送信処理として、ベースバンド処理部26からのデータに対して、変調を実行する。さらに、変復調部24は、変調した結果をベースバンドのパケットとしてRF部22に出力する。ここで、通信システム100は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式に対応するので、変復調部24は、受信処理としてFFT(Fast Fourier Transform)も実行し、送信処理としてIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)も実行する。
ベースバンド処理部26は、基地局装置10がパケットを送信する送信タイミングを特定し、送信タイミングになると送信パケットを変復調部24に入力する。フレーム規定部32は、図示しないGPS衛星からの信号を受信し、受信した信号をもとに時刻の情報を取得する。なお、時刻の情報の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。フレーム規定部32は、時刻の情報をもとに、複数のフレームを生成する。例えば、フレーム規定部32は、時刻の情報にて示されたタイミングを基準にして、「1sec」の期間を10分割することによって、「100msec」のフレームを10個生成する。このような処理を繰り返すことによって、フレームが繰り返されるように規定される。なお、フレーム規定部32は、復調結果から制御情報を検出し、検出した制御情報をもとにフレームを生成してもよい。このような処理は、他の基地局装置10によって形成されたフレームのタイミングに同期したフレームを生成することに相当する。
図3(a)−(d)は、通信システム100において規定されるフレームのフォーマットを示す。図3(a)は、フレームの構成を示す。フレームは、第1サブフレームから第Nサブフレームと示されるN個のサブフレームによって形成されている。これは、端末装置14が報知に使用可能なサブフレームを複数時間多重することによってフレームが形成されているといえる。例えば、フレームの長さが100msecであり、Nが8である場合、12.5msecの長さのサブフレームが規定される。Nは、8以外であってもよい。図3(b)−(d)の説明は、後述し、図2に戻る。
選択部34は、フレームに含まれた複数のサブフレームのうち、路車送信期間を設定すべきサブフレームを選択する。具体的に説明すると、選択部34は、フレーム規定部32にて規定されたフレームを受けつける。ここでは、後述のごとく、選択すべきサブフレームに関する指示を外部から受けつける。選択部34は、指示に応じたサブフレームを選択する。複数のサブフレームを選択することもある。なお、フレームに含まれた各サブフレームには、基地局装置10が報知に使用可能な路車送信期間を設定可能である。
これとは別に、選択部34は、自動的にサブフレームを選択してもよい。その際、選択部34は、RF部22、変復調部24を介して、図示しない他の基地局装置10あるいは端末装置14からの復調結果を入力する。選択部34は、入力した復調結果のうち、他の基地局装置10からの復調結果を抽出する。選択部34は、復調結果を受けつけたサブフレームを特定することによって、復調結果を受けつけていないサブフレームを特定する。
これは、他の基地局装置10によって路車送信期間が設定されていないサブフレーム、つまり未使用のサブフレームを特定することに相当する。未使用のサブフレームが複数存在する場合、選択部34は、ランダムにひとつのサブフレームを選択する。未使用のサブフレームが存在しない場合、つまり複数のサブフレームのそれぞれが使用されている場合に、選択部34は、復調結果に対応した受信電力を取得し、受信電力の小さいサブフレームを優先的に選択する。
図3(b)は、第1基地局装置10aによって生成されるフレームの構成を示す。第1基地局装置10aは、第1サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。つまり、第1基地局装置10aは、設定した第1サブフレームの先頭部分に路車送信期間のみを報知に使用する。図3(c)は、第2基地局装置10bによって生成されるフレームの構成を示す。第2基地局装置10bは、第2サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。図3(d)は、第3基地局装置10cによって生成されるフレームの構成を示す。第3基地局装置10cは、第Nサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。このように、複数の基地局装置10は、お互いに異なったサブフレームを選択し、選択したサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。
端末装置14は、電波到達可能な複数の基地局装置10が設定した路車送信期間以外の期間、すなわち、電波到達範囲に存在するいずれかの基地局装置10が路車送信期間を設定したサブフレームの後半部分、および、いずれの基地局装置10によっても設定されないサブフレームを、報知可能な車車通信期間と認識する。なお、それぞれの基地局装置10は選択したサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定することで、すべてのサブフレームに路車送信期間を設定された場合であっても、車車送信期間を確保されることとなる。充分な車車送信期間を確保するためには、路車送信期間は、サブフレームの40%〜60%の範囲に設定することが望ましい。図2に戻る。選択部34は、選択したサブフレームの番号および設定した路車送信期間の長さを生成部36へ出力する。さらに、選択部34は、自身が設定した路車送信期間になると生成部36から受け取った送信パケットを変復調部24に出力する。
生成部36は、選択部34から、サブフレームの番号と路車送信期間の長さを受けつける。さらに、生成部36は、パケット生成部38から、アプリケーションデータを含んだパケットを受け付ける。パケット生成部38は、受け取ったパケットに、選択部34から受け取ったサブフレームの番号と路車送信期間の長さ等の通信制御のために必要なヘッダ情報を付加して選択部に出力する。
データ生成部44は、図示しないネットワーク202からネットワーク通信部30が取得した情報、例えば、渋滞、落下物、工事といった道路情報(静的データ)、図示しないセンサからの検知信号を受け取って生成したセンサ情報(動的データ)、図示しない基地局装置10に付随する信号機から受け付ける信号機の灯色情報(動的データ)、図示しない記憶部に記憶されている道路線形情報(静的データ)などをアプリケーションデータとしてパケット生成部38へ出力する。
パケット生成部38は、データ生成部44より、アプリケーションデータを受け取って、送信用のパケットを生成する。また。必要に応じてセキュリティ処理を施す。そして、分割後のパケットまたはセキュリティ処理後のパケットを送信順にベースバンド処理部26に出力する。分割部40は、データ生成部から受け取ったアプリケーションデータ、すなわち、動的データと静的データを分割し、例えば、制御情報とデータペイロードによって構成されたパケットのデータペイロードに分割した動的データまたは静的データを格納し、制御情報をセットする。そして、予め決められたルールに従って並べ替える。セキュリティ部42は、必要に応じてセキュリティ処理を施す。ここでは、処理の説明を省略する。
前述のごとく、アプリケーションデータは、内容が頻繁に更新される動的データと、内容がほとんど更新されない静的データとに分類される。動的データはリアタイム性が重視されフレームごと更新され送信されるべきである。道路線形情報あるいは走路情報に代表される静的データは、その内容が変化しない、あるいは、長い時間間隔でしか変化しないので、同じ情報が繰り返し送信されることになる。ゆえに、図示しない端末装置14の静的データの受信処理では、一度受信すれば更新されない限り受信したデータを参照する必要はない。また、静的データを分割することによって、複数フレームに分けてから送信するようにしてもよい。
灯色情報あるいはセンサ情報に代表される動的データは一般的に可変長である。灯色情報は信号機で生成される信号機の灯色スケジュールに依存し、センサ情報はセンサによって検知された個体数に依存する可変長である。このような静的データと動的データとの性質を考慮して、分割部40は、動的データがデータペイロードに含まれた第1種のパケットと、静的データがデータペイロードに含まれた第2種のパケットに分割する際に、第1種のパケットのサイズよりも、第2種のパケットのサイズを小さくする。サイズとは、データ量または送信期間に相当する。
つまり、動的データはリアルタイム性が高く、何度も再送するデータではないので、パケット欠落によるデータ破棄を回避できるように、第2種のパケットのサイズが小さくされる。また、静的データは何度も送信されるデータであるので、第1種のパケットのサイズを大きくすることによって、周波数利用効率が高められる。なお、静的データがひとつの第1種のパケットに格納できない場合、静的データは、複数に分割されることによって、複数の第1種のパケットに格納される。動的データも同様である。
制御情報には、静的データと動的データを識別するための識別情報(以下、「データ種別」)が含まれる。このようなデータ種別を付与することによって、図示しない端末装置14の受信側アプリケーションにおいて、必要なデータへのアクセスが容易になる。例えば、静的データのみ必要な場合、識別情報を使用して動的データが破棄される。
さらに、制御情報には、静的データが更新されたことを示す更新情報(以下、「更新フラグ」)が含まれる。例えば、更新があれば更新フラグが「1」に設定され、更新がなければ更新フラグが「0」に設定される。なお、動的データの制御情報では、更新フラグが「0」あるいは「1」に固定されるので、更新の有無が示されない。静的データは、何度も送信されるが更新されていないことが想定されるので、更新フラグを付与することによって、受信側アプリケーションでの処理において、この更新フラグを確認するだけで、データの解析が必要か判断可能になる。その結果、処理の軽減につながる。
図4(a)−(d)は、基地局装置10によって生成されるパケットのフォーマットを示す。図4(a)は、物理フレームのフォーマットを示す。物理フレームは、先頭から順に「PLPCプリアンブル」、「シグナル」、「ペイロード」、「FCS」、「テールビット」を配置する。なお、物理フレームは先述のパケットに相当する。図4(b)は、データリンクフレームのフォーマットを示し、図4(a)の「ペイロード」に相当する。「MACヘッダ」、「RSUコントローラ」、「アプリパケット」を配置する。図4(b)は、ベースバンド処理部26と変復調部24の間で受け渡しされるパケットに相当する。
「PLCPプリアンブル」は、物理レイヤにおいて規定されている既知信号であり、「シグナル」は、物理レイヤにおいて規定されている制御信号であり、「MACヘッダ」は、MACレイヤにおいて規定されている制御信号である。「RSUコントロールヘッダ」は、路車間通信および車車間通信において共通に使用される制御信号であり、詳細は後述する。「FCS」は、フレームチェックシーケンスであり、これは、伝送中エラーのチェックを行なうためにフレームに付加される。「テールビット」は、畳込み符号化の際に保持されているビットをゼロに戻すためのビットである。
図4(c)は、生成部36によって生成されるRSUコントロールヘッダの構成を示す図である。RSUコントロールヘッダには、「プロトコルバージョン」、「送信ノード種別」、「転送回数/再利用回数」、「TSFタイマ」、「RSU送信期間」が配置される。プロトコルバージョンは、対応しているプロトコルのバージョンを示す。送信ノード種別は、送信ノードの種別を示す。送信ノードの種別として、基地局装置10、端末装置14が規定されている。転送回数/再利用回数は、RSUコントロールヘッダが端末装置14によって転送される場合の有効性の指標を示し、TSFタイマは、送信時刻を示す。RSU送信期間は、路車送信期間の長さを示しており、路車送信期間に関する情報といえる。
図4(d)は、L7フレームのフォーマットを示し、図4(b)の「アプリパケット
」に相当する。「データ種別」、「更新フラグ」、「セキュリティフラグ」、「データペイロード」を配置する。図4(d)は、パケット生成部38とベースバンド処理部26の間で受け渡しされるパケットに相当する。セキュリティフラグは、セキュリティ部42を介したか否かを示すフラグ情報である。セキュリティ部42を介した場合、データペイロードには格納されるデータはセキュリティ部42によって処理されたセキュアなアプリケーションデータまたはその一部が格納される。データ種別、更新フラグ、データペイロードは前述の通りである。
ベースバンド処理部26は、変復調部24、RF部22に対して、路車送信期間においてパケット、ここでは第1種のパケットと第2種のパケットとをブロードキャスト送信させる。これに応じて、前述のごとく、変復調部24、RF部22は、第1種のパケットと第2種のパケットとを報知する。例えば、変復調部24、RF部22は、路車送信期間において、第1種のパケットを報知してから第2種のパケットを報知する。これより、受信側アプリケーションの処理において、動的データが可変長であっても、更新フラグの位置が固定的に決定されるので、データの必要性の判断がより高速化される。
これとは別に、例えば、変復調部24、RF部22は、路車送信期間において、第2種のパケットを報知してから第1種のパケットを報知する。これより、第2種のパケットを割り当てた後、残った期間に対して機械的に第1種のパケットが割り当てられる。その結果、送信側処理が軽減される。制御部28は、基地局装置10全体の処理を制御する。
以下では、路車送信期間の設定、静的データおよび動的データに関する処理を詳細に説明する。図5は、通信システム100において規定されるレイヤの構成を示す。図5の左側が送信処理のレイヤ構成であり、図5の右側が受信処理のレイヤ構成である。そのため、路車間通信の場合、前者が基地局装置10におけるレイヤ構成に相当し、後者が端末装置14におけるレイヤ構成に相当する。動的データAPPと静的データAPPはデータ生成部44に含まれ、アプリケーション制御レイヤとセキュリティレイヤは制御部28に含まれ、送信制御レイヤとMACレイヤはベースバンド処理部26に含まれ、PHYレイヤはRF部22、変復調部24に含まれる。
さらに、説明を具体的にするために、静的データのサイズは4kBであり、動的データのサイズは3kBであり、データペイロードの最大サイズは1.5kBであり、路車送信期間で送信可能な最大サイズは4kBであると仮定する。なお、これらの値に限定されるものではない。また、上記の値では、セキュリティ処理または符号化によって生成される冗長ビットを無視しており、それらが考慮されてもよい。
アプリケーション制御レイヤは、動的データAPPから動的データを入力し、静的データAPPから静的データを入力する。アプリケーション制御レイヤは、パケットサイズを決定する。アプリケーション制御レイヤから出力されるデータの最大サイズは、ひとつの路車送信期間で送信可能なサイズとされる。セキュリティレイヤは、データごとにセキュリティ処理を実行する。セキュリティレイヤは、処理結果をアプリパケットとして出力する。送信制御レイヤは、RSUコントローラの関わるフレーム制御を実行する。
MACレイヤは、データリンクのためのMACヘッダを管理しており、送信制御レイヤからのデータをもとにMACフレームを生成し、PHYレイヤは、MACフレームを格納するようにパケットを生成し、IFFTを実行する。その結果、ひとつの路車送信期間に対しても、複数のパケットが生成されうる。図5の右側については、後述する。
以下では、これまでの説明のように配置された路車送信期間を説明する。図6(a)−(c)は、基地局装置10によって使用される路車送信期間の構成を示す。図6(a)は、所定のタイミングにおける路車送信期間の構成を示す。動的データ、第1静的データ、第2静的データが先頭から順に配置されている。ここで、動的データと示された部分には、少なくともひとつの第2種のパケットがSIFS(Short Inter Frame Space)間隔で配置されている。そのため、この部分は、第2種のパケットを報知するために占有された期間であるともいえる。このことは、第1静的データと第2静的データと示された部分についても、少なくともひとつの第1種のパケットによって占有されている点で同様である。なお、前述のごとく、第2種のパケットのサイズは、第1種のパケットのサイズよりも小さくなっている。第1静的データと第2静的データとは、別のアプリケーションによって使用されるデータである。
図6(b)も、図6(a)と同様に、所定のタイミングにおける路車送信期間の構成を示す。第3静的データ、第4静的データ、動的データが先頭から順に配置されている。前述のごとく、動的データの長さは可変であるので、固定長の静的データが先に配置されている。図6(c)は、図6(a)の前に、共通データが配置される。共通データの期間においても、共通データを含んだパケットが複数配置されている。共通データは、静的データと動的データに属さないデータである。共通データは、例えば、後段に続く静的データまたは動的データの開始位置を示す。その結果、図示しない端末装置14での受信側アプリケーションにおいて、静的データまたは動的データへのアクセスが容易になる。
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ハードウエアとソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
図7は、車両12に搭載された端末装置14の構成を示す。端末装置14は、アンテナ50、RF部52、変復調部54、ベースバンド処理部56、パケット処理部60、取得部64、データ生成部66、処理部68、通知部70、制御部58を含む。ベースバンド処理部56は、抽出部72、キャリアセンス部74、選択部76、生成部78、転送決定部80を含み、パケット処理部60は、結合部84、セキュリティ部82を含む。アンテナ50、RF部52、変復調部54は、図2のアンテナ20、RF部22、変復調部24と同様の処理を実行する。ここでは差異を中心に説明する。
変復調部54は、ベースバンド処理部56は、受信処理において、図示しない他の端末装置14あるいは基地局装置10からのパケットを受信する。なお、前述のごとく、変復調部54、ベースバンド処理部56は、路車送信期間において、基地局装置10からのパケットを受信し、車車送信期間において、他の端末装置14からのパケットを受信する。
ベースバンド処理部56は、受信時には変復調部54からの受信パケットを受けつけ、アプリパケットを抽出し、パケット処理部60に出力する。ベースバンド処理部56は、送信時にはパケット処理部60からのアプリパケットを受けつける。そして、ヘッダ情報を付加したのち変復調部54に出力する。抽出部72は、変復調部54からの復調結果が、図示しない基地局装置10からのパケットである場合に、路車送信期間が配置されたサブフレームのタイミングを特定する。具体的に説明すると、抽出部72は、パケットに含まれた制御情報をもとに、基地局装置10からのパケットであるか否かを判定する。また、抽出部72は、サブフレームのタイミングと、制御情報に含まれたタイミング情報とをもとに、フレームを生成する。その結果、抽出部72は、基地局装置10において形成されたフレームに同期したフレームを生成する。パケットの報知元が、他の端末装置14である場合、抽出部72は、同期したフレームの生成処理を省略する。
抽出部72は、RSUコントローラをもとに、使用されている路車送信期間を特定した後、残りの車車送信期間を特定する。抽出部72は、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報をキャリアセンス部74へ出力する。一方、抽出部72は、基地局装置10からのパケットを受けつけていない場合、つまり基地局装置10に同期したフレームを生成していない場合、フレームの構成と無関係のタイミングを選択する。抽出部72は、フレームの構成と無関係のタイミングを選択すると、フレームの構成に関係のないキャリアセンスの実行をキャリアセンス部74に指示する。これは、図1のエリア外214での動作に相当する。
キャリアセンス部74は、抽出部72から、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報を受けつける。キャリアセンス部74は、車車送信期間内でCSMA/CAを開始することによって送信タイミングを決定する。一方、キャリアセンス部74は、抽出部72から、キャリアセンスの実行を指示された場合、フレームの構成を考慮せずに、CSMA/CAを実行することによって、送信タイミングを決定する。キャリアセンス部74は、決定した送信タイミングを選択部76に通知する。選択部76は、生成部78から受け取ったパケットをこの送信タイミングで変復調部54に出力し、パケットをブロードキャスト送信させる。
転送決定部80は、RSU コントローラに含まれる情報を転送する。転送決定部80は、転送決定部80は、受信した複数のパケットに含まれるRSU コントローラの情報から転送対象となる情報を抽出する。転送決定部80は、抽出した情報から転送すべき情報を生成する。ここでは、この処理の説明を省略する。転送決定部80は、生成した情報、つまり、周辺の基地局装置10が設定しているサブフレームの番号および路車送信期間の長さといった制御情報を生成部78に出力する。生成部78は、転送決定部80が生成した制御情報を受けつける。さらに、生成部78は、パケット処理部60から、車車間アプリケーションデータを含んだパケットを受け付ける。パケット処理部60から受け取ったパケットに、転送決定部80から受け取った制御情報を含むヘッダを付加して選択部に出力する。選択部76は、生成部78から受け取ったパケットをキャリアセンス部74から受け取った送信タイミングで変復調部54に出力し、パケットとしてブロードキャスト送信させる。
パケット処理部60は、受信時にベースバンド処理部56からのアプリパケットを受けつけ、アプリケーションデータを再構築して、処理部68に出力する。パケット処理部60は、送信時にはデータ生成部66からのアプリケーションデータを受けつける。そして、ヘッダ情報を付加したアプリパケットとしてベースバンド処理部56に出力する。なお、データ生成部66からのアプリケーションデータは、1つのパケットに格納できるサイズであるため、基地局装置10の分割部40に相当する機能は持たない。結合部84は、基地局装置10からの受信したパケットから取り出されたアプリパケットに含まれる部分データを結合して、アプリケーションデータを再構成する。その際、転送決定部80は、更新フラグを確認し、部分データが更新されている場合に部分データの結合を実行し、部分データが更新されていない場合は結合を停止してもよい。セキュリティ部82は、必要に応じてセキュリティ処理を施す。ここでは、処理の説明を省略する。
取得部64は、図示しないGPS受信機、ジャイロスコープ、車速センサ等を含んでおり、それらから供給されるデータによって、図示しない車両12、つまり端末装置14が搭載された車両12の存在位置、進行方向、移動速度等(以下、「位置情報」と総称する)を取得する。なお、存在位置は、緯度・経度によって示される。これらの取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。また、GPS受信機、ジャイロスコープ、車速センサ等は端末装置14の外部にあってもよい。取得部64は、位置情報をパケット処理部60へ出力する。
データ生成部66は、取得部64から位置情報を受けつける。データ生成部66は、位置情報に、車両情報(たとえば、車両の種類、車両の長さなど)と日時などを加えて車車アプリケーションデータを生成し、パケット処理部60へ出力する。処理部68は、パケット処理部より、受信したアプリケーションデータを受けつける。受信したアプリケーションデータとは、図示しない他の車両の12の端末装置14が発信したパケットから取り出された車車アプリケーションデータと、図示しない基地局装置10が発信したパケットから取り出された静的データと動的データである。処理部68は、受けつけたアプリケーションデータに対する処理をして、図示しない他の車両12の接近などを検知し、通知部70に出力する。通知部70は、処理部68の指示に従って、図示しない他の車両12の接近等を運転者へモニタまたはスピーカを介して通知する。制御部58は、端末装置14の動作を制御する。
図5の右側は、前述のごとく、受信処理のレイヤ構成である。動的データAPPと静的データAPPはデータ生成部66に含まれ、アプリケーション制御レイヤとセキュリティレイヤはパケット処理部60に含まれ、送信制御レイヤとMACレイヤはベースバンド処理部56に含まれ、PHYレイヤはRF部52、変復調部54に含まれる。これらは、送信処理のための各レイヤに対応した処理を実行する。
(実施例2)
次に、実施例2を説明する。実施例2も実施例1と同様に、複数の端末装置によって車車間通信がなされる通信システムに関する。実施例2も、実施例1と同様に、静的データと動的データとを処理の対象にする。一方、これらのデータは、内容によって固定長のものもあれば、可変長のものもあることから、送信順序を固定的に設定できるものではない。実施例2では、このような場合でもパケットのブロードキャスト送信を効率的に実行することを目的とする。実施例2に係る通信システム100、基地局装置10、端末装置14は、図1、図2、図7と同様のタイプである。ここでは差異を中心に説明する。
分割部40は、静的データを複数のデータ(以下、「部分データ」という)に分割する。分割部40は、分割した部分データがそれぞれ含まれた複数の第1種のパケットを生成する。なお、ひとつの部分データのサイズがデータペイロードのサイズよりも大きい場合、部分データが複数にさらに分割されることによって、ひとつの部分データから複数の第1種のパケットが生成される。また、分割部40は、前述のごとく、動的データが含まれた第2種のパケットも生成する。ひとつの動的データから複数の第2種のパケットが生成されてもよい。
ベースバンド処理部26は、変復調部24、RF部22に対して、路車送信期間において第1種のパケットと第2種のパケットとをブロードキャスト送信させる。これに応じて、前述のごとく、変復調部24、RF部22は、第1種のパケットと第2種のパケットとを報知する。変復調部24、RF部22は、周期的、つまりフレーム間隔で到来する路車送信期間において、第2種のパケットを報知してから、残った期間において、少なくともひとつの第1種のパケットを報知する。
特に、変復調部24、RF部22は、各路車送信期間において、複数の第1種のパケットのうちの一部を報知する。そのため、路車送信期間が変われば、別の第1種のパケットが報知される。その結果、複数の路車送信期間において、すべての第1種のパケットが報知される。つまり、変復調部24、ベースバンド処理部26は、内容を更新した動的データが含まれた第2種のパケットを確実に送信するため、路車送信期間の先頭の一部を第2種のパケットに優先的に割り当てる。次に、変復調部24、ベースバンド処理部26は、残りの期間において第1種のパケットを送信する。これにより1回の路車送信期間での周波数効率が向上される。
図8(a)−(d)は、本発明の実施例2に係る基地局装置10によって使用される路車送信期間の構成を示す。図8(a)は、所定のフレームにおける路車送信期間の構成を示す。動的データ、第1静的データ、第2静的データが、先頭から順に配置される。第1静的データ、第2静的データが前述の部分データに相当する。図8(a)は、図6(a)と同様に示される。図8(b)は、図8(a)に示された路車送信期間から、1フレーム後に設定された路車送信期間の構成を示す。動的データ、第3静的データ、第4静的データが、先頭から順に配置される。図8(b)での動的データは、図8(a)の動的データから更新されているので、データ量が異なっている。以下では、動的データは、フレームごとに更新されているとする。
図8(c)は、図8(b)に示された路車送信期間から、1フレーム後に設定された路車送信期間の構成を示す。動的データ、第1静的データ、第2静的データが、先頭から順に配置される。ここでは、図8(a)に示された第1静的データ、第2静的データが、再度報知されている。図8(d)は、図8(c)に示された路車送信期間から、1フレーム後に設定された路車送信期間の構成を示す。動的データ、第3静的データ、第4静的データが、先頭から順に配置される。図2に戻る。
また、変復調部24、RF部22は、報知すべき第2種のパケットが存在しない場合、路車送信期間にわたって、少なくともひとつの第1種のパケットを報知してもよい。つまり、路車送信期間において、なんらかのデータが報知される。これは、ひとつの路車送信期間における無送信区間を短縮するためであり、周波数効率を向上させるためである。また、パケットエラーによるデータの欠損の影響が軽減される。図9は、本発明の実施例2に係る基地局装置10によって使用される路車送信期間の別の構成を示す。図示のごとく、路車送信期間において、第1静的データ、第2静的データ、第3静的データが先頭から順に配置されており、動的データが配置されていない。図2に戻る。
さらに、路車送信期間における静的データの配置は次のようになされていてもよい。前述のごとく、第2種のパケットに含まれたデータペイロードのサイズは可変である。そのため、路車送信期間に動的データが配置されると、路車送信期間の残り期間の長さが路車送信期間ごとに異なる。そのため、生成部36は、静的データを分割した部分データを生成する際に、各部分データのサイズが不均一となるように分割を実行する。特に、生成部36は、第1種のパケットの長さがさまざまになるように分割する。その結果、さまざまな残り期間への対応が可能になる。なお、このデータ構成においては、その部分データだけで意味のあるブロックとする。
さらに、変復調部24、RF部22は、残った期間の長さに応じたサイズの部分データが含まれた第1種のパケットを報知する。つまり、ベースバンド処理部26は、部分データの割り当てにおいて、各部分データのうち、残った期間において報知できる最大データ長の組合せを算出する。ベースバンド処理部26は、算出した組合せに応じた第1種のパケットを生成し、変復調部24、RF部22に報知させる。次の路車送信期間においては、部分データのうち、前回の路車送信期間で報知されなかった部分データを報知する。なお、路車送信期間が不足していれば、ベースバンド処理部26は、それらの部分データのうち、残った期間において報知できる最大データ長の組合せを算出する。このような処理によって、無送信区間が短縮され、周波数効率が向上される。
図10(a)−(b)は、本発明の実施例2に係る基地局装置10によって使用される路車送信期間のさらに別の構成を示す。ここで、静的データの分割は予めなされており、サイズは、第3静的データ>第4静的データ>第2静的データ>第1静的データの順である。図10(a)は、所定のフレームにおける路車送信期間の構成を示す。動的データを配置した後の残り期間を考慮して、第1静的データと第3静的データとの組合せが配置されている。図10(b)は、図10(a)に示された路車送信期間から、1フレーム後に設定された路車送信期間の構成を示す。第2静的データと第4静的データが配置された後、残り期間に第1静的データが再度配置されている。
以上の説明に加えて、路車送信期間が次のように使用されてもよい。フレーム中に未使用の路車送信期間が存在する場合、ひとつの基地局装置10がフレーム中に複数のサブフレームにおける路車送信期間を占有してもよい。その際、路車送信期間を連続したサブフレームに設定することによって、基地局装置10および端末装置14の処理量が軽減される。また、路車送信期間を連続しないサブフレームに設定することによって、バーストエラーの影響が軽減される。
本発明の実施例によれば、含むべきデータの更新頻度が短くなるほど、パケットのサイズを小さくするので、更新頻度の高いデータに対する欠落の発生を低減できる。また、欠落の発生が低減することによって、更新頻度の高いデータを確実に伝送できる。また、含むべきデータの更新頻度が長くなるほど、パケットのサイズを大きくするので、更新頻度の低いデータに対する周波数利用効率を向上できる。また、パケットのサイズが大きくなることによって誤りが発生しても、更新頻度が低いので再度報知することによって、誤りの影響を低減できる。
また、データ種別が制御情報に含まれるので、必要なデータのみの抽出を簡易にできる。また、更新フラグが制御情報に含まれるので、更新した静的データの抽出を簡易にできる。また、動的データよりも静的データを先に送信するので、更新フラグの送信タイミングを固定できる。また、更新フラグの送信タイミングが固定されるので、更新フラグの抽出を簡易にできる。また、静的データよりも動的データを先に送信するので、更新頻度の高いデータを優先的に送信できる。
また、第2種のパケットを報知してから、残った期間において、少なくともひとつの第1種のパケットを報知するので、周波数利用効率を向上できる。また、複数の第1種のパケットを複数の路車送信期間に分けて報知するので、動的データを優先的に報知しながら、静的データを効率的に報知できる。また、動的データが存在しなくても、路車送信期間において静的データのみを報知するので、路車送信期間を効率的に使用できる。また、静的データをさまざまなサイズの部分データに分割するので、路車送信期間を無駄なく使用できる。
(実施例3)
次に、実施例3を説明する。路車送信期間が長くなると、端末装置は、その期間にわたって送信機会を失い続ける。そのため、路車送信期間には最大値が規定されるべきである。一方、路車間通信によって基地局装置からブロードキャスト送信されるデータは、複数の種類に分類される。ここでは、説明を明瞭するために、2種類のデータを規定する。ひとつ目は、内容が頻繁に更新されるデータ(以下、「動的データ」という)であり、ふたつ目は、動的データよりも更新頻度の低いデータ(以下、「静的データ」という)である。前者は、リアルタイム性の高いデータであり、後者は、リアルタイム性の低いデータともいえる。例えば、静的データが道路線形、エリア、障害物に関する情報、センサ位置であり、動的データがセンサ情報、信号情報である。これらのデータは、路車送信期間内において効率的に送信されることが望まれる。これに対応するために、本実施例に係る基地局装置は、次の処理を実行する。
基地局装置は、静的データと動的データのサイズが小さければ、これらをひとつの路車送信期間においてブロードキャスト送信する。一方、基地局装置は、静的データと動的データのサイズが大きければ、これらを複数の路車送信期間においてブロードキャスト送信する。その際、基地局装置は、同種のデータをブロードキャスト送信するために、連続したサブフレームにおける路車送信期間を確保する。セキュリティ処理等の信号処理の遅延時間を短くするためである。また、基地局装置は、別種のデータをブロードキャスト送信するために、非連続のサブフレームであっても路車送信期間を確保する。これらのデータは、独立であるとともに、送信機会を多く得るためである。実施例3に係る通信システム100は、図1と同様のタイプである。
図11は、基地局装置10の構成を示す。基地局装置10は、アンテナ120、RF部122、変復調部124、処理部126、制御部128、ネットワーク通信部130を含む。また、処理部126は、フレーム規定部132、選択部134、生成部136を含む。
RF部122は、受信処理として、図示しない端末装置14または他の基地局装置10からのパケット信号をアンテナ120にて受信する。RF部122は、受信した無線周波数のパケット信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドのパケット信号を生成する。さらに、RF部122は、ベースバンドのパケット信号を変復調部124に出力する。一般的に、ベースバンドのパケット信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線が示されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。RF部122には、LNA(Low Noise Amplifier)、ミキサ、AGC、A/D変換部も含まれる。
RF部122は、送信処理として、変復調部124から入力したベースバンドのパケット信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のパケット信号を生成する。さらに、RF部122は、路車送信期間において、無線周波数のパケット信号をアンテナ120から送信する。また、RF部122には、PA(Power Amplifier)、ミキサ、D/A変換部も含まれる。
変復調部124は、受信処理として、RF部122からのベースバンドのパケット信号に対して、復調を実行する。さらに、変復調部124は、復調した結果を処理部126に出力する。また、変復調部124は、送信処理として、処理部126からのデータに対して、変調を実行する。さらに、変復調部124は、変調した結果をベースバンドのパケット信号としてRF部122に出力する。ここで、通信システム100は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式に対応するので、変復調部124は、受信処理としてFFT(Fast Fourier Transform)も実行し、送信処理としてIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)も実行する。
フレーム規定部132は、図示しないGPS衛星からの信号を受信し、受信した信号をもとに時刻の情報を取得する。なお、時刻の情報の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。フレーム規定部132は、時刻の情報をもとに、複数のフレームを生成する。例えば、フレーム規定部132は、時刻の情報にて示されたタイミングを基準にして、「1sec」の期間を10分割することによって、「100msec」のフレームを10個生成する。このような処理を繰り返すことによって、フレームが繰り返されるように規定される。なお、フレーム規定部132は、復調結果から制御情報を検出し、検出した制御情報をもとにフレームを生成してもよい。このような処理は、他の基地局装置10によって形成されたフレームのタイミングに同期したフレームを生成することに相当する。
図12(a)−(d)は、通信システム100において規定されるフレームのフォーマットを示す。図12(a)は、フレームの構成を示す。フレームは、第1サブフレームから第Nサブフレームと示されるN個のサブフレームによって形成されている。これは、端末装置14が報知に使用可能なサブフレームを時間多重することによってフレームが形成されているといえる。例えば、フレームの長さが100msecであり、Nが8である場合、12.5msecの長さのサブフレームが規定される。Nは、8以外であってもよい。図12(b)−(d)の説明は、後述し、図11に戻る。
選択部134は、フレームに含まれた複数のサブフレームのうち、路車送信期間を設定すべきサブフレームを選択する。具体的に説明すると、選択部134は、フレーム規定部132にて規定されたフレームを受けつける。ここでは、後述のごとく、選択すべきサブフレームに関する指示を外部から受けつける。この処理の詳細は後述するが、選択部134は、指示に応じたサブフレームを選択する。複数のサブフレームを選択することもある。なお、フレームに含まれた各サブフレームには、基地局装置10が報知に使用可能な路車送信期間を設定可能である。
これとは別に、選択部134は、自動的にサブフレームを選択してもよい。その際、選択部134は、RF部122、変復調部124を介して、図示しない他の基地局装置10あるいは端末装置14からの復調結果を入力する。選択部134は、入力した復調結果のうち、他の基地局装置10からの復調結果を抽出する。選択部134は、復調結果を受けつけたサブフレームを特定することによって、復調結果を受けつけていないサブフレームを特定する。
これは、他の基地局装置10によって路車送信期間が設定されていないサブフレーム、つまり未使用のサブフレームを特定することに相当する。未使用のサブフレームが複数存在する場合、選択部134は、ランダムにひとつのサブフレームを選択する。未使用のサブフレームが存在しない場合、つまり複数のサブフレームのそれぞれが使用されている場合に、選択部134は、復調結果に対応した受信電力を取得し、受信電力の小さいサブフレームを優先的に選択する。
図12(b)は、第1基地局装置10aによって生成されるフレームの構成を示す。第1基地局装置10aは、第1サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第1基地局装置10aは、第1サブフレームにおいて路車送信期間に続いて車車送信期間を設定する。車車送信期間とは、端末装置14がパケット信号を報知可能な期間である。つまり、第1基地局装置10aは、第1サブフレームの先頭期間である路車送信期間においてパケット信号を報知可能であり、かつフレームのうち、路車送信期間以外の車車送信期間において端末装置14がパケット信号を報知可能であるような規定がなされる。さらに、第1基地局装置10aは、第2サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間のみを設定する。
図12(c)は、第2基地局装置10bによって生成されるフレームの構成を示す。第2基地局装置10bは、第2サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第2基地局装置10bは、第2サブフレームにおける路車送信期間の後段、第1サブフレーム、第3サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間を設定する。図12(d)は、第3基地局装置10cによって生成されるフレームの構成を示す。第3基地局装置10cは、第3サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第3基地局装置10cは、第3サブフレームにおける路車送信期間の後段、第1サブフレーム、第2サブフレーム、第4サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間を設定する。このように、複数の基地局装置10は、互いに異なったサブフレームを選択し、選択したサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。図11に戻る。選択部134は、選択したサブフレームの番号を生成部136へ出力する。
生成部136は、選択部134から、サブフレームの番号を受けつける。生成部136は、受けつけたサブフレーム番号のサブフレームに路車送信期間を設定し、路車送信期間において報知すべきパケット信号を生成する。ひとつの路車送信期間において複数のパケット信号が送信される場合、生成部136は、それらを生成する。パケット信号は、例えば、制御情報、ペイロードによって構成されている。制御情報には、路車送信期間を設定したサブフレーム番号等が含まれている。また、生成部136は、静的データと動的データをペイロードに格納させる。これらの静的データと動的データは、ネットワーク通信部130によって、図示しないネットワーク202から取得される。処理部126は、変復調部124、RF部122に対して、路車送信期間においてパケット信号をブロードキャスト送信させる。制御部128は、基地局装置10全体の処理を制御する。
以下では、路車送信期間の設定、静的データおよび動的データに関する処理を詳細に説明する。図13(a)−(b)は、通信システム100において規定されるレイヤの構成を示す。図13(a)が送信処理のレイヤ構成であり、図13(b)が受信処理のレイヤ構成である。そのため、路車間通信の場合、前者が基地局装置10におけるレイヤ構成に相当し、後者が端末装置14におけるレイヤ構成に相当する。ここでは、図13(a)を説明する。送信制御レイヤ、パケット分割・結合レイヤ、セキュリティレイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤは、図11の変復調部124、処理部126に含まれ、無線信号送信は、図11のRF部122に含まれる。また、パケット分割・結合レイヤ、セキュリティレイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤは、ベースバンド処理としてまとめられるとともに、無線信号送信は、RF処理としてまとめられる。
さらに、説明を具体的にするために、静的データのサイズは4kBであり、動的データのサイズは3kBであり、パケット信号のペイロードの最大サイズは1.5kBであり、路車送信期間で送信可能な最大サイズは4kBであると仮定する。なお、これらの値に限定されるものではない。また、上記の値では、セキュリティ処理または符号化によって生成される冗長ビットを無視しており、それらが考慮されてもよい。
送信制御レイヤは、静的データと動的データを別々に受けつける。これは、アプリケーションプログラム毎にデータを受けつけることに相当する。送信制御レイヤは、最大4kB程度になるように各データを分割する。前述ごとく、静的データのサイズは4kBであり、動的データのサイズは3kBであれば、分割がなされなくてもよい。つまり、送信制御レイヤから出力されるデータの最大サイズは、ひとつの路車送信期間で送信可能なサイズとされる。送信制御レイヤは、静的データと動的データを別々に出力する。
パケット分割・結合レイヤは、アプリケーションからのデータサイズが路車送信期間で送信可能なバイト数を超えたら、路車送信期間内でデータを分割する。つまり、パケット分割・結合レイヤは、静的データと動的データのそれぞれに対して、データのサイズが1.5kBより小さくなるように分割を実行する。これは、各データをペイロードに格納するためである。その際、複数のパケット信号が生成される。なお、送信制御レイヤから受けつけた静的データまたは動的データのサイズが、1.5kBを超えなければ、パケット分割・結合レイヤは分割を実行しなくてもよい。セキュリティレイヤは、データ毎にセキュリティ処理を実行する。MACレイヤは、セキュリティレイヤからのデータをもとにMACフレームを生成し、PHYレイヤは、MACフレームを格納するようにパケット信号を生成し、IFFTを実行する。その結果、ひとつの路車送信期間に対しても、複数のパケット信号が生成されうる。図13(b)については、後述する。
このようなレイヤの構成のもと、基地局装置10に対してなされる処理を説明する。図14(a)−(b)は、基地局装置10における処理の概要を示す。図14(a)は、パケット分割・結合レイヤに対し、通信の事前に登録が必要な情報の流れを示し、図14(b)は、通信時にデータ毎に必要な情報の流れとパケット分割・結合レイヤでの分割処理概要を示す。図14(a)では、管理用PC190が、基地局装置10に外部から接続される。管理用PC190は、処理部126のパケット分割・結合レイヤに所定の指示を出力可能になる。管理用PC190は、管理者によって操作される。管理者の操作によって、管理用PC190は、処理部126のパケット分割・結合レイヤに所定の指示を出力する。
一例として、路車送信期間1として、サブフレーム番号、期間長「4kB相当」、割り当てアプリケーション種別「静的データ」が出力され、路車送信期間2として、サブフレーム番号、期間長「3kB相当」、割り当てアプリケーション種別「動的データ」が出力される。パケット分割・結合レイヤは、これらの指示を受けつける。また、MACレイヤは、路車送信期間で固定的に使用すべき変調方式、符号化率に関する指示をパケット分割・結合レイヤに出力する。さらに、セキュリティレイヤは、セキュリティヘッダサイズと計算ルールに関する指示をパケット分割・結合レイヤに出力する。パケット分割・結合レイヤは、これらの指示を反映させるように、分割の規則を設定する。具体的には、アプリケーションデータのIDとサブフレーム番号とを紐づけ、これらの対応をMACレイヤに出力する。
次に、図14(b)を説明する。送信制御レイヤは、アプリケーションデータ種別、データサイズの情報をパケット分割・結合レイヤに出力する。パケット分割・結合レイヤは、アプリケーションデータ種別より、送信できる路車送信期間を認識し、登録された変調方式/符号化率によって路車送信期間長内に送信完了できるかを計算する。送信完了が可能であれば、パケット分割・結合レイヤは、セキュリティヘッダサイズを考慮し、データを分割する。一方、送信完了が可能でなければ、パケット分割・結合レイヤは、データを破棄するとともに、警告を出力する。
以下では、基地局装置10によって設定される路車送信期間を説明する。図15(a)−(f)は、基地局装置10によって使用される路車送信期間を示す。図15(a)は、図12(a)と同様に示されたフレームの構成である。ここでは、第1サブフレームから第8サブフレームによって構成される。図15(b)は、静的データと動的データの合計データ量が、ひとつのサブフレームに設定される路車送信期間で報知可能なデータ量以下である場合の割り当てを示す。前述の例では、静的データと動的データの合計データ量が4kB以下であることに相当する。この場合、生成部136は、静的データが含まれた第1種のパケット信号を生成するとともに、動的データが含まれた第2種のパケット信号を生成する。また、処理部126は、いずれかのサブフレーム、例えば第2サブフレームに設定した路車送信期間において、第1種のパケット信号と第2種のパケット信号とを報知する。なお、静的データと動的データのサイズによっては、第1種のパケット信号または第2種のパケット信号が複数であってもよい。以下では、この割り当てを「パターン1」という。
図15(c)は、静的データと動的データのそれぞれの量が、ひとつのサブフレームに設定される路車送信期間で報知可能なデータ量以下であり、かつ静的データと動的データの合計データ量が、ひとつのサブフレームに設定される路車送信期間で報知可能なデータ量より大きい場合の割り当てを示す。前述の例では、静的データと動的データのそれぞれが4kB以下であり、それらの合計データ量が4kBよりも大きいことに相当する。処理部126は、ひとつのサブフレーム、例えば、第1サブフレームに設定した路車送信期間において第1種のパケット信号を報知する。また、処理部126は、第1種のパケット信号が報知されるサブフレームとは異なったサブフレーム、例えば、第3サブフレームに設定した路車送信期間において第2種のパケット信号を報知する。以下では、この割り当てを「パターン2」という。
図15(d)は、静的データの量が、ひとつのサブフレームに設定される路車送信期間で報知可能なデータ量より大きく、動的データ量が、ひとつのサブフレームに設定される路車送信期間で報知可能なデータ量以下である場合の割り当てを示す。また、静的データと動的データの合計データ量がひとつのサブフレームに設定される路車送信期間で報知可能なデータ量の2倍以下である。前述の例では、静的データが4kBよりも大きく、動的データが4kB以下であり、それらの合計データ量が8kB以下であることに相当する。
生成部136は、静的データが含まれた複数の第1種のパケット信号を生成する。特に、ひとつのサブフレームに設定された路車送信期間だけにはおさまらない数の第1種のパケット信号が生成される。また、生成部136は、動的データが含まれた第2種のパケット信号も生成する。処理部126は、ひとつのサブフレーム、例えば、第1サブフレームに設定した路車送信期間において複数の第1種のパケット信号の一部を報知する。また、処理部126は、このサブフレームに連続したサブフレーム、例えば、第2サブフレームに設定した路車送信期間において複数の第1種のパケット信号の残りを報知し、第2種のパケット信号も報知する。以下では、この割り当てを「パターン3」という。
図15(e)は、図15(d)と同様に、静的データの量が、ひとつのサブフレームに設定される路車送信期間で報知可能なデータ量より大きく、動的データ量が、ひとつのサブフレームに設定される路車送信期間で報知可能なデータ量以下である場合の割り当てを示す。また、静的データと動的データの合計データ量がひとつのサブフレームに設定される路車送信期間で報知可能なデータ量の2倍より大きい。前述の例では、静的データが4kBよりも大きく、動的データが4kB以下であり、それらの合計データ量が8kBよりも大きいことに相当する。
処理部126は、ひとつのサブフレーム、例えば、第1サブフレームに設定した路車送信期間において複数の第1種のパケット信号の一部を報知する。また、処理部126は、このサブフレームに連続したサブフレーム、例えば、第2サブフレームに設定した路車送信期間において複数の第1種のパケット信号の残りを報知する。さらに、処理部126は、これらのサブフレームとは異なったサブフレーム、例えば、第5サブフレームに設定した路車送信期間において第2種のパケット信号を報知する。以下では、この割り当てを「パターン4」という。なお、図15(d)と(e)の場合において、静的データと動的データの関係が逆になってもよい。
図15(f)は、静的データおよび動的データのそれぞれの量が、ひとつのサブフレームに設定される路車送信期間で報知可能なデータ量より大きい場合の割り当てを示す。前述の例では、静的データが4kBよりも大きく、動的データが4kBよりも大きいことに相当する。生成部136は、静的データが含まれた複数の第1種のパケット信号を生成するとともに、動的データが含まれた複数の第2種のパケット信号を生成する。処理部126は、ひとつのサブフレーム、例えば、第1サブフレームに設定した路車送信期間において複数の第1種のパケット信号の一部を報知する。また、処理部126は、このサブフレームに連続したサブフレーム、例えば、第2サブフレームに設定した路車送信期間において複数の第1種のパケット信号の残りを報知する。
処理部126は、これらのサブフレームとは異なったサブフレーム、例えば、第5サブフレームに設定した路車送信期間において複数の第2種のパケット信号の一部を報知する。さらに、処理部126は、第5サブフレームに連続した第6サブフレームに設定した路車送信期間において複数の第2種のパケット信号の残りを報知する。このように、第1サブフレームおよび第2サブフレームは、第5サブフレームおよび第6サブフレームに不連続である。
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ハードウエアとソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
図16は、車両12に搭載された端末装置14の構成を示す。端末装置14は、アンテナ150、RF部152、変復調部154、処理部156、制御部158を含む。処理部156は、タイミング特定部160、転送決定部162、取得部164、生成部166、通知部170を含む。タイミング特定部160は、抽出部172、キャリアセンス部174を含む。アンテナ150、RF部152、変復調部154は、図11のアンテナ120、RF部122、変復調部124と同様の処理を実行する。ここでは差異を中心に説明する。
変復調部154は、処理部156は、受信処理において、図示しない他の端末装置14または基地局装置10からのパケット信号を受信する。なお、前述のごとく、変復調部154、処理部156は、路車送信期間において、基地局装置10からのパケット信号を受信し、車車送信期間において、他の端末装置14からのパケット信号を受信する。
抽出部172は、変復調部154からの復調結果が、図示しない基地局装置10からのパケット信号である場合に、路車送信期間が配置されたサブフレームのタイミングを特定する。具体的に説明すると、抽出部172は、パケット信号に含まれた制御情報をもとに、基地局装置10からのパケット信号であるか否かを判定する。また、抽出部172は、サブフレームのタイミングと、制御情報に含まれたタイミング情報とをもとに、フレームを生成する。その結果、抽出部172は、基地局装置10において形成されたフレームに同期したフレームを生成する。パケット信号の報知元が、他の端末装置14である場合、抽出部172は、同期したフレームの生成処理を省略する。
抽出部172は、制御情報をもとに、使用されている路車送信期間を特定した後、残りの車車送信期間を特定する。抽出部172は、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報をキャリアセンス部174へ出力する。一方、抽出部172は、基地局装置10からのパケット信号を受けつけていない場合、つまり基地局装置10に同期したフレームを生成していない場合、フレームの構成と無関係のタイミングを選択する。抽出部172は、フレームの構成と無関係のタイミングを選択すると、フレームの構成に関係のないキャリアセンスの実行をキャリアセンス部174に指示する。これは、図1のエリア外214での動作に相当する。
キャリアセンス部174は、抽出部172から、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報を受けつける。キャリアセンス部174は、車車送信期間内でCSMA/CAを開始することによって送信タイミングを決定する。一方、キャリアセンス部174は、抽出部172から、キャリアセンスの実行を指示された場合、フレームの構成を考慮せずに、CSMA/CAを実行することによって、送信タイミングを決定する。キャリアセンス部174は、決定した送信タイミングを変復調部154、RF部152へ通知し、パケット信号をブロードキャスト送信させる。
転送決定部162は、制御情報の転送を制御する。転送決定部162は、制御情報のうち、転送対象となる情報を抽出する。転送決定部162は、抽出した情報をもとに、転送すべき情報を生成する。ここでは、この処理の説明を省略する。転送決定部162は、転送すべき情報、つまり制御情報のうちの一部を生成部166に出力する。取得部164は、図示しないGPS受信機、ジャイロスコープ、車速センサ等を含んでおり、それらから供給されるデータによって、図示しない車両12、つまり端末装置14が搭載された車両12の存在位置、進行方向、移動速度等(以下、「位置情報」と総称する)を取得する。なお、存在位置は、緯度・経度によって示される。これらの取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。また、GPS受信機、ジャイロスコープ、車速センサ等は端末装置14の外部にあってもよい。取得部164は、位置情報を生成部166へ出力する。
生成部166は、取得部164から位置情報を受けつけ、転送決定部162から制御情報の一部を受けつける。生成部166は、制御情報の一部を制御情報に格納し、位置情報をペイロードに格納することによって、パケット信号を生成する。通知部170は、路車送信期間において、図示しない基地局装置10からのパケット信号を取得するとともに、車車送信期間において、図示しない他の端末装置14からのパケット信号を取得する。通知部170は、取得したパケット信号に対する処理として、パケット信号に格納されたデータの内容に応じて、図示しない他の車両12の接近等を運転者へモニタまたはスピーカを介して通知する。制御部158は、端末装置14の動作を制御する。
図13(b)は、前述のごとく、受信処理のレイヤ構成である。受信制御レイヤ、パケット分割・結合レイヤ、セキュリティレイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤは、図16の変復調部154、処理部156に含まれ、無線信号受信は、図16のRF部152に含まれる。また、パケット分割・結合レイヤ、セキュリティレイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤは、ベースバンド処理としてまとめられるとともに、無線信号受信は、RF処理としてまとめられる。これらは、図13(a)に示された各レイヤに対応した処理を実行する。
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図17は、通信システム100における設定手順を示すフローチャートである。これは、管理用PC190においてなされる処理である。運用者は、計測器を使用し、キャリアセンスを実行することによって、路車送信期間に使用可能なサブフレームを選択する(S10)。管理用PC190は、静的データの量の最大値と動的データの量の最大値とを計算する(S12)。なお、静的データは、道路線形情報等であり、動的データは、センサ情報/交通量/歩行者量等である。
静的データと動的データのいずれも4kBより小さく(S14のY)、静的データと動的データの合計値が4kBより小さい場合(S16のY)、管理用PC190は、パターン1を選択する(S18)。管理用PC190は、サブフレーム番号を指定するとともに、サブフレーム番号とデータの紐づけを実行する。管理用PC190は、アプリケーションデータIDと使用するサブフレーム番号をMACレイヤに通知するとともに、当該サブフレームの最大NAV初期値を設定する。
静的データと動的データの合計値が4kBより小さくない場合(S16のN)、管理用PC190は、パターン2を選択する(S20)。管理用PC190は、ふたつのサブフレーム番号を選択するとともに、サブフレーム番号とデータの紐づけを実行する。管理用PC190は、アプリケーションデータIDと使用するサブフレーム番号をMACレイヤに通知するとともに、各アプリケーションデータにひとつのサブフレームを使用する条件のもと、各サブフレームの最大NAV初期値を設定する。
静的データと動的データのいずれも4kBより小さくなく(S14のN)、静的データと動的データの合計値が8kBより小さい場合(S22のY)、管理用PC190は、パターン3を選択する(S24)。管理用PC190は、連続したふたつのサブフレーム番号を選択するとともに、サブフレーム番号とデータの紐づけを実行する。管理用PC190は、アプリケーションデータIDと使用するサブフレーム番号をMACレイヤに通知するとともに、すべてのアプリケーションデータが連続したふたつのサブフレームを使用する条件のもと、ふたつのサブフレームの最大NAV初期値を設定する。
静的データと動的データの合計値が8kBより小さくない場合(S22のN)、管理用PC190は、パターン4を選択する(S26)。管理用PC190は、連続したふたつのサブフレーム番号と、これとは別のひとつのサブフレーム番号を選択するとともに、サブフレーム番号とデータの紐づけを実行する。管理用PC190は、アプリケーションデータIDと使用するサブフレーム番号をMACレイヤに通知する。さらに、管理用PC190は、静的データが連続したふたつのサブフレームを使用する条件のもと、ふたつのサブフレームの最大NAV初期値を設定するとともに、動的データが別のサブフレームを使用する条件のもと、当該サブフレームの最大NAV初期値を設定する。このような処理の後、パケット分割・結合レイヤは、変調方式と符号化率を設定させる(S28)。
図18は、基地局装置10による報知手順を示すフローチャートである。処理部126は、静的データと動的データとを入力する(S40)。処理部126は、入力した静的データと動的データのサイズが、設定したサイズと大きく乖離していない場合(S42のY)、処理を終了する。一方、処理部126は、入力した静的データと動的データのサイズが、設定したサイズと大きく乖離している場合(S42のN)、警告を出力する(S44)。
(実施例4)
次に実施例4を説明する。実施例4も実施例3と同様に、複数の端末装置によって車車間通信がなされる通信システムに関する。実施例4に係る基地局装置も、実施例3と同様に、静的データと動的データとを認識しながら、サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。実施例3に係る基地局装置において送信制御レイヤは、静的データと動的データとを別々に出力しているが、実施例4における送信制御レイヤは、静的データと動的データとをまとめて出力する。実施例4に係る通信システム100、基地局装置10、端末装置14は、図1、図11、図16と同様のタイプである。ここでは差異を中心に説明する。
図19(a)−(b)は、本発明の実施例4に係る通信システム100において規定されるレイヤの構成を示す。図19(a)が送信処理のレイヤ構成であり、図19(b)が受信処理のレイヤ構成である。図19(a)において、送信制御レイヤ、上位パケット分割・結合レイヤ、セキュリティレイヤ、下位パケット分割・結合レイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤは、図11の変復調部124、処理部126に含まれ、無線信号送信は、図11のRF部122に含まれる。また、上位パケット分割・結合レイヤ、セキュリティレイヤ、下位パケット分割・結合レイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤは、ベースバンド処理としてまとめられるとともに、無線信号送信は、RF処理としてまとめられる。前述のごとく、静的データのサイズは4kBであり、動的データのサイズは3kBであり、パケット信号のペイロードの最大サイズは1.5kBであり、路車送信期間で送信可能な最大サイズは4kBであると仮定する。
送信制御レイヤは、静的データと動的データをまとめて出力する。ここでは、7kBのデータが出力される。パケット分割・結合レイヤは、受けつけたデータのサイズが、ひとつの路車送信期間で送信可能なサイズを超えたら、路車送信期間で送信可能なサイズにデータを分割する。ここでは、4kBのサイズにデータを分割する。その際、静的データと動的データとが別々に分割されてもよい。セキュリティレイヤは、分割されたデータ毎にセキュリティ処理を実行する。下位パケット分割・結合レイヤは、セキュリティ処理がなされたデータに対して、データのサイズが1.5kBより小さくなるように分割を実行する。なお、データのサイズが、1.5kBを超えなければ、下位パケット分割・結合レイヤは分割を実行しない。
図19(b)において、受信制御レイヤ、上位パケット分割・結合レイヤ、セキュリティレイヤ、下位パケット分割・結合レイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤは、図16の変復調部154、処理部156に含まれ、無線信号受信は、図16のRF部152に含まれる。また、上位パケット分割・結合レイヤ、セキュリティレイヤ、下位パケット分割・結合レイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤは、ベースバンド処理としてまとめられるとともに、無線信号受信は、RF処理としてまとめられる。これらは、図19(a)に示された各レイヤに対応した処理を実行する。
(実施例5)
次に実施例5を説明する。実施例5もこれまでと同様に、複数の端末装置によって車車間通信がなされる通信システムに関する。実施例5に係る基地局装置の送信制御レイヤも、これまでと同様に、静的データと動的データとをまとめて出力する。一方、実施例5では、セキュリティ処理がなされない。実施例5に係る通信システム100、基地局装置10、端末装置14は、図1、図11、図16と同様のタイプである。ここでは差異を中心に説明する。
図20(a)−(b)は、本発明の実施例5に係る通信システム100において規定されるレイヤの構成を示す。図20(a)が送信処理のレイヤ構成であり、図20(b)が受信処理のレイヤ構成である。図20(a)において、送信制御レイヤ、上位パケット分割・結合レイヤ、下位パケット分割・結合レイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤは、図11の変復調部124、処理部126に含まれ、無線信号送信は、図11のRF部122に含まれる。また、上位パケット分割・結合レイヤ、下位パケット分割・結合レイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤは、ベースバンド処理としてまとめられるとともに、無線信号送信は、RF処理としてまとめられる。図19(a)と比較してセキュリティレイヤが含まれない。
図20(b)において、受信制御レイヤ、上位パケット分割・結合レイヤ、下位パケット分割・結合レイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤは、図16の変復調部154、処理部156に含まれ、無線信号受信は、図16のRF部152に含まれる。また、上位パケット分割・結合レイヤ、下位パケット分割・結合レイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤは、ベースバンド処理としてまとめられるとともに、無線信号受信は、RF処理としてまとめられる。これらは、図20(a)に示された各レイヤに対応した処理を実行する。
(実施例6)
次に実施例6を説明する。実施例6もこれまでと同様に、複数の端末装置によって車車間通信がなされる通信システムに関する。前述のごとく、基地局装置は、複数種類のデータのそれぞれをパケット信号に格納させるとともに、路車送信期間において複数のパケット信号を報知する。ここでは、前述の「パターン3」のごとく、連続したふたつのサブフレームに路車送信期間が設定されているとともに、これらとは別のひとつのサブフレームに路車送信期間が設定されている場合を想定する。端末装置に備えられる記憶部のメモリ量を低減するためには、連続したふたつのサブフレームに設定された路車送信期間において、データ量の大きいデータが報知されることが望ましい。一方、どのサブフレームに路車送信期間が設定されるかは、周囲の基地局装置の配置状況によって異なる。これに対応するために、実施例6に係る基地局装置は、次の処理を実行する。
基地局装置は、複数種類のデータのうち、データ量が最大のデータを選択する。基地局装置は、選択したデータ(以下、「第1種のデータ」という)が、連続したふたつのサブフレームに設定された路車送信期間に配置されるように、複数種類のデータの順番を調節する。例えば、連続したふたつのサブフレームが配置された後に、ひとつのサブフレームが配置されている場合、基地局装置は、複数種類のデータのうちの先頭に第1種のデータを配置させる。また、ひとつのサブフレームが配置された後に、連続したふたつのサブフレームが配置されている場合、基地局装置は、複数種類のデータのうちの最後に第1種のデータを配置させる。なお、複数種類のデータのうち、第1種のデータ以外のデータは第2種のデータとよばれるものとする。実施例6に係る通信システム100、基地局装置10、端末装置14は、図1、図11、図16と同様のタイプである。ここでは差異を中心に説明する。
図21は、本発明の実施例6に係る生成部136の構成を示す。生成部136は、入力部180、選択部182、調節部184を含む。これらは、図13(a)等に示された送信制御レイヤの上位レイヤ、つまりアプリケーションレイヤに属する。入力部180は、複数種類のデータを入力する。複数種類のデータは、ひとつのフレームで報知されるべきデータを単位として入力される。ここで、データの種類は、データを使用するアプリケーションプログラムの種類に相当する。なお、これまでは、データの種類として、静的データと動的データとを区別していたが、ここでは区別しない。そのため、データが、静的データと動的データの一方であってもよく、静的データと動的データとの組合せであってもよい。
選択部182は、入力部180において入力した複数種類のデータのうち、最大データ量のデータを第1種のデータとして選択し、残りを第2種のデータとして選択する。具体的に説明すると、選択部182は、基地局装置10を新規設置する場合に、ひとつのフレームあたりに送信すべき複数種類のデータごとに最大データ量を確認する。また、選択部182は、最大データ量の合計値(以下、「合計データ量」という)を計算する。さらに、選択部182は、最大データ量のうちの最大のデータ量を選択する。選択した最大のデータ量に対応したデータが、第1種のデータに相当する。また、第2種のデータが複数種類あってもよい。
調節部184は、フレーム中における連続したふたつのサブフレームと、ひとつのサブフレームとの時間関係に応じて、第1種のデータと第2種のデータとの順序を調節する。これを説明する前に、複数のパターンと調節部184の処理との関係を説明する。パターン1では、ひとつのサブフレームでの路車送信期間で報知可能なデータ量を合計データ量が下回っており、前述のごとく、割り当て可能なサブフレームから任意のひとつが割り当てられる。その際、選択部182は、特に調節を実行せず、フレームごとに所定のIDを各データに割り振り、パケット分割・結合レイヤに出力する。
パターン2では、ふたつのサブフレームでの路車送信期間で報知可能なデータ量を合計データ量が下回り、かつ第1種のデータの最大データ量が、ひとつのサブフレームでの路車送信期間で報知可能なデータ量を下回っている。その際、割り当て可能サブフレームから任意のふたつが割り当てられる。その際も、選択部182は、特に調節を実行せず、フレームごとに所定のIDを各データに割り振り、パケット分割・結合レイヤに出力する。パターン2の変形パターンでは、3つのサブフレームでの路車送信期間で報知可能なデータ量を合計データ量が下回り、かつ第1種のデータの最大データ量が、ひとつのサブフレームでの路車送信期間で報知可能なデータ量を下回っている。その際、割り当て可能サブフレームから任意の3つが割り当てられる。その際も、選択部182は、特に調節を実行せず、フレームごとに所定のIDを各データに割り振り、パケット分割・結合レイヤに出力する。
パターン3では、3つのサブフレームでの路車送信期間で報知可能なデータ量を合計データ量が下回り、かつ第1種のデータの最大データ量が、ふたつのサブフレームでの路車送信期間で報知可能なデータ量を下回っている。その際、割り当て可能サブフレームから連続するふたつと、任意のひとつとが割り当てられる。調節部184は、連続したふたつのサブフレームに設定された路車送信期間に第1種のデータが含まれるように、データの順序を調節する。まず、連続したふたつのサブフレームが任意のひとつのスロットよりも前に配置されている場合、調節部184は、第1種のデータを先頭に配置させ、残りの第2種のデータをデータ量の小さい順に配置させる。次に、連続したふたつのサブフレームが任意のひとつのスロットよりも後に配置されている場合、調節部184は、第1種のデータを最後に配置させ、残りの第2種のデータをデータ量の大きい順に配置させる。これらを実現するために、調節部184は、路車送信期間が設定されたサブフレームに関する情報を予め取得している。さらに、調節部184は、並べ替えたデータの順番で、IDを振り直してから、パケット分割・結合レイヤに出力する。
図22は、調節部184による処理の概要を示す。これはパターン3の場合を示す。アプリケーションレイヤには、第1データ300、第2データ302、第3データ304、第4データ306がフレームの間に入力される。データ量は、第3データ304>第2データ302>第1データ300>第4データ306であるとする。アプリケーションレイヤは、これらのうち、第3データ304を第1種のデータに選択し、残りを第2種のデータに選択する。ここでは、連続したふたつのサブフレームが任意のひとつのスロットよりも前に配置されているとする。
アプリケーションレイヤは、第3データ304、第4データ306、第1データ300、第2データ302の順に並べ替える。また、アプリケーションレイヤは、それぞれに対して、1/4、2/4、3/4、4/4の順にIDを付与する。パケット分割・結合レイヤは、フレーム間に、第3データ304、第4データ306、第1データ300、第2データ302の順に受けつける。PHYレイヤは、第1サブフレーム中の路車送信期間に第3データ304を割り当て、第2サブフレーム中の路車送信期間に、第3データ304の残りと第4データ306とを割り当てる。さらに、PHYレイヤは、第4サブフレーム中の路車送信期間に、第1データ300、第2データ302を割り当てる。
図23は、調節部184による調節手順を示すフローチャートである。連続した2スロットが残りの1スロットよりも前である場合(S60のY)、調節部184は、第1種のデータを先頭に配置し、残りをデータ量の小さい順に配置する(S62)。一方、連続した2スロットが残りの1スロットよりも前でない場合(S60のN)、調節部184は、第1種のデータを最後に配置し、残りをデータ量の大きい順に配置する(S64)。
本発明の実施例によれば、ひとつのサブフレームに設定した路車送信期間において、静的データと動的データとを報知するので、周波数の利用効率を向上できる。また、静的データと動的データとの合計データ量が少ない場合に、ひとつのサブフレームに路車送信期間を設定するので、効率的な報知を実行できる。また、静的データと動的データとを別のサブフレームに設定した路車送信期間において報知するので、データの種類を明確にしたまま受信させることができる。また、データの種類を明確にしたまま受信させるので、受信処理を簡易にできる。また、静的データの量と動的データの量のそれぞれがひとつのサブフレームに設定した路車送信期間でのサイズにおさまる場合に、それぞれのデータに別のサブフレームを割り当てるので、送信処理を簡易にできる。
また、静的データを配置させた残りの期間に動的データを配置させるので、路車送信期間の空き時間を減少できる。また、連続したサブフレームにて静的データを報知するので、受信処理を簡易にできる。また、路車送信期間の空き時間が減少するので、効率的な報知を実行できる。また、複数のサブフレームを使用する場合であっても、静的データと動的データを混在させないので、受信処理を簡易にすることができる。また、ひとつのサブフレームに設定した路車送信期間だけで報知できない場合に、連続したサブフレームを使用させるので、報知のための遅延時間を減少させることができる。また、同一種類のデータを連続したサブフレームで報知し、別種類のデータを不連続のサブフレームで報知するので、サブフレームの確保を容易にできる。
また、路車送信期間にしたがったデータの分割および結合を行うことによって、基地局装置あるいは端末装置のメモリを削減できる。また、路車送信期間にしたがったデータの分割および結合を行うことによって、周波数の有効利用を図ることができる。また、基地局装置あるいは端末装置内のパケット分割・結合レイヤがシステム使用に応じてデータ分割・結合を実行するので、アプリケーション処理を効率化できる。また、基地局装置あるいは端末装置の処理を効率化できる。
また、連続したサブフレームに配置された路車送信期間に第1種のデータが含まれるように、順序を調節するので、ひとつのデータを記憶するための容量を小さくできる。また、第1種のデータを先頭に配置した場合、残りの第2種のデータをデータ量の小さい順に配置させるので、第2種のデータの中でもデータ量の大きいものをひとつのサブフレームに優先的に割り当てることができる。その結果、第2種のデータの中でもデータ量の大きいものを分割する可能性を小さくできる。また、第1種のデータを最後に配置した場合、残りの第2種のデータをデータ量の大きい順に配置させるので、第2種のデータの中でもデータ量の大きいものをひとつのサブフレームに優先的に割り当てることができる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明の一態様の概要は、次の通りである。本発明のある態様の無線装置は、第1種のデータを複数の部分データに分割し、分割した部分データがそれぞれ含まれた複数の第1種のパケットを生成するとともに、第1種のデータよりも更新頻度の高い第2種のデータが含まれた第2種のパケットを生成する生成部と、周期的に到来する所定の期間において、第2種のパケットを報知してから、残った期間において、少なくともひとつの第1種のパケットを報知する報知部と、を備える。
この態様によると、第2種のパケットを報知してから、残った期間において、少なくともひとつの第1種のパケットを報知するので、周波数利用効率を向上できる。
報知部は、各所定の期間において、一部の第1種のパケットを報知するとともに、複数の所定の期間において、すべての第1種のパケットを報知してもよい。この場合、第1種のパケットを複数に分けて報知するので、第2種のデータを優先的に報知しながら、第1種のデータを効率的に報知できる。
報知部は、報知すべき第2種のパケットが存在しない場合、所定の期間において、少なくともひとつの第1種のパケットを報知してもよい。この場合、第2種のデータが存在しなくても、第1種のパケットのみを報知するので、効率的に送信できる。
生成部において第2種のパケットに含まれた第2種のデータのサイズは可変であるとともに、分割した部分データのサイズは不均一であり、報知部は、残った期間の長さに応じたサイズの部分データが含まれた第1種のパケットを報知してもよい。この場合、第1種のデータをさまざまなサイズに分割するので、無駄なく送信できる。
本発明の別の態様は、基地局装置である。この装置は、第1種のデータが含まれた第1種のパケット信号を生成するとともに、第1種のデータとは異なった第2種のデータが含まれた第2種のパケット信号を生成する生成部と、端末装置が報知に使用可能なサブフレームを時間多重することによってフレームが形成されているとともに、フレームに含まれた各サブフレームには、基地局装置が報知に使用可能な通信期間を設定可能であり、いずれかのサブフレームに設定した通信期間において、第1種のパケット信号と第2種のパケット信号とを報知する報知部と、を備える。
この態様によると、ひとつのサブフレームに設定した通信期間において、2種類のデータを報知するので、周波数の利用効率を向上できる。
第1種のデータと第2種のデータの合計データ量は、ひとつのサブフレームに設定される通信期間で報知可能なデータ量以下であってもよい。この場合、2種類のデータとの合計データ量が少ない場合に、ひとつのサブフレームに通信期間を設定するので、効率的な報知を実行できる。
本発明のさらに別の態様もまた、基地局装置である。この装置は、第1種のデータが含まれた第1種のパケット信号を生成するとともに、第1種のデータとは異なった第2種のデータが含まれた第2種のパケット信号を生成する生成部と、端末装置が報知に使用可能なサブフレームを時間多重することによってフレームが形成されているとともに、フレームに含まれた各サブフレームには、基地局装置が報知に使用可能な通信期間を設定可能であり、第1のサブフレームに設定した通信期間において第1種のパケット信号を報知し、第1のサブフレームとは異なった第2のサブフレームに設定した通信期間において第2種のパケット信号を報知する報知部と、を備える。
この態様によると、2種類のデータを別のサブフレームに設定した通信期間において報知するので、データの種類を明確にしたまま受信させることができる。
第1種のデータの量は、ひとつのサブフレームに設定される通信期間で報知可能なデータ量以下であり、第2種のデータ量は、ひとつのサブフレームに設定される通信期間で報知可能なデータ量以下であり、第1種のデータと第2種のデータの合計データ量は、ひとつのサブフレームに設定される通信期間で報知可能なデータ量より大きい。この場合、2種類のデータの量のそれぞれがひとつのサブフレームに設定した通信期間でのサイズにおさまる場合に、それぞれのデータに別のサブフレームを割り当てるので、送信処理を簡易にできる。
本発明のさらに別の態様もまた、基地局装置である。この装置は、第1種のデータが含まれた複数の第1種のパケット信号を生成するとともに、第1種のデータとは異なった第2種のデータが含まれた第2種のパケット信号を生成する生成部と、端末装置が報知に使用可能なサブフレームを時間多重することによってフレームが形成されているとともに、フレームに含まれた各サブフレームには、基地局装置が報知に使用可能な通信期間を設定可能であり、第1のサブフレームに設定した通信期間において複数の第1種のパケット信号の一部を報知し、第1のサブフレームに連続した第2のサブフレームに設定した通信期間において複数の第1種のパケット信号の残りを報知し、第2のサブフレームに設定した通信期間において第2種のパケット信号も報知する報知部と、を備える。
この態様によると、ひとつのサブフレームに設定した通信期間だけで報知できない場合に、連続したサブフレームを使用させるので、報知のための遅延時間を減少させることができる。
本発明のさらに別の態様もまた、基地局装置である。この装置は、第1種のデータが含まれた複数の第1種のパケット信号を生成するとともに、第1種のデータとは異なった第2種のデータが含まれた第2種のパケット信号を生成する生成部と、端末装置が報知に使用可能なサブフレームを時間多重することによってフレームが形成されているとともに、フレームに含まれた各サブフレームには、基地局装置が報知に使用可能な通信期間を設定可能であり、第1のサブフレームに設定した通信期間において複数の第1種のパケット信号の一部を報知し、第1のサブフレームに連続した第2のサブフレームに設定した通信期間において複数の第1種のパケット信号の残りを報知し、第1のサブフレームと第2のサブフレームとは異なった第3のサブフレームに設定した通信期間において第2種のパケット信号を報知する報知部と、を備える。
この態様によると、また、同一種類のデータを連続したサブフレームで報知し、別種類のデータを不連続のサブフレームで報知するので、サブフレームの確保を容易にできる。
第1種のデータの量は、ひとつのサブフレームに設定される通信期間で報知可能なデータ量より大きく、第2種のデータ量は、ひとつのサブフレームに設定される通信期間で報知可能なデータ量以下であってもよい。
生成部は、複数種類のデータを入力する入力部と、入力部において入力した複数種類のデータのうち、最大データ量のデータを第1種のデータとして選択し、残りを第2種のデータとして選択する選択部と、フレーム中における第1のサブフレームと第3のサブフレームとの時間関係に応じて、第1種のデータと第2種のデータとの順序を調節する調節部と、調節部は、第1のサブフレームと第2のサブフレームに第1種のデータが含まれるように、順序を調節してもよい。この場合、連続したサブフレームに配置された通信期間に第1種のデータが含まれるように、順序を調節するので、ひとつのデータを記憶するための容量を小さくできる。
本発明のさらに別の態様もまた、基地局装置である。この装置は、第1種のデータが含まれた複数の第1種のパケット信号を生成するとともに、第1種のデータとは異なった第2種のデータが含まれた複数の第2種のパケット信号を生成する生成部と、端末装置が報知に使用可能なサブフレームを時間多重することによってフレームが形成されているとともに、フレームに含まれた各サブフレームには、基地局装置が報知に使用可能な通信期間を設定可能であり、第1のサブフレームに設定した通信期間において複数の第1種のパケット信号の一部を報知し、第1のサブフレームに連続した第2のサブフレームに設定した通信期間において複数の第1種のパケット信号の残りを報知し、第1のサブフレームと第2のサブフレームとは異なった第3のサブフレームに設定した通信期間において複数の第2種のパケット信号の一部を報知し、第3のサブフレームに連続した第4のサブフレームに設定した通信期間において複数の第2種のパケット信号の残りを報知する報知部と、を備える。
第1のサブフレームおよび第2のサブフレームは、第3のサブフレームおよび第4のサブフレームに不連続であってもよい。
第1種のデータの量は、ひとつのサブフレームに設定される通信期間で報知可能なデータ量より大きく、第2種のデータ量は、ひとつのサブフレームに設定される通信期間で報知可能なデータ量より大きい。
本発明のさらに別の態様は、無線装置である。この装置は、第1種のデータが含まれた第1種のパケットを生成するとともに、第1種のデータよりも更新頻度の高い第2種のデータが含まれた第2種のパケットを生成する生成部と、生成部において生成した第1種のパケットと第2種のパケットとを報知する報知部とを備える。生成部において生成した第2種のパケットのサイズは、第1種のパケットのサイズよりも小さい。
この態様によると、含むべきデータの更新頻度が短くなるほど、パケットのサイズを小さくするので、更新頻度の高いデータに対する欠落の発生を低減できる。
報知部は、複数の所定期間において、すべての第1種パケットを報知してもよい。
生成部は、第1種のデータが更新されたことを示すための更新情報を第1種のパケットに含めてもよい。この場合、更新した第1種のデータの抽出を簡易にできる。
報知部は、所定の期間において、第2種のパケットを報知してから第1種のパケットを報知してもよい。この場合、第1種のデータよりも第2種のデータを先に送信するので、更新頻度の高いデータを優先的に送信できる。