JP6053549B2 - 炉内付着物除去装置及びこの炉内付着物除去装置を用いた付着物除去方法 - Google Patents
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Description
ところで、高炉主原料、副原料には亜鉛(Zn)成分が含有されており、銑鉄を製造する際に亜鉛成分が、蒸発(ガス化)するようになる。ガス化された亜鉛成分は炉内のガス流によって上昇し、温度が低い高炉の上部で固体に戻る際に周囲の粉鉱及び析出炭素を取り込みながら高炉の側壁に凝着することで付着物として堆積するようになる。
高炉の側壁に凝着した付着物を除去するための技術としては、特許文献1、特許文献2に開示されたものがある。
また、従来より、ライフルなどの銃器を用いて高炉の側壁に凝着した付着物に対して銃撃し、高炉の側壁から付着物を除去する方法もある。
この付着物は、高炉の通常操業において、高炉の側壁から脱落することがほとんどなく、クリーニング操業(高炉内のガス流を周辺流化し、その熱補償としてコークス比を増大させる)を長期間実施するか、銃撃による除去や除去装置を用いた除去が必要となってくる。
例えば、特許文献1の技術は、高炉内の形状に合わせて伸縮可能な支持部を高炉内に懸垂し、その支持部の先端に設置された破砕部を高炉内の付着物に衝突させながら破砕し、高炉の側壁から付着物を除去する技術であるが、支持部がワイヤによって高炉内の上方から懸垂されており、付着物を破砕するときに発生する支持部の水平方向の反力を保持することできない。つまり、支持部を固定しながら付着物を破砕部で破砕するようになっていない。そのため、破砕部の打撃力を充分に付着物に伝達することができず、付着物を充分に除去出来ない。
そこで、本発明は上記問題点を鑑み、高炉周辺の設備を損傷させずに高炉の内壁面に凝着された付着物を安全に、且つ短時間で除去することができる炉内付着物除去装置及びこの炉内付着物除去装置を用いた付着物除去方法を提供することを目的とする。
本発明に係る炉内付着物除去装置は、高炉の側壁に設けられた開口に外部から挿入可能な長尺の棒体であって、前記高炉の内壁面に凝着された付着物を亀裂により分断して、前記高炉の内壁面から付着物を除去する付着物除去ロッドと、前記付着物除去ロッドの先端部に取り付けられ、且つ前記高炉の内壁面に凝着された付着物に亀裂を生じさせて分断する破砕部材と、前記開口に挿入されている付着物除去ロッドの長手方向の後端部に配備され、且つ当該付着物除去ロッドに対して軸心方向の荷重を付与して前記付着物除去ロッドを高炉の内側に押し出す荷重付与装置と、前記荷重付与装置と高炉の外壁面を連結することで、前記荷重付与装置を高炉の外壁面側に支持する支持部と、を有することを特徴とする。
好ましくは、前記破砕部材は、略三角形の板片で形成され、且つ当該破砕部材の各頂部が鋭角であるとよい。
好ましくは、前記付着物除去ロッドの錐面に装着された破砕部材は、前記高炉の内壁面に凝着された付着物と面で接触するように構成されているとよい。
本発明における炉内付着物除去装置を用いた付着物除去方法は、前記高炉の側壁に設けられた開口に外部から挿入された付着物除去ロッドを前記荷重付与装置で高炉の内部側へ押圧し、前記付着物除去ロッドの先端部に装着された破砕部材により高炉の内壁面に凝着された付着物に対して亀裂を生じさせて、前記高炉の内壁面から付着物を押出しながら除去することを特徴とする。
また、本発明に係る炉内付着物除去装置の最も好ましい形態は、高炉の側壁に設けられた開口に外部から挿入可能な長尺の棒体であって、前記高炉の内壁面に凝着された付着物を亀裂により分断して、前記高炉の内壁面から付着物を除去する付着物除去ロッドと、前記付着物除去ロッドの先端部に取り付けられ、且つ前記高炉の内壁面に凝着された付着物に亀裂を生じさせて分断する破砕部材と、前記開口に挿入されている付着物除去ロッドの長手方向の後端部に配備され、且つ当該付着物除去ロッドに対して軸心方向の荷重を付与して前記付着物除去ロッドを高炉の内側に押し出す荷重付与装置と、前記荷重付与装置と高炉の外壁面を連結することで、前記荷重付与装置を高炉の外壁面側に支持する支持部と、を有し、前記付着物除去ロッドの先端部には、最先端に向かうにつれて先細るように錐面が形成されており、前記付着物除去ロッドの錐面には、前記破砕部材が複数取り付けられていて、前記破砕部材は、前記付着物除去ロッドが高炉の内部に進出する際に、付着物除去ロッドの錐面に対して移動可能又は離脱可能とされていることを特徴とする。
本発明の炉内付着物除去装置1は、高炉30の内壁面に凝着した付着物Aを除去するに際し、この付着物Aに対して亀裂を生じさせて、付着物Aを破砕するものである。そして、破砕した付着物Aを高炉30の内部に落下させるようになっている。
高炉30は、その上部(頂部)が開口された円筒状の構造体であって、製鉄所内に立設されている。高炉30は、その側壁及び底部が鋼板などの鉄皮31で形成されており、側壁及び底部の内周側(内壁面側)には、耐火物32(耐火煉瓦)が積層するように配設されている。高炉30側壁の周囲には、鉄皮31と耐火物32とを貫通する孔(開口33)が複数設けられている。その孔には、冷却ジャケット(図示せず)が挿入されている。冷却水が冷却ジャケットの内部を通過することによって、鉄皮31と耐火物32とを冷却している。また、高炉30側壁の周囲には、冷却板及びステーブなど冷却部材(図示せず)が複数埋設されており、鉄皮31と耐火物32とを冷却するようにもなっている。
この炉床部には、還元された鉄が溶融した状態(溶銑B)で堆積しており、その溶銑Bの上部に溶融スラグEが堆積している。ベリー部、ボッシュ部には、高炉30の内部において最も高温域である炉芯Cが存在している。シャフト部には、その上部(頂部)に鉄鉱石及びコークスを予熱する予熱帯と、その下方に鉄鉱石を還元する塊状・還元帯及び還元した鉄鉱石を溶融する融着帯が存在している。融着帯の下方には、融着帯で溶融した鉄鉱石が降下して液状の酸化鉄とコークスの炭素が直接反応する直接還元が進行する滴下帯が存在している。また、滴下帯の下方には、高炉30の側壁に設けられた羽口34からの熱風によって、コークスが著しく疎な状態で存在する空洞部分が形成されたレースウェイDが存在している。
また、高炉30の頂部には、原料を装入するためのホッパーなどの装入装置(図示せず)が配備されている。高炉30の上部から中途部にかけての側壁には、高炉30の内部の情報を検出するプローブ(図示せず)が設けられている。このプローブは、高炉30の上部、中途部、下部及び炉芯Cにそれぞれ設けられており、これら4つの情報をそれぞれ検出している。
ところで、高炉主原料、副原料には亜鉛(Zn)成分が含有されており、銑鉄を製造する際に亜鉛成分が、蒸発(ガス化)するようになる。ガス化された亜鉛成分は高炉30内のガス流によって上昇し、温度が低い高炉30の上部で固体に戻る際に、高炉30内に存在する粉鉱及び析出炭素を取り込みながら高炉30の側壁に凝着し、付着物Aとして堆積するようになる。付着物Aは、高炉30の頂部を覆うような非常に大きいものとなることもある。
そこで、本願発明者らは、このような付着物A(ガス化された亜鉛を起因とする凝着物や、吹き付けた耐火物32など)を高炉30の内壁面から除去するための装置、すなわち本発明に係る炉内付着物除去装置1、及びこの装置1を用いた炉内付着物除去方法を見出した。
付着物除去ロッド2は、円柱状の棒材もしくは角柱状の棒材であり、例えば鋼材(SS400等)などで形成されている。なお、本実施形態では、付着物除去ロッド2を円柱状の棒材として説明する。付着物除去ロッド2の先端には後述する破砕部材5が取り付けられ、この破砕部材5を介して付着物Aに亀裂を生じさせるものであり、破砕部材5は楔(くさび)として機能している。
破砕部材5は、付着物除去ロッド2の長手方向の先端部に接して取り付けられ、且つ高炉30の内壁面に凝着された付着物Aに亀裂を生じさせて分断するものである。破砕部材5は、略三角形の板片であって、且つこの破砕部材5の各角部は鋭角(90°未満の角度)で形成されていて、高炉30の内壁面に凝着された付着物Aと面で接触するように構成されている。
一方、図2に示すように、開口33に挿入されている付着物除去ロッド2の長手方向の後端部には、荷重付与装置6が配備されている。この荷重付与装置6は、付着物除去ロッド2に対して軸心方向の荷重を付与して付着物除去ロッド2を高炉30の内側に押し出すものである。
支持部7は、荷重付与装置6の長手方向の後端部を支持する支持部材8と、付着物除去ロッド2の先端部を開口33に案内する管材13を備えたフランジ部材9と、支持部材8とフランジ部材9とを連結するとともに荷重付与装置6の反力を支持する長尺の連結部材10と、で構成されている。
フランジ部材9は、連結部材10を固定する第1フランジ材11と、付着物除去ロッド2の先端部を開口33に案内する管材13と、この管材13を高炉30の外壁面(鉄皮31)に固定する第2フランジ材12とを有し、高炉30の外壁面に対してほぼ垂直に立設されるようになっている。
付着物除去ロッド2を開口33に案内する管材13は、第1フランジ材11と第2フランジ材12との間に配置され、第1フランジ材11と第2フランジ材12とを連結するように備えられている。
このように、本発明の炉内付着物除去装置1は、高炉30周辺の設備を損傷させずに高炉30の内壁面に凝着された付着物Aを安全に、且つ短時間で除去することができる。また、炉内付着物除去装置1は、荷重付与装置6を支持する支持部材8とその支持部材8を固定する連結部材10とによって、高炉30の外壁面から支持されているので、荷重付与装置6の反力を受け止めることができる。
図4(a)に示すように、まず、高炉30の外壁面(鉄皮31)に支持部7のフランジ部材9を配備し、フランジ部材9の第2フランジ材12と高炉30の外壁面とを溶接する。高炉30の側壁(鉄皮31及び耐火物32)に付着物除去ロッド2を挿入するための開口33(空隙)をコアボーリング法で掘削する。なお、この開口33は、既設のもの(例えば、高炉30に備えられている冷却ジャケット用の孔など)を用いてもよい。また、この既設の開口33は、高炉30の外周囲(周方向)に複数(例えば、160個以上)配備されており、等間隔もしくは不等間隔に配置されている。剥離したい付着物Aに対応する位置に集中的に配置してもよい。
2 付着物除去ロッド
3 頂部
4 錐面
5 破砕部材
6 荷重付与装置(油圧シリンダ)
6a ロッド
7 支持部
8 支持部材
9 フランジ部材
10 連結部材
11 第1フランジ材
12 第2フランジ材
13 管材
30 高炉
31 鉄皮
32 耐火物
33 開口
34 羽口
35 出銑孔
A 付着物
B 溶銑(銑鉄)
C 炉芯
D レースウェイ
E 溶融スラグ
Claims (5)
- 高炉の側壁に設けられた開口に外部から挿入可能な長尺の棒体であって、前記高炉の内壁面に凝着された付着物を亀裂により分断して、前記高炉の内壁面から付着物を除去する付着物除去ロッドと、
前記付着物除去ロッドの先端部に取り付けられ、且つ前記高炉の内壁面に凝着された付着物に亀裂を生じさせて分断する破砕部材と、
前記開口に挿入されている付着物除去ロッドの長手方向の後端部に配備され、且つ当該付着物除去ロッドに対して軸心方向の荷重を付与して前記付着物除去ロッドを高炉の内側に押し出す荷重付与装置と、
前記荷重付与装置と高炉の外壁面を連結することで、前記荷重付与装置を高炉の外壁面側に支持する支持部と、を有し、
前記付着物除去ロッドの先端部には、最先端に向かうにつれて先細るように錐面が形成されており、
前記付着物除去ロッドの錐面には、前記破砕部材が複数取り付けられていて、
前記破砕部材は、前記付着物除去ロッドが高炉の内部に進出する際に、付着物除去ロッドの錐面に対して移動可能又は離脱可能とされている
ことを特徴とする炉内付着物除去装置。 - 前記破砕部材は、略三角形の板片で形成され、且つ当該破砕部材の各角部が鋭角であることを特徴とする請求項1に記載の炉内付着物除去装置。
- 前記付着物除去ロッドの先端部には、当該付着物除去ロッドの軸心に交差するように切り取られてなる頂部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の炉内付着物除去装置。
- 前記付着物除去ロッドの錐面に装着された破砕部材は、前記高炉の内壁面に凝着された付着物と面で接触するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炉内付着物除去装置。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の炉内付着物除去装置を用いた付着物除去方法であって、
前記高炉の側壁に設けられた開口に外部から挿入された付着物除去ロッドを前記荷重付与装置で高炉の内部側へ押圧し、前記付着物除去ロッドの先端部に装着された破砕部材により高炉の内壁面に凝着された付着物に対して亀裂を生じさせて、前記高炉の内壁面から付着物を押出しながら除去することを特徴とする付着物除去方法。
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