JP6052965B2 - 面内変位測定装置 - Google Patents

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本発明は、対象物の面内変位を測定する面内変位測定装置に関するものである。
光学顕微鏡の空間分解能は、観察に用いられる光の波長の半分程度であるため(この性質を光の回折限界という)、光学顕微鏡により対象物の大きさをナノメータスケールで観察しようとすると、像がボケてしまい観察が困難である。従来、対象物の動きを観察する技術としては位相ドップラー流速計及びレーザードップラー流速計が知られている。例えば、非特許文献1にはドップラー信号の位相差を用いて対象物の粒径、流速を得る位相ドップラー流速計が開示されている。この位相ドップラー流速計では、対象物が通過する所定平面上で2本のレーザー光を交差するように照射し、複数の検出部を用いてレーザー光により生じる対象物の散乱光を測定している。そして、測定された散乱光のドップラー効果による位相差から対象物の粒径、流速を得ている。
また、非特許文献2には、シングル入射ビームを用いたレーザードップラー流速計及びデュアル入射ビームを用いたレーザードップラー流速計が開示されている。これらのレーザードップラー流速計では、対象物にレーザー光を照射し、ハーフミラーやミラーにより散乱光を干渉させて得られるビート信号をドップラーシフト周波数として測定する。そして、測定したドップラーシフト周波数の周波数変位から対象物の流速を得ている。
河原伸幸、「位相ドップラ法(PDA/PDPA)を用いた噴霧粒子径および速度の同時計測」、ながれ、27、303-310、(2008) H.-E.Albrecht, "Laser Dopplerand Phase Doppler Measurement techniques", Springer, 2003
非特許文献1に記載の位相ドップラー流速計や非特許文献2に記載のレーザードップラー流速計は、レーザービームを横切る粒子(対象物)の速度や粒径を計測することができるものの、同一対象物の移動の軌跡を追跡することはできない。
本発明は、所定の視野内における対象物の面内軌跡をナノメーターの精度で追跡することができる面内変位測定装置を提供することを目的とする。
本発明の面内変位測定装置は、移動している対象物へ光を照射する光源部と、所定平面に受光面を有し、光源部による光照射により対象物で生じた散乱光のうち受光面上に到達した光の、ドップラーシフト量に応じた周波数で時間的に変化するデータを各時刻に出力する検出部と、受光面に到達した光のうち、受光面上の同一直線上にない少なくとも3点の検出位置に到達した光に対応するデータの周波数と、所定平面内の2次元座標系における少なくとも3点の検出位置の2次元座標とに基づいて、対象物で生じた散乱光の散乱角を算出し、当該算出された散乱角に基づいて対象物の面内変位量を算出する演算部と、を備える。
本発明の面内変位測定装置では、所定平面に受光面を有する検出部により、光源部による光照射により対象物で生じた散乱光のうち受光面上に到達した光のドップラーシフト量に応じた周波数で時間的に変化するデータが各時刻に出力される。そして、演算部により受光面に到達した光のうち、受光面上の同一直線上にない少なくとも3点の検出位置に到達した光に対応するデータの周波数と、所定平面内の2次元座標系における少なくとも3点の検出位置の2次元座標とに基づいて対象物で生じた散乱光の散乱角が算出される。また、算出された散乱角に基づいて対象物の面内変位量が算出される。このように、面内変位測定装置では、異なる検出位置において検出された散乱光の周波数から、対象物の散乱光の散乱角を求めることで、所定の視野内における対象物の面内軌跡をナノメーターの精度で追跡することができる。
また、対象物と検出部の間に配置される集光レンズを更に備え、3点の検出位置の2次元座標を(x,y)(ただし、n=1〜3)とし、3点に到達した光のドップラーシフト量に応じた周波数をfとした場合に、演算部が、下記式(1)〜(3)のいずれか

(式中、fは前記集光レンズの焦点距離であり、dは下記式(4)で表される。)

(式中、fは前記集光レンズの焦点距離であり、dは下記式(4)で表される。)

(式中、fは前記集光レンズの焦点距離であり、dは下記式(4)で表される。)

(式中、pは下記式(5)で表され、qは下記式(6)で表される。)

(式中、rは下記式(7)で表され、a,b,c,dは式(8)で表される。)

(式中、rは下記式(7)で表され、a,b,c,dは式(8)で表される。)


により、前記対象物で生じた散乱光の散乱角θ’を算出し、下記式(9)

により、対象物の面内変位量xを算出してもよい。
この構成によれば、異なる検出位置において検出された周波数から、対象物の散乱光の散乱角を求めることで、所定の視野内における対象物の面内軌跡をナノメーターの精度で追跡することができる。
また、検出部の受光面が、対象物のフラウンホーファー回折像が形成される面に配置され、演算部が、受光面に到達した光のうち、少なくとも3点の検出位置に到達した光に対応するデータの周波数と、少なくとも3点の検出位置の2次元座標とに基づいて、対象物で生じた散乱光の散乱角を算出する散乱角演算部と、当該算出された散乱角に基づいて対象物の面内変位量を算出する変位量演算部とを備えてもよい。
この構成によれば、検出部の受光面がフラウンホーファー回折像に配置された場合に面内変位量を算出することができる。
また、検出部の受光面が、対象物の像が形成される結像面に配置され、検出部が2次元の画素構造を有し、演算部が、検出部から出力されたデータに対して空間に関する2次元フーリエ変換を行う2次元フーリエ変換部と、当該2次元フーリエ変換されたデータのうち、同一直線上にない少なくとも3点の検出位置に到達した光に対応するデータの周波数と、所定平面内の2次元座標系における少なくとも3点の検出位置の2次元座標とに基づいて、対象物で生じた散乱光の散乱角を算出する散乱角演算部と、当該算出された散乱角に基づいて面内変位量を算出する対象物の変位量演算部とを備えてもよい。
この構成によれば、検出部から出力されたデータに対して空間に関する2次元フーリエ変換が行われることで、結像面で得られた対象物の像がフラウンホーファー回折像と等価なものに変換される。したがって、この構成によれば、検出部の受光面が結像面に配置された場合に面内変位量を算出することができる。
また、検出部の受光面が、対象物のフレネル回折像面に配置され、検出部が2次元の画素構造を有し、演算部が、検出部から出力されたデータに対して空間に関する2次元フーリエ変換を行う2次元フーリエ変換部と、当該2次元フーリエ変換されたデータを検出部の受光面の位置により定まる値である2次位相で除する2次位相除算部と、当該2次位相で除されたデータのうち、同一直線上にない少なくとも3点の検出位置に到達した光に対応するデータの周波数と、所定平面内の2次元座標系における少なくとも3点の検出位置の2次元座標とに基づいて、対象物で生じた散乱光の散乱角を算出する散乱角演算部と、当該算出された散乱角に基づいて対象物の面内変位量を算出する変位量演算部とを備えてもよい。
この構成によれば、2次元フーリエ変換部により検出部から出力されたデータに対して空間に関する2次元フーリエ変換が行われ、2次位相除算部により受光面の位置に起因する像のボケを補正することで、フレネル回折像面で得られた対象物の像がフラウンホーファー回折像と等価なものに変換される。したがって、この構成によれば、検出部の受光面がフレネル回折像面に配置された場合に面内変位量を算出することができる。
また、検出部が、少なくとも3点の検出位置に設けられた少なくとも3個の検出素子により構成され、検出部と演算部との間に、検出部の出力の総和を示すデータを各時刻に出力する総和器と、総和器から出力されたデータに対して時間に関するフーリエ変換を行って所定の周波数帯域毎にデータを分離し、当該分離したデータを各時刻に出力する分離器とを更に備えてもよい。
この構成によれば、少なくとも3個の検出素子の出力が総和されるので、総和器の後段に配置される電気回路を単一化することができ、電気回路が複雑化することを防止することができる。
また、検出部が、単画素の光検出器であり、該光検出器の受光面側に、少なくとも3点の検出位置に到達した光を透過し、少なくとも3点の検出位置以外の位置に到達した光を遮断するマスクを備え、検出部と演算部との間に、検出部から出力されたデータに対して時間に関するフーリエ変換を行って所定の周波数帯域毎にデータを分離し、当該分離したデータを各時刻に出力する分離器とを更に備えてもよい。
この構成によれば、一つの単画素の光検出器を用いて対象物の面内変位量を算出することができる。
光源部から出力された光を入力して、その入力した光を対象物の前段又は後段で2分割して第1の光及び第2の光とし、第1の光又は第2の光を変調器で変調した後に所定平面上で、第1の光と第2の光とをヘテロダイン干渉させる光学系を更に備えてもよい。
この構成によれば、検出部において変調された周波数を含むビート信号が観測されるため、受光面上に到達した光の周波数を高精度に取得することができる。
本発明によれば、所定の視野内における対象物の面内軌跡をナノメーターの精度で追跡することができる。
本実施形態の面内変位測定装置による対象物の面内変位測定の原理を説明する図である。 (a)は、入射光Lの入射角を説明する図であり、(b)は対象物2で生じる散乱光の散乱角θを説明する図である。 第1実施形態に係る面内変位測定装置の構成を示す図である。 第1実施形態に係る面内変位測定装置の光検出部の構成を示す図である。 第1実施形態に係る面内変位測定装置の演算部の構成を示す図である。 演算部による面内変位の算出方法を示す模式図である。 第1実施例において検出された波形を示す図である。 第1実施例において検出された変位を示す図である。 第2実施形態に係る面内変位測定装置の構成を示す図である。 第3実施形態に係る面内変位測定装置の構成を示す図である。 第4実施形態に係る面内変位測定装置の構成を示す図である。 第5実施形態に係る面内変位測定装置の構成を示す図である。 第5実施形態に係る面内変位測定装置の光検出部の構成を示す図である。 第6実施形態に係る面内変位測定装置の構成を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態の面内変位測定装置は、移動している対象物に光が照射された際に生じるドップラーシフト効果を利用し、対象物の面内変位を測定するものである。初めに、対象物の面内変位を測定の原理について説明する。
図1は、本実施形態の面内変位測定装置1による対象物の面内変位測定の原理を説明する図である。この図には、ξη座標系、xy座標系およびuv座標系が示されている。ξ軸,η軸,x軸,y軸,u軸およびv軸は、何れもレンズL1の光軸に垂直である。ξ軸,x軸およびu軸は、互いに平行である。η軸,y軸およびv軸は、互いに平行である。なお、本明細書では、ξ軸,x軸およびu軸をまとめてX軸と、η軸,y軸およびv軸をまとめてY軸と、レンズL1の光軸方向をZ軸ということがある。観察対象である対象物2はξη平面上に存在する。レンズL1はxy平面上に存在する。また、レンズL1の後焦点面はuv平面と一致する。ξη平面とxy平面との間の距離はdである。xy平面とuv平面との間の距離はレンズL1の焦点距離fと一致する。
対象物2はξη平面上で−η方向に移動しているものとする。ξη平面に垂直なζ方向に進む光Lが対象物2に照射されるとする。この光Lは例えば平面波である。この場合、対象物2に光Lが照射されることにより生じる散乱光L〜Lは、様々な方向に進み、また、対象物2の移動によりドップラーシフトを受ける。対象物2の移動方向と同じ方向に散乱方向ベクトル成分を有する散乱光Lは、光周波数が高くなる。対象物2の移動方向に散乱方向ベクトル成分を有しない散乱光Lは、光周波数が変化しない。対象物2の移動方向と逆の方向に散乱方向ベクトル成分を有する散乱光L3は、光周波数が低くなる。これらの散乱光L〜Lは、レンズLを経てuv平面に到達する。
図2(a)は、入射光Lの入射角を説明する図であり、図2(b)は対象物2で生じる散乱光Lの散乱角を説明する図である。図2(a)に示すように、入射光Lの入射角を表現するには、それぞれ仰角θ及び方位角φの2つの変数で記述する必要がある。対象物2内に仮想的に配置した点光源をξηζ座標系の原点とする。その原点に対して、入射する入射光Lの入射方向ベクトルとζ軸とがなす角度を仰角θとし、その入射方向ベクトルのξη平面への投影ベクトルとξ軸とがなす角度を方位角φとする。また、入射光Lのηζ平面への投影ベクトルとζ軸とがなす角度をθ’とする。同様に、図2(b)に示すように、点光源からの散乱光Lの方向ベクトルとζ軸とがなす角度を仰角θとし、その散乱方向ベクトルのξη平面への投影ベクトルとξ軸とがなす角度を方位角φとする。また、散乱光Lのηζ平面への投影ベクトルとζ軸となす角度をθ’とする。
速度ベクトルVで移動する対象物2に波長λの光を照射したときに、対象物2で生じる散乱光を観測すると、散乱光のドップラー効果によるドップラーシフト周波数ωは、式(10)で表される。式(10)では、対象物2への入射光の入射方向を示す単位ベクトルをsとし、対象物2で生じた散乱光の散乱方向を示す単位ベクトルをsとしている。
上記式(10)において、kは波数でありk=2π/λである。λは入射光の波長である。式(10)の両辺を時間に関して積分すると、式(11)に示す瞬時位相φが得られる。式(11)において、xは対象物2の面内変位量である。
式(11)に示すように、波長λと散乱角θ’が一定である場合には、瞬時位相φと面内変位量xとが線形の関係を有する。式(11)を面内変位量xについて解くと、式(12)のように表される。式(12)におけるnは対象物2の散乱光の検出位置を示すものであるが詳細については後述する。
式(12)に示すように、対象物2の散乱角θ’を得ることができれば面内変位xを得ることができる。したがって、本実施形態では、散乱角θ’を測定値より得ることにより、対象物の面内変位xを算出する。
(第1実施形態)
本実施形態の面内変位測定装置1は、以上に説明した原理に基づいて、対象物2の面内変位を測定するものである。図3は、第1実施形態の面内変位測定装置1の構成を示す図である。本実施形態の面内変位測定装置1は、光源部10、ビームスプリッタHM1、第1変調器21、第2変調器22、ミラーM1、ミラーM2、ビームスプリッタHM2、レンズ(集光レンズ)L1、光検出部40、及び演算部50を備えている。
光源部10は、例えばHeNeレーザ光源であり、対象物2に照射されるべき光(光周波数ω)を出力する。ビームスプリッタHM1は、光源部10から出力された光を入力し、この光を2分割して第1の光および第2の光とし、そのうちの第1の光を対象物2へ出力し、第2の光を第1変調器21へ出力する。ここで、第1の光が物体光であり、第2の光が参照光である。また、物体光は平行光である。第1変調器21及び第2変調器22は、例えば音響光学素子である。第1変調器21は、第1変調信号により光源部10から出力された光を回折させ、その回折光を第2変調器22へ出力する。第2変調器22は、第2変調信号により第1変調器21から出力された光を回折させ、その回折光をミラーM1へ出力する。ミラーM2は、ミラーM1に反射された光をビームスプリッタHM2へ出力する。なお、第1変調器21及び第2変調器22は物体光路上又は参照光路上に配置し得る。
第1変調器21に与えられる第1変調信号および第2変調器22に与えられる第2変調信号の強度それぞれは例えば29dBmである。第1変調信号の周波数と第2変調信号の周波数とは僅かに異なる。例えば、第1変調周波数は40MHzであり、第2変調周波数は40.000010MHzであり、両者の差Ωは10Hzである。第1変調信号および第2変調信号それぞれは正弦波である。
レンズL1は、光源部10からの光照射により対象物2で生じた散乱光を入力してレンズL1の後焦点面に対象物2のフラウンホーファー回折像を形成する。ビームスプリッタHM2は、レンズL1およびミラーM2それぞれから到達した光を光検出部40の受光面へ入射させて、両光を受光面上でヘテロダイン干渉させる。ヘテロダイン干渉とは、物体光と参照光の一方又は双方に変調を加え、この変調によって生じるビート信号を観測することをいう。第2変調器22から出力されて光検出部40の受光面に入射される光の周波数は、ω+Ωとなる。周波数Ωは、第1変調周波数と第2変調周波数との差周波数である。なお、第1変調器21及び第2変調器22をまとめて変調器20と称すると、変調器20は入力した光の周波数ωをω+Ωへと周波数遷移する機能を有していればよく、変調器20が備える変調器の数は1つでもよいし、複数でもよい。
図4を参照して、光検出部40について説明する。光検出部40は、uv平面上に配置される。このuv面は、レンズL1により対象物2のフラウンホーファー回折像が形成される面と一致する。光検出部40は、3つの単画素の受光素子D1、D2、D3から構成されており、各受光素子D1、D2、D3はいずれもuv平面上に配置されている。各受光素子D1、D2、D3は、uv面上の任意の直線上に並ばないような位置に配置される。各受光素子D1、D2、D3のuv面上の位置をそれぞれP1、P2、P3とすると、位置P1、P2、P3により、フラウンホーファー回折像面と一致する1つの面が決定される。受光素子D1、D2、D3としては、例えばフォトダイオードが用いられる。しかし、フォトダイオードではなく、光電子増倍管(PMT)やアバランシェフォトダイオード(APD)等、他の受光素子を用いてもよい。
受光素子D1、D2、D3は、ビームスプリッタHM2を介して到達した物体光及び参照光を入力して、それぞれ時間を変数とする波形h(t)、h(t)、h(t)を出力する。この波形h(t)、h(t)、h(t)は、物体光及び参照光の干渉信号である。光検出部40は、受光素子D1、D2、D3の出力波形h(t)、h(t)、h(t)を演算部50に出力する。
上記のように、光検出部40には、レンズL1、ビームスプリッタHM2を介して物体光が入射し、ミラーM1,M2,ビームスプリッタHM2を介して参照光が入射する。そして、物体光と参照光が光検出器40の受光面上で干渉する。対象物2が存在しない場合や対象物2が静止している場合には、光検出部40では、差周波数Ωのビート信号が観測される。一方、対象物2が等速度で移動している場合には、光検出部40では、対象物2に照射された周波数ωが、式(10)により定まるドップラーシフト周波数ωだけ周波数遷移した信号が観測される。この場合には、受光素子D1、D2、D3は、それぞれ周波数Ω+ωを有する波形h(t)、h(t)、h(t)を出力する。
光検出部40において観測される光についてより詳細に説明するために、受光素子D1〜D3のうち、受光素子D1が受光する散乱光に着目して説明する。式(10)に示す散乱光の単位ベクトルsは、対象物2で散乱した光のうち受光素子D1方向へ散乱した光の散乱方向単位ベクトルである。この受光素子D1方向へ散乱した散乱光の単位ベクトルをs1とすると、受光素子D1で観測されるドップラーシフト周波数ωは、散乱方向単位ベクトルs1と速度ベクトルVのなす角の余弦に比例して変化する。
このように、受光素子D2、D3方向へ散乱した散乱光の単位ベクトルをそれぞれs2、s3とすると、散乱方向単位ベクトルs1〜s3は、それぞれ対象物の速度ベクトルVと異なる角度をなすため、受光素子D1、D2、D3においては異なるドップラーシフト周波数ωによる周波数遷移を受けた波形h(t)、h(t)、h(t)が観測される。ここで、波形h(t)、h(t)、h(t)の周波数をそれぞれf、f、fと表すと、周波数f〜fは、それぞれ異なる値になる。
演算部50は、光検出部40の受光面に到達した光のうち、受光素子D1、D2、D3に到達した光に対応するデータの周波数f、f、fと、各受光素子の位置P1、P2、P3の2次元座標とに基づいて対象物2で生じた散乱光の散乱角θ’を算出し、算出された散乱角θ’に基づいて対象物2の面内変位量xを算出する。
演算部50は、図5に示すように、移動方向推定部51、散乱角演算部52、及び変位量演算部53を備えている。なお、移動方向推定部51及び散乱角演算部52が、特許請求の範囲の散乱角演算部に相当する。移動方向推定部51は、光検出部40から波形h1(t)、h2(t)、h3(t)を入力し、受光素子D1、D2、D3に到達した光に対応する波形h1(t)、h2(t)、h3(t)の周波数f、f、fと、各受光素子の位置P1、P2、P3の2次元座標とに基づいて対象物2の移動方向を推定する。ここで、受光素子D1,D2,D3の位置P1,P2,P3の位置をuv平面上における2次元座標で(x,y)、(x,y)、(x,y)と表す。
散乱角演算部52は、移動方向推定部51の出力に基づいて受光素子D1、D2、D3に到達した光の散乱角θ’、θ’、θ’を算出する。変位量演算部53は、光の散乱角θ’(n=1〜3)に基づいて、対象物2の面内変位量xを算出する。
図6を参照して、演算部50による対象物2の面内変位量xの算出手順を詳細に説明する。図6は、受光素子D1,D2,D3の位置P1,P2,P3の座標を示すxy平面及び光検出部40で検出された波形の周波数fからなるx−y−f直交座標系を示している。
図6に示すx−y−f直交座標系において、受光素子D1〜D3の座標及び受光素子D1〜D3で観測された周波数から定まる位置ベクトルOA,OB,OCを式(13)のように定義する。式(13)において座標Oはx−y−f直交座標系の原点である。
ベクトルABとベクトルACとでなす平面をSと定義する。平面Sがxy平面と交わる線分mが、x軸およびy軸に交わる交点をそれぞれp及びqとすると、交点p及びqの座標は、式(14)、(15)で表される。ここで、式(14)、(15)におけるr及びa,b,c,dは、式(16)、(17)に示す通りである。
受光素子D1、D2、D3で観測される散乱光の散乱角θ’(n=1〜3)は、式(18)で表される。式(18)におけるfは、レンズL1の焦点距離である。ここで、散乱角θ’の算出方法はレンズL1の種類によって異なる。式(18)は、レンズL1がfθレンズではなく、かつ、正弦条件を満たすものではない場合に成立する。レンズL1がfθレンズの場合には、式(18)に代えて、式(19)を用いて散乱角θ’が算出される。また、レンズL1が正弦条件を満たす場合には、式(18)に代えて、式(20)を用いて散乱角θ’が算出される。式(18)〜(20)においてdは直線mと平行で原点Oを通過する直線m’と点A,B,Cとの距離であり、式(21)で表される。
上記のように、式(18)〜(20)により、散乱光の散乱角θ’が得られる。演算部50は、算出された散乱角θ’を式(12)に代入することにより面内変位xを得る。演算部50の機能構成毎に説明すると、移動方向推定部51は、式(21)により受光素子Dnの位置Pnから直線m’までの距離dを推定し、散乱角演算部52は式(18)〜(20)により受光素子Dnに到達した光の散乱角θ’を算出し、変位量演算部53は式(12)により対象物2の面内変位量xを算出している。
なお、演算部50に用いられる周波数fは、波形h(t)をフーリエ変換して得られる量であり、波形h(t)に含まれる時間平均的な周波数偏移量である。したがって、周波数偏移量fから推定される速度を積分した変位量<x>は、時間平均的な量でしかない。このため、瞬時位相φから得られる面内変位量xは、前記<x>とは異なる情報を持つ。つまり、従来技術である位相ドップラー流速計及びレーザードップラー流速計において、物体の速度ベクトルVを得ることができるが、その速度ベクトルVから得られる移動方向および変位量<x>は時間平均値に過ぎない。このため、従来の位相ドップラー流速計及びレーザードップラー流速計では、対象物のある時刻における位置を推定することはできない。
この点、本実施形態に係る面内変位測定装置1では、uv平面に受光面を有する光検出部40により、光源部10による光照射により対象物2で生じた散乱光のうち受光面上に到達した光のドップラーシフト量に応じた周波数f(n=1〜3)で時間的に変化する波形h(t)が各時刻に出力される。そして、演算部50により受光面に到達した光のうち、受光面上の同一直線上にない少なくとも3点の検出位置P1,P2,P3に到達した光に対応する波形h(t)の周波数fと、uv平面内の2次元座標系における3点の検出位置P1,P2,P3の2次元座標(x,y)、(x,y)、(x,y)とに基づいて対象物で生じた散乱光の散乱角θ’が算出され、算出された散乱角θ’に基づいて対象物2の面内変位量xが算出される。このように、面内変位測定装置1では、異なる検出位置P1,P2,P3において検出された周波数fから、対象物2の散乱光の散乱角θ’を求めることで、所定の視野内における対象物の面内軌跡をナノメーターの精度で追跡することができる。
なお、上記実施形態では、光検出部40として3つの単画素の受光素子を用いたが、光検出部40は2次元画素構造を有するものであってもよい。この場合には、演算部50が光検出部40のうち、直線上にない任意の3点の画素からの出力について、式(12)、(14)〜(21)の演算を行うことで、対象物2の面内変位量xを算出し得る。
(第1実施例)
本実施形態における実施例(第1実施例)について以下に説明する。第1実施例では、光源部10から対象物2に照射される光は、波長633nmのHeNeレーザー光を用いた。レンズL1として、開口数NAが0.45(20倍相当)の対物レンズと焦点距離30mmの2枚のレンズを用いた。光源部10から対象物2に照射される光は平行光として対象物2に照射された。
対象物2として、直径50μmの円形開口を用いた。対象物2は、電動アクチュエータ(NEWPORT社製,LTA−HS)を用い、速度30μm/秒で等速運動させた。光検出部40として、640x480の画素数(1つの画素サイズ8.3x8,3μm)を有し30フレーム/秒の撮像が可能なデジタルCCDカメラを用いた。光検出部40は、8秒間撮影を行い、光検出部40の3つの画素P1,P2,P3で検出された時間波形h(t)をコンピュータに取り込んだ。そして、コンピュータによる演算処理により、時間波形h(t)から解析信号を取り出し瞬時位相φを求めた。実信号から解析信号を取り出す方法はヒルベルト変換法を用いた。
図7は、第1実施例で得られた画素P1、P2、P3で検出された波形h(t)〜h(t)を示している。本実施例では、面内変位測定装置1は、図7に示した波形h(t)〜h(t)を時間に関するフーリエ変換をして、各画素P、P、Pの点における波形h(t)〜h(t)が持つ周波数を特定した。各画素P、P、Pにおける波形が持つ周波数をf、f、fとし、各画素P1,P2,P3の座標をそれぞれ(x,y)、(x,y)、(x,y)として、演算部50が、上記式(12)、(14)〜(21)を用いて画素P1、P2、P3に到達した光の散乱角θ’を算出した。
図8は、演算部50による演算処理により、時間波形h(t)から算出された面内変位量を示したものである。図8に示すグラフでは、横軸に時間(秒)をとり、縦軸に面内変位x(nm)をとっている。演算部50は、この瞬時位相φと散乱角θ’を式(12)に代入して変位xを求めた。その結果、画素サイズ8.3x8.3μmの画素を有するデジタルCCDカメラの3画素からのデータを用いて画素サイズより小さな面内変位xを測定することができた。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る面内変位測定装置1Aについて説明する。第1実施形態では、光検出部40の受光面が、対象物2のフラウンホーファー回折像面に配置されている場合について説明した。本実施形態では、光検出部40の受光面が、対象物2の像が形成される結像面に配置されている場合について説明する。
図9は、本実施形態に係る面内変位測定装置1Aの構成を示している。面内変位測定装置1Aは、フーリエ変換部(2次元フーリエ変換部)54を更に備えている点で上記第1実施形態の面内変位測定装置1と異なる。また、面内変位測定装置1Aの光検出部40は、2次元の画素構造を有している。
フーリエ変換部54は、光検出部40から出力されたデータ対して空間に関する2次元フーリエ変換を行い、フーリエ変換後のデータを演算部50に出力する。このフーリエ変換部54の出力は、対象物2のフーリエ像であり、光検出部40の受光面が、対象物2のフラウンホーファー回折像面に配置されている場合の光検出部40の出力と等価となる。
演算部50は、フーリエ変換部54の出力のうち、直線上にない任意の3点の画素からの出力から、対象物2の面内変位量xを算出する。演算部50が演算を行う直線上にない任意の3点の画素からの出力は、第1実施形態で示した波形h(t)〜h(t)と等価であるから、演算部50の演算器構成は第1実施形態で示したものと同じである。したがって、演算部50についての再度の説明は省略する。なお、本実施形態のフーリエ変換部54は、特許請求の範囲の演算部の一部に相当する。
面内変位測定装置1Aによれば、光検出部40から出力されたデータに対して空間に関する2次元フーリエ変換を行うことで、結像面で得られた対象物の像がフラウンホーファー回折像と等価なものに変換される。したがって、面内変位測定装置1Aによれば、光検出部40の受光面が結像面に配置された場合に適切に面内変位量xを算出することができる。
なお、本実施形態において撮影した像内に複数の移動物体が存在する場合には、光検出部40により得られた像から人間の目視により観察対象となる対象物2を判別し、観察対象となる対象物2以外の移動物体を黒く塗りつぶしてもよい。この場合には、撮影した像内に複数の移動物体が存在する場合であっても、観察対象となる対象物2の面内変位量xを算出することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る面内変位測定装置1Bについて説明する。第1実施形態では、光検出部40の受光面が、対象物2のフラウンホーファー回折像面に配置されている場合について説明した。また、第2実施形態では、光検出部40の受光面が、対象物2の像が形成される結像面に配置されている場合について説明した。本実施形態では、光検出部40の受光面が、フレネル回折像面に配置されている面内変位測定装置1Bについて説明する。
図10は、面内変位測定装置1Bの構成を示している。面内変位測定装置1Bは、フーリエ変換部54、2次位相除算部55を備えている点で上記第1実施形態の面内変位測定装置1と異なる。また、面内変位測定装置1Bの光検出部40は、2次元の画素構造を有している。
フーリエ変換部54は、光検出部40から出力されたデータ対して空間に関する2次元フーリエ変換を行い、フーリエ変換後のデータを2次位相除算部55に出力する。2次位相除算部55は、フーリエ変換部54により2次元フーリエ変換されたデータを光検出部40の受光面の位置により定まる値である2次位相Hで除する。2次位相Hは、光検出部40の受光面の位置により決まる値であり、光検出部40の受光面が対象物2のフラウンホーファー回折像面に配置された場合には、2次位相Hは1となる。本実施形態のように、光検出部40の受光面がフレネル回折像面に配置されている場合には、像のボケがこの2次位相Hとして現れる。この2次位相Hは、対象物2を測定する前にあらかじめ測定して得ることができる値である。2次位相除算部55は、フーリエ変換部54により2次元フーリエ変換されたデータを2次位相Hで除し、その結果を演算部50に出力する。
演算部50は、2次位相除算部55の出力のうち、直線上にない任意の3点の画素からの出力から、対象物2の面内変位量xを算出する。これら3点の画素からの出力は、第1実施形態で示した波形h(t)〜h(t)と等価であるから、演算部50の演算器構成は第1実施形態で示したものと同じである。したがって、演算部50についての再度の説明は省略する。なお、本実施形態のフーリエ変換部54及び2次位相除算部55は、特許請求の範囲の演算部の一部に相当する。
面内変位測定装置1Bによれば、フーリエ変換部54により光検出部40から出力されたデータに対して空間に関する2次元フーリエ変換が行われ、2次位相除算部55により受光面の位置に起因する像のボケを補正することで、フレネル回折像面で得られた対象物の像がフラウンホーファー回折像と等価なものに変換される。したがって、面内変位測定装置1Bによれば、光検出部40の受光面がフレネル回折像面に配置された場合に適切に面内変位量xを算出することができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る面内変位測定装置1Cについて説明する。図11に示すように、面内変位測定装置1Cは、光検出部40と演算部50との間に、総和器61及び分離器62を備える点で第1実施形態の面内変位測定装置1と異なる。また、本実施形態において光検出部40は、3つの単画素の受光素子D1、D2、D3から構成されている。
総和器61は、光検出部40の総和を各時刻に出力する。総和器61は、物理的には3つの単画素の受光素子D1〜D3の出力を結線することで、受光素子D1〜D3からの出力の総和をとる。分離器62は、総和器61からの出力h(t)に対して時間に関するフーリエ変換を行って所定の周波数帯域毎にデータを分離し、分離したデータを各時刻に出力する。波形h(t)は、受光素子D1〜D3に到達した光の周波数f〜fが混在した時間波形である。光検出部40は、この波形h(t)を総和器61に出力する。分離器62は、詳細には、総和器61により出力される一つの出力を一つの電流電圧変換器により変換し、その後一つのAD変換器によりAD変換し、その後1つのフーリエ変換器により波形h(t)に対して時間に関するフーリエ変換をして、波形h(t)〜h(t)の周波数f〜fを演算部50に出力する。
演算部50は、分離器62の出力から、対象物2の面内変位量xを算出する。演算部50の演算は第1実施形態で示したものと同じであることから、再度の説明は省略する。
第1〜第3実施形態では、波形h(t)〜h(t)の周波数f〜fを得るために、波形h(t)〜h(t)のそれぞれについて時間に関するフーリエ変換を行う必要がある。この点、面内変位測定装置1Cによれば、総和器61により3個の受光素子D1、D2、D3の出力が総和されるので、受光素子D1、D2、D3毎にフーリエ変換器等を設ける必要がなく、受光素子D1、D2、D3の後段に配置される電気回路を単一化することができる。そのため、電気回路が複雑化することを防止することができる。
(第5実施形態)
次に、第4実施形態に係る面内変位測定装置1Dについて説明する。図12に示すように、面内変位測定装置1Dは、光検出部40に代えて光検出部40Aを備えている。また、光検出部40Aと演算部50との間に、分離器62を備えている。その他の点は第1実施形態の面内変位測定装置1と同じである。
光検出部40Aは、図13に示すように、単画素構造を有する受光素子D0を有し、その受光面に光を遮断するマスク41を備えている。マスク41には、3つの所定の大きさの開口部H1〜H3が形成されており、その開口部に到達した散乱光は受光素子D0に通過させるようになっている。この開口部が形成されている箇所を除く位置に到達した光は、マスク41により遮断される。開口部H1〜H3は、正三角形の頂点に位置するように配置されている。光検出部40Aの出力を波形h(t)とすると、波形h(t)は、開口部H1〜H3に到達した光の周波数f〜fが混在した時間波形となる。光検出部40Aは、この波形h(t)を分離器62に出力する。なお、uv平面内の2次元座標系における3点の開口部H1〜H3の2次元座標を(x,y)、(x,y)、(x,y)とする。
分離器62は、光検出部40Aから出力された波形h(t)のデータに対して時間に関するフーリエ変換を行って所定の周波数帯域毎にデータを分離し、分離したデータを各時刻に出力する。分離器62は、詳細には、光検出部40Aから出力された波形h(t)を一つの電流電圧変換器により変換し、その後一つのAD変換器によりAD変換し、その後1つのフーリエ変換器により波形h(t)に対して時間に関するフーリエ変換をして、波形h(t)〜h(t)の周波数f〜fを演算部50に出力する。
演算部50は、分離器62の出力から、対象物2の面内変位量xを算出する。なお、本実施形態では、3つの開口部H1〜H3に到達した光のうち、いずれの光が周波数f〜fを有するかを特定することはできないため、対象物の移動方向を特定することができない。しかしながら、得られた周波数f〜fを任意の位置P1〜P3に割り当てて、上記式(12)、(14)〜(21)の演算を行うことで、対象物2の面内変位量xを算出することができる。
第5実施形態に係る面内変位測定装置1Dにおいても、第1実施形態に係る面内変位測定装置1と同様の効果を奏する。更に、本実施形態によれば一つの単画素の光検出部40Aを用いて面内変位量xを算出することができる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態に係る面内変位測定装置1Eについて説明する。上記実施形態では、光源部10から出力された光を対象物2の前段で2分割しているが、本実施形態では、光源部10から出力された光を対象物2の後段で2分割する。
図14は、面内変位測定装置1Eの構成を示している。図14に示すように、面内変位測定装置1Eでは、ビームスプリッタHM1が対象物2の後段に配置されている。なお図14における点線は結像の様子を表している。
レンズL1の後焦点面におけるフラウンホーファー回折像の中心には散乱の影響を受けなかった光または散乱の影響が少ない光が現れる。このフラウンホーファー回折像における像の中心に集まる光は0次光と呼ばれる。0次光および0次光とみなせる回折光は、散乱の影響を受けなかった光または散乱の影響が少ない光である。本明細書では、これらの光を略0次光と称する。略0次光とは、散乱方向の単位ベクトルsと対象物2の速度ベクトルVが略直交するとき、ドップラーシフト周波数ωが略0となる散乱方向単位ベクトルを持つ回折光のことである。
すなわち、対象物2を通過した略0次光のドップラーシフト周波数ωは略0である。ビームスプリッタHM1は、レンズL1の後焦点面に配置されており、対象物2を通過した光から略0次光を抜き出す。ビームスプリッタHM1は、レンズL1から出力された光を2分割し、その一方を第1の光としてレンズL2を介してビームスプリッタHM2へ出力する。他方、ビームスプリッタHM1は、反射した略0次光を第2の光として、レンズ70、レンズ71、及びミラーM3を介して第1変調器21に導く。
レンズ70の前焦点面は、レンズL1の後焦点面に一致する。レンズ70は,ビームスプリッタHM1によって反射された略0次光を平行光として出力する。レンズ70より出力される平行光は、レンズ71によりビーム径が拡大縮小される。レンズ71は、レンズ711およびレンズ712の2枚のレンズからなり、いわゆる4f光学系である。4f光学系とはレンズ711の後焦点面とレンズ712の前焦点面が一致し、レンズ712の前焦点面の像がレンズ711の後焦点面に結像する光学系である。
また、レンズ711の後焦点面には、ピンホール72が配置されている。ピンホール72は、その大きさを変更することにより、ビームスプリッタHM1が抜き出す略0次光における0次光成分の純度を調整することができる。ピンホール径が小さい場合には0次光成分の純度が高まり、ピンホール径が大きい場合には0次光成分の純度は低下する.第2の光は、レンズ71とピンホール72によりビーム径と、0次光成分の純度が調整された後、ミラーM3を介して第1変調器21に入力される。
レンズ73は、第2変調器22から出力されてミラーM4により反射された光を平行光として、ビームスプリッタHM2へ出力する。レンズ73は、レンズ731,レンズ732から構成されており、それらは4f光学系の構成を取る。
ビームスプリッタHM2は、レンズL2およびレンズ73それぞれから到達した光を光検出部40の受光面へ入射させて、両光を受光面上でヘテロダイン干渉させる。光検出部40において観察されるビート信号は、第1実施形態で示したものと等価である。したがって、演算部50の構成は第1実施形態と同様であり、再度の説明は省略する。
このように、第6実施形態に係る面内変位測定装置1Eにおいても、第1実施形態に係る面内変位測定装置1と同様の効果を奏する。更に、本実施形態では、光源部10から出力された光を対象物2の後段で分割した場合にも面内変位量xを算出することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
上記実施形態の面内変位測定装置において、第6実施形態では、対象物2に照射される光のうち対象物2により散乱されなかった光(0次光)は、光検出部40の1点に集光される。この0次光が光検出部40の受光面に到達すると、光検出部40により得られる信号の質が劣化する。そこで、このような0次光が光検出部40の受光面にすべてが到達しないように0次光を減衰させるための減光フィルタが設けられてもよい。或いは、0次光の発生が少ないようなビーム断面を有する光を対象物2に照射してもよい。そして、光源部10と光検出部40との間に対象物2が存在しないときに、光検出部40に到達する光強度を加味させ、強度ムラを補正することが好ましい。
以上の説明では、光源の対象物の像を透過照明で取得する実施例を主に示したが、反射(落射)照明、または限外照明で取得してもよい。光源として、単一縦モードの光の利用が好適であるが、これに限定されない。例えば、広帯域の光を用いてもよい。あるいは、広帯域の光として、波長成分間の位相関係が一定であるものを用いてもよい。このような光源として、例えばモードロックレーザーを用いることができる。
また、上記実施形態の面内変位測定装置において、第1変調器21及び第2変調器22は必須な構成ではない。第1変調器21及び第2変調器22を備えていない場合には、ビート信号としてωの信号が観測される。また、第2実施形態においては、レンズL1は必須の構成ではない。レンズL1を備えていない場合には、光検出部40を対象物2の無限遠方と見なせる面に配置することで、光検出部40の配置面には対象物2のフランフォーファー回折像が形成されることとなるため、レンズL1を用いた場合と同じ像を光検出部40で得ることができる。
また、第1、第4〜第6実施形態の面内変位測定装置では、光検出部40が3つの受光素子D1〜D3により構成されているが、受光素子は少なくとも3つ備えていればよく、4つ以上の受光素子を備えていてもよい。この場合には、4つ以上の受光素子のうち、任意の3つの受光素子の出力を用いてもよいし、4つ以上の受光素子で得た出力を平均して用いてもよい。
また、対象物が等速運動していない場合やジグザグに進む場合には、分離器62は、光検出器40が出力する波形(t)〜h(t)を短時間フーリエ変換することで、直線等速運動と見なせる十分早い時間内に周波数f〜fを算出してもよい。また、上記実施形態に係る面内変位測定装置は、各機能構成が一つのコンピュータにより構成されている必要はなく、各機能が複数のコンピュータに分散されていてもよい。
1,1A,1B,1C,1D,1E…面内変位測定装置、2…対象物、10…光源部、21…第1変調器、22…第2変調器、40,40A…光検出部、41…マスク、50…演算部、51…移動方向推定部、52…散乱角演算部、53…変位量演算部、54…フーリエ変換部、55…2次位相除算部、61…総和器、62…分離器。

Claims (8)

  1. 移動している対象物へ光を照射する光源部と、
    所定平面に受光面を有し、前記光源部による光照射により前記対象物で生じた散乱光のうち前記受光面上に到達した光の、ドップラーシフト量に応じた周波数で時間的に変化するデータを各時刻に出力する検出部と、
    前記受光面に到達した光のうち、前記受光面上の同一直線上にない少なくとも3点の検出位置に到達した光に対応する前記データの周波数と、前記所定平面内の2次元座標系における前記少なくとも3点の検出位置の2次元座標とに基づいて、前記対象物で生じた散乱光の散乱角を算出し、当該算出された散乱角に基づいて前記対象物の面内変位量を算出する演算部と、
    を備える面内変位測定装置。
  2. 前記対象物と前記検出部の間に配置される集光レンズを更に備え、
    前記少なくとも3点の検出位置のなかの3点の検出位置の2次元座標を(x,y)(ただし、n=1〜3)とし、前記3点に到達した光のドップラーシフト量に応じた周波数をfとした場合に、前記演算部が、下記式(1)〜(3)のいずれか


    (式中、fは前記集光レンズの焦点距離であり、dは下記式(4)で表される。)


    (式中、fは前記集光レンズの焦点距離であり、dは下記式(4)で表される。)


    (式中、fは前記集光レンズの焦点距離であり、dは下記式(4)で表される。)


    (式中、pは下記式(5)で表され、qは下記式(6)で表される。)


    (式中、rは下記式(7)で表され、a,b,c,dは式(8)で表される。)


    (式中、rは下記式(7)で表され、a,b,c,dは式(8)で表される。)




    により、前記対象物で生じた散乱光の散乱角θ’を算出し、下記式(9)


    (式中、φ はドップラーシフト量に応じた周波数f を時間に関して積分して得られる位相であり、λは前記対象物に照射される光の波長である。)
    により、前記対象物の面内変位量xを算出する、請求項1に記載の面内変位測定装置。
  3. 前記検出部の前記受光面が、前記対象物のフラウンホーファー回折像が形成される面に配置され、
    前記演算部が、
    前記受光面に到達した光のうち、前記少なくとも3点の検出位置に到達した光に対応する前記データの周波数と、前記少なくとも3点の検出位置の2次元座標とに基づいて、前記対象物で生じた散乱光の散乱角を算出する散乱角演算部と、
    当該算出された散乱角に基づいて前記対象物の面内変位量を算出する変位量演算部と
    を備える、請求項1又は2に記載の面内変位測定装置。
  4. 前記検出部の前記受光面が、前記対象物の像が形成される結像面に配置され、
    前記検出部が2次元の画素構造を有し、
    前記演算部が、
    前記検出部から出力されたデータに対して空間に関する2次元フーリエ変換を行う2次元フーリエ変換部と、
    当該2次元フーリエ変換されたデータのうち、同一直線上にない少なくとも3点の検出位置に到達した光に対応するデータの周波数と、前記所定平面内の2次元座標系における前記少なくとも3点の検出位置の2次元座標とに基づいて、前記対象物で生じた散乱光の散乱角を算出する散乱角演算部と、
    当該算出された散乱角に基づいて面内変位量を算出する前記対象物の変位量演算部と
    を備える、請求項1又は2に記載の面内変位測定装置。
  5. 前記検出部の前記受光面が、前記対象物のフレネル回折像面に配置され、
    前記検出部が2次元の画素構造を有し、
    前記演算部が、
    前記検出部から出力されたデータに対して空間に関する2次元フーリエ変換を行う2次元フーリエ変換部と、
    当該2次元フーリエ変換されたデータを前記検出部の前記受光面の位置により定まる値である2次位相で除する2次位相除算部と、
    前記2次位相で除されたデータのうち、同一直線上にない少なくとも3点の検出位置に到達した光に対応するデータの周波数と、前記所定平面内の2次元座標系における前記少なくとも3点の検出位置の2次元座標とに基づいて、前記対象物で生じた散乱光の散乱角を算出する散乱角演算部と、
    当該算出された散乱角に基づいて前記対象物の面内変位量を算出する変位量演算部と
    を備える、請求項1又は2に記載の面内変位測定装置。
  6. 前記検出部が、前記少なくとも3点の検出位置に設けられた少なくとも3個の検出素子により構成され、
    前記検出部と前記演算部との間に、前記検出部の出力の総和を示すデータを各時刻に出力する総和器と、前記総和器から出力されたデータに対して時間に関するフーリエ変換を行って所定の周波数帯域毎にデータを分離し、当該分離したデータを各時刻に出力する分離器とを更に備える、請求項1〜3の何れか一項に記載の面内変位測定装置。
  7. 前記検出部が、単画素の光検出器であり、該光検出器の前記受光面側に、前記少なくとも3点の検出位置に到達した光を透過し、前記少なくとも3点の検出位置以外の位置に到達した光を遮断するマスクを備え、
    前記検出部と前記演算部との間に、前記検出部から出力されたデータに対して時間に関するフーリエ変換を行って所定の周波数帯域毎にデータを分離し、当該分離したデータを各時刻に出力する分離器とを更に備える、請求項1〜3の何れか一項に記載の面内変位測定装置。
  8. 前記光源部から出力された光を入力して、その入力した光を前記対象物の前段又は後段で2分割して第1の光及び第2の光とし、前記第1の光又は第2の光を変調器で変調した後に前記所定平面上で、前記第1の光と前記第2の光とをヘテロダイン干渉させる光学系を更に備える、請求項1〜7の何れか一項に記載の面内変位測定装置。
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